ナ禍に関する情報について書きます。
新型コロナウイルスの感染者拡大における安倍政権の対応は、
はっきりいって大失敗です。それをあらわしているのが、15日
の公明党山口代表から安倍首相への「所得制限を設けずに1人当
り一律10万円の現金給付」の申し入れです。その前日、二階幹
事長をはじめとする与党幹部からも、同様の申し入れが官邸に対
して行われています。ただし、二階幹事長は、「所得制限を付け
て」と断っています。
公明党は、当初から「一律10万円の現金給付」を求めていま
したが、このときは「一定の所得制限を付けて」という条件付き
を主張していたのですが、一顧だにされませんでした。それは、
麻生財務相率いる財務省の猛反対と、岸田政調会長に責任があり
ます。麻生財務相は、麻生政権のときの現金給付配付の失敗が、
トラウマになっているようです。
その公明党が今になって、今度は再び「一律10万円の現金給
付」を要求してきたのです。しかも今度は「所得制限なしで」と
いうように条件を変えています。なぜでしょうか。
それは、岸田政調会長のまとめた「30万円の現金給付案」の
評判が最悪であり、国民から怒りの声が上がっているからです。
公明党は、こういう国民の声には敏感な政党であり、このままで
は「政権が持たない」と判断したからだといわれています。実は
こういう声は自民党党内にもあり、13日の党役員会でも「今の
現金給付はわかりにくい」とか、「全国民一律給付の要望が地元
で強い」という意見が相次いだといわれます。それを如実にあら
わしているが、共同通信社の10〜13日に行われた全国世論調
査の結果です。国民の怒りがあらわれています。
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◎安倍内閣の支持率
支持 ・・・・・・ 40・4%
不支持 ・・・・・・ 43・0%
◎緊急事態宣言のタイミング
適切だった ・・・・ 16・3%
遅過ぎた ・・・・ 80・4%
◎休業要請に応じた企業への休業補償
補償すべきである 82・0%
補償の必要はない 12・4%
◎一世帯30万円給付について
一律給付すべき ・・ 60・9%
妥当である ・・ 20・4%
金額を増やすべき 10・7%
◎全世帯に2枚ずつの布マスク配付
評価する ・・・・ 21・6%
評価しない ・・・・ 76・2%
──2020年4月16日付、日本経済新聞電子版
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15日に公明党と自民党の幹事長、政調会長らが、現金給付に
ついて、夜まで継続的に協議しましたが、その結果について、岸
田政調会長は、協議終了後に次のように述べています。
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協議は平行線である。引き続き、補正予算の準備を進める。
──岸田政調会長
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この次の総理を狙うとされる岸田政調会長は、もともと財務省
寄りの人物であり、評判の悪い30万円の案をまとめた責任者で
すが、ぜんぜんその任に値していないのです。この人が総理にな
るようでは、自民党は確実に政権を失うでしょう。
ところで、15日に公明党の山口会長が安倍首相に会い、10
万円一律給付の申し入れを行ったさい、安倍首相は、次のように
答えています。
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補正予算は、政府・与党で決定した内容を速やかに成立させ、
その後、「方向性を持って」よく検討したい。 ──安倍首相
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安倍首相のいう「方向性を持って」とはどういう意味でしょう
か。これがネットで話題になっていますが、だれもこの言葉を意
味を解明できないでいます。そこで、EJとしてこの言葉の意味
を推理してみたいと思います。
政府の事業規模108兆円の補正予算は、4月20日から審議
入りし、21日には衆議院で補正予算案を通過させ、22日に参
議院で成立させる予定です。ここで重要なのは、公明党は、評判
の良くない30万円の現金給付案を「所得制限を付けないで国民
1人10万円の現金給付案」に変更させ、補正予算を成立させる
ことを要求していることです。
しかし、政府は、予定通り、補正予算を変更なしで成立させ、
直ちに2次補正予算を編成し、そのなかで公明党案を検討するつ
もりでいます。「方向性を持って」とは、そのことをあらわす安
倍晋三言語ではないでしょうか。当初予定した方向性で進むが、
その後、公明党の案を審議すると考えているのです。
つまり、安倍首相は、当初の30万円現金給付の変更を全く考
えておらず、それを成立させたうえで、公明党の提案を2次補正
で、検討するつもりのようです。そうであるとすると、公明党が
要求する「所得制限なしで国民1人10万円の現金給付案」の成
立は難しくなります。成立したとしても、またしても、かなりハ
ードルの高い所得制限が付くことは確実です。
提案があります。このさいは「所得制限なしの10万円給付」
を全国民への外出自粛の協力金と捉え、首相自ら全国民に対して
「ステイ・ホーム」を呼びかけたら、どうでしょうか。これなら
給付が遅れても何ら問題はないと考えます。
──[消費税は廃止できるか/071]
≪画像および関連情報≫
●一律10万円、与党圧力に安倍首相転換 所得制限不評、危
機感広がる―追加経済対策
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安倍晋三首相が新型コロナウイルス関連の追加経済対策と
して、一律10万円の現金給付の検討に前向きな考えを表明
した。収入が減少した世帯に30万円を支給するとした緊急
経済対策が不評を買い、内閣支持率も下落。危機感を持った
自民、公明両党が圧力を強め、慎重な姿勢だった首相が押し
込まれる格好となった。
「国民の苦しみや影響を、敏感に受け止めなければならな
い」。公明党の山口那津男代表は15日、首相に一律給付を
要請した後、語気を強めて記者団にこう訴えた。2020年
度補正予算案には30万円の現金給付が盛り込まれたが、住
民税非課税や収入半減といった条件が付き、「複雑で分かり
にくい」「受け取れない人が多い」との批判が与野党に渦巻
いた。公明党関係者は「ごみみたいな経済対策」と酷評。支
持母体の創価学会は「閣外協力も視野に入れる」と激怒し、政府
への要求を強めるよう公明幹部に迫った。自民党の二階俊博幹事
長が14日に「一律給付」を急きょ打ち上げたため、慌てた
山口氏が首相に直談判を申し入れた。
自公の党首会談を受けた両党の幹事長、政調会長協議で、
公明側は補正予算案に関して「減収世帯30万円」を「一律
10万円」に変更するよう主張した。閣議決定済みの予算案
の修正を与党が求めるのは極めて異例だ
https://bit.ly/3beQ27g
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政調リーダーシップのなさが露呈した岸田会長