プされました。自民党と旧民主党野田内閣が合議した「社会保障
と税の一体改革」がやっと実現したことになります。しかし、こ
れが原因で、解散総選挙の結果、旧民主党は大敗を喫し、安倍内
閣が誕生しています。旧民主党は、公約にない増税をこともあろ
うに自民党と組んで実施したことで、国民の信を失い、野党に転
落し、現在の野党細分化の原因になったのです。
この「社会保障と税の一体改革」では、当時5%であった消費
税は、次のように10%に引き上げる計画でした。
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◎2014年 4月 ・・ 5% → 8%
◎2015年10月 ・・ 8% → 10%
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今考えると、これがいかに無謀な計画であったかということは
改めて考えるまでもなく、歴然としています。5%の税率を4年
弱で倍の10%にしようというのですから、超大緊縮政策になり
ます。日本は、そんな計画を早急に実施しなければならないほど
深刻な財政状況ではないからです。
しかし、この計画がつくられたのは、元財務大臣の谷垣前自民
党総裁と、財務省に完全に洗脳された元財務大臣の野田首相(当
時)の2人が組んだからです。「社会保障と税の一体改革」を引
き継いだ安倍首相は、それを計画通り実施することが自らが推進
するアベノミクスにとって大きなマイナスになると肌で感じて、
2回にわたって、次のように増税を延期しています。
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◎2014年 4月 ・・ 5% → 8%に引き上げ
◎2015年10月 ・・ 1年6ヶ月、増税を先送り
◎2017年 4月 ・・ 2年6ヶ月、増税を先送り
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安倍首相の経済政策であるアベノミクスには大きな問題があり
ますが、財務省と対立し、2回にわたって増税を先送りしたこと
は評価に値します。もちろん国家財政の状況によっては、増税を
しなければならないことはあります。しかし、消費税の増税だけ
は、絶対にやってはならないのです。増税すべき税は所得税など
他にたくさんあります。
なぜ、消費税は増税すべきではないのでしょうか。これには、
いくつも理由があります。しかし、為政者から見ると、消費税は
薄く幅広く取ることのできる「美味しい」税金なのです。だから
財務省は国民を洗脳してまでも実現したい税金です。それに、日
本はまだ完全にはデフレの状況を脱していないのです。そのよう
なデフレの状況下で、2回も消費税を引き上げているのです。こ
れでは経済は成長しません。
世界第2位の経済大国の座は、とっくの昔に中国に奪われ、今
やその規模は3倍にまで拡大しています。日米の経済格差は開く
ばかり、インドや韓国にも追い抜かれつつあります。韓国の文在
寅政権が、「日本何するものぞ」と日本を軽く見るのも経済がま
るで成長していないからです。過去20年間の日本の経済成長率
は、ダントツの世界最下位です。それは日本がデフレから脱却で
きておらず、そのデフレ下で、消費税を何回も上げたことと無関
係ではありません。消費税増税が、経済成長の足を引っ張ってい
るのではないかと思われます。
そこで、今回のEJのテーマは、消費税を中心に日本の経済政
策にメスを入れようという企画です。
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現在の日本の経済政策は間違っていないか
─消費税増税は諸悪の根源である─
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10月1日の夕方、れいわ新撰組、山本太郎代表は、新宿西口
小田急デパート前で、街頭演説をしています。そこには大勢の人
が集まって山本代表の話を真剣に聞いていたのです。そこで山本
太郎代表は、聴衆に次のことを強調しています。そのとき、気に
なる話があります。
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消費税増税で社会保障は充実しない。財政再建も進まない。
それは、法人税の減税の穴埋めに使われるだけである。
──れいわ新撰組/山本太郎代表
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この指摘は新鮮です。本当であれば、とんでもない話です。実
は増税分のほんの一部しか社会保障には回らないのです。8%を
10%にすることによって国には約5・5兆円入ってきますが、
その使い道について、政府は次のように決めています。
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1.借金(国債)の返済 ・・ 約2・8兆円
2.教育・子育ての充実 ・・ 約1・7兆円
3. 社会保障の充実 ・・ 約1・0兆円
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約5・5兆円
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安倍政権は、教育無償化を声高らかに宣言していますが、その
財源には1・7兆円、その他の社会保障に回るのは、たったの1
兆円でしかないのです。実に入ってくる税収の半分以上の2・8
兆円が国債の返還、つまり借金の返済に回るのです。これが最大
の問題であるといえます。
財務省は、これまで20〜30年以上もかけて、「日本の借金
はGDPの2倍以上」もあり、財政健全化を図らないと、大変な
ことになると、メディアをコントロールするなど、あらゆる手段
を講じて、国民を洗脳してきています。
しかし、この考え方は、根本から間違っています。なぜ、消費
税の増税はだめなのかについて、明日から検討していきたいと考
えています。 ──[消費税増税を考える/001]
≪画像および関連情報≫
●選択肢は社会保障を維持するかどうか/時事オピニオン
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2010年7月、参議院選挙の際に自由民主党が「消費税
10%への引き上げ」を公約に掲げ、民主党の44議席を上
回る51議席を獲得するなど、「消費税10%」は現実味を
帯びてきた。では、そもそも消費税の増税はなぜ10%にす
る必要があるのか?
まず、初めに押さえておきたいのは日本の人口構成の推移
だ。日本は現時点でも高齢者(65歳以上)の割合が世界で
一番多い国となっていて、しかも高齢化率(人口に占める高
齢者の割合)のスピードも、かつてどの先進国も経験したこ
とのない速さで進んでいる。そのため、医療や介護や年金と
いった社会保障の分野において、国の負担は増え続けること
になる。
そこで、政府の「社会保障国民会議」がさまざまなシミュ
レーションを行い、医療と介護と年金において現在の社会保
障の水準を維持するには、2025年度までに消費税を10
%にする必要があることを08年11月の「最終報告」で公
表した。内訳は、基礎年金で1%弱(現在の社会保険方式が
前提)、医療と介護で4%弱、少子化対策で0・4〜0・6
%程度で、合計5%程度。現在の消費税が5%なので合計で
10%になる。これが10%という数字の根拠である。つま
り、いま私たちには、大きく次の2つの選択肢がある。「社
会保障は維持できなくても、このまま消費税を上げないでほ
しい」か「少なくとも現在くらいの社会保障は維持してほし
い」か、である。 https://bit.ly/30MRc3M
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10月1日/れいわ新撰組山本太郎氏