2021年11月26日

●「クリプトキティ/ダップスの創始」(第5621号)

 LINEの「LINKチェーン」の話の続きです。土台に「L
INKネットワーク」(LINEブロックチェーン)があって、
その上に「LINKフレームワーク」があります。
 LINKフレームワークは、ログイン時の自動ウォレットの作
成や秘密鍵の安全管理を行うとともに、LINKチェーン上のプ
ラットフォームとして、各種ダップス(dApps) の開発基盤とし
て機能しています。
 さて、またしてもダップス(分散型アプリケーションdApps)
です。LINEは自社開発のダップスに加えて、開発キットなど
を提供し、他社開発のダップスも受け入れ、サービスの多様化を
図ろうとしています。2020年10月1日現在、次の8種類の
ダップスが登録されています。
─────────────────────────────
 1.「Knight Story」 ・・・・・ モバイルRPGゲーム
 2.「linksign」 ・・・・・・・・・ 電子契約サービス
 3.「aFan」 ・・・・・・・・・・ ソーシャルメディア
 4.「リーグオブキングダム」 ・・・ ММO戦略ゲーム
 5.「CryptoDozer」 ・・・・・  コインプッシュゲーム
 6.「SOMESING」 ・・・・・・・ ソーシャル・カラオケ
 7.「Theta.tv」 ビデオストリーミングプラットフォーム
 8.「Crypto Sports」 ・・・・・・  スポーツ・ゲーム
                 https://bit.ly/32jYmmB
─────────────────────────────
 「ダップス/dApps)」 について復習します。ダップスが分散
型アプリケーションといわれるのは、中央集権的なサーバーが存
在せず、そのネットワーク(ブロックチェーン)に参加している
全コンピュータが、アプリケーションを動かしているところにあ
ります。中央集権機構のない分散型の仕組みです。
 こういうことをいうと話がややこしくなりますが、「ビットコ
インは最初のダップスである」ということができます。ビットコ
インは、暗号資産であり、決済手段としての特徴のみが注目され
ますが、PCやスマホなどの電子機器にインストールするアプリ
ケーションであるという見方もできます。この見方に従うとビッ
トコインはオープンソースであり、ブロックチェーンでその記録
が保存されるため、ビットコインはアプリケーションのなかでも
ダップスであるということができます。こういってしまうと、す
べての暗号資産はダップスであるということになってしまいます
ので、いわゆる暗号資産──ピッコインやイーサリアムとダップ
スは、分けて考えたほうがわかいやすいと思います。
 ここで大変有名なダップスの例をご紹介します。イーサリアム
のダップスの1つで、リリースされたのは2017年11月28
日のことです。
─────────────────────────────
     ◎猫を育てる育成ゲーム
      「クリプトキティ(Cryptokitties)」
─────────────────────────────
 どんなゲームかというと、オンラインで猫を買って育て、猫同
士を交配させることで、希少度の高い猫を産ませると、イーサリ
アムの暗号通貨「イーサ/ETH」建てで販売することができま
す。猫の希少度により販売するときの価格が変わるため、珍しけ
れば珍しいほど高い価格で取引されるのです。
 まず、始めるのに何をすればよいか、少し具体的に書きます。
このことを知ると、LINEユーザーがLINEのダップスを利
用することがいかに便利であることがわかります。
─────────────────────────────
     1.国内暗号資産取引所で口座を開設する
     2.ウォレットを作り、登録手続きを実施
     3.国内取引所においてイーサを購入する
     4.イーサを自身のウォレットに送金する
     5.ウォレットと、クリプトキティの同期
     6.クリプトキティで猫を物色し購入する
─────────────────────────────
 猫にはそれぞれ価格がついており、他の猫と交配させることに
よって変種を生み出すことができれば、その猫は高値で売買する
ことができます。ちなみに、クリプトキティには、雄と雌という
概念はないことになっています。
 このクリプトキティというゲームには、次の3つの重要な特色
があります。
─────────────────────────────
     1.ダップスの先駆的な存在であること
     2.シンプルなゲームで性を備えている
     3.NFTゲームの先駆的な存在である
─────────────────────────────
 このゲームがリリースされたのは、2017年11月のことで
あり、ダップスやNFTの概念があまり知られていないときだっ
たので、新しい技術への期待から、多くの人がこのゲームに熱中
したといわれます。
 しかし、当時ダップスの存在を知っていたのは、一部の専門家
だけだったと思います。ブロックチェーン上のゲームといわれて
もピンとこなかったのは当然といえます。
 なお、「NFT」という概念は、少していねいな説明が必要な
ので、来週のEJで改めて述べるとして、なぜ、流行ったかにつ
いては、そのシンプルなゲーム性につきます。
 猫を売買、交配して自分だけの猫を集めるという、育成・コレ
クト型のゲームであり、目的やゴールがなく、売買と交配のみを
行うゲームで、シンプルなゲーム性となっているため、普段ゲー
ムをプレイしない人でも簡単に遊ぶことができます。また、猫の
可愛いイラストなども相まって幅広い方から人気を集めたものと
思われます。
             ──[デジタル社会論V/075]

≪画像および関連情報≫
 ●DApps(自律分散型アプリケーション)とは。活用事例や
  金融分野の動向を探る
  ───────────────────────────
   仮想通貨に興味がある人はDApps(ダップス) という言葉
  を一度は耳にしたことがあるかもしれません。現在は多くの
  分野でダップスが開発されており、オクトノット編集部では
  各業界から注目を集めているダップスのことを詳しく調べて
  みました。活用することのメリット・デメリットだけでなく
  今後金融業界のどのような分野で活用できそうなのか詳しく
  見ていきましょう。
   ダップスとは、Decentralized Applications を省略した
  ものです。中央管理者(企業や団体といったサービスを提供
  する主体)なしに提供される、自律分散型アプリケーション
  です。主にブロックチェーン上でスマートコントラクトを利
  用し作動します。
   ブロックチェーンとは、ネットワークに参加している人達
  が同一内容のデータを持っていて、取引の内容を参加者全員
  が見られるシステムです。チェーンでブロックをつないでい
  くようにデータを保存します。
   また、スマートコントラクトとは、ブロックチェーンの取
  引に関してあらかじめ決められたルールにより、自動的に実
  行されるプログラム。つまり、皆さんが使うスマホアプリや
  その機能そのものですね。これにより、アプリ内のデータ安
  全性と整合性が保たれます。   https://bit.ly/3FCqWhB
  ───────────────────────────
ダップス.jpg
ダップス
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | デジタル社会論V | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月25日

●「LINEトークンエコノミー構想」(第5620号)

 もし、LINEが独自のブロックチェーンを構築しないで、す
でに公開されている既存のブロックチェーンのプラットフォーム
を借りてトークンを発行する場合、LINEのユーザーが、その
サービスを利用するには、ユーザー自身がウォレットを自分で作
り、管理する必要かあると那須利将氏は述べましたが、確かにそ
の管理は相当大変です。
 LINEユーザーとしては、単なるLINEのなかのサービス
を利用するだけなのに、外部企業のウォレットの作成や管理をや
らなければならないとしたら、そのようなサービスは誰も利用し
ないと思うので、独自のブロックチェーンを構築するというのは
的確な判断だったと思います。
 そもそも「ウォレット」とは何でしょうか。
 ウォレットは、暗号資産参加者がそれぞれ持つ「財布」のよう
なものです。ウォレットには種類があって、インターネットにつ
ながっているものを「ホットウォレット」、つながっていないも
のを「コールドウォレット」といいます。ホットウォレットは便
利な半面、ハッキング被害のリスクがあり、コールドウォレット
はセキュリティには強いが、使い勝手がよくないデメリットがあ
ります。ウォレットについて、少し詳しく説明をしておくことに
します。
 このようにウォレットは「財布」と訳されるので、あたかもそ
こに暗号資産を格納して保管するイメージですが、実際は異なり
ます。ウォレットについて坪井大輔氏は、次のように述べていま
す。文中の「ビットコインネットワーク」は、「暗号資産ネット
ワーク」と置き換えてください。
─────────────────────────────
 個人が自分の責任で管理するIDとパスワードによって、ビッ
トコインネットワーク内でウォレットを手に入れます。実はこの
ウォレット、日本語で「財布」を意味しますが、中に仮想通貨が
入るわけではありません。ウォレットに保管されるのは、IDに
紐づいた、このIDだけの「秘密鍵」と「公開鍵」という特別な
鍵だけです。               ──坪井大輔著
      『なぜ、ブロックチェーンなのか?』」/翔泳社
─────────────────────────────
 暗号資産のウォレットには、2つの鍵/公開鍵と秘密鍵の2つ
があります。公開鍵とは、ウォレットを通して暗号資産を受け取
るときに必要になるものです。実際に暗号資産を受け取るときは
この公開鍵を使って生成した「公開鍵のウォレットアドレス」と
いうものを、送り主に教えます。
 公開鍵のウォレットアドレスは銀行の口座番号のようなもので
あると考えるとよいでしょう。これとは反対に、暗号資産を誰か
に送金するときには、事前にこの公開鍵のウォレットアドレスを
教えてもらい、そのアドレスを宛先に指定して送金することにな
ります。
 これに対して秘密鍵とは、仮想通貨を送金するときに必要にな
るもので、パスワードのようなものだとイメージしてください。
銀行を通して誰かに送金するときにパスワードが必要になるのと
同じです。
 秘密鍵も公開鍵と同様、実際に仮想通貨を送金する際には、秘
密鍵のウォレットアドレスを生成して、そのアドレスをパスワー
ドのように入力することになります。ただし、秘密鍵は再発行で
きないという点に注意が必要です。だからこそ、管理が重要なの
です。
 銀行カードのパスワードを忘れてしまった場合は、銀行に問い
合わせて、パスワードを再発行してもらうことができますが、暗
号資産には銀行のような管理者がいないため、全て自己責任とい
うことになってしまいます。また、パスワードと同様、秘密鍵を
他人に知られてしまうと、勝手に仮想通貨を送金されてしまうこ
とになる点にも注意が必要です。
 LINEの那須利将氏の講演に戻ります。那須氏は、ここで、
「リンクチェーン/LINK Chain」の構造図(添付ファイル)」を
スライドで示します。
 「リンクチェーン」は、次の三層構造になっています。下から
上の順に書くと、次のようになります。
─────────────────────────────
    1. リンクネットワーク/LINK Network
    2.リンクフレームワーク/LINK Framework
    3.      ダップス/DApps
─────────────────────────────
 このスライドを示して那須氏は、「リンクチェーン」について
次のようにコメントしています。
─────────────────────────────
 突然「dApps」 と、見慣れない言葉が一番上に出てきていると
感じる方がいるかもしれません。一般的に、ブロックチェーンの
プラットフォームの上で動かすアプリケーション、もしくは、ブ
ロックチェーンのプラットフォーム機能を使ったサービスをダッ
プスと呼んでいます。        https://bit.ly/3CEMsQI
─────────────────────────────
 やっばりという感じです。狙いは「ダップス/dApps」 です。
LINEの狙いはこれにあります。
 土台である「リンクネットワーク」とは、ブロッチェーンその
ものです。ブロックチェーンには、「コンセンサス・アルゴリズ
ム」によってユーザーのリクエスト、トランザクションを承認し
たかたちとしてのブロックというデータ構造を生成する重要な働
きがあります。
 中間の「リンクフレームワーク」は、サービスログインするだ
けで、ウォレットの自動作成、秘密鍵の安全管理が行えるように
なっています。そして、ダップスを開発するためのサポートをす
るのが、中間部分です。「ダップス/dApps」 については、明日
述べます。        ──[デジタル社会論V/074]

≪画像および関連情報≫
 ●仮想通貨LINKとは?今後の可能性や特徴について解説
  ───────────────────────────
   「LINK(リンク)」は、日本国内で7000万人もの
  ユーザーを擁し、名実ともに社会インフラに近い存在となっ
  ているメッセージアプリ「LINE」の運営会社、LINE
  社が開発・運営している仮想通貨です。
   私たちは日常生活でLINEアプリを用いることが多いで
  すが、そのなかで仮想通貨の話やLINKの話に触れること
  はほとんどありません。そのため、LINEユーザーであっ
  ても、LINKのことは知らないという人がほとんどではな
  いでしょうか。
   しかし、LINKはLINE社が本腰を入れて開発し、普
  及を目指している仮想通貨であり、その構想は壮大です。L
  INKは、LINE社が構想を描いている「LINEトーク
  ンエコノミー」で基軸通貨とすることを目指しています。こ
  のLINEトークンエコノミーとは、LINEが開発してい
  るブロックチェーン「LINE Blockchain」 を基盤としたエコ
  システム上にさまざまなサービスを展開する構想です。
   LINE社はこうした経済圏の構築には基軸通貨が欠かせ
  ないとして、独自通貨のLINKを開発しました。仮想通貨
  LINKは、メッセージアプリのLINEを開発・運営して
  いるLINE社によって開発されました。その目的はLIN
  Eトークンエコノミーという経済圏構想の中で基軸通貨とし
  て流通させることで、その計画に向けて着々と準備が進めら
  れている段階です。       https://bit.ly/3r0OsRg
  ───────────────────────────
リンクチェーンの構造.jpg
リンクチェーンの構造
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2021年11月24日

●「なぜいまブロックチェーンなのか」(第5619号)

 LINEトークン・エコノミーについて、多くの情報が集まっ
てきています。そのなかで、2018年11月21日、LINE
株式会社のエンジニア向け技術カンファレンス「LINEデベロ
ッパーデイ/2018」における同社ブロックチェーン・ラボの
那須利将氏による講演はとても参考になったので、難しい部分は
省いてご紹介します。
─────────────────────────────
 ◎なぜ、ブロックチェーンなのか?
 LINEトークン・エコノミーのねらいとアーキテクチャー
                  https://bit.ly/3HGtSeH
─────────────────────────────
 LINEには、「LINEポイント」というものがあります。
LINEポイントは、LINEサービスを利用することによって
獲得できるポイントであり、通常のポイントと同様に、「1ポイ
ント=1円」として使えます。
 LINEポイントの便利なことは、アマゾンギフト券、ナナコ
ポイント、ポンタポイントなどへの交換ができることであり、逆
に他社サービスから、LINEポイントへの交換も可能です。そ
れだけではなく、LINEペイ残高に交換すれば、銀行から現金
で出金も可能です。
 那須利将氏は、2017年9月から2018年8月までの1年
間のポイント発行数を次に示しています。
─────────────────────────────
      32,834,324,740ポイント
       2017年9月〜2018年8月まで
─────────────────────────────
 実に320億ポイントです。大変な人気ですですが、これに対
して那須利将氏は、これでも顧客還元として十分ではないとし、
いろいろ模索した結果、ブロックチェーン技術にに行き着いたこ
とについて、次のように述べています。
─────────────────────────────
 みなさんの財布には多くのポイントカードがあったり、各種オ
ンラインサイトでも、多くのポイントを持っているのではないの
でしょうか。それは、サービス提供者が対価を還元したいという
証拠ではありますが、そのまま、捨てられてしまっているものが
あったり、単純にユーザーのサイトを圧迫しているものがあった
り、有効期限によりポイントが失効してしまったりと、サービス
提供者にとってもユーザーにとっても、望ましい結果になってい
るとは言い難い状況だと思います。
 こういった流れがあり、LINEはユーザーへの公平な還元、
つまり透明性と安全性が確保されたサービスの提供という2つを
改善すれば、より良いサービスを提供できるのではないだろうか
と考えるようになりました。
 そこで注目したのが仮想通貨・ポイント・コンテンツ・自己証
明など、透明性と安全性があり、トークンを発行してエコノミー
を実現できるブロックチェーン技術でした。 ──那須利将氏
─────────────────────────────
 例えば、ある月、あるユーザーが、サービスから受け取ったポ
イントが6ポイントだったとしましょう。ところがその次の月は
先月とはとくに変化がないのに1ポイントしかもらえなかったと
しましょう。なぜそうなったのか、ユーザーは当然疑問に思うは
ずです。ユーザーはサービスに対して、なぜ、5ポイント減った
のか、発行しているルールを教えてくれ」と考えるはずです。
 那須利将氏は、こういうことはあってはならないとし、還元ル
ールをすべてオープンにして、そこに透明性を持たせるべきだと
考えたのです。これを実現するには、ブロックチェーン技術しか
ないとして、次のように述べています。
─────────────────────────────
 ブロックチェーンの技術は、サービスからユーザーへの還元ル
ールから還元履歴まで、すべてがオープンで、誰でも閲覧できる
ようになっており、還元された対価の減少を多くの人が共有する
ことで、盗難されても、どのユーザーにポイントが移動したかす
ぐに確認できるようになっています。
 また、履歴管理をしているからこそ、改ざんしても過去のデー
タとの整合性が容易に崩れるようなデータ構造になっており、安
全な管理を実現しています。ですから、サービスからユーザーへ
の還元手段として、新たにブロックチェーンの技術を使い、トー
クンというかたちでシンプルに実現し、必要があればオンライン
で価値を交換できるようにすることで、複雑な手続きを介さず、
発生する手数料は本当に必要最小限で、ユーザーに対価の還元が
できるモデルを新しく開発できると考えるようになりました。
                     ──那須利将氏
─────────────────────────────
 那須利将氏の話によると、LINEが一番悩んだのが、ブロッ
クチェーンを独自に構築するか、すでに公開されているプラット
フォームを利用するかの判断です。しかし、ブロックチェーンを
独自にするとなると、時間も費用もかかるし、技術的にも大変で
あることは目に見えています。
 したがって、普通は既存のブロックチェーンのプラットフォー
ムを利用として構築するのですが、この場合、ユーザーが取引所
に口座を登録する必要があったり、ユーザー自身がウォレットを
作る必要があって、そこで自分の「秘密鍵」を作って管理しなけ
ればならないなど、開発側にとってもユーザーにとっても、面倒
で、リスクのあることが多いのです。
 そこで、LINEとしては、ユーザーにとっても開発者にとっ
ても、アクセスしやすいLINE独自のブロックチェーンプラッ
トフォームとして、「リンクチェーン/LINK Chain」を作ること
にしたのです。LINE独自のプラットフォームであれば、ユー
ザーに安心して使っていただけると確信したからです。
            ──[デジタル社会論V/073]

≪画像および関連情報≫
 ●沸騰するNFT市場。LINE発・仮想通貨の真のすごさと
  は?執行役員を直撃
  ───────────────────────────
   ビットコインが500万円前後を推移し、盛り上がりを見
  せる仮想通貨(暗号資産)市場。直近のブームはなんと言っ
  ても「NFT」だが、2018年からこの領域に取り組んで
  きたのがLINEだ。LINEはなぜ、これほどまでに仮想
  通貨に力を入れてきたのか?LINEの仮想通貨関連・ブロ
  ックチェーン事業を統括する子会社・LVC社の執行役員、
  米山裕介氏とブロックチェーン事業企画マネージャー、田中
  遼氏に聞いた。NFT:ノン・ファンジブル・トークン(非
  代替性トークン)。ブロックチェーン技術を使ったデジタル
  資産の一種。画像や音声など特定のデータを、唯一無二のも
  のとして証明できる。
   楽天は8月30日、2022年春に「Rakuten NFT」 の提
  供を開始すると発表した。すかさずGМOも8月31日、N
  FTマーケティングプレイス「アダム/GМO」β版をサー
  ビス開始。同サービスでは、漫画家の東村アキコさんの作品
  の販売も予定されている。仮想通貨取引所大手「コインチェ
  ック」「bitFlyer」もそれぞれNFT市場への参入を図る。
   大手ネット企業も次々とNFT事業へ参入する中、LIN
   Eは6月、満を辞してNFTを売買できるサービス「NF
  Tマーケットβ」をスタート。8月末から9月末にかけては
  クイズに答えると先着20万人にLINEの公式キャラクタ
  ー「BROWN & FRIENDS」 のNFTトレーディングカードが
  もらえるキャンペーンも実施。このNFTトレカは今冬以降
  ヤフオク!での売買ができるとも発表されている。
                  https://bit.ly/3cxiC62
  ───────────────────────────
LINEブロックチェーン・ラボ/那須利将氏.jpg
LINEブロックチェーン・ラボ/那須利将氏
posted by 平野 浩 at 06:11| Comment(0) | デジタル社会論V | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月22日

●「LINEトークンエコノミーとは」(第5618号)

 ある通販サイトがあるとします。通販サイトで商品を売る場合
顧客に強い影響を与えるのは、何といっても商品レビューです。
企業がPRするのではなく、実際にその商品を購入し、使った顧
客のコメントですから、信用できるのです。
 しかも、その通販サイトを出している企業はトークンを発行し
ていて、そのサイトでは、商品レビューを投稿すると、お礼とし
てトークンがもらえるとします。しかも良質のレビューであれば
あるほど、もらえるトークンが多くなるのです。
 これを続けると、そのサイトの商品レビューのコンテンツの質
は高くなり、より多くのユーザーが、サービスを利用するために
集まり、受け取ったトークンを使って、サービス内で商品を購入
したり、サービス内のユーザー同士でトークンを送りあったりす
ることで、トークン自体の価値が上がり、サービスだけでなく、
ユーザーにも経済的価値が還元されることになります。このよう
にして、トークンエコノミーが形成されていきます。
 これを狙っている企業があります。それはLINEです。LI
NEは、かねてから独自に開発したプライベートブロックチェー
ン「LINEブロックチェーン」(旧名称LINKチェーン)を
ベースにして発行された暗号資産「LINK」をサービス成長に
貢献したユーザーに向けたインセンティブとして使うことを目的
として、誕生させています。
 LINEの暗号資産LINKの最新の状況(2021年11月
現在)を以下に示しておきます。
─────────────────────────────
   仮想通貨名     ・・・ LINK(リンク)
   ブロックチェーン名 ・・・ LINE Blockchain
   ティッカーシンボル ・・・ LN
   現在の価格 ・・・・・・・ \21,082.910
   時価総額 ・・・・・・・・ \125,987,227,030.65
   時価総額ランキング ・・・ 220位
   購入できる取引所 ・・・・ LINE BITMAX
                 https://bit.ly/3nqyKNb
─────────────────────────────
 暗号資産であるLINKは、LINEアプリを運営するZホー
ルディング傘下「LVC社」が開発した「LINEブロックチェ
ーン」内で流通する基軸通貨です。LINEは、2018年8月
から、LINEブロックチェーンとLINKを基盤とした「LI
NEトークンエコノミー構想」を提唱しており、それに向けて開
発やアプリケーションの拡充などを進めています。
 2018年には、博報堂の社内において、博報堂グループの組
織横断の専門プロジェクトチーム「博報堂ブロックチェーン・イ
ニシアチブ」が立ち上がっています。このPTでは、ブロックチ
ェーンを「コミュニティーを形成するために適したツール」とし
て位置づけていて、一般にいわれる「トークンエコノミー」とい
う観点ではなく、「トークンコミュニティー」という観点から、
さまざまな施策を考えていることに特色があります。このPTに
おいて、リーダー的役割を占めるのは伊藤佑介氏ですが、彼はブ
ロックチェーンを「コミュニティーを形成するために適したツー
ル」として位置づけていて、一般にいわれる「トークンエコノミ
ー」という観点ではなく、「トークンコミュニティー」という観
点から、さまざまな施策を考えているといっています。これにつ
いて伊藤佑介氏が、なぜ「トークンコミュニティー」というかに
ついて論じているサイトでは、伊藤氏の構想について次のように
述べています。
─────────────────────────────
 この「トークンコミュニティー」という単語は伊藤氏が業界団
体で提唱し始めた言葉だという。その理由として「トークンエコ
ノミー」という言い方になじめなかった点を指摘している。「エ
コノミー」というと「商圏」という意味が強すぎて、経済的(=
貨幣)なものが関わっていないと回らないというイメージがある
が、経済価値以外のなにかを乗せることができるということを、
商圏ではなく、同じ価値観を持つ集団がコミュニティーだと考え
たいという。           https://bit.ly/30B4RRm
─────────────────────────────
 「トークンコミュニティー」について、LINEの出澤剛CE
Oは、記者からの質問を受けて、「スマートフォンという非常に
大きな変化の流れの中で、コミュニケーションで言えば、LIN
Eはプラットフォームになったといえるが、スマートフォンの次
のプラットフォームは何なのだろうという考え方から出てきてい
る」と述べています。そして、ブロックチェーンについては次の
ように述べています。2019年3月の時点でのコメントです。
─────────────────────────────
 ブロックチェーンにおいては、LINEが提供しているLIN
Eペイだとか、準備中の新銀行という金融の流れとは少し違った
パラレルワールドというか、そこの延長線上にあるというものと
いうより、別の次元のチャレンジとして進めています。将来的に
は、なだらかなグラデーションが起きながら、いまの金融サービ
スとLINEトークン・エコノミーが融合していく可能性はもち
ろんあるんですけど。我々は今、ブロックチェーンという大きな
技術的トレンドでどんなことができるのか、または世の中にどん
なインパクトを与えられるのかを探りながら、チャレンジしてい
るところです。ブロックチェーンとかクリプトカレンシー(仮想
通貨)では、一時の熱狂的ブームは過ぎて、逆に、より本質的に
なってきて、見直されてきているように思います。
                 https://bit.ly/3DskRDz
─────────────────────────────
 LINEの「トークンコミュニティー」については、まだ情報
が不足しており、これについては、新情報を求めつつ、EJとし
てご紹介していきたいと考えています。
             ──[デジタル社会論V/072]

≪画像および関連情報≫
 ●ついに本腰を入れた!LINEのトークンエコノミーとは?
  そのビジネス領域は一体何なのか?
  ───────────────────────────
   LINEは国内で多くのユーザーがいるコミュニケーショ
  ンツールです。LINEはコミュニケーションツールとして
  発展するだけではなく、独自の経済圏を形成しようとしてい
  ることをご存知でしょうか。
   2018年にLINEはトークンエコノミーの構想を発表
  して、2020年8月には独自に開発したブロックチェーン
  の商業化を始めました。いよいよLINEのトークンエコノ
  ミーが開始したとのことで、多くの企業が利用申請をしてい
  ます。この記事ではLINEが本腰を入れたトークンエコノ
  ミーと今後の展開についてご説明します。はじめにLINE
  のトークンエコノミーを語る上で欠かせないブロックチェー
  ンについてご説明します。
   ブロックチェーンとは、中央集権型の管理システムではな
  く、大勢の参加者によって運営される仕組みです。この仕組
  みからブロックチェーンのことを分散型台帳と呼ぶことがあ
  ります。具体的な活用方法としては、銀行のようにお金の管
  理や顧客データの管理があります。それらのデータはブロッ
  クチェーン上で暗号化されて簡単に改ざんすることができま
  せん。データの信頼性と透明性から高いセキュリティ性の確
  保が可能となっています。これまでブロックチェーンと聞く
  と、ビットコインや、イーサリアムなどの暗号通貨(仮想通
  貨)を運用するためのものと思われてきました。しかし、ブ
  ロックチェーンは通貨の運用だけではなく株式などの有価証
  券といった金融分野への応用もなされているわけです。
                  https://bit.ly/3x1gu06
  ───────────────────────────
LINEトークンエコノミーについて語る出澤剛CEO.jpg
LINEトークンエコノミーについて語る出澤剛CEO
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2021年11月19日

●「トークンはコミュニティをつくる」(第5617号)

 暗号資産(仮想通貨)、トークン、ブロックチェーンなどの関
係を追及していきます。
 トークンは、「何らかの概念を定量的に表現しやすく置き換え
たもの」のことであり、この考え方に立つと、あらゆるものをト
ークンと考えることができます。昨日のEJで述べたように、暗
号資産(仮想通貨)もトークンも「ファンジブルトークン」のな
かに入るのです。
 それでは、暗号資産(仮想通貨)とトークンは、どのように違
うのでしょうか。
 トークンも仮想通貨も、ブロックチェーン技術を基に作られる
電子通貨である点は同じですが、基になるブロックチェーンが独
自のものか、既存のものかによって異なってきます。
 例を上げます。「ザイフトークン」と「フィスコトークン」と
呼ばれるトークンがあります。「ザイフトークン」は、暗号資産
「ネム」という独自のブロックチェーンを利用して作られていま
すし、「フィスコトークン」は、暗号資産「ビットコイン」のブ
ロックチェーンを利用して作られています。
 つまり、独自のブロックチェーンとは、ある暗号資産、たとえ
ばビットコインを立ち上げるために独自に作られたブロックチェ
ーンのことで、それら既存のブロックチェーンを利用して作られ
た暗号資産が「トークン」と呼ばれるのです。
 それでは、独自のブロックチェーン上に作られた暗号資産(仮
想通貨)と、そのブロックチェーン上に作られた暗号資産(トー
クン)をどのように区別するのでしょうか。その区別は、以下の
ようになります。
─────────────────────────────
        ◎独自のブロックチェーン
         基軸通貨
        ◎既存のブロックチェーン
         代替通貨
─────────────────────────────
 トークンは、さまざまな状況で、誰でも購入することができま
す。トークンを購入し、保有するメリットとしては、次のような
ものが上げられます。
─────────────────────────────
         @リターンを期待できる
         Aサービスで利用できる
         B少額でも投資ができる
─────────────────────────────
 第1は「リターンを期待できる」ことです。
 多くの場合、トークンは企業が発行しますが、もし、その企業
が事業に成功すれば、当然トークンの価値は上がります。もし購
入時点よりもトークンが値上がりした場合、そのタイミングで売
却すれば、その差額が利益として得られます。つまり、株式と同
じように、値上がりによるキャピタルゲインが狙えるというわけ
です。
 第2は「サービスで利用できる」ことです。
 ICO(イニシャル・コイン・オファリング)などに参加し、
トークンを得た場合、その発行元の企業や団体が提供するサービ
スなどに利用できる可能性があります。どのようなサービスかと
いうと、内容は様々ですが、ゲーム内での通貨や、音楽やブログ
などのコンテンツサービスに利用できたり、指定の取引所で他の
通貨と交換できたりなどです。
 第3は「少額でも投資ができる」ことです。
 最低購入額は取引所によって違いますが、トークであれば、少
額から投資することが可能である点はメリットといえます。株式
などと比較しても、少額から購入できるので、投資の初心者でも
気軽に参加できることになります。
 「ブロックチェーンはバーチャルな組織、もっといえば社会を
つくる力を持っている」と坪井大輔氏はいいます。社会をつくる
というのが大袈裟であれば、コミュニティを作ると言い替えても
いいと思います。それは、トップがいなくても意思決定のできる
コミュニティです。それは、ブロックチェーンの持つ技術、コン
センサス・アルゴリズムによって可能になります。坪井大輔氏は
トークンは社会をつくるとして次のように述べています。
─────────────────────────────
 インターネットという宇宙の中に、ブロックチェーンで星をつ
くり、その星にトークンエコノミー・コミュニティで国をつくっ
て人を住ませる、というイメージです。それで今、大手企業は大
きな星をつくってそこに大きな国をつくろうとしている。小さな
会社だって小さいなりのコミュニティを形成して、100人の国
をつくろうとしている。さまぎまな形の星たちが、無数に存在す
る。今後このようなことが、いたるところで起きて、それぞれの
星を宇宙船に乗って行き来するようなイメージが現実的になるで
しょう。
 重ねて申し上げますが、なぜこれが実現できるかというとトー
クンのおかげです。インターネットだけでは実現できません。イ
ンターネットは情報を世界中に流通させますが、価値を定量化さ
せることは苦手です。レビューが一つの手段ですが、そこでは定
量化させるルールが個人の主観となり、定性的です。つまり、イ
ンターネットはそのままでは金融の機能がないわけです。経済に
ついて少し掘り下げて考えると、今のリアルの社会でも結局、金
融の上に経済が成り立っています。金融というメカニズムがなけ
れば経済が成り立たない。そう考えれば、トークンによって金融
が成り立ち、エコノミーができ、その上にサービスを設計してコ
ミュニティを生み出せるようになったことが最も重要な変化なの
だと思います。       ──坪井大輔著/翔泳社/SE刊
   『WHY BLOCK CHAIN/なぜ、ブロックチェーンなのか』
─────────────────────────────
             ──[デジタル社会論V/071]

≪画像および関連情報≫
 ●トークンエコノミーの時代がやってくる!―見えない価値を
  可視化し、交換する技術
  ───────────────────────────
   ブロックチェーンのユースケースとしては2017年から
  仮想通貨が大きな注目を浴びてきたが、2018年には仮想
  通貨交換所から資産が大規模に流出する事件が発生したり、
  いくつかの通貨ではハードフォークという一般のユーザーに
  は理解しにくい運用ポリシーによる“再編”という名の下で
  のイザコザが生じたり、そもそも通貨としては決済手段とし
  ての利用範囲が狭かったり、幸いにも取引によって利益が得
  られたとしても、納税(確定申告)の手続きが難しかったり
  といういくつものデメリットが生じたことから、一時期の仮
  想通貨の投機ブームも一気に冷え込んでいるのが実情だ。
   一方で、仮想通貨はブロックチェーンのユースケースのひ
  とつにしかすぎず、それ以外でもさまざまな応用のアイデア
  が研究されていたり、社会実験も行われたりしている。その
  なかでこれから注目できるのが「トークンエコノミー」とい
  う考え方である。
   去る1月29日、アルトデザイン株式会社は「未来のカタ
  チをデザインする」と題するトークンエコノミーに関するミ
  ートアップを東京で開催した。当日、プレゼンテーションに
  登壇したのは、株式会社博報堂が発足した「博報堂ブロック
  チェーン・イニシアティブ」の伊藤佑介氏、株式会社IND
  ETAIL代表取締役の坪井大輔氏、そして、ShоT氏と
  いう3名で、それぞれの観点から、トークンエコノミーへの
  取り組みについて熱く語った。ここでは、その概要を紹介す
  る。              https://bit.ly/3Cm6lMf
  ───────────────────────────
講演する坪井大輔氏.jpg
講演する坪井大輔氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | デジタル社会論V | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月18日

●「改めてトークンとは何かを考える」(第5616号)

 イーサリアム、トークン、分散型アプリ―ケーションのダップ
スなど、このところEJでは難しい話が続いています。何を説明
したいのか、訝っている人もいると思います。それは、現在、中
央集権型組織のない様々なサービスが続々と実現しつつあり、拡
大しているからです。
 ひとつ例を上げます。「DeFi/ディーファイ」という言葉を聞
いたことがありませんか。日本語に訳すと「分散型金融」になり
ますが、現在このサービスは240種類を超えています。そのサ
ービスの利用者は、2021年5月現在、270万人、ディーフ
ァイに流入した資金の総額は2020年はじめには7億ドル程度
だったものが、2021年5月には約860億ドルに膨張してい
ます。こういうサービスを理解するには、イーサリアム、トーク
ン、ダップスなどの知識が必要になるからです。
 このような考え方から、トークンについては、もう少し詳しく
考える必要があります。坪井大輔氏は、「トークンは社会をつく
る」として、トークンについて次のように説明しています。きわ
めて重要なメッセージであり、参考になります。
─────────────────────────────
 ブロックチェーンはバーチャルな組織、もっといえば社会をつ
くる力を持っています。通貨と同様の機能を持つトークンをつく
ることができ、また、規制・統治の仕組みをともなったコミュニ
ティをつくることができるからです。
 規制・統治に関して述べるなら、ブロックチェーンを構成する
技術の中で一番重要なのは、コンセンサスアルゴリズムになりま
す。早くいえば、多数決を成り立たせるアルゴリズムです。なぜ
多数決が必要か。あるボス的な人の一存で「これだ」と意思決定
させず、みんなで決めるのが、ブロックチェーンの本質だからで
す。トップがいなくて、みんなで決める社会。かといって誰もが
不合理な判断をしては社会が立ち行きませんから、そこには一定
の規制や統治が必要になります。そこで、規制や統治をプログラ
ムに組んで、それを自動的に動かす。それがスマートコントラク
トです。スマートコントラクトによって、物事がルールから逸脱
することなく、自動的に実行される社会になります。
 経済(=エコノミー)は、社会(=コミュニティ)という価値
交換の手段がなければ社会は成り立ちません。ブロックチェーン
には価値を定量化し、交換する手段としてトークンがあります。
そして、実質的な法律・ルールとしてスマートコントラクトが機
能します。この中に人間が入れば、それはまさに社会です。トー
クンエコノミーの上に、トークンコミュニティがあるという構図
です。           ──坪井大輔著/翔泳社/SE刊
   『WHY BLOCK CHAIN/なぜ、ブロックチェーンなのか』
─────────────────────────────
 トークン(token) とは、直訳すると「しるし」「象徴」など
の意味になります。ある通貨システムのなかで、サービスや利用
シーンごとに最適化され、通貨としての役割を果たすものを「代
替通貨」といいます。具体的にいうと、スイカなどの電子マネー
Tポイントなどの電子ポイント、商品券や図書券などは、いずれ
も代替通貨です。
 ここで一番わかりにくいのは、ビットコインやイーサリアムの
の通貨である「イーサ」「イオス」「ジリカ」などのいわゆる暗
号資産とトークンの関係です。ブロックチェーン上で扱われるト
ークンには、次の2つの類型があります。
─────────────────────────────
        @  ファンジブル・トークン
        Aノンファンジブル・トークン
─────────────────────────────
 @は「ファンジブル・トークン」です。
 円やドルなどのお金と同様に、共通の単位に資産価値を自由に
分割・代替することができるものです。ファンジブル・トークン
は、ビットコイン、イーサ、イオス、ジリカなどの基軸通貨と、
代替通貨の「セキュリティトークン」と「ユーティリティ・トー
クン」分類できます。
 Aは「ノンファンジブル・トークン」です。
 ノンファンジブルトークンは、骨董品やアート作品のように、
唯一固有の存在として発行される、分割や部分譲渡ができにくい
ものをいいます。ノンファンジブルにあたる存在をイメージする
には、著名な画家による絵画を思い浮かべるとわかり易いです。
仮に作者や構図が同じ絵画があったとしても、直筆であれば全く
同じものは存在しないのです。
 ノンファンジブルトークンを活用としたゲームがありますが、
これについてあるサイトには次の説明があります。
─────────────────────────────
 2018年後半以降、日本国内でもノンファンジブルトークン
を活用したゲームが人気を集めており、ゲームのアイテムやキャ
ラクターがそれぞれ異なる価値を持つトークンとして扱われてい
ます。例えば、ゲーム世界にひとつしか存在しない最強の武器は
ノンファンジブルトークン、ごくありふれた武器はファンジブル
トークンとして設計可能です。
 また、ファンジブルトークンは日本の改正資金決済法上、仮想
通貨に分類される可能性が高いですが、ノンファンジブルトーク
ンは仮想通貨に該当しません。その法的位置づけは以前から議論
されていましたが、ゲーム内アイテムなどのノンファンジブルト
ークンは決済手段などの経済的機能を有していないと考えられる
ため、仮想通貨には該当しないとの見解が金融庁から示されてい
ます。               https://bit.ly/3DkMVcd
─────────────────────────────
 この考え方に立つと、トークンは、暗号資産の上位概念になり
ます。これについては、添付ファイルの図がわかり易いと思いま
す。森川夢祐斗著『これからのブロックチェーンビジネス』/M
dN刊に出ていたものです。──[デジタル社会論V/070]

≪画像および関連情報≫
 ●仮想通貨(暗号通貨)とトークンの違い
  ───────────────────────────
   インターネット上にのみ流通する仮想通貨とトークンは同
  じと考える人が多いですが、2つは別物です。仮想通貨なら
  何となくわかる人でも、トークンとは何かあまり知らない人
  もいるのではないでしょうか。仮想通貨やトークンの初心者
  向けに各々の定義やその仕組みを解説し、仮想通貨とトーク
  ンの違いを明らかにしていきます。
                  https://bit.ly/3FidYW2
  ───────────────────────────
iトークンとは何か.jpg
iトークンとは何か
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2021年11月17日

●「RPAによる自動化も考えられる」(第5615号)

 ブロックチェーンは、自動的というか自律的に動くことをよし
としています。その典型がスマートコントラクトです。ブロック
チェーンのシステムにルールや、満たさなければならない条件を
組み込んでしまえば、後のルールの執行は自動的に行われます。
このことについて、坪井大輔氏は次のようにいっています。
─────────────────────────────
 人がいなくても動くことをブロックチェーンはよしとしていま
す。一般的な会社や組織であればボスがいて、一定のルールの下
にボスが意思決定をして組織や人を動かします。しかしスマート
コントラクトになると、一定のルールや条件が事前にプログラム
に埋め込まれてさえいれば、条件を満たせば実行、満たさなけれ
ば実行されない、という動き方になり、ボスは不要になります。
「ルールの下の平等」がいわば強制的に実現するわけです。(一
部略)そのルールは、スマートコントラクトのプログラムが変更
されない限りは絶対で、その意味ではトラブルは起きようがあり
ません。人間がプログラムに使われる世界観です。これが、DA
Oを考える上で不可欠な概念です。
              ──坪井大輔著/翔泳社/SE刊
     『WHY BLOCK CHAIN/なぜ、ブロックチェーンなのか』
─────────────────────────────
 ところで、現在ビジネスの世界では、RPAなるものが流行し
ています。RPAもDAOに向かう社会の動きを象徴していると
いえます。RPAは、次の言葉の省略形です。
─────────────────────────────
       ◎RPA
        Robotic Process Automation
─────────────────────────────
 RPAは、「ロボテック」という言葉から始まりますが、ペッ
パーのようなロボットが何らかの作業をするのとは異なります。
普通人間の行うPC操作の一部をソフトウェアで自動化すること
をいいます。もっときちんというと、RPAは、これまで人間の
みが対応可能とされていた作業、もしくはより高度な作業を、人
間に代わって実施できるルールエンジンやAI、機械学習などを
含む認知技術を活用して代行・代替する取り組みのことです。
 矢野経済研究所が2020年に実施した調査によると、RPA
の市場規模は、次のように躍進しています。ここで、市場規模と
いうのは、RPA関連サービスおよびRPAツール製品の売上高
のことです。
─────────────────────────────
      2016年 ・・・・ 85億円
      2017年 ・・・ 178億円
      2018年 ・・・ 338億円
      2019年 ・・・ 530億円
─────────────────────────────
 RPAが普及した理由について考えると、これには次の3つの
背景があります。
─────────────────────────────
       @生産労働人口が減少している
       A人対応業務量が増加している
       B働き方改革が促進されている
─────────────────────────────
 第1は「生産労働人口が減少している」ことです。
 現在、生産労働人口が減少しています。生産労働人口は、20
25年までの5年間で約4%減少するといわれています。これに
対応する方策が求められています。
 第2は「人対応業務量が増加している」ことです。
 複雑化・細分化した業務パターンに対して、業務のデジタル化
の遅れにより、結果として人が対応しなければならない業務量は
増加しています。
 第3は「働き方改革が促進されている」ことです。
 2019年4月から、働き方改革が法令化され、休暇取得や残
業時間に対するチェックは厳格化されつつあります。そのため、
働き手一人当たりの生産性の向上が必須になっています。
 RPAは、このような背景の下で普及しつつありますが、本格
的な普及はまさにこれからです。2019年1月のRPA国内利
用動向調査によると、現状は次のようになっていまする
─────────────────────────────
        RPA導入済 ・・ 32%
         導入検討中 ・・ 36%
           未導入 ・・ 32%
      ──RPA国内利用動向調査/2019年1月調査
─────────────────────────────
 しかし、RPAはここにきて、2つの問題点が浮かび上がって
きています。
─────────────────────────────
     @RPA開発要員の確保が困難化している
     AそのままRPAに適用可能業務が少ない
─────────────────────────────
 第1の問題点は「RPA開発要員の確保が困難化している」こ
とが上げられます。
 外部のRPA開発人員の確保が困難で、結果として高コストに
なってしまうことです。それに個々の業務に合わせてシステムを
作るので、開発側のスケールメリットが得られないことです。し
たがって、どうしても高コストになります。
 第2の問題点は「そのままRPAに適用可能業務が少ない」こ
とが上げられます。
 結局、仕事のやり方自体を変更せざるを得なくなることもあり
かえって作業効率が悪くなることもあります。つまり、ロボット
そのものに限界があることです。
             ──[デジタル社会論V/069]

≪画像および関連情報≫
 ●「RPAを導入したが効果が出ない」と悩む企業がまずやる
  べきこととは何か
  ───────────────────────────
   ワークスタイルにイノベーションをもたらすといわれるR
  PA(ロボティック・プロセス・オートメーション)。業務
  改革と生産性向上に貢献するデジタル・テクノロジーとして
  脚光を浴び、ここ数年、国内でも幅広い業種の企業で導入が
  進んだ。一方で、「自動化した結果を管理できていない」と
  か「当初の課題が解決していない」、「新しい課題が生まれ
  た」など、新たな問題も浮上しているようだ。「そうした問
  題は、ある程度の規模でRPAを導入した際に起こることが
  多いようです」。こう切り出したのは、Hinemos の営業を担
  当するHinemos担当課長の谷越桂太氏だ。 大規模にRPAを
  導入すると、自動化の弊害が生じる可能性があると同氏は警
  鐘を鳴らす。
   「ソフトウェアロボットを搭載したPC端末が、定型的な
  業務を自動実行してくれると思いがちですが、RPAのシナ
  リオの実行が成功しているのか、あるいは失敗しているのか
  がわからなくなってしまうこともあります。例えば、PCの
  環境変化によって失敗していたとしても、成功していると思
  い込んで失敗に気づけなければ、原因の特定にも動けず、当
  然、問題を解決することもできません」(谷越氏)
   大量のRPAによって自動化した業務の結果を管理できて
  いないにもかかわらず、RPAの導入を他のシステムに広げ
  たり、さらに重要な業務オペレーションにまで適用を拡大し
  たりすることは、RPAはもちろん、システム運用、業務そ
  のものに大きなリスクを潜在的に抱え込むことになってしま
  う。              https://bit.ly/323XnXN
  ───────────────────────────
RPA.jpg
RPA
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2021年11月16日

●「ウェブアプリとの違いを考察する」(第5614号)

 分散型アプリケーション「ダップス/DApps」 の話をもう少し
続けます。ダップスとの違いを知るために、ウェブ・アプリケー
ションについて少し詳しく知る必要があります。
 インターネットを利用するアプリケーションといっても次の2
つがあります。
─────────────────────────────
      1.ネイティブ・アプリケーション
      2.  ウェブ・アプリケーション
─────────────────────────────
 「1」のネイティブ・アプリケーションとは何でしょうか。
 ネイティブ・アプリケーションとは、手元の端末(スマホやP
Cなど)にインストールして利用するアプリケーションのことで
す。プログラム自体をインストールしてしまうと、ネットにアク
セスする必要はありません。
 これに対して「2」のウェブアプリケーションは、ネットワー
ク経由で利用するアプリケーションのことです。アプリケーショ
ンのプログラムの本体はネットワーク上のウェブサーバー内にあ
るので、それをネットにアクセスして動作させるのです。
 ウェブアプリケーションには、次の2つがあって、プログラム
を作成するエンジニアも異なります。
─────────────────────────────
      @フロントエンド/クライアントサイド
      A バックエンド/  サーバーサイド
─────────────────────────────
 @のフロンドエンドとは何でしょうか。
 フロンドエンドとは、ウェブアプリケーションにアクセスした
ときに、ユーザー自身が見える部分、直接操作できる部分のこと
をいいます。クライアントサイドともいいます。
 それでは、Aのバックエンドとは何でしょうか。
 バックエンド(=サーバーサイド)は、ユーザーが見えない部
分・直接操作できない部分のことです。具体的にはフロントエン
ドでユーザーが入力した内容に基づき、そのデータを処理して結
果を返したり、入力された内容を保存したりするのがバックエン
ドの役割です。サーバーサイドともいいます。
 ウェブアプリケーションのエンジニアは、フロントエンドと、
バックエンドで異なります。使用するプログラミング言語が異な
るからです。
─────────────────────────────
       ◎フロンドエンドで使用する言語
        Html
        CSS
        JavaScript
       ◎ バックエンドで使用する言語
        PHP
        Ruby
        Python
        JavaScript
─────────────────────────────
 フロントエンドで使用する言語とは、要するに、ウェブサイト
を構築するために必要な言語です。Htmlはウェブページの構造を
決める言語ですし、CSS はウェブページのデザインを決める言語
です。JavaScript はウェブページに動きをつける言語です。
 バックエンドで使用する言語は4つあります。どちらかという
と、いずれも専門家向けの言語です。PHP は、ウェブサイトの開
発に適しており、Htmlに埋め込んで使用できます。多くのウェブ
サイトで使われています。
 Rubyというのは、日本のソフトウェア開発者のまつもとゆきひ
ろ氏が開発した言語です。ウェブアプリケーションによく使われ
ており、動的サイトを作るのに適しています。有名なクックパッ
ドは、このRuby で書かれています。
 Python は、最近AI、 ディープラーニング用に使われるよう
になったので、注目されている言語です。文法がとてもシンプル
であり、プログラミングの初心者でも取りつきやすい言語です。
 なお、JavaScript は、フロントエンドだけでなくバックエン
ドのプログラム言語としても利用されます。フロントエンド・バ
ックエンド同じ言語で開発できること、リアルタイムな処理がで
きること(例:メールが届いたときに更新しなくても受信が確認
できる)などがメリットです。
 以上がウェブアプリケーションのフロントエンドとバックエン
ドの話ですが、分散型アブケーションとどこが違うかというと、
次のようにいうことができます。
─────────────────────────────
 分散型アプリケーションと通常のウェブアプリケーションの主
な違いは、通常のアプリケーションのバックエンドとフロントエ
ンドの両方が単一のサーバ上でホストされていることです。対照
的に、ダップスのバックエンドは、世界中に散らばった同期化さ
れたサーバー(コンピュータノード)の分散ネットワーク上でホ
ストされています。         https://bit.ly/3wJt6bW
─────────────────────────────
 つまり、分散型アプリケーションのバックエンドは、世界中に
散らばった同期化されたサーバー(コンピュータノード)、すな
わち、P2Pネットワークを構成するコンピュータが担っている
のです。そのため、分散型アプリケーションというのです。
 しかし、それらのコンピュータの性能はそれぞれで異なってお
り、単一サーバーと違って、ダップスはどうしても処理速度が遅
くなります。これは、プルーフ・オブ・ワーク・コンセンサスア
ルゴリズムを使用したブロックチェーンでは、トランザクション
の決済と新しいブロックの採掘に時間がかかるためです。ちなみ
に、イーサリアムのブロックチェーンの平均のブロック時間は、
13・3秒です。     ──[デジタル社会論V/068]

≪画像および関連情報≫
 ●世界を「非中央集権化」するイーサリアムの完璧な理想は
  いつ証明できるのか?
  ───────────────────────────
   2018年10月下旬のことだ。広大なプラハ会議センタ
  ーの外では、天気が変わりつつあるだけでなく、暗号通貨の
  世界が崩壊しかけていた(実際、2018年の大半がそうだ
  ったが)。ほんの1年前、ブロックチェーン・システムへの
  期待は天井知らずだった。だが、期待に基づいて算出したコ
  イン価格と同じくらいの速さで期待値が急落している。しか
  し、プラハ会議センターの中の雰囲気は大きく違っていた。
  イーサリアム財団主催の年一回の「親族会」的なイベントで
  ある「デブコン(Devcon:開発者会議)」が開かれ、非常な
  盛り上がりを見せていた。ましてや、否定的な意見など皆無
  だった。それどころか、いたるところでユニコーンをテーマ
  にした服を着た人たちがハグし合い、将来への期待に心躍ら
  せているのが感じられた(イーサリアム財団に寄付をすると
  「ユニコーン」と呼ばれるトークンを受け取れる)。外で起
  こっていることなど誰も気にしていない。ここで起こってい
  ることはすべて、魔法のインターネット通貨を超えたところ
  のものなのだ。
   イーサリアムは、すでにビットコインに次いでもっとも有
  名な暗号通貨であり、時価総額は第3位だ。だが、他の暗号
  通貨とは異なり、汎用のコンピューター・プラットホームに
  なることを目的としている。イーサリアムによって、まった
  く新しい形の社会組織を作れるとイーサリアム支持者たちは
  信じている。          https://bit.ly/3orRsmL
  ───────────────────────────
ウェブアプリケーションのフロントエンドとバックエンド.jpg
ウェブアプリケーションのフロントエンドとバックエンド
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | デジタル社会論V | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月15日

●「スマートコントラクトの正体とは」(第5613号)

 「ブロックチェーン」と「イーサリアム」、「スマートコント
ラクト」と「ダップス/DApps」 のそれぞれの関係について、言
葉を整理します。そもそも暗号資産「イーサリアム」の「スマー
トコントラクト」とは何かの解明です。
 「スマートコントラクト」とは、ブロックチェーンシステム上
の概念です。あらかじめ設定されたルールにしたがって、ブロッ
クチェーン上のトランザクション(取引)、もしくは、ブロック
チェーン外から取り込まれた情報をトリガーにして実行されるプ
ログラムがスマートコントラクトです。
 ここで注意すべきは「スマート」という言葉です。スマートに
は「賢い」とか「頭が切れる」とかいう意味がありますが、「コ
ンピュータで制御できる」という意味もあるのです。しかし、ス
マートコントラクトのスマートは、「自動的に実行される」とい
う意味で使われています。提唱者は、ニック・サボ氏という米国
の経済学者であり、暗号研究家です。ちなみに既にご紹介してい
るヴィタリック・ブテリンは、イーサリアムの考案者です。
 スマートコントラクトは、ブロックチェーン上で書かれたプロ
グラムによって実現されますが、そのプログラミング言語が「ソ
リディティ」であり、その実行環境が「EVM/イーサリアム・
ヴァーチャル・マシン」です。そして作り出されるさまざまなス
マートコントラクトが分散型アプリケーション「ダップス」であ
るというわけです。
 このあたりのことを本やネット上の解説をいくら読んでも半透
明のもやがかかっていて、はっきりしません。スマートコントラ
クトについて、ウィキペディアにある「ニック・サボ」氏のペー
ジでは、スマートコントラクトを次のように説明しています。
─────────────────────────────
 「スマートコントラクト」という呼称と概念はサボ氏によって
開発されました。この概念は、インターネット上における他人と
の電子商取引プロトコルの設計に、「高度に進化した」契約と実
行の商習慣をもたらすことを目的としています。
          ウィキペディア https://bit.ly/31YVsni
─────────────────────────────
 スマートコントラクトの概念を拡張すると、ビットコインは、
「通貨を送金、保管することに特化限定したスマートコントラク
ト」ということになります。これをあらゆる取引に対応できるよ
うに機能を拡張、発展させたものが現在いわれているところのス
マートコントラクトのシステムであるというのです。
 ひとつ具体的な例を上げます。フランスの大手保険会社のAX
Aでは、2017年11月にイーサリアム・ブロックチェーンを
利用し、スマートコントラクトで、完全に自動化した航空機遅延
保険「フィズィ/Fizzy」 を発表しています。そのステップは次
の通りです。
─────────────────────────────
 @AXAと連携している航空交通データベースが飛行機遅延
  の情報を検知し、イーサリアム・ブロックチェーンに情報
  をインプットする。
 Aスマートコントラクトが保険金を支払うかどうかを自動的
  に判断し、支払う場合は、そのリクエストを保険会社のシ
  ステムに送信する。
 Bリクエストを受けた保険会社のシステムは、保険の契約者
  に対し、保険金支払いを実施する。以上のプロセスは完全
  自動で実施される。
─────────────────────────────
 この場合、スマートコントラクトは、ブロックチェーンと一体
になって、「決められたある条件を満たすと自動的に契約(コン
トラクト)を実行する」役割をします。
 AXAの「フィズィ」は、明らかに分散型アプリケーションの
「ダップス」として記述されますが、この場合、このアプリは、
保険金を支払うかどうかの判断の情報を提供して、スマートコン
トラクトがコントラクト処理を実行することになります。あくま
でアプリは、スマートコントラクトを前提としてプログラミング
されることになります。このあたりのスマートコントラクトとア
プリの関係がいまひとつ明確ではないのです。
 ダップスのプログラミング言語のソリディティについて、ある
サイトでは次のように解説しています。
─────────────────────────────
 ソリディティは、コントラクト指向の高水準言語です。コント
ラクト指向とは、コントラクトする(取引処理を実行させる)目
的に特化していることを指します。イーサリアムの特徴のひとつ
である、スマートコントラクト(取引契約における過程の全てを
自動化するための、規約またはその機能)の実装に欠かせない要
素です。高水準言語とは、人間にとって理解しやすい単語や構文
概念で記述されるプログラミング言語のこと。
                  https://bit.ly/30oEGgI
─────────────────────────────
 イーサリアム・スマートコントラクト上で動く分散型アプリケ
ーション「ダップス」には、次の問題点があります。
─────────────────────────────
           @  実行速度
           A   手数料
           B  オラクル
           C   安全性
           Dプライバシー
─────────────────────────────
 現在のアプリケーションは、サービスの提供者がセキュリティ
面なども含めて総合的に管理しています。いわゆる集権型のアプ
リケーションです。しかし、管理者に全ての権限が集中している
ことが多くの問題を生んでいます。
             ──[デジタル社会論V/067]

≪画像および関連情報≫
 ●スマートコントラクトで航空機遅延保険を完全自動化する
  ───────────────────────────
   「フィズィ/Fizzy」 は航空機遅延保険と呼ばれるタイプ
  の保険で、保険加入者は自身が搭乗するフライトに対して保
  険をかけ、2時間以上の遅延やキャンセルがあった場合、金
  銭的な補償を受けられます。フィズィでは保険契約から支払
  いまで主な処理をイーサリアム・ブロックチェーン上のスマ
  ートコントラクトが扱い、保険の加入から支払いまでのプロ
  セスが自動化されています。フライトが2時間以上遅延した
  場合、着陸後数分で保証について連絡がくるといいます。ど
  んな理由でも2時間以上遅延すれば保険が適用され、保険会
  社に連絡したり、書面で補償を請求したりする必要がありま
  せん。
   フィズィのウェブサイトでフライトナンバーと出発日を入
  力し、居住国を選ぶと、過去の航行データをもとに保険料が
  計算され、契約の選択肢が示されます。東京からパリまでの
  直通便で試したところ、一番安い保険が6ユーロ700円ほ
  どで、到着が2時間以上遅れるまたはフライトがキャンセル
  されると130ユーロの補償を受けられます。130ユーロ
  は15000円強で、ホテルまでタクシーで行く、新たにホ
  テルを予約するといった出費をカバーできます。より補償額
  の多い保険でも20ユーロ2400円ほどです。保険は高い
  というイメージがありますが、手頃な金額で保険をかけられ
  もしもの場合に妥当な補償が受けられます(為替レートは、
  2019年8月現在の1ユーロ118円で換算)。ただし、
  居住国の選択肢がヨーロッパの主要国に限られていることか
  ら、現状はヨーロッパ在住者を対象とした保険商品だと考え
  られます。           https://bit.ly/3C7aIeh
  ───────────────────────────
ニック・サボ氏.jpg
ニック・サボ氏
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2021年11月12日

●「ダックスとはどのようなアプリか」(第5612号)

 昨日のEJで少し触れましたが、今日は、「分散型アプリケー
ション/ダックス/DApps」 について述べることにします。これ
については、ネット上に多くの解説がありますが、非常にわかり
にくいので、誰でもわかるように解説を試みます。全角の日本語
に混ぜて、なるべく英語を書きたくないので、「ダックス」と呼
称することにします。
 暗号資産「イーサリアム」上では、スマートコントラクトが実
現できますが、このスマートコントラクトの実体は、プログラム
そのものです。
 スマートコントラクトをもっと正確にいうと、その実行環境は
「イーサリアム・ヴァーチャル・マシン/EVM」であり、その
EVMに対して指示を与えるプログラミング言語は、「ソリディ
ティ(Solidity)」といいます。ソリディティは、イーサリアム
がスマートコントラクトを実装するために開発した独自のプログ
ラミング言語です。
 それでは、ダックスがどういうソフトウェアであるのかという
ことですが、このソフトウェアはダックスであるというためには
次の条件を満たしていることが必要です。
─────────────────────────────
 1.アプリケーションは、オープンソースであること。オペレ
  ーションは自動であり、中央のコントロール主体を持たない
  こと。トークン、データ、レコード、などにつき、暗号化さ
  れて分散化されたブロックチェーンを利用していること。
 2.アプリケーションは、オープンに流通可能な、暗号トーク
  ンを持っていること。アプリケーションの利用に際してトー
  クンを利用すること。参加者には、そのトークンによってリ
  ワード(報酬)が支払われること。
 3.アプリケーションはマーケットやユーザーからの改善要求
  によりプロトコルを改善していくこと。この改善は、ユーザ
  ーのコンセンサスによること。
                 https://bit.ly/3H8QMeB
─────────────────────────────
 上記「1」の要件である「オペレーションは自動であり、中央
のコントロール主体を持たないこと」というのは、何を意味して
いるのでしょうか。
 PCで動くアプリケーションについて考えてみます。アプリの
バックエンドにはOS(サーバー)が存在し、アプリの動きをコ
ントロールしています。これは、中央集権的であるといえます。
ダックスはそういうアプリとは違うというのです。それでは、な
ぜ、ダックスを、分散アプリケーションというのでしょうか。
 これについて、ダックスについて書かれているサイトでは、次
のように説明しています。
─────────────────────────────
 分散型アプリケーションと通常のウェブアプリケーションの主
な違いは、通常のアプリケーションのバックエンドとフロントエ
ンドの両方が単一のサーバ上でホストされていることです。対照
的に、ダックスのバックエンドは、世界中に散らばった同期化さ
れたサーバー(コンピュータノード)の分散ネットワーク上でホ
ストされています。         https://bit.ly/3n4rKFF
─────────────────────────────
 つまり、通常のアプリが特定の単一サーバーによってコントロ
ールされているのに対して、分散型アプリケーションであるダッ
クスは、コンピュータノードの分散ネットワークによって動作が
維持されており、それが特徴であるというのです。
 分散型アプリケーションのメリットとしては、いくつかのノー
ドがネットワークから離れたり、コンポーネントに障害が発生し
た場合でも、残りのすべてのユニットが機能してそれを支えるこ
とができる点が上げられます。このようにして、アプリの心臓部
であるスマートコントラクトがブロックチェーン上で展開される
と、ネットワークが生きている限りは、アプリケーションは中断
なく実行されることです。
 一方、デメリットとしては、ダックスは、一度アプリを展開す
ると、スマートコントラクトを変更することは不可能であるため
その開発には十分な計画性と将来性を考慮する必要があることで
す。もし、プログラミングを間違えると大変なことになります。
 この分散型アプリケーションについて、「メタ」と社名を変更
したフェイスブックのマーク・ザッカーバーク会長は、この「ダ
ックス」について、次のようにその意義を強調しています。
─────────────────────────────
 現時点でテクノロジー分野において最も興味深いトピックの一
つは、中央集権と非中央集権の対比だ。我々の多くは、テクノロ
ジーに興味を持ったが、それはテクノロジーが個々人に力を与え
るような分散化する原動力になると信じているからだ(フェイス
ブックののミッションは”人々に力を”だ)。1990年台から
2000年台にかけて、殆どの人がテクノロジーは非中央集権化
する原動力になると信じていた。
 しかし今日、多くの人々はその見通しに対する自信を失ってい
る。少数の巨大なテック企業と、市民を監視するためにテクノロ
ジーを利用する政府の台頭と共に、人々は、テクノロジーとはパ
ワーを非中央集権化させるのではなく、むしろただ中央集権化さ
せるものだと思っている。
 とはいえ、暗号化や暗号通貨のようにこれらに逆行する流れも
ある。そしてそれらは、中央集権型システムから、個々人の手に
力を移行させる。これらはコントロールが及ばなくなるというリ
スクもある。私は、これらのテクノロジーをより深く理解し、ポ
ジティブな側面とネガティブな側面を学び、そして我々のサービ
スへの最適な利用法を考えたい。 ──マーク・ザッカーバーク
                 https://bit.ly/3wyR89A
─────────────────────────────
            ──[デジタル社会論V/066]

≪画像および関連情報≫
 ●DApps(自律分散型アプリケーション)とは。
  活用事例や金融分野の動向を探る
  ───────────────────────────
   仮想通貨に興味がある人は、DApps(ダップス) という言葉
  を一度は耳にしたことがあるかもしれません。現在は多くの
  分野でダップスが開発されており、オクトノット編集部では
  各業界から注目を集めているダップスのことを詳しく調べて
  みました。活用することのメリット・デメリットだけでなく
  今後金融業界のどのような分野で活用できそうなのか詳しく
  見ていきましょう。
   DAppsとは、Decentralized Applications を省略したもの
  です。中央管理者(企業や団体といったサービスを提供する
  主体)なしに提供される自律分散型アプリケーションです。
  主にブロックチェーン上でスマートコントラクトを利用し作
  動します。
   ブロックチェーンとは、ネットワークに参加している人達
  が同一内容のデータを持っていて、取引の内容を参加者全員
  が見られるシステムです。チェーンでブロックをつないでい
  くようにデータを保存します。
   また、スマートコントラクトとは、ブロックチェーンの取
  引に関してあらかじめ決められたルールにより、自動的に実
  行されるプログラム。つまり、皆さんが使うスマホアプリや
  その機能そのものですね。これにより、アプリ内のデータ安
  全性と整合性が保たれます。   https://bit.ly/3FbzbRD
  ───────────────────────────
マーク・ザッカーバーク氏.jpg
マーク・ザッカーバーク氏
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2021年11月11日

●「なぜ、暗号資産は数が増えたのか」(第5611号)

 言葉の整理が必要です。ここまで、ブロックチェーン上で通貨
として機能するデジタル通貨のことを、仮想通貨、暗号資産、ト
ークンと呼称してきていますが、人によって呼称が異なります。
 この場合、仮想通貨と暗号資産、それらとトークンとの間には
明確な違いがあり、問題は仮想通貨か暗号資産かです。
 これについては、仮想通貨交換業などをめぐる諸問題について
制度的な対応を検討するための「仮想通貨交換業等に関する研究
会」から、2018年11月12日開催の会合で、次のように提
案され、暗号資産と呼ぶべきであると結論づけられています。
─────────────────────────────
 「仮想通貨」の呼称を「暗号資産」に変更することも考えら
 れる。それは、次の2つの理由による。
  @国際的な場においては、暗号資産(Crypto Assets) の
   表現が使われている。
  A「仮想通貨」という呼称は、「法定通貨」であるとの誤
   解を生じやすいこと。
─────────────────────────────
 しかし、「仮想通貨」という名称を使ってはならないというこ
とではなく、柔軟に使っていいのですが、EJでは、暗号資産と
表現することにします。
 そうすると、ブロックチェーン上で機能するのは、暗号資産と
トークンということになります。それは、次のように区別するこ
とができます。
─────────────────────────────
 @ブロックチェーンを最初から立ち上げる ・・ 暗号資産
 A既にあるブロックチェーンを利活用する ・・ トークン
─────────────────────────────
 2021年9月現在、世界中に流通している暗号資産(トーク
ンを含む)の種類は1万種類を超えています。そのなかで、現在
日本で購入可能な代表的な14種を次に示します。
─────────────────────────────
    1.ビットコイン(BTC)
    2.イーサリアム(ETH)
    3.リップル(XRP)
    4.ビットコインキャッシュ(BCH)
    5.ライントコイン(LTC)
    6.イーサリアムクラシック(ETC)
    7.モナコイン(MONA)
    8.ネム(NEM)
    9.ファクトム(FCT)
   10.リスク(LSK)
   11.ステラルーメン(XLM)
   13.クアンタム(QTUM)
   14.ベーシックアテンショントークン(BAT)
─────────────────────────────
 なぜ、このように暗号資産が急増したのでしょうか。
 それは、トークンが作りやすくなったからであるといえます。
多くの著名な暗号資産は、ブロックチェーンをプラットフォーム
化し、高度なIT技術を持たない企業や個人でも、ICOという
かたちで、トークンを容易に発行できるようになったのです。一
からブロックチェーンを構築するのは大変ですが、トークンの発
行までの手続きは簡略化され、だれでも容易にトークンを発行で
きるようになっています。
 ICOに登録して企業独自のトークンを発行し、一般投資家か
らトークンの買い手を募り、プラットフォームが対応するトーク
ンで、資金調達が可能になります。投資家の視点から見ると、企
業が提供するサービスの価値が向上すれば、それに連動してトー
クンの価値も上がり、そこから、売却益を得られるようになりま
す。これは、暗号資産の仕組みを使ったクラウドファンデングで
あるといえます。しかも、トークンはブロックチェーン上で運営
されるので、世界中から大規模な資金調達も可能になります。
 イーサリアムには、ブロックチェーン上でスマートコントラク
トを利用して実現できるアプリケーション「DApps」 (ダップス
/分散型アプリケーション)が数多く開発されています。アップ
ストアにおけるアイフォーンのアプリのようなものです。
 イーサリアムでは、これらの開発者に対して、トークンを発行
し、手数料として支払っています。そのトークンの支払いにもス
マートコントラクトを利用しています。そのシステムをわかりや
すくいうなら、「自動販売機で株券を売る」ようなものです。
 イーサリアムでは、参加者(開発者やユーザー)は、アプリを
選んでイーサリアムの暗号資産のイーサを投入すると、そのイー
サはそのままそのアプリの開発者に送られ、参加者にはトークン
が発行されます。これによって、「DApps」 の開発者は、イーサ
を換金して資金を得ることができます。ちなみに「DApps」 とは
次の略称です。
─────────────────────────────
       ◎DApps/分散型アプリケーション
          Decentralized Applications
─────────────────────────────
 「DApps」 は、日本語で「分散型アプリケーション」と呼ばれ
ています。ブロックチェーン上でソフトウェアを動作させる仕組
みである「スマートコントラクト」を応用したものであり、現在
では、オークションプラットフォームやゲームなどが開発されて
います。現在、数多くの分野で「DApps」 が開発され始めており
次世代型のソフトウェアとして注目を集めています。
 現在、提供されている「DApps」 には、ユーザーが操作する画
面部分のみPCやスマホのアプリとして作成し、ユーザーから見
えない部分(バックエンド)にスマートコントラクトを利用する
ものも存在します。現在、「DApps」 には注目が集まりつつある
のです。         ──[デジタル社会論V/065]

≪画像および関連情報≫
 ●そもそもイーサリアムとは何なのか。生みの親ヴィタリック
  ・ブテリンが執着した3つの開発思想
  ───────────────────────────
   ヴィタリック・ブテリンは、まず、ビットコインと出会い
  「分散型」という思想に魅了されたそうです。ビットコイン
  が持つ「分散型台帳」や「ブロックチェーン」の技術を用い
  れば、運営主体(発行主体)が存在せずとも、利用者同士でネ
  ットワークを監視し合うことで、通貨の発行や管理を行うこ
  とができます。
   また、ブロックチェーンは「データ改ざんが極めて困難」
  という特性も持っており、発行主体が存在せずとも、その安
  全性をしっかりと担保しているのです。イーサリアムもビッ
  トコイン同様、ブロックチェーン技術を採用してますが、そ
  の上で「スマートコントラクト」という活気的な機能も持っ
  ています。
   スマートコントラクトは「あらゆる取引・契約を、ブロッ
  クチェーン上で自動化する」という目的を持っています。ブ
  ロックチェーンの「データ改ざんが困難」という特性を利用
  し、日常的に行われている取引や契約の情報をブロックチェ
  ーン上に記載し、契約を履行する。現在の「契約」は人の手
  を介して行われる場合が多く、仮に普及すれば、企業側は人
  件費削減などの大きなメリットを享受することでしょう。ま
  さに、ビジネスにおける根底の仕組みを覆しうる、そんな技
  術が「イーサリアム」であり「スマートコントラクト」なの
  です。             https://bit.ly/3kJ1Jdt
  ───────────────────────────
暗号資産/イーサリアム.jpg
暗号資産/イーサリアム
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2021年11月10日

●「トークンはどのように発行するか」(第5610号)

 「トークン」についてさらに考えます。企業はどのようなとき
に、どのようにして、「トークン」を発行することができるので
しょうか。
 トークンは、「ICO」に基づいて発行されますが、これに似
た言葉に「IPO」があります。ICOという言葉は、おそらく
IPOをもじって作られた言葉であると思います。
─────────────────────────────
 IPO ・・・ 新規株式公開/Initial Public Offering
 ICO ・・・ 新規通貨公開/ Initial Coin Offering
─────────────────────────────
 ある小規模の新興IT企業を例として取り上げます。その企業
は、IT業務を運営し、普通に営業していますが、あるよいアイ
デアを持っていて、それを事業化しようと考えています。こうい
う企業がそのための資金を調達しようとする場合、ICOにした
がって、トークンを発行する方法があります。
 この場合の資金調達の方法には、銀行に融資を申し込むとか、
いわゆるクラウドファンディングなどの方法で資金を集めるとか
いろいろな方法があります。ICOによるトークンの発行はその
ひとつです。
 ICOを実施しようとする企業は、仮想通貨市場に対して、な
ぜ、トークンを発行するのかアナウンスする必要があります。こ
れが「ホワイトペーパーの発行」です。ホワイトペーパーは、資
金調達の目的、使途、投資家への還元方法などをまとめたものを
いいます。
 続いて、企業は「オファーの提示」を行います。オファーとは
契約条件を規定した内容書です。このオファーを受けた投資家は
事業全容を把握し、投資する額や期間といったことを指定するの
です。ICOは、IPOと違って証券会社が関与していないので
このようなオファーが必要になるのです。投資家としては、その
事業が魅力的であれば、トークンを購入することになります。
 ICOの目的には次の2つの目的があります。
─────────────────────────────
           @通貨の普及
           A資金の調達
─────────────────────────────
 @は「通貨の普及」です。
 事業目的が魅力的であれば、発行したトークンは値上がりし、
それによってその仮想通貨も値上がりするはずです。仮に、イー
サリアムでトークンを発行したとすれば、そのトークンの値上が
りは、基軸通貨であるイーサの値上がりに対して、影響を与える
のです。
 企業にとっても、自社の発行したトークンが広く普及し、値上
がりすれば、発行した企業として大きな利益につながることにな
ります。日本だけでなく、世界に対してアッピールすることにな
るので、一人ひとりが投資している金額がわずかでも、巨額な金
額になることが多いです。
 Aは「資金の調達」です。
 発行したトークンの認知度が上がると、その発行元である企業
のホワイトペーパーに注目が集中します。そして、そのホワイト
ペーパーに示された事業内容が魅力的であり、その実現可能性が
高く、投資家の信頼が得られると、企業は目標とした資金が得ら
れることになります。
 ICOのメリットとデメリットについて考えてみます。
 企業側と投資家のメリットとデメリットについて、以下にまと
めておきます。
─────────────────────────────
  ◎企業側のメリット
   @調達した資金は借金ではないので返済不要である
   Aトークンに対して株式を発行する必要がないこと
   B世界中から幅広く資金調達することができること
  ◎投資家のメリット
   @トークンは少額でも購入は可能で、投資しやすい
   Aトークンの価格が上昇すると、大きな利益になる
   Bトークンが上がると基軸仮想通貨も値上がりする
  ◎企業側のデメリット
   @簡単に参入できるので、ライバル企業も多くなる
   A国によってはICOを運営する制度が異なること
  ◎投資家のデメリット
   @大きな損失が発生するリスクの可能性があること
   A投資家保護がなく詐欺にかかる可能性もあること
─────────────────────────────
 ALIS(アリス)という日本企業があります。ウェブサイト
にアクセスすると、一般的なブログサービスと同じように、記事
やカテゴリが並んでいます。他のサイトと大きく異なる点は、記
事の内容に関して、ALISは、独自の暗号資産である「ALI
Sトークン」を報酬として、配布している点です。
 良質な記事を書いた人と、その良質な記事に対して、いち早く
「いいね」をつけた人には、「ALISトークン」が報酬として
与えられる仕組みになっています。トークンの発行など一連の仕
組みをブロックチェーンによって実現しています。つまり、IC
Oを日本で一番最初にはじめた企業がALISというわけです。
ALISは、ICOを開始した直後に、たった4分で1億円を達
成したといいます。ALISについては、情報を集めてさらに詳
しくお伝えするつもりです。
 このように、ビットコインやイーサリアムのような仮想通貨の
世界では、そのブロックチェーンを利用して、もうひとつの仮想
通貨トークンが作られ、それによって企業の資金調達にも役立っ
ていることがわかります。これらにおいて、日本は改めて世界に
対して非常に遅れていると感じます。
             ──[デジタル社会論V/064]

≪画像および関連情報≫
 ●DXに関心があるすべての企業が注目すべき新しい
  資金調達法──withコロナの時代
  ───────────────────────────
   企業のデジタルトランスフォーメーションが進み、その波
  は資金調達にも及んでいる。ITが発達し、これまでにも新
  たな資金調達手段が生まれたが、改正金商法が施行されるま
  さに今年・2020年には、また新たな形の資金調達が可能
  になる。新型コロナウイルスが拡大し、経済の先行き不透明
  感が増す中、将来を見据えてDXに取り組む企業・ビジネス
  パーソンが今こそ注目すべきこと、取るべき行動とは何か。
   デジタルトランスフォーメーションとは、進化したデジタ
  ル技術で人々の生活をより良いものへ変革することだ。AI
  5G、IоTなどの充実で日々の生活、暮らしも変わりつつ
  あるが、ビジネス・企業経営においてもDXは急速に進んで
  いる。資金調達でもデジタル化が進み、クラウドファンディ
  ングなど、新しい資金調達手段が生まれているが、なかでも
  今注目されつつあるのが、セキュリティトークンによる調達
  「STO」(セキュリティトークン・オファリング)だ。S
  TOというと、仮想通貨であるコイン、トークンを発行する
  ICOと比較し、「ICOを進化させたもの?」と思われが
  ちだが、STOとICOは別物だ。
   セキュリティ(Securities)とは株式や債券などの有価証
  券のことで、これをブロックチェーンで管理してトークンを
  発行する。つまり、「有価証券をデジタル化したもの」が、
  セキュリティトークン。まさに今年施行の改正金商法で実現
  する、これからの技術でありサービスなのだ。
                  https://bit.ly/3wxHvbe
  ───────────────────────────
トークン.jpg
トークン
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2021年11月09日

●「仮想通貨とトークンはどう違うか」(第5609号)

 昨日のEJの続きです。11月2日のニュースを取り上げるこ
とにします。
─────────────────────────────
◎「イカゲームコイン」運営者が逃亡、時価総額60億ドル
 が蒸発
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ネットフリックスの人気ドラマ「イカゲーム(Squid Game)」
にインスパイアされて作られた暗号通貨の価格が11月1日に暴
落した。ニュースサイトギズモンドは、このプロジェクトの背後
にいる詐欺師たちが、推定210万ドル(約2億4000万円)
を持ち逃げしたと報じている。コインマーケットキャプのデータ
によると、10月20日に発行されたスクイッドゲームトークン
と呼ばれる暗号通貨の価格は一時、2861ドル以上に達したが
11月1日早朝(米国時間)に急落し、15分間で約60億ドル
の時価総額が失われた。
 スクイッドゲームトークンの開発者は、11月に開催予定のイ
カゲームのビデオゲームのトーナメント内で、この通貨を使える
ようにすると述べていた。しかし、彼らは突然プロジェクトを停
止し、Tornado Cash と呼ばれるプロトコルで取引の詳細を隠し
た上で、約250万ドル相当のバイナンスコインを現金化したこ
とがウォレットの動きから判明し、暴落が発生した。
    ──2021年112日付、ヤフージャパン!ニュース
                  https://bit.ly/3wkKQu5
─────────────────────────────
 この記事を読んでも、色々なことが書かれていて、何が起こっ
たのかいまひとつピンとこないと思います。話を整理することに
します。
 まず「イカゲーム」というのは、ネットフリックス韓国ドラマ
で、9月17日に配信が開始されると、ネットフリックス全米第
1位を獲得し、配信後ほぼ1か月で、全世界1億4200万世帯
が視聴し、94か国でランキング1位を記録。ネットフリックス
創設以来最大のヒット作品となったのです。
 この「イカゲーム」の人気にインスパイアされて10月20日
に発行された「スクイッドゲームトークン」という名の暗号通貨
の価格が2861ドル以上に上昇したが、11月1日早朝(米国
時間)に急落し、15分間で約60億ドルの時価総額が失われと
いうのです。
 これは明らかに詐欺ですが、ここで注目すべきは、「スクイッ
ドゲームトークン」という名の暗号通貨です。この「トークン」
というのはいったい何でしょうか。
 ここからは、また少しわかりにくい話になります。トークンの
一般的な意味は、次の通りです。
─────────────────────────────
 ◎トークン(Token)
  しるし、象徴、証拠、記念品、形見、証拠品、地下鉄・バス
 料金などに用いられる代用貨幣、商品との引換券のこと
─────────────────────────────
 現実の世界で、トークンに一番近いものといえば、ポイントで
あるといえます。ポイント自体をお金に換えることはできません
が、ポイントを発行している各サービス元が提供している商品や
サービスをポイントを使って買うことができます。
 このようにポイントは理解できますが、仮想通貨の世界におけ
るポイントというべきトークンとは一体何かというと、少し頭が
混乱してきます。なせなら、トークンがお金の代わりに利用でき
るものであるならば、仮想通貨自体もトークンということになっ
てしまうからです。
 しかし、仮想通貨の世界では、仮想通貨とトークンは微妙に境
界線を設けて区別して使用されています。仮想通貨もトークンも
どちらも通貨としての性格を帯びますが、そのブロックチェーン
に違いがあるのです。
─────────────────────────────
  ◎仮想通貨
   独自のブロックチェーン上で発行・流通されている
  ◎トークン
   既存のブロックチェーン上で発行・流通されている
─────────────────────────────
 ビットコインやイーサリアムは、独自の専用のブロックチェー
ンを有しています。つまり、それぞれオリジナル技術に基づくブ
ロックチェーンです。
 しかし、トークンは、オリジナル技術ではなく、既存のブロッ
クチェーン上で発行されるのです。つまり、トークンは、間借り
してお店を出しているイメージです。例えば、ビットコインのブ
ロックチェーンを利用したり、イーサリアムのそれを利用して発
行しているのがトークンです。
 それではトークンは、どういう目的で発行されているのでしょ
うか。それは、企業の資金調達のためです。企業としては、トー
クンは、株式よりも簡単に、安価で、発行することが可能だから
です。ですから、企業としては、何とかしてトークンを発行した
いと考えています。
 トークンを発行して資金調達をする方法を「ICO」というの
です。ICO(新規仮想通貨公開)とは次の英語の略です。
─────────────────────────────
        ◎ICO/新規仮想通貨公開
           Initial Coin Offering
─────────────────────────────
 要するに、ICOとは、企業が仮想通貨を発行し、それを公開
し、購入してもらうことで、資金調達を行う方法です。株式を公
開するIPOに比べると、ICOはきわめて簡単に資金を集める
ことができるので、多くの企業が利用しているのです。
             ──[デジタル社会論V/063]

≪画像および関連情報≫
 ●ネットフリックスの「イカゲーム」を利用してトークンを
  つり上げか
  ───────────────────────────
   スキッド・ゲーム(SQUID)という名称で、遊んで稼
  ぐトークンとして宣伝されているトークンが、10月26日
  の取引開始から連続してかなり不自然に上昇したことを受け
  暗号資産(仮想通貨)業界と主流メディアの注目を集めてい
  る。しかし、このトークンのウェブサイトを少し見ても複数
  の不審点があり、提携先リストに掲載されている企業のうち
  少なくとも1社が提携関係を否定している。
   スキッド・ゲームは、10月26日にバイナンスチェーン
  のDEX(分散型取引所)であるパンケーキスワップで1S
  QUID=0.01ドルで取引を開始した後、記事執筆時点
  (UTC(協定世界時)29日14時24分)では7.55
  ドルで取引されており、4万5000%超上昇している。
   過去24時間では222%上昇しており、その値は増加し
  続けている。コインマーケットキャップのデータによると、
  24時間取引高は900万ドルを超えている。買い手にとっ
  て不幸なことに、ネットフリックスの韓国ドラマシリーズで
  ある「イカゲーム(英題は「スキッドゲーム」)」に着想を
  得たと思われるこのトークンには問題がある。複数のユーザ
  ーがパンケーキスワップ上で売却できないと報告している。
  現時点でこのトークンが取引されている市場がパンケーキス
  ワップのみであることを考えると、トークン保有者にとって
  この状況は当然ながら大きな問題となる可能性がある。
                  https://bit.ly/3qefPHh
  ───────────────────────────
スギッドゲーム.jpg
スギッドゲーム
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2021年11月08日

●「ステーブルコイン規制強化の動き」(第5608号)

 2021年11月2日と3日のことです。仮想通貨に関する大
きなニュースが相次いで報道されています。ともに重要なことな
ので、取り上げることにします。11月3日のニュースから取り
上げることにします。
─────────────────────────────
◎「法定通貨連動の仮想通貨」米当局「銀行並み規制を」/金融
 への影響EUも懸念
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 世界で法定通貨を裏付けにした暗号資産(仮想通貨)の一種で
ある「ステーブルコイン」への規制圧力が強まっている。米金融
当局は1日、発行企業に銀行並みの厳しい監督体制を課すために
議会に立法措置を取るよう要請。欧州連合(EU)も開示や資産
保全義務を課す規制案を公表した。金融システムに与える影響を
懸念し、当局が包囲網を強めている。
         ──2021年11月3日付、日本経済新聞
             https://s.nikkei.com/31BduMd
─────────────────────────────
 この記事の主役である「ステーブルコイン」とは何かです。
 仮想通貨には多くの種類がありますが、ビットコインがそうで
あるように、その価値が乱高下することで知られています。この
価格の変動幅のことを「ボラティリティ」といいますが、仮想通
貨のボラティリティの高さは、個人投資家が投資対象としている
多くの金融商品のなかでも群を抜いています。
 このボラティリティの高さを何らかの方法で解決して登場した
のが、「ステーブルコイン」です。ステーブル(Stable)とは、
「安定している」「固定されている」という意味で、「安定した
コイン」を意味しています。
 どのようにして、ボラティリティを抑えているかによって、ス
テーブルコインは、次の3種類があります。
─────────────────────────────
      @法定通貨担保型
      A   無担保型/アルゴリズム型
      B仮想通貨担保型
─────────────────────────────
 @は「法定通貨担保型」です。
 現在、市場で流通しているステーブルコインの大半は、このタ
イプです。法定通貨というのは、世界各国が発行している米ドル
や日本円、ユーロなどの既存通貨のことで、既存の法定通貨を担
保にして発行されるものを「法定通貨担保型」というのです。
 この場合、ステーブルコインを発行する企業や運営主体は、そ
のステーブルコインと同額の法定通貨を保有していることが条件
になります。
 ステーブルコインが仮に無価値になっても、同額の法定通貨が
あれば、それを担保にできるし、通貨の信用が維持される仕組み
になっています。実際問題として、このタイプのステーブルコイ
ンの1通貨当たりの価値は1ドル前後です。
 このタイプに属するステーブルコインとして有名なもののべス
ト3は、次の通りです。
─────────────────────────────
         1.テザー(USDT)
         2.  トゥルーUSD
         3.   USDコイン
─────────────────────────────
 Aは「無担保型/アルゴリズム型」です。
 このタイプは法定通貨などを担保にせず、発行主体がボラティ
リティをコントロールします。供給量を調節し、価値を保つこと
を目指すのです。価値を保つためのアルゴリズムを開発し、アル
ゴリズムが自動的に供給量を調節するので、アルゴリズム型とも
いわれます。このタイプの代表的ステーブルコインには、ベーシ
ス、ESDなどがあります。
 Bは「仮想通貨担保型」です。
 このタイプは、ドルや円やユーロなどの法定通貨の代わりに、
仮想通貨を担保にしているものをいいます。イーサリアムなど代
表的な仮想通貨を担保にしているので、担保となる仮想通貨の価
値が失われない限り、信用を維持できます。
 しかし、そもそも仮想通貨自体のボラティリティは高いので、
仮想通貨では、ステーブルコインとしての価格安定性を保ちにく
くなり、ステーブルコインのなかでもあまり採用されないタイプ
です。このタイプは、数が少なく、代表的なものとしてはDAI
があります。
 ステーブルコインを巡っては、一部で取り付け騒ぎも起きてい
るといいます。冒頭の新聞記事は、ステーブルコインの価値が急
変して、利用者に想定外の損失をもたらす可能性や、不正送金の
リスクなどが今後続出する可能性があるので、ステーブルコイン
の発行者は、あくまで預金取扱機関である銀行として扱われるべ
きだと総括しているのです。
─────────────────────────────
 ステーブルコインを巡っては、一部で取り付け騒ぎも起きてい
る。「IRON」というステーブルコインは21年6月に裏付け
資産の4分の1近くを占めるトークンの市場価値がゼロになり、
IRONの投げ売りが起きた。
 すぐに換金が難しい金融商品を保有資産として抱えている問題
もある。最大のステーブルコインである「テザー」を発行するテ
ザーホールディングスの6月末時点の保有資産の約半分は、企業
が短期の資金を調達するコマーシャルペーパー(CP)と譲渡性
預金(CD)だ。テザーに想定外の事態が起きれば短期市場に混
乱が広がり、金融取引に影響が出かねない。
             https://s.nikkei.com/31BduMd
─────────────────────────────
              ─[デジタル社会論V/062]

≪画像および関連情報≫
 ●「安定通貨」米で規制強化論/資産裏付けの仮想通貨
  安全か デジタルドルの行方に波及
  ───────────────────────────
   ドルなど実態のある資産に裏打ちされた暗号資産(仮想通
  貨)の一種「ステーブルコイン(安定通貨)」の規制強化論
  が米国で浮上している。ドルと連動する人気のステーブルコ
  インで安全性が疑問視されたためだ。米連邦準備理事会(F
  RB)が発行の是非をさぐる「デジタルドル」の行方とも絡
  み、金融のあり方に一石を投じそうだ。
   ステーブルコイン1単位は1ドルの現金に裏付けられ常に
  換金できる。そう触れ込んで急成長したドル建てのステーブ
  ルコインで問題が相次いでいる。実際は安全性や換金性で劣
  る証券などが裏付けとなっていたのだ。
   直近の例は時価総額2位の「USDコイン」。資産はコマ
  ーシャルペーパー(CP)や社債を多く含み現金やそれに近
  いMMF(マネー・マーケット・ファンド)は約6割にとど
  まった。運営者のサークルは8月22日、「9月中に裏付け
  資産をすべて現金か短期国債に替える」と発表した。時価総
  額首位の「テザー」はより深刻だ。一時は銀行との取引もな
  く、一部資金は融資に回っていたとニューヨーク州司法当局
  が指摘し、2月に1850万ドル(約20億円)の和解金を
  払った。テザーがのちに公表した資料では裏付け資産の約半
  分がCP。現預金はわずかで、他のデジタル通貨や金にも資
  金が投じられていた。   https://s.nikkei.com/3wn2WeR
  ───────────────────────────
ドルに連動する安定通貨の時価総額は急増.jpg
ドルに連動する安定通貨の時価総額は急増
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2021年11月05日

●「イーサリアムの考え方を整理する」(第5607号)

 イーサリアムに関して、スマートコントラクトの話を詳しく説
明しています。そのため、イーサリアムの実体がはっきりしなく
なっているようです。今日は金曜日であり、次のEJまで2日休
みがあるので、今日のEJは、このことをはっきりさせることに
したいと思います。
 イーサリアム(ETH)は、ビットコインと同様に、その実体
は仮想通貨(暗号資産)です。11月3日現在の、イーサリアム
/円(ETH/JPY)の価格をビットコイン(1BTC)の価
格と比較します。
─────────────────────────────
  ◎2021年11月3日現在
   イーサリアム(1ETH)・・  491138円
   ビットコイン(1BTC)・・ 6949864円
─────────────────────────────
 イーサリアムとビットコインでは、大きな差がありますが、イ
ーサリアムは、時価総額では、ビットコインに次いで第2位を占
めています。ちなみに、イーサリアムには、「イーサリアム企業
連合/EEA」という組織があって、そこには500社以上の企
業が加盟しており、実用化が進むと、イーサリアムの価格は大き
く上昇する可能性があります。
 「アルトコイン」という言葉があります。ビットコイン以外の
仮想通貨の総称を意味する言葉であり、代替コインともいわれま
す。イーサリアムはビットコインに次ぐアルトコインです。
─────────────────────────────
          ◎アルトコイン
           Alternative Coin
─────────────────────────────
 イーサリアム(ETH)についての基礎情報を次に示しておき
ます。
─────────────────────────────
     通貨名 ・・・ イーサリアム
    通貨略称 ・・・ ETH
     発案者 ・・・ ヴィタリック・ブテリン
    発行上限 ・・・ 7200万ETH
    送金時間 ・・・ 15秒前後
    時価総額 ・・・ 約2兆1000万円
─────────────────────────────
 この基礎情報のなかで注目すべきは送金時間です。これは正確
には送金ができるまでに要する時間のことです。ビットコインは
約10分ですが、イーサリアムは約15秒。これなら決済に十分
使えるスピードです。
 さて、「イーサリアム」という言葉は、このように仮想通貨の
名称であることに加えて、スマートコントラクトのためのプラッ
トフォーム、もう少し正確にいうと、ダップス(DApps) /分散
型アプリケーション開発のためのプラットフォームということに
なります。両方とも「イーサリアム」という言葉を使うのです。
これでは混乱必至です。
 そこで言葉を整理します。ビットコインもイーサリアムも、ブ
ロックチェーンという技術を使っています。しかし、ブロックチ
ェーンの質というか、レベルが違うのです。
 ビットコインのブロックチェーンは、「取引を改ざんできない
ように間違いなく記録する」ことを実行するものであったのに対
して、イーサリアムのそれはその機能に加えて、ダップス/分散
型アプリケーションを開発するためのプラットフォームにもなっ
ているのです。つまり、色々なアプリを開発し、契約を自動実行
できる、スマートコントラクトが実現できるプラットフォームに
もなっているのです。
 スマートコントラクトという言葉も定義しておきます。ちなみ
に「スマート」という言葉は、「賢い」とか「機敏な」という意
味が転じて、「コンピュータで制御できる」という意味でも使わ
れます。スマートハウス、スマートシテイ、スマートカーなどの
ようにです。
─────────────────────────────
◎スマートコントラクトとは
 今まで人が手動で行ってきた「契約」を、ブロックチェーン上
で「自動化」することである。スマートコントラクトを導入する
ことにより、改ざん不可能でかつ非中央集権型のサービスを実現
することができる。
─────────────────────────────
 要するにスマートコントラクトとは、ブロックチェーンの「改
ざんが不可能」という特質を利用し、ブロックチェーン上に契約
記録を書き込んでしまおう、というものです。スマートコントラ
クトが導入されれば、人間を介在せずに、より高いセキュリティ
レベルを保った状態で、契約が可能になります。
 これに加えて、ソリディティ(Solidity)という独自のプログ
ラミング言語を用いて、契約の執行条件などをブロックチェーン
上に定義しておくことにより、契約を完全に自動化することも可
能になります。
 それでは、イーサリアムには、ビットコインのPоW(プルー
フ・オブ・ワーク)のようなものはあるのでしょうか。
 イーサリアムには、PоWの代わりに「PоS/プルーフ・オ
ブ・ステーク」というものがあります。
 PоSとは、発行済の全コイン総量に対する保有コインの割合
によって、発言力が変動するように設計されたアルゴリズムのこ
とです。つまり、コインの保有量が多いほど報酬を得やすい仕組
みになっているのです。なお、取引のためのトランザクション実
行や、プログラム処理ごとに発生する手数料として「ガス」とい
う概念も使います。ガス代のことです。
              ─[デジタル社会論V/061]

≪画像および関連情報≫
 ●イーサリアム、環境に優しいシステムへの年内移行望む
  ──考案者が語る
  ───────────────────────────
   イーサリアムのソフトウエア開発者は以前から、PoWシ
  ステムの問題点である二酸化炭素の大量排出を解決する「プ
  ルーフ・オブ・ステーク(PoS)」システムへの移行を目
  指して取り組んできた。
   PoSへの本格移行は、複雑な技術面での挫折で遅れてい
  る。暗号資産(仮想通貨)は今月、イーロン・マスク氏がエ
  ネルギー消費の急増を理由にビットコインを使用したテスラ
  車購入を停止すると発表したことをきっかけに、最大級の価
  格変動に見舞われた。暗号資産業界は一刻も早い本格移行を
  待望している。
   英ケンブリッジ大学のビットコイン電力消費総合指数(C
  BECI)によれば、ビットコインの年間電力消費量は現在
  パキスタンやアラブ首長国連邦(UAE)での年間電力消費
  を上回る。同大学はイーサリアムの電力消費データは集計し
  ていない。
   イーサリアムの考案者、ヴィタリック・ブテリン氏はイン
  タビューで、「仮想通貨やイーサリアムがこの1年間で驚異
  的発展を遂げたことから、われわれにとってPoSへの転換
  が一段と急務になっている」と発言。年末までの移行を望ん
  でいるとしたが、来年前半までというのが大方の見方だ。そ
  れでも昨年12月時点の見通しから大幅に早まっている。
                  https://bit.ly/3BBSpNS
  ───────────────────────────
スマートコントラクト.jpg
スマートコントラクト
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2021年11月04日

●「『分散型』概念を正確に理解する」(第5606号)

 イーサリアムの開発者であるヴィタリック・ブテリンの分散型
の考え方をもう少し探ってみることにします。ブテリン氏は盛ん
にこういっていたのです。「ぼくを惹きつけてやまないのは『分
散型』というアイデアである」と。ここで「分散型」という概念
について正確に理解する必要があります。
 添付ファイル「コミュニティのパターン」を参照して読んでい
ただければ幸いです。図に関しては、坪井大輔氏の本で出ていた
ものです。
─────────────────────────────
    @中央集権型 Centralized
    A中央集権ハブ非中央集権型 Decentralized
    B分散型 Distributed
─────────────────────────────
 @は「中央集権型組織」です。
 これは、私たちの今の社会の組織はほとんどこれです。中央集
権型組織は、企業でいうと、一か所の強力な中心に情報が集まり
ます。GAFAのように、大きなプレーヤーが多くのサービスの
提供を通して情報を集めます。
 Aは「中央集権ハブ非中央集権型組織」です。
 これはDAOの世界です。日本には明確なこのスタイルの組織
はありませんが、坪井大輔氏によると、LINEのビジネスがこ
れに近い状態になっているとして、次のように述べています。
─────────────────────────────
 (LINEは)かなりDAOを意識して大きな投資をされてい
るように私には見えます。LINEという全体の大枠の中に、い
ろいろなサービスを散りばめて、それぞれか自律的なシステムと
して動いて、サービスごとに小さな中央集権をつくる。ただ、こ
れは全体をLINEがコントロールしていて、たくさんある小さ
な中央集権は、それぞれまったく関係ないようだけれど、実は一
個一個がつながっています。それぞれをクローズアップしてみる
と、突き詰めていえば、やはり中央集権のコミュニティです。
              ──坪井大輔著/翔泳社/SE刊
   『WHY BLOCK CHAIN/なぜ、ブロックチェーンなのか』
─────────────────────────────
 Bは「分散型組織」です。
 これは、完全な分散型ネットワークです。これは、ビットコイ
ンのネットワークそのものであり、「パブリックチェーン」と呼
んでいます。完全な分散型で、誰も管理しません。坪井氏による
と、社会がすぐにこのようになるというのは考えられず、分散型
は飛躍しすぎていて未来の話に属するといっています。この世界
観を追い詰めると投資がかさみすぎるというのです。
 さて、話をヴィタリック・ブテリン氏の「分散型」の考え方に
戻します。彼は、自分が惹きつけてやまない分散型について、記
者の質問に対して、次のように述べています。
─────────────────────────────
 ブロックチェーンの魅力は、これまでとはまったく異なる方法
でアプリケーションの構築を行えるところにある。ぼくを惹きつ
けてやまないのは「分散型」というアイデアだ。フェイスブック
のようなひとつの企業にコントロールされるネットワークの代わ
りに、人々がコラボレートすることでできるネットワークを構築
することができる。ひとつの会社やひとりの人間に支配されるこ
とはない。そしてそこには、より効率的で、より公平なマーケッ
トが生まれる可能性がある。人々のやりとりが透明化されて、攻
撃されにくい、よりレジリエントなシステムが生まれる可能性が
ある。それらすべての特徴が、人々のためになると思う。
               ──ヴィタリック・ブテリン氏
                  https://bit.ly/3GDcya4
─────────────────────────────
 ここで述べられているヴィタリック・ブテリン氏の「分散型」
の世界が、イーサリアムによるスマートコントラクトの世界につ
ながったといえます。
 そもそもビットコインに代表される初期のブロックチェーンは
「たった今行われた出来事」を順次記録していくだけの仕組みに
過ぎなかったのです。ブテリン氏は、これをイーサリアムによっ
て、「当事者が合意する条件の下で、特定の処理を将来において
確実に実行すること」に発展させています。これがスマートコン
トラクトの始まりです。
 契約とは何でしょうか。
 一般的な契約とは、当事者同士が行った何らかの約束が、将来
きちんと果たされるように、法律とその執行機関の下で合意を取
り交わすことです。これが契約です。
 イーサリアムにおけるスマートコントラクトは、ブロックチェ
ーン上に自動的に作動するプログラムを実装することによって、
特定の第三者による仲裁なしに確実に合意内容を執行することが
できるのです。つまり、イーサリアムでは、ブロックチェーンは
プログラムそのものと、プログラムの実行結果を記録することが
できるようになっています。
 それでは、プログラムの実行環境とプログラミング言語はどの
ようなものを使っているのでしょうか。これについては、次のよ
うになっています。
─────────────────────────────
   ◎実行環境
    イーサリアム・バーチャル・マシン(EVM)
   ◎プログラミング言語
    ソリディティ(Solidity)
─────────────────────────────
 「ブロックチェーンにプログラムを組み込む」という仕組みが
少しずつ見えてきていると思いますが、いかがでしょうか。ブテ
リン氏は、やはり大変な天才です。
              ─[デジタル社会論V/060]

≪画像および関連情報≫
 ●スマートコントラクトとは?仕組みと事例からわかる
  仮想通貨との関係
  ───────────────────────────
   仮想通貨といえばビットコインが有名ですが、それ以外に
  も注目されている仮想通貨が存在します。例えば、イーサリ
  アムと呼ばれる仮想通貨は、将来的にはビットコインの価値
  を上回るのではないのか、と言われているほどです。
   同じ仮想通貨といえど、イーサリアムにはビットコインに
  は無い機能があります。それがスマートコントラクトです。
  スマートコントラクトは非常に便利で魅力的な機能なだけに
  将来的にはビットコインのサイドチェーンにスマートコント
  ラクトと似たような機能が追加されるだろうと言われている
  ほどです。
   一体、スマートコントラクトとはどのような機能を持って
  いるのでしょう?この機能を活用すると、どのような恩恵が
  受けられるのでしょうか?    https://bit.ly/3o3Hecj
  ───────────────────────────
コミュニティのバターン.jpg
コミュニティのバターン
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2021年11月02日

●「ブーレーによる選挙投票システム」(第5605号)

 イーサリアムの開発者、ヴィタリック・ブテリンは、次のよう
にいっています。
─────────────────────────────
 ビットコインが電卓のような計算機だとすると、イーサリアム
はアイフォーンである。     ──ヴィタリック・ブテリン
─────────────────────────────
 よく考えてみると、ビットコインのブロックチェーンは、「取
引を改ざんできないように間違いなく記録する」という目的を持
つものであったのに対し、イーサリアムのそれは、さまざまな目
的を持つアプリをブロックチェーン上に開発できるようになった
という点が大きく違います。まさにスマホと同じと考えればわか
りやすいと思います。
 これに関して覚えておくべきは、こうして開発されるアプリケ
ーションのことを「DApps/ダップス」ということです。 新しい
言葉続出で大変ですが、これについては改めて取り上げます。
─────────────────────────────
        DApps/分散型アプリケーション
        Decentralized Applications
─────────────────────────────
 スマートコントラクト、ビットコイン、イーサリアム──これ
らの関係がまだ頭のなかで整理できない人も多いと思います。こ
れを整理することからはじめます。
 スマートコントラクトの考え方は、米国の法学者にして暗号学
者であるニック・サボ(Nick Szabo)氏が1997年に論文で発
表しています。つまり、ビットコインやイーサリアムよりも前に
スマートコントラクトの考え方は存在したのです。
 この論文において、スマートコントラクトは「プログラムでき
る契約」と説明されており、次の3つの段階を経ることで、プロ
グラムされた契約が自動的に実行されるのです。
─────────────────────────────
           @契約の定義設定
           A契約の自動実行
           B実行結果の監査
─────────────────────────────
 論文では、スマートコントラクトが導入された例として自動販
売機が上げられています。イーサリアムでは、このスマートコン
トラクト技術をブロックチェーン技術と組み合わせることによっ
て、ブロックチェーンに記載されている個人情報を参照して、一
切の仲介者なしに契約を自動的に実行するといった利用目的を可
能にしたのです。
 契約というものは、人が絡むので、どうしても多くのコストが
かかります。そこでブロックチェーンのシステムのなかに、契約
のルールやレギュレーションを組み込んで、一定の条件が整った
ときに、自動的に契約が実行されることを目指します。それがで
きる契約はたくさんあると思います。
 もし、そうした契約がプログラミングできれば、人がかかわら
なくても自動的に契約が実行されることをよしとするのが、スマ
ートコントラクトの考え方です。このことをニック・サボ氏は論
文に書いて発表したのです。
 ところで10月31日には、総選挙が行われ、投票に行かれた
ことと思います。私は、投開票日は混むと考えて、1日前の10
月30日に期日前投票に行きましたが、会場はガラガラでした。
それでも10人ほどのスタッフが対応してくれました。期日前投
票が始まった日から毎日、投開票日まで全国の投票所では大勢の
スタッフが選挙の対応に当たるのです。その後開票作業があるの
で、さらに大勢の人が開票に関わります。まさに人海戦術そのも
のであるといえます。何とかこれをデジタル化したいとは、誰も
考えなかったのでしょうか。
 それに、選挙には、次のように、改ざんのリスクが3つもある
のです。
─────────────────────────────
     @投票前 ・・・ 票を水増しして改ざん
     A開票前 ・・・ 投票箱自体のすりかえ
     B開 票 ・・・ 管理システム不正使用
─────────────────────────────
 この不便さを一変させる「ブーレー/Boule」 という投票シス
テム」があります。投票システムにブロックチェーンの技術を使
い、投票用紙をデジタル化し、電子投票を可能にしています。
 日本の「マイナンバーカード」が大きく普及したという前提で
あれば、日本でも十分使えます。
 まず、選挙投票アプリをスマホにダウンロードします。そして
投票者は「投票」をタップし、マイナンバー番号を含む本人情報
を選挙管理委員会に送信します。選挙管理委員会では、システム
が、自動的に本人の顔をカメラで撮影し、マイナンバーカードの
写真と照合します。生体認証です。
 この生体認証がパスすると、スマホに候補者の情報が送られて
きます。顔写真や経歴なども書かれているので、タップして投票
します。正しく投票できていれば、選挙管理委員会から「投票終
了」のメッセージが送られてきます。これで終わりです。
 投票所に足を運ぶこともなく、家からでも、どこからでも投票
を済ますことができます。これによって、投票率は飛躍的に上昇
するはずです。
 もちろん国民全員がスマホで投票するのは無理と考えられるの
で、従来の投票方式が一部残ることになると思われますが、大幅
な人員削減になることは間違いないことです。そうすれば、開票
結果もほとんどがコンピュータの処理で終わることになり、スピ
ーディーに結果も出るし、ブロックチェーンが絡んでいるので、
投票の改ざんは不可能です。これがイーサリアム・ブロックチェ
ーンのスマートコントラクトを利用した選挙投票システム「ブー
レー」の概要です。     ─[デジタル社会論V/059]

≪画像および関連情報≫
 ●ブロックチェーンと選挙
  ───────────────────────────
   これまでに選挙の効率化や利便性の向上といった点から、
  電子投票について議論がされてきました。電子投票は、テク
  ノロジーに明るい若い人、投票所に足を運ぶのが困難な人な
  ど、より多くの人の意見を国や組織の決定に反映させるとい
  う点でも実現が期待されます。
   投票では、定められた期間内に有権者が投票可能で、かつ
  投票結果に改竄はあってはなりません。ここで注目を集める
  のが、「分散型で障害に強い」「改竄が限りなく不可能に近
  い」というブロックチェーンの特徴です。
   電子投票、ブロックチェーンを使った投票については、ハ
  ッキングに対する懸念や指摘もあり、投票システムがハッキ
  ングされる可能性はゼロではありません。ただし、現状の投
  票所に足を運んで票を投じる選挙システムにも、本人確認な
  ど粗さが残り、さらに、世界を見渡すと不正選挙から抗議運
  動が起こり暴動に発展した事例もあります。選挙に関するデ
  ータが改竄不可能な形で記録され、選挙が正しく行われたこ
  とが数学的に証明されたらどうでしょう。ここからは、国内
  外でのブロックチェーンと選挙に関する事例を、見ていきま
  しょう。            https://bit.ly/2Zwn41P
  ───────────────────────────
ブーレーによる選挙投票システム.jpg
ブーレーによる選挙投票システム
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2021年11月01日

●「イーサリアムは誰が開発したのか」(第5604号)

 話が少しややこしくなっています。「イーサリアム」というも
のが登場したからです。ビットコインとイーサリアムは、どう違
うのでしょうか。それらとブロックチェーンとの関係はどうなっ
ているのでしょうか。このあたりのことを整理して、先に進もう
と考えています。
 まず、ビットコインです。ビットコインは、暗号技術を使った
デジタル通貨です。本来の用途は「お金」であり、インターネッ
ト上で経済的価値の交換を行うためのものです。お金のデジタル
化の実現ともいえます。
 それでは、ビットコインとブロックチェーンの関係はどうなっ
ているのでしょうか。ブロックチェーンに近い技術は、ビットコ
インの開発以前にありましたが、その技術がさらに磨きをかけら
れ、ビットコインに組み込まれています。一般的にいうと、ある
一定期間の取引をブロックとして、そのブロックの内容が後ろの
ブロックにより封印されていき、データの信頼性を構築していく
ものです。このビットコインからスピン・オフされたものが、イ
ーサリアムなのです。ところで「スピン・オフ」とは何でしょう
か。スピン・オフは次のような英語です。
─────────────────────────────
         スピン・オフ/spin-off
─────────────────────────────
 スピン・オフという言葉は、映画やドラマ作品に対して使われ
ることが多いのです。つまり、スピン・オフとは、元の作品から
派生した作品という意味で使われることが多いからです。
 映画やドラマはヒットすると、主人公以外のキャラクターも人
気になることがあります。そのキャラクターを主人公に据えて、
別の視点から元の作品の世界観を保ちながら作られた作品がスピ
ンオフ作品です。
 ずばりわかりやすくいうと、ドラマ『ドクターX/外科医・大
門未知子』と『ドクターY/外科医・加地秀樹』の関係です。こ
れは、間違いなく、『ドクターX』が大ヒットした結果、『ドク
ターY』がスピン・オフしたのです。『踊る大走査線』シリーズ
というドラマがありました。これを使ってスピン・オフを説明し
ているサイトがあるので、ご紹介することにします。
─────────────────────────────
 日本の作品で例をあげてみると、『踊る大捜査線』シリーズ。
こちらは、テレビドラマから映画まで発展し、大ヒットしました
よね。『踊る大捜査線』の主人公といえば、織田裕二さんが演じ
る青島刑事。映画内では数多くの名台詞を残し、一世を風靡しま
した。また、主人公以外にも『踊る大捜査線』に登場するキャラ
クターは非常に魅力的に描かれています。
 その中でも、ユースケ・サンタマリアさん演じる真下正義と柳
葉敏郎さん演じる室井慎次。この2人の視点から描かれた踊る大
捜査線の世界が、スピンオフ作品の『交渉人/真下正義』と『容
疑者/室井慎次』なのです。スピンオフの意味は、なんとなくご
理解頂けましたか?         https://bit.ly/31hj1r5
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 ビットコインからスピン・オフされたものがイーサリアムなの
です。考案者は、ヴィタリック・ブテリンという1994年、ロ
シア・モスクワに生まれた現在27歳の天才青年です。6歳のと
きに家族とともにカナダに移住した彼は、小学生のときにはすで
に数学や経済学の分野で驚くべき能力を発揮し、プログラミング
を学んでいたといいます。神童はやがて、ビットコインに出合う
のです。このヴィタリック・ブテリン氏をワイアードの記者がイ
ンタビューしているので、要約してお伝えします。
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──まずは、ビットコインとの出合いから教えてください。
VB:17歳のころに、父がビットコインについて教えてくれた
 のが最初だった。「おもしろい仮想通貨があるぞ」と父は教え
 てくれたんだけど、そのときはコンピューター上に書かれたた
 だの数字の羅列にしか見えなかったんだ。その本質的な価値に
 気づいていなかった。でもそれから1カ月後に、どこかでまた
 ビットコインに関する話を聞いたんだ。そのときになって、よ
 うやくビットコインについて調べてみたほうがよさそうだと思
 うようになった。
──イーサリアムのアイデアはどうして思いついたのですか。
VB:ビットコインとの出合いから2年後、ぼくは大学に通って
 いた。でもそのとき、週に30時間以上をビットコイン関連の
 プロジェクトに費やしていることに気づいたんだ。ぼくは大学
 を辞めることを決め、世界中のビットコインのプロジェクトを
 見て回る旅に出ることにしたんだ。ビットコイン界でいま何が
 起きていて、人々はどんなことをやっているのかを知るために
 ね。その旅のなかで、次第に人々がブロックチェーンを、仮想
 通貨以外の目的に使おうとしていることに気づいた。分散型の
 送金システム、モノの売買、個人認証、クラウドファンディン
 グ・・。そうしたさまざまな用途のアプリケーションにブロッ
 クチェーンが活用されていることを知ったんだ。でも、そのと
 きに人々が使っていたブロックチェーンのプラットフォームが
 彼らをサポートするのに十分ではないとも思った。
──十分でないというのは?
VB:特定のひとつ、あるいはいくつかのアプリケーションのた
 めだけに設計されたブロックチェーンをつくる代わりに、あら
 ゆる目的のために使えるブロックチェーンのプラットフォーム
 をつくればいいんじゃないかと気づいたんだ。少しのコードを
 書いて、アップロードするだけで、個別のアプリケーションの
 ためのブロックチェーンシステムが手に入れられるようなプラ
 ットフォームだ。それがイーサリアムの核となるアイデアにつ
 ながっていった。         https://bit.ly/2Y2rE7I
─────────────────────────────
              ─[デジタル社会論V/058]

≪画像および関連情報≫
 ●スマートコントラクトとは何か?その仕組みや事例、実装
  への課題を解説
  ───────────────────────────
   「スマートコントラクト」とは、ブロックチェーンシステ
  ム上の概念であり、あらかじめ設定されたルールに従って、
  ブロックチェーン上のトランザクション(取引)、もしくは
  ブロックチェーン外から取り込まれた情報をトリガーにして
  実行されるプログラムを指す。
   ここでの「スマート」とは「賢い」ではなく、「自動的に
  実行される」という意味で用いられている。一定のルールに
  よって自動的に実行されるプログラムという考え方自体は、
  何ら新しいものではない。コンピューターサイエンティスト
  ニック・サボ氏は1990年代にすでにスマートコントラク
  トという考え方を世に示している。
   彼はスマートコントラクトの一例として自動販売機を挙げ
  た。購入者が欲しい商品を選択し、代金を投入するという、
  設定されたルールが満たされると、自動販売機がその商品を
  払い出すというプログラムが、自動で実行されるというもの
  だ。自動販売機はきわめて初歩的な例だが、デジタルに制御
  されるさまざまな情報や資産に関わるプログラム実行への適
  用可能性が、30年近く前に示唆されていたのだ。スマート
  コントラクトの成り立ちは、当然ながらブロックチェーンと
  切り離せない。         https://bit.ly/3jQkpY0
  ───────────────────────────
ヴィタリック・ブテリン氏.jpg
ヴィタリック・ブテリン氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | デジタル社会論V | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年10月29日

●「アプリを構築できるイーサリアム」(第5603号)

 「DAO」という考え方があります。「DAO」とは、次の英
語の頭文字であり、「ダオ」と読みます。
─────────────────────────────
     ◎DAO/自律分散型組織
      Decentralized Autonomous Organization
─────────────────────────────
 DAOとは、分散型で、自律的に機能する組織を意味していま
す。従来の組織では、中央に意思決定をする組織や人がいて、そ
の決定したがい、組織が運営されています。これに対してDAO
では、中央の組織の代わりとして、ルールが存在するのです。こ
のルールに基づいて活動を行い、中央の組織がなくても、自動化
された運営ができます。
 このDAOに関して、坪井大輔氏は「次世代の世界観」として
次のように説明しています。
─────────────────────────────
 DAOは、今の時代の次に来る世界観を表しています。それは
ブロックチェーンやAI、ロボットなど、つくられたシステムが
私たち人間を自動的に使う世界です。
 システムが私たちを使うとはどういう意味でしょうか。ここで
ビットコインを思い出してください。ビットコインは、ある企業
が運営しているわけではありませんね。でもその中でとても大き
なお金が回っていて、人々はビットコインをめぐつてざわざわと
心動かされ、ときに行動も左右されている。システムで組まれた
自律して分散された仕組みが金融業界の中で僕らを使っている。
システムに人間が動かされているわけです。
 ブロックチェーンの可能性を考えるには、原則的にこの視点に
立つ必要があります。今後どうやって、自律的・自動的に動くシ
ステムをつくり、このシステムを組織化して、その周りに人間が
いるという状態をどう実現するか。これこそがブロックチェーン
の本当の意味での可能性です。──坪井大輔著/翔泳社/SE刊
     『WHY BLOCK CHAIN/なぜ、ブロックチェーンなのか』
─────────────────────────────
 この問題は、実は「イーサリアム」が関係しています。少しで
もビットコインやブロックチェーンに関心のある人であれば、こ
の「イーサリアム」という言葉を聞いたことがあると思います。
 このイーサリアムについて、あの堀江貴文氏は、2014年4
月に、自身のブログ「イーサリアムやべぇ。。。」というタイト
ルで、イーサリアムの可能性について、書いています。その一部
を紹介します。
─────────────────────────────
 つまり、ビットコイン型のプロトコルで重要なのは一番長いブ
ロックチェーンが正しいブロックチェーンだとネットワークの参
加者が合意しているということなのだが、そのブロックチェーン
にコインの金額や受取人などの取引情報ではなく、契約(スマー
トコントラクト)を記述してしまおうという仕組みがイーサリア
ムだ。改めて、公開鍵暗号方式とビットコイン型のブロックチェ
ーン方式の認証システムのコンボの凄さを思い知ったよ。。。
            堀江貴文氏 https://bit.ly/3bhIxOz
─────────────────────────────
 この事実を明かしているブログによると、当時堀江貴文氏は、
イーサリアムを購入しており、1800倍の価格に跳ね上がった
とされています。しかし、イーサリアムの秘密鍵を忘れてしまっ
て動かせなくなってしまったようです。イーサリアムでは、秘密
鍵を使ってトランザクションにデジタル署名をするので、秘密鍵
はお金の所有権をあらわしているのです。秘密鍵を再度取得する
ことはできません。
 そういうわけで、「イーサリアム」について、知る必要があり
ます。「イーサリアム」とは何でしょうか。
 イーサリアムは、ビットコインと同じブロックチェーンを利用
する暗号資産(仮想通貨)のひとつであり、2021年5月時点
では、ビットコインに次ぐ時価総額2位の地位を占めています。
ビットコインとイーサリアムとはどう違うのでしょうか。
 イーサリアムは、スマートコントラクト機能を備えた分散型ア
プリケーションプラットフォームです。つまり、イーサリアムで
アプリをつくれるとお考えください。イーサリアム上で使われる
通貨は、「イーサ」(Ether) といい、イーサリアムを利用する
際にかかる手数料を「ガス」(Gas)と呼びます。
 イーサリアムは、ビットコインよりも複雑な取引や契約が行え
るようになっています。取引の承認に使うブロックの生成間隔も
ビットコインは約10分であるのに対し、イーサリアムは約15
秒と短く、大量の取引をより速く行うことが可能です。
 イーサリアムの大きな特徴は、スマートコントラクト機能によ
り、ブロックチェーン上にアプリケーションを記録したり、契約
の内容を保存したりできることです。それでは、スマートコント
ラクトとは何でしょうか。
 スマートコントラクトとは、あらかじめ決められた設定によっ
て自動的に実行されるシステムのことです。スマートコントラク
トは、よく自動販売機に例えて説明されます。
─────────────────────────────
        @ユーザーがお金を入れる
        A飲みもののボタンを押す
        B希望の飲み物か出てくる
─────────────────────────────
 この流れを「ユーザーと自動販売機が契約した結果」とみるの
です。そうすると、お金の投入とボタンの選択は契約行為であり
この行為が行われたときのみ、自動販売機はサービスを提供する
ことになります。つまり、スマートコントラクトとは、ある行為
に紐付いた結果にいたるまでの契約の自動化をするためのもので
あって、イーサリアム・ブロックチェーンにはこの仕組みが備わ
っているのです。      ─[デジタル社会論V/057]

≪画像および関連情報≫
 ●DAOとは何ですか?
  ───────────────────────────
   分散型自律組織の概念を世界で初めて経験したのは、消滅
  前にベンチャー キャピタル ファンドとして運営されていた
  「The DAO」でした。ほとんどのベンチャー キャピタルファ
  ンドとは異なり、オープンソースコードによって運営されて
  おり、典型的な管理構造や取締役会はありませんでした。D
  AOのようなソリューションの設計の背後にある意図は、人
  間が運営する従来の組織で発生する可能性のあるエラーと資
  金の操作の数を減らすことです。
   DAOは、世界中の誰もが資金の管理ミスを心配すること
  なく、世界中のどこからでもプロジェクトに投資できるよう
  にすることを目的としていました。さらに、DAOはトーク
  ンの所有者がプロジェクトに投票できるようにします。
   DAOの成功は、記述されたコードに大きく依存していま
  す。このコードが適切に記述されていない場合、DAOは悪
  用される可能性のある脆弱性に、さらされる可能性がありま
  す。サイバー犯罪者は、DAOのセキュリティの脆弱性を悪
  用し、1億5000万ドル相当のETHの損失を引き起こし
  ました。DAOの失敗にもかかわらず、分散型自律組織の概
  念は長年にわたって人気が高まっています。この種の組織は
  最終的には従来のビジネス構造よりも望ましいものになると
  考える人もいます。これは、DAOが効果的に動作するため
  に依存しているブロックチェーンベースのコンポーネントに
  よるところが大きい。      https://bit.ly/3Cn1HhT
  ───────────────────────────
イーサリアム.jpg
イーサリアム
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2021年10月28日

●「仮想通貨中国全面中止の影響探る」(第5602号)

 2018年5月20日、米マイクロソフトの共同創業者である
ビル・ゲイツ氏は、ビットコインについて、次のように発言して
います。
─────────────────────────────
 資産クラスとしてビットコインは何も生み出さないので、その
価値が上がることを期待すべきではない。ビットコインへの投資
は生粋の“大馬鹿理論”greater fool theory of investment に
よるものだ。  ──ビル・ゲイツ氏 https://bit.ly/316tTIg
─────────────────────────────
 “大馬鹿理論”とはよくもいったりです。彼は、値上がりをし
ているものを実態にかかわりなくひとまず買って、遅れて買おう
とする馬鹿な人に高く売る、これがあちこちで起きて、価格が上
がるという構図を意味しています。
 世界的な投資家であるウォーレン・バフェット氏もビットコイ
ンについて、「殺鼠剤を2乗したようなもの」と意味不明の酷評
をし、注目を集めています。
 しかし、坪井大輔氏は、投資家がビットコインに投資する根拠
はあるとして、次のように述べています。
─────────────────────────────
 実は、投資家がビットコインに投資をする根拠といえるものが
一つだけあります。何かというと、発行数が限られているという
事実です。ビットコインというのは非常によく練られていて、イ
ンフレを防止するために発行する量が最初から決まっています。
際限なく増え続ければ一つ一つの価値は下がっていきますから、
これを防ごうとする設計になっています。ある時点で、最終的に
もうビットコインはつくられない状態まで行くのです。
 このタイムリミットについてお話すると、2140年で発行予
定量100%になるように設計されています。ここを過ぎたらも
うビットコインは新しく発行されることはない。何かトラブルで
も起きない限り、2028年には98%、2032年に99%に
達するはずです。      ──坪井大輔著/翔泳社/SE刊
     『WHY BLOCK CHAIN/なぜ、ブロックチェーンなのか』
─────────────────────────────
 ビットコインに関してもうひとつ気になっていることがありま
す。それは中国が仮想通貨を全面禁止にしたことです。2021
年9月24日のロイターは、次のように報道しています。
─────────────────────────────
[24日 ロイター]─中国当局がついに暗号資産(仮想通貨)
に関連する全ての取引と採掘(マイニング)を禁止すると発表し
た。これによりビットコインをはじめとする主要仮想通貨の価格
は軒並み下落し、株式市場で仮想通貨やブロックチェーン技術の
関連銘柄にも売り圧力がかかっている。https://bit.ly/3pG8YWB
─────────────────────────────
 中国政府が、仮想通貨(暗号通貨、暗号資産)産業の取り締ま
りを発表するたびに、仮想通貨関係者の間で出回るジョークがあ
ります。それは「中国はすでに18回も仮想通貨を禁止にしてい
る」というものです。
 しかし、今度はどうやら本気のようです。とうとうあらゆる活
動が非合法化されています。そればかりか、この禁止ルールを実
行面でさらに徹底する方針も打ち出されているからです。中国人
民銀行は、仮想通貨取引の促進を違法行為とみなした上で、中国
国内からの海外プラットフォームを利用した取引など、違法行為
に関与した人物・団体は誰でも厳罰に処すと宣言しています。国
家発展改革委員会は、マイニング事業を段階的に消滅させるため
全国的な取り締まりを開始するとしています。
 なぜ、中国を気にするかというと、マイナーには中国人の事業
家が圧倒的に多いからです。英ケンブリッジ大学の指標によると
ビットコインマイニングの年間電力消費量は約130テラワット
時と、アルゼンチン一国の電力消費量を上回るといわれます。
 そこで、比較的安価で電力が利用できる中国に、マイナーが集
まることになったのです。とくに、内モンゴル自治区や新疆ウイ
グル自治区などの石炭が豊富な地域や、四川省や雲南省などの水
力発電所がある地域です。
 英ケンブリッジ大によると、中国がビットコインを生み出す能
力は、2019年9月時点で世界全体の75・5%を占めていた
のです。その後比率は低下したが、2021年4月でもなお46
%と半分近くあったといいます。
 今後中国人マイナーはどうなるのでしょうか。野村総合研究所
エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏は、NRIのコラム
に次のように書いています。
─────────────────────────────
 中国国内での、暗号資産のマイニングが禁じられることは、マ
イナーにとってまさに寝耳に水だった。内モンゴル、青海省、四
川省などでマイニング業者の廃業が相次いでいるとされる。それ
でも、海外の大手マイナーらは、中国からコンピューターを他国
に移転させ、ビジネスを続けようとしている。これは、「マイニ
ング大移動」とも呼ばれている。主な移転先は、化石燃料が豊富
な隣国カザフスタンや米国、カナダなどとされる。
 ただし、マイニングに用いられるコンピューターは揺れると損
傷しやすいため、慎重に輸送する必要がある。また、原油価格高
騰や人件費高騰によって輸送コストも高まっている。そこで新品
のコンピューター1台を海外に運び出す際には、約1万2000
ドル(約132万円)かかる場合もあるという。そうした高い移
転コストを支払っても、中国からコンピューターを移転して、マ
イニングを続ける業者が多いのである。https://bit.ly/30ZGTPL
─────────────────────────────
 確かに、ビットコインには2100万ビットコインという上限
があり、インフレを防止する仕組みになっています。したがって
値上がりする余地は残されているのです。
              ─[デジタル社会論V/056]

≪画像および関連情報≫
 ●中国のマイナーが国を追い出されて向かう先
  ───────────────────────────
   暗号資産(仮想通貨)マイニングに対する中国の取り締ま
  りによって中国のマイナーは移転先を世界中で探している。
  北米がマイナーを呼び込んでいるという報道もあるが、今の
  ところ、はっきりとした勝者はいないようだ。マイニング機
  器のホスティング施設建築にかかる時間やエネルギー費用、
  人件費、税制度、気候、政治やビジネス環境といった要素に
  よって、マイナーが移転のルートを計画するのが困難になっ
  ていると、業界関係者は語る。北米が主要移転先の1つであ
  ることは確かだが、中央アジア、ラテンアメリカ、ヨーロッ
  パが将来的には手強い競争相手となるか可能性もある。暗号
  資産業界には、このような展開を喜ぶ人たちもいるだろう。
  世界中にハッシュパワーがより分散し、中国のマイナーがビ
  ットコインネットワークに過剰な影響力を持つことへの懸念
  が和らぐ可能性もあるからだ。3月以降に中国の取り締まり
  によってオフラインとなったハッシュレートの約25%は最
  終的に北米に、25%はカザフスタンやモンゴル、ロシアの
  一部などの中央アジアへと移転するだろうと、シアトルにあ
  る暗号資産マイニング企業ルクソールのCEO、ニック・ハ
  ンセン氏は予測している。ハッシュレートの15%はラテン
  アメリカに、10%はEU圏の国々に、旧式のマイニング機
  器の一部は中国から脱出できずに、残りはオンラインに復帰
  しないだろうと、ハンセン氏はみている。
                  https://bit.ly/3nqvoZ6
  ───────────────────────────
ビル・ゲイツ氏.jpg
ビル・ゲイツ氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | デジタル社会論V | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする