そんなテクニカルなことはどうでもいいじゃないかと思う人もい
るかもしれません。そもそも日本の半導体会社「ラピダス」の投
資陣のなかに、ARMを傘下に収めているソフトバンググループ
がいることが日本にとって有利に働くのではないかということか
ら、ARMを取り上げてここまで書いてきています。
そのARMがスマホだけでなく、PCやサーバーに入ってきて
いるという話をしているのですが、それどころではないのです。
現在、総合で世界一である日本のスーパーコンピュータ『冨岳』
(理化学研究所と富士通の共同開発)もARMアーキテクチャを
採用しているのです。驚くなかれ、スーパーコンピュータまで、
ARMなのです。
なお、「総合で世界一」と書きましたが、スーパーコンピュー
タの世界ランクは主として次の3つの部門の順位で決まります。
しかし、2022年5月、計算速度を競うTOP500では、米
オークリッジ国立研究所にある最新鋭機『フロンティア』に敗れ
2位になっています。『冨岳』はそれまでこの分野で4期連続世
界一だったのに残念です。
スーパーコンピューターの世界ランクは、次の3つで決まりま
すが、日本は、現在、「HPCG」と「Graph500」では
依然として世界一であり、しかも5期連続です。
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◎スーパーコンピュータの3分野
1. TOP500 ・・ 世界第2位
2. HPCG ・・ 世界第1位
3.Graph500 ・・ 世界第1位
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「HPCG」は、産業応用で使う計算の処理速度を図るもので
あり、「Graph500」は、ビックデータの解析能力の指標
となるものです。しかし、コンピュータは早さが勝負であり、
TOP500」で2位になったことは残念なことです。それにし
ても大きな差がついたものです。
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◎TOP500上位5位 計算速度
1位:フロンティア(米国) ・・ 110・2京回/秒
2位: 冨岳(日本) ・・ 44・2京回/秒
3位:ルミ(フィンランド) ・・ 15・1京回/秒
4位: サミット(米国) ・・ 14・8京回/秒
5位: シェラ(米国) ・・ 9・9京回/秒
──2022年5月31日/読売新聞オンライン
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フロンティアの計算速度は、毎秒110京(けい)2000兆
回(京は1兆の1万倍)であり、富岳の同44京2010兆回の
約2・5倍だったのです。スパコンの開発競争では、同100京
回を上回る計算速度「エクサスケール」が次の目標とされ、突破
したフロンティアが初めてランクインしたのです。
「アップル・シリコン」に話を戻します。アップル・シリコン
には、A、S、T、W、H、U、Mの7シリーズがあり、とくに
有名というか、よく知られているのは、AシリーズとMシリーズ
の2つです。
Aシリーズは、アイフォーン、アイパッド、アイポッド・タッ
チ、アップルTVデジタルメディアプレーヤーに採用されている
SoCのファミリーです。1つ以上のARMベースのプロセッシ
ング・コア、グラフィックス・プロセッシング・ユニット(GP
U)、キャッシュ・メモリなど、モバイル・コンピューティング
機能を提供するために必要な電子機器を1つの物理的なパッケー
ジに統合しています。
これらはアップルによって設計され、2016年以降に発売さ
れたアイフォーン7の時点で、TSMCによって独占的に製造さ
れています。
Mシリーズというのは、Macやアイパッド向けに開発される
SoCのファミリーのことです。2020年10月にMacブッ
ク・プロという新製品が発売され、それにM1プロとM1マック
スが搭載されていることが明らかになります。
2022年3月になると、それまでのM1のさらに上を行く、
M1ウルトラが発表されます。M1ウルトラは、20基のCPU
コアと、64基のGPUコア、32基のニューラルエンジンコア
を実装しており、最大RAM容量は128GBです。
そして、2022年6月6日に、新型Macブック「エア」と
Macブック「プロ」が発表されます。これには、M2チップが
搭載されています。これらのM2チップが、脱インテル後のアッ
プル製品に搭載されることになります。
このM2チップについて、アップルのサイトでは、次のように
解説しています。
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M2のシステムオンチップ(SoC)設計は、強化された第2
世代の5ナノメートルテクノロジーを使用して構築され、M1よ
り25パーセント多い200億個のトランジスタで構成されてい
ます。トランジスタの増加により、M1より50パーセント高い
1000GB/sのユニファイドメモリ帯域幅を実現するメモリ
コントローラなど、チップ全体で機能が向上しています。
最新のウインドウズノートPCの10コアチップと比較して、
M2に搭載されたCPUは同じ電力レベルで約2倍のパフォーマ
ンスを実現します。そしてわずか4分の1の電力で、そのウイン
ドウズPC用チップのピークパフォーマンスを達成します。
https://apple.co/3YZ6tgf
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このアップルによる「脱インテル」は、インテルだけでなく、
アップルにも相当の負荷がかかります。
──[メタバースと日本経済/045]
≪画像および関連情報≫
●アップルが描く「インテルなき未来」と、見えてきた
いくつもの課題
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アップルが間もなく、「Mac」シリーズにインテルのチ
ップを使うのをやめるのだという。このニュースを耳にする
のは何度目だろう。これまでにも多年草のように定期的に現
れては消えていった話題ではあるが、今回はいくつか注目す
べき点があるようだ。
だが、まずはアップルが実際に「脱インテル」を実行する
のが、いかに難しいかという話から始めよう。
アップルがこの問題に真剣に取り組んでいるのは本当だろ
う。2018年4月2日に明るみになったニュースの出元は
『ブルームバーグ・ビジネスウィーク』のマーク・ガーマン
だ。ガーマンは、“聖域”であるカリフォルニア州クパチー
ノの外にいる人間のなかでは、アップルの動向にもっとも詳
しいと言われている。
アップルは数年前から、独自のプロセッサの開発だけでな
く、「MacOS」とモバイルデヴァイス用の「iOS」の
アプリ統合に向けた準備を進めている。インテル製チップの
切り替えのための準備は整いつつうるのだ。それでも、イン
テルとの別離においては、面倒な問題がいくつもある。それ
にどう対処していくかが、アップルの未来を決めるだろう。
https://bit.ly/3Jun5qg
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日本のスーパーコンピュータ『冨岳』


