2018年05月22日

●「マッカーシーは何をやった人物か」(EJ第4768号)

 「IA派」のダグラス・エンゲルバートと「AI派」のジョン
・マッカーシー──このうち、ジョン・マッカーシー氏とはどう
いう人物なのでしょうか。
 マッカーシー氏は、どういうきっかけで「人工知能/AI」を
提唱することになったかについて知る必要があります。
 ジョン・マッカーシー氏は、プリンストン大学で数学科博士課
程を受けていますが、先輩にあたるダートマス大学のジョン・ジ
ョージ・ケメニー数学科教授から、ダートマス大学の助教授とし
て招聘されたのです。1955年2月のことです。
 マッカーシー氏は、ダートマス大学に移ると、大学院時代の同
僚のマービン・ミンスキー氏とベル研究所のクロード・シャノン
氏と一緒に、「認知能力を持つ機械」について、共同で研究をは
じめたのです。それが1956年の「ダートマス会議」の開催に
つながることになります。
 このダートマス会議に関連して、マッカーシー氏は大きな仕事
を2つ成し遂げています。
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      1.TSSを提唱し、実現させている
      2.AI言語といわれるLISP開発
─────────────────────────────
 1は「TSSを提唱し、実現させている」ことです。
 1940年代後半にコンピュータが開発され、1950年代に
入るとその性能は飛躍的に向上していたのですが、何しろ当時の
コンピュータは高価であり、数も少ないので、研究者が満足に使
える状況になかったのです。ちなみに、当時積極的にコンピュー
タを使おうとしていたのは、マッカーシー氏のような大学院生が
多かったといえます。
 当時ダートマス大学では、1954年に開発されたIBM70
4を他の大学と共同で使っていたのですが、マシンを直接使うこ
とはできず、プログラムを打ち込んだパンチカードをコンピュー
タ管理者に渡して、その結果を受け取るというスタイルでしか利
用できなかったのです。この場合、もし一ヶ所でもパンチミスを
すると、半日は潰れてしまうのです。
 共同で利用するというのは、MIT(マサチューセッツ工科大
学)が8時間、IBM事業所が8時間、それからダートマス大学
を含む東海岸の大学が合同で8時間というように、使用できる時
間は限られていたのです。
 そこでマッカーシー氏が考えたのが対話型コンピューティング
「TSS/タイムシェアリング」の導入です。
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 ◎タイムシェアリングシステム/Time Sharing System
 1台のコンピュータ(のCPU)をユーザ単位に時分割で共有
(タイムシェア)し、複数のユーザで、同時にコンピュータを利
用するシステムである。         ──ウィキペディア
                  https://bit.ly/2JpuiYc
─────────────────────────────
 TSSのシステムを簡単にいうと、一台のホストコンピュータ
が多くの端末(ターミナル)に接続されており、端末ごとにホス
トに仕事の命令が出され、それに対してホストが処理をして返す
という人間とコンピュータの対話です。ホストは一台しかありま
せんが、その処理は高速であり、利用者はあたかもホストを自分
一人で使っているような気分になれるのです。
 ちなみにTSSの提唱者はマッカーシー氏だけでなく、複数い
ます。ASCIIコードの開発者として知られるボム・バーマー
氏や、英国のコンピュータ科学者クリストファー・ストレイチ氏
も、1959年にタイムシェアリングシステムの特許を取得して
います。それぞれが相談したわけではなく、同時にこのアイデア
を思いついたのです。
 2は「AI言語といわれるLISP開発」です。
 「LISP」は、ジョン・マッカーシー氏がマサチューセッツ
工科大学(MIT)に移ってから開発した言語です。AIに向い
たコンピュータ言語といわれています。その開発には、コンピュ
ータを長時間使う必要があります。しかし、上記のようにダート
マス大学では、IBM、MITとIBM704を共同使用してい
たのですが、IBMとMITは8時間使えるのに対し、ダートマ
ス大学の場合は、他の東海岸の大学と合わせて8時間であり、長
時間は使えなかったのです。そこで、MITに移った方が、コン
ピュータが長く使えると考えたマッカーシー氏は、MITに移り
MITの助教授に就任し、LISPを開発します。LISPは、
フォートランに次ぐ歴史の古い言語です。
 これについては、2005年9月14日のEJで取り上げてい
るので、そこから引用します。
─────────────────────────────
 マッカーシーは考えたのです。ダートマス大学にいたのでは、
8時間をさらに他の大学と分け合うことになり、いつ順番が回っ
てくるかわかったものではない――そのためにはMITの教員に
なるのが一番良いと考えたのです。
 それからもうひとつ、IBMの連中と仲良くなる必要があると
考えたのです。そういうわけで、たまたまIBMの技術者がダー
トマス大学を訪問したときに、マッカーシーは食事と酒をおごっ
て饗応したのです。まさに目的のためには手段を選ばずです。
 その効果はすぐにあらわれたのです。IBMからIBMポーキ
プシー事業所に招待されたからです。マッカーシーはそこでコン
ピュータのプログラミングを身につけてしまいます。
 1958年に彼はこのアイデアを実行に移し、MITの助教授
になるのです。そして、同年中にLISP言語を開発し、「記号
表現の機能関数と機械によるその計算T」という論文を発表しま
す。                https://bit.ly/2IytPD5
─────────────────────────────
          ──[次世代テクノロジー論U/012]

≪画像および関連情報≫
 ●人工知能で大活躍!今熱い「LISP」の成り立ちとこれから
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   LISPという言語をご存知でしょうか。
   「カッコ。とにかくカッコ」「独自路線」「古い」「とに
  かくカッコ」などの印象が一般的でしょうか。あまりメジャ
  ーな言語ではないというのが、正直な位置づけでしょう。本
  エントリでは近年の人工知能の発達に伴ってLISPが見直
  されていることから、LISPのこれまでの歴史を振り返り
  今後の動向を占ってみることにしましょう。
   LISPは、1958年に開発された、現在広く使われて
  いるプログラミング言語の中で最も古いものの1つです。開
  発者のジョン・マッカシーは、実は「人工知能」という言葉
  の提唱者でもあります。このような出自から、LISPは人
  工知能プログラムに多く使われました。人工知能ブームにも
  乗ったこともあり、急速に普及していくことになります。
   しかし長く使われる言語の常として、多くの方言が生み出
  されてしまいました。方言が多いというのは、ある面では困
  った状況です。多数の言語仕様と処理系が生み出されるため
  汎用性が失われ、中長期的に見ると効率が悪くなるのです。
  このような状況の中、LISPにも標準化が必要になりまし
  た。標準化の効果はJavaの成功を見ると分かりやすいと
  思います。Javaは、言語仕様から処理系、果てはライブ
  ラリまで標準化することで、一度書いたプログラムがどこで
  でも動作する、という究極の汎用化を、実現しようとしまし
  た。そしてある程度これは実現され、現在では世界で最も広
  く使われているプログラム言語の1つとなりました。
                  https://bit.ly/2IukVub
  ───────────────────────────

TSS/タイムシェアリングシステム.jpg
TSS/タイムシェアリングシステム
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2018年05月21日

●「エンゲルバートの衝撃なプレゼン」(EJ第4767号)

 ダグラス・エンゲルバート博士については、もうひとつ述べて
おきたいことがあります。それは、1968年12月に行われた
「エンゲルバートのプレゼンテーション」についてです。私がこ
のことを知ったのは、IIJ(インターネットイニシアチブ)の
会長兼CEO、鈴木幸一氏の著書を読んでのことです。
 1969年1月元旦のことです。当時22歳の鈴木幸一氏は、
米誌『ローリング・ストーン』を読んでいたそうです。同誌は、
音楽や政治および大衆文化を扱う隔週発行のマガジンです。
 たまたまその号は、同誌としては珍しく、コンピュータ関連の
記事がいくつか掲載されており、そのなかに「センセーショナル
な試み」というタイトルの記事があったのです。鈴木氏は、気に
なってその記事を読んでみたといいます。そうしたら、次の衝撃
的なフレーズを目にしたのです。
─────────────────────────────
        コンピュータはメディアである
─────────────────────────────
 1969年(昭和44年)といえば、大型コンピュータの全盛
時代です。当時のコンピュータは「計算機」そのものであり、コ
ンピュータは大企業のコンピュータ室に格納されている巨大なマ
シンというぐらいの認識しかなかったのです。ちなみに1969
年1月といえば、ソ連の有人宇宙船「ソユーズ」4号と5号が史
上初の有人宇宙ドッキングに成功したというというのが大ニュー
スになっていたのです。
 鈴木幸一氏は、「コンピュータはメディアである」という記事
について、次のように述べています。
─────────────────────────────
 その記事は、コンピュータが自ら通信機能をもつという、まっ
たく新しいコンピュータの概念を提示していた。それまでは、コ
ンピュータは「電子計算機」としてただ情報を演算処理するだけ
の機械であり、通信といえば、交換機という専用機で音声を運ぶ
電話のことを指していた。
 両者の融合を可能にした技術基盤が、コンピュータ・サイエン
スである。コンピュータ上で、情報処理と通信が一体として動く
ようになることで、コンピュータと通信が別個のものであった時
代には想定もできない変化が訪れるはずだ。両者の技術体系が異
なるままでは、そのアジャストはそう簡単ではない。その意味で
コンピュータと通信を融合させるこの試みは、いま振り返っても
センセーショナルなものであったことは間違いない。
                      ──鈴木幸一著
           『日本インターネット書記』/講談社刊
─────────────────────────────
 この「情報処理と通信が一体として動くメディアとしてのコン
ピュータ」の記事の元になったのは、1968年12月に行われ
たダグラス・エンゲルバート氏のプレゼンテーションです。この
とき、エンゲルバート氏は、先週のEJで述べたように、ARP
ANETの研究員の一人であり、このプレゼンテーションの次の
年の10月にARPANET、後のインターネットの原型になる
ネットワークが開通することになるのです。
 そのプレゼンテーションは、当時のコンピュータではけっして
できないことが将来実現すると主張しています。しかし、現代の
われわれから見ると、毎日ごく当たり前のようにやっていること
ばかりです。当時の鈴木幸一氏が目を見張ったのは当然です。
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 コンピュータの画面の前に座った人間が、画面上の複数のグラ
フィカルな「ウィンドウ」を見比べながら、マウスやキーボード
を使って文章をリアルタイムに編集する。そして、作成した文書
を遠隔地のコンピュータに送る。いまではごく当たり前の操作方
法だが、そのルーツはこのときのプレゼンにある。エンゲルバー
トのプレゼンが、その後のコンピュータ開発に与えた影響ほ計り
知れない。現代を生きる私たちにとってなじみ深い「パソコン」
も、エンゲルバートなくしては考えられない。彼のコンセプトは
「パソコンの父」と称されるコンピュータ科学者のアラン・ケイ
をはじめ、個性的で奔放な日々を送っていた若いエンジニアたち
に受け継がれ、その後、アップル創業者のスティーブ・ジョブズ
とマイクロソフト創業者のビル・ゲイツが、パソコンを製品化し
世に送り出した。初期のパソコンは、キーボードすらついていな
い代物だったが、エンゲルバートのプレゼンが、パソコンを生ん
だひとつのきっかけとなったのである。
                ──鈴木幸一著の前掲書より
─────────────────────────────
 このエンゲルバート氏のプレゼンの話は、当時定職に就いてい
なかった鈴木幸一氏に大きなショックを与えます。何よりもセン
セーショナルだったのは、遠隔地にいる人間同士がコンピュータ
を介してコミュニケーションをとるというアイデアです。これが
実現すれば、まさしく「コンピュータはメディアである」といえ
ます。この新鮮な驚きがなかったら、現在のIIJという企業は
誕生することはなかったと思います。
 コンピュータを相互接続させるとどんなことが起きるのか、当
時はまったく認識されていなかったのです。そもそも異なる設計
によって製作されたコンピュータ同士を相互接続させてデータを
送ることは当時相当の難問だったのです。
 議論が重ねられた結果、この難問は、仕様が同一の「IMP/
インプ」という名前のコンピュータを導入することによって解決
します。IMPは現在のルータの役割を果たすコンピュータであ
り、次の言葉の頭文字をとったものです。
─────────────────────────────
       IMP
       Interface Message Processor
─────────────────────────────
          ──[次世代テクノロジー論U/011]

≪画像および関連情報≫
 ●「クリック猿とマウス」/桂英史氏
  ───────────────────────────
   ねずみ(マウス)という動物の存在感は、なかなか不思議
  である。キッチンなど日常生活の周辺に出没すると、大騒ぎ
  になる。無理もない。都市生活においては、不衛生のシンボ
  ルとして知られる動物だからだ。その出没を目撃すると、人
  はブルーになる。ねずみそのものが気持ちわるいこと以上に
  自分の生活空間が不衛生であるとの烙印が突きつけられた気
  分になってしまうからだ。したがって、ゴキブリ以上の大敵
  として駆除の対象になる。繁殖力が抜群で、ウイルスのキャ
  リアとしても、申し分ない。ただ、この繁殖力はうまく利用
  されていて、動物実験では長く主役の座を占めている。
   この都市生活者の敵も、いったん「手のひらサイズ」のシ
  ンボルとなってしまうと、なぜか人々の寵愛を一身に集める
  存在となる。ミッキーマウスがその典型である。このミッキ
  ーマウスとともに、20世紀はもうひとつマウスのシンボル
  を登場させた。それがマウスというコンピュータの入力デバ
  イス(装置)である。
   マウスがこの世に登場したのは、1968年のこと。およ
  そ35年も前のことである。サンフランシスコで開かれた秋
  期合同コンピュータ会議で、NLSと呼ばれる対話式のコン
  ピュータが公開された。公開したのは、ダグラス・エンゲル
  バートという、国防省高等研究計画局出身の電子工学の研究
  者である。           https://bit.ly/2KzBbXf
  ───────────────────────────

エンゲルバートのプレゼン.jpg
エンゲルバートのプレゼン
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2018年05月18日

●「インターネットのあやまれる俗説」(EJ第4766号)

 昨日のEJで、「IA」の旗手として、ダグラス・エンゲルバ
ート博士のことを取り上げましたが、彼が後にインターネットの
原型といわれる「アーパネット/ARPANET」の研究員の一
人であったことを知る人は少ないと思います。
 私は、AI(人工知能)がここにきて一挙に実用化したウラに
は、世界レベルのインターネットの普及があると考えています。
具体的にいえば、25年間に10億サイトを超える膨大なウェブ
サイトが創出され、それがAIの知識ベースとして、その進化に
大いに寄与しているからです。
 ところで「インターネットは軍事目的のネットワークである」
ということがよくいわれます。かなりの有識者でも、テレビなど
で、当たり前のように、そのように発言することを聞いたことが
あります。EJでも「インターネットの歴史」を156回連載し
たことがありますが、私の調べた限りでは、インターネットは軍
事目的で開発されたネットワークではないことは確かです。
 この軍事目的論は『TIME』誌/1994年7月25日号に
起因します。そこにはこう記述されています。
─────────────────────────────
 インターネットは国防総省の分散型コンピュータネツトワーク
ARPAネットから育ったものであり、もともと核攻撃による中
央情報施設壊滅を避けるために構想されたものである。
        ――1994年7月25日付の『TIME』誌
─────────────────────────────
 これに対する反論の最新のものとしては、村井純慶応義塾大学
環境情報学部教授が、2014年10月に上梓された次の著書に
その記述があります。
─────────────────────────────
 インターネットの誤った俗説のひとつは、ARPANETは軍
事用に開発され、それが民間に転用されたというものだ。これは
ARPANETが研究資金を出していたことから憶測された誤解
である。パケット交換方式でデジタル情報を伝播する技術は、障
害に強いネットワークの基礎になるので、そういう意味では軍の
目的にもかなっているのだが、ARPAのファンドの基本方針は
軍事目的に直結している研究をやれと言わないことだ。
    ──村井純著『インターネットの基礎』/角川学芸出版
─────────────────────────────
 村井純教授は、婉曲な表現ながら、インターネットが軍事目的
であるというのは誤った俗説であると否定しています。そもそも
ARPANETは、カルフォルニア大学ロサンゼルス校(UCL
A)、カルフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)、ユタ
州立大学、スタンフォード研究所の4つのコンピュータを相互接
続したネットワークであり、それが改良されつつ全米に拡大し、
インターネットになったのです。ちなみに、ARPANETは、
次の頭文字をとったものです。
─────────────────────────────
    ARPANET
    Advanced Research Projects Agency NETwork
─────────────────────────────
 ARPANETが軍事目的でないとすると、何を目的としたも
のかというと、そのヒントがエンゲルバート博士の次の発言にあ
ります。これは『月刊アスキー』が実施したエンゲルバート博士
とのロングインタビュー記事の一部で、非常に貴重なものです。
博士の追悼特集としてネット上に公開されています。
 この記事を読むと、ARPANETが「ネットワークの上に全
ユーザーの知識が集結したコミュニティ作り」を目的としたもの
であることがよくわかります。少し長いですが、貴重な発言なの
で、ご紹介することにします。
─────────────────────────────
 「相互接続すれば、君のコンピュータにぼくの得になりそうな
リソースはあるのかい?」当時、こんな会話がよく聞かれた。す
るともう1人が「なんだ、俺の報告書を読んでいないのか?」と
返すのだ。
 彼らは皆、立派な研究員だが、人の報告書なんて読んではいな
い。だがそう言われて探っていくうちに、相手も優秀だと気付き
「報告書のコピーを送ってくれ」という話になる。
 そのうち何人かの研究員が先の2人にこう言い出した。「ネッ
トワーク化すればコンピュータ上にどういったリソース(情報)
があるか分かるのか?」
 そもそも、コンピュータの相互接続は、プログラムなどのコン
ピュータリソースを共有するためのものだと考えられていたから
2人はそんな需要があるとは予想しておらず困惑していた。だが
それこそ、私にとってはチャンスだった。当時、私は、コンピュ
ータを使った知識のマネージメントを研究している唯一の研究員
だったからね。
 私はネットワークの上に全ユーザーの知識が集結したコミュニ
ティを作り出そうと提案した。「どんなリソースがあって、それ
をどう使ったらいいかといった情報を交換できる場をネットワー
ク上に作ろうじゃないか」という誘いに、皆、一同に賛成した。
 まあ、もっとも後になって、研究員であるはずの彼らが日頃の
研究に加えて、この情報センターというコミュニティの運営まで
しなければならなくなったことに気付き、憤慨するんだが・・。
とにかくこうして私は、ネットワークを使った知の共有という考
えの実践を始めた。
 今では、何百万というコンピュータがつながっているインター
ネットだが、この提案のおかげで、私のコンピュータはインター
ネットにつながった2つ目のノードとなった。言い換えれば私の
コンピュータの接続で、初めてインターネットワークが登場した
ともいえるわけなんだ。       https://bit.ly/2jWPtpD
─────────────────────────────
          ──[次世代テクノロジー論U/010]

≪画像および関連情報≫
 ●ARPANETの設計目的についての誤解/ウィキペディア
  ───────────────────────────
   ARPANETは核攻撃にも耐えるよう設計されたネット
  ワークだ、という言い伝えが広まっている。その方式が19
  60年代前半にアメリカ空軍のシンクタンクであるランド研
  究所のポール・バランによって提唱された核攻撃下でも生き
  残れるコミュニケーション方式であるという点を持ち上げて
  冷戦構造全体の中で技術としての「インターネット」を議論
  するべきなのか、それともロバーツの言うとおりパケット通
  信はバランの研究とは全く関係の無いイギリス国立物理学研
  究所のドナルド・デービスの研究成果を反映したもので「イ
  ンターネット」の誕生は新しいコミュニケーションツールと
  しての側面から評価してよいという議論までかなりの幅が見
  られる。インターネット協会は、ARPANETを生み出し
  た技術的アイデアの融合について次のように記している。
   ARPANETが核戦争に耐えられるネットワーク構築と
  何らかの関係があると主張する間違った噂が始まったのは、
  ランド研究所の研究からである。ランド研究所では核戦争を
  考慮した秘密音声通信を研究していたが、ARPANETは
  それとは全く無関係である。しかし後のインターネットワー
  キング作業の展開においては、ネットワークの大きな部分が
  失われてもインターネットワークが機能し続けるなど、その
  頑健性と生存可能性を強調したことがあるのも事実である。
                  https://bit.ly/2rIgt0A
  ───────────────────────────

エンゲルバート博士とのロングインタビュー.jpg
エンゲルバート博士とのロングインタビュー
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2018年05月17日

●「AIとIAの違いについて考える」(EJ第4765号)

 現在でも「人間の『知能』は何か」については解明されていま
せん。したがって、それを人工的に作り出す「人工知能」の定義
が明確でないのは当然です。そこで、人工知能の第一線の研究者
である松尾豊東京大学大学院教授は、人工知能を次の2つに分け
て考えています。再現します。
─────────────────────────────
   1.人工知能は最先端の情報技術を指すものとする
   2.人工知能とは機械学習・深層学習のことである
─────────────────────────────
 1956年のダートマス会議から今年で62年になりますが、
ここ2〜3年前から急に人工知能(AI)が話題が中心になった
感があります。それは、60年以上の年月が経過して、大ざっぱ
にいえば、上記「1」が「2」に移行したからです。
 ダートマス会議から約15年が経過した1970年に後のイン
ターネットの原型になるアーパネットが開発されています。そし
て、1970年代に入って、小型コンピュータ「PC」の開発が
始まっています。ともにPCの開発を目指した次の有名2社の創
業も1970年代です。
─────────────────────────────
     ◎マイクロソフト創業 ・・ 1975年
                  ビル・ゲイツ
     ◎   アップル創業 ・・ 1976年
              スティーブ・ジョブス
─────────────────────────────
 この1970年代からいわゆるIT開発の時代が始まることに
なります。そして、1970年代から、人工知能の研究は、次の
2つの学派にわかれることになります。
─────────────────────────────
     1.AI/  Artificial Intelligence
             ジョン・マッカーシー
     2.IA/Intelligence Amplification
           ダクラス・エンゲルバート
─────────────────────────────
 コンピュータが出現して、「機械と人間の関係」をどうするか
が大きな問題になり、研究がはじまったのですが、それが、ユー
ザー・インターフェース、すなわち「UI」の研究です。中心人
物は、ジョン・マッカーシー氏とダクラス・エンゲルバート氏で
すが、2人のスタンスは、大きく異なっていたのです。
 ダートマス会議を開催し、人工知能(AI)の研究をスタート
させたジョン・マッカーシー氏は、コンピュータについて次のよ
うな考え方をもっていたのです。このコンピュータ観が、現在の
AIにつながってきます。
─────────────────────────────
 コンピュータは今後、急速に進化し、やがて人間に匹敵する。
あるいはそれを凌ぐような知的能力を持つようになる。いずれ人
間は、コンピュータに「あれしろ、これしろ」と命令するだけで
あとはコンピュータがまるで召使いかロボットのように人間の面
倒を見てくれる。         ──ジョン・マッカーシー
           ──小林雅一著『クラウドからAIへ/
  アップル、グーグル、フェイスブックの主戦場』/朝日新書
─────────────────────────────
 ジョン・マッカーシー氏は、ダートマス会議のときは同大学の
助教授であり、1958年にマサチューセッツ工科大学助教授に
なっています。そして、1962年にスタンフォード大学教授に
就任します。その道の大御所的存在の学者です。
 今になって考えると、マッカーシー教授の指摘は正しかったの
かなと考えますが、当時としては、まさに夢物語的話であったこ
とは確かです。
 これに対してダクラス・エンゲルバート氏は、マウスの開発者
として知られ、学者というよりは実業家です。彼は、コンピュー
タについて次のように考えており、マッカーシー氏よりは、はる
かに現実的な考え方をしていたのです。
─────────────────────────────
 機械が人間の面倒を見るというのは、現実離れしているし、本
末転倒している。人間にとってコンピュータのような機械は一種
のツールに過ぎない。ツールが進化することも重要だが、それと
同時に人間もツールの進歩に適応する。
               ──ダクラス・エンゲルバート
                ──小林雅一著の前掲書より
─────────────────────────────
 エンゲルバート氏は、カリフォルニア大学バークレー校大学院
の電気工学科に進学し、1955年に博士号を取得しています。
博士号取得後もバークレー校大学院に助教授として1年間留まっ
たものの、そこでは自身のビジョンを実現できないと感じて大学
を去り、発明家として実業の世界に進んでいます。
 当然のことながら、当時のコンピュータは専門家か研究者しか
使えず、使い勝手はよくなかったのです。しかし、エンゲルバー
ト氏は、近い将来コンピュータは小型化し、多くの人が誰でも使
えるようになると考えており、そのためには、その使い勝手を良
くする多くの発明が必要だと考えていたのです。
 「IA」という考え方は、人間の知的能力をコンピュータのよ
うなツールによって強化する「知的増強」を意味します。この考
え方に同調する人も多く、それが「IA派」という一派を構成し
たのです。
 その結果として、IA派は、1960年代から1980年代に
かけて、マウスやGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフ
ェイス)、マルチウインドウ、ハイパーテキストなど、便利なも
のを次々と開発し、コンピュータの使い易さの向上に貢献したの
です。それはまさしくIT技術の進化そのものです。
          ──[次世代テクノロジー論U/009]

≪画像および関連情報≫
 ●これからの、人と機械の新しいあり方――インタビュー
  ───────────────────────────
   自動運転、ドローン、人工知能。人が「使う」ものだった
  機械(コンピュータ)が「賢く」なりつつある中、自律的な
  機械と人との新たな関係が議論されている。人と機械の関係
  を考える上で欠かせないのが、そのインターフェースだ。東
  京大学助教の鳴海拓志さんはバーチャルリアリティ(VR)
  や拡張現実感など、私たちが現実と感じているものを編集し
  新しい現実をつくる技術を研究する中で、人と機械の新しい
  関係をつくるためのインターフェースのあり方について提案
  している。
  ――鳴海さんは以前、「人はすでに機械に支配されていると
  も言える」とおっしゃっていました。例えば、メールの予測
  変換で、「お願いします」と書こうとしていたのが自動的に
  「お願いいたします」となることがありますが、これは気付
  かないうちに機械に支配されていると。
   ささいな文面の違いかも知れませんが、ニュアンスが大き
  く変わることもありえますよね。ある意味ではわれわれが使
  う言葉や思考が予測変換という機械の機能にコントロールさ
  れてしまっているわけです。でもそういうことに対して普段
  のわれわれは無自覚で、「ちょっと最初に使おうとした言葉
  と違うけれどいいかな」と、その瞬間その瞬間に受け入れて
  使っているし、最終的な文面は自分が決めたと思っている。
                  https://bit.ly/2ICCJCL
  ───────────────────────────

ダグラス・エルゲルバート氏.jpg
ダグラス・エルゲルバート氏
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2018年05月16日

●「人間の知能を定義することは困難」(EJ第4764)

 AI(人工知能)というと、最先端の技術のように感じますが
その概念は昔からあります。AI(Artificial Intelligence)
という言葉そのものは、1956年の夏からあります。そのとき
後世「ダートマス会議」と呼ばれるようになる有名な会議におい
てこの言葉が使われているのです。
 1956年という年について考えてみる必要があります。コン
ピュータが開発されたのは1945年頃のことであり、その10
年後といえば、コンピュータの高性能化が急速に進んで、「コン
ピュータから何でもできる」と多くの人に思われつつあったとき
です。そういうときにダートマス会議は開かれています。この会
議は、ダートマス大学で行われたのでそう呼ばれています。
 この会議の主催者は、米国の著名なコンピュータ科学者のジョ
ン・マッカーシーという人物です。彼は、この会議の開催資金を
政府から調達するために、会議の内容にいささかオーバーな売り
込み文句として「人工知能」という言葉を使ったのです。そのせ
いか、この会議には錚々たる科学者が一堂に会したのです。
─────────────────────────────
        ジョン・マッカーシー
        クロード・シャノン
        マービン・ミンスキー
        アレン・ニューウェル
        ハーバート・サイモンなど
─────────────────────────────
 彼らのそれ以後の研究をフォローすると、それぞれAIの発展
に大きく貢献した人たちばかりです。簡単に紹介すると、クロー
ド・シャノン氏といえば、「クロード・シャノンなかりせば、コ
ンピュータは高級電子ソロバンで終っていた」といわれる情報理
論の創始者であり、ニューラル・ネットワークの批判的研究で知
られるマービン・ミンスキー氏、初歩的な数学の定理を証明する
プログラムなどの初期のAI研究に大きな足跡を残しているアレ
ン・ニューウェル氏、そして、ハーバート・サイモン氏は、経済
学から社会学、認知科学からコンピュータ科学まで、万能の天才
といわれた科学者です。
 このように、まさに錚々たる科学者が集まったわけですが、そ
の当時の科学者たちの人工知能の認識は次のようなものに過ぎな
かったのです。
─────────────────────────────
  AIとは人間の知的活動をシミュレートする技術である
─────────────────────────────
 このようにAIは定義が曖昧です。AIの性能が強化されるに
つれて、定義が広がる傾向もあります。このAIの定義について
日本のAI研究の第1人者である松尾豊東京大学大学院准教授は
「人工知能の定義が難しいのはこの言葉が複数の側面を持つから
である」とし、その側面として次の3つを上げています。
─────────────────────────────
    1.最先端の情報技術という意味合いでの側面
    2.知能の定義が人によって異なるという側面
    3.AIの定義の範囲が非常に広いという側面
─────────────────────────────
 第1は「最先端の情報技術という意味合いでの側面」です。
 AI(人工知能)は、情報技術のなかでも「最先端の技術」を
指すという側面があります。最先端の技術には何かしら謎めいた
部分があるものですが、そういう謎的なものが残っている間は
人工知能と呼ばれるのです。
 日本でPCが普及した当時、かな漢字変換やOCRまでも人工
知能と呼ばれた時期があります。もっと技術的な面では、プログ
ラムを機械コードに変換するコンパイラも人工知能と呼ばれてい
たのです。それが当たり前になると、そう呼ばれなくなります。
 第2は「知能の定義が人によって異なるという側面」です。
 「人間の知能とは何か」──これは難しい設問です。そのため
人間の知能の解明は、必ずしも進んでいるとはいえない状況があ
ります。そうであるとすると、知能というものを人工的に実現す
る人工知能の定義も曖昧なものにならざるを得ないのです。
 したがって、何が人間の知能を本質的に構成するかについては
研究者によって考え方がそれぞれ異なるのです。何が知能である
か、何が人工知能でないかを定義できないのです。
 第3は「AIの定義の範囲が非常に広いという側面」です。
 人工知能の共通の定義を仮に決めたとしても、どうしてもその
範囲が広いものにならざるを得ないため、その概念は曖昧なもの
にあります。
 スチュワード・ラッセルの有名なAIの教科書によると、人工
知能について次の定義があります。
─────────────────────────────
 人工知能は外界の状況に応じて適切に振る舞いを変えるもの
 である。          ──スチュワード・ラッセル
─────────────────────────────
 しかし、松尾准教授は、極端の例と断りながらも、これでは、
サーモスタットも人工知能になると述べています。サーモスタッ
トも外界の温度に応じて振る舞いを変えるからです。人工知能の
概念の範囲が広いと、こういうことが起こるのです。
 このように何が人工知能であり、何が人工知能でないかを定め
るのは極めて困難なことです。しかし、定義を曖昧にしたままで
は、それが何かを極めることは困難です。そこで、松尾准教授は
人工知能について議論するには、次の2つについて行うのが適切
でないかと述べています。
─────────────────────────────
   1.人工知能は最先端の情報技術を指すものとする
   2.人工知能とは機械学習・深層学習のことである
─────────────────────────────
          ──[次世代テクノロジー論U/008]

≪画像および関連情報≫
 ●人工知能とは何か/東京大学/堀 浩一氏
  ───────────────────────────
   「人工知能とは何か」という人工知能研究者にとっては答
  えるのが容易でない質問に対して、これまでに4人の先生方
  が回答を試みられてきた。筆者が付け加えるべきことはもう
  あまり残っていない。しかし、4人の先生方のおっしゃると
  おりと言って済ませてしまったのでは面白くない。人工知能
  とは何かという問いに対する答がひとつに決まっていないか
  らこそ、人工知能研究は面白い。その面白さを伝えるために
  も、無理にでも、これまでの4人の先生方との違いを強調し
  て回答を作ってみることにしよう。
  ◎中島の答:人工的に作られた、知能をもつ実体。あるいは
   それをつくろうとすることによって知能全体を研究する分
   野である。
  ◎西田の答:「知能をもつメカ」ないしは「心をもつメカ」
   である。
  ◎溝口の答:人工的につくった知的な振舞いをするもの(シ
   ステム)である。
  ◎長尾の答:人間の頭脳活動を極限までシミュレートするシ
   ステムである。
  ◎ 堀の答:人工的に作る新しい知能の世界である。
   「人工知能とは何か」という問いに対して「人工の知能で
  ある」と答えたのでは、何も答えたことにはならないであろ
  うが、5人の回答を見ると、中島、西田、堀の3名の回答の
  中に、「知能」という語がそのまま残っている。知能とは何
  かについて一言では言えないので、そのまま残して、あとで
  議論するという回答の構造になっている。筆者もその構造を
  採用させていただき、少しずつ順番に論じていくことにした
  い。              https://bit.ly/2IinriS
  ───────────────────────────

東京大学大学院/松尾豊准教授.jpg
東京大学大学院/松尾豊准教授
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2018年05月15日

●「プーチン指揮するロシアの電子戦」(EJ第4763号)

 ロシアは、AIの技術を応用するSNS世論操作で次のことを
やってきています。
─────────────────────────────
   ◎2016〜2017年
    ・米大統領選挙への干渉
   ◎2017年3月
    ・アルメニア選挙への干渉
   ◎2017年4〜5月
    ・フランス大統領選挙への干渉
   ◎2017年9月
    ・ドイツ総選挙への干渉
   ◎2017年11月
    ・スペインカタルーニャ独立投票への干渉
                  https://bit.ly/2KcbaNF
─────────────────────────────
 このようなSNSを使ったハイブリッド戦は、2018年の米
英仏によるシリア攻撃の前にも行われています。4月11日のこ
とです。英国のメディア各社が次の報道を行ったのです。
─────────────────────────────
     メイ首相がシリア攻撃参加を検討している
              ──英国メディア各社
─────────────────────────────
 その報道の直後から、一斉にSNSを通じて反対運動が展開さ
れたのです。まず、「#NotInMyNameTheresaMay」というハッシュ
タグが作られ、反対ツイートが集まります。このハッシュタグは
短時間で9万2000回以上が引用され、9260万人の目にふ
れています。「ハッシュタグ」というのは、特定のテーマに絞っ
てツイートを集めるタグのことで、ツイッターユーザーが簡単に
作ることができます。
 反対活動の中心は、英国野党の労働党の支持者と見られますが
その主張の拡散にロシアが深く関与しているのです。その労働党
支持者は「軍事攻撃を支持するか?」のアンケートを行ったので
すが、84%が反対票を投じています。その投票数があまりにも
多いことから、ロシアによるの関与が疑われているのです。
 このケースにおいて、「軍事攻撃に参加すべきである」という
内容のツイートが発信されたとします。また、同趣旨の主張をす
るブログがあったとします。
 そうすると、これらのツイートやブログに対して、ロシアの工
作部隊の持つ複数アカウントから、人手に加えて、無数のボット
(半自動文章作成AI)が、それに対する反論を、リプライ(返
信)したり、ブログに反対のコメントを書き込んだりします。
 AIは爆発的なペースで、各種SNSに煽り発言を連続投稿し
ます。しかも、ボット同士が相互にそれを引用し合うので、あた
かも大勢の英国人が米仏と一緒にシリアを攻撃することを望んで
いないようにみえるのです。
 これらのロシアの工作隊のAIボットについて、兵頭二十八氏
は、次のように述べています。
─────────────────────────────
 まったく根も葉もないデマだと宣伝の効果は弱くなりますので
ロシアの工作班は、何かのささいな事実に接続させるようにして
巧みにルーモア(噂)と想像の枝葉を繁らせる。この作業は、し
かし、どうみてもAIまかせではなく、人間の心の機微が分かっ
ているオペレ一夕ーが演出台本に方向を与えていくようです。い
わばAIと人間のコラボですので「サイボーグ」とも呼ばれてい
ます。ツイッターで連日220ツイート以上を量産し続けるよう
なマネは生身の人間には無理でしょう。が、AIロボットならば
淡々とそれを遂行します。(中略)
 察するに、旧共産圏の対外宣伝工作用AI開発部隊は、国際的
な研究者としての名声などは捨てて、ソ連時代のKGBエリート
のように、志願して裏方へ回って国家を支えようとしているので
しょう。            ──兵頭二十八著/飛鳥新社
     『AI/戦争論/進化する戦場で自衛隊は全滅する』
─────────────────────────────
 英国で発生した元ロシア諜報員の毒殺未遂事件でも、ロシア側
によるトロール作戦が展開されています。英国当局はこれを「ロ
シアの犯行」と断定し、ロシアの諜報部員とみられる外交官を追
放しています。これに対してロシア側も報復として同数の外交官
を追放するという措置をとっています。こういう英国の対応に対
して、「これは英国の陰謀であり、ロシアの犯行ではない」とい
うフェイク情報が大量に拡散されています。
 ツイッターによるツイートの拡散は、フォロワーの数とその質
によって決まります。私は、2010年1月から9年5ヶ月にわ
たってツイッターを続けていますが、フォロワーは全ての人がそ
うではありませんが、基本的には私のツイートの内容に共感して
くれる人の集団が自然にでき上がっています。フォロワーの数が
多ければ多いほど、大勢の人にツイートが届くことになります。
 しかし、フォロワーは自分の力では増やせないのです。ツイー
トの発信、フォロー、リプライ、リツイートなどの、自分でやれ
ることの結果として、生み出されるものです。たとえAIでも今
のところはフォロワーは増やせないといえます。
 ロシアは大勢のフォロワーを持つツイッターのユーザーを多く
確保しています。BBCの調査によると、サラ・アブダラという
謎の女性のツイッターユーザーがいます。12万5000人以上
のフォロワーを持っており、そのフォローワーのなかには、さま
ざまなメディア記者が250人以上も含まれており、突出した影
響力を持っています。ツイートはほとんどがロシアとアサド政権
の擁護であり、おそらくロシアのトロール機関による架空人物と
思われます。ロシアは各国にこのようなツイッターユーザーを擁
しており、トロールの基地として、抜群の拡散力を誇っているの
です。       ──[次世代テクノロジー論U/007]

≪画像および関連情報≫
 ●記事作成ロボットが「フェイク世論」をでっち上げ
  ───────────────────────────
   世界各国で政治権力などに都合の良いネット投稿が自動投
  稿プログラムによって行われている実態が、英オックスフォ
  ード大インターネット研究所(OII)が行った調査で明ら
  かになった。「フェイクニュース」ならぬ「フェイク世論」
  である。ロボットが何食わぬ顔をして社会に溶け込むという
  のはSFでよくある設定だが、すでにネット社会ではそれが
  到来している。日本も無縁ではない。21世紀の新たな情報
  戦が始まっている。
   OIIは過去約2年にわたってロシア、米国、中国、台湾
  ドイツ、ブラジル、ウクライナ、ポーランド、カナダの9カ
  国でのSNS上における世論操作などのやりとりを分析。6
  月に発表した調査結果で、ロボット転じて「ボット」と呼ば
  れる記事作成プログラムが暗躍する実態を白日の下にさらし
  たのである。
   ロシア版では、デジタルプロパガンダはプーチン大統領の
  リーダーシップを国内の政治的挑戦者から守ることと、ロシ
  ア人の関心を西側への敵対心に向かせることに力が注がれて
  いたとしている。ボットに加えて、トロール(荒らし)と呼
  ばれるひたすら書き込みをする人間も使っているようだとい
  う。ボットがどの程度活躍しているかを定量化するため研究
  チームは、2014年2月から15年末までのツイッターへ
  のロシアの政治に関する投稿を調べた。ちょうど、14年2
  月にはロシアによるウクライナ領クリミアへの侵攻、いわゆ
  るクリミア危機があり、世論操作が活発化したとみられる時
  期である。分析対象は130万にのぼるアカウントから投稿
  された1400万件。      https://bit.ly/2Gb7Lw7
  ───────────────────────────

プーチン大統領による「ロシア電子戦」.jpg
プーチン大統領による「ロシア電子戦」
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2018年05月14日

●「ロシアのハイブリット戦とは何か」(EJ第4762号)

 ロシアは、現在、AIを使った「高度な情報戦」に力を入れて
います。経済制裁を受けて、経済不振に苦しむロシアでは、資源
の選択と集中により電子戦を高度化し、新しい時代の戦争に備え
て着々と成果を積み上げています。
 戦争では、軍を動かす作戦と並行し、通信インフラへの攻撃や
ハッキングに加えて、SNSを使うフェイク情報による世論の撹
乱や、プロパガンダによる宣伝戦などを展開します。これをロシ
アでは「ハイブリッド戦」と呼んでいます。
 このハイブリッド戦は、ウクライナへの侵攻を巡ってロシアと
対立している米オバマ前大統領やドイツのメルケル首相などへの
批判や、ウクライナの親欧米政権を貶める内容が中心でしたが、
国内選挙における反政権勢力に対しても使われています。今回の
プーチン大統領の4選でも、ロシア国内において、ハイブリッド
戦による世論操作がフルに行われたのです。
 ロシアのハイブリッド戦のシステムを支えているのは、次の3
つの要素です。
─────────────────────────────
   1.        フコンタクテ(Vkontakte)
   2.            ボット/トロール
   3.インターネット・リサーチ・エイジェンシー
─────────────────────────────
 第1は「フコンタクテ」です。
 「フコンタクテ(VK)」はロシア版のフェイスブックです。
このサイトには、現在、世界中の極右勢力が集まってきており、
ロシアのサイトでありながら、ドイツ国内のアクセスランキング
の8位に食い込むほどの人気です。
 これは、本家のフェイスブックで、ヘイトスピーチなどの差別
的な表現や活動を禁止しているので、そこを逃げ出して、自由に
発言できるフコンタクテで発言するようになっており、アクセス
ランキングを上げているのです。
 第2は「ボット/トロール」です。
 「ボット/トロール」は、フェイクニュースやリークを拡散さ
せる重要な手段です。トロールとは、ツイッターのツイートのよ
うなものです。多くのツイッターのアカウントから、人手によっ
てツイートされますが、そのうちの5%から15%は「ボット」
なのです。しかも、AIがコントロールしており、ツイートに返
信して対話したり、拡散を行います。例えば、次のような対話が
行われています。A、B、Cはボット(自動拡散プログラム)で
あり、ロシア工作部門の同一人物です。
─────────────────────────────
 A:こんな話がある。
 B:それは信じられない。ニセ情報ではないか。
 A:そんなことはない。間違いない情報だ。
 B:お前は騙されているだけだ。
 C:話に割り込んですまないけど、こんな情報があるよ。
   (そういって、Cはニュース記事をリンクする。Cは
   RT[リツィート]やブライトバートのフェイク記事
   だ。それを見てBがこう書き込む)
 B:なーんだ。証拠があるのか。それなら事実だ。
                  https://bit.ly/2IuLgHO
─────────────────────────────
 第3は「インターネット・リサーチ・エイジェンシー」です。
 トロール(ツイート)の発信には相当の人力が必要です。そう
いうトロールが発信されないと、ボットが機能しないからです。
そのため、作業員をリクルーティングし、その作業をさせる組織
があります。それが、「インターネット・リサーチ・エイジェン
シー」です。トロール部隊ともいわれています。
 日本経済新聞社が、サンクトペテルブルグにあるトロール部隊
の本拠を突きとめて記事にしています。2016年12月19日
の日本経済新聞電子版です。
─────────────────────────────
 午前9時前、サンクトペテルブルクの住宅街。まだ薄暗いなか
予備校生のようないでたちの若者らが、続々と4階建てのビルに
入って行く。看板には「ビジネスセンター」とだけ書かれ、窓の
カーテンはすべて閉めきられている。
 ビルに向かう若者に話しかけても誰も一切応えない。1階の受
付に立つ警備員2人に業種を尋ねてみた。答えは「革製品の会社
だ」。「そうは見えない」と返すと、「PR会社」に変わった。
「社長にインタビューがしたい」としつこく求めると、怒声が響
いた。「トップは大統領だ」。
 元従業員3人が証言する。ここは1日24時間365日、ネッ
トト上で情報工作をする「会社」だ。300〜400人の従業員
が業務ごとに部署に分かれ、メディアにコメントを投稿、フェイ
スブックなど交流サイト(SNS)には偽情報を拡散し、架空の
人物になりすましてブログも展開する。政治風刺画を手掛けるデ
ザイン部や映像制作部もあるという。(添付ファイル参照)
               https://s.nikkei.com/2ww3yUc
─────────────────────────────
 トロール部隊で働いたことのある元従業員によると、月給は4
万ルーブル(約7万6000円)で、特定のメディアサイトにコ
メントを書き込んだり、政治的なツイートを発信したりするのが
作業内容です。毎朝ターゲットが与えられ、30〜40のIDを
使い分け、1日200件程度のコメントの書き込みや、政治的な
内容のツイートを発信します。それらのツイートにAIにコント
ロールされているボットが絡んで拡散されるのです。
 会社の運営者の実態は謎に包まれています。給料日には、社員
は経理部の部屋の前に整列させられ、札束の詰まった紙袋から、
直接現金が支給されるそうです。そのさい、税金も年金などの社
会保障費などは一切天引きされることはないといいます。
          ──[次世代テクノロジー論U/006]

≪画像および関連情報≫
 ●プーチン政権による「情報テロ」への警戒を強める欧米各国
  ───────────────────────────
   対外発信を強化するロシア国営メディアのプロパガンダ/
  宣伝活動に加え、ネット上の情報工作により各国の市民への
  影響力の拡大を図っているとみられている。
   米国の選挙・・・7割近くは電子投票でありますが、安倍
  首相ではありませんが、開票装置を操作して当選させようと
  していたクリントン氏が、ロシアのハッキングにより、クリ
  ントン氏を当選させる為の操作をでき無くしてしまったので
  す。この事実の公開って・・・難しいですよね。ロシアにサ
  イバー攻撃された一派がが国家ぐるみの違法・投票結果操作
  を行っているわけですから・・・ロシアに文句を言えた筋合
  いではないのです。
   スリがすった財布をすられて・・・警察に訴えるようなも
  のですから・・・。ロシアは関与を否認するが、ネット世論
  を操作する「トロール部隊」の拠点が少なくともサンクトペ
  テルブルクに1つあることが判明しているのです。
   ロシアがこの米国の金融ユダヤグループの瓦解をしり、攻
  撃を開始しているとも言えますが、日本は、この金融ユダヤ
  に牛耳られている国であり、来年は相当の混乱の渦に巻き込
  まれることとなるのは確実な情勢なのです。
                  https://bit.ly/2KcYeXL
  ───────────────────────────

サンクトペテルブルグのトロール部隊の拠点.jpg
サンクトペテルブルグのトロール部隊の拠点
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2018年05月11日

●「AIトロールによる世論分断工作」(EJ第4761号)

 2018年2月のことです。第一線のAIの専門家26人が、
英国オックスフォード大学でAIの危険度についてワークショッ
プを開き、その結果を元にして次の報告書を発表しています。そ
の報告書は、指定のURLから、英文ですが、全文をダウンロー
ドして、読むことができます。
─────────────────────────────
         報告書「悪意ある人工知能の利用」
   The Malicious Use of Artificial Intelligence
          https://maliciousaireport.com/
─────────────────────────────
 この報告書には、非営利研究機関「オープンAI」、デジタル
権利団体「電子フロンティア財団」、米国立安全保障シンクタン
ク「新アメリカ安全保障センター」が参加しています。この報告
書の提言の要旨は次の4つです。
─────────────────────────────
 1.政策決定と技術研究の担当者は、連携して悪意あるAI
   使用について理解し、備えなければならない。
 2.AIは諸刃の剣の技術で、研究者や技術者は悪用される
   可能性に十分に留意し、対応する必要がある。
 3.善悪両方に使える技術を長く扱ってきた分野、たとえば
   コンピュータセキュリティを学ぶべきである。
 4.AIの悪意ある使用リスクを軽減し、防止しようと取り
   組む利害関係者の範囲を積極的に拡大させる。
                  https://bbc.in/2EXkFkK
─────────────────────────────
 ロシアは、現在、ウクライナの問題で経済制裁を受けているこ
ともあって、経済的に困窮しています。ロシアのGDPの順位は
既に韓国に抜かれて第12位ですが、人口においてその6分の1
しかないオーストラリアにも、あと数年で抜かれるといわれてい
ます。それほどロシアは経済的には苦しい状態です。
 しかし、ロシアは依然として軍事強国です。しかし、これまで
の軍事スタイルを大きく変更し、AIを核心とするハイテク戦力
分野での存在感を世界的に高めているのです。
 つまり、北米の主要都市をいつでも焦土化できるのに十分な戦
略核軍備に資金を優先的に手当てしておくものの、これまでのよ
うに、最新鋭の戦闘機や水上艦艇で、米軍やNATO軍と戦うこ
とは密かに諦めています。その代り、その余力をデジタルハイテ
ク戦力分野に注力しているのです。
 SNSの世界に「ボット」といわれるものがあります。ボット
とは「ロボット」の短縮形ですが、その正体はネットの世界で動
作するプログラムです。ツイッターでツイートを発信すると、そ
れに対して自動的に返信をしたり、リツイートしたりして、ある
特定情報を拡散する働きを行うのです。
 しかし、最近はポットにAIが搭載され、高度で複雑な動きを
するようになっています。ロシアのAIボットについて、軍事評
論家の兵頭二十八氏は、自著で次のように解説しています。
─────────────────────────────
 ロシアの地下工作部隊は、米国内に無数の「ボット・アカウン
ト」(半自動文章作成AIが常駐している、じっさいには無人格
のプログ・アカウント)を開設していて、たまたま米国世論を二
分するような事件(たとえば白人警官による黒人容疑者の射殺や
それに反発した黒人たちの抗議騒動)が起これば、待ってました
と黒幕の指令一下、AIが爆発的なペースで各種SNSに煽り発
言を連投するようです。
 しかもポットが、相互にそれを引用・言及し合うので、あたか
も非常にたくさんの米国人が、それぞれに不寛容な立場を固守し
ていがみあっているかのように、ネット上の空気が染め上げられ
てしまう。リアルには存在していない「多数意見」が、いきなり
ネット空間に出現し、大勢の人がそれを読んで心理的に影響され
ることになるのです。      ──兵頭二十八著/飛鳥新社
     『AI/戦争論/進化する戦場で自衛隊は全滅する』
─────────────────────────────
 ロシアでは、ボットのことを「トロール」といい、世界各国、
とくに敵対している米国に対して、間断なくネット攻撃を仕掛け
ています。ターゲットとしては、米国の世論を分断させるテーマ
をターゲットにしているようです。
 たとえば、2018年2月14日に起きたフロリダ州バークラ
ンドにあるマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校で起きた
銃撃事件の後、ツイッター上には「♯guncontrolnow (今すぐ銃
規制を)」というハッシュタグが作られ、そこには瞬く間に多数
のツイートで溢れ返ったのです。その数は尋常なものではなく、
銃規制に反対する米国民がこんなにもいるのかと感じさせるに十
分です。しかし、これは米国世論の分断を狙ったロシアのトロー
ル工作だったのです。
 4月13日の米英仏共同で行ったシリアの化学兵器関連施設へ
の空爆についてもマティス国防長官は次のように発言し、その次
の日に米国防総省は記者会見で次のようにコメントしています。
─────────────────────────────
◎われわれは、数日中にアサド政権支持者による虚偽情報キャン
 ペーンが急増すると予測している。  ──マティス国防長官
◎この24時間の間に、ロシアのトロールが、2000%増加し
 ている。                 ──米国防総省
─────────────────────────────
 このようなことが頻発しているところから考えても、2016
年の米大統領選でも、ロシアは米国に執拗なサイバー攻撃を仕掛
けていると考えられ、大統領選の結果に影響を与えていることは
間違いないと思われます。
 これはロシアによる現代における新しい戦争のスタイルである
といえます。そして、それにはAIがサイバー攻撃に密接に絡ん
でいるのです。   ──[次世代テクノロジー論U/005]

≪画像および関連情報≫
 ●ロシアはは米大統領選にどう介入したのか
  ───────────────────────────
   フェイクニュース問題とは何だったのか――その核心部分
  の実相が少しずつ明らかになってきた。米大統領選へのロシ
  アの介入疑惑を調査中の特別検察官、ロバート・ムラー氏は
  2018年2月16日、その工作部隊とされてきた「インタ
  ーネット・リサーチ・エージェンシー(IRA)」を含む3
  社と、関連する13人のロシア人を起訴した。
   ソーシャルメディアを舞台としたフェイクニュース拡散の
  拠点とみられ、「トロール(荒らし)工場」と呼ばれてきた
  IRAと、その出資者である「プーチンの料理人」エフゲニ
  ー・プリゴジン氏が、米大統領選に何を仕掛けたのか――。
   ムラー氏の起訴状は、そんなフェイクニュース問題をめぐ
  る疑問の数々を解き明かす。その内容は、まるで「フェイク
  ニュースの教科書」のようだ。
   またロシアや米国のメディアも、改めて「トロール工場」
  の実態に迫っている。特にNBCはIRAによるフェイクア
  カウントによるツイートを独自にデータベース化。元データ
  を一般に公開しており、誰でもその足跡をたどることができ
  る。様々なアプローチの中から、フェイクニュースのメカニ
  ズムが、徐々に浮き彫りになってくる。今回の起訴の対象と
  なったのは、法人では、「インターネット・リサーチ・エー
  ジェンシー(IRA)」のほか「コンコルド・マネージメン
  ト・アンド・コンサルティング」、「コンコルド・ケータリ
  ング」の2社。         https://bit.ly/2wmAdf4
  ───────────────────────────

ロシアのトロールによる世論分断.jpg
ロシアのトロールによる世論分断
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2018年05月10日

●「BIとAIは大きな差が存在する」(EJ第4760号)

 今回のテーマのEJを書くに当たり、基礎的なリードの参考に
なる書籍をはじめに紹介しておきます。この本を読んで、今回の
テーマを決定めたからです。著者の雑賀美明氏は、AR×VRシ
リアルアントレプレナー/ARシステム株式会社代表取締役会長
兼CEOです。
─────────────────────────────
 「AI×VR/人工知能×仮想現実の衝撃/第4次産業革命
 からシンギュラリティまで」──雑賀美明著/マルジュ社刊
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 伊藤穣一氏という人がいます。日本のベンチャーキャピタリス
トで、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)教授、日本人初
のMITメディアラボの第4代所長です。MITメディアラボは
大学の建築・計画スクール内に設置された研究所です。70人の
運営管理スタッフと支援スタッフがいます。
 この伊藤穣一氏は、かねてから、世の中をインターネット以前
の世界とインターネット以後の世界に分けてものごとを考えるこ
とで知られています。
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 インターネット前の世界/ビフォー・インターネット BI
 インターネット後の世界/アフター・インターネット AI
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 伊藤穣一氏によると、「BI」の世界と「AI」の世界の差は
原始社会と文明社会の違いぐらいあるが、それに人工知能が加わ
ると、それ以上の社会変革が起きるといいます。それは2020
年頃にやってくるというのです。
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 「BI」において、世の中は比較的わかりやすかった。ものを
中心に考えることができたし、経済も比較的ゆっくりと動いてい
ました。しかし「AI」になると、途端にルールが複雑になりま
した。インターネットの登場によって大幅に通信コストが下がっ
たからです。通信のコストが下がると、流通やコミュニケーショ
ンのコストも下がります。それに、ムーアの法則(18ヶ月ごと
にコンピューターの速度が倍になり、コストは半分になる)が加
わって、イノヴェイションのコスト、つまりは“何かをやってみ
る”コストが大幅に下がりました。
 それによって、例えば、ウィキペディアや、リナックスといっ
たオープンソースやフリーソフトウェアが増え、グーグルのよう
な会社を、初期コストをかけずに立ち上げられるようになりまし
た。つまり従来であればお金と権力をもたなければ成し遂げられ
なかったことを、誰もができる時代になったのです。それが、複
雑性を生み出す大きな要因となりました。
                  https://bit.ly/2FIpI4P
─────────────────────────────
 2020年といえば東京オリンピックの年です。オリンピック
は社会を変革させます。1964年の東京オリンピックでは新幹
線が開通し、首都高が完成、ホテルニューオータニ、東京プリン
スホテルなどの近代的大型ホテルが開業し、東京は大変貌を遂げ
ています。
 それでは、2020年には何が変わるのでしょうか。
 現在では、AI(人工知能)という文字が氾濫していますが、
2020年頃には、言葉としてのAIは、ほとんど消滅してしま
うでしょう。あらゆるものにAIが使われることが当たり前にな
るからです。
 現在、既に変化は起きています。その変化は第4次産業革命と
いわれています。VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、スマー
トロボット、フィンテック、自動運転車、ドローン、オムニチャ
ネル、デジタルトランスフォーメーション、5G(第5世代移動
通信方式)、シェアリングエコノミー(共有経済)などの現在進
化中のテクノロジーのすべてにAI(人工知能)は入り込んでお
り、大きなイノベーションを起こしつつあります。
 AIをどう定義するかにもよるのですが、既にAIは、ごく身
近なモノに搭載されています。まず、誰でも持っているスマホに
AIは標準装備されています。アップルの「シリ」、アンドロイ
ドの「グーグル・アシスタント」などがそうです。ユーザーのな
かには、AIとは知らないで使っている人もいます。
 ネットの検索エンジンにもAIが搭載されています。そのこと
を意識してキーワードを入力すると、求めているサイトに正確に
誘導してくれます。検索すればするほどAIは、これまでのキー
ワードと、新しく入力されるキーワードを分析し、ユーザーが求
めるサイトを探し出してくれるのです。
 最新の家電製品にもAIは搭載されるようになっています。お
掃除ロボットの「ルンバ」や、炊飯器、洗濯機、冷蔵庫などにも
AIは搭載されつつあります。
 それから「AIスピーカー」があります。これはスマホに搭載
されているものの独立版であるといえます。つまり、対話型の音
声操作に対応したAIアシスタント機能を持つスピーカーのこと
です。内蔵されているマイクで音声を認識し、情報の検索や連携
家電の操作などを行います。
 それぞれ機能の差はあるものの、このようにAIは身近なあら
ゆるものに搭載されようとしています。これは、あらゆるものが
インターネットにつながる「モノインターネット」(IoT)に
密接に関係しているからです。
 しかも、それらのAIの機能は、年数が経つにつれて、どんど
ん高機能化するのです。なぜなら、現代のAIは、マシンが自動
的に学習し、自らその機能を高める「ディープラーニング」機能
を持っているからです。使うにつれて少しずつ利口になる特性を
持っているのです。
 しかし、AIが便利になればなるほど、悪用される恐れもある
のです。最もやっかいなのは、それが軍事に使われることです。
          ──[次世代テクノロジー論U/004]

≪画像および関連情報≫
 ●「未来都市」2つのヴィジョン/伊藤穣一教授
  ───────────────────────────
   MITメディアラボの伊藤穰一は、「合成生物学」に注目
  し、これからの社会に、インターネットに匹敵するほどの大
  きなインパクトを生み出すだろうと話す。一方、タイ王国文
  化省のアピナン・ポーサヤーナンは、市民デモや洪水災害が
  発生する“カオス”な都市で、市民によるクリエイティヴィ
  ティが発展するプロセスに着目。10月に東京・虎ノ門ヒル
  ズで開催された「イノベーティブ・シティ・フォーラム/2
  014」の基調講演に登場したふたりは、まったく異なる視
  点から「都市の未来」を語る。(雑誌『WIRED』VOL
  ・14別冊より転載)
   インターネットがなかった時代(BI)からインターネッ
  ト以後の時代(AI)への変化の過程で、さまざまなことが
  複雑性を帯びていったと伊藤穰一は語る。
  「これまでの都市は、建築家が中心となって考えられてきま
  した。建築家というのは、どうしても建物を中心にものを考
  えてしまいます。しかしこれからの都市をつくっていくうえ
  では、デザインやエンジニアリングの観点だけではなく、例
  えば合成生物学の知見を用いることで、すでに備わってしま
  っている複雑性を理解し、それを都市や建築に組み込んでい
  くことが必要です。そしてそれを行うためには、ひとりの頭
  のなかにデザイナー、アーティスト、エンジニア、サイエン
  ティストという4つの役割が宿っていることが大切です。
                  https://bit.ly/2FIpI4P
  ───────────────────────────

伊藤穣一マサチューセッツ工科大学教授.jpg
伊藤穣一マサチューセッツ工科大学教授
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2018年05月09日

●「日本はAIで周回遅れをしている」(EJ第4759号)

 現代は変化の時代です。それも、あらゆるものに半端でない大
変化が起きる時代です。常識が変化し、常識でなくなる時代とも
いえます。「変化」といえば、英国の自然科学者、チャールズ・
ダーウィンは、次の有名な言葉を残しています。
─────────────────────────────
 最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びる
 のでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者
 だけである。        ──チャールズ・ダーウィン
─────────────────────────────
 唯一生き残ることが出来るのは変化できる者だけである──残
念ながら、現在の日本は、その変化に十分に対応できているとは
いえないのです。とくに先端技術のAI(人工知能)分野の競争
力は、米国や中国と比べると大きく見劣りします。
 権威ある米国人工知能学会への2017年の論文投稿数は、中
国が全体のシェアの31%、米国も30%を占めたのに対し、日
本のシェアはたったの4%であり、投資額についても大きく水を
あけられているのが現状です。
 2018年5月3日付の日本経済新聞は一面のトップ記事に次
のタイトルをつけています。
─────────────────────────────
   日本の研究開発見劣り/企業投資アジア・米急伸
     ── AI分野など競争力に懸念 ──
─────────────────────────────
 このような記事が出ると、日本はいかにも研究開発費を投入し
ていないと思われますが、総額でみると、日本は世界第3位なの
です。2015年の数字では日本全体の研究開発費は1800億
ドルで、米国の5000億ドル、中国の4100億ドルに次いで
世界第3位を占めています。しかも、GDP比では、3・6%で
米国の2・6%、中国の2・1%を抑えてトップであり、日本は
依然として「研究開発大国」の地位を堅持しています。
 それなら、何が問題かというと、研究開発の土台である基礎研
究に十分な資金が配分されていないことです。それと、選択と集
中が十分ではないことです。重要なものには他を削っても大量の
資金を投入する努力が足りないのです。
 2017年度の世界企業研究開発費の投入額ベスト10は次の
通りですが、10年前の2007年と比較すると、大きく様変わ
りしています。
─────────────────────────────
  1位:アマゾンドットコム(米)   226.2億ドル
  2位:アルファベット(米)     166.2億ドル
  3位:サムスン電子(韓)      131.8億ドル
  4位:インテル(米)        131.4億ドル
  5位:フォルクスワーゲン(独)   131.0億ドル
  6位:マイクロソフト(米)     122.9億ドル
  7位:アップル(米)        115.8億ドル
  8位:ロシュ(スイス)       105.5億ドル
  9位:ジョンソン&ジョンソン(米) 103.8億ドル
 10位:トヨタ(日)          95.8億ドル
            2018年5月3日付、日本経済新聞
─────────────────────────────
 ちなみに10年前の2007年のトップはGMです。3位にト
ヨタ、5位にフォードというように自動車が上位を占め、それに
次いでジョンソン&ジョンソンが2位、ファイザーが4位、ロシ
ュが7位と、医薬品が上位を独占していたのです。これに対して
ICT分野はマイクロソフトが6位に入っただけの劣勢です。
 しかし、2017年になると、1位から4位はICTが独占し
ています。自動車は5位にフォルクスワーゲン、10位にトヨタ
が辛うじて入るなど自動車が劣勢になり、医薬品も8位以下の下
位に押しやられています。
 トッブのアマゾンドットコムは、226億ドルと、10年前の
28倍であり、アマゾンのAIの開発要員は5000人の規模に
達しています。ちなみに、アルファベットというのは、グーグル
及びグループ企業の持ち株会社です。
 アジアでは、世界3位の韓国のサムソン電子と、ベスト10で
はないものの、中国の電子商取引のアリババ集団の伸びが目立っ
ています。アリババは、米国、中国、ロシアなど7ヶ所に配置し
た研究施設で、AIの研究開発を実施しています。今後3年間に
150億ドルの資金を投入すると発表しています。これに対して
同じアジアの日本は、世界100位までに入る日本企業は17社
10年前の24社から大きく減少しています。
 それにしても驚くべきは米国企業の強さです。10社中6社が
ベスト10に入っています。米国では約8年で企業が育つといわ
れています。とにかくスピードが早いのです。
 グーグルは、1996年に、同社の検索エンジンの原型になる
「バックラブ」が開発されてから8年後の2004年にナスダッ
クに上場しています。その2004年に創業したフェイスブック
は、8年後の2012年にやはりナスダックに上場しています。
 まだあります。2008年にはエアビーアンドビー、2009
年にはウ―バーが創業していますが、8年後の2017年〜18
年には、いずれも超大企業に成長しています。
 このペースでいくと、2017年から2018年に設立された
AIやVRのICT企業が8年後の2025年頃に大企業になる
可能性があります。これに対して日本は、トヨタ、パナソニック
ソニーと昔の名前ばかり。トヨタこそベスト10に入ったものの
パナソニックは10年前の15位から36位、ソニーは18位か
ら35位と半導体などの多額の経費のかかる事業から撤退してい
るし、東芝にいたっては半導体メモリー事業を売却しようとして
います。安倍首相はAIに力を入れるといいますが、日本政府の
AI投資額は20%以下、民間では10%以下です。
          ──[次世代テクノロジー論U/003]

≪画像および関連情報≫
 ●日本企業がAIで周回遅れになった理由/田原総一朗氏
  ───────────────────────────
   2017年6月2日の日本経済新聞朝刊1面に「世界の株
  時価総額最高」という記事が載った。投資マネーが株式市場
  に流れ込み、5月末の世界株の時価総額が76兆ドルとなり
  2年ぶりに最高を更新したという。
   牽引役はアップル、グーグルの親会社であるアルファベッ
  ト、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コムといった米国
  のIT企業だ。日経新聞もこの記事で指摘しているように、
  時価総額の上位には日本企業が全く見当たらない。1〜8位
  が米国企業で占められ、9位にテンセント、10位にアリバ
  バと中国企業がランクインした。
   日本勢は全く振るわない。10年前(2007年5月末)
  は、10位にトヨタ自動車が入っていたが、今回は38位ま
  で後退した。時価総額だけではない。今、最も投資を呼び込
  んでいるAI(人工知能)開発においても、日本勢は完全に
  出遅れてしまったと言っていい。
   なぜ、こんなことになったのか。
   今、僕はAIの取材を進めている。その中で、AI研究の
  第一人者である東京大学大学院工学系研究科の松尾豊特任准
  教授に話を聞く機会があり、「なぜ、日本はAI時代に出遅
  れてしまったのか」と尋ねた。彼の答えは以下のようなもの
  だった。            https://nkbp.jp/2JTJ35R
  ───────────────────────────

チャールズ・ダーウィン.jpg
チャールズ・ダーウィン
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2018年05月08日

●「なぜ国会にPCが持ち込めないか」(EJ第4758号)

 はっきりしていることがあります。それは日本が「ICT後進
国」であることです。それは、国会において、現代社会では信じ
られないような古い慣習や規則が根強く残っており、それらを変
更しようとする動きがないことから、そういえると思います。
 自民党の小泉進次郎議員によると、国会会議場や国会内の諸会
議では、PCやスマホを持ち込めないそうです。確かにそういわ
れてみると、国会の会議場や各種委員会で、PCを広げている人
やスマホを見ている人はいないように感じます。
 調べてみると、現在の国会では、衆議院規則215条、参議院
規則211条というものがあり、PCやスマホなどの持ち込みが
事実上禁じられています。
─────────────────────────────
 議事中は参考のためにするものを除いては新聞紙及び書籍等を
閲読してはならない。──衆院規則216条/参院規則211条
─────────────────────────────
 この規則の意味は「議事に関係のある書類を除き、議事に関係
のない新聞、書籍等は閲読してはならない」ということになりま
す。要するに、会議中に関係のない新聞や書籍などを読んではな
らないといっているのです。その趣旨はよく理解できます。「会
議」に参加しているときは、それに集中せよという当たり前の常
識を述べているからです。
 問題は、ここでいう「新聞紙、書籍等」の概念のなかに、電子
文書が考慮されておらず、PCやスマホも見てはいけないことに
なっている点です。つまり、会議中に議事と関係のないスマホを
見たり、関係のないPCの画面を見ることは、やるべきことでは
ありませんが、これを禁ずることは、まるで学校の校則に等しく
国会議員に強いることではないと思います。
 しかし、議事に関係のあるウェブサイトを参照したり、議事を
PCやスマホでメモしたり、送られてきたメールを見るぐらいの
ことはしてもよいのではないかと思います。しかし、そういうこ
とは一切禁止されているのです。
 安倍政権の2014年4月25日の参院外交防衛委員会でのこ
とです。小松一郎内閣法制局長官(故人)が、スマホの画面を見
ながら答弁し、問題になったことがあります。おそらく答弁の要
点が、メモとして、スマホに電子文書として書き込まれていたも
のと思われます。
 ところがこれが大問題になったのです。民主党の斎藤嘉隆氏は
小松一郎長官の行為について、参院予算委員会で安倍首相に質問
したところ、安倍首相は次のように答弁しています。
─────────────────────────────
 携帯を持ち込んで、委員会と関係のない会話をしたり、メール
を見たりということは明らかに委員会の権威を汚すことであり、
やってはいけないということになっています。それに近い行為を
したということで注意を受けたことは、小松長官は反省しないと
いけない。
 しかし、小松長官は国会の答弁に関わることについて、一緒に
いた人の携帯のメールを紹介したという次第ですので、今後たと
えば、iPadなどを活用した方が、議論において活性化される
ことがあるかもしれないと申し上げた次第であります。
                       ──安倍首相
─────────────────────────────
 この安倍首相の答弁でわかることがあります。条文を読む限り
においては、議事に関係のある答弁をスマホに入れていただけの
ことであり、問題はないはずです。しかし、電子文書を文書とし
て認めていないため、これが問題になるのです。
 これに関して、東洋大学の山田肇教授は「ITを受け入れない
愚かな国会」というハフィントンポストのブログ(巻末の「画像
および関連情報」参照)で、次のように批判しています。
─────────────────────────────
 民間でIT機器を持ち込んで会議を進めるのは、それを利用し
て最新の情報を入手しながら議論しないと、間違った判断をする
恐れがあるからだ。事情は国会も同じはずだ。小松長官に謝罪さ
せるよりも、古色蒼然としたルールを改正し、審議にITを利用
するように、国会は動くべきである。 https://bit.ly/2HQzQue
                  ──東洋大学山田肇教授
─────────────────────────────
 今や民間企業では、会議でPCは不可欠のものになっており、
山田教授もいうように、必要に応じて関連ウェブサイトを参照し
たりすることは、当たり前になっています。G7やG20、国連
の会議などでは、ごく当たり前のようにPCが使われています。
 このような時代に合わない国会規則がいつ決まったのか調べて
みると、1995年〜1996年の両院の議院運営委員会におい
て定められています。衆議院の議場では、携帯電話やポケベルが
使用禁止。参議院ではそれに加えて、PC、ワープロ、ラジオ、
録音機などに類する機器の使用が禁止されています。ここでワー
プロというのは、ワープロ専用機のことです。
 1995年といえば、PCはほとんど普及しておらず、ネット
も使われていなかった時代です。もちろん、携帯電話も、まだな
かったのです。そんな時代にできた両院の国会規則を、なぜまだ
後生大事に守っているのでしょうか。
 安倍首相も「今後たとえばiPadなどを活用した方が、議論
において活性化されることがあるかもしれない」とまで発言して
いるのに、その後まったく動いていません。安倍一強といわれる
安倍政権というのは、そんなことすらできないのでしょうか。
 小泉進次郎議員もポリテックを主張する前に、この古色蒼然た
る国会規則を撤廃することの方が先ではないでしょうか。
 確かに、国会には古色蒼然たる議員がまだたくさんいます。も
ちろんPCは使えませんし、携帯電話すら持っていない人もいま
す。そういうエライ議員たちが反対するので、ICTが使えない
でいるのです。   ──[次世代テクノロジー論U/002]

≪画像および関連情報≫
 ●ITを受け入れない愚かな国会
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   2014年3月25日の参院外交防衛委員会で、小松内閣
  法制局長官が携帯電話を見ながら答弁し、質疑が一時中断し
  たそうだ。時事通信によれば、法制次長に関する質問があっ
  たので、「今、質疑の中継を見ていた次長から、連絡があっ
  た」と長官が携帯画面を読み上げたという。この行為は、携
  帯電話を議場に持ち込んではならないという国会のルールに
  反し、長官は「大変重大な誤りだった」と陳謝させられたそ
  うだ。
   「馬鹿か」というのが僕の感想である。委員会の場にいな
  かった次長に関する質問に、短時間で答えようと努力した長
  官が、なぜ謝罪させられるのだろうか。参議院のネット中継
  アーカイブでは、該当部分は音声が消されており、確認する
  ことができなかった。これも理解できない。くだらないこと
  でもめていたと、国民に知らせたくなかったからなのか。
   民間では、パソコンや携帯を会議に持ち込むのは当たり前
  だ。国会ではパネルを掲げて質問するのが通例のようだが、
  なぜ、プロジェクタ−を用いてプレゼンテーションしないの
  か。動画も音声も再生できるから、より説得力を持って質疑
  ができるというのに。この件について国会議員に直接質問し
  たところ、1枚2万円でパネルの作成を請け負う業者がおり
  切り捨てるのがむずかしいからだと返事があったが、とても
  信じられない。国会では、こんな当たり前のIT利用もでき
  ないというのは、どうしてだろう。https://bit.ly/2rh6uim
  ───────────────────────────

東洋大学/山田肇教授.jpg
東洋大学/山田肇教授

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2018年05月07日

●「AI(人工知能)で政治を変える」(EJ第4757号)

 2017年9月25日から年末の12月28日まで66回にわ
たって「次世代テクノロジー論」というテーマについて書いてい
ます。私が教育関連の顧問をしているIT企業に10月から内定
者が入ってくるので、最近のICT技術トレンドについて参考に
してもらおうと思って、このテーマに選んだのです。
 EJはこれまで多種多様のテーマを取り上げてきましたが、技
術的なもの、難しそうなものに関しては当然のことながら、あま
り評判は良くないのです。ところが、そういう技術的テーマにも
かかわらず、意外にも「次世代テクノロジー論」は、かなり好評
であり、継続を希望する方もおられるので、今日から続編として
次のテーマで書くことにします。
─────────────────────────────
  AI(人工知能)の衝撃!何を変えるか、何が変わるか
   ── AIが社会に与える影響について考える ──
─────────────────────────────
 4月29日のことです。千葉市で行われた「ニコニコ超会議」
の討論会で、自民党の小泉進次郎議員が、政治にもAIを持ち込
むべきであるとし、自らが命名したテクノロジー(科学技術)と
ポリティクス(政治)を融合した「ポリテック」を自民党内で積
極的に推進していくと語ったのです。
─────────────────────────────
  政治(Politics)+テクノロジ(Technology)=ポリテック
─────────────────────────────
 そのとき「ニコニコ超会議」では、小泉議員と気鋭のメディア
アーティスト落合陽一氏、夏野剛慶大特別招聘教授の3者間で討
論が行われたのですが、「ポリテック」という言葉はその討論の
なかで飛び出したのです。
 小泉議員は、農地に水路を引く工事を取り上げ、農地の形状な
どをAIで解析し、水路の引き方を決める米国の事例を紹介し、
地元などの要望で調整する日本に比べると、コストが100分の
1くらいで済むといっています。ポリテックによって、納税者の
負担は軽くなり、それは、財政の健全化にも貢献すると話してい
ます。しかし、「ポリテック」の反応は、自民党内では、あまり
芳しいものとはいえないのです。
 ところで、小泉進次郎議員とAIは、「意外な結びつき」のよ
うに思うかもしれませんが、そんなことはありません。小泉議員
は、政治家としては、おそらくAI研究の第一人者でしょう。小
泉議員は2013年9月30日に、内閣府大臣政務官兼復興大臣
政務官に就任していますが、そのとき「近未来技術検証特区」で
ドローンや自動運転、AIやロボットなどの社会への導入につい
て研究していたのです。
 AI関連の雑誌やムックを見ると、AIに関する座談会などで
よく小泉議員が発言しているのを発見することがあります。20
15年10月発行の日経BPムックにおいて、小泉議員がAI研
究の第一人者である東京大学大学院准教授の松尾豊氏と対談して
います。そこで、小泉氏は次のように述べています。ポリテック
の構想が既にここで語られています。
─────────────────────────────
 最近AI関連で関心を持った記事がある。日立製作所が論理的
な対話を可能とする人工知能の基礎技術を開発したというもの。
これは、難しい判断を迫られた質問をすると「賛成」「反対」の
立場から理由付きの回答を語ってくれる理論武装を助けるソフト
ウェアを開発しているというものだ。
 政治家のあり方をも変えると思った。議論の賛成と反対の論点
を、過去の大量のニュース記事や資料などを全部統合してすぐに
比較材料として出してくれる。政治家を支えていた秘書や官僚な
ど様々な情報を共有してくれる側のあり方が激変する可能性があ
る。例えば、ペッパーが論点を提示して見せてくれれば、感情的
な対立にならない熟議ができるのではないかと思う。AIが人と
人との理解を深めてくれる役割を果たしてくれるかもしれない。
   ──「この1冊でまるごとわかる!/人工知能ビジネス」
     日経BPムック/日経BP社/2015年10月発行
─────────────────────────────
 実際にAIの活用に関する実証実験は既に始まっています。経
産省では、2016年から2017年にかけて、AIで国会答弁
の下書きを作る実証実験を行っています。過去5年分の国会議事
録をAIに学習させ、参考になる過去の答弁を分析し、整理しま
す。国会答弁は法案作成などに比べて締め切りが短く、職員の負
担も集中しやすいので、経産省は実証実験の結果を踏まえて、将
来の実用化を模索しています。
 しかし、これまでのところ、実証実験はあまりうまくいってい
ないそうです。議員からは、事前に質問の通知があるので、その
質問に対して過去の類似質問を探し出し、類似質問への答弁を基
にした下書きを表示するという仕組みです。この実験は1800
万円の予算でコンサルタント会社に委託して実施したものです。
 実験でわかったことは、AIは元の質問の意図を正確に判断し
て読み取ることができず、見当外れの質問を選ぶケースが多発し
たことです。
 それでは、この実証実験は失敗だったかというと、そうとはい
えないと思います。現在のAIの高度なディープラーニング機能
による学習が進むと、やがては正確な答弁案を作ることは十分可
能であるといえます。そうなると、小泉議員がいう通り、答弁書
の案を作成する側の官僚の仕事は激変することになります。
 小泉議員のように、日本の政治家がAIなどの先端技術に関心
を持つことは大変意義のあることですが、それと合わせて、国会
の運営規則などの古い慣習などについて、改めるべきことが、た
くさんあるのです。その慣習を打破することは、意外に簡単なこ
とではなく、近代化の障壁として立ちはだかっているといっても
過言ではありません。これはついては、明日のEJで検討するこ
とにします。    ──[次世代テクノロジー論U/001]

≪画像および関連情報≫
 ●AIがもたらす政治変革への期待/松本徹三氏
  ───────────────────────────
   AIの本来の意味は「人間の頭脳の完全な代替」ですが、
  それが、一定の時間内に行う仕事量は半端ではなく、人間が
  寄ってたかってやる仕事量の数千倍、数万倍にも及ぶものを
  難なくいこなしてしまうでしょう。また、人間の頭脳の完全
  な代替ができるのなら、当然天才の仕事も代替できるという
  ことですから、数万人のアインシュタインを昼も夜も休みな
  く働かせるようなことも、可能になることを意味します。
   こうなると、進化したAIは次第に自らの弱点を見抜き、
  これを克服した「次世代のAI」を自ら創り出すことになり
  ます。コンピューターが自ら行う技術革新は、人間がやるも
  のと比べて、スピードが全く違います。一旦方向性が定まれ
  ば、思い悩むこともなく一途にやりますし、横の繋がりにも
  一切遺漏がないので、発展は幾何学級数的に拡大し、あれよ
  あれよと言う間に、全く想像もしなかった様な世界が実現す
  る可能性は大いにあるのです。
   この様なことが実現する「転換点」を英語では「シンギュ
  ラリティ(技術的特異点)」と呼んでおり、欧米のコンピュ
  ーター技術者の間では現在ごく普通の話題になっています。
  日本は例によって例の如しで、生真面目すぎる日本人の性格
  が災いしてか、「現状の改善」に焦点が絞られすぎ、「とん
  でもない様な可能性」に言及することを忌避する傾向が見ら
  れます。こうしているうちに、米国や中国、ロシアやイスラ
  エルなどに大きな差をつけられてしまうのではないかと心配
  です。             https://bit.ly/2HHf4Bm
  ───────────────────────────

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小泉進次郎議員と松尾豊東大大学院准教授
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2018年05月02日

●「アベフレンズたちによる日本政治」(EJ第4756号)

 2014年5月24日のことです。加計学園が運営する千葉商
科大学の開学10周年の記念式典が開かれ、出席した安倍首相は
祝辞を述べています。現役の首相が私立大学の式典で祝辞を述べ
るのに違和感を覚える人も多いと思います。
 それだけではないのです。このときの来賓が凄い。岸田文雄外
相(当時)、遠藤利明元五輪相、林幹雄元経産大臣、安倍家ゴッ
ドマザーの安倍洋子氏、三井住友銀行副頭取(当時)の高橋精一
郎氏などが参列しており、下村博文文科相(当時)から祝辞が寄
せられるという豪華さです。「安倍フレンズ」をまとめると、次
のようになります。
─────────────────────────────
◎安倍「フレンズな」加計学園の面々
 安倍 晋三:総理大臣、加計学園元監事
 安倍 昭恵:総理大臣夫人、加計学園御影インターナショナル
       こども園名誉園長
 下村 博文:加計学園から200万円の政治献金を受けながら
       政治資金収支報告書に記載していなかった
 下村今日子:下村元文科相夫人、広島加計学園教育審議会委員
 木澤 克之:最高裁判事(安倍任命)加計学園元監事、加計孝
       太郎理事長と同じ立教大
 萩生田光一:幹事長代行、元官房副長官、加計学園千葉科学大
       客員教授
 木曽  功:内閣参与、加計学園千葉科学大学長
 井上 義行:元総理秘書官、加計学園千葉科学大客員教授
 江島  潔:自民党内閣第一部会長、元下関市長、加計学園倉
       敷芸術科学大元客員教授
 逢沢 一郎:衆院政倫審会長、加計学園国際交流局顧問、アイ
       サワ工業が獣医学部の工事受注
     ──古賀茂明/望月衣塑子共著/KKベストセラーズ
         『THE独裁者/国難を呼ぶ男!安倍晋三』
─────────────────────────────
 萩生田光一氏は、2009年の総選挙で落選したとき、加計学
園の運営する千葉科学大学危機管理学部で客員教授の職を用意さ
れ、月10万円を得ていたそうです。自民党が政権に復帰する3
年間はその職にあったのですが、それはあくまで表向きの話に過
ぎないのです。
 この千葉科学大学に務めていたある教員によると、この大学に
は「危機管理学部」という安倍枠があるそうです。その教員は安
倍首相の紹介でこの大学に務めたのですが、週3回、計6コマの
講義をすることになっていたものの、給与のことは何も話してく
れないので、安倍さんに聞いたそうです。そうしたら、安倍さん
は、自信たっぷりにこういったそうです。
─────────────────────────────
 僕が加計に頼んだのだから、僕のメンツを潰すようなことは
 しないよ。                ──安倍首相
─────────────────────────────
 その教員は4月の給与明細を見てびっくりしたそうです。月額
125万円です。賞与を含めると、年に1500万円を超えたの
です。これでわかるように、萩生田光一氏が彼のいうように、月
10万円ということはないはずです。これでは、アルバイト程度
の給料です。その10倍や20倍は支給されていた可能性は十分
あります。失職中にそれだけ優遇してもらえれば、理事長の加計
孝太郎氏を守ろうとするはずです。
 古賀茂明氏と望月衣塑子氏の共著は、森友学園問題と加計学園
問題の真実に肉薄しています。既にメディアも検察も真相は掴ん
でいると思います。しかし、メディアの報道は、まさに「隔靴掻
痒」であり、真実にたどりつかないでいます。メディアは、政府
に抑えられています。古賀茂明氏は次の指摘をしています。
─────────────────────────────
 政府がメディアを抑えた事実はまさに数字にも表れています。
メディア対策予算は野田政権のときには40億円ぐらいでした。
安倍政権では2013年度で43億円、2014年度は65億円
2015年虔になると83億円になつています。まだ増える傾向
にあります。安倍政権はイメージ戦略を非常に重視しているので
たとえば、官邸の機密費とか、自民党のいろいろな領収書なしで
使える予算とか、そういうものまで入れると、100億円を超え
るオーダーになつていても不思議ではありません。
         ──古賀茂明/望月衣塑子共著の前掲書より
─────────────────────────────
 1月5日から、安倍政権のメディア支配について、80回にわ
たって書いてきましたが、今回で終了します。最後に、森友学園
と加計学園について、それぞれ書かれている異色のブログをご紹
介します。なかなかの力作です。
 「森友学園」に関するブログです。EJでも参考にさせてもら
いましたが、これによると、主犯は麻生財務相になっています。
とても興味深いことが書かれています。必読です。
─────────────────────────────
 「森友学園」問題の本当のカラクリ。日本の政治もマスコミ
 も「麻生太郎」のために動かされている。
                 https://bit.ly/2HxkKhd
─────────────────────────────
 「加計学園」については、弁護士の郷原信郎氏のブログで見つ
けたものです。
─────────────────────────────
    Tomoaki Kitaguchi氏による「加計問題」の真相
              https://bit.ly/2wccdpK
─────────────────────────────
 18歳の青年が書いた「加計学園」の奇想天外の推理です。リ
アリティがあります。信ずるか信じないかはあなた次第です。
        ──[メディア規制の実態/最終回/080]

≪画像および関連情報≫
 ●政府広報費は民主党政権の2倍、メディア押さえ込む効果
  ───────────────────────────
   都議選告示日(6月23日)から、朝日、読売、毎日はじ
  め全国の新聞70紙に、「弾道ミサイル落下時の行動につい
  て」と題する政府広告が掲載された。テレビでも、全国の民
  放43局で「弾道ミサイルが日本に落下する可能性がある場
  合」という同じ内容のテレビCMが同日から一斉に流されて
  いる。テレビCMは2017年7月6日まで2週間にわたっ
  て放映される予定で、新聞、インターネット広告と合わせて
  この政府広報に3億6000万円もの税金が使われている。
   折からの「男女共同参画週間」(6月23〜29日)の提
  供テレビ番組などを合わせると、都議選中に、政府から大メ
  ディアに流れ込んだカネは約4億円に達する。
   安倍晋三・首相は、政権を取り戻して以来、大新聞、民放
  キー局のトップや編集幹部と会食を重ねるなどメディア対策
  を重視してきた。とくに発足直後から政権に批判的だった朝
  日新聞が慰安婦報道と福島第一原発事故の「吉田調書」をめ
  ぐる2つの誤報問題を追及されて沈黙するようになると、読
  売、産経という親安倍メディアを政権の広報機関として利用
  し、大メディアをコントロール下に置くことに成功した。そ
  の裏では、政府広報のカネを、メディアを手なずける武器と
  して最大限効果的に利用してきたのだ。
                  https://bit.ly/2uuDbJr
  ───────────────────────────

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安倍首相のフレンズ
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2018年05月01日

●「なぜ2017年1月20日なのか」(EJ第4755号)

 今回のテーマは今回を含めあと2回で終りです。森友問題でも
加計問題でも目立つことがあります。それは、安倍首相自身を含
めて、官邸サイドが「明らかなるウソ」を平然とついていること
です。そのひとつが安倍首相の次の言葉です。
─────────────────────────────
 私が加計学園の意向を知ったのは、2017年1月20日の
 ことである。               ──安倍首相
          2017年7月24日/衆院予算委員会
─────────────────────────────
 この2017年1月20日というのは、国家戦略特区諮問会議
が開催された日であり、議長である安倍首相が、実施主体を加計
学園に認定した日です。2017年1月4日時点で、応募事業体
は加計学園のみであり、1月12日に今治市分科会は、内閣府・
文科省などが実施主体を加計学園に決定しています。その最終決
定が、1月20日に行われたのです。安倍首相は、その日に、は
じめて応募してきた事業主体が、加計学園であることを知ったと
いっているのです。
 「これは明らかなウソである」として、東京新聞記者の望月衣
塑子氏は、古賀茂明氏との共著で、その矛盾を次のように指摘し
ています。
─────────────────────────────
 矛盾といえば、安倍首相は2017年6月5日の参院決算委員
会で、加計学園の獣医学部設置の意向を知ったのは、愛媛県と今
治市が国家戦略特区に提案した「2015年6月4日だ」と答弁
していました。加計孝太郎理事長から「時代のニーズに合わせて
新しい学部や学科の新設に挑戦していきたいという趣旨の話は聞
いたことがある」とも述べていました(衆院予算委員会)。
 ところが7月24日の衆院予算委員会で、突然、加計の意向を
知ったのは学園が事業者に決まった「2017年1月20日だっ
た」と、答弁を変えたのです。
 実は、当初答弁のように、知ったのが2015年6月4日だと
すると、安倍首相にとって「不都合な真実」が明らかになるので
す。このとき、今治市が提案した資料には「加計学園」の文字は
ありません。あくまでも提案者は愛媛県と今治市で、事業者は後
に公募で決まる仕組みだったからです。この時点ですでに安倍首
相が「加計学園案件だ」と知っていたならば、「なぜ知っていた
のか?誰から聞いたのか?」ということが問題になります。
 文科省に働きかけたと名前の挙がっている萩生田光一官房副長
官(現自民党幹事長代行)は衆議院選落選中、加計学園が経営す
る千葉科学大の客員教授をつとめ、月10万円の給与を受けてい
たと報じられています。加計学園の件で前川さんに働きかけた木
曽功内閣官房参与(当時)は、その後、加計学園の理事に就任し
ています。──古賀茂明/望月衣塑子共著/KKベストセラーズ
         『THE独裁者/国難を呼ぶ男!安倍晋三』
─────────────────────────────
 実は、安倍首相は、加計学園が獣医学部を新設しようとしてい
るのを2015年6月4日どころか、2014年3月13日以前
に確実に知っていたと思われる証拠があります。
 2014年3月13日、加計孝太郎氏は、獣医学部新設に一貫
して反対していた日本獣医師会を訪問しています。応対したのは
獣医師会会長の蔵内勇夫氏と会の事務局を預かる北村直人顧問で
す。これに関して、古賀茂明氏と望月衣塑子氏の共著には、ジャ
ーナリスト森功氏の次のレポートの引用があります。
─────────────────────────────
 「あなたは安倍さんから『獣医師会に行け』と指示されてやっ
てきたんでしょ。ときの最高権力者がバックについている、すご
いよね」。蔵内たちが皮肉を言いながら突き放した。
 「誰がきたところで、申請は通りませんよ」。獣医師会の重鎮
に冷たくあしらわれてなお、当の加計本人は慌てる様子もなく、
自信満々だった。(中略)
 実はこのとき「首相が後ろ盾になっているので、獣医学部の新
設は大丈夫だ」と加計が胸を叩いたという話がある。実際、その
議事録が存在するという説がある。北村は次のような意味深長な
話をした。
 「議事録があったら、安倍政権がふっとんじゃうよ。だから私
は『ない』と答えるしかない。相手は自民党の党友でもある安倍
さんですからね。私は旧田中派の議員でしたから、口利きだって
駄目だとは言いません。「安倍さんでしょ?あなたの後ろにいる
のは」と尋ねたとき、加計さんなんとなく頷いたかな」。
 ──『文藝春秋』/2017年5月号「安倍首相『腹心の友』
の商魂/森功」  ──古賀茂明/望月衣塑子共著の前掲書より
─────────────────────────────
 今治市と愛媛県が政府に対し、構造改革特区を活用した獣医学
部新設を提案をしたのは2007年の福田内閣のときです。この
時点で既に加計学園を予定事業体として想定していたのですが、
このときは不可になっています。2008年になって、麻生内閣
でも同じ申請をしていますが、このときも不可です。
 2009年に自民党が下野し、民主党の鳩山政権においても、
今治市と愛媛県は同じ提案をしたところ、「実現に向けて検討」
することになっています。その後、民主党政権下では、勉強会な
どが行われたものの、結局認定に至らないで終っています。
 そして、安倍政権が発足して、2013年に国家戦略特区制度
を作り、これをベースとして今治市と愛媛県において、獣医学部
の新設を認めることにしたのです。もちろん、予定事業体は加計
学園であり、むしろ競合相手の京都産業大学をどのようにして外
すかに腐心したはずです。
 したがって、安倍首相が加計学園が今治市と愛媛県と連携して
獣医学部新設を推進していることを2017年1月20日になっ
てはじめて知ったというのは、大ウソということになります。
            ──[メディア規制の実態/079]

≪画像および関連情報≫
 ●安倍首相が「1月20日」にこだわる理由/「月刊日本」
  ───────────────────────────
   2016年9月9日に行われた国家戦略特区諮問会議での
  安倍首相の発言との関係に注目する必要があります。この諮
  問会議では、民間議員を代表して八田達夫氏が「獣医学部の
  新設は、人畜共通の病気が問題になっていることから見て極
  めて重要ですが、岩盤が立ちはだかっています」と述べてい
  ます。これに対して、安倍首相はこの会議の最後に、「本日
  提案いただいた『残された岩盤規制』や特区での成果の『全
  国展開』についても、実現に向けた検討を、これまで以上に
  加速的・集中的にお願いしたい」と発言しました。
   これを受けて獣医学部の認可をテーマに開かれた9月16
  日の国家戦略特区ワーキンググループ(WG)の冒頭で、内
  閣府地方創生推進事務局審議官である藤原豊氏が「先週金曜
  日に国家戦略特区の諮問会議が行われまして、まさに八田議
  員から民間議員ペーパーを御説明いただきましたが、その中
  で重点的に議論していく項目の1つとしてこの課題が挙がり
  総理からもそういった提案課題について検討を深めようとい
  うお話もいただいております」と発言しています。つまり、
  藤原氏は、獣医学部新設に関する議論が9月9日の諮問会議
  での安倍首相の指示によるものだということを明言している
  のです。そのため、安倍首相が、昨年9月9日の時点で加計
  学園の特区申請を認識していたとすれば、安倍首相の指示に
  よって加計学園に有利な展開になっていったことを事実上認
  めざるを得なくなるのです。   https://bit.ly/2vMVGx6
  ───────────────────────────

望月衣塑子氏/東京新聞記者.jpg
望月衣塑子氏/東京新聞記者
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2018年04月27日

●「国家戦略特区と獣医学部新設問題」(EJ第4754号)

 加計学園の獣医学部の開学が実現したのは、国家戦略特区の制
度ができたからです。「国家戦略特区」(正式には国家戦略特別
区域)というのは、日本経済再生本部からの提案を受けて、第2
次安倍内閣が成長戦略の柱の一つとして掲げ、国家戦略特別区域
法第2条で地域振興と国際競争力向上を目的に規定された経済特
区のことです。要するに安倍政権の「目玉政策」の一つです。
 問題は、その具体的な対象をどのように決めるかです。それを
やるのは「国家戦略特区諮問会議」です。意外に知られていない
のが、そのメンバーです。
─────────────────────────────
◎「国家戦略特区諮問会議メンバー」
議   長:安倍晋三 内閣総理大臣
議   員:麻生太郎 財務相兼副総理
議   員:梶山弘志 内閣府特命相(地方創生/規制改革)
議   員:菅 義偉 内閣官房長官
議   員:茂木敏充 内閣府特命担当相(経済財政政策/経済
      再生担当相)
有識者議員:秋池玲子 ボストンコンサルティンググループシニ
       ニアパートナーズ&マネージング・ディレクター
有識者議員:坂根正弘 株式会社小松製作所相談役
有識者議員:坂村 健 東洋大学情報連携学部INIAD学部長
有識者議員:竹中平蔵 東洋大学教授・慶応義塾大学名誉教授
有識者議員:八田達夫 アジア成長研究所長・大阪大学名誉教授
     ──古賀茂明/望月衣塑子共著/KKベストセラーズ
         『THE独裁者/国難を呼ぶ男!安倍晋三』
─────────────────────────────
 安倍首相が議長で、議員は麻生財務相と安倍首相に近い内閣府
の3大臣であり、有識者議員も、ほとんどが安倍首相に近い人ば
かりです。安倍首相が、十分にリーダーシップを発揮できるメン
バー構成といえます。
 この会議のキーポイントメンバーは竹中平蔵氏です。産業競争
力会議のメンバーでもある竹中平蔵氏は、アベノミクスの成長戦
略の柱として、この国家戦略特区制度を提案しており、次のよう
に主張しています。
─────────────────────────────
 総理の主導により「地方から国にお願いして、国が上の立場か
ら許可するというもの」ではなく、国家戦略特区とは、「国を代
表して特区担当大臣、地方を代表して知事や市長、民間を代表し
て企業の社長という、国、地方、企業の3者統合本部でミニ独立
政府の様に決められる主体性を持った新しい特区」であり、特区
を活用して岩盤規制に切り込みたいと思っている。
                  ──竹中平蔵有識者議員
─────────────────────────────
 この制度の構想は、第2次安倍政権発足間もない2013年の
半ばからあり、そのとき既に安倍首相の頭のなかには、加計学園
傘下の岡山理科大学の獣医学部新設のプランがあったと考えられ
ます。おそらく腹心の友である加計孝太郎氏から、その設立の熱
意を何回も聞いていたからでしょう。
 一方、日本獣医師会は、大学の獣医学部新設は、獣医師の質の
低下などを理由に一貫して新設には反対してきています。しかし
第2次安倍政権が誕生し、国家戦略特区制度の話が出ると、この
動きを警戒したのです。なぜなら、現在、元自民党衆院議員で、
日本獣医師政治連盟委員長と日本獣医師会顧問を務める北村直人
氏は、第1次安倍政権の2007年2月某日に、東京・赤坂の料
亭「佐藤」で、加計学園の加計孝太郎氏に会い、次のやりとりを
しているからです。
─────────────────────────────
加計:愛媛で、獣医の大学を作りたいんですよ。ぜひ、協力して
   くれませんか。
北村:なぜそんなことを言い出すんですか?
加計:息子の鹿児島大獣医学科の入学式に行き、設備を見たら、
   20億〜30奥でできそうなんですよ。
北村:そんな動機で獣医学科を作りたいなんて、とんでもない話
   だ。獣医学部創設には500億円はかかりますよ。教育を
   金もうけに使われたらたまらない。やめた方がいい!
加計:・・・・・
北村:親しい政治家はいるんですか?
加計:強いて言えば安倍首相ですが・・・
           ──2017年7月19日付、産経新聞
         ──古賀茂明/望月衣塑子共著の前掲書より
─────────────────────────────
 こういういきさつがあったので、北村直人氏は、第2次安倍政
権が発足したとき、警戒を強めたのです。加計理事長は、きっと
安倍首相の力を背景に獣医学部の新設を必ず仕掛けてくるに違い
ないと考えたからです。
 そこで、2014年9月に地方創生担当大臣兼内閣府特命担当
大臣(国家戦略特別区域)に就任した石破茂氏に獣医学部の認可
基準を厳しくしてもらうよう働きかけたのです。北村直人氏は、
石破茂氏と1986年の総選挙で当選した自民党の同期の関係で
す。このようにして、できたのが「石破四条件」です。この「石
破四条件」は、日本獣医師会にとっては満額回答であり、獣医師
会の既得権益を守る「岩盤」になったといえます。
 はっきりしていることは、安倍首相が、加計学園の岡山理科大
が獣医学部新設を目指していることは、少なくとも第2次安倍政
権発足当初から知っていたことは間違いないということです。さ
まざまな客観データから分析すると、そうなるのです。
 実際に安倍首相は、2015年から加計理事長と連絡を取りな
がら、岡山理科大の獣医学部開学を実現させています。これは、
安倍官邸の力がなければ絶対に実現できなかったことです。
            ──[メディア規制の実態/078]

≪画像および関連情報≫
 ●「安倍政権が吹っ飛ぶ」 加計学園問題で関係者が重大証言
  ───────────────────────────
   「第2の森友」といわれる加計学園問題。安倍首相の“腹
  心の友”が理事長を務める学園が、愛媛・今治市に新設する
  岡山理科大の獣医学部を巡る疑惑だ。
   2017年4月11日に今治市で住民向けの「獣医学部の
  開学に向けた説明会」が開かれたが、なぜ市が、36億円の
  土地を無償で差し出すのか、96億円の建設費も援助する必
  要があるのかといった疑問に対し、納得のいく説明はなかっ
  た。そんな中、発売中の「文芸春秋」5月号で、ノンフィク
  ション作家の森功氏が加計学園問題をリポートし、注目を集
  めている。理事長の加計孝太郎氏が獣医学部の新設を申請す
  るにあたり、“首相の後ろ盾”をほのめかしたというのだ。
   14年3月13日、加計氏は獣医学部の新設に反対してい
  た日本獣医師会を訪れた。蔵内勇夫会長とともに加計氏と対
  面した元衆院議員の北村直人顧問から、森氏は重大な証言を
  得た。リポートで次のように書いている。
   実はこのとき「首相が後ろ盾になっているので獣医学部新
  設は大丈夫だ」と加計氏が胸を叩いたという話がある。実際
  その議事録が存在するという説もある。北村は次のような意
  味深長な話をした。「議事録があったら、安倍政権がふっと
  んじゃうよ。だから私は「ない」と答えるしかない。相手は
  自民党の党友でもある安倍さんですからね。私は旧田中派の
  議員でしたから、口利きだって駄目だとは言いません。「安
  倍さんでしょ?あなたがたの後ろにいるのは」と尋ねたとき
  加計さんはなんとなく頷いたかな」。
                  https://bit.ly/2HRcxnp
  ───────────────────────────

北村直人氏/日本獣医師会顧問.jpg
北村直人氏/日本獣医師会顧問
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2018年04月26日

●「安倍首相は聞いていなかったのか」(EJ第4753号)

 このテーマの最後に加計問題についても触れておくことにしま
す。森友学園問題は、時価9億5600万円の国有地が、不当に
も、200万円で払い下げられたという事件です。国有地は国民
の財産であり、とんでもない事件です。安倍首相は、自分は関係
ないことを装っていますが、紛れもなく事件の中心人物です。
 それでは、加計問題はどうでしょうか。加計問題は、ある意味
森友学園よりもヒドイのです。加計問題の土地は今治市の市有地
ですが、獣医学部新設用地として、36億7500万円相当が無
償で譲渡されています。これだけではないのです。校舎の建築費
の半額の96億円を今治市と愛媛県が負担する議案が可決されて
います。土地代と建築費の合計で、132億7500万円です。
 森友学園の実に15倍の税金が注ぎ込まれているのです。今治
市民はこんなことを許しておくのでしょうか。さらに、愛媛県と
今治市が無償で譲渡した土地について、今治市の企画財政部長は
市議会で、次の発言をしています。
─────────────────────────────
 提供した土地は加計学園が担保物件としても活用していただき
積極的な設備投資を期待しているところでございます。
     ──古賀茂明/望月衣塑子共著/KKベストセラーズ
         『THE独裁者/国難を呼ぶ男!安倍晋三』
─────────────────────────────
 加計学園の獣医学部新設のための予算案の審議は、2015年
からはじまり、2016年に可決しています。古賀茂明/望月衣
塑子両氏の共著では、予算案が可決するまでの詳細のプロセスが
出ているので、以下にご紹介します。これをみると、この問題に
安倍夫妻が深く関わっていることが明確にわかります。
─────────────────────────────
◎2015年 6月 4日
 ・愛媛県・今治市が獣医学教育特区で国家戦略特区提案
◎2015年 6月30日
 ・安倍政権が「日本再興戦略」改訂2015を閣議決定
◎2015年 8月16日
 ・安倍総理と加計氏がゴルフ
◎2015年 9月21日
 ・安倍総理と加計氏がゴルフ
◎2016年 3月
 ・愛媛県内の高校1年生を対象に「大学獣医学部の誘致に関す
  る意識調査」を実施する。
◎2016年 7月21日
 ・安倍総理と加計氏が会食
◎2016年 7月22日
 ・安倍総理と加計氏がゴルフ
◎2016年 8月10日
 ・安倍総理と加計氏が会食
◎2016年 8月11日
 ・安倍総理と加計氏がゴルフ
◎2016年 9月21日
 ・第1回今治市分科会開催、今治商工会議所特別顧問(前愛媛
  県知事)の加戸守行氏が、獣医学部新設推進派として、資料
  を提出
◎2016年10月 2日
 ・安倍総理&昭恵夫人同席で、加計氏と会食
◎2016年10月31日
 ・事業者によるボーリング調査の申し出を受理
◎2016年11月 8日
 ・パブリックコメント開始→12月17日に終了、976件の
  意見が寄せられる。獣医学部設置に反対が75%
◎2016年11月 9日
 ・国家戦略特区諮問会議で、獣医学部新設のための関係制度改
  正を直ちに行うことを安倍総理が決定する。
◎2016年12月24日
 ・安倍総理&昭恵夫人同席で、加計氏と会食
◎2016年12月24日
 ・用地購入費補正予算案が今治市議会で可決される
           古賀茂明/望月衣塑子共著の前掲書より
─────────────────────────────
 これを見ると、大事なことが決まる要所要所で、安倍総理は、
ときには昭恵夫人同席で、加計孝太郎氏と会っていることがわか
ります。そして、2017年1月20日、国家戦略特区諮問会議
で、安倍首相によって加計学園が事業者として正式に認定されて
います。
 安倍首相によると、そのときはじめて加計学園が、申請してき
ていたことを知ったというのです。2015年から7回も加計孝
太郎氏と会食やゴルフをやっていながら、ただの一度も獣医学部
新設の話が出なかったというのですが、これがどれほど、不自然
で、あり得ないことかわかると思います。
 このように、認定の出た2017年1月20日の約3ヶ月も前
の2016年10月31日に、加計学園の事業者は、今治の事業
予定地でボーリング調査をやっています。認定されるとわかって
いたからこそこういうことができたのです。
 実はこれと同じことが森友学園でも起きています。森友学園が
買収した国有地の取得に必要な要望書は2016年10月31日
に提出されましたが、設計会社がボーリング調査行ったのはそれ
より前の10月21日〜30日です。契約前に国有地内で、ボー
リング調査ができるとは考えられないことです。取得できること
がわかっていたからこそ、そういうことが行われたのです。
 このように考えると、森友問題と加計問題は、2015年から
2016年にかけて平行的に進められており、2017年になっ
て、すべて明るみに出たということになります。
            ──[メディア規制の実態/077]

≪画像および関連情報≫
 ●今治市職員の官邸訪問に加計学園幹部も同行
  ───────────────────────────
   「加計ありき」を示す爆弾級の新証言が、またも飛び出し
  た。問題となってきた2015年4月2日の今治市職員によ
  る官邸訪問時、なんと加計学園の幹部が同行していたことを
  明日発売の「週刊朝日」(朝日新聞出版)がスクープしたの
  だ。まずは、疑惑の2015年4月2日の問題点をおさらい
  しよう。
   今治市が公開した出張記録によると、今治市が国家戦略特
  区に獣医学部新設を申請する約2ヶ月前にあたるこの日、今
  治市の企画課長と課長補佐が「獣医師養成系大学の設置に関
  する協議」のために内閣府などを訪問。その後、急遽「官邸
  訪問」が決まり、15時から16時30分まで官邸で打ち合
  わせをおこなったという。7月25日発売の「週刊朝日」は
  このとき今治市職員と面会したのは柳瀬唯夫首相秘書官(当
  時)だと関係者が告白していた。
   そして、明日発売号では、この官邸訪問に「複数の加計学
  園幹部が同行」していたという新証言を掲載していると「週
  刊朝日」はウェブ版の速報で報道。なぜ一地方の市職員が官
  邸を訪問することができたのかと以前より疑問が出ていたが
  それについても「加計学園側から今治市に連絡が行き、官邸
  訪問が実現したようだ」といい、柳瀬首相秘書官からは「準
  備、計画はどうなのか」、「しっかりやってもらわないと困
  る」などという趣旨の話があったというのだ。
                  https://bit.ly/2vbZE01
  ───────────────────────────

安倍首相と加計孝太郎理事長.jpg
安倍首相と加計孝太郎理事長
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2018年04月25日

●「昭恵夫人は100万円渡している」(EJ第4752号)

 古賀茂明氏と望月衣塑子氏の共著では、安倍昭恵夫人が籠池理
事長(当時)に渡したという寄付金100万円のことも追及して
います。果して100万円は、昭恵夫人から籠池氏に本当に渡さ
れたのでしょうか。それとも渡されていないのでしょうか。
 安倍首相は、国会などで野党から質問されるさい、よく「印象
操作」という言葉を使って反論することがあります。
 2017年6月5日の衆院決算行政監視委員会。民進党の宮崎
岳志議員(当時)が、学園の加計孝太郎理事長とともに首相が納
まった写真のパネルを示しながら質問すると、次のように猛然と
反論しています。
─────────────────────────────
 そういうのを印象操作というのですよ。宮崎氏が印象操作で
 いいかげんなことをいったので反論したい。 ──安倍首相
─────────────────────────────
 しかし、何回も印象操作をしているのは他ならぬ安倍首相自身
であり、それに輪をかけたように書くのが御用新聞社です。その
一番ひどかったのは、籠池泰典氏を証人喚問に招致する直前の新
聞報道です。これは、例によって官邸のメディア操作によるもの
と考えられます。
 そういう状況で籠池氏は、証人喚問に招致されたのです。新聞
による印象操作によって、籠池氏は、稀代の変わり者、コロコロ
発言を変える、うそつき、虚言癖などのマイナスの印象を帯びて
証言台に立つことになったのです。
 官邸側としては、そうしておけば、たとえ籠池氏が正しいこと
をいっても、印象がよくなければ、籠池氏がウソをついているよ
うにみえることを狙ったのでしょう。
 2017年3月23日に実施された証人喚問において、籠池証
人は、「100万円の寄付金は受け取ったのか」との質問に対し
て、次のように証言しています。
─────────────────────────────
 昭恵夫人に瑞穂の国記念小学院の名誉校長に就任していただい
たのは、平成27(2015年)年9月5日にご講演をたまわっ
たときのことです。
 そしてその9月5日、昭恵夫人は講演の控室として利用してい
ただいた園長室で、私との対面していただいたとき、同行してい
たおつきの方に席を外すようにおっしゃった後、私と2人きりの
状態で、「どうぞ、安倍晋三からです」というふうにおっしゃっ
て、寄付金として封筒に入った100万円をくださいました。昭
恵夫人は全く覚えていないとおっしゃっているようですが、私た
ちには、大変名誉な話なので鮮明に覚えております。
                  https://bit.ly/2HFhIH6
─────────────────────────────
 これに関して、3月23日、証人喚問の実に4時間後に、昭恵
夫人は自身のフェイスブックで、次の趣旨の反論をしています。
きわめて素早い反論です。
─────────────────────────────
 私は、籠池さんに100万円の寄付金をお渡ししたことも、講
演料を頂いたこともありません。この点について、籠池夫人と今
年2月から何度もメールのやりとりをさせていただきましたが、
寄付金があったですとか、講演料を受け取ったというご指摘はあ
りませんでした。私からも、その旨の記憶がないことをはっきり
とお伝えしております。 ──安倍昭恵夫人フェースブックより
─────────────────────────────
 明らかにどちらかがウソをついています。しかし、これはどう
みても昭恵夫人にとって不利です。なぜなら、籠池氏の方は、も
しウソをつけば、偽証罪に問われる証人喚問での証言であるのに
対し、昭恵夫人はフェイスブックでの釈明に過ぎないからです。
 しかし、そのとき多くの人は、おかしいとは思いながらも、籠
池氏の方がウソをついていると感じたようです。それはなぜか。
それは、証人喚問までのメディアの報道の積み重ねで、「籠池は
怪しい奴である」という一種の刷り込みができていたからではな
いかと思います。印象操作の効果です。
 しかし、昭恵夫人のフェイスブックの文章は、役人が作成した
ものではないかと、指摘する人が出てきたのです。
─────────────────────────────
 「官邸側が作成して昭恵夫人に投稿を依頼したのではないかと
さえ思える」──昭恵コメントについて、こうブログに書き込ん
だのは元検事の郷原信郎弁護士だ。郷原氏は昭恵氏の過去のフェ
イスブック投稿と異なり、今回の文面は「旨」や「当該」といっ
た典型的な官僚用語が多用されていることに違和感を覚えたとい
う。さらに「フェイスブックを使う人は分かると思うが、過去に
半角数字を使っていると、まず表示されるのは半角数字。昭恵氏
はこれまでずっと半角数字だったのに、なぜか今回だけは全角数
字なのです」(郷原氏)
 籠池理事長が「100万円の寄付」の場として、「園長室」と
証言したことに対し、昭恵氏はコメントで「『玉座の間』であっ
たと思います。内装がとても特徴的でした」と否定していた。し
かし、講演料や寄付金について「記憶がない」と話す一方で、部
屋の名前や内装だけを鮮明に覚えているのは変だろう。
                  https://bit.ly/2F7hN0P
─────────────────────────────
 実は、あまり知られていないことですが、籠池泰典氏は、20
17年7月10日に大阪府議会でも参考人招致を受けて証言をし
ています。そこでも国会の証人喚問のときと何も矛盾なく証言し
ています。
 100万円の寄付を渡したのは、昭恵夫人一人ですが、それを
受け取った籠池氏には複数の証人がいるのです。これらの証言を
突き合わせてみると、そこには一点の矛盾もないのです。そのこ
とから、昭恵夫人は間違いなく、100万円を渡していると考え
られます。       ──[メディア規制の実態/076]

≪画像および関連情報≫
 ●奇妙な逆水かけ論/「渡した」「いやもらっていない」
  ───────────────────────────
   のべ4時間超にわたる23日(2017年3月)の国会証
  人喚問で、籠池泰典理事長が最も微に入り細にわたって説明
  したのは、昭恵夫人から手渡されたという100万円の寄付
  金についてだった。寄付があったのは2015年9月5日、
  昭恵夫人が講演のため訪れた森友学園の幼稚園でだったとい
  う。「控室として利用していただいた園長室で、私と対面し
  ていただいた時に、昭恵夫人が同行したお付きの人に席を外
  すようおっしゃったのち、私と2人きりの状態で、「1人に
  させてすいません」「どうぞ安倍晋三からです」というふう
  におっしゃって、寄付金として封筒に入った100万円をく
  ださいました」。
   その4時間後、昭恵夫人はフェイスブックで「私は籠池さ
  んに100万円の寄付金をお渡ししたことも、講演料を頂い
  たこともありません。私は講演などの際に秘書に席を外して
  ほしいというようなことは言いません。秘書2名にも確認し
  ました」と真っ向反論した。
   コメンテーターの伊藤惇夫氏(政治アナリスト)は次のよ
  うに指摘する。「籠池さんは告発されることを覚悟のうえで
  (証人喚問の席で)しゃべっている。それに対し昭恵夫人は
  フェイスブックで反論するのはバランスに欠けます。反論す
  るなら、記者会見か、場合によっては国会の場できちっと説
  明された方がいいですよ」。   https://bit.ly/2Ji6YeX
  ───────────────────────────

証人喚問での籠池泰典氏.jpg
証人喚問での籠池泰典氏


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2018年04月24日

●「森友学園21億円融資の謎を探る」(EJ第4751号)

 今回のいわゆる森友学園事件を理解するのに一番重要なことは
「国民会議」という改憲を目指す保守系団体が深く絡んでいると
いう事実を前提に置くことです。国民会議の会員は全国に約4万
人いますが、政治団体の届けを出していないため、その存在は、
闇に包まれています。
 国民会議は、国家神道を復活させることを悲願としており、そ
のための学校──それも幼児教育の学校を創設したいと考えてい
たのです。その格好のモデルが現れます。それが森友学園が経営
する「塚本幼稚園」です。園児に教育勅語を暗記させ、軍歌を歌
わせていたあの幼稚園です。この幼稚園に加えて、小学校を設立
できればと考えたわけです。
 森友学園の籠池理事長は、当時日本会議の大阪支部の役員であ
り、安倍晋三氏も麻生太郎氏も、国家神道を推進する「日本会議
国会議員懇談会」(日本会議と同じ)の特別顧問です。しかもコ
トが動いた2015年は安倍政権であり、麻生太郎氏は副総理兼
財務大臣で、国有地の売却の権限を持つ財務省のトップです。当
時の閣僚の19人中15人が、日本会議国会議員懇談会の会員で
あるという状況だったのです。
 このように、関係者全員が国民会議のメンバーで、環境条件が
これ以上ない状況であるからこそ、安倍首相をはじめ、日本会議
国会議員懇談会の一部の有力メンバーが、森本学園の小学校設立
のためにいろいろと奔走したのです。そうでなければ、国会開催
中の忙しい時に、なぜ安倍首相が大阪まで行ったのかが説明でき
なくなります。
 このように、国民会議を通してみると、森友学園事件は非常に
わかりやすい構図になります。ところが、なぜかメディアは、国
民会議のことは絶対に触れないので、わかりにくくなるのです。
財務省は、いまだに土地の決裁文書の原本を提出していませんが
それは、おそらく決裁文書の原本に国民会議の記述が多くあり、
それをどうしようか、悩んでいるのだと思います。まさか原本を
改ざんするとは、思いたくありませんが・・・。
 疑惑の3日間の話に戻ります。2015年9月4日に安倍首相
が、東梅田駅前の海鮮料理「かき鐡」で会ったという冬柴大氏と
は、どういう人物でしょうか。
 冬柴大氏は、「かき鐡」のオーナーですが、ただの飲食店の店
主ではないのです。冬柴氏は、かつて国土交通相を務めた冬柴鐡
三代議士の次男であり、大和銀行(現りそな銀行)に18年間務
め、2004年からはソニー生命保険に転職。父の鐡三氏が病没
した2011年にソニー生命を退職し、「冬柴パートナーズ株式
会社」を設立しています。
 業務は経営コンサルタント業ですが、父の人脈を生かして、人
脈紹介や、助成金の申請援助などを得意としている企業です。こ
のあたりに、森友学園との接点が見えてきます。しかも、冬柴氏
は元銀行マンであり、融資の紹介なども手掛けていたようです。
そこに「21億円」の話が出てくるのです。
 とにかく当時森友学園には資金がなく、小学校新設どころか、
借金もあり、幼稚園の運営にも窮していたのです。それが広大な
国有地を入手し、小学校の建物もほとんど完成する寸前までいっ
たのです。どうしてそのような芸当ができたのでしょうか。
 それは、官邸側のキーパーソンである当時の財務省の迫田理財
局長と、民間側のキーパーソンの冬柴大氏の働きがあったのでは
ないかと考えられているのです。そのためには、昭恵夫人が小学
校の名誉校長に就任する必要があったのです。
 そういえば、2015年9月3日に安倍首相は、この事件の官
邸側のキーパーソンである迫田理財局長と会談し、4日には大阪
に飛んで、今度は民間のキーパーソンである冬柴大氏に会ってい
ます。どのような用事があったのでしょうか。そして、5日には
昭恵夫人が森友学園を訪れて講演し、その場で名誉校長に就任し
ています。これらはけっして無関係ではないと考えられます。
 この直後に、森友学園が国から取得した小学校の土地にりそな
銀行の21億円の抵当権が設定されており、安倍首相夫妻と今井
尚哉秘書官の2015年9月3日〜5日の一連の行動は、この融
資に関係があったのではないかと考えられます。
 実は、2018年4月9日に「日刊ゲンダイ」に次のタイトル
記事が掲載されたのです。その記事の一部を紹介します。
─────────────────────────────
◎ 森友事件に新展開 検察の狙いは政界に流れた融資20億円か
       ──2018年4月9日発行/「日刊ゲンダイ」
 特捜部は、森友学園の小学校建設を巡る土地取得や名義変更、
設置認可などの過程で、複数の政治家に賄賂が渡った可能性があ
るとみているようです。スパコンの助成金詐欺事件やリニア談合
と比べると、森友事件の特捜部の捜査は明らかに時間がかかって
いる。時間が経てば証拠隠滅されかねないのに、財務省関係者は
誰ひとり逮捕されていないし、本省にガサも入っていない。それ
で、特捜部の“本丸”は公文書等毀棄や背任ではなく、『サンズ
イ(汚職)でバッジを狙っている』と噂されているのです。最近
東京地検から大阪地検特捜部に異動になった検事がいることも、
この話の信憑性を高めている。政界ルート解明のため、東西の特
捜部が連携する目的とみられています。 ──在阪メディア記者
                  https://bit.ly/2K4o6G5
─────────────────────────────
 大阪地検特捜部の狙いは、財務省ではないという情報が流れて
います。つまり、公文書の改ざん事件を追っているのではないと
いうことです。しかし、捜査は、東京地検特捜部も協力し、合同
で行われ、かなり大規模に、相当長期にわたっています。
 そういうところから特捜部は、上記のように、「サンズイ(汚
職)で政治家を狙っている」といわれているのです。もしかする
と、籠池夫妻が長期間拘束され、釈放されないのも、これと無関
係ではないのではないかとも考えられます。
            ──[メディア規制の実態/075]

≪画像および関連情報≫
 ●「森友学園」問題の核心/マネーボイス/2017年3月
  ───────────────────────────
   森友事件はロッキード事件になぞられ「アッキード事件」
  ともいわれ、いまや安倍首相の辞任もあり得るとの観測さえ
  出てきている。そんななか、本紙は今後、安倍内閣ナンバー
  2の副総理・財務大臣も兼務する麻生太郎氏にも飛び火する
  可能性があるとの情報を掴んだ。
   すでに、公明党元幹事長でもあった前出・冬柴元国交相と
  同様、関西地盤の鴻池祥肇元財務担当大臣の森友学園に関す
  る口利き疑惑が飛び出しているが、その鴻池氏は麻生副総理
  の派閥(為公会)でナンバー2の会長代行を務める。だが、
  麻生副総理に飛び火しそうだと本紙がいうのは、そんなこと
  ではない。
   2017年3月2日発売の『週刊文春』(3月9日号)が
  この森友学園の国有地取得問題のキーマンだとして、川田裕
  介元鳩山邦夫事務所参与なる人物に実名で初告白させ、5頁
  の特集記事を載せている。この川田氏の告発によれば、安倍
  事務所にも出入りする一方、自分の息子が塚本幼稚園に通っ
  ており、「安倍晋三記念小学校」に入学予定という関係から
  森友学園の籠池泰典理事長の依頼を受け、14年夏ごろ、近
  畿財務局の庁舎で統括国有財産管理官と面談したという。
   だが、同記事には、重要な事実と思われることが抜け落ち
  ている。関係者によれば、川田氏はその前、別の政治家(当
  時)の名刺を使って動き出して以降、政治ブローカーに転じ
  ており、森友学園の件では自分で動いただけでなく、麻生副
  総理と懇意な人物=X氏のコネを使ったというのだ。
                  https://bit.ly/2F4drHP
  ───────────────────────────

取材を受ける冬柴大氏.jpg
取材を受ける冬柴大氏
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2018年04月23日

●「なぜ公明党は森友問題を避けるか」(第4750号)

 4月20日のEJ第4749号の最後の方でご紹介した産経新
聞(2015年9月4日付)の記事は、国会開会中の安倍首相の
大阪入りを、当時大阪市長を務めていた橋下徹氏との友好関係を
強調するためと述べています。
 森友学園の小学校建設をめぐる事件は、安倍政権の発足前、い
や、安倍自民党総裁誕生前の2012年7月頃からその動きが活
発化しているのです。舞台は大阪、安倍首相と親しい松井一郎大
阪府知事と橋下徹大阪市長の時代であり、行政の認可などの関係
で、小学校設立には絶好の環境が整っていたといえます。
 しかし、この大阪入りで安倍首相は、橋下市長はもとより、維
新関係者とは誰一人会っていないのです。官邸が本来の目的から
国民の目をそらすためにリークした情報を産経新聞がそのまま流
し、国民への目くらましに産経新聞は協力していたといえます。
 2012年9月4日の安倍首相の大阪入りの動静の詳細は、次
のようになっています。
─────────────────────────────
 ◎2015年9月4日/安倍首相動静
  0時13分:伊丹空港着
  0時39分:大阪市中央区の読売テレビ着
 13時30分:番組収録開始
 14時29分:番組収録終了
 15時03分:情報番組「ミヤネ屋」出演
 15時48分:読売テレビ発
 16時07分:大阪市北区海鮮料理店「かき鐡」着
 17時05分:「かき鐡」発
 17時34分:伊丹空港着
 18時08分:全日空36便で同空港発
 18時57分:羽田空港着。
 19時18分:車で羽田空港出発
 19時43分:自民党本部着
─────────────────────────────
 ここで、大阪市北区の海鮮料理店「かき鐡」とは、公明党の故
冬柴鐡三元国土交通相の次男、冬柴大氏が経営しています。ちな
みに、安倍首相の大阪入りには、首相秘書官の今井尚哉氏が同行
しています。添付ファイルの写真は、「かき鐡」のウェブサイト
に掲載されているものですが、今井首相秘書官が写っています。
 今井首相秘書官は、「かき鐡」で安倍首相と別れており、大阪
に残っています。首相と一緒に東京に戻っていないことだけは確
かです。今井秘書官の残った理由とは何でしょうか。
 今年の3月26日、参院予算委員会で民進党の増子輝彦議員が
安倍首相に質問すると、首相の答弁は急にシドロモドロになって
います。その一部を再現します。
─────────────────────────────
増子:今井さんは残ったんじゃないんですか。
安倍:残ったかどうかということについては、これは私もいます
   ぐにはお答えできません。しかしこれ調べればすぐわかる
   話でありますし、そこでですね。今井秘書官が近財の人び
   と等々と会ったということは、もちろんないということは
   申し上げられる。
増子:今井首相秘書官が、大阪に残ったのかどうかは「わからな
   い」と言うのに、なぜ、「近畿財務局の人とは会っていな
   い」と断言できるのですか。  https://bit.ly/2H9XyW6
─────────────────────────────
 ところで、森友学園事件には不思議なことがあります。それは
この事件に関して、公明党がほとんど質問しないことです。森友
学園が取得した小学校の土地は、石井国交大臣の所管する大阪航
空局の所有する国有地であり、事件とは無関係ではないにもかか
わらずです。これは不自然です。
 それも国会だけではないのです。大阪府議会でも、小学校の建
設予定地がある豊中市の議会でも、公明党の議員はまったく質問
していない。そのため、公明党の支持母体である創価学会の会員
の中には不満が渦巻いているといわれます。
 それは、公明党にとって質問できない事情があるからです。な
ぜなら、森友学園の土地の取得に関して公明党の関係者が深く関
与しているからです。謎を解くカギは、安倍首相が疑惑の3日間
の9月4日に「かき鐡」に寄ったことと関係があります。
 長岡昇氏の主宰する「情報屋台」というサイトがあります。そ
こに、2017年3月14日付で「森友学園で公明党が沈黙する
理由」という記事があります。そこには驚くべきことが明かされ
ています。その会合は、冬柴鐡三氏を偲んでの単なる食事会とい
う目的ではなかったのです。
─────────────────────────────
 公明党の議員はなぜこの問題に触れないのか。その理由を探っ
ていくと、一人の人物に辿り着きます。かつて国土交通相をつと
めた冬柴鉄三代議士(故人)の次男、冬柴大(ひろし)氏です。
(中略)官僚側のキーパーソンが財務省の前理財局長、迫田英典
氏とするなら、民間側のキーパーソンは、この冬柴大氏と言って
いいでしょう。
 日刊ゲンダイの電子版(3月8日)は、経営が思わしくない森
友学園は小学校の建設資金に窮していたが、ある都市銀行が20
億円を超す融資に応じたと報じました。そして、その融資を仲介
したのは「大臣経験者の子息A氏ではないか、という憶測が流れ
ている」と伝えています。日刊ゲンダイの取材に対して、A氏は
「その日に安倍首相と会食したのは事実です」と認めたものの、
融資の仲介については「まったくありませんでした」と否定しま
した。この「A氏」が冬柴大氏で、融資に応じたのは彼がかつて
勤めていた「りそな銀行」と見られています。
                  https://bit.ly/2n6RGQb
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/074]

≪画像および関連情報≫
 ●日本共産党・大阪PT(プロジェクトチーム)の活動から
  ───────────────────────────
   「森友疑惑」には多くの複雑怪奇な「闇」があります。そ
  のなかで私たちは、「国有地売買疑惑」「私学認可ありき疑
  惑」の太い筋で狙いを定めました。調査項目・対象を決め、
  材料や情報を持ち寄っては、真偽を見極め、さらに掘り下げ
  る。これが毎回の議論の中心でした。
   関係者の取材は数十人に及びます。同時に、「共産党なら
  明るみにだしてくれるはず」との信頼のもと、膨大な情報、
  資料が寄せられました。
   チームのもう一つの仕事は、情報を発信し、府民世論に働
  きかけることです。3月初め小池晃書記局長を迎えての「瑞
  穂の國小学院」視察と千里中央での街頭演説は、小池さんが
  国会で自民党の鴻池参議院議員事務所での「面談記録」を明
  るみにだした直後でもあり、メディアが殺到しました。3月
  11日にはこの問題を国会で初めて取り上げた宮本岳志衆議
  院議員と辰巳孝太郎参議院議員、宮原たけし府議団長、山本
  一徳豊中市議による緊急国会報告会を開催しました(6月に
  も開催)。
   こうした活動を「JCP大阪ビラ・森友疑惑追及特集号」
  として、これまでに第7弾まで発行しました。そのために特
  別の「森友追及募金」を訴えると、これまでに400万円以
  上が託されています。この場を借りて心からお礼を申し上げ
  ます。             https://bit.ly/2qNAQYU
  ───────────────────────────

2015年9月4日/大阪「かき鐡」にて.jpg
2015年9月4日/大阪「かき鐡」にて
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2018年04月20日

●「安倍首相疑惑の3日間を解明する」(EJ第4749号)

 森友学園の小学校新設問題に安倍首相自身が関わっていたかど
うか──この疑惑を解くカギとなるのは「疑惑の3日間」といわ
れる次の3日間です。
─────────────────────────────
       2015年9月3日・4日・5日
─────────────────────────────
 疑惑の3日間の第1日目である9月3日、安倍首相は官邸で、
財務省の岡本薫明官房長(当時)と迫田英典理財局長(当時)に
会っています。しかし、一般論として、首相が財務省の局長クラ
スと会うことは異例であり、まして理財局長と会うことはさらに
珍しいことです。
 しかも安倍首相は、迫田理財局長にこの日を含めて2015年
中に5回も会っています。ちなみに、これは「首相動静」に出て
いるだけで5回であり、場合によってはもっと会っている可能性
すらあります。迫田氏が安倍首相の地元、山口県の出身であるか
らでしょうか。そうであるとしても、首相が5回も理財局長に会
うことはあり得ないことです。
 さて、理財局の「理財」とは「財産の運用」を意味する古い言
葉で、国有地や政府庁舎などの国有財産を管理したり、国の借金
にあたる国債を発行したりする部署です。したがって、安倍首相
が国有地の売買に関わる用事で理財局長に会い、何らかの指示、
依頼をした可能性が十分あります。
 疑惑の3日間の第2日目である9月4日、このときは国会の会
期中であり、安保関連法制が成立目前で、国会内外が騒然として
いたのです。そのような日に安倍首相は、国会をさぼって、大阪
に出張しています。そのとき、今井尚哉首相秘書官も同行してい
るのです。
 表向きの目的は、読売テレビの「情報ライブミヤネ屋」に生出
演するためです。ちなみに、この読売テレビは、近畿財務局から
車で5分ほどの距離にあります。距離的にきわめて近いのです。
 この9月4日には、首相とは別行動ですが、安倍昭恵夫人も大
阪に出掛けています。その詳細が、古賀茂明氏と東京新聞記者の
望月衣塑子氏の共著の新刊書において、望月氏の言葉として、次
のように出ています。
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 安倍夫妻は9月4日、大阪へ向かいます。まず、昭恵夫人の動
きを追ってみたいと思います。夫人は別行動で、大阪入りしてま
ず。市内の住吉大社に正式参拝。その後奈良の重心道教室に向か
います。住吉大社の神武磐彦権宮司は道徳団体モラロジー研究所
の新成人感謝の集いで記念講話を行ったことがあります。モラロ
ジーは大阪府私学審議会会長の梶田叡一氏が共著で出版した『日
本再生と道徳教育』なる書籍の出版元でもあります。しかも、神
武権宮司の娘・神武幸代氏は、谷査恵子氏と同じく国家公務員。
彼女もまた昭恵夫人付き職員としてこの日の住吉大社参拝に同行
しています。私人と閣議決定された昭恵さんですが、実際は国家
公務員の秘書二人を従え、大阪、奈良と駆け回っていました。し
かもそれらはすべて森友学園に繋がっていたのです。
 そして夫人は、奈良学園大学の信貴山グラウンドで行われた重
心道陸上クラブの親子重心道教室に参加。ここで梶田叡一氏と同
席。もちろん昭恵夫人付きの谷査恵子氏も同行しています。森友
学園の小学校認可に極めて大きな力を持つ梶田氏と、当の小学校
の名誉校長になる昭恵さんが同じ教室に参加していたのは単なる
偶然でしょうか。       ──古賀茂明/望月衣塑子共著
         『THE独裁者/国難を呼ぶ男!安倍晋三』
                    KKベストセラーズ
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 このことでわかることは、昭恵夫人の行動は、明らかに小学校
の認可を睨んでの行動であるということです。
 その同じ9月4日の午前中には、森友学園の建築業者と財務省
近畿財務局が重要な会談しています。会談内容の詳細については
4月3日付、EJ第4736号で述べています。
─────────────────────────────
           2018年4月3日/EJ第4736号
「8億円値引きの根拠は虚偽である」 https://bit.ly/2Gt4bym
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 この会議において、予定になかった産廃物が見つかったとして
処分費用の上乗せを求める業者に対し、近畿財務局は「場内処分
の方向」で業者に協力を要請しています。これは近畿財務局の判
断では対応できないことです。本来であれば、この会合の記録は
当然あるべきですが、佐川理財局長(当時)は「破棄して存在し
ない」と衆院予算委員会で明言しています。3日の安倍首相と迫
田理財局長(当時)の会談との関係が疑われます。
 9月4日、安倍首相は、情報番組「情報ライブミヤネ屋」に生
出演し、重ねて情報番組「そこまで言って委員会」の収録も行っ
ています。国会会期中の忙しいときに、このような民放テレビ番
組の収録のためにわざわざ大阪まで出かけるのは、明らかに不自
然なことです。
 2015年9月4日付、産経新聞では、安倍首相の大阪訪問に
ついて次のように述べています。
─────────────────────────────
 安倍晋三首相は4日、大阪市を日帰りで訪問した。国会開会中
の平日に首相が大阪人りするのは異例だが、首相には新党結成を
目指す大阪維新の会代表の橋下徹大阪市長との友好関係を強調す
る狙いがあった。自民党総裁選後の中長期の政権運営を見据えれ
ば、政治思想が近い橋下氏の存在は欠かせないからだ。
            ──2015年9月4日付、産経新聞
─────────────────────────────
 いかにも維新関係者との会談が用事であるように書いています
が、安倍首相はこの日の大阪訪問で、維新関係者とは誰とも会っ
ていないのです。    ──[メディア規制の実態/073]

≪画像および関連情報≫
 ●森友学園問題のキーマンと疑惑の3日間/2017.3
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   大阪の森友学園への国有地払い下げ問題は、ますます奇怪
  な様相を呈してきました。学園の籠池泰典理事長の言動は支
  離滅裂ですが、国有地の売却を決めた財務省の対応も奇怪で
  す。この問題を所管する理財局の佐川宣寿局長は、3日の参
  議院予算委員会で次のように答弁しています。
   「2012年の閣僚懇談会の申し合わせで、(政治家の不
  当な働きかけがあれば)記録を保存することになっています
  が、不当な働きかけが一切なかったので、記録は保存されて
  いません」。
   この人は官僚としては優秀なのかもしれませんが、役者と
  しては「折り紙付きの大根」です。何かを、そして誰かをか
  ばおうとしていることが見え見えです。佐川局長はこれに先
  立つ、2月24日の衆議院予算委員会では次のように答弁し
  ています。
  福島伸享議員「このような異例中の異例のやり方で(国有地
  の処分を)やっている時の理財局長はどなたでしょうか?」
  佐川理財局長「えーと、今、手もとに資料がございません。
  大至急、調べてきます。(質疑を中断)前々任者ということ
  であれば、えーと、中原でございます」。
  福島議員「なんでそんなにとぼけるんですか。(平成)27
  年から28年、前任者の理財局長!」
  佐川理財局長「27年から28年の夏という意味で言えば、
  迫田でございます」。      https://bit.ly/2EZXAdd
  ───────────────────────────


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posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | メディア規制の実態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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