に広まっています。なぜ、4月27日なのでしょうか。
それは、25日の北朝鮮の建軍節に北朝鮮がミサイル発射か核
実験をやるとして、それに対抗するために米軍が動くのではない
かということで流された噂であると思われます。それに27日は
新月であり、夜が暗いからです。米軍の攻撃は夜が多いのです。
シリアの空軍基地への空爆も夜に実施されています。
しかし、昨日のEJでも述べたように、金正恩委員長が仮に核
実験をやっても、ICBMを発射しない限り、米軍は直ちには動
かないと思われます。ただ、トランプ大統領は、核実験が行われ
れば、中国に対して、とくに通商問題を中心として、相当強いプ
レッシャーをかけることになると思われます。
4月7日のことです。米国家安全保障会議(NSC)は、トラ
ンプ大統領に「在韓米軍への核兵器の再配備」を提案したといわ
れています。関連記事を次に示します。
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【パームビーチ(米フロリダ州)=永沢毅】米NBCニュース
は4月7日、米国家安全保障会議(NSC)が対北朝鮮政策の見
直しの一環で、在韓米軍への核兵器の再配備をトランプ大統領に
提案したと報じた。複数の情報機関や軍高官の話として伝えた。
北朝鮮の核・ミサイル問題への対応策として検討している。
NSCは北朝鮮の金正恩委員長の体制転換計画も選択肢として
トランプ氏に提案したという。米政府はこのほど対北朝鮮政策の
見直しを終え、核の再配備とあわせていずれのシナリオも新たな
計画に含まれているという。核兵器の再配備先としては、ソウル
南方にある烏山(オサン)空軍基地が候補に挙がっている。
http://s.nikkei.com/2prLy5c
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このように朝鮮半島が緊張感をはらんでくると、必ず出てくる
のが、韓国と日本の核武装論です。世界最貧国といわれる北朝鮮
が大国アメリカに対して一歩も引かない姿勢がとれるのはやはり
核・ミサイル兵器を所有しているからです。米国としては、シリ
アを攻撃できても、核を持つ北朝鮮への攻撃はどうしても慎重に
ならざるを得ないのです。
韓国の核武装に関しては、2月15日に発表された韓国紙・中
央日報の世論調査では次のようになっています。
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・「とても賛成」 ・・・・・・ 32・8%
・「ある程度賛成」 ・・・・・ 34・9%
・「どちらかといえば反対」・・ 20・9%
・「とても反対」・・・・・・・ 9・6%
http://huff.to/2o3H4k6
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これによると、核武装の賛成は67・7%、反対は30・5%
となり、賛成が反対を大きく上回っています。1月15日の韓国
ギャラップ調査でも、賛成54%、反対38%と、同様の傾向を
示しています。
日本以上に北朝鮮の脅威を身近に感じている現在の韓国の国民
としては当然の世論であると思います。しかし、日本の場合は、
核武装は慎重に考える必要があります。
実は、EJでは2009年に日本の核武装論として、国際政治
・米国金融アナリストで政治思想家の伊藤貫氏の主張を紹介して
います。伊藤貫氏は「核武装がなければ日本は滅ぶ」と主張して
いる人です。
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2009年8月24日付、EJ第2640号〜
「伊藤貫氏による日本核武装論」/ http://bit.ly/2o58cQi
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2009年の時点と現在では、東アジア情勢は大きく変化して
おり、伊藤貫氏の主張はかなり的中しているのです。しかし、だ
からといって、日本の核武装実現のハードルはきわめて高いとい
えます。なぜなら、もし、日本が核武装をする場合、憲法の改正
が必要であることに加えて、NPT(核兵器拡散防止条約)から
脱退しなければならないことや、日米安全保障条約を維持するこ
とが困難になります。
NPTは、国連常任理事国の米国、英国、フランス、ロシア、
中国の5ヶ国には核兵器の保有を認め、その他の国々の核兵器の
保有を禁止するという不公平極まりない条約です。それでも現在
そのNPTには、190ヶ国が加盟しており、世界秩序になって
いるのです。
世界には、この5大国以外にも核兵器を保有している国があり
ます。インドとパキスタンです。これら2国は最初からNPTに
加盟せず、核兵器保有を実現しています。北朝鮮はNPTに加盟
していたのですが、1993年に脱退しています。
もうひとつ、核兵器を保有も否定もしていない国があります。
それはイスラエルです。しかし、全世界はイスラエルは核保有国
であることを知っています。したがって、現在核兵器を保有して
いる国は、全部で9ヶ国ということになります。
NPTについては、次のようなことがいわれています。
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・NPTは、日本とドイツの核武装を封じる目的で作られて
いる。 ──村田良平外務事務次官
・米国と中国は「日本に核武装させない『密約』」を結んで
いる。 ──伊藤貫国際政治アナリスト
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上記の村田良平氏は、日本のNPT加盟時の外務省事務次官で
あり、伊藤貫氏指摘の「密約」は、1972年2月に、ニクソン
米大統領とキッシンジャー大統領補佐官が北京で、中国の周恩来
首相と交わしたものといわれています。
──[米中戦争の可能性/071]
≪画像および関連情報≫
●【寄稿】日韓の核武装論、米国がすべきことは
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北朝鮮の金正恩第1書記は2016年6日、最近の水素爆
弾の実験と衛星の打ち上げについて、革命に最後の勝利をも
たらす「前例のない」成果だと称賛した。こうした自画自賛
は目新しいものではない。しかし、日本では、北朝鮮の核開
発プログラムと、安全保障に関する米国との取り決めが十分
ではないかもしれないという感覚を背景に、タブー視されて
きた核兵器議論が出てきている。安倍晋三首相は4月1日、
「憲法9条は一切の核兵器の保有および使用をおよそ禁止し
ているわけではない」とする答弁書を閣議決定した。
一方、韓国の与党は周辺諸国に対する軍事的な保険として
「平和」利用目的のプルトニウムを貯蔵しておくよう朴槿恵
大統領に求めた。韓国の保守系主要紙、朝鮮日報は2月19
日付の記事で、既存の民間核施設を利用して1年半で核爆弾
を製造する方法を詳細に報じることまでしている。
日本と韓国は核不拡散条約の加盟国であり、日本の反核姿
勢の原点は広島と長崎に原子爆弾が投下された1945年に
遡る。だが仮に両国が、米国の「核の傘」が畳まれつつある
と感じれば、そうしたスタンスはどちらの国にとっても核保
有国という核クラブへの参加――もしくは少なくとも喫緊に
それを目指すと表明すること――を必ずしも妨げるものでは
ない。日本はすでに、原子力発電所の使用済み核燃料から抽
出された11トンのプルトニウムを国内に保有している。
http://on.wsj.com/2pslAOO
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朝鮮半島沖に向う米空母カール・ビンソン打撃群