2018年01月05日

●「自民党には『3つの大罪』がある」(EJ第4677号)

2018年最初のEJです。今年もよろしくお願いします。
 安倍政権が誕生したのは2012年12月26日のことです。
民主党前政権の国政運営失敗への国民の怒りを背に受けて、今年
で丸5年になりますが、その間、次の5回の選挙でことごとく勝
利し、磐石の政権運営を続けています。
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    1.2012年12月14日/衆議院議員選挙
    2.2013年 7月21日/参議院議員選挙
    3.2014年10月14日/衆議院議員選挙
    4.2016年 7月10日/参議院議員選挙
    5.2017年10月14日/衆議院議員選挙
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 国政ではありませんが、安倍政権が唯一負けた選挙は2017
年7月の都議会議員選挙だけです。このように5回の国政選挙で
勝利した結果、依然として50%前後の高い支持率を保ち「一強
多弱」の政権が続いています。
 しかし、いわゆる「モリカケ疑惑」への内閣の誠意なき対応に
反発し、2017年4月〜8月には不支持が支持を上回る時期が
ありましたが、野党の信じられない不手際もあり、またしても安
倍政権の復活を許しています。それは、この政権の仕掛けも効い
ており、支持率が50%に戻ろうとしています。
 安倍政権の功罪はいろいろありますが、最も許せないことがあ
ります。それがこの政権の巧妙なる「メディア規制」です。今年
のEJは、このテーマからはじめます。
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    安倍政権の巧妙なるメディア支配の実態を探る
     ─ 安倍政権の驚くべき仕掛けとは何か ─
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 安倍晋三首相が他の首相と違うのは、2回目の首相であるとい
うことです。2006年9月〜2007年8月まで第1次安倍政
権を運営しています。そのとき、「消えた年金問題」が起こり、
国民から強い怒りを買います。この問題は連日国会で取り上げら
れ、メディアでも大きく報道され、第1次安倍政権は、完膚なき
ままに叩かれたのです。安倍首相には、そのときのトラウマが強
く残っています。そのとき、安倍氏は「メディアだけは何とかし
ないといけない」と考えたはずです。
 この安倍政権のメディア規制を取り上げて書いている著者は何
人かいますが、核心に迫っているものは少ないです。しかし、そ
のなかにあって、本音のところをあますところなく、400ペー
ジにわたって、痛烈に暴いている本があります。今回のテーマは
この本を中心として書いていくので、最初にご紹介しておくこと
にします。
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                古賀茂明著
       『日本中枢の狂謀』/講談社刊
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 安倍政権に限らず、そもそも自民党政権には「3つの大罪」が
あるといいます。自民党議員のベテラン議員で、この大罪につい
てはっきりと口にする議員は皆無ですが、自民党の若手のホープ
の小泉進次郎議員はそれを明言しています。これについて、古賀
茂明氏は、小泉議員の名前を「若手自民党政治家K」と伏せては
いるものの、次のように述べています。
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 日本が抱える大きな問題は、よく考えれば当然だが、ほとんど
自民党政治の結果である。つまり、政治的責任はすべて自民党に
あるといっても過言ではない。このことを考えるとき、私が思い
出すのは、いま自民党でもっとも人気のある若手政治家K氏の言
葉だ。ある会議で私の講演を聞いたK氏は、自民党の失敗につい
て、「3つの大罪」という言葉で要約した。第1は、900兆円
超(当時)の借金大国にしたこと。第2は、少子高齢化を放置し
て社会保障の基盤を危うくしたこと。第3は、原発の安全神話を
作り福島の事故を招いたことである。K氏はさらに、自民党が過
去の過ちを反省せずに政権に返り咲いたら、同じ過ちを繰り返す
のではないかと心配だと述べた。私にはそのときの記憶が鮮明に
残っている。                ──古賀茂明著
               『日本中枢の狂謀』/講談社刊
─────────────────────────────
 安倍首相がよくいう言葉に「われわれが野党だったとき、これ
までの政治を反省して・・・」というのがあります。ところが、
安倍政権が政権に復帰したとき、3つの大罪のどれも無視して政
権運営に当たっています。何も反省していない証拠です。
 安倍首相は、何かにつけて民主党政権の失敗を口にしますが、
日本の現状に一番責任があるのは自民党政権です。計画なき財政
運営に終始し、少子高齢化にも有効な対策を施さず、原発再稼働
は積極的に進める──少なくとも、安倍政権は自民党の3つの大
罪など、カケラらも認めていないのです。
 その安倍政権のなかにあって、日本の現状には少なくとも責任
のない若手の小泉進次郎議員は、自民党の大罪を明確に認め、反
省の弁を口にしていることは立派であり、大したものです。しか
し、その力量については及び腰なところがあります。それでも将
来大いに期待のできる人材であることは確かです。
 メディアを規制する──独裁者が必ずやることです。自分を批
判する人の意見を封殺し、批判を抑え込むのです。そうすれば、
批判は表面上は出ないようになりますが、表面に出ない批判はマ
グマのように鬱積し、渦を巻きます。例えば、モリカケ問題の中
途半端な終り方には多くの国民が不満を持っています。本来そう
いうことを糾弾する責任はメディアにありますが、そのメディア
が完全に安倍政権に抑え込まれ、それが、だんだんひどくなって
います。こんなことは本来あってはならないことですが、それが
常態化しています。   ──[メディア規制の実態/001]

≪画像および関連情報≫
 ●安倍政権の圧力とテレビ局の忖度/池上彰氏の指摘
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   今回の参院選(2016年)に際して、自民党は弁護士を
  引き連れて放送局に乗り込み、公職選挙法違反の政党CMを
  流せと圧力をかけた。安倍政権において、こうしたメディア
  圧力はもはや日常茶飯事になっている。そして、テレビ局は
  完全に飼いならされ、圧力をかけられる前に自ら政権の意向
  を忖度し、過剰な自主規制を行っている。
   ところが、これまで本サイトが何度も具体的に報じてきた
  ように、テレビメディアにかかわる当事者たちからは、なか
  なか具体的な話が出てこない。安倍政権に追い詰められて、
  キャスター辞任に追い込まれたテレビ朝日『報道ステーショ
  ン』の古舘伊知郎氏にしても、TBS『NEW23』の岸井
  成格氏にしても、最後まで「政治的な圧力はなかった」「特
  定の圧力を感じたことはない」という姿勢を崩さなかった。
  結局、これからもテレビの世界で生きていくことを考えると
  本当のことは言えない、ということなのだろう。
   しかし、そんななか、いまも現役で数々のテレビ番組に出
  演中の有名ジャーナリストが、この圧力問題についてかなり
  踏み込んだ証言をした。そのジャーナリストとは池上彰氏。
  池上氏は、緊急復刊された「朝日ジャーナル」(朝日新聞出
  版)における元共同通信社編集主幹の原寿雄氏との対談で、
  テレビ局の自主規制、さらに政権からの圧力の詳細を具体的
  に語っているのだ。池上氏はまず「『報道の自由度』と言い
  ますが、国が報道の自由を制限しているか、それとも報道機
  関の側が勝手に自主規制したり、忖度したりして、自ら自由
  を狭めているのか。日本では後者が多いような気がします」
  と指摘した上で、古巣のNHKの体たらくを嘆く。
                   http://bit.ly/29Q5s37
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古賀茂明氏.jpg
古賀 茂明氏
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2018年01月09日

●「安倍政権がメディアにかけた規制」(EJ第4678号)

 安倍政権はメディアに対して何をしたのでしょうか。この政権
によるメディア規制をまとめると、次の3つになります。
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 1.政権を批判するジャーナリスト、政治評論家、テレビコ
   メンテーターなどをテレビに出さないようにする。
 2.テレビから、政治番組、とくに視聴率の高い土日祝日に
   政治テーマを取り上げる番組を大幅に縮小させる。
 3.よく読まれている週刊誌、夕刊紙などの諸雑誌から、政
   治記事をメイン記事から外し、拡散を防止させる。
─────────────────────────────
 こうしたメディア規制は、必ずしも安倍政権の専売特許ではな
く、自民党の勢いが明らかに落ちた時期から、自民党政権が苦し
まぎれに始めたものであるということです。
 いま考えるとその時期は、第1次安倍政権(2006年9月〜
2007年9月)の頃からなのです。第1次安倍政権は1年で挫
折し、その後の自民党は、福田政権、麻生政権とその勢いは衰え
ていき、2009年に民主党に政権を奪われるのです。
 第1次安倍政権の発足当時の支持率は70%を超えるすこぶる
高いものだったのです。その高支持率を一挙に下げたのは、安倍
首相が、郵政国会において、郵政民営化法案に反対して党を除名
された議員の復党を許したことです。
 さらに、閣僚の不祥事・失言が相次ぎ、2006年に佐田玄一
郎国・地方行政改革担当大臣の事務所費問題を皮切りに、農林水
産大臣(松岡利勝、赤城徳彦)の事務所費問題、久間防衛大臣の
「原爆投下はしょうがない」発言などにより、閣僚計4人が次々
に交代するなどして、支持率は24%まで下落したのです。
 当時メディアは、政治をテーマに取り上げて討論する番組が多
く、第1次安倍政権の不祥事がそういう番組で連日取り上げられ
たことが安倍政権にとって大きなダメージとなったことは確かで
す。そのときのトラウマが、第2次安倍内閣において「メディア
は何とかしないといけない」と安倍首相に考えさせたとしても不
思議はないのです。
 安倍政権が誕生して5年間になります。その結果、何が起こっ
たでしょうか。まず、いえることは、休日のテレビが非常につま
らなくなったことです。お笑い芸人たちによる長時間のお笑い番
組、各種クイズ番組など、はっきりいって大量の時間を使ってや
るほどの番組ではなく、愚民化番組です。
 思い出して欲しいのは、以前の土曜、日曜の休日は、もっと政
治番組が多かったはずです。最も国民がテレビを見る機会の多い
休日だからこそ、国民全体が関心を持つべき政治のテーマについ
て、考えるべきなのです。
 漫画家の小林よしのり氏は、沖縄での「朝まで生テレビ」の出
演をきついので断ったとの話のなかで、政治番組の司会者の中心
であった田原総一朗氏の政治番組について、ブログで次のように
述べています。
─────────────────────────────
 田原総一朗氏がよくあの歳で、あんな不自然な生活(「朝まで
生テレビ」のこと)が続けられるものだ。田原氏は日曜の朝の政
治報道番組を持つべきなのだ。昔は、日曜の朝から政治家を呼ん
で、ガンガン討論していたから、国民への政治への関心もなんと
か維持できていた。
 最近はテレ朝が「報道ステーション・サンデー」すら消滅させ
TBSの関口宏の番組(「サンデーモーニング」)と、NHKの
物静かな討論番組しかなくなってしまった。
 今の日曜朝は酷い!
 どのチャンネルもバラエティ番組ばっかりで、世の中、深刻な
ことは何もないように、ヘラヘラ、ギャーギャー騒いでいる。あ
れを見ていると、さっさと北朝鮮あたりがテレビ局にミサイルぶ
ち込んでくれんかなと思ってしまう。
 昔、田原総一郎がやっていたような、政治家を呼んでガンガン
討論させる番組が、日曜朝にないと、国民の政治への関心が消滅
してしまう。今のテレビの政治報道番組の熱気のなさは、ジャー
ナリズムの退廃であり、民主主義の危機だと思う。テレビ局は、
もっと政治と国民を繋ぐ使命感を持ってほしい!
         ──小林よしのり氏 http://bit.ly/2E1Kw72
─────────────────────────────
 小林よしのり氏は、あえて言及していませんが、これは自民党
によるメディア規制の結果であり、そのことについて暗に批判し
ています。このテーマでこれから明らかにする安倍政権による露
骨なメディア規制がもたらしたものです。この国ほど、テレビで
政治が議論されない国はないと思います。
 テレビでの政治討論といえば、NHKの「日曜討論」が一番古
いはずです。1957年10月からスタートし、現在も続いてい
ます。しかし、主催がNHKであり、内容がいまひとつピリッと
しません。小林よしのり氏がいうように「物静かな討論番組」に
なってしまっています。少なくとも本音がガンガン語られる番組
ではないのです。
 1987年に現在も続いている政治番組が誕生しています。そ
れは次の2つです。
─────────────────────────────
      ◎「朝まで生テレビ」
       1987年 4月/ テレビ朝日
      ◎「サンデーモーニング」
       1987年10月/TBSテレビ
─────────────────────────────
 1987年といえば、竹下政権の時代です。その後、宇野政権
海部政権、宮沢政権と続き、いろいろな政治スキャンダルも生ま
れた時代です。1988年には「リクルート事件」が起こってい
ます。テレビで取り上げるには格好な政治的テーマが数多くあっ
たのです。       ──[メディア規制の実態/002]

≪画像および関連情報≫
 ●「対案出せ」にしどろもどろの青木理/1日の政治討論番組
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   作家の室井佑月が1日の討論番組『いま、日本を考える/
  2018』(BSテレビ朝日)で、「頭おかしい」とヒステ
  リックに司会者に噛み付く様子が放送され、SNS上で話題
  となっている。
   同番組はBSテレビ朝日が放送する新春恒例の討論番組で
  田原総一朗がパネラーで登場するほか、井上達夫(東京大学
  大学院教授)や三浦瑠麗(国際政治学者)ら、保守・リベラ
  ル両陣営の論客らが参加する、裏『朝生』というべき番組。
  司会が田原ではなく、”テレ朝唯一の常識人”と評判の小松
  靖アナが、思想の左右にとらわれず是々非々で討論を仕切る
  という点で、放送前から「期待できる」という声が飛び交っ
  ていた。
   「青木さんは番組冒頭で安倍政権は戦後最低最悪』と切っ
  て捨てて批判したのですが、これに対し小松アナが中盤に田
  原の制止を無視して、『ボクは青木さんに聞きたい。そこま
  で安倍政権を戦後最悪だと言うなら対案を出すべきでは?』
  と正論をぶつけた。そこで青木さんは『ボクはジャーナリス
  トだから対案を出す立場にない』と即答して議論を避けたん
  ですが、小松アナはさらに畳み掛けて、『そこまで言うなら
  対案がないと説得力がない』。『その話をするとワタシは社
  会部だとかおっしゃるんですが、そんなの関係ない』と青木
  さんを追い込んでしまった。すると、いつもは切れ味鋭い青
  木さんが小松アナとは目を合わせず、『あの、いや・・』と
  しどろもどろになってしまいました」(週刊誌記者)
                   http://bit.ly/2CQz9iM
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小林よしのり氏.jpg
小林 よしのり氏
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2018年01月10日

●「なぜ、日曜の政治番組は減ったか」(EJ第4679号)

 1989年4月2日からテレビ朝日と朝日放送の共同制作によ
る「サンデープロジェクト」という番組がスタートしています。
時間は毎週日曜の午前10時〜11時45分まで、そのキャッチ
コピーは「日曜日の朝は、ニッポンを考えよう」。総合司会は、
「朝まで生テレビ」と同じ田原総一朗氏です。
 この番組の企画者は、早河洋氏(現テレビ朝日会長兼CEO)
です。報道畑のディレクター/プロデューサーとして活躍し、久
米宏による「ニュースステーション」、田原総一朗による「朝ま
で生テレビ」を成功させ、そのうえで「サンデープロジェクト」
(サンプロ)を立ち上げたのです。
 当初の視聴率こそNHKの「日曜討論」と同レベルの5%前後
でしたが、その後視聴率は徐々に上昇し、1990年代に入ると
視聴率は「日曜討論」を上回るようになります。NHKはこれに
対抗するため、それまで録画だった放送を生放送に切り替えます
が、サンプロには及ばなかったのです。
 このサンプロの成功に刺激されたフジテレビは、同様の政治番
組「報道2001」を1992年4月からスタートさせます。そ
のため、日曜日の午前中は、報道2001、サンデーモーニング
日曜討論、サンデープロジェクトというように政治討論番組一色
になり、見る方は時間に合わせてチャンネルを変えたものです。
 サンプロは、各党党首、幹事長クラスの発言は頻繁にニュース
に取り上げられるなど、世論に与える影響も多く、「サンプロ現
象」という流行語まで生み出すようになります。
 しかし、現在日曜の午前中は、日曜討論とサンデーモーニング
は残っているものの、報道2001はこれまでの85分から55
分に放送時間が大幅に縮小され、「新報道2001」として細々
と残っているだけです。この手の政治番組の中心だったサンプロ
は2010年3月に突然番組が打ち切られたからです。
 このサンプロの突然の打ち切りの原因については、本当のとこ
ろはわかっていません。当事者である田原総一朗氏が何も語らな
いからです。しかし、当時サンプロのコメンテーターのひとりで
あるインサイダー編集長の高野孟氏は、次のようにブログで書い
ています。
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 司会の田原総一朗への好き嫌いはあるだろうが、そういうこと
を超えて、この番組が日曜日午前中のテレビ世界を1個の「文化
空間」とする上で先導的な役割を果たしてきたことの功績は計り
知れない。日曜日の朝に早起きして、フジTV「報道2001」
から始まってちょっとだけTBS関口宏の「サンデー・モーニン
グ」に寄ってからNHK「日曜討論」を経てサンプロを観る(だ
からゴルフは出来るだけ土曜日に)・・・というのは全国的な地
方人士のライフスタイルにまでなっていた。
 そうであれば、その文化空間をどう育むかという観点から、サ
ンプロを止めた後にどんな発展的な企画を提起するかの責任がテ
レビ朝日にはあるはずだが、そんな考慮は何一つないまま、朝日
新聞出身の君和田正夫会長(前社長)の「田原嫌い」ゆえの番組
打ち切り指令に、初のテレビ朝日生え抜き社長の早河洋は、唯々
諾々と従った。
 早川は、伝説的な大プロデューサー=小田久栄門の直下にあっ
て、「ニュースステーション」や「朝まで生テレビ」やサンプロ
を作ってきた張本人で、その意味では田原の歴戦の同志であるが
今回彼が田原に対して語ったことは余りにも情けない、ただのサ
ラリーマン社長としての保身の言葉でしかなかった。「申し訳な
い。サンプロを止めろと言っているのは君和田だ。私は君和田に
引き立てられて社長になった立場上、何も言えない。黙って受け
入れてくれ」。            http://bit.ly/2CsXavH
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 高野孟氏によると、サンプロ中止の原因は「朝まで生テレビ」
での拉致被害者問題に関する田原氏の発言に対して家族会などか
ら厳重な抗議があり、田原氏ともに謝罪に追い込まれた当時の君
和田会長の強い意向であるといわれています。しかし、本当のこ
とは誰にもわかっていないのです。
 サンプロで思い出すのは、小沢一郎問題の陸山会事件への対応
です。他のテレビ局(とくにTBS)が「小沢=巨悪」の論陣を
張るなかにあって、サンプロでは、郷原信郎弁護士をコメンテー
ターとして出演させ、東京地検特捜部とは異なる見解を展開させ
徹底的に「小沢無罪」の論陣を張ったことです。
 この事件は、政権を失い、小沢政権が誕生することを恐れる自
民党の意向を受けて、東京地検特捜部が無理筋を承知で、虚偽捜
査報告書まで作って小沢一郎氏を有罪にしようとした事件です。
メディアは検察に全面協力しましたが、サンプロは終始それとは
反対の論陣を張っていたと思います。その結果、結局小沢氏は無
罪を勝ち取ったものの、肝心の政権交替した民主党では、ほとん
ど何もすることができなかったのです。結果としてこれは自民党
にとって利すること大であったといえます。
 しかし、結果は検察にとっては屈辱そのものであり、そのため
サンプロを潰したのは検察ではないかとまでいわれているほどで
す。ところが小沢一郎氏に対して有罪の論陣を張って完敗したマ
スコミは、小沢氏の名誉回復を図るどころか、その後、現在でも
マスコミは徹頭徹尾小沢氏を無視し、自民党を助けています。そ
の頃から自民党はメディアの取り込みを図るようになります。
 サンプロの後番組は、小宮悦子氏をキャスターとした報道番組
「サンデー・フロントライン」になったのです。田原総一朗氏に
ついては「朝まで生テレビ」とともに、BS朝日での1時間枠の
「激論!クロスファイア」を新設し、司会として現在も出演して
います。
 また、テレビ朝日は、2004年4月から「ニュースステーシ
ョン」に代わって「報道ステーション」をスタートさせています
が、これも早河編成制作部長(当時常務)が実現させたものなの
です。         ──[メディア規制の実態/003]

≪画像および関連情報≫
 ●サンプロ特集「言論は大丈夫か」は予定通り放映されるか
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   権力を監視する機能を失った現在のテレビにおいて、20
  06年3月26日放送の「サンデープロジェクト」(テレビ
  朝日)は異彩を放っていた。東京立川で自衛隊のイラク派遣
  反対ビラを撒いた市民団体メンバーの逮捕などを取り上げ、
  公安警察の暴走を批判的に報じた。第2弾以降の共謀罪問題
  などが予定通り放映されるのかが懸念されている。
   後半の特集コーナーで放映された「ビラ配り逮捕で75日
  拘置」は、「言論は大丈夫か」というシリーズの第一弾。公
  安警察が対象者を尾行しビデオ撮影した映像なども流されて
  反響をよんだ。今後は、容疑者を匿名発表する権限を警察に
  与える問題や、共謀罪をテーマにする、と番組内でも公表し
  ている。3月26日の番組終了後、この企画を担当したジャ
  ーナリスの大谷昭宏氏の事務所には、嫌がらせ電話などが殺
  到した。
   3月28日、東京都文京区の文京区民センターで行なわれ
  た共謀罪反対の集会に出席した大谷氏は、シリーズ「言論は
  大丈夫か」について話した。それによれば、第一弾だけでは
  終わらず、最大のポイントは、現代の治安維持法ともいわれ
  る共謀罪の問題点を番組で取り上げることにあるという。パ
  ネラーとして同集会に出席したジャーナリストの寺澤有氏を
  はじめ、参加者らは、「予定通り番組内で放映されるのか」
  「放映されたとしてもトーンダウンされる恐れはないのか」
  との懸念を表明した。       http://bit.ly/2lWhRJ7
  ───────────────────────────

田原総一朗氏.jpg
田原 総一朗氏
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2018年01月11日

●「マスコミ封殺を口にする安倍政権」(EJ第4680号)

 自民党の仕掛けた次の2つの衆議院選挙は、通常の選挙とは少
し違う側面があったといえます。
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    1.2012年12月14日/衆議院議員選挙
    2.2014年10月14日/衆議院議員選挙
─────────────────────────────
 どこが違うのでしょうか。一言でいうと、自民党員にとっては
いわゆる“風”が吹いていたので、たとえ新人でも自民党の名の
もと、比較的有利に選挙戦を戦うことができたのです。それは、
次の3つの背景があったからです。
─────────────────────────────
 1.民主党政権よりはマシと考える国民は多く、自民党に風
   が吹いていたからである。
 2.株価が上昇し、実感はほとんどないものの、景気の上昇
   が予感できたからである。
 3.野党がバラバラであり、自民党員としては比較的ラクな
   戦いであったことである。
─────────────────────────────
 2012年12月の選挙では、民主党政治にうんざりしていた
国民の多くは、自民党を選んでいるので、新人でも野党の中堅ク
ラスの候補者に勝利を収めることはできたといえます。この選挙
で自民党は圧勝し、多くの新人議員が当選します。その結果、政
権を奪い返して、第2次安倍政権が誕生したのです。
 それから約2年後の2014年10月の選挙も自民党は、上記
の背景に助けられ、それに10%への消費増税を延期するという
オマケが付いたので、この選挙も自民党にとっては、比較的ラク
な選挙になったのです。そして、2年前の選挙で当選した新人議
員のほとんどが再選を果たすことができています。このようにし
て生まれたのが、後に「魔の2回生」と呼ばれる自民党の新人若
手議員です。
 ちなみに、自民党は、2013年の参院選にも勝利しており、
自民党の議員のなかには、かなりの奢り高ぶりがみられる議員が
多くなってきたのです。とくに経験の浅い2回生の新人議員の思
い上がりはひどく、その後、数々の不祥事を起こすことになりま
す。それが「魔の2回生」と呼ばれるゆえんです。
 2015年6月のことです。安倍シンパの自民党若手・中堅議
員たちによる勉強会「文化芸術懇話会」が、作家百田尚樹氏を講
師に招ねいたその席で、報道圧力、メディア支配などの過激な話
が出て盛り上がったのです。これがマスコミに大きく報道され、
問題になったことを覚えている人も多いと思います。この会合に
集まったのがいわゆる「魔の2回生」です。
 時の幹事長の谷垣禎一氏は、このままでは安保法案審議に影響
を与えることを懸念し、懇話会代表の木原稔党青年局長を更迭し
1年の役職停止処分、問題発言を行った3人を厳重注意処分にし
たのです。これについて、6月28日付の朝日新聞は次のように
報道しています。
─────────────────────────────
 懇話会で「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるの
が一番」と発言した大西英男氏(東京16区)、「スポンサーに
ならないことが一番(マスコミに)こたえる」と発言した井上貴
博氏(福岡1区)、「沖縄のゆがんだ世論を正しい方向に持って
いくために、どのようなアクションを起こすか。左翼勢力に完全
に乗っ取られている」と発言した長尾敬氏(比例近畿ブロック)
の3人を厳重注意にした。谷垣氏は、党総裁の安倍晋三首相と協
議したうえで4人(木原稔氏を含む)の処分を決めたことも明ら
かにした。      ──2015年6月28日付、朝日新聞
─────────────────────────────
 この大西、井上、長尾の3氏は、いずれも「魔の2回生」であ
り、とくに大西氏については、その後、これ以外にも、数々の失
言や不祥事を起こしているにもかかわらず、これら3人はいずれ
も2017年の衆院選で3選を果しています。つくづく野党の不
甲斐なさを痛感します。
 この「文化芸術懇話会」という名の勉強会は、2015年9月
の自民党総裁選を無投票で乗り切りたい安倍首相が、最側近に命
じて、若手議員のシンパを増やす目的で作られたものです。その
ため、萩生田光一氏や加藤勝信氏が顧問格で入っているのです。
 したがって、政権によるマスコミ支配は、安倍首相の本音とい
うことになります。首相自身がそう考えている証拠です。
 したがって、安倍首相周辺としては、谷垣幹事長(当時)の木
原稔議員への処分には大いに不満だったのです。そのため、党総
裁の無投票当選と安保法案の2つが実現するや、木原稔議員の処
分を解いています。1年のはずの役職停止処分が3ヶ月で解除さ
れたのです。これに関する野党幹部の反応を示しておきます。
─────────────────────────────
◎民主党枝野幹事長
 真面目にコメントするレベルの話ではない。「笑うしかない」
の一言に尽きる。
◎維新の党今野幹事長
 最初は厳しく処分して、世論が冷めたころに処分を甘くする。
自民党の体質である。
◎社民党又一幹事長
 どさくさに紛れて、処分を軽減するのはめちゃくちゃだ。表現
の自由、報道の自由を軽視する自民党の本質がよく表れている。
─────────────────────────────
 国政選挙で勝利を重ねるごとに安倍政権はだんだん強気になり
メディア支配を強化しています。しだいにそれはルール化され、
当然のことのように行われています。それを続けると、言論の自
由は封殺され、独裁化が進行します。しかし、メディアは既に政
権の意向を忖度して自主規制をするようになっています。情けな
い限りです。      ──[メディア規制の実態/004]

≪画像および関連情報≫
 ●安倍政権/恐怖のメディア弾圧に屈するフジとテレ東
  ───────────────────────────
   勉強会翌日の2015年7月26日夜、テレビ各局はメイ
  ンのニュース番組でこの件を報じたが、その内容や温度には
  明らかにばらつきがあった。
   『ニュースウオッチ9』(NHK)では、河野憲治キャス
  ターが「報道の自由、表現の自由は、いうまでもなく民主主
  義の根幹。自民党の若手議員の発言や、とりわけ作家の百田
  尚樹氏による『沖縄の2つの新聞は潰さなければならない』
  という発言は、報道機関に所属する者として決して認められ
  ない」とカメラ目線で主張した。
   また、「メディアの是非は視聴者や読者が決めます。こう
  した発言をする政治家の是非は、選挙で有権者が決めます」
  と述べたのは『NEWS ZERO』 (日本テレビ系)の村
  尾信尚キャスターだ。
   『NEWS 23』 (TBS系)の膳場貴子キャスターは
  「権力による報道規制にほかならないと思うのですが」と、
  コメンテーターに問いかけるかたちだった。
   『報道ステーション』(テレビ朝日系)の古舘伊知郎キャ
  スターは、この問題を伝えた後で「こういう話をしているだ
  けでこの番組もこらしめられるんですかね」と苦笑いした。
  さらに、「政権が気に入る意見とか、お気に召す報道をする
  ことで世の中が豊かになるとは思えない」と締めくくった。
                   http://bit.ly/2qsRDDu
  ───────────────────────────

マスコミ支配の発言をする自民党木原稔議員.jpg
マスコミ支配の発言をする自民党木原稔議員
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2018年01月12日

●「週刊ポストの編集方針変更の理由」(EJ第4681号)

 「週刊ポスト」という雑誌があります。1969年8月に小学
館によって創刊され、現在も続いています。30代〜40代の男
性サラリーマンがメインの読者層です。小学館の雑誌には、この
ほかに「女性セブン」と「SAPIO」があります。
 「週刊ポスト」は、基本的にはゴシップ暴露誌ですが、政治的
批判記事をトップ記事にして取り上げる特色があります。その基
本的姿勢は保守的、反中、反韓で、政治不正は許さじの記事が多
く、大きな事件は連載して追及するなど、なかなか読み応えがあ
るので、私は内容にかかわらず、「週刊現代」と一緒に毎週必ず
買うことにしていたのです。
 ところが、2015年頃から、突然政治記事が紙面からほぼ完
全に消滅し、読者層を老年層に切り替えたのか、医療、介護、医
薬などの記事がメインになったのです。2017年にあれほど盛
り上がった「森友/加計問題」ですら、本来であれば「週刊ポス
ト」が好んで取り上げるテーマであるのに、一行たりとも報道し
なかったのです。一体何があったのでしょうか。
 2015年4月のことです。「週刊ポスト」は、時の高市早苗
総務相の大臣秘書官を務める実弟がかかわったとされる「高市後
援会企業の不透明融資」問題をトップ記事に取り上げ、報道した
のです。続いて5月には、東京地検特捜部が捜査を開始した日本
歯科医師連盟(日歯連)から菅官房長官が代表を務める自民党神
奈川県連に3000万円が迂回献金されていた事実をスッパ抜い
ています。自民党への連続攻撃です。
 このときの「週刊ポスト」の編集長は三井直也氏という人物で
あり、反安倍政権の姿勢を明確にし、毎号のように安倍政権の不
正疑惑を記事として取り上げたのです。いかにも「週刊ポスト」
らしい記事といえます。このとき「週刊ポスト」の発行人は、森
万紀子氏という人物です。森氏は、同じ小学館の「女性セブン」
の編集長でもあります。
 三井直也編集長による高市早苗総務相の実弟の関わる記事は、
事実を基にして慎重に書かれており、その実弟が否定している日
本政策金融公庫の不正融資に関与した疑いについては、いっさい
書いていないのです。
 ところが、高市総務相の実弟は、「週刊ポスト」に対して、名
誉棄損訴訟を起こしてきたのです。それも三井編集長だけでなく
発行人の森万紀子氏、担当編集者、ライターにいたるまで、その
記事に関わった全員を被告とするという厳しい訴訟であり、警視
庁への刑事告訴まで行っています。
 こういう訴訟は「恫喝訴訟」、すなわち「スラップ訴訟」とい
い、お金もかかるので、滅多にやらない徹底抗戦的な訴訟なので
す。以下は、スラップ訴訟の定義です。
─────────────────────────────
 スラップ訴訟とは、ある程度の発言力や社会的影響力のある、
社会的に優位といえる立場の者が、特に発言力や影響力を持たな
い相対的弱者を相手取り訴訟を起こすこと。強者が弱者に対して
訴訟をしかけることで、半ば社会的な恫喝あるいは報復として機
能する。               http://bit.ly/2EiuyFT
─────────────────────────────
 もちろん、菅官房長官は、自身への疑惑に関しても同様の措置
をとっています。官邸からのこのスラップ訴訟に小学館幹部は震
え上がったといわれます。この場合、官邸側としては、自民党の
閣僚や幹部に関しては、自分に非があるなしに関係なく、直ちに
こういう措置を取ることに決めているようです。高市総務相の実
弟の訴訟も官邸の指示に沿って行われています。ある週刊誌編集
幹部は次のように述べています。
─────────────────────────────
 高市総務相のケースもそうでしたが、自民党は閣僚や幹部のス
キャンダルを週刊誌がやろうとすると、すぐに党の顧問弁護士を
たてて、『訴訟するぞ』とプレッシャーをかける作戦をとってい
ます。新聞とテレビは抗議だけで黙らせることができるが、週刊
誌はそうはいかない。それで、週刊誌がいま、いちばん恐れる訴
訟をもち出して、圧力をかけるわけです。週刊誌もよほどの鉄板
の事実がない限り、スキャンダル追及なんてできなくなってしま
いました。          ──週刊誌編集幹部のコメント
─────────────────────────────
 これを受けて小学館幹部は、あわてて三井編集長の更迭を決断
しますが、あまり急に更迭させると、他のマスコミから不審に思
われるので、一年後に更迭しています。一説によると、この名誉
棄損裁判と編集長人事について、官邸と小学館の間で、何らかの
取引があったのではないかといわれています。
 それ以後、「週刊ポスト」は、編集方針を変更し、ほとんど政
治記事を取り上げず、現在にいたっています。これは、明らかな
官邸からの圧力の結果であり、他誌についても、スラップ訴訟を
起こされないよう政治記事の取り上げには慎重になります。もし
訴訟を起こされると、コスト的に引き合わないからです。そのた
め、今後安倍政権にどんな疑惑があっても、よほどの証拠と豊富
な資金力がない限り、取り上げることを控えるはずです。これこ
そ「忖度」そのものであり、国民の知る権利の侵害ですが、多く
の国民は、それに気づいていないのです。
 古賀茂明氏によると、一党独裁国家にいたるホップ、ステップ
ジャンプがあるそうです。まず、政府がメディアに圧力をかける
のがホップです。その効果が浸透してくると、メディアが自粛し
て、つまり、忖度して、政府を批判する報道をしなくなります。
これがステップです。
 この期間が相当長く続くと、国民は政府が何もしなくても、民
主的手続きによって、特定の候補者を選ぶようになります。これ
がジャンプです。一党独裁国家は、このようにして誕生するので
す。ナチスヒットラー政権もこのようにして誕生しています。安
倍政権もまさに同じステップを踏みつつあります。
            ──[メディア規制の実態/005]

≪画像および関連情報≫
 ●文藝春秋社長が安倍政権を「極右の塊」と発言/花田紀凱氏
  ───────────────────────────
   2016年12月6日夜、市ヶ谷の私学会館で、保坂正康
  さんの新刊『ナショナリズムと昭和』の出版記念会が開かれ
  た。参加者は250人ほど。そこで発起人代表として文藝春
  秋松井清人社長が挨拶したが、これが驚くべきものだった。
  「極右の塊である現政権をこれ以上暴走させてはならない」
  ──現政権、つまり、安倍政権を「極右の塊」と批判したの
  だ。「暴走」と難じたのだ。
   お断りしておくが、朝日新聞の社長ではない。文藝春秋の
  現社長がこう言ったのだ。「メディア自体がおかしくなって
  しまっている」とも言ったという。むろん、保坂さんの出版
  記念会だから、保坂さんへのリップサービスということもあ
  ろう。しかしそうだとしても、度がすぎる。僕自身はこの会
  に出ていないが、出席者の一人にそう聞いたので、何人かの
  出席者に確認して確認した。
   出席していた元文藝春秋専務の半藤一利さんもこう言った
  という。「昔は反動と言われていた私が今や、極左と言われ
  ている。私より激しい松井社長などなんと言われることか。
  世の中の軸がズレてしまっている」。文藝春秋といえば、戦
  後ずっと、いや、菊池寛が創刊して以来、穏健な保守の代表
  だったはずだ。そういう読者が文藝春秋を支えてきたのでは
  なかったか。数年前、売れ行き不振を理由に、オピニオン誌
  『諸君!』を休刊した頃から、文藝春秋がおかしくなってい
  ると思っていたが、ここまで来ていたとは。
                   http://bit.ly/2CK9hYz
  ───────────────────────────

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菅官房長官の疑惑を報道した「週刊ポスト」
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2018年01月15日

●「2014年になぜ選挙をしたのか」(EJ第4682号)

 なぜ、安倍一強内閣ができてしまったのでしょうか。結論から
先にいうと、2014年10月の衆院選で自民党が勝利したから
であるということができます。そのとき、安倍政権はいろいろな
仕掛けをしており、それが一定の成果を収めたのです。安倍政権
は、この選挙に勝利してから、大きく変わるのです。例えば、な
り振り構わないメディア規制をはじめるなど、政権維持のためな
ら何でもやるという姿勢になったのです。
 2012年12月の選挙は、自民党にとっては勝って当然の選
挙だったといえます。しかし、2014年10月の選挙は、その
直前まで、ほとんどの人が選挙のあることを予測していなかった
のです。2013年7月には参議院選があったし、それにも自民
党は勝利しています。それに政権奪取から2年しか経過していな
いし、もし選挙をすると、政権奪取後、毎年選挙をしていること
になる──だから、選挙はないと考える人が多かったのです。
 だが安倍首相の本音は、2015年9月の自民党総裁選の無投
票当選です。安倍首相としては追い込まれるのは厭なのです。し
かし、それまでには、集団的自衛権の行使容認のための関連法の
成立や九州電力川内原発をはじめとする原発の再稼働など、不人
気な政策ばかりであり、支持率が下がる恐れがあります。それに
野党は2012年の衆院選と2013の参院選敗北のダメージか
ら立ち直っていない状況です。だから、野党の準備が整わない内
に解散すれば、選挙に勝ていると判断したのです。
 しかし、選挙を行うには、そこに自民党として「解散の大義」
が必要になります。そのため、「消費増税を延期するため」とか
いろいろ議論されたのです。選挙でこれほど「解散の大義」が議
論されたのは初めてのことです。古賀茂明氏は、このときの大義
論について、次のように述べています。
─────────────────────────────
 まずは「消費税増税延期は三党合意を覆すものだから国民の信
を問うのは当然」と主張。しかし、「三党合意に基づく消費税増
税法の景気条項には、景気回復未達成のときには増税を延期する
と書いてある」と反論されて完敗する。
 次に持ち出した大義は、「税制は民主主義の根幹。増税延期で
国民の信を問うのは当然」というものだった。安倍氏のブレーン
は、「代表なくして課税なし。そんなイロハもわからないのか」
と、税制を変えるなら選挙で国民の代表を選び直す必要があると
語っている。(中略)
 その後、安倍政権の大義論は選挙の争点論にシフトしていく。
そこで主張されたのは「アベノミクスを進めるか止めるのかを問
う」との議論。しかしこれも「アベノミクスの第三の矢を止めて
いるのは安倍総理自身だ」という批判を誘発することになった。
 そして最後に安倍総理の側近が展開したのが、「今回の選挙は
財務官僚・自民党内守旧派族議員連合と改革派・安部総理の闘い
だ」という主張だ。これはある意味、嘘といえない面もあったが
そんな政府・与党内の対立を選挙の大義にしても、誰もピンと来
ない。結局、「大義論」はいつしか話題から消えて、投票日を迎
えることになった。             ──古賀茂明著
               『日本中枢の狂謀』/講談社刊
─────────────────────────────
 安倍政権が本当に「解散の大義」を問うのであれば、集団的自
衛権行使容認の閣議決定のときにこそやるべきです。なぜなら、
それは実質的な憲法改正であるからです。しかし、そういう肝心
なときは国民の信を問うとはいわないのです。2014年と同じ
ような趣旨で安倍政権は2017年も解散に踏み切っています。
 それでは、安倍政権は2014年の選挙から政権維持のために
一体何をしたのでしょうか。
 それは、露骨なメディア規制です。権力者にとって、メディア
を規制しようとする誘惑は強いものがあります。なぜなら、権力
者は、自らの権力を長く維持しようとするため、自らを批判する
政敵を排除し、言論を封殺しようとします。それは、多くの場合
だんだん露骨になり、暴走するものです。そして、必ず、その権
力者は滅んでいるのです。人類の歴史は、権力者による言論弾圧
の歴史であるという人もいます。
 安倍政権がメディアを規制する前にやったことがあります。そ
れは、最も身近にいる官僚を味方につけることです。それは、官
僚にエサを与えることですが、それを国民に絶対に知られてはな
らないのです。あくまで国民に対しては「官僚と戦っている安倍
政権」というイメージを持たせる必要があります。
 そこで、政権の判断でできて、国民が目につきにくいことをい
くつもやっています。戦っているイメージを演出したのは「財務
省と戦っている」イメージです。これについて、古賀茂明氏は、
次のように述べています。
─────────────────────────────
 安倍総理は就任早々、公務員改革を封印している。たとえば、
巨大政府系金融機関のトップを民間人から財務・経産両省の次官
級OBの天下りポストに戻してやった。これは「天下りは完全に
フリーにするから政権に協力しろ」という、官僚たちへの密かな
メッセージだと受け取られた。
 そして2014年4月には、東北復興予算の財源として、平均
7・8%削減していた国家公務員給与を元に戻し、10月には月
給平均0・27%、年間ボーナス0・15ヶ月分の引き上げを決
めた。それに続いて15年も16年も、国家公務員給与は引き上
げられている。増税で対立しかねない財務省には好きなだけ国債
を発行させ、彼らが一番喜ぶ公共事業の配分という利権を増やし
た。総選挙における自民党の分厚い公約集には、各省の予算要求
項目がずらりと並ぶ。官僚への配慮が見え見えで、アベノミクス
第三の矢である規制改革の本気度もゼロだということがよく分か
る内容だった。         ──古賀茂明著の前掲書より
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/006]

≪画像および関連情報≫
 ●公務員制度改革を漂流させる「2つの壁」/人羅格氏
  ───────────────────────────
   国家公務員の人事体系をめぐる制度改革論議が再浮上して
  いる。安倍内閣は秋の臨時国会で関連法案を提出する構えだ
  が、民主党政権時を含めた5年にわたる迷走の結果、この問
  題をめぐる与野党の「熱気」は実際はかなり冷めている。政
  治主導の導入というかけ声をよそに過去3度関連法案が廃案
  となり、今や「決まらない政治」の象徴的テーマにすらなり
  つつある。中央官庁のタテ割り打破や能力主義導入など本来
  の目的もかすみかねない。「何のための公務員制度改革か」
  が問われている。
   政府の国家公務員制度改革推進本部(本部長・安倍晋三首
  相)が2013年6月28日に決定した基本方針は各省の幹
  部人事を一元管理するための「内閣人事局」を14年春に設
  置し、首相が任命する「国家戦略スタッフ」制度を新設する
  ことや女性の積極登用方針などが盛りこまれた。関連法案を
  秋の臨時国会に提出し制度化を図るが、内閣人事局に与えら
  れる具体的な権限や制度設計は示されず、参院選後に結論を
  先送りした。もともと公務員制度改革は官僚の天下りへの批
  判が強まる中、「省あって国なし」とまで言われる中央官庁
  のタテ割り意識や、硬直的な人事体系の是正に向け第1次安
  倍内閣が手がけた。そして福田内閣の08年、自民、民主、
  公明3党が賛成し、国家公務員制度改革基本法が成立した。
                   http://bit.ly/2FCX7PF
  ───────────────────────────

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何か不愉快そうな安倍首相
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2018年01月16日

●「公然と文書でメディアを規制する」(EJ第4683号)

 2014年11月20日といえば、第2次安倍政権による衆議
院解散前日のことですが、在京テレビキー局の編成局長と報道局
長に次の文書が届いたのです。当時の萩生田光一自民党筆頭副幹
事長と福井照報道局長が差出人のA4一枚の文書です。後世に残
る前代未聞の、とんでもない文書なので、少し長いですが、その
全文をご紹介します。
─────────────────────────────
 平成26年11月20日
 在京テレビキー局各位
 編成局長殿 報道局長殿
            自由民主党筆頭副幹事長 萩生田光一
                   報道局長  福井 照
 選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保について
 のお願い
 日頃より大変お世話になっております。
 さて、ご承知の通り、衆議院は明21日に解散され、総選挙が
12月2日公示、14日投開票の予定で挙行される見通しとなっ
ております。つきましては、公平中立、公正を旨とする報道各社
の皆様にこちらからあらためてお願い申し上げるのも不遜とは存
じますが、これから選挙が行われるまでの期間におきましては、
さらに一層の公平中立、公正な報道姿勢にご留意いただきたくお
願い申し上げます。
 特に、衆議院選挙は短期間であり、報道の内容が選挙の帰趨に
大きく影響しかねないことは皆様もご理解いただけるところと存
じます。また、過去においては、具体名は差し控えますが、ある
テレビ局が政権交代実現を画策して偏向報道を行い、それを事実
として認めて誇り、大きな社会問題となった事例も現実にあった
ところです。したがいまして、私どもとしては、
 ・出演者の発言回数及び時間等については公平を期していただ
  きたいこと
 ・ゲスト出演者等の選定についても公平中立、公正を期してい
  ただきたいこと
 ・テーマについて、特定の立場から特定政党出演者への意見の
  集中などがないよう、公平中立、公正を期していただきたい
  こと
 ・街角インタビュー、資料映像等で一方的な意見に偏る、ある
  いは特定の政治的立場が強調されることのないよう、公平中
  立、公正を期していただきたいこと
──等について特段のご配慮をいただきたく、お願い申し上げる
次第です。以上、ご無礼の段、ご容赦賜り、何とぞよろしくお願
い申し上げます。
─────────────────────────────
 この文書は、時の政権がメディアに対して圧力をかけた証拠に
なる文書です。少なくとも先進国において、メディアに文書まで
送って、これほど露骨な圧力をかけた例はないはずです。
 文書のなかに「過去においては、具体名は差し控えますが、あ
るテレビ局が政権交代実現を画策して偏向報道を行い、それを事
実として認めて誇り、大きな社会問題となった事例も現実にあっ
た」という部分がありますが、これは、1993年に起きた「椿
事件」のことを指しています。
 1993年といえば、7月18日に行われた衆議院議員選挙に
おいて、与党自民党は解散時の議席は維持したものの過半数を割
り、非自民で構成される細川連立政権が誕生したのです。その結
果、自民党は、結党以来はじめて野党に転落したのです。
 1993年10月に産経新聞にある記事が掲載されたのです。
その記事は選挙前に当時の報道番組「ニュースステーション」の
スタッフに対し、テレビ朝日の椿貞長報道局長が次のように発言
したと書かれていたのです。
─────────────────────────────
 小沢一郎のけじめをことさらに追及する必要はない。今は自民
党政権の存続を絶対に阻止して、なんでもよいから反自民の連立
を成立させる手助けになるような報道をしようではないか。
        ──椿貞長報道局長 http://exci.to/2r4OdXZ
─────────────────────────────
 この産経新聞の記事を受けて、郵政省(当時)は椿発言を重視
し、江川晃正放送行政局長が緊急記者会見を開き、放送法に違反
する疑いがあり、その事実があれば、電波法第76条に基づく無
線局運用停止もありうることを示唆しています。これによって、
衆議院は、自民党と共産党の訴えを受けて、椿貞長氏に対する証
人喚問を実施したのです。
 この証人喚問で椿氏は、「誤解を招く発言をしたことは事実で
あるが、偏向報道するよう指示していない」と主張。その後1年
以上かけたテレビ朝日の内部調査の結果でも、偏向報道を行った
事実はないとする報告書を郵政省に提出し、郵政省はそれを受け
入れ、テレビ朝日に対する免許取り消しなどの措置を見送ってい
ます。したがって、上記萩生田文書にある「それを事実として認
めて誇り」という部分は事実と異なります。
 とにかくこの総選挙で自民党は野党に転落したのですが、自民
党としては、その悔しさゆえにその敗因を己にあることを素直に
認めず、テレビのせいにしようとしたことは明らかです。それは
選挙後の細川連立内閣の支持率の高さに対して、当時の加藤紘一
議員が次のようにいっていることからもよくわかります。
─────────────────────────────
 ウンチャンナンチャンじゃないが、敗因は6チャン(TBS)
10チャン(テレビ朝日)の影響だな。   ──加藤紘一議員
─────────────────────────────
 もうひとつ特筆すべきことがあります。それは、安倍首相自身
が、この1993年の選挙で、衆議院議員に初当選していること
です。安倍首相の「テレビ憎し」はこのときからはじまっている
のです。        ──[メディア規制の実態/007]

≪画像および関連情報≫
 ●加計報道は第2の椿事件である
  ───────────────────────────
   現在、マスコミは加計学園の件で安倍内閣を倒閣すべく、
  一方的な安倍叩きの偏向報道、印象操作、捏造報道をしてい
  る。やりたい放題になっていると言っていい。テレビで国会
  での加戸氏の証言をまったく取り上げない件ひとつでも、そ
  れは明白だ。虚偽の内容でないかぎり、新聞は自分たちの主
  義主張を紙面に押し出して書いても構わない。しかしテレビ
  は違う。放送法というのがあり、テレビは公正中立の内容で
  なければならない。
   今のテレビ報道は明らかに公正中立ではない。今年に入っ
  てからの森友・加計の報道には、まったく客観性が見られな
  い。過去半年間、テレビが伝える、この件に関する報道のど
  こをとっても、放送法に抵触するのではないかとさえ思う。
  本来なら放送法を適用し、総務省はテレビ局の放送免許取消
  をすべきだろう。それをやらなければ、マスコミが政権を作
  ったり壊したりと日本の政治を自由に操る、マスコミ傀儡政
  権ばかりになる。
   政府は放送法を適用することに消極的だが、過去に一度だ
  けテレビ局を追い込んだことがある。それが1993に起き
  た椿事件だ。これは放送史上初めて、放送法違反による放送
  免許取消し処分が本格的に検討された事件である。
                   http://bit.ly/2uZXXDJ
  ───────────────────────────

萩生田光一氏.jpg
萩生田 光一氏
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2018年01月17日

●「久米宏への不満が椿事件の原因か」(EJ第4684号)

 椿事件については多くの記述がありますが、そのほとんどは、
テレビ朝日側が良くないというスタンスに立った意見です。しか
し、多くの情報を集めてみると、やはり、自民党の度重なる報道
圧力が原因といわざるを得ないのです。その直接原因はテレビ朝
日の報道番組「ニュースステーション」にあったのです。椿報道
局長(当時)は、次の2つの理由を上げています。いわば「ニュ
ースステーション」は自民党の目の敵にされていたのです。
─────────────────────────────
1.選挙前数年間、自民党側からの「ニュースステーション」
  久米宏氏に対する風当たりが強かったというより暴力的で
  あったと考えている。
2.山下厚生大臣(当時)が「『ニュースステーション』のス
  ポンサーの商品名はボイコットすべきである」というよう
   な発言があったこと。
─────────────────────────────
 久米宏氏がメインキャスターを務めるテレビ朝日の「ニュース
ステーション」は、全4795回の平均視聴率が14・4%とい
う報道番組としては圧倒的な人気番組だったのです。
 私もなにか政治的な事件が起きると、「これを久米宏はどのよ
うに料理するか」と考えて、毎日番組を見たものです。とにかく
刺激的な番組だったと思います。
 環境問題の専門家で、ニュースステーションにたびたび出演し
た青山貞一氏は、久米宏氏について次のように述べています。
─────────────────────────────
 久米さんは、歯に衣着せぬ物言いと言うより、ぽろっと本音を
言ってしまう。それも事前の打ち合わせを無視し、「生番組」で
何でもかんでも言ってしまう。番組が終わる前は、CMの前にぽ
ろっと本音を言ってしまう。そんなところに最大の個性と価値が
あったと思う。
 他方、久米さんは政権政党、とくに自民党を公然と真っ向から
批判してきた。その結果、自民党にニュースステーションは徹底
マークされ攻撃を受けてきた。よく言われるのは事実と意見(価
値判断)をないまぜにすると言った批判だ。確かにこれはごもっ
ともだが、久米さんは、それを何ら意に介せず、視聴者に向かっ
て久米流を貫徹した。キャスターは、原稿を読み上げるアナウン
サーではない。まさにたたかうキャスターであったと言える。
 一口で言えば、政権政党に喜ばれるような政府広報的な報道や
大本営的な報道は到底報道とは言えない、と言う意味で久米ニュ
ースステーションは、報道の本道を歩んできたことになる。
                   http://bit.ly/2EHclll
─────────────────────────────
 このように「ニュースステーション」は、視聴率の高い人気番
組であっただけに、そこで自民党が批判されると、そのダメージ
は大きかったのです。番組が始まったのは1985年10月7日
であり、小泉政権の2004年3月26日に終了しています。な
ぜ終了したかというと、久米宏氏の希望であったといわれます。
その理由を久米宏氏自身は、次のように明らかにしています。
─────────────────────────────
 「政治とテレビの関係」にあったのかもしれないと今になって
思う」。2001年に小泉政権が誕生した際、マスコミを巧みに
利用した「小泉劇場」の演出に結果的にテレビが加担したことで
「そこに生じたテレビと政治のいわば『不義密通の関係』。政治
とテレビの関係に嫌な予感を覚えたことが、『そろそろ潮時だ』
と決めるに至った原因ではなかったか」。
                   http://bit.ly/2r4rWcJ
─────────────────────────────
 田原総一朗氏は、久米宏氏の「ニュースステーション」を高く
評価し、次のようにコメントしています。
─────────────────────────────
 「ニュースステーション」という番組は、権力に対する監視装
置だったといえる。久米宏氏がまた報道の世界に戻ってきてくれ
たら面白い。               ──田原総一朗氏
─────────────────────────────
 このように、自民党は「ニュースステーション」に対してたび
たび威圧を加えており、テレビ朝日側としては大きな不満が充満
していたことは確かです。しかし、椿貞良元テレビ朝日報道局長
を衆議院の証人喚問に引っ張り出すことに成功したものの、自民
党は、そのとき政権を失っていたのは皮肉な話です。
 証人喚問は、どういう状況だったのでしょうか。証人喚問は、
1993年10月25日に行われており、衆議院政治改革特別委
員会で次のように行われています。今となっては、懐かしい名前
が並びます。
─────────────────────────────
     衆議院政治改革特別委員会/石井一委員長
     ◎自民党質問者
      谷垣貞一議員、町村信孝議員
     ◎共産党質問者
      矢島恒太議員
─────────────────────────────
 1993年7月の衆議院解散は「嘘つき解散」といわれていま
す。同年5月31日に時の宮沢首相は「総理と語る」(NHK)
という番組で、ジャーナリストの田原総一郎氏からインタビュー
を受けたさい、「今国会中に衆議院の選挙制度改革をやる」と断
言したのです。しかし、実際には自民党内の意見をまとめきれず
に次の国会へ先送りしたことに野党は反発し、通常国会閉幕直前
に日本社会党・公明党・民社党が共同で内閣不信任決議案を提出
したのです。当時自民党は衆議院の過半数を握っていたので、当
然否決できると思われたのですが、党内から造反者が続出して可
決されたのです。これが「嘘つき解散」と呼ばれるゆえんです。
            ──[メディア規制の実態/008]

≪画像および関連情報≫
 ●「嘘つき解散」の造反劇の内幕
  ───────────────────────────
   (うそつき解散)の造反劇は、前年に党内最大派閥・経世
  会の会長・金丸信が東京佐川急便事件で逮捕されたことに端
  を発している。金丸が去った後、派内人事や、金丸の処遇を
  巡って、小渕恵三・橋本龍太郎・梶山静六らと、小沢一郎・
  羽田孜・奥田敬和・渡部恒三らとの対立が表面化し、竹下派
  七奉行による激烈な主導権争いを繰り広げた。最終的には派
  閥オーナーである竹下登の工作もあって、小渕が経世会会長
  に就任した。小沢らは小渕派経世会を脱会し、羽田を先頭に
  改革フォーラム21(羽田派)を結成した。これによって党
  内最大派閥は完全分裂し、小渕派は党内第4派閥、羽田派は
  第5派閥に転落した。
   そして、その後の党役員の人事にあたって、宮澤が小渕派
  を優遇し羽田派を冷遇したことで、羽田派は宮澤内閣に対し
  て態度を硬化させる。羽田派は非主流派として、宮澤内閣に
  「政治改革関連法案を絶対に通すべきだ」と強く迫り続けた
  が、結局同法案は党内からの反対もあり廃案となり、これが
  羽田派の内閣不信任案へ賛成票を投じる結果に至った。羽田
  派に属していた船田元・中島衛の2閣僚も、それぞれ大臣の
  職を辞して不信任案に賛成票を投じた。自民党内閣への内閣
  不信任案採決の際に自民党議員が欠席・棄権した例は他にも
  あるが、不信任票を投じたのはこの時のみである。
                   http://bit.ly/2DAv1El
  ───────────────────────────

「ニュースステーション」当時の久米宏氏.jpg
「ニュースステーション」当時の久米 宏氏
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2018年01月18日

●「もうひとつの圧力文書が存在する」(EJ第4685号)

 16日付のEJでお知らせした自民党の圧力文書を私は「日刊
ゲンダイ」紙上ではじめて知ったのですが、一番最初に報道した
のは、動画サイト「ニューズ・オプエド」です。「オプ・エド」
とは「opposite editorial/オポジット・エディトリアル」の略
で、ある新聞記事に対して、同じ新聞内で反論や異論を述べる欄
のことです。詳しくは、次のURLをクリックしてください。
─────────────────────────────
        ◎ニューズ・オプエド
        https://op-ed.jp/about_oped/
─────────────────────────────
 そもそもこの圧力文書は、古賀茂明氏によると、自民党詰めの
記者クラブ「平河クラブ」にいる各テレビ局のキャップ(各社の
クラブのトップ)に直接手渡されたといいます。
 もちろん、それぞれの記者クラブの記者から、各新聞社の政治
部にも届いているはずですが、どこ社も報道しないのです。「触
らぬ神に祟りなし」のスタンスです。放置すれば、自分たちの首
を絞めることになるのに何もしないとは情けない話です。古賀茂
明氏はこの件について次のようにコメントしています。
─────────────────────────────
 記者クラブでは、こういうときに阿吽の呼吸でカルテルが成立
する。どの社も記事化に動いていないことを確認しつつ、「君子
危うきに近寄らず」で沈黙していたのだ。選挙が近い時期にこう
した情報を流して、自民党に逆恨みされることを心配したのだろ
う。だから、あえて取材をしたり、確認を取ったりしなかったの
だ。スクープしたニューズオプエドは視聴者がまだ少なく、社会
的な影響力が弱いから、無視してもそのうちこの情報は消える。
そんな思惑があったかもしれない。各社とも、すぐには後追いの
報道をしなかった。             ──古賀茂明著
               『日本中枢の狂謀』/講談社刊
─────────────────────────────
 実は自民党の圧力文書はもうひとつあります。これは、既報の
圧力文書の差出人の一人である自民党の福井照報道局長が、テレ
ビ朝日の「報道ステーション」のプロデューサーに宛てた手紙で
すが、2014年11月24日報道の「報道ステーション」の内
容について批判したものです。これは、既報の圧力文書の6日後
に出されています。
─────────────────────────────
           平成26年(2014年)11月24日
                    株式会社テレビ朝日
          「報道ステーション担当プロデューサー殿
              自由民主党/報道部長 福井 照

 冠省 貴社の11月24日付「報道ステーション」放送に次の
とおり要請いたします。

 貴社の11月24日放送の「報道ステーション」において、ア
ベノミクスの効果が、大企業や富裕層のみに及び、それ以外の国
民には及んでいないかのごとく、特定の富裕層のライフスタイル
を強調して紹介する内容の報道がなされました。
 サラリーマンや中小企業にもアベノミクスが効果を及ぼしてい
ることは、各種データが示しているところです。たとえば、賃上
げ率はこの春2・07%と過去15年で最高となっており、中小
企業においても、3分の2の企業が賃上げを行っております。ま
た、中小企業の景況感も22年ぶりにプラスになっております。
アベノミクスの効果については種々の意見があるところです。意
見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論
点を明らかにしなければならないとされている放送法四条四号の
規定に照らし、特殊な事例をいたずらに強調した24日付同番組
の編集及びスタジオの解説は十分な意を尽くしているとはいえま
せん。貴社におかれましては、公平中立な番組作成に取り組んで
いただきますよう、特段の配慮をお願い申し上げます。
                      ──古賀茂明著
               『日本中枢の狂謀』/講談社刊
─────────────────────────────
 要は、報道では、アベノミクスの効果が大企業や富裕層にしか
届いていないといっているが、中小企業にも届いていることを各
種データが示しているではないかと反論しているのです。これは
完全な番組内容に対するイチャモンです。テレビの報道に対する
露骨な圧力であり、許し難い脅迫です。
 EJでもテーマとして「アベノミクス」は取り上げましたが、
ある経済政策の効果については、いろいろな分析や見方があり、
どれが正しくて、どれが間違っているかを決めつけることは困難
なものです。それにもかかわらず、自民党がこのような文書を送
り付けた理由は何かということについて、古賀茂明氏は次のよう
にコメントしています。
─────────────────────────────
 当時は、アベノミクスが一般庶民や中小企業に恩恵を与えてい
ないということが、各種世論調査でもはっきりしていた。ところ
が自民党は、それを伝えられると選挙に不利だから、庶民や中小
企業に恩恵が及んでいる例を探して報道しろという、まったく理
不尽なことを要求してきたのだから驚きである。
 しかし、もっと驚いたのは、放送法の規定をわざわざ引用した
ことだ。「俺たちは政権与党だ。いうことをきかないと、免許剥
奪もあるからな」という最大級の脅しなのだ。幸い、このプロデ
ューサーは、この文章を一笑に付して、まったく相手にしなかっ
たそうだ。もちろんテレビ朝日のなかでは、経営トップにまで、
この文書は報告された。そして、この件は完全に極秘扱いになり
長く伏せられていたのだ。    ──古賀茂明著の前掲書より
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/009]

≪画像および関連情報≫
 ●メディア幹部よ、安倍首相と仲良く飯を食ってる場合か!
  ───────────────────────────
   安倍首相に近い自民党の若手議員が立ち上げ、2015年
  6月25日に開かれた勉強会「文化芸術懇話会」で、日本経
  団連に依頼して広告主を通じてメディアに圧力をかけようと
  の発言があったとされることに対し、野党などから「権力を
  持った者の驕り」などとする批判が出ている。
   朝日新聞記者時代から、メディアの世界で20年以上飯を
  食ってきた筆者にとって、権力を持つ政権与党の政治家がそ
  んなことを言い出すこと、あるいは考えることについて、何
  の驚きもない。権力者だったらそれくらいのことは当然考え
  る。ただ、メディアも取材に来ている、あるいは発言が外に
  漏れる可能性のある半ば公式的な場面で、そういう発言が出
  ること自体に驚いている。どういう意味での驚きかというと
  「メディアもここまで舐められているのか」という驚きであ
  る。その懇話会が開かれた前日の24日、朝日新聞の首相動
  静(25日付朝刊)をみると、安倍首相と記者らメディア関
  係者が銀座の料理店で食事をしている。そのメンバーは次の
  通り。朝日新聞の曽我豪・編集委員、毎日新聞の山田孝男・
  特別編集委員、読売新聞の小田尚・論説主幹、日本経済新聞
  の石川一郎・専務、NHKの島田敏男・解説副委員長、日本
  テレビの粕谷賢之・メディア戦略局長、時事通信の田崎史郎
  ・解説委員。首相と食事をすることは取材の一環なのだろう
  が、メンバーの中には政権中枢の政治家のゴーストライター
  として知られた人物もいる。       ──井上久男氏
                   http://bit.ly/2FH8Lcw
  ───────────────────────────

自民党/福井照議員.jpg
自民党/福井 照議員
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2018年01月19日

●「TBSの編集を叱責する安倍首相」(EJ第4686号)

 2014年11月18日、安倍政権になってからのはじめての
解散の3日前のことです。安倍首相はTBSの「ニュース23」
に出演したのです。そのとき、番組では街角インタビューとして
次の質問をするVTRの映像を流しています。
─────────────────────────────
     景気が良くなっていると実感していますか
─────────────────────────────
 映像には、「景気が良くなったとはあんまり思わない」「景気
が悪いですし、解散総選挙して出直し」「アベノミクスは感じて
ない」「大企業しかわからへんのちゃうかな」という声が多かっ
たのです。これに対して、安倍首相は、次のように猛然と反論し
たのです。
─────────────────────────────
 これはですね、街の声ですから、皆さん(TBS)選んでおら
れると思いますよ。もしかしたらね。われわれが政権を獲ってか
ら、国民総所得はプラスになっています。マクロでは明らかにプ
ラスなんですよ。ミクロで見ていけば、色んな方々がいらっしゃ
います。中小企業の方々、小規模事業者の方々で、名前を出して
「テレビで儲かってます」って答えるのはですね、そうとう勇気
がいるんですよ。    ──安倍首相 http://bit.ly/2ENp6v0
─────────────────────────────
 これは明らかな首相の難クセです。街の声を聞いているのです
から、「マクロではプラスなんですよ」といってもはじまらない
のです。安倍首相にしてみれば、番組はVTRを編集して、「景
気の良さは実感していない」という人をわざと多くしているとい
いたいのでしょう。
 しかし、それは違います。2014年は、4月に消費税が8%
に増税されており、個人消費は大きく落ち込んでいたのです。景
気が良いと感じない人が多いに決まっています。質問された人は
正直に答えています。番組はそれを街の声として視聴者に伝えた
に過ぎないのです。
 問題なのは、官邸がこのTBSの番組作りを「放送法第4条第
4項」の違反であると、とらえたフシがあることです。おそらく
首相は相当怒って官邸に戻り、「テレビを何とかしろ!」と腹心
の議員に命じたと思います。これが、その直後の11月20日と
26日のテレビ局への圧力文書になったものと思われます。
 それでは、「放送法」第4条第4項とは、どのような条文なの
でしょうか。次に示します。
─────────────────────────────
(国内放送等の放送番組の編集等)
第4条
 一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
 二 政治的に公平であること。
 三 報道は事実をまげないですること。
 四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角
   度から論点を明らかにすること。
─────────────────────────────
 「放送法」第4条は、確かにテレビ番組の制作者向けの条文で
す。TBSは街角インタビューで、おそらく正直に声をひろって
編集していると思います。首相が出演するからといって、まさか
安倍首相が怒るとは思っていなかったと思うからです。
 NHKテレビは、街の声をひろうとき、肯定的意見と否定的意
見の数を意識して揃えていると思われます。景気の実感について
は「実感しない」と「実感する」の声を何とか同数揃えようとす
るのです。なぜなら、同数であれば官邸から文句は出ないからで
す。しかし、そういう情報操作をすると、本当の声を吸い上げる
ことができなくなります。つまり、事実を事実として伝えること
ができなくなるのです。
 これは、第4条第2項の「政治的に公平であること」を守ろう
とした結果、第3項の「報道は事実をまげないですること」を守
れないことになります。そもそもテレビ局のVTRの編集にまで
総理大臣がクレームをつけるべきではないのです。そんなことを
すれば、「表現の自由」を冒すことになるからです。このことは
「放送法」第1条の違反になりかねないのです。これについては
来週のEJで取り上げて検討します。
 この安倍首相のTBSへの叱責について、古賀茂明氏は、著書
のなかで取り上げ、次のように述べています。
─────────────────────────────
 2014年には、安倍総理がTBSの番組に出演した際、街頭
インタビューの映像にクレームをつけている。「景気がよくなっ
ていると実感していますか」という質問に、「していない」とい
う答えが続出するVTRに怒ったのだ。そのことを国会で指摘さ
れると、安倍総理はこう答えた。「私にも言論の自由がある」。
 これは「迷言」どころか、ほとんどブラックジョークである。
そもそも、言論の自由は憲法によって国民に保障されたものだ。
「権力者によって言論の自由を抑圧されるということがあっては
いけない」と定めたものなのである。逆にいえば、権力者に対し
ては、言論の自由を抑圧してはいけない、権力を濫用してはいけ
ないという戒めなのである。
 安倍総理がTBSの番組に出演したのは、「安倍晋三という一
国民として」ではない。総理として、つまり、権力者としてであ
る。そんな立場の人間が、自分のいいたいことを思うがままに振
りかざしたら、それはすなわち権力の濫用であり、言論の自由を
抑圧することになる。総理が報道の内容にクレームをつけるとい
うことは、圧力をかけているということ以外の何物でもない。し
かし安倍総理には、そういう意識がまったくないのだ。
                      ──古賀茂明著
               『日本中枢の狂謀』/講談社刊
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/010]

≪画像および関連情報≫
 ●安倍首相、TBS「街の声」に異議/「意図的な編集」
  ───────────────────────────
   安倍晋三首相が、解散・総選挙を特集したテレビの報道番
  組で「街の声」を意図的に編集したのではないかと異議を唱
  えたことが、話題になっている。そのイライラぶりに、ネッ
  トでは批判的な声も出ている。
   解散表明の会見後、安倍首相は、テレビ番組などをハシゴ
  して精力的に説明行脚した。嫌いだとされる朝日系には出演
  せず、メディアを選んでいたようだ。TBS系の報道番組で
  ある「NEWS23」にも、安倍首相は一番最後になって出
  演した。父親で同じ政治家の故・晋太郎氏が毎日新聞記者出
  身であることから、毎日系のTBSも選ばれた可能性がある
  が、それは分かっていない。
   番組では、毎日新聞の岸井成格特別編集委員ら3人が安倍
  首相に対峙する形でインタビューが行われた。安倍首相はま
  ず、岸井氏らから質問を受けて、今衆議院を解散する理由に
  ついて説明し、アベノミクスはうまくいっていないとの指摘
  についても長々と反論した。しかし、岸井氏は、庶民の間で
  は景気回復が実感になっていないと指摘し、続いて、番組が
  事前に取材した「街の声」がVTRで紹介された。
   そこでは「株価が上がってきてアベノミクスの効果はあっ
  た」「解散・総選挙で民意を問うのはよい」といった好意的
  な声もあったが、「お給料は上がってない」「景気も悪い」
  「全然アベノミクスは感じていない」「大企業しか分からへ
  ん」など否定的なものが多かった。これに対し、岸井氏が何 
  か聞こうとすると、安倍首相はそれを制止し、次のようにま
  くし立てた。           http://bit.ly/2mLEiSD
  ───────────────────────────

TBSを叱る安倍首相.jpg
TBSを叱る安倍首相
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2018年01月22日

●「都合よく解釈されている/放送法」(EJ第4687号)

 放送法第4条を再現します。安倍政権は、この法律をタテにし
てメディアに圧力をかけています。
─────────────────────────────
(国内放送等の放送番組の編集等)
第4条
 一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
 二 政治的に公平であること。
 三 報道は事実をまげないですること。
 四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角
   度から論点を明らかにすること。
─────────────────────────────
 安倍政権は「2項」を金科玉条にして「公平に報道しろ!」と
圧力をかけています。テレビ局がある政治的テーマについて50
人の国民に対して街頭インタビューをしたとします。そのとき、
ほとんどの国民が否定的意見だったと仮定します。そのテレビ局
はそのビデオを報道するでしょうか。
 現在の日本のテレビ局は報道しないと思います。なぜかという
と、報道すれば確実に官邸からクレームがくるからです。これが
「忖度」です。官邸が放送法をタテにして嫌がらせをしてくると
考えるからです
 2014年11月18日の「ニュース23」では、安倍首相出
演の場で、そのビデオをあえて流したのです。当時の岸井成格メ
インキャスターの判断です。インタビューをして出た結果につい
て、報道するのは報道機関としての使命と考えたからです。もち
ろん、50人からのインタビューの結果であると断る必要があり
ます。これは、放送法第4条第3項にしたがっています。
 しかし、安倍首相はその場で不満を表明し、「故意に政権に不
利に編集されている」といい張ったのです。もちろん放送法第4
条第2項でいう「政治的に公平であること」に反しているという
ことがバックにあります。
 ところで、日本の放送免許は「更新」ではなく、「再免許」制
であることをご存知ですか。
 米国などでの放送免許は、とくに違反がなければ、運転免許と
同様に「更新」されますが、日本の場合は、制度上は競合他社が
名乗りを上げれば「競願」審査ができる仕組みになっています。
つまり、すべての審査を一からやり直すことのできる「再免許」
方式をとっているからです。
 もし「再免許」になると、放送局の免許は、親局、中継局、中
継用の無線局など、膨大な数の申請書類が必要になります。中継
局ひとつとっても在京キー局で191局もあるからです。こうい
う状況では官邸の恫喝はテレビ局に対してきわめて効果的です。
そのため、どうしても「触らぬ神に祟りなし」ということで、政
権に忖度してしまうのです。
 その後も「ニュース23」のアンカーである岸井成格氏は政府
批判の報道を続けたので、TBSは2016年3月いっぱいで、
岸井成格氏の「ニュース23」アンカー降板を決めています。明
らかなテレビ局の過剰反応といえます。
 そもそも放送法は、「放送の自由」を守るために存在している
のです。したがって、政権に批判的な報道に対し、放送法をたて
に攻撃するなど、本末転倒です。放送法の第1条は、次のように
書かれています。
─────────────────────────────
(目的)
第1条 この法律は、次に掲げる原則に従って、放送を公共の福
    祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ること
    を目的とする。
  一 放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらす
    ことを保障すること。
  二 放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって
    放送による表現の自由を確保すること。
  三 放送に携わる者の職責を明らかにすることによって、放
    送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。
─────────────────────────────
 放送法第1条第2項に「表現の自由」の確保があります。この
第2項の主語は、行政行為を規定するものであり、行政を管理監
督する「政府」ということになります。つまり、政府が「放送の
不偏不党、真実及び自律を保障する」ことになるのです。
 「放送法には不偏不党と書いてある」──よく政治家が使う言
葉ですが、「不偏不党」は放送業者に対するものではなく、政府
に対するものです。政府が、不偏不党、真実及び自律を保障しな
ければならないのです。
 したがって、自民党による報道機関への不当な政治介入は「放
送の不偏不党、真実及び自律」を妨げる行為であり、放送を所管
する総務省は自民党に対して行政指導をしなければならないので
す。なぜなら、そういう行政指導が「放送による表現の自由を確
保する」ことにつながるからです。
 菅官房長官は、昼夜を問わずテレビのコメンテーターや有識者
と会食し、彼らを懐柔しているといわれます。しかし、岸井成格
氏だけは、その懐柔に一切応じなかったといわれています。
─────────────────────────────
 一強多弱の政治状況が続き、圧倒的優位を保つ安倍政権の官房
長官に食事に呼ばれれば、悪い気はしない。そして、いろいろ面
白い情報を教えてもらえれば、自分の仕事上、大きなプラスにな
る。そういう計算で、誰もが菅官房長官の軍門に降り、会食後は
あからさまな政権批判をしなくなったそうだ。民主党のプレーン
として有名だった政治学者なども、いとも簡単に寝返っていく様
を見ながら、菅官房長官の秘書官も、その手練手管に舌を巻いた
という。   ──古賀茂明著/『日本中枢の狂謀』/講談社刊
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/011]

≪画像および関連情報≫
 ●古賀茂明らが証言する安倍政権の圧力/狡猾なやり口
  ───────────────────────────
   政権を監視し、報道の使命をきちんと果たそうとしたニュ
  ース番組のキャスターやコメンテーターたちが、次々と降板
  に追い込まれるという誰の目にも明らかな異常事態が起きた
  2015年。テレビ各局は萎縮と自主規制の空気に支配され
  今では、安倍首相が国会でどんなトンデモ答弁をしても、ほ
  とんど取り上げないという機能不全状態に陥ってしまった。
  こうした状況をつくりだしたのはもちろん、安倍政権の圧力
  だが、その実行犯といえば、やはり、安倍政権のゲッベルス
  菅義偉官房長官をおいていないだろう。
   本サイトでは、菅官房長官によるテレビ、新聞、さらには
  週刊誌への具体的な介入について再三、報じてきたが、つい
  にあの人が菅氏の"やり口"について語った。あの人とは、昨
  年のメディア圧力事件の象徴的人物であり、菅官房長官の圧
  力により『報道ステーション』(テレビ朝日)を降板に追い
  込まれた元経産官僚・古賀茂明氏だ。古賀氏が菅官房長官に
  ついて語ったのは「週刊金曜日」(金曜日)2015年12
  月25日・1月1日合併号に掲載された鼎談でのこと。この
  鼎談には、古賀氏のほかに評論家の佐高信氏、上智大学教授
  の中野晃一氏が参加。最初に話題に挙がったのは「放送法遵
  守を求める視聴者の会」による「ニュース23」(TBS)
  のアンカー・岸井成格氏に対する意見広告についてだったが
  まず、これに対し古賀氏は「いやー、ここまでやるかなとい
  う感じです」と驚嘆し、このように述べている。「賛同人の
  名前を見れば、安倍政権の応援団がしてることです。安倍政
  権が本気でこのまま突き進めば放送については完全に国家統
  制の時代に入りますね」。     http://bit.ly/2DoLxGf
  ───────────────────────────

安倍政権に厳しい岸井成格氏.jpg
安倍政権に厳しい岸井 成格氏
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2018年01月23日

●「私も言論の自由がある/安倍首相」(EJ第4688号)

 安倍首相がTBSの番組に出席し、街角インタビューのVTR
に対してクレームをつけたことを国会で指摘されたとき、安倍首
相は、次のように答えています。
─────────────────────────────
         私にも言論の自由がある
              ──安倍首相
─────────────────────────────
 この発言を聞く限り、安倍首相は「憲法というものがわかって
いない」といわざるを得ないのです。言論の自由というものは、
憲法によって国民に保障されているものであり、権力者によって
抑圧されることがあってはならないものです。何を勘違いしてい
るのでしょうか。上記の発言に対し、古賀茂明氏は「これは『迷
言』どころかブラックジョークである」と述べています。
 安倍首相はTBSの番組に首相(権力者)として出演していま
す。安倍晋三という一個人としてではないのです。それがわかっ
ていて上記の発言です。古賀茂明氏は、安倍首相に対して次の疑
問を抱いています。
─────────────────────────────
 もしかすると、安倍総理は権力者に自由を保障しているのが憲
法と勘違いしているのではないか。だとしたら、「憲法は権力を
縛るものだ」という立憲主義とは正反対の思想である。安倍総理
がそんな人間であるというだけで、総理不信任の十分な理由にな
るのではないか。    ──古賀茂明著/『日本中枢の狂謀』
                         講談社刊
─────────────────────────────
 安倍政権は、「放送法」というものを正しく理解していないよ
うにみえます。知っていてそうしているのか、知らないでやって
いるのかはわかりませんが、報道機関に堂々と報道の自由を制限
する文書を届けるという先進国ではあり得ないことをするところ
をみると、正しく理解していないものと思われます。ここで20
14年11月20日に在京テレビキー局に届けられた文書のなか
の自民党の要望事項を再現します。
─────────────────────────────
 ・出演者の発言回数及び時間等については公平を期していただ
  きたいこと
 ・ゲスト出演者等の選定についても公平中立、公正を期してい
  ただきたいこと
 ・テーマについて、特定の立場から特定政党出演者への意見の
  集中などがないよう、公平中立、公正を期していただきたい
  こと
 ・街角インタビュー、資料映像等で一方的な意見に偏る、ある
  いは特定の政治的立場が強調されることのないよう、公平中
  立、公正を期していただきたいこと
─────────────────────────────
 この部分だけで、「公平」「公正中立」「公正」という言葉が
7回も出てきます。文書全体では、これらの言葉は実に11回も
出てくるのです。もし米国で公権力がメディアにこんな文書を送
り届けたら、大騒ぎになります。トランプ大統領がメディアに対
して「フェイクニュース」というレベルではないのです。
 ところが、在京テレビキー局は、公権力から、これほどひどい
恫喝文書を受け取りながら、どこの社も静観して、報道も抗議も
していないのです。ここで重要なことは、放送法第4条には「政
治的に公平であること」とはありますが、「中立」とは書いてい
ないことです。それなのに文書では「中立」という言葉を何回も
使っているのです。
 立教大学社会学部メディア社会学科教授の砂川浩慶氏の本には
この自民党による在京テレビキー局への文書に関する連名の緊急
メッセージが掲載されています。この緊急メッセージは、次の7
人の連名です。
─────────────────────────────
   砂川浩慶立教大学社会学部メディア社会学科教授
   岩崎貞明放送レポート編集長
   石丸次郎氏/ジャーナリスト/アジアプレス
   岸井成格毎日新聞特別編集委員
   坂本衛氏/ジャーナリスト
   原寿雄元共同通信編集主幹
   水島宏明法政大学教授/ジャーナリスト
      ──砂川浩慶著『安倍官邸とテレビ』/集英社新書
─────────────────────────────
 この緊急メッセージには、自民党の「お願い文書」の問題点を
述べていますが、長いので以下に要約します。
─────────────────────────────
 1.「中立」という誤った考え方を放送局に要求している
   対立する両者から等しく距離を置き、どちらの味方もしな
   い「中立」は言論報道機関が必ず守るべき原則ではない。
   政党Aが独裁政治を目指して政党Bと対立すれば、民主主
   義社会の報道機関は政党Aを批判して当然である。
 2.放送の「政治的公平」を「番組単位」で要求している
   放送法が放送局に対して求める「政治的な公平」とは、本
   来単一番組において実現を目指すべきものではなく、一定
   期間に流された放送番組全体の中で判断すべきものであり
   これは、総務省の過去の答弁からも明らかである。
 3.取材および報道における「公平中立」を要求している
   街頭インタビューに応える人々の声は、場所によって偏り
   が出て当然である。仮にそのインタビューの結果を放送局
   が操作し、政権与党政策への支持・不支持のバランスをと
   ればそれは事実を曲げた報道であり、捏造である。
      ──砂川浩慶著『安倍官邸とテレビ』/集英社新書
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/012]

≪画像および関連情報≫
 ●安倍民主党のあくど過ぎるメディア戦略
  ───────────────────────────
   自民圧勝が伝えられる衆院選。調子に乗った自民党がまた
  ぞろ、テレビ報道に報道圧力を加え始めた。2014年の解
  散総選挙では、安倍首相の側近である萩生田光一衆院議員に
  よる在京キー局への「圧力文書」の送付が発覚したが、今回
  は、自民党のネトウヨ議員・和田政宗参院議員がその先兵役
  をになっている。
   和田議員は選挙を間近に控え自民党広報副本部長に就任し
  たばかりだが、連日、テレビ局や番組名を名指しするかたち
  で、こんなツイートを繰り出しているのだ。「テレ朝社員で
  モーニングショー出演の玉川徹氏の印象操作が酷い。今日は
  日本人を馬鹿にするような発言も。「自民堅調」との世論調
  査に対し「安倍総理はやめなくていいんだ」。「森友加計問
  題は日本人は関係ないんだ」という発言をいずれも嘲笑しな
  がらコメント。論評の域を超え印象操作に近い発言が続く」
  「12日の報道ステーション、45分間の党首討論は何だっ
  たのだろうか。森友問題、前川問題(加計学園獣医学部新設
  について)に30分を割き、憲法9条改正について15分で
  全て終了。何か意図があるのだろうか。9条改正は必要だと
  しても、北朝鮮問題や経済政策など国民に直結する課題を全
  く議論させず」。「報道のTBSは完全に死んだ。総理の生
  出演。キャスターは質問で課題を明らかにする力の発揮のし
  どころであったが、そもそも質問力すらなかった。星浩キャ
  スターの外れたイヤホンから、強い口調のディレクターの指
  示。総理の話を遮りまくり」。   http://bit.ly/2zvLd70
  ───────────────────────────

マスコミ懲らしめ発言/安倍首相.jpg
マスコミ懲らしめ発言/安倍首相
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2018年01月24日

●「岸井成格アンカー外しの意見広告」(EJ第4689号)

 保守系雑誌というものが何冊かあります。いずれも自民党、と
くに安倍政権を熱烈に支援する雑誌です。そのなかで、次の2つ
の雑誌は代表格といえます。
─────────────────────────────
       1.  『WiLL』/ ワック
       2.『Hanada』/飛鳥新社
─────────────────────────────
 これら2冊の雑誌は、広告などで見たことはあると思いますが
赤字に白抜きのデザインで、きわめてよく似ています。それに、
この2冊の雑誌は毎月同日に発売されるのです。何か意地で、張
り合っている感じです。何があったのでしょうか。
 もともとワックという出版社が発行している『WiLL』とい
う雑誌があり、元『週刊文春』の名編集長といわれた花田紀凱氏
が編集長を務めていたのです。
 ところが、2016年3月のことです。花田紀凱編集長がワッ
クの鈴木隆一社長と対立し、編集部員を丸ごと引き連れて飛鳥新
社に電撃移籍してしまったのです。そして、『WiLL』と内容
もデザインも同じような『Hanada』という雑誌を創刊した
のです。『WiLL』も陣容を立て直し、『Hanada』に対
抗して発刊を続けています。つまり、分裂騒動があったのです。
 これらの保守系雑誌は、自民党政権、なかんずく安倍政権を事
実上側面支援しています。その派手な広告を出すだけでも安倍政
権の効果的な支援になるのです。
 TBSの論客、岸井成格(しげただ)氏の「ニュース23」の
アンカー降ろしに一役買ったのは、これら2つの雑誌の常連ライ
ターたちです。そのきっかけは、安保法制です。2014年7月
1日の「集団的自衛権一部容認」閣議決定から、2015年9月
19日の安保法案成立に至るまで、「ニュース23」は、数知れ
ず特集を組んで、安保法案に警鐘を鳴らしたのです。そして、安
倍政権がどのタイミングで強行採決をするかという段階まで議論
が煮詰まってきた9月16日には、岸田氏は次のように発言し、
この法案に明確に「NO」を突き付けたのです。
─────────────────────────────
 メディアとして、廃案に向けて声をずっと上げ続けるべきで
 ある。     ──岸井成格/「ニュース23」アンカー
─────────────────────────────
 これに反発した作家や有志の組織「放送法順守を求める視聴者
の会」なるグループが、2015年11月14日付の産経新聞朝
刊と、同15日付の読売新聞朝刊に、岸井成格氏によるテレビ番
組での発言に対して抗議する意見広告を掲載したのです。意見広
告の一部を添付ファイルにしてあります。
 共同呼びかけ人としては、次の7氏が名前を連ねていますが、
そのほとんどの人が上記2誌の常連執筆者です。
─────────────────────────────
    すぎやまこういち    ケント・ギルバート
    渡部昇一        上念 司
    鍵山秀三郎       小川栄太郎
    渡辺敏夫            (敬称略)
─────────────────────────────
 この意見広告では、岸井氏の発言は、放送法第4条の「重大違
反行為」に当たるとし、暗にその退陣を求めています。2014
年の総選挙前から、安倍首相は「ニュース23」とは対立してお
り、「放送法順守を求める視聴者の会」が、そのトドメを刺す意
見広告を出したのです。
 これについて、ニューヨークタイムズ前東京支局長、マーティ
ン・ファクラー氏は、自著において、次のように、反対の論陣を
張っています。
─────────────────────────────
 そもそも放送法は「放送の自由」を守るために存在する倫理規
範だ。政権に批判的な報道に対し、放送法を盾に攻撃するなど、
本末転倒にしか思えない。
 渡部昇一氏やケント・ギルバート氏には言論の自由、表現の自
由があるわけだし、彼らが新聞の意見広告で何を言おうと自由で
ある。私から言わせれば、こんな意見広告は受け流す程度のもの
だ。無視して放っておけばいいレベルの話なのに、TBSは過剰
に反応してしまったのだろうか。その後、岸井氏の16年3月い
っぱいでの「ニュース23」アンカー降板と、TBS専属の「ス
ペシャルコメンテーター」就任が発表された。
 こういうときは、朝日新聞や毎日新聞、東京新聞などがそれぞ
れ取材をして、TBSで今、何が起きているか、伝える必要があ
る。メディアには、人々が事実かどうかを判断する材料を提供す
る役割があるからだ。ところが朝日新聞騒動のときと同様、また
してもジャーナリスト同士の横のつながりは生まれなかった。
               ──マーティン・ファクラー著
      『安倍政権にひれ伏す日本のメディア』/双葉社刊
─────────────────────────────
 ちなみに同会は総務省に対しても公開質問状を出し、総務省が
従来採っている放送法第4条に関する「1つの番組ではなく当該
放送事業者の番組全体を見て、全体としてバランスの取れたもの
であるを判断することが必要」という見解を批判しています。こ
のように、彼らはちゃんとわかってやっているのです。
 この意見広告は、大新聞2紙の1ページ全部を使っています。
おそらく広告費と製作費をあわせると、億単位の資金が必要です
が、岸井発言後わずか数週間でよく調達できたものです。証拠は
ありませんが、相当強大な資金的バックがないと、なかなかこれ
だけの意見広告を出すことは困難です。
 いずれにせよ、テレビ局の一人のキャスターを外すために、こ
れだけのことが行われたのです。まさに言論封殺です。日本には
「言論の自由」はないのでしょうか。
            ──[メディア規制の実態/013]

≪画像および関連情報≫
 ●岸井成格氏スペシャルコメンテーター就任/TBSの見解
  ───────────────────────────
   TBSによると、スペシャルコメンテーターは同局との専
  属契約で、番組の垣根を越えてさまざまな報道・情報番組に
  出演し、ニュースについて解説や論評をする。就任は岸井氏
  が初めて。「サンデーモーニング」などの報道番組に引き続
  き出演し、選挙特番などにも幅広く出演する。4月にリニュ
  ーアルするNEWS23には、コメンテーターとして随時登
  場するという。
   岸井氏は、毎日新聞で政治部長、論説委員長、主筆などを
  歴任。スペシャルコメンテーター就任について「報道の第一
  線で発信を続けていくことになった。その責任・使命の重さ
  を自覚し、決意を新たにしていく」とコメントした。TBS
  は、NEWS23のリニューアルの内容について「今後、発
  表する」としている。       http://bit.ly/2DoJ5zE
  ───────────────────────────

岸井成格バッシングの意見広告.jpg
岸井成格バッシングの意見広告
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2018年01月25日

●「安倍政権によるメディア規制効果」(EJ第4690号)

 放送法の問題は、23日のEJで述べていますが、現在、安倍
政権がメディアに対して要求していることは、「表現の自由」を
著しく冒し、国民の知る権利を妨害している可能性が高いので、
重ねて補足することにします。
 自民党は、放送法第4条第2項をたてにして、「政治的公平」
を「番組単位」で求めています。要するに、「どの党も公平に扱
え」というわけです。しかし、放送を所管する総務省は、1つの
番組内でそうするのではなく、一定期間内に放送された番組全体
でバランスを取るよう指導しています。単一番組内で政治的公平
を行うことは事実上困難だからです。そのため、テレビ局自体が
面倒だと感ずると、政治関係の情報をカットしてしまうことも十
分考えられます。それが自民党の狙いでもあります。
 そもそも放送法第4条は、強行法規ではなく、倫理規定である
といえます。放送事業者は公共の電波を使うのであるから、この
ことを心に留めて番組づくりをしなさいという性格の法規であり
これに違反しているからといって、総務省が何らかの処分を下す
ことはあり得ないことです。
 しかし、安倍政権は、放送事業者が、単一番組でも放送法第4
条に違反すれば、総務大臣が放送免許の取り消しができると勝手
に解釈しています。しかし、放送法の趣旨からすると、自民党が
放送業者に圧力を加えるようなことをすれば、それこそ放送法第
1条第2項によって、「表現の自由」が侵害される恐れがあると
して、総務省は自民党に対して警告できるのです。
 この自民党のマスコミ弾圧の動きに呼応するかのように、7人
の著名人が呼びかけ人になって新聞に出した放送法第4条に関す
る意見広告について、古賀茂明氏は、自著において、次のように
厳しく批判しています。
─────────────────────────────
 この全面広告と一連の抗議行動の特徴は、意見の内容が、明ら
かに政府や自民党のマスコミ弾圧に同調した形で行われているこ
とだ。代表者も安倍総理に近く、いわば安倍政権の世論操作部隊
と見られても仕方のないようなメンバーである。さらに、この事
件の最も重大な問題は、読売新聞と産経新聞が、特定の個人を非
難する意見を、その非難される個人に反論の機会を与えないまま
掲載したことだ。(中略)
 政府批判の声を上げると政府に近い人間が集まり、大金を使っ
て批判者をバッシングする。さらに、放送法で停波する権限があ
るという総務省に抗議を行い、テレビ局に圧力をかける。天下の
大新聞がそれをサポートする。このような状況は何を意味するの
か。岸井氏は、翌2016年3月末に、「ニュース23」を降板
させられた。一個人が、良心にしたがって真実を報じ、正論を主
張することは、もはや不可能になってしまったのだろうか。
            ──古賀茂明著/『日本中枢の狂謀』
                         講談社刊
─────────────────────────────
 安倍政権によるメディア規制は、2015年に入るとますます
露骨になります。なぜかというと、2014年の衆院選と、20
13年の参院選に圧勝して、安倍政権はメディアコントロールに
自信を深めたからです。
 報道規制を強めた2014年の総選挙では、安倍政権の直接介
入とそれに恐れをなしたテレビ局の忖度によって、劇的な効果を
上げているからです。
 その効果はどれほどのものであったのでしょうか。もちろんマ
スコミは一切報道しませんが、政治学者の逢坂厳氏が、2015
年3月27日に、インターネットニュースサイト「ザ・ページ」
で配信した「『政治とメディア』テレビの選挙報道は史上最低に
〜データが示す2014年総選挙の実態〜」で、次のように分析
しています。
─────────────────────────────
 解散日から投票日までの総報道量は70時間17分。これはこ
の10年間で最も報道量の多かった05年総選挙の5分の1、最
も少なかった03年選挙と比べても半分にしか過ぎない少なさで
ある。(中略)まず、キー局全体では、14年は12年に比して
42%の報道しかされなかった。民放は、ほとんどが40%を下
回っている。特にフジテレビは26%と3分の1以下に報道量を
減らしている。番組のタイプ別では、ワイドショーが17%と極
端に報道量を下げている。どれもひどいがテレビ朝日(11%)
や、フジテレビ(3%!)の数字が目立つ。2012年にはフジ
テレビのワイドショーは、活発な選挙報道を展開し、看板番組の
『とくダネ!』は放送批評懇談会からその選挙報道に対して月間
ギャラクシー賞を授与されるなどしていた。しかし、2014年
の選挙では、選挙特集を組まなかったどころか、選挙に関連する
情報提供をほとんどおこなわず、フジのワイドショーの報道量の
激減に大きく貢献している。
      ──砂川浩慶著『安倍官邸とテレビ』/集英社新書
─────────────────────────────
 これを見ると、テレビ局の報道自粛(忖度!)のひどさは目に
余ります。これは政権与党にとってきわめて都合のよい話です。
少し圧力を強めると、あとはテレビ局側が勝手に自粛してくれる
からです。なかでも安倍首相の「お友達テレビ」といわれるフジ
テレビの「3%」は驚きです。そういえば、最近同局の「とくダ
ネ!」は、一切見なくなっています。こんなことをすれば、フジ
の視聴率が低迷するのは当然のことです。
 この2014年の総選挙におけるメディア対策に味をしめた安
倍政権は、2015年からは、もっと露骨に政権を批判するテレ
ビのコメンテーターを一人ずつ番組から外していきます。そのな
かにテレビ朝日の「報道ステーション」でコメンテーターを務め
ていた古賀茂明氏もそのターゲットとされるのです。これは、国
民の知る権利を妨害する政権政党が絶対にやってはいけない策略
です。         ──[メディア規制の実態/014]

≪画像および関連情報≫
 ●国連が、安倍政権によるメディア圧力に是正勧告へ!
  ───────────────────────────
   安倍政権によるメディアへの報道圧力が、国際社会で大き
  な問題になった。国連の人権理事会が2017年11月14
  日、日本の人権状況を審査する作業部会を約5年ぶりに開催
  したのだが、そこで各国から「報道の自由」に対する強い懸
  念の声が続出したのだ。
   本サイトでお伝えしてきたとおり、第二次安倍政権以降、
  官邸はテレビなどのマスコミを常時監視しており、報道に対
  する圧力は日々苛烈を極めている。今年5月には昨年来日調
  査を行った国連人権理の特別報告者のデービッド・ケイ氏が
  報告書(未編集版)を公表し、そのなかで安倍政権による報
  道圧力とメディアの萎縮について是正を勧告していた。
   そして、今回の国連の対日人権審査では、たとえばブラジ
  ルやベラルーシ代表が特定秘密保護法による「報道の自由」
  の侵害に懸念を示し、アメリカ代表などはさらに踏み込んで
  日本の「放送局をめぐる法的規制の枠組み」を問題視。政府
  による電波停止の根拠となっている放送法4条の改正と、独
  立した第三者監督機関の設立を求めたのである。人権理によ
  る最終的な勧告は来年に行われるが、そこに日本の「報道の
  自由」の現状を憂慮する文言が組み込まれる可能性は極めて
  高いと見られる。        http://exci.to/2DDYWhd
  ───────────────────────────

砂川浩慶氏.jpg
砂川 浩慶氏
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2018年01月26日

●「2次安倍政権のメディア規制対策」(EJ第4691号)

 安倍政権が他の自民党政権と違うことがひとつあります。それ
は、安倍晋三氏にとって2回目の首相であるということです。長
年衆議院議員をやっていても、首相という仕事はすべてが初体験
であり、思うようにはいかないものです。しかし、2回目であれ
ば、何をどうするということは体験済みであり、あらかじめ、自
分の考えるベストなスタイル考えることができます。
 このことは、このテーマの第1回でも指摘したことですが、2
度目の首相のチャンスが巡ってきたとき、安倍晋三氏は、メディ
ア対策をいの一番に考えたはずです。そのメディア対策として現
在行われていることは、次の4つです。以下、この4つの対策に
つき砂川浩慶氏の著作を参照して、述べることにします。
─────────────────────────────
      ⇒ 1.ぶらさがり会見の中止
      ⇒ 2.蜜月メディアへの出演
        3.メディア幹部との会食
        4.メディアチェック実施
─────────────────────────────
 メディア対策の第1は「ぶらさがり会見の中止」です。
 今になって考えると、小泉純一郎元首相は、ぶら下がり会見を
よく行い、メディアとフランクに会見していたと思います。ぶら
下がり会見とは、正式の記者会見ではなく、移動中の首相に声を
かけ、番記者が首相を囲んで取材を行うことをいいます。小泉首
相は、その会見のさい、当意即妙な短い言葉で対応し、なかなか
好評だったのです。
 ところが、2002年に総理大臣官邸が新しくなったことに伴
い、警備体制が強化され、記者が首相と接する機会が減ったので
す。そのため、小泉首相は1日2回のぶらさがり会見をすると約
束し、内閣記者会と折り合いをつけています。
 安倍首相は、第1次政権のとき、当然この1日2回のぶら下が
り会見を引き継ぐことになるのですが、彼はこの1日2回のぶら
下がり会見を1回にしようとしたのです。しかし、これは各方面
から反対され、うまくいかなかったのです。当時の安倍首相は、
小泉首相のようなうまい受け応えができず、それが支持率を下げ
る原因にもなっていたのです。
 そういうこともあって、安倍首相は第2次政権のとき、ぶらさ
がり会見を中止したのです。ぶら下がり会見は、福田、麻生、鳩
山の3政権については、実施されましたが、菅首相は会見を1日
1回に減らし、野田首相は記者会見を増やすことを約束して、ぶ
ら下がり会見を拒否したのです。安倍首相は、そのことを頭に置
いて、内閣記者会にぶら下がり会見の中止を申し入れ、これを承
知させています。メディアはこれに反対できなかったのです。
 メディア対策の第2は「蜜月メディアへの出演」です。
 「総理と語る」という番組があります。これは、NHKと民放
が持ち回りで実施していたのですが、第2次安倍政権では、これ
も廃止しています。メディアとしては、首相にメディアを選別さ
れるのを嫌います。そのため、1日2回のぶら下がり会見や持ち
回りの「総理と語る」などの慣例を作り、どのメディアも公平に
首相と会見をする機会を確保しようとします。
 しかし、官邸サイドとしては、メディアを選別し、単独インタ
ビューというかたちで出演したいのです。それには、ぶら下がり
会見や「総理と語る」などの慣例を壊す必要があり、安倍首相は
それを真っ先にやったというわけです。
 もともと安倍首相は、第1次政権のときから読売新聞と産経新
聞新聞とは蜜月関係にあります。しかし、他の新聞社ともコンタ
クトをとる必要があります。つまり、表面上は公平に扱うことを
見せる必要があるからです。
 そこで安倍首相は、2012年に政権に復帰するや、2012
年12月28日に単独インタビューを読売新聞と行い、同月30
日には産経新聞と行っています。それでは、他の主要新聞社との
コンタクトは、どうだったのでしょうか。
 これについては、立教大学社会学部教授の砂川浩慶氏の著作か
ら、引用することにします。
─────────────────────────────
 安倍首相と蜜月関係を続ける読売新聞、産経新聞の別格2社に
続き、2013年年明けに東京新開(1月9日)、日経新開(1
月10日)が単独インタビューを実施した。父・安倍晋太郎氏が
在籍した毎日新聞も1月25日にインタビューを行なった。この
時点で、全国紙で唯一単独インタビューがなかったのが朝日新聞
である。『選択』/2013年5月号の「安倍とメディアの醜悪
な『蜜月』/官邸にひれ伏す新聞・テレビ」では、「(2013
年)2月7日夜、帝国ホテル内の中国料理店『北京』で、木村伊
量朝日新聞社長(当時)は安倍首相と会食に臨んだ。この場が事
実上の『手打ち式』となり、2週間近く経過した同月20日によ
うやく単独インタビューが実現した。ここで、安倍首相とメディ
アとの「蜜月」関係が完成したともいえるだろう」と解説されて
いる。                   ──砂川浩慶著
             『安倍官邸とテレビ』/集英社新書
─────────────────────────────
 慣例による順番や決まりによって、単独会見を行うのでなく、
安倍首相の意思によって、出演する新聞社やテレビ局が選ばれる
と、何が起きるでしょうか。
 それは、メディア側としては、安倍首相の関係を友好状態に保
とうするはずです。安倍政権にとって都合の悪いことは報道しに
くくなります。どうしても報道するさいには、周りのメディアの
対応を見ながら、おそるおそるやることになります。
 そういう場合は週刊誌が取り上げていたのですが、その週刊誌
も編集方針を変更したのは既に見てきた通りです。実に情けない
話です。少しは、まともな、毅然としたメディアがひとつぐらい
あってもいいと思いますが、そういうメディアは残念なから日本
にはないのです。    ──[メディア規制の実態/015]

≪画像および関連情報≫
 ●メディアは政権の支配を脱したか/望月衣塑子東京新聞記者
  ───────────────────────────
   「この(獣医学部をめぐる)一件を通じ全く別の問題とし
  て認識を新たにしたのは国家権力とメディアとの関係です。
  (中略)私に最初にインタビューを行ったのはNHKです。
  しかし、その後映像はなぜか、放送されないままになってい
  ます。いまだに報じられておりません」。
   2017年6月23日、文科省の前事務次官の前川喜平氏
  は、日本記者クラブで行った記者会見で、日本のマスメディ
  アの持つ問題に言及した。翌日の紙面では、前川氏の批判を
  きちんと取り上げた新聞や大手テレビはほぼなかったが、I
  WJはじめ多くのネットメディアには、日本のマスメディア
  が抱える重大な問題として取り上げられ、ネット上では批判
  が拡散していた。他人事ではない。数カ月前まで日本社会全
  体に漂っていた、マスメディアが政権を批判する際に見え隠
  れした「恐れ」と政権への「忖度(そんたく)ぶり」は、国
  民の知る権利に答え、権力を監視すべきメディア本来のあり
  ようとは、ほど遠くなっていたようにみえた。
   2011年3月11日の原発事故後、原発推進と反原発を
  めぐって、メディアの二極化が進んだ。民主党政権が下野し
  返り咲いた第2次安倍政権では、菅義偉官房長官や杉田和博
  官房副長官を筆頭にテレビを中心にメディア支配の流れが急
  速に進んだ。特にテレビは14年11月、衆院選公示が迫る
  中、自民党の萩生田光一筆頭副幹事長(当時)が、「選挙時
  期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお
  願い」とする文書を、各局の編成局長、報道局長宛てに送り
  これを機に、その報道姿勢に少しずつ変化が現れていった。
                   http://bit.ly/2DB0yYT
  ───────────────────────────

望月衣塑子東京新聞記者.jpg
望月 衣塑子東京新聞記者
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2018年01月29日

●「安倍首相とメディア幹部との会食」(EJ第4692号)

 安倍政権は第1次政権の反省から、異常なほど厳しいメディア
対策を行っています。安倍政権のメディア対策を再現します。
─────────────────────────────
        1.ぶらさがり会見の中止
        2.蜜月メディアへの出演
      ⇒ 3.メディア幹部との会食
      ⇒ 4.メディアチェック実施
─────────────────────────────
 メディア対策の第3は「メディア幹部との会食」です。
 安倍首相は、2012年暮れに政権を奪取すると、凄い勢いで
メディアの幹部と会食をはじめます。2014年12月30日付
の「しんぶん赤旗」の記事から、2013年1年分を抜き出して
みると、次のようになります。
─────────────────────────────
  1月 7日:読売・渡邊恒雄会長
     8日:産経・清原武彦会長 熊坂隆光社長
  2月 7日:朝日・木村伊量社長
    14日:産経・清原武彦会長
    15日:共同・石川聡社長
  3月 8日:日経・喜多恒雄社長
    15日:フジテレビ・日枝久会長
    22日:テレビ朝日・早河洋社長
    28日:毎日・朝比奈豊社長
  4月 4日:朝日・曽我豪政治部長、時事・田崎解説委員ら
     5日: 日本テレビ・大久保好男社長
  5月 7日:時事・西澤豊社長、田崎解説委員ら
     8日:読売・渡邊会長、日本テレビ・大久保社長ら
    15日:読売・渡邊会長ら
  6月12日:各社論説委員
  7月22日:朝日・木村社長、日本テレビ・大久保社長ら
  8月16日:フジテレビ・日枝会長
    22日:共同・福山社長、フジテレビ・日枝会長
  9月10日:読売・渡邊恒雄会長ら
 12月 2日:読売・渡邊恒雄会長ら
 12月16日:時事・田崎解説委員、読売・小田論説委員長、
        毎日・山田孝男専門編集委員、朝日・曽我政治
        部長、NHK・島田敏男解説委員、日本テレビ
        ・粕谷報道局長ら
    19日:読売・渡邊恒雄会長ら
    20日:産経・清原会長、熊坂社長ら
    26日:報道各社の政治部長ら
                      ──砂川浩慶著
             『安倍官邸とテレビ』/集英社新書
─────────────────────────────
 このなかでダントツに多いのは、読売新聞の渡邊恒雄会長で、
実に6回も会食しています。何しろ相手は超多忙の総理大臣であ
り、年に2回以上も会っている人は相当親しい人であるというこ
とになります。それも単に会うのではなく、会食なのです。官邸
側が場所を用意して招いているわけで、その時間は最低でも数時
間に及ぶことになります。逆に1回もないのはNHK。NHKの
幹部とは、一度も食事をしていないのです。
 会食の場所も出ているので少し上げてみます。丸の内パレスホ
テル東京内の日本料理店「和田倉」、赤坂のANAホテル内の日
本料理店「雲海」、帝国ホテル内の中国料理店「北京」、芝公園
のフランス料理店「陽明殿」、同フランス料理店「レストランク
レッセント」、永田町の山王パークタワー内の中国料理店「聘珍
楼」などです。料亭などはほとんどないのです。接待というより
も、ビジネスディナーという感じのスタイルです。
 なかでも突出して回数が多いのは、読売新聞の渡邊恒雄会長で
実に6回、3回食事しているのは、産経新聞の清原武彦会長、フ
ジテレビの日枝久会長、それに時事通信解説委員の田崎史朗氏で
す。ビジネスパーソンでも、1年間に3回会って食事をするとい
うのは、相当親しい人に限られます。まして6回は異常です。
 この夜の会食のスケジュールでは、同席者がわからないことが
あります。2013年3月22日に、安倍首相は、宿敵とされる
テレビ朝日の早河洋氏と「首相公邸」で会食していますが、同席
者が注目です。この2人は、2014年7月4日にも会っていま
すが、そのときも同じ人が同席しています。
─────────────────────────────
◎13年3月22日/首相動静
 【午後】7時18分、公邸。テレビ朝日の早河洋社長。幻冬舎
 の見城徹社長らと食事。菅幹事長同席。9時11分、東京・富
 ヶ谷の自宅。
◎14年7月 4日/首相動静
 【午後】6時55分、テレビ朝日の早河洋会長兼最高経営責任
 者(CEO)、吉田慎一社長、見城徹幻冬舎社長と食事。9時
 4分、東京富ヶ谷の自宅   ──マーティン・ファクラー著
       『安倍政権にひれ伏す日本のメディア』/双葉社
─────────────────────────────
 テレビ朝日は、この会食以降、安倍政権に対する批判的対応を
改め、安倍べったりになるのですが、13年22日のときは菅官
房長官が同席し、両方の席には幻冬舎社長が同席しています。見
城社長と安倍首相は大変親密なことで知られており、安倍首相と
早河洋CEOの間を取り持ったのではないかと思われます。
 権力者がメディア幹部とコミュニケーションを持つこと自体は
とくに問題はないと思います。問題なのは、メディアの方です。
彼らは、この首相主催の会食に呼ばれただけで、どのメディアの
幹部もメロメロになってしまい、メディアが本来するべき政権の
監視を弱め、批判を封印してしまったことです。
            ──[メディア規制の実態/016]

≪画像および関連情報≫
 ●安倍首相とメディア幹部の会食「読売」突出 5年で38回
  ───────────────────────────
   国政私物化疑惑にまみれ、改憲への執念を際立たせている
  安倍晋三首相と大手メディア幹部との会食が、今年も15回
  に及びました。首相は5月に2020年までの9条改憲構想
  を「読売」紙上で明らかにしましたが、同社幹部との会食は
  8回、第2次安倍政権以降の5年間では38回と突出してい
  ます。「読売」が首相の改憲発言を掲載したのは、5月3日
  付でしたが、インタビューが行われたのは4月26日。その
  2日前には首相と渡辺恒雄「読売」グループ本社主筆、イン
  タビュアーとなった前木理一郎政治部長とが飯田橋のホテル
  内の日本料理店で2時間にわたり、会食しています。
   「読売」インタビューは「憲法施行70年を迎えた。改め
  て憲法改正にかける思いを」という質問から始まり、首相に
  言いたいことを言わせるもので、報道機関としてのあり方が
  問われました。国会では、改憲発言の意図について野党から
  質問を受けた安倍首相が「読売新聞を熟読して」と答弁し、
  国会軽視と問題になりました。
   そのインタビューの裏では、社のトップとインタビュアー
  が首相と会食してすり合わせをしていたのではないかと思わ
  せる行動は報道機関失格です。「読売『御用新聞』という汚
  名」という見出しの週刊誌記事まで出ました。ちなみに、渡
  辺主筆は、5年間で18回、今年だけで5回も首相と会食を
  繰り返しており、特別の親密ぶりが問われています。
                   http://bit.ly/2BxR2Rn
  ───────────────────────────

読売新聞/渡邊恒雄会長.jpg
読売新聞/渡邊 恒雄会長
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2018年01月30日

●「安倍政権のメディア規制への意見」(EJ第4693号)

 安倍首相の「メディア幹部との会食」の是非については種々の
意見があります。そこで、砂川浩慶氏とニューヨークタイムズ前
東京支局長マーティン・ファクラー氏の意見をご紹介します。
 最初は砂川浩慶氏の意見です。砂川氏は、放送を中心とするメ
ディア政策、法制度を研究テーマとする学者としての意見です。
─────────────────────────────
 世界的にみても、政治のトップがメディア幹部らとこれだけ頻
繁に会食する例は、寡聞にして聞いたことがない。百歩譲って、
取材する記者であれば、最高権力者と会食することで取材の幅を
拡げ、国民の知る権利に奉仕する報道を実施することば可能であ
ろう。しかし経営トップとなれば、そうはいかない。経営者の最
大の関心は、自社グループの利益拡大である。
 渡邊恒雄・読売新聞グループ本社会長が読売新聞の社長に就任
したのが1991年。既に四半世紀を経ている。同様に日枝久・
フジテレビ会長がフジテレビの社長となつたのは1988年。こ
ちらも四半世紀を超える支配体制を築いている。このような経営
者が頻繁に首相と会食をしているのを尻目に、現場の記者が「権
力の監視」を行なうことが果たして可能だろうか?
                      ──砂川浩慶著
             『安倍官邸とテレビ』/集英社新書
─────────────────────────────
 メディアには政権を監視する役割があります。政権に問題があ
れば、それを指摘し、国民に知らせる責任を負っています。その
メディアのトップが、国の最高権力者と親しく頻繁に会食をする
例は海外では見られない現象であるといいます。
 まして、読売新聞の渡邊会長やフジテレビの日枝会長が頻繁に
安倍首相と親しく会食をすれば、そのメディアの信頼性が根本か
ら揺らぐことになります。そういう、あってはならないことが、
日本では平然と、当然のことのように、行われていると砂川浩慶
氏は指摘しているのです。
 続いて、ニューヨータイムズ紙の前東京支局長、マーティン・
ファクラー氏の意見です。
─────────────────────────────
 政権がメディアをコントロールしたいと思うのは当然だ。私は
メディア・コントロールに努める安倍政権よりも、やすやすとコ
ントロールされるままでいる日本のメディアに強い危機感を覚え
ている。なぜ大手メディアはアメによる懐柔策を突っぱね、安倍
政権を真っ向から批判しようとしないのだろう。
 政権に批判的な記事を書いた結果、官邸へのアクセスの制限や
取材拒否に遭えばそのときこそメディアにとっての大チャンスの
はずだ。権力の不当な振る舞いを批判できる機会を与えてもらっ
たようなものだ。チームを組んで安倍政権のメディア戦略を調べ
上げ、メディア・コントロールの実態について調査報道ですべて
を明らかにする。どのメディアの誰がどういう料亭で首相に会い
密室でどんな会話がなされたのか。そもそもメディアの上層部が
総理大臣と近すぎる距離にいること自体がおかしい。メディアの
人間は意識的に権力と一定の距離を保つよう、心がける必要があ
る。そうした観点から、ジャーナリズムと政治権力の緊張関係に
ついて、記事によって一石を投じればいいのだ。
               ──マーティン・ファクラー著
      『安倍政権にひれ伏す日本のメディア』/双葉社刊
─────────────────────────────
 マーティン・ファクラー氏は、安倍首相がメディアのトップと
コミュニケーションをとり、親しくなろうとして、会食をするの
は理解できるという立場です。それは、権力者として本能みたい
なものだからです。
 しかし、メディアの方は、易々とそれに応じてはいけないとい
います。権力者と親しくなれば、その監視役であるメディアとし
ては、どうしても政権を批判しにくくなるのは当然の帰結である
からです。したがって、権力者からの会食の招待も、礼を失しな
い程度に付き合うレベルにとどめるべきであるとします。
 そういう状況の下で、政権が、テレビ朝日の「報道ステーショ
ン」の特定のコメンテーターや編集者を外せというような不当な
圧力をかけてきたら、断固として政権として戦うべきであり、も
しそのメディアができないのであれば、他のメディアがそのこと
を報道すべきではないかといっています。それがメディアの役割
であると主張しています。誠にその通りであると思います。その
意味で、日本のメディアは、権力に完全に懐柔されています。
 安倍政権のメディア対策について述べてきていますが、最後の
項目が残っています。
─────────────────────────────
        1.ぶらさがり会見の中止
        2.蜜月メディアへの出演
        3.メディア幹部との会食
      ⇒ 4.メディアチェック実施
─────────────────────────────
 メディア対策の第4は「メディアチェック実施」です。
 安倍政権はどのようにして、メディアをチェックしているので
しょうか。
 これについては、詳細はわかっていませんが、安倍政権のなか
に終始メディアをチェックするチームがあり、問題があるときは
即座に対応できるようになっていると思われることです。それは
海外の記者の書いた記事に対してもチェックが及んでおり、問題
のある記事には、その海外メディアの本社に対し、外務省を通じ
て日本政府としてクレームを入れています。
 そのチェック体制は、2015年に起きたテレビ朝日「報道ス
テーション」からの古賀茂明コメンテーター解任事件を分析する
ことによって浮かび上がってくるはずです。次回から、この問題
について検討することにします。
            ──[メディア規制の実態/017]

≪画像および関連情報≫
 ●国連が、安倍政権によるメディア圧力に是正勧告へ
  ───────────────────────────
   安倍政権によるメディアへの報道圧力が、国際社会で大き
  な問題になった。国連の人権理事会が2017年11月14
  日、日本の人権状況を審査する作業部会を約5年ぶりに開催
  したのだが、そこで各国から「報道の自由」に対する強い懸
  念の声が続出したのだ。
   本サイトでお伝えしてきたとおり、第二次安倍政権以降、
  官邸はテレビなどのマスコミを常時監視しており、報道に対
  する圧力は日々苛烈を極めている。今年5月には昨年来日調
  査を行った国連人権理の特別報告者のデービッド・ケイ氏が
  報告書(未編集版)を公表し、そのなかで安倍政権による報
  道圧力とメディアの萎縮について是正を勧告していた。
   そして、今回の国連の対日人権審査では、たとえばブラジ
  ルやベラルーシ代表が特定秘密保護法による「報道の自由」
  の侵害に懸念を示し、アメリカ代表などはさらに踏み込んで
  日本の「放送局をめぐる法的規制の枠組み」を問題視。政府
  による電波停止の根拠となっている放送法4条の改正と、独
  立した第三者監督機関の設立を求めたのである。人権理によ
  る最終的な勧告は来年に行われるが、そこに日本の「報道の
  自由」の現状を憂慮する文言が組み込まれる可能性は極めて
  高いと見られる。         http://bit.ly/2z8H4JZ
  ───────────────────────────

マーティン・ファクラーニューヨーク・タイムズ紙前東京支局長.jpg
マーティン・ファクラーニューヨーク・タイムズ紙前東京支局長
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2018年01月31日

●「安倍首相の背徳の中東歴訪と演説」(EJ第4694号)

 ことの発端は、2015年1月23日のテレビ朝日「報道ステ
ーション」における当時のコメンテーター古賀茂明氏の次の発言
だったのです。
─────────────────────────────
 日本人はいま「I am not ABE」というカードを掲げる必要が
 ある。           ──古賀茂明コメンテーター
─────────────────────────────
 このとき、後藤健二さんはイスラム国の捕虜になっており、そ
の安否が気遣われていたのです。イスラム国(IS)は日本政府
に対し、身代金交渉を持ちかけたのですが、拒否されており、後
藤夫人が、政府から見捨てられたかたちで、後藤さんの解放のた
めに身代金交渉をISと細々と続けていたのです。
 ちょうどそのとき、安倍首相は中東を歴訪中で、その訪問国と
スケジュールは以下の通りです。
─────────────────────────────
      2015年1月18日: エジプト
             19日: ヨルダン
             21日:イスラエル
                 パレスチナ
─────────────────────────────
 報道では、少なくとも1月18日のエジプト訪問の時点では、
安倍首相は、ISによる後藤健二さんと湯川遥菜さんの誘拐事件
については知っておらず、中東訪問中に誘拐が発覚したというこ
とだったのです。しかし、後になってこのことが大ウソであった
ことが判明します。しかし、既にメディアは、安倍政権に完全に
飼い慣らされており、この背信行為をあまり厳しく追及すること
はなかったのです。
 このとき、安倍首相は、エジプトにおける演説において、次の
ようにISIL(IS)と闘う国を支援すると表明しています。
─────────────────────────────
 イラク、シリアの難民・避難民支援、トルコ、レバノンへの支
援をするのは、ISILがもたらす脅威を少しでも食い止めるた
めです。地道な人材開発、インフラ整備を含め、ISILと闘う
周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します。
                       ──安倍首相
─────────────────────────────
 日本語訳の場合は、比較的穏当な表現になっていますが、英語
訳では、支援の目的はすべて対イスラム国政策なのだというニュ
アンスが、日本語よりも露骨に表れた表現になっています。
─────────────────────────────
   "All that, we shall do to help curb the threat
   ISIL poses."
   「その支援は、すべてISILがもたらす脅威を食
   い止めるのに役立つためにすることだ」
                   http://bit.ly/2FnY11C
─────────────────────────────
 これにイスラム国が反発したのです。ISは、安倍首相の演説
をISに対する「宣戦布告」と捉え、次のビデオ・メッセージを
出し、日本人に対する復讐を宣言したのです。
─────────────────────────────
 (安倍総理は)イスラム国から8500キロも離れていながら
自ら進んで十字軍へ参加した。おまえはわれわれの女性や子ども
を殺害するために、またイスラム教徒の家を破壊するために、得
意気に1億ドルを提供した。だから、この日本人の命の値段は1
億ドルだ。また、イスラム国の拡大を止めようと、イスラム戦士
と戦う背教者を訓練するために、さらに1億ドルを提供した。だ
から、このもう一人の日本人の命も1億ドルだ。(中略)アベよ
勝ち目のない戦いに参加するというおまえの無謀な決断のために
このナイフはケンジを殺すだけでなく、おまえの国民を、場所を
問わずに殺戮する。日本にとっての悪夢が始まるのだ。
            ──古賀茂明著/『日本中枢の狂謀』
                         講談社刊
─────────────────────────────
 2人の日本人の人質がISにいる状況で、その当事国の首相が
わざわざ中東を歴訪し、ISを刺激することを演説で話せば、人
質の命はどうなるでしょうか。そういう意味からも、安倍首相の
中東歴訪はとても合理的な行動とは思えないのです。
 古賀氏としては、安倍首相の演説で、後藤健二氏や湯川遥菜氏
だけでなく、日本人というだけでISに殺害される恐れが出てき
ているとして、「I am not ABE」というプラカードを掲げるべき
だと「報道ステーション」で発言したのです。
 その直後に官邸の官房長官秘書官から次の趣旨のメールが届き
抗議してきたのです。
─────────────────────────────
 安倍首相は人質事件を知らなかったのに、ひどいじゃないか
                   ──官房長官秘書官
─────────────────────────────
 官邸としては、あくまで安倍首相は人質事件は知らないで中東
訪問をしたというストーリーにしておきたかったので、番組に抗
議してきたのですが、事実は大きく異なるのです。
 実は、2014年12月初旬までに後藤健二さんが人質になっ
たことは、ISから後藤夫人のPCにメールが届き、官邸にはそ
れが報告されていたのです。官邸はひそかに後藤/湯川さん救出
の対策本部まで作られていたのです。
 つまり、安倍首相は、2人がISの人質になっている事実を知
りながら、中東歴訪を強行し、2人の命だけでなく、日本人全体
を危険にさらす演説を行ったことになります。しかし、メディア
はそのことを十分知りながら、安倍政権をあまり非難していない
のです。安倍政権のメディア規制の毒が、既に回っていたからと
いえます。       ──[メディア規制の実態/018]

≪画像および関連情報≫
 ●安倍外交が「イスラム国」のテロを誘発した/内田通夫氏
  ───────────────────────────
   安倍晋三首相は中東歴訪の中、1月17日、エジプトで、
  「イスラム国」対策のため、としてイラクやレバノンに2億
  ドルを支援することを表明した。2億ドルには難民支援、人
  道支援という名目が付けられている。しかし、安倍首相は、
  「『イスラム国』の脅威を食い止めるため」、「イスラム国
  と闘う周辺各国に」としており、利敵行為とみなされる。人
  道支援や後方支援といった名目に日本人は惑わされやすい。
   戦闘行為、敵対行為の主な部分は、後方支援なのだ。たと
  えば、アフガニスタンでイスラム原理主義組織タリバンに対
  する戦闘を担ったのがNATO(北大西洋条約機構)だが、
  当初はアフガニスタンの経済復興を支援する、との目的を掲
  げて軍を派遣した。だが、タリバンからみれば、NATOの
  行動は敵対行為、戦闘行為そのものである。当然、NATO
  軍の進出に武力で攻撃し、NATO軍も反撃する。こうした
  戦闘の連鎖により、当初の経済復興支援という看板とは異な
  り、2014年に終了するまで長期にわたる大規模なアフガ
  ニスタン派兵となった。また、安倍首相は今回、イスラエル
  を訪問して、イスラエルと日本の両方の国旗の前で、ネタニ
  ヤフ・イスラエル首相と両国が連携を強化することを表明し
  た。これまでもイスラエルとの対話はあったが、このような
  形式をとることはなかった。イスラエルとはサイバーテロや
  無人機など、安全保障関連分野での提携を深めようとしてい
  る。イスラム社会の反発は当然、予想されることであり、安
  倍首相は配慮が足りない。     http://bit.ly/1H1KmMq
  ───────────────────────────

イスラエルで演説する安倍首相.jpg
イスラエルで演説する安倍首相
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2018年02月01日

●「なぜIS人質を救えなかったのか」(EJ第4695号)

 2015年、年初の安倍首相の中東訪問──事前に決まってい
た外遊ですが、2014年12月になって、後藤健二さんと湯川
遥菜さんがイスラム国(IS)に捕えられたという情報が入った
のです。正確にいうと、湯川さんがはじめに捕えられ、湯川さん
を救出しようと後藤さんがシリアに入り、後藤さんも捕えられた
ということになります。
 このような事態に、安倍首相はなぜ中東訪問を予定通り強行し
たのでしょうか。表面上は「テロリストとは交渉しない」とはい
うものの、どの国もウラでは救出に乗り出し、交渉し、救出に成
功したケースも多々あるのです。そういう意味で、中東訪問に合
わせてトルコを訪問し、親しいエルドアン大統領に救出の協力を
依頼する方法はあったと思うのです。
 古賀茂明氏は、このときの安倍首相の行動には、5つの疑問が
あると述べています。
─────────────────────────────
 前年の12月初旬までに後藤健二さんが捕虜になっていること
が夫人にメールで知らされたという事実を前提にすると、その後
の安倍総理の行動には、いくつもの疑問が湧いてくる。
 第一に、なぜ中東を歴訪したのか? 第二に、なぜ訪問国とし
て、エジプト、ヨルダン、イスラエルというアメリカの盟友ばか
り選んだのか? 第三に、なぜイスラム国と闘う周辺各国を支援
するなどといった誤解を招くスピーチを行ったのか? 第四に、
なぜ現地対策本部を、トルコでなくヨルダンのアンマンに置いた
のか? 第五に、なぜ政府は、後藤夫人のイスラム国との取引を
支援しなかったのか?       ──古賀茂明著/講談社刊
                    『日本中枢の狂謀』
─────────────────────────────
 私もそうですが、多くの日本人は、安倍首相が後藤さんたちの
誘拐を知らないで中東歴訪に出発したと考えていたと思います。
それなら、これまでの安倍首相の外交行動を知っている人であれ
ば、トルコに現地対策本部を置くのがベストな対応であると考え
たはずです。なぜなら、トルコは、イスラム国支配地域と国境を
接しており、イスラム国との裏取引ルートも多数持っていたから
です。実際に、トルコは、イラクのトルコ総領事館員ら49名が
イスラム国に拉致されたとき、彼らを無事に取り返すという実績
を上げているからです。
 しかし、安倍首相は、現地対策本部をヨルダンのアンマンに置
き、そこに中山外務副大臣を派遣しています。つまり、安倍首相
にとって最も頼りになると思われるトルコとは連絡をとっていな
いのです。古賀氏のいう4つ目の疑問です。
 ヨルダンのアンマンには、米CIAの拠点はありますが、それ
以外にイスラム国と交渉するうえでのメリットは、何もない場所
です。派遣された中山外務副大臣は、ほとんど救出のための行動
らしきことはほとんどしないまま、結局、後藤さんと湯川さんは
空しく殺害されてしまったのです。
 ここで後藤夫人の立場について触れておく必要があります。そ
もそもISからの身代金の連絡は、後藤夫人のところにメールで
届いています。後藤夫人が政府に連絡すると、「政府としては、
直接交渉に当たれないが、情報は速やかに上げて欲しい」といわ
れたといいます。官邸内に対策本部は置いたものの、政府は交渉
には直接タッチしていないと考えられます。ある意味において、
後藤夫人は“弱い立場”にいたのです。これについて、古賀茂明
氏は次のように述べています。
─────────────────────────────
 後藤夫人は、IICA(国際協力機構)という政府機関に勤め
ている。乳飲み子を抱えて、万一の場合、将来の子どもの養育の
ことを考えればその仕事を失うことは絶対にできない。したがっ
て、政府の命令には逆らえないし、批判めいた声を上げることす
ら許されない。
 中東専門の記者たちからの情報では、夫人はひたすら声を潜め
ながら、外国の支援者たちのサポートだけを頼りにそれこそ命懸
けといってもよい必死の交渉を行っていたのである。
                ──古賀茂明著の前掲書より
─────────────────────────────
 「テロリストとは交渉しない」──米国はこの姿勢を一応貫い
ています。しかし、米国以外の先進国ではそれはあくまで建前と
して、フランスやイタリアなどは、ISと裏取引して、人質を取
り戻しています。日本人の多くは、政府は何とかISと交渉して
後藤さんと湯川さんを救出してくれるだろうと期待していたと思
います。日本は、かつて「よど号事件」では「人の命は地球より
も重い」として、超法規的措置を講じてまで、人質を解放した国
です。2人の救出のために官房機密費を使ったとしても、それに
よって政権が支持を下げるとは考えにくいのです。むしろ、人質
を救出できなかった場合のリスクの方が大きいでしょう。
 しかし、後藤さんと湯川さんは空しく殺害されてしまったので
す。どうして、こんな結果になったのでしょうか。
 2014年12月初旬に、ISから後藤夫人に連絡が入って以
来、外務省を通じて米国防総省、国務省、CIAなどにその情報
は提供され、情報は日米で管理されることになったはずです。そ
の結果、日本の外務省は、「テロリストとは交渉しない」とする
米国の監視下で、ISと交渉せざるを得なくなったのです。当然
米国としては、裏取引によって巨額の資金がISに渡ることを警
戒したはずです。
 日本としては、これによって後藤さんたちの救出が非常に困難
になったことを意味します。身代金を支払わないで、ISが人質
を解放するとは思えないからです。逆に日本がトルコに現地対策
本部を設置した場合、米国は日本が水面下の身代金交渉で、人質
の救出をするのではないかと疑ったと思います。安部首相は、だ
から、本部をあえてガラス張りのヨルダンに置いたのです。
            ──[メディア規制の実態/019]

≪画像および関連情報≫
 ●後藤さん殺害で最悪の結末に、政府対応の検証に焦点
  ───────────────────────────
   [東京/2月1日 ロイター]過激派組織「イスラム国」
  に日本人2人が拘束されていた事件は1日、湯川遥菜さんに
  続き、後藤健二さんも殺害されたとみられる動画がインター
  ネット上に投稿され、最悪の結果になった。日本政府は、2
  人の救出に最大限の努力をしてきたと強調するが、救出でき
  る道はなかったのか、今後は政府の対応の検証が焦点となり
  そうだ。
   政府が今回の動画を確認したのは、1日午前5時前後。後
  藤さんとみられる男性がオレンジ色の服を着せられてひざま
  ずき、そばに黒装束の男がナイフを持って立っている様子が
  映っている。その後、後藤さんが死亡したとみられる映像が
  続いている。
   動画の中で、犯行グループの男は、安倍晋三首相に対し、
  「勝ち目のない戦争に参加する日本の決定のせいで、このナ
  イフは後藤健二を殺害するだけでなく、さらなる日本人の殺
  りくを引き起こすことになる」と述べていた。
   菅義偉官房長官は1日午前の会見で、殺害されたのは後藤
  さん本人の可能性が高いとの認識を示したうえで「卑劣極ま
  りないテロ」とあらためてイスラム国を非難した。
   イスラム国の対応に対し、2人を惨殺するという「テロ行
  為」であると、国内では与野党を問わず、厳しく批判する声
  で一致している。ただ、2人の殺害は避けられなかったのか
  ──。その点については、政府に他の選択肢もあったのでは
  ないか、との声が一部で出ている。 http://bit.ly/2Erelzy
  ───────────────────────────

在りし日の後藤健二氏.jpg
在りし日の後藤 健二氏
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2018年02月02日

●「米国との関係を重視した安倍政権」(EJ第4696号)

 安倍首相の対米重視の姿勢は相当のものです。民主党政権のと
き、当時の鳩山首相がある国際会議で、オバマ大統領との個別会
談の時間をとってもらえず、やむなく合同ランチの席で、オバマ
大統領の席の横でオープンで会談を行ったことがあります。この
とき、後になって有名になる鳩山首相の「ビリーブ・ミー」が発
せられるのです。当時野党議員だった安倍晋三氏は、その様子を
見て、日米関係がこれではいけないと考えたといいます。
 確かにオバマ大統領は、当初は日本に対して厳しく、2012
年暮れに安倍氏が首相になっても、首相就任後の初の日米会談を
春まで延期させられるなど、苦戦を強いられます。それだけに安
倍首相は、誰よりもオバマ大統領に認めてもらいたいという思い
が強くあったと考えられます。
 安倍首相は、フリーランス・ジャーナリストの後藤健二さんに
対してある懸念を持っていたのです。それは、今から約15年前
のブッシュ政権のときの出来事です。当時は小泉政権であり、安
倍晋三氏は官房副長官を拝命していたのです。
 米軍がイラクのフセイン政権を倒して国内を平定したとき、後
藤健二氏がある映像をイラクから持ち帰ったのです。それは、米
軍の攻撃による多くの民間被害者の映像だったのです。
 この映像は、NHKの「クローズアップ現代」に取り上げられ
『終らない戦争』というタイトルで放送予定であり、後藤健二さ
んも出演する予定だったと聞いています。
 しかし、この番組は、放送直前に経営陣の判断で中止され、ボ
ツになったのです。NHKとしての中止の理由は、表向きは「N
HKが取材していない内容を主とする番組を放送するわけにはい
かない」というものでしたが、その本当の理由をジャーナリスト
の横田一氏は次のように明かしています。
─────────────────────────────
 小泉政権は当時、米ブッシュ政権の「テロとの戦い」」に賛同
し、その後、イラクのサマワに自衛隊を派遣しています。そんな
状況下で、米軍の空爆で被害を受けた市民の視点で作った番組を
流すのは、政権批判につながりかねない。OA(オンエア)は避
けるべきという政治的な判断もあったようです。 ──横田一氏
                   http://bit.ly/2DSaLkX
─────────────────────────────
 当時安倍氏は、官房副長官として、おそらくこの放送中止に関
与していたものと思われます。そうであるとしたら、安倍首相は
後藤健二氏について、あまり良い印象を持っていなかったのでは
ないかと思われます。これについて、古賀茂明氏は、次のように
述べています。
─────────────────────────────
 仮に後藤さんが解放されて無事に帰国したら、何が起きていた
か・・。後藤さんは湯川さん救出のためにイスラム国支配下にあ
る地域に入った。ということは、そこで取材をすれば、アメリカ
中心の有志連合の容赦ない空爆による被害の映像がたくさん撮ら
れていたであろう。
 もちろん、アメリカなどは建て前上、イスラム国の拠点だけを
ピンポイントで爆撃したといっているが、そんなことは大嘘であ
ることは、後に海外メディアが暴いて大問題になった。その空爆
の巻き添えになった被害者には、民間人、それも女性や子どもが
多数含まれている。病院や学校がイスラム国の拠点として多用さ
れていることから、誤爆すればとんでもない悲惨な事態になる。
そうした画像や映像を、もし後藤さんが日本に持ち帰ったとした
ら・・。   ──古賀茂明著/講談社刊/『日本中枢の狂謀』
─────────────────────────────
 後藤/湯川両氏を救うという前提に立つと、シリアとの多くの
交渉拠点を持つトルコに現地対策本部を置き、エルドアン大統領
の力を借りながら、ISと水面下での交渉を行うべきです。しか
し、これは米国にとって好ましいものではなかったのです。「テ
ロリストと取引するのか」の批判もあります。
 しかし、実際に安倍首相のやったことは、エジプトでISと闘
う国に対して資金援助を行うと演説し、次にイスラエルに行って
同じ演説をしているのです。これは、ISを刺激させるのに十分
過ぎます。しかも、ヨルダンに対策本部を置いており、米国のC
IAの監視下にあるので、勝手な行動はとれないのです。
 要するに安倍政権としては、2人を救出するのには最悪の手を
打っていたことになります。その結果、安倍政権は2人を救出で
きなかったのです。しかし、米国をはじめ、国際社会に対しては
安倍政権は高い評価を受けているのです。これについて、古賀茂
明氏は次のように述べています。
─────────────────────────────
 安倍総理の姿勢は、列強国には高く評価された。「テロに屈せ
ず闘う安倍」というイメージは、これまでの日本のリーダーには
なかったものだ。これを中東だけではなく世界中に広げることが
できたのだから、安倍総理は大喜びだったであろう。特に総理を
喜ばせたと思わせるのは、米、英、仏など、NATOの中心的メ
ンバー国のリーダーが、後藤さんが殺害された直後に安倍総理の
「闘う姿勢」を称賛し、日本への連帯を示したたことである。各
国首脳が、記者会見で、わぎわざ自分の言葉で褒め称えてくれた
ことで、安倍総理の気持ちがどれくらい高揚したことか・・「こ
れで、晴れて世界の列強の仲間入りができた」と、小躍りしたと
しても不思議はない。      ──古賀茂明著の前掲書より
─────────────────────────────
 もし、古賀氏の指摘することが事実であるとしたら、安倍政権
は、メディアに相当激しく叩かれるはずです。しかし、そういう
混乱は起きていないのです。おそらくそれは、そのとき既にメデ
ィアは抑え込まれていたからであると考えられます。そのため、
それに唯一逆らい、「I am not ABE」とカードを掲げた古賀茂明
氏に対して、安倍政権は集中して、圧力をかけることになったの
です。         ──[メディア規制の実態/020]

≪画像および関連情報≫
 ●人質救出失敗 安倍政権がバラまいた“情報収集”の代価
  ───────────────────────────
   「情報収集と分析に全力を挙げる」だけで、人質2人をむ
  ざむざと殺害されてしまった安倍政権。その“情報収集”に
  も税金は使われている。
   04年4月に起きたイラク日本人人質事件では、拘束され
  た5人の救出に関連して支出した外務省の経費は、総額で約
  1815万円。これは職員の航空運賃、宿泊費など、直接か
  かった経費で、人件費は含まれない。この事件では、人質の
  拘束から解放まで10日あまり。単純に1日約170万円か
  かった計算になる。
   「安倍首相は先日の国会答弁で、後藤さん拘束後の11月
  から現地にも対策本部を立ち上げたと話していた。2カ月以
  上となると、1億円は超える。もっともこれは表に出せる金
  額です。実際には現地の仲介役などに水面下でジャブジャブ
  謝礼を支払っているので、2倍、3倍では、きかないでしょ
  う。そもそも安倍政権は今回の事件で官房機密費からも10
  億円用意していたと囁かれています」(官邸事情通)
   国民の命、安全を守るのは、政府の責任でお金だってかか
  る。当然だろうが、安倍政権は、ヨルダン頼みで右往左往し
  ただけで億単位だ。「情報収集でお金をバラまいたせいで、
  中東では改めて『日本人はお金になる』というイメージが広
  がった。標的にされる危険性が、さらに高まったともいえま
  す。(外務省関係者)。何か解せない。
                   http://bit.ly/2nuSlLK
  ───────────────────────────

現地対策本部/中山外務副大臣.jpg
現地対策本部/中山外務副大臣
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2018年02月05日

●「記名式に変更の協会執行部の悪辣」(EJ第4697号)

 2月2日、日本相撲協会の理事候補選挙があり、10人の理事
候補者が選出されています。この問題は、安倍政権のメディア規
制の問題ではありませんが、メディアの報道が事実を捻じ曲げて
いるひとつの事例であると考えるので、今日のEJはそのことに
ついて書きます。理事候補選の結果は、次のようになり、貴乃花
親方だけが、落選になったのです。
─────────────────────────────
   八 角 ・・・ 11当  出羽海 ・・・ 8当
   尾 車 ・・・ 10当  高 島 ・・・ 9当
   鏡 山 ・・・ 11当  芝田山 ・・・10当
   春日野 ・・・  9当  境 川 ・・・11当
   阿武松 ・・・  8当  貴乃花 ・・・ 2落
   山 響 ・・・  8      【定員:10】
─────────────────────────────
 この選挙には親方であれば誰でも出馬できます。そうであるの
に11人しか出馬しない。一門の事前の談合で候補者を決めるか
らです。したがって、候補者が10人であれば全員当選。この場
合は選挙は行われない。貴乃花親方は自らが出馬することで選挙
にするため、あえて不利を承知で出馬したのです。
 理事候補選は、2年に1回行われますが、2018年の選挙は
現八角体制にとって大変厳しい状況になっています。日馬富士傷
害事件、立行司、式守伊之助の不祥事、大砂嵐の無免許運転事故
など、不祥事の連発であり、相撲協会全体のガバナンスがなって
いないことを示しています。八角理事長と執行部の責任が厳しく
問われているのに、八角理事長は自ら減俸を申し出たものの、理
事会としての何の処分を受けていない状況です。
 普通の会社であれば、これほどの不祥事が続けば、社長は即辞
任です。まして相撲協会は公益法人です。しかし、八角理事長は
当然のように理事候補選に出馬し、理事候補に当選、当然のよう
に理事長に居座るでしょう。こんなことは、絶対に許せることで
はありません。
 実は、今回の理事候補選では、相撲協会執行部は、不正ではな
いものの、非常にズルイことをやっており、それにメディアが協
力しているフシがあります。そのため、EJであえて取り上げる
ことにしたのです。
 これまで、相撲協会の理事候補選では、理事候補者は無投票の
談合で選ばれていたのですが、文科省の指導を受け、選挙が行わ
れるようになっています。その選挙も最初のうちは、選挙委員の
目の前で、候補者名を記名するなどのインチキをしていたのです
が、このところ、投票用紙に印刷されている親方名にマルを付け
る方式で行われています。もちろん普通の選挙のように、誰にも
見られない仕切りのなかで、マルをつける方式です。
 ところが、今回の理事候補選では、相撲協会執行部は、投票方
式をこっそり記名式に変更しているのです。私は、偶然、1日夜
のNHKのニュースで、アナウンサーが「今回の選挙は候補者の
名前を書く記名式で行われます」とアナウンスするのを聞いたの
です。そこで、私は、2月2日の朝、次のようにツィートしたの
です。もちろん選挙前です。
─────────────────────────────
 隠れ貴乃花派の票の上積みは期待できない。協会は投票方法を
変更。これまでは理事候補者の名前の書いてある紙に〇をつける
だけだったが、こっそり記名式に変更。なぜ変更するのか。あと
で犯人探しをやるためである。NHKの報道で知ったが、どうし
て他のメディアはこのことを報道しないのか。
                   http://bit.ly/2FG5Nny
─────────────────────────────
 本稿執筆時点である2月3日午後5時の時点で、このツイート
の「インプレッション」は67万4184回、「エンゲージメン
ト」は29496回。「リツィート」7513回、「いいね」は
4761回になっています。「インプレッション」とは、私のツ
イートがスマホやPCに表示された回数であり、「エンゲージメ
ント」は、そのツイートに対して、リツイートや返信などのアク
ションを起こした回数のことです。
 なぜ、候補者にマルをつける方式から、記名式に変更したので
しょうか。その理由は明白です。隠れ貴乃花派が貴乃花親方に投
票するのを阻止するためです。記名にすると、筆跡から裏切り者
を特定できるからです。事前に「筆跡鑑定する」と脅せば、造反
する者がいなくなります。
 これは、現在の八角執行部ならやりそうなことです。しかし、
もっと許せないのはメディアの対応です。投票方式が記名方式に
変更になったことを知りながら、一言もいわないことです。2日
の朝のテレ朝の「羽鳥慎一モーニングショー」、「ワイドスクラ
ンブル」、TBSの「ひるおび」、「ゴゴスマ」──これらの番
組は、選挙前に行われましたが、くだらない票読みをしたものの
メインキャスターもコメンテーターも、誰ひとりとして、この問
題を指摘する人はいなかったのです。明らかに不自然です。
 そして、夜の「報道ステーション」ではじめて、記名式で投票
が行われたことを報道しています。選挙が終わって結果が出たの
で、報道したのです。それに、NHKのニュースの解説者は、貴
乃花一門は、阿武松と貴乃花との間で意見が割れ、無謀にも両者
が立候補して、貴乃花の惨敗に終わり、その影響力の低下は必至
の情勢と、まるで事実と異なる相撲協会寄りの報道を行っていま
す。それにしても、相撲協会と一心同体のNHKは別として、他
のメディアはなぜ相撲協会に協力したのでしょうか。何かよほど
おいしい餌をぶら下げられたのでしょうか。ぜひ『週刊文春』か
『週刊新潮』で暴いて欲しいと思います。
 このように、日本のメディアは腐り切っています。ネットでは
批判の嵐が渦巻いていますが、テレビは完全無視です。なんとも
腹立たしい限りです。相撲協会は八角体制では持ちません。衰退
するだけです。     ──[メディア規制の実態/021]

≪画像および関連情報≫
 ●貴乃花親方落選で大激論 ,何故記名式に?
  ───────────────────────────
   2日に行われた日本相撲協会の理事候補選で得票数2と惨
  敗した貴乃花親方について3日、カンテレの生番組「胸いっ
  ぱいサミット!」でタレントの遙洋子、東国原英夫、デヴィ
  夫人が激論を闘わせた。
   遙は「この結果を見て、彼が囲まれている協会の深刻さと
  闇が、つまびらかになったなと私は確信しました。彼はこう
  いう集団と闘っていたんですよ。それを表に出すためにこの
  数字が必要だったんだと思います、彼には」と、貴乃花親方
  の考えを推察した。
   八角理事長の現体制に一貫して批判的な東国原は「今回ね
  投票方式が記名方式で、突然変わりましたからね。今までは
  無記名だったんですけど。これが協会の体質をね、歴然と表
  していますよね」と、この日も協会を厳しく批判。
   一方で貴乃花親方に対しても「この2〜3カ月の行動が、
  私は問題があったと思います。理念は素晴らしいです、改革
  案は素晴らしいんだけども、そのやり方の結果が今回出たん
  ではないかなと」と苦言を呈した。元宮崎県知事、元衆院議
  員でもあるだけに「最初っから協会に届けといて、そして警
  察に届けて、そして仲間を増やしていくという方法をやっと
  けば。政治なんですから。そしたら、今になって記名投票に
  なっても、造反者があえていたんではないかと思います」と
  説いた。             http://bit.ly/2BRjDRJ
  ───────────────────────────

理事候補選に行く貴乃花親方.jpg
理事候補選に行く貴乃花親方
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2018年02月06日

●「古賀氏が反安倍カードを掲げたか」(EJ第4698号)

 後藤健二さんと湯川遥菜さんがISによって殺害されたのは、
2015年1月20日とされています。これを受けて日本政府は
次の声明を出しています。
─────────────────────────────
 彼らのひどい行動の責任を取らせるために、国際社会と協力
 して行く。
  I will work with the international community to hold
  them responsible for their deplorable acts.
─────────────────────────────
 「hold them responsible」 は「責任をとらせる」というかな
り抑制気味の表現ですが、海外のメディアとしては、これまでの
日本の首相としてはかなり踏み込んだ表現であるとして、おおむ
ね好意的に幅広く報道しています。
 古賀茂明氏は「当時安倍首相の精神状態はかなりハイになって
いたのではないか」と述べていますが、それは、直後の1月25
日のNHK『日曜討論』に出演した安倍首相が、かなり踏み込ん
だ発言をしているのをみてもわかります。
─────────────────────────────
 現在ですね、政府の中において法案の作成を精力的に進めてい
る状況であります。えー、今回の法整備は切れ目のない安全保障
法制を構築をしている。それによって国民の命と幸せな暮らしを
守り抜いていくということです。
 例えばこのように海外で邦人が危害に遭ったとき、その邦人を
救出する。自衛隊が救出するための法律。えー、現在、そのため
に自衛隊が持てる力を十分に活かすことができません。そうした
ことを含めて、そうした法制も含めて、えー、今回、法整備を先
ず進めてまいります。             ──安倍首相
                   http://bit.ly/2DU5U2n
─────────────────────────────
 これは、かなり危ない発言です。もし、日本人が海外で危害に
遭ったとき、自衛隊がそれを救出できるように法律改正をするよ
うにとれるからです。
 いずれにせよ、本来であれば、2人を救出できなかったことを
もっと責められてしかるべき安倍首相は、海外では、何と「敢然
とテロリストと闘う安倍首相」という高評価に受けてしまってい
るのです。安倍首相としては「してやったり!」と舞い上がって
も不思議はないでしょう。
 これに反対したのは、「報道ステーション」のコメンテーター
古賀茂明氏です。「このままでは、今後何の罪もない日本人が海
外で「日本人である」というだけで被害に遭う恐れがあるとして
「われわれはアベと違う」という意味で、「I am not ABE」のカ
ードを1月23日の「報道ステーション」で掲げたのです。この
狙いを古賀氏は自著で次のように述べています。
─────────────────────────────
 一国の指導者に課された最大の責務は、国民を無用な戦争に巻
き込まないことだ。しかし安倍総理は、これとは正反対の方向に
進んでいる。
 私たち日本国民の心を表すのは、むしろ後藤さんの行動だ。戦
争などの犠牲者、特に女性と子どもたちの姿を世界に伝え、戦争
の根絶のために貢献しようという姿勢こそ、日本国憲法が求める
精神ではないか。
 安倍総理の、軍事力による「似非積極的平和主義」とは対極に
ある、日本国憲法が求める「真の積極的平和主義」だ。後藤さん
の心を共有する「I am Kenji」とともに、安倍総理の考えを否定
する「I am not ABE」という言葉を、いますぐ世界に向けて発信
することこそ平和を愛する日本人に課せられた責務ではないか。
そう思い、私は「報道ステーション」の2015年1月23日の
放送で、初めてこの言葉を発信したのである。
 「I am Kenji」と「I am not ABE」──
 この2つの言葉は、まさに、平和を愛する日本人の命を守るた
めの一対の救いのフレーズなのである。
       ──古賀茂明著/講談社刊/『日本中枢の狂謀』
─────────────────────────────
 この古賀氏による「I am not ABE」のカードに官邸が激しく反
応したのです。日本では、大臣や党幹部、政府高官などが番記者
にオフレコを条件で重要な情報を流す習慣があります。この場合
オフレコだからといって、絶対ヒミツというわけではなく、記者
がその発言をメモし、記事にする場合があるのです。それを承知
で、大臣などがリークすることもあります。
 2015年1月24日午後のことです。菅義偉官房長官が、定
例の記者会見終了後に、番記者にオフレコで、次のように話して
いるのです。
─────────────────────────────
 あれは本当に頭にきたなあ。いや、本当、俺だったら放送法に
違反してるって、いってやるところだけどな(笑)
                    ──菅義偉官房長官
                ──古賀茂明著の前掲書より
─────────────────────────────
 この菅義偉官房長官の発言は、オフレコ会見前日の1月23日
の「報道ステーション」において、コメンテーターの古賀茂明氏
が「I am not ABE」のカードを掲げたことをいっているのです。
 何しろ、日本人2人が殺されており、安倍政権にとっては最も
センシティブな問題であり、一番批判されたくないことです。そ
れを具体的に「アベ」と名指しして批判したのですから、菅官房
長官が頭にくるのはわかるような気がします。
 しかし、菅官房長官のいうように、放送法には違反していない
のです。既に述べているように、放送法第4条はあくまで「番組
ごと」ではなく、一定期間の報道を通してバランスをとればよい
と総務省がガイドラインを出しているからです。
            ──[メディア規制の実態/022]

≪画像および関連情報≫
 ●オフレコメモが存在していた/マイクロバブル日記
  ───────────────────────────
   報道ステーション(テレビ朝日系)で爆弾発言を行った古
  賀茂明氏へのバッシングが続いている。古賀氏に対して「捏
  造だ」「被害妄想だ」「陰謀論を平気で事実のように、しゃ
  べっている」という指摘が多く、30日には、菅義偉官房長
  官が記者会見で、古賀発言を完全否定している。
   「テレビ朝日の『報道ステーション』のコメンテーター」
  が、生放送中に菅官房長官の名を挙げて「バッシングを受け
  た」と語った際に、「まったくの事実無根」「事実に反する
  コメントだ。公共の電波を使った行為であり、極めて不適切
  だ」と批判。菅官房長官は、この会見で「放送法という法律
  があるので、まずテレビ局が、どう対応されるかを見守りた
  い」と発言している。
   これこそ何よりの、テレビ朝日に対しての、あからさまな
  圧力ではないだろうか?嘘をついていたのは古賀氏でないよ
  うだ。菅官房長は明らかに「放送法違反」という言葉で古賀
  氏と報道ステーションを攻撃しなから、平気で「事実無根」
  などと強弁していたわけだ。捏造と謀略による報道弾圧を繰
  り返してきた安倍政権の官房長官ならではの手法というべき
  か。信じられないのが、日本のマスコミ達の対応だ。
   地上デジタルの各局は、ワイドショーで一斉にこの問題を
  取りあげている。だが、ミヤネヤをはじめとして、唖然とす
  る横並び報道のオンパレード。彼らはこのオフレコ懇談の席
  に同席し、誰よりも菅官房長官が嘘をついていることを知り
  ながら、なんの追及もせず、「事実無根」発言を垂れ流して
  いる。              http://bit.ly/2s2RkjI
  ───────────────────────────

「I am not ABE」のカードを掲げる古賀茂明氏.jpg
「I am not ABE」のカードを掲げる古賀 茂明氏
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2018年02月07日

●「古賀は万死に値する/メッセージ」(EJ第4699号)

 2015年1月23日に、「報道ステーション」において、当
時コメンテーターの古賀茂明氏が「I am not ABE」のカードを掲
げたとき、官邸がどのように動いたかについて古賀氏の著作から
情報を集め、明らかにしたいと思います。
 官邸からの第1報は、番組放送中に入っています。官邸の中村
格官房長官秘書官(当時)から、テレビ朝日の報道局ニュースセ
ンタ一編集長の中村直樹氏に直接電話が入ったのです。両方とも
「中村」なので、ややこしい話ですが、要する官邸はつねに「報
道ステーション」をチェックしていたということになります。
 ところが、中村編集長はこの電話を取り損ねてしまいます。そ
うすると、今度は中村編集長のスマホに次のショートメールが入
電したのです。
─────────────────────────────
          古賀は万死に値する
─────────────────────────────
 これで報道局はパニックに陥ったのです。番組終了後に篠塚報
道局長は、藤岡政治部長と番組チーフプロデューサーを呼び出し
対策を協議します。篠塚報道局長は、チーフプロデューサーに対
し、「なぜ、コメンテーターにあんな発言をさせたのか」と詰問
したところ、プロデューサーは次のように答えています。
─────────────────────────────
 古賀氏の発言は番組として了承しており、何の問題もないと
 考えています。        ──チーフプロデューサー
─────────────────────────────
 このプロデューサーの意見は、報道人として非常に立派である
と思います。彼は、古賀氏の発言は、番組中に「I am not ABE」
のカードを掲げることも含めて、番組として了承したものであり
何も問題はなく、官邸からクレームをつけられるいわれはないと
主張しているからです。
 本来は、このプロデューサーのいう通りなのですが、現政権は
安倍政権であり、メディアに対して規制を強め、政権の批判は絶
対に許さないという姿勢です。しかも、これに加えて、1月24
日には、菅官房長官によるオフレコ発言としてではあるが、コメ
ンテーターの古賀氏の発言は放送法に抵触するというクレームが
出たことによって、おそらくテレビ朝日は早河会長らのトップが
官邸に出向いて、菅官房長官に謝罪しています。そして、おそら
くこの時点で、古賀氏のコメンテーター降板は決定したものと思
われます。
 ちなみに、中村編集長のスマホに「古賀は万死に値する」とい
うショートメールを送り付けた官邸の中村格官房長官秘書官(当
時)という人物は、安倍首相に親しいジャーナリストの山口敬之
氏の「詩織」さんに対する「準強姦」疑惑で、高輪署の逮捕状を
握り潰した人物です。中村格氏は、2015年6月には警視庁の
刑事部長に栄転しており、その直前まで官房長官秘書官として、
菅官房長官を支えていたのです。いわば菅官房長官の警察関係の
懐刀的存在です。
 問題は中村刑事部長の判断です。警視庁刑事部長といえば、ド
ラマ『相棒』に出てくるゴマ刷り一辺倒の刑事部長(片桐竜次)
を思い浮かべますが、実際のイメージは警視庁の捜査陣のトップ
であり、とてもエライ人なのです。
 そんなトップが、ショカツの高輪署の一レイプ容疑犯の逮捕状
を握り潰すなどいうことは異例中の異例です。しかし、逮捕され
ようとしている人物が政権にとって重要人物であり、官房長官か
ら何らかの依頼があれば話は別であり、やろうと思えば十分やれ
ることです。
 山口敬之氏は元TBSの記者で、安倍首相の番記者の一人であ
り、安倍首相を描いた『総理』(幻冬舎)や『暗闘』(幻冬舎)
の著書です。その内容は、総理と親しくなければ絶対に書けない
内容であり、テレビなどにもよく登場し、安倍首相について語っ
ていたのです。
 そういう人物がもし逮捕されると、政権として、痛くもないハ
ラを探られることを官邸側が恐れたと考えられます。そういう場
合、頼りになるのは、元官房長官秘書官だった中村格氏というこ
とになります。ただし、中村氏は、もちろんそういう関係は否定
し、逮捕すべき事案ではないと判断したと答えています。
 さらにこの山口敬之氏には、数億円の補助金を搾取したとして
逮捕されている斎藤元章容疑者が社長を務めるペジーコンピュー
ティング社の顧問を務めており、何らかのかたちで口利きがあっ
たのではないかと疑われています。またしても役人の忖度が疑わ
れる事案であり、週刊誌にも取り上げられています。
 1月30日の衆院予算委員会では、希望の党の柚木道義議員か
ら安倍首相に対し、山口敬之氏との関係を聞かれると、首相は顔
をゆがめながら、色をなして、否定しています。
─────────────────────────────
 週刊誌報道を基に質問しないでもらいたい。山口敬之氏は、私
の番記者であり、取材を受けたことはある。それ以上でも以下で
もない。                   ──安倍首相
─────────────────────────────
 官房長官秘書官が、報道番組に間髪を入れず、直接クレームを
入れてくるということは、番組を入念に監視しているということ
を意味します。その一方で安倍首相は、テレビ局の幹部と頻繁に
会食しており、メディアとしては、報道内容に関して抑制せざる
を得ない雰囲気になっていたのです。
 「報道ステーション」の場合、2015年1月23日の古賀発
言によって、古賀氏だけでなく、月曜〜金曜日出演の恵村順一郎
氏(朝日新聞論説委員)と番組プロデューサーを3月末日をもっ
て、降板させることを官邸に約束せざるを得なかったのです。し
かし、そのことを古賀氏にはすぐに伝えていないのです。あくま
で4月の番組改編に伴うスタッフの変更というかたちにこだわっ
たからです。      ──[メディア規制の実態/023]

≪画像および関連情報≫
 ●久米宏氏、報ステに苦言/古賀氏降板問題
  ───────────────────────────
   元経済産業省官僚、古賀茂明氏(59)の、テレビ朝日系
  「報道ステーション」からの“降板”問題を思わぬ人が蒸し
  返した。同局の「ニュースステーション」のキャスターを務
  めた久米宏氏(70)が、毎日新聞(30日朝刊)のインタ
  ビューに応じ、苦言を呈したのだ。
   古賀氏は、3月27日の「報ステ」で、菅義偉官房長官を
  名指しした上で、官邸からの圧力によって自身が降板させら
  れたと主張した。菅氏はこれを「事実無根」と否定し、テレ
  朝は先月28日、報道局幹部ら3人を戒告とする処分を発表
  した。問題となった放送について、久米氏は、毎日のインタ
  ビューに「ビデオを2回見返しても、(古賀氏が)何のこと
  を言っているのかがよくわからなくて、ちょっと欲求不満で
  したね」「あそこで打ち切っては、視聴者にはさっぱりわか
  らない」と感想を語った。その上で「どういう経緯であの話
  になったのか。もし、僕が司会だったら、最後まで聞いたん
  じゃないですかね」と、古舘伊知郎キャスター(60)への
  批判ともとれる指摘をした。
   さらに、自身が中曽根康弘政権に「かなり批判的な発言」
  をした結果、中曽根氏の地元での記者会見への参加を禁止さ
  れたという“武勇伝”を披露し、「番組制作上、面白くする
  ためにあえて踏み出すことはあります」「中途半端だと面白
  くないし、やるなら徹底した方がいい」と持論を展開した。
                   http://bit.ly/2GK5oC7
  ───────────────────────────

ジャーナリスト/山口敬之氏.jpg
ジャーナリスト/山口 敬之氏
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2018年02月08日

●「古賀氏はなぜ報ステを降板したか」(EJ第4700号)

 2015年3月27日(金)放送「報道ステーション」──こ
れが古賀茂明キャスターの最後の出演になります。このとき、番
組内で何があったのか、途中CM中に何が起きたのかについて、
できるだけ詳しくお伝えすることにします。
 その日の前日の26日付で、それまで「報道ステーション」の
月曜〜木曜のコメンテーターを務めていた惠村順一郎氏(朝日新
聞論説委員)が番組から降板しています。この惠村氏のコメント
は、私はなかなかのものだったと記憶しています。古賀氏は、た
しか金曜日のコメンテーターとして、月に2回程度出演していこ
とを覚えています。
 古賀氏によると、「報道ステーション」のVTRは実に素晴ら
しく、それは、報道局幹部や政治部・経済部からの圧力と戦うM
プロデューサーの働きによるところが大きく、このVTRと惠村
コメンテーターのコメントで番組の9割方が決まるというのが、
当時の「報道ステーション」の実態だったのです。ところが、そ
のMプロデューサーも古賀氏と同じ日をもって、この番組の担当
を外れ、他部署に異動になっています。
 テレビのモーニングショーや各種報道番組では、放送が始まる
前に番組内容についての打ち合わせがあり、テーマごとに誰がど
のようにコメントするか、大体決まっているのです。つまり、筋
書きというか台本があるのです。
 2015年3月27日、その日、私は「報道ステーション」を
偶然視聴していたのです。その日の「報道ステーション」で何が
あったのかについて、ネット上の情報と私の記憶をベースとして
核心部分を再現してみることにします。言葉は、読み易いように
若干補正しています。
 番組が始まると、古賀氏は最初にコメントする場面で、いきな
り、次のように切り出したのです。
─────────────────────────────
 そのお話をする前に、あの私、今日がこの番組が最後というこ
とでですね、テレビ朝日の早河(洋)会長とか、古舘プロジェク
トの佐藤(孝)会長のご意向でですね、私はこれが最後というこ
となんですが・・。これまで非常に多くの方から激励を受けまし
て・・、その一方で、菅官房長官をはじめ、官邸の皆さんにはも
のすごいバッシングを受けてきましたけれども。まあ、それを上
回る皆さんの応援のおかげで、非常に楽しくやらせていただいた
ということで、心からお礼を申し上げたいと思います。これまで
本当にありがとうございました。(頭を下げる)
─────────────────────────────
 古賀氏のこの突然の発言に対して、古館メインキャスターは、
次のように反論したのです。そのやり取りの一部です。
─────────────────────────────
古館:古賀さん、今のお話は私としては承服できません。古賀さ
   んは、金曜日にこの番組に出てくださって、大変私ども勉
   強させていただいております。4月からこの番組の内容が
   変わっていくなかでも、古賀さんには機会があれば、企画
   が合う場合は、出ていただきたいと思っているのです。
古館:それは本当にありがたいことです。でも、それが本当であ
   れば・・ね。
古館:古賀さんが、これで、すべて、何かテレビ側から降ろされ
   たということは、ちょっと違うと思いますよ。
古賀:でも、古館さん、いわれましたよね。私がこういうふうに
   なることについて「自分は何もすることができなかった。
   大変申し訳ないって・・」。
古館:はい。もちろんそれは・・。でもこの前、楽屋でお話しし
   たのは、古賀さんに教えていただいているなかで、古賀さ
   んのご意向に沿うようなかたちにできていないとしたら、
   大変申し訳ないと思っているという意味で、そのように申
   し上げたのです。        http://bit.ly/2nGrWLf
─────────────────────────────
 生放送の最中に、メインキャスターとコメンテーターが、その
ときのテーマとは関係ないことで、ちょっと口論になったのです
から、世間は大騒ぎになったのです。
 このやり取りを見ていた私としては、古賀氏が番組を降ろされ
たことに対して、テレビ朝日にクレームをつけていると思ったの
です。でも、何でこのようなことを番組のなかでいうのだろうと
不思議に思ったことは事実です。番組の視聴者としては、その裏
側のことを何も知らないので、当然のことです。それはとにかく
異様なやり取りであったことは確かです。
 この場合、古館キャスターは、古賀氏が菅官房長官のバッシン
グを受けたことをいわなければ、うまく受け流したと思いますが
官邸の関与まで言及したので、「今のお話は承服できません」と
反論したと思うのです。
 番組がCMに入ったとき、古賀氏によれば、番組の幹部のW氏
がやってきて、次のようにクレームをつけたそうです。
─────────────────────────────
  何で打ち合わせにないことを話すのですか、古賀さん!
                    ──番組幹部W
─────────────────────────────
 これに関して古賀氏は、その幹部に対して次のようにいい返し
ています。古賀氏としては、官邸の圧力に対して心から腹立たし
いと思っていたので、番組W幹部に強く反発したのです。
─────────────────────────────
 打ち合わせしたこと以外、話してはいけないのですね。それな
らそのことを番組の幹部からいわれたと私は番組でいいますよ。
あなたは自分の名前を出さないで、裏でそういうふうに圧力をか
ければいいかも知りれないが、私は名前を出してやっているんで
すから。               http://bit.ly/2BUVvh6
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/024]

≪画像および関連情報≫
 ●報ステ降板の古賀茂明氏「日本のメディアはますます悪化」
  ───────────────────────────
   「流行語大賞逃しました」――。待ち合わせ場所に現れた
  古賀氏は、冒頭、そう言って笑わせた。2015年1月、報
  道ステーションの生放送で「I am not ABE」と掲げ、コメン
  テーターを事実上降板となった。その後、テレビ朝日から呼
  ばれることはないが、大阪の朝日放送で夕方のニュース番組
  のレギュラー(毎週火曜)は今も続けている。BS―TBS
  にも2度出演したという。ただ、安倍政権に対するテレビ局
  側の萎縮はさらに加速したと、危機感をあらわにした。
   私があの時、「I am not ABE」を掲げたのには、2つ理由
  があります。まず、「安倍さんがイスラム国と戦う」と言い
  米国と一緒に世界中で戦争をするようなイメージをばらまい
  ていたので「日本人は安倍さんとは違う」というメッセージ
  を海外に発信しなきゃいけないと思ったこと。
   もうひとつは、安倍政権批判をする人がどんどんテレビか
  ら排除される状況になっていたので、私が一石を投じればそ
  れに勇気付けられてテレビ局が奮起したり、他のコメンテー
  ターも頑張ってくれるのではないかと思った。しかし、ほと
  んど盛り上がりませんでしたね。むしろ海外メディアの方が
  反応してくれました。外国特派員協会から「報道の自由の友
  賞」というのをいただいたり、米紙ニューヨーク・タイムズ
  から寄稿を頼まれたりしました。  http://bit.ly/2nES6hm
  ───────────────────────────

古賀茂明氏「報ステ」最後の出演.jpg
古賀 茂明氏「報ステ」最後の出演
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2018年02月09日

●「古賀茂明氏は何を訴えたかったか」(EJ第4701号)

 2015年3月27日の「報道ステーション」──そこでの古
館キャスターをはじめとするテレビ朝日番組幹部と、古賀茂明コ
メンテーターとのテレビ内外でのやり取りの続きです。
 番組のテレビ上では、古賀コメンテーターが、自分で作成した
という「I am not ABE」と書かれた大きなカードを掲げながら、
古館キャスターと次のような応答を展開しています。
─────────────────────────────
古賀:これは単なる安倍批判じゃないんですよ。要するに日本人
   が、どういう生き方をしようかということを考えるうえで
   ひとつの考え方を申し上げたのです。もちろん批判してい
   ただいてもいいし、そういうことをみんなで議論していた
   だきたいとに思っていました。官邸のほうから、またいろ
   んな批判が来るかもしれませんけれども、あまり僕、陰で
   言わないでほしいと思っているので、ぜひ直接ですね、菅
   官房長官もご覧になってると思いますから、どんどん文句
   を言って来ていただきたいと思います。
古舘:あのう、古賀さんのいろんなこういうお考えは、共鳴する
   部分も多々あるんですが。一方で、ハッキリ申し上げてお
   きたいという一点はですね。マスコミの至らなさ、不甲斐
   なさも、もちろん、認めるところではありますが、たとえ
   ば、私が担当させていただいてるこの番組で言えば、この
   前も、数日前に、川内原発に関する、地震動に対する、あ
   の不安の指摘・・・       http://bit.ly/2nGrWLf
─────────────────────────────
 このように、キャスターとコメンテーターの間で、噛み合わな
いやり取りが長く続いた後で、古賀氏と古館氏は、次のような言
葉でこの番組をしめくくっています。
─────────────────────────────
古賀:最後に、この言葉を古館さんにお贈りしたいと思います。
   マハトマ・ガンジーの言葉です。「あなたがすることのほ
   とんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。
   そうしたことをするのは世界を変えるためではなく、世界
   によって自分が変えられないようにするためである」と。
   つまり、圧力とか自粛に慣れてしまうと、「ひとりで抵抗
   したって勝てるわけがない。ただ叩かれるだけだ」という
   ように考えてしまい、知らないうちに、自分が変わってし
   まって、本当に大きな問題が起きているのに気が付かない
   ということがあるんです。これは、私も、すごく今、自分
   に言い聞かせて、いつも、生きているんですけれども。こ
   のことはみんなに真剣に考えていただきたいというように
   思っております。
古館:今日、番組で、お隣の古賀さんと私のトークの中で、ニュ
   ースとは直接関係のない話も出ました。もちろん、古賀さ
   ん自身のお考えというものは尊重し続けるつもりでござい
   ますが、私としては一部承服できない点もございました。
   とにかく来週以降もこの番組は、真剣に真摯にニュースに
   向き合っていきたいと考えております。(古賀氏の方を向
   いて)古賀さん、これだけは、言わせていただきました。
   時間がなくて申し訳ありません。一方的に、私がしゃべっ
   てしまいました。        http://bit.ly/2nGrWLf
─────────────────────────────
 番組終了後が大変だったのです。スタジオに番組幹部らがやっ
て来て、「おかしいじゃないですか、古賀さん」といいながら、
古賀氏が楽屋に戻る途中も、ずっとついてきたそうです。そんな
ことは、楽屋でいうべきですが、まるで上司にそういえといわれ
ているように、廊下で大声でいったというのです。
 そして支度をして楽屋から出ると、廊下の真ん中にS報道部長
が立っていたそうです。このことは、古賀氏自身が「リテラ」で
述べているので、引用します。話し言葉なので、読み易いように
若干文章を修正しています。正しくは原文を参照してください。
─────────────────────────────
 楽屋から出ると、通路の真ん中に仁王立ちした報道局長がいて
通路を通さない感じで立っていたのです。彼はおそらく僕にきっ
ちり抗議したと周りに分からせようという意図があるのか、みん
なに見せるように「何であんなことを言うんだ」「あれはおかし
いじゃないか、ニュースの中身と関係ないじゃないか」とか色々
言いながら、私についてきたのです。私が無視すると、エレベー
ターまで乗ってきて、地下のハイヤーの乗り口までずっとついて
きたのです。だけど、僕が途中からあなたの仕事はこういうこと
なの?違うでしょ、なぜ(Mプロデューサーを)更迭したの?」
と聞いたのです。
 そうしたら、報道局長は「更迭じゃない」と最初は言い張って
いましたが、僕が「じゃあ、なんで(Mプロデューサーを)代え
るのか?古舘さんにしても(Mプロデューサーを)代えたいわけ
じゃないでしょ。(Mプロデューサーを)守るのが、あなたの仕
事でしょ」と言ったら、報道局長は途中から黙ってしまったので
す。完全に何も言えなくなってしまったのです。
                   http://bit.ly/2nGrWLf
─────────────────────────────
 古賀氏の番組での対応にも問題は多々あると思います。しかし
官邸から古賀氏を特定してのクレームがあったことは事実であり
これは、安倍政権によるテレビ局に対する報道の締め付けが露骨
過ぎることが原因でもあるのです。
 とくに2015年になってからの安倍政権は、メディア規制が
効果を上げていることに自信を深め、一段と露骨に、テレビ局に
圧力をかけるようになったのです。これは、完全に国民の「知る
権利」を侵害しています。それにしてもメディア、とくにテレビ
局の政権への向き合い方は、毅然としたところがなく、あまりに
も情けない限りです。まさにメディアの危機を感じます。
            ──[メディア規制の実態/025]

≪画像および関連情報≫
 ●「古舘・古賀論争」は、なぜ放送され続けたのか
  ───────────────────────────
   テレビ朝日『報道ステーション』の生放送(3月27日)
  において、キャスターの古館伊知郎氏と、ゲストコメンテー
  ターの古賀茂明氏が自身の降板について口論になった騒動。
  古賀氏が番組内で主張した「官邸からの圧力があった」のか
  どうかの真相はわからないが、騒動発生から1週間が経とう
  としている今も、世間はこの話題で持ちきりだ。
   テレビ朝日の早河洋会長は3月31日の定例会見で、「予
  定にないハプニング的なことで遺憾に思っている」とコメン
  トし、今回の降板に早河会長らの意向や官邸の圧力があった
  という古賀氏の主張を否定した。
   今回の件、テレビ業界で放送作家も務めている筆者には、
  一つの疑問がある。というのも、テレビ番組の撮影や中継、
  放送は、すべてがスタジオの中だけで起こっているわけでは
  なく、出演者がすべてを仕切っているわけでもないからだ。
  スタジオ外にも大量のスタッフがいる。とくに、テレビ番組
  のすべてを最終的に仕切っているのは、ある意味で「副調整
  室」という司令塔である。通常、副調整室は「サブ」と呼ば
  れる。対する「メイン」はスタジオだ。テレビドラマや番宣
  などでの一コマで、目にしたことがある人も少なくないだろ
  う。サブにはモニターがズラリと並び、ディレクターやタイ
  ムキーパー、音声、照明など多くのスタッフがそこにいてス
  タジオをサポートしながら番組を作っている。
       ──野呂エイシロウ氏  http://bit.ly/2scN3KI
  ───────────────────────────

古賀茂明氏/最後の「報道ステーション」.jpg
古賀茂明氏/最後の「報道ステーション
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2018年02月13日

●「衆院選前の『朝生』をめぐる論争」(EJ第4702号)

 EJ第4683号(1月16日)からEJ第4685号(1月
18日)で述べたように、自民党は、2014年11月の衆議院
選挙直前の11月20日に在京テレビキー局に放送法を盾にして
報道に圧力をかける文書を送付し、11月26日にはテレビ朝日
の報道番組「報道ステーション」の担当プロデューサーに対して
11月24日の「報道ステーション」の内容にクレームをつける
文書を送達しています。
 この文書については、当初どこの新聞社も官邸に気を遣ったの
か報道しませんでした。しかし、「日刊ゲンダイ」が報道すると
さすがに他の新聞社も恐る恐る自民党を刺激しないよう穏当に報
道をしましたが、テレビ局については、取り上げるところは皆無
でした。彼らは、このことを放置すると、やがてそれが自分たち
の首を絞める事態になることがわかっていたのに、あえて報道を
控えたのです。
 これに反発したのが田原総一朗氏をはじめとする報道関係の有
識者です。彼らは、2014年12月11日、参議院会館で記者
会見を開き、次のような「緊急メッセージ」を発表しています。
 会見したのは、テレビ朝日出身で「放送レポート」編集長の岩
崎貞明氏、元「GALAC」編集長の坂本衞氏、日本民間放送連
盟出身で立教大准教授の砂川浩慶氏、日本テレビ出身で法政大教
授の水島宏明氏らです。
─────────────────────────────
 政治的な圧力を恐れる自主規制によって、必要な議論や批判を
避けてはならない。政治家も「錯誤」に満ちた要望書を放送局に
送るような愚行は慎み、放送が伝える人びとの声に耳を傾け、放
送を通じて堂々と政策を議論すべきだ」などと批判している。
                   http://bit.ly/2BGxzCH
─────────────────────────────
 しかし、これに対して田原総一朗氏は、「テレビにタブーはな
い」として、次のように反論しています。
─────────────────────────────
 この会見は、テレビ局の報道局長らを巻き込まないと意味がな
い。僕は”朝生”の冒頭、あの問題を20〜25分やった。自民
党は一人で、あとは野党。野党はコテンパンにやっていた。かつ
てない萎縮ムードがまん延している──という見方はウソ。あの
文書で自民党は何百万票も票を減らしたはず。──田原総一朗氏
                   http://bit.ly/2BGxzCH
─────────────────────────────
 この「朝まで生テレビ」は、2014年11月29日未明に放
送されているのですが、テーマはその直後に開催される衆議院選
挙について、政治家、評論家、ジャーナリストなどを集めて議論
する予定だったのです。
 しかし、その参加者や番組内容に関して、司会の田原総一朗氏
とテレビ朝日の報道局長との間で大論争になったのです。それは
自民党が11月20日と26日にテレビ朝日に対して突きつけた
圧力文書に怯えた報道局長が「中立・公平性を担保」するため、
番組内容の変更を強く田原氏に求めたからです。
 田原総一朗氏は、とことん報道局長に抵抗したものの、強引に
報道局長に押し切られ、出演者からは評論家やジャーナリストは
全員外され、政治家8人だけの議論になったのです。しかも、自
民党からの出演者は、武見敬三氏ただ1人で、後は全部野党議員
だったのです。
─────────────────────────────
 ◎朝まで生テレビ
 「激論!総選挙直前!これでいいのか?!日本の政治」
 総合司会:田原総一朗/進行:渡邊宣嗣/村上佑子
 パネリスト
   【自 民】武見 敬三   【次世代】松沢 成文
   【公 明】西田 実仁   【共 産】大門実紀史
   【民 主】大塚 耕平   【生 活】松崎 哲久
   【維 新】藤巻 健史   【社 民】福島みずほ
─────────────────────────────
 これはネットで大騒ぎになったのです。とくに荻上チキ氏を外
したことが話題になっています。これについて「ライブドアニュ
ース」は、次のように報道しています。
─────────────────────────────
 早速、効果が現れたということだろうか。先日、リテラが取り
上げた自民党による各テレビ局への「報道の公平を求める」通達
の事実はその後、共同通信、朝日新聞や毎日新聞などでも報道さ
れ、識者の間で「報道への圧力」という批判の声があがるなど、
大きな問題になった。
 ところが、その直後、テレビ朝日の「朝まで生テレビ」が解散
総選挙をテーマにした放映で、出演の決まっていた荻上チキ、小
島慶子ら評論家、文化人を「公平性を担保できない」としてドタ
キャンしていたことが発覚したのである。
 荻上がラジオ「セッション22」(TBSラジオ他)で説明し
たところによると、テレビ朝日から連絡があったのは放映前日の
27日。「当初は質問する文化人がいて、各党の代表が答えるス
タンスだった。それだと公平性を担保できない、番組側と局との
間で方針が違ったとの事で政治家のみの出演になったと連絡を受
けた」という。(中略)
 「荻上や小島のようなゲストでは、これに抵触する可能性があ
るということでしょう。ただ、荻上らだけをキャンセルするわけ
にはいかないので、ゲストを一切抜きにして、政治家だけにした
ということでしょう。現場は相当抵抗したのですが、時間切れ。
結局、上層部に押し切られて、政治家と司会の田原総一朗、局の
コメンテーターだけの出演になった」(テレビ朝日関係者)
                   http://bit.ly/2FVHqlY
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/026]

≪画像および関連情報≫
 ●「朝生」で評論家出演中止/荻上チキ氏
  ───────────────────────────
  (1)明日の「朝まで生テレビ」。当初出演予定でしたが、
  前日に電話があり、急きょ出演がなくなりました。番組とし
  ては、「各党議員+ゲスト数人」という構成を予定していた
  のですが、「ゲスト数人」の部分がなくなったとのことで、
  議員の方だけの議論になるそうです。
  (2)出演がとりやめになった理由としては、ゲストの質問
  によっては「中立・公平性」を担保できなくなるかもしれな
  い、というのものだと聞きました。「ゲストが僕だから」と
  いうのものではなくて、「文化人・知識人枠」を入れること
  そのものを取りやめたそうです。
  (3)「朝生」ではこれまでも何度も「各党議員+ゲスト数
  人」の構成で選挙特集をやってきましたし、僕も何度か出演
  してきました。今回、そうした構成でできないというのは残
  念ですが、無理やり出るわけにもいきませんので、いち視聴
  者として見守りたいと思います。
  (4)個人的には、議員の方はゲストの質問にも自由に答え
  られるので、応答の時間があれば問題ないのではなかとも思
  いますし、議員同士でないと「中立・公平性」の上で問題あ
  りとなれば討論番組の形式を縛ることになるとも思います。
  (5)ちなみに、番組スタッフに「誰かが何か言ってきたり
  したんですか?」と確認しましたが、あくまで局の方針と番
  組制作側の方針が一致しなかったため、とのことでした。番
  組スタッフも戸惑っていた模様です。
                   http://bit.ly/2nQULVi
  ───────────────────────────

萩上チキ氏.jpg
萩上 チキ氏
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2018年02月14日

●「エンゲル係数を巡る国会での論争」(EJ第4703号)

 安倍首相は、自分自身が批判されたり、自らが力を入れている
政策にケチをつけられたりすると、アタマにくるタイプです。だ
から、予算委員会でも、自分が話をしているときにヤジられると
反応するし、自分でもヤジり返したりします。
 1月31日の参議院予算委員会での出来事です。質問に立った
民進党の小川敏夫議員が、アベノミクスによって国民の生活が苦
しくなっており、それは昨今のエンゲル係数の顕著な上昇によっ
ても裏づけられると指摘したのです。
 これに対し安倍首相は、またぞろ聞かれてもいないのに有効求
人倍率やベースアップなどをアピールし、エンゲル係数の上昇に
ついては、これはファクトではあるが、と前置きし、次のように
答弁したのです。
─────────────────────────────
 エンゲル係数の上昇には、物価変動のほか、食生活や生活スタ
イルの変化が含まれている。          ──安倍首相
─────────────────────────────
 これは「珍答弁」です。エンゲル係数についてウィキペディア
を参照すると、次のように出ています。
─────────────────────────────
 一般に、エンゲル係数の値が高いほど、生活水準は低いとされ
る。これは、食費(食糧・水など)は生命維持の関係から(嗜好
品に比べて)極端な節約が困難とされるためであり、これをエン
ゲルの法則という。           ──ウィキペディア
─────────────────────────────
 要するに、世帯ごとの家計の消費支出に占める飲食費の割合が
エンゲル係数であり、それが上昇するということは、生活が苦し
くなることをあらわしているということです。これに対して安倍
首相は、物価変動に加えて、食生活や生活スタイルの変化によっ
ても、エンゲル係数は上がると答弁したのです。これは、安倍氏
独特の解釈である、というより間違っています。
 この参議院予算委員会でのやり取りは、それだけでは終わらな
かったのです。2月1日の午前1時過ぎのことですが、ウィキペ
ディアの「エンゲル係数」の項が、次のように安倍首相の主張に
沿うかたちに書き換えられたのです。
─────────────────────────────
 エンゲル係数の値が、高いほど生活水準は低いとされてきたが
各家庭の前提条件に大きな相違があって、比較にならなくなった
として、重要度が下がっている。
        ──2018年2月5日発行「日刊ゲンダイ」
─────────────────────────────
 ウィキペディアは、「ウィキ」という技術に基づいて作成され
ています。ウィキとは、ウェブブラウザを利用して、ウェブサー
バー上のハイパーテキスト文書を書き換えるシステムです。つま
り、ウィキペディアのコンテンツは、「編集」をクリックすれば
誰でも自由に書き換えることができるのです。
 2月1日の午前1時に変更されたコンテンツは、誰かによって
直ちに正しく書き換えられて元に戻ったのですが、またしてもそ
の文章が編集され、間違った表現に書き換えられるなど、いわゆ
る「編集合戦」が続くという事態になったのです。
 現状「エンゲル係数」のコンテンツは、正常な表現に戻り、内
容を編集できない「保護」の状態になっています。ところで、誰
が安倍首相の主張に書き換えたのでしょうか。犯人はわかってい
ないのです。まさか官邸がそんなバカなことをするはずはないと
思いますが、これについては、巻末のリテラの記事を読んでいた
だきたいと思います。これも「忖度」です。
 この件について、前記の日刊ゲンダイは、次のように記事を締
めくくっています。
─────────────────────────────
 昨年は、安倍が国会で「辞書には、『そもそも』には『基本的
に』という意味もある」と答弁し、そんな意味を載せている辞書
はないにもかかわらず、「そもそもには基本的にという意味もあ
る」と閣議決定したこともあった。強引に言葉の意味まで変えて
しまう。恐ろしいまでのファシズム政権である。
        ──2018年2月5日発行「日刊ゲンダイ」
─────────────────────────────
 「ウィキペディア」といえば、2006年発刊の梅田望夫氏の
『ウェブ進化論』のなかの記述で、今でも忘れられないものがあ
ります。それは、米エスクワイア誌のA・J・ジェイコブズ氏が
2005年9月に行ったウィキペディアのコンテンツの正確性を
調べる実験についての記述です。
 ウィキペディアのコンテンツは、ウェブユーザーが自発的に記
述するシステムになっており、誰でもそれを書き換えることがで
きるのですが、問題はそれが正しいかどうかです。
─────────────────────────────
 ウィキペディアについての記事を書く上で、ウィキペディア・
コミュニティの編集能力や校閲能力や推敲能力に完全に依存して
みようという実験だ。ジュイコブズは、スペルミスや事実誤認に
溢れたウィキペディァについての709語からなる文章をまず書
き、ウィキペディア上にアップした。そして、その文章を勝手に
修正し、最後はエスクワイア誌の記事らしい文章に仕上げること
を、ウィキペディア・コミュニティに求めた。CNETがこの実
験について報じた記事によれば、最初の24時間で224回、次
の24時間で149回の編集が行われた。すべての事実誤認が瞬
く間に修正された後は、文章を練り上げて明断で読みやすい記事
に仕上げる推敲作業に重点が移り、771語からなる記事にまと
まってエスクワイア誌に掲載された。     ──梅田望夫著
      『ウェブ進化論/本当の大変化はこれから始まる』
                     ちくま新書582
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/027]

≪画像および関連情報≫
 ●すべてが安倍政権に都合よく書き換えられる?
  ───────────────────────────
   ウィキペディアのエンゲル係数の項目を、“重要度が下が
  っている”“高いほど生活水準が低いとは言えない”などと
  改変したユーザーは、いずれも他の編集履歴が確認できず、
  誰がどのような意図で編集したかは不明である。しかし、エ
  ンゲル係数上昇の問題が国会で取り上げられた直後というタ
  イミングや、自民党がネットを常時監視し、工作別働隊であ
  るJ−NSC(通称ネトサポ)を組織していることを考える
  と、これは偶然なのかとの疑念が頭をもたげてくる。
   この状況を見ながらふと思い起こしたのは、ジョージ・オ
  ーウェルの小説『1984年』だ。言わずと知れた、全体主
  義的社会を描いた名作SFである。主人公のウィンストン・
  スミスは「ビッグ・ブラザー」が率いる一党独裁政権下のイ
  ギリスで「真理省」に勤務し、歴史改竄の仕事をしている。
  人々は「テレスクリーン」という装置によって監視されてい
  る。物語の序盤、主人公が「タイムズ」紙の記事を改変する
  場面がこのように描かれる。
   「ウィンストンはテレスクリーンの“バックナンバー”を
  ダイヤルし、「タイムズ」の該当号を請求した。するとそれ
  は数分のうちに気送管から流れ出てくる。彼の受けたメッセ
  ージは新聞の論説か記事に関わるもので、それが何らかの理
  由で改変、いや公式の言い方では修正、する必要があると見
  做されたのだった。        http://bit.ly/2nN759J
  ───────────────────────────

参議院予算委員会で質問する小川敏夫議員.jpg
参議院予算委員会で質問する小川敏夫議員
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2018年02月15日

●「テレビコメンテーターを分類する」(EJ第4704号)

 テレビのコメンテーターとは何でしょうか。
 コメンテーターとは、テレビ、ラジオ及びワイドショー(情報
番組)の解説者です。もう少し詳しくいうと、政治、経済、軍事
などの社会的事象に対して、専門的な解説、説明を行う解説者の
ことです。
 このなかでとくに政治に関しては、現政権の政治姿勢や政策な
どについて、問題があれば遠慮なく指摘し、その改善の方向につ
いて、専門家の立場からコメントする役割を担っています。
 しかし、古賀茂明氏の例でもわかるように、とくに安倍政権に
なってからは、在京テレビキー局の番組に常時出演しているコメ
ンテーターからは、権力を恐れず、正しいことは正しいと主張し
間違っていることは鋭く批判するコメンテーターは、ほとんど姿
を消しています。
 古賀茂明氏によると、現在テレビの報道番組に出演しているコ
メンテーターは、次の3つにわけることできるそうです。
─────────────────────────────
 1.政権寄りが鮮明で、テレビで政権が批判されると、すぐ
   反論し、批判を薄める働きをする。
 2.テレビ局に媚びることで出演機会を得ようとする人々で
   局側の意向を汲んでコメントする。
 3.政権監視がマスコミの役割とわかっているが、テレビ本
   番では、本質を語ることを避ける。
       ──古賀茂明著/講談社刊/『日本中枢の狂謀』
─────────────────────────────
 ところで、コメンテーターというのは、どのくらいの収入にな
るのでしょうか。
 もちろん人による違いはあると思いますが、テレビの出演料に
は「タレント枠」と「文化人枠」という区別があり、コメンテー
ターは「文化人枠」になります。「文化人枠」の標準は1回の出
演につき、「5万円+お車代」だそうです。案外安いのです。テ
レビに出るとなると、30分ほどの番組でも、拘束時間を多くと
られるので、割に合わないという人もいます。
 テレビ局は「文化人枠」の定義として、「本業の収入源が別に
ある人」であり、かつ「専門的な話ができる人」としています。
つまり、テレビに出演することで生活をしている人ではないとい
うことで、ギャラが安くなっているのです。
 もっともテレビのギャラは安くても、コメンテーターにはテレ
ビに出ることによるプラス効果がたくさんあります。例えば、作
家がコメンテーターとして、文化人枠でテレビに出演すると、顔
と名前が知られるようになり、本がよく売れたり、講演依頼が増
えたりと、多くのメリットがあります。
 これに対して、「タレント枠」で出演する人は、テレビに出演
するのが職業であり、それで生活している人たちなので、ランク
はあるものの、出演料は高額になるという理屈です。もっとも、
文化人枠で出演しているコメンテーターでも、コメントが評価さ
れ、有名になると、出演頻度も多くなり、タレント枠へ移行する
コメンテーターもいます。
 実は、このタレント枠への変更を目指しているコメンテーター
はたくさんいます。そのためには、できる限り長期にわたっての
テレビ出演が前提になります。そうなると、コメント力を磨くこ
とはもちろんですが、番組から降ろされないよう、どうしても、
多少自分の信念を曲げても、テレビ局の意向に沿うコメントをす
るようになってくるのです。
 その結果生まれたのが古賀茂明氏による冒頭のコメンテーター
の3分類です。「1」は政権に近い人物であり、本人もそれを隠
したりはしないのです。「この前安倍さんとゴルフに行ったとき
・・・」とか、「ある政府首脳と会食したときの話だけどね・・
・」とか口にし、政権に近いことを自ら表明するので、いささか
鼻につきますが、それ自体は貴重な情報であり、参考になること
も少なくないといえます。
 コメンテーターのタイプで一番多いのは「2」です。自分の顔
と名前を売ることが最優先の目的であり、そのコメントは平凡で
内容に乏しく、一貫性もないのです。政権にとっては、毒にも薬
にもならないタイプであり、政権から、圧力をかけられる心配は
ないのがこのタイプです。
 一番問題なのは「3」のタイプです。専門分野に関してしっか
りとした自分の意見を持っており、著書もあって、そこでは結構
政権批判もしているのです。古賀茂明氏は、このタイプのコメン
テーターが一番問題があるとして、次のように述べています。
─────────────────────────────
 第3のグループは、政権の監視や批判がマスコミの重要な役割
だと分かってはいるが、信念を貫けない人たち。テレビの外では
政府批判もするのだが、在京キー局の本番では、本質を語ること
を避ける。この場合、番組外でのイメージがあるので、視聴者は
本当は非常に大きな問題があるにもかかわらず、「いつも政権に
批判的なあの人が批判してないのだから、そんなに大きな問題で
はないのだろう」と勘違いしてしまうことにつながる。その意味
では、このケースも非常に罪が重いといわなければならない。
       ──古賀茂明著/講談社刊/『日本中枢の狂謀』
─────────────────────────────
 「やっぱり、僕たちはテレビに出てなんぼだからね。そのあた
りはよく考えないとね。テレビに出られなくなったら、政権批判
もできないじゃないか」──こういって、古賀さんに忠告してく
れたコメンテーターは何人もいるそうです。
 菅官房長官は、ほとんど毎晩のように会食しています。対象者
は、政権に批判的な人を選んでいるようです。官房長官から食事
に誘われれば、悪い気はしないと思います。それに貴重な情報が
もらえるので、自分の仕事上プラスが多いです。そのため、どう
しても軍門に下るコメンテーターが多くなってしまうのです。
            ──[メディア規制の実態/028]

≪画像および関連情報≫
 ●菅官房長官が「NEWS23」岸井の勉強会にこっそり
  ───────────────────────────
   政権を監視し、報道の使命をきちんと果たそうとしたニュ
  ース番組のキャスターやコメンテーターたちが次々と降板に
  追い込まれるという、誰の目にも明らかな異常事態が起きた
  2015年。テレビ各局は萎縮と自主規制の空気に支配され
  今では、安倍首相が国会でどんなトンデモ答弁をしても、ほ
  とんど取り上げないという機能不全状態に陥ってしまった。
   こうした状況をつくりだしたのはもちろん、安倍政権の圧
  力だが、その実行犯といえば、やはり、“安倍政権のゲッベ
  ルス”菅義偉官房長官をおいていないだろう。本サイトでは
  菅官房長官によるテレビ、新聞、さらには週刊誌への具体的
  な介入について再三、報じてきたが、ついにあの人が菅氏の
  “やり口”について語った。
   あの人とは、昨年のメディア圧力事件の象徴的人物であり
  菅官房長官の圧力によって『報道ステーション』(テレビ朝
  日)を降板に追い込まれた元経産官僚・古賀茂明氏だ。古賀
  氏が菅官房長官について語ったのは、「週刊金曜日」(金曜
  日)2015年12月25日・1月1日合併号に掲載された
  鼎談でのこと。この鼎談には、古賀氏のほかに評論家の佐高
  信氏、上智大学教授の中野晃一氏が参加。最初に話題に挙が
  ったのは、「放送法遵守を求める視聴者の会」による「ニュ
  ース23」(TBS)のアンカー・岸井成格氏に対する意見
  広告についてだったが、まず、これに対し古賀氏は「いやー
  ここまでやるかなという感じです」と驚嘆し、このように述
  べている。「賛同人の名前を見れば、安倍政権の応援団がし
  てることです。安倍政権が本気でこのまま突き進めば放送に
  ついては完全に国家統制の時代に入りますね」。
                   http://bit.ly/2BQoNlu
  ───────────────────────────

定例会見での菅官房長官.jpg
定例会見での菅官房長官
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2018年02月16日

●「政権ワイドショー潰しの高等作戦」(EJ第4705号)

 安倍政権が民放のテレビ局のなかで、最も警戒しているのは、
「テレビ朝日」と「TBS」であるといわれています。日本テレ
ビとフジテレビは安倍政権に近く、あまり心配する必要はなく、
テレビ東京は中立的であるといわれているからです。
 安倍政権の戦略としては、まず、トップと会食を繰り返し、政
権に対して、攻撃的な論説はなるべく避けてもらう雰囲気づくり
を行っています。さらにこうしたトップとの付き合いを通じて、
政治/報道番組そのものを減らす工作もやっています。
 その結果、とくに多くの人が視聴すると思われる土曜日の政治
/報道番組はほとんど姿を消しています。これについては、既に
述べた通りです。その一方で、安倍政権への親派テレビ局である
フジテレビについては、次の2つの政治番組を許しています。
─────────────────────────────
     ◎「プライムニュース」/月〜金
      ・20:00〜22:00/BSフジ
     ◎「新報道2001」 /日
      ・07:30〜08:00/フジ
─────────────────────────────
 「プライムニュース」はBSではありますが、2時間枠である
ので、政治/報道番組としては貴重な存在です。とくに“お友達
テレビ”の筆頭格であるフジにだけに許された特権です。安倍首
相や菅官房長官および各閣僚は、必要に応じて頻繁にこの番組に
は出演します。番組としては、政権寄りの番組とみられないよう
いろいろ工夫していますが、この番組の政権寄りは歴然です。こ
ういう番組もないと、自民党政権も困るからです。
 「新報道2001」は、以前は2時間枠だったのですが、1時
間に半減されています。そのせいか、最近では視聴率が落ちてお
り、このままいくと、消滅する可能性があります。私を含めて、
これまでこの番組を見ていた人は、午前8時からの2時間枠の政
治/報道番組「サンデーモーニング」(TBS)にチャンネルを
回してしまいます。1時間では議論にならないからです。
 しかし、いくらテレビ局のトップと頻繁に会っても、テレビ局
の現場を変えるのは困難です。そこで政権が目をつけたのが、報
道番組のメインキャスターやコメンテーターです。なかでも政権
にとって手ごわいのはメインキャスター(MC)です。
 MCのなかには、かつてのTBS「ニュース23」のMCだっ
た筑紫哲也氏(故人)や岸井成格氏、テレビ朝日の「サンデープ
ロジェクト」と「朝まで生テレビ」の田原総一朗氏、「ニュース
ステーション」の久米宏氏、この改編番組「報道ステーション」
のMC古館伊知郎氏、それに「サンデーモーニング」(TBS)
の関口宏氏など気骨のあるMCがいたのです。
 このうち、「サンデープロジェクト」は番組そのものを潰し、
「ニュース23」は岸井成格氏をMCから降板させ、「報道ステ
ーション」は古館伊知郎氏を交代させています。しかし、「サン
デーモーニング」(TBS)の関口宏氏は、依然としてMCとし
てこの番組を続けています。「ニュース23」を追われた岸井成
格氏も、ときどきこの番組には出演しています。
 このようにMC降ろしは容易ではないし、あまりにも露骨であ
るので、安倍政権はコメンテーターに目をつけたのです。コメン
テーターによる政権批判も政権にとっては、古賀氏の場合がそう
であったように、大きなダメージを受けるからです。
 ここで、コメンテーターの人気度を調べてみます。視聴者が意
見を聞きたいと思うコメンテーターは誰か──日経BPコンサル
ティングが、2014年9月に調査したベスト10です。
─────────────────────────────
     1位:池上彰(ジャーナリスト)
     2位:森永卓郎(経済評論家)
     3位:辛坊治郎(ニュースキャスター)
     4位:尾木直樹(教育評論家)
     5位:姜尚中(政治学者)
     6位:宮崎哲弥(評論家)
     7位:手嶋龍一(外交ジャーナリスト)
     8位:寺島実郎(評論家)
     9位:やくみつる(漫画家)
    10位:勝谷誠彦(コラムニスト)
                  http://nkbp.jp/2EyWPvG
─────────────────────────────
 2016年頃から、安倍政権はテレビ局の批判封じに新しい手
を使いはじめています。とくに注意を要するテレビ朝日の番組を
例にして、説明します。
 テレビ朝日は、午前4時55分の「グッドモーニング」から番
組がスタートし、午前8時から「羽鳥慎一のモーニングショー」
が10時まで続きます。
 引き続き、午前10時30分から「ワイドスクランブル」が正
午からの「徹子の部屋」の30分をはさんで、午後2時まで続き
ます。そして、午後5時50分からのニュース番組「Jチャンネ
ル」を経て、午後9時54分から「報道ステーション」が始まる
ことになります。
 この「グッドモーニング」、「羽鳥慎一のモーニングショー」
そして「ワイドスクランブル」の3番組には、番組内容に応じて
官邸肝入りのコメンテーターを送り込み、安倍政権への批判発言
には積極的に反論し、批判の度合いを薄める工作をしています。
 私は、平日家にいるときは、「グッドモーニング」から「羽鳥
慎一のモーニングショー」、「ワイドスクランブル」を正午まで
見て、TBSの「ひるおび」を見ることにしていますが、その流
れのなかに、官邸寄りの発言をするコメンテーターが複数配置さ
れていることを確信したのです。ちょうど、森友・加計問題が始
まってから、この体制がとられています。彼らの役割は、安倍政
権の批判を自ら発言により、和らげることにあります。
            ──[メディア規制の実態/029]

≪画像および関連情報≫
 ●『ミヤネ屋』がコメンテーター・青木理をクビ切り降板!
  ───────────────────────────
   TBS『NEW23』の岸井成格、膳場貴子両キャスター
  が安倍政権と右派勢力の圧力で降板させられそうになってい
  ることを本サイトがスクープしてから2カ月。この間、『N
  EW23』問題はさまざまなメディアで取り上げられ、論議
  をよんだが、ここにきて、2人の更迭は回避される可能性が
  出てきたらしい。
   二人の降板問題については複数のメディアが後追い報道。
  視聴者からも批判の声が巻き起こり、岸井さんや膳場さんら
  当事者、(TBSの)報道、制作現場も、激しい抵抗を見せ
  た。そのため、上層部も動けなくなってしまったみたいです
  ね。ただ、おさまらないのは岸井さんの後任に星浩特別編集
  委員を出すことを了承し、それを前提に人事計画を組んでい
  た朝日新聞。TBSの煮え切らない態度にカンカンらしいで
  すよ」(TBS関係者)これが事実なら喜ばしい展開だが、
  しかし、一方で、報道圧力に屈し、自主規制を続けるテレビ
  局の空気はまったく変わっていない。つい最近も、あるワイ
  ドショーのコメンテーターが、安倍政権に批判的なスタンス
  が原因で、首を切られていたことが明らかになった。
   そのワイドショーとは『情報ライブ/ミヤネ屋』(読売テ
  レビ)。首を切られたのはジャーナリストの青木理だ。青木
  は共同通信社の公安担当やソウル支局記者などを経てフリー
  になったジャーナリスト。著書や雑誌連載では、安倍政権を
  真っ向批判するなど、リベラルなスタンスで知られるが、テ
  レビでは、政治から犯罪、メディア批評など様々なジャンル
  に目配りできる安定感のある解説で重宝されており、現在は
  『モーニングショー』(テレビ朝日系)のレギュラー・コメ
  ンテーターなど、複数の番組で活躍している。
                   http://bit.ly/2BQgLJh
  ───────────────────────────

コメンテーター第1位の池上彰氏.jpg
コメンテーター第1位の池上 彰氏
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2018年02月19日

●「テレ朝モーニングショーが第1位」(EJ第4706号)

 『週刊文春』2月22日号に「好きな・嫌いなキャスター&コ
メンテーター」が特集されています。これは、あくまで好感度調
査であり、政治的なものと直接関係ありませんが、参考になるの
で、取り上げることにします。
 対象になるのは、ニュースやワイドショーのキャスターとコメ
ンテーターであり、文春メルマガ会員へのアンケートで15歳か
ら86歳までの4500通を超える回答を集計したものです。
─────────────────────────────
             好き          嫌い
  1位:羽鳥 慎一  410  宮根 誠司  915
  2位:池上  彰  315  田崎 史郎  294
  3位:安住紳一郎  271  小倉 智昭  293
  4位:桝  太一  143  古館伊知郎  245
  5位:水ト 麻美  131  関口  宏  211
  6位:宮根 誠司  122  坂上  忍  199
  7位:玉川  徹  121  安藤 優子  156
  8位:辛坊 治郎  119  恵  俊彰  149
  9位:加藤 浩次  101  室井 祐月  133
 10位:夏目 三久   99  テリー伊藤  112
         ──2018年2月22日『週刊文春』より
─────────────────────────────
 「好き」のトップは羽鳥慎一氏であり、彼がMCを務める「羽
鳥慎一モーニングショー」は、年間平均視聴率8・0%で、同時
間帯で民放トップです。同じ番組のレギュラーコメンテーターで
あり、テレビ朝日の社員である玉川徹氏が第7位に入っているの
は、この番組がいかに支持されているかの証明です。
 玉川徹氏については、彼がプロデュースする木曜日のコーナー
「そもそも総研」はなかなか見応えのある番組で、政治問題を取
り上げることも多く、歯に衣を着せず、ずばり本質を衝くので人
気があります。自民党のブラックリストに載っていると噂されて
おり、本人もそれをよく自覚していますが、それでもそれに怯む
ことなく、正義感にあふれる発言を連発しています。
 いろいろな面で安倍政権から圧力を受けているテレビ朝日とし
ては、玉川氏を毎日モーニングショーに出演させることによって
いささかなりとも政権に抵抗しているように感じます。その証拠
にもともと「羽鳥慎一モーニングショー」の木曜日のコメンテー
ターであった玉川氏を、同番組に毎日に出演させるようにしたの
は、「報道ステーション」から古賀茂明氏を降ろした直後の20
15年4月からであるからです。
 実は、玉川氏はワイドショーのプロなのです。「内田忠男モー
ニングショー」、「サンデープロジェクト」、「ザ・スクープ」
「スーパーモーニング」などのディレクターを経て、「情報満載
ライブショーモーニングバード!』のコメンテーター(解説員)
を経て、2015年4月より、テレビ朝日「羽鳥慎一モーニング
ショー」のレギュラーコメンテーターを月〜金の毎日務めている
からです。玉川氏に対するコメントです。
─────────────────────────────
 ・理路整然としていて、常に準備ができている。正義感に溢
  れている。(76歳・男性)
 ・長年の取材や勉強の蓄積がある。怒った顔も笑った顔も可
  愛い。(57歳・女性)
         ──2018年2月22日『週刊文春』より
─────────────────────────────
 「嫌い」のトップは宮根誠司、日本テレビ「ミヤネ屋」のMC
を務めていますが、「好き」の順位も第6位に入っており、「嫌
い」と「好き」の両面があることがわかります。評価する人とし
ない人が相半ばする存在です。それは、宮根氏に対するコメント
をみればよくわかります。彼は、フジテレビの「ミスター・サン
デー」のMCもやっており、影響力のあるMCであることは確か
ですが、いずれも安倍政権に親和性の強いテレビ局のMCであり
どうしても政権寄りになっています。
─────────────────────────────
 <好意的なコメント>
 ・泥くさい関西の漫才のよう。東京のすましたキャスターよ
  り好き。(60歳・女性)
 ・中継先とのやりとりも、知りたいことをリズムよく聞いて
  くれて、観ていて気持ち良い。ちょっと辛口なとこも、好
  き。(25歳・女性)
 <好意的でないコメント>
 ・人の話を聞かない。性格の悪さがにじみ出ている時があり
  不快。(38歳・女性)
 ・人へのコメントの求め方が非常に誘導的。(40歳・男性)
 ・政権に媚びている。強者の論理で語る。(61歳・女性)
         ──2018年2月22日『週刊文春』より
─────────────────────────────
 このアンケート調査での最大な驚きが、政治評論家の田崎史郎
氏が第2位になったことです。もっともフジテレビの「とくダネ
!」のMCである第3位の小倉智昭氏との票差が1票しかありま
せんが、田崎史郎氏はよくテレビには出演するものの、あくまで
政治評論家であり、長年の「とくダネ!」のMCを務める小倉氏
押さえて第2位は凄いことです。あくまで嫌われ度の順位ではあ
りますが・・・。しかし、ある意味で相当視聴者から反発を買っ
ていることは確かです。
 ここで注目すべきことは、田崎氏は必要であれば、どの局の番
組でも出演できることです。その回数はかなり頻繁であるので、
知名度は高くなります。同じ政治評論家の伊藤敦夫氏は、今回の
調査では、「嫌い」の第36位であり、同じく政治評論家の後藤
健次氏も「嫌い」の第46位でしかないのです。その差は出演回
数の差であるといえます。「好き」であれ「嫌い」であれ、上位
に入るのはプラスです。 ──[メディア規制の実態/030]

≪画像および関連情報≫
 ●『メディア規制と報道の自由考える 京都でシンポ』
  ───────────────────────────
   報道の自由とマスメディアの姿勢について考えるシンポジ
  ウム「強まるメディア規制 乗り越えるには・・・」が20
  18年1月14日、京都市南区の龍谷大響都ホールで開かれ
  た。新聞記者らが特定秘密保護法など具体的な事例を挙げ、
  マスメディアが権力と対峙(たいじ)する必要性を訴えた。
   加計学園問題について菅義偉官房長官を会見で追及する姿
  が話題になった東京新聞記者の望月衣塑子さんと、特定秘密
  保護法の危険性を国連に訴えた英エセックス大人権センター
  フェローの藤田早苗さんが壇上に立った。
   望月さんは自民党が2014年の衆院解散直前に、報道の
  公平性を確保するよう求める文書をテレビ各局に渡した事例
  を挙げ、「安倍政権はテレビのコントロールに力を入れてい
  る。それがじわじわと局の上層部に浸透し、政権批判しない
  『忖度(そんたく)』が生まれている」と説明。政府が放送
  局に電波停止を命じる根拠とする放送法4条の問題点を指摘
  した。藤田さんは特定秘密保護法について「政府が出したい
  ものだけ出すというのは、情報公開の原則に反する。メディ
  アへの脅しに使われる恐れがある」と批判。「日本のジャー
  ナリストは会社人で、力が弱い。横のつながりを強化し、市
  民の立場に立って権力を監視することが必要」と訴えた。
                   http://bit.ly/2C41ULA
  ───────────────────────────

玉川徹テレビ朝日コメンテーター.jpg
玉川 徹テレビ朝日コメンテーター
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2018年02月20日

●「嫌いなコメンテーター2位の称号」(EJ第4707号)

 『週刊文春』2月22日号が発表した「『嫌いな』キャスター
・コメンテーター」の第2位に、政治評論家の田崎史郎氏が選ば
れたことは、テレビの視聴者の多くが、この人物を「御用記者」
としてとらえていることを意味しています。田崎氏に関するコメ
ントは、次のようになります。
─────────────────────────────
 ・全キャスターが中立公正であるべきとは言わないが、露骨
  な“政権の代弁者”はいかがなものか。(70歳・男性)
 ・ジャーナリストとして信念を感じない。(56歳・男性)
 ・政府広報が必要なら与党政治家を呼べ。(59歳・男性)
         ──2018年2月22日『週刊文春』より
─────────────────────────────
 田崎史郎氏は、特定の番組のレギュラー・コメンテーターでは
ないのです。その番組で取り上げられるテーマに合わせて出演し
ているようにみえます。つまり、テレビ局の番組の要請によって
出演するというかたちをとってはいますが、政権サイドから、あ
る特定テーマ、例えば「森友・加計問題」が取り上げるときは、
必ず田崎史郎氏を出演させるようにという、圧力がかかっている
ように感じるのです。そうでなければ、そんなにタイミングよく
多くの番組に出演できるはずがないからです。
 テーマについて政権側の意見を述べたいのであれば、上記のコ
メントにもあるように、政権側から政治家を出演させるようテレ
ビ局側に要請すればよいのです。それを一般人のフリをした政治
評論家(御用評論家)に代弁させるのは、結果として国民を騙す
ことになり、絶対にやってはならないことです。
 これについて、同じ政治評論家の田原総一朗氏は、次のように
述べています。ちなみに田原氏は「好き」の順位は50位に入ら
ず、「嫌い」の順位では21位にランクされています。
─────────────────────────────
 報道番組の重要な役割は権力を監視すること。ニュースキャス
ターは与党か野党かに関係なく、間違っていると思うことがあれ
ば、直言すべきです。最近はジャーナリストや評論家が、権力側
や視聴者からの評価、BPOの目を気にしているのか、自分のコ
メントが番組に相応しいのかどうか、その“許容範囲”を考えす
ぎている。ネットが普及して1億総メディア化してきてる現代だ
からこそ、自分の考えをテレビで伝えたい。
         ──2018年2月22日『週刊文春』より
─────────────────────────────
 ネット上では、田崎史郎氏のことを安倍首相と会食を繰り返し
ているところから、「田崎スシロー」と揶揄したり、露骨な政権
擁護発言をするため「安倍応援団」ともいわれています。
 この田崎史郎氏についてはこんな話があります。田崎氏は、T
BSの「ひるおび」によく出演しますが、2016年12月9日
の「ひるおび」での話です。ちょうどそのとき、参院本会議では
統合型リゾート施設(IR)整備推進法案、いわゆるカジノ法案
を審議していたのです。そして、いつ、いわゆる強行採決をする
かが番組のなかで討論されたのです。このとき、政治評論家の伊
藤敦夫氏も出演していました。
 政府自民党は、カジノ法案を12月2日の衆院で6時間ほどの
審議で強行採決し、参院に送ってきたのです。「ひるおび」での
やりとりを以下に再現します。この番組のMCは恵俊彰氏、この
日のコメンテーターとして室井佑月氏も出演していました。
─────────────────────────────
 恵MC:今後の本会議運営とこのカジノ法案の採決は、どう
     なるのでしょうか。
 田 崎:会期内の14日までには必ず成立させるという決意
     でやっていますね。
 伊 藤:このスケジュールを一般の人が見てどう思うでしょ
     うか。納得できないですね。やり方としてはねぇ。
 田 崎:伊藤さんとのスタンスの違いは、いまの自民党、公
     明党という政権側はどうしようとしているかってい
     う説明をしているんです。で、伊藤さんはこうある
     べきだっていう議論をしているんです。
 恵MC:田崎さんは(政権を)代弁してるわけですもんね。
 田 崎:ええ、そう、うん。代弁っていうか。取材をして、
     こうやろうとしているっていう説明をしている。
 室 井:多くの「国民」が反対している。
 田 崎:国民って誰のことですか。どこにいるんですか。
          ──「リテラ」/ http://bit.ly/2gDTDlv
─────────────────────────────
 ひどいやり取りです。異様なのは、明らかに安倍政権を代弁し
ている田崎史郎氏はあえてそれを隠そうとしないし、番組のMC
の恵俊彰氏も、それをごく当然のこととして受け止めていること
です。これに対してリテラは次のように厳しく糾弾しています。
─────────────────────────────
 カジノ法案や年金カット法案、TPP承認・関連法案などデタ
ラメな強行採決を連発する“悪行”を報じず、ひたすら擁護し、
国民の目から問題を逸らし、安倍政権を支える。それが田崎氏の
“仕事”であり、『ひるおび!』をはじめとする各局の報道・情
報番組の現在の姿なのだ。国家という権力の思惑を代弁すること
で、事実を隠蔽し歪めていく。それは国民の知る権利を奪い、と
きにその生命や財産を危機に貶めることなのだが、しかし、田崎
氏はそんな自覚すらないのだろう。
 こんな人物をコメンテーターに起用し続けることはまさしく放
送法違反だと思うのだが、“極端に偏った報道”を糾弾し、岸井
成格氏を『NEWS23』(TBS)から追放した「放送法遵守
を求める視聴者の会」には、今後はぜひ、田崎氏のこうした“偏
向”問題を追及してもらいたいものだ。 http://bit.ly/2EQhFXD
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/031]

≪画像および関連情報≫
 ●テレビで安倍擁護連発、田崎史郎時事通信特別解説委員
  ───────────────────────────
   自民党の単独過半数、さらに改憲勢力で発議に必要な3分
  の2に届く勢いなど、与党の優勢が伝えられる参院選。安倍
  政権がこれだけデタラメな政策を連発しているにもかかわら
  ず、相変わらずの支持率をキープしているのは、やはりなん
  といっても、応援団マスコミによる“安倍ヨイショ”のおか
  げだろう。
   その筆頭と言えるのが、田崎史郎・時事通信社特別解説委
  員だ。田崎氏といえば、『とくダネ』(フジテレビ)や『ひ
  るおび!』(TBS)、『直撃LIVEグッディ!』(フジ
  テレビ)などワイドショーをいくつも掛け持ちし、まるで安
  倍首相になりかわったかのように政治報道を解説している人
  物。たとえば、昨年の安保法制国会の際には『みんなのニュ
  ース』(フジテレビ)で共演したSEALDsの奥田愛基氏
  をフジと結託して騙し討ち。『ひるおび!』では作家の室井
  佑月が多くの国民が反対しているなかで強行採決したことを
  批判すると、「『国民』て誰のことですか? どこにいるん
  ですか?」と嘲笑い、野党を「デモの人たちの手前、反対を
  するしかないんですよ」と一方的にヤジった。また最近でも
  例の「保育園落ちた」ブログについて保育園不足をお受験問
  題と意図的にすりかえるトンデモ論をぶち安倍政権を擁護し
  ていた。             http://bit.ly/29x93CN
  ───────────────────────────

田崎史郎氏.jpg
田崎 史郎氏
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2018年02月21日

●「各ワイドショーに親派を送り込む」(EJ第4708号)

 平昌冬季五輪がはじまって、テレビはオリンピック報道一色に
染まっています。朝から昼にかけての複数のワイドショー、夕方
の各種ニュース番組、夜の報道番組にいたるまで、一日中オリン
ピック報道で埋め尽くされています。
 もちろん、今回の五輪は日本選手の活躍が顕著であるので、報
道が多くなるのは仕方がないのですが、それにしても、いささか
異常な報道過熱ぶりです。とくに高齢者で、一日中家にいて、テ
レビを見ている人にとっては、どのチャンネルでも、同じような
映像を何回も繰り返して見せられることになります。
 例えば、2月17日の男子フィギュアにおける羽生結弦選手と
宇野昌磨選手の金銀独占のニュースでも、他の番組で取り上げて
いることを知りながらも、自分の番組ではまだ取り上げていない
として、同じテーマを同じようなスタイルで、延々と報道してい
ます。つまり、メディアは、ワイドショーや報道番組をハシゴし
て見る視聴者が多いことを知りながらも、そういう報道を行って
います。17日は土曜であったので、週明けのワイドショーや報
道番組では、同じ切り口で取り上げ続けています。
 それと、日本のテレビは、異常なほど天気予報が多く、しかも
非常に時間が長いといえます。ワイドショー番組でも、ニュース
番組でも、夜の報道番組でも、必ず天気予報が入ります。私が必
ず見ることにしているWBS(ワールド・ビジネス・サテライト
/7チャンネル)は、天気予報はなかったのですが、昨年からは
天気予報をするようになっています。
 いまどき、天気予報はスマホで、全国版の予報はもちろんのこ
と、そのスマホのある場所の時間ごとの天気予報の詳細を見るこ
とができます。したがって、テレビで全国版の天気予報を大幅に
時間をとってまで放映する必要はないはずです。天気予報などは
専門チャンネルを設けておけばそれで済む話です。
 それでは、どうしてこのようなことが起きるのかというと、天
気予報とスポーツだけは、絶対に政府からクレームを受けること
がないからです。最近では、政治を取り上げて討論する番組を激
減させてしまった関係上、テレビでは時間を埋めるのに四苦八苦
しています。そのため、お笑い芸人を使ったくだらない番組を長
時間タレ流して、時間つぶしをしています。そういう意味で日本
はお笑い芸人天国であるといえます。もはや「日本のテレビは既
に死んだ」といっても過言ではないと思います。
 19日発行の「日刊ゲンダイ」は、このことに関連して、次の
ように報道しています。
─────────────────────────────
 男子フィギュアの羽生・宇野両選手の金銀メダル独占に、日本
中が「スゴい、スゴい」と猫も杓子も大騒ぎだ。(中略)ホンの
数ヶ月前、大メディアは「国難」と称した安倍に忖度し、まるで
戦争前夜のように北朝鮮危機をあおったものだ。ところが平昌五
輪が近づくと、敵視したはずの北の美女応援団を追いかけ回し、
「ほほ笑み外交」とはやし立てた。
 それに飽きたら、日本勢のメダルラッシュで早朝から深夜まで
バカ騒ぎだ。大新聞・テレビはすっかり五輪一色に染まり、日本
選手がメダルを取れれば「よかった、よかった」の大合唱。北朝
鮮危機なんて忘れたかのように全国に浮かれ気分をまき散らして
いる。このメディアの無節操ぶりは、あまりにもヒドすぎる。
    ──2018年2月19日発行/「日刊ゲンダイ」より
─────────────────────────────
 私は家にいるときは、テレビ朝日を中心に見ることにしていま
す。午前5時から8時までの「グッド!モーニング」、午前8時
から10時までの「羽鳥慎一モーニングショー」、さらに10時
30分から12時までの「ワイドスクランブル第1部」、そして
TBSの「ひるおび」というようにです。
 この順序でテレビを視聴して、気がついたことがあります。そ
れは、どの番組も安倍政権に対して好意的な発言をするコメンテ
ーターが最低1人が配備されていることです。
─────────────────────────────
       ◎「グッド!モーニング」
        ・宮家邦彦氏(水)
       ◎「羽鳥慎一モーニングショー」
        ・田崎史郎氏(随時出演)
       ◎「ワイドスクランブル第1部」
        ・末延吉正氏(木/金)
       ◎「ひるおび!」
        ・田崎史郎氏(随時出演)
─────────────────────────────
 「グッド!モーニング」の水曜コメンテーターの宮家邦彦氏は
キャノングローバル戦略研究所研究主幹です。外務省出身の外交
官ですが、他の番組にも多く出演します。しかし、どの番組でも
安倍首相に対して、批判してもよい場面でも、ほとんど批判的コ
メントをせず、やんわりと擁護します。
 調べてみると、第1次安倍政権のとき、官邸において、非公式
ではあるものの、安倍昭恵夫人のサポートをする「アッキー対策
室」が設置され、宮家邦彦氏が「首相公邸連絡調整官」に任命さ
れているのです。これについては巻末の≪画像および関連情報≫
に「プレジデントオンライン」の記事を掲載するので、読んでい
ただきたいと思います。宮家氏の安倍首相擁護発言のウラには、
こういう関係が影響していると思います。
 「羽鳥慎一モーニングショー」では、田崎史郎氏はテーマに基
づいて出演しており、レギュラー・コメンテーターではありませ
ん。これは午後からのTBSの「ひるおび!」でも同様です。こ
の出演は現在でも続いています。
 もう一人、2016年まで、元TBS記者の山口敬之氏も田崎
史郎氏と同じ立場で「羽鳥慎一モーニングショー」に出演してい
たのです。つまり、この番組には、安倍官邸に近い人物が2人も
出演していたのです。  ──[メディア規制の実態/032]

≪画像および関連情報≫
 ●首相官邸に“アッキー部屋”設置、本当の目的は?
  ───────────────────────────
   安倍晋三首相は、参院選後も、2013年7月下旬の東南
  アジア訪問をはじめ8、9月も精力的に外遊をこなす予定だ
  が、首相官邸の不安の種は、ファーストレディーの“アッキ
  ー”こと安倍昭恵夫人の言動。昭恵夫人は、安倍氏の首相就
  任前にみずから居酒屋を開業、女将稼業を始めるなど自由闊
  達な人柄で知られる。夫の首相就任により女将のほうは休業
  状態だが、その一方で、政府・自民党の政策と真逆の脱原発
  論を主張したり、参院選の候補者選びに口を出すなど目立つ
  ことしきり。「アッキーの脱原発発言に自民党幹部は眉をひ
  そめていたが、参院選の候補者選びにも口を出したのはまず
  かった。というのもアッキーが推した候補が暴力団と関係し
  ていたことが発覚したからです。首相就任から半年以上たっ
  ても、いまだに首相が公邸に引っ越せないのも、不自由な公
  邸生活をアッキーが嫌がっているから。首相周辺では5月頃
  から“アッキーの教育係兼監視役が必要”という声が上がっ
  ていました」(官邸関係者)
   そこで官邸では、6月から非公式に“アッキー対策室”を
  設置したという。「あくまで非公式なものでオープンにされ
  ていないが、外務省等から来たスタッフ2〜3人が、首相の
  外遊に同行する際の振る舞い方、外遊先の文化事情などを含
  めて、アッキーに対し“ファーストレディー教育”をしてい
  るそうです。官邸に1室、部屋も用意し、時々アッキーも顔
  を見せているらしい」(別の関係者)アッキー対策は今回が
  初めてではない。第1次安倍政権のときもそうした“教育”
  のために元外交官の宮家邦彦氏(現・評論家)が「首相公邸
  連絡調整官」に就任している。   http://bit.ly/2mDvfFd
  ───────────────────────────

宮家邦彦氏.jpg
宮家 邦彦氏
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2018年02月22日

●「どこもかしこも安倍応援団ばかり」(EJ第4709号)

 私が家にいるときに視聴しているテレビ番組と、そこに登場し
ている安倍首相親派のコメンテーターを再現します。
─────────────────────────────
       ◎「グッド!モーニング」
        ・宮家邦彦氏(水)
       ◎「羽鳥慎一モーニングショー」
     →  ・田崎史郎氏(随時出演)
       ◎「ワイドスクランブル第1部」
     →  ・末延吉正氏(木/金)
       ◎「ひるおび!」
        ・田崎史郎氏(随時出演)
─────────────────────────────
 元TBS記者の山口敬之氏が、レギュラーコメンテーターでは
ないが、「羽鳥慎一モーニングショー」に出演するようになった
のは、2016年11月に安倍首相が、米国大統領に当選したば
かりのトランプ氏と初会談を行った直後のことだったと覚えてい
ます。安倍首相は、トランプ氏に会って何を話したのか、それに
対するトランプ氏の反応はどうだったのかなどについて、当然の
ことながら、当時強い関心が集まっていたのです。
 そのとき、山口敬之氏について、『総理』という本の執筆者で
あることが紹介されています。これで山口氏が、安倍首相に近い
ジャーナリストであることが印象づけられたことになります。こ
の番組には、田崎史郎氏もよく出演します。テーマによっては、
田崎氏と山口氏の2人が、コメンテーターとして出演することも
あったと思います。2人は安倍首相をサポートする忠実なコメン
テーターであるといえます。
 山口敬之氏は、『総理』に続き、2017年1月に『暗闘』と
いう本も上梓しています。出版社いずれも幻冬舎です。
─────────────────────────────
  山口敬之著『総理』/幻冬舎/2016年 6月 9日
  山口敬之著『暗闘』/幻冬舎/2017年 1月27日
─────────────────────────────
 ところで、安倍政権は、どのようにして田崎氏や山口氏のよう
な安倍親派コメンテーターを「羽鳥慎一モーニングショー」にタ
イミングよく、送り込めるのでしょうか。
 それは、山口敬之氏の2冊の本の出版社、幻冬舎の見城社長の
力によるものです。幻冬舎の見城徹社長は、いわずと知れた安倍
首相の熱烈応援団の1人です。1月29日のEJ第4692号で
述べたように、見城社長はそれまで関係のあまり良くなかったテ
レビ朝日の早河洋会長や吉田慎一社長を安倍首相との会食会に連
れて行き、安倍首相との間を取り持っているのです。
 それに見城社長は、テレビ朝日の放送番組審議会の委員長を務
めており、番組に関していくらでも口を出せるのです。そのため
テレビ朝日のどの番組に誰を出せとか、出すなとか、出演者をい
くらでもコントロールできるのです。
 古賀茂明氏は、見城徹委員長から当時の「報道ステーション」
が、さまざまなクレームをつけられ、結局、惠村コメンテーター
が降板させられる原因になったことを次のように述べています。
─────────────────────────────
 レギュラーコメンテーターの恵村氏(古賀氏が出演していたと
きの朝日新聞論説委員)も、物腰は柔らかいが、圧力をものとも
せず、信念を貫く人物だ。従軍慰安婦問題に関して、「旧日本軍
の管理下で、自由を奪われて人権や尊厳を踏みにじられた女性が
いたことは確かだ」と発言したが、そのためテレビ朝日の放送番
組審議会で、幻冬舎社長の見城徹委員長から、「ひどすぎる」、
「番組をだいなしにした」「トンチンカン」などと、名指しで批
判されたこともある。私にいわせれば見城氏の意見のほうが「ひ
どすぎる」のだが、それだけ骨のある人物だということだ。この
発言の直後には、早河会長から現場に、「恵村を番組で使うわけ
にはいかない」という指示が出されたという。
       ──古賀茂明著/講談社刊/『日本中枢の狂謀』
─────────────────────────────
 テレビ朝日の午前10時25分からはじまる「ワイドスクラン
ブル」は、「徹子の部屋」をはさんで、1部と2部に分かれてい
ます。その1部の木曜日と金曜日のコメンテーターを務めるのが
末延吉正氏です。
 この末延吉正氏も、安倍応援団のコメンテーターで、安倍政権
をことさら持ち上げることはしないまでも、安倍政権の批判は一
切しない人です。調べてみると、末延吉正氏は山口県光市出身で
近所に岸信介宅があり、青少年時代から、安倍首相とは親しい存
在だったといわれています。
 末延吉正氏は、テレビ朝日の元社員で政治部長を務めていたの
です。末延氏が「ワイドスクランブル」のコメンテーターを2日
間務めるなど厚遇されているのは、安倍政権と強いパイプがある
からです。末延氏は、見城社長とも協力して、テレビ朝日と安倍
政権を結びつける役割を果たしています。ある政界関係者は、次
のように述べています。
─────────────────────────────
 テレビ朝日の放送番組審議会会長をつとめる見城氏が安倍首相
に食い込み、早河会長との間を取り持ったことは有名ですが、そ
の見城氏と連携して、安倍首相とテレビ朝日のパイプ役をしてい
たのが末延さんだった。実際、末延さんは見城氏とともに頻繁に
安倍首相と会っています。          ──政界関係者
─────────────────────────────
 このように、安倍政権が警戒するテレビ局のひとつであるテレ
ビ朝日にも、これほど多くの安倍親派コメンテーターが送り込ま
れているのです。それに加えて、テレビ朝日の放送番組審議会委
員長にも安倍応援団の見城徹社長が就任しているのですから、テ
レビ朝日としては、安倍政権に対していいたいことはほとんどい
えないことになります。 ──[メディア規制の実態/033]

≪画像および関連情報≫
 ●「安倍首相とテレ朝のパイプ役」の姪のバイオリン演奏
  ───────────────────────────
   安倍官邸の圧力によって、古賀茂明氏や恵村順一郎氏を降
  板させ、長年、番組を支えてきたMチーフプロデューサーを
  更迭した『報道ステーション』(テレビ朝日系)。だが、テ
  レビ朝日側は、一貫して圧力を否定し、「番組のリニューア
  ル」のためだと言いはっている。しかし、その「リニューア
  ル」の中身はとんでもないものになりそうだ。
   実は、一昨日の2015年4月3日の放映でもその一端が
  垣間見えた。22時40分過ぎ、CM前に古館伊知郎が「今
  後月に一度こういう企画を、と考えています。まずその第一
  弾です」と告知したので、注目していたところ、CM明けに
  始まったのは、いきなり夜桜をバックにした女性のバイオリ
  ン生演奏。しかも、そこから「ムーンリバー」「上を向いて
  歩こう」と、2曲を延々6分間もわたって演奏し続けた。
   えっ、これが新企画?「報ステ」ってニュース番組じゃな
  かったっけ?と驚いた後、いや、もしかしたらとんでもない
  大物とか、今、注目のアーティストかもしれないと思い直し
  バイオリニストを調べてみた。この日、生演奏していた女性
  の名前は末延麻裕子氏。しかし、散発的にテレビには出てい
  るようだが、音楽関係者に聞いても、大物とか注目されてい
  るバイオリニストではまったくないらしい。
   しかも、この日の演奏はお世辞にも素晴らしいとは言えな
  いものだった。チューニングが狂ったようなアレンジで、音
  に柔らかみが全くない、放送環境が悪いのか、本人の実力な
  のか、聞きづらい。ツイッター等には「報ステのバイオリン
  へたくそじゃない?」などと、批判的な書き込みがいくつも
  見られた。「報ステ」はいったいなぜ、こんなバイオリニス
  トの演奏を放映したのだろうか。  http://bit.ly/2GqeiUf
  ───────────────────────────

末延吉正氏/ワイドスクランブル.jpg
末延 吉正氏/ワイドスクランブル
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2018年02月23日

●「『徹の部屋』では何が話されたか」(EJ第4710号)

 「AbemaTV」 (アベマTVと表記)というテレビがあります。
PCやスマホ向けのライブストリーミング形式で映像を配信する
インターネットテレビのことです。株式会社アベマTVが運営し
ていますが、放送事業者ではないので、放送法の対象にはならな
いのです。
 ライブストリーミングというのは、データをダウンロードしつ
つ同時に再生する方式のストリーミングの一種であり、映像や音
声をリアルタイムで配信し、リアルタイムでデータの変換を行い
そのままストリーミング再生するというものです。
 この株式会社アベマTVは、テレビ朝日が40%、サイバーエ
ージェントが60%を出資しており、取締役会長には、早河洋テ
レビ朝日会長、代表取締役社長には、藤田晋サイバーエージェン
ト社長が就任しています。この早河洋氏と藤田晋氏を結びつけた
のが、幻冬舎の見城徹社長です。
 既に述べているように、見城徹氏はテレビ朝日の放送番組審議
会会長を務めていますが、サイバーエージェントの藤田晋社長を
そのメンバーに加えています。このように、この早河、見城、藤
田の3氏は大変仲が良く、いろいろな企画を話し合い、実行に移
しています。
 そのひとつにアベマTVには「徹の部屋」という番組があり、
政財界の有名人を招いて、見城社長がゲストと本音で話し合うと
いうものです。
─────────────────────────────
    「徹の部屋」一番会いたい人物と本音トーク
                 ──アベマTV
─────────────────────────────
 2017年10月8日夜のことです。公示前とはいえ、選挙の
直前です。「徹の部屋」に安倍首相が出演したのです。そのとき
のメンバー(敬称略)は次の通りです。
─────────────────────────────
    「徹の部屋」一番会いたい人物と本音トーク
     司 会:見城徹/アシスタント:大石絵理
     出演者:安倍晋三首相
         ジャーナリスト/有本香
         ジャーナリスト/東海大学教授/末延日正
─────────────────────────────
 この日、この「徹の部屋」での出席者の発言をいくつか次にご
紹介します。ソースは「ニュースサイト/リテラ」です。読み易
いように文章を一部変更しています。
─────────────────────────────
見 城:ボクは、ずっーと安倍さんのファンなんですよ。日本の
    国は安倍さんじゃなきゃダメだと思っています。大石さ
    ん、安倍さんの印象どうですか。
大 石:ダンディでかっこいい方ですよね。
見 城:すごくハンサムですよ。内面が滲み出ているお顔です。
大 石:嘘が苦手そう。
見 城:ほんとうにね。信義に厚い方。私利私欲がない。だから
    足を引っ張られやすい。
末 延:安倍さん、いい人なの。正直だから嘘をいえない。だか
    ら、ちょっと口下手なところがある。
安 倍:きょうはね、そうやって褒めていただいて、本当にうれ
    しいですよ。
見 城:ほんとうにね。安倍さんにがんばっていただかないと、
    日本は経済も立ち行かなくなるし、北朝鮮からも守れな
    いし、外交も歴代の総理大臣でこれだけのことをやった
    人はいないですよ。ところが、メディアは報道すべきこ
    とを報道しない。
末 延:日本のメディアは権力監視を勘違いしている。
有 本:日本のメディアはね、そういう人たちだから。
末 延:総理がつらいのは、じっと聞いていなきゃいけない。反
    対した人も含めてね。日本の暮らしを当然守る責任があ
    る仕事ですよ。そこはしようがないですよね。総理大臣
    になったんだから。
安 倍:それは当然そうなんですね。私に批判的な人たちに対し
    ても総理大臣としてはその人のですね、生活(政策?)
    に対して・・・
末 延:それでも腹が立つでしょ?
安 倍:まだまだ人間ができていませんからね。
見 城:いい人すぎるんですよ。
末 延:正直ですよ。
安 倍:久々にそういっていただけて、うれしいです。もう、い
    ままでずっと「安倍独裁」とかいわれてですね、そんな
    ことはやっぱりなんですねえ。 http://bit.ly/2EGh9YH
─────────────────────────────
 中身のない、飲み屋で話すような話です。それにしても安倍首
相への歯の浮くようなお世辞の嵐です。これについて、リテラは
次のように締めくくっています。
─────────────────────────────
 もはや言葉を失うしかない。しかしきっと、安倍首相は見城を
はじめとする会食仲間から、いつもこのように、「人間として深
まっている」などとヨイショばかり受けているのだろう。そうし
てどんどん国民から背を向け、自分中心で政治を動かしてきたの
だろう。そんな「闇」が、この番組によってオープンにされたの
である。(一部略)見城は「ほんとにメディアは報道すべきこと
を報道しない」などと言って安倍首相を擁護したが、このような
為政者と距離も置かずにベッタリした関係を流すだけの番組を彼
は「あるべき放送」とでも考えているのだろうか。
                   http://bit.ly/2CzgRB2
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/034]

≪画像および関連情報≫
 ●アベノTVをめぐる見城、藤田、早河の関係
  ───────────────────────────
   じつはこのAbemaTV をめぐる、見城氏および藤田氏と早河
  会長の関係については、2017年6月29日のテレビ朝日
  株主総会でも問題視されていた。前述とは別の関係者がその
  ときの様子をこう語る。
   「総会ではAbemaTV と『徹の部屋』を名指しするかたちで
  見城氏と藤田氏がテレ朝の番組審議会委員であることは利益
  相反にあたるのではないかとの強い疑義が呈された。早川会
  長の指定で、広報やコンプラ関連を統べる両角(晃一)取締
  役が応答したのですが、ところが、口から出たのは彼らへの
  惜しみない賛辞。とくに見城氏に対しては『大変に高い見識
  をおもちの方』とか、『当社としても大変感謝してございま
  す』などと絶賛の嵐でした。一方、番組審議会については、
  『公平なチェック機関として機能を十分に活かしています』
  とだけ言って終わらせてしまった」。
   だが、今回の『徹の部屋』のあまりに露骨すぎる放送によ
  って、このAbemaTV 問題が再燃するのは必至だ。当然、次の
  株主総会では大きな問題になるだろうし、選挙後に告発の動
  きもあるのではないかともいわれている。
   しかし、一方で、テレビ朝日の安倍応援団による侵食は確
  実に影響を強めている。5月の安倍首相と早河会長、篠塚浩
  取締役報道局長、伊井忠義政治部長らの会食の直後、テレ朝
  の政治部記者が菅偉義官房長官の会見で“助け舟”質問をし
  たり、森友・加計問題追及の先陣をきってきた『羽鳥慎一モ
  ーニングショー』で、急に政権批判がトーンダウンしたり、
  また、8月には『グッド!モーニング』が加計問題をめぐり
  安倍首相の側近である萩生田光一自民党幹事長代行に全面謝
  罪する場面があった。テレビ朝日はこのまま、安倍一派に私
  物化されてしまうのか。それとも、自浄作用を発揮できるの
  か。その動向を今後も注視していく必要があるだろう。
                   http://bit.ly/2ERXubN
  ───────────────────────────

「徹の部屋」/2017年10月8日放送回.jpg
「徹の部屋」/2017年10月8日放送回
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2018年02月26日

●「テレビ局はなぜ放送法を恐れるか」(EJ第4711号)

 安倍首相は、その第1次政権と現在の第2次政権にかけて、メ
ディア、とくにテレビ局を完全に制圧し、強い批判の封じ込めに
成功しています。もともと安倍政権に親密なメディアとしては、
NHKと読売新聞とフジテレビです。
 この読売新聞とフジテレビのトップは、いずれも社長に就任し
てからの期間が長いのです。渡邊恒雄読売新聞グループ本社会長
は27年、日枝久フジテレビ会長は30年です。トップをいつま
でも続けていられるようです。これにならってか、テレビ朝日の
早河洋会長もいつまでもトップを続ける体制を作っています。
─────────────────────────────
 ≪社長への就任年月≫
  渡邊恒雄・読売新聞グループ本社会長 ・・ 1991年
  日枝 久・フジテレビ会長      ・・ 1988年
─────────────────────────────
 ここまでテレビ局の安倍政権への傾斜ぶりについて述べてきま
したが、NHKはどうなのでしょうか。安倍政権はもちろんNH
Kに対して手を打っています。それでも安倍政権にとっては、N
HKとフジテレビと読売テレビは安全パイなのです。
 ところで、NHKについては、立教大学教授の砂川浩慶氏の本
に、次のきわめて興味あることが載っています。
─────────────────────────────
 2015年7月21日、NHKニュースは「安保法制、来週か
ら参議院で審議入り」と報じた。この中で隠し撮り風の映像で伝
えたのが、車から降りてフジテレビに入る安倍首相と、満面の笑
みを浮かべて出迎える日枝久・フジテレビ会長、そして局を去る
安倍首相をこれまた満面の笑みで見送る日枝会長の姿であった。
 前日の7月20日、安倍首相は、フジテレビ「みんなのニュー
ス」(15時50分〜19時)に一時間余りにわたり生出演し、
安保法制の必要性を語っていた。そのスタジオ入りの前の映像で
ある。だがNHKニュースは、首相が番組に出演して語ったこと
を紹介するわけではなく、総理大臣とフジテレビの最高権力者と
のツーショットを映像で紹介しただけである。また、この映像に
は日枝会長を説明するテロップはなく、一般の視聴者には、安倍
首相以外の人物は誰なのか分からないものだった。
      ──砂川浩慶著『安倍官邸とテレビ』/集英社新書
─────────────────────────────
 NHKが報道したのは、「安保法制/来週から参議院で審議入
り」なのです。そのバックの映像にフジテレビ入りする安倍首相
を満面の笑みで出迎え、テレビ局を去る安倍首相を丁重に見送る
日枝会長の姿が映っていたのです。しかも映像についての説明は
一切なく、テロップも出ないのです。
 砂川氏は、読売新聞の記者が教えてくれたのだと断って、この
映像を使った理由を次のように明かしています。
─────────────────────────────
 まるで、安倍内閣を支持しているのはNHKだけじゃない、フ
ジテレビなんて会長自ら出迎えているぞ、というメッセージだ。
それを読売新聞が言えた義理ではないけれど・・・。
      ──砂川浩慶著『安倍官邸とテレビ』/集英社新書
─────────────────────────────
 もちろん、この映像の意味がわかる人は、フジテレビの会長の
顔を知っている人だけなので、明らかに玄人向けのメッセージで
あるといえます。
 しかし、なぜテレビ局は、なぜこうも、政府の圧力に弱いので
しょうか。
 それは日本の放送法は「再免許制」だからです。米国などの放
送免許は「更新制」です。運転免許などと同様に、とくに違反な
どがない場合は、そのまま更新されます。
 しかし、日本の場合、テレビ局に重大な違反があると、放送免
許を取り消し、復活するには、すべての申請を一から行う「再免
許制」をとっているのです。したがって、テレビ局としては放送
免許を取り消されると、大変なことになります。放送局の免許は
親局だけではなく、中継局や中継用の無線局も含むので、その申
請のやり直しは膨大な申請書類が必要になるからです。
 実際に安倍政権では、高市早苗総務相が放送法4条の「政治的
公平」の解釈について、一つの番組だけでも、実際に放送局に電
波停止を命じる可能性に言及しています。これでテレビ局は震え
上がってしまったのです。
 しかし、高市総務相のこの発言には議論があるのです。なぜな
ら、地上波に関しては、本来番組内容を理由とした免許停止はで
きないのです。なぜなら、地上波の免許は、電波を発射する設備
すなわち「ハード」に対する免許であって、放送される番組(ソ
フト)に対する免許ではないからです。したがって、番組内容に
問題があるからといって、再免許を拒否できないからです。
 しかし、1993年のいわゆる椿発言問題(1月16日/EJ
第4683号参照)において、当時の郵政省は、設備免許でも電
波停止が可能であるとして、次のように発言しています。
─────────────────────────────
 もし政治的公平を定めた放送法違反があれば、電波法第76条
によって、電波を止めることもできる。    ──郵政省幹部
      ──砂川浩慶著『安倍官邸とテレビ』/集英社新書
─────────────────────────────
 高市総務相の発言は、この発言をベースにしたものと思われま
す。いずれにせよ、総務相がテレビ局に対し、「電波停止」を口
にすることは、テレビ局に対する最大の脅し以外のなにものでも
ないのです。まさにやってはならない露骨な圧力です。
 この椿発言によって、在京テレビ局各社は、自発的に社内に報
道のあり方を検討する組織を設けて、番組の自主管理に取り組む
ようになったのです。これは、完全にテレビ局の敗北であり、現
在のテレビ番組の惨状を招くようになったといえます。
            ──[メディア規制の実態/035]

≪画像および関連情報≫
 ●一番ガバナンスがないのは、新聞社だった/高橋洋一氏
  ───────────────────────────
   世界基準で見てもこの日本のメディア構造は異常である。
  普通の国ではメディアも普通に買収される。経営者が代わる
  こともあるので、これが会社としてメディアとしての緊張感
  につながるのだ。
   たとえば2015年の11月に、日経新聞が、米フィナン
  シャル・タイムズを買収したことは記憶に新しい。日経新聞
  が、米フィナンシャル・タイムズの親会社だった英ピアソン
  から株式を買収して自らのグループに組み込んだのだが、こ
  れはごく普通の企業買収と言える。しかし日経新聞のほうは
  株式が譲渡できないから、決して買収されない仕組みになっ
  ている。そんなものは商法違反でないか、と憤る人もいるか
  もしれない。この状態を商法の適用除外にしているのが「日
  刊新聞紙法」なのだ。
   日刊新聞紙法はすごく短い法律で、正式には「日刊新聞紙
  の発行を目的とする株式会社の株式の譲渡の制限等に関する
  法律」という。名前に書いてあることがこの法律のすべてで
  「株式は譲渡されない」ということしか書いていない。新聞
  の既得権の最大のものと言っていい。普通に働いている人た
  ちには馴染みがないが、新聞社に務める人間ならみんな知っ
  ている法律だ。しかし、新聞社の人間でこのことを堂々と記
  事で書く人間はいない。新聞は企業の不祥事があった時に、
  「コーポレートガバナンスができていない」「社内制度が悪
  い」などと書き連ねるが、一番ガバナンスができていないは
  その新聞社なのだ。記者も、それが分かっているから日刊新
  聞紙法について恥ずかしくて書けないのだろう。
                   http://bit.ly/2sNJBGD
  ───────────────────────────

日枝久フジテレビ会長.jpg
日枝久フジテレビ会長
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2018年02月27日

●「経営委員長を送り込んだ1次政権」(EJ第4712号)

 第1次安倍政権は、2006年9月26日からスタートしてい
ます。2007年6月に、当時、富士フィルムホールディングス
社長(現会長)の古森重隆氏がNHK経営委員長に就任していま
す。これは安倍首相が「NHK支配」に向けて最初に実施した人
事です。政権によるメディア支配は最初から安倍首相の頭にあっ
たものと思われます。
 NHKの会長は、放送法上、経営委員会が任命し、その選出に
は、経営委員12名中、9名以上の同意が必要とされるのです。
つまり、経営委員うち4名が反対すると、会長になれないことに
なります。経営委員会は強い権限を持っているのです。
 そこで、安倍首相は、経営委員長に自分に近い人間を送り込も
うとしたのです。それが古森重隆氏です。古森氏は「四季の会」
のメンバーです。「四季の会」というのは、安倍晋三氏が若手議
員の頃から応援し、激励している財界人の会です。「ライブドア
ニュース」に次の解説があります。
─────────────────────────────
 「四季の会」は、葛西敬之・東海旅客鉄道(JR東海)会長が
幹事役を務める財界人の集まり。前回、安倍氏が政権を投げ出し
た後も、元首相を励まし続け、「再登板」を働きかけてきた。
 葛西氏が東大法学部で机を並べ親友だった与謝野馨氏(故人)
に「若手の有望株を呼んで勉強会をやろう」と持ちかけ、与謝野
氏が、当時官房副長官だった安倍氏を引き合わせたのが始まり。
2000年に「四季の会」は発足した。 http://bit.ly/2EPcCaE
─────────────────────────────
 安倍政権では、その第1次政権のときから、安倍首相の取り巻
きというか、応援団が多くいて、いろいろな分野で暗躍していま
す。NHKでも同様です。この古森経営委員長時代に、NHK会
長に就任した第19代の福地茂雄会長(アサヒビール相談役)と
20代の松本正之会長(JR東海副会長)は、いずれも「四季の
会」のメンバーです。
 しかし、古森経営委員長の評判は、必ずしも芳しいものではな
かったのです。やることが強引で、何かと物議をかもすことが多
く、番組内容に口を出すことも多々あったのです。そのため、日
本ジャーナリスト会議(JCJ)や、「NHKを監視・激励する
視聴者コミュニティ」などの市民団体が、古森経営委員長の解任
を要求したほどです。
 この第1次安倍政権のときに、放送行政全般を総括する総務大
臣のポストに就いていたのが、第2次安倍政権の官房長官を務め
ている菅義偉氏です。今と同じ構図です。このとき、菅総務相は
テレビ局への行政指導を連発しています。
 2006年9月〜2007年9月まで、菅総務相が行政指導を
行った案件を砂川浩慶氏の本から引用します。
─────────────────────────────
   1.2006年12月 8日
    毎日放送「2006ミズノクラシック」
   2.2007年 3月30日
    関西テレビ「発掘!あるある大事典U」
   3.2007年 4月27日
    TBS「人間!これでいいのだ」
    TBS「サンデージャポン」
    TBS「みのもんたの朝ズバー!」
   4.2007年 4月27日
    テレビ東京「今こそキレイになってやる!」
   5.2007年 4月27日
    毎日放送「たかじんONEMAN」
   6.2007年 4月27日
    テレビ信州「ゆうがたGet!」
      ──砂川浩慶著『安倍官邸とテレビ』/集英社新書
─────────────────────────────
 驚くべき数の多さです。しかも同じ日に、いくつもの行政指導
を行っています。これらを個別に見て行くと、政治的なものはな
く、単に一部に事実と異なる報道があったり、過剰な演出などの
指摘であり、総務省が目くじら立てて、行政指導をすべき事案で
はないと思われます。これについて、著者の砂川浩慶氏は、次の
ように述べています。
─────────────────────────────
 放送局が意図的に事実をまげた報道を行なうことは当然責めら
れるべきであるが、それは本来、視聴者と放送局という直接的な
関係の中で謝罪・訂正がなされるべきものである。免許付与権限
を持つ総務省が、国家権力を背景に放送局に威圧的な指導を繰り
返すことが大きな萎縮効果をもたらすのは明らかだ。
      ──砂川浩慶著『安倍官邸とテレビ』/集英社新書
─────────────────────────────
 実はこのとき、菅総務相は、テレビ局などの番組に行政がもっ
と介入しやすくできるよう放送法第175条を改正しようと画策
していたのです。そのため、放送局への介入を意図的に増やして
いたのではないかと考えられます。
 しかし、さすがにこの改正には「総務大臣の権限強化につなが
りかねない」との反対が多く出て、当時の民主党が反対し、自民
党との協議で却下されています。これを受けて放送界でBPOに
「放送倫理検証委員会」を設置することで収まっています。
 しかし、メディアを何とか規制し、政権にとって都合の悪いこ
とは報道させないようにしようとする安倍首相と菅官房長官のコ
ンビが再び復活し、もっと露骨にメディアを牛耳ろうとしている
のです。番組の細かなこと──例えば、街頭での国民の声を収録
したビデオに対し、総理大臣ともあろう人が、放送法違反である
として、直接クレームをつけることまでやっています。メディア
もそれと戦うどころか、政権の意向を忖度し、文句をつけられな
い内容の番組を制作し、国民の知る権利を大きく阻害しているの
です。         ──[メディア規制の実態/036]

≪画像および関連情報≫
 ●放送行政 口出しが過ぎる総務省(東京新聞社説)
  ───────────────────────────
   大臣が新たな強権を要求すれば、役人は番組の作り方を指
  南する−関西テレビの番組捏造問題を機に、放送に対する行
  政介入が目立つ。視聴者の怒りに乗じた、公権力の過度な口
  出しは危うい。菅義偉総務相は関西テレビに対して、捏造に
  関し経営責任にまで踏み込む報告を要求した。
   総務省情報通信政策局は、主要民放、NHKの番組チェッ
  ク体制を調査し「取材やVTR編集に局プロデューサーが立
  ち会う」「専門家の参画を進める」などと具体的な再発防止
  策を提言した。総務相らは自らを「放送監督官」と勘違いし
  ていないか。そうだとすれば戦前の意識だ。番組作りは各局
  独自の創意工夫が基本である。
   おまけに同相は、放送局に対する業務改善命令や課徴金な
  どを新設して、監督を強化すると言い出した。「事実と異な
  る報道に表現の自由はない」というのである。報道の何が事
  実と異なるか、一義的には明らかでないことが多い。行政に
  よる介入は極めて危険だ。この点は再発防止計画を命ずる同
  省の新方針も同じだ。放送法制では番組が政治的に公平であ
  ることや事実を曲げないことを求めている。放送免許取り消
  し、電波停止などの処分もある。処分発動の前例がないのは
  表現・報道の自由を侵しかねないからである。
                   http://bit.ly/2sRw1lt
  ───────────────────────────

菅総務大臣(当時).jpg
菅総務大臣(当時)
 
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2018年02月28日

●「安倍政権によるNHK支配の実際」(EJ第4713号)

 NHKの年度予算はどのくらいあるかご存知でしょうか。
 2015年度を例にとると、6831億円です。世界の放送局
では最大規模になります。このうち受信料収入は6608億円で
96・7%を占めています。つまり、われわれ国民が支払う受信
料でNHKは成り立っていることがこれでわかります。
 われわれにとって最も身近な国内放送番組の制作費や、その送
出経費および人件費は5106億円。単純計算ですが、1日当た
り約14億円が使われている計算になります。これだけのお金が
使われているのですから、NHKは国民が求めている正しい報道
を心がける義務があります。時の政権におもねるような報道は絶
対にすべきではなく、正しく公平な報道に努めるべきです。
 第2次安倍政権では、最初から経営委員長を獲りに行き、物議
を醸したので、経営委員を増やす作戦に変更しています。経営委
員の総数は12人、任期は3年ですが、再任もあり得ます。民主
党政権時代の経営委員が次々と退任するときに、安倍政権の親派
の経営委員を送り込み、4名の親派の委員を確保して、会長選出
のキャスティングボードを握る作戦です。
 安倍政権がスタートしたときのNHK会長は、2011年に就
任した松本正之氏です。松本会長は受信料の値下げを断行する一
方で、経費削減を図り、増収を実現するなど、なかなかの経営成
果を上げており、その退任は2014年1月24日に迫っていた
ものの、再任が有力視されていたのです。
 しかし、安倍政権としては、意中の会長を送り込むため、次の
ように、4人の経営委員と1人の再任の人事案を国会に提示し、
衆参両院の同意を獲得したのです。これによって状況は一変し、
松本正之会長は退任必至となったのです。
─────────────────────────────
   ◎2013年11月11日         (敬称略)
    百田 尚樹(作家)
    本田 克彦(JT顧問)
   ◎2013年12月11日
    長谷川三千子(埼玉大学名誉教授)
    中島  尚正(海陽学園海陽中等教育学校長)
    石原   進(JR九州会長/再任)
      ──砂川浩慶著『安倍官邸とテレビ』/集英社新書
─────────────────────────────
 作家の百田尚樹氏は、2012年の自民党総裁選で、「安倍晋
三総理大臣を求める民間人有志の会」の発起人で、大の安倍ファ
ンですし、JT顧問の本田克彦氏は「四季の会」の有力メンバー
であり、東大の学生時代には、成蹊小学校に通っていた安倍氏の
家庭教授をしている間柄です。
 埼玉大学名誉教授の長谷川三千子氏も百田氏と同様に「安倍晋
三総理大臣を求める民間人有志の会」の会員です。海陽学園の中
島尚正氏については、海陽学園が「四季の会」の幹事役である葛
西敬之氏が創設に関わっているので、安倍親派です。再任の石原
進氏はJR九州会長ですが、同じ九州出身の籾井勝人氏を会長に
推薦したといわれています。
 本当のところ、誰が籾井勝人氏をNHK会長に就任させようと
したのでしょうか。12月10日の午後、安倍首相は次の人物と
会食しています。
─────────────────────────────
 12月10日付「首相動静」
 (午後)7時8分、東京南麻布の日本料理店『有栖川清水』。
葛西敬之JR東海会長、古森重隆富士フイルムホールディングス
会長らと食事。
─────────────────────────────
 葛西敬之氏と古森重隆氏はともに「四季の会」のメンバーであ
り、古森氏は第1次安倍政権のとき、NHKの経営委員長を務め
ているので、時期的に考えてもこの会食は、NHK次期会長の人
事に関する相談であったことは確かです。
 こうした財界の大御所が動き、立派な経営成果を上げている松
本正之会長(当時)の再任を覆してまで、推挙した籾井勝人氏と
は、どういう人物なのでしょうか。
 記者が「安倍首相がNHKの偏向報道を懸念しているが、不偏
不党をどう考えるか」と質問すると、次のように答えています。
これだけで、この人がどういう人であるかわかると思います。
─────────────────────────────
 それはNHKに限らず、テレビの報道は皆おかしいですよ。例
えば、「反対!」っていう人ばかり映して、「住民が反対してい
る」と。じゃあ何人デモに来ていたか、というのを言わない。僕
は言うべきだと思っている。賛成と反対があるならイーブンにや
りなさい。安倍さんが言っているのはそういうことですよ。何も
左がかっているから右にしろと言っているわけではないと僕は理
解しています。    ──籾井勝人氏 http://bit.ly/2EQV9dO
─────────────────────────────
 NHKでは、会長が任期満了になる6ヶ月前に、経営委員全員
による「指名部会」を立ち上げる決まりになっています。実際に
2013年7月23日に第1回の指名部会が開催され、松本会長
に再任を促していますが、松本会長はその場で辞意を表明してい
るのです。
 松本正之氏といえば、JR東海の副会長のときの上司が葛西敬
之氏であり、実際に会長になるときも、葛西敬之氏が支援してい
るのです。それなのに、葛西氏はこのとき「松本降ろし」を決断
しています。どうしてかというと、週刊誌報道によれば、NHK
会長になってからの松本氏は、葛西氏の要望を聞かなくなったか
らといわれていますが、真偽は不明です。松本会長にしても「四
季の会」というものがあり、安倍政権ができた以上、再任の要請
はあったとしても、自分はこのさい身を引くべきであると感じて
いたのではないかと思います。
            ──[メディア規制の実態/037]

≪画像および関連情報≫
 ●NHK会長が怒鳴り散らすと、何がマズイのか
  ───────────────────────────
   2015年2月18日午前、NHKの籾井勝人会長が民主
  党の総務部門会議に呼ばれて中期経営計画を説明する席で、
  顔を真っ赤にさせて国会議員とやりあった。このやりとりの
  様子は、NHKを除く、主要な民放テレビ局全社のニュース
  番組やワイドショーで取り上げられた。
   昨年の会長就任の記者会見では「従軍慰安婦」について、
  「どこの国でもやっていたこと」などと発言して問題になっ
  た際も、政治的に微妙な発言だと考えたのか、あるいは「個
  人的な発言」だとして「撤回」したことを配慮したのか日本
  テレビやフジテレビは「問題発言」というふうには取り上げ
  なかった。しかし、今回は違う。民放全社が「色をなして怒
  り狂うNHK会長」の映像を放送した。
   それは公共放送機関のトップという重職にある人物が、感
  情むき出しで怒鳴るという光景がめったに見られない「面白
  シーン」として、映像に記録されてしまったからだ。彼の政
  治的な主張やNHK会長としての対応の是非はともかくとし
  て、視聴者が驚くような「面白い映像」だったからである。
   (議員)「よくあることなんですか、本当に?」
   (会長)「よくあることじゃないですか」
   (議員)「撤回してください」
   (会長)「撤回しません」
  会場の去り際に議員から「失礼だ」と言われて、「あなたこ
  そ失礼だ」と紅潮させて興奮したまま議員に叫び続けた。こ
  の場面を放送したテレビ各局のカメラマンや編集者などは、
  「久々に面白いものを見てしまった」という感覚で放送した
  のだろうと想像する。       http://bit.ly/1zQeUqC
  ───────────────────────────

籾井勝人前NHK会長.jpg
籾井勝人前NHK会長
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | メディア規制の実態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月01日

●「『ホット炭酸』をするテレビ各局」(EJ第4714号)

 安倍政権と「四季の会」によって誕生した籾井勝人NHK会長
は、その就任会見で、一応個人的見解であると断りながらも暴言
を連発します。2014年1月25日のことです。砂川浩慶氏は
これを「放言」とし、次のように述べています。
─────────────────────────────
 従軍慰安婦問題について「今のモラルでは悪いことだが、戦争
地域にはどこにもあった」とし、ドイツ、フランスの名をあげ、
さらに「なぜオランダにまだ飾り窓があるんですか」と発言。尖
閣諸島・竹島などの領土問題については「国際放送で日本の立場
を主張するのは当然。政府が『右』というものを『左』というわ
けにはいかない」。特定秘密保護法については「国会を通ってし
まったので、言ってもしょうがない」などと発言した。
 これらの発言に対して批判がわき起こり、籾井氏は国会に招致
される。そして、「個人的見解だ」「放送に反映させることはな
い」と発言を釈明した。しかし、2月12日の経営委員会では、
経営委員からの就任会見以降の混乱への質問に対して、「ぜひこ
の前の記者会見のテキストを全部見ていただきたい。それでもな
おかつ私は大変な失言をしたのでしょうか」と述べており、本心
からの反省は感じられない。
      ──砂川浩慶著『安倍官邸とテレビ』/集英社新書
─────────────────────────────
 籾井氏は、安倍政権が自分に何を期待しているかをよくわかっ
ているつもりで、この発言をしたと思います。しかし、こういう
ことは就任会見でいうべきではなく、これにより、籾井氏は国会
に招致され、何回も喚問を受けることになったのです。それ自体
安倍政権の望むことではなかったはずです。
 2017年7月23日、次期会長の指名の検討をする指名部会
が行われた頃から、NHK内部では当時の松本会長の再任はもは
やなく、新会長は安倍政権寄りの人物が送り込まれるという雰囲
気が漂っていたといいます。
 ちょうどその頃、国会では、特定秘密保護法案が審議されてい
たのです。11月26日に自公の与党とみんなの党の賛成で衆議
院を通過し、12月6日に参議院も通過して成立しています。
 その頃から「ホット炭酸」という妙な言葉が流行しはじめたの
です。「ホット炭酸」とは何でしようか。
 「ホット炭酸」とは、文字通り温かい炭酸飲料のことです。し
かし炭酸は温度が高いほど抜けやすくなるため、温かい炭酸飲料
の商品化は困難とされてきたのですが、日本コカコーラとキリン
ビバレッジが独自技術の採用で、実現させたものです。
 といっても流行しているのは「ホット炭酸」そのものではなく
安倍政権のテレビ局規制に対応するための方法として使われてい
るのです。
 特定秘密保護法の成立にいたる一連の報道で、ある日のこと、
NHKのメインニュース番組である「ニュースウオッチ9」で、
「ホット炭酸」の話題を長々と流し、肝心の特定秘密保護法関連
のニュースは、時間も短く、内容の是非に踏み込んだ解説を故意
に避けたことがあります。
 つまり、どうでもよいことを長々と流し、肝心なことはサラリ
と触れる程度にして逃げたのです。これは明らかな官邸対策であ
り、このことから、そういうテレビ局の対応のことを「ホット炭
酸」と呼ぶようになったのです。いわゆるギョーカイ用語の一種
であるといえます。
 実際に、NHKは、特定秘密保護法そのものに関する報道の時
間は民放に比べて少なく、報道の自由を狭めかねない問題では、
独自の取材や解説をまったくしなかったのです。こうした報道も
「新会長」就任後を意識して、報道局の幹部たちが政権の意向を
先取りし、忖度したものと思われます。NHKというのは、そう
いう組織なのです。
 実際に籾井会長になってからのNHKの報道は、誰の目にも明
らかなほどの政権寄りであり、そういう意味で安倍政権にとって
は、籾井会長を送り込んだことは成功であったといえます。その
実態は、NHKのOBを中心とする「放送を語る会」がまとめた
実証データによって明らかです。具体的には、『安保法案/テレ
ビニュースはどう伝えたか/検証・政治権力とテレビメディア』
(かもがわ出版)によって知ることができます。
 対象番組は、NHK「ニュース7」と「ニュースウォッチ9」
日本テレビ「NEWS ZERO」、テレビ朝日「報道ステーシ
ョン」、TBS「NEWS 23」、フジテレビ「みんなのニュ
ース」の民放を含む6番組です。このなかから、NHKの2番組
のコメントについて、砂川浩慶氏は次のように述べています。
─────────────────────────────
 NHKの「ニュース7」「ニュースウォッチ9」は、政権にマ
イナスになるような出来事や審議内容を極力伝えない傾向があっ
たこと、記者解説が「政府広報」という印象を与えていること、
国会審議の伝え方で政府・与党の主張に傾斜していることなどを
指摘している。
 NHKの報道で私が気になっているのは、その見せ方である。
国会審議の模様を報じる際、質問者の質疑後に安倍首相の答弁を
映し、特にコメントもなく次の話題へ移る。映像メディアの特性
として、この手法では全体の問題点は分からず、最後の安倍首相
の答弁だけが印象に残る。高市早苗総務大臣の停波発言問題でも
同様の手法が使われており、報道機関として、問題の解説より政
府の答弁を重視する姿勢が如実に表れている。
      ──砂川浩慶著『安倍官邸とテレビ』/集英社新書
─────────────────────────────
 NHKの報道はまるで政府広報である──NHKのOB自身が
実証データに基づいてそういっています。まさに「ホット炭酸」
そのもの。しかし、安倍政権は、そういうNHKのある番組も気
に入らず、圧力をかけて、著名キャスターを交代させるなどして
います。        ──[メディア規制の実態/038]

≪画像および関連情報≫
 ●時代の危機を感じるNHK首脳の人模様
  ───────────────────────────
   国営放送といえば、すぐ北朝鮮や中国のメディアが思い浮
  かぶ。一方、公共放送のイメージはいまひとつ定かでないが
  公共や公共性の概念を駅のコンコースに例えると分かりやす
  い。立場や考え方は違えども人それぞれに幸せを求め行き交
  う開かれた空間がコンコースであり、何か邪悪な意図で人々
  の自由な行動を妨げる者は排除されねばならない。公共放送
  も同じことで、広く人々を幸せに導く知識・情報の伝達が責
  務であり、特定の政治勢力が横車を押すような愚は厳に慎ま
  ねばならない。民主主義社会を支えるメディアであり、国営
  放送とは理念が異なる。
   その視点から見て公共放送NHKの籾井勝人会長と最高意
  思決定機関である経営委員会の委員2人による昨今の言動は
  深い不信感を抱かせる。現に欧米諸国のメディアのNHK批
  判は厳しく、ドイツ紙はNHKを国営放送と決め付けたうえ
  「日本の国営放送を中国的状況が支配している」とまで酷評
  している。ケネディ・駐日米国大使がNHKの取材を拒む事
  態も尋常なことではない。元従軍慰安婦の、人格をおとしめ
  る歴史の事実を否定、東京裁判は拒否し、思想の違う相手を
  「人間のくず」と呼ぶ。言論テロを称賛するような論文を発
  表する。批判を招く首脳陣の言動は多岐にわたるが、会長発
  言には公共放送トップの自覚を疑わせるものもあった。日本
  の知性を代表する立場だが、心に響く論理も言葉の修辞もま
  るで抜け落ちた品性を欠く言説に筆者は寒気を覚えた。籾井
  会長は主要な発言を撤回したが、本音はどうなのか不審な言
  動が続く。            http://bit.ly/1i0KnzK
  ───────────────────────────

当時のNHK「ニュースウォッチ9」.jpg
当時のNHK「ニュースウォッチ9」
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2018年03月02日

●「国谷裕子MCはなぜ降板したのか」(EJ第4715)

 安倍政権の発足後、テレビ界において、実力も実績もある3人
のMC(メインキャスター)が降板させられています。いずれも
時期は2016年3月末です。表向きの理由は「番組の再編」で
すが、いずれも安倍政権が深く絡んでいるのです。
─────────────────────────────
  1.古館伊知郎氏/テレビ朝日「報道ステーション」
  2.岸井 成格氏/    TBS「ニュース23」
  3.国谷 裕子氏/ NHK「クローズアップ現代」
─────────────────────────────
 私は、上記の番組のうち、「1」と「3」は、時間のある限り
いつも見ていた番組です。とくに「3」の国谷裕子氏は、MCと
しては、素晴らしいキャスターであったと思います。家にいて、
午後9時のNHKのニュースを見たときは、そのまま国谷MCの
「クローズアップ現代」を視聴したものです。さらに30分見る
価値があると判断したからです。しかし、どうして、国谷氏は、
MCを辞めることになったのでしょうか。
 国谷裕子氏が「クローズアップ現代」のMCを始めたのは19
93年4月5日からです。もちろん初代のキャスターです。した
がって、23年間この番組を担当していたことになります。月曜
日から木曜日の午後9時30分から10時までの30分間、金曜
日は休みではあるものの、ほぼ毎日、いつも新しいニュースの話
題を届けるのですから、テーマを理解するだけでも大変です。
 テーマは、政治、経済、文化、医療、安全保障、ICTなど、
あらゆる分野に及ぶので、覚えるだけで大変です。国谷氏はそれ
を23年間続けたのですから、凄いことです。しかし、かなりき
つい仕事であるので、いずれ体力上の理由で、自分の方から辞め
ることを申し出ることはあっても、番組再編などの局側の理由で
降ろされるとは、考えてもいなかったと国谷氏はいっています。
 ところが、2015年12月26日、国谷裕子氏は、2016
年度の契約は更新しないことをNHKから告げられたのです。理
由は「番組の再編」。国谷氏にとっては考えてもいなかった理由
です。まさに青天の霹靂であったといえます。
 このときの国谷氏の心中について、「本と雑誌のニュースサイ
ト/リテラ」は、次のように書いています。
─────────────────────────────
 国谷氏の降板は「上層部からのキャスター交代の指示」によっ
て決定した──。国谷氏は降板を告げられたとき、こんなことを
考えたという。「ここ一、二年の〈クローズアップ現代〉のいく
つかが浮かんできた。ケネディ大使へのインタビュー、菅官房長
官へのインタビュー、沖縄の基地問題、出家詐欺報道・・。国谷
氏が頭に浮かべたこれらのうち、最大の原因として考えられてい
るのが、いわずもがな菅義偉官房長官への集団的自衛権にかんす
るインタビューだ。この14年7月3日の放送で、国谷氏は舌鋒
鋭く集団的自衛権の行使にかかわる問題点を次々に質したが、放
送終了後に菅官房長官が立腹し、官邸サイドはNHK上層部に猛
抗議をしたと「FRIDAY」(講談社)が報じたほどに問題と
なった。               http://bit.ly/2ESok48
─────────────────────────────
 なぜ、降板させられたのか──国谷MCがこれしかないと考え
たのが、2014年7月3日放送の菅官房長官へのインタビュー
です。このインタビューの何がいけなかったのか──国谷氏は振
り返って考えてみても、自分としては国民を代表して菅官房長官
に聞いたまでであり、問題があったと思えないといっています。
このときの映像をネット上で見つけました。約22分です。
─────────────────────────────
   ◎2014年7月3日/「クローズアップ現代」
    「集団的自衛権/菅官房長官に問う」/22分
               http://bit.ly/2BQCvnK
─────────────────────────────
 見ていただくとわかりますが、国谷氏の質問はMCとしては、
至極真っ当なものです。問題となると思われるやりとり次に示し
ますが、菅官房長官はどこがアタマにきたのでしょうか。
─────────────────────────────
国谷:憲法の解釈を変えるということは、ある意味では、日本の
   国の形の在り方を変えるということにも、つながるような
   変更だと思うんですけれども、その外的な要因が変わった
   国際的な状況が変わったということだけで、解釈を本当に
   変更してもいいんだろうかという声もありますよね。
菅 :それはですね、逆に42年間、そのままで本当によかった
   かどうかですよね。今、大きく国際化という中で、変わっ
   てることは、これ、事実じゃないでしょうか。そういう中
   で、憲法9条というものを、私たちは大事にする中で、従
   来の政府見解、そうしたものの基本的論理の枠内で、今回
   新たにわが国と密接な関係がある他国に対する武力攻撃が
   発生して、わが国の存立そのものが脅かされ、国民の生命
   自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険とい
   う、そういうことを形の中に入れて、今回、閣議決定をし
   たということです。
国谷:その密接な国というのが、どういう国なのか。当然、同盟
   国であるアメリカっていうのは、想像できるんですけれど
   も、それはあらかじめ決めておくのか、それともその時々
   の政権が、これは密接な関係のある国だと決めるのか、こ
   れ、限定的な行使ということをきちっと守っていくうえで
   も、影響がある問題だと思うんですけれども。
菅 :そこについては、同盟国でありますから、アメリカは当然
   であります。そのほかのことについては、そこは政府の判
   断、時々のこれは状況によって判断していくということに
   これはなってくるというふうに思います。
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/039]

≪画像および関連情報≫
 ●クロ現・国谷裕子氏降板 「官邸の意向」説は本当か?
  ───────────────────────────
   夜の報道番組の「顔」がまた1人変わる。NHKは4月の
  番組改編で『クローズアップ現代』を一新、22年間キャス
  ターを務めた国谷裕子氏を降板させる。
   「制作現場は『国谷さんを降板させれば、官邸の意向に屈
  したと邪推される』と懸念したが、最後は上層部に押し切ら
  れたそうです」(NHK社会部記者)
   確かに菅官房長官と国谷氏には浅からぬ「因縁」がある。
  同番組が1年半前に放映した『集団的自衛権/菅官房長官に
  問う』で、国谷氏は「国際的な状況が変わったということだ
  けで、解釈を変更していいのか」と厳しく突っ込み、菅氏が
  たじたじになる場面があった。それに対して官邸がNHKに
  抗議したという報道もあったが、菅氏は否定した。
   その後、番組に「やらせ問題」が発覚すると、政府・自民
  党は異常とも思える“介入”に出た。自民党はNHK副会長
  を呼んで事情聴取し、高市早苗・総務相がNHKに厳重注意
  した。そうした安倍政権のやり方を放送倫理・番組向上機構
  (BPO)が政治の「圧力」「介入」と批判すると、菅官房
  長官は「圧力との指摘はあたらない」(昨年11月)と反論
  し、言論圧力問題論争へと発展した経緯がある。もっとも、
  NHK内部には以前から「国谷氏が長くなりすぎたので交代
  させたい」という声があったので、官邸の意向がうまく利用
  されたという見方もある。     http://bit.ly/2sWRtFS
  ───────────────────────────

国谷裕子元「クローズアップ現代」MC.jpg
国谷 裕子元「クローズアップ現代」MC
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2018年03月05日

●「日本は右傾化しつつあるといえる」(EJ第4716号)

 ここまで書いてきたように、安倍政権におけるメディア、とく
にテレビ局に対する圧力は、いささか常軌を逸しています。これ
は、安倍首相自身が、テレビで批判されることを何よりも恐れて
いる証拠であるといえます。そのため、なりふり構わず、露骨に
圧力をかけ続けているのです。
 情けないことに、テレビ局サイドがその圧力に屈して、政府を
非難しなくなったことです。その結果、日本のテレビ局の番組は
その劣悪さのレベルを一段と高めています。テレビで報道すべき
テーマはたくさんあるのですが、報道できないので、時間を埋め
るのに四苦八苦しているのです。
 そういう劣悪番組のなかに「日本スゴイ!番組」があります。
長時間かけて、日本を礼賛する番組です。外国人も多く登場する
いわゆる「日本礼賛番組」です。日本が昔から有している技術の
凄さを自画自賛する番組です。これは、政府による日本人に対す
るプロパガンダであるという人もいます。これに警告を発してい
るあるサイトの記事をご紹介します。
─────────────────────────────
 「日本礼賛番組」に出てくる「日本の技術は最高だよね。文化
も素晴らしいし、人々は礼儀正しいし、憧れの国だよ!」とひた
すら日本を褒めちぎってくれる外国人は、TVの中にしか存在し
ません。無理矢理な演出と、「どうせ何を言っているか視聴者に
はわからないんだから」と適当につけられたテロップによる産物
に過ぎません。
 「日本で働くことを夢見る外国人」も、非常に限られた人たち
です。日本の労働環境の劣悪さは海外でもよく知られていますし
英語を話せる人が少ないこと、賃金が高くないこと、そもそも排
他的な国民性であることも多くの人が知っているので、高度な技
能を持つ人ほどわざわざ日本で働こうとはしません。これからも
日本の経済は縮小を続け、いっそう貧しい国になることが確定し
ているわけですから、そんな国にあえて移住しようという人はそ
うそういません。
 しかし、地上波で毎週何本も放送される「日本礼賛番組」を鵜
呑みにしている人たちは、そんなことは、夢にも考えないことで
しょう。「日本は世界最高の工業技術を持つ先進国で、日本のオ
タク文化は世界を席巻、日本人の慎ましやかな国民性は国際的に
大絶賛されている。日本に生まれてよかった、日本に生まれた自
分は幸せだ!!」と信じて疑わないはずです。
                   http://bit.ly/2GZ5d4W
─────────────────────────────
 私は、この主張に全面的に賛成はしませんが、こういう日本礼
賛論が日本に浸透すると、日本が右傾化する可能性は高いと思い
ます。露骨な政治圧力により、政治番組を極度に減らし、芸人に
よる劣悪番組とこのような日本賛美番組を増加させる──困った
傾向であると思っています。
 ところで、安倍首相は、ワシントン・ポストやウォール・スト
リート・ジャーナル、ブルーム・パークなどとは、よく単独イン
タビューに応じますが、ニューヨーク・タイムズとはインタビュ
ーをしないことで知られています。「批判的な記事を書かれる」
ことを嫌っているからです。
 トランプ米政権発足直後の2017年2月のことですが、ニュ
ーヨーク・タイムズは、安倍首相とトランプ大統領の風刺画(添
付ファイル)を掲載しています。この風刺画では安倍首相がトラ
ンプ大統領の言いなりなっている様子が描かれ、まるで召使いみ
たいな扱いになっています。こういうことを、日本のメディアは
一切報道しないのです。
 2009年2月から、2015年7月まで、ニューヨーク・タ
イムズの東京支局長を務めたマーティン・ファクラー氏は、これ
に関して、次のように述べています。
─────────────────────────────
 ワシントン・ポストやウォール・ストリート・ジャーナルが安
倍首相の単独インタビューを取ったからといって、私がニューヨ
ーク・タイムズ本社から「ウチも安倍首相の単独インタビューを
取ってこい」と催促されることはない。政権に媚びた報道をし、
覚えがめでたいメディアに成り下がるくらいならば、取材ルート
など遮断されたほうがよほどマシだ。幸い、ニューヨーク・タイ
ムズはそうした記者の姿勢をバックアップしてくれる。在ニュー
ヨーク日本領事館の職員が、ニューヨーク・タイムズ本社に「東
京のマーティン・ファクラー記者が、日本政府に批判的な記事を
書いた」と抗議に来たことがある。そのとき私は「オマエは何を
やっているのだ」とニューヨークの本社から非難されるどころか
「官邸が言うことを鵜呑みにしなかったわけだな。プレッシャー
に負けずによくやった」と応援してもらったものだ。
               ──マーティン・ファクラー著
      『安倍政権にひれ伏す日本のメディア』/双葉社刊
─────────────────────────────
 安倍政権は、日本に駐在する外国人記者の記事に関しても内容
をチェックしていて、問題ありと判断すると、その新聞社の本社
に外務省を使って抗議するのです。海外メディアの記者も国内メ
ディアと同じように扱えると思っているようです。
 マーティン・ファクラー氏によると、日本より韓国の方が少し
マシであるといいます。批判記事を書くと、韓国外務省の報道官
から電話があり、食事を誘ってきたそうです。それに応じると、
その報道官は、ファクラーさんには言論の自由があるので、記事
は自由に書いていただいて結構である。しかし、記事のこの部分
は、問題点があるので、次回これに関して取材されるときは、よ
い情報源を紹介すると伝えられたというのです。
 韓国は、なかなかしたたかです。記事内容に抗議するのではな
く、やんわりと問題点を説明して誤りを正すなど、戦略的に海外
メディアとうまく付き合っているからです。
            ──[メディア規制の実態/040]

≪画像および関連情報≫
 ●新聞記者の「エリート意識」/2017年3月
  ───────────────────────────
   もちろん、既存メディアにも問題がある。大手メディアは
  ニューヨークやワシントンといった都市部を中心に記事を作
  成し、広大な地方の問題には目を配ってこなかった。ブレア
  氏が続ける。「メディアは都会の現象ばかり報じて、『ラス
  トベルト』(かつての工業地帯。ラストは錆のことで、使わ
  れなくなった工場や機械を表現している)で何が起きている
  のかをきちんと報道しませんでした。外国や移民に仕事を奪
  われて不満を抱いているかつての工場労働者にトランプ氏の
  支持者が多いと言われていますが、これまで彼らの苦悩を見
  過ごしてきたことが、メディアが軽蔑される理由となってい
  ます。主流メディアが報じる米国の姿と、実際に地方で起き
  ている事実の間には、大きな断絶があることがわかったので
  す。メディアは反省して、断絶がどういうものかを理解する
  努力をするべきです」。
   日本でもメディアと政権の信用度は逆転しつつある。新聞
  通信調査会による世論調査によると、新聞の信頼度は100
  点満点中68・6点で、民放テレビは59・1点だ。しかも
  年々、信頼度は低下傾向にある。片や安倍政権の内閣支持率
  は66%と高水準が続く。安倍晋三総理はこうした状況を歓
  迎しているようだ。産経新聞によると、安倍総理は昨年11
  月に行われたトランプ大統領との初会談で、こう言ったとい
  う。「実はあなたと私には共通点がある」。怪訝な顔をする
  トランプを横目に安倍は続けた。「あなたはニューヨーク・
  タイムズに徹底的にたたかれた。私もNYTと提携している
  朝日新聞に徹底的にたたかれた。だが、私は勝った・・・」
  これを聞いたトランプは、右手の親指を突き立ててこう言っ
  た。「俺も勝った!」と。     http://bit.ly/2CUt1Vq
  ───────────────────────────

ニューヨーク・タイムズ誌掲載の風刺画.jpg
ニューヨーク・タイムズ誌掲載の風刺画
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2018年03月06日

●「外国人記者の記事にも目を光らす」(EJ第4717号)

 ドイツの有力紙に「フランクフルター・アルゲマイネ」という
新聞があります。その新聞社の東京特派員だったカルステン・ゲ
ルミス記者が、日本外国特派員協会(FCCJ)の機関紙に、あ
る記事を寄稿したのです。その内容は、自分が東京で記者在任中
に日本政府から受けた「屈辱的攻撃」についてです。FCCJの
機関紙は「Number 1 Shinbum」といい、大変有名です。
 これについて、元ニューヨーク・タイムズ東京支局長マーティ
ン・ファクラー氏は、次のように述べています。
─────────────────────────────
 15年4月まで、同紙の東京特派員を務めていたゲルミス記者
は、14年8月に「安倍政権の歴史修正主義が中韓のつながりを
強め、逆に日本を孤立化させる」といった主旨の記事を書いた。
すると、在フランクフルト総領事がアルゲマイネ紙本社に抗議に
訪れたというのだ。
 総領事はゲルミス記者の記事を中国が反日プロパガンダに利用
しており、「オカネが絡んでいるのではと疑ってしまう」。「中
国に渡航ビザを許可してもらうためでは」と文字どおり侮辱的な
発言をしたそうだ。ゲルミス記者はそうした発言を、寄稿した記
事の中ですべて否定し、外務省への怒りをあらわにした。外務省
はなぜアルゲマイネ紙と衝突するようなやり方をしたのだろう。
同紙はドイツにおける保守系の新聞で常日頃、落ち着いた論調を
紙面で展開している。何か極端な主張をして、日本政府を攻撃す
るようなメディアではない。  ──マーティン・ファクラー著
      『安倍政権にひれ伏す日本のメディア』/双葉社刊
─────────────────────────────
 海外メディアは、日本のイメージを世界に伝える貴重な存在の
はずです。そういうメディアに対して、なぜ安倍政権は、記事内
容が気に入らないと、わざわざその記者の所属する新聞社の本社
に領事館の職員を訪問させ、抗議し、威嚇するような態度をする
のでしょうか。韓国がやっているように、もう少し海外メディア
に、戦略的に対応できないものでしょうか。
 「報道ステーション」を降板させられたあの古賀茂明氏は、日
本外国特派員協会から要請され、記者会見を行っています。日本
の大手メディアで、この古賀事件を取り上げるところが皆無のな
かで、FCCJは記者会見を申し入れてきたのです。このときの
FCCJの記者会見の印象について、古賀茂明氏は、次のように
語っています。
─────────────────────────────
 海外のメディアは、会場入りしたときから、私を非常に温かい
雰囲気で迎えてくれた。そうして私の講演に真剣に耳を傾け、メ
モを取る姿を見ていると、単に面白い話を聞きたいということで
はなく、まじめな記事を書こうという熱意が伝わってきた。
 驚いたのは、特派員たちの理解度の高さだ。もちろん、ゴシッ
プ的な質問は皆無。「報道の危機」という問題の本質をついた問
いが相次いだ。しかも、質問した全員が私の行動を称賛し、私以
上に日本のマスメディアの問題点を鋭く指摘した。私にとっては
久しぶりにまともな世界に身を置いて、自分自身が解放されるよ
うな感覚に包まれた。
       ──古賀茂明著/講談社刊/『日本中枢の狂謀』
─────────────────────────────
 2015年5月3日、「世界報道自由デー」と名付けられたこ
の日に、古賀茂明氏はFCCJから、報道の自由を促進する運動
に取り組んだ個人に対して贈られる「報道の自由の友賞」を授与
されています。
 受賞理由としては「表現の自由を抑圧しようとする政府に対す
る批判と、東京電力の問題を含む日本の政治や産業界に関する鋭
い評論活動に対して」とあります。FCCJは、古賀氏のジャー
ナリストとしての活動を精査し、著書も読むなどして、受賞を決
めているのです。
 ところで、ニューク・タイムズのマーティン・ファクラー氏が
東京支局長として赴任したのは2009年2月のことであり、そ
の直後の3月3日、当時の小沢一郎民主党代表の第一秘書である
大久保隆規氏が東京地検特捜部に逮捕される陸山会事件が起きる
のです。自民党一党支配の日本の政治が最も混乱し、動揺してい
た頃のことです。そして、同じ年の2009年9月に、自民党か
ら民主党への政権交代が起こり、自民党が下野して、鳩山内閣が
誕生します。そのとき、政権のメディアに対する姿勢が一変した
のです。ファクラー氏は、当時の鳩山政権のメディアへの対応を
次のように評価しています。
─────────────────────────────
 海外メディア記者として一番取材がしやすかったのは、民主党
政権時代だ。岡田克也氏が外務大臣になったときなど、外務省の
記者会見を真っ先に記者クラブ以外のメディアにも開放してくれ
た。雑誌やネットメディア、フリージャーナリスト、私のような
海外メディアの記者などから質問が出たとき、岡田大臣は真剣に
答えようとしてくれた。あのような記者会見のスタィルは、日本
の歴史を通じて極めて稀だ。東日本大震災が起きると、極端な情
報統制を行った民主党政権だが、以前に関して言えば、国民の知
る権利について最も真剣に向かい合っていたと断言できる。
         ──マーティン・ファクラー著の前掲書より
─────────────────────────────
 今や民主党政権というと、ボロクソのようにいわれますが、少
なくとも、メディア対応に関してはきちんと公約を守り、理想的
であったといえます。そのとき、国民は政治が何をしようとして
いるかが、自民党時代より、かなりよく見えたはずです。
 しかし、ファクラー氏も指摘しているように、菅政権になって
東日本大震災が起きると、突然隠蔽体質に逆戻りし、それが民主
党政権のイメージを著しく悪化させたのです。4つに分割された
民主党を引き継ぐ政党は、現在でも、その負の遺産を引きずって
います。        ──[メディア規制の実態/041]

≪画像および関連情報≫
 ●会見要請を辞退された外国特派員協会が安倍政権に困惑
  ───────────────────────────
   外国プレスが所属する日本外国特派員協会(FCCJ)が
  安倍政権に“困惑”している。FCCJは、参議院選挙前に
  6人の自民党幹部へ会見を要請したが、すべて「多忙」を理
  由に辞退された。14年の衆院選時も同様に自民党から会見
  を辞退されたという。「70年の実績があるFCCJ史上は
  じめての事態が続いている」とピーター・ランガン会長は訴
  える。以前の自民党では外相、防衛相などの会見は恒例とさ
  れ、第2次安倍内閣発足時には、菅義偉官房長官を含む閣僚
  が会見に応じたこともあった。しかし、最近は、FCCJの
  要請は繰り返し拒否されているという。なぜなのか?
   FCCJ報道企画委員会共同委員長で、ブルームバーグ・
  ニュースエディターのアンディ・シャープさんは、臆測は避
  けたいがと前置きした上で、「14年、拉致問題担当相だっ
  た山谷えり子議員の会見が一因ではないか」と話す。当時、
  山谷議員の質疑応答の際、外国人特派員らから、本来の目的
  である拉致問題よりも、在日特権を許さない市民の会(在特
  会)との関係について質問が集中したという。意表を突かれ
  質問された山谷議員はしどろもどろの回答に終始。FCCJ
  会員の外国人特派員がこう主張する。「協会主催の会見は、
  まとまりが悪い、フリーランスの出席も多いため、やりにく
  いという声がそれ以降、自民党議員から聞こえるようになっ
  た」。              http://bit.ly/2oMwSyO
  ───────────────────────────

マーティン・ファクラー氏.jpg
マーティン・ファクラー氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | メディア規制の実態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月07日

●「報道の自由度/日本は世界72位」(EJ第4718号)

 「国境なき記者団」という組織があります。言論の自由(報道
の自由を含む)の擁護を目的とする非政府組織です。1985年
に、フランスの元ラジオ局記者、ロベール・メナールによってパ
リで設立されています。
 具体的に何をやっているのかというと、世界中で拘束されてい
るジャーナリストの救出、死亡した場合の家族の支援、各国のメ
ディア規制の動きへの監視・警告を主な活動としています。20
02年からは、毎年14の団体と130人の特派員、ジャーナリ
スト、調査員、法律専門家、人権活動家たちが、それぞれの国の
「報道の自由レベル」を評価し、ランキングしています。「世界
報道自由ランキング」です。最新の2017年度のランキングベ
スト10をご紹介します。
─────────────────────────────
   ≪世界報道自由ランキングベスト10/2017≫
    1位:ノルウェー     6位:コスタリカ
    2位:スウェーデン    7位:スイス
    3位:フィンランド    8位:ジャマイカ
    4位:デンマーク     9位:ベルギー
    5位:オランダ     10位:アイスランド
─────────────────────────────
 どのような基準でランキングを判定しているかですが、180
ヶ国のメディア専門家、弁護士、社会学者からの、87の質問を
問うアンケートが配られ、その結果を数学的に計算し、評価を決
めるのです。
 第1位のノルウェーは、ここ15年間をとっても10回が第1
位であり、一番下がったランクは2006年の6位だけという素
晴らしいものです。第2位のスウェーデンは、平均すると10位
〜12位の国ですが、2015年から上昇しています。2015
年は第5位、2016年は第8位、そして2017年は第2位と
ランクアップしています。
 第3位のフィンランドは、今年こそ3位に甘んじていますが、
ノルウェーと1位争いをしてきた国です。過去15年をとっても
1位が11回とノルウェーを上回っています。15年間で、ノル
ウェーと同列1位が4回もあるのです。
 それでは、2017年ワースト10にはどういう国がはいって
いるでしょうか。おおよそ見当はつきますが、ワースト10は次
の通りです。
─────────────────────────────
 ≪世界報道自由ランキングワースト10/2017≫
  171位:赤道ギニア   176位:中華人民共和国
  172位:ジブチ     177位:シリア
  173位:キューバ    178位:トルクメニスタン
  174位:スーダン    179位:エリトリア
  175位:ベトナム    180位:北朝鮮
─────────────────────────────
 注目すべきは、176位に中華人民共和国(中国)がランクさ
れていることです。中国は、2002年には138位というこの
国としては上位のランクにあったのですが、習近平氏が総書記に
就任した2012年の174位から、さらに3ランク下がって、
現在では176位に定着しています。そして、最下位の180位
は北朝鮮です。この国については、もはや何もいうべきことはな
いし、コメントしたくもありません。
 重要なことは、ここにG7(日本、アメリカ、イギリス、ドイ
ツ、フランス、カナダ、イタリー)の国は、一国も入っていない
ことです。2017年度のG7の順位を以下に示します。
─────────────────────────────
          16位:ドイツ
          22位:カナダ
          39位:フランス
          40位:イギリス
          43位:アメリカ
          52位:イタリア
          72位:日本
─────────────────────────────
 情けない話ですが、日本は順位を下げて、52位のイタリアよ
りも20ランクも下の72位です。それも、2013年の安倍政
権の発足以降、急速にランクを下げているのです。
 そこで、世界報道自由ランキングと内閣との関係を調べてみる
と、次のようになります。
─────────────────────────────
   2006年/37位 ・・・ 小泉内閣/安倍内閣
   2007年/51位 ・・・ 安倍内閣/福田内閣
   2008年/37位 ・・・ 福田内閣/麻生内閣
   2009年/29位 ・・・ 麻生内閣/鳩山内閣
   2010年/17位 ・・・ 菅 内閣
   2011年/11位 ・・・ 菅 内閣/野田内閣
   2012年/22位 ・・・ 野田内閣/安倍内閣
   2013年/53位 ・・・ 安倍内閣
   2014年/59位 ・・・ 安倍内閣
   2015年/61位 ・・・ 安倍内閣
   2016年/72位 ・・・ 安倍内閣
   2017年/72位 ・・・ 安倍内閣
                   http://bit.ly/2FR9J6v
─────────────────────────────
 安倍政権、とくに第2次政権になってからの順位の落下は明確
です。2013年の53位から年々落下し、72位になっていま
す。これに対して、民主党政権ではランクは大幅に上昇し、20
11年には11位になっています。とくに、岡田、亀井両大臣は
記者クラブに関係なく、多くの記者を受け入れていたのです。
            ──[メディア規制の実態/042]

≪画像および関連情報≫
 ●日本は「報道の自由」を失っていくのか(安倍政権)
  ───────────────────────────
   国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF,本
  部パリ)は、2017年4月26日,2017年の世界各国
  の報道自由度ランキングを発表し,日本は72位だった。日
  本はG7=主要7か国で最低の順位で、推移を見ると、20
  10年は11位,2012年は22位,2013年は53位
  2014年は59位,2015年は61位,2016年は、
  72位と年々順位を下げている(あのトランプ政権で揺れる
  米国ですら43位である)。
   特に2012年から2013年にかけて大きく順位を下げ
  ているが,これは第2次安倍政権の影響も否定できないだろ
  う。以後,毎年順位を下げ続けており,前述のように主要先
  進国の中で最下位になってしまった。
   順位を下げた理由について,「国境なき記者団」は,東日
  本大震災や東京電力福島第一原子力発電所の事故の際に報道
  が規制されたり,情報の開示が限られたりしたと指摘してい
  るほか特定秘密保護法が施行されたことなどを挙げている。
  私は,上述のように2011年に起きた東日本大震災の際の
  報道姿勢から潮目が変わったと思っている。当時は民主党政
  権であったが,官邸からかなり報道規制があったと聞く。未
  曾有の大震災であるから「パニックを防ぐ」名目で情報を出
  さないのではなく,未曾有であるからこそ何もかも明らかに
  して,国民共々対応するべきであると思う。
                   http://bit.ly/2oOfBVK
  ───────────────────────────

オープン公開の岡田外相(当時)の記者会見.jpg
オープン公開の岡田外相(当時)の記者会見
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2018年03月08日

●「メディアが安倍政権に過度に忖度」(EJ第4719号)

 2016年2月4日のことです。衆院予算委員会において、民
主党の階猛議員(当時)が、安倍首相に対し、安倍政権を批判し
た報道番組のキャスターが次々と降ろされている事実を踏まえて
自民党の憲法改正草案について、次のように質問したのです。
─────────────────────────────
 表現の自由を制限し、言論機関を萎縮させていないか。言論機
関が、権力者の意向を忖度し、権力者への批判を控えるようにな
るのではないか。こういったことは民主主義の健全な発展にとっ
てマイナスである。          ──民主党/階猛議員
─────────────────────────────
 これに対して安倍首相は、少し憤然として、「日刊ゲンダイ」
を例に取り上げて、次のように答弁しています。
─────────────────────────────
 現在、まるで言論機関が萎縮しているかのような表現があった
が、全くしていない。今日、帰りにでも「日刊ゲンダイ」を読ん
でみてくださいよ。これが萎縮している姿ですか。全く萎縮して
いない。むしろ言論機関に対して失礼だ。    ──安倍首相
                   http://bit.ly/2H2bwFd
─────────────────────────────
 確かに「日刊ゲンダイ」のタイトル表記は、次のようにかなり
ストレートで、過激な表現です。
─────────────────────────────
◎データ捏造ぐらい朝飯前/一時が万時ペテン内閣の欺瞞政治
        ──2018年2月21日発行/日刊ゲンダイ
◎安倍首相よ どのツラ下げて改憲、3選?
        ──2018年3月 2日発行/日刊ゲンダイ
─────────────────────────────
 確かに、他のメディア規制国で、これほど露骨な政権批判はで
きないと思います。そういう意味では安倍首相の答弁にも一理あ
るといえなくもありません。
 安倍政権に批判的な立場をとる田原総一朗氏は『週刊朝日』の
コラムで、安倍政権による一連のメディア規制について、次のよ
うに述べています。
─────────────────────────────
 私は、安倍政権により「政府の圧力」が強まったというより、
放送局の体質が脆弱になったのだととらえている。「圧力」では
なく、放送局の自己規制によって番組が無難化しているのであり
気骨があって評価されていたキャスター3人が、いずれも3月末
に降板したのも、放送局の自己批判であった。──田原総一朗氏
                   http://bit.ly/2oNKI3T
─────────────────────────────
 安倍首相は異常なほど自身が批判されることを嫌います。国会
での答弁でも、少しでもヤジられると、それを気にしてイライラ
するタイプです。そのため、批判されないように、メディアのト
ップとコンタクトし、協力を得ようとします。しかし、それでも
批判するメディアに対しては、強く要望したり、さまざまな圧力
をかけようとするのです。
 それを受け入れるメディアが多いのです。それが自主規制とい
うか、忖度というか、メディアの方が政権の要望を受け入れてし
まう傾向が強いのです。それを田原氏は、「放送局の体質が脆弱
になった」と嘆いているのです。それにしても、メディアは安倍
政権に譲り過ぎであると思います。いいなりです。
 米国のトランプ政権もメディアとは対立しています。しかし、
大統領は、特定メディアを「フェイクニュース」だとして批判し
ますが、メディアを規制しようとはしていません。米国のメディ
アは気骨があり、政権の規制などに屈しないからです。
 これが、米国の43位に対し、日本の72位という報道自由ラ
ンキングにおける米国と日本の差になっているのです。「魚心あ
れば水心あり」というのが、安倍政権と日本のメディアの癒着関
係ではないかと思います。
 「国境なき記者団」は、ネット検閲や情報統制を行っている国
を調査し、それに該当する国家を「インターネットの敵」と呼ん
でいます。2006年から2014年までに「インターネットの
敵」と指定された国は次の通りです。幸いなことに、日本は入っ
ていないし、監視対象国にもなっていません。
─────────────────────────────
    ◎「インターネットの敵の各国」
     アメリカ合衆国    シリア
     アラブ首長国連邦   スーダン
     イギリス       中華人民共和国
     イラン        トルクメニスタン
     インド        バーレーン
     ウズベキスタン    パキスタン
     エチオピア      ベトナム
     北朝鮮        キューバ
     サウジアラビア       http://bit.ly/1QlTFXg
─────────────────────────────
 しかし、「インターネットの敵」でも、その監視対象国でもな
いということは、手放しで喜べないのです。なぜなら、それは、
「それだけのICT技術を持っていない」ということも、意味す
るからです。監視対象国は次の11ヶ国です。
─────────────────────────────
     エジプト       タイ
     エリトリア      チュニジア
     オーストリア     トルコ
     カザフスタン     フランス
     韓国         マレーシア
     スリランカ         http://bit.ly/1QlTFXg
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/043]

≪画像および関連情報≫
 ●2つのランキングを比較する
  ───────────────────────────
   国境なき記者団のランキングは日本の多くのニュース・メ
  ディアがセンセーショナルに報道したので、ご存知の方は多
  いと思う。先進国であるはずの日本が報道の自由度で180
  カ国中72位(前年61位)と、かなり低位にランクされた
  というニュースは、確かにインパクトがあった。
   一方、同時期に発表されたフリーダムハウスの報道の自由
  度については日本ではあまり報道されなかったので、知らな
  い人が多いかもしれない。グーグルトレンドのスコアでは、
  フリーダムハウスが国境なき記者団を圧倒するように、グロ
  ーバルな認知度ではむしろフリーダムハウスの方が高いとも
  言えるのだが、日本が全体の44位というフリーダムハウス
  の結果は良くも悪くもない印象で、ニュースとして扱うには
  平凡に過ぎたのだろう。
   フリーダムハウスのランキングは、ツバルやソロモン諸島
  等の小国を網羅し、国境なき記者団が一まとめに扱う東カリ
  ブ諸国機構(OECS)についてもその構成国をそれぞれ別
  個に評価していることから、実は評価対象が20カ国も多く
  両者を比較するにはまずここを調整しなくてはならない。両
  者がどちらもカバーする評価対象は179カ国。その中での
  日本の順位は、フリーダムハウスが33位、国境なき記者団
  は変わらず72位だ。72位VS44位でも、印象はかなり
  違ったが、72位VS33位となれば違いはさらに際立つ。
  ではどちらかの「報道の自由度」が偏っているのだろうか?
                   http://bit.ly/2oN7gSr
  ───────────────────────────

衆院予算委での階猛議員の安倍首相への質問.jpg
衆院予算委での階猛議員の安倍首相への質問
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2018年03月09日

●「日本のメディアは一体になれない」(EJ第4720号)

 政府の圧力にやすやすと屈してへり下る──これが現在の日本
のメディアです。田原総一朗氏は、こうしたメディアについて、
「放送局の体質が脆弱になったもの」と嘆いていますが、米国の
メディアにはこういうことは考えられないそうです。
 なぜかというと、政府が圧力をかけてきたら、多くのメディア
が結束して反対の論陣を張るからです。これについて、元ニュー
ヨーク・タイムズ東京支局長のマーティン・ファクラー氏は、次
のように述べています。
─────────────────────────────
 「報道ステーション」や朝日新聞に官邸から圧力がかかったの
であれば、こういうときこそ読売新聞も産経新聞も毎日新聞も、
連帯してメディア・スクラムを組み、官邸に反発するべきだ。メ
ディア単体への圧力は、風向きが変われば他のテレビ局なり新聞
社なりへの圧力へとすり替わる。
 ところが日本のメディアは「『報道ステーション』はケシカラ
ン」「朝日新聞は反日報道をしている」とメディア同士でケンカ
をしている。そのケンカを安倍政権はうまく利用しているのだ。
他のメディアが圧力を受けているのであれば、我が事のように憤
る。FCCJが取材拒否に遭っているのであれば、そのことを敢
えて取り上げて問題提起をする。会社という縦割りの縄張り意識
を捨てて、「ジャーナリズム」という一点で日本のジャーナリス
トは団結しなければ、権力者の思うつぼだ。
               ──マーティン・ファクラー著
      『安倍政権にひれ伏す日本のメディア』/双葉社刊
─────────────────────────────
 日本のメディアは、ケンカしているというより、最初から政権
寄りとそうでないメディアに色分けされていて、結束できないの
です。しかも、日本のメディアは、新聞社がテレビ局が系列化さ
れており、メディア全体の色分けが行われているのです。
 系列化の契機になったのは、皇太子(今上天皇)のご成婚報道
なのです。この全国紙とテレビ局の系列化について、砂川浩慶氏
の本から引用することにします。
─────────────────────────────
 1959(昭和34)年の皇太子ご成婚の中継を機にスタート
した、テレビ報道の協力体制で、TBS系列(JNN)は、東京
のTBSと大阪の朝日放送が系列関係を結んでいた。また、東京
のNETは、大阪の毎日放送と系列関係にあった。これを全国紙
側からみれば、東京と大阪で系列関係に捻れが生じていることと
なる。1973年当時、全国紙は各テレビ局に相応の株を持って
いた。このため、朝日新開、毎日新聞、読売新聞の3社間で株式
の整理を行なった。朝日新聞と読売新聞が持っていたTBSの株
は、毎日新聞に譲渡、その一方、毎日新聞・朝日新聞が持ってい
た日本テレビの株は読売新聞に譲渡することとなった。また、N
ETの大株主である朝日新聞と東京12チャンネルの株主である
日経新聞での株式譲渡の詰も進展し、日経新聞が保有するNET
の株を朝日新聞に譲渡することとなった。
      ──砂川浩慶著『安倍官邸とテレビ』/集英社新書
─────────────────────────────
 NET(日本教育テレビ)など、今の若い人は聞いたことはな
いでしょうが、これが総合テレビ局になって、日本テレビになっ
たのです。
 このような経緯で、TBSと毎日新聞、日本テレビと読売新聞
NETと朝日新聞、東京12チャンネルと日経新聞という全国紙
と東京キー局の系列化が進んだのです。全国紙と在京テレビ局関
係図は次のようになっています。
─────────────────────────────
   読売新聞──日本テレビ放送網/読売テレビ放送
   毎日新聞──TBSテレビ──毎日放送
   産経新聞──フジテレビジョン──関西テレビ放送
   朝日新聞──テレビ朝日──朝日放送
   日経新聞──テレビ東京──テレビ大阪
                ──砂川浩慶著の前掲書より
─────────────────────────────
 実は、砂川氏の本にあるような新聞とテレビ局の系列化を主導
したのは、当時の総理大臣田中角栄氏なのです。田中首相の剛腕
がなければできなかったことであるといえます。田中角栄氏が総
理大臣になったのは1972年7月のことです。このときから日
本特有のメディアと自民党政治の関係が、現在の安倍政権まで繋
がっているのです。
 そして現在では、読売新聞系、産経新聞系、日経新聞が政権寄
りであり、毎日新聞系と朝日新聞系が左寄りといわれています。
したがって、政権が圧力を強めてきても、すべてのメディアが一
体になってそれに反対できないのです。
 2012年11月16日、衆議院解散の日です。このとき、T
BSによる「映り込み事件」が起きてます。これはTBSのミス
だったのですが、当時自民党総裁の安倍晋三氏は、直ちにフェイ
スブックで次のように抗議しています。最初からTBS憎しで選
挙が始まったのです。
─────────────────────────────
 11月16日放送のTBS『みのもんたの朝ズバー』で、NH
Kのキャスターの痴漢行為をニュースとして流す中で、なんと私
の顔写真が写し出されたそうです。ネットの指摘で明らかになり
ました。その日はまさに解散の日。ネガティブキャンペーンがは
じまったのでしょうか。もし事故なら私のところに謝罪があって
しかるべきですが、何もありません。(中略)
 これから一ヶ月こうしたマスコミとの戦いです。私は皆さんと
共に戦います。     ──安倍晋三氏のフェースブックより
                ──砂川浩慶著の前掲書より
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/044]

≪画像および関連情報≫
 ●安倍官房長官印象操作映像事件
  ───────────────────────────
  (TBSでは、同じようなミスを2006年にも起こしてい
  る)TBSのニュース番組「イブニング・ファイブ(JNN
  イブニング・ニュース)」は、2006年7月21日に73
  1部隊の特集を組んだ。その内容は、終戦後に日本上陸を果
  たすであろうアメリカ軍に対して、細菌兵器で攻撃する計画
  が731部隊にあったというものであった。その放送の中で
  TBS社内の一室で電話取材を行っている記者に迫る演出が
  あり、その途上にある小道具部屋で山積みされていた小道具
  とともに「安倍晋三顔写真」が約3秒間に渉って映し出され
  た。その際に「ゲリラ活動!?」というテロップが「安倍晋
  三顔写真」に重なって表示されていた。また、安倍晋三顔写
  真の横には構造計算書偽造問題で話題になったヒューザー社
  長小嶋進の顔写真もあった。
   この当時、小泉純一郎のの後継者を選ぶ自民党総裁選が近
  日中に行われる予定で、安倍も有力候補者として出馬するこ
  とになっていた。このことから「TBSが安倍のイメージダ
  ウンを狙った印象操作」という見方が広がった。「小嶋進顔
  写真」が隣にあったのも決して偶然ではなく、小嶋のマイナ
  スイメージを安倍に重ね合わせることを狙ったものであると
  いう見方もある。TBSは「電話取材中の記者を撮影する際
  取材に使った記者室のスペースが狭かったため、隣接する小
  道具部屋に保管してあった安倍官房長官のパネルが映った」
  とし、意図的なものでは無かったと釈明した。
        ──ウィキペディア  http://bit.ly/2FTi2P7
  ───────────────────────────

田中角栄元首相.jpg
田中 角栄元首相
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2018年03月12日

●「なぜ安倍首相は朝日を批判するか」(EJ第4721号)

 「一強」の安倍政権が大きく揺らいでいます。森友学園関連の
決裁文書を財務省が改ざんした疑いによって国会が止まっている
からです。これは、今回のテーマそのものではありませんが、メ
ディアのあり方にも関係するので、考えてみることにします。
 これは、「安倍首相VS朝日新聞」の最終戦争といわれていま
す。安倍首相による国会などでのあまりにも露骨な朝日新聞批判
に対するメディアとしての報復のように見えるからです。
 1月24日のEJ第4689号でも取り上げた2冊の保守系雑
誌があります。安倍政権を熱烈に支援し、それに反対を唱えるも
のを徹底的に攻撃する雑誌です。その最新号である4月号の表紙
を添付ファイルにしてあります。両誌は別の出版社ですが、4月
号の両誌のトップ記事は次の通りです。
─────────────────────────────
 ◎『月刊/Hanada』/2018年4月号
  ・総力大特集/「赤っ恥、朝日新聞」
    「言論の矜持」はどこへ    櫻井よしこ
    哀れ!朝日新聞の自殺     小川栄太郎
    「誤報して逆上」は昔っから   高山正之
 ◎『月刊WiLL』/2018年4月号
  ・やはり逃げたか、朝日論説主幹 
              櫻井よしこ/川村二郎
─────────────────────────────
 両誌はいずれも朝日新聞を取り上げ、激しい言葉で批判してい
ます。両誌の朝日新聞批判はほぼ常態化しており、朝日新聞とし
ては面白くないでしょう。両誌はそうすることによって、安倍政
権を支援しているのです。いわば「安倍首相大好き雑誌」です。
 一方、安倍首相は、国会で朝日新聞を名指しして、批判してい
ます。一国の首相が特定新聞社を名指しして、批判するのは異例
中の異例です。2018年2月20日付、毎日新聞(電子版)は
それを次のように伝えています。安倍首相の発言は、両誌の特集
にもリンクしています。
─────────────────────────────
 安倍晋三首相が先月末から国会の答弁で5回、学校法人「森友
学園」問題に絡んで朝日新聞批判を展開した。自民党参院議員の
フェイスブックにも朝日新聞を「哀れ」と書き込んだ。首相が公
の場などで特定の報道機関のバッシングを続けるのは異例だ。識
者は「首相は自分に都合のよい事実を切り取って自身への批判を
すり替えている」と指摘する。     【青島顕、川名壮志】
                   http://bit.ly/2EGLlqK
─────────────────────────────
 なぜ、朝日新聞は、このように批判されるのでしょうか。それ
には、2人の「吉田」に関わる報道の失敗、それも大失敗がある
からです。不思議なことに、2人とも奇しくも「吉田」という人
物なのです。2人の「吉田」とは次の通りです。
─────────────────────────────
 吉田清冶氏 ・・・ 吉田証言 ・・・    慰安婦問題
 吉田昌郎氏 ・・・ 吉田調書 ・・・ 福島第一原発事故
─────────────────────────────
 この2つの報道によって、朝日新聞は今も責められています。
「吉田調書」については、報道のあり方に関係するので、後で取
り上げて論評する予定です。
 これら2つの報道の失敗があるとしても、なぜ安倍首相は今国
会でわざわざ朝日新聞を名指しして批判するのでしょうか。最近
朝日新聞が、何か安倍政権にとって不都合なことをして、それを
批判するならわかりますが、持ち出してくるのは、すべて過去の
ことばかりです。それを前掲の保守系の2つの雑誌が記事として
取り上げ、コトを大きくするのです。異常ですらあります。リテ
ラの記事に次のような記述があります。
─────────────────────────────
 総理大臣がいちメディアを国会で吊し上げるなど、言論機関を
萎縮させる圧力行為としか言いようがないが、その批判の中身が
またひどかった。なんと安倍首相は、1989年に起こった珊瑚
事件をもち出し「(朝日は)なかなか謝らなかった」と言うと、
今度は福島第一原発事故での吉田調書や従軍慰安婦問題における
吉田清治証言を取り上げ、「吉田所長の調書。これも最初は全然
謝らなかった」「吉田清治の証言にいたってはですね、これはま
さに日本の誇りを傷つけたわけであります」と主張したのだ。
 いったいこの男はいつまで同じインチキな印象操作を続けるつ
もりなのか。本サイトで何度も書いているが、従軍慰安婦の強制
連行をめぐる吉田証言は朝日新聞だけの誤報ではない。産経や読
売、毎日も吉田氏を記事で紹介しており、産経は「被害証言がな
くとも、それで強制連行がなかったともいえない。吉田さんが、
証言者として重要なかぎを握っていることは確かだ」とまで書い
ていた。               http://bit.ly/2BZiQ62
─────────────────────────────
 吉田証言にしても、吉田調書にしても朝日新聞は正式にその非
を認め、謝罪しています。謝罪では済まないことであるとしても
それをわざわざ首相が今国会で蒸し返し、批判することはないと
思います。本にでも書けばよいことです。
 しかし、さすがの朝日新聞も、今国会での安倍首相の度重なる
批判には我慢の限界を超えたようです。そういう2月のある日、
朝日新聞の幹部が、国会議員OBに会ったとき、次のようなこと
を話したそうです。
─────────────────────────────
 自分たちはそれなりにやってきたつもりだが、国会の委員会で
の安倍首相の名指し攻撃は度を越している。そこまでやるなら、
こっちも腹を決めて勝負に出る。森友学園問題に関して隠し玉が
ある。      ──2018日3月5日発行/日刊ゲンダイ
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/045]

≪画像および関連情報≫
 ●月刊誌の『朝日新聞批判』が毎月のように続く理由
  ───────────────────────────
   ジャーナリストの田原総一朗氏はメディアの「朝日新聞批
  判」の訳を説く。「月刊Hanada」や「月刊WiLL」
  などの雑誌が毎月のように朝日新聞攻撃の大特集を展開して
  いる。もちろん言論、表現は自由だから、朝日新聞批判を行
  うのは何の問題もない。だが、毎月のように朝日新聞批判を
  まるで目玉企画としているのは尋常ではない。それほど新し
  い展開はないにもかかわらずだ。つまり、朝日新聞批判を目
  玉とすると雑誌が売れるということなのだろう。
   両誌が朝日新聞批判を大きく報じ始めたのは、森友・加計
  疑惑などが生じて、安倍内閣の支持率が落ち始めたころから
  である。そもそも朝日新聞や毎日新聞、東京新聞などは、安
  倍首相が「戦後レジームからの脱却」を唱え、東京裁判批判
  を展開したころから批判的だった。安倍首相が「ナショナリ
  スト」で、いわば「歴史修正主義」ではないか、ととらえた
  からだ。
   2013年12月に安倍首相が靖国神社に参拝すると、中
  国・韓国だけでなく米国も「失望した」と強く批判した。何
  人もの首相が靖国参拝をしたが、米国が批判をあらわにした
  のはこのときが初めてである。米国も、安倍首相が「歴史修
  正主義」ではないか、と疑ったのだ。
   安倍首相はその後、靖国参拝はしなくなったが、特定秘密
  保護法や集団的自衛権の行使容認など、それ以前の歴代首相
  がタブーとして避けてきた法案を次々に成立させて、野党は
  もちろん、朝日新聞、毎日新聞、東京新聞などは強く批判し
  続けた。いわば、反安倍首相的な姿勢をはっきり示すように
  なった。             http://bit.ly/2p26T6k
  ───────────────────────────

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朝日新聞を攻撃する2月刊誌
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2018年03月13日

●「吉田調書はなぜ非公開になったか」(EJ第4722号)

 2018年3月2日付の朝日新聞朝刊1面トップは、次のよう
に伝えています。
─────────────────────────────
   ◎森友文書書き換えの疑い
    財務省問題発覚後か/交渉経緯など複数個所
     ──2018年3月2日付、朝日新聞朝刊
─────────────────────────────
 これは朝日新聞の渾身のスクープといえます。このところ安倍
首相が先頭に立っての朝日新聞攻撃に対する「報復」ともとれる
スクープです。
 このEJは11日に執筆しています。ところがこの事件は10
日の夜に大きく動いたのです。財務省は、森友決裁文書に「書き
換え」があったことを認め、12日に国会で発表する運びになっ
たのです。まさに激動です。
 それによって事態がどう動くか、このEJ執筆時点では見通せ
ない状況です。そこで、朝日新聞が報道の失敗で謝罪した福島第
一原子力発電所事故「吉田調書」について、新聞のあり方との関
連から、先に書くことにします。特定文書を巡る騒動である点は
今回と同じです。
 2014年の夏は、朝日新聞にとって、さんざんな年であった
といえます。それは、次の2つの朝日新聞の報道が取り消しの処
分になり、朝日新聞は日本中からバッシングを受けることになっ
たからです。
─────────────────────────────
   1.吉田証言の取り消し ・・・ 慰安婦問題報道
 → 2.吉田調書の取り消し ・・・ 福 島原発報道
─────────────────────────────
 ここでは「2」の問題について考えていきます。2014年5
月20日のことです。朝日新聞の朝刊の1面に次の見出しが躍っ
たのです。一大スクープ記事です。
─────────────────────────────
   ◎所長命令に違反、原発撤退、福島第一、所員の9割
    政府事故調の「吉田調書」入手
           ──2014年5月20日付、朝日新聞
─────────────────────────────
 「吉田調書」とは、2011年に発生した東日本大震災による
福島第一原子力発電所事故で、陣頭指揮にあたった吉田昌郎福島
第一原子力発電所所長(当時)が、政府事故調の聴取に応じたさ
いの記録文書であり、400ページ以上あります。当時政権を率
いていたのは、民主党の菅直人首相です。
 しかし、吉田昌郎氏は事故調に対して次の上申書を提出し、第
三者への公表を拒んでいたのです。なお、吉田昌郎氏は2013
年7月に死去しています。
─────────────────────────────
 国会事故調が内部で調査のために用いる限りにおいて承諾する
ものであり、本件資料が、国会事故調から第三者に向けて公表さ
れることは望みません。      ──2012年5月29日
─────────────────────────────
 つまり、吉田調書は本来外に出るはずのない文書なのです。そ
れを朝日新聞の木村英昭記者と宮崎知己記者は入手したのです。
どうやら、朝日新聞の記者はそういう秘密文書を手に入れるのは
得意のようです。そのうえで朝日新聞は、2014年5月20日
付の見出しの記事を掲載したのです。以下は、記事の概要です。
─────────────────────────────
 東日本大震災4日後の11月3月15日朝、第一原発にいた所
員の9割にあたる約650人が吉田氏の待機命令に違反し、10
キロ南の福島第二原発へ撤退していた。その後、放射線量は急上
昇しており、事故対応が不十分になった可能性がある。東電はこ
の命令違反による現場離脱を3年以上伏せてきた。
               ──マーティン・ファクラー著
      『安倍政権にひれ伏す日本のメディア』/双葉社刊
─────────────────────────────
 このとき政府の事故調(事故調査・検証委員会)は、吉田所長
を含む772人の関係者に、合計1479時間もの時間をかけて
聴き取り調査をしています。そしてその最終報告書は、2012
年7月23日に提出されています。しかし、当時の民主党政権は
調査結果を非公開にしています。確かに吉田所長の非公開の要望
はあったものの、政府としては全面非公開にするべきではなかっ
たのです。文書の非公開の扱いは、自民党の安倍政権になってか
らも続き、朝日新聞のスクープが行われるのです。
 朝日新聞の見出しを見ると、福島第一原発にいた東京電力の作
業員のほとんどが、吉田所長が「待機せよ」と命令したにもかか
わらず、10キロ南の福島第二原発に撤退したという意味にとれ
ます。「きっとパニックになり、命令を無視して一斉に逃げ出し
たんだな」というようにとれる内容です。
 しかし、事故調が聴き取りをした作業員の証言によると、命令
の内容がバラバラで、もともと事故のさいは、第二原発に撤退と
いうことになっていたので、それにしたがったまでというように
一貫していないのです。マーティン・ファクラー氏はこれについ
て、次のように述べています。
─────────────────────────────
 「秘密の調書」を熟読してみると、吉田所長の命令は現場まで
正確に伝わっていなかったことが読み取れる。まるで命令が伝言
ゲームのように伝わり、現場のスタッフが聞いた内容は、吉田所
長が出した当初の命令と異なっていた。スタッフが意図的に命令
違反したわけではなく、命令の内容を正確に把握しないまま誤っ
て撤退してしまった。これが実態だろう。
         ──マーティン・ファクラー著の前掲書より
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/046]

≪画像および関連情報≫
 ●「吉田調書」が教える「東電撤退事件」/竹内敬二氏
  ───────────────────────────
   2013年7月に亡くなった吉田昌郎・元福島第一原発所
  長は、政府事故調に400ページにわたる膨大な証言を残し
  ていた。格納容器の爆発危機に直面したとき、作業員の9割
  が所長の意図に反して第二原発に移ってしまった事実も語ら
  れている。菅首相が東電に乗り込んで「撤退は認めない」と
  叫んだ、有名な「東電撤退事件」の真相の一部がやっと現れ
  た。しかし、政府事故調の報告書には、このことがきちんと
  反映されているとは言い難い。現政府は吉田所長だけでなく
  772人に対して行われた調書を「非公表にする」としてい
  る。事故の詳細を教える一級の資料をなぜ出さない。
   吉田氏は政府事故調から計13回、延べ時間29時間にわ
  たって聴取された。担当したのは事故調事務局に出向してい
  た検事。「捜査のプロ」が事実を確認しながら聴取したもの
  で、資料としては一級品だ。この調書は公表された訳ではな
  く、朝日新聞が入手し、独自に2014年5月20日と、そ
  の後に報じた。事故調査では多くの人が聴取されたはずだが
  これほど詳しい記録が残されていることは知られていなかっ
  た。ほかのメディアでは報じられていないため、吉田調書が
  存在が明らかになったニュース自体を知らない人も多いだろ
  う。吉田調書は語り口調のまま書かれており、事故直後の原
  発内の恐怖、焦り、緊張がそのまま分かる。
                   http://bit.ly/2p9JYq7
  ───────────────────────────

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「吉田調書」を伝える朝日新聞の記事
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2018年03月14日

●「なぜ朝日は謝罪に追い込まれたか」(EJ第4723号)

 2011年3月15日朝、福島第一原発にいた東京電力の所員
の90%に当たる650人が、吉田所長の命令に反して、福島第
二原発に撤退したという事実は、当時の菅首相の言動と合わせて
考える必要があります。
 3月14日の深夜のことです。当時の海江田万里経済産業相は
東京電力の清水正孝社長から電話を受けたのです。そのときの清
水社長の申し入れは次の通りです。
─────────────────────────────
 放射線量が多く、これ以上、現場では作業ができません。所員
を第1原発から第2原発に退避させたいのですが・・。
                 ──東京電力清水正孝社長
─────────────────────────────
 海江田経産相は、直ちにそのことを菅首相に伝えたところ、菅
首相は「そんなことあり得ない」と怒鳴ったといいます。菅首相
は、15日午前ち4時17分、怒りを胸に自ら東京電力の本社に
乗り込み、清水社長や幹部社員と対峙します。そのときのやりと
り(想定)は次の通りです。
─────────────────────────────
菅 首相:本当に撤退を考えているのか。
清水社長:いや、そうではありません。すべてを引き揚げるわけ
     ではなく、必要な人員だけ残し、その他は離れるとい
     う意味です。
菅 首相:もし、撤退したときは東電は100%潰れることにな
     るからね。
清水社長:・・・
─────────────────────────────
 しかし、その時点では、福島第一原発からは650人が既に第
2原発に撤退していたのです。首相の許可は得ていない。首相の
判断を待っていたのでは、作業員に多くの死者が出ることを清水
社長はわかっていたからです。
 13日の午後も清水社長は菅首相に官邸に呼び出され、「なぜ
こんな事態になったんだ。あまりにも不手際を繰り返している」
と怒鳴られており、首相から撤退の許可をもらうことは無理と考
えたものと思われます。
 そのとき、清水社長は、菅首相から、政府と東電の統合本部の
設置を打診され、受け入れるしかなかったのです。菅首相として
は、これによって、勝手に撤退などさせないという強い意志を示
したのです。そして、統合本部には、首相の名代として、細野豪
志首相補佐官が常駐し、放射性物質の封じ込めから米国との連携
までを一手に担う体制こなります。
 それでは、朝日新聞の記事はどこが問題だったのでしょうか。
 朝日新聞としては、多くの東京電力の職員が、吉田所長の命令
に違反して撤退したと伝えることによって、強いインパクトを読
者に与えようとしたのです。これは、3月15日の早朝に菅首相
が自ら東京電力本社に乗り込んで、撤退を止めようとしたあのパ
フォーマンスとリンクします。
 しかし、これによって、吉田所長の制止にもかかわらず、多く
の作業員が第一原発から、第二原発に逃げ出したというイメージ
を与えてしまいます。これでは、危険を覚悟して働いている人た
ちにあまりにも失礼です。
 初めて遭遇する危機的状況において、大混乱が生じ、指揮系統
が機能せず、吉田所長の命令が正確に届かなかった。こういう事
実は、正確に報道する必要があります。災害時にはそういうこと
が起きるということを後世に残すためにも、起きた事実を報道す
べきです。そして、そういう事実を伝えることによって、「吉田
調書」というまだ国民に公開されていない調書が存在することを
多くの人に伝えることができるのです。
 これについて、元ニューヨーク・タイムズ東京支局長のマーテ
ィン・ファクラー氏は次のように述べています。
─────────────────────────────
 私から見れば、朝日新聞の「吉田調書」スクープは間違ってい
るわけではない。事実は合っていた。だが、記事の伝え方におい
て、間違えたニュアンスを読者に与えてしまった。「伝えるべき
事実を正確に伝える」という、調査報道において大切な細かな神
経の使い方が不足していたわけだ。その結果、大スクープのネタ
を手につかんでおきながら、朝日新聞は自壊への要因をつくって
しまったのだ。        ──マーティン・ファクラー著
      『安倍政権にひれ伏す日本のメディア』/双葉社刊
─────────────────────────────
 朝日新聞の報道のおかしさに最初に気が付いたのは、吉田昌郎
氏本人に直接インタビューした経験を持つジャーナリストの門田
隆将氏です。門田氏は、「『朝日新聞』吉田調書報道の罪」と題
して、『週刊ポスト』/2014年6月20号に記事を掲載して
います。(巻末「画像および関連情報」参照)
 朝日新聞社は「朝日新聞社の名誉と信用を著しく毀損」してい
るとして、記事の取り消しを求める抗議書を送達し、訴訟による
法的措置をとると警告したのです。
 しかし、8月になると、他の報道機関も「吉田調書」を手に入
れ、朝日新聞のスクープを真っ向から否定する報道が相次いだの
です。8月18日の産経新聞、8月24日のNHK、8月30日
の読売新聞などがそうです。
 これらの動きを受けて、安倍政権も吉田昌郎所長の聴取記録書
を公開することに方針を転換し、2014年9月11日に内閣官
房が「吉田調書」を含む「政府事故調査委員会ヒアリング記録」
を正式に公開したのです。このとき吉田氏が上申書で非公開を求
めていた聴取記録書も本人の遺志に反して公開されています。
 ここに及んで、朝日新聞社は一段と追い詰められ、同日夜に朝
日新聞は木村伊量社長と杉浦信之取締役編集担当は記者会見を開
き、記事を取り消したうえで、謝罪したのです。
            ──[メディア規制の実態/047]

≪画像および関連情報≫
 ●門田隆将 朝日新聞「吉田調書」報道の罪 全文掲載
  ───────────────────────────
   午前6時過ぎ、ついに大きな衝撃音と共に2号機の圧力抑
  制室(通称・サプチャン)の圧力がゼロになった。「サプチ
  ャンに穴が空いたのか」。多くのプラントエンジニアはそう
  思ったという。恐れていた事態が現実になったと思った時、
  吉田所長は「各班は、最少人数を残して退避!」と叫んでい
  る。たとえ外の大気が「汚染」されていたとしても、ついに
  免震重要棟からも脱出させないといけない「時」が来たので
  ある。
   この時のことを朝日新聞は、1面トップで「所長命令に違
  反/原発撤退」「福島第一/所員の9割」と報じ、2面にも
  「葬られた命令違反」という特大の活字が躍った。要するに
  700名近い職員の9割が「吉田所長の命令に違反して、現
  場から福島第二(2F)に逃げた」というのだ。
   その根拠になる吉田調書の部分は、朝日(デジタル版)に
  よると、以下のようなものだ。
   「本当は私、2Fに行けと言っていないんですよ。ここが
  また伝言ゲームのあれのところで、行くとしたら2Fかとい
  う話をやっていて、退避をして、車を用意してという話をし
  たら、伝言した人間は、運転手に、福島第二に行けという指
  示をしたんです。         http://bit.ly/2GgNib4
  ───────────────────────────

作家/門田隆将氏.jpg
作家/門田 隆将氏
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2018年03月15日

●「なぜ朝日新聞は記事を取り消すか」(EJ第4724号)

 朝日新聞の2つの「吉田」の取り消し事件のもうひとつの「吉
田」についても述べておくことにします。
─────────────────────────────
 → 1.吉田証言の取り消し ・・・ 慰安婦問題報道
   2.吉田調書の取り消し ・・・ 福 島原発報道
─────────────────────────────
 「2」の福島原発報道が2014年5月20日であるのに対し
て、「1」の慰安婦問題報道は2014年8月5〜6日であり、
具体的には、次の特集記事です。
─────────────────────────────
         「慰安婦報道を考える」
            2014年8月5〜6日付/朝日新聞
─────────────────────────────
 「1」の「吉田」は、吉田清治氏(故人)という人物です。吉
田清治氏は、福岡県出身とされる文筆家であり、朝日新聞紙上で
従軍慰安婦問題に関する「吉田証言」を発表します。報道記事は
13回、論評は3本です。しかし、十数年にわたって報道してき
た吉田清治氏の記事の大半の証言が、虚偽・創作であったと朝日
新聞自身が認めたのです。それが上記の特集です。
 吉田清治氏は、1982年以降、戦時中に韓国の済州島などで
アフリカの奴隷狩りのように、若い朝鮮人女性を軍令で捕獲・拉
致し、強制連行したと著書や新聞や講演などで語り、日本、韓国
アメリカなどで、何度もそのことを証言して来たのです。
 しかし、この吉田証言については、現代史家の秦郁彦氏が、吉
田氏が慰安婦狩りの舞台になったと証言した韓国の済州(チェジ
ュ)島で徹底的な現地調査を行い、1992年に産経新聞におい
て、その「虚偽性」を指摘したのです。その吉田氏も、96年に
週刊新潮の取材に「創作話」であったことを認めており、虚偽で
あったことは確かなことです。
 安倍晋三首相も、自民党青年局長時代の97年5月27日、衆
院決算委員会第二分科会で「そもそもこの『従軍慰安婦』につき
ましては、吉田清治なる詐欺師に近い人物が〜」と指摘し、首相
就任後の2007年3月5日、参院予算委員会でも「吉田証言は
まったく、後にでっち上げだったことが分かったわけでございま
す」と答弁しています。
 日本人の作家が慰安婦問題について虚偽の証言をする──日本
にとっては迷惑な話であり、外交的にもマイナスな話です。韓国
との関係も依然としてギクシャクしたままです。
 朝日新聞は、1982年からの10年後に秦郁彦氏がその虚偽
性を指摘したにもかかわらず放置し、さらに12年後の2014
年になって、やっと吉田証言がウソであったことを謝罪したので
す。これでは朝日新聞が批判されるのは当然です。
 しかし、元ニューヨーク・タイムズ東京支局長のマーティン・
ファクラー氏は、朝日新聞が吉田証言を取り消したのは間違いで
あると主張しています。吉田証言に疑問がもたれるようになった
のは90年代に入ってからです。それまで朝日新聞の記者は、吉
田氏がウソをついているとは知るよしもなかったのです。ウソと
知りながら、記者が意図的に記事を載せたのではないのです。
 それに吉田証言のことは、他の新聞社でも掲載しています。朝
日新聞以外の全国紙や通信社、地方紙、テレビ局も吉田証言を報
道しているのです。読売新聞、毎日新聞、産経新聞ですら吉田証
言を取り上げているのです。これらのメディアは記事を取り消し
ていません。それなのに、なぜ、朝日新聞だけが記事を取り消す
のでしょうか。
 ファクラー氏は、謝罪をしても、記事を取り消すべきではない
理由を次のように述べています。少し長いですが、なるほどと思
うことが多いので、引用します。
─────────────────────────────
 こんな例を挙げてみたい。19世紀まではニュートンの物理学
が完全に正しいと思われていた。20世紀に入ってから、アイン
シュタイン博士の相対性理論が発表されると、ニュートンの物理
学の一部は間違いだということがわかった。
 だからといって、ニューヨーク・タイムズが19世紀に書いた
ニュートンに関する記事を、すべて取り消す必要があるわけがな
い。人類がもつ知識は、時代の変遷にともなって少しずつ上書き
されていく。情報がアップデートされたときに、アップデート前
の古い情報をいちいち取り消す必要などないのだ。
 太陽系の一番外側にある冥王星は、つい最近までずっと惑星だ
と考えられてきた。06年8月、世界中の天文学者が参画する国
際天文学連合は、惑星の定義をあらためている。これにより、冥
王星は惑星ではなく、「準惑星」ということになった。だからと
いって、ニユーヨーク・タイムズが06年8月以前に「冥王星は
惑星」と書いている記事をすべて取り消すはずもない。
 朝日新聞が「吉田証言」を取り消したのは、「冥王星は惑星」
という過去の記事を取り消しにするかのような対応だ。日本を覆
う右傾化の空気が、想像以上に大きなプレッシャーになっていた
ことは理解できる。だが、必要のない記事取り消しを発表してし
まったがために、安倍政権や右派論客、ネット右翼たちに「それ
見ろ。朝日新聞は間違った情報を垂れ流す報道機関ではないか」
という格好の攻撃材料を与えてしまった。
               ──マーティン・ファクラー著
      『安倍政権にひれ伏す日本のメディア』/双葉社刊
─────────────────────────────
 安倍政権になって朝日新聞は徹底的に攻撃されています。同じ
ように吉田証言を掲載していた他のメディアは口を拭って、朝日
新聞を批判しています。ある新聞社などは、この機会に朝日新聞
を叩き、朝日の読者を自社に乗り換えさせようとする卑劣な手段
までとっています。何しろ、総理大臣まで、いまだに朝日新聞を
攻撃しているのですから、トランプ米大統領のフェイクニュース
を笑えないのです。   ──[メディア規制の実態/048]

≪画像および関連情報≫
 ●「何年かかっても吉田証言の嘘訴える」/奥茂治氏
  ───────────────────────────
   朝鮮半島で女性らを強制連行したと偽証した故吉田清治氏
  の謝罪碑を無断で書き換えたとして、韓国で公用物損傷罪な
  どで在宅起訴された元自衛官、奥茂治被告(69)が出国禁
  止となってから24日で半年となる。公判で、検察は「慰安
  婦問題を歪曲しようとした」と指弾した。慰安婦問題の根源
  となった嘘をただそうと書き換えに及んだ奥被告の前には慰
  安婦問題で異論を許さない韓国社会の「壁」が立ちはだかっ
  た。(ソウル 桜井紀雄)
   「非常に長かったが、日韓で応援してくれる人も大勢おり
  苦にはならなかった」。21日に結審を終えた奥被告は、韓
  国警察の出頭要請で訪韓し、出国禁止措置が取られてからの
  約180日間をこう振り返った。特に長く感じたのが9月に
  在宅起訴を通知されてからの3カ月間だ。高血圧の受診など
  を理由に一時帰国を申し立てたが、認められず、いつ公判が
  始まるか見通しもつかない。裁判所に問い合わせたところ、
  「共犯者がつかまらないから」との説明だった。
   検察は碑の撤去を委任した吉田氏の長男の立件にこだわり
  日本に滞在したまま教唆罪で在宅起訴するという苦肉の策に
  出た。奥被告には公判直前の今月10日に正式な起訴状が届
  いた。「国際的に認定された慰安婦問題を歪曲しようとし、
  韓日外交に摩擦を生じさせかねない」。検察は論告求刑でこ
  う指摘した。奥被告は「日韓友好の妨げになっている吉田氏
  の嘘の碑文を消そうとしてやったこと。全く逆にとられてい
  る」と吐露した。検察には、朝日新聞が吉田氏の虚偽を認め
  記述を取り消した記事などを提出。丁寧に経緯を説明し、理
  解を得られたとの実感があっただけにやるせなさが募る。
       2017年12月24日 http://bit.ly/2FQjNz0
  ───────────────────────────

吉田清冶氏.jpg
吉田 清冶氏
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2018年03月16日

●「吉田調書は『虚報』か『誤報』か」(EJ第4735号)

 2つの「吉田」関連記事──吉田証言と吉田調書の記事を朝日
新聞が取り消したことによって、朝日新聞は各方面から批判の総
攻撃を受けることになります。
 「虚報」と「誤報」という言葉があります。この2つはよく似
ていますが、その意味するところはまったく違います。まさに水
と油ほどの違いがあります。
 「虚報」は、虚偽の事実を真実として伝えることです。この場
合、虚偽であることを知っていたにもかかわらず、真実として報
道することや虚偽の事実を持ち込んだ者にだまされて、それを真
実として報道することも含まれます。これに対して「誤報」とは
調査報道などで、間違っている事実を真実と信じて報道してしま
うことです。
 メディアが「虚報」や「誤報」をしてしまった場合、どう対応
すべきかについて、大石泰彦青山学院大学法学部教授は、次のよ
うに述べています。
─────────────────────────────
 メディアが虚報を伝えた場合には、速やかな調査、記事の取り
消し・削除が必要になり、また関係者に厳しい処分が科せられる
のもやむを得ない。しかし、誤報の場合は違う。この場合にも、
適切な検証と必要な範囲の訂正は必要であるが、関係者の処分に
は慎重であるべきで、取り消しなどとんでもない。
                   http://bit.ly/2FPrkOn
─────────────────────────────
 朝日新聞の場合、「吉田証言」のケースは、吉田清冶という人
物に騙されて、真実でないことを報道したので、虚報といえると
思います。したがって、このケースでは朝日新聞が謝罪して、記
事を取り消したのは正しいといえます。
 しかし、吉田調書については、少なくとも虚報ではあり得ず、
調査報道ではよくある誤報に過ぎないといえます。むしろ、政府
が隠蔽していた772人分の400ページに及ぶインタビュー記
録である吉田調書の存在を明らかにしたことは、朝日新聞の功績
なのです。したがって、その関連記事を取り消すなどということ
は考えられないことです。この件について、大石泰彦教授は、次
のように述べています。
─────────────────────────────
 慰安婦報道のうち、文筆家の吉田清治が日本軍による強制連行
を告白した「吉田証言」報道は、虚報性が高いと思う。しかし、
吉田調書報道が虚報でないことは明白であり、百歩譲ってもそれ
は勇み足の誤報である。むしろそれは、日本という国の体制の根
幹に存在する暗部に肉薄する、まれに見る優れた調査報道であっ
た。しかし、それゆえにこそ――同じく権力の核心に迫った、か
つての沖縄密約報道が徹底的に弾圧されたように――原発再稼働
をもくろむ政治・社会権力は、これに捏造のレッテルを貼りつけ
抹殺したかったのであろう。それは、この国でこれまでにも繰り
返されてきたことであり、今さら驚かないが、朝日の内部の何者
かがこれに呼応し、味噌も糞も一緒にすることで事態をごまかし
同紙が権力者以外は誰も望まない記事の取り消しという“自殺”
に至ったことは驚きであり、本当に残念である。
                   http://bit.ly/2paQiOH
─────────────────────────────
 マーティン・ファクラー氏は朝日新聞が苦労して入手した「吉
田調書」を、他紙は朝日新聞のスクープ以後に労せず入手してい
ます。このとき、吉田調書は基本的には民間の発電所で起きた事
故であるのに、官邸はまるで国家機密であるかのように非公開文
書にしており、簡単には入手できなかったはずです。
 ファクラー氏は、あくまで推測と断って、吉田調書は官邸から
他紙にリークされたものであるといっています。これは「暗黙の
ディール」といいます。それは次のようなものです。
─────────────────────────────
 記者クラブメディアの新聞記者には、暗黙のディール(合意)
がしばしば見受けられる。特別な情報を与えてもらう見返りに、
情報源に都合が良い記事を書くという取引だ。日本経済新聞でも
この類の経済記事をよく見かける。Aという会社がBという会社
を買収しようとしており、同時にCという会社も買収を計画して
いるとしよう。このときAに有利になる記事である場合は、情報
源はBやCではなく、Aである可能性が高い。
               ──マーティン・ファクラー著
      『安倍政権にひれ伏す日本のメディア』/双葉社刊
─────────────────────────────
 ファクラー氏が何をいいたいのかというと、官邸がリークすれ
ば、官邸はAであり、「暗黙のディール」に倣って、産経新聞や
読売新聞は官邸を攻撃しないで、批判はすべて朝日新聞に向うと
考えたからです。官邸の狙い通りです。
 それどころか、読売新聞は、朝日新聞の評価が落ちたことを利
用して、朝日新聞への攻撃を強め、朝日新聞の読者を奪う目的で
「慰安婦報道検証/読売はどう伝えたか」というパンフレットま
で作成し、朝日新聞の購読者宅に大量配布したのです。実に汚い
やり方です。
 しかしその結果は意外なものだったのです。読売新聞は前年同
月比6・1%減と朝日新聞以上に読者数を減らしたのです。20
14年7〜12月のデータです。
─────────────────────────────
 ▼読売新聞  926万3986部/前年同期比6・1%減
 ▼朝日新聞  710万1074部/前年同期比5・9%減
 ▼毎日新聞  329万8779部/前年同期比1・5%減
 ▼日経新聞  275万0534部/前年同期比0・9%減
 ▼産経新聞  161万5209部/前年同期比0・1%減
         ──マーティン・ファクラー著の前掲書より
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/049]

≪画像および関連情報≫
 ●池上彰氏/朝日叩きに走る新聞、週刊誌を批判
  ───────────────────────────
   ありとあらゆるメディア、識者、ジャーナリストが問題の
  本質をネグって、“朝日吊るし上げ”に熱狂する言論状況。
  そんな中、本サイトは逆に朝日を叩く側、読売新聞や産経新
  聞、週刊誌、そして安倍政権に対して、「おまえたちも同じ
  アナのムジナだ!」と徹底批判を展開してきた。付和雷同、
  勝ち馬に乗ることしか考えていないこの国のメディアの中で
  こんな酔狂なまねをするのは自分たちくらいだろうと覚悟し
  つつ・・・。実際、いくら書いても孤立無援、本サイトの意
  見に同調してくれる新聞、テレビ、雑誌は皆無だった。
   ところがここにきて意外な人物が本サイトと同様、メディ
  アの“朝日叩き”への違和感を口にし始めた。その人物とは
  朝日新聞の連載で朝日の報道姿勢を批判するコラムを書いて
  掲載を拒否された池上彰氏だ。
   この問題は、朝日新聞による言論の封殺だとして読者から
  非常な不評を買い、朝日にとって「慰安婦問題」や「吉田調
  書」以上にダメ―ジになったと言われている。ところが、一
  方の当事者であるその池上氏が「週刊文春」(文藝春秋)9
  月25日号の連載コラム「池上彰のそこからですか!?」で、
  朝日を叩いている他のメディアも同じようなことをしている
  と指摘したのだ。    リテラ/ http://bit.ly/ZbHEQW
  ───────────────────────────

朝日新聞/木村伊量社長(当時).jpg
朝日新聞/木村伊量社長(当時)
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2018年03月19日

●「公文書書き換えは重大犯罪である」(EJ第4726号)

 ここで話を3月13日のEJ第4722号の時点に戻します。
3月2日付の朝日新聞朝刊1面トップ記事を再現します。
─────────────────────────────
   ◎森友文書書き換えの疑い
    財務省問題発覚後か/交渉経緯など複数個所
     ──2018年3月2日付、朝日新聞朝刊
─────────────────────────────
 この日を境に森友問題は、国有地決裁文書が書き換えられてい
るという大問題に発展します。またしても火をつけたのは、朝日
新聞です。しかし、いつもは朝日新聞に強いアレルギーを持つ安
倍官邸は、あれほど朝日新聞を攻撃してきたにもかかわらず、あ
まり強い反発を示さず、財務省は書き換えを認め、即日、その責
任をとって佐川国税庁長官は辞任を表明したのです。
 いつもであれば、トランプ米大統領のように「朝日新聞のフェ
イクニュースだ!」と反論する安倍官邸があまり騒がず、書き換
えを認める方向に動いたのです。それほど、朝日新聞の記事内容
が正確だったからです。つまり、安倍官邸は森友関連文書が書き
換えられていることを知っていたからです。もし、知っていたと
すれば、書き換え自体に官邸も絡んでいたことになります。
 問題は、朝日新聞がそのことを伝聞で知ったのか、書き換え前
の原本のコピーを持っているかどうかです。3月7日、首相官邸
で、菅義偉官房長官は、イラ立って、財務省の矢野康冶官房長に
何回も電話して、次のように命じたのです。
─────────────────────────────
   朝日と同じ文書を入手して、はやく官邸に報告しろ!!
                   ──菅義偉官房長官
─────────────────────────────
 朝日新聞の表現は「書き換えの疑い」であり、断定しておらず
極めて慎重です。もし朝日新聞がコピーを持っているなら、なぜ
写真を出さないのか。官邸は疑心暗鬼に陥ったのです。
 当時のある官邸スタッフは、朝日新聞の報道について、次のよ
うに述べていたのです。
─────────────────────────────
 官邸は、朝日が書き換え前の文書をおさえていること自体は、
間違いないと見ています。だが文書は数度にわたって書き換えら
れている可能性があり、どの段階のものを朝日が入手したのかが
わからない。対応のしようがなく、菅官房長官もイライラを募ら
せている。         ──「週刊現代」/3月24日号
─────────────────────────────
 あれこれ考えて、官邸は、大阪地検特捜部から流れたのではな
いかと気が付いたのです。もし、そうであれば、写真はもちろん
のこと、ネタ元をできる限り隠す必要があり、朝日新聞の報道の
慎重さはそれを裏付けています。大阪地検特捜部は、森友問題で
公用文書等毀棄容疑などで、近畿財務局職員の任意の事情聴取を
進めているのです。
 これに関して、杉田和博官房副長官は、オフレコを条件として
次のように記者に話しています。
─────────────────────────────
 朝日の文書がどこから出たものなのか、はっきりしたら、情報
漏洩で犯罪になるでしょう。だから、朝日も書きぶりが難しいだ
ろうね。ネタ元が出せないわけだよ。
              ──「週刊現代」/3月24日号
─────────────────────────────
 なぜ、大阪地検特捜部が森友問題を捜査しているのかというと
次のいきさつがあります。2017年9月15日、東京地検特捜
部は、2つの市民団体から出されていた財務省と国土交通省に対
する背任罪および公用文書等毀棄罪の訴えを受理したことを発表
しています。そこで、その立件捜査を大阪地検特捜部に移送する
ことを通知したのです。
 公用文書を書き換えることは犯罪です。裁判になれば、証拠と
して採用される可能性のある公用文書を書き換えたり、削除した
りすれば、「公用文書等毀棄罪」になりますし、場合によっては
「証拠隠滅罪」に問われ兼ねません。これは重要犯罪です。
 既に大阪地検特捜部は、前理財局長の佐川宣寿氏を事情聴取す
ると発表しています。自民党執行部が、佐川氏の証人喚問を受け
入れたのは、案外これが原因である可能性があります。なぜなら
こういう状況であれば、佐川氏は「その件は、刑事訴追を受ける
可能性があるので、発言を控えさせていただきます」を連発して
証言を拒むことができるからです。
 先日テレビで見ていたら、森友問題の公文書書き換えで、ある
弁護士は、公用文書を書き換えても、書き換え前と書き換え後の
内容の趣旨が変わらなければ、公用文書毀棄罪にはならないと主
張していました。本当かどうかはわかりませんが、最近森友問題
を討論する番組では、必ずといってよいほど、政府側の意見を代
弁する人物が配置されています。少しでも傷を浅くしようとする
官邸の配慮ではないかと思われます。
 別の弁護士によると、この公用文書書き換えは、国会議員の質
問権の侵害であり、偽計業務妨害罪になる可能性もあるというこ
とです。もし、そういうことになったら、1998年の「ノーパ
ンしゃぶしゃぶ事件」のとき以上の犯罪になります。
 このときは、逮捕・起訴された大蔵省(当時)官僚は7人で、
いずれも執行猶予付きの有罪判決が確定しています。そして、こ
の責任をとって、当時の三塚博大蔵大臣と松下康雄日本銀行総裁
が引責辞任し、大蔵省解体の要因になったのです。
 ところで、佐川宣寿氏が理財局長になったのは、2016年6
月のことであり、そのとき、問題の国有地は、8億1900万円
が値引きされ、1億3400万円で学園に売却する契約書が締結
されていたのです。つまり、佐川氏は契約締結当時の理財局長で
はないのです。その前任者こそ捜査する必要があります。
            ──[メディア規制の実態/050]

≪画像および関連情報≫
 ●森友学園めぐり財務省が公文書改ざんか/朝日新聞報道
  ───────────────────────────
   問題となっているのは、2015年〜16年に国が森友学
  園と国有地を取引した際、財務省近畿財務局の管財部門が、
  局内の「決裁」を受けるために作成した2つの公文書だ。2
  つの決裁文書はそれぞれ、国有地の貸付契約と売却契約に関
  するもの。1枚目に決裁完了日や局幹部の決裁印などがあり
  2枚目以降に交渉の経緯や取引内容などが記された「調書」
  が付いている。2017年2月、森友学園をめぐる問題が発
  覚すると、そのコピーが国会議員に提示された。
   森友学園との貸付契約と売却契約をめぐる決裁文書につい
  て、朝日新聞は、2月2日・3日に文書を「確認した」と報
  道。その上で「契約当時のもの」と「国会議員に提示された
  コピー」で、決裁文書の内容に違いがあると報じた。それに
  よると、決裁文書の起案日、決裁完了日、決裁印、番号はコ
  ピーと同じだが、文書の内容について「違いがある」とし、
  森友学園をめぐる問題発覚後に文書内容が改ざんされた可能
  性を伝えた。財務省はこれまでの国会答弁で、森友学園との
  事前の価格交渉を否定する答弁を繰り返していた。
  ・「全て法令に基づいて適正にやっている」(2017年2
   月24日:佐川宣寿・前理財局長=衆院予算委員会)
  ・「価格を提示したこともないし、先方からいくらで買いた
   いと希望があったこともない」(2017年3月15日:
  佐川氏=衆院財務金融委員会)
   一方で、朝日新聞は3日の朝刊で、「確認した」とする決
  裁文書に「学園の提案に応じて鑑定評価を行い」「価格提示
  を行う」などの記載があったと報じた。
                   http://bit.ly/2G2vH8Z
  ───────────────────────────

国会で答弁する佐川理財局長(当時).jpg
国会で答弁する佐川理財局長(当時)
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2018年03月20日

●「関係する3人の財務省元理財局長」(EJ第4727号)

 森友学園との国有地売却交渉では、いろいろな出来事が起きて
いるので、その交渉経過は複雑怪奇になっています。そこで、3
月18日付の朝日新聞を参照にして、その発端から、何が起こっ
たのか、わかりやすく整理してみることにします。
 森友学園の一連の国有地取引がはじまったのは2013年7月
8日のことです。籠池理事長自身が財務省近畿財務局を訪れ、国
有地の取得を申し入れています。8月に入ると、鴻池元防災担当
相の秘書から近畿財務局に電話があり、森友学園は資金繰りに余
裕がなく、土地を購入するまで、土地を貸してほしいと籠池理事
長が要望しているのでよろしく頼むと伝えてきたのです。
 しかし、近畿財務局としては、過去5年間の同種取引で、その
ような取引は例がなく、受け入れには難色を示します。その転機
になったのは、2014年4月28日、籠池理事長が財務局に打
ち合わせで訪れたとき、籠池夫妻と安倍首相の妻の昭恵氏が一緒
に写った写真を提示し、この件には安倍首相夫人が関わっている
ことを暗に示したことです。籠池氏によると、これによって、財
務局の態度は一変したといっています。
 近畿財務局は、本省の理財局に申請文書を送り、昭恵夫人案件
であることや政治家からも問い合わせがあったことを伝えたうえ
で、この「特例的な契約」を認めるよう要請し、理財局から承認
を得ています。2014年6月2日に近畿財務局は、「売却を前
提とした土地貸し付けに協力する」と森友学園に伝えています。
そして7月の人事で、2014年7月から2015年7月まで、
中原広氏が本省理財局長を務めるのです。
 2015年1月8日、昭恵夫人が森友学園を訪問し、その教育
方針に感涙したとする産経新聞のインターネット記事が掲載され
ます。その翌日の9日に近畿財務局が森友学園を訪問し、貸付料
の概算額を伝えています。
 同じ年の1月27日、大阪府私立学校審議会が、森友学園の小
学校設置計画を「条件つき」で「認可適当」と答申しています。
その2日後の29日、平沼赳夫元総務相の秘書が財務省理財局に
電話し、次のように相談しています。
─────────────────────────────
 近畿財務局が森友学園に提示した概算貸付料が高額であり、
 なんとかならないか。    ──平沼赳夫元総務相の秘書
─────────────────────────────
 2015年2月4日、近畿財務局は「10年以内の売却を前提
とした貸し付け契約を結ぶ特例の承認」を本省理財局に申請して
います。そして、2月17日、鳩山邦夫元総務相(故人)の秘書
が、わざわざ近畿財務局に出向いて、貸付料が高額であるので、
なんとかしてやってくれと、交渉しています。何とも親切な話で
あると思います。
 森友学園は、このようにして前例にない10年以内の売却を前
提に土地を貸し付けることを財務省側に飲ませ、そのうえでその
貸付料が高いとして、政治家を動員し、貸付料の減額を迫るとい
うしたたな交渉で財務省を着実に追い込んでいったのです。
 3月26日、森友学園側が「土地が軟弱地盤」であるとして、
貸付料の削減を財務局に要請します。これは、いいがかりに近い
要求でしたが、財務局は、素直に学園側に再検討を約束していま
す。何でも学園側のいいなりです。
 そして、地質調査会社から「軟弱地盤であるとは思えない」と
いう見解を聞いたものの、土地の鑑定をやり直し、それに基づく
貸付料で見積もり合わせを行っています。結果として、貸付料は
下げられ、学園側と財務局は合意に達しています。2015年4
月27日のことです。そして、4月30日、財務省理財局は、近
畿財務局による特例申請を承認するのです。
 5月に入って、公正証書手数料や契約書の違約金条項などでゴ
タゴタしたものの、5月29日に森友学園への土地貸し付けは合
意に達したのです。
 そして、2015年7月、理財局長の中原広氏は国税庁長官に
転出し、迫田英典氏が理財局長に就任します。2015年9月5
日、安倍昭恵氏は、森友学園で講演し、新設予定の小学校の名誉
校長に就任するのです。
 貸し付け合意後、森友学園は費用を用立てて、汚染土などを撤
去し、その費用を支払うよう近畿財務局に求めます。この費用の
支払いについて、2015年秋に籠池氏は、昭恵氏付きの政府職
員に、いつ払ってくれるのか、財務省への問い合わせを依頼し、
その政府職員は財務省から「16年度での予算措置を行う方向で
調整中」という回答を引き出しています。異例のことです。
 ここからが問題なのです。2016年3月11日、森友学園が
「新たなゴミ」を発見したと近畿財務局に連絡してきます。これ
を受けて、3月14日に近畿財務局は現地でゴミの確認に行って
います。そのとき、学園側は「ゴミの撤去費用を差し引いた額で
土地を買い取りたい」と提案したのです。
 4月14日に国土交通省大阪航空局が、ゴミの撤去費用の見積
もりを提出し、ゴミをめぐる学園側との協議内容などを記載した
文書を作成しています。5月中旬には、近畿財務局の職員が学園
とのやり取りで、次の発言していたことが学園側から提出された
音声データで明らかになっています。
─────────────────────────────
 土地の代金はゼロに近い金額まで努力する。しかし、1億3
 千万円を下回る金額はない。     ──近畿財務局職員
─────────────────────────────
 2016年6月17日、財務省本省人事で、迫田英典理財局長
は国税庁長官に栄転し、後任の理財局長として佐川宣寿氏が就任
します。就任の3日後の6月20日、近畿財務局と森友学園は、
ゴミの撤去費用8億1900万円を値引きし、1億3400万円
で学園に売却する契約を締結しています。このように、佐川理財
局長は契約の締結自体には関わっていないのです。
            ──[メディア規制の実態/051]

≪画像および関連情報≫
 ●森友問題の「決裁文書」の書き換えがなぜ問題なのか
  ───────────────────────────
   森友問題で国有地売却に関する決裁文書を巡り、国会審議
  が空転する事態になっている。財務省が決裁文書の原本を国
  会に提出せずにコピーで対応し、しかもそれが原本とは異な
  る内容のものであるという疑惑、つまり改ざんされた可能性
  が強まったのがその発端である。そして3月12日、財務省
  は決裁文書の書き換えを認めた。
   当初野党側からは、決裁手続きにおいて審査をする際の担
  当職員のチェック(ボールペン等を軽く押し押し当ててでき
  る点)の有無が、改ざんの可能性の根拠とされた。一方、与
  党側からは、決裁文書は途中で差し替えられる可能性がある
  のだから、改ざんなどではないといった主張も見られた。
   そもそも官庁の「決裁文書」とは、決裁手続きとはどのよ
  うなものなのか。国会議員も含めて憶測や想像に基づく発言
  が多いように思われるし、一方で元役人の国会議員にとって
  はあまりにも当たり前すぎて、そうしたことは当然分かって
  いるのが前提の発言が多いようで、一般有権者の目からはど
  うも分かりにくく、話が混線しているように思われる。そこ
  で、筆者は元役人として自らの経験に基づいて「決裁文書」
  や決裁手続きとはどのようなものなのか、少々解説してみた
  いと思う(むろん、基本的には同じであっても、府省や個別
  の手続きの性格によって形式等の違いは多少ありうるので、
  その点については予めお断りしておく)。
                   http://bit.ly/2GDRNMQ
  ───────────────────────────

森友問題に関係する2人の元理財局長.jpg
森友問題に関係する2人の元理財局長
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2018年03月22日

●「迫田氏こそ証人喚問の本命である」(EJ第4728号)

 森友学園事件には、3人の財務省理財局長が関係しています。
その理財局長を以下に示します。
─────────────────────────────
   ◎中原 広氏
    2014年7月 4日〜2015年7月 7日
   ◎迫田英典氏
    2015年7月 7日〜2016年6月17日
   ◎佐川宣寿氏
    2016年6月17日〜2017年7月05日
─────────────────────────────
 3月20日に佐川宣寿氏への証人喚問が3月27日に行われる
ことに決まりましたが、少なくとも佐川氏は森友学園への国有地
売却そのものには関わっていないのです。なぜなら、財務省近畿
財務局がゴミの撤去費用として8億1900万円を値引きし、1
億3400万円で森友学園に国有地を売却する契約を締結したの
は2016年6月20日のことであり、佐川氏が理財局長に就任
した3日後のことであるからです。
 つまり、国有地の売却に深く関わっていた理財局長は迫田英典
氏ということになります。確かに佐川氏は国会で「文書は処分し
た」と何回も答弁し、公用文書をその答弁に矛盾しないよう書き
換えた疑惑がかかっているので証人喚問は必要です。しかし、こ
の事件の本質は、国有地を大幅値引きして森友学園に売却したこ
とにあるのです。そうであるならば、迫田英典氏も証人喚問に呼
ぶべきです。
 迫田英典氏は、理財局長に就任した2015年7月から12月
までの間に公式記録に残っているだけでも安倍首相と5回会って
います。首相は、財務省の主計局長や主税局長に会うことはあっ
ても、傍流の理財局長に頻繁に会うなどということは、きわめて
異例なことです。安倍首相は「私は土地の売買には関わっていな
い」といっていますが、果して本当でしょうか。
─────────────────────────────
      安倍首相が迫田理財局長と会った日
       1回目:2015年 7月31日
       2回目:2015年 8月 7日
       3回目:2015年 9月 3日
       4回目:2015年10月14日
       5回目:2015年12月15日
                   ──「首相動静」より
─────────────────────────────
 迫田英典氏が理財局長に就任した2015年7月の時点では、
国有地をいったん森友学園に貸し付け、10年後に買い取る契約
が既に合意に達していたのです。
 そのとき森友学園の籠池理事長は、ここまでの折衝で、安倍首
相夫人の名前を出すと、それが凄い威力を発揮することがわかり
これを利用して近畿財務局に対し、もうひとつ大胆な仕掛けを考
えたものと思われます。それはおそらく土中のゴミの撤去を理由
にして、国有地をタダ同然の価格で手に入れてしまおうという企
みではないかと思われます。
 2015年9月4日のことです。この日、小学校の工事を請け
負った設計会社所長をはじめとする森友学園関係者が近畿財務局
を訪れ、近畿財務局の統括管理官と大阪航空局調査係と話し合い
を行っています。それは、土中のゴミの問題の打ち合わせです。
 ところが、その前日の9月3日午後2時17分、安倍首相は迫
田理財局長と約10分間面談していることが「首相動静」に残っ
ています。その部分の記事を「リテラ」から引用します。
─────────────────────────────
 首相動静によれば、15年9月3日午後2時17分、迫田氏は
理財局長として財務省の岡本薫明官房長とともに官邸入り。10
分間、安倍首相となんらかの話し合いをもっている。しかも、そ
の翌日の午後、安倍首相は国会をサボって大阪入りし、読売テレ
ビの『情報ライブ・ミヤネ屋』に生出演したあと、冬柴鉄三元公
明党幹事長の次男の料理店「かき鐵」で食事。一方、昭恵夫人は
そのまた翌日の9月5日に、森友学園の経営する塚本幼稚園で講
演をおこない、その場で小学校の名誉校長に就任している。
                   http://bit.ly/2GNYZGa
─────────────────────────────
 9月3日の安倍首相と迫田理財局長との会談、翌4日の首相の
大阪入り、同じ4日の森友学園と近畿財務局、大阪航空局調査係
との土中のゴミの問題に関しての協議、翌5日の昭恵夫人の小学
校の名誉校長への就任──バラバラの出来事ですが、つながって
いるようにも見えます。この状態で、安倍首相が、昭恵夫人が森
友学園の小学校の名誉校長に就任することを知らなかったとは、
とても思えないのです。安倍首相は否定していますが、籠池理事
長と直接会った可能性もゼロではないと思います。
 ここで注目すべきは、安倍首相と迫田英典氏の関係です。迫田
氏は1982年に大蔵省入りし、主計局次長などを経て、内閣官
房審議官のとき、第2次安倍政権が発足しています。そのときか
ら、財務省内では、迫田英典氏は安倍首相から目をかけられてい
たといわれているのです。
 それは、迫田氏が安倍首相の地元の山口県下関市の出身である
ことと無関係ではないことです。迫田氏は、第2次安倍政権が発
足したとき、事務次官レースの本命からは外れていた印象があり
ますが、安倍首相を後ろ盾にして事務次官を目指すともいわれて
いたのです。そういう迫田氏が、理財局長として森友学園との交
渉に密接にかかわっていたのです。
 そういう意味で、佐川氏に続いて、迫田氏も証人喚問すべきで
すが、自民党は絶対に応じないと思われます。事件の幕引きのた
めの佐川喚問であり、自民党として出せる唯一無二のカードであ
るからです。しかし、これによって安倍政権の支持率はさらに下
がると思われます。   ──[メディア規制の実態/052]

≪画像および関連情報≫
 ●安倍首相とも近い関係 迫田英典氏こそ森友問題のキーマン
  ───────────────────────────
   佐川宣寿前国税庁長官の「証人喚問」が焦点になっている
  森友問題。しかし関わった財務官僚は佐川氏だけではない。
  佐川氏よりも、深く森友問題に関与していたとされているの
  が、佐川氏の前任だった迫田英典元国税庁長官だ。迫田氏は
  近畿財務局が森友学園と国有地の売却交渉を進めていた時の
  理財局長だった。迫田氏こそ、森友問題の全容を知るキーマ
  ンである。迫田氏の喚問なくして、疑惑解明はあり得ない。
   国と学園は、2015年5月、国有地の定期借地契約を締
  結している。その交渉過程で、当初、近畿財務局は<無理に
  本地を借りていただかなくてもよい>(3月31日付「法律
  相談書」)というスタンスだった。ところが、15年7月に
  迫田氏が理財局長に就任すると流れが一変する。籠池氏が、
  「神風が吹いた」と驚いたほど、近畿財務局は森友学園寄り
  にスタンスを変えているのだ。注目すべきは、迫田氏と安倍
  首相の近い関係だ。
   「迫田氏は、安倍首相の地元・山口出身です。理財局長に
  就任すると、7月31日、8月7日、9月3日と立て続けに
  安倍首相と面談しています。理財局長が首相とこんなに頻繁
  に会うのは異例です。一体、何を話したのでしょうか。直後
  の9月5日には、昭恵夫人が森友の幼稚園で講演し、小学校
  の名誉校長に就任しています」(財務省関係者)
                   http://bit.ly/2G0CKeX
  ───────────────────────────

迫田英典元財務局長.jpg
迫田 英典元財務局長
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2018年03月23日

●「森友学園と日本航空学園の類似性」(EJ第4729号)

 3月19日の参院予算委員会の集中審議において、自民党の和
田政宗議員は、安倍首相を擁護しようとして、暗に野党に対して
次の発言をしています。和田議員は、自民党に何人もいるアベ擁
護派議員の一人で、自民党の広報副本部長を務めています。
─────────────────────────────
 文書に伝聞形で書かれているということで証人喚問に呼べとい
うならですね。山梨のある学校法人が格安で国有地の払い下げを
受けた案件はどうなるんでしょうか。この学校の保護者の会の連
合会長は、野党のある国会議員です。
              ──和田政宗自民党広報副本部長
─────────────────────────────
 この質問は、森友決裁文書のなかに伝聞形で書かれている昭恵
夫人の記述を基にして証人喚問をしようとする野党を批判し、安
倍首相を擁護しようとする発言といえます。
 ところで、「山梨の国有地の払い下げ」とは何を意味している
のでしょうか。気になるので、調べてみたところ、意外な事実が
わかったのです。森友学園、加計学園に続き、さらにもうひとつ
学校法人が登場してきたのです。
 ここで山梨のある学校法人というのは、学校法人日本航空学園
のことです。その日本航空学園は、山梨県内の国有地を約50年
にわたって無断で使い続けていたのです。この国有地は、201
6年5月に評価額の8分の1という格安の価格で、学園に売却さ
れています。森友学園とそっくりです。
 この件を報道したのは、2018年1月8日付の毎日新聞です
が、その一部を以下に引用します。
─────────────────────────────
 山梨県内の国有地を地元の学校法人が約50年無断で使い続け
管理する財務省関東財務局が把握しながら放置した末、2016
年5月に、評価額の8分の1で売却していたことが明らかになっ
た。国は学校法人「森友学園」への国有地売却問題を機に国有財
産の処分の適正化に着手したが、ずさんな管理と不透明な取引の
実態が改めて浮かんだ。
 財務省は国有地を売却した際、原則的に所在地や買い手、金額
日付といった内容しか公表しておらず、毎日新聞が入手した売買
に関する資料などで詳細が判明した。問題の土地は、同県甲斐市
の計約6566平方メートル。学校法人「日本航空学園」が運営
する日本航空高校のキャンパス内にあり、同校がパイロット養成
用の滑走路などとして使っている。
 財務省理財局などによると、国有地は旧建設省が管理して農道
や用水路として利用されていたが、1960年代に学園が周辺の
田畑を買収して滑走路などを整備した際、敷地内の農道なども無
断でその一部にしていた。       http://bit.ly/2psg2W0
─────────────────────────────
 これは、国有地を管理する財務省理財局と、国有地と知りなが
ら、無断使用を続けてきた双方に問題があります。この毎日新聞
の記事を読んだ和田政宗議員は、直ちに次のようにツイートして
います。
─────────────────────────────
 今朝の毎日。財務省が、日本航空学園による国有地占有を放置
し、結局格安で払い下げ。森友もそうだが、こうした国有地売却
が他にもあるのかチェックしなくてはならぬ。政治家の関与ある
なし関係のないところで行われている。毎日の本質を突く記事。
朝日にはこうした記事は書ける?    http://bit.ly/2DJj6Cu
─────────────────────────────
 参院予算委員会での和田氏の発言とこのツイートを見ると、こ
の山梨の例がそうであるように、森友問題も本来政治家案件では
ないというような印象操作をしているようにみえます。
 しかし、山梨の国有地の無断使用の問題は、現職の自民党参院
議員が深く関わっているのです。それは自民党の赤池誠章参院議
員です。現在、前川喜平前文科事務次官が授業を行った中学校に
教育委員会を通じて、文科省から圧力をかけさせようとしたあの
参院議員です。
 赤池議員は2005年の当選ですが、それまでは、この日本航
空学園グループ傘下の日本航空総合専門学校(2006年に日本
航空大学山梨に改称)の学校長を務め、社団法人山梨県研修学校
協会会長に就任していたのです。そういう経歴から、現在は自民
党文部科学部会の部会長を務めているのです。
 それだけではないのです。この学園には、安倍首相と同期のタ
カ派議員の米田健三元内閣府副大臣が、この日本航空学園で、理
事・教育顧問を務めていることがウィキペディアに出ています。
 このように、同学園は自民党と強く結びついているのです。
 リテラによると、日本航空学園の創立者である梅沢義三氏につ
いて、次のように述べています。なぜ、安倍政権には学校にまつ
わる話がいくつも出てくるのでしょうか。
─────────────────────────────
 日本航空学園の梅沢理事長は、「日本文化チャンネル桜」の設
立発起人に名を連ね、『日本航空学園アワー』なる番組が放送さ
れていたほどのゴリゴリの極右。元谷外志雄・アパグループ代表
が塾長・最高顧問を務める「勝兵塾」に参加した際には、「憲法
についてのくだらない議論よりも教育勅語を教えることが必要」
「我が国の伝統文化を教えれば10年後にはスムーズに憲法改正
ができる」「国体をしっかり守りさえすれば憲法なんてどうでも
いい」などと語っており、安倍自民党との親和性が非常に高い学
校法人なのだ。
 保護者・OB会の連合理事という立場の野党議員と、政権与党
議員である元学校長や、安倍首相の盟友的存在である自民党副大
臣経験者ならば、どちらが役所に影響力を誇るか。誰にだってわ
かる話だろう。            http://bit.ly/2DJxcUl
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/053]

≪画像および関連情報≫
 ●第2の森友学園か?/辻田 真佐憲氏
  ───────────────────────────
   先日、山梨県甲斐市の学校法人・日本航空学園が同県内の
  国有地を格安で売却されていたと報道された(「毎日新聞」
  1月8日付)。これにたいし、同学園側は「法律に基づき手
  続きを進めるためのものであり、何ら落ち度はない」と応え
  現在その行方に注目が集まっている。
   同学園理事長の梅沢重雄は、『人生でいちばん大切な10
  の知恵 親子で読む教育勅語』(2014年)を刊行するな
  ど、「教育勅語」に入れ込んでいることでも知られる。その
  ため、一部で「第二の森友学園か?」との観測も流れた。
   戦後、「教育勅語」を学校教育に利用して、大きく話題に
  なったことが2回ある。
   ひとつは、1960年代の島根県松江市の私立・淞南高校
  (現・立正大学淞南高等学校)。もうひとつは、昨年の森友
  学園の塚本幼稚園だ。日本航空学園は、これに続くのだろう
  か。「教育勅語」を利用する学校は「君が代」や軍歌との関
  係が深い。同学園もまた「君が代」を重視し、「君の御楯」
  「御国を負いて」などの歌詞をもつ寮歌を使っている。とは
  いえ、安直な類似の指摘は避けなければならない。そこで、
  イデオロギーの面から、日本航空学園は先行する事例とどこ
  が同じで、どこが違うのか、検証してみた。
   日本航空学園は、戦前の航空学校を前身とし、アジア太平
  洋戦争の敗戦による閉校などをへて、1964年現在の名称
  となった。現理事長の梅沢重雄は三代目で、創立者・梅沢義
  三の孫にあたる。         http://bit.ly/2B3HvBd
  ───────────────────────────

米田健三/赤池誠章両氏.jpg
米田 健三/赤池 誠章両氏
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2018年03月26日

●「安倍首相をめぐる3つの学校法人」(EJ第4730号)

 2018年2月16日のことです。前川喜平前文科省事務次官
は、名古屋市立八王子中学校で、総合学習の授業として講演し、
不登校の経験などに触れ、「自ら学ぶ力、考える力を身につけて
ほしい」と生徒に呼びかけています。なかなか内容のある講演で
あり、感銘を受けた生徒も多かったといわれます。
 このことを中日新聞で知った自民党文科部会の部会長を務める
赤池誠章参院議員と部会長代理の池田佳隆衆院議員が文科省に対
し、前川氏が招かれた経緯や講演内容などについて照会するよう
要求したのです。
 文科省はそれに従い、名古屋市の教育委員会に対し、15項目
に及ぶ質問書を送り、中学校に内容の確認を求めています。その
質問書のなかには、前川氏が法令違反を起こして辞任したこと、
出会い系バーの出入りが報道されていたことの記述もあったので
す。つまり、法令違反で辞職し、出会い系バーに出入りするよう
な人物に、公的教育機関での授業をさせる意図は何かを尋ねてい
るのです。文科省が主体的にする質問ではないといえます。
 これは、とんでもないことです。なぜなら、文科省が自民党の
国会議員から圧力をかけられ、学校の授業内容に介入したことに
なり、教育基本法第16条の「不当な支配」に該当する恐れがあ
るからです。教育基本法第16条は次の通りです。
─────────────────────────────
【教育基本法】
 第十六条 教育は、「不当な支配」に服することなく、この法
律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、
教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協
力の下、公正かつ適正に行われなければならない。
          https://bit.ly/2Ge3Wu7 註:「」は筆者
─────────────────────────────
 文科省としては、自民党議員が中学校への照会を求めてきた時
点で、それは「不当な支配」に該当する恐れがあるので、できな
いとはっきりと拒否すべきだったのです。しかし、要求してきた
2議員は、自民党文科部会の部会長と部会長代理であり、拒否す
ると政策を遂行するさいの協力が得られなくなるということで断
り切れず、質問状を送ってしまったのです。つまり、文科省は権
力に屈したことになります。しかし、これに対する林文科相のコ
メントはピリッとしないものであり、完全に逃げています。これ
は安倍政権の支持率をさらに下げる要因になるはずです。
─────────────────────────────
 文科省としては、あくまで法令に基づいた行為であるが、確認
のさいには、表現を慎重に検討した方がいい。  ──林文科相
─────────────────────────────
 この出来事は、一見すると、現在大問題になっている森友問題
などとは、ぜんぜん関係のない出来事のようにみえますが、実は
そうではないのです。
 それは、赤池誠章参院議員がどういう人物かを知るとわかって
きます。赤池氏は自民党細田派、つまり安倍首相の派閥に属する
安倍チルドレンの一人であり、第2次安倍改造政権で文科省政務
官を務めています。
 赤池誠章議員は、16日のEJ第4729号で述べているよう
に、2005年に国会議員に初当選する前は、日本航空学園のグ
ループ校である日本航空総合専門学校で学校長を務めていたので
す。リテラによると、日本航空学園は次のような学校です。
─────────────────────────────
 日本航空学園では、毎日の朝礼時には「君が代」とともに日の
丸を掲揚、17時になると国旗降下をおこなうといい、梅沢理事
長は「この国旗掲揚と国旗降下のときは、学校中、教師も生徒も
直立不動の姿勢で国旗に敬礼します。教師が会議中であっても、
生徒がクラブ活動中であっても、そのときはいったん中断し、国
旗に敬意を表するのです」と胸を張っている。
                  https://bit.ly/2ILpTPB
─────────────────────────────
 さらに、日本航空学園の現理事長の梅沢重雄氏は、そのための
書籍まで上梓して「教育勅語」の重要性を説いている人物です。
森友学園の籠池理事長とそっくりです。
 しかも、現在、日本航空学園の一部は国有地であり、長年にわ
たって無断使用していたのです。これについては、16日のEJ
第4729号で詳しく述べていますが、結果として非常に格安で
国有地を手に入れています。これも不思議なほど森友学園のケー
スとそっくりです。
 ただ、森友学園の場合は、安倍首相の昭恵夫人が関与している
疑いがありますが、こちらの場合は、安倍首相親派の2人の国会
議員が関与しているのです。彼らにとって前川喜平前文科省事務
次官は「敵」なのです。それは、前川氏が、もうひとつの学校法
人である加計学園獣医学部新設の認可に関して、安倍政権を強く
批判する次の発言をしているからです。
─────────────────────────────
 あったもの(文書)をなかったことにはできない。公正公平
 であるべき行政のあり方が歪められた。
              ──前川喜平文科相前事務次官
─────────────────────────────
 しかも前川前事務次官は、辞任後、各方面から講演に呼ばれ、
安倍政権への批判ともとれる発言を繰り返しています。これは、
安倍首相親派にとって「絶対許せない」ことです。
 その前川氏がこともあろうに、公的教育機関の中学校で講演を
をしたと聞いたので、安倍親派で、しかも、自民党文科部会の部
会長である赤池誠章参院議員は、「まさか政治的なことを話した
のではないか」と反応したのです。常識的に考えても、中学生に
政治の話をするはずもなく、実際に話していないのですが、文科
省に質問したものと思われます。しかし、これはやってはならな
いことです。      ──[メディア規制の実態/054]

≪画像および関連情報≫
 ●文科省の介入以前に、前川氏の学校招聘はありだったのか
  ───────────────────────────
   文科省の前事務次官にして“日本の貧困問題研究家”(た
  だし若い女子限定)でもある前川喜平氏に、名古屋の市立中
  学が講演依頼。その講演内容について文科省が名古屋市教育
  委員会に問い合せメールを送った件が、大きな話題になって
  いる。ネットでは意見も二分しているが、マスコミはだいた
  い批判的だ。その批判とは、「文科省が教育現場に介入する
  ことは許されない」というものだが、ここには「安倍政権が
  裏で動いているはずだ」という見方が透けて見える。そのあ
  たりのことは現時点ではよく分からない。しかし、起きたこ
  とについての論評や考察はできる。そこで今回は、文科省が
  教育現場に介入することの是非以前に、そもそも前川喜平氏
  を講演者として教育現場に招聘することの是非について考え
  てみる。
   まず文科省の件だが、前述のとおり、マスコミは概ね文科
  省の問い合わせに対して否定的だ。文科省が授業の内容を問
  い質すことは教育現場への介入であり、教育の独立性を脅か
  すもので許されないという主旨だが、僕はむしろ文科省が教
  育現場に介入できないことに衝撃を受けた。当たり前だが、
  文科省は教育行政のトップだ。そのトップ組織が教育現場の
  ヒアリングもできないようでは、それこそ教育現場は歪めら
  れる。実際、僕らの世代はその被害にあってきた。
                  https://bit.ly/2FWrlRw
  ───────────────────────────

前川喜平文科省事務次官.jpg
前川 喜平文科省事務次官
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2018年03月27日

●「森友問題と日本会議のキーワード」(EJ第4731号)

 2018年3月23日の朝日新聞の「天声人語」欄は、文科省
に調査を依頼した自民党赤池誠章議員を取り上げ、次のように書
き出しています。
─────────────────────────────
【天声人語】
 2015年に公開された「映画ちびまる子ちゃん イタリアか
ら来た少年」は、文部科学省がタイアップし、全国の学校にポス
ターを配った。外国の子どもと仲良くなる物語ゆえだろう、「友
達に国境はな〜い⊥とある。その表現にかみついた国会議員がい
た。彼はブログで「私は、このポスターを見て、思わず仰け反り
そうになりました」と書いている。「国家意識なき教育行政を執
行させられたら、日本という国家はなくなってしまう」のだそう
だ。文科省の担当課には猛省を促したという。
 子ども向けの宣伝文句も見過ごすことなく、国家意識の危機を
かぎつける。鋭敏な感覚の持ち主なのだろう。この議員、自民党
の赤池誠章氏は、前文科事務次官の前川喜平氏が名古屋市の中学
校で講演したときも素早く動いた。
         ──2018年3月23日付、朝日新聞朝刊
─────────────────────────────
 赤池議員がちびまる子ちゃんの映画のポスターにまでクレーム
をつけているのは驚きですが、彼は日本会議国会議員懇談会のメ
ンバーであり、そのようなクレームを何回も文科省に申し入れて
いるようです。
 この事件でひどいのは文科省の役人です。赤池氏から申し入れ
のあったメールの文章をほとんどそのまま使って名古屋市の教育
委員会に送っていることです。問題は、文書の中にある「道徳教
育が行われる学校の場に」という表現です。要するに、前川氏は
「不道徳な人間と見做し、そういう人間に中学生に話をさせると
はけしからん」という赤池氏の主張をそのままストレートに伝え
ていることです。「天声人語」は、「『国境はな〜い』どころか
行政と学校現場の亀裂が深くなりそうだ」と警告しています。
 この事件のもう一人の当事者である池田佳隆氏についてもご紹
介しておきます。自民党の池田佳隆衆院議員は2012年、自民
党が政権を奪還した衆院選で愛知3区から立候補し、初当選して
います。しかし、以後2回の選挙は、いずれも比例復活している
いわゆる「魔の3回生」で、党の文科部会所属の「安倍チルドレ
ン」の一人です。赤池誠章議員と同じく、日本会議国会議員懇談
会のメンバーです。
 ホームページによると、池田氏は2006年に、安倍晋三首相
(当時官房長官)と面会しファンになったそうです。「日本の経
済、雇用、賃金が回復するのを目の当たりにした」とアベノミク
スを称賛しています。2015年6月、報道機関に圧力をかけて
言論を封じようとする議論が噴出し、問題になった自民党若手議
員の勉強会にも出席していたのです。
 ちなみに、池田佳隆氏は、2007年1月に次の書籍を上梓し
ています。
─────────────────────────────
             池田佳隆著/ダイヤモンド社刊
  『誇り高き国日本/この国に生まれて本当に良かった』
─────────────────────────────
 この本のオビには、あの櫻井よしこ氏が「絶賛」の推薦文を寄
せており、それだけで池田佳隆氏がどういう思想の人物かは理解
できると思います。
 ところで、「日本会議」とか「日本会議国会議員懇談会」とい
うのは、どういう団体なのでしょうか。
 これについては、こういう話があります。財務省は、森友学園
関連文書の改ざんを認め、文書を提出していますが、改ざん前の
原本は提出していないのです。提出したのは、改ざん前と改ざん
後の比較表であって、なぜか原本の提出は依然拒んでいます。3
月20日の「報道ステーション」の概要を伝えるサイトには、次
の記述があります。
─────────────────────────────
 昭恵夫人の関与をめぐり、野党側は財務省太田充理財局長を追
及。改ざんがあった部分だけではなく決裁文書全体を早急に開示
すべきだと要求したが、太田氏は「コンピューターの中がぐちゃ
ぐちゃになっておりそれを作業しているためできない」と拒否。
                  https://bit.ly/2ucOWId
─────────────────────────────
 「コンピュータがぐちゃぐちゃになっている」という表現は、
ウソに決まっており、提出できない言い訳です。原本を提出でき
ないのは、まだ隠していることがあるからです。一説によると、
原本には日本会議に関する記述があり、そのため提出できないと
もいわれています。
 日本会議のウェブサイトを見ると、「日本会議とは」の冒頭に
次の記述があります。
─────────────────────────────
 私たちは、美しい日本の再建と誇りある国づくりのために、
 政策提言と国民運動を推進する民間団体です。
                 https://bit.ly/1U7EeU4
─────────────────────────────
 もう少し具体的に言うと、「戦後失われた国民精神をおしひろ
め、日本を愛し、日本人らしく誇りをもって生きましょう」と提
言する民間団体が日本会議です。ちなみに、「日本会議国会議員
懇談会」というのは、日本会議を支援する超党派の議員によって
構成される議員連盟のことをいいます。
 「美しい国」といえば、安倍首相の同名の本を思い出しますが
そもそも森友学園の問題は、日本会議というキーワードから読み
解くと、すべてすっきりと理解できるのです。しかし、なぜか、
メディアは日本会議というワードを一切使わないのです。非常に
不気味な話です。    ──[メディア規制の実態/055]

≪画像および関連情報≫
 ●日本最大の右派団体「日本会議」と日本の黒幕/魚住昭氏
  ───────────────────────────
   ちょっと前の話になるが、2015年6月15日、日本外
  国特派員協会での記者会見で面白いやりとりがあった。質問
  者はエコノミスト誌のマクニール記者。答えたのは慶応大名
  誉教授の小林節さん(憲法学)である。
   小林さんは、例の憲法審査会で安保法制を「違憲」と言い
  切った3学者の1人だ。もともとは憲法学会で改憲派を代表
  する存在だったが、今回の安倍政権の解釈改憲については、
  立憲主義の根幹を揺るがすものだとして真っ向から反対して
  いる。
   マクニール記者「集団的自衛権行使を合憲としている憲法
  学者が3人いて、彼らはみんな、日本会議に属している。そ
  れは何を意味しているのか?」
   日本会議は安倍政権の”黒幕”とも噂される日本最大規模
  の右派団体だ。そしてマクニール記者の言う3人とは、菅官
  房長官が安保法制を支持する憲法学者として名を挙げた西修
  ・駒沢大名誉教授ら3氏を指す。
   つまりマクニール記者はこう訊いたのである。日本の憲法
  学会に数えるほどしかいない”合憲派”の顔ぶれを見ると、
  そろいもそろって日本会議の関係者だ。これはどういうこと
  か。単なる偶然とは思えない、と。https://bit.ly/1ShIdNb
  ───────────────────────────

文科省に問い合わせた件でコメントする池田衆院議員.jpg
文科省に問い合わせた件でコメントする池田衆院議員
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2018年03月28日

●「本当は日本会議案件ではないのか」(EJ第4732号)

 森友学園事件で一番よくわからないのは、森友学園という大阪
の一学校法人が設立しようとする小学校の土地取得のために、官
庁のなかの官庁といわれる財務省が、かなりの無理をしてまで、
なぜ、協力しようとしたかです。
 それは「日本会議」というキーワードをあてはめて考えると、
その謎は解けてきます。しかし、「日本会議」というキーワード
は、メディアはもちろんのこと、この問題の国会答弁においても
野党を含む国会議員は誰も口にしないのです。
 このような書き方をすると、日本会議がまるでフリーメイソン
のような秘密結社のように見えるかもしれませんが、日本会議は
けっしてそういう組織ではありません。
 しかし、「日本会議=カルト組織」という見方は、どう考えて
も違憲である集団的自衛権の可決を強行し、メディアへの報道管
制を厳しくして、国民を管理しようとしているように見える安倍
政権のやり方を見ていると、強い説得力を持ってきます。だが、
この見方は必ずしも正しくないのです。
 そうなると、ここで日本会議論を展開しなければなりませんが
そうなると、戦後日本の右翼の歴史をたどる必要があり、相当の
回数を要することになります。今回は安倍政権のメディア規制が
テーマであり、テーマを逸脱することになります。そこで、これ
は別テーマとして改めて取り上げることにします。
 日本会議については、ネット上には多くの記事があり、複数の
単行本も出版されていますが、見当外れの記事や著作も存在しま
す。多くの記事を読みましたが、次の記事がとてもよくまとまっ
ているので、一読されることをお勧めします。
─────────────────────────────
                    ──高島康司著
  「安倍政権の背後にある『日本会議』の知られざる実態
  と自民党」         https://bit.ly/1YPL18x
─────────────────────────────
 高島康司氏は日本会議を次のように捉えています。これはなか
なかユニークな捉え方であると思います。
─────────────────────────────
 一般の認識とは大きく異なり、「日本会議」とは最近出て来た
極右組織ではない。「日本会議」が結成されたのは1997年だ
が、この組織は日本のあらゆる右翼団体が結集する巨大なプラッ
トフォームのようなものである。それは単一の組織として見るよ
りも、独自に活動しているさまざまな右翼組織の象徴であり、ハ
ブであると見た方がよい組織だ。「日本会議」そのものは、19
97年に結成されたが、これに参加している右翼組織は、はるか
に長い歴史を持つ。戦後70年の日本の裏面史を代表するような
存在なのだ。         ──高島康司著の前掲記事より
─────────────────────────────
 ところで、森友学園への国有地の売却に財務省が多くの便宜を
図ったのは、一般にいわれているような「昭恵夫人案件」という
よりも、「日本会議案件」だったのではないかと思われるフシが
多々あります。
 森友学園の当時の理事長の籠池泰典氏は、日本会議大阪の50
人いる運営委員の1人であり、いかにもそのメンバーらしく、森
友学園が運営する塚本幼稚園では、園児に教育勅語を暗唱させた
り、軍歌まで歌わせることで、大阪ではとても有名な存在だった
のです。
 もちろん、総理の安倍晋三氏はもとより、麻生財務相も日本会
議のメンバーであり、財務省近畿財務局から見ると、まさしく特
例の日本会議案件だったのです。ちなみに、日本会議に参加して
いる超党派の国会議員で構成する「日本会議国会議員懇談会」は
2015年9月現在、281名。そのうち、246名が自民党に
所属しています。同会の役員構成をみると、とても興味深いこと
がわかります。
─────────────────────────────
◎日本会議国会議員懇談会の主な役員/2014年現在
 特別顧問 ・・・ 麻生太郎、安倍晋三
 顧問   ・・・ 谷垣禎一、石原慎太郎、亀井静香
 相談役  ・・・ 額賀福志郎、石破茂、山東昭子、鴻池祥筆
 会長   ・・・ 平沼赳夫
                  https://amba.to/2HZIBC2
─────────────────────────────
 注目すべきは、これらの役員のうち、会長の平沼赳夫氏の秘書
や相談役の鴻池祥筆氏が森友学園の土地取得の件で、財務省近畿
財務局に電話や、直接訪問するまでして、働きかけていることで
す。日本会議案件であるからこそ、そういう働きかけが行われた
ものと考えられます。なお、これらの日本会議のメンバーの多く
が塚本幼稚園で講演を行っていて、このことから、森友学園は日
本会議の人脈によって作られた学園であると考えられるのです。
 日本会議の狙いは、幼稚園や小学校の段階からの教育によって
日本会議が理想とする人材を育てることにあります。そのため、
日本会議にとって理想に近い教育をしている森友学園を援助し、
「瑞穂の国記念小学院」を作らせたかったのではないか、と思わ
れるのです。
 もし、そうであったとしたら、安倍昭恵夫人が名誉校長を引き
受けることは理解できるし、小学院の土地取得についても協力を
するはずです。昭恵夫人の100万円の寄付も本当のことからも
しれないのです。このように、「日本会議」というキーワードを
を通して考えると見えてくるものは多くあります。
 それに、財務省がここにいたっても森友決裁関連文書の原本を
提出しないのは、そこに日本会議の関わりを示す表現が多く出て
くるからではないかと思います。このままでは、おそらく原本は
提出されないのではないかと思います。何があっても、これが日
本会議案件であることだけは隠したいからです。
            ──[メディア規制の実態/056]

≪画像および関連情報≫
 ●「保守じゃなくネトウヨ」/日本会議/2017年7月
  ───────────────────────────
   ますます疑惑が深まっている学校法人森友学園の国有地格
  安払い下げ問題。さすがにまずいと思ったのか、籠池泰典理
  事長と直接、何度も会っているにもかかわらず、「面識はな
  い」と言い張った安倍首相を筆頭に、維新や自民党の政治家
  さらに同学園の運営する軍国教育の塚本幼稚園を絶賛してき
  た極右文化人たちも、話のすり替えや言い逃れに必死になり
  始めた。
   そんななか、あの団体も同様の「籠池切り」に入っている
  らしい。そう、この間、一貫して安倍首相を支え、政権の別
  働隊として戦前日本の復活に邁進してきた極右組織「日本会
  議」だ。テレビなどではあまりクローズアップされていない
  が、実は森友学園の籠池理事長はこの「日本会議」の大阪支
  部の運営委員という職に就いている。
   ところが、先月末、「週刊文春」(文藝春秋)と「週刊新
  潮」(新潮社)が籠池氏を日本会議大阪「代表」などと報じ
  るや日本会議はホームページで即反応。「同氏は本会の『運
  営委員』として名前は連ねておりますが、『代表』ではあり
  ません」との抗議文を両誌の編集部へ送付したことを明かし
  たうえで、「このたびの土地取得に関して全く関与していな
  い」と釈明した。さらに驚いたのは、3月3日の毎日新聞朝
  刊の記事だった。この日の同紙は森友学園の保守人脈を特集
  していたのだが、そのなかで、「籠池氏を知る日本会議関係
  者」がこんなコメントをしていたのだ。「森友学園の考えは
  神道でも保守でもなく、ネトウヨ(ネット右翼)に近い。あ
  れが日本会議の活動と思われるのは心外だ」。
                  https://bit.ly/2maJ5LP
  ───────────────────────────

森友学園/籠池泰典理事長(当時).jpg
森友学園/籠池 泰典理事長(当時)
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2018年03月29日

●「安倍首相は籠池氏に面会している」(EJ第4733号)

 EJがなぜ森友問題を取り上げているのかについて述べます。
森友問題の真相は、いまなお、カオスのなかにあります。テレビ
や新聞が毎日長々と取り上げていますが、それでもまるで真相の
霧は晴れないままです。
 しかし、メディアは真相のすべてを把握していると思います。
なぜなら、ネットをていねいに調べると、その真相は、はっきり
しているからです。メディアは全貌を掴んでいながら、すべてを
報道することを控えています。安倍政権容認メディアも、批判メ
ディアも同じです。それは「国民会議」のことをどのメディアも
触れないことで明らかです。つまり、これも忖度です。
 以下、ネット上のある複数のサイトを参考にして、森友問題の
真相に迫ります。その情報源はもちろん後で明らかにしますが、
それまでは、EJスタイルで書いていきます。
 森友学園が設立しようとしていた「瑞穂の国記念小学院」を国
民会議の政治家の有力メンバーが、本気で協力していたことは間
違いないことです。その計画は、第1次安倍政権の頃からあった
といわれており、安倍首相も、もちろん承知していたはずです。
 しかし、その頃の森友学園運営の塚本幼稚園は、大阪私学審の
求める充足率は50%(定員の充足率と思われる)、新規に校舎
を建てるさいに用意しなければならない基金が積み立てられてい
ないなど、小学校の設立など困難な状況にあったのです。
 安倍首相が第1次安倍政権の頃から、この小学校の設立計画を
知っていて、2007年に首相を辞めたときに「私の考え方に共
鳴している方から『安倍晋三小学校』を建てたいという話があっ
た」ことを明かしていたといわれます。
 そして、2012年9月の自民党総裁選の直前に、籠池理事長
(当時)から安倍晋三氏に、昭恵夫人を通して「安倍晋三記念小
学院」という名前にしたいという提案があり、安倍氏の内諾を得
たと籠池氏はいっています。
 ということは、その時点で安倍首相は籠池理事長のことは知っ
ており、実際に会ってもいます。これは、2017年3月3日の
フジテレビの情報番組「とくダネ」において、安倍昭恵夫人自身
がそう話している映像を流しているのです。
─────────────────────────────
 (籠池理事長は)主人にお手紙や電話をいただいたり、実際に
もお会していただいたりしていましたけど。 ──安倍昭恵夫人
                  https://bit.ly/2m2CL9b
─────────────────────────────
 これによると、安倍首相は2007年の時点で籠池理事長に会
い、その後も会っていたと考えられます。その後、塚本幼稚園に
は、2008年と2012年に「大阪府からの推薦」によって、
素晴らしい教育を行っている教諭に贈られる「文部科学大臣優秀
教員賞」が贈られています。
 ちなみに、2008年当時は橋下徹知事、2012年は松井一
郎知事です。その頃、安倍首相は、橋下、松井両知事とはよく会
う機会があり、そのさい、塚本幼稚園の情報を伝えたことは十分
考えられます。しかし、安倍首相は、「籠池理事長とは会ってい
ない」といい切っています。
 現在、森友学園の未完成の小学校が立っている土地の件で、お
かしなことがあります。この土地は、2012年7月に国が新関
西国際空港株式会社に現物出資された土地であり、所有権移転登
記が行われています。
 ところが、2012年の12月に、安倍政権が誕生した直後の
2013年1月に「錯誤」として国に戻し、国有地に戻っている
のです。これは何を意味するのでしょうか。
 その2年後の2014年11月に、その土地に「建築計画のお
知らせ」という建築標識が立てられたのです。表題は「(仮称)
M学園小学校新築工事」です。責任者は「有限会社キアラ建築研
究機関/取締役松本正」とあります。これについては、次のサイ
トに説明があります。
─────────────────────────────
 標識の設置年月日は、平成26年11月6日、つまり2014
年11月6日であり、大阪府への小学校設置の認可を申請した後
であるものの、認可は降りておらず、また、国有財産の処分方針
を決める国有財産近畿地方審議会が開かれる数か月前に当たるの
です。小学校設置の認可が得られるかどうかも本来なら分からな
いし、その学校用地が手に入るかどうかも分からない状況のなか
で、こうやって建築標識が設置されていたのです。
 必ず小学校の設置が認められる、必ず土地は格安で売り払いさ
れるとの見通しがなければ、こんなことできる筈がないのです。
つまり、安倍総理の関与があったかどうかは別にして、何か大き
な力が働いていたことがこれで証明できると思うのです。誰がし
きったのか?            https://bit.ly/2kXvDtp
─────────────────────────────
 もちろんこの標識は、籠池理事長の指示で建てられたものであ
ることは確かです。しかし、ブログが指摘しているように、20
14年11月の時点では、土地が果して手に入るのかわからず、
小学校の認可が下りるかどうかもわからないのです。ただし、安
倍昭恵夫人は、この新しくできる小学校の名誉校長に就任するこ
とを引き受けています。籠池理事長からすれば、昭恵夫人に小学
校の名誉校長を引き受けさせた時点で、すべてが片付くと判断し
たのでしょう。だから、標識を建てたのです。実際に、その後の
ことは、すべてスムーズに進んでいます。
 松井大阪府知事は、昭恵夫人が名誉校長になることを知ると、
「瑞穂の国記念小学院」の設置を認可しています。本来大阪府で
は、「借り入れのある幼稚園」の小学校参入は、できなかったの
ですが、松井知事は急遽その設置基準を緩和しています。この改
正には、議会の承認は不要であり、松井知事の判断だけでできる
のです。大阪府も全面協力の姿勢です。
            ──[メディア規制の実態/057]

≪画像および関連情報≫
 ●森友学園事件の真相 【前編】
  ───────────────────────────
   NHKから国民を守る党代表の立花孝志氏が、籠池理事長
  と息子の佳茂さん、そして前摂津市議会議員の大澤千恵子氏
  と面会し、3時間半もかけて情報交換をされたようです。
   時事ブログでも土地値引きの根拠となった2回目のゴミに
  ついて「9・9メートルの縄文時代の地層から生活ゴミが出
  てくることはありえない」と指摘されていましたが、その2
  回目のゴミが話題になった翌日に田中造園の秋山社長が亡く
  なっています。警察発表では自殺になっていますが、本当な
  のでしょうか。
   秋山社長は大澤千恵子市議の後援会長を務めており、20
  年来の家族のような付き合いだったとのこと。その大澤氏が
  言うには「別に請求書なんか適当に書いてゴミあったことに
  したらええねやろ?みたいな。そういうことが平気でできる
  ような人だった」というのです。
   立花氏はゴミはなかったという仮説に基づいて、秋山社長
  が「口封じのために他殺された」というとても説得力ある仮
  説を述べられています。     https://bit.ly/2pCIqph
  ───────────────────────────

安倍首相は籠池氏に会っている.jpg
安倍首相は籠池氏に会っている
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2018年03月30日

●「なぜ森友学園を異常に厚遇したか」(EJ第4734号)

 稲田朋美前防衛相が籠池泰典氏に対して「感謝状」を授与して
います。2016年10月22日付です。
─────────────────────────────
  感謝状
  貴殿はかねてから我が国の防衛と自衛隊の任務の重要性
 について深く認識され、永年にわたり、防衛基盤の育成と
 自衛隊員の士気高揚に貢献されるところ大なるものがあり
 ました。よってここに深く感謝の意を表します。
 平成28年10月22日      防衛大臣 稲田朋美
                  https://bit.ly/2GdlC5K
─────────────────────────────
 この感謝状にはいささか違和感を覚えます。防衛省は、一体何
に感謝したのでしょうか。文面を見ると、籠池氏が個人的に「防
衛基盤の育成」や「自衛隊員の士気高揚」に貢献したように書い
てありますが、籠池氏は個人として防衛大臣に感謝されるような
ことをやっていたという情報はないのです。
 であるとすれば、塚本幼稚園での園児への教育勅語朗読や軍歌
を歌わせるなどの「教育全般」の功績でしょうか。しかし、それ
が「防衛基盤の育成」や「自衛隊員の士気高揚」に貢献したとい
うのは、いささか飛躍していると思います。ただ、塚本幼稚園の
園児が自衛隊員に手作りの品を贈っていたという事実はあり、お
そらくそれに対する感謝状であるというのが一般的見解です。
 これも「日本会議」というキーワードを使うと簡単に謎を解く
ことができるのです。稲田朋美氏は、「成長の家」の教祖である
谷口雅春氏を崇拝していて、日本会議はその生長の家のメンバー
によって組織されているのです。稲田氏はもちろん日本会議のメ
ンバーですし、籠池泰典氏も同じメンバーです。それがあるので
当時防衛大臣であった稲田朋美氏が籠池泰典氏に対して感謝状を
贈っても不思議はないのです。それにしても、どうしてメディア
は、日本会議に触れないのでしょうか。
 当の日本会議の田久保忠衛会長は、メディアで「籠池泰典理事
長(当時)が日本会議大阪代表」と紹介されていることに「アエ
ラ・ドット」で、次のように反論しています。それでも、籠池氏
が日本会議のメンバーであったことは否定していません。
─────────────────────────────
 週刊文春が籠池泰典理事長は日本会議大阪代表を務めていると
報じたが、日本会議大阪は千家敬麿(よしまろ)さんが議長。こ
んないわれもなく、問題が日本会議にあるように言われることに
千家さんが怒りまくってました。実際、2011年1月に籠池理
事長は退会届を提出している。もう関係は絶っている。理事長の
奥さんは生長の家(信者)で、生長の家がらみの内紛に巻き込ま
れるのが私は嫌なんだ。日本会議を悪者にして、全部形容詞的に
生長の家の田久保と付けるので迷惑だ。  ──田久保忠衛会長
                  https://bit.ly/2IPY9tr
─────────────────────────────
 さて、話はここから核心に入っていきます。ちなみにサイトに
よって若干数値は異なっていますが、基本的な計算関係を示すと
次のようになります。
 森友学園が小学校用地として予定していたのは、8770平方
メートルの国有地です。不動産鑑定士による評価額は、9億56
00万円から、大阪航空局の算定によるゴミの撤去にかかる費用
8億2200万円を引いて、1億3400万円で、森友学園に売
却されています。
 ここまでは多くの人に知られています。結局、森友学園は1億
3400万円を国に支払い、8770平方メートルの国有地を手
に入れたことになります。これをもってあまりにも格安すぎる値
引きであると、日本中で非難が巻き起こっているわけです。
 しかし、当時森友学園は、非常に財政的に厳しい状態に置かれ
ており、1億3400万円を支払える状況ではなかったのです。
それなのになぜ土地を取得できたのでしょうか。
 驚くべきことは、籠池泰典氏はこの土地を0円で手に入れよう
としていたことです。不動産鑑定士が土地評価額を9億5600
万円と査定した2017年5月31日の1週間前のこと、籠池氏
と財務省近畿財務局の池田国有財産統括官との音声記録が籠池側
から提出されたのです。そのなかに次のやり取りがあります。
─────────────────────────────
池田:理事長が仰られてる「0円に近い(金額)」というのが、
   どういうふうにお考えになられているのか、売り払い価格
   が0円ということなのかなとは思うんですけど、私ども以
   前から申し上げているのは、「有益費」の1億3000万
   円という数字を国費として払っているので、その分の金額
   ぐらいは少なくとも売り払い価格は出てくると、そこは何
   とかご理解いただきたい。
籠池:(支払われた有益費の)1億3000万円がうんぬんとい
   うよりも、ぐーんと下げていかなあかんよ。
池田:理事長がおっしゃる0円に近い金額まで、私はできるだけ
   努力する作業をいまやっています。だけど1億3000万
   円を下回る金額にはなりません。
                  https://bit.ly/2hu46CJ
─────────────────────────────
 この森友学園問題を調べている人は別として、このやりとりを
聞いて、わかる人はあまりいないと思います。「有益費」とは何
でしょうか。1億3000万円が支払われたといわれていたとさ
れていますが、これはどのようなお金でしょうか。
 このお金は、森友学園で処理をした第1回のゴミの撤去料の金
額であり、正確には1億3176万円のことです。籠池氏が昭恵
夫人付の事務官である谷査恵子氏に依頼して、その支払時期を財
務省に問い合わせたあの金額です。これについては、来週のEJ
で詳しく述べることにします。
            ──[メディア規制の実態/058]

≪画像および関連情報≫
 ●森友学園疑惑 財務省 通達に反し土地売却か
  ───────────────────────────
   大阪市の学校法人「森友学園」(籠池泰典理事長)に国有
  地が格安で売却された問題で、同学園の資金力が十分でない
  のに財務省近畿財務局が同省の通達に反して土地の処分を決
  めた疑いが9日、本紙が入手した資料などで判明しました。
  安倍晋三首相は土地処分を「法令に基づく適正な手続き」と
  国会で答弁してきましたが、前提が崩れる形となりました。
   財務省は国有地の処分について「未利用国有地等の管理処
  分方針について」という通達を定めています。通達は、学校
  法人などから国有地の購入や賃借の要請があった場合、各財
  務局は「資金計画(予算措置、資金調達等)の確実性」を審
  査するとしています。この審査をへて財務局は国有地処分の
  是非を審議会にかけます。
   本紙(しんぶん赤旗)が入手した森友学園が新設する小学
  校の「収支計画・借入金返済計画概要」(2月20日付)に
  よると、2014年度に、同学園の資金は約2億2400万
  円。学校建設につかう「第2号基本金」も積み立てておらず
  学校建設は寄付金に頼る状況でした。同年度は同学園が運営
  する幼稚園も、約1500万円の赤字でした。資金の確保が
  「確実」な状況ではないのに、近畿財務局は審査を通してい
  ました。            https://bit.ly/2DTJRUV
  ───────────────────────────

日本会議/田久保会長.jpg
日本会議/田久保会長
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2018年04月02日

●「森友学園は国有地をなぜ買えたか」(EJ第4735号)

 2018年3月27日、財務省が森友学園との国有地取引に関
する公文書を改ざんした問題で、衆参両院の予算委員会で、当時
の理財局長だった佐川宣寿氏の証人喚問が行われました。
 しかし、佐川氏は「刑事訴追の恐れがある」として約50回も
証言を拒否し、改ざんの経緯はいっさい明らかにされないままに
終わっています。
 森友学園事件で重要なことは、「なぜ公用文書を改ざんしなけ
ればならなかったか」という「動機」にあります。しかし、議員
からの厳しい追及にも関わらず、佐川氏は口を閉ざして、何も語
らなかったのです。それは、森友学園との契約が、それほど疑惑
にまみれたものだったからです。
 留意すべきは、いまだに改ざん前の原本の提出が財務省からな
いことです。提出されたのは、財務省が作成した改ざん前と改ざ
ん後の比較表であり、原本ではないのです。「コンピュータがグ
チャクチャになっていて時間がかかる」というのが財務省のいい
訳ですが、なぜ、原本を隠すのでしょうか。
 さて、森友学園は、不動産鑑定士による評価額9億5600万
円の土地を大阪航空局の算定によるゴミの撤去費用8億2200
万円を引いて1億3400万円で取得しています。しかし、森友
学園は1億3400万円を国に支払ったわけではないのです。
 それは、「有益費」として国から森友学園に対して、3億31
76万円が支払われているからです。この「有益費」というのは
森友学園が国と締結した「買受条件付賃貸借契約」の第6条に記
載されているものです。この契約は、2015年5月29日に締
結されています。これが籠池理事長のひとつの仕掛けです。
 実際に小学校校舎の建築のさい、校舎建築に支障のあるゴミが
見つかり、2015年7月29日から12月15日までに土壌改
良・地下埋設物撤去工事が行われています。この土地は阪神淡路
大震災のさい、仮設住宅も建てられていたので、排水管、マンホ
ール、アスファルト、コンクリートガラ約720トンと汚染土約
1090トンが撤去されています。
 このようなゴミの撤去や土壌改良は、その土地の価格を上げる
ことになるので、次のように契約書に従って「有益費」が森友学
園に支払われています。籠池泰典氏は、この金額を早く支払って
くれるよう安倍昭恵夫人付きの谷政府職員を通じて財務省に働き
掛け、2016年3月30日に支払いが決定され、4月6日に支
払われています。
─────────────────────────────
   地下埋設物撤去費 ・・・ 86324000円
    土壌汚染対策費 ・・・ 45436000円
   ───────────────────────
               131760000円
─────────────────────────────
 しかし、この1億3176万円の積算根拠はきわめて曖昧なの
です。この問題を調べている渡辺輝人弁護士は、ブログで次のよ
うに述べています。
─────────────────────────────
 特に、8600万円余の地下埋設物撤去費用はどのような説明
がつくのでしょうか。森友学園の代表者は、地下のごみの撤去費
用を「1億円くらい」と述べる一方、財務省は「理事長は『撤去
費の額は他の工事と一体になっているので分からない』と答えて
いる」と述べています。(一部略)
 そもそも、森友学園が購入時には異議申立できない可能性が高
いものを、なぜ、賃貸の段階だと「有益費」として「返還」して
貰えるのでしょうか。「有益費」は、国の基準で検証することに
なっています(「国有財産有償貸付合意書」第6条)。国は「検
証」結果の詳細を公表し、その正当性を証明すべきでしょう。
                  https://bit.ly/2pTocr1
─────────────────────────────
 この1億3176万円は、森友学園としては建築業者に支払う
べきお金ですが、少なくともこの時点で森友学園には、1億31
76万円の現金が入っているのです。これは、大幅値引きされた
国有地を購入する資金として十分使えます。
 これに加えて、建築中の校舎の建物が、国土交通省「平成27
年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」に採択され
6194万4000円の補助金支給が指定されたのです。このよ
うに、昭恵夫人が名誉校長であれば、なんでもスイスイ通ってし
まうのです。しかし、瑞穂の国記念小学院の校舎は一見木造に見
えますが、実は木造ではなく、鉄骨造りなのです。このように、
普通なら絶対にパスしないものでも通ってしまうのです。
 さて、ここからが籠池理事長(当時)の最終の仕掛けです。彼
は、安倍昭恵夫人が名誉校長に就任した後の財務局の驚きべき変
化に自信を深め、最後の賭けに出たのです。
 2016年3月11日になって、籠池理事長は突然次のことを
財務省近畿財務局に申し入れてきたのです。
─────────────────────────────
 2016年2月の杭打ち工事中に、次の通りさらに深い所から
「新たな」埋設物を発見した。        ──籠池理事長
           杭打箇所:地下3・0〜9・9メートル
            その他:地下3・0〜3・8メートル
─────────────────────────────
 本当は「有益費」を支払う時点で、2015年9月4日、工事
業者と近畿財務局は、財務局の9階会議室で打ち合わせを行って
おり、廃材やゴミを撤去しないことで合意に達しています。した
がって、財務局としては、森友学園が申し出てきた「新しい」ゴ
ミの存在にについては寝耳の水だったのです。しかも、籠池理事
長は、このままでは、2017年4月の開校に間に合わなくなっ
てしまうと、財務局にプレッシャーをかけています。加計学園と
まったく同じ構図であるといえます。
            ──[メディア規制の実態/059]

≪画像および関連情報≫
 ●「森友」「新たなゴミ」の根拠/検査院「確認できず」
  ───────────────────────────
   日本共産党の辰巳孝太郎議員は20、22両日の参院財政
  金融委員会で、学校法人「森友学園」への国有地8億円値引
  きの根拠がないことを、この間明らかになった資料をもとに
  浮き彫りにしました。
   8億円値引きの理由について国は、ゴミ撤去費(有益費)
  として当初補償していた分とは別に、2016年3月に大量
  の「新たなゴミ」が発見されたためと説明しています。
   辰巳氏は、値引きの妥当性を検査した会計検査院に、「前
  年(15年)に学園が残したゴミではなく、新たなゴミだと
  判断する根拠はあったか」と質問。同院の宮川尚博審議官は
  「確認できなかった」との検査結果を報告しました。
   辰巳氏は、今年に入り開示された財務省近畿財務局の法律
  相談文書で、有益費の範囲内なのか、新たなゴミなのかを精
  査する必要性が指摘されていると強調。同文書が検査院に提
  出されたのは結果報告の前日だとして、精査するよう求めま
  した。宮川審議官は「文書の内容を精査の上、慎重に検討す
  る」と述べました。
   16年3月のゴミをめぐっては、同月30日に学園理事長
  (当時)の籠池泰典被告=詐欺罪で起訴=や学園側業者と、
  財務省近畿財務局、国土交通省大阪航空局の職員が会合した
  音声記録が明らかになっています。国交省の和田浩一航空局
  次長は、会合に航空局職員が同席していたことを認めつつ、
  「(出席職員は)詳細は覚えていない」と答弁。
                  https://bit.ly/2GDolsF
  ───────────────────────────

瑞穂の国記念小学院/森友学園.jpg
瑞穂の国記念小学院/森友学園
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2018年04月03日

●「8億円値引きの根拠は虚偽である」(EJ第4736号)

 森友学園が、2016年2月の杭打工事中に、地下3メートル
より深い所から「新たな」埋設物が出てきたと近畿財務局に連絡
を入れたのは、2016年3月11日のことです。
 契約書では、こういう場合、学園側がそのゴミの撤去を行い、
そのうえで撤去費を近畿財務局に請求することになっているので
すが、学園側は、そんなことをしていたら、2017年4月の小
学校開校に間に合わなくなると申し入れたのです。これは、国に
対し、ゴミ処理費用に見合う値引きを暗に求めたことを意味しま
す。国に対する一種の恫喝といえます。
 近畿財務局としては、校舎建築に不可欠なゴミの撤去について
は「有益費」として森友学園に1億3176万円を支払っていま
すが、ゴミについてはこれ以上出てこないようにするため、工事
業者と打ち合わせをしていたのです。
 ここに近畿財務局と森友学園の校舎工事を担当している業者と
のゴミの処理に関する打ち合わせの記録があります。学園は入っ
ていません。この記録は、ゴミの撤去工事を担当した中道組が作
成したものと思われます。「キアラ」とあるのは、キアラ建築研
究機関。2015年9月4日のことです。玉木雄一郎希望の党代
表のブログから引用します。
─────────────────────────────
中道組:先日現場立ち合い(原文ママ)にてご確認頂きました汚
    染土に含まれている産廃と地中埋設物撤去範囲に含まれ
    ている産廃処分につきまして予算計上可能か否か今後の
    施工計画について打合せする必要があるのでお時間頂戴
    致しました。(中略)すべて撤去となると膨大な金額と
    なる為、工事を進めてよいものか判断頂きたい。
財務局:(中略)北東部分の産廃だけで約4000万円もかけ、
    北西部他地域の予測される産廃処分を併せて考慮すると
    そもそも地価を上回る瑕疵が発生する国有地を貸し出し
    することは出来ないので契約取止めになる。
キアラ:産廃処分費に予算がつかないのであれば、基本的に建築
    工事に支障はないので場外に出さない方法を考えるしか
    ないと思われる。
財務局:出来ればキアラ設計に場外処分を極力減らす計画を考え
    てもらえないか。(中略)建築に支障ある産廃及び汚染
    土は瑕疵にあたる為、費用負担義務が生じるがそれ以外
    の産廃残土処分が通常の10倍では到底予算はつかない
    が、借主との紛争も避けたいので場内処分の方向で協力
    お願いします。       https://bit.ly/2E9YT9c
─────────────────────────────
 要するに、校舎以外の土地の部分には廃材や生活ゴミが多数あ
ることはわかっていたのですが、それを場内処分にしてほしいと
財務局は工事業者に頼んでいます。しかし、この打ち合わせ記録
には、手書きで書き込んだ部分があるのです。この記録の存在を
その翌年に知った籠池理事長が書き込んだものと思われますが、
法律用語が使われているところから、弁護士と相談してメモした
ものと考えられます。
 この記録を見た籠池理事長は近畿財務局に対し、より深いとこ
ろから「新たな」埋設分が出てきたことを申し出たのです。20
16年3月11日のことです。これに対して、近畿財務局がどう
対応したかについて、玉木雄一郎希望の党代表は、自身のブログ
で次のように述べています。
─────────────────────────────
 ところが、不思議なことに、平成27年9月の合意からわずか
半年後の昨年(平成28年)4月になって、有益費対象の工事で
は撤去しないこととした廃材や生活ゴミを、一転、すべて撤去す
るという前提で、8億円もの撤去費用を国が算出したのだ。しか
も今度は、小学校の開校予定に間に合わないという理由で、立替
払いによる工事もせず、いきなり土地の価格を9億円から8億円
も値引きして売却するという異例の対応を取ったのである。
 国は、建設工事に支障のない廃材や生活ゴミの撤去費用につい
て、国に負担義務がないとした平成27年9月の判断を、半年後
の平成28年4月になって、なぜ一転して変えたのか。そのヒン
トが平成27年9月4日の「打合せ記録」にある。
                  https://bit.ly/2E9YT9c
─────────────────────────────
 おそらく籠池理事長は、この打ち合わせ記録を財務局に持ち込
み、撤去しないことにしている廃材や生活ゴミに、3メートル以
上の深部から出てきたとする「新たな」ゴミの分も含めて値引き
してほしいと交渉したのです。これも一種の恫喝です。
 結局、財務省は、この恫喝に屈して、すべてのゴミを含めて約
8億円を値引きして、土地を1億3000万円で売却することに
したのです。2016年6月のことです。それでは、その既知の
ゴミである廃材や生活ゴミ以外の新しいゴミというのは、本当に
あったのでしょうか。
 結論からいえば「NO」です。そんなゴミは「存在しない」の
です。確証があります。それは、森友学園の校舎工事を受注した
藤原工業株式会社の「マニフェスト」(産業廃棄物管理票交付等
状況報告書)で既に明らかになっています。このマニフェストは
豊中市の市議が情報公開請求をして入手したもので、2017年
7月7日に公表されています。
 それによると、新築混合廃棄物は「194・2トン」とあり、
これは財務省が主張するゴミの量の100分の1であることがわ
かったのです。2万トンあるといっているのに実際は194トン
しかないのですから、明らかに虚偽です。財務省の8億円の値引
きは明らかに不法です。
 そこで豊中市の市議らを含む市民団体は、財務省近畿財務局職
員らに対する背任罪の告発状を大阪地検特捜部に提出し、受理さ
れ、捜査がはじまっています。
            ──[メディア規制の実態/060]

≪画像および関連情報≫
 ●【森友】安倍首相と財務省、国民に虚偽説明か
  ───────────────────────────
   11月22日に会計検査院は森友学園への国有地払い下げ
  の問題をめぐり、値下げ額の8億円の根拠が不十分だとして
  参議院予算委員会理事会で報告した。今年3月、この問題に
  ついて国会法に基づき参議院議長から会計検査院に(1)経
  緯、(2)価格算定の適正性、(3)行政文書の保管状況に
  関する検査依頼がなされ、それに対する報告であった。
   払い下げが行われた土地に建設予定だった小学校は、当初
  「安倍晋三記念小学校」という名称で、安倍晋三首相夫人の
  昭恵氏が名誉校長に就任していた。今回の会計検査院の報告
  により森友問題は、なぜ国有財産を不当に払い下げたのか、
  安倍首相夫妻はどのように関与していたのかを問うスタート
  ラインについた。
   2017年10月下旬、東京新聞は1面トップで会計検査
  院が「値引き額が最大6億円過大」と算出していると報じて
  いたが、筆者は11月8日付当サイト記事『【森友問題】値
  引き6億円過大、会計検査院が認定…実際はごみ存在せず、
  値引き自体不当』で、「最大6億円」ではなく「8億円の値
  下げ自体」が不当であると指摘した。ところが11月9日、
  NHKに出演した会計検査院の河戸光彦院長は、この問題で
  財務省や国交省の責任を問うような明確な話を避けて、資料
  が入手できないことを理由に、問題を曖昧化する姿勢をみせ
  た。              https://bit.ly/2GpJR0P
  ───────────────────────────

森友学園の土地の埋設物発見の経緯.jpg
森友学園の土地の埋設物発見の経緯
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2018年04月04日

●「森友学園事件はなぜわかったのか」(EJ第4737号)

 森友学園事件は、どのようにして世の人の知ることになったの
でしょうか。
 きっかけは私立小学校のポスターだったのです。2016年春
のことです。日の丸の上に日本列島、靖国神社の鳥居らしき写真
と一緒に教育勅語が出ている。どうみても極右の学校じゃないか
と。ポスターには、次のことが書かれていたのです。
─────────────────────────────
  ◎瑞穂の国記念小学院/平成29年4月開校
   一期生生徒募集/未来を築く日本人になれ!
   募集人員(男女共学)1年生80名/2年生80名
   転入生大歓迎
─────────────────────────────
 このポスターを見たのは、豊中市議の木村真議員です。彼はこ
のポスターに違和感を覚えたといいます。そこでその小学校の土
地について調べてみたのです。
 2016年5月の時点の所有者は国交省であり、国有地だった
のです。近畿財務局に聞くと、定期借地権付きで、森友学園に貸
していることがわかったのです。ここで木村市議は「おかしい」
と感じたといいます。なぜなら、もともとこの土地は、豊中市が
国から無償で貸与を受けていて、公園の整備そして周辺に都市計
画道路を作る予定だと聞いていたからです。
 ところが、国は豊中市に対し、貸与は打ち切り、2010年ま
でに買ってほしいといってきたのです。豊中市としては、その土
地全部を防災公園にする予定であったので、売買交渉に入ったの
ですが、国は非常に高い価格を提示して譲らないので、その半分
を14億2300万円で購入したのです。
 そこで木村市議が土地の半分の購入者を調べると、それが森友
学園であることが判明します。詳しい情報を知るため、近畿財務
局に対し、売却契約の情報公開を求めた結果、不動産鑑定士が、
9億5600万円と評価した土地を8億円引きの1億3400万
円で取得したことがわかったのです。そうすると国はほぼ同じ広
さの土地を豊中市には14億2300万円で売り、森友学園には
1億3400万円で売却したことになります。半分といっても土
地の広さに違いがあるので、数字を以下に示します。
─────────────────────────────
   ◎ 豊中市
    9492平方メートル  14億2300万円
    実質取得金額         2124万円
   ◎森友学園
    8770平方メートル   1億3400万円
    実質取得金額          224万円
─────────────────────────────
 しかも、国は、森友学園には、有益費として1億3176万円
支払っているので、実質的には224万円で購入したことになる
のです。これでは、あまりにも不公平です。このことがきっかけ
で、森友学園の問題が明るみに出たのです。
 これでは、豊中市があまりにも気の毒ですが、実際はそうでも
ないのです。豊中市は購入するに当たり、住宅市街地総合整備事
業の国庫補助金7億1193万円、さらに地域活性化・公共投資
臨時交付金6億9069万円が充当され、結果として、豊中市は
2124万3000円で購入しているからです。もっとも自治体
に対しては、国有地ですから、このような助成があってもおかし
くないとは思いますが・・・。
 しかし、森友学園の場合は、一学校法人であり、豊中市とは違
います。単なる学校では、とてもこれだけの厚遇は受けられない
はずです。それにしても224万円とはあまりにも超厚遇です。
そこには、やはり、日本会議の関与があったと考えざるを得ない
のです。彼らの目指す真の日本人を育てる学校がどうしても必要
だったのでしょう。
 しかし、森友学園の場合は、ゴミの撤去費用として8億円を引
いているのですが、昨日のEJ第4736号で指摘したように、
そのゴミ自体がなかった疑いが濃厚です。つまり、国を騙したこ
とになるのです。これについては、現在、大阪地検特捜部が捜査
中であり、いずれ結果は明らかになります。
 ところで、森友学園の問題で、地中のゴミの撤去業者の社長が
自殺していますが、メディアはあまり積極的に報道しようとしま
せん。それは、2017年3月6日付の毎日新聞が次の報道をし
た直後のことです。
─────────────────────────────
◎森友学園/近畿財務局「校内で廃棄物処分を」
 近畿財務局が2015年9月、工事業者らと地下廃棄物の撤去
費用について協議したさい、撤去を見送るよう伝えていたことが
わかった。工事業者は毎日新聞の取材に「国にそのままでよいと
言われた」と証言した。 ──2017年3月6日付、毎日新聞
─────────────────────────────
 この取材に応じた土の搬出を請け負った「造園土木のA社長」
が、この記事の出た翌日3月7日に自殺しているのです。病死、
豊中市役所のトイレで自殺、何者かに殺されたなど、諸説がある
ものの、実に不可解な死亡です。一体何があったのでしょうか。
 財務省でも、森本学園事件にからむ職務についていた職員が2
人亡くなっています。2人とも自殺です。2018年1月29日
にA氏が無断欠勤したので、職場関係者が自宅に様子を見に行っ
たところ、自殺しているのが発見されたのです。A氏は、本省理
財局国有財産業務課の課員で、債権管理係長として、国有財産に
関する通達業務を担当していたのです。
 2018年3月7日、B氏は神戸市内の自宅マンションで自殺
し、こちらはちゃんと遺書を遺しており、森友学園事件と関係が
あります。近畿財務局職員で森友関連文書を扱う仕事をやってい
たのです。関連はわかりませんが、3人の自殺者が出ることはあ
まりにも異常です。   ──[メディア規制の実態/061]

≪画像および関連情報≫
 ●森友学園の残土処理業務の田中造園土木の秋山肇社長 変死
  ───────────────────────────
   産経新聞は辻元清美の疑惑について、抑制的に報道してい
  る。なぜなら、辻元清美の殺人教唆疑惑にまで踏み込んでい
  ない。本丸は辻元清美の殺人教唆だ。森友学園関連で犠牲者
  となった工事関係者ですが、森友学園の残土処理を行ってい
  た(株)田中造園土木の秋山肇社長との情報です。
   死因に関しては医師は自殺、家族は心臓発作としており、
  食い違いがあります。医師の客観的な判断が自殺にもかかわ
  らず、家族は事件性のない疾病による死亡だとせざるをえな
  い理由があるのでしょうか。
   この田中造園土木は森友学園の建設を請け負っている藤原
  工業の下請けで、8億円の値引きの根拠となった残土処理を
  行ったキーマンです。口封じの可能性もありますので、今後
  の動きを注視していきましょう。
   「"謎の死者"が出ると、騒動は必ず大疑獄事件になる」と
  いう歴史的事実を持ち出す人もいる。確かに、疑獄事件には
  死者が付きまとう。古くはロッキード事件(1976年)。
  事件を追っていた日経新聞記者が急死、児玉誉士夫の元通訳
  ・福田太郎氏、田中角栄の運転手・笠原正則氏が相次いで不
  審死を遂げた。リクルート事件(88年)では、竹下首相の
  秘書・青木伊平氏が自殺した。同じようなことが、今回も起
  こった!と解説する向きもある。 https://bit.ly/2pYkbBl
  ───────────────────────────

瑞穂の国記念小学院の生徒募集ポスター.jpg
瑞穂の国記念小学院の生徒募集ポスター
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2018年04月05日

●「『人事』の恨みは『捜査』で返す」(EJ第4738号)

 このテーマもそろそろ終わりに近づいていますが、今後この森
友学園事件はどうなっていくでしょうか。そのカギは、大阪地検
特捜部が握っているといえます。
 実は、この事件は今年の3月末で幕引きされる予定になってい
たのです。現在、法務省の事務次官は黒川弘務氏が務めています
が、その黒川事務次官は、三浦守大阪高検検事長に対して、次の
申し渡しをしていたからです。
─────────────────────────────
      年度末(3月末)で、捜査を終了せよ
               ──黒川事務次官
─────────────────────────────
 黒川法務省事務次官は、安倍政権ベッタリの人物で、政界捜査
のときは、捜査情報を官邸に上げることで、安倍官邸にとっては
評価が高かったし、三浦守大阪高検検事長は上の命令には忠実な
官僚ということで知られています。したがって、三浦検事長は大
阪地検特捜部に対して、「3月中に必ず捜査を終了させろ」と厳
命していたのです。
 ところで現在大阪地検特捜部の部長は山本真千子氏で、史上初
の女性特捜部長です。大阪市立大学出身で、京都、大阪、東京の
地検を経て法務省人権擁護局総務課長、2年半前に大阪地検特捜
部長に抜擢されています。
 大阪のある司法記者は、山本特捜部長についてそのプロフィー
ルを次のように紹介しています。
─────────────────────────────
 独身で化粧気が全くなく、おしゃれにも無頓着で、記者とも気
さくに赤提灯で飲む。これまで大型事件の捜査を手がけたことは
なかったが、テキパキ事件を処理するタイプで、上司に信頼され
ている。女性検事の中では出世頭です。
              ──「週刊ポスト」4月13日号
─────────────────────────────
 山本特捜部長は、森友学園への国有地払い下げ疑惑に対して、
丁寧に内偵捜査を進め、立件に向けて着々と準備を進めていたの
です。しかし、籠池夫妻の長期勾留に対しては、山本特捜部長の
前職が人権擁護局総務課長であっただけに「人権擁護局の人間が
籠池夫妻の人権を無視するのか」という強い非難が寄せられてい
ますが、長期勾留には別の事情があるようです。しかし、捜査も
三浦大阪高検検事長を通じての黒川事務次官の圧力に思うように
進まなかったといいます。
 ところが、今年の1月21日に事情が一変します。小貫芳信最
高裁判所判事が亡くなったことが原因です。小貫芳信氏は東京高
検検事長を務めていたことがあり、最高裁判事は、不文律の検察
ポストのひとつになっているのです。
 ここでいわゆる玉突き人事が行われます。三浦守氏は最高裁判
所判事に送り込まれ、後任の大阪高検検事長のポストには、札幌
高検検事長をしていた上野友慈氏が就任したのです。この上野氏
について、大阪地検関係者は次のように明かしています。
─────────────────────────────
 上野友慈氏は関西検察最後のエース。本来なら来年以降に大阪
高検検事長に就任するとみられていたが、早まった。これが森友
問題の捜査に影響を与えている。(一部略)上野大阪高検検事長
は法務省からの横やりの盾になり、特捜部が水を得た魚のような
状態だ。          ──「選択」/2018年4月号
─────────────────────────────
 つまり、上野大阪高検検事長の就任で、山本大阪地検特捜部長
率いる特捜部の捜査は、本来の狙いのように進み始めたのです。
そして、2018年3月2日付、朝日新聞に「森友文書書き換え
の疑い」が報道されます。このような裏事情を踏まえると、これ
は大阪地検特捜部のリークではないかといわれています。
 この事態に愕然としているのは安倍官邸です。とくに黒川事務
次官は大きなショックを受けたと考えられます。ここで黒川事務
次官についても知る必要があります。法務省の検察組織というの
は検事総長をトップとするピラミッド構造になっています。それ
は「検察官の独立」を守るためです。
 実は安倍政権は、内閣人事局の人事権を盾に検察人事に介入し
たのです。2016年7月の人事で、法務・検察首脳部は、エー
スといわれる林真琴・前刑事局長を事務次官に就任させる人事案
を官邸に上げたのです。
 しかし、官邸はその案を突き返し、林氏と同期の黒川弘務官房
長を事務次官に据えたのです。なぜ、官邸はそういう人事をした
のかというと、2016年に発覚した甘利明経財再生相(当時)
のURをめぐる口利き疑惑(斡旋利得事件)で、官邸は当時法務
省の官房長をしていた黒川氏と政治取引をし、甘利事務所への家
宅捜査すら行わずに不起訴処分に成功したからです。安倍政権で
は検察が何もしないのは、こういう裏事情があったのです。
 それでも法務・検察首脳部は、2017年も林真琴氏を事務次
官にしようとしますが、官邸は拒否し、黒川氏を留任させていま
す。そのため、林氏は次官になれないまま、名古屋高検検事長に
異動せざるを得なかったのです。このように、法務・検察は安倍
政権に何回も煮え湯を飲まされたのです。これに最高検の検察首
脳部は燃えたのです。「人事」の恨みは必ず「捜査」で返すと。
 森友事件を取材しているジャーナリスト・伊藤博敏氏は森友文
書のリークについて、次のように述べています。
─────────────────────────────
 朝日の情報源は、改ざん前と後の文書を持っていた大阪地検で
はないかと見られていますが、流出を疑われるのを覚悟でやった
とは考えにくい。むしろ、最高検の検察首脳部が安倍政権に痛打
を与えるために出したのではないか。     ──伊藤博敏氏
              ──「週刊ポスト」4月13日号
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/062]

≪画像および関連情報≫
 ●甘利明を検察はなぜ「不起訴」にしたのか/リテラ
  ───────────────────────────
   なんなんだ、この結末は? 1日、あの甘利明前経済再生
  担当相について、東京地検特捜部が不起訴処分にするという
  ニュースが、一斉に流れた。しかも、甘利本人だけではなく
  同じく告発を受けていた公設秘書2人も立件見送りになると
  いう。いっておくが、犯罪が軽微だったわけではない。甘利
  がやったことは、今、マスコミが大騒ぎしている舛添要一郎
  知事の政治資金問題などとは比べ物にならない、政治家とし
  ては最も悪質な賄賂事件だった。しかも、特捜部は最近、政
  界捜査に弱腰になっていたとはいえ、小渕優子元経産相や小
  沢一郎のケースのように、秘書の立件まではやるのが、普通
  だった。それが、今回は一切なんのおとがめもなし。これは
  いくらなんでも異常すぎるだろう。
   取材してみると、今回の不起訴決定の裏には、法務省幹部
  の露骨な捜査潰しの動きがあったことがわかった。しかも、
  この幹部は明らかに官邸と深いつながりのある人物だった。
  捜査潰しの詳細に踏み込む前に、まず、事件のおさらいをし
  よう。甘利の容疑は、2013年5月に千葉県の建設会社・
  薩摩興業の依頼で、都市再生機構(UR)へ移転補償金の値
  上げを「口利き」した見返りに、賄賂を受け取っていたとい
  うものだ。周知のように、薩摩の元総務担当者、一色武氏が
  「週刊文春」に公設秘書ら2人に現金500万円、さらに甘
  利本人に100万円を手渡していたことを告発した。実際、
  甘利事務所が現金を受け取ったことを証明する領収証や、甘
  利の公設秘書らがUR側に補償金アップの働きかけをして交
  渉を録音したテープなどの物証もあった。
                  https://bit.ly/1Ukh0d8
  ───────────────────────────

上野友慈大阪高検検事長.jpg
上野友慈大阪高検検事長
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2018年04月06日

●「森友事件は国交省にも責任がある」(EJ第4739号)

 佐川宣寿前国税庁長官の喚問の後のことですが、財務省の内部
から次のような不穏な情報が伝わってきています。
─────────────────────────────
 文書改ざんにあたって、官邸と財務省本省の間で書き換える文
面の調整が行われていた。窓口になったのは双方の中堅キャリア
だった。          ──「週刊ポスト」4月13日号
─────────────────────────────
 官邸の関与を裏づけるためには、近畿財務局はもちろん、本省
財務省の関連部局のPCも差し押さえ、通信履歴やPCデータを
調べる必要が出てきます。現在、大阪地検特捜部はその詰めの捜
査を行っています。全国紙のある大阪社会部記者は、大阪地検特
捜部の意気込みを次のように述べています。
─────────────────────────────
 大阪地検特捜部は前国税庁長官の佐川宣寿氏が指示したという
文書改ざんを巡り、近畿財務局だけではなく、霞が関の財務省本
省に家宅捜査をする可能性さえある。
              ──「選択」/2018年4月号
─────────────────────────────
 もし、財務省への家宅捜査が行われれば、大蔵省接待汚職事件
以来20年ぶりの出来事になります。こうなると、財務省解体も
現実味を帯びることになります。これを契機として、旧大蔵省は
解体され、財務省と金融庁に分離されたのです。そのときよりも
今回の方が事態は深刻であり、刑事事件に発展すれば、財務省は
解体され、歳入庁の創設の可能性も出てくると思います。
 森友問題の取材を続けているジャーナリスト伊藤博敏氏も、大
阪地検特捜部の本気度を次のように語っています。
─────────────────────────────
 財務省の公文書偽造の事実がはっきりした以上、大阪地検特捜
部は、籠池前理事長夫妻だけを逮捕・起訴し、財務官僚は不起訴
にするという「予定調和」の捜査はできなくなった。佐川氏が逮
捕、起訴される可能性は十分あります。その場合、検察は、財務
官僚たちが国有地を安く払い下げたという背任を隠すために公文
書の改ざんを行ったという容疑を組み立てるはずです。そして、
「官邸の指示があった」という証言が得られれば、政治家や官邸
中枢も事情聴取の対象になる。──「週刊ポスト」4月13日号
─────────────────────────────
 大阪地検特捜部長室は、大阪中之島の合同庁舎16階にありま
す。山本真千子特捜部長は、23階にある高検幹部フロアに足繁
く通うところが何回も目撃されています。上野友慈大阪高検検事
長にそのつど進捗を報告しているものと思われます。
 実は大阪地検特捜部は、昨年夏以降、豊中市職員に対して任意
の事情聴取を重ねています。豊中市は森友事件に直接は関係がな
いが、森友学園と隣接する土地を大阪航空局、近畿財務局と交渉
して購入しており、その経緯を調べているものと思われます。こ
れは、近畿財務局などの背任だけでなく、国交省まで範囲を広げ
て捜査していることを意味します。
 実は、森友事件については一貫して財務省が責められています
が、国土交通書も重い責任があるのです。なぜなら、森友学園に
売却した土地は、国土交通省大阪航空局の所有地であるし、大阪
航空局は地中のゴミの算定にもかかわっているからです。
 『選択』という雑誌があります。選択出版株式会社が発行して
います。『選択』は書店で買うことはできません。一冊1000
円ですから、雑誌としては安くはありませんが、予め、一年分の
料金を払い込むと、毎月月初に送付されてきます。記事は正確で
あり、鋭い批判に溢れています。相当の腕の良い記者が執筆して
いるはずですが、記事に著者名はありません。私はこの雑誌を購
読していますが、EJの執筆にはとても役に立っています。
 『選択』の記事のなかに「罪深きはこの官僚」というコラムが
あります。このコラムでは、現職高級官僚を実名で取り上げてい
ますが、ここから官僚について多くの情報が得られます。
 『選択』/2018年4月号では、「重田雅史/国土交通省物
流審議官」です。その記事のなかに次の記述があります。
─────────────────────────────
 財務省がこの間題の主犯だとすれば、国土交通省は共犯者であ
る。財務省ばかりが槍玉に挙げられているが、ここにきて問題の
土地の値引きについて国交省が主導した疑惑が浮上してきた。そ
うなると、従犯ではなく共同正犯とさえいえるだろう。当時の状
況を知り、いまだに霞が関に残っている数少ない国交省の官僚が
大臣官房物流審議官の重田雅史だ。
              ──「選択」/2018年4月号
─────────────────────────────
 実は、森友問題の渦中にいた「官僚」が続々と辞任しているの
です。財務省では、森友学園と価格交渉をしている当時の本省理
財局長の迫田英典氏は、2017年7月に退官しています。森友
事件のカギを握る人物です。さらにその後任者である佐川宣寿氏
も国税庁長官を辞任し、退官しています。
 さらに本省理財局と近畿財務局では、それぞれ自殺者が1人ず
つ出ています。自殺などはあってはならないことです。そうする
と、財務省で残っているのは、森友側との交渉に臨んでいた当時
の近畿財務局長、竹内良樹(現国際局長)氏、その後任の美並義
人氏の2人だけです。
 そして今回のタイトルになっている重田雅史氏は、当時の状況
を知り、現在も霞が関に残っている数少ない国交省の官僚です。
『選択』では重田氏について次のように書いています。
─────────────────────────────
 重田は当時、本省の航空局次長だった。首相夫人の名前が出て
きた時点で、財務省と同様、国交省でも出先機関に留まらず、本
省に情報が上げられた。   ──「選択」/2018年4月号
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/063]

≪画像および関連情報≫
 ●「森友学園」疑惑/水増し知っていた?/国土交通省
  ───────────────────────────
   学校法人「森友学園」の小学校建設をめぐる国の補助金詐
  取事件で、国土交通省が学園側の建設費水増しを知りながら
  補助金給付ありきで黙認していた疑いが浮き彫りになりまし
  た。日本共産党の宮本岳志議員が2018年3月6日の衆院
  国交委員会で追及しました。
   事件は、同学園前理事長の籠池泰典被告らが、木造校舎建
  設への補助金申請で、実際は約14・5億円だった建設費を
  約22億円に水増しし補助金約5600万円をだまし取った
  疑いで、大阪地検特捜部が捜査しているもの。
   宮本氏は建設費をめぐり、今年に入って開示された森友疑
  惑に関する財務省近畿財務局の法律相談文書によれば、「4
  億円」との認識で話が進んでいたと指摘。学園への国有地売
  却について議論した第123回国有財産近畿地方審議会でも
  「(建設費は)十数億はかかるはず」と、4億円との対比で
  懸念が出ていたと強調しました。その上で、第123回の審
  議会に、国交省大阪航空局の奥田薫空港部長が出席していた
  事実を示し、「国交省は建設費用が4億円だと知っていたの
  ではないか」と迫りました。国交省航空局の蝦名邦晴局長は
  「奥田部長に確認したところ、審議会開催時点で4億円だっ
  た記憶はないということだ」とごまかしました。「その後の
  時点では知っていたのか」と重ねて聞いた宮本氏に対し「確
  認したい」と述べました。石井啓一国交相は、補助金審査の
  担当が同省住宅局であることを理由に、「(住宅局と)大阪
  航空局等との情報共有は特になかった」と居直りました。宮
  本氏は、確認できる機会は何度もあり、「『知らなかった』
  『だまされた』では済まされない」として、奥田部長の証人
  喚問を求めました。       https://bit.ly/2EleVNl
  ───────────────────────────

山本真千子大阪地検特捜部長.jpg
山本真千子大阪地検特捜部長
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2018年04月09日

●「なぜ学園に口裏合わせをしたのか」(EJ第4740号)

 安倍政権が4月4日の森友学園に関するNHK報道に大揺れし
ています。以下は、NHKニュース・ウェブの内容です。
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 森友学園に国有地がごみの撤去費用などとして8億円余り値引
きされて売却された問題で、去年2月、財務省が学園側に口裏合
わせを求めていた疑いが出てきました。当時、国会で財務省は野
党側から「実際に大量のごみの撤去を確認したのか」などと追及
されていましたが、そのさなか財務省の職員が学園側に対し「ト
ラックを何千台も使ってごみを撤去したと言ってほしい」などと
うその説明をするよう求めていたことが関係者への取材でわかり
ました。大阪地検特捜部はこうしたやり取りを把握していて詳し
い経緯を捜査しています。      https://bit.ly/2GwbM3k
─────────────────────────────
 安倍政権が衝撃を受けたのは報道元がNHKであることです。
記事のなかには「大阪地検特捜部はこうしたやり取りを把握」と
いう表現があり、この情報が検察筋からのリークであることを暗
に示しています。
 2017年2月17日の衆議院の予算委員会の時点では、安倍
首相は森友学園の先生の指導を次のように賞賛していたのです。
─────────────────────────────
 妻から森友学園の先生の教育に対する熱意はすばらしいとい
 う話を聞いている。            ──安倍首相
─────────────────────────────
 しかし、このとき、当時の民進党の福島伸享元衆院議員が8億
円の値引きの根拠となったごみの撤去工事について「ダンプカー
4000台」に相当する規模だなどと追及していたのです。
 この民進党の質問に眉をひそめたのは、佐川理財局長と当時総
括審議官を務めていた太田充氏です。彼らは、直ちに行動をとっ
たのです。2月22日に2人は、菅官房長官に相談に行きます。
そこで何が話し合われたかはわかりませんが、その直後、24日
の衆院予算委員会では、安倍首相は一転して、籠池氏を「しつこ
い」呼ばわりし、17日の答弁と打って変わって森友学園を突き
放し始めたのです。
 考えられない話ですが、撤去していないゴミを「トラックを何
千台も使って撤去したことにしてくれ」と財務省側が森友学園に
持ちかけたところ、「事実と違うのでその説明はできない」と断
られていることです。森友学園の方がはるかにまともです。
 財務省としては、ゴミの撤去に注目が集まっており、野党の質
問からみて、そうしないと面倒なことになると考えたからです。
しかし、予想に反して森友学園がそれに応じなかったので、手の
ひらを返したように“籠池切り”を始めたものと思われます。そ
れと同時に、決裁文書の改ざんが始まった可能性が高いのです。
 これを裏付けていてるのは、この問題を追及している共産党の
辰巳孝太郎参院議員の次のようにコメントです。
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 財務省は、改ざんが始まったのは「2月下旬」だと言っていま
す。口裏合わせは、まさに同じ時期。財務省はとぼけていますが
口裏合わせに関するメールを既に持っているはず。今後は、その
メールの内容と、太田理財局長が菅官房長官と面会した際のメモ
を財務省から出させないといけない。 ──辰巳孝太郎参院議員
                  https://bit.ly/2GYBNrB
─────────────────────────────
 それにしても財務省は、なぜこのような事態に追い込まれたの
でしょうか。麻生財務相は、4月5日の参院財政金融委員会で、
「現時点では事実関係は確認できておらず、確認させていただき
たい」と答弁するしかなかったのです。事情を熟知しているはず
の太田充理財局長も「早急に確認させていただきたい」とひたす
ら、逃げの一手です。
 森友学園事件で窮地に追い詰められつつある財務省としては、
佐川宣寿前理財局長の喚問で、理財局限りの問題に限定すると共
に、国交省にも責任の一端があるとして一部の責任転嫁を図ろう
としていたのです。そこに「森友学園側との口裏合わせ」の報道
です。事態は財務省にとって、深刻な事態になっています。
 佐川証人喚問に先立つ3月19日、財務省は次のような「ある
メモ」の公表に踏み切ったのです。このメモは、森友学園用地を
売却する際に作成された決裁文書に添付されていたものです。
─────────────────────────────
    森友学園事案に係わる今後の対応方針について
─────────────────────────────
 このメモでは、そもそも「ゴミの撤去費用」を大幅に値引きし
て土地の価格を安くするという提案をしたのは、森友学園サイド
であって、実際の土地の所有者である国交省がこの法外な提案を
受け入れたことを示しています。つまり、国交省こそこの問題の
責任者であることを示すものです。このメモは財務省が決裁文書
から削除していたものです。メモの内容の一部です。
─────────────────────────────
 今回のメモによると、大阪航空局は新たに見つかったゴミにつ
いて「処理せざるを得ないもの」と責任を認識する一方、「早急
な予算措置は難しい」と判断。ゴミの撤去費用を差し引き、学園
側に国有地を安く売却する方法を近畿財務局に提案した。
 近畿財務局側もこの提案を受けいれ、「土地の評価額から廃棄
物処理費用を減額した価格提示を行い売却」する意向を示してい
た。国有地の値引き額をめぐっては、大阪航空局が見積もったこ
と。その際、森友学園側の工事関係者から写真や資料の提供を受
けて、「ゴミ撤去費」を8億2000万円と算定したこと。近畿
財務局が、この金額を国有地の鑑定価格から差し引き、「1億3
400万円」で学園側に売却したことなどがわかっている。
                  https://bit.ly/2IxDWaH
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/064]

≪画像および関連情報≫
 ●財務省が森友学園に口裏合わせを要求している事実
  ───────────────────────────
   文書の改ざんにつづいて今度は口裏合わせの事実があきら
  かになった。NHKが先ほど報じたところによると、昨年2
  月20日に、財務省理財局が森友学園側に嘘の説明を強要し
  ていたというのだ。
   事の発端は昨年2月17日の衆院予算委員会。民進党の議
  員だった福島伸享氏が、約8億円の値引きの根拠となったゴ
  ミの撤去について、実際に撤去するとなると、「ダンプカー
  4000台分ぐらい」になると指摘。佐川宣寿理財局長に対
  し、「4000台のダンプカーが行き交いすれば、当然やっ
  ていることはわかりますけれども、実際に工事をやったかど
  うかは確認されておりますか」と質問した。このときも佐川
  理財局長は「適正な価格で売っている」と言い張ったのだが
  問題はこのあと。3日後の2月20日に理財局の職員が森友
  に電話をし、こう迫ったというのだ。
   「トラックを何千台も使ってゴミを撤去したと言ってほし
  い」。学園側は、「事実と違うのでその説明はできない」と
  断ったというが、これはつまり、財務省理財局は8億円分の
  ゴミなど地中にないことを知っており、そのためにこんな嘘
  を森友側に強要しようとした、ということだろう。
                  https://bit.ly/2q4PQRW
  ───────────────────────────

財務省が佐川証人喚問前に公開したメモ.jpg
財務省が佐川証人喚問前に公開したメモ
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2018年04月10日

●「森友問題を詳しく知る4人の官僚」(EJ第4741号)

 森友学園事件の真相を解明するには、そのカギを握っている国
土交通省と財務省の高級官僚から事情を聞く必要があります。し
かし、この事件に関わりのある官僚は、続々と表舞台から退場し
ています。現在、当時の状況を知り、まだ霞が関に残っている官
僚は次の4人がいます。
─────────────────────────────
        重田雅史国土交通省物流審議官
           竹内良樹財務省国際局長
         美並義人財務省近畿財務局長
            太田充財務省理財局長
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 昨日のEJ第4740号で述べたように、佐川喚問に先立つ3
月19日に財務省は「あるメモ」を公開していますが、このメモ
の日付は、2016年4月4日です。その5日前の3月30日付
で、国と森友学園は「合意書」を交わしていますが、その合意書
には次の3人の署名があります。
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           籠池泰典森友学園理事長
         竹内良樹財務省近畿財務局長
       加藤隆司国土交通省大阪航空局長
─────────────────────────────
 このうち、加藤隆司大阪航空局長は、籠池理事長のいう廃材・
ゴミの撤去費として約8億円を値引きして売却してほしいという
提案を受け入れたのです。このとき、国交省航空局の次長として
対応したのが重田雅史氏です。したがって、重田雅史氏は、その
間の事情はよくわかっているはずです。
 加藤隆司大阪航空局長は、2016年7月に退官し、大阪航空
局長は佐藤善信氏が着任していますが、重田雅史氏も航空局次長
から、現職の物流審議官に就任します。ここで、森友学園との交
渉は終了するのです。
 このように、8億円値引きの当事者は土地の所有者である国土
交通省大阪航空局なのです。これについて、雑誌「選択」は、あ
る政治部記者の話として次のように述べています。
─────────────────────────────
 「厄介なのは第2次安倍政権誕生以降、国交大臣ポストを公明
党に割り振ってきたこと」
 現在の大臣、石井啓一が就任したのは15年10月。まさに問
題の交渉が行われているさなかであり、風向き次第で財務大臣の
麻生太郎のように責任を問われかねないのだ。国交省は「書き換
え前文書」を自ら官邸に提出するなど、必死に無関係を装ってい
るが、共犯疑惑は晴れていない。重田も国会に引きずり出して厳
しく追及すべきだろう。(敬称略)
              ──「選択」/2018年4月号
─────────────────────────────
 美並義人氏が財務省近畿財務局長に就任したのは、2016年
6月、8億円値引きの土地売買契約が結ばれる直前のことです。
同時期に本省理財局長に就任したのは佐川宣寿氏です。そのとき
現理財局長の太田充氏は、財務省大臣官房総括審議官の職にあっ
たのです。太田氏はこのポストに2015年7月に就いており、
その職務上、森友学園事件については、佐川氏よりも詳しく知っ
ていたはずです。それでいて「自分は佐川氏の後任」として、振
る舞っています。
 美並義人氏が近畿財務局長になってからというもの、近畿財務
局は何かを隠蔽するような不自然な対応をするようになります。
当初非公開としていた土地の売却金額を一転公開に踏み切ったり
その理由を「森友学園からの申し入れ」と説明したが、森友学園
はそのような申し入れはしていないと反論。何かにつけて隠蔽す
るようになったのです。当時の近畿財務局内では、この取引は何
か胡散臭いと思われていたのです。
─────────────────────────────
 条件が破格という話は、近畿財務局で噂になっていた。加えて
昭恵夫人が名誉校長、理事長が日本会議幹部。いつしか「これは
政治家案件だ」などという話が聞こえ始め、近畿財務局の担当者
レベルではとても手に負えないものだった。
              ──「選択」/2018年4月号
─────────────────────────────
 これらの官僚たちに対しては、政治の力では事情は聞けないで
いるが、大阪地検特捜部は、地位の低い者から順に事情を聞いて
います。そして、そこで何が起こっているのかについては、ほと
んど把握しているようです。
 結局のところ、森友学園事件の真相解明は、大阪地検特捜部に
委ねられることになるでしょう。現在、大阪地検特捜部は、上野
友慈氏を大阪高検検事長に迎えて、水を得た魚になっており、意
欲的に捜査に取り組んでいます。当面の目標は、霞が関の財務省
本省への家宅捜査です。
 関西検察は、その範囲がOBまで及ぶ身内意識が強く、時には
それが癒着に転化する問題点はあるものの、財界を巻き込んだ勢
力圏を持っています。この関西検察の土着パワーを持ってすれば
森友学園問題は、その全貌が明らかになるものと期待されていま
す。「選択」は関西検察について次のように述べています。
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 今回の森友問題再燃のきっかけになったのは朝日新聞のスクー
プで、この情報源は大阪地検との見方がささやかれる。真偽は不
明だが、従来の法務・検察内部での関西派の立場を振り返れば、
ここで乾坤一撒の勝負に打って出たとしても、何ら不思議ではな
い。果たして、関西検察一家こと、特異な地域互助システムは千
載一遇の好機で社会正義を体現し、その身に塗り込められた屈辱
を晴らすことができるか。  ──「選択」/2018年4月号
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/065]

≪画像および関連情報≫
 ●橋下徹「スクープ!森友学園問題の真相」
  ───────────────────────────
   森友学園問題については、僕自身が大阪府知事をやってい
  たこともあって、責任の一端は僕にもあるという思いから、
  僕なりに総力をあげて取材をしてみた。しかるべき責任者に
  きっちり話が聞けたし、何が問題なのか、それは行政組織の
  どこの問題なのか、政治行政をやってきたので、そこら辺の
  コメンテーターよりもはるかに真相を語れる自信がある。
   以下の話はまだ表では出回っていない。僕が総力をあげて
  (笑)関係者に聞いた話を総合すると、以下のような真相が
  浮かび上がってきた。近畿財務局のチョンボである。問題と
  なっている土地は、大阪音楽大学の隣接地で、大阪音楽大学
  は平成24年から国と売買交渉をした。土地は国土交通省大
  阪航空局の所管だが、売却手続きは近畿財務局が行う。
   この土地は、関西国際空港が伊丹空港と統合され新しい会
  社になるときに、平成24年10月、関西国際空港の新会社
  に現物出資され、新会社の所有となった。近畿財務局は大阪
  音楽大学に売却できると思い、その代金を国のものにするた
  め、いったん新会社所有となった当該土地を国所有に戻した
  (平成25年1月)。ところが、結局、大阪音楽大学への売
  却は交渉決裂となって破談した。こうなると、当該土地が国
  のものとして余ってしまうのである。民間だとそれの何が問
  題なの?と感じるだろう。しかし行政の世界では大問題なの
  である。            https://bit.ly/2HhsmRD
  ───────────────────────────

太田充理財局長.jpg
太田充理財局長
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2018年04月11日

●「なぜ安倍は放送法改正を目指すか」(EJ第4742号)

 このテーマの最後の論点として、このところ安倍政権が急に主
張しはじめている「放送法改正」を取り上げることにします。そ
の意図は何なのでしょうか。
 「放送法改正」──具体的には「放送法第4条の撤廃」なので
す。放送法第4条とはどういう条文でしょうか。
─────────────────────────────
(国内放送等の放送番組の編集等)
第四条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送
等」という)の放送番組の編集に当たっては、次の各号の定める
ところによらなければならない。
 一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
 二 政治的に公平であること。
 三 報道は事実をまげないですること。
 四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角
度から論点を明らかにすること。
─────────────────────────────
 おかしな話です。もともと安倍政権は、この放送法第4条をタ
テにして、テレビ局にクレームをつけていたからです。これにつ
いては、1月16日のEJ第4683号から、1月23日のEJ
第4688号までにかけてご紹介しています。
 この放送法第4条を安倍政権は撤廃し、放送法を変えようとし
ています。安倍政権は一体何を狙っているのでしょうか。これに
関する安倍首相をはじめとする官邸の発言をいくつかひろってみ
ることにします。
─────────────────────────────
◎高市早苗前総務相(当時)
 ・行政が何度要請しても、全く改善しない放送局に何の対応も
 しないとは約束できない。将来にわたり(停波の)可能性が全
 くないとは言えない。──2016年2月9日/産経ニュース
◎安倍首相
 ・インターネットテレビには放送法の規制はかからないが、見
 ている人には地上波などと全く同じだ。日本の法体系が追いつ
 いていない状況で、電波での大きな改革が必要だ。
             ──2018年2月1日/毎日新聞
 ・(批判的な)TBSやテレ朝は報道じゃない。
         ──「週刊文春」/2018年4月12日号
◎今井尚哉首相秘書官
 ・テレビに政治的中立はないだろう。
         ──「週刊文春」/2018年4月12日号
                  https://bit.ly/2v3KrAh
─────────────────────────────
 今井尚哉首相秘書官とは何者でしょうか。
 黒澤映画に『隠し砦の三悪人』というのがあります。これに合
わせて「官邸の隠れ三役人」とよくいわれます。三役人とは次の
3人であり、そのなかに今井秘書官は入っています。
─────────────────────────────
        1.杉田和博内閣官房副長官
        2.  今井尚哉首相秘書官
        3.   北村滋内閣情報官
─────────────────────────────
 この3人は政治報道にはまず現れることはないです。しかし、
この3人が安倍政権の裏を知り尽くし、政権を動かしているとい
っても過言ではないのです。なかでも今井尚哉首相秘書官は、閣
僚を超える権限を有していて、今回の放送法改正のペーパー作成
も今井秘書官が担っているとされています。
 これらの発言に関しての異論や反論やコメントをいくつか集め
てみると、次のようになります。
─────────────────────────────
◎野田聖子総務相
 ・仮に4条が撤廃されれば、公序良俗を害するような番組や、
 事実に基づかない報道が増加する。
◎石破 茂自民党元幹事長
 ・報道のあり方は、健全な民主主義にとって極めて大事なこと
 だと思っていて、放送法4条の改正は慎重であるべきだ。正し
 い民主主義のあり方とは何なのかを議論していきたい。
         ──2018年4月5日/朝日新聞デジタル
◎岸田文雄自民党政調会長
 ・放送法の役割、この政治的な公平性とか、公序良俗の維持と
 か、さまざまな役割があるといわれています。慎重に議論すべ
 きものではないか。──2018年4月5日/TBSニュース
─────────────────────────────
 放送法改正の根っこには、いわゆる「放送と通信の融合」の問
題があります。2月23日のEJ第4710号で、安倍首相がア
ベマTVの「徹の部屋」(一番会いたい人物と本音トーク)に出
演したことを取り上げましたが、そのとき、安倍首相は自説を思
い切り話して、とても気分がよかったのだと思います。しかも、
それは昨年10月の総選挙前のことです。
 この体験によって、安倍首相はネット番組を高く評価するよう
になったものと思われます。ちなみに、ここで「徹」とは、熱烈
な安倍応援団の一人である見城徹幻冬舎社長のことです。
 しかし、その見城氏でさえも放送法改正には「無茶な構想」と
疑問を呈しています。
─────────────────────────────
◎見城徹幻冬舎社長
 ・僕の想像ですが、安倍さんは報道ステーションやサンデーモ
 ーニングが気に食わないのでしょう。しかし、それとこれとは
 話が別だと思います。
         ──「週刊文春」/2018年4月12日号
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/066]

≪画像および関連情報≫
 ●放送法第4条撤廃案/首相、批判報道に不満か
  ───────────────────────────
   政府が検討中の放送制度改革案は、政権とマスコミの関係
  を変えかねない。表向きは放送と通信の垣根をなくして魅力
  的な番組を作りやすくし、業界を活性化するのが目的だが、
  政権に批判的な報道への安倍晋三首相の不満が垣間見える。
  「今はネットでテレビのニュース動画も流れている。同じこ
  とをやっているのにテレビだけ規制があるのはおかしい」。
  首相官邸幹部は、首相の放送法4条撤廃の考えをこう代弁す
  る。安倍政権下では、4条の「政治的公平」原則をテコに民
  放がけん制されてきた。2014年衆院選では自民党が民放
  とNHKに「要望書」を提出し、選挙報道での「公平中立、
  公正」を求めた。直前のTBS番組で、景気への厳しい声が
  相次ぐ街頭インタビューをスタジオで見た安倍首相が「全然
  (評価する)声が反映されていない。おかしいじゃありませ
  んか」と反発していた。16年2月には高市早苗総務相(当
  時)が、政治的公平性を欠く放送局に電波停止を命じる可能
  性に言及し、首相が追認した経緯もある。
   一方、首相はネット番組には好意的だ。昨年の衆院選の際
  は「アベマTV」に約1時間出演。その後、今年1月31日
  には楽天の三木谷浩史会長兼社長が代表理事の新経済連盟の
  新年会であいさつ。ネット出演を振り返り「双方向でいろん
  な意見があり面白いなと思った。見ている人には地上波と全
  く同じだ。法体系が追い付いていない」と語った。内閣府の
  規制改革推進会議のワーキンググループで放送制度の議論が
  始まったのはその直後の2月7日だった。
                  https://bit.ly/2pK4nmK
  ───────────────────────────

今井尚哉首相秘書官.jpg
今井尚哉首相秘書官
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2018年04月12日

●「放送法改正に読売渡邊主筆が激高」(EJ第4743号)

 安倍政権の放送法改正の狙いは何でしょうか。安倍首相はどの
ように考えているのでしょうか。
 2018年2月6日の衆院予算委員会において、安倍首相は、
「通信と放送の融合」について、次のように答弁しています。
─────────────────────────────
 ネットは自由な世界であり、その自由な世界に規制を持ち込む
という考え方は全くない。であるならば、放送法をどうするかと
いう問題意識を持っている。          ──安倍首相
─────────────────────────────
 確かにこの考え方からは、放送法の規制を緩和しようとする意
思を読み取ることができます。しかし、この安倍首相の発言で、
この話は大きくなったわけではないのです。その象徴的な日は3
月2日です。そうです。朝日新聞が森友決裁文書の改ざんを報道
した日の夜のことです。
 その日は、首相もよく出演する「BSフジプライムニュース」
放送10周年を祝う会が開かれ、その席で安倍首相の祝辞のなか
で放送法改正の話が飛び出したのです。
─────────────────────────────
 電波、通信の大改革を行いたい。大競争時代に入り、ネット
 や地上波が競合していく。         ──安倍首相
─────────────────────────────
 当然のことですが、この席には民放関係者が大勢集まっていた
ので、これは衝撃とともに受け止められたのです。これに素早く
反応したのは、安倍政権寄りとされる読売新聞グループ本社代表
取締役主筆の渡邊恒雄氏です。この人は、新聞や放送業界の既得
権益の守護神を自任している人物です。そして、3月9日になっ
て、渡邊主筆の怒りは頂点に達したといいます。この理由につい
て、ある大手紙政治部記者は次のように述べています。
─────────────────────────────
 ナベツネさんの怒りが決定的になったのは3月9日。この日、
安倍首相と日本テレビの大久保好男社長、粕谷賢之報道解説委員
長と会食したのですが、2人はナベツネさんの意を受けて、放送
改革の問題を首相に質したらしい。すると、安倍首相ははっきり
放送法4条の撤廃に言及したらしいのです。    ──リテラ
─────────────────────────────
 この問題についての読売新聞の反応を時系列にピックアップす
ることにします。
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◎読売新聞
 ・政治的中立性の縛りを外せば、特定の党派色をむき出しにし
 た番組が放送されかねない。        ──3月17日
 ・番組の劣化と信頼失墜を招く。      ──3月25日
◎渡邊恒雄読売新聞主筆
 ・首相がその気なら全面対決だ。       ──4月3日
 ・日テレがテレ朝みたいになってもいいのか。
              ──「週刊文春」/4月12日号
─────────────────────────────
 気になることは、3月30日に安倍首相は渡邊主筆の招待で、
東京ドームで、読売ジャイアンツVS阪神タイガーズ戦を観戦し
ているのです。そのとき、渡邊主筆が安倍首相に直談判している
はずです。
 さらにその3日後の4月2日、安倍首相と渡邊主筆は、福山正
喜共同通信社社長や熊坂隆光産経新聞社会長、芹沢洋一日本経済
新聞社論説フェロー、北村正任毎日新聞社名誉顧問らと、会食を
行っていますが、そのときは非常に和やかで、放送法の話は一切
出なかったといいます。
 不可解なのは、その次の日の4月3日、渡邊主筆が次の発言を
していることです。
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  首相がその気なら全面対決だ。──渡邊恒雄読売新聞主筆
─────────────────────────────
 一般人は、安倍首相が3月30日に巨人・阪神戦を観戦したこ
とはニュースで知っていても、そこに渡邊主筆がいて、何らかの
話をしたかは知る由もないし、まして、3月9日の会合と4月2
日の会合のことは誰も知らないのです。したがって、一般人は、
読売新聞の渡邊主筆が、安倍首相の進めようとしている放送法改
正について「激高している」ことだけがわかるのです。
 しかし、この一連の流れを見てわかることは、安倍首相はテレ
ビ業界にブラフをかけ、渡邊主筆が抗議すると、何らかの手打ち
をしたのではないかということです。
 安倍首相が放送関係者が集まる席で、自ら放送改正について発
言した日が、朝日新聞が森友決裁文書改ざんをスクープした日の
夜であることは重要です。安倍首相としては、ここで一発ブラフ
をかける必要があると感じ、話したものと思われます。実際に安
倍首相は、放送法改正プランを作成しつつあるからです。放送法
改正について、リテラは次のように書いています。
─────────────────────────────
 放送法は太平洋戦争時、戦意高揚の政府宣伝にラジオが使われ
た反省から、1950年に制定されたもの。放送法改正が実現す
れば、たとえば安倍政権を擁護し続けるDHCテレビのネット番
組『真相深入り!虎ノ門ニュース』が地上波で流れるようになる
だろう。また、放送倫理・番組向上機構(BPO)もネット番組
には権限が及ばないので、裏付け取材をしないまま沖縄の反基地
運動を侮蔑的に取り上げてBPOに放送倫理違反や人権侵害を指
摘された『ニュース女子』(制作はDHCテレビとボーイズ)の
ような番組も野放しになる。はたして安倍政権による「テレビ制
圧計画」は成功するのか否か。その成り行きを注視したい。
                  https://bit.ly/2qoSO3A
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/067]

≪画像および関連情報≫
 ●放送法改正、なぜ安倍首相は積極的なのか
  ───────────────────────────
   この問題を国会でも取り上げた奥野総一郎衆院議員(希望
  の党)は、放送法の規制レベルをネットに合わせたときの問
  題点について「ネットに合わせて規制を比較的自由にしたと
  きに、権力が放送内容に対して口出ししてくることも考えら
  れる」と指摘した。
   現在は放送法3条で放送内容に対する外部の介入を禁じて
  いる。一足先に政治的公平規制「フェアネス・ドクトリン」
  が撤廃された米国では、トランプ大統領が、一部の放送局を
  「フェイクだ」と攻撃。メディアの政治色の偏りなどを背景
  に、社会の分断が強まっている。
   ペンシルベニア大学アネンバーグ・コミュニケーション・
  スクールのビクター・ピッカード准教授は、米国の状況につ
  いて「政治的なバランスや公益を守ることを約束させるセー
  フガードがなくなって、メディアはより市場原理に影響され
  やすくなり、結果として極端な議論、センセーショナリズム
  に支配されてしまった」と指摘。「米国の経験を教訓として
  日本は警戒感を持つべきだ」と忠告した。元NHKプロデュ
  ーサーで武蔵大学の永田浩三教授も「戦争中、放送が旗振り
  役を担ったという歴史がある。放送法は国民の表現の自由を
  最大限生かしながら健全な民主主義の発達を支えるもので、
  その歴史の流れを無視して4条だけをいじるのは全体を見な
  い議論だ」と批判した。     https://bit.ly/2EBp0Gi
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読売新聞渡邊恒雄主筆 
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2018年04月13日

●「応援テレビ局を作ろうとしている」(EJ第4744号)

 安倍首相が打ち出している放送法改正については、ペーパーが
存在します。これは「今井ペーパー」と呼ばれている基本計画プ
ランです。「今井」とは今井尚哉首相秘書官のことです。「官邸
の隠れ3役人」の1人です。この今井ペーパーには、次の内容の
2種類があります。
─────────────────────────────
 1.放送法第4条などの規制の撤廃やネット事業者などのテ
   レビへの参入を促進する。
 2.放送は、NHKがあればよいのであって、それ以外の民
   放は基本的に不要である。
─────────────────────────────
 内容的にとんでもないプランです。何しろ「民放なんかなくし
てしまえ」という乱暴なものであるからです。野党議員は直ちに
質問主意書を政府に提出しこの件を質していますが、政府は20
18年4月3日に次の回答をしています。
─────────────────────────────
 放送法4条撤廃について、政府として具体的な検討を行った
 ことはない。               ──政府答弁
─────────────────────────────
 しかし、今井ペーパーでは、法案の提出時期を今年の臨時国会
か来年の通常国会と期限を切っており、放送局への単なるブラフ
のためのものであるとはとても思えないのです。案外真面目に成
立を期そうとしているように考えられます。
 既に述べているように、安倍政権は、これまで放送法第4条を
タテにして放送局に圧力をかけてきています。それに加えて、政
治番組、とくに休日の政治番組を減少させ、そのうえで政権を批
判するコメンテーターを降板させ、政権への批判を封じ込めよう
としてきており、それは既に実行に移されています。
 それでも安倍政権へのテレビでの批判は、やむことはなかった
のです。それは、安倍政権が批判に該当することをいくつもやっ
ているからです。森友問題、加計問題、防衛省日報問題など、批
判の対象になることが増える一方だからです。
 そこで安倍政権は発想の転換をしたのだと思います。これまで
圧力の道具として使ってきた放送法第4条を撤廃し、むしろ政権
擁護のテレビ局を増やそうと考えたのです。ちょうど、一部の右
翼系雑誌──『月刊/Hanada』『月刊WiLL』など──
が、安倍首相応援雑誌になっているように、テレビでもそういう
テレビ局を作ろうとしているのです。
 そのひな型になるようなテレビ番組があったのです。「ニュー
ス女子」というテレビ番組をご存知でしょうか。
 『ニュース女子』というのは、DHCシアターが放送したトー
クバラエティ番組のことで、2015年4月12日から放送を開
始し、2017年3月30日で放送を終了しています。
 2015年4月12日から『女は悩まない、女の世直しニュー
ス女子』の番組名で、土曜日深夜ないし、金曜日21時からそれ
ぞれ1時間放送したのです。103回放送しましたが、ある事情
により、放送を終了しています。
 この番組は、スポンサーが制作費などを負担し、制作会社が番
組を作って、放送局は納品された完成品(完パケ)を放送する、
いわゆる“持ち込み番組”だったのです。制作は、化粧品大手の
DHCグループ傘下の「DHCテレビジョン」が担っています。
 それでは、なぜ、放送を中断したのでしょうか。それは次の事
情によります。
─────────────────────────────
 2017年1月2日、東京MXで沖縄基地問題の特集を放送し
た。「沖縄緊急調査/マスコミが報道しない真実」「沖縄・高江
のヘリパット問題はどうなった?過激な反対派の実情を井上和彦
が現地取材!」などと題し、沖縄・高江の米軍ヘリパッドへの反
対運動を報じた
 その中で、米軍ヘリパッド建設に反対する人たちを「テロリス
ト」と表現したり、「日当をもらっている」「組織に雇用されて
いる」などと伝えたりした。また、日当については人権団体「の
りこえねっと」が払っていると指摘した。放送後、批判の声が相
次いだ。BPOの放送倫理検証委員会は2017年12月14日
「重大な放送倫理違反があった」と極めて重い内容の意見書を公
表していた。(中略)東京MXは2018年3月1日、「ニュー
ス女子」の放送終了を発表していた。制作元のDHCテレビジョ
ンは3月5日、番組を地方局やネット上などで継続すると発表し
ている。              https://bzfd.it/2HqNEMN
─────────────────────────────
 なぜ、「ニュース女子」のことを取り上げたかというと、この
番組と安倍政権の進めようとする放送法改正が無関係ではないか
らです。それは、放送法改正を討議する規制改革推進会議のメン
バーに「ニュース女子」の出演者が3人含まれていることです。
この規制改革会議は何かと問題があるのです。このことに関して
書いているリテラの記事を引用します。これらの3人はいずれも
安倍首相シンパです。
─────────────────────────────
 今回の放送制度改革案は「規制改革推進会議」が取りまとめを
おこない、6月にも安倍首相に答申する予定なのだが、この「規
制改革推進会議」のメンバーに、あの『ニュース女子』出演者が
3人も含まれているのである。それは、『ニュース女子』司会で
ある長谷川幸洋・東京新聞論説委員に、同番組の準レギュラーで
文書改ざん問題では朝日批判を展開していた経済学者の飯田泰之
氏、同じく準レギュラーである、加計学園問題では国家戦略特区
ワーキンググループ委員として、「議事録はすべて公開されてい
る」と虚偽の主張を繰り広げていた政策コンサルタントの原英史
氏の3名だ。            https://bit.ly/2IIH3wu
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/068]

≪画像および関連情報≫
 ●「放送法改正」で、あらゆるメディアが与党寄りになる
  ───────────────────────────
   かねてから、安倍総理が自分に批判的なメディアが嫌いな
  ことはよく知られています。先だっては、政治的公平さなど
  を求められない放送法の規制がないネットテレビ局に出演し
  て、1時間にわたり持論をしゃべりまくりすっかり気をよく
  したようです。その安倍首相が目指していると言われる放送
  事業の見直しは、放送法4条などの規制の撤廃です。
   今回の規制緩和は、「放送法の規制がかからないネットテ
  レビ」(安倍総理談)などの放送事業への参入を促すもので
  す。モリカケの前にかすんでしまっていますが大問題です。
   もし、政治的中立性の縛りをなくしてしまったら、特定の
  政党に偏った番組ばかりが放送される懸念があります。当然
  お金がある与党寄りのものが多くなるでしょう。
   ただでさえも、広告不況です。このうえネット事業者に放
  送事業の門戸を開けば、地上波キー局など既存の放送事業者
  は経営がそうとう苦しくなるでしょう。
   この動きに、普段は安倍応援団が多い放送業界でさえ「民
  間放送が解体されてしまう」と警戒を強めています。一方、
  所轄の野田聖子総務大臣は20日の参院総務委員会で、放送
  法4条の撤廃を柱とする放送制度改革について「多様な意見
  を聞きながら、変えるべきところは変える、とどめておくべ
  きところはとどめる、という流れがあると思う。私自身はま
  だ何も承知していないのでコメントは差し控えたい」と述べ
  ました。安倍総理からの指示はまだないということでした。
                  https://bit.ly/2HrBpzp
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「ニュース女子」.jpg
「ニュース女子」
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2018年04月16日

●「文書改竄に官邸は絡んでいないか」(EJ第4745号)

 2018年4月11日の衆議院予算委員会で、加計学園の獣医
学部新設計画をめぐり、安倍晋三首相は胸をはって、次の言葉を
何回も繰り返したのです。
─────────────────────────────
 前川前事務次官を含めて、誰ひとりとして、私から指示を受
 けたという方は一人もいないのでございます。──安倍首相
─────────────────────────────
 わざわざ安倍首相が「前川前事務次官を含めて」という言葉を
入れたのは、あれほど私を批判している前川氏ですら、私から指
示を受けていないといっている事実を強調したかったものと思わ
れます。
 しかし、首相が直接指示をしなくても首相秘書官などの首相を
取り巻く人たちが「総理は立場上、直接いえないから、私からい
うが・・・」というように代弁することが多いのです。前川前文
科事務次官などは、和泉首相補佐官から明確にそういわれている
のです。これは、総理がいったことに等しいのです。
 まだあります。「官邸の最高レベルがいっている」、「総理は
30年4月開学とお尻を切っている」、そして「本件は首相案件
である」などです。単に「自分はいっていない」というだけで済
む話ではないのですが、安倍首相は平然とこのセリフを何度も繰
り返すのです。
 このように部下が上司の意向を推し量って行動する「忖度」は
日本の組織風土として定着しています。安倍政権はそういう組織
風土を意識的に利用しているところがあります。現在、NHKで
はこのようなことが大きな問題になっています。
 渦中にいる人物はNHK政治部出身の小池英夫報道局長です。
この小池英夫報道局長の官邸への忖度ぶりがあまりにも露骨なの
で、問題になっているのです。NHKの朝の「おはよう日本」や
夜の「ニュース7」「ニュースウオッチ9」といった番組のニュ
ースが、小池報道部長の横槍で別のモノに変えられたケースがあ
まりにも多いからです。
 小池報道部長の部屋は5階にあります。小池部長は5階の自室
から、2階のニュースセンターにさまざまな指示を電話で出して
きます。これをNHKでは、「Kアラート」と呼んでいるそうで
す。Kアラートにひっかかった番組の編集者は、5階に呼ばれ、
必ずといってよいほど、しょげて帰ってくるといわれます。
 前川前文科事務次官の講演内容を文科省が問い合わせたニュー
スを「ニュースウオッチ9」が森友問題と続けて流したとき、K
アラートが鳴り、小池報道部長のクレームが入ったといいます。
小池報道部長にとっては、「皆様のNHK」ではなく、ひたすら
「官邸のNHK」を目指して行動しているようです。
 これについて、11日発売の「週刊新潮」は、次のように書い
ています。
─────────────────────────────
 「政治部出身の小池英夫報道局長です。官邸の意向に沿わない
ネタは潰し、報じられたニュースに抗議が入れば現場を徹底的に
叱責する。多くの職員がそう認識しています。そして小池さんが
直接やりとりしているのは、安倍晋三総理の懐刀で影の総理とも
呼ばれる今井尚哉秘書官だ、と」
              ──「週刊新潮」/4月19日号
─────────────────────────────
 やはり、今井尚哉首相秘書官がからんでいるのです。森友問題
もこの秘書官が黒幕であるといわれます。今井尚哉氏とはどうい
う人物なのでしょうか。
 今井尚哉氏は、1982年に通商産業省(現経済産業省)に入
省し、2006年に第1次安倍政権発足と同時に首相秘書官に就
任しています。さらに、第2次安倍政権が発足した2012年に
首相に求められて再び首相秘書官になっており、安倍首相の腹心
といえるほどの存在です。安倍首相の信頼度は、菅官房長官以上
であるといわれています。
 現在、安倍首相が最も恐れているのは、森友問題の矛先が今井
首相秘書官に向けられ、野党から証人喚問を要求されることであ
るといわれます。それは、森友問題の決裁文書改ざんは、財務省
理財局の判断だけで行われたものではなく、官邸が深く絡んでい
るという疑いが出ているからです。
 これに関して、前川前文科事務次官が、佐川氏の独断で、決裁
文書の改ざんなどという大胆極まる犯罪行為をやれるとはとても
思えないとして、次のように述べています。
─────────────────────────────
 国政調査権のある国会に提出された文書が改ざんされていたと
は、民主主義が崩壊する事態で犯罪的行為だ。こんな悪事を、真
面目で小心な官僚が、自らの判断でできるなど、到底考えられな
い。文書改ざんは、官邸との間ですり合わせがあって行われたと
しか思えない。官僚が、これほど危険な行為を、官邸に何の相談
も報告もなしに独断で行うはずがない。文書の詳細さを見れば、
現場がいかに本件を特例的な措置と捉えていたかがわかる。忖度
ではなく、官邸にいる誰かから「やれ」と言われたのだろう。
                  https://bit.ly/2qscDI5
─────────────────────────────
 「官邸にいる誰か」とは誰でしょうか。前川氏はその「誰か」
すなわち黒幕を今井尚哉首相秘書官ではないかと推測しているの
です。いわゆる昭恵夫人とそのお付きの職員、谷査恵子氏のバッ
クに今井秘書官がいるとみているのです。ちなみに、谷査恵子氏
は経済産業省の出身で、その上司は今井秘書官だったのです。
 財務省による決裁文書改ざんや森友学園との口裏合わせを理財
局だけの判断でやったとはとても考えられないことです。それほ
どの政権に関わる大事を官邸のボスである今井首相秘書官が何も
知らなかったとはとても考えられないことです。明らかに、これ
に官邸も絡んでいることは確かです。
            ──[メディア規制の実態/069]

≪画像および関連情報≫
 ●佐川長官の辞任は“詰め腹”を切らされたわけではない
  ───────────────────────────
   3月9日、森友問題発覚時に財務省理財局長を務め、その
  後国税庁長官に昇任した佐川宣寿氏が長官の職を辞任した。
  その理由として(1)理財局長時代の国会対応において丁寧
  さを欠いていおり混乱をもたらしたこと、(2)行政文書の
  管理について多くの指摘を受けたこと、(3)いわゆる「決
  裁文書」についての担当局長であったところ管理不行届きが
  あったこと、の3点が挙げられている。
   あくまでも佐川氏本人からの申し出を受けての辞職であり
  懲戒免職処分ではない。なお、国家公務員の辞職は任命権者
  である大臣の承認が必要であり、外局の長たる国税庁長官の
  任免については閣議を経る必要がある(筆者も総務省退職時
  には、「辞職を承認する」との大臣名の辞令をもらって辞職
  している。ちなみに、その時の総務大臣は麻生太郎氏であっ
  た)。また、佐川氏は単に辞職だけではなく、3ヵ月の減給
  という懲戒処分も受けている。しかし、これは在職者を前提
  とした処分であり、辞職とは別のもの。したがって佐川氏に
  は退職金はしっかり支給される。
   要するに今回の辞職はあくまでも“本人の意思”によるも
  のであって、減給処分についても「辞職したい」とする理由
  が理由だから、それを聞いてしまっては何かせざるをえない
  ので減給といったところであり、引責のような彩りを添えて
  はいるが、実際には引責辞任ではない。
                  https://bit.ly/2Hymzaw
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前川喜平前文科省事務次官.jpg
前川喜平前文科省事務次官
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2018年04月17日

●「17年1月20日にこだわる理由」(EJ第4746号)

 加計学園問題をめぐる安倍首相の答弁は不可解です。論理が破
綻しています。それでも平然とその答弁を繰り返すのみです。聞
く耳は持たないという姿勢です。質問にまともに答えていないか
らです。安倍首相は窮地に追い込まれているようです。ことの発
端は安倍首相の次の発言です。
─────────────────────────────
 学校法人「加計学園」による獣医学部新設計画について、事業
主体が同学園だと私が初めて知ったのは、2017年1月20日
の国家戦略特区諮問会議だったのです。     ──安倍首相
─────────────────────────────
 安倍首相は、その前に何度も加計学園の加計理事長とゴルフや
会食を繰り返しており、そのなかで加計学園の獣医学部新設の手
続きが進行していたのです。したがって、安倍首相がそうした学
園の動きを一切知らなかったとは、とても考えられないことです
が、なぜここにきて日を切ったかです。
 それは、2001年にできた次の「大臣規範」に原因であると
思われます。
─────────────────────────────
   閣僚は関係業者から饗応接待を受けることを禁じる
─────────────────────────────
 安倍首相は、2017年1月20日以前に加計理事長と何回も
ゴルフや会食をしており、そのさいの経費は奢ったり、奢られた
りであると国会でも答弁しています。
 しかし、加計学園は国家戦略特区の申請をし、獣医学部の新設
手続き中であり、安倍首相はその国家戦略特区諮問会議の議長で
あるので、加計理事長はまさに利害関係者です。そういう人物か
らゴルフや会食の接待を受けることは「大臣規範」に違反すると
スタッフから知らされ、安倍首相は、急遽2017年1月20日
に加計学園が申請当事者であることをはじめて知ったということ
にしたというわけです。
 今回起きている問題は、2015年4月2日に、愛媛県や今治
市の職員が、当時の柳瀬唯夫首相秘書官(現・経済産業審議官)
と面会し、「これは首相案件である」と告げられ、手続きに関す
るさまざまなアドバイスを受けたということです。
 同じことを競合相手である京都産業大学にもやっているのであ
れば問題はないのですが、そんなことはしていないのです。そも
そもこのような案件で、総理秘書官が官邸で関係者にわざわざ会
うなどということはあり得ないことです。どう考えても「加計あ
りき」の依怙贔屓です。
 問題は、これが本当であるとすると、安倍首相は2017年1
月20日どころか、2015年4月以前の段階から、加計学園の
獣医学部新設の動きを知っていたことになります。つまり、20
17年1月20日の時点ではじめて知ったという発言は「ウソ」
ということになります。だからこそ、理屈にならない理屈で、安
倍首相は逃げようとしているのです。
 ところが、2015年4月2日に柳瀬首相秘書官が愛媛県と今
治市の職員、加計学園の関係者に会い、「首相案件」といったこ
との証拠が出てきているのです。それにも関わらず、安倍首相は
次のような答弁にならない答弁を繰り返しています。
─────────────────────────────
 愛媛県が作成した文書なので、政府としてコメントできないと
いうことでございます。そのうえで、柳瀬元秘書官の発言につい
ては、元上司として、信頼しているところでございます。
                       ──安倍首相
─────────────────────────────
 実は、安倍首相は柳瀬唯夫秘書官を加計理事長と引き合わせて
います。それは、2013年5月6日のことです。そのとき、柳
瀬首相秘書官、加計理事長、安倍首相は、ともにゴルフをしてい
ます。この日は、萩生田光一前官房副長官が安倍首相と加計理事
長とのスリーショットの写真(添付ファイル)をブログで公開し
ていた、あのバーベキューの翌日に当たります。
 ノンフィクション作家・森功氏の『悪だくみ「加計学園」の悲
願を叶えた総理の欺瞞』(文藝春秋)によると、この日、安倍首
相や加計理事長、萩生田前官房副長官のほか、昭恵夫人や萩生田
夫人、加計理事長の後妻、さらに今井尚哉氏や柳瀬氏といった首
相秘書官らも参加していたのです。これについて、リテラは次の
ように書いています。
─────────────────────────────
 当時は、第2次安倍政権が発足して半年が経った頃で、これま
でさんざん獣医学部開設の申請を却下され続けてきた加計学園が
安倍首相の力を借りて、今度こそ、開設を実現させようと仕切り
直していた時期。
 そんな時期に官邸スタッフ勢揃いのゴルフに加計理事長を参加
させたというのは偶然とは思えない。これは官邸スタッフに対す
る「俺の腹心の友に協力しろ」という無言の呼びかけであり、安
倍首相はこのゴルフで、特区担当の柳瀬氏と加計理事長を引き合
わせた上で「よろしく頼む」と指示したのではないか。
                  https://bit.ly/2H33f8s
─────────────────────────────
 つまり、こういうことになります。加計学園は長年にわたって
獣医学部の新設のプランを持っていたのですが、15回も却下さ
れています。加計学園は、傘下の学校に動物関連の学科が多く、
「広島アニマルケア専門学校」など動物の専門学校を2つも持っ
ています。しかし、大学の獣医学部新設は、岩盤規制に阻まれて
申請はことごとく却下されてきたのです。
 そこに2012年に第2次安倍政権が発足したのです。親友の
安倍晋三氏が首相です。加計理事長でなくても今度こそと考えて
も不思議はないのです。しかし、安倍首相は少し乱暴にやり過ぎ
たといえます。奢りで、「加計ありき」をやってしまったのでは
ないでしょうか。    ──[メディア規制の実態/070]

≪画像および関連情報≫
 ●安倍首相、会っていない言い張る秘書官の記憶を信頼
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   どっちがうそつき? 安倍晋三首相は4月11日の衆院予
  算委員会で、学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画をめ
  ぐり、「首相案件」などと書かれた愛媛県職員作成の「備忘
  録」に対する論評を避けた。自身の関与や学園の要請を否定
  した上で、記憶を根拠に「首相案件」発言を否定した柳瀬唯
  夫経産省審議官を「信頼する」と主張。記録より記憶を“信
  用”した。野党は、県職員、柳瀬氏の「証人喚問対決」を提
  案。与野党の怒号、首相秘書官のやじまで乱れ飛ぶ騒然とし
  た審議で、安倍政権は疑惑を晴らすことができなかった。
   加計学園の獣医学部新設計画を首相秘書官が「首相案件」
  と述べたと書かれた「備忘録」の判明から一夜明けた国会。
  首相はいつになくペーパーを棒読みし、やじに敏感に反応し
  た。「(自身に批判的な)前川喜平氏を含め、私から指示を
  受けた方は1人もいないと明らかになっている」「(国家戦
  略特区諮問会議の)民間議員からも、プロセスに1点の曇り
  もないと明確な発言があった」。自身は無関係とする従来の
  説明を繰り返し、そのたびに質疑が止まった。備忘録につい
  ても「都道府県の作成の文書で政府の文書ではない。政府と
  してコメントする立場にない」と、延々と繰り返した。一方
  で、15年4月2日に官邸で愛媛県や今治市側と会ったとさ
  れる柳瀬氏について「私は部下を信じて仕事をしている。柳
  瀬氏の発言は信頼している」と述べた。
                  https://bit.ly/2IXlKY2
  ───────────────────────────

問題の写真/安倍首相・加計理事長・萩生田光一氏.jpg
問題の写真/安倍首相・加計理事長・萩生田光一氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | メディア規制の実態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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