2018年02月22日

●「どこもかしこも安倍応援団ばかり」(EJ第4709号)

 私が家にいるときに視聴しているテレビ番組と、そこに登場し
ている安倍首相親派のコメンテーターを再現します。
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       ◎「グッド!モーニング」
        ・宮家邦彦氏(水)
       ◎「羽鳥慎一モーニングショー」
     →  ・田崎史郎氏(随時出演)
       ◎「ワイドスクランブル第1部」
     →  ・末延吉正氏(木/金)
       ◎「ひるおび!」
        ・田崎史郎氏(随時出演)
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 元TBS記者の山口敬之氏が、レギュラーコメンテーターでは
ないが、「羽鳥慎一モーニングショー」に出演するようになった
のは、2016年11月に安倍首相が、米国大統領に当選したば
かりのトランプ氏と初会談を行った直後のことだったと覚えてい
ます。安倍首相は、トランプ氏に会って何を話したのか、それに
対するトランプ氏の反応はどうだったのかなどについて、当然の
ことながら、当時強い関心が集まっていたのです。
 そのとき、山口敬之氏について、『総理』という本の執筆者で
あることが紹介されています。これで山口氏が、安倍首相に近い
ジャーナリストであることが印象づけられたことになります。こ
の番組には、田崎史郎氏もよく出演します。テーマによっては、
田崎氏と山口氏の2人が、コメンテーターとして出演することも
あったと思います。2人は安倍首相をサポートする忠実なコメン
テーターであるといえます。
 山口敬之氏は、『総理』に続き、2017年1月に『暗闘』と
いう本も上梓しています。出版社いずれも幻冬舎です。
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  山口敬之著『総理』/幻冬舎/2016年 6月 9日
  山口敬之著『暗闘』/幻冬舎/2017年 1月27日
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 ところで、安倍政権は、どのようにして田崎氏や山口氏のよう
な安倍親派コメンテーターを「羽鳥慎一モーニングショー」にタ
イミングよく、送り込めるのでしょうか。
 それは、山口敬之氏の2冊の本の出版社、幻冬舎の見城社長の
力によるものです。幻冬舎の見城徹社長は、いわずと知れた安倍
首相の熱烈応援団の1人です。1月29日のEJ第4692号で
述べたように、見城社長はそれまで関係のあまり良くなかったテ
レビ朝日の早河洋会長や吉田慎一社長を安倍首相との会食会に連
れて行き、安倍首相との間を取り持っているのです。
 それに見城社長は、テレビ朝日の放送番組審議会の委員長を務
めており、番組に関していくらでも口を出せるのです。そのため
テレビ朝日のどの番組に誰を出せとか、出すなとか、出演者をい
くらでもコントロールできるのです。
 古賀茂明氏は、見城徹委員長から当時の「報道ステーション」
が、さまざまなクレームをつけられ、結局、惠村コメンテーター
が降板させられる原因になったことを次のように述べています。
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 レギュラーコメンテーターの恵村氏(古賀氏が出演していたと
きの朝日新聞論説委員)も、物腰は柔らかいが、圧力をものとも
せず、信念を貫く人物だ。従軍慰安婦問題に関して、「旧日本軍
の管理下で、自由を奪われて人権や尊厳を踏みにじられた女性が
いたことは確かだ」と発言したが、そのためテレビ朝日の放送番
組審議会で、幻冬舎社長の見城徹委員長から、「ひどすぎる」、
「番組をだいなしにした」「トンチンカン」などと、名指しで批
判されたこともある。私にいわせれば見城氏の意見のほうが「ひ
どすぎる」のだが、それだけ骨のある人物だということだ。この
発言の直後には、早河会長から現場に、「恵村を番組で使うわけ
にはいかない」という指示が出されたという。
       ──古賀茂明著/講談社刊/『日本中枢の狂謀』
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 テレビ朝日の午前10時25分からはじまる「ワイドスクラン
ブル」は、「徹子の部屋」をはさんで、1部と2部に分かれてい
ます。その1部の木曜日と金曜日のコメンテーターを務めるのが
末延吉正氏です。
 この末延吉正氏も、安倍応援団のコメンテーターで、安倍政権
をことさら持ち上げることはしないまでも、安倍政権の批判は一
切しない人です。調べてみると、末延吉正氏は山口県光市出身で
近所に岸信介宅があり、青少年時代から、安倍首相とは親しい存
在だったといわれています。
 末延吉正氏は、テレビ朝日の元社員で政治部長を務めていたの
です。末延氏が「ワイドスクランブル」のコメンテーターを2日
間務めるなど厚遇されているのは、安倍政権と強いパイプがある
からです。末延氏は、見城社長とも協力して、テレビ朝日と安倍
政権を結びつける役割を果たしています。ある政界関係者は、次
のように述べています。
─────────────────────────────
 テレビ朝日の放送番組審議会会長をつとめる見城氏が安倍首相
に食い込み、早河会長との間を取り持ったことは有名ですが、そ
の見城氏と連携して、安倍首相とテレビ朝日のパイプ役をしてい
たのが末延さんだった。実際、末延さんは見城氏とともに頻繁に
安倍首相と会っています。          ──政界関係者
─────────────────────────────
 このように、安倍政権が警戒するテレビ局のひとつであるテレ
ビ朝日にも、これほど多くの安倍親派コメンテーターが送り込ま
れているのです。それに加えて、テレビ朝日の放送番組審議会委
員長にも安倍応援団の見城徹社長が就任しているのですから、テ
レビ朝日としては、安倍政権に対していいたいことはほとんどい
えないことになります。 ──[メディア規制の実態/033]

≪画像および関連情報≫
 ●「安倍首相とテレ朝のパイプ役」の姪のバイオリン演奏
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   安倍官邸の圧力によって、古賀茂明氏や恵村順一郎氏を降
  板させ、長年、番組を支えてきたMチーフプロデューサーを
  更迭した『報道ステーション』(テレビ朝日系)。だが、テ
  レビ朝日側は、一貫して圧力を否定し、「番組のリニューア
  ル」のためだと言いはっている。しかし、その「リニューア
  ル」の中身はとんでもないものになりそうだ。
   実は、一昨日の2015年4月3日の放映でもその一端が
  垣間見えた。22時40分過ぎ、CM前に古館伊知郎が「今
  後月に一度こういう企画を、と考えています。まずその第一
  弾です」と告知したので、注目していたところ、CM明けに
  始まったのは、いきなり夜桜をバックにした女性のバイオリ
  ン生演奏。しかも、そこから「ムーンリバー」「上を向いて
  歩こう」と、2曲を延々6分間もわたって演奏し続けた。
   えっ、これが新企画?「報ステ」ってニュース番組じゃな
  かったっけ?と驚いた後、いや、もしかしたらとんでもない
  大物とか、今、注目のアーティストかもしれないと思い直し
  バイオリニストを調べてみた。この日、生演奏していた女性
  の名前は末延麻裕子氏。しかし、散発的にテレビには出てい
  るようだが、音楽関係者に聞いても、大物とか注目されてい
  るバイオリニストではまったくないらしい。
   しかも、この日の演奏はお世辞にも素晴らしいとは言えな
  いものだった。チューニングが狂ったようなアレンジで、音
  に柔らかみが全くない、放送環境が悪いのか、本人の実力な
  のか、聞きづらい。ツイッター等には「報ステのバイオリン
  へたくそじゃない?」などと、批判的な書き込みがいくつも
  見られた。「報ステ」はいったいなぜ、こんなバイオリニス
  トの演奏を放映したのだろうか。  http://bit.ly/2GqeiUf
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末延吉正氏/ワイドスクランブル.jpg
末延 吉正氏/ワイドスクランブル
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2018年02月21日

●「各ワイドショーに親派を送り込む」(EJ第4708号)

 平昌冬季五輪がはじまって、テレビはオリンピック報道一色に
染まっています。朝から昼にかけての複数のワイドショー、夕方
の各種ニュース番組、夜の報道番組にいたるまで、一日中オリン
ピック報道で埋め尽くされています。
 もちろん、今回の五輪は日本選手の活躍が顕著であるので、報
道が多くなるのは仕方がないのですが、それにしても、いささか
異常な報道過熱ぶりです。とくに高齢者で、一日中家にいて、テ
レビを見ている人にとっては、どのチャンネルでも、同じような
映像を何回も繰り返して見せられることになります。
 例えば、2月17日の男子フィギュアにおける羽生結弦選手と
宇野昌磨選手の金銀独占のニュースでも、他の番組で取り上げて
いることを知りながらも、自分の番組ではまだ取り上げていない
として、同じテーマを同じようなスタイルで、延々と報道してい
ます。つまり、メディアは、ワイドショーや報道番組をハシゴし
て見る視聴者が多いことを知りながらも、そういう報道を行って
います。17日は土曜であったので、週明けのワイドショーや報
道番組では、同じ切り口で取り上げ続けています。
 それと、日本のテレビは、異常なほど天気予報が多く、しかも
非常に時間が長いといえます。ワイドショー番組でも、ニュース
番組でも、夜の報道番組でも、必ず天気予報が入ります。私が必
ず見ることにしているWBS(ワールド・ビジネス・サテライト
/7チャンネル)は、天気予報はなかったのですが、昨年からは
天気予報をするようになっています。
 いまどき、天気予報はスマホで、全国版の予報はもちろんのこ
と、そのスマホのある場所の時間ごとの天気予報の詳細を見るこ
とができます。したがって、テレビで全国版の天気予報を大幅に
時間をとってまで放映する必要はないはずです。天気予報などは
専門チャンネルを設けておけばそれで済む話です。
 それでは、どうしてこのようなことが起きるのかというと、天
気予報とスポーツだけは、絶対に政府からクレームを受けること
がないからです。最近では、政治を取り上げて討論する番組を激
減させてしまった関係上、テレビでは時間を埋めるのに四苦八苦
しています。そのため、お笑い芸人を使ったくだらない番組を長
時間タレ流して、時間つぶしをしています。そういう意味で日本
はお笑い芸人天国であるといえます。もはや「日本のテレビは既
に死んだ」といっても過言ではないと思います。
 19日発行の「日刊ゲンダイ」は、このことに関連して、次の
ように報道しています。
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 男子フィギュアの羽生・宇野両選手の金銀メダル独占に、日本
中が「スゴい、スゴい」と猫も杓子も大騒ぎだ。(中略)ホンの
数ヶ月前、大メディアは「国難」と称した安倍に忖度し、まるで
戦争前夜のように北朝鮮危機をあおったものだ。ところが平昌五
輪が近づくと、敵視したはずの北の美女応援団を追いかけ回し、
「ほほ笑み外交」とはやし立てた。
 それに飽きたら、日本勢のメダルラッシュで早朝から深夜まで
バカ騒ぎだ。大新聞・テレビはすっかり五輪一色に染まり、日本
選手がメダルを取れれば「よかった、よかった」の大合唱。北朝
鮮危機なんて忘れたかのように全国に浮かれ気分をまき散らして
いる。このメディアの無節操ぶりは、あまりにもヒドすぎる。
    ──2018年2月19日発行/「日刊ゲンダイ」より
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 私は家にいるときは、テレビ朝日を中心に見ることにしていま
す。午前5時から8時までの「グッド!モーニング」、午前8時
から10時までの「羽鳥慎一モーニングショー」、さらに10時
30分から12時までの「ワイドスクランブル第1部」、そして
TBSの「ひるおび」というようにです。
 この順序でテレビを視聴して、気がついたことがあります。そ
れは、どの番組も安倍政権に対して好意的な発言をするコメンテ
ーターが最低1人が配備されていることです。
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       ◎「グッド!モーニング」
        ・宮家邦彦氏(水)
       ◎「羽鳥慎一モーニングショー」
        ・田崎史郎氏(随時出演)
       ◎「ワイドスクランブル第1部」
        ・末延吉正氏(木/金)
       ◎「ひるおび!」
        ・田崎史郎氏(随時出演)
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 「グッド!モーニング」の水曜コメンテーターの宮家邦彦氏は
キャノングローバル戦略研究所研究主幹です。外務省出身の外交
官ですが、他の番組にも多く出演します。しかし、どの番組でも
安倍首相に対して、批判してもよい場面でも、ほとんど批判的コ
メントをせず、やんわりと擁護します。
 調べてみると、第1次安倍政権のとき、官邸において、非公式
ではあるものの、安倍昭恵夫人のサポートをする「アッキー対策
室」が設置され、宮家邦彦氏が「首相公邸連絡調整官」に任命さ
れているのです。これについては巻末の≪画像および関連情報≫
に「プレジデントオンライン」の記事を掲載するので、読んでい
ただきたいと思います。宮家氏の安倍首相擁護発言のウラには、
こういう関係が影響していると思います。
 「羽鳥慎一モーニングショー」では、田崎史郎氏はテーマに基
づいて出演しており、レギュラー・コメンテーターではありませ
ん。これは午後からのTBSの「ひるおび!」でも同様です。こ
の出演は現在でも続いています。
 もう一人、2016年まで、元TBS記者の山口敬之氏も田崎
史郎氏と同じ立場で「羽鳥慎一モーニングショー」に出演してい
たのです。つまり、この番組には、安倍官邸に近い人物が2人も
出演していたのです。  ──[メディア規制の実態/032]

≪画像および関連情報≫
 ●首相官邸に“アッキー部屋”設置、本当の目的は?
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   安倍晋三首相は、参院選後も、2013年7月下旬の東南
  アジア訪問をはじめ8、9月も精力的に外遊をこなす予定だ
  が、首相官邸の不安の種は、ファーストレディーの“アッキ
  ー”こと安倍昭恵夫人の言動。昭恵夫人は、安倍氏の首相就
  任前にみずから居酒屋を開業、女将稼業を始めるなど自由闊
  達な人柄で知られる。夫の首相就任により女将のほうは休業
  状態だが、その一方で、政府・自民党の政策と真逆の脱原発
  論を主張したり、参院選の候補者選びに口を出すなど目立つ
  ことしきり。「アッキーの脱原発発言に自民党幹部は眉をひ
  そめていたが、参院選の候補者選びにも口を出したのはまず
  かった。というのもアッキーが推した候補が暴力団と関係し
  ていたことが発覚したからです。首相就任から半年以上たっ
  ても、いまだに首相が公邸に引っ越せないのも、不自由な公
  邸生活をアッキーが嫌がっているから。首相周辺では5月頃
  から“アッキーの教育係兼監視役が必要”という声が上がっ
  ていました」(官邸関係者)
   そこで官邸では、6月から非公式に“アッキー対策室”を
  設置したという。「あくまで非公式なものでオープンにされ
  ていないが、外務省等から来たスタッフ2〜3人が、首相の
  外遊に同行する際の振る舞い方、外遊先の文化事情などを含
  めて、アッキーに対し“ファーストレディー教育”をしてい
  るそうです。官邸に1室、部屋も用意し、時々アッキーも顔
  を見せているらしい」(別の関係者)アッキー対策は今回が
  初めてではない。第1次安倍政権のときもそうした“教育”
  のために元外交官の宮家邦彦氏(現・評論家)が「首相公邸
  連絡調整官」に就任している。   http://bit.ly/2mDvfFd
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宮家邦彦氏.jpg
宮家 邦彦氏
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2018年02月20日

●「嫌いなコメンテーター2位の称号」(EJ第4707号)

 『週刊文春』2月22日号が発表した「『嫌いな』キャスター
・コメンテーター」の第2位に、政治評論家の田崎史郎氏が選ば
れたことは、テレビの視聴者の多くが、この人物を「御用記者」
としてとらえていることを意味しています。田崎氏に関するコメ
ントは、次のようになります。
─────────────────────────────
 ・全キャスターが中立公正であるべきとは言わないが、露骨
  な“政権の代弁者”はいかがなものか。(70歳・男性)
 ・ジャーナリストとして信念を感じない。(56歳・男性)
 ・政府広報が必要なら与党政治家を呼べ。(59歳・男性)
         ──2018年2月22日『週刊文春』より
─────────────────────────────
 田崎史郎氏は、特定の番組のレギュラー・コメンテーターでは
ないのです。その番組で取り上げられるテーマに合わせて出演し
ているようにみえます。つまり、テレビ局の番組の要請によって
出演するというかたちをとってはいますが、政権サイドから、あ
る特定テーマ、例えば「森友・加計問題」が取り上げるときは、
必ず田崎史郎氏を出演させるようにという、圧力がかかっている
ように感じるのです。そうでなければ、そんなにタイミングよく
多くの番組に出演できるはずがないからです。
 テーマについて政権側の意見を述べたいのであれば、上記のコ
メントにもあるように、政権側から政治家を出演させるようテレ
ビ局側に要請すればよいのです。それを一般人のフリをした政治
評論家(御用評論家)に代弁させるのは、結果として国民を騙す
ことになり、絶対にやってはならないことです。
 これについて、同じ政治評論家の田原総一朗氏は、次のように
述べています。ちなみに田原氏は「好き」の順位は50位に入ら
ず、「嫌い」の順位では21位にランクされています。
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 報道番組の重要な役割は権力を監視すること。ニュースキャス
ターは与党か野党かに関係なく、間違っていると思うことがあれ
ば、直言すべきです。最近はジャーナリストや評論家が、権力側
や視聴者からの評価、BPOの目を気にしているのか、自分のコ
メントが番組に相応しいのかどうか、その“許容範囲”を考えす
ぎている。ネットが普及して1億総メディア化してきてる現代だ
からこそ、自分の考えをテレビで伝えたい。
         ──2018年2月22日『週刊文春』より
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 ネット上では、田崎史郎氏のことを安倍首相と会食を繰り返し
ているところから、「田崎スシロー」と揶揄したり、露骨な政権
擁護発言をするため「安倍応援団」ともいわれています。
 この田崎史郎氏についてはこんな話があります。田崎氏は、T
BSの「ひるおび」によく出演しますが、2016年12月9日
の「ひるおび」での話です。ちょうどそのとき、参院本会議では
統合型リゾート施設(IR)整備推進法案、いわゆるカジノ法案
を審議していたのです。そして、いつ、いわゆる強行採決をする
かが番組のなかで討論されたのです。このとき、政治評論家の伊
藤敦夫氏も出演していました。
 政府自民党は、カジノ法案を12月2日の衆院で6時間ほどの
審議で強行採決し、参院に送ってきたのです。「ひるおび」での
やりとりを以下に再現します。この番組のMCは恵俊彰氏、この
日のコメンテーターとして室井佑月氏も出演していました。
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 恵MC:今後の本会議運営とこのカジノ法案の採決は、どう
     なるのでしょうか。
 田 崎:会期内の14日までには必ず成立させるという決意
     でやっていますね。
 伊 藤:このスケジュールを一般の人が見てどう思うでしょ
     うか。納得できないですね。やり方としてはねぇ。
 田 崎:伊藤さんとのスタンスの違いは、いまの自民党、公
     明党という政権側はどうしようとしているかってい
     う説明をしているんです。で、伊藤さんはこうある
     べきだっていう議論をしているんです。
 恵MC:田崎さんは(政権を)代弁してるわけですもんね。
 田 崎:ええ、そう、うん。代弁っていうか。取材をして、
     こうやろうとしているっていう説明をしている。
 室 井:多くの「国民」が反対している。
 田 崎:国民って誰のことですか。どこにいるんですか。
          ──「リテラ」/ http://bit.ly/2gDTDlv
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 ひどいやり取りです。異様なのは、明らかに安倍政権を代弁し
ている田崎史郎氏はあえてそれを隠そうとしないし、番組のMC
の恵俊彰氏も、それをごく当然のこととして受け止めていること
です。これに対してリテラは次のように厳しく糾弾しています。
─────────────────────────────
 カジノ法案や年金カット法案、TPP承認・関連法案などデタ
ラメな強行採決を連発する“悪行”を報じず、ひたすら擁護し、
国民の目から問題を逸らし、安倍政権を支える。それが田崎氏の
“仕事”であり、『ひるおび!』をはじめとする各局の報道・情
報番組の現在の姿なのだ。国家という権力の思惑を代弁すること
で、事実を隠蔽し歪めていく。それは国民の知る権利を奪い、と
きにその生命や財産を危機に貶めることなのだが、しかし、田崎
氏はそんな自覚すらないのだろう。
 こんな人物をコメンテーターに起用し続けることはまさしく放
送法違反だと思うのだが、“極端に偏った報道”を糾弾し、岸井
成格氏を『NEWS23』(TBS)から追放した「放送法遵守
を求める視聴者の会」には、今後はぜひ、田崎氏のこうした“偏
向”問題を追及してもらいたいものだ。 http://bit.ly/2EQhFXD
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/031]

≪画像および関連情報≫
 ●テレビで安倍擁護連発、田崎史郎時事通信特別解説委員
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   自民党の単独過半数、さらに改憲勢力で発議に必要な3分
  の2に届く勢いなど、与党の優勢が伝えられる参院選。安倍
  政権がこれだけデタラメな政策を連発しているにもかかわら
  ず、相変わらずの支持率をキープしているのは、やはりなん
  といっても、応援団マスコミによる“安倍ヨイショ”のおか
  げだろう。
   その筆頭と言えるのが、田崎史郎・時事通信社特別解説委
  員だ。田崎氏といえば、『とくダネ』(フジテレビ)や『ひ
  るおび!』(TBS)、『直撃LIVEグッディ!』(フジ
  テレビ)などワイドショーをいくつも掛け持ちし、まるで安
  倍首相になりかわったかのように政治報道を解説している人
  物。たとえば、昨年の安保法制国会の際には『みんなのニュ
  ース』(フジテレビ)で共演したSEALDsの奥田愛基氏
  をフジと結託して騙し討ち。『ひるおび!』では作家の室井
  佑月が多くの国民が反対しているなかで強行採決したことを
  批判すると、「『国民』て誰のことですか? どこにいるん
  ですか?」と嘲笑い、野党を「デモの人たちの手前、反対を
  するしかないんですよ」と一方的にヤジった。また最近でも
  例の「保育園落ちた」ブログについて保育園不足をお受験問
  題と意図的にすりかえるトンデモ論をぶち安倍政権を擁護し
  ていた。             http://bit.ly/29x93CN
  ───────────────────────────

田崎史郎氏.jpg
田崎 史郎氏
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2018年02月19日

●「テレ朝モーニングショーが第1位」(EJ第4706号)

 『週刊文春』2月22日号に「好きな・嫌いなキャスター&コ
メンテーター」が特集されています。これは、あくまで好感度調
査であり、政治的なものと直接関係ありませんが、参考になるの
で、取り上げることにします。
 対象になるのは、ニュースやワイドショーのキャスターとコメ
ンテーターであり、文春メルマガ会員へのアンケートで15歳か
ら86歳までの4500通を超える回答を集計したものです。
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             好き          嫌い
  1位:羽鳥 慎一  410  宮根 誠司  915
  2位:池上  彰  315  田崎 史郎  294
  3位:安住紳一郎  271  小倉 智昭  293
  4位:桝  太一  143  古館伊知郎  245
  5位:水ト 麻美  131  関口  宏  211
  6位:宮根 誠司  122  坂上  忍  199
  7位:玉川  徹  121  安藤 優子  156
  8位:辛坊 治郎  119  恵  俊彰  149
  9位:加藤 浩次  101  室井 祐月  133
 10位:夏目 三久   99  テリー伊藤  112
         ──2018年2月22日『週刊文春』より
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 「好き」のトップは羽鳥慎一氏であり、彼がMCを務める「羽
鳥慎一モーニングショー」は、年間平均視聴率8・0%で、同時
間帯で民放トップです。同じ番組のレギュラーコメンテーターで
あり、テレビ朝日の社員である玉川徹氏が第7位に入っているの
は、この番組がいかに支持されているかの証明です。
 玉川徹氏については、彼がプロデュースする木曜日のコーナー
「そもそも総研」はなかなか見応えのある番組で、政治問題を取
り上げることも多く、歯に衣を着せず、ずばり本質を衝くので人
気があります。自民党のブラックリストに載っていると噂されて
おり、本人もそれをよく自覚していますが、それでもそれに怯む
ことなく、正義感にあふれる発言を連発しています。
 いろいろな面で安倍政権から圧力を受けているテレビ朝日とし
ては、玉川氏を毎日モーニングショーに出演させることによって
いささかなりとも政権に抵抗しているように感じます。その証拠
にもともと「羽鳥慎一モーニングショー」の木曜日のコメンテー
ターであった玉川氏を、同番組に毎日に出演させるようにしたの
は、「報道ステーション」から古賀茂明氏を降ろした直後の20
15年4月からであるからです。
 実は、玉川氏はワイドショーのプロなのです。「内田忠男モー
ニングショー」、「サンデープロジェクト」、「ザ・スクープ」
「スーパーモーニング」などのディレクターを経て、「情報満載
ライブショーモーニングバード!』のコメンテーター(解説員)
を経て、2015年4月より、テレビ朝日「羽鳥慎一モーニング
ショー」のレギュラーコメンテーターを月〜金の毎日務めている
からです。玉川氏に対するコメントです。
─────────────────────────────
 ・理路整然としていて、常に準備ができている。正義感に溢
  れている。(76歳・男性)
 ・長年の取材や勉強の蓄積がある。怒った顔も笑った顔も可
  愛い。(57歳・女性)
         ──2018年2月22日『週刊文春』より
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 「嫌い」のトップは宮根誠司、日本テレビ「ミヤネ屋」のMC
を務めていますが、「好き」の順位も第6位に入っており、「嫌
い」と「好き」の両面があることがわかります。評価する人とし
ない人が相半ばする存在です。それは、宮根氏に対するコメント
をみればよくわかります。彼は、フジテレビの「ミスター・サン
デー」のMCもやっており、影響力のあるMCであることは確か
ですが、いずれも安倍政権に親和性の強いテレビ局のMCであり
どうしても政権寄りになっています。
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 <好意的なコメント>
 ・泥くさい関西の漫才のよう。東京のすましたキャスターよ
  り好き。(60歳・女性)
 ・中継先とのやりとりも、知りたいことをリズムよく聞いて
  くれて、観ていて気持ち良い。ちょっと辛口なとこも、好
  き。(25歳・女性)
 <好意的でないコメント>
 ・人の話を聞かない。性格の悪さがにじみ出ている時があり
  不快。(38歳・女性)
 ・人へのコメントの求め方が非常に誘導的。(40歳・男性)
 ・政権に媚びている。強者の論理で語る。(61歳・女性)
         ──2018年2月22日『週刊文春』より
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 このアンケート調査での最大な驚きが、政治評論家の田崎史郎
氏が第2位になったことです。もっともフジテレビの「とくダネ
!」のMCである第3位の小倉智昭氏との票差が1票しかありま
せんが、田崎史郎氏はよくテレビには出演するものの、あくまで
政治評論家であり、長年の「とくダネ!」のMCを務める小倉氏
押さえて第2位は凄いことです。あくまで嫌われ度の順位ではあ
りますが・・・。しかし、ある意味で相当視聴者から反発を買っ
ていることは確かです。
 ここで注目すべきことは、田崎氏は必要であれば、どの局の番
組でも出演できることです。その回数はかなり頻繁であるので、
知名度は高くなります。同じ政治評論家の伊藤敦夫氏は、今回の
調査では、「嫌い」の第36位であり、同じく政治評論家の後藤
健次氏も「嫌い」の第46位でしかないのです。その差は出演回
数の差であるといえます。「好き」であれ「嫌い」であれ、上位
に入るのはプラスです。 ──[メディア規制の実態/030]

≪画像および関連情報≫
 ●『メディア規制と報道の自由考える 京都でシンポ』
  ───────────────────────────
   報道の自由とマスメディアの姿勢について考えるシンポジ
  ウム「強まるメディア規制 乗り越えるには・・・」が20
  18年1月14日、京都市南区の龍谷大響都ホールで開かれ
  た。新聞記者らが特定秘密保護法など具体的な事例を挙げ、
  マスメディアが権力と対峙(たいじ)する必要性を訴えた。
   加計学園問題について菅義偉官房長官を会見で追及する姿
  が話題になった東京新聞記者の望月衣塑子さんと、特定秘密
  保護法の危険性を国連に訴えた英エセックス大人権センター
  フェローの藤田早苗さんが壇上に立った。
   望月さんは自民党が2014年の衆院解散直前に、報道の
  公平性を確保するよう求める文書をテレビ各局に渡した事例
  を挙げ、「安倍政権はテレビのコントロールに力を入れてい
  る。それがじわじわと局の上層部に浸透し、政権批判しない
  『忖度(そんたく)』が生まれている」と説明。政府が放送
  局に電波停止を命じる根拠とする放送法4条の問題点を指摘
  した。藤田さんは特定秘密保護法について「政府が出したい
  ものだけ出すというのは、情報公開の原則に反する。メディ
  アへの脅しに使われる恐れがある」と批判。「日本のジャー
  ナリストは会社人で、力が弱い。横のつながりを強化し、市
  民の立場に立って権力を監視することが必要」と訴えた。
                   http://bit.ly/2C41ULA
  ───────────────────────────

玉川徹テレビ朝日コメンテーター.jpg
玉川 徹テレビ朝日コメンテーター
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2018年02月16日

●「政権ワイドショー潰しの高等作戦」(EJ第4705号)

 安倍政権が民放のテレビ局のなかで、最も警戒しているのは、
「テレビ朝日」と「TBS」であるといわれています。日本テレ
ビとフジテレビは安倍政権に近く、あまり心配する必要はなく、
テレビ東京は中立的であるといわれているからです。
 安倍政権の戦略としては、まず、トップと会食を繰り返し、政
権に対して、攻撃的な論説はなるべく避けてもらう雰囲気づくり
を行っています。さらにこうしたトップとの付き合いを通じて、
政治/報道番組そのものを減らす工作もやっています。
 その結果、とくに多くの人が視聴すると思われる土曜日の政治
/報道番組はほとんど姿を消しています。これについては、既に
述べた通りです。その一方で、安倍政権への親派テレビ局である
フジテレビについては、次の2つの政治番組を許しています。
─────────────────────────────
     ◎「プライムニュース」/月〜金
      ・20:00〜22:00/BSフジ
     ◎「新報道2001」 /日
      ・07:30〜08:00/フジ
─────────────────────────────
 「プライムニュース」はBSではありますが、2時間枠である
ので、政治/報道番組としては貴重な存在です。とくに“お友達
テレビ”の筆頭格であるフジにだけに許された特権です。安倍首
相や菅官房長官および各閣僚は、必要に応じて頻繁にこの番組に
は出演します。番組としては、政権寄りの番組とみられないよう
いろいろ工夫していますが、この番組の政権寄りは歴然です。こ
ういう番組もないと、自民党政権も困るからです。
 「新報道2001」は、以前は2時間枠だったのですが、1時
間に半減されています。そのせいか、最近では視聴率が落ちてお
り、このままいくと、消滅する可能性があります。私を含めて、
これまでこの番組を見ていた人は、午前8時からの2時間枠の政
治/報道番組「サンデーモーニング」(TBS)にチャンネルを
回してしまいます。1時間では議論にならないからです。
 しかし、いくらテレビ局のトップと頻繁に会っても、テレビ局
の現場を変えるのは困難です。そこで政権が目をつけたのが、報
道番組のメインキャスターやコメンテーターです。なかでも政権
にとって手ごわいのはメインキャスター(MC)です。
 MCのなかには、かつてのTBS「ニュース23」のMCだっ
た筑紫哲也氏(故人)や岸井成格氏、テレビ朝日の「サンデープ
ロジェクト」と「朝まで生テレビ」の田原総一朗氏、「ニュース
ステーション」の久米宏氏、この改編番組「報道ステーション」
のMC古館伊知郎氏、それに「サンデーモーニング」(TBS)
の関口宏氏など気骨のあるMCがいたのです。
 このうち、「サンデープロジェクト」は番組そのものを潰し、
「ニュース23」は岸井成格氏をMCから降板させ、「報道ステ
ーション」は古館伊知郎氏を交代させています。しかし、「サン
デーモーニング」(TBS)の関口宏氏は、依然としてMCとし
てこの番組を続けています。「ニュース23」を追われた岸井成
格氏も、ときどきこの番組には出演しています。
 このようにMC降ろしは容易ではないし、あまりにも露骨であ
るので、安倍政権はコメンテーターに目をつけたのです。コメン
テーターによる政権批判も政権にとっては、古賀氏の場合がそう
であったように、大きなダメージを受けるからです。
 ここで、コメンテーターの人気度を調べてみます。視聴者が意
見を聞きたいと思うコメンテーターは誰か──日経BPコンサル
ティングが、2014年9月に調査したベスト10です。
─────────────────────────────
     1位:池上彰(ジャーナリスト)
     2位:森永卓郎(経済評論家)
     3位:辛坊治郎(ニュースキャスター)
     4位:尾木直樹(教育評論家)
     5位:姜尚中(政治学者)
     6位:宮崎哲弥(評論家)
     7位:手嶋龍一(外交ジャーナリスト)
     8位:寺島実郎(評論家)
     9位:やくみつる(漫画家)
    10位:勝谷誠彦(コラムニスト)
                  http://nkbp.jp/2EyWPvG
─────────────────────────────
 2016年頃から、安倍政権はテレビ局の批判封じに新しい手
を使いはじめています。とくに注意を要するテレビ朝日の番組を
例にして、説明します。
 テレビ朝日は、午前4時55分の「グッドモーニング」から番
組がスタートし、午前8時から「羽鳥慎一のモーニングショー」
が10時まで続きます。
 引き続き、午前10時30分から「ワイドスクランブル」が正
午からの「徹子の部屋」の30分をはさんで、午後2時まで続き
ます。そして、午後5時50分からのニュース番組「Jチャンネ
ル」を経て、午後9時54分から「報道ステーション」が始まる
ことになります。
 この「グッドモーニング」、「羽鳥慎一のモーニングショー」
そして「ワイドスクランブル」の3番組には、番組内容に応じて
官邸肝入りのコメンテーターを送り込み、安倍政権への批判発言
には積極的に反論し、批判の度合いを薄める工作をしています。
 私は、平日家にいるときは、「グッドモーニング」から「羽鳥
慎一のモーニングショー」、「ワイドスクランブル」を正午まで
見て、TBSの「ひるおび」を見ることにしていますが、その流
れのなかに、官邸寄りの発言をするコメンテーターが複数配置さ
れていることを確信したのです。ちょうど、森友・加計問題が始
まってから、この体制がとられています。彼らの役割は、安倍政
権の批判を自ら発言により、和らげることにあります。
            ──[メディア規制の実態/029]

≪画像および関連情報≫
 ●『ミヤネ屋』がコメンテーター・青木理をクビ切り降板!
  ───────────────────────────
   TBS『NEW23』の岸井成格、膳場貴子両キャスター
  が安倍政権と右派勢力の圧力で降板させられそうになってい
  ることを本サイトがスクープしてから2カ月。この間、『N
  EW23』問題はさまざまなメディアで取り上げられ、論議
  をよんだが、ここにきて、2人の更迭は回避される可能性が
  出てきたらしい。
   二人の降板問題については複数のメディアが後追い報道。
  視聴者からも批判の声が巻き起こり、岸井さんや膳場さんら
  当事者、(TBSの)報道、制作現場も、激しい抵抗を見せ
  た。そのため、上層部も動けなくなってしまったみたいです
  ね。ただ、おさまらないのは岸井さんの後任に星浩特別編集
  委員を出すことを了承し、それを前提に人事計画を組んでい
  た朝日新聞。TBSの煮え切らない態度にカンカンらしいで
  すよ」(TBS関係者)これが事実なら喜ばしい展開だが、
  しかし、一方で、報道圧力に屈し、自主規制を続けるテレビ
  局の空気はまったく変わっていない。つい最近も、あるワイ
  ドショーのコメンテーターが、安倍政権に批判的なスタンス
  が原因で、首を切られていたことが明らかになった。
   そのワイドショーとは『情報ライブ/ミヤネ屋』(読売テ
  レビ)。首を切られたのはジャーナリストの青木理だ。青木
  は共同通信社の公安担当やソウル支局記者などを経てフリー
  になったジャーナリスト。著書や雑誌連載では、安倍政権を
  真っ向批判するなど、リベラルなスタンスで知られるが、テ
  レビでは、政治から犯罪、メディア批評など様々なジャンル
  に目配りできる安定感のある解説で重宝されており、現在は
  『モーニングショー』(テレビ朝日系)のレギュラー・コメ
  ンテーターなど、複数の番組で活躍している。
                   http://bit.ly/2BQgLJh
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コメンテーター第1位の池上彰氏.jpg
コメンテーター第1位の池上 彰氏
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2018年02月15日

●「テレビコメンテーターを分類する」(EJ第4704号)

 テレビのコメンテーターとは何でしょうか。
 コメンテーターとは、テレビ、ラジオ及びワイドショー(情報
番組)の解説者です。もう少し詳しくいうと、政治、経済、軍事
などの社会的事象に対して、専門的な解説、説明を行う解説者の
ことです。
 このなかでとくに政治に関しては、現政権の政治姿勢や政策な
どについて、問題があれば遠慮なく指摘し、その改善の方向につ
いて、専門家の立場からコメントする役割を担っています。
 しかし、古賀茂明氏の例でもわかるように、とくに安倍政権に
なってからは、在京テレビキー局の番組に常時出演しているコメ
ンテーターからは、権力を恐れず、正しいことは正しいと主張し
間違っていることは鋭く批判するコメンテーターは、ほとんど姿
を消しています。
 古賀茂明氏によると、現在テレビの報道番組に出演しているコ
メンテーターは、次の3つにわけることできるそうです。
─────────────────────────────
 1.政権寄りが鮮明で、テレビで政権が批判されると、すぐ
   反論し、批判を薄める働きをする。
 2.テレビ局に媚びることで出演機会を得ようとする人々で
   局側の意向を汲んでコメントする。
 3.政権監視がマスコミの役割とわかっているが、テレビ本
   番では、本質を語ることを避ける。
       ──古賀茂明著/講談社刊/『日本中枢の狂謀』
─────────────────────────────
 ところで、コメンテーターというのは、どのくらいの収入にな
るのでしょうか。
 もちろん人による違いはあると思いますが、テレビの出演料に
は「タレント枠」と「文化人枠」という区別があり、コメンテー
ターは「文化人枠」になります。「文化人枠」の標準は1回の出
演につき、「5万円+お車代」だそうです。案外安いのです。テ
レビに出るとなると、30分ほどの番組でも、拘束時間を多くと
られるので、割に合わないという人もいます。
 テレビ局は「文化人枠」の定義として、「本業の収入源が別に
ある人」であり、かつ「専門的な話ができる人」としています。
つまり、テレビに出演することで生活をしている人ではないとい
うことで、ギャラが安くなっているのです。
 もっともテレビのギャラは安くても、コメンテーターにはテレ
ビに出ることによるプラス効果がたくさんあります。例えば、作
家がコメンテーターとして、文化人枠でテレビに出演すると、顔
と名前が知られるようになり、本がよく売れたり、講演依頼が増
えたりと、多くのメリットがあります。
 これに対して、「タレント枠」で出演する人は、テレビに出演
するのが職業であり、それで生活している人たちなので、ランク
はあるものの、出演料は高額になるという理屈です。もっとも、
文化人枠で出演しているコメンテーターでも、コメントが評価さ
れ、有名になると、出演頻度も多くなり、タレント枠へ移行する
コメンテーターもいます。
 実は、このタレント枠への変更を目指しているコメンテーター
はたくさんいます。そのためには、できる限り長期にわたっての
テレビ出演が前提になります。そうなると、コメント力を磨くこ
とはもちろんですが、番組から降ろされないよう、どうしても、
多少自分の信念を曲げても、テレビ局の意向に沿うコメントをす
るようになってくるのです。
 その結果生まれたのが古賀茂明氏による冒頭のコメンテーター
の3分類です。「1」は政権に近い人物であり、本人もそれを隠
したりはしないのです。「この前安倍さんとゴルフに行ったとき
・・・」とか、「ある政府首脳と会食したときの話だけどね・・
・」とか口にし、政権に近いことを自ら表明するので、いささか
鼻につきますが、それ自体は貴重な情報であり、参考になること
も少なくないといえます。
 コメンテーターのタイプで一番多いのは「2」です。自分の顔
と名前を売ることが最優先の目的であり、そのコメントは平凡で
内容に乏しく、一貫性もないのです。政権にとっては、毒にも薬
にもならないタイプであり、政権から、圧力をかけられる心配は
ないのがこのタイプです。
 一番問題なのは「3」のタイプです。専門分野に関してしっか
りとした自分の意見を持っており、著書もあって、そこでは結構
政権批判もしているのです。古賀茂明氏は、このタイプのコメン
テーターが一番問題があるとして、次のように述べています。
─────────────────────────────
 第3のグループは、政権の監視や批判がマスコミの重要な役割
だと分かってはいるが、信念を貫けない人たち。テレビの外では
政府批判もするのだが、在京キー局の本番では、本質を語ること
を避ける。この場合、番組外でのイメージがあるので、視聴者は
本当は非常に大きな問題があるにもかかわらず、「いつも政権に
批判的なあの人が批判してないのだから、そんなに大きな問題で
はないのだろう」と勘違いしてしまうことにつながる。その意味
では、このケースも非常に罪が重いといわなければならない。
       ──古賀茂明著/講談社刊/『日本中枢の狂謀』
─────────────────────────────
 「やっぱり、僕たちはテレビに出てなんぼだからね。そのあた
りはよく考えないとね。テレビに出られなくなったら、政権批判
もできないじゃないか」──こういって、古賀さんに忠告してく
れたコメンテーターは何人もいるそうです。
 菅官房長官は、ほとんど毎晩のように会食しています。対象者
は、政権に批判的な人を選んでいるようです。官房長官から食事
に誘われれば、悪い気はしないと思います。それに貴重な情報が
もらえるので、自分の仕事上プラスが多いです。そのため、どう
しても軍門に下るコメンテーターが多くなってしまうのです。
            ──[メディア規制の実態/028]

≪画像および関連情報≫
 ●菅官房長官が「NEWS23」岸井の勉強会にこっそり
  ───────────────────────────
   政権を監視し、報道の使命をきちんと果たそうとしたニュ
  ース番組のキャスターやコメンテーターたちが次々と降板に
  追い込まれるという、誰の目にも明らかな異常事態が起きた
  2015年。テレビ各局は萎縮と自主規制の空気に支配され
  今では、安倍首相が国会でどんなトンデモ答弁をしても、ほ
  とんど取り上げないという機能不全状態に陥ってしまった。
   こうした状況をつくりだしたのはもちろん、安倍政権の圧
  力だが、その実行犯といえば、やはり、“安倍政権のゲッベ
  ルス”菅義偉官房長官をおいていないだろう。本サイトでは
  菅官房長官によるテレビ、新聞、さらには週刊誌への具体的
  な介入について再三、報じてきたが、ついにあの人が菅氏の
  “やり口”について語った。
   あの人とは、昨年のメディア圧力事件の象徴的人物であり
  菅官房長官の圧力によって『報道ステーション』(テレビ朝
  日)を降板に追い込まれた元経産官僚・古賀茂明氏だ。古賀
  氏が菅官房長官について語ったのは、「週刊金曜日」(金曜
  日)2015年12月25日・1月1日合併号に掲載された
  鼎談でのこと。この鼎談には、古賀氏のほかに評論家の佐高
  信氏、上智大学教授の中野晃一氏が参加。最初に話題に挙が
  ったのは、「放送法遵守を求める視聴者の会」による「ニュ
  ース23」(TBS)のアンカー・岸井成格氏に対する意見
  広告についてだったが、まず、これに対し古賀氏は「いやー
  ここまでやるかなという感じです」と驚嘆し、このように述
  べている。「賛同人の名前を見れば、安倍政権の応援団がし
  てることです。安倍政権が本気でこのまま突き進めば放送に
  ついては完全に国家統制の時代に入りますね」。
                   http://bit.ly/2BQoNlu
  ───────────────────────────

定例会見での菅官房長官.jpg
定例会見での菅官房長官
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2018年02月14日

●「エンゲル係数を巡る国会での論争」(EJ第4703号)

 安倍首相は、自分自身が批判されたり、自らが力を入れている
政策にケチをつけられたりすると、アタマにくるタイプです。だ
から、予算委員会でも、自分が話をしているときにヤジられると
反応するし、自分でもヤジり返したりします。
 1月31日の参議院予算委員会での出来事です。質問に立った
民進党の小川敏夫議員が、アベノミクスによって国民の生活が苦
しくなっており、それは昨今のエンゲル係数の顕著な上昇によっ
ても裏づけられると指摘したのです。
 これに対し安倍首相は、またぞろ聞かれてもいないのに有効求
人倍率やベースアップなどをアピールし、エンゲル係数の上昇に
ついては、これはファクトではあるが、と前置きし、次のように
答弁したのです。
─────────────────────────────
 エンゲル係数の上昇には、物価変動のほか、食生活や生活スタ
イルの変化が含まれている。          ──安倍首相
─────────────────────────────
 これは「珍答弁」です。エンゲル係数についてウィキペディア
を参照すると、次のように出ています。
─────────────────────────────
 一般に、エンゲル係数の値が高いほど、生活水準は低いとされ
る。これは、食費(食糧・水など)は生命維持の関係から(嗜好
品に比べて)極端な節約が困難とされるためであり、これをエン
ゲルの法則という。           ──ウィキペディア
─────────────────────────────
 要するに、世帯ごとの家計の消費支出に占める飲食費の割合が
エンゲル係数であり、それが上昇するということは、生活が苦し
くなることをあらわしているということです。これに対して安倍
首相は、物価変動に加えて、食生活や生活スタイルの変化によっ
ても、エンゲル係数は上がると答弁したのです。これは、安倍氏
独特の解釈である、というより間違っています。
 この参議院予算委員会でのやり取りは、それだけでは終わらな
かったのです。2月1日の午前1時過ぎのことですが、ウィキペ
ディアの「エンゲル係数」の項が、次のように安倍首相の主張に
沿うかたちに書き換えられたのです。
─────────────────────────────
 エンゲル係数の値が、高いほど生活水準は低いとされてきたが
各家庭の前提条件に大きな相違があって、比較にならなくなった
として、重要度が下がっている。
        ──2018年2月5日発行「日刊ゲンダイ」
─────────────────────────────
 ウィキペディアは、「ウィキ」という技術に基づいて作成され
ています。ウィキとは、ウェブブラウザを利用して、ウェブサー
バー上のハイパーテキスト文書を書き換えるシステムです。つま
り、ウィキペディアのコンテンツは、「編集」をクリックすれば
誰でも自由に書き換えることができるのです。
 2月1日の午前1時に変更されたコンテンツは、誰かによって
直ちに正しく書き換えられて元に戻ったのですが、またしてもそ
の文章が編集され、間違った表現に書き換えられるなど、いわゆ
る「編集合戦」が続くという事態になったのです。
 現状「エンゲル係数」のコンテンツは、正常な表現に戻り、内
容を編集できない「保護」の状態になっています。ところで、誰
が安倍首相の主張に書き換えたのでしょうか。犯人はわかってい
ないのです。まさか官邸がそんなバカなことをするはずはないと
思いますが、これについては、巻末のリテラの記事を読んでいた
だきたいと思います。これも「忖度」です。
 この件について、前記の日刊ゲンダイは、次のように記事を締
めくくっています。
─────────────────────────────
 昨年は、安倍が国会で「辞書には、『そもそも』には『基本的
に』という意味もある」と答弁し、そんな意味を載せている辞書
はないにもかかわらず、「そもそもには基本的にという意味もあ
る」と閣議決定したこともあった。強引に言葉の意味まで変えて
しまう。恐ろしいまでのファシズム政権である。
        ──2018年2月5日発行「日刊ゲンダイ」
─────────────────────────────
 「ウィキペディア」といえば、2006年発刊の梅田望夫氏の
『ウェブ進化論』のなかの記述で、今でも忘れられないものがあ
ります。それは、米エスクワイア誌のA・J・ジェイコブズ氏が
2005年9月に行ったウィキペディアのコンテンツの正確性を
調べる実験についての記述です。
 ウィキペディアのコンテンツは、ウェブユーザーが自発的に記
述するシステムになっており、誰でもそれを書き換えることがで
きるのですが、問題はそれが正しいかどうかです。
─────────────────────────────
 ウィキペディアについての記事を書く上で、ウィキペディア・
コミュニティの編集能力や校閲能力や推敲能力に完全に依存して
みようという実験だ。ジュイコブズは、スペルミスや事実誤認に
溢れたウィキペディァについての709語からなる文章をまず書
き、ウィキペディア上にアップした。そして、その文章を勝手に
修正し、最後はエスクワイア誌の記事らしい文章に仕上げること
を、ウィキペディア・コミュニティに求めた。CNETがこの実
験について報じた記事によれば、最初の24時間で224回、次
の24時間で149回の編集が行われた。すべての事実誤認が瞬
く間に修正された後は、文章を練り上げて明断で読みやすい記事
に仕上げる推敲作業に重点が移り、771語からなる記事にまと
まってエスクワイア誌に掲載された。     ──梅田望夫著
      『ウェブ進化論/本当の大変化はこれから始まる』
                     ちくま新書582
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/027]

≪画像および関連情報≫
 ●すべてが安倍政権に都合よく書き換えられる?
  ───────────────────────────
   ウィキペディアのエンゲル係数の項目を、“重要度が下が
  っている”“高いほど生活水準が低いとは言えない”などと
  改変したユーザーは、いずれも他の編集履歴が確認できず、
  誰がどのような意図で編集したかは不明である。しかし、エ
  ンゲル係数上昇の問題が国会で取り上げられた直後というタ
  イミングや、自民党がネットを常時監視し、工作別働隊であ
  るJ−NSC(通称ネトサポ)を組織していることを考える
  と、これは偶然なのかとの疑念が頭をもたげてくる。
   この状況を見ながらふと思い起こしたのは、ジョージ・オ
  ーウェルの小説『1984年』だ。言わずと知れた、全体主
  義的社会を描いた名作SFである。主人公のウィンストン・
  スミスは「ビッグ・ブラザー」が率いる一党独裁政権下のイ
  ギリスで「真理省」に勤務し、歴史改竄の仕事をしている。
  人々は「テレスクリーン」という装置によって監視されてい
  る。物語の序盤、主人公が「タイムズ」紙の記事を改変する
  場面がこのように描かれる。
   「ウィンストンはテレスクリーンの“バックナンバー”を
  ダイヤルし、「タイムズ」の該当号を請求した。するとそれ
  は数分のうちに気送管から流れ出てくる。彼の受けたメッセ
  ージは新聞の論説か記事に関わるもので、それが何らかの理
  由で改変、いや公式の言い方では修正、する必要があると見
  做されたのだった。        http://bit.ly/2nN759J
  ───────────────────────────

参議院予算委員会で質問する小川敏夫議員.jpg
参議院予算委員会で質問する小川敏夫議員
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2018年02月13日

●「衆院選前の『朝生』をめぐる論争」(EJ第4702号)

 EJ第4683号(1月16日)からEJ第4685号(1月
18日)で述べたように、自民党は、2014年11月の衆議院
選挙直前の11月20日に在京テレビキー局に放送法を盾にして
報道に圧力をかける文書を送付し、11月26日にはテレビ朝日
の報道番組「報道ステーション」の担当プロデューサーに対して
11月24日の「報道ステーション」の内容にクレームをつける
文書を送達しています。
 この文書については、当初どこの新聞社も官邸に気を遣ったの
か報道しませんでした。しかし、「日刊ゲンダイ」が報道すると
さすがに他の新聞社も恐る恐る自民党を刺激しないよう穏当に報
道をしましたが、テレビ局については、取り上げるところは皆無
でした。彼らは、このことを放置すると、やがてそれが自分たち
の首を絞める事態になることがわかっていたのに、あえて報道を
控えたのです。
 これに反発したのが田原総一朗氏をはじめとする報道関係の有
識者です。彼らは、2014年12月11日、参議院会館で記者
会見を開き、次のような「緊急メッセージ」を発表しています。
 会見したのは、テレビ朝日出身で「放送レポート」編集長の岩
崎貞明氏、元「GALAC」編集長の坂本衞氏、日本民間放送連
盟出身で立教大准教授の砂川浩慶氏、日本テレビ出身で法政大教
授の水島宏明氏らです。
─────────────────────────────
 政治的な圧力を恐れる自主規制によって、必要な議論や批判を
避けてはならない。政治家も「錯誤」に満ちた要望書を放送局に
送るような愚行は慎み、放送が伝える人びとの声に耳を傾け、放
送を通じて堂々と政策を議論すべきだ」などと批判している。
                   http://bit.ly/2BGxzCH
─────────────────────────────
 しかし、これに対して田原総一朗氏は、「テレビにタブーはな
い」として、次のように反論しています。
─────────────────────────────
 この会見は、テレビ局の報道局長らを巻き込まないと意味がな
い。僕は”朝生”の冒頭、あの問題を20〜25分やった。自民
党は一人で、あとは野党。野党はコテンパンにやっていた。かつ
てない萎縮ムードがまん延している──という見方はウソ。あの
文書で自民党は何百万票も票を減らしたはず。──田原総一朗氏
                   http://bit.ly/2BGxzCH
─────────────────────────────
 この「朝まで生テレビ」は、2014年11月29日未明に放
送されているのですが、テーマはその直後に開催される衆議院選
挙について、政治家、評論家、ジャーナリストなどを集めて議論
する予定だったのです。
 しかし、その参加者や番組内容に関して、司会の田原総一朗氏
とテレビ朝日の報道局長との間で大論争になったのです。それは
自民党が11月20日と26日にテレビ朝日に対して突きつけた
圧力文書に怯えた報道局長が「中立・公平性を担保」するため、
番組内容の変更を強く田原氏に求めたからです。
 田原総一朗氏は、とことん報道局長に抵抗したものの、強引に
報道局長に押し切られ、出演者からは評論家やジャーナリストは
全員外され、政治家8人だけの議論になったのです。しかも、自
民党からの出演者は、武見敬三氏ただ1人で、後は全部野党議員
だったのです。
─────────────────────────────
 ◎朝まで生テレビ
 「激論!総選挙直前!これでいいのか?!日本の政治」
 総合司会:田原総一朗/進行:渡邊宣嗣/村上佑子
 パネリスト
   【自 民】武見 敬三   【次世代】松沢 成文
   【公 明】西田 実仁   【共 産】大門実紀史
   【民 主】大塚 耕平   【生 活】松崎 哲久
   【維 新】藤巻 健史   【社 民】福島みずほ
─────────────────────────────
 これはネットで大騒ぎになったのです。とくに荻上チキ氏を外
したことが話題になっています。これについて「ライブドアニュ
ース」は、次のように報道しています。
─────────────────────────────
 早速、効果が現れたということだろうか。先日、リテラが取り
上げた自民党による各テレビ局への「報道の公平を求める」通達
の事実はその後、共同通信、朝日新聞や毎日新聞などでも報道さ
れ、識者の間で「報道への圧力」という批判の声があがるなど、
大きな問題になった。
 ところが、その直後、テレビ朝日の「朝まで生テレビ」が解散
総選挙をテーマにした放映で、出演の決まっていた荻上チキ、小
島慶子ら評論家、文化人を「公平性を担保できない」としてドタ
キャンしていたことが発覚したのである。
 荻上がラジオ「セッション22」(TBSラジオ他)で説明し
たところによると、テレビ朝日から連絡があったのは放映前日の
27日。「当初は質問する文化人がいて、各党の代表が答えるス
タンスだった。それだと公平性を担保できない、番組側と局との
間で方針が違ったとの事で政治家のみの出演になったと連絡を受
けた」という。(中略)
 「荻上や小島のようなゲストでは、これに抵触する可能性があ
るということでしょう。ただ、荻上らだけをキャンセルするわけ
にはいかないので、ゲストを一切抜きにして、政治家だけにした
ということでしょう。現場は相当抵抗したのですが、時間切れ。
結局、上層部に押し切られて、政治家と司会の田原総一朗、局の
コメンテーターだけの出演になった」(テレビ朝日関係者)
                   http://bit.ly/2FVHqlY
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/026]

≪画像および関連情報≫
 ●「朝生」で評論家出演中止/荻上チキ氏
  ───────────────────────────
  (1)明日の「朝まで生テレビ」。当初出演予定でしたが、
  前日に電話があり、急きょ出演がなくなりました。番組とし
  ては、「各党議員+ゲスト数人」という構成を予定していた
  のですが、「ゲスト数人」の部分がなくなったとのことで、
  議員の方だけの議論になるそうです。
  (2)出演がとりやめになった理由としては、ゲストの質問
  によっては「中立・公平性」を担保できなくなるかもしれな
  い、というのものだと聞きました。「ゲストが僕だから」と
  いうのものではなくて、「文化人・知識人枠」を入れること
  そのものを取りやめたそうです。
  (3)「朝生」ではこれまでも何度も「各党議員+ゲスト数
  人」の構成で選挙特集をやってきましたし、僕も何度か出演
  してきました。今回、そうした構成でできないというのは残
  念ですが、無理やり出るわけにもいきませんので、いち視聴
  者として見守りたいと思います。
  (4)個人的には、議員の方はゲストの質問にも自由に答え
  られるので、応答の時間があれば問題ないのではなかとも思
  いますし、議員同士でないと「中立・公平性」の上で問題あ
  りとなれば討論番組の形式を縛ることになるとも思います。
  (5)ちなみに、番組スタッフに「誰かが何か言ってきたり
  したんですか?」と確認しましたが、あくまで局の方針と番
  組制作側の方針が一致しなかったため、とのことでした。番
  組スタッフも戸惑っていた模様です。
                   http://bit.ly/2nQULVi
  ───────────────────────────

萩上チキ氏.jpg
萩上 チキ氏
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2018年02月09日

●「古賀茂明氏は何を訴えたかったか」(EJ第4701号)

 2015年3月27日の「報道ステーション」──そこでの古
館キャスターをはじめとするテレビ朝日番組幹部と、古賀茂明コ
メンテーターとのテレビ内外でのやり取りの続きです。
 番組のテレビ上では、古賀コメンテーターが、自分で作成した
という「I am not ABE」と書かれた大きなカードを掲げながら、
古館キャスターと次のような応答を展開しています。
─────────────────────────────
古賀:これは単なる安倍批判じゃないんですよ。要するに日本人
   が、どういう生き方をしようかということを考えるうえで
   ひとつの考え方を申し上げたのです。もちろん批判してい
   ただいてもいいし、そういうことをみんなで議論していた
   だきたいとに思っていました。官邸のほうから、またいろ
   んな批判が来るかもしれませんけれども、あまり僕、陰で
   言わないでほしいと思っているので、ぜひ直接ですね、菅
   官房長官もご覧になってると思いますから、どんどん文句
   を言って来ていただきたいと思います。
古舘:あのう、古賀さんのいろんなこういうお考えは、共鳴する
   部分も多々あるんですが。一方で、ハッキリ申し上げてお
   きたいという一点はですね。マスコミの至らなさ、不甲斐
   なさも、もちろん、認めるところではありますが、たとえ
   ば、私が担当させていただいてるこの番組で言えば、この
   前も、数日前に、川内原発に関する、地震動に対する、あ
   の不安の指摘・・・       http://bit.ly/2nGrWLf
─────────────────────────────
 このように、キャスターとコメンテーターの間で、噛み合わな
いやり取りが長く続いた後で、古賀氏と古館氏は、次のような言
葉でこの番組をしめくくっています。
─────────────────────────────
古賀:最後に、この言葉を古館さんにお贈りしたいと思います。
   マハトマ・ガンジーの言葉です。「あなたがすることのほ
   とんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。
   そうしたことをするのは世界を変えるためではなく、世界
   によって自分が変えられないようにするためである」と。
   つまり、圧力とか自粛に慣れてしまうと、「ひとりで抵抗
   したって勝てるわけがない。ただ叩かれるだけだ」という
   ように考えてしまい、知らないうちに、自分が変わってし
   まって、本当に大きな問題が起きているのに気が付かない
   ということがあるんです。これは、私も、すごく今、自分
   に言い聞かせて、いつも、生きているんですけれども。こ
   のことはみんなに真剣に考えていただきたいというように
   思っております。
古館:今日、番組で、お隣の古賀さんと私のトークの中で、ニュ
   ースとは直接関係のない話も出ました。もちろん、古賀さ
   ん自身のお考えというものは尊重し続けるつもりでござい
   ますが、私としては一部承服できない点もございました。
   とにかく来週以降もこの番組は、真剣に真摯にニュースに
   向き合っていきたいと考えております。(古賀氏の方を向
   いて)古賀さん、これだけは、言わせていただきました。
   時間がなくて申し訳ありません。一方的に、私がしゃべっ
   てしまいました。        http://bit.ly/2nGrWLf
─────────────────────────────
 番組終了後が大変だったのです。スタジオに番組幹部らがやっ
て来て、「おかしいじゃないですか、古賀さん」といいながら、
古賀氏が楽屋に戻る途中も、ずっとついてきたそうです。そんな
ことは、楽屋でいうべきですが、まるで上司にそういえといわれ
ているように、廊下で大声でいったというのです。
 そして支度をして楽屋から出ると、廊下の真ん中にS報道部長
が立っていたそうです。このことは、古賀氏自身が「リテラ」で
述べているので、引用します。話し言葉なので、読み易いように
若干文章を修正しています。正しくは原文を参照してください。
─────────────────────────────
 楽屋から出ると、通路の真ん中に仁王立ちした報道局長がいて
通路を通さない感じで立っていたのです。彼はおそらく僕にきっ
ちり抗議したと周りに分からせようという意図があるのか、みん
なに見せるように「何であんなことを言うんだ」「あれはおかし
いじゃないか、ニュースの中身と関係ないじゃないか」とか色々
言いながら、私についてきたのです。私が無視すると、エレベー
ターまで乗ってきて、地下のハイヤーの乗り口までずっとついて
きたのです。だけど、僕が途中からあなたの仕事はこういうこと
なの?違うでしょ、なぜ(Mプロデューサーを)更迭したの?」
と聞いたのです。
 そうしたら、報道局長は「更迭じゃない」と最初は言い張って
いましたが、僕が「じゃあ、なんで(Mプロデューサーを)代え
るのか?古舘さんにしても(Mプロデューサーを)代えたいわけ
じゃないでしょ。(Mプロデューサーを)守るのが、あなたの仕
事でしょ」と言ったら、報道局長は途中から黙ってしまったので
す。完全に何も言えなくなってしまったのです。
                   http://bit.ly/2nGrWLf
─────────────────────────────
 古賀氏の番組での対応にも問題は多々あると思います。しかし
官邸から古賀氏を特定してのクレームがあったことは事実であり
これは、安倍政権によるテレビ局に対する報道の締め付けが露骨
過ぎることが原因でもあるのです。
 とくに2015年になってからの安倍政権は、メディア規制が
効果を上げていることに自信を深め、一段と露骨に、テレビ局に
圧力をかけるようになったのです。これは、完全に国民の「知る
権利」を侵害しています。それにしてもメディア、とくにテレビ
局の政権への向き合い方は、毅然としたところがなく、あまりに
も情けない限りです。まさにメディアの危機を感じます。
            ──[メディア規制の実態/025]

≪画像および関連情報≫
 ●「古舘・古賀論争」は、なぜ放送され続けたのか
  ───────────────────────────
   テレビ朝日『報道ステーション』の生放送(3月27日)
  において、キャスターの古館伊知郎氏と、ゲストコメンテー
  ターの古賀茂明氏が自身の降板について口論になった騒動。
  古賀氏が番組内で主張した「官邸からの圧力があった」のか
  どうかの真相はわからないが、騒動発生から1週間が経とう
  としている今も、世間はこの話題で持ちきりだ。
   テレビ朝日の早河洋会長は3月31日の定例会見で、「予
  定にないハプニング的なことで遺憾に思っている」とコメン
  トし、今回の降板に早河会長らの意向や官邸の圧力があった
  という古賀氏の主張を否定した。
   今回の件、テレビ業界で放送作家も務めている筆者には、
  一つの疑問がある。というのも、テレビ番組の撮影や中継、
  放送は、すべてがスタジオの中だけで起こっているわけでは
  なく、出演者がすべてを仕切っているわけでもないからだ。
  スタジオ外にも大量のスタッフがいる。とくに、テレビ番組
  のすべてを最終的に仕切っているのは、ある意味で「副調整
  室」という司令塔である。通常、副調整室は「サブ」と呼ば
  れる。対する「メイン」はスタジオだ。テレビドラマや番宣
  などでの一コマで、目にしたことがある人も少なくないだろ
  う。サブにはモニターがズラリと並び、ディレクターやタイ
  ムキーパー、音声、照明など多くのスタッフがそこにいてス
  タジオをサポートしながら番組を作っている。
       ──野呂エイシロウ氏  http://bit.ly/2scN3KI
  ───────────────────────────

古賀茂明氏/最後の「報道ステーション」.jpg
古賀茂明氏/最後の「報道ステーション
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2018年02月08日

●「古賀氏はなぜ報ステを降板したか」(EJ第4700号)

 2015年3月27日(金)放送「報道ステーション」──こ
れが古賀茂明キャスターの最後の出演になります。このとき、番
組内で何があったのか、途中CM中に何が起きたのかについて、
できるだけ詳しくお伝えすることにします。
 その日の前日の26日付で、それまで「報道ステーション」の
月曜〜木曜のコメンテーターを務めていた惠村順一郎氏(朝日新
聞論説委員)が番組から降板しています。この惠村氏のコメント
は、私はなかなかのものだったと記憶しています。古賀氏は、た
しか金曜日のコメンテーターとして、月に2回程度出演していこ
とを覚えています。
 古賀氏によると、「報道ステーション」のVTRは実に素晴ら
しく、それは、報道局幹部や政治部・経済部からの圧力と戦うM
プロデューサーの働きによるところが大きく、このVTRと惠村
コメンテーターのコメントで番組の9割方が決まるというのが、
当時の「報道ステーション」の実態だったのです。ところが、そ
のMプロデューサーも古賀氏と同じ日をもって、この番組の担当
を外れ、他部署に異動になっています。
 テレビのモーニングショーや各種報道番組では、放送が始まる
前に番組内容についての打ち合わせがあり、テーマごとに誰がど
のようにコメントするか、大体決まっているのです。つまり、筋
書きというか台本があるのです。
 2015年3月27日、その日、私は「報道ステーション」を
偶然視聴していたのです。その日の「報道ステーション」で何が
あったのかについて、ネット上の情報と私の記憶をベースとして
核心部分を再現してみることにします。言葉は、読み易いように
若干補正しています。
 番組が始まると、古賀氏は最初にコメントする場面で、いきな
り、次のように切り出したのです。
─────────────────────────────
 そのお話をする前に、あの私、今日がこの番組が最後というこ
とでですね、テレビ朝日の早河(洋)会長とか、古舘プロジェク
トの佐藤(孝)会長のご意向でですね、私はこれが最後というこ
となんですが・・。これまで非常に多くの方から激励を受けまし
て・・、その一方で、菅官房長官をはじめ、官邸の皆さんにはも
のすごいバッシングを受けてきましたけれども。まあ、それを上
回る皆さんの応援のおかげで、非常に楽しくやらせていただいた
ということで、心からお礼を申し上げたいと思います。これまで
本当にありがとうございました。(頭を下げる)
─────────────────────────────
 古賀氏のこの突然の発言に対して、古館メインキャスターは、
次のように反論したのです。そのやり取りの一部です。
─────────────────────────────
古館:古賀さん、今のお話は私としては承服できません。古賀さ
   んは、金曜日にこの番組に出てくださって、大変私ども勉
   強させていただいております。4月からこの番組の内容が
   変わっていくなかでも、古賀さんには機会があれば、企画
   が合う場合は、出ていただきたいと思っているのです。
古館:それは本当にありがたいことです。でも、それが本当であ
   れば・・ね。
古館:古賀さんが、これで、すべて、何かテレビ側から降ろされ
   たということは、ちょっと違うと思いますよ。
古賀:でも、古館さん、いわれましたよね。私がこういうふうに
   なることについて「自分は何もすることができなかった。
   大変申し訳ないって・・」。
古館:はい。もちろんそれは・・。でもこの前、楽屋でお話しし
   たのは、古賀さんに教えていただいているなかで、古賀さ
   んのご意向に沿うようなかたちにできていないとしたら、
   大変申し訳ないと思っているという意味で、そのように申
   し上げたのです。        http://bit.ly/2nGrWLf
─────────────────────────────
 生放送の最中に、メインキャスターとコメンテーターが、その
ときのテーマとは関係ないことで、ちょっと口論になったのです
から、世間は大騒ぎになったのです。
 このやり取りを見ていた私としては、古賀氏が番組を降ろされ
たことに対して、テレビ朝日にクレームをつけていると思ったの
です。でも、何でこのようなことを番組のなかでいうのだろうと
不思議に思ったことは事実です。番組の視聴者としては、その裏
側のことを何も知らないので、当然のことです。それはとにかく
異様なやり取りであったことは確かです。
 この場合、古館キャスターは、古賀氏が菅官房長官のバッシン
グを受けたことをいわなければ、うまく受け流したと思いますが
官邸の関与まで言及したので、「今のお話は承服できません」と
反論したと思うのです。
 番組がCMに入ったとき、古賀氏によれば、番組の幹部のW氏
がやってきて、次のようにクレームをつけたそうです。
─────────────────────────────
  何で打ち合わせにないことを話すのですか、古賀さん!
                    ──番組幹部W
─────────────────────────────
 これに関して古賀氏は、その幹部に対して次のようにいい返し
ています。古賀氏としては、官邸の圧力に対して心から腹立たし
いと思っていたので、番組W幹部に強く反発したのです。
─────────────────────────────
 打ち合わせしたこと以外、話してはいけないのですね。それな
らそのことを番組の幹部からいわれたと私は番組でいいますよ。
あなたは自分の名前を出さないで、裏でそういうふうに圧力をか
ければいいかも知りれないが、私は名前を出してやっているんで
すから。               http://bit.ly/2BUVvh6
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/024]

≪画像および関連情報≫
 ●報ステ降板の古賀茂明氏「日本のメディアはますます悪化」
  ───────────────────────────
   「流行語大賞逃しました」――。待ち合わせ場所に現れた
  古賀氏は、冒頭、そう言って笑わせた。2015年1月、報
  道ステーションの生放送で「I am not ABE」と掲げ、コメン
  テーターを事実上降板となった。その後、テレビ朝日から呼
  ばれることはないが、大阪の朝日放送で夕方のニュース番組
  のレギュラー(毎週火曜)は今も続けている。BS―TBS
  にも2度出演したという。ただ、安倍政権に対するテレビ局
  側の萎縮はさらに加速したと、危機感をあらわにした。
   私があの時、「I am not ABE」を掲げたのには、2つ理由
  があります。まず、「安倍さんがイスラム国と戦う」と言い
  米国と一緒に世界中で戦争をするようなイメージをばらまい
  ていたので「日本人は安倍さんとは違う」というメッセージ
  を海外に発信しなきゃいけないと思ったこと。
   もうひとつは、安倍政権批判をする人がどんどんテレビか
  ら排除される状況になっていたので、私が一石を投じればそ
  れに勇気付けられてテレビ局が奮起したり、他のコメンテー
  ターも頑張ってくれるのではないかと思った。しかし、ほと
  んど盛り上がりませんでしたね。むしろ海外メディアの方が
  反応してくれました。外国特派員協会から「報道の自由の友
  賞」というのをいただいたり、米紙ニューヨーク・タイムズ
  から寄稿を頼まれたりしました。  http://bit.ly/2nES6hm
  ───────────────────────────

古賀茂明氏「報ステ」最後の出演.jpg
古賀 茂明氏「報ステ」最後の出演
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2018年02月07日

●「古賀は万死に値する/メッセージ」(EJ第4699号)

 2015年1月23日に、「報道ステーション」において、当
時コメンテーターの古賀茂明氏が「I am not ABE」のカードを掲
げたとき、官邸がどのように動いたかについて古賀氏の著作から
情報を集め、明らかにしたいと思います。
 官邸からの第1報は、番組放送中に入っています。官邸の中村
格官房長官秘書官(当時)から、テレビ朝日の報道局ニュースセ
ンタ一編集長の中村直樹氏に直接電話が入ったのです。両方とも
「中村」なので、ややこしい話ですが、要する官邸はつねに「報
道ステーション」をチェックしていたということになります。
 ところが、中村編集長はこの電話を取り損ねてしまいます。そ
うすると、今度は中村編集長のスマホに次のショートメールが入
電したのです。
─────────────────────────────
          古賀は万死に値する
─────────────────────────────
 これで報道局はパニックに陥ったのです。番組終了後に篠塚報
道局長は、藤岡政治部長と番組チーフプロデューサーを呼び出し
対策を協議します。篠塚報道局長は、チーフプロデューサーに対
し、「なぜ、コメンテーターにあんな発言をさせたのか」と詰問
したところ、プロデューサーは次のように答えています。
─────────────────────────────
 古賀氏の発言は番組として了承しており、何の問題もないと
 考えています。        ──チーフプロデューサー
─────────────────────────────
 このプロデューサーの意見は、報道人として非常に立派である
と思います。彼は、古賀氏の発言は、番組中に「I am not ABE」
のカードを掲げることも含めて、番組として了承したものであり
何も問題はなく、官邸からクレームをつけられるいわれはないと
主張しているからです。
 本来は、このプロデューサーのいう通りなのですが、現政権は
安倍政権であり、メディアに対して規制を強め、政権の批判は絶
対に許さないという姿勢です。しかも、これに加えて、1月24
日には、菅官房長官によるオフレコ発言としてではあるが、コメ
ンテーターの古賀氏の発言は放送法に抵触するというクレームが
出たことによって、おそらくテレビ朝日は早河会長らのトップが
官邸に出向いて、菅官房長官に謝罪しています。そして、おそら
くこの時点で、古賀氏のコメンテーター降板は決定したものと思
われます。
 ちなみに、中村編集長のスマホに「古賀は万死に値する」とい
うショートメールを送り付けた官邸の中村格官房長官秘書官(当
時)という人物は、安倍首相に親しいジャーナリストの山口敬之
氏の「詩織」さんに対する「準強姦」疑惑で、高輪署の逮捕状を
握り潰した人物です。中村格氏は、2015年6月には警視庁の
刑事部長に栄転しており、その直前まで官房長官秘書官として、
菅官房長官を支えていたのです。いわば菅官房長官の警察関係の
懐刀的存在です。
 問題は中村刑事部長の判断です。警視庁刑事部長といえば、ド
ラマ『相棒』に出てくるゴマ刷り一辺倒の刑事部長(片桐竜次)
を思い浮かべますが、実際のイメージは警視庁の捜査陣のトップ
であり、とてもエライ人なのです。
 そんなトップが、ショカツの高輪署の一レイプ容疑犯の逮捕状
を握り潰すなどいうことは異例中の異例です。しかし、逮捕され
ようとしている人物が政権にとって重要人物であり、官房長官か
ら何らかの依頼があれば話は別であり、やろうと思えば十分やれ
ることです。
 山口敬之氏は元TBSの記者で、安倍首相の番記者の一人であ
り、安倍首相を描いた『総理』(幻冬舎)や『暗闘』(幻冬舎)
の著書です。その内容は、総理と親しくなければ絶対に書けない
内容であり、テレビなどにもよく登場し、安倍首相について語っ
ていたのです。
 そういう人物がもし逮捕されると、政権として、痛くもないハ
ラを探られることを官邸側が恐れたと考えられます。そういう場
合、頼りになるのは、元官房長官秘書官だった中村格氏というこ
とになります。ただし、中村氏は、もちろんそういう関係は否定
し、逮捕すべき事案ではないと判断したと答えています。
 さらにこの山口敬之氏には、数億円の補助金を搾取したとして
逮捕されている斎藤元章容疑者が社長を務めるペジーコンピュー
ティング社の顧問を務めており、何らかのかたちで口利きがあっ
たのではないかと疑われています。またしても役人の忖度が疑わ
れる事案であり、週刊誌にも取り上げられています。
 1月30日の衆院予算委員会では、希望の党の柚木道義議員か
ら安倍首相に対し、山口敬之氏との関係を聞かれると、首相は顔
をゆがめながら、色をなして、否定しています。
─────────────────────────────
 週刊誌報道を基に質問しないでもらいたい。山口敬之氏は、私
の番記者であり、取材を受けたことはある。それ以上でも以下で
もない。                   ──安倍首相
─────────────────────────────
 官房長官秘書官が、報道番組に間髪を入れず、直接クレームを
入れてくるということは、番組を入念に監視しているということ
を意味します。その一方で安倍首相は、テレビ局の幹部と頻繁に
会食しており、メディアとしては、報道内容に関して抑制せざる
を得ない雰囲気になっていたのです。
 「報道ステーション」の場合、2015年1月23日の古賀発
言によって、古賀氏だけでなく、月曜〜金曜日出演の恵村順一郎
氏(朝日新聞論説委員)と番組プロデューサーを3月末日をもっ
て、降板させることを官邸に約束せざるを得なかったのです。し
かし、そのことを古賀氏にはすぐに伝えていないのです。あくま
で4月の番組改編に伴うスタッフの変更というかたちにこだわっ
たからです。      ──[メディア規制の実態/023]

≪画像および関連情報≫
 ●久米宏氏、報ステに苦言/古賀氏降板問題
  ───────────────────────────
   元経済産業省官僚、古賀茂明氏(59)の、テレビ朝日系
  「報道ステーション」からの“降板”問題を思わぬ人が蒸し
  返した。同局の「ニュースステーション」のキャスターを務
  めた久米宏氏(70)が、毎日新聞(30日朝刊)のインタ
  ビューに応じ、苦言を呈したのだ。
   古賀氏は、3月27日の「報ステ」で、菅義偉官房長官を
  名指しした上で、官邸からの圧力によって自身が降板させら
  れたと主張した。菅氏はこれを「事実無根」と否定し、テレ
  朝は先月28日、報道局幹部ら3人を戒告とする処分を発表
  した。問題となった放送について、久米氏は、毎日のインタ
  ビューに「ビデオを2回見返しても、(古賀氏が)何のこと
  を言っているのかがよくわからなくて、ちょっと欲求不満で
  したね」「あそこで打ち切っては、視聴者にはさっぱりわか
  らない」と感想を語った。その上で「どういう経緯であの話
  になったのか。もし、僕が司会だったら、最後まで聞いたん
  じゃないですかね」と、古舘伊知郎キャスター(60)への
  批判ともとれる指摘をした。
   さらに、自身が中曽根康弘政権に「かなり批判的な発言」
  をした結果、中曽根氏の地元での記者会見への参加を禁止さ
  れたという“武勇伝”を披露し、「番組制作上、面白くする
  ためにあえて踏み出すことはあります」「中途半端だと面白
  くないし、やるなら徹底した方がいい」と持論を展開した。
                   http://bit.ly/2GK5oC7
  ───────────────────────────

ジャーナリスト/山口敬之氏.jpg
ジャーナリスト/山口 敬之氏
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2018年02月06日

●「古賀氏が反安倍カードを掲げたか」(EJ第4698号)

 後藤健二さんと湯川遥菜さんがISによって殺害されたのは、
2015年1月20日とされています。これを受けて日本政府は
次の声明を出しています。
─────────────────────────────
 彼らのひどい行動の責任を取らせるために、国際社会と協力
 して行く。
  I will work with the international community to hold
  them responsible for their deplorable acts.
─────────────────────────────
 「hold them responsible」 は「責任をとらせる」というかな
り抑制気味の表現ですが、海外のメディアとしては、これまでの
日本の首相としてはかなり踏み込んだ表現であるとして、おおむ
ね好意的に幅広く報道しています。
 古賀茂明氏は「当時安倍首相の精神状態はかなりハイになって
いたのではないか」と述べていますが、それは、直後の1月25
日のNHK『日曜討論』に出演した安倍首相が、かなり踏み込ん
だ発言をしているのをみてもわかります。
─────────────────────────────
 現在ですね、政府の中において法案の作成を精力的に進めてい
る状況であります。えー、今回の法整備は切れ目のない安全保障
法制を構築をしている。それによって国民の命と幸せな暮らしを
守り抜いていくということです。
 例えばこのように海外で邦人が危害に遭ったとき、その邦人を
救出する。自衛隊が救出するための法律。えー、現在、そのため
に自衛隊が持てる力を十分に活かすことができません。そうした
ことを含めて、そうした法制も含めて、えー、今回、法整備を先
ず進めてまいります。             ──安倍首相
                   http://bit.ly/2DU5U2n
─────────────────────────────
 これは、かなり危ない発言です。もし、日本人が海外で危害に
遭ったとき、自衛隊がそれを救出できるように法律改正をするよ
うにとれるからです。
 いずれにせよ、本来であれば、2人を救出できなかったことを
もっと責められてしかるべき安倍首相は、海外では、何と「敢然
とテロリストと闘う安倍首相」という高評価に受けてしまってい
るのです。安倍首相としては「してやったり!」と舞い上がって
も不思議はないでしょう。
 これに反対したのは、「報道ステーション」のコメンテーター
古賀茂明氏です。「このままでは、今後何の罪もない日本人が海
外で「日本人である」というだけで被害に遭う恐れがあるとして
「われわれはアベと違う」という意味で、「I am not ABE」のカ
ードを1月23日の「報道ステーション」で掲げたのです。この
狙いを古賀氏は自著で次のように述べています。
─────────────────────────────
 一国の指導者に課された最大の責務は、国民を無用な戦争に巻
き込まないことだ。しかし安倍総理は、これとは正反対の方向に
進んでいる。
 私たち日本国民の心を表すのは、むしろ後藤さんの行動だ。戦
争などの犠牲者、特に女性と子どもたちの姿を世界に伝え、戦争
の根絶のために貢献しようという姿勢こそ、日本国憲法が求める
精神ではないか。
 安倍総理の、軍事力による「似非積極的平和主義」とは対極に
ある、日本国憲法が求める「真の積極的平和主義」だ。後藤さん
の心を共有する「I am Kenji」とともに、安倍総理の考えを否定
する「I am not ABE」という言葉を、いますぐ世界に向けて発信
することこそ平和を愛する日本人に課せられた責務ではないか。
そう思い、私は「報道ステーション」の2015年1月23日の
放送で、初めてこの言葉を発信したのである。
 「I am Kenji」と「I am not ABE」──
 この2つの言葉は、まさに、平和を愛する日本人の命を守るた
めの一対の救いのフレーズなのである。
       ──古賀茂明著/講談社刊/『日本中枢の狂謀』
─────────────────────────────
 この古賀氏による「I am not ABE」のカードに官邸が激しく反
応したのです。日本では、大臣や党幹部、政府高官などが番記者
にオフレコを条件で重要な情報を流す習慣があります。この場合
オフレコだからといって、絶対ヒミツというわけではなく、記者
がその発言をメモし、記事にする場合があるのです。それを承知
で、大臣などがリークすることもあります。
 2015年1月24日午後のことです。菅義偉官房長官が、定
例の記者会見終了後に、番記者にオフレコで、次のように話して
いるのです。
─────────────────────────────
 あれは本当に頭にきたなあ。いや、本当、俺だったら放送法に
違反してるって、いってやるところだけどな(笑)
                    ──菅義偉官房長官
                ──古賀茂明著の前掲書より
─────────────────────────────
 この菅義偉官房長官の発言は、オフレコ会見前日の1月23日
の「報道ステーション」において、コメンテーターの古賀茂明氏
が「I am not ABE」のカードを掲げたことをいっているのです。
 何しろ、日本人2人が殺されており、安倍政権にとっては最も
センシティブな問題であり、一番批判されたくないことです。そ
れを具体的に「アベ」と名指しして批判したのですから、菅官房
長官が頭にくるのはわかるような気がします。
 しかし、菅官房長官のいうように、放送法には違反していない
のです。既に述べているように、放送法第4条はあくまで「番組
ごと」ではなく、一定期間の報道を通してバランスをとればよい
と総務省がガイドラインを出しているからです。
            ──[メディア規制の実態/022]

≪画像および関連情報≫
 ●オフレコメモが存在していた/マイクロバブル日記
  ───────────────────────────
   報道ステーション(テレビ朝日系)で爆弾発言を行った古
  賀茂明氏へのバッシングが続いている。古賀氏に対して「捏
  造だ」「被害妄想だ」「陰謀論を平気で事実のように、しゃ
  べっている」という指摘が多く、30日には、菅義偉官房長
  官が記者会見で、古賀発言を完全否定している。
   「テレビ朝日の『報道ステーション』のコメンテーター」
  が、生放送中に菅官房長官の名を挙げて「バッシングを受け
  た」と語った際に、「まったくの事実無根」「事実に反する
  コメントだ。公共の電波を使った行為であり、極めて不適切
  だ」と批判。菅官房長官は、この会見で「放送法という法律
  があるので、まずテレビ局が、どう対応されるかを見守りた
  い」と発言している。
   これこそ何よりの、テレビ朝日に対しての、あからさまな
  圧力ではないだろうか?嘘をついていたのは古賀氏でないよ
  うだ。菅官房長は明らかに「放送法違反」という言葉で古賀
  氏と報道ステーションを攻撃しなから、平気で「事実無根」
  などと強弁していたわけだ。捏造と謀略による報道弾圧を繰
  り返してきた安倍政権の官房長官ならではの手法というべき
  か。信じられないのが、日本のマスコミ達の対応だ。
   地上デジタルの各局は、ワイドショーで一斉にこの問題を
  取りあげている。だが、ミヤネヤをはじめとして、唖然とす
  る横並び報道のオンパレード。彼らはこのオフレコ懇談の席
  に同席し、誰よりも菅官房長官が嘘をついていることを知り
  ながら、なんの追及もせず、「事実無根」発言を垂れ流して
  いる。              http://bit.ly/2s2RkjI
  ───────────────────────────

「I am not ABE」のカードを掲げる古賀茂明氏.jpg
「I am not ABE」のカードを掲げる古賀 茂明氏
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2018年02月05日

●「記名式に変更の協会執行部の悪辣」(EJ第4697号)

 2月2日、日本相撲協会の理事候補選挙があり、10人の理事
候補者が選出されています。この問題は、安倍政権のメディア規
制の問題ではありませんが、メディアの報道が事実を捻じ曲げて
いるひとつの事例であると考えるので、今日のEJはそのことに
ついて書きます。理事候補選の結果は、次のようになり、貴乃花
親方だけが、落選になったのです。
─────────────────────────────
   八 角 ・・・ 11当  出羽海 ・・・ 8当
   尾 車 ・・・ 10当  高 島 ・・・ 9当
   鏡 山 ・・・ 11当  芝田山 ・・・10当
   春日野 ・・・  9当  境 川 ・・・11当
   阿武松 ・・・  8当  貴乃花 ・・・ 2落
   山 響 ・・・  8      【定員:10】
─────────────────────────────
 この選挙には親方であれば誰でも出馬できます。そうであるの
に11人しか出馬しない。一門の事前の談合で候補者を決めるか
らです。したがって、候補者が10人であれば全員当選。この場
合は選挙は行われない。貴乃花親方は自らが出馬することで選挙
にするため、あえて不利を承知で出馬したのです。
 理事候補選は、2年に1回行われますが、2018年の選挙は
現八角体制にとって大変厳しい状況になっています。日馬富士傷
害事件、立行司、式守伊之助の不祥事、大砂嵐の無免許運転事故
など、不祥事の連発であり、相撲協会全体のガバナンスがなって
いないことを示しています。八角理事長と執行部の責任が厳しく
問われているのに、八角理事長は自ら減俸を申し出たものの、理
事会としての何の処分を受けていない状況です。
 普通の会社であれば、これほどの不祥事が続けば、社長は即辞
任です。まして相撲協会は公益法人です。しかし、八角理事長は
当然のように理事候補選に出馬し、理事候補に当選、当然のよう
に理事長に居座るでしょう。こんなことは、絶対に許せることで
はありません。
 実は、今回の理事候補選では、相撲協会執行部は、不正ではな
いものの、非常にズルイことをやっており、それにメディアが協
力しているフシがあります。そのため、EJであえて取り上げる
ことにしたのです。
 これまで、相撲協会の理事候補選では、理事候補者は無投票の
談合で選ばれていたのですが、文科省の指導を受け、選挙が行わ
れるようになっています。その選挙も最初のうちは、選挙委員の
目の前で、候補者名を記名するなどのインチキをしていたのです
が、このところ、投票用紙に印刷されている親方名にマルを付け
る方式で行われています。もちろん普通の選挙のように、誰にも
見られない仕切りのなかで、マルをつける方式です。
 ところが、今回の理事候補選では、相撲協会執行部は、投票方
式をこっそり記名式に変更しているのです。私は、偶然、1日夜
のNHKのニュースで、アナウンサーが「今回の選挙は候補者の
名前を書く記名式で行われます」とアナウンスするのを聞いたの
です。そこで、私は、2月2日の朝、次のようにツィートしたの
です。もちろん選挙前です。
─────────────────────────────
 隠れ貴乃花派の票の上積みは期待できない。協会は投票方法を
変更。これまでは理事候補者の名前の書いてある紙に〇をつける
だけだったが、こっそり記名式に変更。なぜ変更するのか。あと
で犯人探しをやるためである。NHKの報道で知ったが、どうし
て他のメディアはこのことを報道しないのか。
                   http://bit.ly/2FG5Nny
─────────────────────────────
 本稿執筆時点である2月3日午後5時の時点で、このツイート
の「インプレッション」は67万4184回、「エンゲージメン
ト」は29496回。「リツィート」7513回、「いいね」は
4761回になっています。「インプレッション」とは、私のツ
イートがスマホやPCに表示された回数であり、「エンゲージメ
ント」は、そのツイートに対して、リツイートや返信などのアク
ションを起こした回数のことです。
 なぜ、候補者にマルをつける方式から、記名式に変更したので
しょうか。その理由は明白です。隠れ貴乃花派が貴乃花親方に投
票するのを阻止するためです。記名にすると、筆跡から裏切り者
を特定できるからです。事前に「筆跡鑑定する」と脅せば、造反
する者がいなくなります。
 これは、現在の八角執行部ならやりそうなことです。しかし、
もっと許せないのはメディアの対応です。投票方式が記名方式に
変更になったことを知りながら、一言もいわないことです。2日
の朝のテレ朝の「羽鳥慎一モーニングショー」、「ワイドスクラ
ンブル」、TBSの「ひるおび」、「ゴゴスマ」──これらの番
組は、選挙前に行われましたが、くだらない票読みをしたものの
メインキャスターもコメンテーターも、誰ひとりとして、この問
題を指摘する人はいなかったのです。明らかに不自然です。
 そして、夜の「報道ステーション」ではじめて、記名式で投票
が行われたことを報道しています。選挙が終わって結果が出たの
で、報道したのです。それに、NHKのニュースの解説者は、貴
乃花一門は、阿武松と貴乃花との間で意見が割れ、無謀にも両者
が立候補して、貴乃花の惨敗に終わり、その影響力の低下は必至
の情勢と、まるで事実と異なる相撲協会寄りの報道を行っていま
す。それにしても、相撲協会と一心同体のNHKは別として、他
のメディアはなぜ相撲協会に協力したのでしょうか。何かよほど
おいしい餌をぶら下げられたのでしょうか。ぜひ『週刊文春』か
『週刊新潮』で暴いて欲しいと思います。
 このように、日本のメディアは腐り切っています。ネットでは
批判の嵐が渦巻いていますが、テレビは完全無視です。なんとも
腹立たしい限りです。相撲協会は八角体制では持ちません。衰退
するだけです。     ──[メディア規制の実態/021]

≪画像および関連情報≫
 ●貴乃花親方落選で大激論 ,何故記名式に?
  ───────────────────────────
   2日に行われた日本相撲協会の理事候補選で得票数2と惨
  敗した貴乃花親方について3日、カンテレの生番組「胸いっ
  ぱいサミット!」でタレントの遙洋子、東国原英夫、デヴィ
  夫人が激論を闘わせた。
   遙は「この結果を見て、彼が囲まれている協会の深刻さと
  闇が、つまびらかになったなと私は確信しました。彼はこう
  いう集団と闘っていたんですよ。それを表に出すためにこの
  数字が必要だったんだと思います、彼には」と、貴乃花親方
  の考えを推察した。
   八角理事長の現体制に一貫して批判的な東国原は「今回ね
  投票方式が記名方式で、突然変わりましたからね。今までは
  無記名だったんですけど。これが協会の体質をね、歴然と表
  していますよね」と、この日も協会を厳しく批判。
   一方で貴乃花親方に対しても「この2〜3カ月の行動が、
  私は問題があったと思います。理念は素晴らしいです、改革
  案は素晴らしいんだけども、そのやり方の結果が今回出たん
  ではないかなと」と苦言を呈した。元宮崎県知事、元衆院議
  員でもあるだけに「最初っから協会に届けといて、そして警
  察に届けて、そして仲間を増やしていくという方法をやっと
  けば。政治なんですから。そしたら、今になって記名投票に
  なっても、造反者があえていたんではないかと思います」と
  説いた。             http://bit.ly/2BRjDRJ
  ───────────────────────────

理事候補選に行く貴乃花親方.jpg
理事候補選に行く貴乃花親方
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2018年02月02日

●「米国との関係を重視した安倍政権」(EJ第4696号)

 安倍首相の対米重視の姿勢は相当のものです。民主党政権のと
き、当時の鳩山首相がある国際会議で、オバマ大統領との個別会
談の時間をとってもらえず、やむなく合同ランチの席で、オバマ
大統領の席の横でオープンで会談を行ったことがあります。この
とき、後になって有名になる鳩山首相の「ビリーブ・ミー」が発
せられるのです。当時野党議員だった安倍晋三氏は、その様子を
見て、日米関係がこれではいけないと考えたといいます。
 確かにオバマ大統領は、当初は日本に対して厳しく、2012
年暮れに安倍氏が首相になっても、首相就任後の初の日米会談を
春まで延期させられるなど、苦戦を強いられます。それだけに安
倍首相は、誰よりもオバマ大統領に認めてもらいたいという思い
が強くあったと考えられます。
 安倍首相は、フリーランス・ジャーナリストの後藤健二さんに
対してある懸念を持っていたのです。それは、今から約15年前
のブッシュ政権のときの出来事です。当時は小泉政権であり、安
倍晋三氏は官房副長官を拝命していたのです。
 米軍がイラクのフセイン政権を倒して国内を平定したとき、後
藤健二氏がある映像をイラクから持ち帰ったのです。それは、米
軍の攻撃による多くの民間被害者の映像だったのです。
 この映像は、NHKの「クローズアップ現代」に取り上げられ
『終らない戦争』というタイトルで放送予定であり、後藤健二さ
んも出演する予定だったと聞いています。
 しかし、この番組は、放送直前に経営陣の判断で中止され、ボ
ツになったのです。NHKとしての中止の理由は、表向きは「N
HKが取材していない内容を主とする番組を放送するわけにはい
かない」というものでしたが、その本当の理由をジャーナリスト
の横田一氏は次のように明かしています。
─────────────────────────────
 小泉政権は当時、米ブッシュ政権の「テロとの戦い」」に賛同
し、その後、イラクのサマワに自衛隊を派遣しています。そんな
状況下で、米軍の空爆で被害を受けた市民の視点で作った番組を
流すのは、政権批判につながりかねない。OA(オンエア)は避
けるべきという政治的な判断もあったようです。 ──横田一氏
                   http://bit.ly/2DSaLkX
─────────────────────────────
 当時安倍氏は、官房副長官として、おそらくこの放送中止に関
与していたものと思われます。そうであるとしたら、安倍首相は
後藤健二氏について、あまり良い印象を持っていなかったのでは
ないかと思われます。これについて、古賀茂明氏は、次のように
述べています。
─────────────────────────────
 仮に後藤さんが解放されて無事に帰国したら、何が起きていた
か・・。後藤さんは湯川さん救出のためにイスラム国支配下にあ
る地域に入った。ということは、そこで取材をすれば、アメリカ
中心の有志連合の容赦ない空爆による被害の映像がたくさん撮ら
れていたであろう。
 もちろん、アメリカなどは建て前上、イスラム国の拠点だけを
ピンポイントで爆撃したといっているが、そんなことは大嘘であ
ることは、後に海外メディアが暴いて大問題になった。その空爆
の巻き添えになった被害者には、民間人、それも女性や子どもが
多数含まれている。病院や学校がイスラム国の拠点として多用さ
れていることから、誤爆すればとんでもない悲惨な事態になる。
そうした画像や映像を、もし後藤さんが日本に持ち帰ったとした
ら・・。   ──古賀茂明著/講談社刊/『日本中枢の狂謀』
─────────────────────────────
 後藤/湯川両氏を救うという前提に立つと、シリアとの多くの
交渉拠点を持つトルコに現地対策本部を置き、エルドアン大統領
の力を借りながら、ISと水面下での交渉を行うべきです。しか
し、これは米国にとって好ましいものではなかったのです。「テ
ロリストと取引するのか」の批判もあります。
 しかし、実際に安倍首相のやったことは、エジプトでISと闘
う国に対して資金援助を行うと演説し、次にイスラエルに行って
同じ演説をしているのです。これは、ISを刺激させるのに十分
過ぎます。しかも、ヨルダンに対策本部を置いており、米国のC
IAの監視下にあるので、勝手な行動はとれないのです。
 要するに安倍政権としては、2人を救出するのには最悪の手を
打っていたことになります。その結果、安倍政権は2人を救出で
きなかったのです。しかし、米国をはじめ、国際社会に対しては
安倍政権は高い評価を受けているのです。これについて、古賀茂
明氏は次のように述べています。
─────────────────────────────
 安倍総理の姿勢は、列強国には高く評価された。「テロに屈せ
ず闘う安倍」というイメージは、これまでの日本のリーダーには
なかったものだ。これを中東だけではなく世界中に広げることが
できたのだから、安倍総理は大喜びだったであろう。特に総理を
喜ばせたと思わせるのは、米、英、仏など、NATOの中心的メ
ンバー国のリーダーが、後藤さんが殺害された直後に安倍総理の
「闘う姿勢」を称賛し、日本への連帯を示したたことである。各
国首脳が、記者会見で、わぎわざ自分の言葉で褒め称えてくれた
ことで、安倍総理の気持ちがどれくらい高揚したことか・・「こ
れで、晴れて世界の列強の仲間入りができた」と、小躍りしたと
しても不思議はない。      ──古賀茂明著の前掲書より
─────────────────────────────
 もし、古賀氏の指摘することが事実であるとしたら、安倍政権
は、メディアに相当激しく叩かれるはずです。しかし、そういう
混乱は起きていないのです。おそらくそれは、そのとき既にメデ
ィアは抑え込まれていたからであると考えられます。そのため、
それに唯一逆らい、「I am not ABE」とカードを掲げた古賀茂明
氏に対して、安倍政権は集中して、圧力をかけることになったの
です。         ──[メディア規制の実態/020]

≪画像および関連情報≫
 ●人質救出失敗 安倍政権がバラまいた“情報収集”の代価
  ───────────────────────────
   「情報収集と分析に全力を挙げる」だけで、人質2人をむ
  ざむざと殺害されてしまった安倍政権。その“情報収集”に
  も税金は使われている。
   04年4月に起きたイラク日本人人質事件では、拘束され
  た5人の救出に関連して支出した外務省の経費は、総額で約
  1815万円。これは職員の航空運賃、宿泊費など、直接か
  かった経費で、人件費は含まれない。この事件では、人質の
  拘束から解放まで10日あまり。単純に1日約170万円か
  かった計算になる。
   「安倍首相は先日の国会答弁で、後藤さん拘束後の11月
  から現地にも対策本部を立ち上げたと話していた。2カ月以
  上となると、1億円は超える。もっともこれは表に出せる金
  額です。実際には現地の仲介役などに水面下でジャブジャブ
  謝礼を支払っているので、2倍、3倍では、きかないでしょ
  う。そもそも安倍政権は今回の事件で官房機密費からも10
  億円用意していたと囁かれています」(官邸事情通)
   国民の命、安全を守るのは、政府の責任でお金だってかか
  る。当然だろうが、安倍政権は、ヨルダン頼みで右往左往し
  ただけで億単位だ。「情報収集でお金をバラまいたせいで、
  中東では改めて『日本人はお金になる』というイメージが広
  がった。標的にされる危険性が、さらに高まったともいえま
  す。(外務省関係者)。何か解せない。
                   http://bit.ly/2nuSlLK
  ───────────────────────────

現地対策本部/中山外務副大臣.jpg
現地対策本部/中山外務副大臣
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2018年02月01日

●「なぜIS人質を救えなかったのか」(EJ第4695号)

 2015年、年初の安倍首相の中東訪問──事前に決まってい
た外遊ですが、2014年12月になって、後藤健二さんと湯川
遥菜さんがイスラム国(IS)に捕えられたという情報が入った
のです。正確にいうと、湯川さんがはじめに捕えられ、湯川さん
を救出しようと後藤さんがシリアに入り、後藤さんも捕えられた
ということになります。
 このような事態に、安倍首相はなぜ中東訪問を予定通り強行し
たのでしょうか。表面上は「テロリストとは交渉しない」とはい
うものの、どの国もウラでは救出に乗り出し、交渉し、救出に成
功したケースも多々あるのです。そういう意味で、中東訪問に合
わせてトルコを訪問し、親しいエルドアン大統領に救出の協力を
依頼する方法はあったと思うのです。
 古賀茂明氏は、このときの安倍首相の行動には、5つの疑問が
あると述べています。
─────────────────────────────
 前年の12月初旬までに後藤健二さんが捕虜になっていること
が夫人にメールで知らされたという事実を前提にすると、その後
の安倍総理の行動には、いくつもの疑問が湧いてくる。
 第一に、なぜ中東を歴訪したのか? 第二に、なぜ訪問国とし
て、エジプト、ヨルダン、イスラエルというアメリカの盟友ばか
り選んだのか? 第三に、なぜイスラム国と闘う周辺各国を支援
するなどといった誤解を招くスピーチを行ったのか? 第四に、
なぜ現地対策本部を、トルコでなくヨルダンのアンマンに置いた
のか? 第五に、なぜ政府は、後藤夫人のイスラム国との取引を
支援しなかったのか?       ──古賀茂明著/講談社刊
                    『日本中枢の狂謀』
─────────────────────────────
 私もそうですが、多くの日本人は、安倍首相が後藤さんたちの
誘拐を知らないで中東歴訪に出発したと考えていたと思います。
それなら、これまでの安倍首相の外交行動を知っている人であれ
ば、トルコに現地対策本部を置くのがベストな対応であると考え
たはずです。なぜなら、トルコは、イスラム国支配地域と国境を
接しており、イスラム国との裏取引ルートも多数持っていたから
です。実際に、トルコは、イラクのトルコ総領事館員ら49名が
イスラム国に拉致されたとき、彼らを無事に取り返すという実績
を上げているからです。
 しかし、安倍首相は、現地対策本部をヨルダンのアンマンに置
き、そこに中山外務副大臣を派遣しています。つまり、安倍首相
にとって最も頼りになると思われるトルコとは連絡をとっていな
いのです。古賀氏のいう4つ目の疑問です。
 ヨルダンのアンマンには、米CIAの拠点はありますが、それ
以外にイスラム国と交渉するうえでのメリットは、何もない場所
です。派遣された中山外務副大臣は、ほとんど救出のための行動
らしきことはほとんどしないまま、結局、後藤さんと湯川さんは
空しく殺害されてしまったのです。
 ここで後藤夫人の立場について触れておく必要があります。そ
もそもISからの身代金の連絡は、後藤夫人のところにメールで
届いています。後藤夫人が政府に連絡すると、「政府としては、
直接交渉に当たれないが、情報は速やかに上げて欲しい」といわ
れたといいます。官邸内に対策本部は置いたものの、政府は交渉
には直接タッチしていないと考えられます。ある意味において、
後藤夫人は“弱い立場”にいたのです。これについて、古賀茂明
氏は次のように述べています。
─────────────────────────────
 後藤夫人は、IICA(国際協力機構)という政府機関に勤め
ている。乳飲み子を抱えて、万一の場合、将来の子どもの養育の
ことを考えればその仕事を失うことは絶対にできない。したがっ
て、政府の命令には逆らえないし、批判めいた声を上げることす
ら許されない。
 中東専門の記者たちからの情報では、夫人はひたすら声を潜め
ながら、外国の支援者たちのサポートだけを頼りにそれこそ命懸
けといってもよい必死の交渉を行っていたのである。
                ──古賀茂明著の前掲書より
─────────────────────────────
 「テロリストとは交渉しない」──米国はこの姿勢を一応貫い
ています。しかし、米国以外の先進国ではそれはあくまで建前と
して、フランスやイタリアなどは、ISと裏取引して、人質を取
り戻しています。日本人の多くは、政府は何とかISと交渉して
後藤さんと湯川さんを救出してくれるだろうと期待していたと思
います。日本は、かつて「よど号事件」では「人の命は地球より
も重い」として、超法規的措置を講じてまで、人質を解放した国
です。2人の救出のために官房機密費を使ったとしても、それに
よって政権が支持を下げるとは考えにくいのです。むしろ、人質
を救出できなかった場合のリスクの方が大きいでしょう。
 しかし、後藤さんと湯川さんは空しく殺害されてしまったので
す。どうして、こんな結果になったのでしょうか。
 2014年12月初旬に、ISから後藤夫人に連絡が入って以
来、外務省を通じて米国防総省、国務省、CIAなどにその情報
は提供され、情報は日米で管理されることになったはずです。そ
の結果、日本の外務省は、「テロリストとは交渉しない」とする
米国の監視下で、ISと交渉せざるを得なくなったのです。当然
米国としては、裏取引によって巨額の資金がISに渡ることを警
戒したはずです。
 日本としては、これによって後藤さんたちの救出が非常に困難
になったことを意味します。身代金を支払わないで、ISが人質
を解放するとは思えないからです。逆に日本がトルコに現地対策
本部を設置した場合、米国は日本が水面下の身代金交渉で、人質
の救出をするのではないかと疑ったと思います。安部首相は、だ
から、本部をあえてガラス張りのヨルダンに置いたのです。
            ──[メディア規制の実態/019]

≪画像および関連情報≫
 ●後藤さん殺害で最悪の結末に、政府対応の検証に焦点
  ───────────────────────────
   [東京/2月1日 ロイター]過激派組織「イスラム国」
  に日本人2人が拘束されていた事件は1日、湯川遥菜さんに
  続き、後藤健二さんも殺害されたとみられる動画がインター
  ネット上に投稿され、最悪の結果になった。日本政府は、2
  人の救出に最大限の努力をしてきたと強調するが、救出でき
  る道はなかったのか、今後は政府の対応の検証が焦点となり
  そうだ。
   政府が今回の動画を確認したのは、1日午前5時前後。後
  藤さんとみられる男性がオレンジ色の服を着せられてひざま
  ずき、そばに黒装束の男がナイフを持って立っている様子が
  映っている。その後、後藤さんが死亡したとみられる映像が
  続いている。
   動画の中で、犯行グループの男は、安倍晋三首相に対し、
  「勝ち目のない戦争に参加する日本の決定のせいで、このナ
  イフは後藤健二を殺害するだけでなく、さらなる日本人の殺
  りくを引き起こすことになる」と述べていた。
   菅義偉官房長官は1日午前の会見で、殺害されたのは後藤
  さん本人の可能性が高いとの認識を示したうえで「卑劣極ま
  りないテロ」とあらためてイスラム国を非難した。
   イスラム国の対応に対し、2人を惨殺するという「テロ行
  為」であると、国内では与野党を問わず、厳しく批判する声
  で一致している。ただ、2人の殺害は避けられなかったのか
  ──。その点については、政府に他の選択肢もあったのでは
  ないか、との声が一部で出ている。 http://bit.ly/2Erelzy
  ───────────────────────────

在りし日の後藤健二氏.jpg
在りし日の後藤 健二氏
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2018年01月31日

●「安倍首相の背徳の中東歴訪と演説」(EJ第4694号)

 ことの発端は、2015年1月23日のテレビ朝日「報道ステ
ーション」における当時のコメンテーター古賀茂明氏の次の発言
だったのです。
─────────────────────────────
 日本人はいま「I am not ABE」というカードを掲げる必要が
 ある。           ──古賀茂明コメンテーター
─────────────────────────────
 このとき、後藤健二さんはイスラム国の捕虜になっており、そ
の安否が気遣われていたのです。イスラム国(IS)は日本政府
に対し、身代金交渉を持ちかけたのですが、拒否されており、後
藤夫人が、政府から見捨てられたかたちで、後藤さんの解放のた
めに身代金交渉をISと細々と続けていたのです。
 ちょうどそのとき、安倍首相は中東を歴訪中で、その訪問国と
スケジュールは以下の通りです。
─────────────────────────────
      2015年1月18日: エジプト
             19日: ヨルダン
             21日:イスラエル
                 パレスチナ
─────────────────────────────
 報道では、少なくとも1月18日のエジプト訪問の時点では、
安倍首相は、ISによる後藤健二さんと湯川遥菜さんの誘拐事件
については知っておらず、中東訪問中に誘拐が発覚したというこ
とだったのです。しかし、後になってこのことが大ウソであった
ことが判明します。しかし、既にメディアは、安倍政権に完全に
飼い慣らされており、この背信行為をあまり厳しく追及すること
はなかったのです。
 このとき、安倍首相は、エジプトにおける演説において、次の
ようにISIL(IS)と闘う国を支援すると表明しています。
─────────────────────────────
 イラク、シリアの難民・避難民支援、トルコ、レバノンへの支
援をするのは、ISILがもたらす脅威を少しでも食い止めるた
めです。地道な人材開発、インフラ整備を含め、ISILと闘う
周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します。
                       ──安倍首相
─────────────────────────────
 日本語訳の場合は、比較的穏当な表現になっていますが、英語
訳では、支援の目的はすべて対イスラム国政策なのだというニュ
アンスが、日本語よりも露骨に表れた表現になっています。
─────────────────────────────
   "All that, we shall do to help curb the threat
   ISIL poses."
   「その支援は、すべてISILがもたらす脅威を食
   い止めるのに役立つためにすることだ」
                   http://bit.ly/2FnY11C
─────────────────────────────
 これにイスラム国が反発したのです。ISは、安倍首相の演説
をISに対する「宣戦布告」と捉え、次のビデオ・メッセージを
出し、日本人に対する復讐を宣言したのです。
─────────────────────────────
 (安倍総理は)イスラム国から8500キロも離れていながら
自ら進んで十字軍へ参加した。おまえはわれわれの女性や子ども
を殺害するために、またイスラム教徒の家を破壊するために、得
意気に1億ドルを提供した。だから、この日本人の命の値段は1
億ドルだ。また、イスラム国の拡大を止めようと、イスラム戦士
と戦う背教者を訓練するために、さらに1億ドルを提供した。だ
から、このもう一人の日本人の命も1億ドルだ。(中略)アベよ
勝ち目のない戦いに参加するというおまえの無謀な決断のために
このナイフはケンジを殺すだけでなく、おまえの国民を、場所を
問わずに殺戮する。日本にとっての悪夢が始まるのだ。
            ──古賀茂明著/『日本中枢の狂謀』
                         講談社刊
─────────────────────────────
 2人の日本人の人質がISにいる状況で、その当事国の首相が
わざわざ中東を歴訪し、ISを刺激することを演説で話せば、人
質の命はどうなるでしょうか。そういう意味からも、安倍首相の
中東歴訪はとても合理的な行動とは思えないのです。
 古賀氏としては、安倍首相の演説で、後藤健二氏や湯川遥菜氏
だけでなく、日本人というだけでISに殺害される恐れが出てき
ているとして、「I am not ABE」というプラカードを掲げるべき
だと「報道ステーション」で発言したのです。
 その直後に官邸の官房長官秘書官から次の趣旨のメールが届き
抗議してきたのです。
─────────────────────────────
 安倍首相は人質事件を知らなかったのに、ひどいじゃないか
                   ──官房長官秘書官
─────────────────────────────
 官邸としては、あくまで安倍首相は人質事件は知らないで中東
訪問をしたというストーリーにしておきたかったので、番組に抗
議してきたのですが、事実は大きく異なるのです。
 実は、2014年12月初旬までに後藤健二さんが人質になっ
たことは、ISから後藤夫人のPCにメールが届き、官邸にはそ
れが報告されていたのです。官邸はひそかに後藤/湯川さん救出
の対策本部まで作られていたのです。
 つまり、安倍首相は、2人がISの人質になっている事実を知
りながら、中東歴訪を強行し、2人の命だけでなく、日本人全体
を危険にさらす演説を行ったことになります。しかし、メディア
はそのことを十分知りながら、安倍政権をあまり非難していない
のです。安倍政権のメディア規制の毒が、既に回っていたからと
いえます。       ──[メディア規制の実態/018]

≪画像および関連情報≫
 ●安倍外交が「イスラム国」のテロを誘発した/内田通夫氏
  ───────────────────────────
   安倍晋三首相は中東歴訪の中、1月17日、エジプトで、
  「イスラム国」対策のため、としてイラクやレバノンに2億
  ドルを支援することを表明した。2億ドルには難民支援、人
  道支援という名目が付けられている。しかし、安倍首相は、
  「『イスラム国』の脅威を食い止めるため」、「イスラム国
  と闘う周辺各国に」としており、利敵行為とみなされる。人
  道支援や後方支援といった名目に日本人は惑わされやすい。
   戦闘行為、敵対行為の主な部分は、後方支援なのだ。たと
  えば、アフガニスタンでイスラム原理主義組織タリバンに対
  する戦闘を担ったのがNATO(北大西洋条約機構)だが、
  当初はアフガニスタンの経済復興を支援する、との目的を掲
  げて軍を派遣した。だが、タリバンからみれば、NATOの
  行動は敵対行為、戦闘行為そのものである。当然、NATO
  軍の進出に武力で攻撃し、NATO軍も反撃する。こうした
  戦闘の連鎖により、当初の経済復興支援という看板とは異な
  り、2014年に終了するまで長期にわたる大規模なアフガ
  ニスタン派兵となった。また、安倍首相は今回、イスラエル
  を訪問して、イスラエルと日本の両方の国旗の前で、ネタニ
  ヤフ・イスラエル首相と両国が連携を強化することを表明し
  た。これまでもイスラエルとの対話はあったが、このような
  形式をとることはなかった。イスラエルとはサイバーテロや
  無人機など、安全保障関連分野での提携を深めようとしてい
  る。イスラム社会の反発は当然、予想されることであり、安
  倍首相は配慮が足りない。     http://bit.ly/1H1KmMq
  ───────────────────────────

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イスラエルで演説する安倍首相
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2018年01月30日

●「安倍政権のメディア規制への意見」(EJ第4693号)

 安倍首相の「メディア幹部との会食」の是非については種々の
意見があります。そこで、砂川浩慶氏とニューヨークタイムズ前
東京支局長マーティン・ファクラー氏の意見をご紹介します。
 最初は砂川浩慶氏の意見です。砂川氏は、放送を中心とするメ
ディア政策、法制度を研究テーマとする学者としての意見です。
─────────────────────────────
 世界的にみても、政治のトップがメディア幹部らとこれだけ頻
繁に会食する例は、寡聞にして聞いたことがない。百歩譲って、
取材する記者であれば、最高権力者と会食することで取材の幅を
拡げ、国民の知る権利に奉仕する報道を実施することば可能であ
ろう。しかし経営トップとなれば、そうはいかない。経営者の最
大の関心は、自社グループの利益拡大である。
 渡邊恒雄・読売新聞グループ本社会長が読売新聞の社長に就任
したのが1991年。既に四半世紀を経ている。同様に日枝久・
フジテレビ会長がフジテレビの社長となつたのは1988年。こ
ちらも四半世紀を超える支配体制を築いている。このような経営
者が頻繁に首相と会食をしているのを尻目に、現場の記者が「権
力の監視」を行なうことが果たして可能だろうか?
                      ──砂川浩慶著
             『安倍官邸とテレビ』/集英社新書
─────────────────────────────
 メディアには政権を監視する役割があります。政権に問題があ
れば、それを指摘し、国民に知らせる責任を負っています。その
メディアのトップが、国の最高権力者と親しく頻繁に会食をする
例は海外では見られない現象であるといいます。
 まして、読売新聞の渡邊会長やフジテレビの日枝会長が頻繁に
安倍首相と親しく会食をすれば、そのメディアの信頼性が根本か
ら揺らぐことになります。そういう、あってはならないことが、
日本では平然と、当然のことのように、行われていると砂川浩慶
氏は指摘しているのです。
 続いて、ニューヨータイムズ紙の前東京支局長、マーティン・
ファクラー氏の意見です。
─────────────────────────────
 政権がメディアをコントロールしたいと思うのは当然だ。私は
メディア・コントロールに努める安倍政権よりも、やすやすとコ
ントロールされるままでいる日本のメディアに強い危機感を覚え
ている。なぜ大手メディアはアメによる懐柔策を突っぱね、安倍
政権を真っ向から批判しようとしないのだろう。
 政権に批判的な記事を書いた結果、官邸へのアクセスの制限や
取材拒否に遭えばそのときこそメディアにとっての大チャンスの
はずだ。権力の不当な振る舞いを批判できる機会を与えてもらっ
たようなものだ。チームを組んで安倍政権のメディア戦略を調べ
上げ、メディア・コントロールの実態について調査報道ですべて
を明らかにする。どのメディアの誰がどういう料亭で首相に会い
密室でどんな会話がなされたのか。そもそもメディアの上層部が
総理大臣と近すぎる距離にいること自体がおかしい。メディアの
人間は意識的に権力と一定の距離を保つよう、心がける必要があ
る。そうした観点から、ジャーナリズムと政治権力の緊張関係に
ついて、記事によって一石を投じればいいのだ。
               ──マーティン・ファクラー著
      『安倍政権にひれ伏す日本のメディア』/双葉社刊
─────────────────────────────
 マーティン・ファクラー氏は、安倍首相がメディアのトップと
コミュニケーションをとり、親しくなろうとして、会食をするの
は理解できるという立場です。それは、権力者として本能みたい
なものだからです。
 しかし、メディアの方は、易々とそれに応じてはいけないとい
います。権力者と親しくなれば、その監視役であるメディアとし
ては、どうしても政権を批判しにくくなるのは当然の帰結である
からです。したがって、権力者からの会食の招待も、礼を失しな
い程度に付き合うレベルにとどめるべきであるとします。
 そういう状況の下で、政権が、テレビ朝日の「報道ステーショ
ン」の特定のコメンテーターや編集者を外せというような不当な
圧力をかけてきたら、断固として政権として戦うべきであり、も
しそのメディアができないのであれば、他のメディアがそのこと
を報道すべきではないかといっています。それがメディアの役割
であると主張しています。誠にその通りであると思います。その
意味で、日本のメディアは、権力に完全に懐柔されています。
 安倍政権のメディア対策について述べてきていますが、最後の
項目が残っています。
─────────────────────────────
        1.ぶらさがり会見の中止
        2.蜜月メディアへの出演
        3.メディア幹部との会食
      ⇒ 4.メディアチェック実施
─────────────────────────────
 メディア対策の第4は「メディアチェック実施」です。
 安倍政権はどのようにして、メディアをチェックしているので
しょうか。
 これについては、詳細はわかっていませんが、安倍政権のなか
に終始メディアをチェックするチームがあり、問題があるときは
即座に対応できるようになっていると思われることです。それは
海外の記者の書いた記事に対してもチェックが及んでおり、問題
のある記事には、その海外メディアの本社に対し、外務省を通じ
て日本政府としてクレームを入れています。
 そのチェック体制は、2015年に起きたテレビ朝日「報道ス
テーション」からの古賀茂明コメンテーター解任事件を分析する
ことによって浮かび上がってくるはずです。次回から、この問題
について検討することにします。
            ──[メディア規制の実態/017]

≪画像および関連情報≫
 ●国連が、安倍政権によるメディア圧力に是正勧告へ
  ───────────────────────────
   安倍政権によるメディアへの報道圧力が、国際社会で大き
  な問題になった。国連の人権理事会が2017年11月14
  日、日本の人権状況を審査する作業部会を約5年ぶりに開催
  したのだが、そこで各国から「報道の自由」に対する強い懸
  念の声が続出したのだ。
   本サイトでお伝えしてきたとおり、第二次安倍政権以降、
  官邸はテレビなどのマスコミを常時監視しており、報道に対
  する圧力は日々苛烈を極めている。今年5月には昨年来日調
  査を行った国連人権理の特別報告者のデービッド・ケイ氏が
  報告書(未編集版)を公表し、そのなかで安倍政権による報
  道圧力とメディアの萎縮について是正を勧告していた。
   そして、今回の国連の対日人権審査では、たとえばブラジ
  ルやベラルーシ代表が特定秘密保護法による「報道の自由」
  の侵害に懸念を示し、アメリカ代表などはさらに踏み込んで
  日本の「放送局をめぐる法的規制の枠組み」を問題視。政府
  による電波停止の根拠となっている放送法4条の改正と、独
  立した第三者監督機関の設立を求めたのである。人権理によ
  る最終的な勧告は来年に行われるが、そこに日本の「報道の
  自由」の現状を憂慮する文言が組み込まれる可能性は極めて
  高いと見られる。         http://bit.ly/2z8H4JZ
  ───────────────────────────

マーティン・ファクラーニューヨーク・タイムズ紙前東京支局長.jpg
マーティン・ファクラーニューヨーク・タイムズ紙前東京支局長
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2018年01月29日

●「安倍首相とメディア幹部との会食」(EJ第4692号)

 安倍政権は第1次政権の反省から、異常なほど厳しいメディア
対策を行っています。安倍政権のメディア対策を再現します。
─────────────────────────────
        1.ぶらさがり会見の中止
        2.蜜月メディアへの出演
      ⇒ 3.メディア幹部との会食
      ⇒ 4.メディアチェック実施
─────────────────────────────
 メディア対策の第3は「メディア幹部との会食」です。
 安倍首相は、2012年暮れに政権を奪取すると、凄い勢いで
メディアの幹部と会食をはじめます。2014年12月30日付
の「しんぶん赤旗」の記事から、2013年1年分を抜き出して
みると、次のようになります。
─────────────────────────────
  1月 7日:読売・渡邊恒雄会長
     8日:産経・清原武彦会長 熊坂隆光社長
  2月 7日:朝日・木村伊量社長
    14日:産経・清原武彦会長
    15日:共同・石川聡社長
  3月 8日:日経・喜多恒雄社長
    15日:フジテレビ・日枝久会長
    22日:テレビ朝日・早河洋社長
    28日:毎日・朝比奈豊社長
  4月 4日:朝日・曽我豪政治部長、時事・田崎解説委員ら
     5日: 日本テレビ・大久保好男社長
  5月 7日:時事・西澤豊社長、田崎解説委員ら
     8日:読売・渡邊会長、日本テレビ・大久保社長ら
    15日:読売・渡邊会長ら
  6月12日:各社論説委員
  7月22日:朝日・木村社長、日本テレビ・大久保社長ら
  8月16日:フジテレビ・日枝会長
    22日:共同・福山社長、フジテレビ・日枝会長
  9月10日:読売・渡邊恒雄会長ら
 12月 2日:読売・渡邊恒雄会長ら
 12月16日:時事・田崎解説委員、読売・小田論説委員長、
        毎日・山田孝男専門編集委員、朝日・曽我政治
        部長、NHK・島田敏男解説委員、日本テレビ
        ・粕谷報道局長ら
    19日:読売・渡邊恒雄会長ら
    20日:産経・清原会長、熊坂社長ら
    26日:報道各社の政治部長ら
                      ──砂川浩慶著
             『安倍官邸とテレビ』/集英社新書
─────────────────────────────
 このなかでダントツに多いのは、読売新聞の渡邊恒雄会長で、
実に6回も会食しています。何しろ相手は超多忙の総理大臣であ
り、年に2回以上も会っている人は相当親しい人であるというこ
とになります。それも単に会うのではなく、会食なのです。官邸
側が場所を用意して招いているわけで、その時間は最低でも数時
間に及ぶことになります。逆に1回もないのはNHK。NHKの
幹部とは、一度も食事をしていないのです。
 会食の場所も出ているので少し上げてみます。丸の内パレスホ
テル東京内の日本料理店「和田倉」、赤坂のANAホテル内の日
本料理店「雲海」、帝国ホテル内の中国料理店「北京」、芝公園
のフランス料理店「陽明殿」、同フランス料理店「レストランク
レッセント」、永田町の山王パークタワー内の中国料理店「聘珍
楼」などです。料亭などはほとんどないのです。接待というより
も、ビジネスディナーという感じのスタイルです。
 なかでも突出して回数が多いのは、読売新聞の渡邊恒雄会長で
実に6回、3回食事しているのは、産経新聞の清原武彦会長、フ
ジテレビの日枝久会長、それに時事通信解説委員の田崎史朗氏で
す。ビジネスパーソンでも、1年間に3回会って食事をするとい
うのは、相当親しい人に限られます。まして6回は異常です。
 この夜の会食のスケジュールでは、同席者がわからないことが
あります。2013年3月22日に、安倍首相は、宿敵とされる
テレビ朝日の早河洋氏と「首相公邸」で会食していますが、同席
者が注目です。この2人は、2014年7月4日にも会っていま
すが、そのときも同じ人が同席しています。
─────────────────────────────
◎13年3月22日/首相動静
 【午後】7時18分、公邸。テレビ朝日の早河洋社長。幻冬舎
 の見城徹社長らと食事。菅幹事長同席。9時11分、東京・富
 ヶ谷の自宅。
◎14年7月 4日/首相動静
 【午後】6時55分、テレビ朝日の早河洋会長兼最高経営責任
 者(CEO)、吉田慎一社長、見城徹幻冬舎社長と食事。9時
 4分、東京富ヶ谷の自宅   ──マーティン・ファクラー著
       『安倍政権にひれ伏す日本のメディア』/双葉社
─────────────────────────────
 テレビ朝日は、この会食以降、安倍政権に対する批判的対応を
改め、安倍べったりになるのですが、13年22日のときは菅官
房長官が同席し、両方の席には幻冬舎社長が同席しています。見
城社長と安倍首相は大変親密なことで知られており、安倍首相と
早河洋CEOの間を取り持ったのではないかと思われます。
 権力者がメディア幹部とコミュニケーションを持つこと自体は
とくに問題はないと思います。問題なのは、メディアの方です。
彼らは、この首相主催の会食に呼ばれただけで、どのメディアの
幹部もメロメロになってしまい、メディアが本来するべき政権の
監視を弱め、批判を封印してしまったことです。
            ──[メディア規制の実態/016]

≪画像および関連情報≫
 ●安倍首相とメディア幹部の会食「読売」突出 5年で38回
  ───────────────────────────
   国政私物化疑惑にまみれ、改憲への執念を際立たせている
  安倍晋三首相と大手メディア幹部との会食が、今年も15回
  に及びました。首相は5月に2020年までの9条改憲構想
  を「読売」紙上で明らかにしましたが、同社幹部との会食は
  8回、第2次安倍政権以降の5年間では38回と突出してい
  ます。「読売」が首相の改憲発言を掲載したのは、5月3日
  付でしたが、インタビューが行われたのは4月26日。その
  2日前には首相と渡辺恒雄「読売」グループ本社主筆、イン
  タビュアーとなった前木理一郎政治部長とが飯田橋のホテル
  内の日本料理店で2時間にわたり、会食しています。
   「読売」インタビューは「憲法施行70年を迎えた。改め
  て憲法改正にかける思いを」という質問から始まり、首相に
  言いたいことを言わせるもので、報道機関としてのあり方が
  問われました。国会では、改憲発言の意図について野党から
  質問を受けた安倍首相が「読売新聞を熟読して」と答弁し、
  国会軽視と問題になりました。
   そのインタビューの裏では、社のトップとインタビュアー
  が首相と会食してすり合わせをしていたのではないかと思わ
  せる行動は報道機関失格です。「読売『御用新聞』という汚
  名」という見出しの週刊誌記事まで出ました。ちなみに、渡
  辺主筆は、5年間で18回、今年だけで5回も首相と会食を
  繰り返しており、特別の親密ぶりが問われています。
                   http://bit.ly/2BxR2Rn
  ───────────────────────────

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読売新聞/渡邊 恒雄会長
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2018年01月26日

●「2次安倍政権のメディア規制対策」(EJ第4691号)

 安倍政権が他の自民党政権と違うことがひとつあります。それ
は、安倍晋三氏にとって2回目の首相であるということです。長
年衆議院議員をやっていても、首相という仕事はすべてが初体験
であり、思うようにはいかないものです。しかし、2回目であれ
ば、何をどうするということは体験済みであり、あらかじめ、自
分の考えるベストなスタイル考えることができます。
 このことは、このテーマの第1回でも指摘したことですが、2
度目の首相のチャンスが巡ってきたとき、安倍晋三氏は、メディ
ア対策をいの一番に考えたはずです。そのメディア対策として現
在行われていることは、次の4つです。以下、この4つの対策に
つき砂川浩慶氏の著作を参照して、述べることにします。
─────────────────────────────
      ⇒ 1.ぶらさがり会見の中止
      ⇒ 2.蜜月メディアへの出演
        3.メディア幹部との会食
        4.メディアチェック実施
─────────────────────────────
 メディア対策の第1は「ぶらさがり会見の中止」です。
 今になって考えると、小泉純一郎元首相は、ぶら下がり会見を
よく行い、メディアとフランクに会見していたと思います。ぶら
下がり会見とは、正式の記者会見ではなく、移動中の首相に声を
かけ、番記者が首相を囲んで取材を行うことをいいます。小泉首
相は、その会見のさい、当意即妙な短い言葉で対応し、なかなか
好評だったのです。
 ところが、2002年に総理大臣官邸が新しくなったことに伴
い、警備体制が強化され、記者が首相と接する機会が減ったので
す。そのため、小泉首相は1日2回のぶらさがり会見をすると約
束し、内閣記者会と折り合いをつけています。
 安倍首相は、第1次政権のとき、当然この1日2回のぶら下が
り会見を引き継ぐことになるのですが、彼はこの1日2回のぶら
下がり会見を1回にしようとしたのです。しかし、これは各方面
から反対され、うまくいかなかったのです。当時の安倍首相は、
小泉首相のようなうまい受け応えができず、それが支持率を下げ
る原因にもなっていたのです。
 そういうこともあって、安倍首相は第2次政権のとき、ぶらさ
がり会見を中止したのです。ぶら下がり会見は、福田、麻生、鳩
山の3政権については、実施されましたが、菅首相は会見を1日
1回に減らし、野田首相は記者会見を増やすことを約束して、ぶ
ら下がり会見を拒否したのです。安倍首相は、そのことを頭に置
いて、内閣記者会にぶら下がり会見の中止を申し入れ、これを承
知させています。メディアはこれに反対できなかったのです。
 メディア対策の第2は「蜜月メディアへの出演」です。
 「総理と語る」という番組があります。これは、NHKと民放
が持ち回りで実施していたのですが、第2次安倍政権では、これ
も廃止しています。メディアとしては、首相にメディアを選別さ
れるのを嫌います。そのため、1日2回のぶら下がり会見や持ち
回りの「総理と語る」などの慣例を作り、どのメディアも公平に
首相と会見をする機会を確保しようとします。
 しかし、官邸サイドとしては、メディアを選別し、単独インタ
ビューというかたちで出演したいのです。それには、ぶら下がり
会見や「総理と語る」などの慣例を壊す必要があり、安倍首相は
それを真っ先にやったというわけです。
 もともと安倍首相は、第1次政権のときから読売新聞と産経新
聞新聞とは蜜月関係にあります。しかし、他の新聞社ともコンタ
クトをとる必要があります。つまり、表面上は公平に扱うことを
見せる必要があるからです。
 そこで安倍首相は、2012年に政権に復帰するや、2012
年12月28日に単独インタビューを読売新聞と行い、同月30
日には産経新聞と行っています。それでは、他の主要新聞社との
コンタクトは、どうだったのでしょうか。
 これについては、立教大学社会学部教授の砂川浩慶氏の著作か
ら、引用することにします。
─────────────────────────────
 安倍首相と蜜月関係を続ける読売新聞、産経新聞の別格2社に
続き、2013年年明けに東京新開(1月9日)、日経新開(1
月10日)が単独インタビューを実施した。父・安倍晋太郎氏が
在籍した毎日新聞も1月25日にインタビューを行なった。この
時点で、全国紙で唯一単独インタビューがなかったのが朝日新聞
である。『選択』/2013年5月号の「安倍とメディアの醜悪
な『蜜月』/官邸にひれ伏す新聞・テレビ」では、「(2013
年)2月7日夜、帝国ホテル内の中国料理店『北京』で、木村伊
量朝日新聞社長(当時)は安倍首相と会食に臨んだ。この場が事
実上の『手打ち式』となり、2週間近く経過した同月20日によ
うやく単独インタビューが実現した。ここで、安倍首相とメディ
アとの「蜜月」関係が完成したともいえるだろう」と解説されて
いる。                   ──砂川浩慶著
             『安倍官邸とテレビ』/集英社新書
─────────────────────────────
 慣例による順番や決まりによって、単独会見を行うのでなく、
安倍首相の意思によって、出演する新聞社やテレビ局が選ばれる
と、何が起きるでしょうか。
 それは、メディア側としては、安倍首相の関係を友好状態に保
とうするはずです。安倍政権にとって都合の悪いことは報道しに
くくなります。どうしても報道するさいには、周りのメディアの
対応を見ながら、おそるおそるやることになります。
 そういう場合は週刊誌が取り上げていたのですが、その週刊誌
も編集方針を変更したのは既に見てきた通りです。実に情けない
話です。少しは、まともな、毅然としたメディアがひとつぐらい
あってもいいと思いますが、そういうメディアは残念なから日本
にはないのです。    ──[メディア規制の実態/015]

≪画像および関連情報≫
 ●メディアは政権の支配を脱したか/望月衣塑子東京新聞記者
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   「この(獣医学部をめぐる)一件を通じ全く別の問題とし
  て認識を新たにしたのは国家権力とメディアとの関係です。
  (中略)私に最初にインタビューを行ったのはNHKです。
  しかし、その後映像はなぜか、放送されないままになってい
  ます。いまだに報じられておりません」。
   2017年6月23日、文科省の前事務次官の前川喜平氏
  は、日本記者クラブで行った記者会見で、日本のマスメディ
  アの持つ問題に言及した。翌日の紙面では、前川氏の批判を
  きちんと取り上げた新聞や大手テレビはほぼなかったが、I
  WJはじめ多くのネットメディアには、日本のマスメディア
  が抱える重大な問題として取り上げられ、ネット上では批判
  が拡散していた。他人事ではない。数カ月前まで日本社会全
  体に漂っていた、マスメディアが政権を批判する際に見え隠
  れした「恐れ」と政権への「忖度(そんたく)ぶり」は、国
  民の知る権利に答え、権力を監視すべきメディア本来のあり
  ようとは、ほど遠くなっていたようにみえた。
   2011年3月11日の原発事故後、原発推進と反原発を
  めぐって、メディアの二極化が進んだ。民主党政権が下野し
  返り咲いた第2次安倍政権では、菅義偉官房長官や杉田和博
  官房副長官を筆頭にテレビを中心にメディア支配の流れが急
  速に進んだ。特にテレビは14年11月、衆院選公示が迫る
  中、自民党の萩生田光一筆頭副幹事長(当時)が、「選挙時
  期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお
  願い」とする文書を、各局の編成局長、報道局長宛てに送り
  これを機に、その報道姿勢に少しずつ変化が現れていった。
                   http://bit.ly/2DB0yYT
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望月衣塑子東京新聞記者.jpg
望月 衣塑子東京新聞記者
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | メディア規制の実態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月25日

●「安倍政権によるメディア規制効果」(EJ第4690号)

 放送法の問題は、23日のEJで述べていますが、現在、安倍
政権がメディアに対して要求していることは、「表現の自由」を
著しく冒し、国民の知る権利を妨害している可能性が高いので、
重ねて補足することにします。
 自民党は、放送法第4条第2項をたてにして、「政治的公平」
を「番組単位」で求めています。要するに、「どの党も公平に扱
え」というわけです。しかし、放送を所管する総務省は、1つの
番組内でそうするのではなく、一定期間内に放送された番組全体
でバランスを取るよう指導しています。単一番組内で政治的公平
を行うことは事実上困難だからです。そのため、テレビ局自体が
面倒だと感ずると、政治関係の情報をカットしてしまうことも十
分考えられます。それが自民党の狙いでもあります。
 そもそも放送法第4条は、強行法規ではなく、倫理規定である
といえます。放送事業者は公共の電波を使うのであるから、この
ことを心に留めて番組づくりをしなさいという性格の法規であり
これに違反しているからといって、総務省が何らかの処分を下す
ことはあり得ないことです。
 しかし、安倍政権は、放送事業者が、単一番組でも放送法第4
条に違反すれば、総務大臣が放送免許の取り消しができると勝手
に解釈しています。しかし、放送法の趣旨からすると、自民党が
放送業者に圧力を加えるようなことをすれば、それこそ放送法第
1条第2項によって、「表現の自由」が侵害される恐れがあると
して、総務省は自民党に対して警告できるのです。
 この自民党のマスコミ弾圧の動きに呼応するかのように、7人
の著名人が呼びかけ人になって新聞に出した放送法第4条に関す
る意見広告について、古賀茂明氏は、自著において、次のように
厳しく批判しています。
─────────────────────────────
 この全面広告と一連の抗議行動の特徴は、意見の内容が、明ら
かに政府や自民党のマスコミ弾圧に同調した形で行われているこ
とだ。代表者も安倍総理に近く、いわば安倍政権の世論操作部隊
と見られても仕方のないようなメンバーである。さらに、この事
件の最も重大な問題は、読売新聞と産経新聞が、特定の個人を非
難する意見を、その非難される個人に反論の機会を与えないまま
掲載したことだ。(中略)
 政府批判の声を上げると政府に近い人間が集まり、大金を使っ
て批判者をバッシングする。さらに、放送法で停波する権限があ
るという総務省に抗議を行い、テレビ局に圧力をかける。天下の
大新聞がそれをサポートする。このような状況は何を意味するの
か。岸井氏は、翌2016年3月末に、「ニュース23」を降板
させられた。一個人が、良心にしたがって真実を報じ、正論を主
張することは、もはや不可能になってしまったのだろうか。
            ──古賀茂明著/『日本中枢の狂謀』
                         講談社刊
─────────────────────────────
 安倍政権によるメディア規制は、2015年に入るとますます
露骨になります。なぜかというと、2014年の衆院選と、20
13年の参院選に圧勝して、安倍政権はメディアコントロールに
自信を深めたからです。
 報道規制を強めた2014年の総選挙では、安倍政権の直接介
入とそれに恐れをなしたテレビ局の忖度によって、劇的な効果を
上げているからです。
 その効果はどれほどのものであったのでしょうか。もちろんマ
スコミは一切報道しませんが、政治学者の逢坂厳氏が、2015
年3月27日に、インターネットニュースサイト「ザ・ページ」
で配信した「『政治とメディア』テレビの選挙報道は史上最低に
〜データが示す2014年総選挙の実態〜」で、次のように分析
しています。
─────────────────────────────
 解散日から投票日までの総報道量は70時間17分。これはこ
の10年間で最も報道量の多かった05年総選挙の5分の1、最
も少なかった03年選挙と比べても半分にしか過ぎない少なさで
ある。(中略)まず、キー局全体では、14年は12年に比して
42%の報道しかされなかった。民放は、ほとんどが40%を下
回っている。特にフジテレビは26%と3分の1以下に報道量を
減らしている。番組のタイプ別では、ワイドショーが17%と極
端に報道量を下げている。どれもひどいがテレビ朝日(11%)
や、フジテレビ(3%!)の数字が目立つ。2012年にはフジ
テレビのワイドショーは、活発な選挙報道を展開し、看板番組の
『とくダネ!』は放送批評懇談会からその選挙報道に対して月間
ギャラクシー賞を授与されるなどしていた。しかし、2014年
の選挙では、選挙特集を組まなかったどころか、選挙に関連する
情報提供をほとんどおこなわず、フジのワイドショーの報道量の
激減に大きく貢献している。
      ──砂川浩慶著『安倍官邸とテレビ』/集英社新書
─────────────────────────────
 これを見ると、テレビ局の報道自粛(忖度!)のひどさは目に
余ります。これは政権与党にとってきわめて都合のよい話です。
少し圧力を強めると、あとはテレビ局側が勝手に自粛してくれる
からです。なかでも安倍首相の「お友達テレビ」といわれるフジ
テレビの「3%」は驚きです。そういえば、最近同局の「とくダ
ネ!」は、一切見なくなっています。こんなことをすれば、フジ
の視聴率が低迷するのは当然のことです。
 この2014年の総選挙におけるメディア対策に味をしめた安
倍政権は、2015年からは、もっと露骨に政権を批判するテレ
ビのコメンテーターを一人ずつ番組から外していきます。そのな
かにテレビ朝日の「報道ステーション」でコメンテーターを務め
ていた古賀茂明氏もそのターゲットとされるのです。これは、国
民の知る権利を妨害する政権政党が絶対にやってはいけない策略
です。         ──[メディア規制の実態/014]

≪画像および関連情報≫
 ●国連が、安倍政権によるメディア圧力に是正勧告へ!
  ───────────────────────────
   安倍政権によるメディアへの報道圧力が、国際社会で大き
  な問題になった。国連の人権理事会が2017年11月14
  日、日本の人権状況を審査する作業部会を約5年ぶりに開催
  したのだが、そこで各国から「報道の自由」に対する強い懸
  念の声が続出したのだ。
   本サイトでお伝えしてきたとおり、第二次安倍政権以降、
  官邸はテレビなどのマスコミを常時監視しており、報道に対
  する圧力は日々苛烈を極めている。今年5月には昨年来日調
  査を行った国連人権理の特別報告者のデービッド・ケイ氏が
  報告書(未編集版)を公表し、そのなかで安倍政権による報
  道圧力とメディアの萎縮について是正を勧告していた。
   そして、今回の国連の対日人権審査では、たとえばブラジ
  ルやベラルーシ代表が特定秘密保護法による「報道の自由」
  の侵害に懸念を示し、アメリカ代表などはさらに踏み込んで
  日本の「放送局をめぐる法的規制の枠組み」を問題視。政府
  による電波停止の根拠となっている放送法4条の改正と、独
  立した第三者監督機関の設立を求めたのである。人権理によ
  る最終的な勧告は来年に行われるが、そこに日本の「報道の
  自由」の現状を憂慮する文言が組み込まれる可能性は極めて
  高いと見られる。        http://exci.to/2DDYWhd
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砂川浩慶氏.jpg
砂川 浩慶氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | メディア規制の実態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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