2008年02月06日

●3つの要素から生まれた地球温暖化(EJ第2259号)

 現在、地球温暖化による異常気象がやがてわれわれの生活にさ
まざまな不都合をもたらすことを疑う人はいないと思います。し
たがって、道路特定財源の暫定税率の延長には絶対反対の人も環
境税に関してはなぜか寛容なのです。
 なぜ、こうなったかというと、ノーベル平和賞に結びついたア
ル・ゴア氏の映画『不都合な真実』をはじめとするあらゆる環境
キャンペーンの成果であると考えられます。
 しかし、環境問題にはおかしなことがたくさんあります。明ら
かなウソがまことしやかに強調されたり、ひとつ一つの現象に対
する科学的説明が十分でなかったり、ささいなことを針小棒大に
訴えたりしているからです。
 そこで、EJでは今日からテーマとして地球温暖化問題を取り
上げることにします。何が正しくて、何が間違っているのか――
題して「地球温暖化懐疑論」です。
 2008年1月26日(土)に今年はじめての『朝まで生テレ
ビ』/テレビ朝日――があったのです。今回は環境問題がテーマ
として取り上げられました。そのときのテーマと出席パネラーは
次の通りです。
―――――――――――――――――――――――――――――
      ――「朝まで生テレビ」/テレビ朝日
            『検証!地球温暖化論』
  田原総一郎 ・・・ 総合司会
  浅岡 美穂 ・・・ NPO気象ネットワーク
 ◎伊藤 公紀 ・・・ 横浜国立大学教授
  江田けんじ ・・・ 無所属/衆議院議員
 △江守 正多 ・・・ 国立環境研究所
  王  曙光 ・・・ 拓殖大学教授
  小池百合子 ・・・ 自民党/衆議院議員
  崎田 裕子 ・・・ 環境カウンセラー・ジャーナリスト
  野口  健 ・・・ アルピニスト
  福山 哲郎 ・・・ 民主党/衆議院議員
 ◎薬師院仁志 ・・・ 帝塚山学院大学教授
 △山地 憲治 ・・・ 東京大学教授
―――――――――――――――――――――――――――――
 EJのテーマとして環境問題を取り上げよう考えていた私は、
この番組を録画し、繰り返し視聴したのです。出席者の中で△印
がついている人は地球温暖化問題の専門家であり、◎印の人はそ
の懐疑論者です。環境問題に一家言を持つ政治家も3人参加して
おり、パネラーの構成はバランスが取れていたと思います。
 推進派と懐疑派が入り乱れて、4時間にわたって熱心な議論が
展開されたのですが、推進派と懐疑派の議論は引き分けというこ
とで終わったと思います。どちらも相手を説得できないで終わっ
た感があるからです。
 東京大学教授の渡辺正氏は、地球温暖化は次の3つの要素から
生まれたといっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
   「科学」:地球の平均気温は明らかに上りつつある
   「仮説」:人間活動の出すCO2が温暖化を進める
   「憶測」:地球温暖化は人間の生活に悪影響を生む
―――――――――――――――――――――――――――――
 現在、「科学」「仮説」「憶測」の3点セットを「事実」とみ
て政府や業界は「対策」を実施している(?)のですが、本当に
それは効果を上げているのでしょうか。
 地球温暖化対策に使われる国費は、2006年度も2007年
度も「約1兆円」だったのですが、洞爺湖サミットが予定されて
いる2008年度はさらに増えて、「1兆4000億円」に達し
ているのです。
 年間1兆円は大金です。しかし、地球温暖化対策といわれると
何となく反対できないムードなのです。しかも、その金額は年々
増えていくことは確実です。これに関しては与野党ともに仕方が
ないと思ってしまっているようです。
 渡辺正教授は、次の2つの問いを出しています。あなたはこれ
に対して答えられるでしょうか。
―――――――――――――――――――――――――――――
   1.今の日本でCO2の排出量を減らせるのか
   2.もし、減らせたらいったい何が起こるのか
―――――――――――――――――――――――――――――
 1に関しては、改めて検討しなければならないテーマですが、
2に関して渡辺正教授は、きわめて単純・簡単であるとして、次
のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 「京都議定書」についても、あの約束に関係する国々のCO2
 排出量は世界全体の3割。うち約5%減らそうという話ですが
 すると全体の排出量の約1.5%を減らす話でしかない。今の
 ところ無理そうだけど、たとえ議定書通りに運んでも、化石燃
 料を掘り続けるなら、50年後にやってくる状況が、51年目
 のどこかで必ず来るだけ。だから、温暖化の「防止」などあり
 えず、ほんのわずかな「先送り」だよね。だから、「温暖化防
 止」という言葉を見たり聞いたりするたびに、ああこの人は、
 何一つ自分で考えていないんだな、と思ってしまう。
 ――『暴走する「地球温暖化論/洗脳・煽動・歪曲の数々」』
                       文藝春秋社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 地球温暖化の3つの要素である「科学」「仮説」「憶測」――
「仮説」と「憶測」は十分検証する必要があるのは当然ですが、
渡辺正教授は「科学」ですら怪しいといっています。ここで「科
学」というのは「地球の平均気温は明らかに上りつつある」とい
う内容です。平均気温は本当に上っているのでしょうか。
 明日から、これらの数ある疑問について、ひとつずつていねい
に検討して行きます。    ――[地球温暖化懐疑論/01]


≪画像および関連情報≫
 ・朝まで生テレビ「環境問題」のコメント
 ――――――――――――――――――――――――――――
 先週の金曜日のテロ朝の「朝まで生テレビ」のテーマは環境問
 題であった。私としては『環境問題はインチキである』と、日
 頃から主張しているので興味本位に見てみたが、やはり期待し
 た方がバカであった!・・・。パネリストの中には一部、現状
 の環境問題が『マネーゲーム化』しているという事を熟知して
 おられる方が出ていたが、どうしても『マネーゲーム化』とい
 う言葉までは発しても、その先にある【中国】という言葉を発
 する事は出来なかった!恐らく番組のプロデューサーに口止め
 されていたのであろう!?・・・
   http://blogs.yahoo.co.jp/its_netservice/39713690.html
 ――――――――――――――――――――――――――――

「暴走する地球温暖化論」.jpg
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2008年02月07日

●地球の平均気温は上がっているか(EJ第2260号)

 まず、「地球の平均気温は明らかに上りつつある」ということ
が本当に正しいのかどうかについて考えてみたいと思います。こ
れは、昨日のEJで渡辺正東京大学教授が地球温暖化を生み出し
た3つの要因――「科学」「仮説」「憶測」――のうち「科学」
に入れていた部分です。
 われわれは「科学」といわれると、素直に信じてしまって疑う
ことをしませんが、環境問題に対してはそれが事実であるのかど
うか慎重に検証する必要があると思うのです。
 地球の平均気温が上昇していることを示すデータはいろいろあ
りますが、よく使われるデータのひとつに、NASA・ゴダード
宇宙研究所(GISS)が公表している次のデータがあります。
―――――――――――――――――――――――――――――
 http://data.giss.nasa.gov/gistemp/graphs/Fig.A2.lrg.gif
―――――――――――――――――――――――――――――
 細かい変動はありますが、1900年頃から1940年頃まで
平均気温は上昇を続け、40年間で約0.4℃上昇しています。
ところが、それから1970年頃まではむしろ下降気味で、30
年間に約0.2℃下がっているのです。
 しかし、それからは一気に上昇に転じて、現在までの35年間
で0.5℃以上上昇しています。しかし、このグラフには出てい
ませんが、現在ピークに達している気温は過去にも経験したこと
がある気温なのです。
 一方においてこういう事実があります。静岡県の網代や伊豆半
島の三宅島では、1940年頃から1990年頃まで気温はほと
んど変わっていないのです。それから、グリーンランド、アラス
カ、昭和基地やアムンゼン・スコット基地(南極)などの気温変
化のデータも、1940年頃から現在にいたるまで、これらの地
域の温度はほとんど上昇も下降もせずに推移しています。地球規
模の温暖化というのであれば、全地球的に気温の変化が起きてよ
いはずですが、必ずしもそうなってはいないのです。
 地球温暖化を実証するもうひとつ有名なデータがあります。そ
のデータを添付ファイルに付けています。これは、古気候学者の
マイケル・マンという人が計測したデータです。
 マイケル・マン氏はまだ若い学者とのことですが、彼は気候変
動に関する政府間パネルであるIPCCの有力な執筆者の一人で
あり、大変有能な気象学者であると評判です。
 IPCCとは、国際的な専門家でつくる、地球温暖化について
の科学的な研究の収集・整理のための政府間機構のことです。純
粋な学術的な機関であり、地球温暖化に関する最新の知見の評価
を行い、対策技術や政策の実現性やその効果、それがない場合の
被害想定結果などに関する科学的知見の評価を提供しています。
 マンのデータの特色は、過去の1000年間の気温データにつ
いては、樹木の年輪幅の変化などから推測した代替データである
という点です。なぜ、「ホッケースティック曲線」なのかという
と、20世紀以前の気温変化は小さく、20世紀になって急激に
上がっており、形がホッケースティックに似ているからそう呼ば
れるのです。1月26日の「朝まで生テレビ」でも司会の田原総
一郎氏は、このマンのデータを紹介しているのです。
 このマンのデータについて、地球温暖化の懐疑論者である伊藤
公紀横浜国立大学教授は、次のように述べています。もちろん、
伊藤教授も「朝まで生テレビ」に出席しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 マンのデータが正しいとすると、ヨーロッパでの氷河前進を生
 んだ小氷期や、バイキングがグリーンランドやアメリカ大陸に
 到達した10世紀頃の中世に存在したとされる温暖期は、単な
 る地域的な現象ということになる。しかし、2007年公開の
 IPCC第4次報告書に収録された新しいデータでは、小氷期
 や中世温暖期を明確に見ることができる。
 ――『暴走する「地球温暖化論/洗脳・煽動・歪曲の数々」』
                       文藝春秋社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 木の年輪の幅を調べる場合、原則的には次のように判定される
ことになります。
―――――――――――――――――――――――――――――
    年輪の幅が厚い ・・・・・ 気温が高い
    年輪の幅が薄い ・・・・・ 気温が低い
―――――――――――――――――――――――――――――
 もちろん、これだけで気温の高低を決めているのではなく、そ
れ以外の文書も調べて気温を測定しているのです。したがって、
学者によって結論に大きな差が出ることになります。
 例えば、既出のマイケル・マン氏は過去600年間で1980
年以降が一番暖かいという論文を書いていますが、同じデータを
使った別の学者によると、15世紀は現在よりも暖かかったと主
張しているのです。
 この10世紀以降数世紀の気温は「中世温暖期」といわれ、気
温はかなり高かったといわれています。バイキングがグリーンラ
ンドに上陸したとき、当時は草や木が多く生えて緑に覆われてい
たので「グリーンランド」と名付けたというのです。
 この中世温暖期の気温が現在の気温よりも高かったという学者
の説が正しいとすると、当時はCO2の影響など考えられないの
で、自然のサイクルの枠内に収まる現象とも考えられるのです。
 しかし、現在の気温が高いということを強調したい向き――地
球温暖化を前提にCO2の削減政策を推進したい一派の人は、中
世温暖期のことはふれたくないし、それが表面には出ていないマ
ン氏の「ホッケースティック曲線」を採用したくなる気持はそれ
なりに理解できます。
 このように「地球の平均気温は高くなっている」という事実で
さえ、よく調べてみると、いろいろ疑問符が付くのです。平均気
温の変化については、明日のEJでも引き続き検討したいと考え
ています。         ――[地球温暖化懐疑論/02]


≪画像および関連情報≫
 ・「中世温暖期」とは何か
  ―――――――――――――――――――――――――――
  中世の温暖期とは、ヨーロッパの中世に相当する時期、およ
  そ10世紀から14世紀にかけて続いたヨーロッパが温暖だ
  った時期を指す。この時期の温暖化は地球温暖化や温室効果
  についての議論でしばしば話題にされる。ヨーロッパではこ
  の時期、ヴァイキングが凍結していない海を渡ってグリーン
  ランドに入植するなど、より北方へ領土を広げたことが知ら
  れている。この温暖期のあと小氷期に入り19世紀まで寒冷
  な時期が続き、その後に現在の温暖化が始まっている。
                    ――ウィキペディア
 ――――――――――――――――――――――――――――

ホッケースティック曲線.jpg
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2008年02月08日

●地球寒冷化がなぜ温暖化になったのか(EJ第2261号)

 NASA・ゴダード宇宙研究所(GISS)による世界の平均
気温というのは、どのようにして計測するのでしょうか。
 GISSの世界の平均気温は、世界各地6300ヶ所に設置さ
れている気温測定器で観測しているのです。問題は測定器がどこ
に置かれているかです。
 もし気温測定器の設置場所に都市が多いとすると、都市はもと
もとコンクリート・ジャングルや冷暖房によるヒートアイランド
現象で、平均気温が高くなることが考えられます。CO2の濃度
は都市でも田舎でも同じなので、CO2の濃度と気温との関係を
調べたければ、気温測定器はすべて田舎に置かれるべきです。
 しかし、そういう配慮は行われていないようです。というのは
GISSでは、気温の数値を都市化のことを考えて補正している
からです。したがって、かなり多くの気温測定器が都市に置かれ
ていると考えられます。
 しかも、その観測地点がアメリカとヨーロッパに偏っており、
海の上での観測は行われていないというのです。それに観測地点
の周囲の環境が長い間には変化が生じ、正確な気温が測定できな
くなっているという話もよく聞くのです。
 これについては、東北大学名誉教授の近藤純正博士が次のよう
に警鐘を鳴らしています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 測定される気温に最も影響があるのは風だという。たとえば、
 気温測定器のそばに農業用のビニールハウスなどができると、
 気温測定器が置かれた場所での風が弱くなり、気温が高めに測
 定される。この現象を近藤博士は「陽だまり効果」と呼んでい
 る。この効果のせいで気象庁が採用している基準17観測所の
 気温データには、100年で約0.5℃(!)という偽の温暖
 化傾向が生じている。ちなみに、米国NASAが収録して世界
 的に公開している日本の気温データは、これらの基準観測所の
 データである。
 ――『暴走する「地球温暖化論/洗脳・煽動・歪曲の数々」』
                       文藝春秋社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 このように考えていくと、肝心の世界の平均気温のデータもあ
まり信用できないということになります。本来「科学」であるべ
き「地球の平均気温は明らかに上りつつある」という地球温暖化
の大前提も疑問があるということになります。
 「朝まで生テレビ」でも、もちろん全地球気温上昇があるかど
うか討議されましたが、意外に気象の専門家の言葉には説得力が
なく、あいまいのままであったのです。これこれの根拠で地球の
気温は上昇しているという明確な発言はないのです。
 地球温暖化問題の懐疑派として知られる池田清彦氏――早稲田
大学国際教養学部教授の本には、人工衛星を使って地球全体の温
度を測る話が出ているので、ご紹介します。
―――――――――――――――――――――――――――――
 気象衛星ノアに積んだ計測器で酸素分子が出すマイクロ波の波
 長を測って温度に換算する。北緯80度から南緯80度まで、
 地球をくまなく測っている。測っているのは対流圏の大氣(地
 表から高さ8キロメートルあたりまで)。測定は1979年か
 ら始まって今も続いている。しかし、このデータを見る限り、
 対流圏の気温は月々の変動こそ激しいけれど、平均的にはそれ
 ほど上昇している様子はない。       ――池田清彦著
       『環境問題のウソ』/ちくまプリマー新書029
―――――――――――――――――――――――――――――
 実は地球温暖化論は1938年にもあったのです。英国のG・
S・カレンダーという人物が、CO2による温室効果を指摘して
いるのです。この地球温暖化論は1950年頃までは注目されて
いたのですが、それが「あること」をきっかけにして、急に地球
寒冷化論に変わったのです。
 「あること」とは、日本では「サンパチの豪雪」として知られ
る昭和38年の豪雪――世界各地が大雪や厳冬に見舞われたこと
です。気候変動論の世界的権威であるスティーブン・H・シュナ
イダー氏は1971年には次のように述べていたのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ・・人間活動による微粒子注入の増加にともなう全球大氣バッ
 クグラウンドの混濁がどの程度になるかを予見することは困難
 である。しかしながら、これからの50年間に、人間による汚
 染の可能性は、6倍から8倍ほど増加すると見積もられる。大
 気中への微粒子物質の注入率がこれほど増大すれば、全球バッ
 クグラウンドの混濁度は、現在の4倍になろう。その場合、わ
 れわれの計算によると、全球気温は3.5度も下がることにな
 る。数年にわたって地球表面の平均気温がこれほど大きく低下
 することは、氷河時代への引き金となるのに十分なものだと確
 信される。    ――1971年「サイエンス」7月9日号
 ――『暴走する「地球温暖化論/洗脳・煽動・歪曲の数々」』
                       文藝春秋社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 内容は専門的で何をいっているのかわかりませんが、明らかに
地球寒冷化を心配しているのです。シュナイダー氏のこの発言が
あった3年後の1974年に元気象庁予報官根本順吉氏は次の本
を上梓しているのですが、1989年に同じ根本氏の出した本も
あわせてご紹介しておきます。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ―― 根本順吉著の2冊 ――
 『冷えていく地球』(家の光協会) ・・・ 1974年
 『熱くなる地球』 (ネスコ)   ・・・ 1989年
―――――――――――――――――――――――――――――
 この事実をご存知でしたか。1970年代に気象の専門家は明
らかに今とは全然逆の「地球寒冷化」を心配していたのです。ど
うして変貌したのでしょうか、――[地球温暖化懐疑論/03]


≪画像および関連情報≫
 ・地球寒冷化論について
  ―――――――――――――――――――――――――――
  地球寒冷化(ちきゅうかんれいか)とは、狭義では地球が冷
  えていく現象のことを指し、広義では、地球全体が寒冷化す
  るとの立場をとる説の事を言う。また、氷河期の始まりだと
  する場合もある。この説は氷河期の周期性について一般的な
  天候の報道の中で出現した。1940年から1970年の前
  半にかけての気温の低下に注目してなされたものであったが
  科学的には全く支持されなかった。現在では、地球は寒冷化
  するのではなくほぼ人間の活動に起因する地球温暖化の時代
  にあるとされている。        ――ウィキペディア
  ―――――――――――――――――――――――――――

2人の気象学者.jpg

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2008年02月12日

●地球温暖化と異常気象の関係(EJ第2262号)

 20世紀の後半になって、それまでの温室効果説がいったん否
定され、世界中の気象学者が地球寒冷化を心配したのです。そし
て再び温室効果説が復活しています。わずか40年ほどの間に、
「温暖化」から「寒冷化」、「寒冷化」から「温暖化」に二転三
転――誰が考えてもおかしいと思います。
 帝塚山学院大学教授である薬師院仁志氏――地球温暖化懐疑論
の先陣に立っており、「朝まで生テレビ」でも活発に懐疑論を展
開していた人です。その薬師院仁志氏が最近の異常気象に関する
次の文章を取り上げています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 世界的に頻発する異常気象は、どうやら気候が「新しい体制」
 に移行しつつある兆候であり、その「新しい体制」とは、地球
 全体の気候が、現在よりかなり「寒冷化」することであるらし
 いことは、科学的にかなり確実に予想できそうである。
   ――小松左京編『地球が冷えるーー異常気象』、旭屋出版
―――――――――――――――――――――――――――――
 この小松左京氏の本は、1974年のものです。この当時は地
球寒冷化が大流行だったのです。1976年には朝日新聞紙上に
「異常気象を考える」という特集記事が連載され、寒波、大雪、
冷夏、異常低温などの問題が取り上げられたのです。
 薬師院氏は上記の文中の「寒冷化」を「温暖化」に置きかえて
みると、そのまま現在のマスコミの論調と同じになるといってい
るのです。つまり、寒冷化でも温暖化でも、いずれも異常気象に
結びつくということになるのです。これはかなりいい加減な話で
あると思います。
 薬師院氏が指摘するマスコミのウソはまだあります。次の文章
は1996年のものです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 北極海の氷も、1978年〜87年の10年間に約2%減少し
 たことが最近確かめられました。
    ――CASA編『しのびよる地球温暖化』かもがわ出版
―――――――――――――――――――――――――――――
 温暖化によって北極海の氷が2%減ったといわれると、大変な
ことが起こるような気がしますが、実はこの本より20年前に書
かれた読売新聞社元論説委員の中村政雄氏の本には、次のように
書いてあるのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 北極の氷原は、1968年と比べて1974年は異常に広がっ
 ている。なお、1971年から72年にかけてのたった一年間
 に北極の氷原と氷海が約12%拡大したのである。中村政雄著
     ――『気象資源――地球を動かす水と大気』/講談社
―――――――――――――――――――――――――――――
 もし、中村政雄氏の指摘が正しいとすると、1971年からの
1年間で12%拡大した北極の氷原と氷海が1978年〜87年
の10年間に約2%減少したことになる――12%拡大したもの
が、1978年からの10年間に約2%減少することが、なぜ、
そんなに大問題なのでしょうか。
 このところ日本では異常に寒い日が続いています。そして大雨
・大雪被害が続発しています。一方において、大型ハリケーンや
台風の来襲、そして異常に熱い夏と熱風にトルネードなど――こ
ういう異常気象が地球規模で起こっています。
 地球温暖化を意図的に推進しようとしているグループとしては
当然のことながら、一連の異常気象と地球温暖化と結びつけよう
とします。そうしないと、大雪が降ってあまりの厳冬になると、
「温暖化ではなく寒冷化だ」と考える人が増えてしまい、温暖化
そのものを疑う人が増加するからです。
 しかし、地球温暖化と異常気象との関係については、まだはっ
きりとした因果関係が解明されていないのです。その点を気象の
専門家に聞くと、一様に彼らは言葉を濁すのです。それは現在の
段階では明言できないからです。
 ところが、それを代弁するのがマスコミ――とくにNHKの報
道なのです。なぜ、NHKが地球温暖化を後押しするのかはわか
りませんが、こと地球温暖化に関する限り、NHKの報道はかな
り異常であるといえます。
 その典型的なものを上げるならば、2006年2月18日放送
の次の番組があります。
―――――――――――――――――――――――――――――
 NHKスペシャル『気象大異変』――異常気象 地球シュミレ
 ーターの警告         ――2006.2.18放映
―――――――――――――――――――――――――――――
 このNHKスペシャルなについて、既出の薬師院氏は次のよう
に述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 タイトルからして「大異変」、「異常」、「警告」といった言
 葉の連発である。まさに、「<カタストロフ>を訴えるのが焦
 点」と言うにふさわしいであろう。実際、番組ではコンピュー
 タグラフィックを駆使したり、気象災害被害者の悲しい姿を映
 したりなどなど、視覚と感情に訴える演出ばかりがなされてい
 た。大げさなことを言っているのではない。番組紹介のウェブ
 サイトにさえ、「コンピュータグラフィックスを駆使し百年後
 の地球の姿を映像化する」と書いてあるのだ。その一方、なぜ
 CO2の人為的排出で地球が温暖化するのか、科学的説明は全
 く登場しない。             ――薬師院仁志氏
 ――『暴走する「地球温暖化論/洗脳・煽動・歪曲の数々」』
                       文藝春秋社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 そのときの番組のウェブサイトには『「巨大なハリケーン・カ
 トリーナ」。地球温暖化が原因ではないかと考えられている』
 とあるのですが、この手の記事はいつも「考えられている」で
 終わるのです。      ――[地球温暖化懐疑論/04]


≪画像および関連情報≫
 ・NHKスペシャル『気象大異変』について
  ―――――――――――――――――――――――――――
  去年、米国史上最悪の被害をもたらした巨大ハリケーン・カ
  トリーナ。地球温暖化が原因ではないかと考えられている。
  将来温暖化は人類に何をもたらすのか。『世界屈指の計算速
  度を誇る日本のスーパーコンピュータ「地球シミュレータ」
  は、私たちの未来に横たわる危機を子細に予測している。
      http://www.nhk.or.jp/special/onair/060218.html
  ―――――――――――――――――――――――――――

薬師院仁志氏の本.jpg

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2008年02月13日

●太陽活動主因説はなぜ劣勢か(EJ第2263号)

 人類が排出するCO2が温室効果となって地球の気温が上昇す
る――これが人為的地球温暖化論の基本です。これと異常気象が
どのように関係するのでしょうか。
 異常気象の原因のひとつが「海水温の上昇」であるのは、正し
いといえます。それなら、海水温はどのようにして上昇するので
しょうか。
 人為的地球温暖化論によると、北極・南極の氷が溶けることや
温まった空気が海水温を上昇させる原因になったと主張している
のですが、これには大きな疑問があるのです。
 仮に水の入った鍋に対して、下からではなく、上から熱を加え
てどれほど水温を上昇させることができるでしょうか。
 上から多少の熱を加えたところで、鍋の水温にはほとんど変化
はないわけです。まして大氣の温度が5℃程度上がったところで
また、両極の氷が多少溶けたところで、広大なる海洋が温められ
るには途方もない時間がかかるはずです。
 はっきりいえることは、特定地域における去年や今年の海水温
の上昇が、長期的な温暖化に起因するという根拠は何もないとい
うことなのです。したがって、気象学者にそのことを聞いても、
明確な回答は返ってこないのです。「朝まで生テレビ」での専門
家の意見がいまひとつ迫力を欠いていたのは、根拠を示して明言
できることがあまりないからです。
 しかし、マスコミはそういうことでも「・・の可能性がある」
とか「・・と考えられる」というように書いてしまうので、それ
を読む人が正しい判断を誤ることにつながるのです。
 それでは、海水温の上昇の本当の原因は何なのでしょうか。気
象学者でもわからないのでしょうか。
 ひとつかなり確からしい根拠があるのです。それは太陽の黒点
数と海水温との関係です。気象庁編『異常気象レポート‘89』
のグラフを添付ファイルにしてあります。この上のグラフを見る
と、太陽の黒点数の増大と平均海面水温との間には明らかに相関
があるといえます。このようなデータは気象学者なら誰でも知っ
ているはずなのです。しかし、彼らの多くは、この太陽黒点説を
自ら口にしようとはしません。それは地球温暖化説が錦の御旗に
なっているので、あえてさからわないのです。
 上のグラフの左側の縦軸が「海面水温偏差」となっているのは
水温が夏に高く冬は低いのは当たり前なので、太陽活動の海面水
温に対する影響をきちんと見るには、単なる水温の絶対値ではな
く、各月の平均的な水温と実際の観測水温の偏差を見なければな
らないからです。
 下のグラフは、大気中のCO2濃度と海面水温偏差との関係を
示しています。実線は大気中のCO2濃度の年増分、点線(薄い
線)は平均海面水温偏差の年増分をあらわしています。
 このグラフを見ると、水温の変化が先にあって、それに連動す
るかたちで事後的にCO2の濃度が増しているのは明らかです。
すなわち、CO2の濃度が高くなることによって水温が高くなる
のではなく、水温が高くなったことにより、海水中のCO2が大
気中に放出され、その結果、CO2濃度が上がっているのです。
 しかし、CO2犯人説に凝り固まっていると、このグラフを見
ても、「CO2の濃度が上がると海水温が上がる」と間違ってと
らえてしまうのです。これを整理すると次のようになります。
―――――――――――――――――――――――――――――
  太陽黒点周期が短い → 太陽活動活発 → 気温上昇
  太陽黒点周期が長い → 太陽活動鈍化 → 気温低下
―――――――――――――――――――――――――――――
 現在の研究では、「小氷期」といわれる17〜18世紀におい
ては、太陽の活動周期は平均で3年長い約14年であったことが
わかっています。したがって、気温は低下しており、そのため、
「小氷期」といわれたのです。
 このように、太陽活動主因説はなかなか説得力があるのに対し
て、人為排出CO2主因説はどうみても劣勢であるといえます。
なぜなら、人為排出CO2主因説では中世の温暖期や小氷期の説
明ができないからです。そんなことは、気象の専門家であれば、
誰でもわかることであるはずです。
 それにもかかわらず、なぜ、人為排出CO2主因説にこだわる
のでしょうか。
 それはきっとそうしないと、困る向きが存在しているからであ
ると思います。したがって、何が何でも地球温暖化を前提として
進めなければならない事情があるのです。
 米国生まれの小説家であるマイケル・クライトンの作品に『恐
怖の存在』という小説があります。薬師院仁志氏は、現在の一連
の地球温暖化騒動は、まさにこの『恐怖の存在』をたくみに利用
しているというのです。この小説には、次の一節があります。
―――――――――――――――――――――――――――――
 政治家は人民をコントロールするために恐怖を必要とする。弁
 護士は訴訟と金儲けのために危険を必要とする。メディアは読
 者や視聴者を魅きつけるために恐怖を必要とする。こんな三者
 が結託すれば、人をコントロールする力は圧倒的に大きい。・
 ・・たとえその恐怖にまったく根拠がなくとも・・・その根底
 に事実のかけらさえなくともじゃ。
    ――マイクル・クライトン著、『恐怖の存在』上下より
                   酒井昭伸訳/早川書房
―――――――――――――――――――――――――――――
 恐怖は温暖化だけではないのです。テロの恐怖もあるし、毒入
りギョーザによって代表される食品テロの恐怖――これは本当の
恐怖ですが――もあります。それに伝染病の恐怖、戦争の恐怖、
リストラによる失業の恐怖、情報流出の恐怖もあります。
 そういう恐怖を巧みに操れば、真実でないことでも本当のよう
に見せることもできます。現在、われわれは明らかにこの陰謀に
巻き込まれつつあります。温暖化に米国が冷淡なのはそれがよく
わかっているからです。   ――[地球温暖化懐疑論/05]


≪画像および関連情報≫
 ・太陽黒点とは何か
  ―――――――――――――――――――――――――――
  太陽黒点とは、太陽表面を観測した時に黒い点を散らしたか
  のように見える部分のこと。単に黒点とも呼ぶ。実際にはこ
  の部分も光を放っているが、周囲よりも弱い光なので黒く見
  える。黒点が暗いのは、その温度が約4000℃と普通の太
  陽表面(光球)温度(約6000℃)に比べて低いためであ
  る。発生原因は太陽の磁場であると考えられている。黒点は
  太陽の自転とともに東から西へ移動する。大きな黒点群の中
  には太陽の裏側を回って再び地球から見える側に出てきても
  消えていない、1ヶ月ほど存在する寿命の長いものがある。
                    ――ウィキペディア
  ―――――――――――――――――――――――――――

海面水温が上昇する理由.jpg
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2008年02月14日

●なぜ恐怖を煽るのか(EJ第2264号)

 われわれは、何か自分として自信のないことを述べたり、書い
たりするときに、次のようなテクニックを使って表現をぼかすこ
とがあります。
―――――――――――――――――――――――――――――
         ・・・であると思われる
         ・・・であると確信する
         ・・・ と叫ばれている
         ・・・ といわれている
―――――――――――――――――――――――――――――
 既出の薬師院仁志氏は、環境問題に関してはとくにこういう表
現が多いといっているのです。薬師院氏は、この問題に関連して
2006年1月22日に実施された大学入試センター試験の問題
を取り上げています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 人口増加や人類の経済活動の活発化にともなって、化石燃料の
 大量消費や森林伐採が進んできた。これらは、大気中の「ア」
 の増加をもたらすため「イ」の原因の1つと考えられている。
 この問題に対処するため省エネルギー技術の開発や自然エネル
 ギー技術の開発や自然エネルギーの利用などが叫ばれている。
    「ア」 ・・・ 二酸化炭素、 窒素
    「イ」 ・・・ 地球温暖化、酸性雨
     ――2006.1.22/大学入試センター試験問題
―――――――――――――――――――――――――――――
 問題は誰でも解けるでしょう。「ア」は「二酸化炭素」であり
「イ」は「地球温暖化」です。一般的には、ごく常識的な問題で
あるといえます。
 しかし、これは理科の問題なのに、「考えられている」と「叫
ばれている」という表現が使われています。これは、「問題の焦
点は科学の真贋論争ではない」と科学環境ジャーナリストがいっ
ているテーマなのです。これが科学を教える理科の問題として出
題されていることに関して薬師院氏は次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 そもそも、なぜ「考えられている」ことや、「叫ばれている」
 ことが、客観的事実を問うべき「理科」の設問になるのだろう
 か。まさか、理科の試験の正解を、「科学的疑問などという決
 まり文句でごまかすべきではない」というわけではあるまい。
 かくして様々な経路で「カタストロフを訴え」られ続けた人々
 は、知らぬ間に温暖化論の恐怖に支配されてしまう。    
                     ――薬師院仁志氏
 ――『暴走する「地球温暖化論/洗脳・煽動・歪曲の数々」』
                       文藝春秋社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 薬師院氏のいう「知らぬ間に温暖化論の恐怖に支配されてしま
う」という言葉は決して誇張ではないと思います。地球温暖化問
題には関しては、ここまで述べてきたこと以外にも、まだまだ大
きな疑問がたくさんあるのです。それは、このあと書いていきま
すが、これをマスコミ攻勢を含めて一斉にやられると――もう既
にそうなっていると思いますが、地球温暖化という前提は揺ぎな
いものになってしまいます。
 マイクル・クライトンの『恐怖の存在』の中には、次のように
書いてあるのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 「急激な気候変動」であれば、どんな現象であろうと適用でき
 るだろう。洪水、大寒波、サイクロン、ハリケーンなどは、毎
 年どこかで起こるものだ。こういう現象が新聞やテレビでとり
 あげられないことはない。そんな現象が起きるたびに温暖化に
 起因する「急激な気候変動」のせいだと喧伝すればいいのさ。
    ――マイクル・クライトン著、『恐怖の存在』上下より
                   酒井昭伸訳/早川書房
―――――――――――――――――――――――――――――
 現在、まさにこれが行われているのです。例えば、どこかで大
洪水が起きたとします。そのとき、次のような報道が出されたら
国民はどう思うでしょうか。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ○○日に起こった大洪水は、これから頻繁に起きることの一例
 に過ぎません。これからはますます異常気象が増えていくので
 す。洪水、旱魃、トルネードなどなど。それもこれも、みんな
 地球温暖化が招いた結果なのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 なぜ、こうなったのでしょうか。
 その最大の原因は、米国の元副大統領アル・ゴア氏のアカデミ
ー賞に輝いたドキュメンタリー映画『不都合な真実』と、同名の
書籍にあります。この映画をご覧になったでしょうか。
 映画はすさまじい映像と音のオンパレードであり、正直恐怖感
を覚えます。まさにマイクル・クライトンの『恐怖の存在』その
ものです。
 映画をご覧になっていない方は、次のURLをクリックして、
この映画の予告編を見ていただきたいと思います。
―――――――――――――――――――――――――――――
         http://www.futsugou.jp/
―――――――――――――――――――――――――――――
 映画は、ゴア氏が地球温暖化について訴える講演を元に構成さ
れています。彼は、冒頭に「ほんの一瞬だけ大統領だったゴアで
す」と話し出し、笑いを取りながら講演を進めるのです。
 しかし、彼の訴える内容には明らかなウソが多いのです。これ
についても「朝まで生テレビ」でも討論が行われたのですが、専
門家はこぞって「大した問題ではない」といっているのです。
 本当にゴア氏のいっていることは正しいのか。どこにウソがあ
るのか――明日から、この問題についてメスを入れていきたいと
思います。         ――[地球温暖化懐疑論/06]


≪画像および関連情報≫
 ・映画『不都合な真実』について
  ―――――――――――――――――――――――――――
  二酸化炭素などの温室効果ガスが増えることで地球の気温が
  上がる「地球温暖化現象」。これにより海水面の上昇や異常
  気象、巨大ハリケーンの発生、生態系の変化といった事態が
  引き起こされている。このままいけば、植物や動物、そして
  人類は危機的な状況に陥ってしまうだろう。こうした地球温
  暖化問題に心痛めた元米副大統領のアル・ゴアは、環境問題
  に関するスライドを世界中で開催。人々の意識改革に乗り出
  していく。  http://www.eigaseikatu.com/title/s-16345
  ―――――――――――――――――――――――――――

恐怖の存在.jpg
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2008年02月15日

●根拠がない海水面上昇6メートル(EJ第2265号)

 『不都合な真実』においてゴア氏が主張していることのなかで
最も大きな疑問は、次の記述です。
―――――――――――――――――――――――――――――
 もし、グリーンランドまたはグリーンランドの半分と南極の半
 分が、融けたり割れたりして海中に滑り落ちると、世界中の海
 水面は、5.5 〜6メートル上昇することになる。
               ――アル・ゴア著/枝廣淳子訳
       『不都合な真実』より ランダムハウス講談社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 これに基づき、映画では、フロリダ半島の3分の1は水没し、
サンフランシスコ湾は拡大し、北京周辺が水没して2000万人
以上が避難を余儀なくされる。そして、カルカッタとバングラデ
シュでは、6OOO万人が家を失う――このように衝撃的な映像
が紹介されているのです。
 世界中が一番恐怖を感じたのは、おそらくこの映像ではないか
と考えられるのです。わかりやすいし、自分の国はどうなるのか
という連想も働くからです。それに、目下水没危機にあるといわ
れる南太平洋の島国ツバルのケースもあります。しかも、ゴア氏
そういうことが今後60年で起きるとしているのです。
 しかし、これは大きな間違いなのです。まず、前提条件がおか
しい。「もし、グリーンランドまたはグリーンランドの半分と南
極の半分が、融けたり割れたりして海中に滑り落ちる」という前
提ですが、結論からいうなら、そういうことはとても考えられな
いことであるからです。
 それでは、ゴア氏はどこから「6メートル」という数字をもっ
てきたのでしょうか。ゴア氏の本ではその根拠は明確でないので
すが、昔から次のようなことがいわれているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
  南極の氷が全部、融けたら海水面は60メートル上がる
―――――――――――――――――――――――――――――
 この「60メートル」という数字は、南極の氷の量を計算して
それがすべて水になったとして算出したもので、南極の氷がいか
に多いかという説明に使われるのです。
 ゴア氏の前提は「グリーンランドまたはグリーンランドの半分
と南極の半分」というような少しぼかした表現を使っています。
それにしても「グリーンランドまたはグリーンランドの半分」と
はどういう意味なのでしょうか。
 グリーランドの氷がすべて融けたというケースとグリーンラン
ドの氷の半分が融けたというケースの両方を想定していると思わ
れるのですが、はっきりしません。しかし、いずれのケースにせ
よ、南極の氷の半分の融解と合わせても、6メートルも海水面が
上昇するとはとうてい考えられないことなのです。
 既出の地球温暖化の研究機関IPCCの第4次評価報告書――
2007年2月2日――によると、1961年から2003年ま
での約40年間の観測データから考えて、グリーンランドと南極
の氷の融解によって上昇した海面はわずか「8ミリ」であるとい
うのです。
 さらにIPCCは、60年間で海面は「6センチ」上昇すると
いっているのです。60年間で6センチ――この程度の海水面の
上昇であれば何ら問題はないのです。
 それにしても、このIPCCの6センチに対して、ゴア氏は6
メートルといっている――これはどう解釈すればよいのでしょう
か。ゴア氏は桁をひとつ間違えたのでしょうか。
 これは意図的な誇張であると思います。確かに映画の公開は、
2006年5月のことであり、IPCCの第4次報告発表の前の
ことです。しかし、あえてIPCCの報告前に映画を上映したと
思われても仕方がないタイミングといえます。それにゴア氏の本
にはあまりIPCCの数値が登場しないのです。
 しかし、日本の知識人やマスコミなどのオピニオンリーダーは
IPCCの報告などは完全に無視し、ゴア氏の主張をあまりにも
無批判に受け入れています。
 日本語版の『不都合な真実』には、坂本龍一氏が帯文を書いて
絶賛しているほか、ジャーナリストの筑紫哲也氏は次のように述
べています。日本にはこういう盲目的な追従者が多いのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 このままでは、人類史上、最悪の被害がやってくるという『不
 都合な真実』から、あなたは目をそらすのか――一人ひとりに
 問うている。               ――筑紫哲也氏
―――――――――――――――――――――――――――――
 もうひとつ日本の場合、環境問題――海面上昇についてはおか
しなことがあるのです。それは海面上昇の原因を「地球温暖化で
極地の氷が融けるため」としていることです。現在でも多くの日
本人は、「地球が温暖化すると、北極や南極の氷が融けて、海水
面が上昇する」と思い込んでいるフシがあります。
 これは完全な誤りです。IPCCの報告書には、1990年の
第1次報告書から次の記述があるのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 北極の氷が融けても海水面とは無関係である。南極の氷は温暖
 化によって増えることはあっても減ることはない。
               ――IPCC第1次報告書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 地球温暖化が地球にどのような影響を与えているかを啓蒙する
ために、南極の氷棚の崩落や北極の氷が融けて、足場を失った北
極熊が海を泳いでいる映像を見せられます。とくに日本人は、そ
ういう映像を毎日のように見せられているのです。どうやら、テ
レビ局がそう思い込んでいるからです。
 テレビの啓蒙の力は大きいのです。日本人の多くは極地の氷が
融けて、海水面が上昇すると思い込んでしまっています。大陸で
ある南極はともかく、氷塊が海に浮かんでいる北極については、
あり得ないことです。    ――[地球温暖化懐疑論/07]


≪画像および関連情報≫
 ・アル・ゴア氏ノーベル平和賞受賞
  ―――――――――――――――――――――――――――
  2007年10月12日、ノルウェーのノーベル賞委員会が
  今年度のノーベル平和賞を、地球温暖化問題についてドキュ
  メンタリー映画「不都合な真実」などで世界的な啓発活動を
  行った前米副大統領のアル・ゴア氏(59)に授与すると発表
  した。同時に、国際連合の「気候変動に関する政府間パネル
  (IPCC、事務局・ジュネーブ)」にも授与される。授賞
  理由は「人為的に起こる地球温暖化の認知を高めた」という
  もの。同委員会は、地球温暖化が国家間の紛争や内戦の要因
  にもなりうる可能性を示唆し、「気候変動が制御不能となる
  前に、今すぐ行動が必要だ」とメッセージを送った。また、
  ゴア氏については、「長い間、世界をリードする環境保護論
  者。おそらく、世界で最も気候変動の理解を広めることに貢
  献した人物である」と評した。
            ――http://eiga.com/buzz/show/9037
  ―――――――――――――――――――――――――――

アル・ゴア元米副大統領.jpg

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2008年02月18日

●不可解な環境省の翻訳ミス(EJ第2266号)

 1990年のIPCC第1次報告書の記述を再現します。その
意味を解明します。
―――――――――――――――――――――――――――――
 北極の氷が融けても海水面とは無関係である。南極の氷は温暖
 化によって増えることはあっても減ることはない。
               ――IPCC第1次報告書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 まず、北極の氷の融解ですが、北極の氷がいくら融けても、海
水面は絶対に上昇しないのです。北極は陸地がなく、すべて氷の
塊なのです。水に浮かんだ氷が融けても水面の高さが変わらない
ことは、アルキメデスの原理で証明されているからです。
 アルキメデスの原理は、中学一年の理科で習っているはずです
が、復習しておきましょう。
―――――――――――――――――――――――――――――
 水中の物体は、その物体がおしのけた水の重量だけ軽くなる
                 ――アルキメデスの原理
―――――――――――――――――――――――――――――
 アルキメデスがこの原理を発見した有名なエピソードがあるの
です。ある金細工師は王様から王冠の制作を依頼され、金塊を預
かります。しかし、その金細工師は金に混ぜ物をし、金の一部を
使わないで王冠を作ったのです。ところが、金細工師が王様の金
を盗んだといううわさが、広まってしまったのです。
 うわさを聞いた王様はアルキメデスに「王冠を壊さないで混ぜ
物をしているかどうか調べよ」と命じたのです。アルキメデスは
難問が解けずに困り果てていたのですが、ある日風呂に入ったと
ころ水が湯船から溢れ出すのを見て、その瞬間、後年「アルキメ
デスの原理」といわれるヒントを掴んだのです。
 アルキメデスは金細工師に渡したのと同じ重量の金塊を用意し
その金塊と王冠の両方をそれぞれいっぱいに水を張った容器に入
れ、こぼれ出る水の量を比較したのです。こぼれる水の量が同じ
なら不正はないし、違えば何らかの混ぜ物をしている証拠になり
ます。結局王冠を入れたときの方が多くの水があふれたので、金
細工師の不正が発覚してしまったのです。これが「アルキメデス
の原理」です。
 続いて、南極の氷はどうなるかです。南極の場合は大陸の上が
氷で覆われているという点が北極とは異なります。IPCCの報
告書には「温暖化によって氷が増えることはあっても減ることは
ない」と書いてあります。
 どういうことかというと、南極の周辺の海域が温暖化によって
海水の温度が上がると、多くの水蒸気が発生し、それが雪になっ
て南極大陸に積もって氷になるのです。つまり、温暖化はかえっ
て南極の氷を増やし、減ることはない――IPCCはこういって
いるのです。
 この理屈は、熱いお湯を入れたコップを冷蔵庫に入れてみると
納得できます。お湯は水蒸気になって、冷蔵庫に霜がつくはずで
す。南極もこの原理によって、氷の量は増加するのです。
 IPCCの数値をご紹介しましょう。
―――――――――――――――――――――――――――――
       海水面の上下動の数値(IPCC)
  報告年 北極海水の影響  南極氷床の影響 すべての影響
 1900       0  −0.0089   0.42
 1995    ――    −0.0091   0.44
 2001       0  −0.0680   0.32
                 ――武田邦彦著/洋泉社刊
          『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』
―――――――――――――――――――――――――――――
 これによると、北極の氷はアルキメデスの原理で「0」であり
海水面には影響はないですが、南極氷床の影響では数値がマイナ
スになっているので、海水面は下がるのです。しかし、全体の影
響の数値がプラスになっているので、海水面がわずかながら、上
昇していることを示しています。しかし、それは北極や南極の氷
が融けるからではなく、海の水が膨張するからです。
 以上のことは、世界中誰でもわかっている当たり前のことです
が、日本ではかなり多くの人が南極や北極の氷が融けて海水面が
上がると思っています。これはマスコミの責任です。
 どうしてこのような基礎的な間違いが起こったのかを追求した
ところ、なんと、環境問題の勧進元である環境省の「環境白書」
の翻訳ミス――ミスでは済まない――であることがわかったので
す。指摘をしたのは、中部大学教授武田邦彦氏で、これについて
次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 日本の環境省の「環境白書」は、20年にわたってIPCCの
 発表データを反対の方向に「誤訳」し、日本国民をミスリード
 してきたのである。私の研究室の学生が、環境省に「IPCC
 の報告には、南極も北極の氷も、ほとんど海水面の上昇には関
 係ないと書いてあるのに、環境白書には地球が温暖化すると南
 南極や北極の氷が融けて海水面が上がると書いてありますが、
 これはどういう理由からですか」と電話で抗議したところ霞ヶ
 関の官僚は「IPCCの長い英語を日本語に訳しているうちに
 表現が逆になった」と言い訳したが、余りに稚拙でないか。
 ――『暴走する「地球温暖化論/洗脳・煽動・歪曲の数々」』
               より武田邦彦氏/文藝春秋社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 添付ファイルは、「環境白書」に書かれている文章を武田教授
チームが1980年からまとめたものです。毎回、北極と南極の
氷が融けたら、海水面が上がることを示しています。
 これは、環境省のミスなのか、それとも世論操作のための意図
的な捏造なのでしょうか。マスコミは、このデータに騙されたこ
とになります。環境省の役人は、この程度の英語もできない人が
揃っているのでしょうか。  ――[地球温暖化懐疑論/08]


≪画像および関連情報≫
 ・IPCCとは何か
  ―――――――――――――――――――――――――――
  「気候変動に関する政府間パネル」/IPCCというのは、
  ――Intergovernmental Panel on Climate Change ――国際
  的な専門家でつくる、地球温暖化についての科学的な研究の
  収集、整理のための政府間機構である。学術的な機関であり
  地球温暖化に関する最新の知見の評価を行い、対策技術や政
  策の実現性やその効果、それがない場合の被害想定結果など
  に関する科学的知見の評価を提供している。数年おきに発行
  される「評価報告書」は地球温暖化に関する世界中の数千人
  の専門家の科学的知見を集約した報告書であり、国際政治お
  よび各国の政策に強い影響を与えつつある。
                    ――ウィキペディア
 ――――――――――――――――――――――――――――

「環境白書」のウソ.jpg



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2008年02月19日

●環境キャンペーンをやっていないか(EJ第2267号)

 日本の地球温暖化問題に関しては、環境省の対応を含めて不可
解なことが多いのです。そのあたりの事情はこれから少しずつ明
らかにしていきますが、その発端になったのは1984年1月1
日の朝日新聞なのです。当日の新聞の大見出しは次の通りです。
―――――――――――――――――――――――――――――
        海面上昇で山間に遷都計画
           ――1984年1月1日付、朝日新聞
―――――――――――――――――――――――――――――
 記事には航空写真が載っており、写真には「首都に迫る海、警
戒水位までに」というコメントが付いていたのです。その記事は
次の通りです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 世界の平均気温は50年前の15度から18度に上がり、この
 結果として極地の氷の融解が加速度的に進むことによって海岸
 都市の一部が水没する。――1984年1月1日付、朝日新聞
                 ――武田邦彦著/洋泉社刊
          『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』
―――――――――――――――――――――――――――――
 実は完全なウソだったのです。「50年後の2034年1月1
日の新聞にはこのような記事が載っているだろう」という但し書
き付きが付いていたからです。
 それにしても正月早々人騒がせな新聞です。元旦の新聞はいつ
もよりていねいに見る人が多いことを狙って仰天させる企画だっ
たようです。いずれにせよ、日本の地球温暖化の問題はこの新聞
記事から始まったといっても過言ではないのです。それにしても
朝日新聞はなぜ、こんな企画を立てたのでしょうか。
 ちなみに1984年までの50年間の地球の気温は、たったの
0.2度しか上っていないのです。それをこれからの50年間で
3度上る――つまり、15倍も上ると予測しているのです。どう
考えても荒唐無稽なことであります。
 注目すべきは「海水面が上昇して都市の一部が水没する」とし
ている点です。日本ではなぜか「海水面上昇→水没」が必要以上
に強調されているのです。
 ここで、添付ファイルのグラフを見ていただきたいのです。こ
のグラフは、武田邦彦中部大学教授を中心とするチームの作成し
たものです。上記の朝日新聞の記事が出た1984年から、20
05年までの新聞の報道記事のうち、地球温暖化の記事(■)と
海面水位の記事(○)の数をグラフ化したものです。
 これについて、武田邦彦教授は、次のようにコメントしている
のです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1988年から地球温暖化に関する報道が急激に増えた。1年
 間の記事数は約500件だ。そして、京都議定書が締結され、
 いよいよ地球温暖化が社会的問題になった1996年からは記
 事数は飛躍的に増え、次の年には実に1年間で2000件を超
 えるという事態になる。1日、5件以上の記事に遭遇するのだ
 から洗脳もされようというものである。
                 ――武田邦彦著/洋泉社刊
          『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』
―――――――――――――――――――――――――――――
 地球温暖化によって海水面が上昇し、都市の一部が水没すると
いうことが日本では意図的に強く伝えられていることは確かなよ
うです。それは、地球温暖化の怖さを知らせるのにこの話がとて
もわかりやすいからです。まして日本は島国であって、国民が水
の怖さをよく知っているので余計に恐怖がつのるのです。
 氷河が融けて後退したり、南極の氷が融けて海水面が上昇する
ということであれば誰でもわかりやすいし、単純に「大変だ」と
思ってしまう。ただでさえNHKを中心とするテレビ各局が、ハ
リケーン・カトリーナの来襲や、台風に伴う大洪水によって都市
が水浸しになるシーン、さらに南極の氷棚の相次ぐ崩落シーンな
どを、これでもかこれでもかと放映するのですから、簡単に多く
の人は洗脳されてしまうことでしょう。
 そこでよく引き合いに出されるのが、海水面の上昇によって水
没の危険にあるといわれるツバルです。ツバルには環境問題の重
要性を訴えるためか各国の政治家がよく訪問してレポートしてい
ます。日本でも2007年9月に石原都知事が行っています。
 しかし、島が水没するという場合、海水面の上昇ばかりが問題
にされますが、島そのもの地盤が下がることも可能性としてはあ
り得るのです。かつて米国やフランスは、盛んにマーシャル諸島
共和国に属するビキニ環礁において、原子爆弾や水素爆弾の実験
をやっています。
 この何回も行われた原爆と水爆の実験で、これらの南太平洋の
島の地盤が下がるということはあり得ないことでしょうか。既出
の武田教授は、これらの島々のそれ以前の歴史について次のよう
に言及し、ツバルは地球温暖化には「参考にならない事例」であ
るといっているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 太平洋戦争の時に日本軍が太平洋の島々を占領した。その後、
 アメリカ軍が日本軍を破って代わりに進駐し、盛んに珊瑚礁を
 埋め立てて飛行場にした。その飛行場の敷地が悪く、地盤沈下
 しているという話を現地に行ったミクロネシア、ポリネシアの
 専門家から聞いた。       ――武田邦彦著/洋泉社刊
          『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』
―――――――――――――――――――――――――――――
 既出の池田清彦氏によると、ツバルの海面はここ25年間の変
化はゼロであるというのです。なぜ、そのように騒ぐのでしょう
か。なぜ、環境省は最新のIPCCの報告書を無視して、あえて
高い数値を上げ、事実を曲げて伝えようとするのでしょうか。何
やら、環境問題も財政危機を訴える財務省の姿勢にとてもよく似
ているような気がします。  ――[地球温暖化懐疑論/09]


≪画像および関連情報≫
 ・武田邦彦著『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』の書評
  ―――――――――――――――――――――――――――
  きれいな地球はみんなの願い。「エコ」は耳障りのいい言葉
  で、環境問題に取り組む政策や企業の姿勢には好印象を抱き
  がちだ。だが、中部大教授で資源材料学が専門の著者は、逆
  に環境を汚す無意味な活動の実態、陰で甘い汁を吸う利権構
  造を鋭く指摘。世にまかり通る「エコ」のウソを暴く。例え
  ば、リサイクル名目で分別回収されたペットボトルの多くは
  結局は焼却される。史上最悪の猛毒と喧伝されたダイオキシ
  ンは、のちの研究で毒性が弱いと判明。
  ―――――――――――――――――――――――――――

キャンペーン.jpg
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2008年02月20日

●環境危機を煽る環境省(EJ第2268号)

 環境省が――というより政府というべきでしょうが――ある意
図をもって、過度の環境問題訴求キャンペーンを展開していると
しか思えないことがたくさんあります。
 1997年に環境省――当時は環境庁が――地球温暖化を訴え
るマンガを出版したのです。そのマンガには「猛暑、大雨といっ
た異常気象、さらに干ばつ、洪水、高潮などの災害が世界中で起
こるかもしれない」という明らかに人々の恐怖を煽るシーンがこ
れでもか、これでもかと出てくるのです。
 実は例の「朝まで生テレビ」のさい、既出の薬師院仁志氏が、
そのマンガを持ってきて、国立環境研究所の江守正多氏に対して
「こんなオーバーなことを書いてあるが、あなたはどう思うか」
と迫るシーンがあったのです。
 しかし、江守氏は明らかに逃げ腰で、言葉を濁して取り合わな
かったのです。また、同じ席には前環境大臣の小池百合子氏もい
たのですが、これについては一言も発していないのです。自分の
大臣のときではないから、関係ないというのでしょうか。
 こういう話もあります。あるテレビ番組に武田邦彦氏が出席し
たときのことです。「異端児!武田邦彦氏」というテロップが流
れたのです。
 武田氏にいわせると、学者にとって「異端」といわれるのは名
誉なことであるが、自分はIPCCのデータに基づいて話したり
書いたりしているのになぜ異端なのか、それではIPCCが異端
だというのか――といっているのです。
 IPCCにはもちろん日本もお金を出しており、マスコミもそ
のデータを活用しているのです。IPCCの報告を忠実に伝えた
方が「異端」で、IPCCの名を借りて、極端に誇張されたデー
タを伝えた方が「正統」であるというのはおかしいではないかと
武田氏はいうわけです。
 それでは、IPCCの第4次報告書の内容が各国のメディアに
よってどのくらい違うかお目にかけましょう。
―――――――――――――――――――――――――――――
  ≪平均気温の上昇≫
   国   メディア      平均気温の上昇予測値
   ――――――――――――――――――――――――
   日本  NHK    ・・・ 6.4℃
   日本  環境省    ・・・ 2.4℃〜6.4℃
   英国  BBC    ・・・ 1.8℃〜4.0℃
   米国  NYタイムズ ・・・ 1.8℃〜4.0℃
  ≪海面水位の上昇≫
   国   メディア      海面水位の上昇予測値
   ――――――――――――――――――――――――
   日本  NHK    ・・・     59センチ
   英国  BBC    ・・・  28〜43センチ
―――――――――――――――――――――――――――――
 NHKが伝えた6.4℃の気温上昇と59センチの海面水位の
上昇値は、IPCCの第4次報告書において最も悲観的なシナリ
オでの価であり、しかも、一定の予測幅があるうちの最悪の数値
だけをもってきているのです。明らかに、危機を煽ろうとしてい
るとしか思えないのです。
 もっとも妥当な数字での平均気温の変化を考えてみることにし
ます。1971年から2000年の約30年間の平均値のデータ
を使うことにします。
―――――――――――――――――――――――――――――
    地球温暖化で上昇する気温 ・・・ 0.7℃
    東京と札幌の平均気温の差 ・・・ 7.4℃
    東京と那覇の平均気温の差 ・・・ 6.8℃
―――――――――――――――――――――――――――――
 地球温暖化で平均気温が上がったといっても、本当は30年間
でわずか0.7℃――東京と札幌の平均気温の差のわずか10分
の1でしかないのです。
 ところが、NHKではの数値は6.4℃――これは東京と那覇
の温度差なのです。つまり、東京の気温が那覇のようになってし
まうのです。確かにこれはIPCCの第4次報告書の最悪のシナ
リオの数値ではあるものの、あまりにも極端な数字なのです。そ
れは、東京が那覇のようになってしまうことで明らかです。
 しかし、実際にはそんなことはあり得ないことです。平均気温
が上がるといっても0.7℃です。せいぜい東京が静岡と同じ気
温になる程度の変化でしかないのです。それを「東京が那覇のよ
うになる」というのですから、日本のメディアや環境省は、明ら
かに極端な誇張をしていることになります。
 IPCCの描くシナリオを大別すると次の3つになります。
―――――――――――――――――――――――――――――
  1.資源を使いたい放題にし、対策をとらない/A1FI
    ・化石エネルギー源に依存する高度成長社会
  2.みんなで協力して温暖化を抑制したケース/B1
    ・各国と協力して対策を打つ持続発展型社会
  3.上記1と2のちょうど中間を行くシナリオ/A1B
    ・エネルギーのバランス重視の高度成長社会
―――――――――――――――――――――――――――――
 この3つのシナリオに対応するIPCCによる平均気温の予測
と海面水位上昇予測を次に示します。
―――――――――――――――――――――――――――――
 IPCCシナリオ 平均気温予測値  海面水位上昇予測値
 B1  シナリオ 1.1〜2.9  0.18〜0.38
◎A1FIシナリオ 2.4〜6.4  0.26〜0.59
 A1B シナリオ 1.7〜4.4  0.21〜0.48
―――――――――――――――――――――――――――――
 これによると、日本は最悪のシナリオ◎――A1FIシナリオ
の数値をあえて予測していることになります。どうしてそういう
スタンスを取るのでしょうか。――[地球温暖化懐疑論/10]


≪画像および関連情報≫
 ・武田邦彦氏プロフィール
  ―――――――――――――――――――――――――――
  1943年6月3日、東京都生まれ。1963年都立西高等
  学校卒業・1966年東京大学教養学部基礎科学科卒業。同
  年旭化成工業(株)に入社、1986年同社ウラン濃縮研究
  所長、1993年より芝浦工業大学工学部教授を経て、20
  02より名古屋大学教授 工学博士、専攻は資源材料工学。
  東京大学、京都大学、東北大学、横浜国立大学、早稲田大学
  立教大学、愛知大学などの非常勤講師、芝浦工業大学評議員
  学長事務代理、大学改革本部長代理、教務委員長、日本工学
  教育協会常任理事、JABEE工学一般審査委員長、非営利
  法人「おもしろ科学たんけん工房」「テクノ未来塾」理事な
  どを経験。
  ―――――――――――――――――――――――――――

武田邦彦氏と話題の著書.jpg
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2008年02月21日

●素人と専門家の差/アル・ゴア(EJ第2269号)

 IPCCの報告書で記述されていることと、それに基づいて各
国が国民に伝えていること、その間には大きなギャップが存在し
ます。日本の場合も環境省の報告がかなり過大・過激であること
ことは既に指摘した通りです。
 米国とオーストラリア――先進国で京都議定書を批准していな
い2国です。その米国にあって、先陣に立って環境危機を訴えて
いるのは前米副大統領アル・ゴア氏です。
 そのゴア氏の著書『不都合な真実』――ランダムハウス講談社
刊は私もていねいに読みましたが、その内容は大変な労作である
と思います。世界中で売れているそうですが、ゴア氏が本当に訴
えたいことを正しく読み取っている人は案外少ないのではないか
と考えます。
 しかし、『不都合な真実』には多くの誇張や間違いがあるので
す。ゴアは環境問題や気象の専門家ではないのですから、多少の
間違いは仕方がないとしても、環境問題に関する誤解を助長する
恐れはあるのです。とくに「海水面が6メートル上昇する」など
は、その根拠はまったくなく、完全な誤りです。
 ゴア氏の著書である『不都合な真実』と同じ題名の映画が、2
007年度のノーベル平和賞に該当し、ゴア氏とIPCCが共同
受賞するにいたっています。そのため、映画は全世界的に上映さ
れつつありますが、この映画の上映について英国では「待った」
がかかったのです。
 映画でのゴア氏の警告に対して英国の中学生の保護者が求めた
訴訟で、英国の高等法院は次のように注文をつけたのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 【ロンドン12日共同】地球温暖化を警告したゴア前米副大統
 領のドキュメンタリー映画「不都合な真実」の内容が「政治的
 だ」などとして、英国の中等学校で上映しないように保護者が
 求めた訴訟で英高等法院は10日、「大筋で正確である」とし
 て原告の訴えを退けたものの、映画には9つの「科学的な間違
 い」があると指摘した。 ――2007.10.12読売新聞
―――――――――――――――――――――――――――――
 その結果、映画『不都合な真実』を英国の中等学校で上映する
ときは、その前に先生が指定のマニュアルにしたがって注意を与
えることになったのです。英国の高等法院が指摘した「9つの疑
問/誤り」とは次の通りです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1.南極とグリーンランドの氷床の融解で海面が上昇する
 2.太平洋の島嶼国は人為的海面上昇で水没の危機にある
 3.地球温暖化により「海洋熱コンベヤー」が遮断される
 4.大気中CO2濃度上昇と平均気温には因果関係がある
 5.地球温暖化で、キリマンジャロの雪冠が激減している
 6.アフリカのチャド湖が干上がった原因も温暖化である
 7.ハリケーン・カトリーナは、地球温暖化が原因である
 8.北極の氷床が溶けて、ホッキョク熊の溺死が増加する
 9.海水温度の上昇によって珊瑚の白化・枯死が拡大する
―――――――――――――――――――――――――――――
 これら9つの疑問についてひとつずつ述べるのはやめますが、
環境問題に関してよく勉強しているとはいってもゴア氏は素人で
あり、その素人ゆえにやってはならない判断ミスを多く冒してい
ると、横浜国立大学教授である伊藤公紀氏はいっています。
 ヘミングウェイの『キリマンジャロの雪』でも知られるキリマ
ンジャロの山頂に厚く形成されている氷層は年々少なくなってい
るといわれます。ゴア氏はその原因は地球温暖化であるとしてい
るのですが、これについて伊藤公紀教授は次のように反論してい
ます。伊藤教授の専門は環境計測・環境回復科学であり、地球温
暖化論の懐疑論者として知られています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 最近の詳しい現場調査によれば、(キリマンジャロの雪冠は)
 気温上昇で融けたのではなく、太陽熱で昇華(固体の蒸発のこ
 と)したことが分かってきた。融解と昇華では壁面の様子が全
 く異なるので、専門家には一目瞭然である。昇華の原因は湿度
 の低下であり、それは周囲の樹木が失われたことなどが原因で
 あると指摘されている。
 ――『暴走する「地球温暖化論」/洗脳・扇動・歪曲の数々』
          所載伊藤公紀氏の論文より 文藝春秋社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 大気中の二酸化炭素が増えると、海水や植物では吸収できない
ので、大氣の組成が変化してしまうのです。大気がとても薄いか
らです。これを人間にたとえると、カロリーを摂りすぎて、消費
できずに体重が増えて、血糖値が上昇している状態――ちょうど
生活習慣病にかかった状態です。
 それでは、二酸化炭素が増大したとき気温がどうなるかですが
これが実は大変予測が困難なのです。これについて伊藤教授は次
のように述べています。原因はまだ究明できないのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 気象モデルとスーパーコンピュータがあれば、気候変動は良く
 分かるはずだ、と思われる向きもあるだろう。ゴア氏は「現代
 のスーパーコンピュータや高度な気象モデルの助けを借りて、
 ・・何年も先の将来を予測することもできる」と書いた。しか
 し、現在のモデルはまだ発展段階だ。米国の気象学者ロジャー
 ・ピールケは、地球全体の気候を扱うグローバル気候モデルの
 発達を三つに分けて「@基礎研究、A診断、B予想」とした。
 そして、現在のモデルは基礎研究の段階だとしている。・・と
 いうことは、例えば、強力なハリケーンが生まれたとき、その
 原因は何かという診断を気候モデルでやろうというのはまだ難
 しいということだ。  伊藤公紀氏の論文より 文藝春秋社刊
 ――『暴走する「地球温暖化論」/洗脳・扇動・歪曲の数々』
―――――――――――――――――――――――――――――
              ――[地球温暖化懐疑論/11]


≪画像および関連情報≫
 ・太陽活動と地球温暖化/伊藤公紀教授
  ―――――――――――――――――――――――――――
  時事通信が、京都大学大学院付属天文台の太陽表面に新たな
  黒点が確認され、太陽の次の活動周期が始まったとの発表を
  報じていました。この記事を読んでいて「地球温暖化」(伊
  藤公紀著 日本技術評論社 2003年)で、太陽の黒点と地
  球の気温の関係が書かれていたことを思い出しました。黒点
  は太陽活動が活発になると増えるそうです。太陽活動が活発
  になれば、到達するエネルギーが増え、地球の気温が上昇す
  るという考え方です。この本では、黒点数と気温の相同性の
  高いいくつかの研究結果も紹介されています。
http://shizuoka.cocolog-nifty.com/gard/2008/01/post_c6e2.html
  ―――――――――――――――――――――――――――

伊藤公紀教授.jpg
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2008年02月22日

●ゴア氏の論法なら日本は被害国(EJ第2270号)

 アル・ゴア氏の労作『不都合な真実』をどのように読み解くか
については、いろいろな意見があります。そのなかにあって、既
出の武田邦彦教授の解釈は説得力があります。その解釈をご紹介
する前にゴア氏がどういう経緯でこの本を書いたのかについて簡
単にふれておく必要があります。
 ゴア氏は、ハーバード大学の政治学専攻の学生だったとき、ロ
ジャー・レヴェル教授の講義を聴講する機会があったのです。レ
ヴェル教授は、地球の大気中に含まれる二酸化炭素の測定を最初
に提案した人物なのです。
 ハーバード大学はロースクールに代表される米国文系教育の牙
城として有名ですが、物理、化学から地球環境科学までの優れた
理系部門も有しており、文系の学生も自由に理系の授業を聴講で
きるのです。
 『不都合な真実』を読むと、そこには多くの誤りや誇張はある
ものの、ゴア氏が理系と文系の両方の知識を持ち、両方をクロス
オーバーして思考できる優れた才能の持ち主であることが明確に
読み取れます。彼がコンピュータや通信ネットワークに非常に強
く、IT革命の原動力とされるスーパーハイウェイ構想の提案者
であることもそれを裏付けています。
 そのゴア氏がクリントン政権の副大統領のときの1997年に
京都議定書が採択されたのですが、ゴア氏は立役者の一人だった
のです。しかし、肝心の米国議会が批准を渋っている間にゴア氏
は大統領選挙に出馬し、ブッシュとフロリダで大接戦を行った末
に破れたのです。当然ブッシュ大統領は政敵ゴアを利する京都議
定書を批准するはずもなく、米国は2001年に京都議定書から
正式な離脱を宣言したのです。
 おそらくゴア氏にとっては、それは相当くやしい思いであった
に違いないのです。そのくやしさが『不都合な真実』には色濃く
反映されているからです。
 『不都合な真実』には、現ブッシュ政権が環境問題に背を向け
ていることに対する怒りが次のようにストレートに表現されてい
る部分があります。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ◎地球温暖化などの重要な問題に関する、科学的に一致してい
  る意見を無視することによって、(ブッシュ大統領とその政
  権は)地球の将来を脅かしている。
 ◎(132ヶ国の批准国をすべて表示し、最後に未批准国とし
  て赤でオーストラリアと米国を表記)以下の国はすでに、行
  動することを決めている。現在では、132ヶ国が京都議定
  書を批准している。先進国では京都議定書を批准していない
  国は2つしかない。そのうちの1つが米国である。もう1つ
  はオーストラリアだ。   ――アル・ゴア著/枝廣淳子訳
       『不都合な真実』より ランダムハウス講談社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 以上のことをふまえて、武田邦彦教授の解釈をご紹介すること
にします。『不都合な真実』を通じてゴア氏が一番訴えたいポイ
ントは次の2つです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1.グリーンランドと南極を覆う棚氷の崩壊。つまり「氷が融
   けて水になる」のではなく、「割れ目ができて氷のまま滑
   り落ちる」場合である。
 2.もしグリーンランドの棚氷や南極の氷が「氷のまま」滑り
   落ちる事態になると、メキシコ暖流が止まり、ヨーロッパ
   全域が寒冷になってしまう。      ――武田邦彦氏
   『暴走する「地球温暖化論/洗脳・煽動・歪曲の数々」』
                       文藝春秋社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 ゴア氏は、地球が温暖化することは環境破壊をもたらすけれど
も決定的ではないといっているのです。そして、氷がゆっくり融
けていくだろうが、それによって海水面が上がる可能性は低いと
いっています。
 むしろ氷が融けずに氷のまま滑り落ちる事態は深刻であり、以
上の2つのことが起きる可能性が高いというのです。したがって
これによって影響を蒙るのはヨーロッパであり、その他はアメリ
カ、インド地方、中国北部の一部の地域であって、世界的な問題
ではない――ゴア氏はこう指摘しているのです。
 この主張は筋が通っているといえます。地球温暖化問題にヨー
ロッパが異常に熱心な理由もわかります。さらにゴア氏は次のよ
うにもいっているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 地球温暖化の原因は「人間」が出している二酸化炭素であるが
 責任は「人類全体」にあるのではない。二酸化炭素の排出量は
 アメリカが30.3%、ヨーロッパが27.7%と世界全体の
 約60%も占める。だから、地球温暖化はアメリカとヨーロッ
 パの問題であり、それ以外の国はむしろ一方的な被害者である
 といえる。強いてつけ加えるなら将来、急速に発展している中
 国が原因に入る可能性がある。      ――アル・ゴア氏
 ――『暴走する「地球温暖化論/洗脳・煽動・歪曲の数々」』
                       文藝春秋社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 ゴア氏の主張によると、地球温暖化の原因を作っているのはア
メリカとヨーロッパであり、その被害を受けるのも主としてアメ
リカとヨーロッパであるということになります。彼らこそ不都合
でしょうが、真実を知るべきなのです。
 この論法でいくと、日本は被害国ということになります。日本
の二酸化炭素の排出量は、世界の3.7%でしかないのです。二
酸化炭素の排出量はその国のGDPに左右されます。米国のGD
Pは日本の2.6倍(2005年/ドルベース)であるにもかか
わらず、二酸化炭素排出量は8.2倍――GDP当りの二酸化炭
素排出量は日本の3.1倍です。―[地球温暖化懐疑論/12]


≪画像および関連情報≫
 ・映画『不都合な真実』について
  ―――――――――――――――――――――――――――
  地球温暖化。肌で感じる暑すぎる夏、多すぎる台風、止まな
  い豪雨、日本で生活を営む中でも、既に「日々病んでいる地
  球」を感じずにいられない。それでもなぜ世界は環境を破壊
  し続けるのか? 温暖化に対する人々の意識を改革すべく、
  アメリカのみならず、ヨーロッパやアジアをも訪れて、10
  00回以上行われたアル・ゴアの講演を追ったのがこの作品
  だ。豊富なデータを使い、地球の歴史の中でいま急激に起き
  ている変化への警鐘を、ニュースのような大きな話ではなく
  より個人レベルでの観点でとらえ、見る者を「再教育」する
  この作品は、アメリカドキュメンタリー史上、記録的なヒッ
  ト作となっている。
  http://plusd.itmedia.co.jp/d-style/rensai/cinema/6.html
  ―――――――――――――――――――――――――――

ロジャー・レヴェル教授.jpg
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2008年02月25日

●京都議定書とは何か(EJ第2271号)

 今日から京都議定書の話をしたいと思います。ところで、京都
議定書というのは何だかご存知でしょうか。
 このようにいうと、失礼な、そんなことは知っている――とい
う人は多いと思います。世界各国が集まって、温室効果ガスの排
出量の削減を各国が数値を約束して決める國際条約である――確
かにその通りです。
 しかし、本当の意味で京都議定書の狙いや中身について知って
いる人は少ないと私は思います。結論からいえば、お人好しの日
本は、ドイツやイギリスなどのヨーロッパ勢から詐欺まがいの國
際条約を結ばされていたといえるのです。いったい日本の政府や
環境省は何を考えてこれまで仕事をしてきたのでしょうか。
 ところで、温室効果ガスとは何でしょうか。そんなもの二酸化
炭素に決まっているという人は多いでしょうが、温室効果ガスは
次の6種類と決められているのです。二酸化炭素(CO2)だけ
ではないのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
         1.二酸化炭素/CO2
         2.メタン/CH4
         3.一酸化二窒素/N20
         4.フロンガス/HFC
         5.フロンガス/PFC
         6.フロンガス/SF6
―――――――――――――――――――――――――――――
 これら二酸化炭素以外のものは、日常生活で使わなくても何と
かなるのです。しかし、二酸化炭素の排出量を減らすということ
は、使うエネルギー自体を減らすことを意味するのです。エネル
ギーを減らせば、生活レベルを下げなければならないのです。
 人間が使っているエネルギーや材料のほとんどは「還元された
炭素」――元素記号C――なのです。人間はその炭素Cを酸素O
と結合させて二酸化炭素CO2になるときに出る熱をエネルギー
として利用しているのです。こうした「還元された炭素」以外の
エネルギーというと、原子力と太陽熱ぐらいしかないのです。
 ここで、添付ファイルのグラフを見ていただきたいのです。こ
れは日本のエネルギーの供給実績をグラフにまとめたものです。
第2次世界大戦が終わってしばらくしてから日本の産業が動き出
す時点が「2500PJ(ペタジュール)」だったのです。この
時点での日本のエネルギー自給率は80%――石炭を掘って自給
していたのです。
 しかし、日本の爆発的経済成長は、とても石炭ではカバーでき
ないことがわかり、外国から積極的にエネルギーを確保し、石炭
を掘ることをやめたのです。かくして、日本のエネルギーの自給
率は、6.3%まで下がってしまったのです。しかし、その石油
によって日本は豊かな国になっていったといえます。
 しかし、1973年に第1次石油ショックが襲い、日本はこの
時点で省エネルギー化を進めます。それから10年後の第2次石
油ショックを経て1997年のバブル崩壊まで、エネルギー消費
量は右肩上がりで上昇しますが、石油の割合は1973年のレベ
ルを維持し、その差分を天然ガスや原子力がカバーしたのです。
 原子力発電所――いわゆる原発は、たびたび深刻な事故を起こ
してそのつど反対運動が起きますが、今後この原発の技術が日本
を大きく助けることになるといえます。日本の原発の技術力は高
度であり、既に世界各国から引き合いが殺到しているのです。
 かくして現在は25000PJのレベル――1995年の10
倍になっているのです。このように日本だけではなく、現在の先
進国は石油のおかげで豊かな国になっているのですから、発展途
上国が二酸化炭素を増やすことには目をつぶるしかない――そう
いうわけで、京都議定書は先進国だけの条約になったのです。
 さて、京都議定書は「国際条約」です。国際条約というものは
各国首脳が会議の場で調印しただけでは発効しないのです。それ
ぞれの国が自国に持ち帰って議会の承認を得る――この手続きが
ないと発効しないのです。これを「批准」といいます。
 1997年12月、京都会議に集まった各国首脳は、それぞれ
国益を巡って激しい駆け引きを展開し、削減する割合を次のよう
に決めたのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
    アイスランド ・・・・・・・  10%
    オーストラリア ・・・・・・   8%
    ノルウェー ・・・・・・・・   1%
    ニュージーランド ・・・・・   0%
    ロシア ・・・・・・・・・・   0%
    日本 ・・・・・・・・・・・  −6%
    カナダ ・・・・・・・・・・  −6%
    アメリカ ・・・・・・・・・  −7%
    欧州連合(EU) ・・・・・  −8%
―――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、この条約には次の2つの条件が付いていたのです。そ
れがクリアされないと、条約は発効されないのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1.京都議定書では55ヶ国以上が批准して参加すること
 2.批准国のCO2排出量の合計が削減義務の55%以上
―――――――――――――――――――――――――――――
 これら2つの条件は既にロシアの批准でクリアされ、京都議定
書は発効したのです。しかし、二酸化炭素の削減はまともにやる
と、その国のエネルギー消費を抑制することになるので、国民生
活に深刻な影響を及ぼすことになります。
 そのため、さまざまな「逃げ道」が用意されているのです。ま
ず、目標が達成できなくても非難は受けるが、「罰」は設けない
とか、いくつかの国が集まって、グループとしての目標をクリア
すればいいとかです。これについては、明日のEJで述べること
にします。        ―――[地球温暖化懐疑論/13]


≪画像および関連情報≫
 ・「地球エネルギー収支」について
  ―――――――――――――――――――――――――――
  地球に入ってくる全てのエネルギーと地球から出ていく全て
  のエネルギーは、地球のエネルギー収支という1つの物理的
  なシステムと考えることができる。地球が得るエネルギーの
  合計と放出するエネルギーの合計は等しく、均衡が保たれて
  いる。「エネルギー収支」は分かりやすく広く使われている
  語であるが、実際はエネルギー(ジュール)ではなく「仕事
  率」(ワット)のことを示すため、「地球の仕事率収支」の
  ほうが正確な語である。       ――ウィキペディア
  ―――――――――――――――――――――――――――

日本のエネルギー供給実績.jpg
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2008年02月26日

●日本だけ不利な京都議定書(EJ第2272号)

 京都議定書における「逃げ道」の代表的なもののひとつとして
「排出権取引」というものがあります。「排出権取引」には次の
2つがあります。
―――――――――――――――――――――――――――――
      1.ベースライン・アンド・クレジット
      2.   キャップ・アンド・トレード
―――――――――――――――――――――――――――――
 これらの方式を詳しく説明するとかえってわかりにくくなるの
で、ごく簡単に説明します。
 京都議定書を批准した国は、それぞれ温室効果ガスの排出量の
数値目標を持っています。仮にA国が削減努力をして数値目標以
下に抑えたとします。一方B国は、目標値をオーバーして達成で
きなかったとします。
 この場合、B国はA国から排出権取引によって、金銭で不足分
を購入できるのです。要するに、二酸化炭素を削減できない国が
あっても、条約全体としては減らしたことにするのです。詳しい
説明は避けますが、京都議定書のスキームは、上記2方式――ベ
ースライン・アンド・クレジットとキャップ・アンド・トレード
の混合型になっているのです。
 現在、京都議定書には米国だけが批准していません。オースト
ラリアは政権交代によって、2007年12月に批准しているの
です。しかし、米国は別に孤立しているわけでなく、州単位で、
「キャップ・アンド・トレード」方式に基づくCO2の削減に取
り組んでいるのです。カルフォルニア州のガバネーターであるシ
ュワルツネッガー知事などはとくに熱心です。
 実は米国とオーストラリアは、京都議定書において主導権を握
るEUと水面下でつながっており、共通のルールの下に京都議定
書に代わる新しい枠組み作りに取り組んでいるという指摘がある
のです。これは、米・豪・欧による日本包囲網そのものです。
 この問題について興味のある方は、次の「経営研レポート」を
参照していただくことをお勧めします。
―――――――――――――――――――――――――――――
    ≪経営研レポート≫
    京都議定書の行方と
    企業による排出量規制と迫り来る日本包囲網
    シニアマネージャー/大塚俊和
 http://www.keieiken.co.jp/monthly/2006/0612-4/index.html
―――――――――――――――――――――――――――――
 京都議定書にはおかしなこと、不可解なことがたくさんありま
す。昨日のEJで各国の温室効果ガスの削減目標(%)を示しま
したが、何に対する%なのかというと、1900年という基準年
に対しての%なのです。
 京都会議が1997年であるのに、なぜ、基準年が1900年
なのでしょうか。
 次の表を見ていただきたいのです。「温室効果ガスの実質削減
目標」をあらわしています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ≪温室効果ガスの実質削減目標≫
       1900年  会議時  目 標 実質削減目標
 日 本 11.9億トン  13%  −6%   −19%
 米 国 61.3億トン  15%  −7%   −22%
 ドイツ 12.5億トン −19%  −8%    11%
 英 国  7.4億トン −13%  −8%     5%
 カナダ  6.1億トン  19%  −6%   −25%
 ロシア 30.5億トン −38%   0%    38%
                 ――武田邦彦著/洋泉社刊
         『環境問題はなぜウソがまかり通るのか2』
―――――――――――――――――――――――――――――
 1900年の各国の数字は、温室効果ガス排出量なのです。そ
して、京都会議は1997年です。その時点で二酸化炭素の排出
量は、1990年に対して増減がはっきりしていたのです。それ
が表の「会議時」の数字(%)です。
 すなわち、日本と米国とカナダは1900年のときよりも、そ
れぞれ13%、15%、19%増加、これに対して、ドイツ、英
国、ロシアは、それぞれ19%、13%、38%削減されていた
のです。まして増加する日本、米国、カナダのうち、米国は批准
せずに京都議定書から離脱し、カナダは批准しましたが、実施し
ないことを表明しているのです。
 ところが、日本だけ実施を約束してしまったのです。京都議定
書の最初の約束期間は、2008年〜2O12年となっているの
で、19%の削減など最初から不可能です。どうして日本はこん
な不利な条約に賛成したのでしょうか。
 この条約がいかにおかしく、日本にとってだけ不利なのか次に
整理しておくことにします。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1.ドイツと英国は温室効果ガスの8%削減をうたっているが
   条約を締結している時点で既に達成している。
 2.日本と米国は、それぞれ19%、20%の削減をしなけれ
   ばならず、最初から達成は困難な状況にある
 3.このような不利な条約に米国が批准するはずはなく離脱、
   日本は国民に十分に説明せず参加を決定する
―――――――――――――――――――――――――――――
 既に達成できていることを将来に向かって約束する国もおかし
いですが、到底できそうもないことを将来に向かって約束する国
もヘンだと思いませんか。
 最も多くの温室効果ガスを排出する米国、中国、インドをその
ままにして、京都議定書程度の削減では、温室効果ガスの削減は
最初から無理です。それなのに日本だけが損をする条約に日本は
なぜ参加したのでしょうか。奇怪な話です。なぜ、基準年が19
90年なのでしょうか。  ―――[地球温暖化懐疑論/14]


≪画像および関連情報≫
 ・排出権取引について
  ―――――――――――――――――――――――――――
  京都議定書では、各国毎に削減目標を定め、排出権取引を認
  めているが、個々の主体(工場等)間の排出権取引ではキャ
  ップアンドトレードとベースラインクレジットというふたつ
  の方式がある。キャップアンドトレードは、政府が温室効果
  ガスの総排出量(総排出枠)を定め、それを個々の主体に排
  出枠として配分し、個々の主体間の排出枠の一部の移転(ま
  たは獲得)を認める制度のこと。これに対してベースライン
  クレジットは個々の主体に対しての排出枠というものが設定
  されていない。温室効果ガスの排出削減プロジェクト等を実
  施し、プロジェクトがなかった場合に比べた温室効果ガスの
  排出削減量をクレジットとして認定し、このクレジットを取
  引する方式である。          ――環境用語辞典
  ―――――――――――――――――――――――――――

米・豪・欧による日本包囲網.jpg


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2008年02月27日

●なぜ1990年が基準年になったか(EJ第2273号)

 日本はどうして1990年を基準年とする不平等条約を受け入
れたのでしょうか。
 このことを理解するには、少し歴史を振り返ってみる必要があ
ります。1990年という年は、ドイツ、英国、日本にとってど
ういう年だったでしょうか。
 最初にドイツから考えてみます。
 1990年10月3日に東西ドイツは統一されています。当時
の東ドイツは非効率な共産主義体制によって経済が低迷し、西ド
イツに比べてすべての面で大きく遅れていたのです。
 その東ドイツを抱え込んだドイツは、すべてが大底からのスタ
ートになったのです。したがって、1990年からの10年間で
二酸化炭素の排出量が19%も減ったのは当然のことです。
 続いて英国はどうでしょうか。
 英国は、マーガレット・サッチャーが首相になる1979年以
前はいわゆる「イギリス病」にかかっており、サッチャーが首相
になって10年間にわたって国有企業の民営化などの諸改革を行
い、イギリス病を直したのです。
 とくに旧態依然たる石炭火力発電所は次々に効率の高い現代的
なガス発電所に切り換えられ、その他のエネルギー政策によって
二酸化酸素の排出量は10年間で13%も削減することができた
のです。
 これに対して米国と日本は、特殊な事情はなく、日本は高度成
長が一段落したのが1990年であったのです。とくに日本では
省エネルギーや電子化を中心とする環境に優しい社会がドイツや
英国よりも先に完成していたといえます。しかし、1990年以
降は日本はバブルが崩壊し、いわゆる「失われた10年」の始ま
る年となるのです。
 環境問題はヨーロッパが早かったのです。1980年代から始
まっており、1992年には「地球サミット(環境と開発に関す
る國際連合会議)」が、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで行わ
れたのです。
 この会議には、181ヶ国、首脳が102人も集まる大会議と
なったのですが、日本からは環境庁長官しか出席しなかったので
す。これによって、「日本は環境よりも産業が大事な国」という
印象を持たれてしまったのです。
 ヨーロッパは早くから環境問題は自らを有利にする絶好の機会
としてとらえており、この地球サミットにおいて、時間的枠組み
として、次のコンセンサスを形成させているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
  2000年における二酸化炭素排出を1990年のレベル
  まで落とすこと
―――――――――――――――――――――――――――――
 日本の首脳が出ない国際会議で、このように1990年という
基準路線が早くも引かれてしまったのです。
 さらに、1995年にドイツのベルリンで開催された「気候変
動枠組条約第1回締結国会議」において、「ベルリン・マンデー
ト」という文章が合意されていますが、ここでも地球サミットで
の上記のコンセンサスが再確認され、1990年が基準年として
動かし難いものになっていったのです。
 そして1997年の京都会議では、もはや日本は基準年が19
90年にすることに日本として異議を唱えることはできず、日本
と米国はこの問題に関して、ヨーロッパ勢に主導権を握られっぱ
なしになったのです。
 しかし、日本は事態がよく読めていないのか、深刻にならず、
何の対抗策も取っていないのですが、米国は事態を分析して対抗
策を立てたのです。
 1997年7月、アメリカ上院において、バード民主党議員と
ヘーゲル共和党議員が、議会に次のように「バード=ヘーゲル決
議」を提出し、満場一致で採択されているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 アメリカ経済に深刻な被害を与えるような条約、発展途上国に
 よる地球温暖化防止への本格的な参加と合意が含まれない条約
 には批准しない。        ――武田邦彦著/洋泉社刊
         『環境問題はなぜウソがまかり通るのか2』
―――――――――――――――――――――――――――――
 何のことはない。米国は京都会議が始まる前から「調印すれど
も批准せず」と表明していたのです。日本では「バード=ヘーゲ
ル決議」についてはあまり報道されなかったので、知る人は少な
く、ブッシュ大統領が反対していると考えている人が多いのです
が、これは大きな事実誤認なのです。
 完全な日本の作戦負けなのです。これについて、武田邦彦教授
は次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ヨーロッパ勢の作戦は自分たちがアメリカより強い立場にあっ
 て会議を主導できること、アメリカは抵抗せず調印し批准しな
 いこと、中国やインドは削減の義務を負わないこと、そしてタ
 ーゲットとなった日本だけが義務を負うことになること、それ
 はやがて日本の経済発展を阻止して、自らの国の産業に利する
 こと――それらは既に計算済みだったと思われる。
                 ――武田邦彦著/洋泉社刊
         『環境問題はなぜウソがまかり通るのか2』
―――――――――――――――――――――――――――――
 カナダは批准したものの次のように削減目標の履行断念を表明
したのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 京都議定書における排出削減目標の2012年までの期限内達
 成は困難である。        ――カナダの履行断念表明
―――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、日本はできないのに約束しています。そこにどういう
成算があるのでしょうか。 ―――[地球温暖化懐疑論/15]


≪画像および関連情報≫
 ・地球サミットについて
  ―――――――――――――――――――――――――――
  地球サミットとは正式名称は「国連開発環境会議」で、19
  92年にブラジルのリオデジャネイロで開催。冷戦終了後、
  アメリカ・ロシアの首脳などほぼすべての国の代表が一同に
  会した画期的なものであったためこう呼ばれている。この会
  議でリオ宣言、21世紀のための行動計画――アジェンダ2
  1、生物多様性条約などが採択されたが、一番の成果は「持
  続可能な開発」のために必要な地球温暖化防止策を話し合う
  ことを取り決めた「気候変動枠組条約」の採択だろう。これ
  により、条約発効後にCOP(締約国会議)を開き、CO2
  などの温室効果ガスの削減について話し合うことになった。
   http://allabout.co.jp/glossary/g_politics/w007920.htm
  ―――――――――――――――――――――――――――

地球サミット/ブラジル.jpg
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2008年02月28日

●日本製品に”排出権”を付ける(EJ第2274号)

 1992年の「地球サミット」に日本の首脳が出席しなかった
こと――これは多くの国民が知らない環境問題に対する日本の大
きな失策であったと思います。
 京都議定書という日本にだけ不利な国際条約をあえて受け入れ
たのは、おそらくその負い目であり、官僚のメンツを保つためで
あったということがいえると思うのです。
 さいわい多くの国民は環境問題における日本のこの大失敗に気
が付いていない。したがって、この失敗をカバーするには、環境
問題を錦の御旗にして広く啓蒙し、排出権取引で税金を使う場合
にも「環境問題なら仕方がない」と思わせればいいのです。
 このような想定に立ってみると、日本の環境省がIPCCの数
値の一番悪い数値を発表したりして危機を煽る傾向があるのも納
得できます。とにかく環境問題に対して世界的には良い子になり
たい――そういう思いが日本だけ不利な京都議定書を甘んじて受
け入れることになった理由であると思います。やはり、官僚のメ
ンツを保つということになります。
 ここで京都議定書までの地球温暖化に関する国際的な取り組み
について、整理しておきたいと思います。
―――――――――――――――――――――――――――――
 フィラハ会議 ・・・・・・・・・・・・・ 1985.10
 IPCC設立 ・・・・・・・・・・・・・ 1988.11
 IPCC第1次評価報告書 ・・・・・・・ 1990.08
 地球サミット/リオデジャネロ ・・・・・ 1992.06
 第1回締結国会議(COP1)/ベルリン  1995.03
 第2回締結国会議(COP2)/ジュネーブ 1996.07
 第3回締結国会議(COP3)/京都 ・・ 1997.12
―――――――――――――――――――――――――――――
 京都議定書は、1985年10月に科学者が始めた「フィラハ
会議」が発展したものです。IPCCもその流れのなかで、19
98年に設立されているのです。
 京都会議が行われた1997年時点において、世界の二酸化炭
素排出量は242億トンで、主要各国の割合は次の通りです。
―――――――――――――――――――――――――――――
     先進国   ・・・・・・・・・・ 59%
     発展途上国 ・・・・・・・・・・ 41%
     ********************
     アメリカ ・・・・・・・・・・・ 23%
     ヨーロッパ圏 ・・・・・・・・・ 18%
     ロシア・東欧圏 ・・・・・・・・ 13%
     中 国 ・・・・・・・・・・・・ 15%
     日 本 ・・・・・・・・・・・・  5%
     他の開発途上国 ・・・・・・・・ 26%
―――――――――――――――――――――――――――――
 このように、日本の割合は非常に低いのです。この数値を見て
も地球温暖化の問題は米国とヨーロッパ圏、ロシア・東欧圏の問
題であって日本の問題ではないことは明らかです。もし、米国や
ヨーロッパ圏のCO2の排出量が日本並みになれば、C02は大
きく減らすことができるのです。
 つまり、日本は既に立派な環境先進国になっているのです。そ
れなのに、日本だけが京都議定書で不利な不平等条約を結ばされ
ている――努力して絞り込んだ身体をもっと絞り込むようなもの
です。どう考えても納得できないものがあります。
 このように日本が大きな犠牲を払って実施する京都議定書です
が、世界各国が目標を本当にクリアできたなら、温室効果ガスは
果たして大幅に減らすことができるのでしょうか。
 既出の武田邦彦教授によると、それはわずかに「1%」に過ぎ
ないというのです。武田教授の示す根拠は次の通りです。
 地球温暖化の原因のうち、人為的なものの割合は93%である
といいます。そのうち、二酸化炭素の寄与している割合は53%
京都議定書の対象になっている国が二酸化炭素を排出する割合が
59%、そして批准した国が62%です。
 地球温暖化に与えるすべての影響のうち、京都議定書がカバー
できるのは、それぞれの割合の掛け算で求められます。計算結果
は次のようになります。
―――――――――――――――――――――――――――――
  0.93×0.53×0.59×0.62=0.180302
―――――――――――――――――――――――――――――
 京都議定書がカバーできるのは18%ということになります。
京都議定書では、平均して6%削減を狙っているということなの
で、結果は次のようになります。
―――――――――――――――――――――――――――――
    0.18×0.06=0.0108 → 1%
―――――――――――――――――――――――――――――
 たとえ「1%」であっても、各国が数値目標を決めて温室効果
ガスの削減に取り組むことは意義のあることです。とくに日本は
環境についての高い技術を持っており、もっと戦略的に行動すべ
きであると思います。
 日本は、自動車にしても、家電製品にしても、工業用機械にし
ても、効率を向上させながら省エネルギーを実現させる高度な環
境技術を持っています。
 したがって、日本製の工業製品を輸入することは、温室効果ガ
スの削減に寄与することになります。つまり、日本製品を使うだ
けで、温暖化防止の目標はクリアできるのであるから、日本の工
業製品に「排出権」を付けるべきであると、武田教授は主張して
います。日本は排出権の付いた製品を輸入したら、その国の温室
効果ガスの削減とみなすよう世界に働きかけるべきです。
 京都議定書の排出権取引で日本は相当高額のお金を払うことに
なるはずです。しかし、それを逆手に取って「環境ニッポン」を
PRし、世界中に排出権付きの日本製品の普及を促進する戦略を
立てるべきです。     ―――[地球温暖化懐疑論/16]


≪画像および関連情報≫
 ・1997年京都会議における橋本元首相の挨拶
  ―――――――――――――――――――――――――――
  気候変動枠組条約第三回締約国会議閣僚級会合の開催に当た
  り、日本国民を代表して、皆様を心から歓迎申し上げるとと
  もに、京都府、京都市をはじめ地元の関係者の皆様にお礼を
  申し上げます。人類はこれまで、地球上の資源を利用し、特
  に、産業革命以来、大量の化石燃料を使用し、繁栄を築いて
  参りました。その一方、近年の爆発的な開発は、地球環境に
  様々な歪みを生じさせてきました。とりわけ、地球温暖化問
  題は人類の生存に直接関わってくる深刻な問題であります。
  この問題の抜本的な解決のためには、今後100年単位の長
  期にわたる努力が必要であります。その壮大な挑戦がまさに
  5年前のリオ・サミットを経て始まろうとしています。
  http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/enzetsu/09/eha_1208.html
  ―――――――――――――――――――――――――――

世界におけるCO2排出割合と京都会議.jpg
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2008年02月29日

●温暖化は悪いことばかりではない(EJ第2275号)

 社会保険庁に引き続き、国土交通省まで、次々と税金の無駄遣
いをめぐる悪事が毎日のように暴かれています。しかし、何とな
く環境問題に関しては、国際的規模で一種の聖域化が図られつつ
あるようです。
 国民に十分な知識がないと、「環境問題だけは仕方がないか」
ということで将来環境税などを認めてしまうムードができ上がり
つつあるようです。
 現在、日本では地球温暖化対策に、毎年1兆円以上の予算が使
われているのです。2008年度については、要求額ベースです
が、1兆4122億円が見込まれているのです。これを省庁別に
見ると次のようになります。
―――――――――――――――――――――――――――――
     経済産業省 ・・・・・  4561億円
     農林水産省 ・・・・・  4368億円
     国土交通省 ・・・・・  1916億円
       環境省 ・・・・・  1221億円
       その他 ・・・・・  2056億円
     ―――――――――――――――――――
                 14122億円
―――――――――――――――――――――――――――――
 しかも、これは前年実績では18%増――毎年減るはずはない
ですから、どんどん増えていくはずです。それに環境省は環境税
の導入まで画策しているのです。またしても大きな無駄遣いの温
床になることは確実と思われます。
 それに排出権取引市場についてもよほどうまく設計しないと、
現在の原油先物市場のように、投機のマネーターゲットになる可
能性があります。
 日本の環境対策の最大の問題点は、国全体が一枚岩になってい
ないということがあります。反目しているのは経済産業省と環境
省です。実は京都議定書に盛り込まれたCO2の削減数値につい
ても次のように両省は意見が対立していたのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
       旧環境庁 ・・・・・ −7%
       旧通産省 ・・・・・  0%
―――――――――――――――――――――――――――――
 旧通産省――すなわち、経済産業省が「0%」なのは、経団連
が遂行している「環境自主行動計画」の実績を踏まえているから
です。日本では20年前から省エネ対策を実施して成果を上げて
おり、EU主導の新たな削減目標は不要であるという立場を取っ
ているからです。
 これに対して環境省は、日本の省エネ努力を認めつつも、さら
に高いCO2削減を目指すべきであるとし、環境税の導入を視野
に入れながら、EU寄りの「キャップ・アンド・トレード」型の
排出量取引制度の導入を模索しているのです。
 しかし、環境省も経済産業省も「地球温暖化防止ポータルサイ
ト」のようなウェブサイトを構築したり、広報用の冊子や本や映
画の制作など、いわゆる広報面には大きな税金を注ぎ込んでいま
す。その内容は、一貫して地球温暖化の危機を煽るような描き方
をしています。
 しかし、地球温暖化は悪いことばかりなのでしょうか。二酸化
炭素――CO2の排出量を下げると本当に地球温暖化阻止に効果
があるのでしょうか。
 CO2の排出量を下げると地球温暖化阻止に効果がある――現
在、このことはもはや世界の常識となりつつありますが、あえて
疑問符を付けてみたいと思います。
 この場合、温暖化は悪となっていますが、温暖化すると良いこ
とはないのでしょうか。
 添付ファイルを見てください。これは、虚血性心疾患――狭心
症や心筋梗塞で亡くなる人と気温との関係を示したグラフです。
対象者は大阪と沖縄になっています。横軸に「平均気温」、縦軸
に人口10万人当たりの「虚血性心疾患の年齢調整死亡率」をと
っています。
 まず、大阪よりも沖縄の方が死亡率は低いという事実です。大
阪と沖縄ではかなり大きな差が認められます。続いて冬よりも夏
の方が死亡率は低くなります。暖かいと、虚血性心疾患の死亡率
が下がるということは、暖かいということが人間の身体環境には
良い影響があるということを意味しています。
 暖かいと、雪による被害も減り、いままで氷が張っていたとこ
ろは融けて、作物をつくることができるようになる――これは経
済的にもプラスということです。
 しかし、環境省は温暖化の良いことは一切いわず、次のように
悪いことのみを強調します。これは、財務省が国の保有している
財産を一切いわず、借金の額ばかりを強調し、増税容認のムード
を作る手法とそっくりです。
―――――――――――――――――――――――――――――
  温暖化して気温が2℃程度上がると、日本でマラリアが
  猛威を振るうことになる
―――――――――――――――――――――――――――――
 これは明らかに恐怖を煽っています。もし、気温が2℃上がる
とマラリアが蔓延して人が住めなくなるのでしたら、そういう地
域――台湾には人は住めないのでしょうか。そんなことはあるは
ずがありません。
 日本でも戦時中、西表島では多数のマラリア患者を出しました
が、今では完全に撲滅しています。疫病の問題は日本の優れた衛
生・医療技術で完全に防ぐことが可能です。国民もなぜこんな分
かりきったことに脅えるのでしょうか。
 あくまで、温暖化の良い面と悪い面を両方いうべきです。温暖
化が進むと心筋梗塞などの病気が減ったり、農作物も多く取れる
ようになるが、気象が不安定化したり、一部の疫病が流行る――
というようにです。    ―――[地球温暖化懐疑論/17]


≪画像および関連情報≫
 ・キャップ・アンド・トレード方式に経団連軟化のきざし
  ―――――――――――――――――――――――――――
  2008年2月20日、日本経団連の御手洗会長は、大分市
  内で会見し、「洞爺湖サミットを成功させるためにも、EU
  アメリカなど世界の潮流を踏まえて考えていく必要がある」
  と話し、キャップ・アンド・トレード方式に断固反対として
  いた従来のスタンスを軟化させた。2013年からのポスト
  京都議定書の枠組みづくりに向けて、EUが包括的な温暖化
  対策案の中でC&Tの改定案を打ち出したほか、米国でも排
  出権取引の本格導入論議が活発化していることをを視野に入
  れた発言と見られる。
  http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/business/financial/124338
  ―――――――――――――――――――――――――――

虚血性心疾患死亡率と気温の関係.jpg
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2008年03月03日

●ダイオキシンは本当に危険か(EJ第2276号)

 最近「環境問題」というと、水戸黄門の印籠ではないが、何で
もまかり通るようになっています。しかも国は、時間をかけて、
環境問題の責任を国から企業へ、企業から国民へと巧みにすり替
えようと画策しています。
 もともと環境問題は「公害」と呼ばれていたのです。水俣病や
四日市喘息などは、企業とそれを管理する行政側の問題であり、
国民は被害者の立場だったのです。
 1999年2月――当時のテレビ朝日の人気番組、久米宏司会
の「ニュースステーション」に総合環境研究所の青山貞一氏とい
う人物が出てきて、「所沢産のホウレンソウから高濃度のダイオ
キシンが検出」という内容の報道があったのです。私はそのとき
の「ニュースステーション」を見ていたのです。
 この報道によって、所沢産の野菜の不買運動が起き、農家が大
損害を蒙ったのです。しかし、この報道は後にウソであることが
わかり、テレビ朝日と青山貞一氏は所沢の農家から風評被害で訴
えられ、テレビ局は一千万円の和解金を支払って決着するという
事件があったのです。覚えている人もおられると思います。
 しかし、ウソ報道であったのに、なぜか「ダイオキシン法――
ダイオキシン類対策特別措置法」ができて、2002年12月か
ら適用されています。こういうことに官僚は素早いのです。なぜ
かというと、これによって対策費として予算が取れるからです。
 動いたのは、農水省、厚生労働省、環境庁(当時)なのです。
こういう悪法ができたおかげで、焼却炉に専用装置を付けたりす
る億単位の莫大な負担を強いられる義務を各自治体が負うことに
なるなど大きな問題が起こっています。
 しかし、もっと大きな問題があります。それは、これによって
国民に次の間違った幻想を植え付けてしまったことです。
―――――――――――――――――――――――――――――
     ダイオキシンは最悪の危険物質である
―――――――――――――――――――――――――――――
 一番大きな誤解は、ダイオキシンは焼却炉から出てくるものと
いう印象を国民に持たせたことにあります。しかし、日本人が摂
取するダイオキシンは95%が食品からなのです。したがって、
たとえ焼却炉からのダイオキシンをゼロにしてもほとんど実態は
変わらないのです。
 その危険性は、モルモットの実験データから得たものなのです
が、実はモルモットはダイオキシンに最も弱い動物なのです。な
ぜ、そんな実験データを針小棒大に取り上げるのでしょうか。
 この問題に詳しい東京大学教授の渡辺正氏は次のように述べて
います。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ダイオキシンに一番弱いモルモットの実験データを人間にあて
 はめたところで、人生10回分――820年分の食物を「イッ
 キ食い」しない限り“急性毒性”で倒れることはないんです。
                    渡辺正東京大学教授
 ――『暴走する「地球温暖化論/洗脳・煽動・歪曲の数々」』
                       文藝春秋社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 渡辺正教授は、2003年に東大の文系の学生130名にダイ
オキシンのイメージを聞いたところ、次の3つが一番多かったと
いっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
       1.焼却炉から出る猛毒である
       2.近代文明の生んだ悪の権化
       3.プラスチックの燃焼が主犯
―――――――――――――――――――――――――――――
 以上は完全なる間違いなのです。センセーショナルな報道や危
険を訴えるダイオキシン本などに感化された結果なのです。しか
し、法律までできているのですから、信用するのは仕方がないと
思います。ダイオキシン法が廃止されない限り、大気や水、土壌
などの環境試料の分析に毎年数十億円の税金が注ぎ込まれるとい
う事態が続くのです。国民は騙されているのです。
 実は空気中にもダイオキシンは含まれているのです。人間が一
回呼吸すると、そのつどダイオキシン分子を一億個吸い込んでい
るのです。普通の人は一億個というと驚いてしまいます。といっ
て、呼吸をやめるわけにはいかない。どうすればいいんだという
ことになるわけです。
 しかし、化学を少しでも勉強したことのある人であれば、分子
の一億個などゼロに等しいことは誰でもわかるはずです。しかし
そのことを知らない人――大部分の人がそうであると思いますが
――そういう人に対しては、一億個という数を使って相手を驚か
し、不安にさせることは容易にできることです。
 大きな矛盾なのは、ダイオキシンに恐怖を抱き、危険だと騒ぐ
人が、平気でタバコを吸い、コーヒーを飲み、焼き鳥屋の店でお
酒を飲んでいることです。これらは、ダイオキシンなどよりはる
かに危険なものであるにもかかわらずです。お酒などもイッキ飲
みをすれば死ぬこともあるではないですか。
 濃いコーヒーにはカフェインが0.1グラム入っていて、一日
5杯飲めば、致死量である5グラムの10分の1になるのです。
タバコにいたっては、1日に6本のタバコでダイオキシンの規制
値を超えるといわれているのに、喫煙は制限されているものの、
禁止されていないのです。
 普通の食品にも毒物は入っているのです。病原菌が付いていな
い食物はないのです。キャベツには青酸、ジャガイモにはソラニ
ンという毒物が入っているのですが、一部の劇薬は別として、一
般的に危険といわれているものでも、ごく微量であれば何ら問題
はないのです。
 このようにダイオキシンの危険性はここにきてかなり修正され
ているのにそのための対策は依然として前のままというのは何か
おかしいと思います。   ―――[地球温暖化懐疑論/18]


≪画像および関連情報≫
 ・久米ニュースステーションの終了/青山貞一
  ―――――――――――――――――――――――――――
  昨日、久米宏キャスターによるテレビ朝日のニュースステー
  ションが3月26日に終わった。環境総合研究所とニュース
  ステーションとの関係というと、誰しも「所沢ダイオキシン
  報道」と思われるだろう。しかし、私たち環境総合研究所が
  かかわったニュースステーションの番組には、ちょっと思い
  出すだけでも以下のように本四連絡架橋鉄道騒音問題にはじ
  まりたくさんある。いずれも思い出深いものばかりである。
   ●本四連絡架橋鉄道騒音問題    4本
   ●羽田空港新滑走路による騒音問題 1本
   ●湾岸戦争の環境問題       6本
   ●所沢ダイオキシン問題(土壌汚染)1本
   ●所沢農作物ダイオキシン汚染問題 4本
  http://eritokyo.jp/independent/nagano-pref/aoyama-col42.html
  ―――――――――――――――――――――――――――

久米宏/ニュースステーション.jpg
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2008年03月04日

●なぜレジ袋を廃止するのか(EJ第2277号)

 本当に二酸化炭素――CO2の排出量を減らすのが急務である
なら、2000CC以上の車を規制すべきです。2000CC以
上の車に高い税金かけ、軽自動車の税金をゼロにする――そうす
れば、間違いなく軽自動車へのシフトが行われます。
 また、14インチ以上のテレビ、200リットルよりも大きい
冷蔵庫に高い税金をかけ、それらの販売を抑制すれば確実にC0
2は削減されるはずです。CO2の増加が本当に深刻なら、この
くらい荒療治が必要です。
 なぜなら、もし、そのようなことを本当に行えば、確実に産業
の停滞を招き、國際競争力は減退するからです。当然自動車業界
や家電業界から大反発を食らうはずです。実際問題としてそうい
うことは国としては絶対できないことです。
 添付ファイルのグラフを見てください。これは、日本のCO2
の排出量とGDPの関係を示すグラフです。これは1990年を
100とした相対値をあらわしています。1980年の中頃まで
にエネルギー効率が高められたことで、日本のCO2の排出量は
GDPと正比例するまでになったのです。したがって、GDPを
減らさなければ、CO2の排出量を下げることはできない――そ
ういうことになるのです。
 そうなると、国は問題を国民にすり替えてきます。「環境を守
るためにあなたは何ができますか」というようにです。それが、
リサイクルであり、ゴミの分別であり、レジ袋の廃止であり、ク
ールビズなどの一連の環境対策なのです。
 そのようなことをやっても本当に効果があるでしょうか。ひと
つずつチェックしていくことにします。
 スーパーにおけるレジ袋の廃止について考えてみましょう。
 レジ袋は、石油を精製すると自然にできる成分を有効に活用し
たものです。なぜ、スーパーでレジ袋を無料でくれるかというと
本来なら捨てるしかない余りものの石油をなんとか袋にしている
からです。つまり、大変な資源の活用をしているわけです。
 スーパーで買い物をするときレジ袋に入れてもらい、ゴミを捨
てるときにレジ袋に入れて再び使う――これが最も資源の使用量
が少ない使い方なのです。
 しかし、これを追放しようという運動が実施され、しだいに普
及しつつあります。レジ袋を追放し、有料の「買い物袋」と「専
用ゴミ袋」にしようとしているのです。
 名古屋市では、次のような理屈に合わない理由をつけてレジ袋
の追放をしようとしています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 指定のゴミ袋の中にレジ袋に入れたゴミが多いので、ゴミの二
 重包装になる。だから、レジ袋を追放する。  ――名古屋市
―――――――――――――――――――――――――――――
 こんなのは理由にならないと思います。不要なのはレジ袋では
なく、指定のゴミ袋の方です。もともと買い物を入れて運ぶため
に使ったレジ袋を資源の有効活用のために、高いゴミ袋を節約す
るために、ゴミをレジ袋に入れて出していたのです。
 それを市が勝手にゴミ袋を指定して、それに入っていないゴミ
は引き取ってくれないので、市民は仕方なく指定のゴミ袋を使っ
ているのです。膨大な数の指定のゴミ袋を作るために出すCO2
は、どうなるのでしょうか。そして、指定のゴミ袋が定着すると
今度は二重包装をなくすためにレジ袋を廃止しろという――まっ
たくもってムチャクチャな話です。
 レジ袋は一枚に使う資源が少ないから軽く、環境にやさしい製
品だったはずです。レジ袋を廃止しても、それを使う余った石油
は再利用できず捨ててしまうことになるだけです。それでもなぜ
廃止になってしまうのでしょうか。
 もし、レジ袋を廃止して、「買い物袋」と「専用ゴミ袋」を作
るとなると、そのためにさらに石油を使うことになるのです。か
えって資源の無駄になるのではないでしょうか。
 レジ袋を止めることによるメリットは、次の式がプラスになら
なければならないのですが、環境省からはそういうデータは一切
出ていないのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 レジ袋に使われる資源 − (「買い物袋」と「専用ゴミ袋」
 に使われる資源)>0
―――――――――――――――――――――――――――――
 そもそも生活で使われているプラスチックは、日本国内で年間
約1400万トンが生産されています。レジ袋もそういうプラス
チックのひとつなのです。
 レジ袋に使用されるプラスチックは重さでいうと、最大でも約
30万トンで、現実に削減できるのは約10万トン程度であると
いいます。1400万トンのプラスチックの140分の1でしか
ないのです。そのためレジ袋を廃止しようとする環境省や行政側
は、レジ袋に使う資源の「重さ」をいわずに「枚数」でその効果
を偽装しようとしています。
 次のURLをクリックしてください。2007年1月1日から
のレジ袋の消費量が出ています。財務省の国の借金を示す借金時
計と同じ発想です。
―――――――――――――――――――――――――――――
     http://www.glwwp.com/main/bag.html
―――――――――――――――――――――――――――――
 既出の武田邦彦教授はこれについて次のようにいっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 レジ袋は石油を精製すると自然にできる成分を有効に使用する
 から、もしレジ袋をなくし、もともと不足しがちなBTX成分
 を使って買い物袋(マイバック)をつくれば石油全体の消費量
 を増やさなければならない。   ――武田邦彦著/洋泉社刊
         『環境問題はなぜウソがまかり通るのか2』
―――――――――――――――――――――――――――――
             ―――[地球温暖化懐疑論/19]


≪画像および関連情報≫
 ・BTX――ベンゼン、トルエン、キシレン/芳香族炭化水素
  ―――――――――――――――――――――――――――
  石油化学製品は、大きく分けるとオレフィン系製品――ポリ
  エチレンなど、ポリエステル――合成繊維などにわけること
  ができる。また、石油化学製品も基礎製品、中間製品、最終
  製品がある。基礎製品としてはエチレン、プロピレン、ブタ
  ジエンなどのオレフィンのほか、芳香族であるBTXなどの
  合成原料がある。次に中間製品にはエチレンから生成する塩
  化ビニル、プロビレンから生成するアクリロニトリル、ブタ
  ジエンから生成するアジピン酸、ヘキサメチレンジアミンな
  どがある。そして、基礎製品、中間製品を原料として、ポリ
  エチレンなどのプラスチック、ナイロン6.6などの合成繊
  維、ブタジエンゴムなどの合成ゴムなどの最終製品が出来上
  がる。 http://www.chem-station.com/yukitopics/oil2.htm
  ―――――――――――――――――――――――――――

日本のCO2排出量とGDP.jpg
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2008年03月05日

●ペットボトルのリサイクルの実態(EJ第2278号)

 しばらくリサイクルの問題を考えてみます。最初にペットボト
ルのリサイクルはどうなっているのでしょうか。
 ペットボトルのリサイクルをはじめたのは1993年――平成
5年からです。この時点からペットボトルの分別回収がはじまっ
たのです。
 ペットボトルは便利なものですが、難点はかさばることです。
したがって、使い終わったペットボトルがゴミとして廃棄物貯蔵
所に持ち込まれたら、たちまち貯蔵所はいっぱいになってしまい
捨てる場所がなくなり、日本の環境は破壊される――だから、分
別回収し、資源を再利用しようということになったのです。
 リサイクルによって資源が再利用され、余分な資源を使わなく
なるので、ペットボトルの販売量の増加は抑えられるはずである
と誰でも考えられます。しかし、現実はどうなっているのかとい
うことはほとんど発表されていないのです。まして、成果が出て
いないと積極的に発表は行われないのです。
 添付ファイルのグラフを見てください。このグラフは、ペット
ボトルのリサイクルを始めた1993年(平成5年)から、20
04年(平成16年)までのペットボトルの消費量、回収量、再
利用量を示しています。
 このグラフで●グラフはペットボトルの生産量ですが、販売量
や消費量を意味しています。○グラフはその回収量をあらわして
いますが、両者は平行しており、両方とも増え続けているという
点が問題です。▲グラフは再利用量ですが、グラフを見てわかる
ように、その数はわずかなものです。
 1993年にペットボトルは約12万トン生産されています。
当時はリサイクルされていませんから、その12万トンはそのま
まゴミになっています。2004年になると、50万トンを超え
ています。国民一人当たりでいえば、500ミリリットルのペッ
トボトルを8日に一本使っていたのが、10年後には2日に一本
使うようになっていることを意味しています。
 1993年におけるペットボトルの形をしたゴミは12万トン
出たのです。それが2004年には51万トンになったのです。
この場合、●グラフと○グラフの差が企業や家庭から捨てられた
ペットボトルの形をしたゴミです。2004年現在の分別回収さ
れたペットボトルは24万トンですから、同年にゴミとして捨て
られたペットボトルは27万トンになるのです。なんと約10年
で倍以上になっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
     51万トン − 24万トン = 27万トン
   1993/12万トン → 2004/27万トン
―――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、この計算は分別回収されたペットボトルがすべて再利
用されるという前提に立った計算なのです。しかし、▲グラフを
みると、2004年時点で約3万トンです。つまり、24万トン
分別回収されても3万トンしか再利用されていない――つまり、
21万トンは回収されても結局はゴミになっているのです。した
がって、2004年のペットボトルのゴミの量は、48万トンと
いうことになるのです。再利用率はわずか6%です。
 しかし、日本の公的機関は「日本はリサイクルの優等生」と発
言しています。それは、そういわないとリサイクルのための予算
が出てこないからです。したがって、専門家も本当のことは口を
閉ざすのです。
 重要なことはペットボトルの分別回収したことによってゴミが
倍以上になったのではないかという疑いです。実は、ペットボト
ルの分別回収を始める前に「あいちごみ仲間ネットワーク会議」
という環境団体の岩月宏子代表は、ペットボトルの分別回収がは
じまると、小さなペットボトルが販売されるようになると予想し
次のように反対していたのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 小さくて気軽に飲むようになり、量が増えると、それだけ回収
 しにくくなる。空き缶みたいな感覚で、道路に捨ててしまう人
 もいるだろう。大量投棄に拍車をかける。
                 ――武田邦彦著/洋泉社刊
          『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』
―――――――――――――――――――――――――――――
 なぜ、リサイクルするとゴミが増えるのでしょうか。
 ペットボトルのゴミが環境に深刻な問題を引き起こすことが誰
の目にも明らかになったとき、有力筋から「リサイクルすれば」
という意見が出ると、生産者である企業も消費者も何となく問題
が解決してしまうような気がするのです。
 ところが、企業も消費者もリサイクルを実施する当事者ではな
いのです。したがって、深く考えることなく、企業は売りやすい
小さなペットボトルを躊躇なく制作し、ますますペットボトルの
消費量が増加してしまったのです。岩月宏子代表の心配が当って
しまったことになります。
 消費者にとってペットボトルのリサイクルとは、飲み終わった
ペットボトルを回収箱に入れるだけです。それでリサイクルした
気持ちになってしまう――消費者なんてそんなものです。実際に
リサイクルがどんなに大変なのかなど考えてもいないのです。
 既出の武田邦彦教授は、ペットボトルのリサイクルについて次
のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ペットボトルのリサイクルは、(1)資源を節約し、(2)ご
 みを減らし、(3)資源をもう一度使う、と喧伝されてきたが
 事実は(1)資源を7倍使い、(2)ごみが7倍増え、(3)
 資源はほとんど再利用されない、というのが実態なのである。
                 ――武田邦彦著/洋泉社刊
          『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』
―――――――――――――――――――――――――――――
             ―――[地球温暖化懐疑論/20]


≪画像および関連情報≫
 ・3Rとは何か
  ―――――――――――――――――――――――――――
  リサイクルとは、本来は再循環を指し、製品化された物を再
  資源化し、新たな製品の原料として利用することである。近
  年は、同一種の製品に再循環できないタイプの再生利用や、
  電化製品や古着などの中古販売についても広くリサイクルと
  呼ばれることが多い。リサイクルは、リデュース――減量、
  リユース――再利用とともに3Rと呼ばれる
                    ――ウィキペディア
  ―――――――――――――――――――――――――――

ペットボトルの消費量とリサイクル量.jpg

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2008年03月06日

●リサイクルすると環境にマイナス(EJ第2279号)

 ペットボトルを一回使って捨てるか、それともリサイクルして
使うか――その利害得失を検討する、武田邦彦教授作成の興味深
い数値モデルがあります。
 武田教授は、このモデルを使って、次の3つのケースについて
比較しているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
    1.ペットボトルを一回使って捨て、焼却する
    2.ペットボトルをリサイクルして使うケース
    3.ペットボトルを5回使って捨て、焼却する
―――――――――――――――――――――――――――――
 これらの3つのケースを検証する前提となる数字をまとめてお
くことにします。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1.1本のペットボトルを石油からつくるのに石油が80グラ
   ムがかかる
 2.1本のペットボトルを捨て、自治体の処理に石油が16グ
   ラムかかる
 3.リサイクルする一連のプロセスにおいて、石油が240グ
   ラムかかる
 4.リサイクルしたペットボトルの成形作業に石油が140グ
   ラムかかる
―――――――――――――――――――――――――――――
 まず、第1のケースから考えます。「ペットボトルを一回使っ
て捨て、焼却する」ケースです。
 このケースは、前提の1が1回、2が1回ですから、「80+
16=96」ということになります。
 次に、第2の「ペットボトルをリサイクルして使うケース」の
場合を考えます。
 このケースは、4つのプロセスにおいて、それぞれ1回ずつ必
要なので「80+16+240+140=476」となります。
しかし、このケースはリサイクルしてもう1回使うので「476
÷2=238」ということになります。
 最後に、「ペットボトルを5回使って捨て、焼却する」ケース
です。このケースは、1と2の「80+16=96」を5回使う
ので、「96÷5=19.2」ということになります。
 以上を整理してまとめると、次のようになります。
―――――――――――――――――――――――――――――
    1.ペットボトルを一回使って捨て、焼却する
       ――  96.0グラム
    2.ペットボトルをリサイクルして使うケース
       ―― 238.0グラム
    3.ペットボトルを5回使って捨て、焼却する
       ――  19.2グラム
―――――――――――――――――――――――――――――
 この結果によってわかるように、ペットボトルをリサイクルす
るよりも、一回使って捨てた方が石油の消費量が少なくて済むの
です。石油の消費量が少なければ、当然CO2の排出量も少ない
ことになります。
 一番環境にとって良いのは、ペットボトルを繰り返し使う方法
です。ここでの想定は5回使うというものですが、5回でなくて
も2回なら48グラム、3回なら32グラムであり、他のケース
に比べてはるかに少ない石油で済むのです。それなのに、なぜ、
リサイクルにこだわるのでしょうか。
 既に見たように、2004年のデータですが、ペットボトルは
年間50万トン以上製造しています。もし、仮にペットボトルを
5回繰り返し使うことが定着したとすると、ペットボトルの消費
量は5分の1の10万トンに減ってしまいます。しかも、5回使
い終わった後でそれを焼却すればゴミはゼロになります。
 そういう状況は、ペットボトルを作っているメーカーが困るの
です。さらにペットボトルの原料を作っている会社、ペットボト
ル飲料を製造している会社も大打撃を受けることになります。そ
れに、リサイクルに対して支出している600億円の税金も根拠
を失い、国も困るのです。
 そういう状況において出てきたのが「ダイオキシン猛毒説」な
のです。内容をまとめると、次のようになります。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1.プラスチックを燃焼すると、ダイオキシンなどの深刻な有
   害物質が発生する
 2.ダイオキシンは史上最悪の毒物であり、プラスチックは燃
   焼すべきではない
 3.しかし、プラスチックを埋め立ててしまうと、廃棄物貯蔵
   施設が満杯になる
―――――――――――――――――――――――――――――
 EJ第2276号で述べたように、ダイオキシンの毒性は報道
されているものとはかなり異なります。したがって、プラスチッ
クを大量に燃やしても深刻な事態にはならないのです。
 しかし、燃焼のしかたには留意すべきことがあります。一般家
庭などから出た廃棄物を燃やして必然的に出る燃えないものの毒
性処理をきちんとやるということです。そうすれば、廃棄物貯蔵
所に行くゴミをゼロにできるのです。
 はじめに「ペットボトルのリサイクルありき」なのです。これ
を前提として、それを正当化する理屈を並べているのです。ダイ
オキシン猛毒説はその理屈のひとつとして登場しているのです。
 もうひとつ、ゴミを「燃えるゴミ」と「燃えないゴミ」に分別
して、行政の指定するゴミ袋に入れて出さなければならないよう
になっています。実はこれがガンになっているのです。
 国民は、ゴミの分別も指定のゴミ袋も「環境のため」というこ
とで、お金がかかっても手間がかかっても我慢してやっているの
です。しかし、それは、むしろ環境のために何の効果ももたらさ
ない面があるのです。   ―――[地球温暖化懐疑論/21]


≪画像および関連情報≫
 ・ゴミの分別できていますか
  ―――――――――――――――――――――――――――
  エコライフの一貫として、実は「ゴミの分別回収」も重要な
  役割を担っています。「燃えるもの」と「燃えないもの」を
  分けることで、廃棄コストの削減につながり、また、ペット
  ボトルや古紙・段ボールといった資源ゴミをリサイクルする
  ことで、資源の有効利用に一役買っているからです。
http://allabout.co.jp/living/mansionlife/closeup/CU20051008A/index.htm
  ―――――――――――――――――――――――――――

武田邦彦教授.jpg


posted by 平野 浩 at 07:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 地球温暖化懐疑論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月07日

●前提条件を再検討すべきである(EJ第2280号)

 ゴミの分別回収が定着してから相当時間が経過しています。ゴ
ミを分別回収するのは、リサイクルして資源を有効に活用するた
めであり、それが環境問題に大きく寄与する――多くの人はそう
信じてやっているのです。しかし、必ずしもリサイクルは環境問
題に寄与しないのです。
 EJの今回のテーマは「地球温暖化懐疑論」です。いろいろな
角度から環境問題の問題点をあえて明らかにしています。しかし
決して環境問題に背中を向けているわけではないのです。
 環境問題に地球規模で取り組むことはとても大事なことです。
いま少しずつそういうムードができつつあり、それは大変望まし
いことです。先進国の中で唯一京都議定書を批准していない米国
でも州ごとにCO2削減に取り組んでいます。
 しかし、現在われわれがやっている環境対策が環境問題の改善
どころか、むしろマイナスに作用するとしたら、どうでしょう。
これは看過できないのではないでしょうか。
 現在われわれが地球温暖化のために取り組んでいる対策には、
前提とされる事実が違っているために正しい方向に向かっている
とは思えないものが多いのです。このテーマを調べていて、そう
いうことを感じています。ゴア氏のいうようにわれわれに残され
ている時間はそんなに多くないのです。したがって、環境対策に
間違いがあってはならないと思います。
 はっきりいって、環境問題はお金になるのです。やり方によっ
ては、なかなか良いビジネスになります。したがって、目的のた
めには手段を選ばない人たちもたくさん出てきています。環境対
策と称して、やると環境にマイナスになること、やってもやらな
くても同じであること――そういうことにお金を注ぎ込むことは
避けるべきです。
 環境問題を前向きにとらえて推進しようという人は、懐疑派の
意見を聞こうとはしないし、本も読みません。たとえ読んでも最
初から色メガネで見ているので、信用しようとしません。
 これに対して、これはおかしいのではないかと考えている懐疑
派の人は推進派の人よりもはるかに多くの事実を調べ、比較し、
研究し、そのうえで異論を述べている――私はそのように考えて
います。だから、彼らの意見も一聴に値すると思うので、こうし
てご紹介をしているわけです。
 今回のテーマを書くために参考にさせていただいている武田邦
彦教授のところには、環境推進派の人たちから多くの批判のメッ
セージが届くそうです。武田氏は次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 私の本を読んだ方の中で、ペットボトルを熱心にリサイクルさ
 れている方から、「武田は地球環境などどうなってもいいとい
 う反環境的な思想を持っている」と批判されたりもしたが、そ
 れはまったく適当ではない。私はこうした計算(EJ第227
 9号でご紹介した計算)から、環境を大切にするためにもペッ
 トボトルを安易にリサイクルに出す気持ちになれないだけだ。
                 ――武田邦彦著/洋泉社刊
         『環境問題はなぜウソがまかり通るのか2』
―――――――――――――――――――――――――――――
 さらに武田教授は、環境問題をまともに取り上げ、研究してい
る武田研究室のスタッフおよび実際にCO2削減を実践している
グループ全体が「環境に背中を向けている」と批判されるのは心
外であるとして、次のようにも述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 私の周りにいる人で「環境が悪くなってもいい」などと言って
 行動している人はほとんどいない。大学生をはじめ、普通に仕
 事で接する人とか、ご商売をしている人、どんな人でも環境に
 は強い関心がある。その人たちはレジ袋などを節約してくださ
 いと言えば、すぐ理解できる。しかし、その人たちを「庶民」
 と呼ばせてもらえば、庶民は「何をすれば環境によいのか?」
 ということがわからない。彼らがわからない原因は、少し傲慢
 な言い方になるが「専門家である私にもわからない」からであ
 る。そして私の見立てでは環境省すらもわかっていない。
                 ――武田邦彦著/洋泉社刊
         『環境問題はなぜウソがまかり通るのか2』
―――――――――――――――――――――――――――――
  さて、一般家庭から出されるゴミを分類すると次のようにな
ります。その割合にも注目してください。
―――――――――――――――――――――――――――――
        生ゴミ類   ・・・ 27%
        プラスチック ・・・ 12%
        繊維など   ・・・  4%
        紙      ・・・ 37%
        草木     ・・・  5%
        不燃物    ・・・ 15%
        ――――――――――――――
                  100%
―――――――――――――――――――――――――――――
 かつてこれらのゴミはゴミ焼却所に運ばれ、燃やして処理をし
ていたのです。つまり、焼却することによって毒物の蓄積を防い
できたのです。
 しかし、最近はダイオキシンや二酸化炭素の関係で「焼却する
のは環境に良くない」ということになっています。これは正反対
の論調です。われわれ国民は専門家にそういわれてしまうと「そ
うかな」と考えてしまいます。
 武田教授の著作の中に、『リサイクル幻想』(文春新書/13
1)というのがあります。この本に「『燃える』とはどういうこ
とか」という一節があります。これを読んで私は、「燃える」と
いう最も日常的なことをいかにこれまで知らなかったかがよくわ
かりました。来週はこの問題について考えることにします。
              ――[地球温暖化懐疑論/22]


≪画像および関連情報≫
 ・「リサイクルの幻想」に関するブログより
  ―――――――――――――――――――――――――――
  自分は基本的に環境保護に賛成の立場です。
  ipodのpodcasts で、 サイエンス・サイトークという番組で
  武田教授の2007年2月18日に「リサイクルの幻想」と
  いう題のお話を聞きました。ペットボトルは再利用がかえっ
  て資源を費やしてしまうという事実は世間にあまり周知され
  ていないですね。環境保護の目的が一緒でも事実認識が違っ
  ていたら努力が無駄になってしまう。
          ――http://taka.hamazo.tv/e386495.html
  ―――――――――――――――――――――――――――

『リサイクル幻想』/武田邦彦著.jpg
posted by 平野 浩 at 04:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 地球温暖化懐疑論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月10日

●家庭ゴミはすべて焼却すべきである(EJ第2281号)

 テレビのサスペンス劇場などで、家の中で人を殺した男が家の
中に灯油を撒いて火のついたライターをポンと投げると、ボッと
火がつく――こういうシーンを何回か目にしたことがあります。
 しかし、このシーンは少しおかしいのです。なぜなら、灯油は
そのときの温度や環境にもよりますが、テレビで見るようにそう
簡単には引火しないからです。
 灯油は引火性はありますが、引火点は40℃以上であり、常温
よりも高いため、常温では引火しないのです。そのようにいうと
いや、あれは灯油ではなく、ガソリンなのだという人がいるかも
知れません。確かにガソリンの引火点はマイナス46℃ですから
簡単に引火します。しかし、ガソリンは灯油のように持ち運べな
いのです。したがって、容器にガソリンを入れて持っていき、部
屋に撒くというのは実際にはあり得ない想定だと思います。
 灯油自身は燃えないのです。灯油がガスになったものが燃える
のです。その灯油をガスにする仕組みを持っている装置が石油ス
トーブです。また、熱い鉄板に上に直接灯油をたらして蒸発させ
るのが石油ファンヒーターです。
 ゴミは昔から焼却することで処理してきたのですが、最近では
ゴミを燃やすと二酸化炭素やダイオキシンが出るということで、
「焼却は環境に良くない」ということになっています。しかし、
その結果として、ゴミを「燃えるゴミ」、「燃えないゴミ」と分
別回収し、燃えないゴミをリサイクルしたり、埋め立てることで
対応してきています。しかし、これによって、廃棄物貯蔵施設が
満杯になってしまったのです。
 分別やリサイクルには膨大なコストがかかります。しかし、そ
のコストに見合う成果が出ているのかというと、きわめて疑問な
のです。そこで、もし、埋め立てていたゴミをすべて焼却した場
合、問題はほとんど解決できるのです。
 ダイオキシンの問題は、焼却の条件を設定すれば何ら問題はな
いのです。焼却は化学反応の一種であり、炭素、水素と酸素の反
応なのです。したがって、毒性の出ないような焼却条件を選べば
良いのです。
 武田邦彦教授によると、家庭から出るゴミの割合が大きく変わ
らない限り、不燃物を除きすべてを混合して焼却すべきであると
いっています。焼却熱が高いものと低いものが混ざってちょうど
良いからです。
 EJ第2280号でご紹介した家庭から出るゴミの割合を再現
し、それぞれのゴミの発熱量を示しておきます。
―――――――――――――――――――――――――――――
           ゴミの割合  物の発熱量(kcal/kg)
  生ゴミ類   ・・・ 27%          930
  プラスチック ・・・ 12%         7260
  繊維など   ・・・  4%         3900
  紙      ・・・ 37%         3130
  草木     ・・・  5%         1570
  不燃物    ・・・ 15%            0
  ――――――――――――――――――――――――――-
            100%   16820
―――――――――――――――――――――――――――――
 もっとも燃やしやすいゴミは、キログラム当り2000〜50
00キロカロリー程度のゴミなのです。このレベルから発熱量が
上がっても下がっても焼却には都合が悪いのです。そういう意味
において、家庭から出るよく燃えるゴミの割合は41%であり、
バランスのとれた割合であるといえます。
 問題はダイオキシンの発生です。「ゴミは全部燃やせ」という
意見に対して必ず出てくる反論は「プラスチックを燃やすとダイ
オキシンが出る」というものです。
 ダイオキシンとは、ベンゼン環とハロゲンを含む化合物です。
ちょっと専門的になりますが、2つのベンゼン環の間が2つの酸
素で結合されているので、「2つのオキシム」――ダイ(2つ)
オキシン(オキシム)と呼ばれるのです。つまり、ベンゼン環に
酸素または塩素が結合し、それが300℃程度で反応して重合し
ベンゼン環2つから成る化合物に変化するのですが、それがダイ
オキシンです。
 プラスチックはハロゲンを含んでいるので、それを燃やすと条
件によってはダイオキシンが出る場合があります。この場合、次
の3つはいずれも正しいといえます。
―――――――――――――――――――――――――――――
        1.出る
        2.出るとは限らない
        3.出ない
―――――――――――――――――――――――――――――
 ハロゲン化合物を含むプラスチックを焼却すると、ダイオキシ
ンが出るのは本当です。化学反応ですから、出やすい条件にして
焼却すればかなりのダイオキシンが「出る」のは事実です。
 このことでわかるように、ハロゲン化合物を含んでいてもダイ
オキシンが「出るとは限らない」というのも事実です。焼却条件
を調節すればハロゲン化合物を含んでいてもダイオキシンは「出
ない」のですから、上記2と3も正しいのです。
 つまり、プラスチックを燃やすとダイオキシンが出るか出ない
かは、次のように条件付きなのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ダイオキシンが出やすい条件で燃やせばダイオキシンは出る
―――――――――――――――――――――――――――――
 ダイオキシンを出ないようにゴミを焼却するのは、そんなに困
難なことではないのです。それほど費用もかからないのです。そ
うであるとすれば、ゴミの分別回収とかリサイクルは一体何だと
いうことになります。
 「ゴミは毒性のガスが出ないように焼却する」――これで問題
は解決することになります。 ―― [地球温暖化懐疑論/23]


≪画像および関連情報≫
 ・ダイオキシンとは何か
  ―――――――――――――――――――――――――――
  ポリ塩化ジベンゾ−パラ−ジオキシン――PCDDとポリ塩
  化ジベンゾフラン――PCDFをまとめてダイオキシン類と
  呼んでいます。添付ファイルの図1にどんな形の化合物であ
  るかを示しました。1〜4と6〜9の位置に塩素の付いたも
  のがダイオキシンです。塩素の数や付く位置によっても形が
  変わるので、PCDDは75種類、PCDFは135種類も
  の仲間があります。 これらは毒性の強さがそれぞれ異なっ
  ており、2と3と7と8の位置に塩素が付いたものがダイオ
  キシンの仲間の中で最も毒性が強いことが知られています。
     ――http://www.erc.pref.fukui.jp/news/d00.html#1
  ―――――――――――――――――――――――――――

ダイオキシンの構造式.jpg

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2008年03月11日

●焼却を前提とするリサイクルに変更(EJ第2282号)

 焼却がリサイクルに置き換えられているせいもあると思います
が、現在のほとんどの自治体の焼却施設は「焚き火の延長のお粗
末さである」――武田教授はそういっています。
 最新鋭焼却プラントの建設費は、従来のものよりも2割ほど割
高になるだけであるといわれます。しかも、焼却のさい出るエネ
ルギーは電力に利用できるのです。
 ドイツの焼却施設には、最新鋭の焼却プラントが稼動している
そうです。日本の自治体にも入っていますが、現在のところごく
一部です。この焼却プラントを使えば、ダイオキシンなどを出さ
ずにほとんどのゴミを焼却できるのです。
 ものを燃やす場合、発熱量の高い物質と一緒に燃やさないと、
完全に燃焼させることは難しいのです。とくにプラスチックは燃
えにくいですが、キログラム当り7260キロカロリーの発熱量
を出すといわれます。
 家庭から出るプラスチックのゴミは約12%ですが、それを分
別して外してしまい、残りのゴミを燃やすとカロリーが低いため
燃えにくいのです。そのため、焼却施設では重油をかけて燃やし
ているのです。まさに本末転倒もいいところです。
 家庭から出るゴミをそのまますべて燃やすと、その発熱量は、
2500キロカロリーぐらいになります。これは次の表からわか
るように「よく燃える」レベルです。
―――――――――――――――――――――――――――――
   燃えない  ・・・・・ 0    〜 1800
   よく燃える ・・・・・ 1800 〜 5500
   装置故障  ・・・・・ 5500 〜 8OOO
          単位=キログラム当りキロカロリー
―――――――――――――――――――――――――――――
 ゴミを焼却すると10分の1から20分の1程度に小さくなる
のです。このようにして、ゴミを燃やしていれば、廃棄物貯蔵施
設が満杯になるのを防ぐことができるのです。
しかも、焼却によって小さくなったものがまた役に立つのです。
ゴミを焼却すると出るものには、次の3つがあります。
―――――――――――――――――――――――――――――
           1.スラグ
           2.メタル
           3.焼却灰
―――――――――――――――――――――――――――――
 ゴミの中で燃えるものを燃やして、その後で残るものとは何で
しょうか。
 まず、土やガラスから成る「スラグ」があります。これは舗装
や埋め立て用に再利用できるのです。これこそ本当のリサイクル
ということになります。スラグの中には有害物質の鉛があります
が、これを技術的に危険のないレベルにすることは可能です。
 続いて、鉄と銅が主成分の「メタル」があります。この中に含
まれる銅についてはとくに貴重であり、資源として再利用すべき
であるし、それは技術的にも可能です。
 最後に「焼却灰」があります。焼却炉内から舞い上がる灰のこ
とですが、この中には水銀、鉛、砒素などの有害物質が多く含ま
れています。
 武田教授はこうした焼却後のゴミの再利用について次のように
述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 焼却した灰の中には、鉄や銅、希少な金属が含まれているので
 すから、国内の「人工鉱山」に埋め、資源の備蓄を心がけるべ
 きです。21世紀の中盤には、世界中で資源不足になります。
 もともと資源のない日本には、幸運なことに外貨がある。外国
 から鉱物を買って一度製品化した後、すべて人工鉱山に貯め、
 将来、これを効率良く取り出す技術を開発すればいいのです。
 リサイクルの「時空性」を良く考え、直ちに循環するのではな
 く、時間をかけて循環することが大切です。 ――武田邦彦氏
 ――『暴走する「地球温暖化論/洗脳・煽動・歪曲の数々」』
                       文藝春秋社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 リサイクルとは何でしょうか。人間がいったん使って捨てたも
のをもう一度製品として再利用することを意味しています。目的
は資源の節約であるというのです。
 しかし、問題はコストなのです。しかも、リサイクルにおける
技術的困難さは、例の古紙再生の失敗を考えてみても、明らかで
あると思います。リサイクルして再製品化できるのはそのほんの
一部でしかないのです。
 一番愚かなことは、食糧や飼料として使えるコーン(トウモロ
コシ)を栽培しても食べないで、直接バイオ燃料化にすることで
す。環境のためといいますが、このような発想が世界中に広がる
と、人類は深刻な食糧危機に直面することになります。
 ここに面白い発想があります。石油はその85%はそのまま燃
やされています。「石油の生焚き」です。その主たる部分は、火
力発電所で稼動させて電気をとるためであり、自動車や航空機に
使われるためであり、または事業所や家庭で、ボイラーや暖房に
使われるのです。すべて石油を燃やしているのです。
 これは非常にもったいないことなのです。そこで発想を転換し
てみるのです。石油はいったんプラスチックや繊維という製品に
して人間が使い、使用後に熱源や発電のために有効に燃やしては
どうかというアイデアです。
 これは、武田教授が主張しているアイデアです。武田教授によ
ると、焼却を前提に考えた場合、石油からプラスチックをどのく
らい作れば有効に使えるかを計算してみると、3000万トンと
いう数字になるというのです。
 しかし、現在は、リサイクルは「善」、焼却は「悪」というイ
メージが完全に定着しています。なぜ、このようなことになった
のでしょうか。       ―― [地球温暖化懐疑論/24]


≪画像および関連情報≫
 ・ウィーンの焼却場について
  ―――――――――――――――――――――――――――
  ウィーンのゴミ焼却場であると同時にその排熱は周辺地域の
  暖房の熱源にもなっています。ダイオキシン発生量を極力抑
  えた最新型の焼却場で、中身はとても機能的な建物です。そ
  の外観デザインを画家のフンデルトヴァッサーが手がけてい
  ます。ちなみに大阪のゴミ焼却場の外観デザインも彼の仕事
  です。
  http://homepage3.nifty.com/archi-jpg/a_map/austria/spittelau.html
  ―――――――――――――――――――――――――――

シュピッテラウ焼却場/ウィーン.jpg
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2008年03月12日

●リサイクルするとゴミが増える(EJ第2283号)

「特定家庭用機器再商品化法」――家電リサイクル法という法
律があります。2001年4月から施行されています。使わなく
なった家電製品――冷蔵庫、エアコン、洗濯機、テレビの4品目
から、鉄、アルミ、ガラスなどの素材を取り出し、再商品化する
というものです。
 このリサイクルは家電リサイクル会社が行うのですが、家電リ
サイクル会社は、家電小売店やメーカーが子会社として設立して
います。リサイクル料金は消費者の負担となっており、冷蔵庫で
5000円程度であり、かなり高額です。
 しかし、果たしてリサイクルして再商品化することができるの
でしょうか。
 それはかなり難しいのです。材料は必ず劣化するからです。そ
れに上記4つの家電製品にはそれぞれ寿命があります。次はメー
カーが念頭に置いている使用期限です。
―――――――――――――――――――――――――――――
      1.冷蔵庫  ・・・・・ 15年
      2.エアコン ・・・・・  8年
      3.洗濯機  ・・・・・ 10年
      4.テレビ  ・・・・・ 12年
―――――――――――――――――――――――――――――
 これらの使用期限を過ぎた家電製品で、もう一度加工して製品
に戻せる材料は、金属材料のごく一部――具体的には銅とアルミ
程度に過ぎないのです。これは容積比で、全体の10%程度しか
ありません。しかも、それをやるには高い技術と相当の時間がか
かるのです。
 武田邦彦教授は、製品リサイクルについて、自虐的に次のよう
に述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 やや逆説的ですが、どうしてもテレビのキャビネットをリサイ
 クルをしたければ、「材料が劣化しないうちに捨てる」しかな
 いでしょう。つまり、テレビを買ったら使わないで捨てれば、
 リサイクルできるということです。
             ――武田邦彦著/文春新書/131
                    『リサイクル幻想』
―――――――――――――――――――――――――――――
 このように、リサイクルに出された家電製品の材料のほとんど
は劣化しているので、家電製品に再利用できないのです。それで
はどうするのかというと、家電製品よりも下位の用途にリサイク
ルされるのです。このようなリサイクルを「カスケード・リサイ
クル」というのです。例えば、テレビのキャビネットは、公園の
杭やベンチなどにカスケード・リサイクルされています。しかし
これには量のバランスが取れないのです。
 なぜなら、使い終わった家電製品はすべてリサイクルに出さな
ければならないことが法律で決まっているので、どうしてもリサ
イクルされる製品はどうしても供給過剰になってしまいます。例
えば、テレビのキャビネットで公園のベンチばかり作ったら、日
本中の公園はベンチで埋まってしまいます。そうすると、それが
さらに新しいゴミを生んでしまうことになるのです。
 この家電リサイクル法より前の2000年に施行された容器包
装リサイクル法――容器包装に係る分別収集及び再商品化に関す
る法律によって、日々のペットボトルを分別して出すことが義務
づけられています。
 しかし、ペットボトルを回収してもそれを同じペットボトルに
再生することはできないことになっています。理由は2つあって
一つは劣化している材料で飲み物を入れる容器としては使えない
ことと、完全に再商品化することは技術的に困難だからです。無
理に再商品化しようとすると、原料である石油からペットボトル
を作るよりも、より多くのエネルギーを必要とするのです。
 この数字を具体的にいうと、ペットボトルを一個作るのに必要
な石油の量を1とすると、リサイクルする場合の石油の量は4に
なるのです。これについて武田教授は次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ペットボトルを石油から作り、消費者の手元に届けるまでの石
 油の使用量は、ボトルの大きさにもよりますが、約40グラム
 です。ところが、このボトルをリサイクルしようとすると、か
 なり理想的にリサイクルが進んでも、150グラム以上、つま
 り4倍近く石油を使うことになります。
             ――武田邦彦著/文春新書/131
                    『リサイクル幻想』
―――――――――――――――――――――――――――――
 リサイクルの難しさを如実に示した例は、トップの辞任にも発
展した古紙偽装問題です。日本製紙のトップは次のように述べて
古紙100%配合紙を廃止すると発表しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 古紙100%配合紙は全く配合していない紙に比べ、製造工程
 では化石燃料由来のCO2排出量が増加するケースがあり、再
 生紙が地球温暖化に与える影響が大きくなっている。
                     ――中村雅知社長
―――――――――――――――――――――――――――――
 新しいクオリティの高い紙を作るよりも、古紙をリサイクルす
る方がエネルギーを余分に消費し、コストがかかるのです。これ
では何のためにやっているのかわからないので、即刻やめるべき
ですが、なぜかそのままやっているのです。本当に理解に苦しむ
ところです。
 家電リサイクル法においては、家電製品一台につき、3000
円〜5000円がかかるのです。家電を分別してリサイクルして
もそこから得られる資源はほとんどないのです。
 家電をゴミとして捨てるお金として考えることもできますが、
それにしても高いのです。ヨーロッパなどては、キログラム当り
10円程度なのです。    ―― [地球温暖化懐疑論/25]


≪画像および関連情報≫
 ・経済産業省/製紙業界に実態調査指示/古紙偽装問題
  ―――――――――――――――――――――――――――
  日本製紙が再生紙の古紙配合率を偽っていた問題で、経済産
  業省は1月17日、日本製紙連合会の鈴木正一郎会長(王子
  製紙会長)を呼び、実態調査を今月中に完了するよう指示し
  た。同省は、日本製紙以外のメーカーでも、コピー用紙など
  再生紙全般で配合率を偽っていた可能性があるとみており、
  調査結果を公表する方針。大手5社を中心に個別ヒアリング
  も実施しており、偽装問題は業界全体に波及してきた。
  http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200801180026a.nwc
  ―――――――――――――――――――――――――――

古紙偽装問題.jpg


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2008年03月13日

●紙の官製リサイクルの問題点(EJ第2284号)

 公認会計士・山田真哉氏の書いたベストセラーに『さおだけ屋
はなぜ潰れないのか?』というのがありましたが、チリ紙交換屋
が姿を消しているのをご存知でしょうか。
 考えてみると、日本は20年以上前から紙のリサイクルを盛ん
にやっていたのです。読み終わった週刊誌や新聞を紐でくくって
おくと、チリ紙交換屋のおじさんがトイレットペーパーと交換し
てくれたです。そのチリ紙交換屋が姿を消しつつあるのです。
 それでは、紙のリサイクルは何のためにやるのでしょうか。
 それは森林資源を守るためである――学校ではそのように子ど
もたちに教えています。現在、このことを疑う人はあまりいない
と思います。どうも、最近の日本人はあまりものごとを深く考え
ないようです。少しでも理屈に合っていると、簡単にそれを信じ
てしまうようです。
 はっきりしていることは日本の森林は紙の原料としてあまり使
われていないということです。森林であれば、どんな森林からも
紙の原料のパルプが採れるわけではないのです。
 それなら、日本以外の森林を使っていることになりますが、ど
この森林を原料として使っていると思いますか。
 何となく南の方――つまり、熱帯雨林とか開発途上国の森林を
頭に描いていないでしょうか。それも違うのです。テレビや新聞
では、熱帯雨林の森林や開発途上国の森林がどんどん減っている
映像をよく見せられるので、そう考えてしまうのです。
 森林を大別すると、次の2つになりますが、1990年までの
15年間でみると、開発途上国や熱帯雨林の森林が大きく減少し
ているのに対し、先進国の森林はわずかながら増加しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
    先進国の森林   ・・・・・ +1%増加
    開発途上国の森林 ・・・・・ −7%減少
―――――――――――――――――――――――――――――
 ところで、日本人が使っている紙の原料は、そのほとんどが北
方の先進国の森林から採られているのです。紙の原料であるパル
プは次のように先進国の森林から多く採れるのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
   先進国の森林   ・・・・・ 全体の14.0%
   開発途上国の森林 ・・・・・ 全体の 2.5%
―――――――――――――――――――――――――――――
 森林を守って環境を保護しよう――一見このスローガンは正し
いように響きます。しかし、自然を守れの名の下に森林を保護し
ようとすると木材の需要が減少するのです。しかし、森林という
ものは、太陽の光を受けて成長するので、絶えず成長分をカット
していかないと、森林は育たないのです。
 現在、北欧の森林が環境運動の高まりによって、木が腐りつつ
あるというのです。これが事実なら、環境運動は環境を破壊して
いることになります。本末転倒とはこういうことをいうのです。
 ところで、チリ紙交換屋の話です。チリ紙交換は、家庭では不
要なものから有用なもの(チリ紙)を得ることができ、回収を行
う業者にとっては、集めた紙を売ることによって利益を得ること
ができる――しかも、回収した紙はリサイクルされるので環境に
良いというのですから、理想的な古紙回収方法だったのです。
 もちろん、そこには1円の税金も使っていないのです。国民の
側からみれば願ってもないシステムであったといえます。しかし
そのシステムを壊したのは、製紙業界と自治体なのです。それに
国が環境運動の名の下に強力な後押しをしたのです。
 製紙業界としては、何とかして古紙の価格を下げたかったので
す。添付ファイルの上のグラフを見てください。これは、チリ紙
交換屋が追放される前の古紙の価格です。1972年から198
5年までの古紙の価格は、最も安いときでキログラム当り10円
高いときで50円となっており、価格幅はかなり大きいといえま
す。それでも徐々に平均化され、15円から20円台になってき
ていたのです。
 しかし、製紙業界は不満で、これをもっと下げようとして経済
産業省に働きかけたのです。その結果、折からの環境運動の高ま
りを利用して、チリ紙交換屋による民間リサイクルを官製リサイ
クルに変更してしまったのです。
 その結果は歴然としています。添付ファイルの下のグラフを見
るとわかるように古紙の価格は15円から下落して、1998年
頃から10円を割り込み、さらに下がりつつあります。一体どう
してこんなに下がったのでしょうか。
 それは官製リサイクルになったからです。官製リサイクルにな
ると、自治体は特定の古紙回収業者――政治力のある業者と契約
し、回収を委託するとともに、子供会、老人会、自治会などのボ
ランティアにも呼びかけて、古紙を集めて自治体に届けると何が
しかの小遣いがもらえるようにしたのです。この場合、特定の古
紙回収業者に支払われるお金や子供会や老人会などのボランティ
アに渡す小遣いには国民の税金が使われているのです。
 民間リサイクルのときは、チリ紙交換屋が持ってきた古紙を製
紙業者がお金を払って買い取っていたのです。あくまで民と民の
取引であり、そこには税金の入る余地はないのです。
 しかし、官製リサイクルになると、製紙業者がチリ紙交換屋に
支払っていたお金は不要になり、すべてが国民の税金から支払わ
れるようになったのです。製紙業者にとってこんなうまい話はな
いのです。だからこそ、それこそ必死で経済産業省に働きかけた
のです。「環境の名の下に」――すべてがこの言葉で美化されて
しまっているのです。
 結局損をしたのはそんなことに税金を使われる国民とチリ紙交
換屋です。民から官への移管です。一昔前に戻っています。しか
も、一番得をした製紙業者が古紙再生を偽装していたのです。技
術的に100%古紙再生は技術的に不可能である、と。何をいま
さらです。結局、環境には何も役立っていないのです。 
              ―― [地球温暖化懐疑論/26]


≪画像および関連情報≫
 ・製紙会社OBのブログより
  ―――――――――――――――――――――――――――
  私は常々日本の製紙技術は世界最高水準を行くと確信してい
  ると言ってきた。それは日米両国の製紙会社を経験し、その
  現場や技術者に接してきたし、原木(原料)の相違点、需要
  家の紙質ないしは品質受け入れ基準の違い等々に接してきた
  から言えることであると思う。日本の古紙回収→再生システ
  ム、その再生の技術は世界に比類ないものとも信じている。
  その技術を以てしても年賀葉書に5〜20%残しの配合が限
  度で、40%はあり得ないのである(日本製紙の当初の弁明
  より引用)。コピー用紙(PPC)にしても現在のような高
  速コピー機が広く普及している時代にあっては、偽装とされ
  た配合率がユーザや消費者を満足させるものなのである。
  ――http://chomon-ryojiro.iza.ne.jp/blog/entry/465398/
  ―――――――――――――――――――――――――――

古紙価格の推移.jpg
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2008年03月14日

●ペットボトルのリサイクルは意義があるのか(EJ第2285号)

 ここまで調べてきていろいろなことがわかってきています。こ
こでもう一度リサイクルの目的をペットボトルのケースで考えて
みましょう。
―――――――――――――――――――――――――――――
      1.資源である石油を無駄にしない
      2.CO2の排出量を極力抑制する
―――――――――――――――――――――――――――――
 学者でも何でもないごく普通の人は、ペットボトルをリサイク
ルするといえば、一度使ったペットボトルが回収され、何らかの
再生過程を経て元のペットボトルとして使用可能になり、再び店
頭に並ぶと考えます。
 しかも、それがCO2の排出量の削減につながり、環境にやさ
しいというのですから、面倒なゴミの分別作業も仕方がないかと
いう気持になるというものです。
 しかし、実際はそうではないようなのです。ペットボトルのリ
サイクルは、非常に効率が悪く、再商品化できるのは回収された
ペットボトルのごく一部であるうえ、再生するには新たに生産す
るよりも多くの石油を使い、かえってCO2を多く排出すること
になるというのです。
 ところで、ペットボトルはどのように作られるのでしょうか。
 ペットボトルは、石油精製の過程でできるテレフタル酸とエチ
レングリコールを合成し、高温でポリエステルというプラスチッ
クにし、ブロー成型という成型過程を経て完成します。これを飲
料容器として利用するときは、ラベルを貼り、飲料を充填し、ト
ラックで運んで、やっと店頭に並ぶわけです。
 ペットボトルをリサイクルするときは、ボトルを回収して異物
を選別して、ラベルを剥がします。このラベル剥がしがかなり大
変であるといわれます。そして、新しいボトルを製造するときと
ほぼ同様のプロセスを経てリサイクルされます。
 しかし、既に述べたように「使えば材料は劣化する」というこ
ともあり、どうしても下位の用途に使わざるを得ない――すなわ
ち、カスケード・リサイクルになるのです。さらに、リサイクル
したペットボトルは、現在のところ衛生上の観点からペットボト
ルとしては利用されていないのです。
 しかも、ペットボトルを石油から作って店頭に並べるまでに使
う石油の使用量は約40グラムであるのに、リサイクルの場合は
約150グラムくらい必要になるのです。つまり、新しく作るの
に比べてリサイクルはその4倍の石油を使うのです。これでは、
リサイクルの2つの上記目的を両方とも果たせないことになって
しまいます。
 実は、リサイクルをするということで一番困るのがそれがペッ
トボトルを製造する側の免罪符になってしまうことなのです。そ
れまでは、資源も有効活用しなければならないし、環境にも配慮
する必要があるということで抑制気味だったものが、どうせ、リ
サイクルをするのだからということで、気にしないで大量生産に
入ってしまうことです。
 ペットボトルもリサイクルが始まるときには、1年で15万ト
ン程度であったものが、その後10年経過したら、生産量は年間
で50万トンを超えて、さらに増え続けているのです。しかし、
リサイクルの方はほとんど進んでいないのです。
 それでは、分別回収されたペットボトルはどこに行ってしまう
のでしょうか。
 この疑問に答える前に、リサイクルを定めた「○○リサイクル
法」という法律について研究する必要があります。ペットボトル
の場合は、「容器包装リサイクル法」ということになります。
 この「容器包装リサイクル法」ですが、これは略称であって、
本当の名前は次のようになっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 「容器包装リサイクル法」=
 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律
―――――――――――――――――――――――――――――
 法律名にはどこにも「リサイクル」の文字はなく、「再商品化
の促進」という曖昧な表現になっています。法律の規定によると
この法律の目的は、分別、回収、処理に限定されていますが、こ
れらは次のような機関や団体によって実施されるのです。しかし
これらの団体の中心の作業は「回収」であって、リサイクルにつ
いての責任は曖昧なのです。要するに、リサイクルについては、
一応義務はあるものの、そこに明確な責任はないのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
    1.PETボトルリサイクル推進協議会
    2.(財)日本容器包装リサイクル協会
    3.アルミ缶リサイクル協会
    4.飲料用紙容器リサイクル協議会
    5.紙製容器包装リサイクル推進協議会
    6.ガラスびんリサイクル促進協議会
    7.スチール缶リサイクル協会
    8.プラスチック容器包装リサイクル協議会
―――――――――――――――――――――――――――――
 それにしても、「容器包装リサイクル法」に関する団体だけで
このように8つもあるのです。この中の財団法人日本容器包装リ
サイクル協会は「再商品化率」という数値を発表していますが、
その計算式は次のようになっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
          ペットボトル本体をフレークにした量
 再商品化率 = ―――――――――――――――――――
             指定業者に渡された量
―――――――――――――――――――――――――――――
 フレークはペットボトルを素材の薄片状にしたものです。自治
体によっては、業者に渡した量を「再商品化」としているケース
もあるということです。   ―― [地球温暖化懐疑論/27]


≪画像および関連情報≫
 ●回収率の定義改訂、旧回収率から新回収率へ
  ―――――――――――――――――――――――――――
  使用済みPETボトルの回収率はこれまで分母に指定PET
  ボトル用樹脂生産量を用いていましたが、今回、産構審のガ
  イドラインに従い指定PETボトル販売量に変更しました。
  また、分子の一部である事業系回収量をボトル製造時の成形
  ロスを除いた使用済み指定PETボトル事業系回収量(以下
  事業系ボトル回収量)に変更しました。以後、これまでの回
  収率を「旧回収率」、改訂された回収率を「新回収率」と呼
  びます。    http://www.petbottle-rec.gr.jp/top.html
  ―――――――――――――――――――――――――――

プラスチックの再生プロセス.jpg


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2008年03月17日

●専門家はなぜ沈黙を守るのか(EJ第2286号)

 「地球温暖化懐疑論」というタイトルで、環境問題を取り上げ
て今回で28回目です。そろそろまとめに入る時点にきていると
思います。
 ここまで述べてきたように、現在各国が取り組んでいる環境対
策は、地球温暖化にストップをかけるという本来の目的を外れて
きわめて政治的な色彩の濃いものになりつつあります。
 2008年3月15日の日本経済新聞には、次の記事が掲載さ
れています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 欧州連合(EU)は14日に首脳会議を開き、温暖化対策が遅
 れる国には製品輸入を規制する対抗策を取る方針を決めた。ま
 た、年600億ユーロ(約9兆5000億円)にのぼるコスト
 負担を避ける狙いから、EU企業が米国や中国などに生産拠点
 を移すのを防ぐ。EUは京都議定書以降の取り組みを定めた包
 括的な温暖化対策で基本合意。
          ――2008.3.15付、日本経済新聞
―――――――――――――――――――――――――――――
 これを見てわかるように、明らかに地球温暖化問題はEUを中
心とする国際政治戦略になっているのです。日本は、環境問題に
熱心なEUと京都議定書に参加していない米国や中国のはざまで
最も損な立場になる恐れがあることは既に述べた通りです。
 本当に地球温暖化にストップをかけるには、当たり前のことで
すが、正しい環境対策が必要なのです。そのためには専門家、す
なわち、学者たちがもっとしっかりする必要があります。
 「ラッセル・アインシュタイン宣言」――こういう宣言をご存
知でしょうか。
 1955年のことです。あのアルベルト・アインシュタインと
英国の哲学者であり、数学者であったバートランド・ラッセル卿
が発起人になって、当時の第一線級の科学者11人が集まって行
われた宣言のことです。この宣言は次の内容だったのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
    「ラッセル・アインシュタイン宣言」
     核兵器の廃絶と科学技術の平和利用を訴える
―――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、この宣言をした科学者たちの頭の中には「環境」とい
う意識はなかったようです。それから7年後の1962年になっ
て、米国の女性生物学者レイチェル・ルイーズ・カーソンの次の
有名な本が出たのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
  レイチェル・ルイーズ・カーソン著
  『沈黙の春』/Silent Spring, ISBN 978-4102074015
―――――――――――――――――――――――――――――
 この本は、DDTをはじめとする農薬などの化学物質の危険性
を鳥たちが鳴かなくなった春という出来事を通して訴えた作品で
す。この本は米国内だけでなく世界に衝撃を与え、当時米政府が
推進していた「化学薬品による有害生物絶滅計画」が、この本に
よって中止になったほどの影響があったのです。
 しかし、執筆から40年以上経過した現時点の最新の科学的知
見から見ると、その主張の根拠となった1950年代の知見の中
には、疑問符が付けられたものも多く存在しますが、本書が環境
問題の告発という人類史上重要な役割を果たしたという評価には
いささかも変わりはないといえます。
 しかし、現時点では、環境問題には誰も反対できない雰囲気が
出来上がっています。まさに「錦の御旗」です。これを利用して
メディアや政治家を巻き込んだ利権グループが自分たちに都合の
良いように法整備を進めてきたのです。問題はそれが必ずしも地
球温暖化を止める環境対策になっていない点です。
 ペットボトルのリサイクルしかり、スーパーのレジ袋廃止しか
り、ゴミの分別回収しかりです。こういう事態に環境問題の学者
たちの意見や提言があまりにも弱いように感じますが、一体どう
なっているのでしょうか。
 日本には、循環型社会形成推進基本法という法律があります。
これは、日本における循環社会の形成を推進する基本的な枠組み
となる法律です。これによって、廃棄物・リサイクル政策の基盤
が確立されているのです。
 この法律はどのようにして形成されたのでしょうか。武田邦彦
教授は次のようにその実情を明かしています。
 5人の官僚と5人の学者が集まって、環境に関するある政策を
決めたとします。この場合、官僚側からはいくつかの基本線が示
されます。そうでないと予算が出ないからといわれると、学者は
弱いものです。お金がないと研究活動はできないので、官僚の示
す基本線に異議があってもOKせざるを得ないのです。
 続いて、この政策を審議会にかけて承認させる必要があるので
すが、そこは官僚が入っていますから、その政策は審議会でオー
ソライズされます。審議会でオーソライズされると資金――研究
的競争資金という補助金が出るのです。この資金は総額で数兆円
規模という巨額なものです。
 補助金を手にした5人の学者は、自分の関係する学者たちにお
金――数百万円程度を配ります。そのときこう聞くそうです。こ
れを食べたいかと。学者たちはお金が欲しいので、「はい、食べ
たいです」と答えることになります。武田教授はこれを「青虫を
食べる」と表現しています。
 一度でも青虫を食べてしまうと、約3年で報告書を書く義務を
負うことになります。この場合、このお金は循環型社会形成に関
する資金であるので、報告書にはリサイクルの手法や成功例を書
くことになります。
 このあとに「循環型社会形成推進基本法」の原案が出てきたの
です。これに反対の意見を持つ学者でも、青虫を食べてしまった
あとでは反対できないことになります。いわば補助金は国からの
賄賂だと武田教授はいうのです。― [地球温暖化懐疑論/28]


≪画像および関連情報≫
 ●レイチェル・ルイーズ・カーソンについて
  ―――――――――――――――――――――――――――
  レイチェル・ルイーズ・カーソンは、1907年に米国のペ
  ンシルベニア州に生まれ、1960年代に環境問題を告発し
  た生物学者である。米国の内務省魚類野性生物局の水産生物
  学者として自然科学を研究。当時、州当局が積極的に散布し
  ていたDDTなどの合成化学物質の蓄積が環境悪化を招くこ
  とはまだ顕在化しておらず、その啓蒙活動を行った彼女の意
  義は大きかったのである。      ――ウィキペディア
  ―――――――――――――――――――――――――――

レイチェル・ルイーズ・カーソン.jpg
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2008年03月18日

●反対意見の中に真理がある(EJ第2287号)

 既に「錦の御旗」になっている環境問題――これに対する国の
環境対策に本を出したり、マスコミに登場したりして、堂々と異
を唱えている学者は、私の知る限り5人ほどおられます。
―――――――――――――――――――――――――――――
   武田 邦彦氏 ・・・・・    中部大学教授
   池田 清彦氏 ・・・・・   早稲田大学教授
   渡辺  正氏 ・・・・・    東京大学教授
   伊藤 公紀氏 ・・・・・  横浜国立大学教授
   薬師院仁志氏 ・・・・・ 帝塚山学院大学教授
―――――――――――――――――――――――――――――
 この中でも急先鋒なのは、おそらく武田邦彦教授ではないかと
思います。EJでは、とくに武田教授の所説を中心にここまでご
紹介してきております。
 武田教授の主張する日本の環境対策への反論は常識的に考えて
も納得のいくものであり、まさに目からウロコであるからです。
しかし、武田教授に関しては賞賛も多い一方で、理不尽なバッシ
ングも少なくないそうです。
 これに関して武田教授は、自分に対する攻撃は学問とは何かを
よく考えていない人のそれであるといっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 学問というのは、ある現象に対してひとつの見方があれば、そ
 れを覆すような考え方もあることを互いに認め合うものです。
 それぞれの人が個々の考えを持っていて、それを尊重しあう。
 自分と違う考えを聞くことによって、なるほどこういう事実に
 対してこういう見方もあるんだなという視点を得る。それ自身
 がある意味、学問のひとつの形です。ですから、間違っている
 かどうかは究極的にわからないわけで、あなたはこういう考え
 を持っていて私はこういう考えを持っているという相互理解が
 学問の世界の前提です。(中略)学問の自由とか言論の自由と
 いうものは、そのときの権力、政府、巨大な組織に批判的、懐
 疑的だからこそ獲得できるもので、自ら権力にすり寄ったら自
 由は発揮できません。その点でも勘違いして「公的発表と違う
 から武田の数値は誤っている」と堂々と書かれる大学の先生が
 おられるのはビックリします。  ――武田邦彦著/洋泉社刊
         『環境問題はなぜウソがまかり通るのか2』
―――――――――――――――――――――――――――――
 国の施策というものは、さまざまな人の知恵が少しずつ追加さ
れていくというのが望ましいと武田教授はいいます。この方式な
ら、あとで前に決めたことが違っていることに気が付いた場合、
容易に修正できるからです。
 しかし、実際は最初に少数の人で決めた基本線が絶対的に正し
いということになってしまい、後からは誰が何をいっても変更で
きない仕組みになっているのです。環境問題もまさにそうなって
いると武田教授はいいます。
 その最初の基本線を決める委員を官僚が選ぶとき、官僚が考え
ていることに正面切って反対の意見を唱える人――例えば武田教
授のような人は絶対に選ばれることはないのです。このようにし
て、官僚が自らの省の省益をベースに考えている線で基本線が決
められると、あとはそのまま突っ走ってしまうのです。
 そして、後からそれが明らかに間違っていると気づいても絶対
に路線は変更されることはなく、そのまま政策が進められるのが
常です。官僚の考えていることにいかに間違いが多いかは、昨今
の年金問題、道路問題、防衛省問題などを考えてみれば容易にわ
かると思います。
 環境問題に限らず国として何かを研究しようというとき、最初
の基本線を決める段階で、官僚の考えていることに賛成派の人が
80%、反対派の人が20%にする構成にし、競争的競争資金も
その割合で配分せよと武田教授はいっていますが、官僚中心国家
になっている日本ではそういうことは難しいと考えます。
 武田教授にしても、池田教授にしても、ネットなどではボロク
ソにいわれていますが、テレビで環境問題について公開討論を呼
びかけても一向に相手があらわれないといいます。これについて
池田清彦教授は次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 世間の通説について、誰かが「それはウソだろ」と言った時、
 自分でもそれまでわかっていて黙っていた人たちは「これはヤ
 バイ」と、ただひたすら沈黙を守っているわけです。嵐が過ぎ
 るのを待って、「あいつが死んだらまた何か始めようか」とか
 「年だからそろそろくたばるか」とかそういう話にしかならな
 い。                  ――池田清彦教授
                 ――武田邦彦著/洋泉社刊
         『環境問題はなぜウソがまかり通るのか2』
―――――――――――――――――――――――――――――
 実に情けない日本の実情ですが、これからの時代を担う日本の
若者のさらに情けない実態が明らかになっています。次のデータ
は、10年ほど前に日本、米国、中国の高校生にアンケート調査
した結果です。数字は%、各項目を良しとする割合です。
―――――――――――――――――――――――――――――
              日本   米国    中国
  先生に反抗する    70.1  15.8  18.8%
  親に反抗する     84.7  16.1  14.7%
  学校をずる休みする  66.2  21.5   9.5%
  売春をすること    25.3 ―――    2.5%
  性的サイトを見る   70.1 ―――    6.1%
             ――日本少年研究所/1996
―――――――――――――――――――――――――――――
 ゴミの処理は基本的にはマナーの問題です。いくらマナーを守
っても、約束を守らないゴミの不法投棄が増えれば、どのような
立派な環境対策も実施してもすべてが無意味になってしまうから
です。           ―― [地球温暖化懐疑論/29]


≪画像および関連情報≫
 ●武田邦彦氏の講演より
  ―――――――――――――――――――――――――――
  「地球」の温度はあまり変わっていませんが、私たちが生活
  をしている「地表」の気温は高くなってきています。「地球
  温暖化」という言葉を使っているのは日本だけで普通は「気
  候の温暖化」と言います。気候が温暖化しているという理由
  は二つ考えられます。
   1)太陽からの熱が増えた
   2)地球から宇宙へ逃げる熱が減った
  大気の温度は太陽からの熱と宇宙へ逃げる熱のバランスで決
  まっています。そして、現在の気候の温暖化がどちらかは結
  論がでていないのです。
  http://homepage2.nifty.com/shokuiku/subkankyou0311.htm
  ―――――――――――――――――――――――――――

日本の環境対策に反論する学者.jpg
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2008年03月19日

●ゴアが取り上げた10の誤解(EJ第2288号)

 世界各国が真剣に取り組まざるを得ない地球温暖化問題――今
回のEJのレポートは、現在わが国が取り組んでいる地球温暖化
対策について批判的な立場に重点を置いてここまでレポートして
きました。
 ゴア氏の『不都合な真実』の最後の部分――「気候の危機の解
決に手を貸すためにできること」の部分に「地球温暖化をめぐる
ありがちな10の誤解」をまとめています。
 果たして誤解であるかどうかは別として、これを取り上げてみ
たいと思います。これらの10の誤解は、地球温暖化に関する反
論をまとめたものと考えられます。
 ゴア氏の指摘する10の誤解をすべて出したうえで、コメント
をすることにします。
―――――――――――――――――――――――――――――
 [誤解 1]/人間が地球の気候変動を引き起こしているのか
 どうかに関して、科学者の意見は一致していない。
 [誤解 2]/気候に影響を与える可能性のあるものはたくさ
 んある。だから、二酸化炭素だけを取り出して心配すべき理由
 はない。
 [誤解 3]/気候とは、時の経過とともに自然に移り変わる
 ものだ。だから、私たちが今見ている変化はどれも、自然の周
 期の一環にすぎない。
 [誤解 4]/オゾン層の穴が地球の温暖化をもたらしている
 のだ。
 [誤解 5]/温暖化について自分たちにできることはない。
 すでに手遅れだ。
 [誤解 6]/南極の氷床は大きくなりつつある。だから、温
 暖化のせいで氷河や海氷が溶けているというのは、本当のはず
 はない。
 [誤解 7]/地球温暖化はよいことだ。なぜなら、寒さの厳
 しい冬がなくなるし、植物の成長も早くなるから。
 [誤解 8]/科学者が記録している温暖化とは、単にヒート
 アイランドの影響であって温室効果ガスには何ら関係がない。
 [誤解 9]/温暖化の原因は、20世紀の初めにシベリアに
 衝突したいん石である。
 [誤解10]/気温が上がっていない場所がある。だから、温
 暖化なんて嘘っぱちである。
               ――アル・ゴア著/枝廣淳子訳
       『不都合な真実』より ランダムハウス講談社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 ゴア氏がなぜこれらの「10の誤解」を本の巻末に置いたかで
すが、それは少なからずある地球温暖化の対する懐疑的意見にも
配慮して、それに反論することによって、自己の主張の正当性を
強調したかったものと思われます。
 しかし、よく見るとわかるように、これら1Oの誤解はいずれ
も核心を衝く誤解になっていないのです。なかでも「誤解9」と
「誤解10」に関しては、コメントの余地はないと思います。
 さらに「誤解6」の海水面の上昇の問題、「誤解7」の温暖化
はマイナスばかりではないということ、「誤解8」の気温測定の
問題については、既に本レポートで検討をしたテーマです。
 「誤解4」のオゾン層の破壊の問題は荒唐無稽であり、そのよ
うなことを主張している人がいるとはとうてい思えないです。オ
ゾン層の破壊は事実であり、人類にとって深刻な問題です。
 オゾン層というのは、地上から10〜50キロメートルほどの
成層圏にあるもので、このオゾン層によって、太陽がもたらす有
害な紫外線から生物は守られているのです。ところが、このオゾ
ン層が破壊されて、オゾンホールができていることが南極上空で
発見されたのです。1985年のことです。
 破壊の主な原因は、冷蔵庫、クーラー、ヘアスプレーの噴射剤
など、日常生活で使われているフロンガスだったのです。オゾン
ホールの発見によって、国際的な対策のひとつとして、ウィーン
条約で、オゾン層保護が採択され、日本は1988年に加入して
います。この条約には、2007年11月現在、190ヶ国およ
びEUが締結しているのです。
 「誤解1」「誤解2」「誤解3」はいずれも、地球温暖化は自
然現象であって、人知の及ぶものではないということをいってい
るのだと思います。しかし、これは明らかに誤っている考え方で
あり、確かに人間は地球環境を汚しています。
 昔から人間は自然からエネルギーを受け取り、それを使って活
動してきたのです。とくに農業社会では、すべて自然から種、土
地、水をもらい、食料を作ったのです。工業社会でも自然から原
材料を確保し、石炭を焚いて動力としたのです。
 そして、使い終わったものは川に流し、裏山に捨てたりしてい
たのです。それでも廃棄物は自然が片付けていてくれたのです。
つまり、最初のうちは自然の浄化装置が働いていたのです。
 添付ファイルを見てください。これは、武田邦彦教授が作られ
た図ですが、人間の活動である「活動系」と自然の「回生系」の
関係を示しています。
 上の図が「昔の循環」、下の図は「現代の循環」です。昔――
1940年以前は人間の活動系の流れよりも、自然の回生系の流
れが大きかったので、自然の浄化装置が働いていたのです。した
がって、何の問題も起こらなかったのです。しかし、1940年
を超えると、人間の活動が自然の回生系を上回るようになったの
です。つまり、自然が回生し切れなくなったのです。自然の浄化
装置の能力を超えてしまったわけです。したがって、「誤解1」
〜「誤解3」は本当に誤解なのです。CO2にしてもこのまま野
放しにしてはならないのです。
 そうすると最後に「5」が残ります。ゴア氏が一番いいたかっ
たことはこれだったのではないでしょうか。事実彼自身この誤解
は最悪であるといっています。手遅れなどではない。これからで
も十分間に合う、と。    ―― [地球温暖化懐疑論/30]


≪画像および関連情報≫
 ●オゾン層と紫外線について
  ―――――――――――――――――――――――――――
  オゾン層は、太陽からの有害な紫外線の多くを吸収し、地上
  の生態系を保護する役割を果たしている。紫外線は波長によ
  ってUV−A、UV−B、UV−Cに分類される。最も波長
  が短く有害なUV−Cはオゾン層によって完全に吸収され、
  地表に届くことはない。UV−AとUV−Cの中間の波長を
  持つUV−Bは、そのほとんどがオゾン層によって吸収され
  るが、その一部は地表に到達し、皮膚の炎症や皮膚がんの原
  因となる。最も波長の長いUV−Aは、大半が吸収されずに
  地表に到達するが、有害性はUV−Bよりも小さい。
                    ――ウィキペディア
  ―――――――――――――――――――――――――――

1940年以前と以後の循環.jpg

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2008年03月21日

●地球温暖化よりもっと怖い石油枯渇(EJ第2289号)

 現在、われわれ日本人は、何となく汚れた環境の中で生活して
いると考えていないでしょうか。
 結論からいうと、それは錯覚なのです。日本は世界に誇るべき
高度な環境技術を持っており、環境の汚染を目に見えて改善して
いるのです。
 実際問題として空気も水もとてもきれいになっているのです。
とくに日本の水道水は世界でもトップクラスであり、そのまま飲
んでも大丈夫です。しかもその安全性にいたっては、皮肉なこと
に市販の水よりも高いといわれているほどです。
 さらに食物も新鮮だし安全といいたいところですが、賞味期限
偽装や中国産ギョーザ事件で食の不安は高まっています。しかし
それでも国産の食品は世界的に見て安全といえます。
 人間の活動が急激に増えて、環境に大きな影響を与えたのは今
から200年前と70年前の2回だけです。200年前とは、産
業革命が成功し、蒸気機関が発明され、機械による大量生産がは
じまったときです。70年前とは、第2次世界大戦の直前におい
て工業技術が急速に発達した時代です。
 添付ファイルのグラフを見てください。グラフの下方に「自然
の活動による放出」というタイトルの付いた横線があります。自
然の活動による放出とは、大自然が火山の活動や生物の腐敗など
で硫黄を空気中に放出することを意味しています。その量はおよ
そ30兆グラムといわれています。しかし、グラフの線が横一線
になっているのは、自然は自らが出すものは自らが片付けている
からであり、だから一定を保っているのです。
 しかし、今から約70年前/1938年頃になると、人間の活
動が盛んになるにつれて、石炭や石油、鉱石の精錬などで硫黄の
放出量が高くなり、遂に1940年には人間の活動によって排出
する硫黄の量が、自然の出す硫黄の放出量を上回ってしまうので
す。かくして、「人間の活動による放出」のグラフが急上昇して
いくのです。
 1940年を超えると、環境への影響/公害が次々と発生した
のです。1952年のロンドンにおいて、1万人以上の死者を出
したスモッグ事件、日本においても1953年の水俣での公害患
者の発生に始まる次の4大公害事件が起こったのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1.水俣病/水俣市不知火海沿岸地域 ・・・ 1953年
 2.第2水俣病/新潟県阿賀野川流域 ・・・ 1967年
 3.イタイイタイ病/富山県神通川流域 ・・ 1968年
 4.四日市喘息/三重県四日市石油化学 ・・ 1967年
―――――――――――――――――――――――――――――
 EJ第2286号でご紹介したレイチェル・ルイーズ・カーソ
ンの『沈黙の春』はこういうときに発刊されたのです。環境問題
がこの本を契機に一気に社会問題化したのは当然でしょう。
 添付ファイルのグラフをもう一度見ていただきたいのです。こ
のグラフには、日本のダイオキシン排出量(−■−)、二酸化炭
素濃度(−○−)のグラフが加えられています。これを見ると、
1950年から1970年までの20年間というのは環境にとっ
て大変な時代だったということがわかります。
 しかし、日本は優れた環境技術の開発によって、この環境危機
を乗り超えています。ダイオキシンや二酸化炭素濃度は1970
年をピークに急激に下がり、現在では何も問題がないレベルにま
で達しているのです。
 環境に問題があると、一番身体の弱い乳幼児やお年寄りが真っ
先に被害を受けることになりますが、日本の乳幼児死亡率やお年
寄りの死亡率は世界でもっとも低い水準にあるのです。それは、
日本の環境が健全であることの何よりもの証明です。そういう意
味で、日本人はもっと環境問題に対して自信と誇りを持ち、世界
をリードするぐらいの気概が欲しいものです。
 しかし、ここにきて日本の環境対策には大きな疑問がいくつも
出てきています。最初のボタンのかけ間違いをしたのか、何かが
おかしくなっています。国民が努力して行っていることが、肝心
の目的の達成に結びつく可能性が低いからです。
 目下のところ世界レベルの環境問題は、各国の生産量の拡大に
よるCO2の排出量の増加が地球温暖化の危機を引き起こすとい
うものですが、CO2の問題はそんなに心配しなくても良いとい
う説もあるのです。
 それはどうしてかというと、そう遠くない将来に石油が枯渇す
るからというものです。これは実に恐ろしい話です。地球温暖化
と石油の枯渇は、確かに両方とも怖いですが、これら2つの危機
は同時には来ず、確実に石油の枯渇の方が先に来るのです。
 石油の枯渇が先に来ると、人類はCO2を排出したくてもでき
なくなります。現在の地球温暖化危機論は、石油が永遠に使える
という前提に立っているといえます。
 いや、石油は枯渇することは多くの人はわかっていますが、現
実問題としては認識できていないのです。それは、「いずれ」で
あって、そんなに「すぐ」には来ないと考えている人が多いから
です。また、そんなこと恐ろし過ぎて現実的に考えられないとい
う人もいるでしょう。
 まだまだ石油は枯渇しないと考える人もいます。しかし、昨年
来からの「1バレル=100ドル」を軽くオーバーする原油高は
今までにないものです。なぜ、原油価格が下がらないかというと
少しオーバーにいうと、石油の枯渇を前提にして、原油価格は今
後は下がらず、上昇するのみと判断した世界の大量の投機資金が
原油市場に流れ込んでいるからです。地球温暖化危機よりも石油
枯渇に対する対策こそ推進すべきなのです。石油をなるべく使わ
ないようにする――そうすれば確実にCO2は減って地球温暖化
の大きな原因は取り除かれることになります。
 このテーマは今回をもって終了しますが、石油問題を引き続き
取り上げます。引き続きご愛読のほどお願い申し上げます。
          ―― [地球温暖化懐疑論/31/最終回]


≪画像および関連情報≫
 ●ロンドン・スモッグに言及しているブログ
  ―――――――――――――――――――――――――――
  このロンドンのスモッグ、「世の中が二間四方に縮」まるく
  らいなら罪はないのですが、何と1952年、死者1万人以
  上という大惨事を引き起こす原因に。世に言う「ロンドンス
  モッグ事件」。この年12月、寒気が居座るロンドンでは竃
  という竃が途切れる間もなく石炭を消費。遂には「暖房器具
  や火力発電所、ディーゼル車などから発生した亜硫酸ガス−
  二酸化硫黄などの大気汚染物質は冷たい大気の層に閉じ込め
  られ、滞留し濃縮されてpH2 ともいわれる強酸性の高濃度の
  硫酸の霧を形成した」。その結果、気管支炎、気管支肺炎、
  心臓病などにより死者は1万人を突破。こうした事態を受け
  イギリス政府は1956年、1968年と二度にわたって、
  「大気浄化法」を施行している。
http://paperbackwarehouse.jp/blog/C1692707094/E20070404142337/index.html  
  ―――――――――――――――――――――――――――

技術で克服された大気への汚染.jpg
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