きてニュートンなのかについては理由があります。
2007年6月21日のことです。AP通信が次のような報道
を行ったのです。
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英国の数学者・物理学者アイザック・ニュートン(1642〜
1727)は「早ければ2060年に世界の終末が来る」と直
筆文書に予言していた。旧約聖書を「解読」した結果といい、
万有引力の発見などで知られる天才が宗教に強い関心を持って
いたことを示す証拠として注目される。 ――AP通信
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この手の世界の終末予言はノストラダムスをはじめ多くの人が
やっているのですが、いずれもマユツバの結果になっています。
そういうわけですから、このAP通信のニュースを知った人は、
「またか」と思った人が多いと思います。
実は私もその一人なのですが、少し気になったのは、「なぜ、
アイザック・ニュートンなのか」ということです。ニュートンの
一生を振り返ってみると、次のようになります。
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1642年( 0歳)誕生
1668年(25歳)学位取得
1669年(26歳)ケンブリッチ大学ルーカス教授職に就任
1672年(29歳)王立協会会員に就任
1687年(44歳)『自然哲学の数学的諸原理』
(プリンキピア)刊行
1699年(56歳)造幣局長官に就任
1701年(58歳)国会議員に選出
1703年(60歳)王立協会会長に選出
1705年(62歳)ナイト位授与
1710年(67歳)グリニッジ天文台監察委員長に就任
1727年(84歳)死亡
――ウィキペディア
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この経歴を見る限り、彼がこの世界の終末を予言する可能性は
ほとんどゼロに近いのです。しかし、晩年のニュートンには別の
顔があったのです。それを裏付ける証拠はたくさんあります。そ
の一つは、1754年、ニュートンの死後に刊行された次の論文
の存在です。
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アイザック・ニュートン著
『2つの聖句の著しい変造に関する歴史的記述』(1754)
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実はニュートンは、聖書の研究を実に50年以上かけてやって
いたのです。そしてそれを4500ページにも及ぶ文書にまとめ
「秘密文書」として保管していたのです。記述された時期は17
00年代の初頭と考えられます。
なぜ、秘密文書にしたかですが、それは英国国教会の追及を逃
れるためです。その文書はポーツマツ伯爵の邸宅に220年間も
秘匿されていたのです。
ところが、この文書が1936年にロンドンのオークションで
落札され、はじめてその存在がわかったのです。現在この文書は
ヘブライ大学図書館が保管しており、2007年6月から公開が
許されているのです。
私はこの話は聞いていたのですが、何しろ情報が限られており
EJのテーマとして取り上げるのは困難と考えていたのです。と
ころが2007年10月になって次の書籍が発売されたのです。
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中見利男著/日本文芸社
『ニュートンの預言/2060年、世界は滅亡する』
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早速手に入れて読んでみると、これが実に難解なのです。著者
の中見氏によると、ニュートンの論文は一筋縄ではないというの
です。18世紀の古典的英語に加えて、ヘブライ語、ラテン語、
そしてニュートン独自の記号があり、翻訳者泣かせであって解読
が難しいのです。それに加えて相当聖書の知識がないと理解でき
ない内容なのです。
しかし、EJでは何回も聖書を取り上げていることであり、そ
の番外編として取り上げたら面白いと考えたのです。年をまたい
での連載になりますが、何とか謎の核心に迫ってみたいと考えて
おりますので、ご愛読のほどお願いします。
ニュートンは50年間もかけて聖書を研究したといわれていま
すが、それが本当であるとすると、相当若い頃から聖書の研究に
没頭していたことになります。1700年度の初頭に一応の結論
を出しているとすれば、ニュートンが10代の頃からということ
になります。
1700年の50年前というと、ニュートンがクランサムのグ
ラマースクールに入学していた頃になります。ニュートンはその
後ケンブリッジ大学トリニティカレッジに入学し、一気に才能を
開花させるのですが、聖書の研究はそれ以前からやっていたとい
うことになります。
実はニュートンの学問的業績は1600年代で終わっており、
その後は、造幣局長官や国会議員、グリニッジ天文台監察委員長
を務めていますが、ほとんど職務には身を入れていないのです。
国会議員のときなどは議会でほとんど発言せず、議会での唯一の
発言は次のこと言葉だったといわれています。
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議長、窓を閉めてください
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ニュートンは政治にはほとんど興味がなかったようであり、単
なる名誉職だったのです。 ――[ニュートンの予言/01]
≪画像および関連情報≫
・アイザック・ニュートンとは何か
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アイザック・ニュートンは、自然科学(物理・数学)史上空
前の大天才である。ニュートンに匹敵するのは、ニュートン
以前ではアルキメデスくらい、ニュートン以後にはまだ出現
していないのではないか。もっとも大天才といっても、それ
は物理・数学の天才ということであって人格までが「天才」
ではないのは当たり前のことである。
――http://www.s-yamaga.jp/nanimono/sonota/newton.htm
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