2015年09月28日

●「マレーシアに関係する3航空事故」(EJ第4126号)

 EJでは、世界中で起きる航空機事故に強い関心を持って何回
もテーマに取り上げています。EJは1998年10月15日か
らスタートした日刊メールマガジンですが、スタートから約7ヶ
月後の1999年5月25日から13回にわたって、「日本航空
123便墜落事故(御巣鷹山事故)」を取り上げています。EJ
第132号〜EJ第144号までの13回です。これが評判なり
EJの購読者数は一挙に増加したのです。
 その後、読者の強い希望によって、2003年に新しい情報に
基づき、御巣鷹山事故を26回にわたり再現連載しています。さ
らにそれに続いて、大韓航空機墜落事件についても28回連載し
ています。
─────────────────────────────
   ◎御巣鷹山航空機事故再現
    EJ第1051号(2003年2月24日)〜
    EJ第1079号(2003年4月 4日)
   ◎大韓航空機撃墜事件
    EJ第1105号(2003年5月14日)〜
    EJ第1132号(2003年6月20日)
─────────────────────────────
 これら2つの事故には大きな疑惑があります。御巣鷹山事故に
しても、いまだになぜあのような悲惨な事故が起きたかというこ
とが解明されていません。
 大韓航空機撃墜事件については、もっと大きな疑惑に包まれて
います。2003年6月20日のEJでは、このテーマのしめく
くりとして、この事件を次の4つにまとめています。
─────────────────────────────
 1.この事件は偶発的な事故ではあり得ず、何者かがある目
   的のために何らかの工作をした結果起きたものである。
 2.大韓航空007便のパイロットや乗員が何者かと共謀し
   てスパイ目的で領空侵犯を起こしたものではないこと。
 3.007便はサハリン上空でソ連戦闘機によってミサイル
   攻撃されたが、海上に着水し生存者がいることは確実。
 4.生存者がいることについて、当のソ連と米国は最初から
   確認しており、両国で共謀しその事実を隠蔽している。
      ──EJ第1132号(2003年6月20日)
─────────────────────────────
 一昔前であれば、航空機事故の原因は飛行機の機体やシステム
の故障──エンジンや油圧システムなどの機体のトラブルや悪天
候がほとんどだったのですが、現代の高度に発達したハイテク機
では、機体や天候が原因で起きる事故はほとんどなく、もっぱら
人為的なミス──すなわちヒューマン・エラーが、原因の主流に
なっています。そして、この人為的な原因のなかに含まれるのが
人為的に引き起こされる事故です。大韓航空機撃墜事件は、まさ
にこれに該当します。
 2014年も8つの航空機事故が発生しており、920人が死
亡しています。
─────────────────────────────
   1. 1月 5日
     サウジアラビア航空2841便
     ボーイング767─3WOR/死者0人
   2. 2月16日
     ネパール航空183便
     デ・ハビランド・カナダDHC─6/死者18人
  ★3. 3月 8日
     マレーシア航空370便
     ボーイング777─200ER/行方不明239人
  ★4. 7月17日
     マレーシア航空17便
     ボーイング777─200ER/死者298人
   5. 7月23日
     トランスアジア航空222便
     ATR72/死者48人
   6. 7月24日
     アルジェリア航空5017便
     マクドネル・ダグラスMD─83/死者116人
   7. 8月10日
     セパハン航空5915便
     IrAn─140/死者39人
  ★8.12月28日
     インドネシア・エアアジア8501便
     エアバスA320─216/死者162人
                   http://bit.ly/1LT8Hkn
─────────────────────────────
 この8件の航空機事故のなかでも奇怪なのは、3月と4月に起
きたマレーシア航空機の事故です。同じ航空会社で同じ旅客機、
しかも、世界で最も安全性が高いといわれるボーイング777タ
イプの200ERがわずか4ヶ月足らずの間に2つの事故を起こ
しているのです。
 しかも、370便の場合は行方不明で、現在も発見されていま
せん。現在、米国は超高性能な軍事衛星を配備し、地球上くまな
く監視しています。それに加えて、地上に配置してあるレーダー
は、数100キロ先の小さな鳥ですら感知できる精度を誇ってお
り、あんなに大きいボーイング777が見つからないはずがない
のです。
 それから、12月28日のインドネシア・エアアジア8501
便の事故もマレーシアに関係があるのです。そうなると、マレー
シアに関係する航空機が同じ年に3回の事故を起こし、行方不明
者を含む実に699人が死亡したことになります。何かおかしく
ないでしょうか。偶然に起こった事故とは、とうてい思えなない
奇怪さです。     ── [航空機事故の謎を探る/001]

≪画像および関連情報≫
 ●370便はなぜ消息を絶ったのか?/2015年3月
  ───────────────────────────
   マレーシア航空370便が消息を絶ってから1年になるが
  今もなおブラックボックスはおろか機体の破片すら発見され
  ておらず、墜落位置も特定されていない。しかし、国際的な
  協力体制のもとで、文字通り地球規模の捜索活動が展開され
  た結果、消息を絶つまでのおおまかな流れが明らかとなり、
  墜落想定海域も絞りこまれつつある。だが、民間航空史上最
  大のミステリーとも呼ばれる事件の闇は深く、解明が進むに
  つれて新たな謎も浮かび上がってきた。
   まず、マレーシア航空機はインド洋南部の陸地から遠く離
  れた、人類がほとんど活動していない海域に、それも機体が
  大きな損傷を受けていない状況で墜落した可能性が最も高い
  と考えられている。その根拠はいくつかあるが、レーダーや
  通信の記録、人工衛星からの情報に加えて、破片や遺体が発
  見されていないことなどだ。もし、墜落前に機体が大きな損
  傷を受けていたなら、破片は広範囲に飛散しており、どこか
  に漂着している可能性が高いのである。
   そのため、マレーシア航空機は最後の瞬間まで正常に飛行
  しており、恐らくは燃料切れによって墜落した可能性が最も
  高いとの見方が主流となっている。いちおう、インド洋上空
  で撃墜されたとの説も唱えられているものの、客観的な根拠
  に乏しく、単なる陰謀論の域を出ない。いずれにせよ、本来
  は北京へ向かうはずのマレーシア航空機が、なぜ、どのよう
  ないきさつで正反対の南へ進路を変更したのかが、原因究明
  の大きな焦点とされている。    http://bit.ly/1KIzz6S
  ───────────────────────────

マレーシア航空/ボーイング777─200ER.jpg
マレーシア航空/ボーイング777─200ER
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月29日

●「松本清張は果して陰謀論者なのか」(EJ第4127号)

 昨日のEJ第4126号で示した2014年の8件の世界の航
空機事故のなかで、マレーシアに関する3つの事故を抜き出して
以下に示します。
─────────────────────────────
  ★1. 3月 8日
     マレーシア航空370便
     ボーイング777─200ER/行方不明239人
  ★2. 7月17日
     マレーシア航空17便
     ボーイング777─200ER/死者298人
  ★3.12月28日
     インドネシア・エアアジア8501便
     エアバスA320─216/死者162人
─────────────────────────────
 これら3つの航空機事故のうち、3番目のエアバスA320─
216の事故がなぜマレーシアに関係するのか疑問を持つ人が多
いと思うので、説明しておきます。
 8501便は、確かにエアアジアのグループ企業であるインド
ネシア・エアアジアが運航しており、機材もインドネシア国籍に
なっています。しかし、エアアジアそのものは、マレーシアに本
社を置く航空会社であり、マレーシアのエアアジアの同社への出
資比率は49%を占めるのです。したがって、マレーシアを代表
する航空会社であるといえます。
 2014年のマレーシア関連のこれら3つの航空機事故には、
次の3つの類似点があります。
─────────────────────────────
   1.いまだに墜落の事故原因が明確になっていない
   2.行方不明者数が多く、死亡者数が確定できない
   3.すべてマレーシア関連の航空会社の事故である
─────────────────────────────
 「マレーシア航空370便」については、機体をはじめとして
乗員・乗客もいまだに行方不明であり、目的も動機も、墜落した
かどうかについても不明です。
 「マレーシア航空17便」は、ウクライナと親ロシア派の戦闘
地域を飛行中に地対空ミサイルで撃墜されたといわれていますが
真偽は不明です。何しろ墜落場所が戦闘が行われている地域であ
ることから、事故調査スタッフも自由に墜落現場に立ち入れない
のです。ブラックボックスと一部の遺体は親ロシア派から返還さ
れたと聞きますが、全部でないことは確かです。
 「エアアジア8501便」は、インドネシア海軍によると、海
面に激突して機体は破壊され、その残骸は10キロ四方の狭い範
囲に集中しているそうです。悪天候が原因といわれていますが、
事故機と同じ空域を通った他の航空機はすべて無事に通過してお
り、真の原因は不明です。乗員・乗客162全員が死亡している
ことは確かですが、現在でも56名が行方不明です。
 こういう不可解な3つ航空事故が、マレーシア関連の航空会社
に、しかも2014年に集中して起こり、699人が死亡(行方
不明を含む)しているのです。そういう意味でも、これらの3つ
の航空機事故には大きな謎があります。
 このマレーシアの航空機事故は、当然のことながら、ウクライ
ナやロシアの政治情勢、それに米国も深く関係しています。そう
いう意味で、1983年9月1日に起きた大韓航空撃墜事件とも
類似点があります。大韓航空撃墜事件は既にEJで取り上げてい
ますが、この事件との関連で一部を再現して検証していくことに
します。また、軍と民間機のからむ事件として、自衛隊機と民間
機が衝突した1971年7月に起きた「雫石事件」についても触
れるつもりです。
 複数の航空機事故が関係するので、タイトルは次のようにした
いと思います。
─────────────────────────────
  「事故原因が解明されていない航空機事故の謎を探る」
    ── 航空機事故の解明を阻む闇がある ──
─────────────────────────────
 2014年に発生したマレーシア関連の3つの航空機事故──
とくにマレーシア航空370便とマレーシア航空17便について
の情報はきわめてわずかしかありません。STAP細胞事件でも
そうでしたが、そういう情報の少ない事件の真相を探るには、ど
うしても陰謀論とか陰謀史観とか批判されてしまう部分が出てく
ることになります。
 しかし、世の中で起きる出来事は、表面的に報道されている通
りとは限らず、必ずウラの部分があるものです。多くの場合、ウ
ラの部分を守ろうとする勢力は、そこに踏み込んでくる者から真
実を隠そうとします。そのとき行われる有効な手段の1つが「陰
謀論者」のラベル貼りです。
 「陰謀論者」のラベルを貼られると、一般論ですが、その言説
は信用されなくなります。仮にその言説が真理を衝いていても、
「陰謀論者」のラベルで、その信用度が低下してしまうのです。
しかし、そういう言説を真面目に読んでみると、真実に近いこと
がたくさん書かれているのです。
 かつて松本清張も「陰謀論者」のラベルを貼られたことがあり
ます。松本清張は、下山事件に疑問を持ち、徹底的に調査を重ね
て「文藝春秋」に連載したのです。そして、下山事件だけでなく
もく星号遭難事件、二大疑獄事件、白鳥事件、ラストヴォロフ事
件、革命を売る男・伊藤律、征服者とダイヤモンド、帝銀事件、
推理・松川事件などを『日本の黒い霧』にまとめています。
 松本清張は、そのほとんどの事件が、GHQ(連合国軍総司令
部)のからんだ謀略と推理したのです。そのため、陰謀論者のラ
ベルを貼られたのです。おそらくGHQがやったのでしょう。し
かし、松本清張はそれから見事に脱却しています。
           ── [航空機事故の謎を探る/002]

≪画像および関連情報≫
 ●『陰謀論にダマされるな!』(ベスト新書)の書評
  ───────────────────────────
   『陰謀論にダマされるな!』竹下節子著(ベスト新書)を
  読みました。巷にあふれる終末論と陰謀論。それらがいかに
  生まれたかのルーツを紐解きながら、実社会にどのような影
  響を与えているかを述べています。
   さらには、終末論や陰謀論との賢い付き合い方を示した本
  です。著者はフランス在住の比較文化史家で、バロック音楽
  奏者でもあります。東京大学大学院比較文学比較文化修士課
  程修了。同博士課程、パリ大学比較文学博士課程を経て、高
  等研究所でカトリック史、エゾテリズム史を修めています。
   現在、ネットなどのサーバー空間において、終末論や陰謀
  論が肥大化する一方です。まるで、情報が飽和する中で、個
  人の不安や恐怖を養分としているかのようです。陰謀論の主
  役を見てみると、フリーメイスン、イルミナティ、ユダヤ人
  ヴァティカン、アメリカ政府などが繰り返し登場しているこ
  とに気づきます。
   これらの面々は、いろいろな組み合わせで再利用され、便
  利に使いまわされます。時には互いに陰謀論を投げかけ合い
  やがて、そこに擬似科学を駆使した陰謀論が入り込んでいく
  という構図になっています。最初は、事件の解説型陰謀論と
  して生まれ、やがて、メガ陰謀論、終末予言型陰謀論へと進
  化する。アポロの月面着陸、9・11同時多発テロのケース
  などが好例ですね。        http://bit.ly/1NUjIGy
  ───────────────────────────

松本清張.jpg
松本 清張
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月30日

●「陰謀論はその扱い方しだいである」(EJ第4128号)

 本題に入る前に、陰謀論の話をもう少し考えることにしたいと
思います。民主党菅政権のときの2011年7月11日の国会に
おいて、陰謀論を人々がどう受け取るかについての象徴的なやり
取りがあったのをご存知でしょうか。
 当時みんなの党の柿沢未途衆院議員(現維新の党)が、自民党
を離党して復興担当政務官に任命された浜田和幸参院議員(現次
世代の党)の資質について追及したのです。
 柿沢氏は、浜田氏が国際政治学者だった頃に書いた論文におい
て、米国が「地震兵器」によってスマトラ沖の津波を起こした可
能性について書いていることを指摘し、そのような人物が国際的
な援助の受け入れという大事な仕事を本当にできるのかと問い詰
めたのです。
 「地震兵器」──この言葉だけで、ほとんどの人は「トンデモ
話」として引いてしまうと思います。これが常識です。まして米
国がそのような兵器を使って、地震を起こすなんてあり得ないと
誰でもそう思うでしょう。
 この柿沢議員の追及に関して、浜田議員は次のように堂々と持
論を展開したのです。
─────────────────────────────
 地震兵器とか自然改変装置というのは別にアメリカだけではな
くて、旧ソ連も今のロシアも中国も多くの国々がですね、研究開
発に余念なく取り組んできた事実があります。でしかも、地震あ
るいは津波を人工的に起こすということは、実は技術的には十分
可能だと言われているのは国際政治軍事上においては常識化され
ているわけであります。そういった意味で、スマトラ沖の問題に
してもそういう可能性がある、ということを十分踏まえたうえで
世界の国際政治の現実、ということを捉える必要があるというの
が私の基本的な考え方であります。       ──田中聡著
           『陰謀論の正体』/幻冬舎新書/347
                   http://bit.ly/1WsF9l8
─────────────────────────────
 この論争で柿沢議員に勝ち目はないと思います。浜田和幸氏は
政治家としては新人ですが、国際政治学者としては、ジョージ・
ワシントン大学大学院で政治学博士号を取得し、1987年から
戦略国際問題研究所主任研究員、1995年からはアメリカ連邦
議会調査局経済部コンサルタントを務めるなど、かなり名前が売
れており、多くの著作があります。
 1997年には国際未来科学研究所を設立し、国際情勢や技術
と社会の未来予測に関する著書を多数発表しています。私は以前
から浜田氏のこれらの著作を参照して「オバマの正体とは何か」
など、アメリカに関するテーマでEJを書いています。私はそん
な浜田氏がなぜ政治家になったのかわからないでいます。
 人工的に地震が起こせるのか、そしてそれを利用した地震兵器
なるものが存在するのか否か──まさか存在するとは思えません
が、そうかといって簡単には否定できないのです。地震兵器の存
在を否定しているのは「常識」でしかないからです。
 それでは、なぜスマトラ沖で地震を起こしたのかということに
ついて、浜田氏は次のように述べています。
─────────────────────────────
 スマトラ島北部はインドネシア独立を求めるイスラム過激派の
拠点であり、ウサマ・ビンラディンの潜伏先の一つに数えられる
ため、地震兵器が使用されたのではないか。地震発生と同時に、
アメリカ軍はイスラム過激派の拠点アチェを制圧できた。東ティ
モールの独立運動も一掃された。インドネシアにとっても、アメ
リカの石油資本(テロ対策に手を焼いていた)にとっても敵が消
えた。         ──『新潮45』/2005年3月号
                 ──田中聡著の前掲書より
─────────────────────────────
 陰謀論者が提示する論拠はすべて状況証拠に過ぎないのですが
結果を見て、その原因となった出来事が、その結果を導くために
仕組まれたものと説くのは陰謀論の定石である──『陰謀論の正
体』の著者、田中聡氏はこのように述べています。さらに田中氏
は「陰謀論是か非か」について次のように述べていますが、これ
は陰謀論の本質を衝いていると思います。
─────────────────────────────
 極論すれば、(「陰謀論是か非か」の論争は)知り得ないもの
のことを、それぞれの世界観に立って主張し合っているにすぎな
いということになる。一方は「常識」であり、もう一方は「非常
識」である。           ──田中聡著の前掲書より
─────────────────────────────
 しかし、そういう本質を見抜いたうえで、陰謀論とされる著作
を読むと、今まで見えなかったウラの諸事情が見えてくることが
多いのです。もともと情報の少ない行方不明の航空機事故のウラ
事情などは、このような著作から見えてくるものです。
 2011年3月11日の東日本大震災の初期データを並べると
次のようになります。なんと、正確に20分ごとに地震と津波が
起きているのです。まるで、誰かが20分ごとに地震と津波の大
きさを調節しているようです。
─────────────────────────────
    14時46分/M9・0の地震と津波第1波
    15時06分/M7・0の地震と津波第2波
    15時26分/M7・2の地震と津波第3波
    15時46分/M5・7の地震と津波第4波
─────────────────────────────
 陰謀論者はこれをもって「人工地震」の証拠であるといいます
が、常識派の人たちはどう考えるでしょうか。それとも偶然の一
致であると考えますか。データは間違っていないのです。
 明日からのEJでは、あくまで常識論に立って、行方不明のマ
レーシア370便について考えていきます。
           ── [航空機事故の謎を探る/003]

≪画像および関連情報≫
 ●浜田和幸参院議員が地震兵器が存在するのは、常識と発言!
  ───────────────────────────
   復興担当の総務政務官に就任(当時)し、自民党を除名さ
  れた浜田和幸参院議員が、2011年7月11日の衆院東日
  本大震災復興特別委員会で、就任前の被災地訪問は「一度も
  ありません」と答弁した。その上で「東北地方には数多くの
  友人、知人がいるし、さまざまな情報を得ていた」と釈明、
  「国際社会から寄せられているがれき処理の支援などと現地
  のニーズをマッチングさせるのが私の使命だ」と述べた。
   質問したみんなの党の柿沢未途氏は、浜田氏が論文などで
  「人工的に地震や津波など自然災害を引き起こす環境・気象
  兵器を米国が敵対国に使用した可能性がある」としている点
  を取り上げ、復興に関する国際協力を得る政府の担当者に不
  適格だと指摘した。
   これに対し浜田氏は「地震や津波を人工的に起こすのは技
  術的に可能で、国際政治、軍事上で常識化されている」と持
  論を改めて展開。同時に「だからといって、米政府などが、
  日本のために援助をしないことはない」とも述べた。
   この浜田和幸参院議員は、数ある国会議員が恐ろしくて、
  口にすることが出来なかった人工地震兵器について衆院東日
  本大震災復興特別委員会で発言したことの意義は大きい!こ
  の一言だけで、浜田和幸参院議員が誕生したことの成果はあ
  ります!             http://bit.ly/1O4IAgp
  ───────────────────────────

地震兵器をめぐる国会での論争.jpg
地震兵器をめぐる国会での論争
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月01日

●「何かを隠しているマレーシア航空」(EJ第4129号)

 最初にマレーシア航空370便の失踪事件について考えること
にします。ところで、マレーシア航空とはどういう航空会社なの
でしょうか。
 マレーシア航空の前身は、1947年のマラヤ航空です。19
57年にマラヤ連邦は英国から独立します。1963年になって
マラヤ連邦とシンガポールおよびボルネオ島のサバ州とサラワク
州が統合し、マレーシアが結成されたのです。それに伴い、マラ
ヤ航空はその名称をマレーシア航空に改称します。
 1965年にシンガポールがマレーシアから離脱・独立したの
を契機に、1967年にマレーシア航空は、マレーシア、シンガ
ポール両国政府の共同保有になり、マレーシア・シンガポール航
空になります。そして1971年4月にこの共同保有は解消され
マレーシア航空とシンガポール航空に分離したのです。
 このマレーシア航空の正式名称は「マレーシア航空システム/
マレーシア・エアライン・システム」(MAS)というのですが
2002年に政府全額出資のマレーシア航空会社(PMB)が設
立されると、機材保有と国内線はMASからPMBに移管されて
います。そして、MASはPMBの子会社として、主として国際
線の運航会社になったのです。一応かたちはこうなっていますが
一般的にマレーシア航空といわれる航空会社は、事実上国営とい
うことになります。
 2006年の原油高によってMASが経営危機に陥ると、国内
線96路線をLCCのエアアジアに委譲し、エアアジアと資本提
携まで結ぶのです。競合関係にある「格安」による「国営」支援
という異例の連携策でしたが、2012年にこの資本提携は解消
されます。そして、2013年に経営再建中のMASは、航空連
合「ワンワールド」に加盟するのですが、事故はその翌年の20
14年に起きるのです。おまけにエアアジアまで事故を起こして
いるのですから、経営再建の途上という最悪のタイミングで、事
故が連鎖して起きたことになります。
 マレーシア航空370便(以下、MH370便)がどのように
して、クアラルンプール空港を飛び立って行ったかについて調べ
てみることにします。しかし、マレーシア航空、運輸省、軍はほ
とんど情報を公開していないのです。最低でも次の4つのデータ
(ローデータ)は明らかにするべきですが、このうち明らかにし
たのは、乗客乗員数の239名だけなのです。
─────────────────────────────
         1.     飛行計画
         2.出発時の機体の重量
         3.     搭載燃料
      →  4.    乗客乗員数
─────────────────────────────
 このMH370便の行方不明事件については、元日本航空機長
の杉江弘氏が事故直後からテレビ番組に連日出演し、2014年
7月には、『マレーシア航空機はなぜ消えた』(講談社刊)を上
梓されており、MH370便に関する記述は、杉江氏のテレビで
の発言や、著作を参照させていただくことになります。
 MH370便の予定されていた飛行は、マレーシアの首都クア
ラルンプール空港から中国の北京首都空港までであり、標準的な
飛行時間は5時間55分です。杉江氏によると、こういう場合、
目的地の北京首都空港で何か不測の事態が起きた場合に備えて代
替空港を予定し、そこまでの燃料を追加しておくのが機長として
の通常の務めであるといっています。
 杉江氏の推測によると、その代替飛行場は天津空港であり、そ
れに航空法上定められている上空待機燃料を加えると、約8時間
分の燃料を搭載していたものと思われます。これによって上記の
「3」が決まり、それから「2」も決まることになります。行き
先もわかっているので、必要なデータは航空関係者であれば推測
できますが、こういうデータは事故を起こした航空会社──MH
370便の場合はマレーシア政府から、速やかに情報が提供され
てしかるべきものです。
 本来真っ先に提供されるべきなのは、MH370便が出発して
マレーシアの民間の航空路レーダーから機影が消えるまでの機と
管制塔の交換記録ですが、これについても当初はマレーシア側か
らは提供されず、外国メディアが公表したので、やむを得ず追認
するかたちでの公表になったのです。
 それにしても、マレーシア政府はなぜこうまでして情報を隠す
のでしょうか。これについて、杉江弘氏は怒りを込めてマレーシ
ア政府のメディア対応を次のように批判しています。
─────────────────────────────
 会見では、なにを聞かれても「把握していない」「確認してい
ない」「あらゆる可能性を」を3点セットを毎日繰り返し、外国
メディアからの質問を受けつけない。過去に航空事故を受けて当
該政府当局が今まで行ってきた対応からすると、目を疑うような
言動が続いている。関係機関は、ローデータ(基礎的データ)、
たとえば、機体の出発時の重量や搭載燃料、フライトプラン(飛
行計画)なども、なぜ明らかにしないのか?
 自ら明らかにしたのは「便名」と「乗客乗員数」のみである。
これまでのマレーシア当局の対応は、真相を知りたがっている家
族やメディアに対し「引き延ばし」と「的を絞らせない」といっ
た作戦を取っているとしか思えない。      ──杉江弘著
        『マレーシア航空機はなぜ消えた』/講談社刊
─────────────────────────────
 MH370便の管制記録は、出発のさいのやり取りしかないの
です。通常であれば、もし機内で何かが起こったとき、機長は無
線やトランスポンダーを使って、数秒で管制官に異常を知らせる
ことができるのに何も知らせてきていないのです。それすら、や
ることができない事態とは、突然の空中爆発ぐらいしか考えられ
ないのです。しかし、そのような空中爆発の起きた気配は全くな
いのです。      ── [航空機事故の謎を探る/004]

≪画像および関連情報≫
 ●インド洋南部に墜落と断定したマレーシア政府
  2014年3月28日付「逝きし世の面影」ブログより
  ───────────────────────────
   丸々1週間も情報を隠して、捜索隊や世界の目を何も無い
  ベトナム沖の南シナ海に誘導して、機体の捜索を意識的に妨
  害していたらしいマレーシア政府ですが、貴重な時間を浪費
  して何かの工作を行っていたのでしょう。
   イギリス領のディエゴ・ガルシア島のアメリカ軍とかハイ
  ジャックした機長と秘密交渉をしていたのかも知れないが、
  それなら事故から1週間後の15日の驚愕発表は交渉決裂の
  サインだと解釈する方が判りやすい。(何れにしろ乗客の命
  は助からないでしょう)
   マレーシアのナジブ首相(兼財務相)は24日、英事故捜
  査当局からの報告を受けてマレーシア機が『インド洋南部で
  最後を迎えた』と結論する。ナジブ首相ですが、何一つ、具
  体的な物証が無い状態でも乗員乗客239人全員死亡での早
  期の決着での、事件の『幕引き』を急いでいる風に見える。
  (政府当局の発表翌日の25日には早くも行方不明マレーシ
  ア機乗客の親族が、米国に多額の賠償金を要求して、米イリ
  ノイ州地方裁判所に審議開始の申し立てをしているが、提訴
  は事前に用意していたと思われる)ナジブ首相は何故か、マ
  レーシア機の行方不明から1週間後の15日には、不明機の
  捜索エリアを(1)中央アジアなど北部の陸地(2)インド
  洋など南部の2箇所に絞ると発表していたのである。
                   http://bit.ly/1M0vzyr
  ───────────────────────────

img370.jpg
img370
posted by 平野 浩 at 00:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月02日

●「MH370便出発の管制との交信」(EJ第4130号)

 MH370便がクアラルンプール空港を出発するまでの管制と
の記録を見ることにします。クアラルンプールのような離着陸す
る航空機の数の多い大きな空港の場合、次の3つの管制が空港周
辺の空域や高度によって、分担しています。
─────────────────────────────
         1.管制塔(タワー)
         2.    出発管制
         3.   航空路管制
─────────────────────────────
 通常タワーと呼ばれる「1」の管制塔は、滑走路までやってき
た航空機を担当し、離陸の許可と上空300メートル付近までを
担当し、出発機をコントロールしている「2」の出発管制に引き
継ぎます。
 出発管制は空港から半径約50キロメートル、高度約3000
キロメートル前後までを担当し、「3」の航空路管制に引き継ぐ
のです。ここでは、次の管制区の管制官へのハンドオフ(引き継
ぎ)を指示して役目を終えるのです。
 MH370便は、2014年3月8日午前0時41分にマレー
シアの首都クアラルンプール国際空港を239人の乗客乗員を乗
せて飛び立っています。
 滑走路の手前にきたMH370便は、管制塔タワーと次のよう
に交信し、クアラルンプール空港を離陸します。ちなみに370
がMH370、ATCは管制側です。
─────────────────────────────
≪00:36:30〜00:40:38/管制塔との交信≫
 00:36:30/370:こちらMH370、おはようございます。
      ATC:おはようございます。MH370、こちら
          はクアラルンプール管制塔。A10、32
          RIで待機してください。
 00:36:50/370:了解
 00:38:43/ATC:MH370、32R、A10より滑走路に
          進入してください。
      370:32R、A10より、了解
 00:40:38/ATC:MH370、32R、滑走路はOKです。
          離陸を許可します。おやすみ
     /370:32R、滑走路OK。離陸許可。了解しま
          した。ありがとう。おやすみ
                       ──杉江弘著
        『マレーシア航空機はなぜ消えた』/講談社刊
─────────────────────────────
 MH370便は離陸後、すぐに出発管制と交信しています。飛
行計画上のウェイポイント(航空路上の地点名)のコタバル市に
向かうのをショートカットするかたちで、IGARIポイントへ
の直行が許可され、航空路管制にハンドオフされています。
─────────────────────────────
≪00:42:05〜00:42:52/出発管制との交信≫
 00:42:05/370:MH370便は空港を出発しました。
 00:42:10/ATC:MH370、位置を確認しました。高度1
          万8000フィートへ。右旋回してIGA
          RIポイントへ向かってください。
 00:42:40/370:了解。高度1万8000フィートへ。右旋
          回してIGARIポイントへ向かいます。
 00:42:52/ATC:MH370、そちらはクアラルンプール航
          空路(レーダー)管制のエリアに入りまし
          た。さようなら
     /370:了解しました。
                 ──杉江弘著の前掲書より
─────────────────────────────
 MH370便は、約4分後にクアラルンプール航空路管制に連
絡をとっています。航空路管制は高度2万5000フィートまで
上昇するようMH370便に指示し、さらに高度を3万5000
フィートまで上げるよう要請します。MH370便から高度3万
5000フィートまで上昇したとの報告を受けると、その後呼び
かけに応じず、約10分後に航空路管制は、ホーチミン管制と連
絡を取るよう指示しています。
─────────────────────────────
≪00:46:51〜01:09:24/航空路管制との交信≫
 00:46:51/370:クアラルンプール航空路(レーダー)管制
         こちらはMH370。
      ATC:高度2万5000フィートまで上昇してく
          ださい。
 00:46:54/370:当機は高度2万5000フィートまで上昇
          中です。
 00:50:06/ATC:MH370、高度3万5000フィートま
          で上昇してください。
 01:50:09/370:当機は高度3万5000フィートまで上昇
          中です。
 01:01:14/370:当機は高度3万5000フィートをキープ
          して飛行しています。
 01:01:19/ATC:MH370
 01:07:55/370:当機は高度3万5000フィートをキープ
          して飛行しています。
 01:08:00/ATC:MH370
 01:19:24/ATC:MH370、ホーチミン管制(ベトナム)
          と交信してください。おやすみ
 01:19:29/370:了解。おやすみ ─杉江弘著の前掲書より
─────────────────────────────
 この直後、異常が発生したと思われます。突然左旋回して、本
来のルートから外れていくのです。一体MH370に何があった
のでしょうか。    ── [航空機事故の謎を探る/005]

≪画像および関連情報≫
 ●マレーシア航空370便の残骸/ベンガル湾で発見
  ───────────────────────────
   乗客乗員239名を乗せたまま忽然と姿を消したマレーシ
  ア航空370便の謎の失踪事件。すでに1年が経過し、捜索
  も絶望的と言われていた中である航空専門家から興味深い発
  表があったもよう。ベンガル湾で発見された漂着物がMH3
  70のものである可能性が高いというのだ。
   2014年3月8日にマレーシアのクアラルンプールを飛
  び立ち、中国・北京に向かうはずであったものの、レーダー
  から姿を消してしまったマレーシア航空370便のボーイン
  グ777型旅客機。マレーシア政府は、「墜落して搭乗者は
  全員死亡したものと推定する」と発表し、捜索も断念せざる
  を得ない状況が続いているが、航空専門家や民間ボランティ
  アは通信衛星による移動体通信事業を提供する「インマルサ
  ット・サービス」を利用するなどして、いまだ地道な調査と
  捜索を展開していた。英メディア『ibtimes.co.uk』 が伝え
  ているところによれば、MH370失踪事件を解明しようと
  懸命であるイギリス人元パイロット、アンドレ・ミルン氏が
  このほど興味深い発表を行って注目を集めているもようだ。
   「墜落したMH370の残骸と思われる漂着物が、ベンガ
  ル湾で確認されました。モルディブ諸島の上空を低空で旋回
  している様子が目撃されていたことから、ベンガル湾は視野
  に入れるべきエリアです。     http://bit.ly/1WxeBz7
  ───────────────────────────
 ●写真出典/──杉江弘著の前掲書より

テレビで解説する杉江弘氏.jpg
テレビで解説する杉江 弘氏
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月05日

●「MH370はなぜ左に旋回したか」(EJ第4131号)

 MH370便がクアラルンプールの3つの管制と交わした交信
記録は、10月2日のEJ第4130号にすべて示しましたが、
そのやり取りには不審な点はとくにないといえます。
 しかし、一部メディアで、「空白の10分間」があることが問
題になり、その時点で機をハイジャックされたのではないかとい
うことがさかんにいわれたのです。おりしも偽造パスポートを持
つ2人の乗客がいたことをマレーシア当局が発表していたので、
ハイジャック説が有力視されたのです。その部分のMH370と
航空路管制とのやり取りを再現します。
─────────────────────────────
 01:07:55/370:当機は高度3万5000フィートをキープ
          して飛行しています。
 01:08:00/ATC:MH370
 01:19:24/ATC:MH370、ホーチミン管制(ベトナム)
          と交信してください。おやすみ
 01:19:29/370:了解。おやすみ
                       ──杉江弘著
        『マレーシア航空機はなぜ消えた』/講談社刊
─────────────────────────────
 MH370便がクアラルンプール空港を離陸したのは2014
年3月8日午前0時41分です。午前1時7分55秒にMH37
0は、航空路管制の指示を受けて、高度3万5000フィートに
達しています。
 その直後の午前1時8分に、クアラルンプール空港の航空路管
制はMH370に呼びかけていますが、MH370はそれに応じ
なかったのです。MH370が航空路管制の呼び掛けに応じたの
は、それから約11分後の午前1時19分29秒のことです。こ
れが「空白の10分間」といわれることになるのです。
 杉江弘氏によれば、機長として管制への連絡が10分程度遅れ
ることはよくあることのようです。機長の任務は、機の安定を図
ることが優先事項であり、管制への連絡はその後でも構わないの
です。ましてこのケースでは、次の管制からの指示が「ベトナム
の管制官と連絡を取れ」という型通りのことであるとわかってい
るので、すぐに対応する必要はないからです。
 確かに管制の方も一度呼びかけても返事がないので、10分程
度の時間を置いて再度呼びかけています。それに対してMH36
0は「了解。おやすみ」と返しています。音声分析の結果、その
言葉は副操縦士であることはわかっています。この様子から考え
て、この10分間にハイジャックが起こったとはとても考えられ
ないといえます。
 ただこの10分間は、機長や副操縦士にとっては、別の意味を
持っていたとも考えられます。なぜなら、午前1時19分29秒
にMH370便はクアラルンプール空港の航空路管制のレーダー
から外れるのを確認したうえで、目的地である北京に向かわず、
進路を南西に取り、さらに西に、そして北西へと変針しているか
らです。それが第三者に強制されたものではなく、自らそういう
行動をとることを選んだとすると、その重大決意を実行に移す前
の緊張の10分間であったとも考えられるからです。
 なぜ、MH370便はそのような針路を選んだのでしょうか。
これについて、杉江弘氏は次のように推理しています。
─────────────────────────────
 東南アジア各地のレーダーの電波到達距離はそれぞれの性能に
よって異なるが、だいたい、150〜250ノーティカルマイル
(270〜450キロ/以下「マイル」と表記)となっている。
その場合、各地のレーダー網をかいくぐって長時間飛行するため
には、やはり西側のアンダマン海、ないしはインド洋方面に向か
うと見るのが妥当と思えたのである。
 仮に、機が東側の南シナ海へ向かったとなると、すぐにブルネ
イや、マレーシア領のコタキナパル空港(マレーシア航空の一大
基地がある)のレーダーや、フィリピンのマニラのレーダーサイ
トに近づくことになり、すぐに発見されてしまうことになるから
だ。               ──杉江弘著の前掲書より
─────────────────────────────
 それにしてもマレーシア航空とマレーシア政府は、なぜこうも
情報を隠蔽するのでしょうか。そのため、メディアは断片的な情
報を繋ぎ合わせて推測して記事を書いたので、この事件が一層混
迷する原因になったのです。
 事故発生から1週間後の3月15日のことです。マレーシアの
ナジブ首相が初めて会見を開いたのです。その会見で明らかにさ
れたことは次の3点です。
─────────────────────────────
 1.航空機に搭載されている通信手段である「トランスポン
   ダー」が何者かによって切断され、「エーカーズ」が機
   能していなかったこと。
 2.衛星からのデータによると、機は北か南のコリドー(回
   廊)上のどこかを、現地時間の午前8時11分まで飛行
    していたと考えられる。
 3.現在、行方不明になっているMH370便は、何者かに
   よってハイジャックされ、機を操縦する主導権をとられ
   ている可能性があること。
─────────────────────────────
 このナジブ首相の会見を聞いて、ほとんどのメディアは次のよ
うに報道しているのです。
─────────────────────────────
  すべての通信機器が、何者かによって切断されていた。
─────────────────────────────
 専門知識のないメディアのことですから、このように報道して
も仕方がありませんが、ナジブ首相は「すべての通信機器が」と
はいっていないのです。ナジブ首相は慎重に言葉を選んで会見を
しています。     ── [航空機事故の謎を探る/006]

≪画像および関連情報≫
 ●「意図的な行動で消息を絶つ」/ナジブ首相会見
  ───────────────────────────
   【クアラルンプール(マレーシア)】マレーシアのナジブ
  首相は2014年3月15日、消息不明のマレーシア航空、
  370便について記者会見し、同便は「意図的な行動」によ
  って消息を絶ったとの見方を示した。
   また、当局が現在、2つの地域・海域を中心に機体の捜索
  を行っていることも明らかにした。首相が不明の原因につい
  て明確に発言するのは初めて。ナジブ首相は370便が衛星
  に送ったデータで、航空機が本来の航路を外れたことが確認
  されたと述べた。また、370便が最後に衛星に信号を送っ
  たのはマレーシア時間8日午前8時11分で、北京到着予定
  時刻をはるかに過ぎていた。同便はクアラルンプール国際空
  港を8日午前0時41分に離陸した。
   米国の調査団は機内の何者かが意図的に航空機の針路を変
  更し、航空機の位置を隠そうとしたと断定しており、ナジブ
  首相の発言はこの分析を裏付けているとみられる。航空機か
  らの定期信号によると、370便はマレーシア軍のレーダー
  から姿を消してから6時間近くにわたって飛行していた。マ
  レーシア航空は15日、370便(ボーイング777─22
  0型機、乗員乗客239人)は8時間の飛行が可能な燃料を
  積んでいたことを確認した。  http://on.wsj.com/1iSzPJ4
  ───────────────────────────

ナジブ首相/2014年3月15日会見.jpg
ナジブ首相/2014年3月15日会見
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月06日

●「トランスポンダーは切断できるか」(EJ第4132号)

 2014年3月15日にマレーシアのナジブ首相は記者会見で
航空機に搭載されている次の2つの通信手段が、使えない状態に
なっていたことを報告しています。それをメディアは「すべての
通信機器が何者かによって切断されていた」と報道したのです。
 しかし、正確にいうと、ナジブ首相は、トランスポンダーにつ
いては何者かによって切断されたと述べたものの、エイカーズに
ついては「ディスエイブルド(DISABLED)」、すなわち、「機能
していなかった」といったに過ぎないのです。
─────────────────────────────
         1.トランスポンダー
         2.   エイカーズ
─────────────────────────────
 まず、この2つの通信手段の違いを知る必要があります。
 「1」の「トランスポンダー」とは何でしょうか。
 トランスポンダーとは、航空機を管制レーダーが画面で識別で
きるようにする機上装置です。少し専門的にいうと、次のように
なります。
─────────────────────────────
 トランスポンダーとは、便ごとに割り当てられた4ケタのコー
ド番号を入力し、管制側の二次レーダーの質問パルスに対して、
応答パルスを自動的に発信する仕組みになっている。
                       ──杉江弘著
        『マレーシア航空機はなぜ消えた』/講談社刊
─────────────────────────────
 ここでいう「二次レーダー」とは何でしょうか。
 レーダーには、一次レーダーと二次レーダーがあります。そも
そもレーダーとは電波の物理的な反射を利用したものですが、発
信源が目標物に電波をぶつけて反射してくる信号を認識すること
によって、目標物を確認するのが一次レーダーです。
 しかし、強い電力で電波を目標物に発射しても、反射して戻っ
てくる受信信号は非常に弱くなり、発信源が受信信号から多くの
ことを読み取ることは困難です。当然目標物との距離が制限され
ています。航空機のケースで考えると、こういう場合、航空機側
へ応答信号を戻す装置を搭載することで、発信源(管制側)に強
い電波を戻せるようになります。
 こうすれば、遠距離まで目標をとらえることができるレーダー
システムが構築できます。この航空機側から管制側に信号を戻す
レーダーを二次レーダーといい、航空機に搭載する自動応答シス
テムを「トランスポンダー」というのです。
 それでは「2」の「エイカーズ」とは何でしょうか。
 杉江弘氏は、エイカーズについて、次のように述べています。
─────────────────────────────
 エイカーズは、機側と地上(会社)側とが衛星を利用して通信
を行う装置で、サテライト・コミュニケーション(略してサトコ
ム)用のアンテナを利用している。 ──杉江弘著の前掲書より
─────────────────────────────
 この場合、機側から地上にダウンリンクされる主な情報は、位
置情報をはじめ、エンジンの状態、機体の何らかのトラブル──
たとえば火災の発生とか、エンジンの油圧の低下などは自動的に
エイカーズによって地上(マレーシア航空とエンジンメーカーの
ロールス・ロイス社)に伝えられるのです。情報の伝達間隔は航
空会社によって異なりますが、マレーシア航空では30分に1回
になっています。
 このほかに、機側が目的地の天候の問い合わせや機内に病人が
発生したので、空港に救急車を用意して欲しいといったメールで
のやり取りもできるのです。
 もちろん無線も使えます。無線には、VHF(超短波)とHF
(短波)の2つあります。VHFを使うと、地上と明瞭な会話が
できますが、短距離でしかできないデメリットがあります。その
点、HFは長距離でも通信可能です。しかし、無線は他の航空機
や基地に傍受されてしまうリスクもあるのです。そのため、最近
では、衛星を介して機と航空会社が対話するエアリンクを利用す
るようになっています。
 さて、ナジブ首相は、「トランスポンダーが何者かに切断され
た」と述べていますが、この「何者かに」という表現に注目する
必要があります。というのは、トランスポンダーの操作盤はコッ
クピットの操縦席の右側──通常編成では副操縦士が座りますが
ちょうど副操縦席の左手の近くにあります。しかし、この操作盤
でトランスポンダーをオフにはできないのです。その切断方法に
ついては操縦士には教育されていないので、操縦士も知らないは
ずです。しかし、ナジブ首相が「何者かによって切断」といって
いるのは、この時点で、MH370便はハイジャックされたこと
を把握していたことになります。
 それでは、トランスポンダーを切断することによって、何が起
きるのでしょうか。
 本来トランスポンダーは、機に何か緊急事態が発生したときや
すべての無線機が使えなくなったとき、または機がハイジャック
されるなど機に容易ならざる事態が発生したときに、国際的に取
り決めのあるコード番号を機器に入力することによって、管制官
にその事態を知らせるためのものです。したがって、もし、MH
370便がハイジャックされたとすると、犯人が一番先にトラン
スポンダーの切断を指示したことは十分考えられることです。
 しかし、トランスポンダーは、基地から電波の届く約360〜
540キロまでの範囲でしか使えないのです。これに対してエイ
カーズは、衛星を利用しているので、無線やトランスポンダーと
は比較にならないほど、使える範囲が広いのです。
 それでは、このエイカーズを切断することは可能なのでしょう
か。ナジブ首相は「ディスエイブルド」としかいっていないので
す。エイカーズについては、さらに理解することがあり、明日の
EJでお話しします。 ── [航空機事故の謎を探る/007]

≪画像および関連情報≫
 ●マレーシア機不明、犯罪行為を示唆 ナジブ首相
  ───────────────────────────
   (CNN)クアラルンプール発北京行きのマレーシア航空
  370便が消息を絶っている問題でナジブ同国首相は、20
  14年3月15日、機内にいた何者かが周到な用意をし、今
  回の事態を生じさせた証拠があることを明らかにした。記者
  団に述べたもので、370便の消息不明の原因が何らかの犯
  罪行為に絡むとの認識を明確に示したものとなっている。犯
  罪行為がテロ活動やハイジャックなどを意味するのかには触
  れなかった。
   首相は、新たな衛星情報などを入手し、同便の通信系統が
  マレー半島の東部海岸に到達する直前、故意に切断されたこ
  とを強く確信していると表明。飛行中の位置などを地上の管
  制官に伝える装置トランスポンダーも意図的に断絶されたと
  述べた。トランスポンダーの切断はマレーシア、ベトナム両
  国の管制空域の境界線近くで行われたとしている。
   これらの事実を踏まえ、マレーシア当局は同便の音信途絶
  の解明で操縦士や乗客の背後関係などを改めて調査の重点項
  目にする考えも表明した。また、同機の捜索範囲を中央アジ
  アのカザフスタン、トルクメニスタン両国国境地域やインド
  ネシアからインド南部に拡大する方針も示した。ハイジャッ
  クされたとのメディア情報があるものの、370便の正規の
  進路からの逸脱の原因については全ての可能性を踏まえて調
  べていると述べた。        http://bit.ly/1cJwJDe
  ───────────────────────────
 ●図の出典/──杉江弘著の前掲書より

トランスボンダー操作盤.jpg
トランスボンダー操作盤
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月07日

●「エイカーズは正常に機能している」(EJ第4133号)

 「トランスポンダーを切断する」というのは、実は簡単なこと
ではないのです。コックピットのなかには操作盤はありますが、
その切断まではできないことは昨日のEJで述べた通りです。こ
れは後で述べるエイカーズについても同様です。
 実はトランスポンダーの切断法については、セキュリティの関
係から、公開されていないのです。というか、そういうことが建
前になっています。ボーイング777の場合は、上級整備士など
の航空管制システム整備の専門教育を受けた専門家でなければ、
そのやり方を知らないはずです。機長でもそのための教育は受け
ていないのです。機長が知らなくてもよいことなのです。
 ところで、どこにトランスポンダーはあるのでしょうか。
 トランスポンダー機器は、ボーイング777のサーバールーム
に該当するE/Eベイに収納されているのです。E/Eベイは、
ファーストクラスの乗員スペースの床の下にハッチが設けられて
おり、床のカーペットを剥がして、ハッチを開けることで、内部
にアクセスすることができるようになっています。
 貴重な動画を見つけました。7分ほどの動画ですが、ぜひ見て
いただきたいと思います。そうすれば、トランスポンダーの切断
がいかに大変であるかがよくわかると思います。なお、この動画
の存在を知ったボーイング社は、セキュリティのため、トランス
ポンダー機器の位置を変更したと聞いています。
─────────────────────────────
  ◎ボーイング777のトランスポンダーはここにある
                http://bit.ly/1PcFoyO
─────────────────────────────
 仮にMH370便がハイジャックされたとした場合、そのハイ
ジャック犯は「トランスポンダーを切れ!」と機長に要求したは
ずですが、機長は「できない。知らない」と答えたと思います。
それでも本当に切断したのだとすれば、そのハイジャック犯が、
機長ですら知らないその切断方法を知っていたことになります。
そうなると、これはただのハイジャック事件ではなくなります。
 続いてエイカーズについて考えます。ナジブ首相のエイカーズ
の発言について、杉江弘氏は次のように述べています。
─────────────────────────────
 ナジブ首相は、午前1時7分の最初の受信後、次の1時37分
にはメッセージが届かなかったとしかいっていないのである。そ
してマレーシア軍幹部が、朝日新聞の取材に対し、「通信装置の
“一部”が故意に切られた可能性が高い」と答えているのも注目
に値するのではなかろうか。          ──杉江弘著
        『マレーシア航空機はなぜ消えた』/講談社刊
─────────────────────────────
 エイカーズは、機体に電源が入れば自動的に始まるのです。ナ
ジブ首相は、午前1時7分に最初の受信があったといっているの
で、エイカーズは間違いなく作動していたことになります。
 なお、杉江氏は、エイカーズを切断、あるいは不作動にしよう
とする方法について、次のように述べています。
─────────────────────────────
 ボーイング777では、コックピットから客室へ出てカーペッ
トを剥がし、MFCと呼ばれる床下の空間に潜り込み、多くのC
CB(サーキット・ブレーカー)の中からそれを割り出し、引き
抜くこと。            ──杉江弘著の前掲書より
─────────────────────────────
 これは、動画のトランスポンダーの切断のやり方と同じです。
推測ですが、トランスポンダー機器もエイカーズ機器も、客室で
はなく、ファーストクラスの乗員スペースの床下に収納されてい
るのではないでしょうか。
 もし、杉江氏のいうように、客室スペースの床下にあるとすれ
ば、その切断作業をすれば、間違いなく乗客に怪しまれます。も
し、この事件がハイジャックであるとすると、離陸直後の時点で
は乗客に気づかれたくはないはずです。犯人は乗客が外と連絡を
とることを恐れるからです。
 杉江氏の本には、MH360便の機内の乗客についての次の記
述があります。
─────────────────────────────
 今回のMH360便のように、マレーシアやシンガポールを発
って成田や北京などに向かう便では、サービスの方法が一般の便
とは異なっている。機が離陸後、巡航高度に達したら、客室乗務
員はスナックなど軽い食事を出した後、機内を暗くして乗客が睡
眠をとれるようにする。深夜便では、多くの乗客はすでに搭乗前
に夕食を済ませており、ともかく一刻も早く寝たい気分になって
いるからだ。そこで、ホットミールと呼ばれるメインの温かい食
事は、到着の2時間ほど前に出されることが多い。
                 ──杉江弘著の前掲書より
─────────────────────────────
 これも推測ですが、トランスポンダーは本当に切断したものの
エイカーズはそのままにしていたと考えられます。仮にそのため
の床下の作業があったとしても、それに客室乗務員は気づいてい
ても、何をしているかはわからなかったはずです。もし、機がハ
イジャックされたとしても、その騒ぎはコックピット内に止まっ
ており、乗員も乗客もおそらく朝までは気がつかなかったものと
思われます。
 もし、エイカーズが切断されず、生きていたとすれば、理解で
きないことがあります。それは、MH370便の運航データは、
30分おきにマレーシア航空とロールス・ロイス社には届いてい
るはずであり、その位置なども特定できたはずなのに、それが公
表されていないことです。
 とにかくMH370便の事故に関しては、当事者であるマレー
シア航空もマレーシア当局も情報を持っているはずなのに、情報
を小出しにし、質問すら許さないという異常なメディア対応に終
始していたのです。  ──[航空機事故の謎を探る/008]

≪画像および関連情報≫
 ●「マレーシア機」問題で全く触れられていないこと
  ───────────────────────────
   メディアでは、まだ、「事件」なのか「事故」なのかで揺
  れた報道になっている状況です。元機長の評論も人によって
  はくるくる変えたり、口を濁らせるケースを見かけます。私
  は「レーダーから突然消えた」という事態から最悪ではあり
  ますが、燃料のあるうちならば「海上着水」、燃料がなくな
  れば「墜落」ということを申しておりました。原因について
  も「すべての発信を断ち切って」というところは、「不自然
  さ」がつきまといます。
   「9.11」以前は、コックピットへも許可さえあれば容
  易に入れましたが、現在は乗客は一切入れない!」としてい
  ますし、客室乗務員の出入りについても各エアラインごとの
  ルールをつくって厳重にしています。また、コックピットド
  アもかつては「蹴飛ばせば、開く」程度の強度でしたが、現
  在はびくともしないように強化されました。
   とはいうものの、パイロットが最大の神経を使った離陸後
  にはCAが出入りし二人のパイロットの好みを聞いたうえで
  「コーヒー・紅茶などの飲み物」を届けるのが普通です。離
  陸後50分後にレーダーから消えた!という頃は、キャビン
  では「飲み物や食事の機内サービスを展開し始めている」状
  況です。乗客のサービスと並行して、客室乗務員は「パイロ
  ット」の食事の世話をしなければなりません。
                   http://bit.ly/1QRJkDs
  ───────────────────────────

トランスポンダー機器はどこにあるか.jpg
トランスポンダー機器はどこにあるか
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月08日

●「ストーリーを作るマレーシア当局」(EJ第4134号)

 マレーシア航空とマレーシア政府は、MH370便の失踪に関
して、終始他人事のような態度をとり、辻褄の合わない情報を小
出しにするとともに、何を聞かれても「把握していない」「確認
していない」「あらゆる可能性を」の3点セットを毎回繰り返し
しかも外国メディアからの質問は一切受け付けないのです。
 マレーシア航空とマレーシア政府は、MH370便の失踪に関
しては当事者なので、多くの情報を握っているはずですが、どう
してこのような不誠実な態度をとるのでしょうか。何しろマレー
シア当局が公表したのは、失踪機の便名と乗客乗員数が239人
ということだけなのです。明らかに意図的に何かを隠そうとして
いることは間違いないと思われます。
 行方不明のMH370便の機長と副操縦士、乗客乗員のデータ
を押さえておきましょう。
─────────────────────────────
    機長:ザハリエ・アハマド・シャー氏(53歳)
             飛行時間は1万8365時間
  副操縦士:ファリク・アブドル・ハミド氏(27歳)
               飛行時間は2763時間
─────────────────────────────
 MH370便の乗客は227人、乗員は12名であり、乗員は
全員マレーシア人です。乗員は2人のパイロットと10人の客室
乗務員です。乗員の227人の国籍は次の通りです。
─────────────────────────────
     中国 ・・・・・・・・・・・ 152人
     マレーシア ・・・・・・・・・ 38人
     インドネシア ・・・・・・・・・ 7人
     オーストラリア ・・・・・・・・ 6人
     インド ・・・・・・・・・・・・ 5人
     フランス ・・・・・・・・・・・ 4人
     アメリカ ・・・・・・・・・・・ 3人

     ニュージーランド ・・・・・・・ 2人
     ウクライナ ・・・・・・・・・・ 2人
     カナダ ・・・・・・・・・・・・ 2人
     台湾 ・・・・・・・・・・・・・ 1人
     香港 ・・・・・・・・・・・・・ 1人
     オランダ ・・・・・・・・・・・ 1人
     ロシア ・・・・・・・・・・・・ 1人
     イラン ・・・・・・・・・・・・ 2人
     ───────────────────
     合計             227人
         ──ウィキペディア http://bit.ly/1hrPo9P
─────────────────────────────
 MH370便は中国南方航空とのコード・シェア便──共同運
航便です。コード・シェア便とは、実際に飛行機を飛ばし,運行
管理や客室乗務を行うのはあくまで1社ですが,提携している航
空会社があたかも自社便のように,その便に便名をつけ,予約や
発券も行うのです。
 MH370便の場合は、実際に飛行機を飛ばすのはマレーシア
航空ですが、一部のチケットは中国南方航空便として、中国南方
航空が販売しているのです。そうすることによって、マレーシア
航空は確実にチケットが売れますし、運航しない中国南方航空も
自社の顧客として、中国南方航空の便名をつけたチケットを買っ
てもらって、顧客をそこへ連れて行くことができるのです。MH
370便の乗客に中国人が多いのはそのためでしょう。
 ナジブ首相の発言を聞いていると、MH320便は出発して間
もなく何者かにハイジャックされ、予定の進路を外れて飛行せざ
るを得なくなったというストーリーを信じさせようとしているよ
うにみえます。それを裏付ける情報として、乗客のなかに偽造パ
スポートを持つ2人のイラン人がいたことを明かしています。こ
のようにいわれると、いかにもハイジャックをやりそうな人物が
MH320便に乗っており、マレーシア当局のいうことが真実で
あるように聞こえます。
 しかし、この2人はハイジャック犯人ではないことがすぐ判明
したのです。杉江弘氏は、これについて自著で、次のように述べ
ています。
─────────────────────────────
 国際刑事警察機構のロナルド・ノーブル事務総長は3月11日
の会見で、「搭乗していた2人の男性は、オーストリアとイタリ
アのパスポートを持つ29歳と18歳のイラン人」と発表した。
そしてそれらのパスポートは、以前にタイのプーケット島で盗ま
れたものと判明した。この件では、後に、2人の目的地が北京で
はなくヨーロッパであったことから、薬物犯罪などに関する組織
の一員であるものの、偶然にMH370便に乗り合わせただけで
ハイジャック犯ではないとの見解が出された。  ──杉江弘著
        『マレーシア航空機はなぜ消えた』/講談社刊
─────────────────────────────
 マレーシア当局は、通信が途絶えた後、MH370便が左旋回
して針路を南西に取り、それから西へ、そして北西へと飛行して
行ったことをマレーシア空軍のレーダーが捕捉し、その情報を得
ていたにもかかわらず、それとは逆の南方飛行説や北方飛行説を
唱えるなど、本当にMH370便が飛行した航跡を絞らせない発
言を繰り返しています。そして、最後は燃料切れで墜落し、全員
死亡で、幕引きを図ろうとしています。
 このように、必要な情報は何一つ明らかにせず、記者からの質
問も受けず、自分たちにとって都合のよい情報のみ公開する──
事故を起こした責任ある当事者でありながら、このような態度を
とることはきわめて不誠実です。このような態度を取り続けると
マレーシア当局もこの事件に一枚噛んでいるのではないかと疑っ
てしまいます。    ──[航空機事故の謎を探る/009]

≪画像および関連情報≫
 ●マレーシア機はなぜ消えたか/2014年4月1日
  ───────────────────────────
   239人の乗員乗客を乗せて3月8日にクアラルンプール
  国際空港を出発した後、こつぜんと姿を消したマレーシア航
  空370便。手掛かりが見つからないまま10日以上が過ぎ
  乗客の家族のいら立ちが頂点に達した20日、機体の残骸の
  可能性がある浮遊物がオーストラリア当局によって発見され
  た。現場はインド洋南部、オーストラリア南西約2500キ
  ロの海域だ。初の大きな手掛かりに捜索隊は色めき立ち、飛
  行機と船舶を急行させた。ただ現場付近の天候は大荒れで、
  衛星画像で見つかった浮遊物にたどり着けず引き返す飛行機
  も出た。
   オーストラリアの当局者は、数日かけて残骸を回収できた
  としても、それが何かを特定するのにさらに数日を要すると
  認めている。仮に370便の機体の一部だと判明しても、機
  体そのものの発見は困難を極めるだろう。インド洋の水深は
  平均3900メートル。残骸は既に海流に乗ってかなりの距
  離を流されているとみられる。
   今回のケースが特に衝撃的だったのは問題の当事者が「優
  良エアライン」として知られるマレーシア航空で、しかも、
  機体が安全性を高く評価されたボーイング777だったから
  だ。マレーシア航空は、イギリスの航空サービス格付け会社
  スカイトラックスが「5つ星」に選んだ世界的に評価の高い
  エアラインだ。安全面に加え、高品質のサービスが幅広い支
  持を得ている。          http://bit.ly/1KZFnLz
  ───────────────────────────

ザハリエ・アハマド・シャー機長.jpg
ザハリエ・アハマド・シャー機長
posted by 平野 浩 at 02:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月09日

●「マレーシア当局による北方飛行説」(EJ第4135号)

 MH370便がクアラルンプール空港を離陸したのは2014
年3月8日午前0時41分のことです。午前1時21分頃にトラ
ンスポンダーが切断され、午前1時30分にクアラルンプール管
制との交信が途絶えています。
 しかし、それから午前2時22分まではマレーシア空軍がMH
370便の機影をとらえています。それによると、MH370便
は左旋回し、針路を南西に取っています。そしてさらに西に変針
し、北西へ向かう時点で空軍はMH370便の機影を追うことが
できなくなったのです。もちろんこの情報は、いの一番にマレー
シア政府に伝えられていることはいうまでもないことです。
 ところが3月15日の記者会見でナジブ首相と同行したヒシャ
ムディン運輸相代行は、次のようなことを発言しているのです。
─────────────────────────────
◎(MH370便は)午前8時11分まで通信衛星が機体を捉え
ており、管制との交信が途絶して以来、6時間40分飛行してい
た可能性がある。機はインド洋上空の衛星から同じ距離にある円
上のどこかにいたことがわかり、燃料的に見て、北は中央アジア
のカザフスタンまで飛んでいった可能性がある。──ナジブ首相
◎衛星データによると、航空機の位置は北もしくは南の可能性が
あります。どちらの進路の可能性も否定できませんし、同じくら
い重要です。         ──ヒシャムディン運輸相代行
                 ──マレーシアナジブ首相
 ──杉江弘著/『マレーシア航空機はなぜ消えた』/講談社刊
─────────────────────────────
 このナジブ首相らの発言からメディアは一斉にMH370便の
飛行について、マレー半島付近から北にルートを取り、一路アフ
ガニスタンのタリバン支配地域に向ったという「北方飛行説」を
報道したのです。なかには、MH370便はタリバンの支配地域
に着陸して、航空機と人質を隠しているという、荒唐無稽な報道
もあったのです。
 英国の「インデペンデント」紙などは「マレーシア当局は、タ
リバンの支配地域に不明機が着陸した可能性があるとみている」
と、まともに報道する始末です。
 しかし、この北方飛行説はどう考えても不可能なのです。杉江
弘氏は、添付ファイルの図を使って、それがあり得ないことを示
しています。
 「×」は、MH370便がマレー半島西側の海域で空軍のレー
ダーから消えた地点です。この×点とカザフスタンの東端と西端
を線で結びます。図のAとBの線がそれです。
 Aの線上をたどると、タイ、ミャンマー、中国の領空を通るこ
とになります。Bの線上を行くと、インド、パキスタン、アフガ
ニスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンの領空を飛行しま
す。したがって、これら各国のレーダーに捕捉されないで飛行す
ることは困難です。Cの線はそういう領空を避けてパキスタンま
で飛ぶルートです。
 MH370便がそんなルートを飛ぶはずがないのです。WSJ
(ウォール・ストリート・ジャーナル)の電子版は、ミャンマー
インド、パキスタンでは、MH370便はレーダーでは探知され
ていないことを伝えています。
 レーダーが探知できないように低空を飛べばよいではないかと
いう意見があります。確かに地上から5000フィート(約15
00メートル)以下を飛べばレーダーには探知されません。しか
し、そのようなことは実際にはあり得ないのです。なぜなら、低
空を飛ぶと、多くの燃料を使うからです。これについて、杉江弘
氏は次のように述べています。
─────────────────────────────
 この説(低空を飛行したのではないか)に同調する軍事評論家
もいたが、そのような低空を飛行したら、燃料を一挙に使い、と
てもタリバンのいるアフガニスタンはおろか、手前の国々にも届
かないことになる。ボーイング777のような大型機では、15
00メートルのような低空と、通常使用する巡航高度とでは計算
するのも時間の無駄になるほどの燃料消費量に差があるからだ。
 加えてこの低空飛行説では、マレーシアから北上したとして、
標高が高い所では、5000〜8000メートルもあるヒマラヤ
山脈やバミール高原をどうやって越えるのか、そのような高さま
で上昇すると、それこそレーダーの画面に映ってしまうではない
か。               ──杉江弘著の前掲書より
─────────────────────────────
 もうひとつMH370便がタリバンの支配地区などに飛行して
いない理由があります。それはタリバンの支配地域には、ボーイ
ング777が着陸できる2000メートル級以上の飛行場などな
いからです。
 しかし、それにしてもマレーシア当局は、なぜタリバン支配地
域などを持ち出したのでしょうか。推測ですが、それには次の2
つの理由があると考えられます。
─────────────────────────────
 1.MH370便が飛行した本当の航跡を知られたくない何
   らかの理由が存在したことである。
 2.タリバンの名前を出すことによって、この失踪事件をハ
   イジャック事件と思わせたかった。
─────────────────────────────
 この事件をめぐって、マレーシア航空やマレーシア政府の一連
のメディア対応を見ていると、この事件の真相をマレーシア当局
は知っており、それを知られたくなかったのではないかと考えら
れるのです。
 マレーシア当局としては、MH370便が、クアラルンプール
空港を発着した直後に何者かによってハイジャックされ、その犯
人の命令にしたがって飛行を続ける途中で、燃料切れのために墜
落したというストーリーを信じさせようとしているように思える
のです。       ──[航空機事故の謎を探る/010]

≪画像および関連情報≫
 ●マレーシア不明機異常行動/アメーバ・ニュース
  ───────────────────────────
   こうした情報が明らかになるにつれ「どう見ても飛行のプ
  の仕業でしょ!」とアメリカのマスコミがまず騒ぎ出し、マ
  レーシアのナジブ・ラザク首相も土曜、「事故ではなく機内
  の何者かに意図的に進路を変えられたものと見られる」と正
  式見解を発表。首相は断定を避けましたが、マレーシア政府
  高官は米CBSに「もはや機長か副機長か外部の人間による
  ハイジャックで確定だ」と話しています。
   トランスポンダは操縦席からボタン1個で切れるのですが
  (EJとしては疑問)コックピットから入った最後の言葉は
  「了解、では」という落ち着き払った声で、何かコックピッ
  トで異変が進行中なことを匂わすようなところは全くありま
  せんでした。この最後の声は「副操縦士の声だった」と、月
  曜マレーシア航空CEOが記者会見で明らかにしています。
   日曜にマレーシア運輸相代行は「エーカーズが切られたの
  は最後の声の前だった」と発表し、副操縦士に一気に疑いの
  目が向けられたのですが、その点についてCEOは「情報送
  信は30分置きなので前か後か断定はできない」と正してい
  ますよ。ファリク・アブダル・ハミド副操縦士はやっとボー
  イング777─200のシミュレーター飛行を終え、実機飛
  行に移ったばかりのひよっこで、失踪のちょうど1ヶ月前に
  はなんとCNNが、たまたまB777─200訓練飛行中の
  コックピットにお邪魔して、その訓練に励む姿をカメラに収
  めています。           http://bit.ly/1hrV2Zr
  ───────────────────────────

MH370便北方飛行説.jpg
MH370便北方飛行説
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月13日

●「MH370便インド洋南部に墜落」(EJ第4136号)

 2014年3月24日になって、マレーシアのナジブ首相は会
見を開き、次のように述べています。
─────────────────────────────
 ◎大変残念だが、マレーシア航空MH370便はインド洋南
  部で、飛行を終えたといわねばならない。──ナジブ首相
 ◎MH370便は、燃料切れにより、墜落したと考えざるを
  得ない。        ──ヒシャムディン運輸相代行
─────────────────────────────
 ナジブ首相の第1回会談から9日後のことです。中国、フィリ
ピン、シンガポール、米国、日本などによる捜索では何の手がか
りも掴めていない時点での当事国マレーシアの事実上の幕引き宣
言です。何を根拠にそういうのでしょうか。
 その根拠は、英国の通信衛星「インマルサット」によるMH3
70便がたどったと予想される航跡図からの解析であるとして、
マレーシア政府は添付ファイルの航跡図を公表したのです。
 通信衛星を使うと、その衛星との距離がわかり、地上付近にあ
るものは、その衛星と同じ距離にある円上にいることがわかるの
です。この航跡図は、インド洋モルディブ付近の上空からの衛星
情報で、3月8日午前8時11分に捉えた半円状の到達予想地点
をあらわしています。
 位置を特定する場合は、通常は複数の衛星の交点──複数の衛
星からの放物線の交点を求めるのですが、3月8日午前8時11
分時点では、ひとつの衛星からの情報しか得られないので、MH
370便はこの円上のどこかにいた可能性があるといえます。
 添付ファイルについて説明します。図上の点線は北に向かうも
のと、南に向かうものがあります。これを「コリドー(回廊)」
と呼んでいます。北に向かうコリドーの場合、タイからカザフス
タンとトルクメニスタンの国境付近まで飛行した可能性を示して
います。これが3月15日にマレーシア政府が記者会見で発表し
た「北方飛行説」の根拠です。
 ところが、3月24日の会見では、マレーシア政府は一転して
南に向かうコリドー上のどこかで墜落した可能性があると発表し
たのです。このさい、MH370便の対地速度を450ノットと
400ノットと仮定して墜落地点を予測しているのです。
 地上のレーダーからMH370便の機影が消えた地点が「A」
です。MH370便は、このA地点から針路を南に取り、インド
洋南の海上に向ったと仮定しています。そして速度が400ノッ
トの場合は、墜落地点は「C」、450ノットの場合は「B」と
推定しているのです。
 問題は、このマレーシア政府の発表の信憑性がどこまであるか
です。杉江弘氏は、衛星からの墜落地点の推定は、その信頼性に
おいて次の問題点があると指摘しています。
─────────────────────────────
 1.MH370便の速度はあくまで仮定であり、その速度の
   設定によって、何本も線が引けることになる。
 2.C地点とB地点との距離は約1080キロメートルも離
   れており、機の墜落地点の特定にはならない。
 3.インマルサットがどこからの信号によって航跡を割り出
   したのかが明らかになっていないことがある。
 4.MH370便の行方を予測するために不可欠な搭載燃料
   をマレーシア政府は依然として隠蔽している。
                      ──杉江弘著
     『マレーシア航空機はなぜ消えた』より/講談社刊
─────────────────────────────
 3月8日午前8時11分時点で、MH370便がどのくらいの
速度で飛行していたかを判断できる情報は何もないのです。した
がって、それがわからない以上、たとえ墜落場所が南コリドー上
(点線)であったとしても、速度によって何本も線が引けること
になり、墜落場所の特定にはならないのです。したがって、3月
24日のマレーシア政府の発表は、何もいっていないのとあまり
変わりはないといえます。
 それに加えて、C地点とB地点の距離は約1080キロメート
ルもあるのです。これは日本列島の半分の距離に相当し、その広
大な海域のなかの点を探す作業になり、それは墜落地点の特定な
どといえるものではないのです。これについて、杉江弘氏は次の
ように疑問を呈しています。
─────────────────────────────
 しかしながら、オーストラリアの合同捜索センターによると、
当初パースから南西へ約2500キロメートルの海域(ほぼB地
点)を捜索していた活動を4月上旬には北へ移動させ、パースか
ら北西へ約1700キロの海域(ほぼC地点)に絞ったとされて
いる。では、約1080キロにわたるすべての海域の可能性があ
るのに、なぜ突然B地点からC地点に捜索活動が移されたのか?
                 ──杉江弘著の前掲書より
─────────────────────────────
 さらに疑問なのは、インマルサットがどこからの信号によって
航跡を割り出したかです。3月24日付の英紙「デイリー・テレ
グラフ」によると、通信衛星側が航空機側の出す「PINGS」
(ピン)と呼ばれる微弱な信号をキャッチし、それをドップラー
効果を使って解析して、これに各種の情報(想定位置、進路、速
度)を組み合わせることで航跡を割り出したというのです。
 しかし、これに関して、杉江弘氏はこの英紙「デイリー・テレ
グラフ」の記事に次のように疑問を呈しています。
─────────────────────────────
 少なくとも私は、そんな話を聞いたことはないし、何人かの元
同僚や現役も、マニュアル類などどこを見ても書かれておらず、
わからないと話している。     ──杉江弘著の前掲書より
─────────────────────────────
 要するにパイロットはそんなものは知らないといっているので
す。明日検証します。 ──[航空機事故の謎を探る/011]

≪画像および関連情報≫
 ●MH370便はインド洋南部海域に墜落/ナジブ首相
  ───────────────────────────
   (マレーシア)ナジブ首相は3月24日夜、KLのプトラ
  ・ワールドトレードセンター(PWTC)で記者会見し「マ
  レーシア航空・MH370便(B777─200)の航跡が
  オーストラリア・パース南西沖(約2500キロ)のインド
  洋南部で終わった。近くに着陸できる場所はない」と述べ、
  同機がインド洋南部海域に墜落したと結論づけた。
   ナジブ首相によると、マレーシア政府は英国航空事故調査
  委員会から同日夜、同国企業インマルサットの通信衛星のデ
  ータを分析した結果について説明を受けた。MH370便は
  飛行中に自動的に通信衛星を探知して信号を送るシステムを
  装備しており、同委員会はそのデータを詳細に解析したとい
  う。インマルサットは、通信衛星による移動体通信を提供す
  る民間企業。
   なお、ナジブ首相は、マレーシア航空が首相の会見前に乗
  客乗員の家族に最新情報を伝えたむね明らかにした。首相は
  25日に改めて詳細を発表すると発表した。
   約50分後に消息断つ!3月8日午前12時41分に、北
  京に向けクアラルンプール国際空港を飛び立ったマレーシア
  航空のMH370便が、離陸して約50分後の午前1時21
  分にマレー半島コタバルとベトナム・ホーチミン間の海上で
  消息を絶った。          http://bit.ly/1GBJysS
  ───────────────────────────
 ●図の出典/杉江弘著の前掲書より

インマルサット衛星によるMH370便の航跡図.jpg
インマルサット衛星によるMH370便の航跡図
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月14日

●「どのぐらいの燃料を積んでいたか」(EJ第4137号)

 英国の通信衛星インマルサットは、何によってMH370便の
航跡を把握していたのでしょうか。
 それは航空機が1時間おきに発信する「PINGS」(ピン)
と呼ばれる微弱な信号である──英紙「デイリー・テレグラフ」
の記事はそのように伝えています。
 ところが、ベテランパイロットである杉江弘氏は「そんな信号
の存在は聞いたことはないし、同僚や現役のパイロットにも聞い
てもみんな知らないといっている」と否定しています。これはど
うしたことでしょうか。
 これは、航空機側が衛星からの情報をもとに時刻合わせを行う
ためのものです。実際には、時刻合わせは会社が衛星からの情報
を使ってUTC(協定世界時)を取得して機に送り、パイロット
が備え付けの時計に正確な時刻を設定するのです。しかし、杉江
氏によると、ボーイング777では時刻合わせはGPSによって
自動的に行われるので、コックピットでは時刻合わせをしなくて
もよくなっているといっています。
 それでは、航空機側から発する電波にはどのようなものがある
でしょうか。これについては、既に述べたものを含めて、次の4
つがあります。
─────────────────────────────
         1.      無線
         2.トランスポンダー
         3.   CPTLC
         4.   エイカーズ
─────────────────────────────
 まず、VHFやHFの無線があります。そして無線が使えない
ときの緊急事態発生や、機がハイジャックされたときのために、
トランスポンダーがあります。これはあらかじめ国際的に決めら
れているコード番号を入力することによって管制官に情報を伝え
ることができます。しかし、管制から電波の届く距離範囲でしか
使えないのです。しかし、トランスポンダーは、MH370便が
管制との最後の交信をした直後に切断されているのです。
 「CPTLC」とは何でしょうか。
 CPTLCとは、衛星を使ったデータ通信で、無線の代わりに
データ通信をすることができます。CPTLCは、次の言葉の頭
文字をとったものです。
─────────────────────────────
 ◎航空管制官とパイロット側のデータ・リンク通信
 CPTLC Controller Pilot Data Link Communications
─────────────────────────────
 しかし、「CPTLC」は、この内陸のルートでは使われてい
ない可能性が高いといわれます。そして最後に残る可能性は、エ
イカーズです。杉江氏によると、エイカーズは不作動であっても
電源は入っているので、電波を発信していたのではないかとして
次のように述べています。
─────────────────────────────
 こうして考えてみると、3月24日のナジブ首相の会見では、
「機が消息を絶ってから燃料切れまで6時間40分(クアラルン
プール国際空港出発時からは合計約7時間30分)」と公表され
それは『ウォール・ストリート・ジャーナル』の記事とは飛行時
間は食い違いを見せているが、インマルサットが受信していたと
いう「PINGS」と呼ばれる信号とは、実はエーカーズからの
ものではないか。エーカーズは仮に不作動であっても、電源が入
っている限り、スタンバイ状態(家電製品でコンセントを入れた
状態と同じ)で衛星とつながっている。     ──杉江弘著
      『マレーシア航空機はなぜ消えた』より/講談社刊
─────────────────────────────
 MH370便がどこまで飛行したのかを決める重要な情報のひ
とつは、機がどのくらいの燃料を積んでいたかです。搭載燃料は
飛行計画(フライトプラン)に記載されており、事故などのさい
には航空会社は必ず公表するものです。しかし、マレーシア当局
はいまだに飛行計画を発表していないのです。
 しかし、ナジブ首相は、上記のように「機が消息を絶ってから
燃料切れまで6時間40分(クアラルンプール国際空港出発時か
らは合計約7時間30分)」と発言しているので、大体8時間分
の燃料を搭載していたものと思われます。これは、杉江弘氏が予
測した約8時間分の燃料と一致します。もし、機長が犯人でない
なら、搭載燃料は代替空港分も含めて約8時間分で十分です。
 ボーイング777のER(国際線仕様タイプ)では、満タンに
すると、30万3100ポンド、飛行時間にして約12時間分の
燃料搭載が可能です。ボーイング777は、ジャンボジェットの
ボーイング747と同じくらいの量の燃料を翼や胴体中央部に積
むことができるのです。
 実は、MH370便は満タン近い燃料が搭載されていたのでは
ないかという疑いもあるのです。仮にそうであったとすると、こ
の事件にはマレーシア当局が深くからんでいることになります。
なぜなら、単なる事故であるから、飛行計画などの情報をマレー
シア当局が隠す必要がないからです。
 民間の定期航空会社で働く機長は、自分の一存で搭載燃料の量
を決めることはできないのです。事前に運行管理者と協議して飛
行計画を作製し、それに基いて搭載燃料の量を決め、相互にサイ
ンしてはじめて出発することができるのです。
 もし、機長が運行管理者を説得し、必要以上の燃料を搭載する
のに成功したとしても、まず、同乗の副操縦士から疑念を持たれ
ることは必至です。また、燃料を給油する駐機場でも、通常の便
にしてはオーダーされる燃料が多過ぎると、給油職員にも怪しま
れることになります。このように、通常以上の燃料を搭載するの
は、なかなかハードルが高いのです。マレーシア当局が飛行計画
を隠したのは、MH370便の墜落場所を特定されたくなかった
のです。       ──[航空機事故の謎を探る/012]

≪画像および関連情報≫
 ●機長の犯行か/「心服する野党党首が投獄され憎悪」
  ───────────────────────────
   消えたマレーシア航空機の機長の一枚の写真がある。Tシ
  ャツ姿の彼の胸には「Democracy is Dead」── 「民主主義
  は死んだ」とある。−−−反政府抗議活動として飛行機をハ
  イジャックする可能性のあることが分かってきた。
   アフマド・シャー機長(53)はマレーシアの野党党首ア
  ンワル・イブラヒム氏の“狂信的な”支持者であると言われ
  ている。MH370機が消息を絶つ数時間前、同氏は同性愛
  の罪で拘置されたところだった。
   また、シャー機長の妻と3人の子どもたちはこの前日に住
  居を後に出て行ったことが明らかになった。「MH370機
  はハイジャックされ、二百数十名の乗客・乗員たちはどこか
  知られざる場所で拘束されている可能性も否定できない」と
  FBI捜査官も語る展開になってきた。
   シャー機長は「偏執狂的」とも言えるほどイブラヒム氏を
  熱烈に支持する人物だった。そして彼がクアラルンプールか
  ら“覚悟のフライト”に出る数時間前、イブラヒム氏が拘置
  5年の刑が言い渡されることとなった判決の場に彼が出席し
  ていたことも分かった。与党に対抗するキーマンである政治
  家・イブラヒム氏は、長きにわたって言われなき中傷を受け
  続け、デッチ上げの犯罪を着せられるに至ったと、氏の運動
  員たちは言う。警察筋は、シャー機長が熱心な発信役として
  の政治運動家であったことを確認した。そして判決は彼に抑
  えられない動揺をもたらした恐れがあるとみている。
                   http://bit.ly/1N6kYoU
  ───────────────────────────

マレーシア・ナジブ首相2回目の記者会見.jpg
マレーシア・ナジブ首相2回目の記者会見
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月15日

●「あるパイロットによる合理的推理」(EJ第4138号)

 ここで、MH370便失踪の謎を解くためのキーとして、同失
踪機に関する次の4つの事実を示しておきます。
─────────────────────────────
 1.マレーシア航空とマレーシア政府はMH370便に関す
   る情報を異常なほど隠している。
 2.MH370便がクアラルンプール管制から外れたあとは
   地上との連絡を一切絶っている。
 3.MH370便が行方不明になってから1年6ヶ月になる
   が現在も行方不明のままである。
 4.2015年7月にレユニオン島で、MH370便とみら
   れる翼の一部が発見されている。
─────────────────────────────
 「MH370便に関する合理的な説」と題する20年の経験を
持つカナダ人のベテランパイロット、クリス・グッドフェロー氏
のレポートがあるので、要約してご紹介します。
 MH370便がクアラルンプール空港を中国北京空港に向けて
出発したのは2014年3月8日、午前0時42分です。約20
分後、副操縦士による管制への「おやすみ」のメッセージの後で
ベトナム沖の上空付近で機影が管制レーダーから消えています。
 失踪2日後になって、マレーシア空軍のレーダーが、機体がマ
レー半島を超えて南西に向かい、マラッカ海峡に進んだことを捉
えていることが報道されます。つまり、MH370便は大きく左
旋回したことになります。
 なぜ、左旋回したのでしょうか。これは機に何らかの異常が生
じたことをあらわしています。考えられるのは、機内火災です。
最も可能性があるのは、漏電による火災です。
 機内火災を探知した機長がまずやったことは、メインバス(主
要な回路)を遮断し、そのうえで回路をひとつずつ回復させ、問
題の回路を分離することです。
 主要な回路が遮断されると、トランスポンダーなどの通信機器
も停止されることになります。トランスポンダーが切断されたの
は、これが原因ではないかと思われます。ということは、離陸し
てから約1時間後に異常に気がついたということになります。管
制と最後の連絡をした直後です。
 もうひとつ考えられる火災の原因は、前輪の着陸用タイヤのひ
とつが離陸時に過熱し、ゆっくりと燃えていった可能性です。こ
れは、タイヤの空気圧が足りないことが原因で、発生することが
多いのです。
 MH370便の機長は、ザハリ・アフマド・シャー氏で、1万
8000時間の飛行経験を持つ熟練したパイロットです。こうい
う古参パイロットは、つねに緊急事態に備えて、最も近い避難空
港を意識して飛行するよう訓練されています。
 シャー機長は、マレーシア北部のランカウイ島にある国際空港
への直行ルートをとったのではないかとグッドフェロー氏は考え
たのです。この空港は、海上からアプローチ可能で、障害物のな
い3962メートルの滑走路を有しているまで、ボーイング77
7は十分着陸できます。ランカウイ国際空港の位置を、グーグル
アースで示しておきます。
─────────────────────────────
    ◎ランカウイ国際空港 http://bit.ly/1P9JMPU
─────────────────────────────
 しかし、煙が機内に充満し、乗員乗客は意識を失い、ランカウ
イ国際空港に着陸できず、墜落したというのがグッドフェロー氏
の推理です。これに関して、杉江弘氏もグッドフェロー氏の説を
自著で取り上げ、次のように述べています。 
─────────────────────────────
 MH370便は離陸直後に火災に見舞われ、機長は最も近い飛
行場であったマレーシア北部のランカウイ国際空港への避難を決
めた。出発地のクアラルンプールに引き返すためには約2400
メートルの山を越える必要があったため、海上からスムーズに進
入可能なランカウイを選んだ。
 しかし、やがて通信械器がダメージを負い、通信が途絶えてし
まった。トランスポンダーやエーカーズが使用できなくなったの
はこのためであろう。その後、乗務員は煙に巻かれて意識を失っ
た。機は自動操縦装置によって飛行を続けたものの、燃料切れ、
もしくは、延焼で操縦系統が破壊され、最後には墜落に至った。
 以上がグッドフェロー氏の推測である。1998年に起きたス
イス航空111便のケースでも、離陸して1時間後に機内で火災
が発生して、通信機能が遮断された。近くの空港に緊急着陸しよ
うとしたが、最終的には大西洋に墜落している。 ──杉江弘著
      『マレーシア航空機はなぜ消えた』より/講談社刊
─────────────────────────────
 「ゾンビプレーン」という言葉があります。パイロット全員が
機内火災で意識を失い、自動操縦装置が代わりに燃料切れまで航
空機を操縦し、最後は自動操縦装置も外れ、失速して墜落するこ
とをいうのです。ゾンビプレーン──いやな言葉です。つまり、
グッドフェロー氏は、MH370便はゾンビプレーンになったの
ではないかと推理したのです。
 この推理に立つと、冒頭のキーの2〜3には該当します。通信
手段が使えなくなったこともスムーズに説明がつくし、左旋回し
た理由も緊急避難で説明できます。4も機体の一部がレユニオン
島に流された可能性はゼロではないのです。
 しかし、1には該当しないのです。機内火災はあくまで偶発的
な事故であり、マレーシア当局が情報を隠蔽する必要はまったく
ないからです。マレーシア当局は当事者であるので、ローデータ
は当然として、知っている情報はすべて提供して航空機の捜索に
協力すべきです。しかし、マレーシア当局はそれと真逆の方針を
取り、情報を小出しにして、墜落場所をいたずらに拡散させ、機
を発見されないようにさえしたフシがあるのです。何がそうさせ
てたのでしょうか。  ──[航空機事故の謎を探る/013]

≪画像および関連情報≫
 ●マレーシア航空機はゾンビプレーン!?
  ───────────────────────────
   マレーシアのナジブ首相が緊急会見し、消息不明の航空機
  についてイギリスの衛星データを解析した結果、航空機は、
  オーストラリア・パース沖のインド洋南部で墜落したとの見
  方を示した。墜落の情報は乗客の家族に伝えられた。
   軍事ジャーナリストの黒井文太郎は、「可能性が高い」と
  話した。これまで浮上したさまざまな見方は、「乗客による
  テロ」「機長や副操縦士による意図的なもの」「何らかの事
  故」となっているが、墜落原因について、新たな「ゾンビプ
  レーン」という見方が出てきた。
   墜落原因について新たな「ゾンビプレーン」とは、何らか
  の原因で機長と副操縦士の両方が意識を失い、操縦不能とな
  った状態で燃料が尽きるまで飛び続ける状態のことをいう。
  2005年に「ゾンビプレーン」による事故が実際に起きて
  いた。乗客乗員121人を載せたキプロスからギリシャに向
  かっていた旅客機が山に墜落した。墜落前に異常があり、目
  的地のアテネ空港に接近しても着陸態勢に入らず、管制塔と
  の通信も途絶えている。ギリシャの空軍機が旅客機に近づき
  操縦室を確認したところ、操縦室でうつむいたまま動かない
  副操縦士を目撃し、機長の姿はなかったという。約1時間旋
  回を続けた後に燃料切れで墜落した。原因は、気圧維持装置
  が誤ってマニュアルポジションになっていたが気付かず、離
  陸後表示された警告を確認せず上昇し、乗務員が低酸素で意
  識不明のまま自動操縦が続けられ燃料が尽き墜落したとみら
  れている。            http://bit.ly/1GDQWUL
  ───────────────────────────
 ●図の出典 http://bit.ly/1iTC1MC

ベテランカナダ人パイロットの推理.jpg
ベテランカナダ人パイロットの推理
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月16日

●「マレーシア当局が情報を隠す理由」(EJ第4139号)

 ところで、なぜ、マレーシア当局は、MH370便の情報を隠
蔽するのでしょうか。
 その隠蔽ぶりは徹底していて、公表したのは、便名と乗客乗員
数だけです。とくに飛行計画は絶対に公表しなかったのです。飛
行計画は、日本においては、航空法施行規則第203条に項目が
記載されており、これにより、巡航高度および航路、代替飛行場
燃料搭載量、機体の出発時の重量などがわかり、どこへ飛行した
のか、どこまで飛行できるかなどを判断する重要な情報です。こ
れらの項目は、諸外国もほとんど共通しているはずです。
 杉江弘氏は、このマレーシア当局の対応について、若干怒りを
まじえて次のように述べています。
─────────────────────────────
 マレーシア政府の対応を見ていると、やはり軍や警察が前面に
出ていて、事故調査委員会なるものはいったいどこにあるのかと
思わせるような手法で物事を進めている感がある。(中略)
 とりわけ、マレーシア当局のメディア対応を見ていると、単に
情報を小出しにしているだけでなく、意図的に情報を操作したり
隠したり、あるいはなんの根拠もなく断定したりすることが目に
つく。その一端は、2回目のナジブ首相と運輸相代行の会見も、
およそどこの国でも見られない特異なものであった。それは、未
だ物的証拠(浮遊物やブラックボックスの回収など)がなにひと
つないのに「インド洋南部に墜落し、生存者はいない」「燃料切
れで失速」などと発表したことである。     ──杉江弘著
      『マレーシア航空機はなぜ消えた』より/講談社刊
─────────────────────────────
 純粋に論理的に考えて、マレーシア当局がMH370便につい
ての情報を頑なに明かさない理由としては、ありえないことでは
ありますが、次の2つが考えられます。
─────────────────────────────
 1.MH370便の事故はマレーシア当局に取っては突発的
   なものであったが、その経緯を明らかにすることは国家
   としてできないこと。
 2.MH370便がこのような事故を起こすことをマレーシ
   ア当局は何らかの事情によって事前に知っていたが、そ
   れを明かせないこと。
─────────────────────────────
 「1」に該当するケースとして考えられるのは、前代未聞のこ
とですが、機長か副操縦士がハイジャック犯である場合です。こ
のケースにおいて、可能性の高いものから並べると、次のように
なります。
─────────────────────────────
        1.機長と副操縦士の共謀
        2.   機長の単独犯行
        3. 副操縦士の単独犯行
─────────────────────────────
 飛行機の操縦者が機をハイジャックする場合、その可能性があ
るのは「機長と副操縦士の共謀」のケースのみです。機長が犯人
である場合は、事前に副操縦士を仲間にする必要があります。し
かし、ことは犯罪であり、生命がかかっているので、その説得は
きわめて困難であると思われます。だが、何らかの政治目的の遂
行のために行う場合は、機長と副操縦士が共謀すればハイジャッ
クは十分可能であるといえます。
 機長が単独で犯行を行う場合は、副操縦士を何らかの方法で拘
束する必要があります。副操縦士の単独犯行はさらに困難になり
ます。しかも、この場合は、副操縦士はほとんど機長と同等に飛
行機を操縦できる操縦技能が不可欠です。
 杉江弘氏は、機長と副操縦士の共謀説の可能性についても言及
しています。
─────────────────────────────
 パイロットの機長と副操縦士のいずれか、あるいは共謀の可能
性について考えてみたい。
 まず共謀説については、今回の2人のパイロットが意図的に当
日のMH370便に乗務したという情報がなく、毎月のスケジュ
ール(乗務割り)はコンピュータによって無作為に作られ、偶然
に同じ便の乗務に就いたと明らかにされている。
 では、副操縦士が犯人とする説はどうだろうか。確かに、相当
のフライト経験を持った副操縦士であれば、機長がいなくても今
回機が飛んだように、レーダー網をかいくぐって、インド洋の南
まで飛行することば可能であろう。FMS(フライト・マネジメ
ント・システム)に飛行コースを入力し、燃料を無駄にしない効
率的な速度や高度なども選択して飛んでいくこともできる。
                 ──杉江弘著の前掲書より
─────────────────────────────
 MH370便の場合、機長と副操縦士の共謀や副操縦士の単独
犯行は考えられないと思います。それは、杉江氏の指摘するよう
に意図的に副操縦士を選べないシステムであることに加えて、副
操縦士の飛行時間が2763時間と経験が少なく、とても副操縦
士単独では、ボーイング777を操縦できる技能レベルに達して
いるとはいえないからです。
 それに加えて、副操縦士のファリク・アブドル・ハミド氏は、
ジェット旅客機の副操縦士としての生活に満足しており、とて
もハイジャックなどという大それたことをする人物とは思えな
いからです。
 このように考えると、飛行機の操縦者が犯人でありうる可能性
があるのは、機長のザハリエ・アハマド・シャー氏ということに
なります。そうであるとすると、ザハリエ機長がMH370便を
ハイジャックする動機は何でしょうか。これは謎ですが、これを
解明するには、マレーシアの歴史や昨今の政治事情についてその
背景を知る必要があります。
           ──[航空機事故の謎を探る/014]

≪画像および関連情報≫
 ●マレーシア機「機長ハイジャック」説を検証
  ───────────────────────────
   ミステリアスな空の失踪劇はやはり、「機長によるハイジ
  ャックか」か?2014年3月8日から消息不明が続くマレ
  ーシア航空MH370便について、同国のナジブ・ラザク首
  相(60)は、24日、オーストラーリア西部パース沖イン
  ド洋で墜落したとの見方を示した。本来の飛行ルートを外れ
  た理由はあきらかにしなかったが、かねてささやかれたパイ
  ロットによるハイジャックの可能性を専門家らが指摘した。
   ナジブ首相は、英国の衛星のデータを詳しく解析した結果
  同機が飛行を終了した場所は「(陸地から)遠い地点で、着
  陸できる可能性のあるいずれの場所からも離れている」こと
  を墜落と判断した理由に挙げた。
   インド洋南部では、24日に中国の輸送機が白い四角い形
  のものなど複数の浮遊物を発見。オーストラリアのアボット
  首相(当時)も同日、これらとは別の物体2つを哨戒機が目
  視したと明らかにした。中国機が発見した場所はパース南西
  沖2500キロ付近の海域といい、オーストラリア機が発見
  した場所も同じ海域という。
   この海域に墜落した可能性について、軍事ジャーナリスト
  の神浦元彰氏は「今回のボーイング777が積める燃料なら
  クアラルンプールから出発してギリギリで飛べる距離」とみ
  る。誰が、なぜ針路を変えたのか。テロ説や中国による自演
  説が流れ、マレーシア政府はハイジャックの可能性も含めて
  調査にあたってきた。15日にはザハリエ・シャー機長の自
  宅が家宅捜査され、疑惑の目を向けられた。
                   http://bit.ly/1RDWC7F
  ───────────────────────────

杉江 弘氏.jpg
杉江 弘氏
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月19日

●「マレーシアの政治的な背景を知る」(EJ第4140号)

 マレーシアとはどういう国家なのでしょうか。今回のマレーシ
ア航空370便の失踪事故は、マレーシアの政治状況と密接に絡
んでいるとも考えられます。
 歴史を振り返る前に、現在のマレーシアの状況をチェックして
みます。2015年9月23日付の朝日新聞は、マレーシアのナ
ジブ首相について次のように報じています。
─────────────────────────────
◎汚職疑惑/米大陪審も調査/マレーシア首相国内外から追及
 公金流用疑惑が持ち上がったマレーシアのナジブ首相を追及す
る動きが国内外で強まっている。発端となったマレーシアの政府
系ファンドの捜査に複数国の司法当局が乗り出し、米大陪審も汚
職容疑でナジブ首相の親族が米国で購入した不動産の調査を始め
た。(中略)
 ナジブ氏が事実上トップを務めるマレーシアの政府系ファンド
「1MDB」から米銀を通じて約7億ドル(約850億円)が不
正に入金された疑惑も対象になっていたという。
 この問題でナジブ氏は「不正は一切ない」と疑惑を否定。ただ
入金の事実は認め、「中東の国からの政治献金だった」と釈明し
ている。       ──2015年9月23日付、朝日新聞
─────────────────────────────
 何やら現在ナジブ政権は大変なことになっているようです。こ
のナジブ・ラザク氏を後継者として指名したのは、約22年間マ
レーシアで長期政権を築いたハマティール・ビン・モハメド前首
相、その人です。
 マレーシアは、元は英国の植民地ですが、土着のマレー人と華
人(華僑系)が中心の多民族国家です。1963年に英国から独
立し、独立の父といわれるアプドゥル・ラーマン首相率いるUM
NO(統一マレー人国民組織)により、新生マレーシアは形作ら
れていったのです。
 しかし、独立後、マレーシアの貧困は一向に改善されず、19
69年5月13日に、マレー人と華人の間で流血の暴動が起きた
のです。これをきっかけにして、ラーマン首相の政策を批判し、
一躍政治の世界に登場したのがハマティール氏なのです。彼はU
MNOを通じて政治活動を始めます。
 1969年6月17日にハマティール氏は4枚の私信をラーマ
ン首相に送り、総選挙の敗北と5月13日事件の責任をとって退
陣するよう迫ったのです。ところが、ラーマン首相はこの私信を
公開したことによって、アブドゥル・ラザク副首相はUMNOの
最高評議会を招集し、政権を守るためマハティール氏をUMNO
から追放したのです。
 しかし、マハティール氏は、あきらめなかったのです。マレー
人が貧困から抜け出せないのは、マレー人゛華人に対して経済的
に劣っているからであり、その理由とそこから抜け出す方法を論
じた次の著書を上梓したのです。
─────────────────────────────
          マハティール・ビン・モハメド著
     『マレー・ジレンマ』/The Malay Dilemma
               高多理吉訳/勁草書房
─────────────────────────────
 この本は、痛烈なラーマン政権批判であったために、国内では
発禁処分になります。しかし、隣国のシンガポールでは買うこと
ができたので、多くのマレー人がこの本を読み、マレーシア国内
ではマハティール擁立の機運が高まります。
 1972年、マレーシア氏は第2代首相になっていたラザク首
相と和解し、UMNOに復帰を果たすのです。そして、1981
年にマハティール氏はマレーシアの首相に就任します。
 マハティール首相は、直ちに『マレー・ジレンマ』によって発
表された政策──ブミプトラ政策を実行に移します。ブミプトラ
とは、「土着の民」という意味であり、マレー人の政治・経済面
での権利を向上させる政策です。
 このブミプトラ政策によって、マレー人の経済的地位は着実に
向上したのです。マハティール政権が発足してから約10年後の
1990年に、マレー人は華人の経済的ポジションとあまり変わ
らなくなり、なかには華人を追い越すようになったのです。
─────────────────────────────
               マレー人     華人
       製造業就業者   46%    38%
      都市人口の割合   41%    39%
   首都でのテレビ普及率   89%    88%
   首都での冷蔵庫普及率   80%    82%
─────────────────────────────
 マレーシアは、1980年代には工業国への転換を果たし、現
在は世界有数のIT先進国化を果しつつあります。これについて
長江弘氏は、次のように書いています。
─────────────────────────────
 その代表的なものとして、クアラルンプール周辺地域に建設さ
れた、最新のITインフラが整備された総合開発地域マルチメデ
ィア・スーパーコリドーがある。ここには、首相官邸や各省庁舎
が立ち並ぶ行政都市プトラジャヤや、新国際空港(KLIA)、
それに新空港に隣接しF1も開催されるセパンサーキットなども
ある。加えて、国民車構想によって、三菱自動車の技術で製造さ
れたプロトンという国産車をはじめ、港湾、鉄道などの交通イン
フラの充実も進み、一定の成果を挙げている。  ──杉江弘著
      『マレーシア航空機はなぜ消えた』より/講談社刊
─────────────────────────────
 このようにしてマレーシアは経済発展し、ブミプトラ政策によ
り、マレー人の経済的ポジションは向上したものの、その恩恵を
受けないグループが生じ、マハティール政策に公然と反発する反
マハティール勢力も出てきたのです。
           ──[航空機事故の謎を探る/015]

≪画像および関連情報≫
 ●マレーシアの歴史/ブミプトラ政策
  ───────────────────────────
   独立時のマレー半島は、大きな経済的利点を持っていまし
  た。それは3つの価値のある商品”ゴム、スズ、パームオイ
  ル”の世界有数の生産国であり、また、重要な鉄鉱石生産国
  でもありました。これらの輸出産業は、マレー政府に産業発
  展とインフラ・プロジェクトに投資するのに健全な剰余金を
  与えました。
   1950年代と60年代の他の開発途上国と同様に、マラ
  ヤ(後にマレーシア)は、UMNOが社会党ではなかったも
  のの、国家計画に大きな重点を置きました。
   第一次および第二次マレー計画(それぞれ1956〜60
  と1916〜65)は、産業への国家投資や、戦争中や非常
  時に破損し見過ごされてきた道路や港湾などのインフラの修
  復を通じた経済成長を刺激しました。政府は国家を価格変動
  の運に委ねる商品輸出へのマラヤの依存度を減らすことを切
  望していました。
   政府はまた、天然ゴムの需要は合成ゴムの生産と使用が拡
  大するにつれて落ちざるをえないことを認識していました。
  マレー人労働力の3分の1がゴム産業で働いていたので、雇
  用の代替ソースを発展させることが重要でした。マラヤのゴ
  ム市場の競争は、ゴム産業の収益性が賃金を低く抑えること
  にますます依存していることを意味し、それは農村部のマレ
  ー人の貧困を永続させました。   http://bit.ly/1Py3Jze
  ───────────────────────────

マハティール氏.jpg
マハティール氏
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月20日

●「与党による執拗なアンワル排斥劇」(EJ第4141号)

 マレーシアの政治事情をもう少し続けます。1991年にマハ
ティール首相は、マレーシアを2020年までに先進国の仲間入
りをさせようとする長期開発構想プロジェクト「ワワサン202
0」を発表し、これに意欲的に取り組んでいます。
 マハティール首相の基本的な政治スタンスは、多くのアジア諸
国が欧米諸国に見習おうとしていたなかにあって、日本の経済発
展、高度成長に見習おうとしていたことです。「ワワサン202
0」は日本の高度成長をお手本にして取り組んだのです。このハ
マティール首相の政治スタンスは、1997年のアジア通貨危機
のさいにも、いかんなく発揮されたのです。
 マハティール首相は、これを欧米諸国の投機筋による投機的取
引の結果であると断じ、それを強く批判すると共に、素早く次の
手を打ったのです。
 自国の通貨リンギットを「1USドル=3・8リンギット」に
固定することで通貨の安定をはかる一方で、財政支出を拡大し、
金利の引き下げを断行し景気刺激策を行ったのです。そして同時
に資本の海外流出を防ぐために非居住者(外国人)のリンギット
取引を中央銀行の許可制へと移行し、1998年9月から1年間
は、外国人がマレーシア株式やリンギット建資産の売却で得た外
貨の持ち出しを禁じたのです。
 このマハティール首相の打った手は理にかなったものであり、
マレーシア経済はいち早くマイナス成長から脱することができた
のです。これに対し、韓国、インドネシア、タイが、経済的に浮
揚するきっかけを掴み損ね、結局、IMFの支援を求めざるを得
なかったのと対照的です。これによって、マハティール首相の評
価は大きく上がったのです。
 しかし、この財政運営を巡ってマハティール首相は、一時は後
任へと考えていたアンワル財務相と意見が衝突し、解任してしま
うのです。しかし、アンワル氏はその後、マハティール首相の政
敵となり、その強権政治を批判し、反政府勢力を結集しようとし
ます。そこで、マハティール首相は、アンワル氏を権力乱用や同
性愛の罪で逮捕させ、政治的に葬ってしまったのです。
 その結果、マハティール首相が後継に推薦したのは、副首相兼
内相のアブドラ・バダウィ氏だったのです。2003年10月の
ことです。そして、2009年4月に首相に就任したのは、現在
首相を務めるナジブ・ラザク氏です。いずれもマハティール氏の
推薦によるものです。
 そういう経緯に加えて、20年以上にわたるマレーシア政治の
実権を握ってきた実力者として、現在でもマハティール氏は政界
に一定の影響力を維持し、マレーシア政界のフィクサー的役割を
務めているのです。
 マハティール氏は、2015年8月19日、自身が名誉学長を
努めるペトロナス大学でのイベントの席で講演し、ナジブ首相を
次のように批判しています。
─────────────────────────────
 私は現役時代に後継者を選ぶ際の判断を誤った。清廉潔白そう
に見えた後継者が、壇上に上がった途端、強欲な金権政治家に豹
変するなど誰が予想できただろうか。彼の人となりをもっと知っ
ていれば、後継者に推すことはなかった。心よりお詫びを申し上
げたい。   ──マハティール前首相 http://bit.ly/1LW9mkR
─────────────────────────────
 このように、現在、マレーシアのナジブ政権は、マハティール
氏が反対勢力に回ったこともあり、苦境に立っています。そうい
うナジブ政権側がもっとも復権を気にしているのが、マハティー
ル氏によって政治的に葬られたアンワル・イブラヒム氏です。
 アンワル氏は同性愛の罪は免除されたものの、権力乱用の罪で
6年間服役し、刑期は終えたものの、2008年4月までは政治
活動はできなかったのです。しかし、やっと政治活動ができるよ
うになった2008年7月に、再び同性愛の罪で逮捕されるので
す。これは誰が見ても、野党の指導者を潰そうとする政治的な逮
捕劇です。アンワル氏に対する明らかな政治的バッシングです。
 さすがに前回と違い、警察は翌日には保釈を認め、釈放された
のです。そこで、同年8月に行われたペナンのブルマタン・パウ
選挙区での補選に立候補したアンワル氏は当選し、政界復帰を果
たしたのです。そしてアンワル氏は、現在日本の政界でも行われ
ようとしている野党連合を結成し、政権復帰を目指して活動をは
じめたのです。その次の年の2009年4月にナジブ政権が誕生
するのです。
 2012年1月9日、マレーシア高等裁判所は、アンワル氏に
対する同性愛容疑について、無罪をいい渡します。しかし、検察
は控訴し、裁判は継続されたのです。そして、2014年3月7
日、マレーシアの上訴裁判所は同性愛容疑について、一審の無罪
判決を覆し、禁錮5年の有罪判決を下したのです。なお、201
5年2月にマレーシア連邦裁判所は上告を退けて、アンワル氏の
有罪判決が確定しています。
 注目すべきは、この判決の日は、MH370便が失踪する前日
であることです。もっとも前日といっても、MH370便の出発
は8日の午前0時過ぎですから、当日ともいえるのです。この判
決とMH370便のは関係があるのでしょうか。
 実は、MH370便の機長であるザハリエ氏は、アンワル氏の
遠い親戚に当たり、彼の熱狂的な支持者なのです。現在のナジブ
政権に反対する活動にもザハリエ氏は、積極的に参加していたと
いわれます。まさかとは思いますが、ザハリエ機長がMH370
便をハイジャックし、ナジブ政権と何らかの交渉をしたのではな
いか──そういう疑いが強く出てきています。
 英国の「ミラー」紙によると、3月7日にザハリエ機長の家族
は、家を出てどこかに移動したといわれています。また、ザハリ
エ機長は出発前にコックピットから誰かに電話していたことがわ
かっています。しかし、機長が機をハイジャックするとは前代未
聞のことです。    ──[航空機事故の謎を探る/016]

≪画像および関連情報≫
 ●アンワル元副首相収監/マレーシア野党連合瓦解か
  ───────────────────────────
   マレーシアの野党指導者アンワル・イブラヒム元副首相が
  2015年2月10日、同性愛行為で禁錮5年の有罪が確定
  し、収監された。年齢を考えれば、表舞台でのアンワル氏の
  政治活動は終わったと見るべきだろう。
   アンワル氏が仕切ってきた野党連合は、同床異夢の3党が
  彼を頼りに集まったに過ぎない。野党勢力が弱体化するとの
  見方もあるが、私には個人に頼らない真の野党連合に脱皮す
  る好機に映る。この危機を前に結束できれば、強くなる。逆
  にこの先数カ月も内部の混乱が続けば、崩壊する。
   アンワル氏が果たした役割は大きい。かつて国民は与党に
  従うしかなかった。だが、彼は国民のために政治が何をでき
  るかを問い、民衆も政治に「果実」を求めるようになった。
  半世紀以上も続く与党連合を脅かす勢力も作り上げた。一方
  彼の妻は野党・人民正義党(PKR)党首、娘は副党首だ。
  一族による政治支配は弊害にもなる。
   収監は内外に負のイメージを与えた。同性愛行為は他にも
  あるだろうが、狙い撃ちされた感が否めない。警察の不透明
  な動機が内外の不信感につながっている。ただ、政治のあり
  方は国民自身が決めるものだ。(聞き手・クアラルンプール
  =都留悦史)           http://bit.ly/1MLJL3e
  ───────────────────────────

アンワル・イブラヒム氏.jpg
アンワル・イブラヒム氏
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月21日

●「機長が機をハイジャックしたのか」(EJ第4142号)

 MH370便の機長であるザハリエ・アハマド・シャー氏に関
しては、次の3つの疑惑があります。
─────────────────────────────
 1.ザハリエ機長は反政府活動家で、遠縁に当たるアンワル
   元副首相の熱烈なる支持者である。
 2.事件の前日である3月7日に、ザハリエ機長の家族は住
   居を他の場所へと移動させている。
 3.ザハリエ機長はフライトシュミレーターを個人所有して
   おり、複数空港が登録されていた。
─────────────────────────────
 ネット上の複数の情報を集約すると、ザハリエ機長は3月7日
の午後にアンワル元副首相の裁判を傍聴しています。そこで、ア
ンワル氏に対して懲役5年の実刑判決が出されています。アンワ
ル氏の弁護団は、直ちにマレーシア連邦裁判所に上告しているの
で、アンワル氏はそのときは収監されていないのです。
 このあと3時間後にザハリエ機長は、MH370便に乗り込ん
でいます。当日の深夜にMH370便に乗務するのであれば、こ
れは当然の行動です。ところが、ザハリエ機長はその日、MH3
70便に乗務する予定になっていなかったという情報があるので
す。真偽のほどはわかりませんが、そのことは、MH370便が
失踪した後で、アンワル元副首相自身がそのように発言したこと
になっています。
─────────────────────────────
 2014年3月19日、新京報によると、マレーシアの野党指
導者、アンワル・イブラヒム元副首相は、不明となっているマレ
ーシア機のザハリエ機長は、もともとMH370便に乗る予定は
なかったとしている。アンワル氏によれば、直前の変更により、
同便を担当することになったという。
        ──レコードチャイナ/2014年3月20日
─────────────────────────────
 もし、これが本当であるとすると、失踪事件の様相が大きく異
なってきます。しかし、このことはマレーシア当局からの発表は
一切ないし、情報元の信頼性から考えても、その信憑性は低いと
考えられます。
 もうひとつ情報があります。2014年3月23日に、アンワ
ル元副首相の妻のワンアジザ氏がスランゴール州議補選で当選し
ているという事実です。
─────────────────────────────
 マレーシアで人口最大のスランゴール州議補選が23日投開票
され、野党指導者アンワル・イブラヒム元副首相の妻で、野党の
人民正義党の元党首ワンアジザ氏(61)が当選した。
 スランゴール州は野党連合の地盤。アンワル氏は当初、今回の
州議補選に立候補し、州首相に就任して足場を固め、次期総選挙
で政権奪取をめざす考えだった。しかし今月7日、上訴裁判所が
同性愛行為の罪でアンワル氏に、一審の無罪判決から一転、禁錮
5年の実刑判決を言い渡し、ワンアジザ氏が代わりに立候補して
いた。 ──(クアラルンプール=都留悦史)朝日新聞デジタル
                   http://bit.ly/1NjTfB4
─────────────────────────────
 この時点でアンワル氏は、同性愛の罪で懲役5年の実刑判決を
受けているのです。こういう状況下で、刑はまだ確定していない
ものの、その妻がマレーシアで人口最大のスランゴール州議補選
で当選しているのです。日本なら考えられないことです。
 これは、与党のナジブ政権の評判がきわめて良くないことが影
響していることと、裁判の判決が明らかに政治的なものであるこ
とを国民がよくわかっているからです。それに加えて、同性愛者
の人権が世界的に尊重される時代になっており、マレーシア国内
でも同性愛者が急増している背景があり、一審で無罪判決を受け
ているアンワル氏が二審で懲役5年の実刑判決は厳し過ぎると多
くの国民が感じているのです。
 このようなマレーシアの政治事情から、アンワル元副首相の熱
烈な支持者であるザハリエ機長が、8日に裁判所から下されたア
ンワル氏に対する裁判の判決がきわめて不当なものであることに
憤激したことは十分理解できます。
 そのため、ザハリエ機長がMH370便をハイジャックし、政
府と何らかの交渉をしたのではないかという説がリアリティを持
ちつつあります。多くの乗客乗員を人質に取り、「要求に応えな
ければ海に突っ込み、自爆するぞ」と脅したのではないかという
説です。考えられる要求は「ナジブ政権の退陣」です。
 しかし、MH370便は、すべての通信手段が切断されていた
といわれています。それなら、どのような手段で、ザハリエ機長
は、政府と交渉できたのでしょうか。これについて、杉江弘氏は
次のように述べています。
─────────────────────────────
 エーカーズは切断されておらず、それは無線を除けば、残され
た貴重な通信手段ではなかったのか。そうだとすればコックピッ
トの中の人間とマレーシア当局との問で、なんらかの交渉が行わ
れていた可能性がある。
 「犯人」側から政治的あるいは個人的な要求が出され、それに
ついてマレーシア政府の首脳が協議していた可能性である。そう
でなければ、北京へ向かっていたMH370便が突如左旋回して
6時間40分もの間飛び続ける理由がいったいあるのか。
                       ──杉江弘著
      『マレーシア航空機はなぜ消えた』より/講談社刊
─────────────────────────────
 このように杉江氏は、エイカーズは生きており、それによって
ザハリエ機長は、政府と何時間にもわたって交渉した可能性があ
ると述べています。もし政府が、MH370便とそういう交渉が
あったことは伏せておきたかったとすれば、発表する情報を絞る
のは当然です。    ──[航空機事故の謎を探る/017]

≪画像および関連情報≫
 ●機長ハイジャック説のロジック盲点/立花聡ブログより
  ───────────────────────────
   マレーシア航空MH370便の墜落事故、中国系サイトで
  多数見た「マレーシア政府陰謀説」。マレーシア航空MH3
  70便の機長と副機長がマレーシア政府に対しアンワル元副
  首相の釈放を求め、交渉決裂の末、燃料切れで南インド洋に
  墜落したという説。マレーシア当局の今回の対応不備、一連
  の顕在的事象、表象を積み上げると、このような結論があっ
  たのだろう。厳密なロジック推理であろうか、少しでもまと
  もに考えると、矛盾がいっぱい出てくる。私はパイロットで
  はないが、一般常識に基づいて犯人とされる機長と副機長の
  目線を試みる。
   まず、対象便、対象ルートの選択。「交渉」というプロセ
  スを中心にハイジャックを行うわけであって、特にこのよう
  な重大な交渉内容だと、政府関連の調整には時間がかかる。
  無着陸の交渉であればなるべく飛行時間の長い欧米線がよい
  のではないか。北京便は燃料が8時間弱しか積んでいない。
  実質的に6時間ほどの交渉で妥結できるのか。ほぼ絶望的で
  あろう。そして、通常1回ないし2回の着陸を伴い、地上交
  渉も含めた数十時間のものを想定するのなら、南ルートより
  も北ルートのほうがはるかに有利であろう。交渉がぎりぎり
  で妥結しても、南ルートだとそれこそ、着陸する滑走路皆無
  の南インド洋を飛んで何の意味もないのではないか。
                   http://bit.ly/1ZQsRpj
  ───────────────────────────

ザハリエ機長.jpg
ザハリエ機長
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月22日

●「副操縦士を仲間にすれば犯行可能」「EJ第4143号)

 10月16日のEJ第4139号において、マレーシア政府が
MH370便について事実を隠蔽しようとする、論理的に考えら
れる理由を2つ指摘しましたが、それを再現します。
─────────────────────────────
 1.MH370便の事故はマレーシア当局に取っては突発的
   なものであったが、その経緯を明らかにすることは国家
   としてできないこと。
 2.MH370便がこのような事故を起こすことをマレーシ
   ア当局は何らかの事情によって事前に知っていたが、そ
   れを明かせないこと。
─────────────────────────────
 上記「1」に該当するケースとして考えるられるのは、機長か
副操縦士によるハイジャックの可能性です。問題はハイジャック
する動機です。それには、マレーシアの歴史や現在のマレーシア
の政治的背景について知る必要があるということで、3回にわた
り、マレーシアの政治事情について連載したのです。
 そのうえで、MH370便をザハリエ機長がハイジャックし、
乗客乗員全員を人質に取り、マレーシア政府と何らかの政治的な
交渉をしたのではないかという仮説を検証します。
 果してこれは本当に可能なことなのでしようか。この奇想天外
のハイジャックが成功するには、最低限の条件として、次の3つ
のことが必要です。
─────────────────────────────
 1.最低でも「仲間」が一人必要であり、最も望ましいのは
   副操縦士である。
 2.政府と交渉するときは、その目的の達成には、相当の時
   間が必要である。
 3.ハイジャックは重犯罪であり、それに見合う成果が果し
   て得られるのか。
─────────────────────────────
 本日は「1」について考えてみます。
 機長がハイジャック犯である場合、副操縦士と乗員、乗客を支
配する必要があります。一番支配するのが困難なのは人数の多い
乗客です。銃器や爆弾でもない限り、227人もの乗客を制圧す
ることは不可能です。
 しかし、MH370便はいわゆる深夜便であり、乗員を支配で
きれば、乗客に気づかれることなく、コトを運ぶことができるの
です。なぜなら、深夜便の場合は、通常の機内サービスとは異な
るサービスをするからです。これについて、杉江弘氏は次のよう
に述べています。
─────────────────────────────
 今回のMH370便のように、マレーシアやシンガポールを発
って成田や北京などに向かう便では、サービスの方法が一般の便
とは異なつている。機が離陸後、巡航高度に達したら、客室乗務
員はスナックなど軽い食事を出した後、機内を暗くして乗客が睡
眠をとれるようにする。深夜便では、多くの乗客はすでに搭乗前
に夕食を済ませており、ともかく一刻も早く寝たい気分になって
いるからだ。そこで、ホットミールと呼ばれるメインの温かい食
事は、到着の2時間ほど前に出されることが多い。
                       ──杉江弘著
      『マレーシア航空機はなぜ消えた』より/講談社刊
─────────────────────────────
 乗客の大半は眠っており、窓の外は真っ暗なので、コックピッ
トのなかで何が起きても気づかれる恐れはないのです。それでは
12人いる乗員はどうでしょうか。
 乗員のうちの1人は副操縦士ですが、その副操縦士を「仲間」
にすれば、他の乗員は少なくとも翌日の朝までは、気づかれるこ
とはないと考えられます。要するに、彼らをコックピットの中に
入れなければよいからです。
 通常客室乗務員は、乗客サービスと同じサービスをコックピッ
ト内の機長と副操縦士にもするのですが、深夜便の場合は夕食を
とって乗務するので、次のようにいうだけで、彼らがコックピッ
トのなかに入ってくることはないのです。
─────────────────────────────
 食事は済ましてきたから、当分、食べ物はいらない。飲み物も
必要なときは、こちらから連絡するから。
                 ──杉江弘著の前掲書より
─────────────────────────────
 既に述べたように、機長があらかじめ副操縦士を選ぶことはで
きないのです。コンピュータによる乗務割りによって偶然に同乗
することになるからです。したがって、事前に「仲間」にするこ
とは不可能です。したがって、副操縦士を「仲間」に引き入れる
ことはかなりの難事になります。
 しかも、MH370便の場合、クアラルンプール空港管制レー
ダーから抜けるまでは、あくまで北京首都空港に向けて飛行する
ための操縦を行う必要があります。実際にMH370便がクアラ
ルンプール空港管制との最後の交信「おやすみ」は、副操縦士の
声で行われています。
 これが正しいとすると、その「おやすみ」の直後、ザハエリ機
長は、副操縦士の自由を奪ったことになります。命がかかってい
ることであり、副操縦士への説得はきわめて困難であると考えら
れるので、その自由を奪うしかないのです。
 杉江氏によると、コックピット内には、凶器になりうるものが
あるそうです。たとえば、機内からの脱出時に扉が思うように開
かない場合に使う斧や単一電池が多く詰まったパワーメガフォン
もあります。副操縦士にトイレに行くからと声をかけ、背後から
頭に一撃を加えることは十分可能なのです。副操縦士は、機長が
そんなことをするとは思わないので、簡単に制圧できると思われ
ます。副操縦士への説得が困難であれば、この方法で制圧するし
かないのです。    ──[航空機事故の謎を探る/018]

≪画像および関連情報≫
 ●結局マレシア航空370便はどこなの?
  ───────────────────────────
   この決定には重要な意味があります。「同機はハイジャッ
  クされ、犯人は機長である」ということになります。当初、
  報道では、機長は誠実な熟練パイロットであり、事件との関
  連性はほとんど無いように思えました。
   ところが、西にマレーシア半島を横切ったレーダーの機体
  以降、消息がつかめずに時間だけが過ぎたところ、徐々に機
  長の政治的背景がクローズアップされ、家宅捜査ででてきた
  フライトシュミレーターなどから、機長ハイジャック説が浮
  上。南方ルートでは、それ以外理由が考えられず、ほぼ確定
  のように報道されています。
   しかし、これはどう見ても憶測からの消去法であり、起訴
  されたわけではないでしょうが、冤罪であった場合、機長、
  その親族への名誉をいちじるしく侵害しているのではないで
  しょうか。そもそも当初から、「ハイジャックならば何かし
  らの要求があるはず」「このような長時間、しかも一人で、
  乗務員、乗客を制御するほどの、ハイジャック技術があるの
  か」「通信機器を遮断してレーダーに捕捉されず操縦できる
  のか」「エーカーズ・トランスポンダ交信途絶前後の副機長
  の様子は通常どおり」など、その形跡や動機がまったくない
  ことを指摘されていました。その南方ルートを前提に、予測
  される海域に残骸らしきものが発見されたりしましたが、い
  ずれも370便とは無関係のもので、捜索は難航するばかり
  でした。             http://bit.ly/1klQB4q
  ───────────────────────────

ハイジャックされたのか/MH370便.jpg
ハイジャックされたのか/MH370便
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月23日

●「機長ハイジャック説はほぼ不可能」(EJ第4144号)

 機長が単独で航空機をハイジャックするという試みが成功する
最低限の条件を再現します。
─────────────────────────────
 1.最低でも「仲間」が一人必要であり、最も望ましいのは
   副操縦士である。
 2.政府と交渉するときは、その目的の達成には、相当の時
   間が必要である。←
 3.ハイジャックは重犯罪であり、それに見合う成果が果し
   て得られるのか。←
─────────────────────────────
 昨日のEJで「1」についての検証は終わっていますので、今
回は「2」と「3」について考えます。
 航空機をハイジャックして、政府と政治的な交渉をするとなる
と、簡単にはコトは決着しないはずです。それには相当の時間が
かかることになります。
 しかし、MH370便には約8時間分の燃料しか積んでいない
のです。もし、最大に燃料を積んだとしても、12時間しか飛行
できないのです。したがって、飛行中に目的を果すことは、ほと
んど不可能であるといってよいはずです。
 そうかといって、どこかの飛行場に着陸して当局と交渉しても
ほとんど成功する可能性は薄いのです。なぜなら、近年ではどこ
の国でもハイジャック犯には容赦せず、特殊部隊を突入させるこ
とが一般化しています。犯人側に少しでも譲歩すると、国際的な
非難を浴びるからです。
 しかも、機長がハイジャック犯である場合、「1」で述べたよ
うに、乗員乗客を制圧できていないことが考えられるので、乗客
が眠っている間に決着をつける必要があります。乗客が騒ぎ出す
と機内は収拾がつかない混乱になるはずだからです。
 しかし、機長が副操縦士を制圧し、コックピットを締めてしま
うと、外部からは侵入することは困難で、機内がどんなに大騒ぎ
になろうとも、飛行機は飛び続けることはできます。まず、異常
に気がつくのは乗員のはずです。そして、窓の外が明るくなると
異常に気がつく乗客も出てきます。
 おそらく客室乗務員は、多くの乗客からつるし上げられるはず
です。「どうなっているのか」と。しかし、客室乗務員はそれに
答えることは困難です。いまどきのことですから、乗客全員が携
帯電話を持っており、外と連絡を取ろうとするはずです。しかし
日本の新聞では、MH370便の乗員乗客からの電話については
ほとんど報道されていないのです。
 しかし、ネットでていねいに調べると、「ロックウエイ・エク
スプレス」というサイトに次の記事が出ているのです。
─────────────────────────────
◎マレーシア航空MH370便の乗客の家族らは、搭乗している
 家族から携帯電話の呼び出しがあったと報告している。SNS
 サイトでは行方不明の乗客らの「オンライン」を示している。
 航空会社は乗務員の携帯電話の呼び出しを受けたことを報じて
 いる。
◎ロンドン・デイリーメール紙によれば、「マレーシア航空の要
 員の、フュ−・ダンリービーは、乗務員の携帯電話に呼び出し
 をかけていたこと、乗務員も呼び出しをしていたことを家族等
 に証言した。 China.org.cn によれば、行方不明の乗客の19
 の家族は、彼等の呼び出しは通じたが、鳴るだけだった」とい
 う内容の合同声明を出す事に署名したという。
                   http://bit.ly/1jSCHGm
─────────────────────────────
 もうひとつ似たような情報があります。「真実を探すブログ」
に次の記事が出ています。
─────────────────────────────
 消息を絶ったマレーシア航空機に搭乗していた中国人の携帯電
話がつながる状況にあるという。同機に乗っていた中国人男性に
この男性の弟が何度か電話をかけたところ、呼び出し音が鳴った
という。サンデータイムズ紙が報じた。
 中国のテレビでは兄に電話をかける男性の動画が放映された。
なお、呼び出し音は鳴ったが、誰も電話にはでなかった。男性は
兄に3回電話をかけた。乗客の親族たちはマレーシア航空に対し
携帯電話の信号を受信するため、携帯電話の電池がなくならない
うちに衛星技術を使用するよう依頼した。 リア・ノーヴォスチ
                   http://bit.ly/1ggukiD
─────────────────────────────
 これだけでは詳しいことはわかりませんが、MH370便の乗
客乗員の何人からは電話の着信があり、地上の家族からの電話も
つながったのです。いずれも話はできなかったということです。
これは何を意味しているのでしょうか。
 しかし、この携帯電話の話は果して信用できるものかどうか疑
問符がつくのです。それは似たような話が9・11のときもあっ
たからです。FBIは、9・11事件のさいにハイジャックされ
た航空機から15の携帯電話からの呼び出しがあったと発表した
のですが、事件から5年が過ぎた2006年に「携帯からの呼び
出し」について、15のうちの少なくとも13は実際にはなかっ
たことを認めているのです。
 どのように考えてもザハリエ機長が航空機をハイジャックし、
乗客乗員の命を人質にして、政府と交渉することは、航空機の飛
行できる時間内ではとうてい無理であり、そのようなことをして
もザハリエ機長にとって、何のメリットもないことから、機長の
ハイジャック説はありえない仮説であると、結論づけることがで
きます。
 しかし、機内からの携帯電話の発信の真偽は別として、乗客の
家族が機内の家族に電話したとき、電話のコール音が鳴ったとい
う情報は十分注目すべきです。これについては、さらに調査する
つもりです。     ──[航空機事故の謎を探る/019]

≪画像および関連情報≫
 ●携帯電話の呼び出し音は鳴っている!?
  ───────────────────────────
  ◎2014年3月9日、マレーシア航空は記者会見で、乗客
  の家族が乗客本人の携帯電話に電話をかけたところ呼び出し
  音が鳴ったとした件について回答した。人民日報(電子版)
  が伝えた。MH370便に兄が搭乗していたという男性によ
  ると、この男性が8日夜、兄の携帯電話に電話した際には電
  源が入っていない状態だった。ところが9日11時25分に
  再度かけたところ、呼び出し音が3回鳴った後で電話が切れ
  たという。この携帯電話はシンガポール・テレコムのもので
  当社によると着信転送サービスには加入していないという。
   この男性によると、兄との連絡に使用していたチャットソ
  フトも、9日午前0時にはオフライン状態だったが、同4時
  から5時にかけて、オンライン状態に切り替わっていたとい
  う。この件について、マレーシア航空の責任者は記者会見で
  「当社もこの番号に何度も電話したがつながらなかった」と
  した上で、すでにマレーシア・中国の両政府に報告したこと
  関係当局が調査にあたっていることを明らかにした。
       ──レコード・チャイナ http://bit.ly/1Rn2LnQ
  ◎中国人乗客の家族19人がマレーシア航空370便に乗っ
  ていた家族の携帯電話にかけてみた際、いずれも呼び出し音
  が鳴った。そのため、関連部門が携帯電話のGPS機能を利
  用して、マレーシア航空370便の位置を確認しようとして
  いた。しかし、呼び出し音は鳴ったが、通話状態になること
  はなかった。           http://bit.ly/1ZWg8l6
  ───────────────────────────

携帯電話はつながったのか.jpg
携帯電話はつながったのか
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月26日

●「ハイジャックの要件に該当しない」(EJ第4145号)

 MH370便の失踪事故──ザハリエ機長によるハイジャック
でないとすると、マレーシア航空370は、一体どこに行ってし
まったのでしょうか。
 マレーシア政府は、今回のMH370便の失踪事故は、あくま
でハイジャック事件であるとしています。何者かが370便をハ
イジャックし、機をあらぬ方向へ誘導し、最後は燃料切れで海に
墜落したということで、幕引きをしたいようです。
 航空機のハイジャック事件について、杉江弘氏は次のように述
べています。
─────────────────────────────
 これまで我々は何度となくハイジャック事件を経験してきた。
そこでは、コックピットを支配下に置き、乗客乗員を人質に取り
要求が突きつけられる。そして乗っ取った航空機を関連する当局
と交渉しやすい飛行場に着陸させるというパターンであった。そ
れは、背景に政治や宗教が絡んでいたケースが多い。(中略)
 このように、ハイジャック事件はさまざまな原因によって引き
起こされてきたが、共通していることは、「それほど長時間の飛
行はしない」ことと、「目的地はどこかがはっきりしていた」こ
とだ。                    ──杉江弘著
      『マレーシア航空機はなぜ消えた』より/講談社刊
─────────────────────────────
 しかし、MH370便の場合、これをハイジャック事件とする
と、杉江弘氏の上げるハイジャック事件の要件には該当せず、次
の3つの不可解なことがあります。
─────────────────────────────
 1.MH370便が離陸直後に全ての通信手段を切断し、何
   の要求もしてこない。
 2.予定された針路を大幅に変更し、燃料切れまで、長時間
   の飛行を行っている。
 3.MH370便の飛行の最終目的地が、どこであるのかは
   はっきりしていない。
─────────────────────────────
 不可解なのは機側が全ての通信手段を切断していることです。
エイカーズは切断されておらず、通信できるという説もあります
が、もしこの失踪劇がハイジャック事件であるとすれば、何の要
求も出してこないのは不可解です。もし、ひそかに当局に要求を
出してきていれば、マレーシア当局は発表するはずですが、何の
発表もないのです。
 さらにわからないのは、どこを目指して飛行しているかです。
杉江氏によれば、もしハイジャック事件であるならば、次の3つ
の飛行コースが考えられるというのです。
─────────────────────────────
      1.マレー半島北西に向って飛行する
      2.インド洋を西に向かって飛行する
      3.インド洋を南に向かって飛行する
─────────────────────────────
 第1は「マレー半島北西に向って飛行する」コースです。
 マレー半島を北西といえば、アンダマン海に向うことになりま
す。アンダマン海とは、インド洋の縁海で、マレー半島とアンダ
マン諸島、ニコバル諸島との間の海の名称です。この方向であれ
ば燃料切れで着陸する場合、タイ、ミャンマー、バングラデシュ
それにインドの沿岸にある複数の空港を利用できます。しかし、
各国のレーダーに捕捉されることになります。
 第2は「インド洋を西に向かって飛行する」コースです。
 ここは強い偏西風が向かい風で吹いているので、燃料に問題は
あるものの、インド南部のチェンナイ(マドラス)、スリランカ
のコロンボ、モルディブなどに到達することができます。もちろ
ん、このコースもレーダーに捕捉されます。
 第3は「インド洋を南に向かって飛行する」コースです。
 インド洋を南下すると途中インドネシアのジャカルタやココス
島、それにオーストラリア西側の海沿いには、いくつかの空港は
あるものの、もっと南下してしまうと、一面海であり、着陸でき
るところは何もないのです。
 通信衛星などの解析によると、MH370便はマレー半島を西
に飛行し、いったん北西に針路をとって、それから南に変針して
インド洋南部に向っています。これは明らかにクアラルンプール
や、インドネシア領スマトラ島北部のメダンのレーダー基地を避
けて飛んでいることは確かです。レーダーを避けるにはレーダー
基地から200マイル(360キロメートル)以上離れている必
要があります。
 MH370便とみられる目撃情報はひとつあるのです。それは
インド洋上の島、モルディブの南180キロメートルにある人口
1000人ほどのクダフバドウ島での目撃情報です。MH370
便が失踪した8日の情報です。2014年3月19日のAFPは
次のように伝えています。
─────────────────────────────
 インド洋の島国モルディブで、マレーシア航空MH370便が
消息を絶ったのと同じ日に、「低空を飛行する大型ジェット機」
が目撃されていたと報じられたことを受け、地元警察が調査を開
始した。警察は18日夜の声明で、3月8日にクダフバドゥ島の
住民が上空を飛ぶ大型の飛行機を目撃したと伝えたニュースサイ
ト「ハビール」の報道を調査していると発表した。
 ハビールによると、同島の住民は、複数の赤い線が入った白塗
りの飛行機が、モルディブの南端に向けて飛んでいくのを見たと
いう。目撃者の1人は同サイトに対し、「この島の上をあんなに
低く飛ぶジェット機は見たことがない。水上飛行機なら見たこと
があったが、それとは絶対に違った。飛行機のドアもはっきり見
えるほどだった」と語った。      http://bit.ly/1XpDFIM
─────────────────────────────
           ──[航空機事故の謎を探る/020]

≪画像および関連情報≫
 ●「インターナショナル・ビジネス・タイムス」より
  ───────────────────────────
   マレーシア航空370便がハイジャックされたとすれば、
  以前ハイジャックされてインド洋に墜落したエチオピア航空
  ボーイング767型機961便と類似している。
   1996年11月23日、ボンベイからアビジャンへ複数
  の空港を経由しながら飛行していたボーイング767が、ア
  ジスアベバとナイロビ間でハイジャックされた。3人のエチ
  オピア人が政治的亡命を理由にオーストリアまでの飛行を要
  求した。事件後、生存者の供述によると、犯人3人は機内の
  雑誌に「961便がオーストリアまで航続可能」と載ってい
  るのを見たという。あくまでも燃料を満載した場合であり、
  エチオピアからケニアまでの短時間飛行の燃料では無理だと
  いう乗務員の説明を信じようとしなかった。
   機長は3人のエチオピア人をうまく騙しながらアフリカ海
  岸を南下して、インド洋のコモロ島まで飛行を続け、どこか
  で緊急着陸ができないかチャンスを待った。しかしコモロ島
  の空港付近まで飛行した時点で燃料が切れ、同機は海上に着
  水するしか方法はなくなった。着水の間際に、犯人たちがパ
  イロットに暴力を振るったため、悲劇的な着水になり、乗客
  175人中125人が死亡する惨事となった。
                   http://bit.ly/1KwkP9C
  ───────────────────────────
 ●地図出典 http://bit.ly/1LMYy9B 

MH370便目撃場所.jpg
MH370便目撃場所
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月27日

●「残骸はMH370便のものでない」(EJ第4146号)

 モルディブのクダフバドウ島で、島民数人(9人といわれる)
が大型の飛行機を目撃したという報道は、たちまち偽情報として
葬られています。この情報は、地元メディアのファラ・アフメド
記者の取材によるものといわれていますが、彼はなぜそんな偽情
報を流したのでしょうか。
 島民たちの証言には、具体的には次のようなものがあったとい
われています。
─────────────────────────────
    ◎大きな飛行機が低空飛行をしているのを見た
    ◎飛行機の機体の横に赤いラインが入っていた
    ◎高さは25階建てのビルぐらいだっと考える
    ◎大きな飛行機が北から南へと飛行して行った
─────────────────────────────
 MH370便の目撃情報の時刻は、2014年3月8日、モル
ディブ時間の6時15分(マレーシア時間で午前9時15分頃)
であり、時刻的には矛盾はないのです。機体の横の赤いラインも
マレーシア航空のものと一致しており、その飛行機がMH370
便であっても不思議ではないのです。
 人間は自分の目で見たものは信ずるものです。見たものを見な
いとはいえないはずです。そういう意味で私はこの目撃情報は少
なくともウソではないと思っています。
 しかし、杉江弘氏は、パイロットとしての観点から、この目撃
情報は不自然であると述べています。
─────────────────────────────
 これらの証言にはあまりに不自然な点が多すぎる。まず、ビル
の25階といえば約100メートルの超低空で、着陸を考えたな
らば、まさにその寸前に当たる高さである。それが事実なら、機
がその後、付近に着陸なり着水を果たすか、ゴーアラウンドして
急上昇し、どこかに向かうはずなのに、それらの目撃情報がいっ
さいもたらされていない。もっとも、すでにどこかに向かうだけ
の燃料は残されていないが。
 それに、この島には25階建てのビルなどないし、あまり見た
こともないであろうと思われる住民が、そのように語ることも不
自然である。加えて、9人が島の同じ場所で見たのか、皆別々の
場所で見たのかも明らかにされていない。そして最大の疑問点は
地元メディアの記者が取材に行ったものの、少しでも信憑性を追
求すれば、それを世界中に配信するほどの話かどうか、すぐわか
るはずである。                ──杉江弘著
      『マレーシア航空機はなぜ消えた』より/講談社刊
─────────────────────────────
 このモルディブのクダフバドウ島の近くには、MH370便が
着陸できる2000メートル以上の空港がたくさんあるのです。
したがって、どこかの空港に着陸しようとした可能性もゼロでは
ないのです。しかし、なぜか、すぐウソとして葬られたのです。
─────────────────────────────
 スリランカ/バンダラナイケ国際空港 ・・・ 3350m
      モルディブ/マレ国際空港 ・・・ 3200m
     ディエゴガルシア島米軍基地 ・・・ 4000m
─────────────────────────────
 今年の7月29日のことです。米CNNによると、インド洋の
レユニオン島海域で、消息を絶っていたMH370便の部品が発
見されたというニュースです。その部品とは、翼の一部のフラッ
ペロンのことです。
 多くの人はこれで決まりと思ったと思います。マレーシア政府
は、1週間後の8月5日に残骸はMH370便のものであると発
表しています。これは、少しでも早くこの事件の幕を引きたいと
いうナジブ政権の思惑からのフライイングです。
 このニュースに関しては、その後いろいろな追加情報が出てい
ますが、未だにMH370便のものであるとは断定できていない
のです。しかし、発見直後に「このフラッペロンはボーイング7
77のものに間違いない」とボーイングのエンジニアは認めてい
ますが、MH370便かどうかは未確定です。
 確かに、マレーシア政府がフライイングしたのも無理はないの
です。発見されたフラッペロンがボーイングのものに間違いない
のであれば、ボーイング777はMH370便以外には事故を起
こしていないので、それがMH370便であると誰でも思ってし
まいます。それなら、なぜ断定できないのでしょうか。
 これについて、ニューヨーク・マガジンは次のような記事を書
いています。
─────────────────────────────
 発見された翼がボーイング777型のものであるということは
確認されているのだが、シリアルナンバーを刻印したプレートが
見つからず、さらにMH370便の整備記録から判断すると、こ
の翼はMH370便のものとは一致しないという。つまり、世界
で行方不明になっているボーイング777型機はMH370便し
かないにも関わらず、この残骸はMH370便のものではないと
いうことになる。           http://bit.ly/1PKBJcL
─────────────────────────────
 もうひとつ不可解なことがあります。発見されたフラッペロン
にはフジツボ(エボシガイ)がビッシリついていたといいます。
通常フジツボは海の浮遊物に付着します。船底などにはびっしり
とつきます。そうだとすると、長さ180センチ以上のフラッペ
ロンは、海底に沈まず、約1年半にも及ぶ長期間、海中を浮遊し
ていたことになります。そんなことが起こり得るでしょうか。
 フランスの調査官は「テストの結果が出るまでは、憶測の段階
である」といっていますが、未だに結論は出ていないのです。一
体何のテストをやっているのでしょうか。
 このように、さまざまな情報はありますが、現時点になっても
MH370便は依然として行方不明のままです。
           ──[航空機事故の謎を探る/021]

≪画像および関連情報≫
 ●不明マレーシアの残骸か/朝日新聞デジタル
  ───────────────────────────
   インド洋にある仏領レユニオン島の海岸で2015年7月
  29日、航空機の翼の一部とみられる残骸が見つかった。2
  014年3月に行方不明になったマレーシア航空MH370
  便(ボーイング777―200型機、乗客・乗員239人)
  の機体の可能性があり、発見現場のフランスやマレーシアの
  航空当局などが調査に乗り出した。
   AFP通信などによると、見つかったのはアフリカ大陸の
  東側にあるマダガスカル島のさらに東、仏領レユニオンの町
  サンタンドレ。ちぎれた翼の一部とみられる残骸は長さが2
  メートルほどだという。現地からの映像では白っぽい色で、
  貝類がびっしりと付着している。
   マレーシアが調査チームを派遣したほか、米当局者はAP
  通信に「残骸の写真からはマレーシア機と同じボーイング7
  77型機の可能性が高い」との調査担当者の見方を示した。
   クアラルンプール発北京行きMH370便は昨年3月8日
  未明のフライトで、消息を絶った。本来のルートとは違う南
  に進路をとったとされる。オーストラリア政府が主導するイ
  ンド洋南部での捜索は現在も続いているが、これまで機体な
  どは見つかっていない。(パリ=青田秀樹)
                   http://bit.ly/1DaCo2M
  ───────────────────────────

レユニオン島で発見されたMH370便とみられる残骸.jpg
レユニオン島で発見されたMH370便とみられる残骸
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月28日

●「意見が分かれるMH370の残骸」(EJ第4147号)

 インド洋のレユニオン島で発見されたMH370便の一部とみ
られるフラッペロンについて、もう少し述べることにします。
 漂着したフラッペロンがボーイング777のものである可能性
が高いのに、なぜMH370便のものと断定されないのかについ
て、もう少し分析します。
 航空ジャーナリストのジェフ・ワイズという人がいます。彼は
こういうのです。フラッペロンの内側の端にはIDプレートが付
いているのですが、発見したフラッペロンにはそれが付いていな
かったのであると。
 IDプレートは777型機の全フラッペロンにつけられている
ので、それがわかれば、MH370便のパーツかどうかがわかる
のですが、それが付いていないので、断定することができないと
いうのです。
 続いてフラッペロンには、エボシガイがびっしりと付着してい
たといいます。フジツボとエボシガイは厳密には違う種のようで
すが、広義のフジツボ類とされています。ジェフ・ワイズ氏はエ
ボシガイといっています。エボシガイについて、ウィキペディア
では次のように解説しています。
─────────────────────────────
 流木などの漂流物や船底に集団で付着して生活し、全世界の海
洋に広く分布する。漂流物とともに海岸に流れ着き、漂着物とし
て採集されることもある。蔓脚を用いて小型のプランクトンを食
べる。雌雄同体だが自家受精はせず、陰茎を通じて他個体に精子
を渡して繁殖する。           ──ウィキペディア
                   http://bit.ly/1OZqwmQ
─────────────────────────────
 エボシガイは漂流物に集団で付着するのです。したがって、フ
ラッペロンにびっしりエボシガイが付着していたということは、
フラッペロンが沈まずに海中を漂流していたことになるのです。
そんなことはあり得ないとジェフ・ワイズ氏はいうのです。
 ジェフ・ワイズ氏はこれについて、ブログで、次のように書い
ています。http://nym.ag/1R70aib
─────────────────────────────
 エボシガイが全面覆い尽くしているってことは、発見まで数ヶ
月間は海面下に浮いていたってことになる。でもどうやって?
 潜水艦やスキューバダイバーなら海面下3〜6メートルに浮い
ててもなんの不思議もないが、無生物の物体には自力で浮遊する
力なんてない。水より浮力があれば海面に出てしまうし、浮力が
なければ海底に落ちる。
 長さ180センチ以上もの残骸が、海面に出ないで長期間浮い
ている状況って、例えば何なんだ?これは常識で考えて簡単に説
明がつくようなものではない。未だに未解明の自然現象があるの
か、はてまた何者かが意図的に仕組んだことなのか。
      ──ジェフ・ワイズ氏   http://bit.ly/1JLtwNj
─────────────────────────────
 レユニオン島の位置を確認します。レユニオン島は、マダガス
カル島東方のインド洋上に位置する、フランス共和国の海外県な
らびに海外地域圏です。コーヒーのブルボン産の原産地です。
 ところで、MH370便がどこかの海に墜落したとして、果し
て、レユニオン島にその残骸が到達することはあり得るのでしょ
うか。これについて考えてみましょう。
 海洋の専門家は、残骸をレユニオン島に運んだ可能性のあるイ
ンド洋の海流は2つ存在すると指摘しています。これについて、
英国立海洋学センターのバルボーグ・バイフィールド氏は次のよ
うに述べています。
─────────────────────────────
 考えられるシナリオは2つある。飛行機が南半球で墜落したと
すれば、残骸は南赤道海流(SEC)によって運ばれた可能性が
ある。SECは、アフリカ沿岸に近づきながら分岐し、うち一つ
は、マダガスカルの東海岸に沿って南に進む。この海流ルートに
よって残骸がレユニオン島に到達した可能性がある。さらに南で
飛行機が墜落した場合には、残骸が反時計回りに旋回する亜熱帯
循環によって北上してSECに入り、アフリカへ向かって西に流
された可能性もある。         http://bit.ly/1i5F876
─────────────────────────────
 バイフィールド氏は、MH370が南半球(赤道より南の部分
のこと)に墜落した場合には、南赤道海流(SEC)に乗って、
レユニオン島に漂着する可能性は十分あると述べています。この
場合は、ジェフ・ワイズ氏があり得ないと指摘した海中を浮遊し
ながら海流に乗ってレユニオン島に運ばれたことになります。
 さらに、今後、レユニオン島や付近の島々にさらなる残骸が漂
着するのは間違いないと予測しています。2011年3月の東日
本大震災でも、海中を漂いながら、数年後にハワイ諸島などに瓦
礫が届いているので、十分あり得ることです。
 英国の海洋学者のエリック・バン・セビル氏は、レユニオン島
に漂着した場所を起点としたシミュレーションによって、その残
骸が、MH370である可能性が高い根拠として、次のように述
べています。
─────────────────────────────
 われわれはコンピューターシミュレーションを使って、残骸が
発見された場所を起点として漂流ルートをさかのぼり、飛行機が
17ヶ月前に海に墜落した可能性がある場所を割り出した。海の
複雑なふるまいのために、正確な位置を特定することはできない
が、オーストラリア北西部沿岸沖の直径数百マイルのエリアまで
範囲を狭めることができる。      http://bit.ly/1i5F876
─────────────────────────────
 しかし、この残骸がMH370便のものかどうかの決着はまだ
ついていないのです。決定的な証拠がまだないからです。そもそ
もMH370便がなぜ墜落したのかがわかっていないからです。
           ──[航空機事故の謎を探る/022]

≪画像および関連情報≫
 ●MH370便の残骸発見か?/フィリピン南部で発見
  ───────────────────────────
   2015年10月12日、中国新聞網は海外メディアの報
  道を引用し、昨年3月に消息を絶ったマレーシア航空MH3
  70便についてマレーシアの交通部は、フィリピン南部でマ
  レーシアの国旗がプリントされた航空機の残骸を見つけたと
  の知らせを受け、マレーシア民間航空局と調査チームに事実
  確認を指示したと明かした。
   マレーシアメディアによると、男性から通報が入り、9月
  初めにフィリピン南部の島で男性が鳥を捕獲していた際、航
  空機の残骸を発見した。中には人間のものと思われる骨も多
  くあり、操縦席の骨は、シートベルトをしたままだったとい
  う。残骸にマレーシア国旗が描かれていたことから、男性は
  MH370便ではないかと考え通報したという。
   写真などの証拠がないことから、マレーシア当局は男性や
  フィリピン当局と交流。MH370便の残骸かどうかは一両
  日で分かるとマレーシア交通部は11日に述べている。仮に
  MH370便の残骸であれば、7月のインド洋の仏領レユニ
  オン島付近での残骸発見に続く大きな発見だという。
                   http://bit.ly/1OZDPng
  ───────────────────────────

レユニオン島で発見の残骸はMH370便か.jpg
レユニオン島で発見の残骸はMH370便か 
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月29日

●「マハティール元首相の刺激的発言」(EJ第4148号)

 マレーシア航空MH370便の失踪事件で、最も情報発信の少
ない国があります。どこの国かわかるでしょうか。
 それは米国です。米国は行方不明機の捜索やブラックボックス
の探索・回収技術においては世界一の実力を持つ国です。200
9年6月に起きたエールフランス447墜落事故のさいも、最終
的に米国の深海用装置が残骸を引き上げています。
 ところが、MH370便事件に関しては、米国は最初からきわ
めて消極的な態度をとっているのです。それは、227人のMH
370便の乗客中、152人が中国人であったことと無関係では
ないのです。
 それはさておき、2014年5月18日にマレーシアに強い影
響力がある人物が、英誌「インデペンデント」電子版、豪誌「シ
ドニー・モーニング・ヘラルド」電子版に、MH370便の謎に
ついて語り、ブログにも書いています。その人物とは、元マレー
シア首相であるマハティール・ビン・モハメド氏です。
─────────────────────────────
 飛行機というものは、飛び立ったら、最終的には着陸しなけれ
ばならない。安全に着陸するか墜落するかのいずれかで、消えた
りはしない。
 370便はボーイング社の777型旅客機で、全ての通信やG
PS機器はボーイング社によって備えられている。ボーイング社
は不具合の原因に加え、簡単に通信不能に陥らないことはわかっ
ているはずである。
 ボーイングとCIAによる遠隔自動操縦によって、操縦士はど
うすることもできなくなった。370便は恐らくどこかに存在し
ている。航空会社のロゴなどは消されているだろう。破片やフラ
イトレコーダーの捜索など時間と金の無駄である。
 CIAは何かを隠している。この事件でマレーシア航空や政府
が非難されるのは、不公平である。  ──マハティール元首相
                   http://bit.ly/206KD87
─────────────────────────────
 実に大胆な発言であるといえます。普通の人がこんな発言をし
たら、たちまち「陰謀論」のレッテルを貼られてしまいますが、
歴代最長になる20年以上首相を務めた人物の発言だけに、無視
できない重みがあります。発言内容は、米国を強く牽制するもの
になっています。
 マハティール氏の政治的ポジションは、現在はナジブ政権の金
権体質を批判してはいるものの、もともとこの政権の生みの親で
あり、発言では「この事件でマレーシア政府が非難されるのは不
公平」と現政権を庇っています。
 このマハティール元首相の発言について、杉江弘氏は「あり得
ない話の極めつけ」とし、民間航空機の遠隔操作などあり得ない
と次のように述べています。
─────────────────────────────
 現在の技術では、軍用機については遠隔操作できるようになっ
たものの、民間航空機については、それは科学的にも(システム
上も)不可能であることは論をまたない。不明機の捜索を中止す
べきとの踏み込んだ発言は、真相究明を求める国際社会の声に苛
立ちを感じている結果なのであろうか。     ──杉江弘著
      『マレーシア航空機はなぜ消えた』より/講談社刊
─────────────────────────────
 杉江弘氏が不可能であるとする「民間航空機の遠隔操作」につ
いて、プロテウス航空でトップを務め、フランスの著名な作家で
もあるマルク・デュガン氏は、米ボーイング社は、2006年に
機体の遠隔操作システムの特許を取得していると述べています。
そして、2015年10月22日付の英紙「デイリー・ミラ―」
で次の発言をしているのです。これは、マハティール元首相の発
言とも重なるところがあります。
─────────────────────────────
 MH370便は「9・11」のようなテロ事件を防ぐため、米
空軍によって撃ち落された可能性が高い。テロリストが遠隔操作
でMH370便を乗っ取り、インド洋に浮かぶディエゴガルシア
島の米海軍基地に自爆攻撃を仕掛け、撃墜されたのではないか。
モルディブ諸島での取材において、同便が消息を絶った3月8日
に、マレーシア航空とみられる大型の機体を目撃したとする島民
の証言もある。            http://bit.ly/1k6DGCY
─────────────────────────────
 また、こんな説も話題になっています。ニュージーランドのベ
テラン航空機事故調査の専門家であるエヴァン・ウイルソン氏と
ニュージーランドの新聞記者のタイラー氏は、共著で『グッドナ
イトマレーシア/スリー・セブン・ゼロ』という書籍を上梓し、
ザハリエ機長の犯人説を唱えています。そこに次のような驚くべ
き記述があります。
─────────────────────────────
 MH370便に搭乗していた239人は、墜落まで少なくとも
4時間前に意識を失っていた。ザハリエ機長が故意的に、機内の
気圧を急減圧状態にし、乗客らは酸素不足状態に陥った。機内に
十分な酸素が供給できず、酸素マスクが自動的に乗客の目の前に
下りてきたが、純酸素呼吸が20分間しか持たない。クルーも酸
素不足で意識を失い、死亡した。ザハリエ機長は副機長をコック
ピットの外に追い出し、十分な酸素供給または気圧の加圧を通じ
て呼吸を維持し、レーダーを回避し、「自分の計画を実施して」
MH370を操縦して海に墜落させた。 http://bit.ly/1k6DGCY
─────────────────────────────
 これによると、機長はコックピット内で機内の気圧をコントロ
ールできるのです。これを悪用すると、コックピットを独占すれ
ば、機長一人でも乗客乗員を制圧することは可能になります。
 どうやらMH370便の失踪事件には、インド洋にある英国領
ディエゴガルシア島の米軍基地が、何らかの関与をしている可能
性があります。    ──[航空機事故の謎を探る/023]

≪画像および関連情報≫
 ●マレーシア370便失踪の謎/ニュースの真相
  ───────────────────────────
   まず、初動の捜索海域が間違っていたようだ。マレーシア
  軍高官が2014年3月11日にロイター通信に明かしたと
  ころによると、現地時間8日未明に民間の航空管制センター
  のレーダーから姿を消した370便は、1時間余り後に本来
  の飛行経路から針路を西に変え、数百キロ飛行していた可能
  性があるという。
   レーダー追跡のデータを基に11日、軍は捜索範囲を広げ
  マレー半島の西側、アンダマン海にも捜索チームを送る決定
  を下した。
   マレーシア空軍のタン・スリ・ロザリ・ダウド大将はロイ
  ター通信の取材に対し、軍のレーダーがとらえた機影が最後
  に確認されたのは8日午前2時40分、マラッカ海峡北部の
  プラウ・ペラク島付近と語っている。
   370便は失踪当時、管制センターに機体の位置を知らせ
  るトランスポンダのスイッチが切られており、同日午前1時
  30分ごろに民間レーダーから姿を消していたという。当時
  はタイ湾上空約1万メートルを北東方向に飛行しながら、ベ
  トナム沿岸部に接近していた。目的地の北京に向かう飛行経
  路だ。新たな情報が手に入るたびに謎は深まるばかりで、失
  踪の原因究明がますます急がれている。
                   http://bit.ly/1XvKZTw
  ───────────────────────────

国連で演説するマハティール首相(当時).jpg
国連で演説するマハティール首相(当時)
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月30日

●「米が370便捜索に消極的な理由」(EJ第4149号)

 マレーシア航空MH370便失踪事件に米国(CIA)が何ら
かのかたちでからんでいる──マハティール元首相の発言はその
ことを示唆しています。その発言の前提とされているのは、イン
ド洋のディエゴガルシア島の米軍基地の存在です。
 ディエゴガルシア島というのは、スリランカの西側にあるモル
ディブ諸島の南側の小さな島です。しかし、そこに米軍基地があ
ることは、軍事基地ですから当然のことではあるものの、ほとん
どの人には知られていなかったのです。しかし、MH370便失
踪事件では、この島の名前がよく出てくるのです。
 ディエゴガルシア島とはどういう島なのでしょうか。
 もともとこの島は、16世紀にポルトガル人によって発見され
「ディエゴガルシア」と命名されています。当初は無人島だった
のですが、18世紀にフランス人が入植し、黒人奴隷を導入して
ココヤシ栽培とコプラ生産のプランテーションの経営を始めたこ
とによって人の住む島になったのです。
 1814年に英国が同島を占領し、モーリシャスの一部として
統治するようになります。そして1966年に英国は米国に同島
を50年間貸与する協定を結んだのです。そのため、英国は巧妙
な方法で同島および他の2つの島に住む島民らの追い出しを図り
1973年頃に最終的に残った者たちをモーリシャスへ強制移住
させたのです。この英国の強行手段については、同島の島民たち
は、英国政府を相手に訴訟を起こし、現在も係争中です。
 つまり、現在ディエゴガルシア島には、米軍人しかいない状態
であり、秘密保持の意味でも軍事基地としては理想的なのです。
かつての湾岸戦争やアフガニスタン攻撃、イラク戦争の際に、B
─52戦略爆撃機、B─2ステルス爆撃機などがこの島より出撃
しています。アメリカの軍事戦略上の要衝であり、インド洋の最
大の軍事基地になっています。
 MH370便の失踪は、ディエゴガルシア島と何らかの関係が
あることは確かです。そのため、米国はMH370便の捜索に協
力しようとしていないのです。米国としてはMH370便が、こ
の島の方向に飛行してきているという事実を、極力隠しておきた
かったはずです。そのため、モルディブでMH370便の目撃情
報が出たとき、米軍は素早くこの情報をもみ消して、偽情報にし
てしまったのです。
 MH370便の失踪事件に米国が消極姿勢をとったのには、別
の理由もあります。台湾の「ウォントチャイナ・タイムズ」は、
これに関して次のように述べています。
─────────────────────────────
 米国は行方不明のマレーシア航空フライト便の捜索をうまく利
用して、中国衛星の性能をテストしたり、また、中国のミサイル
が米国の航空母艦にどれくらいの脅威を与えるか評価していると
我々の姉妹紙であるワント・デイリーが報道じている。
 中国語の軍関係月刊ニュースのディフェンス・インターナショ
ナルの主任記者エーリッヒ・シフが、米国は更に性能が高い人工
衛星を数多く持っているにも関わらず、2014年3月8日未明
乗客乗員239名を乗せ、クアラルンプールから北京に向けて飛
び立ち、1時間後に突如として消えたフライトMH370の捜査
にはまだ参加していないと語っている。シフは、米国は、中国の
人工衛星が何の情報を提供するか見るために、後ろでじっと見つ
めているのだと主張している。     http://bit.ly/1k8EZRY
─────────────────────────────
 実は現在先進国の軍隊は、さまざまな衛星を打ち上げて、その
精度を競っているのです。したがって、マレーシア航空のような
航空機の失踪事件で、その存在場所を探知したとしても、それを
率先して明かすことはないのです。
 2012年4月6日に米国は「NROL─25」というロケッ
トをカルフォルニア州のバーデンバーグ空軍基地から打ち上げて
いますが、これはスパイ衛星を搭載する驚くべき精度を誇る軍事
衛星なのです。
 この衛星の性能について、マハティール元首相の秘書を務めた
中国系マレーシア人のマティアス・チャン氏は、MH370便に
関する論文で次のように述べています。
─────────────────────────────
 NROL─25衛星は、世界中の目標を昼も夜も監視すること
ができ、雲を貫通して、防空壕等の地下構造物も特定できる“合
成開口レーダー”が装備されている可能性が高い。
 衛星の実際の能力は、極秘扱いされている為に、公的には知ら
れていないものの、専門家の中には、当局はこの技術によって、
何百キロも離れた場所から、人のこぶしのように小さなものまで
拡大撮影することが可能だという人々もある。
                   http://bit.ly/1k8EZRY
─────────────────────────────
 MH370便とディエゴガルシア島の関連が疑われたものがも
うひとつあります。それは、ザハリエ機長の自宅から押収された
フライトシミュレーターに、次の5つの空港のデータが、ダウン
ロードされていたからです。これらのデータは消去されていまし
たが、復元してわかったのです。
─────────────────────────────
     1.       モルディブのマレ空港
     2.ディエゴ・ガルシア島にある米軍基地
     3.         スリランカの空港
     4.           クリスマス島
     5.   ココス・キーリング諸島の空港
─────────────────────────────
 マハティール元首相は、「MH370便はCIAの航空機遠隔
自動操縦によって、どこかに強制着陸させられている」と発言し
ていますが、その着陸場所は、おそらくディエゴガルシア島の米
軍基地ではないかと思われます。
           ──[航空機事故の謎を探る/024]

≪画像および関連情報≫
 ●「スパイ小説化」のマレーシア機捜索
  ───────────────────────────
  [28日 ロイター]今月8日に南シナ海上空でマレーシア
  航空MH370便が消息を絶ってから約3週間が経過した。
  20カ国以上が捜索を続けているが、地域的な対立関係によ
  って捜索は難航している。
   マレーシアの対応に非難が集まる一方、中国は増大する自
  国の軍事能力を誇示。捜索活動に関与する関係者らからは、
  極秘の軍事データを暴露することになりかねない情報の公開
  に消極的な国も存在するとの声が聞こえる。
   このような背景には、中国の台頭が軍事競争をエスカレー
  トさせ、中国、マレーシア、インドネシア、フィリピンを含
  む国々が領有を争っているという地域的な緊張の高まりがあ
  る。クアラルンプール発北京行きの370便が最後に確認さ
  れたのは、マレー半島の反対側で、針路から数百マイル外れ
  た位置だった。同機をめぐる謎が深まるにつれ、極秘である
  軍事技術が鍵を握る可能性も明らかになった。
   しかし、捜索範囲が拡大するなか、各国は極秘データの共
  有に一段と消極的になったとみられる。東南アジアのある国
  の特使は「スパイ小説のようになっている」と語った。捜索
  範囲が南インド洋に限定され、オーストラリアが主に指揮を
  執るようになるまで、各国の間に中核的な協調関係がなかっ
  たと専門家や当局者らは指摘する。 http://bit.ly/1PQ33pZ
  ───────────────────────────

ディエゴガルシア島.jpg
ディエゴガルシア島
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月02日

●「370便と17便事故は関連する」(EJ第4150号)

 MH370便が失踪してから約4ヶ月後の2014年7月17
日のことです。またしてもマレーシア航空で、痛ましい事故が起
こったのです。
 2014年7月17日、オランダ・スキポール空港からマレー
シア・クアラルンプール国際空港に向かっていたMH17便が巡
航飛行中の17時15分頃(現地時間)、何者かによってミサイ
ルで撃墜されたのです。墜落場所は、ウクライナ・ドネツィク州
グラボヴォ村です。グラボヴォ村は、ロシアとの国境からおよそ
40キロ離れたところにあります。
 MH17便の機種は、ボーイング777─200ER、なんと
MH370便と同一機種です。つまり、約4ヶ月の間に同じ航空
会社の同型機が相次いで事故を起こしたことになります。こんな
ことは普通では起こり得ないことです。
 撃墜されたMH17便には、乗客283人、乗員15人、合計
298人が乗っており、全員死亡。撃墜による航空事故では史上
最悪の死者数といわれています。
 それでは、撃墜したのは何者なのでしょうか。
 MH17便は、地対空ミサイル「BUK(ブク)」で撃墜され
たというのが、一般的な見方です。ウクライナ政府は親ロシア派
が撃ち落としたと非難し、親ロシア派はウクライナ軍のしわざで
あるとして、双方とも犯人は相手側であると主張しています。
 この構図は、1983年に起きた大韓航空機撃墜事件のときと
同じです。その要点は次の3つになります。
─────────────────────────────
 1.アジアの航空機が軍事兵器によって撃墜され、その撃墜
   に直接または間接にロシアが関与したとされている。
 2.両方の惨事とも米国とロシアの関係が緊迫しているとき
   に起こり、非難の応酬で、原因究明ができていない。
 3.両国の非難合戦と国際社会の反応を色づけたより大きな
   地政学的な配慮が、犠牲者の悲劇をかすませている。
─────────────────────────────
 ときの米国大統領のロナルド・レーガンは、この事件の起きる
数ヶ月前の1983年3月のテレビ演説で、ソ連を「悪の帝国」
と罵り、そのうえで新しい核ミサイルシステムを採用する防衛計
画の必要性を視聴者に訴えています。それは「戦略防衛構想/S
DI」と呼ばれるようになります。
 レーガン政権は、世界最大の個人企業といわれるベクテル社の
作った政権といわれています。この企業は、当時、後に「スター
ウォーズ計画」と呼ばれる「MXミサイル・プロジェクト」を極
秘に進めていたのです。そしてレーガン政権誕生と同時に、レー
ガン大統領の演説でこれが明かされたのです。実は、この会社が
大韓航空機撃墜事件に深く関与している疑いがあります。
 「ベクテル社」とは、どういう企業なのでしょうか。
 ベクテル社については、ウィキペディアには次のように紹介さ
れています。
─────────────────────────────
 ベクテルは、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシス
コに本拠を置き、総合建設業を営む多国籍企業。石油コンビナー
ト、発電所、ダム、空港、港湾などの建設を請け負う世界最大級
の建設会社。
 非上場の同族会社であるので、しばしば関係者に関心が持たれ
ている。創業者ウォーレン・べクテル(1872〜1933)は
オクラホマ州で牧場経営に失敗した後、1898年、急成長中で
あった鉄道産業の使用人として事業を開始した。それから20年
間、ウェスタンパシフィック鉄道をはじめとして鉄道や高速道路
建設を請け負った。1919年以降、共同事業者とともに高速道
路・水道トンネル・ダムなどを建設した。(中略)
 会社の所有と経営はべクテル一族に担われており、ライリーや
ステファン・ジュニアは、いずれも総資産30億ドル(2009
年)を有するアメリカを代表する富豪の一人である。
                   http://bit.ly/1GTuX1t
─────────────────────────────
 MH370便の失踪とMH17便の撃墜は、無関係ではなく、
深く関連しているという情報があります。そして、MH17便と
大韓航空機KAL007便の両撃墜事件は、きわめてよく似てい
るのです。そこで、KAL007便撃墜事件について、しばらく
振り返ってみることにします。
 1983年9月1日未明、ニューヨーク発アンカレッジ経由ソ
ウル行きの大韓航空(KAL)007便、ボーイング747ジャ
ンボ機が、サハリン沖のモネロン島上空で、ソ連戦闘機にミサイ
ル攻撃され、乗客乗員合わせて269名が全員死亡するという惨
事が起きたのです。これが大韓航空機撃墜事件です。
 旅客機を戦闘機が撃墜する──絶対にあってはならないことで
す。しかし、問題はKAL007便が正規のルートを大きく外れ
ソ連の領土サハリン上空に迷い込んだことにあります。ときは米
ソ冷戦構造のさなかであり、西側の航空機がソ連の領空を大きく
冒せば、どう事態を招くかは誰でもわかることであり、一方的に
ソ連を非難できないのです。
 まして、米国大統領はタカ派として知られるレーガンであり、
ソ連共産党書記長は、かつてKGB議長を務めたこともあるアン
ドロポフです。東西両陣営が激しく対峙する時代だったのです。
それから8年後の1991年に起きるソ連崩壊を誰が予想できた
でしょうか。
 しかし、このKAL007便撃墜事件は、調べれば調べるほど
不可解な事実がたくさん出てくるのです。既に述べているように
EJでは、2003年に28回にわたってこの事件を取り上げて
います。しかし、今回は、大韓航空機撃墜事件を解明することで
MH370便失踪事件、MH17便撃墜事件という2つの航空機
事故の謎が解けると考えています。
           ──[航空機事故の謎を探る/025]

≪画像および関連情報≫
 ●韓半島、ウクライナ事態の“真実”を教訓に
  ───────────────────────────
   ウクライナは記憶を呼び起こす。我々の現代史の悲劇が浮
  かび上がる。その国の内戦は進行形だ。マレーシア旅客機/
  MH17便襲撃は内戦の犠牲物だ。惨事の現場は悪夢を思い
  出させる。1983年KAL007便撃墜──。旧ソ連戦闘
  機の空中虐殺だ。その事件は、冷戦時代の巨大な転換点だっ
  た。8年後ソ連は崩壊した。その結果、ウクライナはソ連か
  ら独立した。
   MH17機は反政府軍に撃墜されたことが確実となった。
  反乱軍はウクライナ東南側で蠢動する。そこはロシア民族が
  勢力が強い。襲撃の現場は東側だ。反乱軍の後ろはロシアが
  支える。その場面にロシア大統領のウラジミール・プーチン
  の野望が表れる。ウクライナは3月、クリミア半島を奪われ
  た。ロシアは軍隊を進駐させた。分離主義親露反乱軍の成就
  だ。クリミア自治共和国はロシアの領土となった。クリミア
  半島の下は黒海だ。
   黒海は名前と違う。黒くない。海の色は濃い青色だ。ヤル
  タとソチは黒海の港町だ。その都市は遠いが馴染みがある。
  韓半島(朝鮮半島)分断の根であるヤルタ会談、ソチ(ロシ
  ア)冬季オリンピック−−。セバストポリは黒海の軍港だ。
  ウクライナ時代にもロシア海軍基地だった。クリミア半島は
  要衝地だ。そのような地域は戦争を招く。地政学的な属性の
  ためだ。19世紀のクリミア戦争はロシア対英国・フランス
  ・トルコの戦いだった。      http://bit.ly/1ivQhP1
  ───────────────────────────

ロナルド・レーガン米大統領.jpg
ロナルド・レーガン米大統領
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月04日

●「なぜ死亡宣言をそんなに急ぐのか」(EJ第4151号)

 大韓航空機(KAL)007便が撃墜されたのは、1983年
9月1日未明のことです。日本では、事件の第1報を伝えたのは
1日の夕刊各紙です。9月1日付の朝日新聞夕刊は次のように伝
えています。
─────────────────────────────
 ◎268人乗り大韓航空機、サハリン付近で不明。ソ連が着
  陸を強制?爆撃説や乗っ取り説も
 ◎韓国外務省は1日午前10時半すぎ、同日未明から行方不
  明になっていた大韓航空007便ニューヨーク発ソウル行
  きボーイング747機が「ソ連サハリン(ユジノサハリン
  クス空港とみられる)に強制着陸させられたとの第3国か
  らの非公式通告を受けた」。
         ──1983年9月1日付、朝日新聞夕刊
─────────────────────────────
 この時点では、生存の可能性が残っていたのです。メディアに
もそういう情報は入っていたはずです。しかし、9月2日付の朝
日新聞朝刊は一転して次のように報道したのです。
─────────────────────────────
 レーガン政権のジョージ・シュルツ国務長官がミグ23とソ連
軍地上局との無線交信を傍受して得られた情報として、ソ連のパ
イロットはミサイルを発射し、目標は破壊されたと報告した。0
07便はミグ23とみられるソ連軍機によって撃墜された。
          ──1983年9月2日付、朝日新聞朝刊
─────────────────────────────
 このように、9月2日の朝刊紙では、各社「大韓航空機、ソ連
が撃墜、268人全員死亡」という報道一色になったのです。お
かしいのは、この報道は、KAL007便とみられる機影が消え
て、わずか20時間11分後のことなのです。あまりにも早過ぎ
ると思いませんか。
 このような事故の場合、人の生死に関しては、確認ができるま
では報道しないものです。それなのにこの事件では、早々と「死
亡宣言」を出しています。情報元は米国ですが、これに関して国
連も、当のソ連のタス通信も死亡宣言をフォローしています。
─────────────────────────────
 ◎デクエヤル国連事務総長は事件の推移を詳しく見守ってい
  る。民間人の命が失われたことを深く悲しんでいる。
                  ──9月1日付共同電
 ◎権限を与えられたタス通信は、ソ連指導部内で、人命が失
  われたことに関して遺憾の意が表明されていることを公表
  し・・・。           ──9月2日タス通信
─────────────────────────────
 なぜ、このように死亡宣言を急ぐのでしょうか。撃墜事件が起
きてから、わずか1日程度しか経過していないし、KAL007
便の墜落現場も確認されていない時点での死亡宣言です。あまり
にも不自然です。
 さらにダメ押しがこれに加えられるのです。それは保険会社の
発表です。9月14日の報道では次のように伝えています。
─────────────────────────────
 13日、ロンドンの保険会社スチュワート・ライトソン社は、
KAL007便の大韓航空機にかけられていた戦時保険の保険金
2682万4000ドル(約65億円)を同日大韓航空に支払っ
たと発表した。       ──9月14日付、朝日新聞朝刊
─────────────────────────────
 事故当日から約2週間後の保険金支払いは異常です。通常であ
れば、機体破損の事故から早くても数年はかかります。それに、
この保険は戦時保険です。この保険金が支払われるということは
KAL007便がソ連のミサイルによって撃墜され、破壊された
ことが「事実」として認定されたことを意味するのです。
 この事件の主役はレーガン政権であると思われます。そうであ
るとすると、その狙いは何でしょうか。
 誰でも考えられることは、ソ連が「悪の帝国」であることを実
証するためです。つまり、ソ連という国は、民間航空機に対して
ミサイルを発射して撃墜し、乗客乗員全員を死亡させるような残
虐非道なことをやる国であることを世界中に知らせるためです。
これはレーガン政権の戦略と一致します。
 この事件の裏の事情を察知したソ連政府は、事件発生後の9月
6日に次の政府声明を出しています。
─────────────────────────────
 要するにこの事件はソ連の戦略的重要地域での故意かつ前もっ
て計画された行動だった。この行動をそそのかした者たちは、結
果がどうなるかを当然、認識していたはずだ。
 彼らは明らかに、民間機を使った大情報作戦を実施に移し、故
意にその乗客たちを死の危険にさらしたのである。この航空機を
ソ連空域に向かわせるためのデータがどうして機内のコンピュー
ターに入力されたのか、誰にもわからないだろう、というレーガ
ン声明ほど皮相な言葉を誰が想像できるだろうか。
 今回の領空侵犯は技術的な過ちではなかった。この航空機は、
情報作戟を滞りなく実行する予定だったが、もしその任務を阻止
された場合、彼らはこの作戦全体を反ソの一大政治的挑発行動に
切り替えるつもりだったのである。
 米特殊機関によって汚い目的のために使われたこの航空機の乗
客たちは、この厚かましい犯罪の犠牲者となったのである。ソ連
政府は罪のない人々の死に弔意を表明し、その道族、友人と悲し
みを分かちあうものである。今回の悲劇の全責任は完全に米国指
導者たちである。(抜粋)
          ──1963年9月7日付、朝日新聞より
─────────────────────────────
 この声明では、この事件は米国の諜報機関の仕掛けた謀略であ
ることを指摘しており、ソ連軍のとった対応は当然の行動である
と主張しています。  ──[航空機事故の謎を探る/026]

≪画像および関連情報≫
 ●東西冷戦下の国際事件を学生が取材/大韓航空機撃墜事件
  ───────────────────────────
   1983年9月に起きた『大韓航空機007便撃墜事件』
  という出来事を、覚えておられるだろうか?なんらかのミス
  によってソ連領空内に進入した大韓航空機007便を、ソ連
  の戦闘機がミサイルを発射して撃墜した事件だ。破壊された
  機体は、北海道稚内市の北方数十キロ付近の海域に墜落し、
  乗員乗客269人(うち日本人28人)が犠牲になった。
   東西冷戦下に起きた国際的な事件として、歴史年表にも記
  されている。情報公開が遅れたために、日米ソ間の情報戦や
  政治的駆け引きだけが大きくクローズアップされた。
   その後、日本航空123便の御巣鷹山への墜落、北朝鮮工
  作員による大韓航空機爆破事件が立て続けに起きて、この大
  韓航空機007便撃墜事件の記憶は急速に風化してしまった
  感が強い。結局、同撃墜事件は、真相が不透明なままで幕引
  きとなったばかりか、遺骨も遺品も遺族の元に戻ることはな
  かった。ある意味、遺族は歴史の中で置き去りにされた形と
  なった。
   FLPジャーナリズムプログラム松野良一ゼミは2009
  年、稚内でドキュメンタリーの制作活動中に、同撃墜事件の
  遺族会副会長・中澤建祐さんと知り合い、遺族の証言を記録
  するプロジェクトを立ち上げた。そして、足掛け3年をかけ
  て、犠牲者の足跡を全国に訪ね歩き、結果的に計14人の遺
  族の方々にインタビューすることができた。学生たちは、自
  らの取材体験も含め、遺族の証言を軸にルポルタージュを執
  筆した。その成果を中央大学出版部が刊行する『中央評論』
  277号に、特集「大韓航空機〇〇七便撃墜事件」として発
  表した。             http://bit.ly/1Q0J9si
  ───────────────────────────

ジョージ・シュルツ元米国務長官.jpg
ジョージ・シュルツ元米国務長官
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月05日

●「ソ連の崩壊で出てきた秘密報告書」(EJ第4152号)

 大韓航空機撃墜事件には多くの謎があります。MH370便や
MH17便と違って、KAL007便の撃墜については多くの情
報があります。ネット上にも多くの情報が出ています。
 しかし、世界中の人たちが認識していることとは違う情報は、
いわゆるトンデモ情報、陰謀論、ネス湖のネッシー的扱いを受け
てまともにとらえられていないのです。そのなかで、やはり陰謀
論的な扱いを受けているものの、事実に基づく主張を展開してい
る貴重な本があります。今回のテーマのうち、大韓航空機撃墜事
件に関する記述は、この本を主として参考にして書いています。
─────────────────────────────
                   高橋五郎著
     『早すぎた死亡宣告』/ジーオー企画出版
─────────────────────────────
 KAL007便がソ連の領空に侵入してきたとき、ソ連側は米
国側の意図を察知し、事の性格上米国はこの事件に関し本当のこ
とは沈黙すると読んで、あとでこの事件の真相が明るみに出ると
きのために備えて、いくつかアリバイ工作をやっています。
 そのことを如実に示す格好の資料があります。それは1983
年12月に、ソ連のウスチノフ国防相とチェブリコフKGB議長
が、ブラックボックスの解析に基づいて、アンドロポフ書記長に
提出した報告書です。書記長がこの問題を処理するさいのアドバ
イスをまとめたものです。
 この報告書は、長らくクレムリンの奥深く秘匿されてきたので
すが、1992年10月14日に当時のエリツィン大統領率いる
ロシア政府から、韓国政府に引き渡された事件関係資料のなかに
あったものです。上記の高橋五郎氏の著書には報告書の全文が掲
載されていますが、長いので、重要部分を3つに分けてご紹介し
解説することにします。
─────────────────────────────
 ◎その1/(KAL007便が)国際指定航路から大きく離脱
したということを立証するすべての資料を持っているにもかかわ
らず、同旅客機の乗務員は5時間以上そのまま飛行して、その航
路を修正して、ソ連領空から離れようとするいかなる措置もとら
なかった。                 ──高橋五郎著
          『早すぎた死亡宣告』/ジーオー企画出版
─────────────────────────────
 「その1」の記述は、KAL007便の乗務員が国際指定航路
を大きく外れて飛行していることを知りながら、ソ連領空内に故
意に侵入したことを訴えています。
─────────────────────────────
 ◎その2/飛行機の録音機の資料と飛行機が撃墜されてからの
米国行政府の行動を分析したところによると、われわれは米情報
機関が2重の目的を追求した大規模な政治挑発行為を具体的に計
画したことを確認することができる。
 第1に、同旅客機の領空侵害で、ベレート・スパイ衛星などか
ら、極東でのわれわれの防空システムについての資料を得ようと
した。もし、同機が何の指示もなく、わが国の上空を通過できた
場合、米国人は極東でのわれわれの防空システムのお粗末さにつ
いて宣伝をする意図を持っていた。
 第2に、彼らはわれわれが飛行を阻止する場合、ソ連に対する
大規模な反ソキャンペーンを展開する目的でその事実を利用する
考えであった。同機の挑発的で諜報的な性格と、そして米情報部
が追求しようとしたところをわれわれが暴露して、その挑発行為
を通じて米国人が目的とするところを完全に阻止した。
                ──高橋五郎著の前掲書より
─────────────────────────────
 「その2」の記述は、この事件の米国の狙いを明らかにしてい
ます。狙いはズバリ極東におけるソ連の防空システムの能力を探
るのが目的であると分析しています。もし、うまく行かなかった
ときは、旅客機を撃墜する非道な国家としてソ連をおとしめ、反
ソキャンペーンを展開するという計画であるというのです。
─────────────────────────────
◎その3/したがって、飛行経路および対話に関する客観的な資
料を西側国家に伝達する場合、南韓の飛行機の目的について、ソ
連と同じく西側諸国もまた、自分たちの立場を裏付けるために同
資料を利用することができる。そして、反ソ宣伝の新たなキャン
ペーンも同じく排除することができない。
 ICAO(国際民間航空機関)や録音を解読する意図がある国
に(ブラックボックスの)録音資料を伝達しないのが良いと思わ
れる。そして、同録音がソ連にあることも、やはり秘密にしなけ
ればならない。また米国・日本は、先に指摘された物体(ブラッ
クボックス)がわが国にあることを裏付ける証拠を持っているは
ずがない。
 今後、その秘密を保全するために必要な措置をわれわれは探っ
た。同事件と関連した問題が派生する場合、9月6日付けのソ連
政府声明で発表された立場を引き続き維持し、損害補償をいっさ
い拒否しなければならず、また挑発行為を計画した米政府に犠牲
者に対する責任をすべて転嫁させなければならない。
 同意を望む。         ──高橋五郎著の前掲書より
─────────────────────────────
 「その3」の記述は、ウスチノフ国防相とチェブリコフKGB
議長が、ブラックボックスをソ連が持っていることを徹底的に隠
すようアンドロポフ書記長に求める内容になっています。つまり
ブラックボックスを徹底的に隠せと勧めているのです。
 ソ連としては、「KAL007便の領空侵犯→ミサイル発射→
撃墜→乗客乗員全員死亡」を訴えることで、あたかも米国と共同
歩調を取ったのです。これによって、世界中がKAL007便撃
墜事件の情報を信ずるしかなくなり、結果としての「米ソ共謀/
共犯」を演出することになったのです。
           ──[航空機事故の謎を探る/027]

≪画像および関連情報≫
 ●大韓航空機撃墜事件/事件のあらまし
  ───────────────────────────
   大韓航空機事件と呼ばれる事件は1978年にもあった。
  パリ発ソウル行きの大韓航空機が、ソ連領空内を600キロ
  メートル近く2時間半も侵犯して逃げ回り、軍事要衝ムルマ
  ンスク近くで強制着陸させられた事件である。
   その5年後の、1983年8月31日、今度はニューヨー
  ク発、アンカレッジ経由ソウル行きの大韓航空007便が、
  同じように、ソ連領空を侵犯した。アンカレッジ離陸後、カ
  ムチャッカ半島を横断、さらにサハリンをも横断し、正規の
  航空路(R20)をソ連寄りの北に500キロメートル、5
  時間半にわたって逸脱した結果、モネロン島付近でソ連軍機
  により撃墜されてしまったのである。乗客・乗員269名が
  犠牲となり、乗客の中には、私の妻と長男も含まれていた。
   この007便の侵犯したコースは、ソ連側の対米最前線重
  要基地上空であり、米側が諜報戦で、絶えずスパイ機による
  挑発行為を繰り返していたということも、後に明らかになっ
  た。ソ連軍によれば、カムチャツカにおいては、007便と
  米軍スパイ機RC─135がソ連側レーダー上で重なってい
  たといわれ、いわゆるランデブー飛行ではないかとの疑惑を
  招いた。米政府は、当初、RC─135の介在を否定してい
  たが、米国会議員の情報リークの結果、その事実を認めた。
  あの1978年のムルマンスク事件が、やはり、ソ連の対米
  最前線で起きた領空侵犯事件であったことからも、撃墜され
  た大韓航空機は意図的にソ連領空を侵犯したのではないかと
  いう疑惑がはじめからつきまとった。
                   http://bit.ly/1ub2OMq
  ───────────────────────────

ユーリ・アンドロポフ.jpg
ユーリ・アンドロポフ
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月06日

●「ミサイルを受けても不時着できる」(EJ第4153号)

 実はソ連空軍による大韓航空機撃墜事件は1983年が初めて
のことではないのです。1978年4月20日のことですが、大
韓航空機が誤ってソ連の領空を侵犯したため、ソ連防空軍機から
攻撃を受け、事故機はムルマンスク郊外のケミ市にある凍結した
マンダラ湖への不時着に成功したものの、乗客の15人が死傷し
ています。この事件は不時着した場所から「ムルマンスク事件」
とも呼ばれています。
 このときもソ連側からスパイ説は出たものの、ソ連当局による
乗客乗員に対する待遇は悪くなく、即座に温かい食事が用意され
時間つぶしのために映画の上映まで行われたといいます。このと
きは米国が中に入り、機長と航空士以外は3日後に解放され、機
長らも領空侵犯の謝罪文にサインさせられ、1週間後には解放さ
れています。大韓航空機撃墜事件が起きたのは、このムルマンス
ク事件の5年後のことです。
 ムルマンスク事件では、領空侵犯機はソ連機から銃撃を受けた
として「大韓航空機『銃撃』事件」と呼ばれていたのです。しか
し、実際は銃撃ではなく、空対空ミサイルの攻撃を受けていたの
です。KAL007便の場合と同じです。
 一般的には、旅客機がミサイルで攻撃を受けると、空中でバラ
バラになってしまうというイメージがありますが、必ずしもそう
とはいえないのです。その証拠に1978年のときは、ミサイル
攻撃を受けながらも不時着に成功しています。
 そうであるならば、KAL007便のときも同様のとらえ方を
なぜしなかったのでしょうか。これに関して、直木賞受賞作家の
三好徹氏は、『文藝春秋』の1995年新年特別号の特集「戦後
50大事件の目撃者」において、大韓航空機撃墜事件を取り上げ
ています。
─────────────────────────────
 9月1日の夕刊締切り段階で、各新聞は、ソウル情報をもとに
同機がサハリンに強制着陸させられたらしいことを伝えていた。
このソウル情報のソースは、韓国外務省の説明によると「第三国
からの非公式」通報だった。第三国がアメリカであることは、こ
の種のケースでは常識であった。ところが、その日の夕刻からテ
レビは一転して撃墜されたらしいことを伝えはじめ、2日の朝刊
では完全にソ連戦闘機による撃墜に確定し、269人の全員死亡
が確認された。
 わたしの最初の疑問は、アメリカ(つまりCIAということだ
が)はどうして韓国に誤った情報を伝えたのだろうかということ
だった。この謎はいまもって解けていない」そのほか、いまもっ
て、どうしても不可解なのは、ソ連機がミサイルを発射し、「目
標は破壊(撃墜)された」と報告したあと40秒後に大韓機のパ
イロットがSOSも発せずに成田を呼び出したことである。この
事件に関する本が出ると手に入れて読んできたが、これを合理的
に説明した本をみたことがない。
           ──『文藝春秋』1995年新年特別号
─────────────────────────────
 ここで重要なのは、三好徹氏が当初KAL007便の乗客乗員
がムルマンスク事件のときのようにサハリンに強制着陸させられ
たのではないかと考えたことです。これは、ムルマンスク事件の
ことを知っている人であれば、誰でも考えることです。
 三好徹氏といえば、国際的な諜報小説を多く書いている作家と
して知られています。その三好氏をして、この事件については不
可解な部分があまりにも多くあると疑問を抱いているのです。具
体的にはソ連のミサイル発射のあと、KAL007便が成田を呼
び出している事実があることです。
 ソ連の空軍機(805号機)がKAL007便にミサイルを発
射し、「目標は破壊された」と地上に報告したのは午前3時26
分01秒のことです。それから、KAL007便が成田(東京ラ
ジオ)を呼び出したのは3時26分57秒のことです。
 この56秒間のKAL007便のコックピット内の録音はあり
ますが、ページの関係上、全部を掲載することはできないので、
一部をカットして以下に示します。コックピットと客室内の様子
では何が起きたかまるでわかっていないようです。
─────────────────────────────
 26分06秒:なにが起きたんだ?
    10秒:減速スロットル
    11秒:エンジン、正常
    14秒:着陸ギア
    21秒:(音・・自動操縦装置の解除警報音)
    22秒:高度上昇
    25秒:スピードブレーキが出ている
    26秒:なんだ?どうした?
    33秒:高度落とせない、できない
    34秒:アテンション、緊急降下
    40秒:これは作動していない、作動してない
    43秒:手動でも作動しない
    45秒:エンジンは正常です
    49秒:たばこを消してください。緊急降下です
    50秒:パワーコンプレッションか?
    51秒:本当か
    52秒:たばこを消してください。緊急降下です
    54秒:本当か?
    55秒:酸素マスクをして、ヘッドバンドを調節して
        ください
    57秒:東京ラジオ、大韓航空007便
12345678901234567890123456789
       ──小山厳著/『ボイスレコーダー撃墜の証言/
      大韓航空機事件15年目の真実』/講談社+α文庫
─────────────────────────────
           ──[航空機事故の謎を探る/028]

≪画像および関連情報≫
 ●小山厳著「ボイスレコーダー撃墜の証言」書評
  ───────────────────────────
   著者はNHKの記者。大韓航空機撃墜事件のときに稚内通
  信部に勤務していたことから、この事件に深くかかわるよう
  になったということ。『消えた遺体/大韓航空機事件の10
  00日』(講談社、三一書房)という著書があるらしい。
   この本は、おそらく、この事件の原因に関する決定的な結
  論を述べている本である。その意味では非常に重要なのだけ
  れども、それ以外の部分がかなり乱雑な印象を与える記述な
  ので、全体的にクレディビリティを落としているように見え
  るのが残念だ。
   この事件の概略を記しておこう。1983年9月1日、ア
  ンカレッジからソウルに向かう北太平洋上の定期航路を飛行
  していた大韓航空007便が、ソビエト領サハリン上空に領
  空侵犯し、ソ連空軍の戦闘機によって撃墜された。乗員・乗
  客は全員死亡した(と推定される)。この事件は、発生後のソ
  連とアメリカ、さらには日本の自衛隊の動きが不明瞭だった
  こともあって、「謎」があるとされ、さまざまな陰謀説を産
  み出してきた。特に一番大きな謎となったのが、この007
  便がなぜソ連への領空侵犯を行ったのかということである。
  これに関してこれまで提示されてきた仮説を、この本の著者
  は3つに分類している。      http://bit.ly/1XLV1jl
  ───────────────────────────

ムルマンスク事件の航路.jpg
ムルマンスク事件の航路
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月09日

●「旅客機と認識していなかったソ連」(EJ第4154号)

 ソ連の戦闘機805号がKAL007便に後ろからミサイルを
2発発射したのは1983年9月1日、午前3時26分01秒の
ことです。以下は、11月6日付、EJ第4153号に掲載した
コックピット内の会話の分析です。
 ミサイル被弾直後の5秒間は、KAL007便の3人の乗員は
何も気づいていないようです。06秒になって、一人の乗員が何
かを感じて「なにが起きたんだ?」と疑問の声を上げています。
このときの飛行機の高度は3万5000フィートです。
 その後、機長は10秒に「減速スロットル」、14秒に「着陸
ギア」と叫んでいます。それは機長が原因はわからないが、与圧
の減少を感じたからでしょう。実際にミサイルの爆発で機体に穴
があき、機内から空気が抜けていったのです。
 機長は、乗客乗員の低酸素症を防ぐために、空気の存在する1
万フィートまでの緊急降下を決断したのです。「着陸ギア」とい
うのは、離着陸用のギア(脚)を出して空気抵抗を高めて速度を
落とすための措置ですが、同時に機長は自動操縦装置を解除し、
手動に切り換えています。それは、機内に鳴り響いた自動操縦装
置解除の警報音で判断できます。
 しかし、手動にしても機体は操縦不能になっていたようです。
乗員の一人が「パワーコンプレッションか?」と叫んだのは、お
そらく「デ・コンプレッション=減圧」の間違いであると思われ
ます。機長が26分57秒に東京ラジオ(成田)を呼び出したの
は、そういう機内の異常を伝えるためです。
 しかし、言葉ではうまく伝えられなくなっていたのです。その
部分のやり取りは次のようになっています。
─────────────────────────────
 26分57秒:東京ラジオ、大韓航空007便(HF無線)
 27分01秒:酸素マスクをして、ヘッドバンドを調節してく
        ださい
    02秒:大韓航空007便。こちら東京(東京からHF
        無線)
    04秒:了解、大韓航空007便・・・・(解読不能)
        ア〜我々は・・・(・・した事態に遭遇)
    08秒:酸素マスクをして、ヘッドバンドを調節してく
        ださい
    09秒:オール・コンプレッション
    10秒:急激な減圧、1万フィートに降下
    15秒:アテンション、緊急降下(客室)
    20秒:いま・・・(解読不能)・・・・我々はこれを
        セットして・・・
    21秒:大韓航空007便、聞きとれない。聞きとれな
        い。無線を10048に(東京からHF無線)
       ──小山厳著/『ボイスレコーダー撃墜の証言/
      大韓航空機事件15年目の真実』/講談社+α文庫
─────────────────────────────
 明らかにコックピット内はパニックになっており、乗員は平常
心を失っているように見えます。「デ・コンプレッション」のこ
とを「パワーコンプレッション」とか「オール・コンプレッショ
ン」といっており、慌てているようです。
 また、東京ラシオ(成田)を呼び出したとき、千機長は「メー
デー、メーデー」か、「パン、パン」という遭難信号を発出する
べきだったのです。杉江弘氏の本によると、「メーデー」とはフ
ランス語で「助けて」という意味であり、「パン、パン」は準緊
急事態を知らせる用語であるそうです。
 KAL007便がパニックになっているときに、サハリン上空
では、次のやりとりが行われていたのです。
─────────────────────────────
 デプタット:805号機、ミサイルは一発発射したのか
 805号機:2発発射した
 デプタット:よくやった     ──小山厳著の前掲書より
─────────────────────────────
 ここで「デプタット」とは、ソ連サハリンのソコル航空基地の
迎撃管制官、コズロフ中尉の暗号名です。このとき同じソコル基
地内の別棟で迎撃の総指揮をとっていたのはコルヌコフ大佐(ソ
コル基地飛行師団令)です。この2人の当日の午前3時1分過ぎ
に次の気になる会話があります。
─────────────────────────────
  コズロフ:現在、彼(805号機)は右90度の方向に目標
       を捉えている。識別のため、後方から誘導してい
       るところである
 コルヌコフ:目標はなにも識別の表示を出していないのか
  コズロフ:識別するため彼(805号機)を誘導している
 コルヌコフ:後方から目標に接近させるな。接近角度を保て
  コズロフ:了解、実施する
 コルヌコフ:忘れるな。目標の後部には機関砲があることを
                 ──小山厳著の前掲書より
─────────────────────────────
 この会話でわかることは、サハリン基地の指揮官は、KAL0
07便を米空軍の偵察機RC─135と誤認していることです。
それはコルヌコフ大佐の「目標の後部には機関砲がある」という
言葉から読み取れます。少なくともそれが旅客機であるとは露ほ
どもこう疑っていないようです。
 ボイスレコーダーには、KAL007便の乗員の会話が録音に
残されていますが、それを聞く限りでは、彼らの会話はのんびり
したものであり、ソ連の領空を侵犯して何時間も飛んでいるとい
う緊張感はどこからも感じられないのです。
 領空侵犯をしている当のKAL007便は侵犯を認識しておら
ず、ソ連側のソコル基地の迎撃管制官は領空侵犯機への通常の対
応をしているという構図です。それでは、この計画を仕組んだの
は誰なのでしょうか。 ──[航空機事故の謎を探る/029]

≪画像および関連情報≫
 ●旅客機撃墜は、ロシア崩壊のシグナルか
  ───────────────────────────
   ロシア政府の無能ぶりが人命にかかわるようになった今、
  ロシア国内は恐怖におののき始めた。ウクライナ上空でのマ
  レーシア航空17便撃墜の知らせがロシアに入ると、昔を知
  る人は1983年9月のソ連空軍機による大韓航空機撃墜事
  件とその政治的影響を思い出した。
   当時のソ連政府は、失踪した大韓航空機との関係を否定し
  て世界を欺いた後、同機が米国のスパイだと主張した。だが
  この事件でソ連軍参謀総長であり、生粋の強硬派だったオガ
  ルコフ元帥のキャリアに終止符が打たれた。
   彼の不手際と下手なうそは、1979年から続くソ連のア
  フガニスタン侵攻の混迷と相まって、崩壊しつつある体制の
  実態を露呈させた。ブレジネフ政権で始まった経済停滞は、
  1982年の彼の死後さらに深まる。後継者は諜報機関KG
  B出身のアンドロポフ氏、次いで共産党中央委員会のチェル
  ネンコ氏だが、彼らは権力の座に就いた時点で片足が棺おけ
  に入っていただけでなく、改革の準備がまったくできていな
  かった。アフガニスタンにおける多大な人命の消失(ベトナ
  ムでの米国のそれと同等。ただし期間は大幅に短い)は、ソ
  連政府が自滅の危機にあることを示唆したが、民間機に対す
  る攻撃がその見方を決定づけたように思われた。この気づき
  がゴルバチョフ氏を権力の座に押し上げ、ペレストロイカや
  グラスノスチに対する上層部の支持を後押しした。
                   http://bit.ly/1SyrOpg
  ───────────────────────────

RC─135米偵察機.jpg
RC─135米偵察機
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月10日

●「当時のソ連は何を隠しているのか」(EJ第4155号)

 航空機事故は政治に直結するものです。エジプト東部シナイ半
島で起きたロシアの旅客機の墜落事故でも、当のロシアはそれが
イスラム国(IS)への空爆の報復テロの可能性が高いとわかっ
ていても、そのことについては口をつぐみ、テロであることを否
定したのです。それが国民の不安や反発につながることを警戒し
たからです。
 ところが、フランス、イギリスに続いて米国までが「爆発説」
を唱えはじめると、ロシア政府はエジプトへの航空便の運航を停
止すべきであると表明したのです。それがテロである可能性を認
めたからです。
 大韓航空機007撃墜事件でもロシアは後のことを考えていろ
いろな手を打っています。KAL007便をミサイル攻撃したソ
連戦闘機805号のパイロット、オシポーピッチ中佐は、攻撃後
ソコル航空基地に戻ると、総司令官のアナトリー・コルヌコフ大
佐に呼ばれ、次のような会話をしています。この会話はわざわざ
録音され、残されているのです。
─────────────────────────────
 コルヌコフ大佐:自身の眼で見たこと、レーダーで確認したこ
         とを報告せよ。機関砲をどのように操作した
         か。熱追尾式か、レーダー誘導式か。
 オシポーピッチ:両方を発射しました。
 コルヌコフ大佐:機関砲は発射したか。
 オシポーピッチ:2連射しました。反応はありませんでした。
         目標は前と同じように飛行を継続しました。
 コルヌコフ大佐:外観からは機種は特定できたか。
 オシポーピッチ:大型機に見えました。航空灯は点灯していま
         した。
 コルヌコフ大佐:爆発は確認したか。
 オシポーピッチ:爆発し、灯火が消えました。私は報告し、右
         に旋回、離脱しました。
 コルヌコフ大佐:灯火は消えたのだな。
 オシポーピッチ:目標は撃墜されなかったのですか?
 コルヌコフ大佐:目標は消滅した。しかし、目標はなぜか、ゆ
         っくりと下降していった。行動不能になった
         かして、モネロン島空域で消滅した。いまは
         誰にもわからないのだ。
       ──小山厳著/『ボイスレコーダー撃墜の証言/
      大韓航空機事件15年目の真実』/講談社+α文庫
─────────────────────────────
 オシポーピッチ中佐は、後の別のインタビューでは、KAL0
07便撃墜の瞬間を次のように語っているのです。こちらの方が
上記の会話よりもはるかに具体的です。
─────────────────────────────
 目標はもうちょっとで逃げ切るところだった。そのとき地上か
らまた命令がきた。「目標──撃墜」
 私は、「発射した。目標、撃墜した。攻撃から離脱する」と報
告した。ミサイルが爆発するのが見えた。熱反応ミサイルが左翼
に命中、エンジンを破壊、翼を半ば吹き飛ばした。
 黄色い炎がぱっと上がった。無線誘導式のミサイルは尾翼に命
中し爆発した。水平翼と舵翼が利かなくなった。操縦も利かなく
なっていた。すぐに明かりがみんな消えた・・・。
                 ──小山厳著の前掲書より
─────────────────────────────
 このオシポーピッチ中佐の話とKAL007便の機内の録音の
状況とは必ずしも一致しないのです。それがわかったのは、IC
AO(国際民間航空機関)のブラックボックスの解析です。もと
もと当時のソ連政府は、ブラックボックスは引き渡さないという
前提でアリバイ作りをしたからです。しかし、その後ソ連邦が崩
壊し、エリツィン政権によって、ブラックボックスが公開され、
ICAOによるブラックボックスの解析が行われたのです。
 攻撃機のスホーイ15戦闘機には、熱を探索して誘導するミサ
イルとレーダー誘導ミサイルの2つが搭載されており、オシポー
ピッチ中佐によると、これらのミサイルは2つとも発射され、K
AL007便に命中しているのです。しかし、ICAOは次のよ
うに報告しています。
─────────────────────────────
 これらのミサイルは3〜18グラム大の1400個の鉄破片を
生み出し、飛行の進行方向に18度から21度の角度で発散され
るように設計された20キログラムの高爆発弾頭をつけていた。
迎撃パイロットの「ミサイルが左翼の半分を取り去った」旨の供
述はたぶん不正確であった。(中略)攻撃を受けたあとの007
便の行動も、左翼に広範囲な損傷を受けたことを示していない。
                 ──小山厳著の前掲書より
─────────────────────────────
 オシポーピッチ中佐が話している「左翼を半ば吹き飛ばした」
というのは、明らかに矛盾するのです。第1のミサイルは午前2
時26分2秒に爆発しています。しかし、KAL007便から東
京ラジオへの最後の無線通信は、言葉が聞きとりにくく会話は成
立しなかったものの、午前2時26分57秒と、午前2時27分
21秒につながっています。
 この無線通信は、HF無線を使ったものなのですが、HF無線
は左翼の先端に付いており、左翼の半分がミサイルで吹き飛ばさ
れたのであれば、つながるはずがないのです。したがって、ソ連
の公式報告はウソということになります。
 ソ連としては、ブラックボックスはあくまで秘匿して、公開さ
れないことを前提として事態を取り繕ったのです。その時点では
その約8年後にソ連が崩壊するなどということは、世界の誰も予
測することはできなかったからです。領空侵犯の被害者でもある
ソ連は一体何を隠そうとしたのでしょうか。
           ──[航空機事故の謎を探る/030]

≪画像および関連情報≫
 ●予告されていた爆破/KAL007便
  ───────────────────────────
   007便が撃墜される10日ほど前、アメリカのワシント
  ンにある、ソビエト大使館に1通のファックスが送られてき
  た。発信者、発信元は不明で、文面には一行だけ「007便
  は爆破される。」と書かれてあった。
   このファックスを読んだ大使館員は、イタズラだろうとは
  思ったが、念のため内務省にこのことを伝えた。内務省で調
  査が開始され、要人の暗殺、テロ、怨恨(えんこん)など、
  あらゆる可能性から調査されたが、結局明確なことは分から
  ないままだった。
   ファックスを受け取ったのはソビエト大使館であるが、だ
  いたい、アメリカ発の旅客機が爆破されたところでソ連には
  何の関係もない。ましてや、当時は冷戦とは言われながらも
  軍事力も経済力もアメリカの方が圧倒的に上であり、もし戦
  争にでもなれば到底勝てるはずもない状況だったから、まさ
  かソ連軍がアメリカ発の旅客機を爆破するなどという挑発行
  為をする可能性もない。
   こういったことから、爆破予告はイタズラだろうというこ
  とで処理された。この時はまさか007便が領空侵犯によっ
  てソ連戦闘機に撃墜される、などという展開は誰も想像がつ
  かなかったのである。       http://bit.ly/1S86CWm
  ───────────────────────────

コルヌコフ司令官.jpg
コルヌコフ司令官
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月11日

●「007便の乗客乗員は生きている」(EJ第4156号)

 武本昌三という人がいます。室蘭工業大学助教授、小樽商科大
学教授、文部省在外研究員、フルブライト上級研究員、オレゴン
大学、アリゾナ大学、ノース・カロライナ大学、ロンドン大学各
客員教授を経て跡見学園女子大学短期大学部教授になり、現在、
同大学名誉教授という経歴の学者です。
 武本昌三氏は、不幸にも1983年9月1日に起こった大韓航
空機007便事故で妻子を失っているのです。武本氏はKAL0
07便事故に疑惑を抱き、米国に長期滞在しながら、この事件を
詳しく調査し、次の本を上梓したのです。
─────────────────────────────
                  武本昌三著/潮出版社
  『疑惑の航跡/大韓機撃墜事件 安らかに眠れ妻と子よ』
─────────────────────────────
 現在、この本は入手不能になっています。武本昌三氏は、この
本で、高橋五郎氏の本によると、大韓航空機007便事件につい
て次の3つの指摘をしているといいます。
─────────────────────────────
 1.大韓機ソ連領空侵犯は単なる人為ミスとは考えられない
 2.米国政府は同機の航路逸脱を知りながら警告していない
 3.日米両国とも、持てる情報の一部を作為的に隠している
                      ──高橋五郎著
          『早すぎた死亡宣告』/ジーオー企画出版
─────────────────────────────
 一番不可解なのは米国です。米国といっても当時のレーガン政
府という意味ではないのですが、一応この段階では米国というこ
とにしておきます。ちなみに米国は、マレーシア航空事故──M
H370便とMH17便事件でも、疑惑の対象になっています。
 もう一人ご紹介すべき人物がいます。その名前は、アブラハム
・シフリン氏です。シフリン氏はスターリン暗殺未遂事件に関連
したソ連のユダヤ人狩りで逮捕され、イスラエルのスパイという
罪状で死刑を宣告されています。しかし、土壇場で死刑を免れ、
減刑され、釈放されたのです。
 シフリン氏は、この長年にわたる収容所生活において、さまざ
まな重要な情報を掴んでいます。そのなかに大韓航空撃墜事件の
情報もあり、その内容は驚くべきものであったのです。その情報
とは、次の通りです。
─────────────────────────────
    大韓航空機007便の乗客乗員は生存している
─────────────────────────────
 釈放後、シフリン氏はイスラエルに移住し、「強制労働収容所
・精神矯正収容所リサーチ・センター」を設立します。そして、
そこでKAL007便の生存者の調査をはじめ、1993年まで
の追跡活動をまとめたレポートを発表したのです。これは「シフ
リン・レポート」と呼ばれています。
 当然のことですが、このシフリン・レポートは関係各国に大衝
撃を与えたのです。なお、このレポートは、米国におけるキリス
ト教団体の機関紙「ミッドナイト・メッセンジャー」(1994
年1・2月合併号)にも掲載されています。
 しかし、ソ連政府もワシントン政府もこれに対して完全無視の
姿勢を貫いたのです。これに立腹したシフリン氏は、1991年
7月11日にシフリン・レポートに関して記者会見を開こうとし
ます。しかし、当日一人の記者も、記者会見の会場に姿をあらわ
さなかったというのです。何者かが直前に「記者会見は中止」と
いうウソの情報をマスコミ機関に触れ回ったからです。
 そこでシフリン氏は、マスコミ各社の記者に会って資料を渡し
直接アプローチしたのですが、どこの社も取り上げようとはしな
かったのです。何か大きな圧力がかかって、シフリン・レポート
を潰しにかかったのです。
 ところが、1992年10月26日に乗客乗員生存情報は大き
く動いたのです。韓国の国会で、国民党(当時)の孫世一国会議
員が、「CIA秘密報告書」なる資料を掲げ、「大韓航空007
便の乗客乗員はソ連の強制収容所」で生きている」という爆弾発
言を行ったのです。
 この孫世一国会議員の爆弾発言を契機として、日本のマスコミ
も初めてこのニュースを大きく取り上げ、次のように大きく報道
したのです。
─────────────────────────────
 ●KAL機撃墜生存者がいた!?
  83年9月に起きた大韓航空(KAL)機撃墜事件をめぐり
 韓国の国会本会議で26日、野党議員が「米中央情報局(CI
 A)の極秘文書によると、KAL機は海上に不時着し、生存者
 もいた可能性がある」と“爆弾質問”する一幕があった。
  同事件では乗員・乗客269人全員が死亡したとされ、エリ
 ツィン・ロシア大統領も今月中旬、韓国などに関連資料を伝達
 した際、生存者はいなかったと説明したばかりとあって、韓国
 政府関係者は9年ぶりの生存者説に首をひねっている。
          ―――1992.10.27付、読売新聞
 ●大韓機事件でCIA報告書/生存者の可能性指摘
  1983年9月にサハリン上空で起きた大韓航空機事件で、
 米中央情報局(CIA)が最新、極秘報告書を作成し、同機が
 サハリン沖に不時着し、生存者がいる可能性があると指摘して
 いることが26日、明らかになった。同報告書は、生存者がい
 る場合、送還を求める『外交的な努力が必要だ』としており、
 日韓米の遺族らから抗議の声が上がることも予想される。韓国
 民主党の孫世一・韓国国際委員長が同日、韓国国会の対政府質
 問でこの報告書の内容を明かし、日韓米、ロシアの4ヶ国で共
 同調査団を作り、再調査するよう要求した。
          ―――1992.10.27付、朝日新聞
─────────────────────────────
           ──[航空機事故の謎を探る/031]

≪画像および関連情報≫
 ●KAL007便撃墜を指揮した元ソビエト空軍司令官が死亡
  ───────────────────────────
   1983年9月1日にニューヨーク発アンカレジ経由ソウ
  ル行きの大韓航空、KE007便の747−200、機体記
  号(レジ)「HL7442」を撃墜し、乗客乗員269人を死
  亡させた事件を指揮したソビエト空軍の元司令官アナトリー
  ・コルヌコフ氏が、2014年7月1日に72歳で死亡しま
  した。ニューヨーク・タイムズが報じています。
   大韓航空機撃墜事件は、大韓航空機がソビエトのカムチャ
  ツカ半島を横切るなど領空侵犯し、ソビエト空軍のスホーイ
  Su−15がミサイルで撃墜した事件です。冷戦期で敵対陣
  営の機体とはいえ、大勢の民間人が乗った旅客機を撃墜し死
  亡させた事件とあって世界に衝撃を与えました。
   ソビエト空軍は大韓航空機をアメリカのスパイ機と判断し
  当時サハリン地区の防空を指揮していたコルヌコフ氏がSu
  −15のパイロットに撃墜を指示しました。その後、コルヌ
  コフ氏は、1998年にエリツィン大統領からロシア空軍司
  令官に任命され再び注目を集めました。
   1998年に行われたロシアのテレビのインタビューで、
  事件の感想を求められた際にコヌルコフ氏は「嫌な思い出で
  傷跡を残し、白髪を増やした」そして「私は常に正しい命令
  を下したと確信している。時として戦略的な作戦では軍隊を
  守るため大勢を犠牲にしなければならない」と話しました。
                   http://bit.ly/1SBifG6
  ───────────────────────────

武本昌三氏の本.jpg
武本 昌三氏の本
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月12日

●「何が起きるか知っていた米CIA」(EJ第4157号)

 韓国の孫世一国会議員が入手したとされるCIA秘密報告書に
は何が書いてあったのでしょうか。
 実物がネットでも見つからないので、高橋五郎氏の本を参照し
て、その一部を以下に要約します。
─────────────────────────────
◎事件発生時点における日本の自衛隊とソ連のレーダー記録を入
 手したが、両方の記録は一致している。
◎これによると、大韓航空007便はソ連機の攻撃を受けたあと
 3万5千フィートの上空から、12分間をかけて下降し、ゼロ
 ポイントまで記録されている。
◎CIAは、レーダー画面から機影が消えたと同時に、ソ連軍司
 令部が着水予想地点に向けて、沿岸警備隊の救助船8隻を向か
 わせた事実を把握している。
◎CIAは、ソ連最高会議議長アンドロポフが、KAL007便
 のアンカレッジ離陸以後の動きに特別な関心を持っていた事実
 を把握している。
◎KAL007便の機体は洋上に着水したが、4時間以内にKG
 Bの沿岸警備艇による機体の捜索活動が始まった事実をCIA
 は把握している。
◎KGBはKAL007便の機体を発見すると、乗客乗員を救助
 し、ブラックボックスを回収した後で、KAL007便を爆破
 して海底に沈めた事実をCIAは把握している。
                      ──高橋五郎著
          『早すぎた死亡宣告』/ジーオー企画出版
─────────────────────────────
 CIA秘密報告書は、「日本の自衛隊のレーダー記録」にも言
及しています。自衛隊のレーダーとは、具体的には稚内の航空自
衛隊のレーダーサイトのことです。このレーダーサイトでは、K
AL007便の航跡と、傍受したソ連戦闘機とソコル航空基地と
の通信内容を分析し、事件から7時間後の9月1日午前10時過
ぎに防衛庁長官から後藤田正晴官房長官(当時)に「KAL00
7便はソ連戦闘機の空対空ミサイルによって撃墜された」という
報告を上げています。もちろん中曽根康弘首相もこの時点で事件
のことを知ったことになります。
 結局日本としては、この時点で事実を発表すると、高度の軍事
機密である通信傍受能力をソ連側に知られることになるので、撃
墜の事実の公表は差し控え、米国との緊密な連絡をすることにと
どめたのです。
 このCIA秘密報告書によると、CIAは、KAL007便が
ソ連の領空を侵犯をすることを最初から知っていたことになりま
す。そして実際にKAL007便は航路を大きく外して飛行した
のですが、そのことをKAL007便に知らせていない。米ソ冷
戦の時代であるだけに、ソ連領空を長時間侵犯を続ければ、スパ
イ飛行とみなされ、撃墜される恐れがある危険を知っているにも
かかわらずです。
 実際にKAL007便はソ連戦闘機に撃墜される結果になった
のですが、それに対してシュルツ国務長官(当時)は、強制着陸
という情報があったのに、早々に「全員死亡」のニュースを流し
ソ連政府も9月6日にソ連声明を出し、「全員死亡」を認めてい
ます。これは「死亡宣告」そのものといえます。
 1991年になって、ソ連のゴルバチョフ政権の進めるグラス
ノスチ(情報公開)のうねりに乗って、シフリン・レポートやC
IA秘密報告書によるKAL007便の乗客乗員の生存情報が出
てくるのです。これは驚天動地のことです。
 実は、大韓航空007便撃墜事故の起きた1983年9月1日
〜3日間、韓国ソウルで米韓防衛条約30周年記念会議が開催さ
れているのです。そのため、多くの米議員が、ニューヨーク発ア
ンカレッジ経由ソウル行きのKAL007便に登場する予定にな
っていたのです。そのなかには、ニクソン元大統領もいたといわ
れます。
 しかし、KAL007便に搭乗して犠牲になったのは、ラリー
・マクドナルド下院議員だけだったのです。ニクソン元大統領に
ついて、1983年9月25日付の朝日新聞は、次のように報道
しています。
─────────────────────────────
 ソ連領空を侵犯した大韓航空(KAL)機には、ニクソン元大
統領も乗ることになっていたが、出発直前に搭乗をとりやめた。
これは事前に何らかの情報が告げられていたからに違いない──
スパイ飛行説を主張し続けるソ連は24日、こんな新事実≠
持ち出した。
 同日付のソビエツカヤ・ロシア紙は、これまで西独クイック誌
だけが伝えたというこの事実に注目し、これを引用しながら、ニ
クソンが予約していたのはKAL007便第一列B2席であり、
この席は事故の犠牲になったマクドナルド米下院議員(民主)の
席に近かった、と報じている。
 また、ニクソン氏だけが搭乗をとりやめたのは、元大統領まで
危険にさらすにしのびなかった米特務機関の事前通告があったた
めに違いない、とみる西独平和活動家などの発言を伝え、こうし
た見方に説得力を持たせようとして、大統領在任中の同氏と米中
央情報局(CIA)などの親密な協力関係″を指摘している。
            ──1983年9月25日付朝日新聞
─────────────────────────────
 もっともこのときニクソン大統領サイドは、「常時、国内外か
ら多くの招待を受けており、ソウルでの米韓防衛条約30周年記
念会議への招待もそのひとつであるが、結局出席を断った」と述
べ、KAL007便はもとより、他のソウル行きの便にも乗る予
定はなかったとして、この事実を否定しています。
 どうやら米CIAの仕掛けたこの大韓航空機撃墜事件は、複合
的な目的を持つ謀略ではないかと思われるのです。
           ──[航空機事故の謎を探る/032]

≪画像および関連情報≫
 ●大韓航空機007便の生存者情報
  ───────────────────────────
   007便に生存者あり、ロシア強制収容所に抑留中、マク
  ナルド米国下院議員は、モスクワのルビヤンカ刑務所に収監
  中。此の報告書の著者はシフリンなる人物。住所はイスラエ
  ル国エルサレム市91235ラモン私書箱23678号。シ
  フリンの肩書はソ連刑務所・精神刑務所・強制労働収容所調
  査センターの理事。報告書の共著者の名前もE・シフリンと
  あり、肩書は事務局長になっている。二人は家族か兄弟なの
  だろう。
   前書きにはこう書いてある。「以下は1983年樺太沖で
  撃された太韓航空ボーイング747型機(007便)と、其
  の乗員乗客の不可解な消失に関するCIAの暗号文極秘報告
  書を分析したものである。」
   二人の報告書を紹介するのは、米国のキリスト教団が発行
  元の機関新聞『ミッドナイト・メッセンジャー』紙。報告書
  掲載日は94年1・2月号となっている。89年以降からこ
  の事件の犠牲者(行方不明の乗客ら)について追跡調査を続
  けてきた彼等(調査センター)は、90年になってある確証
  を得たという。その大韓航空機はソ連空軍機が発射した二発
  のミサイルで大破して海中に沈んだのではなくて、樺太に近
  いモネロン島付近の浅い海に軟着水させられた。乗客(この
  中には米国下院議員ローレンス・P・マクドナルド氏も含ま
  れる)と乗員はソ連軍沿岸警備隊の手で洋上に浮かぶ機体か
  ら連行された。          http://bit.ly/1HGfLQq
  ───────────────────────────

リチャード・ニクソン元米大統領.jpg
リチャード・ニクソン元米大統領
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月13日

●「助けられた議員と無視された議員」(EJ第4158号)

 大韓航空機撃墜事件は、明らかに仕組まれた事件であるといえ
ます。なぜなら、この事件が起きることを事前に知っていた人物
ないし団体があったからです。
 KAL007便に搭乗する予定だった米国議員は、ニクソン元
大統領のほかにも多くいるのです。しかし、ある一人の議員を除
いて、搭乗数日前に“ある電話”があって、1983年8月31
日、ロサンゼルス発のKAL015便に乗り換えています。彼ら
は九死に一生を得たことになります。
 その命拾いをした米議員のなかに、ジェシー・ヘルムズ上院議
員と同僚のスティーブン・シムズ上院議員の2人がいます。この
なかでヘルムズ議員は、後に出てくる生存者情報と密接な関係が
あるのです。
 これら2人の議員について、9月8日付、産経新聞は次のよう
に伝えています。
─────────────────────────────
 両議員はソウルでの米韓安保関係会議(9月1日〜3日)に出
席のため、8月31日ニューヨーク発の007便を予約していた
が、国内の政治活動日程の都合により、数日前になって″(議
会筋)31日、ロサンゼルス発のKAL015便に変更したとい
う。・・・・ヘルムズ議員らが出発直前に搭乗便を変更したこと
は犠牲者の遺族の気持ちなどを考えて公表が差し控えられてきた
ようだ。
 撃墜後、ヘルムズ議員はただちに米国務省に対し、同議員の搭
乗予定とソ連軍機による撃墜との間に何らかのかかわり合いがあ
るのではないかと調査を進めている。米議会筋は、ヘルムズ議員
は米政権が対ソ融和を図ろうとするときに、常に最大の阻止力に
なってきたことを指摘するとともに同議員の007搭乗予定
は韓国へ電話連絡されていたことからソ連側も知りえたはずだと
し、撃墜とヘルムズ議員搭乗予定との関係は、証明することも
できないが、同時にその可能性も排除できない。今後の真相究明
に当って配慮されるべき要素だ″とコメントしている。
            ──1983年9月8日付、産経新聞
─────────────────────────────
 この命拾いをした議員の一人であるジェシー・ヘルムズ上院議
員は、共和党の重鎮で、上院外交委員会委員長などを歴任したベ
テラン議員で、2008年7月4日に死去しています。
 KAL007便に生存者がいることを伝えたレポートの制作者
であるシフリン氏は、このヘルムズ上院議員に生存者の件を議会
で取り上げてもらう窓口として白羽の矢を立て、ヘルムズ議員宛
に生存者情報を送ったのです。そのヘルムズ事務所から「この件
について確認」というメッセージがシフリン氏に届いたのは19
90年11月のことです。
 そして1991年5月に、ヘルムズ議員の側近幹部と名乗る3
人の男──J・シェル博士、サリバン博士、V・ヘディの3人が
エルサレムのシフリン氏のところに訪ねてきたのです。
 そのとき、シフリン氏はソ連から特別に招いた収容所看守2名
を証人として彼らに面接させる労までとっています。このときの
ことをシフリン・レポートは次のように伝えています。
─────────────────────────────
◎3人の幹部らは、大韓航空ボーイング747機のKAL007
 便は大破せず、緊急着水して乗員乗客らは無事生存している、
 とするわれわれの主張を完全に納得した。
◎われわれは調査結果をヘルムズ議員に渡す以上、KAL007
 便269名(うち合衆国市民63名)を誘拐する結果になった
 この事件を、上院公開聴聞会の議題としてヘルムズ議員が取り
 上げ、行政レベルで徹底調査するよう3人に依頼した。
◎そういう調査をワシントン政府は、早めに進めておくべきだっ
 た。しかし、本件に関しては、調査と名のつくものがただの一
 度も行なわれなかった。飛行機事故発生直後に通常実行される
 おきまりの調査でさえも・・・       ──高橋五郎著
          『早すぎた死亡宣告』/ジーオー企画出版
─────────────────────────────
 このとき、シフリン氏は「ヘルムズ議員ならきっとやってくれ
るだろう。米国国民も63人もいるのだから」と期待していたと
いいます。しかし、アクションは何も起こらなかったのです。
 その代わり、ワシントン・ポスト紙の編集者、エリザベス・ラ
リー・ウェイマウス女史が、ヘルムズ議員の紹介状をもって、シ
フリン氏のもとに取材に訪れたのです。必ず記事にすると約束す
るので、シフリン氏は生存者の証拠資料を渡し、ウェイマウス女
史はそれを米国に持ち帰ったのです。
 しかし、すべては期待外れだったのです。ヘルムズ議員からも
ウェイマウス女史からも何の連絡もなく、無視されたのです。あ
まりのことにハラを立てたシフリン氏は、自ら記者会見を開いて
そのことを訴えようとしたのですが、記者会見会場には記者が誰
ひとり現れず、不発に終わったことは、11日のEJ第4156
号で述べた通りです。
 おそらくシフリン情報は米国のCIAとソ連のKGBに渡った
ものと思われます。その結果、CIAからは例のCIA秘密報告
書が作成されています。CIA秘密報告書は明らかにシフリン・
レポートを下敷きにしているからです。
 それでは、KGBはどう動いたかというと、イズベスチヤ紙に
よる大韓航空機007便撃墜事件についての「事件の真相」と題
する25回にわたる連載記事が掲載されたことです。もちろん、
この連載では生存者情報は出ていませんが、何も報道しないより
は、大きな前進だったといえます。
 高橋五郎氏は、これは「シフリン・レポートをまったく無視し
ようとした米ソ両国が歩調を合わせて行った事件の隠蔽作戦」で
あるとしています。米ソどちらもいまさら、生存者がいることを
正式に認めることなどできるはずがないからです。
           ──[航空機事故の謎を探る/033]

≪画像および関連情報≫
 ●アブラハム・シフリンの再調査
  ───────────────────────────
   1993年まで、KAL007便の乗員乗客は全員死亡と
  ロシア共和国大統領ボリス・エリツィンによって宣告されて
  いたが、アブラハム・シフリンはKAL007便便の生存者
  がいる事を告発した。シフリンの話によれば、乗客はKGB
  によって捕らえられ、荷物と一緒に矯正収容所へ連れ去られ
  た。民間機を装ったスパイ機と知らされていれば、KGBは
  KAL007便の生存者たちを、いつ、どこへ連れて行き、
  何をさせていたか。シフリンはそれに関して詳しい情報を得
  ており、ソビエト社会の暗部の仕組みをまじえて告発した。
  その話の中には、非常に正確な情報もあるため、彼の話の全
  てを否定する事はできない。
  @アメリカ合衆国上院議員ジェシー・ヘルムズは、アブラハ
  ム・シフリンからKAL007便に関する情報と報告書を受
  け取っている。
  Aジェシー・ヘルムズ上院議員は、アンカレッジでKAL0
  07便に乗ったグレンフェル家の娘たち、3才のステーシー
  と5才のノエルを直接見送った。「例え一千年生きようとも
  私はあの少女たちの事を忘れない。私の膝の上で遊び、笑い
  頬に口付けしたあの娘たち。愛らしい2人の少女。忘れよう
  にも忘れられるものではない。なぜ、あの少女たちが犠牲に
  ならなければならないのだ」。   http://bit.ly/20NpcJl
  ───────────────────────────

ヘルムズ上院議員.jpg
ヘルムズ上院議員
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月16日

●「電話のなかったマクドナルド議員」(EJ第4159号)

 現在EJでは、32年前の大韓航空機撃墜事件を振りかえって
います。しかし、あくまで今回のメインテーマは、2014年に
相次いで起こった2回のマレーシア航空事故の謎解きです。しか
し、この事故の原点が大韓航空機撃墜事件にあると考えているの
で、それを探っているところです。
 状況を整理します。1983年9月1日に韓国のソウルで米韓
防衛条約30周年記念会議が開催され、多くの米国議員が出席し
ています。その会議に出席するには、次の2つの便が便利だった
のです。
─────────────────────────────
  1.ニューヨーク発/アンカレッジ経由KAL007便
  2.ロサンゼルス発/アンカレッジ経由KAL015便
─────────────────────────────
 両機のソウル到着時間は、KAL007便がKAL015便よ
りも27分早く着き、給油地のアンカレッジでは両機が相次いで
駐機しているのです。そのため、アンカレッジのトランジェット
・ラウンジでは両機の乗客は一緒になり、ひとときを過ごしてい
るのです。
 しかし、ニクソン元大統領をはじめ、ジェシー・ヘルムズ議員
やスティーブン・シムズ上院議員らには“秘密の電話”があり、
007便搭乗の予定を015便に乗り換えて、九死に一生を得て
います。ところが、この“秘密の電話”がかかってこなかった米
国議員が一人いるのです。ラリー・P・マクドナルド下院議員が
その人です。彼にはなぜ電話がなかったのでしょうか。
 ラリー・P・マクドナルド下院議員とは、どういう議員だった
のでしょうか。
 マクドナルド下院議員は、徹底した反共主義者として有名であ
り、ともに強い反共主義として知られる時のレーガン大統領と意
見の違いはないように思えます。ただ、米国大統領よりもっと上
の存在が、マクドナルド議員を危険な存在として認識していたフ
シはあるのです。この「米国大統領よりもっと上の存在」につい
ては改めて述べます。
 既出の高橋五郎氏によると、マクドナルド議員が危険な存在と
された理由の一つとして、事件の前年の1982年1月27日の
議会演説にあるとしています。彼は、この演説で「米国の国連脱
退」を強く訴えていたのです。
 これまで国連憲章に反対票を投じた米国の議員は2人しかいな
いのです。1人はランガー上院議員、もう一人がマクドナルド議
員なのです。マクドナルド議員は次のように発言しています。
─────────────────────────────
 国際連合は35年にわたり、そのほとんどを合衆国の納税者の
負担によって、途方もない陰謀に、ほしいままにふけってきまし
た。その陰謀とは、わが共和国をソ連および共産系第三世界に支
配される世界政府の奴隷となさんとする陰謀です。このようにさ
んざん陰謀をほしいままにされて、責任ある役人も心ある市民も
ますます大勢が手を引きたいと思っているのであります・・・。
    ──1982年1月27日/議会議事録・発言補遺より
─────────────────────────────
 国際連合について、一番ノーテンキな国はおそらく日本でしょ
う。多くの日本人は、国連は国際問題を解決し、平和維持のため
の機関と考えています。しかし、米国では、国連からの脱退を訴
える人は少なくないのです。
 2003年6月のことです。ニューヨーク市に住む有名な映画
スターのジェリー・ルイス氏は、FOXテレビに出演し、次の発
言を行っています。
─────────────────────────────
 国連をなくせば世界のトラブルはずっと減る。世界各国から代
表がここニューヨークにきて、外交特権をよいことに違法駐車を
して、劇場でショーを見て、高級ホテルに住む。ボスニアで虐殺
が起きても、インドとパキスタンが核爆弾を破裂させても、彼ら
は何もしない。国連の連中は、自分の存在の正当性のためにトラ
ブルを絶やさないようにする。いつも他人のカネを使う活動とい
うのはジョークだ。国連なんて不要だと、私は20前から思って
いた。      ──古森義久著『国連幻想』/産経新聞社刊
─────────────────────────────
 この発言はきわめて激しい国連批判といえます。国際間のトラ
ブルをなくすため、解決するために国連は存在するので、国際間
のトラブルがなくなるとその存在価値を問われる。したがって、
あえて多くのトラブルを作り出して存在を維持しようとしている
というのです。
 現在の国連ビルが存在するニューヨークの一等地の広大な敷地
は、実は国際金融財閥のロックフェラー家が無償で寄付したもの
なのです。しかし、「タダより高いものはない」といいます。こ
れは、ロックフェラー家の周到な考え方に基づくひとつの事業な
のです。マクドナルド議員は、この国連に真正面から反対し、議
会で発言しています。したがって、ロックフェラーを中心とする
米国政府を超える存在は、マクドナルド議員を危険な存在とみな
したのです。
 ここにひとつのヒントがあります。ある人物や団体を合法的に
抹殺するために、飛行機事故はひとつの有力な手段であるという
ことです。その団体をまとめて一つの飛行機に乗せることに成功
すると、その飛行機を何らかの方法で墜落させれば、その団体ご
と抹殺することができます。
 もちろん関係のない乗客乗員を巻き込みますが、その存在があ
るからこそ「事故では仕方がない」と思わせることができるので
す。撃墜されたウクライナ航空17便には、国際エイズ会議に出
席するため、100名以上の関係者が同機に搭乗していたといわ
れています。米韓安保会議と国際エイズ会議──このあたりも大
韓航空機の撃墜事件のケースときわめて類似点が多いのです。
           ──[航空機事故の謎を探る/034]

≪画像および関連情報≫
 ●米国の陰の政府/ロックフェラー
  ───────────────────────────
   「人民の、人民による、人民のための政治」――米国の建
  国の精神であり、現在米国はそれを世界中に輸出していると
  いっていますが、ジョセフソンは米国の実体はそのようなも
  のではなく、次のようなものであるといっているのです。
  ───────────────────────────
   米国の実体は少数の支配家系による強固な独裁政治である
  ───────────────────────────
   つまり今までの米国の大統領の大部分が血脈上つながって
  おり、東部エスタブリッシュメントを形成しているのです。
  血脈がつながっていれば一族のようなものであり、一体とな
  って支えることによって米国を支配できるのです。
   しかし、米国国土の中西部や西部、南部が開拓されるにつ
  れて血脈がつながっていない者もホワイトハウスの主になる
  者も出てくることになります。例えば、ニクソンやレーガン
  は西部、カーターやクリントンは南部の出身であり、血脈は
  つながっていないのです。
   こういう場合は、勝手なことをさせないように、政権にス
  タッフを送り込み、国家運営の実権を握ってしまうのです。
  このことはカーター政権やクリントン政権のケースでも分析
  した通りです。もし、彼らが勝手なことをしようとすると、
  間違いなく失脚させられるか、命を奪われることもあるので
  す。   ──2006年5月16日付、EJ第1835号
                   http://bit.ly/1MeRCo0
  ───────────────────────────

国連ビル.jpg
国連ビル
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月17日

●「ビルダーバーグ会議の目的は何か」(EJ第4160号)

 ラリー・P・マクドナルド下院議員──「米国大統領を超える
存在」が、危険人物として、米国議員でありながら、撃墜される
可能性の高い大韓航空機007便を使って亡き者にしようとした
政治家です。しかし、いかに危険人物であるからといって、抹殺
しなければならないほどの人物なのかについて疑問を持つ人は多
いと思います。
 世の中には、必ず表と裏があるものです。「ビルダーバーグ・
クラブ」(ビルダーバーク・ソサエティ)というものがあります
ますが、ご存知でしょうか。
 ビルダーバーグ・クラブは、「陰のサミット」と呼ばれ、表の
サミットのように、定期的に国際会議を開いています。といって
も必ずしも秘密会合ではなく、出席者や議題などはウェブサイト
でも知ることができます。しかし、その討議内容の詳細がわかる
ほど開いた会合でないことは確かです。
 ポーランドの政治活動家であるジョセフ・レティンガーという
人物が、オランダのベルンハルト王配(王配=女王の配偶者)に
対して、欧米の有力者を集めて、諸問題について定期的に討議す
る国際会議を開くべきであると提案したのです。
 そこでベルンハルト王配が関係各方面に働きかけて、1954
年5月に、オランダヘルダーラント州レンカムのオーステルベー
クにあるビルダーバーグホテルで、その第1回の会合を開催して
います。以後、毎年会議は行われています。今年も6月にオース
トリアで開催されています。毎年、米国から30人、欧州各国か
ら80人、国際機関などから10人が参加しています。日本など
非欧米諸国はお呼びではないのです。ちなみに、ビルダーバーグ
・グラフは、日本の受け入れを拒否しているのです。
 こうした陰のグループを束ねている陰のグローバル政府をロッ
クフェラーと名指しで批判した次の本があります。
─────────────────────────────
             ゲイリー・アレン著/高橋良典訳
 『見えざる世界政府/ロックフェラー帝国の陰謀』パート1
                     自由国民社刊行
─────────────────────────────
 実は、この本の冒頭にラリー・P・マクドナルド下院議員によ
る本書の推薦文があるのです。本書を現在入手するのはかなり困
難であるので、かなり長文ですが、一部をカットして、以下にご
紹介します。
─────────────────────────────
 読者のみなさん、あなた方はアメリカに我々が想像する事も出
来ないほど巨大な富と権力をもった億万長者がいる事を知ってお
られるだろうか。
 その一族は、地球の各地に100か所も邸宅を持ち、2500
人の使用人を抱え信じられないほどのぜいたくな暮らしをしてい
る。彼らの富は、大国の富にも匹敵し、大国の規模を超えて地球
の全土にわたっている。
 およそ1個人ないし1家族が一国の富を上回る私的な富と権力
をもち、この地球上に見えない帝国を築いている事をあなたは想
像できるだろうか。
 これは全く信じられない事だが、アメリカには数世代にわたっ
てそのような富を蓄え、金の力でアメリカばかりでなく全世界を
支配しようとしようとしている闇の帝王がいる。
 それは誰か・・・ロックフェラーである。(中略)
 もし、ロックフェラー一族がその富に満足し、その富が彼らの
欲望が十分に満たされてきたのなら本書は書かれなかったであろ
う。そして私が、読者にこの本を読むよう強くお勧めする事もな
かったはずだ。
 著者のゲイリー・アレンは、本書の中で従来断片的にしか扱わ
れる事の無かった数多くの事実をまとめ上げ、ロッフェラー一族
の巨大な富と権力が如何にして形成され、彼らが何を目的として
行動してきたかを明らかにする素晴らしい仕事を成し遂げた。
 これにより読者は、今まで必ずしもそのつながりがはっきりと
しなかった幾つかの事件について、その背後には、世界政府実現
を目指す彼らの意思が働いている事を確認する事が出来るであろ
う。とにかくこの驚くべき事実を扱ったこの「ロックフェラー・
ファイル」をぜひお読みいただきたい。
 本書の内容をお読みになれば、読者はなぜロックフェラー一族
が現在の政策を推し進めているのか、また彼らは何を目指し、我
々を何処へ連れていこうとしているのか、そして我々はなぜかれ
らの圧力に屈してはならないのかがお分かりになるだろう。
                   http://bit.ly/1RWHgLj
─────────────────────────────
 権力者が一番恐れるのは、優れた思想家の存在です。なぜなら
それらの思想家は、多くの人の考え方を変える力を持っているか
らです。ましてマクドナルド氏は下院議員であり、それだけでも
大きな影響力を持っています。そのマクドナルド議員は議会でも
このことについて発言していますし、本などにここまで書かれれ
ば、世界政府を目指そうとする側が、その存在に強い危機感を感
じても不思議ではないのです。だからこそ、マクドナルド議員に
だけは、KAL007便をキャンセルせよという秘密の電話がか
からなかったのです。
 しかし、シフリン・レポートによると、KAL007便はソ連
の戦闘機によって撃墜されたものの、機体は無事着水して、乗員
乗客は生存しているといわれています。ということは、マクドナ
ルド議員も生存していることになります。
 しかし、ソ連時代も崩壊後のロシアも、あくまで「乗客乗員全
員死亡」といいはっています。米国もシフリン・レポートを再三
にわたって無視し、生存者の調査をやろうとはしません。両国と
もいまさら生存者が現れては困るからです。それにしても、もし
生存しているとすれば、彼らはいまどのようにして暮らしている
のでしょうか。    ──[航空機事故の謎を探る/035]

≪画像および関連情報≫
 ●世界を陰で操る「ビルダーバーグ会議」の目的
  ───────────────────────────
   「ビルダーバーグ会議」をご存じだろうか。これは「陰の
  サミット」とも呼ばれ、1954年以来、毎年5月の終わり
  に3日間、非公開で行われるもので、今年もオーストリアで
  開催された。会場となったホテルには、有名な政治家や官僚
  欧米の財界人や王族、貴族、大手メディアの幹部など世界的
  に大きな影響力を持つ人々が集まり、政治経済や環境問題な
  ど多様な国際問題が議論されたと言われている。
   メンバーはイルミナティ(啓蒙結社)に属し、この会議の
  決定に従って、各国政府、財界への工作、メディアを通じた
  世論操作を行い、陰で世界を動かしていると囁かれてきた。
   冷戦時代にNATOとアメリカの橋渡し役になったとも伝
  えられ、実際1991年の会議に出席したビル・クリントン
  は1993年、大統領に就任。トニー・ブレアも1993年
  に出席し、1997年に英首相に選出されている。
   これまで会議の内容が完全非公開のため、真実は明らかに
  されてこなかった。しかし昨年、長年調査し続けてきたフィ
  リッツ・スプリングメア氏に、会議冒頭のウィリアム・バン
  ・ドゥイン氏によるスピーチがメールで送られる。その内容
  の1部をご紹介しよう。      http://bit.ly/1X0diHt
  ───────────────────────────

ロックフェラー・ファイル/1.jpg
ロックフェラー・ファイル/1
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月18日

●「マクドナルド議員は生存している」(EJ第4161号)

 大韓航空機007便は、長時間にわたってソ連の領空を侵犯し
ソ連の戦闘機による2発のミサイルの攻撃を受けましたが、時間
をかけてゆっくりと下降し、モネロン島沖に無事着水したとみら
れます。その後、乗客乗員はどうなったのでしょうか。
 シフリン・レポートによって、その後のKAL007便の乗客
乗員の消息を探ってみることにします。
─────────────────────────────
 ソ連軍戦闘機によって攻撃された同機は、サハリンに接するモ
ネロン島(海馬島)沖に着水。機体はほぼ無事で、そのまま沈み
もせず、暗い波間に浮かびつづけた。その洋上の機体に、KGB
の沿岸警備艇が接近、機体の中にいた乗員乗客は、警備艇に乗り
移った。無人になった機体は、深度の浅い海域へと警備艇に曳航
され、そこで爆破され、海底に沈められた。
 サハリン島のKGB基地の警備艇に乗せられた乗員乗客は、本
土のKGB管轄C区域のソブガバン基地へと、9月4日までに全
員が運ばれた。沿海州のソビエツカヤガバニである。
 子どもたちはそこで両親と離され、成人男女も別々に分離され
た。グループ別にティンダに向けて移送された。あの3歳のステ
ーシーと5歳のノエルは、ソブガバンに設けられた臨時の孤児収
容所に他の子どもたちと収容された。同年10月を過ぎてからそ
こを出て、ウラジオストック、オムスク、バマウル、そしてカザ
フ共和国(現カザフスタン)の孤児収容所へと送られた。分離さ
せられた成人男女が、ティンダ駅からどこの収容所へ送られたか
は不明である。               ──高橋五郎著
          『早すぎた死亡宣告』/ジーオー企画出版
─────────────────────────────
 マクドナルド議員はどうなったのでしようか。
 マクドナルド議員は、他の乗員乗客とは別の扱いを受けていま
す。1983年9月8日になって、KGBが特別に用意した飛行
機で、ハバロフスク経由で、モスクワに送られているのです。そ
して、市内のKGBの監獄ルビヤンカで尋問を受け、「囚人ナン
バー3」と呼ばれるようになります。その後はレフォルトボ収容
所に数ヶ月間収監され、毎日尋問を受ける日々を過ごします。
 モスクワ近郊のスハーノファにあるKGBのダッカ(夏期保養
所)、さらにカザフ共和国のカラガンダ監獄へとぐるぐると監獄
を移されます。待遇は悪くなく、マクドナルド議員へは、市内の
レストランから運び込まれる食事が与えられていたのです。
 しかし、連日の尋問と特別の「治療効果」によって、マクドナ
ルド議員は、自分が誰であるのかがわからなくなってしまったの
です。KGBの狙いはここにあったのです。
 1993年当時の収容所の看守からの情報によると、マクドナ
ルド議員の様子は次のようになっています。
─────────────────────────────
◎看守は議員の姿をコンピュータ画面で見ていた。画面に映しだ
 された米国人は、マクドナルド議員に間違いなかった。議員は
 カラガンダ監獄からライトバンで運ばれてきた。厳重に封印さ
 れた茶封筒には、議員のおそらくプロファイリングがはいって
 いたようだ。議員は毎週散歩するよう義務づけられていた。毎
 週1日だけカラガンダ監獄からKGBの担当官(将校)がきて
 尋問を続けた。担当官は収容所の囚人全員の変化をチェック、
 囚人間の会話を厳禁した。毎度同じそれらの仕事が繰り返され
 ている・・・。
◎1987年にはカラガンダ監獄からカザフのその小さな収容所
 へ護送される議員の姿が確認された。KGBの監視は徹底ぶり
 を極めていたから、その囚人(議員)は特別な虜囚にちがいな
 い、と収容所内の誰もが密かに噂しあった。注目を集めていた
 だけに議員の動向は把握しやすかった・・・。
                ──高橋五郎著の前掲書より
─────────────────────────────
 その後、マクドナルド議員はどうなったでしょうか。
 少なくとも2008年までは生存しています。添付ファイルを
見てください。この写真は、2008年3月に撮影されたマクド
ナルド議員の貴重な写真であるといわれます。
 左側は大韓航空007便撃墜時の1983年当時のマクドナル
ド議員であり、右側は2008年当時のマクドナルド議員である
というのです。ロシアのチュクチ自治管内のアナディリで生活し
ている遊牧民のビデオに出ていたといよわれます。
 右側の写真は一見すると、とてもマクドナルド議員には見えま
せんが、この写真の出ているサイトによると、次の分析を加えて
本人であることを確認しています。
─────────────────────────────
 眉間のY字型、鼻と鼻の下の長さが、マクドナルドと一致して
いる。25年前と比較すると顔が面長に変化している。しかし、
特に上唇と下唇の形、鼻から口にかけて皺の溝の形が左右完全に
一致している。1983年の彼の顎の骨の形は二股型。この画像
1枚からだと一瘤型のようだが、場面を少しずらすと顎の下の先
がふたつに分かれ、顎先の真ん中にわずかな窪みがある。眉毛と
目の大きさが変化している。
 しかし、歯が小さめで弱いため、下顎の歯の大きさを見る事が
できれば、それで確認する事ができる。マクドナルドは、目が、
時々ギョロリと大きくなる人で、視線などにも彼の特徴が表れて
いる。右側の画像の人がラリー・マクドナルドと確信したのは、
彼の左側の頬の肉付きと頬から鼻の根元までの面積比や角度が全
く同じで、左側の顔に対する右側の顔の面の角度と形、頬骨によ
る。左側の頬骨は逆三角形型、右側の頬骨が平ら。左右非対象で
似ているだけでは済まされない同一性がある。1983年の事故
当時48才。2010年、現在も生存していれば75才というこ
とになる。              http://bit.ly/1HNEM1o
─────────────────────────────
           ──[航空機事故の謎を探る/036]

≪画像および関連情報≫
 ●大韓航空機撃墜事件を検証する(事件直後のまとめ)
  ───────────────────────────
   1983年9月1日(木)午前3時26分20秒、ソ連防
  空軍サハリン・ソーコル基地所属のスホイ15戦闘機の発射
  したミサイルはアンカレッジ発ソウル行き大韓航空KAL0
  07便乗員・乗客269名に向かって、白煙を噴いて突進し
  た。240名の乗客の多くは他社よりも割安な運賃で大韓機
  に乗る事を決めたのであろうが、誰もが飛行は順調に続いて
  いると確信し眠りについていたに相違ない。しかし、その直
  後に始まった急降下に眠りから覚めた者も、眠ったままの者
  も27分10秒に命中するミサイルの接近を知る筈もない。
   ミサイルは2発。1発或いは両方が赤外線誘導による物で
  あった。ジェットエンジンの排出する熱を求めてミサイルは
  追尾する。エンジン部に命中すれば主翼の半分近くは破壊さ
  れ正常な飛行を続ける事は不可能であろう。1万メートル近
  くの高度から5千メートルに急降下した時、客室内の気圧は
  急激に低下し、乗客は救命着も付けないままで恐怖に耐えて
  いたのであろう。海面に激突する38分迄の間、損傷した機
  体は何故か沖に向かって飛び続ける。機内は照明も消え暗黒
  の中で負傷者のうめき声、時折起こる爆発音と不気味な振動
  が続く。乗客の誰もが何が起きたのか理解できないままで死
  を待つ以外に無かった。彼等は何の為に死ななければならな
  かったのか。彼等を救う方法はなかったのか。
                   http://bit.ly/1MgU5yh
  ───────────────────────────

マクドナルド米議員/2008年撮影.jpg
マクドナルド米議員/2008年撮影
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月19日

●「KAL007便の乗客からの電話」(EJ第4162号)

 大韓航空007便がソ連戦闘機によって撃墜されることは米国
CIAは事前にわかっていたのです。そのため、同機に搭乗を予
定していた米国議員にはそれぞれ電話を入れ、予定をずらすよう
アドバイスしたのですが、マクドナルド議員に関しては知らせて
いないのです。これは一種の“殺人”行為といえます。
 一方、ソ連としては乗客のなかに米国の下院議員、それも反共
主義者として知られるラリー・P・マクドナルド議員がいること
が分かり、愕然とします。生存している以上、相手が相手である
だけに、その扱いは慎重を極める必要があります。
 しかし、米国側が意外に早い時点で、「全員死亡」の発表をし
たので、米国はこの件に関して真実は伏せるものとソ連側は判断
したのです。そこでソ連側も9月6日の時点で、政府声明を出し
全員死亡を認めたのです。実際には乗客乗員全員生存しており、
ブラックボックスも確保しているのに、事実と異なる声明を出し
たことになります。これは国家犯罪です。
 したがって、米国もソ連も生存者がのこのこと出てこられると
困るのです。この秘密を封印するには、269人の乗客乗員全員
にこの墜落事故のことを忘れてもらう必要があります。そのため
にソ連では「治療」と称する非人道的処置を施し、過去の記憶を
忘れさせようとしたのです。これについて、高橋五郎氏の本には
次の記述があります。
─────────────────────────────
 モスクワ周辺には、41の犯罪者収容所機関がある。この地区
には異なった段階の20の強制収容所がある。たとえば、スハノ
ボ、オビロフカ、ヤベモエ、それにルビヤンカ監獄などである。
モスクワ市内には10カ所の『精神病』監獄院がある。そこでは
どんな拷問方法にも口を割らない囚人に口を聞かせる方法が使わ
れている。
 監獄当局はそれを『治療』と呼び、強力な麻酔薬を使う手術や
脳の前葉切開手術で囚人を狂人にしてしまうやり方なのである。
これらの精神病監獄院はクレムリンに近いエリアにある。西側の
訪問者によるエリアへの立ち入りは厳禁されている。
                      ──高橋五郎著
          『早すぎた死亡宣告』/ジーオー企画出版
─────────────────────────────
 ところが米ソ両国ともに想定していない事態が起きたのです。
1991年のソ連崩壊です。ソ連としては、生存者のことを話せ
る機会が到来したといえます。しかし、ロシアのエリツィン大統
領は、大韓航空機007便のブラックボックスを韓国側に引き渡
したものの、生存者のことは話せなかったのです。おそらく乗客
乗員269人に非人道的「治療」を施したからです。さすがに、
エリツィン大統領としてはそれだけはいえなかったのでしょう。
 しかし、真実を隠すことはできないものです。ソ連の崩壊の前
後の時期のことですが、KAL007便が撃墜された後に搭乗し
ていた婚約者から電話を受け取ったという女性の証人があらわれ
たのです。電話の内容は「自分は生きているが、もはやあなたと
は会えない」という内容だったというのです。
 これを明らかにしたのは、KAL007便生存者救出国際委員
会のバート・シュロスバーグ氏です。その部分を以下にご紹介し
ます。URLをクリックするとさらに詳しい情報が読めます。
─────────────────────────────
 KAL007便が撃墜されて数週間後、私はサンフランシスコ
の「KGOトークラジオ」を聞いていました。私は、KAL00
7便の運命について語ろうと電話してきた若い女性が、彼女の親
友の婚約者がKAL007便に乗っていたと語るのを聞いて驚い
てしまいました。
 彼女はKAL007便がソ連の迎撃機によって撃墜された後に
婚約者が電話してきたことを明かしていました。彼(婚約者)は
彼女に、自分は安全だが、もう二度と彼女に会えないと悔やんで
報告したのです。
 この種の情報をあなたの組織のウェブマスターに知らせてきた
人はいましたか?他の乗客が愛する家族、友人に接触してきたの
でしょうか?このラジオを聞いた後何年間経っても、この若い女
性の話したことは私の心につきまとっています。彼女は真剣そう
に見えたし、彼女の通った状況に圧倒されているようでした。私
の夫はPOW(戦争捕虜)で、北ベトナムから帰還してなく、生
存しています。KAL007便の乗客の運命は、私達のPOWの
切捨てと同じぐらい辛いものです。   http://bit.ly/1QFZcLz
 バート・シュロスバーグ/KAL007便生存者救出国際委員
─────────────────────────────
 しかし、大韓航空機007便撃墜事件は、米国とロシアという
2つの大国のメンツがからんでいるだけに、もはや今となっては
どのような情報が出ようとも生存者が出てくる可能性はないと思
われます。ところで、KAL007便が墜落後に電話があったと
いうことですが、どうして電話ができたのでしょうか。
 1980年代の前半は、携帯電話は「車載電話」の時代であり
乗客乗員は持っていなかったはずです。そうであるとすると、固
定電話ということになりますが、どのようにして電話ができたの
でしょうか。まさかKGBが電話することを許すとはとても思え
ないからです。
 大きな航空機事故は、国家がどうしてもからむだけに、真実が
隠蔽されることが多いものです。相次いで起こったマレーシア航
空の2つの航空機事故も、マレーシア航空の事故であっても、大
韓航空機007便と同様に、米国とロシアの2国が深く関与して
いるのです。MH17便については、親ロシア派によるミサイル
によって撃墜されたといわれているからです。
 KAL007便にしてもMH370便にしても、未だに一人と
して遺体は発見されていないのです。どのような国家的謀略がそ
こに展開されたのでしょうか。引き続き追及していきます。
           ──[航空機事故の謎を探る/037]

≪画像および関連情報≫
 ●KAL007便生存者に関する追加情報
  ───────────────────────────
   1991年、KAL007便便の乗客だった子供の母から
  KAL007便に乗っていた乗客の妻である女性が、撃墜の
  直後に夫から電話を受けたが会話はすぐに切断されたという
  事を私達は知らされました。彼女はこの女性とその夫に関す
  る同一証明の情報を提供しましたが、私達は接触するための
  手段はとりませんでした。なぜ私がその事柄を追求しなかっ
  たのかということを理解するのは今もなお難しい事です。乗
  客名簿から乗客の身元の相関関係を作るのは可能だっただろ
  うと私は思います。
   ともかく、約1年前にKAL007便生存者救出委員会は
  乗客の1人の娘から手紙を受け取り、さらに最近その同じ乗
  客の姪から手紙を受け取ったのです。その娘は私達に、彼女
  らが若かった時にお母さんが「私はあの撃墜の事件の後に夫
  から電話を受け取ったの」と語った話を語ってくれました。
   姪はさらにその情報に付け加えて、彼女の叔母(そのお母
  さん)が旦那さんからの電話を記録したものを音声分析して
  もらうために送付したと語ってくれました。これら2人の女
  の子は、その事があった時(電話がかかってきた時)は10
  代でした。現在もちろんですが、彼女らは大人の女性です。
  これらの明るみになった詳細から、その電話を受け取った女
  性は実に私達が1991年に話を聞いた女性だったという事
  が更に明らかになっのです。    http://bit.ly/1QFZcLz
  ───────────────────────────

マクドナルド米議員.jpg
マクドナルド米議員
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月20日

●「結局は米国とロシアの暗闘である」(EJ第4163号)

 EJが航空機事故について書いている最中にまたしても最悪の
航空機事故が起きてしまいました。ロシアのコガリムアビア航空
9268便の墜落事故です。この事故の第一報は次のようになっ
ています。
─────────────────────────────
 カイロ(CNN)エジプトのイスマイル首相は、ロシアの旅客
機が10月31日、同国東部シナイ半島で墜落したと明らかにし
た。ロシア国営メディアは同機に224人が搭乗していたとして
いる。ロシアの通信社スプートニクがエジプトの航空管制当局の
話として伝えたところによると、同機は、エジプトのリゾート地
シャルムエルシェイクから、ロシアのサンクトペテルブルクに向
かっていた。同通信によると、ロシア航空当局筋は国営RIAノ
ーボスチ通信に、墜落したのはロシアの航空会社コガリムアビア
の9268便(エアバスA321型機)で、乗客217人、乗員
7人が搭乗していたと語った。同機はシャルムエルシェイクを離
陸してから23分後にレーダーから消えたという。
       ──2015年10月31日付、CNNニュース
─────────────────────────────
 直後に、イスラム国(以下ISと表記)──正確にいうとIS
傘下の武装勢力が、「ロシア機を墜落させた」とする声明をイン
ターネット上に出しましたが、ソコロフ露運輸相は「信憑性に乏
しい」と反論したのです。
 その後、フランスや米国は早くから墜落の原因は何らかの爆発
物によるものとの見解を出しましたが、プーチン大統領はあくで
事故の可能性をにじませていたのです。ISのロシアに対するテ
ロと認めてしまうと、プーチン大統領としては、自ら決断し、実
行したロシア軍によるISへの空爆の報復であることを政治的に
認めたくなかったものと思われます。
 しかし、事態はこれで終わらなかったのです。11月13日に
フランスの首都パリで、ISによる「同時多発テロ」が起こった
からです。これについてもISは犯行声明を出しており、フラン
ス軍によるISへの空爆の報復と考えられます。このテロは、シ
リアで計画が作られ、それに基づいてベルギーで犯行グループが
組織され、パリで実行されたのです。相当周到な計画のもとに実
行されているのです。この事件の直後、ロシアはコガリムアビア
航空の事故は、機内で何らかの爆発物による空中分解であること
をやっと認めたのです。
 図にのったISは、11月16日にネット上にISの戦闘員と
名乗る男が次の動画声明を出し、今度は米国を牽制したのです。
─────────────────────────────
 十字軍の作戦に参加する国々に告ぐ。お前たちは(同時テロが
起きた)フランスと同じ日を迎える。われわれはフランスのパリ
を破壊した。われわれは米国のワシントンを破壊するだろう。
                   http://bit.ly/1H6aMOj
─────────────────────────────
 このISをめぐる構図は、米国とロシアの暗闘なのです。大韓
航空機007便のソ連戦闘機による撃墜、マレーシア航空17便
の撃墜もその裏側に米国とロシアの暗闘があります。MH370
便の失踪もこれに密接に関係しているものと思われます。
 もともとISの問題は、シリアの大量破壊兵器の使用をめぐっ
て、米国がシリアの反政府勢力に、直接手は出さないものの、武
器などを供給して、支援したことにはじまるのです。そのとき、
ISなどは存在しなかったのです。米国としては、非人道なこと
をするシリアのアサド政権を潰したかったのです。そのアサド政
権をロシアとイランが支援しているのです。
 しかし、そういう米国から供給された豊富な最新型の武器を利
用して、シリアの反政府勢力から分離した武装勢力が、ISを名
乗ってイラクを攻撃したのです。何のことはない。米国がISを
作ったようなものです。
 ところが米国の軍事顧問団が指導したイラク軍がすこぶる弱く
ISとの戦闘では、すぐ武器を置いて逃げ出してしまうのです。
そのため、イラクの拠点は次々にISに占領され、武器に加えて
一部の油田まで手にするようになり、その資金を使って世界中か
ら兵隊を募集し、勢力を拡大させていったのです。
 その頃から米軍の高官はオバマ大統領に対し、いまの段階なら
制圧できるので、地上軍を送ったらどうかと進言したのですが、
オバマ大統領は絶対認めなかったといいます。そのため、ISは
ますます勝手な振る舞いをするようになります。
 しかし、アサド政権が大量破壊兵器を使ったことにオバマ大統
領は激怒し、シリアへの空爆を決意します。これを懸念したプー
チン大統領はシリアの大量破壊兵器に関しては、ロシアが責任を
もって廃棄させるといって調停に乗り出すと、もともと空爆をや
りたくなかったオバマ大統領は空爆をやめてしまうのです。何た
る優柔不断な対応でしょう。結局、この件はうやむやのうちに終
わってしまうのです。
 オバマ大統領の不決断を見抜いたプーチン大統領は、シリアを
支援するという名目で、ISへの空爆を開始し、そのかたわら、
米国が支援するシリアの反政府勢力への空爆をはじめたのです。
オバマ大統領なら、口先だけで、何もしてこないと考えたからで
す。完全にロシアになめられているのです。実際に米国はロシア
を批判してきていますが、ロシアは聞く耳をもたない姿勢です。
 さすがにオバマ大統領は、フランスの同時多発テロには危機感
を抱いたはずです。そのため、G20では終始沈痛な表情をし、
プーチン首相と緊急に会談を開くなど、対ISについて対応を急
いでいるように見えます。
 しかし、しょせんはデモンストレーションなのです。対立して
いるロシアと協議することによって、何かをしようとしているこ
とをメディアに見せるためです。もし、本気で地上軍の派遣など
を検討するのであれば、あんな場所で中途半端な会談をするはず
がないのです。    ──[航空機事故の謎を探る/038]

≪画像および関連情報≫
 ●「地上軍の派兵を否定/オバマ大統領」/産経ニュース
  ───────────────────────────
  【ワシントン=青木伸行】オバマ大統領は、大規模な米軍地
  上部隊を派遣しての地上戦への関与は「誤りだ」と一蹴。こ
  れまでの戦略は「正しく、機能している」と力説し、有志連
  合による空爆を強化する方針を示している。フランスを含む
  有志連合は15日、シリアとイラクのイスラム国の拠点を空
  爆し、シリア東部アブカマルでは、タンクローリー116台
  を破壊した。パリ同時多発テロ後としては、報復的な初の空
  爆だった。
   一方、米政府は有志連合国のサウジアラビアに、イスラム
  国への空爆などに使用するための精密誘導兵器スマート爆弾
  など、計12億9000万ドル(約1589億円)相当を供
  与する。シリアでのテコ入れ策は反体制派への武器、弾薬の
  直接供与と、米軍特殊部隊約50人の常駐にすぎない。こう
  した戦略に議論が百出している。元米中央情報局(CIA)
  のバック・セクストン氏は「特殊部隊を速やかに増強する必
  要がある」と指摘。元米空軍情報将校のリック・フランコナ
  氏は「米軍の空爆誘導要員を前線に配置し、標的を『米軍の
  目』で選定、誘導して空爆の確度を高めるべきだ」と主張す
  る。               http://bit.ly/1ltxHsS
  ───────────────────────────

アリバイ作りの米露会談(G2o).jpg
アリバイ作りの米露会談(G2o)
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月24日

●「大韓航空機撃墜事件の犯人は誰か」(EJ第4164号)

 「偽旗作戦」というものがあります。自国以外の国旗、つまり
偽の国旗を掲げて敵方を欺くという軍の構想に由来する作戦のこ
とです。これから、敵になりすまして行動し、その結果を敵にな
すりつける行為を意味するようになっています。米国が得意とす
る作戦であるといわれます。
 Aという国が、ある仕掛けを施して、ある航空会社の旅客機を
わざとA国の敵国であるS国の領空を侵犯させ、S国の防空戦闘
機に撃墜させたとします。いかに領空侵犯したとはいえ、無防備
の旅客機を戦闘機が撃墜するということはあってはならないこと
です。当然のことながら、旅客機を撃墜したS国は国際社会から
非難されることになります。
 仮にその作戦がS国を貶めるのが狙いであったなら、それはA
国によるS国への「偽旗作戦」です。この作戦は、何も知らずに
旅客機に搭乗している人間を危機にさらすことになるので、あっ
てはならないことですが、大韓航空機007便撃墜事件は、米国
によるソ連への偽旗作戦の構図とそっくりです。
 この場合、この作戦を仕掛けた側を単に「米国」ないし「CI
A」と称して書いてきましたが、実はこの表現は適切ではないの
です。それでは、時のレーガン政権なのかというとそうではない
のです。これについて、高橋五郎氏は次のように述べています。
─────────────────────────────
 では、そのようなことをしたのは誰なのか。ここまでのところ
私はまだ読者に真犯人≠示していない。犯人らしきものは、
多数登場している。しかし、おそらく多くの読者が想像している
ことだろうが、ソ連のKGBやアメリカのCIAなどが犯人では
ない。彼らは下手人であったかもしれないが、しよせんは現場担
当者でしかない。
 ならば、ワシントン政府や当時のソ連政府が犯人なのかといえ
ば、答えは「ノー」である。せっせとウソを塗り重ねる作業をし
たという点ではクロ″だし、269名の乗員乗客を犠牲にした
という責任はまぬがれないだろうが、立場としては、あくまでも
最前線の監督官≠ニいったところだろう。  ──高橋五郎著
          『早すぎた死亡宣告』/ジーオー企画出版
─────────────────────────────
 つまり、それは少なくとも国を超える存在なのです。高橋氏は
それを「国際金融ビジネスマンたち」と表現していますが、これ
ではイメージは湧かないと思います。高橋氏によると、国際金融
ビジネスマンとは、国際金融家、国際資本家など、要するに政治
も戦争も何も、すべて自分たちの金儲けの手段とみなす人びとで
少数のファミリーで結束を固めている集団といっています。これ
をユ−スタス・マリンズは「寡頭勢力」と呼んでいるそうです。
 ちなみに高橋五郎氏の著作は、このユ−スタス・マリンズの考
え方に沿って書かれています。高橋氏ご本人もそれを認めていま
す。ユースタス・マリンズ(1923〜2010)は米国の政治
評論家ですが、その著作は特異であり、陰謀論者と決めつける人
が多いのです。
 それでも最初のうちは、マリンズの著作を読んだうえでの批判
だったのですが、最近は「マリンズ」の名前だけで「陰謀論者」
のラヴェルを貼り、読まないで批判する人が多いのです。しかし
読まないで、どうして陰謀論とわかるのでしょうか。
 マリンズの代表的な著作である『世界権力構造の秘密/闇の犯
罪秘密結社の恐るべき野望』(日本文芸社)の序文の抜粋と主張
の一部を紹介します。謎の航空機事故に深く関係するからです。
─────────────────────────────
◎序文(抜粋)
 この本の中には、読者がどうしても認めたくないような事実が
たくさんある。わたしがお願いしたいのは、いっさいなにも認め
ないで、自分自身で調査をやってみることである。すると、わた
しが35年間におよぶ徹底的かつ綿密な調査でなんとか探りだし
てきたものより、さらに驚くべきほんとうの事実を発見するかも
しれない。   1984年11月1日/ユースタス・マリンズ
◎ロスチャイルドはその息のかかった財団や外交問題評議会(C
FR)、連邦準備制度理事会(FRB)をとおして合衆国を支配
しているが、ロスチャイルドの権力に対する重大な挑戦は受けて
いない。カネのかかる「政治キャンペーン」なるものが日常的に
行なわれ、そこに登場する“慎重に保護された候補者”は世界権
力の計画を実行することを誓約した者たちである。もしも計画か
ら逸脱するようなことがあれば、候補者は「事故」に遭遇したり
セックス・スキャンダルをデッチ上げられたり、金融不正事件で
起訴されたりするはめに陥る。(中略)アメリカの市民は一生懸
命働いて税金を払う。秘密の支配者たちがいつ何時でも、連邦準
備制度理事会を通じて工作し、市民を厄介な借金に陥れたり破産
させたりするような金融規則をつくれることを、“おめでたい”
市民は気づかない。          http://bit.ly/1I6Xj3n
─────────────────────────────
 このマリンズの呼ぶ「寡頭勢力」は、世界を支配する遠大な構
想を20世紀以前から立て、さまざまな実験を重ねながら、現在
に至っているのです。
 彼らはソビエト社会主義国家を誕生させたり、ヒットラーの台
頭を許したり、国連をつくったりしてきたのです。そして、19
83年の大韓航空機撃墜事件も2014年のマレーシア航空の2
つの事故も、その実験のひとつであるというのです。
 ここにきて、彼らの目指すものが少しずつわれわれの前に現れ
つつあります。とくに注目すべきは日本では2016年から運用
が始まる「マイナンバー制度」です。この制度は、多くの人がそ
れと意識しないまま、ある日突然現実のものになっています。こ
の制度は他の先進国では当たり前のように運用されており、日本
での運用はかなり遅れているといわれます。しかし、この制度が
マレーシア航空の2つの航空機事故と深い関係があるとされてい
るのです。      ──[航空機事故の謎を探る/039]

≪画像および関連情報≫
 ●ユースタス・マリンズをより深く理解するために/太田龍氏
  ───────────────────────────
   アメリカの生んだ思想界の巨人ユータス・マリンズの名前
  を最初に発見して紹介した日本人は私であろう。一九九二年
  のことである。それ以前にマリンズを知る日本人はただの一
  人も存在しない。マリンズだけではない。ジョン・コールマ
  ン博士、フリッツ・スプリング・マイヤー、デーヴィット・
  アイク、彼らの著作も一九九二年から一九九五年にかけて私
  が初めて発見して日本の読者に紹介した。
   マリンズの人間像を知るための必読文献は『キリストの中
  に生きる私の命』(一九六八年)であろう。これは90頁の小
  著であるが、私は一九九二年、三年、この本を熟読すること
  によってユータス・マリンズという人間を根底から理解する
  ことが出来た。
   一九二二年生まれのマリンズは当然のことながら、第二次
  世界大戦期、米軍に召集された。復員後、いくつかの大学で
  勉強したのちワシントンDCの米国国会図書館に職を得た。
  そうしているうちに、米国政府によって精神病院に監禁され
  ている詩人エズラ・パウンドの弟子となり、パウンドの指導
  下に名著『FBIの秘密』を出版する。もっとも、この本は
  「マリンズ著」とあるものの、実質的にはエズラ・パウンド
  の著作とされなければならない。しかし、政治的囚人の立場
  上、パウンドは名前を出すことが出来なかった。
                   http://bit.ly/1NJfcaC
  ───────────────────────────

ユースタス・マリンズとその著作.jpg
ユースタス・マリンズとその著作
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月25日

●「リメンバー・アラモの真実を探る」(EJ第4165号)

 大韓航空機撃墜事件とマレーシア航空の2つの航空機事故がつ
ながっていることを示すために「偽旗作戦」の話をさらに続ける
ことにします。
 この話は、2002年1月30日付のEJ第790号で書いた
ことがあります。米国はよく「リメンバー○○○」という言葉を
使います。これは米国が何かことを起こすときにな使う言葉であ
り、すべて戦争に関係があります。
 日本に関係があるのは「リメンバー・パールハーバー」です。
2001年12月7日のハワイで、真珠湾攻撃記念式典において
時のブッシュ大統領は、タリバンに勝利したことについて述べ、
今後9月11日を「リメンバー9・11」と呼ぶことを宣言して
います。もともと真珠湾攻撃記念式典は、「リメンバー・パール
ハーバー」としてはじめられたものです。
 「アラモの砦」の話は、ジョン・ウェイン主演映画『アラモ』
であまりにも有名です。ここでも「リメンバー・アラモ」といわ
れています。正確にいうと、「リメンバー・バトル・オブ・ジ・
アラモ」ということになります。
 1836年3月6日、アラモの砦が落ちた日です。これは、多
くのアメリカ人の胸に誇りとして刻まれています。しかし、この
話にはウラがあるのです。
 当時、米国のテキサス州はメキシコ領だったのです。米国はこ
のテキサスを何とか自国領にしようと画策して大量の移民をテキ
サスに送り込んだのです。メキシコは1821年にスペインから
独立しているのですが、国力を高めるために積極的に移住者を受
け入れる政策を打ち出していたのです。
 米国はそれを利用して大量の移民と奴隷を送り込み、それら移
民による反政府運動を起させ、その騒ぎに乗じて武力介入し、植
民地にしようとしたわけです。しかし、メキシコ政府は米国のこ
の作戦を見抜き、反乱首謀者を国外に追放したのです。ときのメ
キシコの大統領ビセンテ・ゲレロは、1830年に米国人の移住
禁止と奴隷制の廃止を定めた法律を制定して米国に対抗します。
 1835年、テキサス在住の米国人が自治権を求めて独立運動
を起すのですが、これは米国の仕掛けた作戦だったのです。ゲレ
ロ大統領は、直ちにこの反乱を鎮圧するためにサンタ・アナ将軍
に3000人の兵を与え、テキサスの都市、サン・アントニオに
進軍します。
 これに対して独立を求める義勇軍200人はサン・アントニオ
のはずれにあるアラモ砦に立てこもり、3000人のメキシコ軍
を迎え撃つのです。これがアラモ砦の戦いです。この義勇軍の中
にいたのが、ウイリアム・バレット・トラビスやデビット・クロ
ケットです。
 しかし、3000人に対して200人では勝負にならず、義勇
軍は善戦したものの、全滅してしまいます。「最後の最後まで戦
い抜いた勇敢なテキサス義勇軍」として、米国では後の世にまで
語り草となっています。
 しかし、本当の話は違うのです。まず、テキサスに移住した米
国人のなかには、テキサス独立運動を起こすために訓練を受けた
工作員(兵士)が多く含まれていたのです。このことを察知した
からこそ、メキシコ軍は攻撃を仕掛けたのです。これはメキシコ
軍にとって当然の行為です。
 アラモ砦の200人がいかに勇猛果敢でも、3000人のメキ
シコ軍に攻められれば窮地に陥ってしまいます。追い詰められた
工作兵たちは米国政府に何度も援軍を要請したのですが、政府は
無視を決め込んで、彼らを見殺しにしたのです。
 そして、アラモの砦が全滅すると、米国政府は「アラモの砦の
勇士は残酷非道なメキシコ軍によって殺された」と喧伝したので
す。そして、「リメンバー・アラモ」のスローガンのもと、テキ
サスの独立を助けるという独立軍を募り、サム・ヒューストン将
軍の指揮のもと、メキシコに進軍し、たちまちのうちにメキシコ
軍を壊滅、テキサスを独立させたのです。
 これにより、テキサスは独立を勝ち取り、初代大統領としてサ
ム・ヒューストン将軍を選出し、テキサス共和国が誕生するので
すが、1845年に共和国からの申し出により米国テキサス州に
なっているのです。
 これで終りではなかったのです。米国は1846年にはささい
な理由をつけて再びメキシコに侵入し、カルフォルニア、ニュー
メキシコなど北米大陸南西部一帯をメキシコから奪取してしまい
ます。これで米国は現在の領土を確保することになったのです。
 これが米国のやり方なのです。これは「偽旗作戦」そのもので
す。アラモの砦は、わざと米国兵士を犠牲にして、「メキシコ憎
し」の国内世論を盛り上げ、メキシコと戦争し、自国の領土を拡
充したのです。
 米国は、このような一種の自作自演テロというべき事件を今ま
でにいくつもやってきているのです。スペインとの戦争に口実を
与えた1898年の「米艦メイン号の爆発沈没事件」、第1次世
界大戦に米国が参戦するきったけになった1915年の「英国客
船ルシタニア号沈没事件」、そして1964年のベトナム戦争参
戦の口実を作った「トンキン湾事件」──トンキン湾で北ベトナ
ムの哨戒艇が米駆逐艦へ魚雷を発射した事件などです。いずれも
米国が意図して仕掛けた「偽旗作戦」なのです。
 このことから、あの「9・11」ですら、米国の自作自演では
ないかといわれているのです。真珠湾攻撃を契機とする日米開戦
も、時のルーズベルト米大統領があえて日本軍に真珠湾を攻撃さ
せ、厭戦ムードに陥っていた国内世論を味方につけて、日本との
開戦に踏み切ったといわれています。まさに「偽旗作戦」のオン
パレードです。
 この視点から見たとき、マレーシア航空の2つの不可解な事故
の謎も解けるのではないかと考えられます。そのためには、ウク
ライナを巡る米ロの関係を読み解くことが不可欠になります。
           ──[航空機事故の謎を探る/040]

≪画像および関連情報≫
 ●侵略の世界史/この500年、白人は世界で何をしてきたか
  ───────────────────────────
   西部開拓がほぼ終了すると、アメリカは、アメリカ独立に
  刺激されて独立したばかりの近隣の中南米諸国に、度重なる
  介入、侵略を行ないはじめた。
   まず、1845年、アメリカ  はメキシコから独立した
  テキサスを併合した。その後メキシコと戦争を起こし、(米
  墨戦争、1846〜1848)、その勝利によってニューメ
  キシコ、アリゾナ、カリフォルニア州など、南部、西部の広
  大な領土を併合し、国旗の星の数を一挙に増やした。
   この戦争の開戦の契機が「アラモ砦の戦い」だった。しか
  し、この戦いは、アメリカが自国のアラモ砦を囮にして相手
  を挑発し、わざとメキシコ軍に先制攻撃をさせ、自軍に相当
  の被害を出させたうえで「リメンバー・アラモ砦」を合言葉
  に戦争を正当化し、国民を鼓舞して反撃に移るというもので
  これは、この先アメリカが侵略をするときの常套手段となる
  のである。
   次いで1898年、米国は、ハバナを表敬訪問中の米戦艦
  「メーン」を自ら爆沈させ、2060人の乗組員を犠牲にし
  これを敵がやったことにして「メーン号を忘れるな」を合言
  葉に国民を戦争に駆り立て、有無を言わさず、スペインに宣
  戦布告した。この米西戦争は、キューバの独立戦争を支援す
  る名目で始めながら、実質的にはキューバを保護領化してし
  まい、合わせてスペイン領のプエルトリコをも領有するもの
  だった。これによりアメリカは、中南米諸国に対する軍事的
  経済的支配を強化するための前進基地を獲得することが出来
  たのである。           http://bit.ly/1OlwKfE
  ───────────────────────────

映画『アラモ』の広告.jpg
映画『アラモ』の広告
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月26日

●「キューバ攻撃を計画していた米国」(EJ第4166号)

 2015年7月20日、米国とキューバ両政府は、相手国の首
都に再び大使館を設置し、1961年の断交から54年ぶりに国
交を回復しています。これはまさにビッグニュースです。
 キューバは米国の目と鼻の先にある国であり、米国にとっては
地政学上仲良くしなければならない国です。そのキューバに19
59年に突如フィデル・カストロによる革命政権が誕生し、米国
とキューバの関係は決定的に悪化します。
 1959年1月1日、時のケネディ政権は、キューバとの輸出
入を全面禁止し、キューバに対し経済封鎖を行うことを発表して
います。同年、キューバにおけるソ連のミサイル基地の建設とミ
サイルの搬入が明らかになり、一気に米ソ核戦争の危機が大きく
なったのです。
 しかし、このキューバ危機は、ケネディ大統領のソ連に対して
強硬な姿勢をとったことが功を奏し、ソ連は一歩引いてキューバ
危機は何とか回避することができたのです。これにより、米国と
キューバの関係はさらに悪化して、米国にとってキューバは目の
前のタンコブ的存在になったといえます。
 このとき、米国のCIAは、キューバのカストロ政権の打倒を
目指す「キューバ計画」を策定しています。この計画は「オペレ
ーション・ノースウッズ」と呼ばれています。実はこの計画は実
施されなかったのですが、今回のマレーシア航空の2つの事故に
使われた疑いがあるのです。
 これについては改めて詳しく述べますが、米国はかつてキュー
バがスペインの植民地であったとき、キューバの独立に協力して
います。それが「リメンバー・メイン」です。米国としてはつね
にキューバとは友好関係を保とうと努力していたのです。昨日の
EJからの続きで、この「リメンバー・メイン」について説明を
しておきます。
 これはキューバの独立運動にかかわりをもっています。189
5年当時、米国はメキシコと同じ手口を使ってキューバの独立を
支援しようとします。まず、キューバに多くの移民を送り込み、
多額の米国資本を投入したのです。そして、米国はキューバで高
度な印刷技術・製紙技術を駆使して新聞社を作り、連日のように
スペインがいかにキューバに対して過酷な弾圧を行っているか、
あることないことを書き立てたといいます。つまり、完全なるマ
スコミ操作をしたわけです。
 1897年2月、キューバのハバナで暴動が起こります。米国
は直ちに米国民を保護するという名目で戦艦メイン号をハバナ湾
に派遣します。ところが、1898年2月にハバナ湾に停泊して
いた戦艦メインが突然大爆発を起して沈没してしまい、米国兵士
260人が死亡するという事故が起こるのです。
 この爆発は、米国自体が仕掛けたものだったといわれますが、
米国はこれをスペインのしわざであると宣伝し、新聞も一斉にそ
の論調で書き立てたのです。米国得意の「偽旗作戦」であり、マ
スコミによる「紙爆弾」の拡散です。そのため、米国民の間では
「リメンバー・メイン」というスローガンが広がり、国内は反ス
ペイン一色になります。
 その結果、議会は、時の米国大統領ウイリアム・マッキンレー
に対して、軍事行動を起す権限を与え、1898年4月、アメリ
カ・スペイン戦争(米西戦争)が勃発するのです。この戦争は米
国が勝利し、キューバは米国の軍政期間を経て、1902年5月
20日に400年におよぶスペイン支配から解放され、待望の独
立を勝ち取ったのです。
 しかし、米国にとって最悪の事態はキューバにフィデル・カス
トロによる革命政権が誕生したことです。そのカストロは、19
63年には、はじめてモスクワを訪問し、フルシチョフ書記長と
会談しています。そして、1965年には、キューバ共産党が結
成されたのです。
 こういう状況であるので、米ソ双方は、キューバを巡ってお互
いを牽制し合ったのです。キューバ危機では、米国はソ連に対し
次のように警告しています。
─────────────────────────────
 海上封鎖を突破すれば、ソ連を攻撃する。そして、もしキュー
バから西側諸国に核ミサイル攻撃があれば、ソ連からの攻撃とみ
なし、全面的に報復攻撃を行う。 ・・・・・ 米国からソ連へ
─────────────────────────────
 これに対し、ソ連のフルシチョフ政権は、次の回答を行い、米
国はこれを受け入れ、キューバ危機はギリギリのところで回避さ
れたのです。
─────────────────────────────
 アメリカがキューバを攻撃しないと約束するなら、キューバか
らミサイルを撤退する。 ・・・・・・・・・ ソ連から米国へ
─────────────────────────────
 このようなわけで、1961年以降、米国とキューバとの国交
は断絶され、米国からキューバに行くには、特別な許可が必要に
なったのです。単なる観光での渡航もNGで、もし非合法にキュ
ーバに渡ると、見つかった場合は、罰金25万ドルと10年の懲
役刑が科せられるという厳しさです。
 しかし、1991年のソ連崩壊によって、キューバは経済的に
苦境に陥ります。そういうこともあって、民主党のクリントン政
権時にはキューバに対して「ピープル・ツウ・ピープル」という
プログラムが作られたのです。
 このプログラムは、キューバ市民が、実際にアメリカ市民と交
流することによって、外の世界の実状を知り、現カストロ共産党
政権からの解放と民主化に向けての一歩を踏み出してもらうとい
うものです。しかし、このプログラムは、共和党のブッシュ政権
になると廃止され、現オバマ政権になってまた復活しています。
 その米国とキューバの国交正常化が実ったのですから、これは
オバマ政権の大きな外交的成果であるといえます。
           ──[航空機事故の謎を探る/041]

≪画像および関連情報≫
 ●米・キューバ国交正常化は何をもたらすか
  ───────────────────────────
   冷戦期のキューバは日本と奇妙な相似形を描いていたので
  はないか。1993年の秋に取材でキューバの首都ハバナを
  訪れ、そんな印象を受けた記憶がある。
   カリブ海の島国であるキューバは、地図で見るとちょうど
  米国の喉もとに突きつけられた匕首のようだ。59年にキュ
  ーバ革命が起き、61年に米国との国交を断絶。62年10
  月にはキューバ危機で米ソの緊張が核戦争寸前まで高まる局
  面もあった。
   そうした地政学上の位置の故に、東西冷戦期のソ連は、こ
  の島国に石油を安価で輸出し、キューバの特産品である砂糖
  を高く購入した。ソ連によるこの破格の厚遇があったからこ
  そ、キューバは社会福祉や医療保健基盤を充実させ、高い教
  育水準を維持することができた。いわば米国の裏庭で東側の
  ショーケースともいうべき優等国として存在することが許さ
  れていたのだ。
   一方で、同じように資源の乏しい島国である日本はどうか
  というと、ユーラシア大陸の東の縁で、米国から経済上の厚
  遇を受け、戦後の復興と高度経済成長を実現することができ
  た。ソ連極東の足下で西側の繁栄を体現する優等国になった
  という点で、条件はキューバと裏表の関係にあったのではな
  いか。              http://bit.ly/1P0jHmZ
  ───────────────────────────

フィデル・カストロ元議長.jpg
フィデル・カストロ元議長
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月27日

●「キューバ計画/ノースウッズ作戦」(EJ第4167号)

 ジョン・F・ケネディが大統領に就任したのは1961年1月
のことです。そのとき米国は内憂外患いろいろな問題を抱えてい
たのです。とくに米ソ冷戦が最も厳しい局面だったといえます。
一方には泥沼化したベトナム戦争への対応があり、目先の問題と
してはキューバ問題があったのです。いずれも米ソの対決です。
 そのときのキューバ対策としては、CIAが反カストロの亡命
キューバ人を訓練して武装化し、キューバに侵入させ、暴動を起
こさせるという、アラモの砦の時代にメキシコに対してとった作
戦をキューバでもやろうとし、失敗を重ねていたのです。
 なにしろ目と鼻の先のキューバには、フィデル・カストロ議長
率いるキューバの革命政権があり、ソ連のフルシチョフ書記長と
緊密な連絡をとっているのです。このままでは、危ないと考えて
CIAは、キューバのカストロ政権の打倒を考えたのです。作戦
名は次の通りです。
─────────────────────────────
        オペレーション・ノースウッズ
─────────────────────────────
 このノースウッズ作戦は民間旅客機を使うものであり、敵国が
これを理由もなく撃墜したという事件をでっちあげるというもの
だったのです。大韓航空機007便やマレーシア航空の撃墜事件
にとてもよく似ています。
 この作戦の概要は、ウィキペディアなどにも出ていますが、ベ
ンジャミン・フルフォード氏の著作がより具体的であるので、以
下に引用します。
─────────────────────────────
 まず、「休暇旅行の大学生団体か、同じ趣味の人々の適当な団
体」が、中南米の旅行のために旅客機をチャーターする。航路は
キューバ領空を通過する。
 実はそのチャーター機はCIAが用意した「偽物機」で、本物
と同じ型、同じ塗装で、同じ機体番号を施されている。乗客とな
る団体になりすましているのはアメリカ軍兵士だ。
 そして「本物」の機体は、別ルートから無人のまま飛び立ち、
途中、偽物と「合流」する。偽物は最低高度で離脱、アメリカ軍
基地に帰投、無人の「本物機」は、そのまま予定ルートを飛行、
キューバ上空に向かう。
 そこでアメリカ軍は、軍用機をわざとキューバ領域に飛ばし、
キューバの戦闘機にスクランブルをかけさせる。この行為自体は
なんら違法性はない。事前申請のない未確認飛行機がアメリカ方
面からキューバ領空に近づいてくれば、当然の防衛行動だからで
ある。ところが、それを見計らって本物の「無人機」が国際救難
信号を世界中に打電する。
 「キューバのミグ戦闘機にロックオンされた、助けてくれ!」
 その信号が合図となり、積み込まれていた爆弾が爆発、機体は
木っ端微塵となる。救難信号が途絶すれば、誰だってキューバの
ミグ戦闘機が攻撃したと考える。いくらキューバ側が「攻撃はし
ていない」と反論したところでどうしようもあるまい。
   ──ベンジャミン・フルフォード著/KKベストセラーズ
      『崩壊するアメリカ巻き込まれる日本/2016年
                    新世界体制の成立』
─────────────────────────────
 作戦内容は、大韓航空機007便やマレーシア航空の撃墜事件
に酷似しています。実はこの作戦は実行されていないのです。ケ
ネディ大統領が却下したからです。これに対して軍部としては大
いに不満だったといわれます。
 このノースウッズ作戦は、ケネディ大統領暗殺事件の記録調書
のなかにあった本物の作戦であり、ケネディ大統領がこの作戦に
異を唱えたことが暗殺の原因だったかもしれないということで、
調書のなかにあったのです。
 このノースウッズ作戦は、秘密指定が解除された1997年に
はじめて出てきたのです。当時米国人は度重なる戦争にうんざり
しており、極めて厭戦ムードが強かったといいます。しかし、旅
客機をキューバ軍が一方的に撃墜したりすれば、正義感が強く、
人権問題にうるさい米国では、一気に「カストロ政権を打倒せよ
!」というムードが盛り上がることは間違いなかったのです。
 この作戦案は、CIAが立案して、ライマン・レムニッツァー
統合参謀本部議長からマクナマラ国防長官に上げられたのですが
ケネディ大統領はこの作戦の実施を拒否したのです。彼の性格上
そういう作戦を実行することは嫌だったのでしょう。しかし、そ
れでも再三実施を主張するレムニッツァー統合参謀本部議長を解
任してまで実施しないという意思を明確に軍部に伝えたのです。
 この作戦で注目されることは、無線で誘導する無人機を使うこ
とを前提にしていることです。果たしてそれは可能なことだった
のでしょうか。もっともその当時はボーイングのような大型機で
はなかったので可能であったことが考えられます。
 航空評論家の杉江弘氏は、航空機の遠隔操作について次のよう
に述べています。
─────────────────────────────
 現在の技術では、軍用機については遠隔操作ができるものの、
民間旅客機については、それは科学的にも(システム上も)不可
能であることは論をまたない。         ──杉江弘著
      『マレーシア航空機はなぜ消えた』より/講談社刊
─────────────────────────────
 しかし、現在では、旅客機に搭載されているフライト制御コン
ピュータに外部からアクセスすることは可能になっており、既に
ボーイング社の747、757、767の操縦を簡単に乗っ取る
ことができるとされています。まして新鋭機であるボーイング7
77─200ERは、ハイジャックされた航空機を強制的に誘導
するシステムが搭載されていると考えられます。しかし、これは
機密に属するため、そのことが一般に公開されていないのです。
           ──[航空機事故の謎を探る/042]

≪画像および関連情報≫
 ●陰謀の国アメリカの歴史/911の嘘をくずせ!
  ───────────────────────────
   統合参謀本部議長ライマンはマクナマラ国防長官に「ノー
  スウッド作戦」を提案した。これはキューバに「軍事介入す
  る口実」を作るためにグアンタラ湾で「テロ攻撃」を「でっ
  ち上げる」というものだった。
   まずキューバが地下放送局を使っているという「噂」を流
  す。「親米派のキューバ人を米軍基地内に取り込んで」テロ
  攻撃を偽装する。基地の正門前で「暴動」を起こす。基地内
  の武器を「爆破」し、「火事」を起こす。基地の戦闘機や艦
  船の「活動を妨害」する。基地を「迫撃砲で、爆撃」する。
  米軍の「船を、沈没させ」「偽の、葬式」をするマイアミと
  ワシントンDCで「テロ作戦行動を 自作自演する」
  仕上げとして、キューバの領海内で「遠隔操作の飛行機を撃
  墜する」。
   乗客は 実際には政府機関の工作員だが、休暇中の 大学生
  ということにする。エブリン空軍「CIAが所有する飛行機
  を民間機とそっくりに塗装して、本物と すり変える」。
   本物の方は「遠隔操作できる飛行機に改造」するフロリダ
  南部に「本物と偽物」の「民間機を、準備」する「偽」の民
  間機はエブリン空軍基地に乗客たちを、降ろし、機体を元に
  戻す改造された本物の飛行機は無人でフライトスケジュール
  どおりに飛び、キューバ領海上で、緊急事態発生の信号」を
  出し遠隔操作で爆破する。     http://bit.ly/1X7ABo7
  ───────────────────────────

ノースウッズ作戦を拒否したケネディ大統領.jpg
ノースウッズ作戦を拒否したケネディ大統領
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月30日

●「MH17便を撃墜したのはだれか」(EJ第4168号)

 ここで話をもう一台のマレーシア航空機──何者かに撃墜され
たMH17便に戻すことにします。MH17便撃墜事件の事実を
再現します。
─────────────────────────────
 2014年7月17日、オランダ・スキポール空港からマレー
シア・クアラルンプール国際空港に向かっていたMH17便が巡
航飛行中の17時15分頃(現地時間)、何者かによってミサイ
ルで撃墜されたのです。墜落場所は、ウクライナ・ドネツィク州
グラボヴォ村です。グラボヴォ村は、ロシアとの国境からおよそ
40キロ離れたところにあります。
 MH17便の機種は、ボーイング777─200ER、なんと
MH370便と同一機種です。つまり、約4ヶ月の間に同じ航空
会社の同型機が相次いで事故を起こしたことになります。こんな
ことは普通では起こり得ないことです。
 撃墜されたMH17便には、乗客283人、乗員15人、合計
298人が乗っており、全員死亡。撃墜による航空事故では史上
最悪の死者数といわれています。
     ──2015年11月2日付/EJ第4150号より
─────────────────────────────
 この事件に関してウクライナ政府は、MH17便はロシア軍に
撃墜されたと主張し、その証拠として「軍用機と旅客機を間違え
て撃墜してしまった」という音声記録を入手していることを明ら
かにしています。
 一方、ロシアは「旅客機はウクライナ軍が撃墜した」と主張し
内戦中の2つの対立勢力がお互いに相手のせいであるといいあっ
ていますが、本当の犯人は別にいるのではないかという説も囁か
れています。
 撃墜されたMH17便が撃墜されたとき、高度1万メートルの
上空を飛行していたのです。まず、この飛行機をどのようにして
撃墜できるのかについて考えてみます。
 高度1万メートルを飛行する旅客機を地上から撃墜するには、
比較的規模の小さい地対空ミサイル防空システムで可能です。こ
のシステムは目標がどのあたりにいるのかを探す捜索レーダー、
より精密に照準をつける射撃統制レーダー、発射などのコントロ
ールを行う指揮所、そして実際にミサイルを発射するランチャー
が必要です。これに該当するのが旧ソ連製の「ブーク防空システ
ム」です。
 軍事アナリストの小泉悠氏は、このブーク防空システムについ
て、次のように述べています。
─────────────────────────────
 ブーク防空システムは、高速で進撃する戦車部隊が敵の空襲を
受けないよう上空を防護することを任務として開発されたため、
ミサイル、レーダー、指揮所などはすべて移動可能なプラット・
ォーム(キャタピラ式のシャーシやトラックなど)に搭載され、
進撃する部隊に合わせて移動することが可能だ。
 性能については、バージョンやターゲットによって違いがある
ものの、ソ連軍で標準的に使用されていた「ブークM1」シリー
ズならば概ね30〜35キロメートルの射程があり、高度2万〜
2万5000メートルまでのターゲットを攻撃できる。
                   http://bit.ly/1n19Fmy
─────────────────────────────
 確かに、これほどの性能のあるブーク防空システムであれば、
高度1万メートルの上空を飛行していたMH17便を撃墜するこ
とは十分可能ということになります。
 もちろん見えない敵機に対して、電波だけを頼りに攻撃をする
のですから、間違って民間機を撃墜してしまうことは、これまで
にもあったのです。
 1988年7月3日にホルムズ海峡に停泊していた米海軍のミ
サイル巡洋艦「ヴィンセンス」が、地対空ミサイルによって、バ
ンダレ・アッバース発ドバイ行きのイラン航空のエアバスA30
0B2を撃墜した事件があります。これによって乗客乗員290
人が全員死亡しています。事件後、米国側は遺族に賠償金を支払
い、謝罪しています。
 さらに2001年10月、演習中のウクライナ防空軍が発射し
た地対空ミサイルが、誤ってロシアのシベリア航空1812便を
撃墜し、乗客乗員78人が犠牲になっています。しかし、ウクラ
イナ側は関与を否定していますが、このように地対空ミサイルに
よる事故は多いのです。
 2014年10月13日、MH17便撃墜の原因の調査を主導
するオランダ安全委員会は、最終報告書を発表し、MH17便は
ウクライナ東部から発射されたロシア製ミサイルに撃墜されたと
結論づけています。これについて、2014年10月14日付/
朝日新聞は次のように報道しています。
─────────────────────────────
 ロイター通信によると、2014年6月までウクライナの調査
責任者を務めた治安当局関係者は、「マレーシア機を撃墜したミ
サイルシステムは、高度な技術力のある要員とともに、ロシアか
ら送られたと確信している」と語った。
 ウクライナ東部では、政府と親ロシア派が2014年2月、ウ
クライナとロシアにドイツ、フランスを交えた4首脳会議を経て
停戦に合意。しかし、戦闘は続き、9月にやっと小康状態になっ
た。(中略)今後の捜査で撃墜事件へのロシアの関与に踏み込め
ば、停戦合意の履行に影響が出ることも考えられる。
     ──ブリュッセル=吉田美智子、モスクワ=駒木明義
─────────────────────────────
 調査委員会は、ミサイルを発射した主体には言及していないも
のの、暗にロシア側の関与を強く示唆しています。しかし、世界
中で何が起きているかを素早く、正しく探知する能力を持つ米国
がこの件につき黙っているのは奇異な感じがします。
           ──[航空機事故の謎を探る/043]

≪画像および関連情報≫
 ●プーチン大統領機を狙ったのではないか?
  ───────────────────────────
   東ウクライナで自ら独立を宣言しているルガンスク人民共
  和国報道部は「マレーシア航空機ボーイング777を撃墜し
  たのは、ウクライナ空軍の攻撃機スホーイ25型機である」
  と伝えた。
   ルガンスク人民共和国報道部は又次のように発表した―─
  「旅客機ボーイング777の飛行を見守っていた現地の人達
  は、同機をウクライナ空軍機が攻撃する様を目撃した。攻撃
  を受けた後、同機は空中で真っ二つになり、ドネツク人民共
  和国領内に落下した。攻撃後、ウクライナ空軍機は撃墜され
  こちらはルガンスク人民共和国領内のクラスヌィ・ルーチ地
  区に落下した。現在「撃墜された旅客機」の捜索活動が続け
  られている」。
   ロシア・イタルタス通信は消息筋の話として、17日に撃
  墜されたマレーシア航空MH17便がロシアのプーチン大統
  領専用機とほとんど同様の航空路を飛行したと伝えた。ロシ
  ア・トゥデイが報じた。同氏は「プーチン大統領の専用機が
  マレーシア航空のボーイング777型旅客機とほとんど同じ
  航空路を飛行した。マレーシア航空機はモスクワ現地時間午
  後3時44分に、プーチン大統領専用機は午後4時21分に
  そこを通った」と語り、「2機の外観、カラーなどがほとん
  ど同じで、2機の区分けをするのは難しい」と付け加えた。
                   http://bit.ly/1NTSCMk
  ───────────────────────────

ブーク防衛システム.jpg
ブーク防衛システム
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月01日

●「プーチン大統領機と間違えて撃墜」(EJ第4169号)

 撃墜されたマレーシア航空17便には、乗客乗員298人が搭
乗していたのです。その内訳を調べてみることにします。なお、
乗員は15人で、全員マレーシア人です。
─────────────────────────────
     オランダ ・・・・・・・・・ 192人
     マレーシア ・・・・・・・・  43人
     オーストラリア ・・・・・・  27人
     インドネシア ・・・・・・・  12人
     イギリス ・・・・・・・・・   9人
     ドイツ ・・・・・・・・・・   4人
     ベルギー ・・・・・・・・・   4人
     フィリピン ・・・・・・・・   3人
     カナダ ・・・・・・・・・・   1人
     ニュージーランド ・・・・・   1人
     その他多国籍 ・・・・・・・   1人
     ―――――――――――――――――――
                    298人
        ── ウィキペディア http://bit.ly/1NBKB4v
─────────────────────────────
 そのとき、このMH17便には、国際エイズ学会がオーストラ
リアで開く「国際エイズ会議」に出席予定の研究者約100人が
搭乗していたという報道がしきりに流されていたのです。
 現在、エイズの研究は進んでおり、その治療薬は既に開発され
ているといわれています。これは、ビッグファーマにとって不利
であり、MH17便を撃墜することによって、エイズの学者をま
とめて殺害し、治療薬の開発を遅らせようとしたのではないかと
いう陰謀論がしきりに流布されていたのです。
 しかし、この報道は正しくないのです。実際に国際エイズ会議
出席のためMH17便に搭乗し、亡くなった人は6人であり、こ
の報道は正しくないと思われます。
 国際エイズ学会の関係者は、2014年7月19日に次のよう
に述べて、死亡者の数を修正しています。
─────────────────────────────
【7月19日AFP】国際エイズ学会のフランソワーズ・バレシ
ヌシ議長は7月19日、オーストラリア・メルボルンで開催され
る「第20回国際エイズ会議」に出席の予定だった関係者のうち
17日にウクライナ東部で墜落したマレーシア航空MH17便に
搭乗していたのは6人だったことを明らかにした。当初、会議出
席者で同便に乗っていたのは100人と報じられていた。
 「オーストラリアとマレーシア、オランダの当局と連絡を取り
確認したところ、死亡した会議出席者は6人だった。ほかにも数
人いる可能性はあるが、これまでに報道されていたような人数で
はない」という。(中略)死亡が確認された乗客には、オランダ
人で、安価な抗レトロウイルス治療のパイオニア、IAS元会長
のヨープ・ランゲ氏も含まれていた。  http://bit.ly/1On9VKg
─────────────────────────────
 MH17便撃墜について、それぞれ犯人と疑われている、ウク
ライナ、ドネツク州武装勢力(親ロシア派)、ロシアはそれぞれ
次のようにコメントしています。
─────────────────────────────
◎ウクライナ
 ウクライナのポロシェンコ大統領は、今回の事件について「事
 故ではなく、テロリストの攻撃によるもの」と断定。その上で
 親ロシア派の武装勢力に対する軍事行動を強化すると明言。
◎親ロシア派
 ドネツク州の武装勢力「ドネツク人民共和国」の代表者は「墜
 落については報道で知った。我々は、上空1万メートルを飛ぶ
 機体を撃ち落とせる武器は持っていない」と説明している。
◎ロシア政府
 ロシア24というテレビ局は、マレーシア航空の尾翼のロゴマ
 ークはロシア国旗と色使いが極めてよく似ており、プーチン大
 統領専用機を狙い、誤って旅客機を撃墜した可能性がある。
─────────────────────────────
 大きな疑問は、MH17便が撃墜された場所は、ウクライナと
親ロシア派が戦闘を繰り広げている戦場であり、旅客機が本来航
路とすべき場所ではなかったはずです。
 しかし、マレーシア航空は、ウクライナの戦闘地域は飛んでも
“安全”という保障を国連の国際民間航空組織(ICAO)が得
ているといってきているのです。もし本当であれば、ICAOに
は重大な責任があります。
 ロシアの第1チャンネルというテレビ局によると、ラテンアメ
リカを歴訪していたロシアのプーチン大統領は、MH17便が撃
墜された日と同じ2014年7月17日にモスクワに戻っている
のですが、ロシア大統領機とMH17便は同じ時間帯に、東ヨー
ロッパ上空を通過しているのです。
 したがって、ウクライナ空軍がMH17便をプーチン大統領機
と間違ってMH17便を撃墜したのではないかという疑惑が出て
いるのです。その根拠としては、現実にプーチン大統領の専用機
とMH17便は、撃墜日の同時刻に同じ現場の上空を通過してい
るからです。
 それに加えて、マレーシア航空の尾翼のロゴマークはロシア国
旗と色使いが極めてよく似ていることです。MH17便を大統領
専用機と間違えても不思議はないということです。これについて
は、添付ファイルの写真をご覧ください。確かによく似ていると
思います。
 しかし、ウクライナ空軍が、プーチン大統領機がその場所を通
ることをどうして知ったのでしょうか。どこの国でもそうですが
国のトップの外国歴訪の飛行ルートは厳秘のはずであり、簡単に
入手できるものではないからです。
           ──[航空機事故の謎を探る/044]

≪画像および関連情報≫
 ●マレーシア航空撃墜の犯人は何か
  ───────────────────────────
   17日に撃墜されたマレーシア航空をめぐってロシアや中
  国は、同じ航空路を飛行したプーチン大統領が襲撃目標かと
  伝えているのに対して、アメリカやウクライナは親ロシア派
  が制圧している地域から発射された地対空ミサイルで撃墜さ
  れた証拠があると断じている。
   まったく異なる見解の対立となった形だが、国際社会がど
  う真相を究明するのか。米ロ両国がお互いに非難合戦の宣伝
  の場となる可能性の方が強い。
   ロシア・イタルタス通信は消息筋の話として、17日に撃
  墜されたマレーシア航空MH17便がロシアのプーチン大統
  領専用機とほとんど同様の航空路を飛行したと伝えた。ロシ
  ア・トゥデイが報じた。
   同紙は「プーチン大統領の専用機がマレーシア航空のボー
  イング777型旅客機とほとんど同じ航空路を飛行した。マ
  レーシア航空機はモスクワ現地時間午後3時44分に、プー
  チン大統領専用機は午後4時21分にそこを通った」と語り
  「2機の外観、カラーなどがほとんど同じで、2機の区分け
  をするのは難しい」と付け加えた。マレーシア航空のボーイ
  ング777型旅客機が17日、ロシアの国境地帯に近いウク
  ライナ東部のドネツク州内に墜落した。機内にいた295人
  (乗客280人、乗員15人)の全員が死亡した。
                   http://bit.ly/1jqMva4
  ───────────────────────────

ロシア大統領専用機とマレーシア航空機.jpg
ロシア大統領専用機とマレーシア航空機
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月02日

●「本当にロシアが撃墜の犯人なのか」(EJ第4170号)

 マレーシア航空17便撃墜事件の犯人は誰か──この問題を追
及して行くと、犯人と目されているロシアよりも、ウクライナの
不自然さが浮かび上がってきます。
 ウクライナ保安庁側からいきなり出てきたのは、傍受したとい
う電話の記録です。親ロシア派とロシア軍関係者の会話とみられ
ます。会話には2つありますが、それぞれ2つのサイトに出てい
るので、そのすべてを示します。
─────────────────────────────
 ≪会話記録@≫
 親露派メンバー:飛行機を撃ち落とした。エナキエボの辺りに
         落ちた。
 ロシア軍関係者:パイロットはどこにいる?
 親露派メンバー:捜索を出して飛行機の写真を撮った。柱のよ
         うな煙が見える。
 ロシア軍関係者:何分前だ?
 親露派メンバー:約30分前だ。   http://bit.ly/1lnJb0N
 ≪会話記録A≫
 親露派兵士/1:飛行機が空中でばらばらになった。地上に民
         間機の破片が落ちている。
 親露派兵士/2:武器は?
 親露派兵士/1:そういったものはない。死体の海だ。女性や
         子どもも。今、コサックたちが調べている。
         テレビではウクライナの輸送機AN26だと
         言っている。だが、マレーシア航空と書いて
         ある。
 親露派兵士/2:この飛行機はウクライナ領土で何をしていた
         んだ?
 親露派兵士/1:スパイを運んでいたということだろう。分か
         らないが・・。ここでは戦争が行われている
         んだ。       http://bit.ly/1TeE8uz
─────────────────────────────
 これらの会話記録には数々の疑問があります。「会話記録@」
についての疑問は、飛行機の墜落のことを話題にしていますが、
「マレーシア機を撃墜した」とは一言もいっていないことです。
この戦場では多くの飛行機が墜されており、どの飛行機を指して
いるかは不明です。
 「会話記録A」については、「マレーシア航空」という言葉が
出てくるので、MH17便のことを指していることはわかります
が、墜落の原因、すなわち親ロシア派が撃墜したとは一言もいっ
ていません。
 以上から、これら2つの会話は複数の会話を繋いで事前に編集
したとみられるものであり、MH17便の墜落のことを会話して
いるよう作っています。つまり、この会話記録は“造りもの”で
あり、事前に作成されたものと考えられます。
 そうであるならば、撃墜事件の起きた翌日の7月18日にその
音声記録を発表できて当然です。そうであるとすると、ウクライ
ナ側はMH17便撃墜事故が起きることを事前に知っていたこと
になります。これはどういうことでしょうか。
 これに関して、ロシアの国営テレビは、ロシアの専門家の分析
の結果として次のように報道しています。
─────────────────────────────
 この会話記録は捏造されている。これは、複数の会話の音源
 を組み合わせている。    ──ロシアの国営テレビ報道
─────────────────────────────
 さらにウクライナ政府は、19日に、親ロシア派勢力が墜落さ
れたマレーシア機の残骸や遺体を持ち出していると発表し、証拠
隠滅、調査の妨害であると非難したのです。まさに矢継ぎ早やの
親ロシア派非難の連続攻撃です。世界のメディアは、これをほぼ
そのままのかたちで流したので、ロシアのイメージは一挙に悪化
してしまうのです。
 7月21日に国連安全保障委員会は、マレーシア航空機撃墜を
非難する決議を全会一致で採択しています。この決議にはロシア
は賛成しています。そして、国連として徹底的な国際調査を実施
することを決めています。しかし、この国際調査団はなかなか現
場に立ち入って、調査を行おうとはしていないのです。
 そして世界は、メディア報道によって、それは墜落現場を支配
する親ロシア派が調査の邪魔をしているように思っていますが、
実際はそれとはかなり事情は異なるのです。
 これに関して、岩上安見氏が主宰するブログでは、次のように
述べています。
─────────────────────────────
 だが、その後しばらくの間、事故調査団が現場に到着すること
はなかった。親露派が現場を荒らしている、という非難がほうぼ
うから投げかけられたが、他方、その親露派のリーダーが事故現
場の調査を行ってくれ、と言っており、現にマレーシアのナジブ
首相が墜落現場の遺体・遺留品の捜索に関してボロダイ氏と22
日には合意しているのだが、この事実はほとんど報じられること
がなかった。
 そして、肝心の国際調査団は、なぜか現地入りを躊躇したので
ある。結局、親ロシア派勢力が回収したブラックボックスはマレ
ーシア政府に引き渡され、23日にイギリスに到着した。イギリ
ス政府の航空事故調査部門がデータの取り出しと解析を行ってい
る。──【岩上安見のニュースのトリセツ】
   「IWJウィクリー66号」より http://bit.ly/1TeE8uz
─────────────────────────────
 ウクライナのバックには米国がついており、ロシア犯人説を強
調していますが、冷静に分析すると、ロシアよりもむしろウクラ
イナの方のやっていることの方が、多くの疑問や矛盾があるので
す。MH17便を撃墜したのは、本当にロシアの仕業なのでしょ
うか。        ──[航空機事故の謎を探る/045]

≪画像および関連情報≫
 ●マレーシア航空撃墜事件の新犯人
  ───────────────────────────
   9・11の同時多発テロだって、見事にアメリカは自作自
  演で、世界の目を欺こうとした。こういう過去を知っていれ
  ば、ウクライナ&アメリカがせっせとロシア側の犯行の“証
  拠”だと挙げてきては、オバマ大統領が眉をしかめてロシア
  を非難するさまは、「ああ、またか」でしかない。
   ロシアはそういう宣伝が上手ではない。だから今もマレー
  シア航空事件では宣伝が後手にまわっている。事件を発表し
  たウクライナのポロシェンコ大統領の目は泳いでいた。ウソ
  だとわかっていたから、そのやましさが、当人の良心を揺さ
  ぶったのだろう。まだ大統領になって日が浅く、しかも傀儡
  であるから演技が下手なのである。
   世界中のマスゴミがこぞって「怪しいのは親露派だ」と言
  い出したということこそ、本当は動かぬ証拠であって、事件
  の仕掛けはアメリカだと強烈に匂うのだ。
   だが、プーチンもしたたかだから、そういうアメリカの陰
  謀に加担している可能性もないではあるまい。第二次世界大
  戦は全部八百長だったのだ。要するに戦争を起こしてカネを
  儲けられれば、人の命なんかどうでもいいとする連中なのだ
  から。              http://bit.ly/1lnJb0N
  ───────────────────────────

米人工衛星の撮影したMH17便の残骸.jpg
米人工衛星の撮影したMH17便の残骸
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月03日

●「MH17便撃墜は米国の偽旗作戦」(EJ第4171号)

 ウクライナ政府による相次ぐ情報発信により、マレーシア航空
17便は、親ロシア派のブークよによって撃墜されたものという
世論形成ができた時点での安保理による「マレーシア航空機撃墜
非難決議」に賛成するかどうかについて、米国とロシアは相当激
しい議論を展開したといいます。
 しかし、旅客機撃墜を非難し、独立した国際調査を求めた決議
に米ロ双方とも最終的に合意したため、決議は全会一致で採択さ
れたのです。ロシアとしては、賛成しなければ、ますます疑われ
ることやウクライナの方が相当怪しいとする情報を多く掴んでお
り、十分反論できると考えたからです。
 国連安保理決議の翌日の7月22日、ロシア空軍のマクシェフ
中将は記者会見を開き、MH17便の撃墜の直前にその近辺にウ
クライナ戦闘機とみられる2機が飛行していたことを発表したの
です。これについて、2014年7月22日付、ウォール・スト
リート・ジャーナル紙は、「ロシア、撃墜にウクライナ関与を示
唆/マレーシア機」のタイトルで次のように報道しています。
─────────────────────────────
 テレビで放送されたロシア国防省による記者会見の内容は、親
ロシア派が航空機を撃墜したとする西側やウクライナの主張とは
食い違う。(中略)
 モスクワで記者会見したロシア空軍のマクシェフ中将は、27
日の航空機撃墜で誰がミサイルを発射したかに言及することは控
えた。またミサイル軌道を示す画像やレーダー・衛星関連の証拠
も提示しなかった。
 だがマクシェフ中将は、ロシアのレーダーが航空機の墜落直前
にその近辺に2機目の航空機を発見し、これがウクライナの戦闘
機であった可能性が大きいと述べた。レーダー記録に基づくとさ
れる画像を示しながら、撃墜前の同地域で民間機4機とウクライ
ナ戦闘機1機をレーダーが捉えていたと説明した。
 会見では、ウクライナが事件前にミサイル一式を同地域に移動
した可能性にも言及し、ミサイル移動を示すとする衛星画像数枚
を公開した。           http://on.wsj.com/1qGqx5D
─────────────────────────────
 このことを裏付ける他の情報もあります。ロシアのカルトポロ
フ大尉は、MH17便の3キロから5キロのところを追尾するよ
うにウクライナの軍用機が飛行しており、その軍用機には対空ミ
サイルが搭載されており、それは12キロ範囲内を標的とするこ
とができるとしています。
 なぜ、ウクライナの軍用機がMH17便と同じ時間に、同じ高
度で、MH17便の航路に沿って飛行していたのでしょうか。ロ
シアはウクライナ政府に対し、このことについて説明を求めまし
たが、その返答はなかったといいます。
 もうひとつ証言があります。BBCのレポーターがマレーシア
機墜落の目撃者数人にインタビューをしたとき、次の発言があっ
たことです。
─────────────────────────────
・もうひとつ飛行機がいた。軍用機で、マレーシア機のとなりに
 いた。皆それを見ている。
・軍用機がマレーシア機の直下を飛んでいるのを見た。民間機の
 真下を飛行していたのだ。      http://bit.ly/1MPcB0Y
─────────────────────────────
 これら一連の証言はロシア側の主張を完全に裏付けています。
しかしこのBBCの取材ビデオは、ウェブサイトにアップロード
されたのですが、なぜかその直後に削除されています。何があっ
たのでしょうか。
 MH17便撃墜事件で注目すべきは米国の態度です。事件直後
の17日から、国連決議の21日までの米国の態度の変化につい
て分析します。
 17日の事件直後、米国は「このような事態になったのはロシ
アのせいである」という声明を出しています。そして、18日に
は、今度はオバマ大統領が次の発言をしています。つまり17日
の発言の根拠を示したのです。
─────────────────────────────
 マレーシア航空17便を撃墜したのは、地対空ミサイルであ
 り、それは親ロシア派の支配地域から発射されている。
                    ──オバマ大統領
─────────────────────────────
 ロシアや親ロシア派が撃墜したとはいっていませんが、この発
言は誰が聞いてもロシアが犯人だと断定しています。それだけ自
信に溢れた発言であるといえます。
 20日になると、今度はケリー国務長官がオバマ大統領の発言
を補強し、次のように発言したのです。
─────────────────────────────
 ロシアは親ロシア派に対し、武器を提供している。これには
 膨大な証拠がある。         ──ケリー国務長官
─────────────────────────────
 MH17便はSA11地対空ミサイルで撃墜されたといわれて
いますが、ケリー国務長官はその武器を親ロシア派に提供したの
はロシアであり、その多くの証拠を米国は握っていると述べてい
ます。20日のロイター電は、これに関して次のように報道して
います。
─────────────────────────────
 ケリー長官は、米当局が、ロシア製SA11地対空ミサイルの
親ロシア分離派勢力への移送に関する会話を傍受したほか、ロケ
ットが少なくとも1発なくなっているミサイル発射装置がロシア
に戻るのを撮影した動画を確認したと指摘。「ロシアが武器供与
に関与したことを示す膨大な量の証拠がある」とCBSの番組で
述べた。               http://bit.ly/1Ij8hZ9
─────────────────────────────
           ──[航空機事故の謎を探る/046]

≪画像および関連情報≫
 ●MH17便にウクライナ軍機2機が追尾
  ───────────────────────────
   米政府高官は、マレーシア機が撃墜された時に別の航空機
  が存在したとのロシア政府の主張について、「必死の」プロ
  パガンダだとして切り捨てた。米高官は自らの主張を裏付け
  る証拠を示していないものの、ウクライナの戦闘機は墜落時
  に地上にあったとする同国の21日の発表に言及。さらに、
  マレーシア機が飛行していた3万フィート(約9100メー
  トル)の高度ではウクライナの戦闘機は飛行できないと述べ
  た。「ロシア政府には比類のないプロパガンダマシンがある
  ことをこうした陰謀説は示している」とある高官は述べた。
   マクシェフ中将は、ロシアは衛星画像やレーダーのデータ
  を含むすべての情報を欧州当局に提示する用意があると述べ
  た。ロシア国防省はまた、マレーシア機の墜落時に米国の衛
  星を近隣で発見したと主張、米国に当時の衛星画像を公開す
  るよう要請したことを明らかにした。米国はこの主張につい
  て直ちにコメントすることは控えた。
                 http://on.wsj.com/1qGqx5D
  ───────────────────────────

ロシアを非難するケリー国務長官.jpg
ロシアを非難するケリー国務長官
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月04日

●「米国は重要衛星写真を隠している」(EJ第4172号)

 オバマ政権がマレーシア航空17便撃墜事件に関して、一方的
にロシア関与説を強調・展開することについて、米国内から異論
が出てきたのです。それは、2014年7月22日から突如とし
てあらわれたのです。これについて、国際政治学者の田中宇氏は
自身のブログで次のように述べています。
─────────────────────────────
 事件から5日後の7月22日になって、米政府は諜報担当官の
匿名の記者会見で「ロシアがMH17機の撃墜に何らかの関与を
していたと考えられる根拠がない」「ロシアがウクライナ東部の
親露勢力にミサイルを渡して撃墜させたと考える根拠がない」と
述べ、それまでの「ロシアがやったに違いない」という主張を引
っ込め始めた。米国務省は「ウクライナ東部の親露勢力が(ロシ
アから与えられたのでなくウクライナ軍から奪うなど独自に入手
した)SA11を使って、MH17機をウクライナ軍機と間違え
て撃墜した」という新たな説明をし始めた。
   ──「マレーシア機撃墜の情報戦でロシアに負ける米国」
                   http://bit.ly/1YD4JoP
─────────────────────────────
 それは、マレーシア航空機を撃墜した犯人が親ロシア派かロシ
アであるとして、それが彼らにどんなメリットをもたらすかを考
えてみると、何もないということです。それをやったところで、
ウクライナ内戦の戦況がよくなるわけではないのです。
 旅客機を戦闘機がミサイルで攻撃する──そんなことをすれば
全世界の怒りを買って国は孤立し、時の政権は崩壊しかねないの
です。このように、何のプラスにもならないリスクの多いことを
果してやるだろうかという考え方です。
 それは、むしろロシアや親ロシア派と利害が対立する反対側の
国であるウクライナや米国にとってプラスになることではないで
しょうか。つまり、自分でやっておいて、相手のせいにする「偽
旗作戦」ではないかというわけです。
 国内で反オバマの旗を振る、元共和党大統領候補のロン・ポー
ル元議員は、そもそもウクライナで今起きていることに責任があ
るのは、米国であるとして、次のように述べています。
─────────────────────────────
 アメリカが支援する”レジーム・チェンジ”(キエフにおける
ユーロマイダンによる政権転覆のこと)がなかったとしたら、そ
の後に続いた動揺で何百人もが殺されるという事態は起きなかっ
ただろう。マレーシア航空の墜落だって起きなかっただろう。
       ──ロン・ポール元議員 http://bit.ly/1XrF312
─────────────────────────────
 そもそも現在のウクライナ政府は、米国の後押しによる暴力的
クーデターによって、親ロシア派のヤヌコビッチ政権が崩壊して
誕生した政権なのです。ロシアとしては、このクーデターこそが
ウクライナ東部の紛争や同国の経済破綻を招いた原因であると主
張しているのです。ロン・ポール元議員はそういうロシアの主張
に理解を示しているのです。
 さらにロン・ポール氏は、MH17便撃墜事件について、次の
ように述べています。
─────────────────────────────
 ウクライナで起こっていること全てを監視することができるス
パイ衛星を持つアメリカが、誰がどこで何をしたのかの正確な証
拠を持っていないとは考えにくい。したがって、マレーシア機の
撃墜について米国政府は重大な隠し事をしている。
                  ──ロン・ポール元議員
─────────────────────────────
 米国は世界中を見通せるスパイ衛星を持っており、世界中で起
きたことをすべて把握しています。しかし、2度にわたるマレー
シア航空の事故について、米国は何も語っていないのです。
 それにこの撃墜事件はロシアの国境付近で起きていることから
この付近一帯を常に監視しているロシアもすべてを把握している
と思われます。そのすべてを知っている同士が奇妙な駆け引きを
して、事実を隠しているのです。
 こんな情報があります。MH17便のコックピット付近の残骸
には多くの弾痕があるというのです。内側にえぐられている穴と
外側にえぐられている穴の両方があり、これはコックピットの両
側から撃たれたことを意味しています。これは、戦闘機による銃
撃以外考えられないのです。
 そうであるとすると、MH17便は、その墜落当時、近くを飛
行していたウクライナの戦闘機によって銃撃され、対空ミサイル
で墜落されたということになります。そのことをロシアはもちろ
んのこと、米国も知っていることになります。
 これに関連して、ロン・ポール元議員は、親ロシア勢力がロシ
アで作られた地対空ミサイル「ブーク」によってMH17便を撃
墜したとする西洋メディアの報道に対して、次のように批判して
います。
─────────────────────────────
 彼らは、ウクライナ政府もまったく同じロシア製の兵器を使っ
ていることは、知っているのに報道しない。
                  ──ロン・ポール元議員
─────────────────────────────
 そして、2014年7月23日にまた奇怪なことがおきるので
す。MH17便機墜落現場の近くで、ウクライナ軍用機2機が撃
墜されたのです。この2機は、17日にMH17便の近くを飛行
していた戦闘機と同型機です。ウクライナ国防省のリシェンコ報
道官は、対空ミサイルによる撃墜だと発表しています。
 ここまでの分析によると、MH17便は、どうやらウクライナ
の戦闘機によって撃墜されたことは間違いないようです。しかも
MH17便は戦闘機からの銃撃の後で、空対空ミサイルで撃墜さ
れたと考えられます。ウクライナ軍は何のためにこんなことをし
たのでしょうか。   ──[航空機事故の謎を探る/047]

≪画像および関連情報≫
 ●米国政府はウクライナ政府が関与した衛星写真を隠している
  ───────────────────────────
   アメリカはウクライナ政府がマレーシア航空機を墜落させ
  たことを示唆することになる衛星写真を隠しているかもしれ
  ない、とアメリカの政治評論家が指摘した。
   南アメリカや中東に関する本を何冊か書いているジェーム
  ズ・ペトラ教授は、プレスTVとの電話インタビューで、元
  共和党大統領候補のロン・ポールのコメントに言及し、アメ
  リカがマレーシア航空MH17便の撃墜にかんする真実を隠
  している、と指摘した。
   7月17日、ボーイング777─200旅客機はウクライ
  ナの紛争地帯に墜落、乗っていた298人全員が死亡した。
  アメリカの情報と軍関係の高官によれば、この航空機はロシ
  ア製のSAシリーズのミサイルによって撃たれたという。
   「・・・非常に広範で徹底しているアメリカの衛星写真に
  は、アメリカの公的な政策とウクライナ政権を支持すること
  に対して矛盾する内容を示す映像が恐らくあるだろう。その
  内容は、アメリカがその映像が広く知られることを願わない
  内容で、それは反ロシア・キャンペーンの信用を落すもので
  あろうし、恐らく国連が完全な調査を要請し、アメリカに対
  し、これら衛星写真を渡すよう要求するだろう」とペトラは
  語った。             http://bit.ly/1lUcFDQ
  ───────────────────────────

ローン・ポール元米議員.jpg
ローン・ポール元米議員
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月07日

●「MH17便撃墜現場の不可解な謎」(EJ第4173号)

 マレーシア航空17便が撃墜された現場のことです。MH17
便が墜落した場所は、ウクライナ・ドネツク州グラボヴォ村とい
うところです。この現場に関連して、不可解なことがたくさんあ
るのです。
─────────────────────────────
 1.墜落地域は親ロシア派とウクライナ軍の戦闘が行われて
  いる地域であり、オランダ主導の国際調査団がなかなか墜
  落現場に立ち入ることができなかったということ。
 2.現場には大破した機体とともに乗客のものと思われるス
  ーツケースや荷物などが散乱しているようだが、いずれも
  汚れや汚染がなく、綺麗な状態で発見されている。
 3.この2回にわたるマレーシア航空の事故は、239名が
  行方不明、298人が全員死亡、合計537名もの人が不
  明なのに、遺族の動きがほとんど見えないでいる。
─────────────────────────────
 「1」に関する不可解さについて考えます。
 撃墜現場は、親ロシア派とウクライナ軍との戦闘が行われてい
る地域であり、国際調査団もなかなか立ち入れないでいる──こ
のようにメディアが伝えているので、世界中の人がそれを信じて
いると思います。
 しかしこれは事実とは異なるようです。国際調査団が入れない
状況にもかかわらず、民間人が現場に立ち入っているからです。
2014年7月27日付のAFP通信は、そのことを次のように
伝えています。
─────────────────────────────
【2014年7月27日AFP】乗客乗員298人を乗せてウク
ライナ東部の親ロシア派支配地域に墜落したマレーシア航空MH
17便に乗っていた女性の両親が、26日、犠牲者の親族として
は初めて墜落現場に足を踏み入れた。
 墜落現場付近では、ウクライナ軍と親露派武装勢力の双方が停
戦を宣言しているが、そこから60キロメートルほど離れた場所
では激しい戦闘が続いており、親露派の拠点があるドネツクの西
と北の郊外では、大きな爆発音が一定の間隔で鳴り響いている。
 オーストラリア人のイェルジ・ディジンスキーさんとアンジェ
ラさん夫妻はこの日、事故で亡くなった一人娘のファティマさん
(25)との約束を果たすためとして、安全上の警告を無視し、
付き添いなしで墜落現場を訪れた。   http://bit.ly/1rOeZva
─────────────────────────────
 これを見ると、最大の192人が亡くなっているオランダが主
導する国際調査団であるのに、少しでも早く現場に入ろうという
積極性はほとんど感じられないのです。この撃墜事故は何かがお
かしいと思います。
 「2」に関する不可解さについて考えます。
 添付ファイルのMH17便の撃墜現場写真を見ていただきたい
のです。これらの写真は、撃墜から24時間後に現場を撮影した
FNNの映像です。
 左上の写真は、兵士がパスポートを持っていますが、いずれも
完全に残っていて、とても綺麗です。左下の写真は、パスポート
の中身は写真を含めて完全に無傷です。右上の写真では文書の文
字が完全に読めるかたちで残っています。
 右下の写真は、バックなどがまるで整理して並べたように、完
全なかたちで残っています。とても高度1万メートルでミサイル
で撃墜され、落下した荷物とは思えないのです。
 ここにMH17便の撃墜直後の墜落現場を写したとする動画が
あります。5分程度の動画ですが、視ていただくと不可解なこと
がたくさんわかります。        http://bit.ly/1Ix2hMo
 「3」に関する不可解さです。
 この2回にわたるマレーシア航空の事故に違和感を感ずること
がもうひとつあります。もし、行方不明になっているMH370
便の乗客乗員も全員亡くなっている仮定すると、これは、全員で
537人の人が亡くなっている大事故なのです。
 それなのに、いずれも遺族の動きが見られないのです。2つの
事故では、MH370便では中国人、MH17便ではオランダ人
の乗客が非常に多いのですが、それらの国での遺族の情報はまる
でないのです。
─────────────────────────────
    MH370便 中国人 ・・・・・ 152人
    MH 17便 オランダ人 ・・・ 192人
─────────────────────────────
 それぞれの国では、遺族の動きに関する映像は流れているとは
思いますが、それが日本で報道されることは皆無ですし、これほ
どの事故にしては遺族の動きはあまりにも静かです。
 MH17便撃墜の遺体に関して、AFP通信は次のように報道
しています。
─────────────────────────────
 【7月23日AFP】ウクライナ東部の親ロシア派支配地域に
墜落したマレーシア航空MH17便の乗客乗員の遺体を受け取っ
たオランダの専門家チームは22日、遺体の数が親露派の約束し
た数よりも約80体少なかったことを明らかにした。
 親露派の武装勢力は21日、現場から収容した282人の遺体
を乗せる保冷機能付きの貨車を、現場から北西に約300キロ離
れたウクライナ政府の支配下にあるハリコフに送り出したと述べ
ていた。だが、遺体を引き渡されたオランダの専門家チームによ
ると、列車に乗せられていた遺体は200体のみだったという。
                   http://bit.ly/1XL5grM
─────────────────────────────
 このように、撃墜現場、遺体に関しては多くの謎が残っていま
す。遺体の身元は果して本当に確認されたのでしょうか。そうい
う情報は、ネット上でもきわめて少ない情報しかないのです。
           ──[航空機事故の謎を探る/048]

≪画像および関連情報≫
 ●オランダ政府ブラックボックス公開を拒否
  ───────────────────────────
   7月22日号「ロシア:ブラックボックスで全ては明らか
  になる」という記事があるように、マレーシア航空17便の
  撃墜事件の真相はブラックボックスの解明ではっきりさせる
  ことができるのであり、だからこそロシア側はそれを当初か
  ら指摘しているのだが、そのブラックボックスを保管しその
  内容を解析したオランダ当局は結局、このブラックボックス
  の内容の開示を拒否している。
   7月23日号「ロシア軍:ウクライナ・アメリカへの10
  の質問」では以下のように記した。「フライト・レコーダー
  の解析とその発表がまともに行われると考えるのは早計だろ
  う。欧米・ウクライナ側は必死になってこのブラックボック
  スの内容を自分達に有利にしようと画策する可能性がある。
  いろいろな圧力も掛けられるであろう。真相が出てくるかど
  うか、これもまだ分からない」。
   事態はまさしくこの予想通りの展開となっている。結局、
  この世界は力と力で出来上がっている世界なのでアメリカの
  都合の悪い情報はこのように闇に葬られる事になっている。
  しかし同時にこのことで、マレーシア航空機17便の撃墜の
  下手人はウクライナ政府側である、ということも明白になっ
  たと判断するべきである。     http://bit.ly/1qj2J5G
  ───────────────────────────

MH17便撃墜の現場写真.jpg
MH17便撃墜の現場写真
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月08日

●「事件の真相を隠蔽する西側関係国」(EJ第4174号)

 MH17便撃墜事件では、関連する西側各国の態度はいずれも
少しおかしいのです。マレーシア、ウクライナ、オランダ、米国
などがそうです。
 MH17便の撃墜から一週間後の2014年7月23日のこと
です。オランダのヒルフェルムス市の市長がとんでもない発言を
して謝罪に追い込まれています。オランダ在住のロシアのプーチ
ン首相の娘であるマリア・プーチン氏に対し、「オランダから出
て行けといいたい」と発言したのです。市長はこの発言に対し、
謝罪しましたが、その思いを次のように述べています。
─────────────────────────────
 多くのオランダ人が感じている抑えようのない感情から発言
 してしまった。          http://bit.ly/1rBblq3
─────────────────────────────
 はっきりしていることは、この市長が、いやオランダ市民の多
くが、MH17便を撃墜したのはロシアに決まっていると思って
いることです。しかし、これまで検証してきているように、MH
17便を撃墜したのはロシアではなく、むしろウクライナ軍であ
る疑いが濃厚です。おそらくオランダのメディアは、ロシア犯人
説を流しているものと思われます。
 それでいて、オランダはMH17便のブラックボックスを親ロ
シア派が受け取って解析しているが、なぜかその公開を拒否して
いるのです。もし、ブラックボックスの解析によって、ロシアが
犯人であるという証拠が得られたのであれば、公開を拒否する理
由はないはずです。そのことについて、グローバル・リサーチ・
カナダのサイトは次のように伝えています。
─────────────────────────────
 ウクライナで7月17日にマレーシア航空MH17便が撃墜さ
れ、搭乗していた298人全員が死亡したことについて、主流メ
ディアが語らなくなっていることは注目されるべきことだ。
 当時、証拠もないままアメリカとNATO高官らは即座にロシ
アと親ロシア派ウクライナ反政府勢力がこの航空機撃墜をしたと
非難した。この嫌疑をヨーロッパ連合はロシアに対する経済制裁
を実施するよう利用した。
 アムステルダムから出発しウクライナで墜落したこの便に対す
る調査の最初の実際に判明した事柄についての予備報告書が一週
間以内に発表されると、オランダ安全理事会は8月11日発表し
た。オランダは墜落した航空機のブラックボックスあるいはフラ
イト・データの保管をしている。
 8月25日付けでオランダ政府はこの記録の公開を拒絶してい
る。これは当然にウクライナのキエフ当局が墜落の下手人である
との疑惑をたちまち浮上させた。キエフ当局がなぜブク地対空ミ
サイルシステムを、航空機を持たない反政府勢力が存在する現場
付近に設置したのか、なぜマレーシア航空機はキエフ当局によっ
て数百マイルもコースを逸れて戦闘領域に入ることになったのか
またなぜ航空機の航空管制データとレーダー・データが未だに公
開されないのか、という疑惑が持ち上がっていた。
                   http://bit.ly/1PLpm0K
─────────────────────────────
 2014年9月9日になって、オランダ安全委員会は、実に意
味不明の報告をしています。この報告書では、MH17便の崩壊
を引き起こしたものについて、次のように述べています。
─────────────────────────────
 多数の高エネルギー物体」が飛行機の崩壊を引き起こしたと考
えられるが、その物体が何であるかは特定されていない。
   ──マレーシア機撃墜の第1報告書/オランダ安全委員会
─────────────────────────────
 これでは何をいっているのか不明です。その物体の性質やどこ
からきたものかについては調査していないとし、その理由につい
て、ウクライナ政府と親ロシア派勢力分離主義者勢力のあいだの
紛争のなか、安全が保証されていないため、調査員が墜落現場に
行くことができなかったと述べています。これについては既に述
べているように、多少の危険はあるものの、MH17便墜落現場
には一般人でも立ち入っているのです。オランダの調査団は最初
から調べる気持など全然ないのです。
 もっと不思議なのは、マレーシア航空の対応です。そもそもマ
レーシア航空は、なぜウクライナと親ロシア派が戦闘を繰り広げ
ている危険な戦闘地域の上空を飛んだのでしょうか。
 もっと驚くべきことは、MH17便撃墜の後、すべての航空会
社がウクライナ上空の飛行を取りやめるなか、マレーシア航空は
シリアの上空を飛んでいるのです。シリアの上空の飛行は禁止さ
れているわけではないが、きわめて危険であると、国際民間航空
機関(ICAO)は警告を発しています。これについて、ニュー
ズ・ウィークのサイトは次のように述べています。
─────────────────────────────
 乗客乗員298人を乗せたマレーシア航空17便が、ウクライ
ナ東部で地対空ミサイルによって撃墜されたのは先週の17日。
その後他のすべての航空会社と同様に、マレーシア航空もウクラ
イナ上空の飛行は回避している。
 ウクライナ上空はアジア各地の拠点空港とヨーロッパを結ぶ最
短ルートだが、各航空会社は安全確保のために回避せざるを得な
いのが現状だ。しかしウクライナ東部と同様、迂回ルートにも危
険が潜んでいる可能性はある。マレーシア航空は事故からわずか
3日後の20日、クアラルンプール発ロンドン行きの4便を、内
戦が続くシリア上空に飛行させ、再び批判にさらされている。
                   http://bit.ly/1tf6UBJ
─────────────────────────────
 2つのマレーシア航空の事故は、何かがきわめておかしいとい
えます。マレーシア航空は、これほどの事故を起こしておきなが
ら、今度はシリアの上空に旅客機を飛行させるというのは、明ら
かに異常です。    ──[航空機事故の謎を探る/049]

≪画像および関連情報≫
 ●なぜ、MH17便は危険な上空を飛んだのか
  ───────────────────────────
   なぜマレーシア航空機は、あえて戦場であるウクライナ東
  部の上空9000メートルを飛んでいたのか。素人目に考え
  てもちょっと迂回することはできなかったのか。オランダの
  アムステルダムから東南アジアのマレーシアを目指す最短距
  離はといえば、確かにウクライナ上空を通過するのが最短の
  飛行ルートだということは間違いありません。3月に370
  便の謎の失踪事件を起こして以来、経済的にも窮地に追い込
  まれている貧しい航空会社としては、燃料の節約のために少
  しでも短い飛行距離を選んだ。というのはよくわかります。
   またB777型機のような大型旅客機が航行する飛行高度
  は1万メートルと高く、一般的に言って地上戦で用いられる
  ロケット砲やミサイルの射程距離から離れています。このこ
  とから地上戦の影響を受けることはないだろう、ミサイルな
  どの流れ弾があたる確率は概ね低いだろう、と判断したこと
  も十分考えられます。その判断そのものは航空業界の常識か
  ら言っても妥当なものだったと僕は考えています。
   しかし現実にマレーシア航空機は撃墜された。これはいっ
  たい何を意味しているのでしょうか?不運が重なったという
  ことも言えるでしょう。また武装集団の行為が常軌を逸した
  テロ行為だったというのは言うまでもありません。だからと
  いって単なる偶然と言えるのでしょうか?
                   http://bit.ly/1NBNFHu
  ───────────────────────────

マリア・プーチン氏.jpg
マリア・プーチン氏
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月09日

●「背景にあるウクライナ問題を知る」(EJ第4175号)

 マレーシア航空17便の撃墜で、飛行機は空中でバラバラにな
り、機体と遺体は親ロシア派とウクライナ軍が戦闘中の戦場に落
下したのです。この機体と遺体には既に述べているように、いく
つもの不審なことがあります。
 こういう見方があります。犯行を行った側にとっては、機体と
遺体が戦場に落下することは、いくつかの面において都合がよい
ことが多いということです。
─────────────────────────────
 1.戦場だと事故調査団が現場に立ち入ることが困難になり
   犯行側は種々な工作ができる。
 2.ブラックボックスなど墜落原因を特定できる重要情報を
   先取できるなど優位に立てる。
─────────────────────────────
 これら2つのことは現実のものになっています。事実、オラン
ダを中心とする国際調査団は、十分なかたちで現場に立ち入るこ
とができなかったのです。もっとも国際調査団は、墜落直後から
の動きを見ていると、戦場であることを理由に自ら積極的に現場
に行こうとはしていないようにみえます。同胞が192人も亡く
なっているにもかかわらずです。
 ブラックボックスは親ロシア派が手に入れており、比較的早く
オランダ側に渡されています。親ロシア派が中身を調べたフシは
ないようです。しかし、オランダ側はブラックボックス解析の結
果は公表しないと宣言しています。
 もうひとつ奇怪な情報があります。東部ウクライナの親ロシア
派の指揮官は次のような発言をしているのです。英文サイト「ビ
フォー・イッツ・ニュース」に出ています。
─────────────────────────────
   MH 17 Plane Crash Bodies Were NOT Fresh,
                Reeked of Decomposition!
 撃墜された航空機の乗員・乗客の遺体は、その時に死亡したの
ではなく、数日前に既に殺害されていた疑いがある。遺体は血ま
みれの状態であり、既に腐敗臭がしていた。
                   http://bit.ly/1n0Gccw
─────────────────────────────
 真偽のほどはわかりませんが、これは一体何を意味しているの
でしょうか。それには現在起きている、いわゆる「ウクライナ問
題」について知る必要があります。
 ニュースで伝えられるイメージでは、ロシアが悪いように見え
ます。ロシアがウクライナの親ロシア勢力に武器や兵器を与える
など支援して、内戦を起こさせているように見えます。
 一方、ウクライナのバックにはEUと米国がおり、何とかして
ウクライナを親EU化させたいと考えています。しかし、ウクラ
イナの東部にはロシアにシンパシィを持つ住民が大勢いて、ウク
ライナの親EU化は困難な情勢です。
 ところが、EU諸国はロシアからのエネルギーに依存しており
ロシアとは本格的にはことを構えたくないのです。そこで米国が
ウクライナをサポートし、いろいろな画策をしています。まさに
「ロシア対米国」の対決の構図になっているのです。
 ウクライナ問題の本質は「ロシアの封じ込め」にあります。地
政学的にいうと、旧ソ連の最大の防壁は、東ヨーロッパ諸国のワ
ルシャワ・パクト(ワルシャワ条約機構)だったのです。しかし
冷戦終結後にこれが解体してしまいます。そうなると、ロシアに
とってNATOとの緩衝地帯はウクライナだけになります。
 したがって、もしウクライナが親EUになると、ロシアはすべ
ての防壁を失い、丸裸になってしまいます。それに加えて、黒海
の出入り口であるクリミアも失うことになります。これはロシア
にとって大打撃です。
 旧ソ連時代においてウクライナは、旧ソ連最大の軍需都市だっ
たのです。ICBM、核開発、戦車、軍艦などはすべてウクライ
ナで製造していたのです。そういうわけで、ソ連崩壊でウクライ
ナが独立すると、ウクライナは国際謀略の最前線になり、武器商
人が暗躍する主戦場と化したのです。
 ところで、「ディナモ・キエフ」をご存知ですか。
 ディナモ・キエフは、有名なサッカークラブで、ウクライナの
矢といわれ、世界的なスーパースターシェフチェンコが所属し、
UEFAチャンピオンズリーグでも活躍する名門クラブです。
 このクラブには、「ディナモ・キエフの美談」という有名な話
が伝わっています。これはシルベスタ・スタローンの主役で『勝
利への脱出』(パラマウント映画)として映画化されています。
─────────────────────────────
 FCディナモ・キエフは、ウクライナの首都キエフを本拠地と
する世界的なビッグクラブだ。伊セリエAの名門・ACミランや
イングランドプレミアリーグの強豪・チェルシーなどで活躍した
スター選手のアンドリー・シェフチェンコを輩出したほか、ヨー
ロッパチャンピオンズリーグ(CL)の常連とあって、日本での
知名度も高い。そのディナモ・キエフを世界的に有名にしたのが
第二次世界大戦時代にナチスと行った親善試合で、世に知られる
「デス・マッチ」(死の試合)である。
 ナチスの占領下となったウクライナで、ナチスはサッカーの親
善試合を企画する。当時からヨーロッパ屈指の強豪でウクライナ
人の誇りとなっているクラブをナチスが倒し、ナチスの優秀性、
それに歯向かう愚かさを教え込むのが目的だった。「もしナチス
に勝つようなことがあれば、選手は全員処刑する」、そう脅され
ながらも、ディナモ・キエフを中心に編成されたFCスタルトの
選手たちは、母国の誇りのために死力を尽くして戦い、占領下の
国民のために勝利した。ナチスは再試合の場を設けるが、その試
合でもFCスタルトが勝利したため、選手たちは全員処刑される
ことになった。            http://bit.ly/1QbYCpX
─────────────────────────────
           ──[航空機事故の謎を探る/050]

≪画像および関連情報≫
 ●映画『勝利への脱出』(パラマウント映画/1981年)
  ───────────────────────────
   1943年。第2次大戦下のドイツ南方ゲンズドルフ収容
  所。そこでは、捕虜になった連合軍兵士たちが、鉄条網の中
  で、ボール・ゲームに暮れる絶望的な日々を送っていた。そ
  んな捕虜たちの中に、目立って機敏なゲームぶりを発揮する
  男がいた。米軍大尉ハッチ(シルヴェスター・スタローン)
  である。
   彼らの様子をじっとみつめる者がいた。ドイツ情報将校フ
  ォン・シュタイナー(マックス・フォン・シドー)で、彼は
  ふと、ドイツ・ナショナル・チーム対連合軍捕虜のサッカー
  試合を思いついた。戦前、英国ナショナル・チームのリーダ
  ーとして活躍していた捕虜のリーダー、コルビー大尉(マイ
  ケル・ケイン)は、このプランを受け入れ、条件として、ド
  イツ各地の捕虜収容所からの選抜でチームを組むことを要求
  した。その中には、サッカーの経験のないハッチの名もあっ
  た。コルビーは、このサッカー・ゲームを利用した巨大な脱
  走プランを練っていたのだ。一方、ドイツ軍上層部は、この
  試合をイベントとして対外宣伝に利用しようとしていた。捕
  虜チームの猛練習がはじまった。イギリスのテリー(ボビー
  ・ムーア)など各国から、ならず者たちが集まるが、団結固
  い彼らに、部外者だったトリニダードのルイス(ペレ)がチ
  ームに参加した。         http://bit.ly/1R6yvRw
  ───────────────────────────

映画『勝利への脱出』ポスター.jpg
映画『勝利への脱出』ポスター
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月10日

●「ウクライナの歴史を検証してみる」(EJ第4176号)

 「ディナモ・キエフ」の話の続きです。旧ソ連時代のディナモ
・キエフは、単なるサッカー・チームではなく、ソ連最高の軍事
機密を扱う「商社」のような存在であったといえます。なぜなら
米ソ冷戦の最中であってもサッカーの強豪チームであれば、どこ
の国でも自由に出入りができるので、スパイ活動には何かと都合
が良かったからです。
 そして、ディナモ・キエフの経営母体は、旧ソ連時代はKGB
が管理し、冷戦後ウクライナが独立した後も、ウクライナ秘密警
察が管理しています。この「商社」を通じて旧ソ連の軍事技術や
武器が大量に世界に拡散され、世界各地で多くの戦乱を巻き起こ
していったのです。
 ここでウクライナの歴史を簡単に振り返ってみます。ロシアと
ウクライナはもともと「ルーシ」というひとつの民族です。とこ
ろがこのルーシ族は、モンゴル軍の侵攻によって、滅ぼされてし
まいます。
 その後、「コサック」と呼ばれる武士団が成長し、ルーシ族は
モンゴル支配から脱却します。そして民族は2つのグループに分
かれます。1つは、隣国ポーランドの保護国になります。これが
現在のウクライナです。もう1つは、北方のモスクワを中心に建
国し、やがてロシア帝国になり、強大化します。そしてこのロシ
ア帝国がポーランドを滅ぼし、その保護国であるウクライナを併
合するのです。
 しかし、ロシア革命に乗じてウクライナは再び独立しますが、
たちまちソ連によって再征服されてしまいます。ソ連のスターリ
ンは、外貨を稼ぐため、ウクライナに輸出用穀物の供出を命じ、
そのため、ウクライナでは数百万人の餓死者を出す大飢饉が起き
るのです。これにより、ウクライナ人のなかにはソ連(ロシア)
に対する抜きがたい不信感が芽生えることになります。
 ところが、ソ連が崩壊して、ウクライナは3回目の独立を手に
します。しかし、独立後もウクライナには、親ロシア政権が続き
ソ連時代の指導部と共産党の官僚組織、さらに非効率な国営企業
が残存していたので、ウクライナの経済は低迷を極め、国民は一
向に豊かになれなかったのです。
 ところがウクライナにひとつの転機が訪れます。ウクライナの
EU加盟を目指す親西欧派の人々が西部で結束し、折からのオレ
ンジ革命に乗じて親ロシア政権を崩壊させます。これがユシチェ
ンコ政権です。2004年のことです。これには、米国の投資家
ジョージ・ソロス氏が莫大な資金援助を行ったといわれます。
 それに対してロシアは、天然ガスの価格を使って早速ユシチェ
ンコ政権に揺さぶりをかけてきます。ロシアは親ロシア政権のと
きに認めてきた天然ガスの優遇価格を廃止し、市場価格に合わせ
ると通告します。市場価格に合わせると、天然ガスの価格は倍に
なってしまい、財政事情が良くないウクライナは代金が支払えな
くなり、ロシアとの間でトラブルになります。これは、欧州各国
を巻き込んだ騒ぎに発展し、ユシチェンコ大統領派の内閣は、野
党提出の内閣不信任案が可決され、退陣にに追い込まれます。
 これに対して与党は、ティモシェンコが中心になって多数派を
形成し、何とか政権を維持しようとするものの、大統領との権限
争いで議会も分裂し、両派の妥協の産物として最高会議は解散し
2007年に臨時最高会議選挙が行われ、ティモシェンコ内閣が
誕生します。
 そして、2010年に地域党党首ヤヌコーヴィチとティモシェ
ンコの間で大統領選が行われ、第1回投票の結果、ヤヌコーヴィ
チが35%の得票率で第1位を占めものの、過半数に達しなかっ
たので、決選投票が行われ、ヤヌコーヴィチが勝利します。
 しかし、ティモシェンコが選挙では不正が行われたと主張し、
最高行政裁判所に提訴しますが、それでも勝てないと悟ったのか
途中で訴えを取り下げたため、2010年2月25日、晴れてヤ
ヌコーヴィチが第4代ウクライナ大統領に就任します。ロシアに
とって久しぶりの親ロシア政権の成立です。
 しかし、2013年にウクライナはEUとの政治・貿易協定の
仮調印を済ませたものの、ヤヌコーヴィチ大統領は、ロシアから
150億ドルの財政支援の約束などを示され、ロシアに配慮し、
正式調印を見送ります。これに対しEU寄りの野党勢力から強い
反発が起こり、ウクライナ国内は大規模な反政府デモが発生し、
大騒乱状態に陥ります。
 事態収拾のため、大統領側から挙国一致内閣の樹立や大統領選
挙の繰り上げ実施などを提案しますが、デモ隊の動きを止めるこ
とはできず、身の危険を感じたヤヌコーヴィチ大統領はキエフを
脱出し、ロシアに逃れます。2014年2月22日のことです。
 ウクライナ議会は、ヤヌコーヴィチ大統領の解任を決議します
が、ヤヌコーヴィチ大統領はクーデターであると主張し、同意し
ていないのです。したがって、厳密にいうと、現在のポロシェン
コ大統領の正当性には疑問があります。
 ウクライナ問題を日本から見ていると、一貫してロシアが悪い
ような印象を受けます。ロシア政府がウクライナの親ロシア勢力
に武器などを供与し、内戦を起こさせているようにみえます。そ
れは西側メディアの報道のせいです。そのポロシェンコ大統領就
任の約1ヶ月後にMH17便の撃墜事件が起きるのです。
 しかし、事態を冷静に分析すると、そうではないようです。ロ
シアにとってウクライナはなくてはならない国なのです。ロシア
側からみて、ウクライナとの関係は、少なくとも「友好的」に維
持したい国であるといえます。そのためには、どうしてもウクラ
イナには親ロシア政権が必要なのです。少なくともウクライナの
EU加盟は何としても阻止したいからです。
 もし、現在のウクライナを含む欧米とロシアの関係は最悪の状
態にあります。なぜ、そうなるのかというと、複数の勢力がロシ
ア潰しに動いているからです。そのために、このところロシアの
国際的なイメージは非常に悪くなっています。
           ──[航空機事故の謎を探る/051]

≪画像および関連情報≫
 ●ウクライナ問題を斬る/アレクサンドル・ドゥギン氏
  ───────────────────────────
   いわく「ウクライナ問題ではひとつの法則性が示された。
  『米国はカオスをもたらし、ロシアは秩序をもたらす』。米
  国が介入すると必ず、アフガンでもイラクでもリビアでもシ
  リアでもウクライナでも、人々は狂わされ、社会は分断され
  国家は瓦解する」。ドゥギン氏は次のように続けている。
   米国のゆくところ、破壊あるのみである。いままた一つ、
  ウクライナという国家がカオスに覆われてしまったが、合法
  則的なことだ。アメリカの増大によってカオスも増大する。
  いま徐々に、グローバル規模の定式が確立しつつある。ロシ
  ア=秩序VS米国=混沌、というものだ。米国はグローバル
  規模の「混沌への投資」によってヘゲモニーを握ろうとして
  いるのだ。
   一方のロシアは、大文字の秩序、すなわち個々の具体的秩
  序でなく、原理としての秩序の側に立つ。つまりプーチンは
  単に個別的・具体的秩序を追求するのでなく、秩序全体を志
  向している。
   ウクライナ問題におけるロシア人への嫌悪、プーチンへの
  憎悪は、スキゾ患者の医師への憎悪、酩酊漫歩者の巡査への
  憎悪と何ら異なるところがない。あるいは、病者が健常者に
  対してもつ深い羨望と同質のものである。この傾向は今後も
  止むことはない。         http://bit.ly/1NFrPY9
  ───────────────────────────

ヤヌコーヴィチ氏とティモシェンコ氏.jpg
ヤヌコーヴィチ氏とティモシェンコ氏
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月11日

●「ウクライナをウラから動かす勢力」(EJ第4177号)

 世の中で起きているさまざまな事件──とくに世間の耳目を集
める大きな事件は、報道されている通りのことが真実ではないこ
とが多いのです。EJでは前回のテーマ「STAP細胞事件」や
大勢の人が死亡している今回のマレーシア航空事件など、その種
の多くのテーマをこれまでに取り上げてきています。
 ウクライナ問題について、元駐ウクライナ兼モルドバ大使であ
る馬渕睦夫氏は次のように述べています。
─────────────────────────────
 ウクライナ情勢は「プーチンを陥れる情報戦」である。それ
 を仕掛けているのは国際金融資本である。国際金融資本がこ
 れまで何を行なってきて、ロシア経済において何が起こり、
 プーチンが何をしてきたのかを知る必要がある。
                     ──馬渕睦夫氏
─────────────────────────────
 馬渕睦夫氏といえば『正論』(産経新聞社)2014年5月に
掲載された「『ウクライナ』で怯むな!対露外交を深化させる世
界的意義」という論文があります。この論文について、衆院法務
委員の西村真悟氏は自身のサイトで次のように論評しています。
─────────────────────────────
◎ウクライナ危機の本質は、ロシアの石油と天然ガスの天然資源
を誰が支配するかを巡るロシアと欧米との戦いだ。その上で、馬
渕氏と親しいウクライナの大学教授は、「今回のウクライナの騒
動は、マフィアとマフィアの争いだ」とシニカルに見ていた。ウ
クライナの政変は、「民主化運動」ではなく、民主化の衣を着た
「民族政権転覆活動」で、その背後にアメリカがいる。
◎今回のウクライナ危機が、ヤヌコビッチ大統領がEUとの連合
協定を拒否したことを切っ掛けに起こったことは確かであるが、
親欧米の大統領の時は、EUの方が、ウクライナの加盟に反対し
ていたのだ。EUの側がウクライナの加盟に反対していたという
事実は意図的に報道されない。西側の報道機関は、ヤヌコビッチ
大統領は、2010年の民主的な選挙で正当に大統領に選ばれた
大統領であることを、何故か報道しない。この民主的手続きで選
出された大統領を、欧米の支援のもとに暴力で転覆させたのが今
の暫定政権(当時)であることもあまり報道されない。
                   http://bit.ly/1RFMoWe
─────────────────────────────
 馬渕睦夫氏は「プーチンを陥れる情報戦を仕掛けている国際金
融資本」という言葉を使っています。これは、高橋五郎氏のいう
「国際金融ビジネスマン」と同義語であり、ユースタス・マリン
ズの「寡頭勢力」にも通ずる言葉です。 http://bit.ly/1leJhYz
 また、この馬渕睦夫氏は一連のウクライナでの動きの「その背
後にアメリカがいる」と発言していますが、ここでいうアメリカ
は、必ずしもわれわれのイメージしているアメリカではないので
す。正確にいうなら、アメリカを支配してきた勢力のことをいっ
ています。
 ここでいう「アメリカの支配者」とは何でしょうか。
 この「アメリカの支配者」について、既出のベンジャミン・フ
ルフォード氏は、きわめて興味深いことを述べています。
─────────────────────────────
 日本のメディアは、ワシントンD.C.を単純にアメリカの「首
都」という扱いをしている。それが長い間、「真実」を隠してき
た。ワシントンD.C.の「D.C.」は「コロンビア特別区」と訳
される。表向きは連邦議会が管理するエリアとされる。しかし実
態は違う。イタリアにおけるバチカン市国と同じように、アメリ
カ国内に存在する「もうひとつの独立国家」なのだ。日本で言え
ば国会議事堂のある「永田町」が、千代田区でもなく、東京都で
もなく、日本国でもなく、「独立国家永田国」として独自の法律
で、運用されていると思えばよい。そのワシントンD.C.が「ア
メリカ合衆国」を支配している。より正確に言えば、ワシントン
D.C.を牛耳っている一部勢力が存在するのだ。
   ──ベンジャミン・フルフォード著/『崩壊するアメリカ
      巻き込まれる日本/2016年、新世界体制確立』
                   KKベストセラーズ刊
─────────────────────────────
 アメリカを支配している勢力といえば、かつては国際謀略の主
役といわれるCIA(アメリカ中央情報局)の存在があります。
旧ソ連にもKGB(ソ連国家保安委員会/現FSB)があり、国
際的な大事件のウラには、必ずといってよいほどこういったスパ
イたちが暗躍したものです。しかしベルリンの壁崩壊ではじまっ
たソ連解体で、国際謀略の主役が交代するのです。
 CIAに変わって主役に躍り出たのは、巨大企業(メジャー)
なのです。その代表格が、ウォール街の国際金融資本のロスチャ
イルドや石油メジャーのロックフェラーです。そして、そういう
勢力の行動原理を決めていたのは、フリーメイソンなのです。
 フリーメイソンは、フランス革命、アメリカ独立戦争、ロシア
革命、それに第一次世界大戦と第二次世界大戦を裏から画策して
きたといわれています。しかし、最近になって存在感を表してき
たのが、フリーメイソンの上位組織であるといわれる「イルミナ
ティ」です。
 イルミナティといえば、2003年に一世を風靡したダン・ブ
ラウン『ダウィンチ・コード』があります。十字軍におけるテン
プル騎士団が見つけた「聖杯伝説」、キリスト教最大のタブーと
いわれる「マグダラのマリア」、秘密結社「シオン修道会」、そ
してレオナルド・ダ・ヴィンチが隠した多くのアナグラムなど。
そして、ダ・ヴィンチの暗号を解くと、「イルミナティ」という
謎の組織にたどり着くのです。
 EJでは、2006年7月24日から9月15日まで40回に
わたって『ダウィンチ・コード』を取り上げています。(EJ第
1883号〜EJ第1922号)
           ──[航空機事故の謎を探る/052]

≪画像および関連情報≫
 ●安保に反対は中国だけである/馬渕睦夫氏
  ───────────────────────────
  ◎中国経済社会はひどいことになっており、共産党政権は近
  い将来必ず崩壊する。その時中国は排外主義になり、とりわ
  け日本人を排撃する可能性が極めて高い。そのことは過去の
  歴史から明らかだ。したがって日本は、安保法制を成立させ
  ることが死活的に重要だ。
  ◎国際金融資本が動かしているアメリカは、独裁中国の共産
  党を利用し尽くしてもはや利用価値なしと見限ったし、ロシ
  アのプーチンを打倒してロシアの天然資源を市場化すると決
  めた。しかし中国共産党もプーチンもバックダウンするつも
  りは全くなく、アメリカの国際金融資本も対決を敢えて辞さ
  ないので、このままでは戦争になる。
  ◎アメリカがプーチンを追い詰めると、プーチンは心ならず
  も独裁中国に近づかざるを得なくなるが、そうなったら日米
  と中ロの戦争になる。そうならないように安倍総理がロシア
  とアメリカを説得して、ロシアと独裁中国がくっつかないよ
  うにする必要がある。それが結局アメリカの利益にもなる。
  ロシアと日本とアメリカが一緒になってシベリア開発をしよ
  うと言うくらいの提案をすべきだ。
  ◎プーチンはロシアの伝統と市場経済化を両立させる必要が
  あり、それには日本に教えを乞うしかないと分かっている。
  エリツィンの時にアメリカに教えを乞うたが、国際金融資本
  とロシア国内の財閥が手を握ってロシアの天然資源を売り飛
  ばそうとしたので、アメリカには懲りている。日本はそんな
  ことはしないとプーチンは知っている。
                   http://bit.ly/1IGmeAG
  ───────────────────────────

プーチンロシア大統領.jpg
プーチンロシア大統領
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月14日

●「イスラム教徒でなくイルミナティ」(EJ第4178号)

 一般論として、公式の場で「イルミナティ」などいう言葉を出
すと、「この人は陰謀論に毒された頭がヘンな人」として相手に
されなくなります。それほど「イルミナティ」という言葉は、お
どろおどろしい言葉であるといえます。
 確かに、ISによる残虐非道なテロや、これから解明しようと
しているマレーシア航空の連続事故の真相などは、イルミナティ
のようなものを持ち出してこないと、常識では、とても説明がつ
かないからです。
 ところで、その「イルミナティ」という言葉を公式の場で堂々
と使った有名人がいます。その有名人とはフランスのオランド大
統領です。それは、オランド大統領がイスラム過激派のテロによ
るシャルリ・エブド本社襲撃事件を受けて、2015年1月10
日に行ったテレビ演説のなかにに出てくるのです。
 はじめに、この演説を1月11日に報道したNHKニュースを
ご紹介します。
─────────────────────────────
 フランスのオランド大統領は、日本時間の11日午前4時前か
らテレビ演説を行い、今回の事件(シャルリ・エフド本社襲撃)
と宗教の問題を結び付けるべきではないと強調したうえで、国民
に団結してテロに立ち向かおうと呼びかけました。
 この中でオランド大統領は、パリ東部の食品店で起きた立てこ
もり事件で、4人が死亡したことを明らかにしました。また犯人
の1人がユダヤ教の戒律に基づいた食料品店を狙ったことについ
ては、「人種差別は絶対に認められるものではない」と述べて、
厳しく批判しました。
 そして、「イスラム教徒はまったく関係ない」と述べて今回の
事件と宗教の問題を結び付けるべきではないと強調しました。そ
のうえで、「テロに立ち向かうのはわれわれの任務だ。団結こそ
が最大の武器で、力と団結でテロリストにこれからも立ち向かっ
ていく」と述べて国民に団結を呼びかけました。
        ──2015年1月11日付、NHKニュース
   ──ベンジャミン・フルフォード著/『崩壊するアメリカ
      巻き込まれる日本/2016年、新世界体制確立』
                   KKベストセラーズ刊
─────────────────────────────
 このニュースのどこにも「イルミナティ」などという言葉は出
てきませんが、実はオランド大統領は「イスラム教徒はまったく
関係ない」と述べる前の言葉で、次のように述べているのです。
NHKはその言葉を意識してカットしたものと思われます。
 もちろん大統領はフランス語で述べているのですが、ここでは
フランス語ではなく、英語と日本語で記述することにします。
─────────────────────────────
 Those who have committed those actions:those terroists,
 those illuminati,thoses fanatics,have nothing to do
 with Islam.
 それらのアクションにコミットした人、これらのテロリストは
イルミナティで、それらの狂信者はイスラムと何の関係もない。
       ──ベンジャミン・フルフォード著の前掲書より
─────────────────────────────
 このように、オランド大統領は「イルミナティ」(フランス語
で『イリュミネ』)とはっきり述べているのです。なお、この話
には続きがあります。
 2015年3月6日のベルギーの国会で、ロラン・ルイという
国会議員は、イルミナティの過去の行為についてさんざん批判し
たうえで、次のように述べたのです。
─────────────────────────────
 イルミナティは多くの国々の政府や政治リーダーを没落させて
きた。そのイルミナティの根拠地となってきたアメリカは、NW
O(ニュー・ワールド・オーダー「世界新秩序」)という陰謀計
画に基づき、平然と他国を騙して戦争に参戦させ、その結果、我
が祖国のベルギーは、人道に反した犯罪を行うこととなり、良識
ある政権を倒す陰謀に加担してイスラム過激派の政権を誕生させ
てしまった。           ──ロラン・ルイ国会議員
       ──ベンジャミン・フルフォード著の前掲書より
─────────────────────────────
 イルミナティについて少し説明します。ベルギーのロラン・ル
イ国会議員は「イルミナティの本拠地はアメリカ」と断じていま
すが、これに関して面白い話があります。
 それは、イルミナティの英語表記(illuminati)の文字を逆に
して「itanimulli」という文字にし、次のサイトをアクセスして
みてください。
─────────────────────────────
        http://www.itanimulli.com/
─────────────────────────────
 何と「アメリカ国家安全保障局(NASA)」のホームページ
が表示されます。実は、これはある人がこのドメインを買い取り
NASAのサイトにリンクさせたいたずらであることがわかって
いますが、イルミナティを米国と結びつけようとする動きがある
ことは確かです。
 イルミナティは「光」と深い関係を持っています。世界は神が
創ったのになぜ悲劇で満ち溢れているか──その命題を追及した
結果、「神こそが悪魔」という結論にいたったのです。悪魔が創
造主なので、その悪魔と戦った「堕天使」、すなわちルシファー
(光の天使)を崇めるようになったことに由来するのです。だか
ら、光と関係があるのです。このように考えるイルミナティは、
「グノーシス派イルミナティ」と呼ばれています。
 いずれにせよ、今回のマレーシア航空の2つの航空機事故に深
い関係を持つのは米国なのです。あらゆる状況証拠が、米国が深
く関与していることを示しています。それは9・11とも関係が
あるといわれています。──[航空機事故の謎を探る/053]

≪画像および関連情報≫
 ●イルミナティがネット上に堂々と再現!
  ───────────────────────────
   しかしいよいよ彼らは堂々と登場しはじめました。しかも
  入会方法まで伝えています。欧州のロスチャイルドや米ロッ
  クフェラーもイルミナティの代表メンバーですが、彼らはル
  シファー(悪魔)の指示通りに動いているのです。生贄儀式
  を通してルシファーから魔力をもらい、世界のカネと権力を
  わが物にし、世界中の国々や人々を支配してきました。
   彼らの活動がクライマックスに来ているのでしょうか?彼
  らは本当にニューワールドオーダーを世界に創設させ、世界
  の人口を極端に削減し、残った人類を家畜のように扱おうと
  しているのでしょうか。
   「ルシファーも他の悪魔たちも神によって既に地獄に送ら
  れた。そのためイルミナティがいくらルシファーに生贄をさ
  さげてもルシファーの魔力を得ることができなくなった」。
  と伝える人がいますが・・。どちらが正しいのやら・・。そ
  れにしても世界中で起きている地震や火山噴火の中にはイル
  ミナティが仕掛けたものも沢山あるのでしょうか。それとも
  それを許しているのが宇宙創造神であるなら。宇宙創造神は
  最終的に人類をどうしようとしているのか。疑問です。
                   http://bit.ly/1v76b4A
  ───────────────────────────

ロラン・ルイベルギー国会議員.jpg
ロラン・ルイベルギー国会議員
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月15日

●「謀略論のなかに『真実』が見える」(EJ第4179号)

 ベンジャミン・フルフォード氏の本に、ナチスの宣伝相、ヨー
ゼフ・ゲッペルスの言葉が出ているので、ご紹介します。
─────────────────────────────
 もしあなたが十分に大きな嘘を頻繁に繰り返せば、人々は最後
にはその嘘を信じるだろう。嘘によって生じる政治的、経済的、
軍事的な結果から人々を保護する国家を維持している限り、あな
たは嘘を使える。よって、国家のために全ての力を反対意見の抑
圧に用いることは極めて重要だ。真実は嘘の不倶戴天の敵であり
したがって、真実は国家の最大の敵だ。 ──ゲッペルス宣伝相
   ──ベンジャミン・フルフォード著/『崩壊するアメリカ
      巻き込まれる日本/2016年、新世界体制確立』
                   KKベストセラーズ刊
─────────────────────────────
 ゲッペルスの言葉にあるように、国家は必要に応じて国民に嘘
をつくのです。「国がそんなことをするはずがない」と思うなか
れ、多くの嘘をつくのが国家というものです。独裁国家ならとも
かく、民主国家ではそういうことはないという人がいるかもしれ
ませんが、民主国家であっても真相を発表すれば国益を失うと判
断すれば、大胆な嘘だってつくのです。
 日本でも多くの嘘があります。戦時中の「大本営発表」にはじ
まり、現在でも国の財政の状況、外交問題、安全保障問題などに
おいて多くの嘘がまかり通っています。マスコミは政府のいうこ
とを垂れ流すだけで本当のことを伝えようとしないのです。
 本来であれば、国家がつくそういう嘘を暴くために新聞やテレ
ビなどのマスコミの役割があるのですが、現在の日本ではそのマ
スコミまでが政権にコントロールされ、社会の木鐸としての役割
を放棄しています。
 こういうとき「真逆だったらどうなるか」と考えてみると、そ
のことが本当に真実なのかどうかは別として、新しいものの見方
ができます。ベンジャミン・フルフォード氏はこういいます。米
国が「シリアのアサド政権は非情な独裁政権である」と批判すれ
ば、「シリア国民にとってはよい政権」、「毒ガスを使用した」
といえば「使用していない」、米国が「IS(イスラム国)はテ
ロ組織」といえば、「ISは米国の工作組織」というように何で
も真逆に考えると、そこに真実が見えてくるというのです。今回
のマレーシア航空をめぐる事件も、そういうものの一環であると
私は考えています。
 「NWO(ニュー・ワールド・オーダー)世界新秩序」などと
いうと、たちまち陰謀論者と思われてしまいますが、そういうも
のを目指す国家を超える組織というかグループがあっても不思議
はないと思います。秘密結社などは、そういう目的で生まれてお
り、何百年もかけてNWOの実現を目指しています。
 もしそういう組織があると仮定すると、どういう手順を踏んで
くるでしょうか。おそらく何らかの方法で、人々を管理するため
のシステムを作ろうとするはずです。実際に、その計画は着々と
実現しつつあるのです。
 現在、IS(イスラム国)によるテロが世界各地で起きており
日本も標的のひとつになろうとしています。そういう場合、国家
としては何をするだろうかと考えてみるのです。当然犯人を特定
するために、国家的管理体制を強化しようとします。
 実際にそのために世界の国のあらゆる場所に監視カメラが設置
され、超監視社会が実現されようとしています。「犯罪を防ぐた
めに」という目的のために誰も反対はできないでいます。しかも
カメラの性能は年々向上し、顔認証、歩行認証などもできるよう
になり、それに盗聴まで加わり、裏付けとなる法整備が完了する
と、超監視社会ができ上がるのです。つまり、NWOを目指す組
織は、ISなどによるテロを世界各地で起こすことによって、自
然に監視国家ができ上がるのです。したがって、ISのバックに
もNWOを目指す組織がいるといわれています。
 そしてこれをさらに強化しようとしているのが「マイナンバー
制度」です。これによって、国家による監視は、人々の個人情報
の詳細にまで及ぶことになります。なぜ、このようなものがいつ
の間にかできてしまったのでしょうか。国会審議はきちんと行わ
れたのでしょうか。周知させるためのメディアによる報道があっ
たのかというと、これといって思い出せない人が多いはずです。
いつの間にか法律が成立していたというのが実感です。
 これがさらに進むと、マイクロチップの人体への埋め込みが行
われるはずです。マイナンバーをカードではなく、人体に埋め込
むのです。これについても銀行口座の指紋認証などで少しずつ、
実験を重ね、これから実行されようとしているのです。実はこの
こととマレーシア航空の一連の事件には関係があるのです。
 謀略論についてベンジャミン・フルフォード氏は、「謀略論に
は真実が隠されている」として、次のように述べています。
─────────────────────────────
 欧米社会では、「謀略論」を語ると、間違いなく「頭のおかし
い人」と思われる。(中略)謀略論を否定する風潮は、1963
年のケネディ大統領暗殺事件から生まれた風潮。裏読みすれば、
噂となって広まる謀略論のなかには「真実」が含まれているとい
う証拠であろう。だからこそ、謀略論全体を否定しようと躍起に
なってきたのだ。
 しかし、近年は違う。謀略論だからこそ「真実」ではないか。
そう考える人が増えている。謀略論を否定する風潮がケネディ暗
殺から生まれたとすれば、謀略論を肯定する傾向を生み出したの
が2001年の「9・11」だ。そのとき、垂れ流されたアメリ
カ政府のプロバガンダを安易に受け入れた「結果」に多くの人が
後悔した。それが謀略論のなかから「真実」を見抜こうとする人
たちを輩出することになったのである。
       ──ベンジャミン・フルフォード著の前掲書より
─────────────────────────────
           ──[航空機事故の謎を探る/054]

≪画像および関連情報≫
 ●“超”相互監視社会が到来するのか
  ───────────────────────────
   セキュリティの強化に伴って、我々は社会において監視さ
  れることが増えている。コンビニエンスストアに防犯カメラ
  が設置され、24時間体制で来店客を録画しているのは周知
  の事実だ。商店街のような人の集まる場所に監視カメラが設
  置されることも珍しくなくなった。
   警察は――今なお決して存在を認めてはいないが──幹線
  道路のあちこちに自動車のナンバプレートを読み取り、通行
  時刻と共に記録する「Nシステム」を配置しており、どの自
  動車が、いつどの方向に向かって走っていたかを監視してい
  る。Nシステムの設置個所がオウム真理教の事件があった時
  期から急増しているのは、公知の事実だ。
   果たしてこのような監視強化は、セキュリティとして意味
  があるのだろうか。本書の著者は、「それもまたトレードオ
  フの問題だ」とした上で、興味深い問題提起をする。「冷戦
  時代、自由主義の西側諸国に対して、東側諸国の監視システ
  ムはより厳重だったわけだが、その結果東側諸国の国民の利
  便性と安全性はより高まったろうか」と。もちろんそんなこ
  とはなかったわけで、つまりあまりに厳しい監視は、セキュ
  リティ、ひいては社会全体のコストパフォーマンスを悪化さ
  せるわけだ。だが、わたしは著者とは別の未来像があり得る
  のではないかと考える。ひょっとして近い将来、我々は今ま
  で以上の“超”相互監視社会に住むことになるのではないか
  と予感しているのだ。      http://nkbp.jp/1QDBKhF
  ───────────────────────────

ベンジャミン・フルフォード氏.jpg
ベンジャミン・フルフォード氏
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月16日

●「MH17便には重大な疑惑がある」(EJ第4180号)

 現代にはインターネットがあります。マスメディアが伝えない
情報もネット上にはすべて出ています。問題はそれらの情報の真
贋を見極めることができるかどうかです。EJでは慎重にネット
の情報の真贋を見極めながら、テーマを書いています。
 2015年10月13日のことです。オランダ政府の安全委員
会は、MH17便は、ロシア製の地対空ミサイルの「ブーク」に
よって撃墜されたという最終報告を発表しています。
 このような報告を聞くと、撃墜の犯人は親ロシア派かロシアで
あるという疑いを誰でも抱くと思います。大事なことを発表して
いないからです。それは、ウクライナも「ブーク」などロシア製
の兵器を多く保有しているからです。したがって、ブークが使わ
れているといっても犯人がロシアとは限らないのです。ロシアと
しては、名指しこそされなかったものの、この最終報告について
強く反発しています。
 ところで、撃墜されたMH17便には次の2つの重大な疑惑が
あります。
─────────────────────────────
 1.ウクライナで撃墜されたMH17便は機体の残骸を見る
   限り、MH17便ではないと考えられる。
 2.記録によると、MH17便は「飛行中止」になっており
   飛行していない事実が記録に残っている。
─────────────────────────────
 これは衝撃的な事実です。実はネットでは、こういう驚愕情報
は早くから出ているのですが、その事実を表のメディア──マス
メディアが取り上げない限り、たとえ証拠があったとしても人々
はそれを本当のことと認めない風潮があります。
 「1」を検証してみます。添付ファイルを見てください。これ
は、現在も行方不明になっているMH370便とMH17便を比
較したものです。MH370便もMH17便も同じボーイング7
77─200ERであり、まったくの同型機です。
 この写真をよく見ると、MH17便のマレーシア国旗の左端の
下には丸い窓があるのに対し、MH370便のその部分には、窓
が塞がっています。それぞれ3枚ずつの写真があり、よく見てい
ただくと、確認できると思います。マレーシア航空の関係者によ
ると、間違いなく、MH370便のその位置の窓は塞がっていた
そうです。
 そうなると、ウクライナの上空で撃墜されたのは、MH17便
ではなく、MH370便ということになります。これは一体どう
したことでしょうか。
 考えられることは、犯人側は失踪したはずのMH370便を何
らかの方法で、MH17便であるよう偽装して撃墜したことにな
ります。何のためにそのようなことをしたのでしょうか。
 しかし、犯人側はひとつ大きなミスを犯したのです。まさかM
H370便の窓が、ひとつ塞がっていたことを計算に入れていな
かったことです。それとも1万メートルもの上空からミサイルで
撃墜されれば、機体はバラバラになって、見分けはつかなくなる
と考えたのでしょうか。
 「2」を検証してみます。添付ファイルを見てください。
 マレーシア航空の「MH17便」の記録を見ると、2014年
7月17日付のアムステルダム発/クアラルンプール行きのMH
17便は「キャンセルド(飛行中止)」と明記されています。こ
れはどうしたことでしょうか。
 MH17便は飛行していないのです。そのMH17便がウクラ
イナの上空で撃墜されたことになります。そうなると、撃墜され
たボーイング777─200ERは、現在行方不明になっている
MH370便ということになります。まるでミステリー小説のよ
うな飛行機のすり替えです。
 この謎解きは後でするとして、MH17便の撃墜は、17日夜
に行われたイスラエル軍のガザへの大規模な地上軍投入と、これ
までの空爆による大虐殺から世界の目をそらすために起こされた
という説があるのです。
 イスラエル軍のガザへの大規模な地上軍投入の報道は、次の通
りです。
─────────────────────────────
 【カイロ=小泉大介】パレスチナ自治区ガザへの空爆を激化さ
せてきたイスラエル軍は2014年7月17日夜、同地に対する
地上侵攻を開始し、18日も継続しました。国際社会が強く懸念
していたガザへの地上軍投入は、1400人以上のパレスチナ人
が死亡した2008年末から翌年初頭にかけての大規模攻撃以来
で、情勢は新たな重大局面に入りました。
 ガザではイスラエル軍とイスラム武装抵抗組織ハマスとの間で
17日に国連が要請した人道物資搬入のための5時間の一時停戦
が実施されましたが、期限が切れた同日午後から交戦が再開しま
した。イスラエル軍は現在のところ、地上侵攻の目的はガザから
イスラエルに通じるトンネルやロケット弾の発射施設を破壊する
ことだとしています。
 しかし、同国のネタニヤフ首相は17日夜の声明で「地上作戦
の拡大準備を命じた」と述べるとともに、政府はこれまで決定し
ていた4万8000人の予備役兵招集に加えて、新たに1万80
00人の招集を承認しました。市街戦に発展するようなことがあ
れば民間人犠牲者が激増することは必至です。
       ──しんぶん「赤旗」  http://bit.ly/1NiBmmr
─────────────────────────────
 米国とイスラエルは条約に基づく法的な同盟国ではありせんが
公式の同盟関係にあるどの国よりも緊密な関係にあります。その
イスラエルがガザ地区に大規模な地上戦を仕掛けた日にMH17
便がウクライナで撃墜されたのです。当然のことながら、17便
撃墜のニュースが大きく扱われ、イスラエル軍のガザ地区侵攻の
ニュースの扱いは相対的に小さくなったのです。
           ──[航空機事故の謎を探る/055]

≪画像および関連情報≫
 ●撃墜されたMH17便の検証作業についての疑問点
  ───────────────────────────
   主要メデイアの宣伝や米国・英国政府の主張が、急に静か
  になってしまった。その沈黙振りは当初のはしゃぎ様と比べ
  るとまさに異様な感じがする程である。
   そこへ、8月18日、「メデイアやオバマ政権はMH17
  便に関してなぜ沈黙してしまったのか?」と題する記事が現
  れた。同記事が言わんとする内容は一般大衆が抱く常識的な
  疑問を代弁しているように感じられた。その記事を部分的に
  引用してみよう。こんな具合だ。
   MH17便がどのようにして撃墜されたのかを結論付ける
  ことは時期尚早ではあるが、数多くの証拠によると、それら
  の証拠はウクライナ政府が犯人であることを示唆しており、
  その背後には米国政府とヨーロッパのNATO諸国が控えて
  いる。彼らはMH17便を破壊する環境を整え、この2月に
  はキエフでクーデターを支援し、西側に傾倒する勢力を政権
  の座に就かせた。そして、西側のメデイアはウクライナ東部
  において反政府派を武力で制圧するというキエフ政権の政策
  を支持した。これがウクライナ東部を戦場と化してしまい、
  MH17便は同地域で撃墜された。 http://bit.ly/1Y6AwS9
  ───────────────────────────

MH17便とMH370便の違い.jpg
MH17便とMH370便の違い
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月17日

●「マレーシア航空事故のナゾを解く」(EJ第4181号)

 ここで11月27日付のEJ第4167号でご紹介した「オペ
レーション・ノーズウッズ」を思い出していただきたいのです。
なぜなら、マレーシア航空の2度の事件は、このオペレーション
・ノースウッズのマレーシア版であるとみられるからです。
 ベンジャミン・フルフォード氏によるこのマレーシア航空事件
の謎解きをご紹介します。
─────────────────────────────
 マレーシア航空機「撃墜事件」計画を整理してみよう。
 まず2014年3月7日、370便がアメリカによって乗っ取
られる。ハイジャックされたのか、もともと乗客全員が工作員と
「すり替わっていた」のだろう。
 そうして370便は予定航路を外れてインド洋へと向かう。そ
の先には、アメリカとイギリスの共同基地「ディエゴガルシア」
がある。そこに着陸した370便は乗員乗客を降ろす。私の取材
源によれば、その後、370便はイスラエルの基地から次にフロ
リダ(ジュブ・ブッシュの牙城)へと渡ったという。その間、爆
弾を装備して17便が出発するオランダヘ飛んだ。(中略)
 ここからの情報は確認していないが、次のような推測も出回っ
ている。ノースウッズ作戦のストーリー通りだったとすれば同時
に「本物」の17便も別の場所から飛び立ち、軍用機信号を出し
たのだろう(それがウクライナ空軍の輸送機として確認されてい
る)、ウクライナ上空で合流後、今度は信号を入れ替える。本物
の17便が民間機信号を出し、370便が空軍機信号を出す。こ
れで一瞬の間にすり替わる。まさにカッパーフィールドさながら
の「イリュージョン」となる。事実、撃墜寸前、両機の信号が一
瞬、途絶したのはロシア当局が発表している。
   ──ベンジャミン・フルフォード著/『崩壊するアメリカ
      巻き込まれる日本/2016年、新世界体制確立』
                   KKベストセラーズ刊
─────────────────────────────
 実に大胆な推論です。しかし、スジは通っていると思います。
道具立ては揃っています。ノーズウッズ作戦を実行するには、2
機の同型飛行機が必要になりますが、マレーシア航空事件の場合
は、その条件がクリアされています。なぜなら、MH370便が
現時点でも行方不明のままであるからです。
 しかし、この作戦には数々の疑問点があります。それを以下に
列挙してみます。
─────────────────────────────
 1.MH370便の乗客乗員は生存しているのか。ウクライ
   ナ墜落場所の遺体は何の遺体か。
 2.この作戦は、関係国(米国、マレーシア、オランダ)な
   どの合意がないと実行できない。
 3.世界の誰からも気がつかれないように巨大なMH370
   便を一体どこに隠していたのか。
 4.墜落していないはずのMH17便はどこに行ったのか。
   現在はどこに存在しているのか。
 5.この犯行を行った犯人は米国であるとして、その狙いと
   いうか目的は一体何であろうか。
─────────────────────────────
 「1」に関しては、12月9日のEJ第4175号で指摘した
奇怪な情報があります。MH17便のウクライナの墜落現場の遺
体は墜落によって死亡したのではなく、墜落前に死亡している疑
いがあるということです。飛行機が戦場に落下しているので、現
在も詳しい情報がわからないのです。
 「3」に関しては、米軍基地「ディエゴガルシア島」ならジャ
ンボジェット機が離着陸できる滑走路もあるし、そこに置いてお
くことが可能です。MH370便が向った方角は、ディエゴガル
シア島の方角であり、これについては目撃情報もあります。
 しかし、数ある疑問のなかで、最大の疑問は「5」ではないか
と思います。いくらなんでもあの米国(必ずしも米国というわけ
ではなく、米国に影響を与えているある勢力)がそんな大胆なこ
とをするだろうかという疑いがあります。しかも、この作戦は米
国だけでは絶対にできないのです。少なくともマレーシアの協力
がないと不可能です。
 それにこれまでの歴史を調べてみると、既に述べているように
米国はこの種の作戦、偽旗作戦とかノースヴッズ作戦に近いこと
を何回もやってきています。大韓航空撃墜事件なんかもそのひと
つであると思います。その多くが、ソ連ないしロシアに関連して
います。ロシアの封じ込め作戦なのです。
 「2」に関してベンジャミン・フルフォード氏は次のように述
べています。
─────────────────────────────
 今回のウクライナ版ノースウッズ作戦では、マレーシア航空と
マレーシア当局の協力が不可欠となる。マレーシアはアメリカの
軍事力や「暴力」による圧力で、渋々、国際謀略の片棒を担がさ
れた。これを快く思わず、反発していたのがマレーシアのナジブ
首相だった。先にも述べたよう、370便がインド洋方面、暗に
アメリカ軍基地のある「ディエゴガルシア」に向かったと暴露し
たのが何よりの証拠だろう。
 そのナジブ首相は、ノースウッズ作戦の全貌を告白しようとし
ていたという。その脅しとしてエアアジア8501便を「撃墜」
したというのである。こちらは墜落場所、遺体や機体の残骸も見
つかっているが、墜落原因は不明で、突如、海面に衝突したこと
だけがわかっている。乗員乗客155名が亡くなつたが、そのう
ち16名が子どもだった。
       ──ベンジャミン・フルフォード著の前掲書より
─────────────────────────────
 実はマレーシア航空の事故は、2014年中に3回起きている
のです。それは、2014年12月28日のエアアジア8501
便の墜落です。    ──[航空機事故の謎を探る/056]

≪画像および関連情報≫
 ●1年で旅客機3機に悲劇「呪われているのか」と嘆く家族
  ───────────────────────────
   2014年12月29日、現地メディアによると、インド
  ネシア・スラバヤ国際空港では、捜索が続くエアアジア機に
  乗っていた多くの家族が安否の情報を得るため沈痛な面持ち
  で待ち続けている。「マレーシアは呪われているのか」と嘆
  きの声も聞かれた。
   マレーシアでは今年3月、国営マレーシア航空のクアラル
  ンプール発北京行き・MH370便(ボーイングB777)が
  乗客乗員239人とともに行方不明。続いて7月には298
  人が乗ったマレーシア航空オランダ・アムステルダム発クア
  ラルンプール行き・MH17便(ボーイングB777)が、紛
  争地帯のウクライナ上空でロシアに撃墜された。
   今回のLCCエアアジア8501便(エアバスA320)は
  第3の惨事となった。フェイスブックには、「神よ、マレー
  シアを救いたまえ。洪水、竜巻、MH370便便の失踪、M
  H17便の撃墜。エアアジア8501便の無事を祈っていま
  す」と書き込まれていた。
   専門家は「積乱雲の上を飛ぼうとして、高度を上げ過ぎて
  計器が氷りつき、機体のバランスを崩してしまったのではな
  いか。高度を上げずに雲と雲の隙間を縫う様に飛ぶことは出
  来なかったのか」と話している。  http://bit.ly/1OttGf7
  ───────────────────────────

墜落したエアアジア8501便.jpg
墜落したエアアジア8501便
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(1) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月18日

●「KL03マイクロチップの特許権」(EJ第4182号)

 一連のマレーシア航空事故を米国(米国を事実上支配している
ある勢力)の仕掛けたものであるとすれば、これは国際的な大謀
略ということになります。単に「ロシアの封じ込め」などという
謀略にしてはあまりにも多くの人々の命が失われており、リスク
が大き過ぎます。
 狙いは別にあるとする説があります。米国テキサス州にフリー
スケール・セミコンダクタという半導体製造企業があります。こ
の企業は、2004年にモトローラ社の半導体部門が分離して設
立された企業です。通信や車載の組み込みシステム向けのチップ
を主要な製品としている企業です。
 フリースケール・セミコンダクタは、「KL03マイクロチッ
プ」の開発に成功しています。このチップの特徴は、極めて小さ
く軽いことです。このチップを使うと、ハエのサイズで飛行する
軍事ロボットの開発も可能になるといいます。
 しかし、このチップは同社の中国人エンジニアのチームが開発
に成功し、MH370便が行方不明の時点では特許の申請中です
が、当のフリースケール・セミコンダクとしては、特許の20%
の権利しか持っていないのです。残りの80%の権利は次の4人
の中国人エンジニアが持っていたのです。
─────────────────────────────
           ベイドング・ワング
           ジージュン・チェン
                チェング
         リー・イング・ジォング
─────────────────────────────
 実はこの4人の中国籍のエンジニア全員がMH370便に載っ
ていたのです。というのは、この飛行機の乗客239人のうちの
ほとんどが中国やマレーシアの半導体工場で製造されるチップを
開発していた人たちであり、この飛行機に乗っていても不思議で
はないのです。
 重要なのは、このKL03マイクロチップの特許がMH370
便が消息を絶って4日後に、フリースケール・セミコンダクタに
対して100%承認されていることです。米国の特許法は、権利
を持っている人が亡くなった場合、その権利を残った人たちで分
け合う決まりになっているのです。
 しかし、それにしても行方不明になって4日後に死亡したこと
にするとは早過ぎると思いますが、どうせそんなことは関係者で
なければ、誰も知りえないはずのことであり、さっさと死亡とい
うことでケリをつけたのでしょうか。
 ところで、このフリースケール・セミコンダクタという企業は
どういう企業なのでしょうか。
 この会社の株主は、「カーライル・グループ」です。かつて、
ジョージ・ブッシュシニア(パパブッシュ)元大統領と、ジョン
・メイジャー元英首相がこの会社の顧問をしていたことがあるの
です。カーライル・グループ傘下の会社の元顧客に、オサマ・ビ
ン・ラディンの家族が所有する建設会社「サウジ・ビンラーディ
ン社」が含まれています。それにこのカーライル・グループは、
ジェイコブ・ロスチャイルドが所有しています。
 これが本当であるとすると、KL03マイクロチップの特許が
中国軍部にわたることを恐れ、その開発エンジニアごと抹殺しよ
うとしたのではないかと思われます。軍事に関わることであり、
何があっても不思議ではないのです。まして、MH370便の行
き先は北京であり、その4人の中国人エンジニアから、チップの
詳細が中国軍部に漏れる可能性は十分あったのです。
 MH370便がディエゴガルシア島に強制着陸されたことはど
うやら間違いないようです。情報は次の4つがあります。
─────────────────────────────
 1.モルディブのクダフバドウ島の島民数人が、MH370
   便らしい飛行機を目撃している事実。
 2.マレーシアのマハティール元首相が370便は米軍の遠
   隔操縦で強制着陸させられたと発言。
 3.FBI超能力捜査官のマクモニーグル氏による370便
   の透視の結果がディエゴガルシア島。
 4.ディエゴガルシア島から、MH370便の乗客からのも
   のと思われるメールが着信している。
─────────────────────────────
 「1」については、10月27日のEJ第4146号で既に取
り上げています。しかし、航空評論家の杉江弘氏は、パイロット
としての経験から、この目撃情報には不自然であるとしています
が、事実だったのではないかと考えられます。モルディブのクダ
フバドウ島からディエゴガルシア島は近いからです。
 「2」のマハティール元首相の発言は、この事件の米国(CI
A)の関与を明言し、しかもMH370便は遠隔操縦操作によっ
て強制着陸させられたと述べています。いろいろなことを知った
うえでの発言といえます。
 「3」は、FBI超能力捜査官のマクモニーグル氏の透視結果
です。これは、月刊誌『ムー』/2014年11月号で明らかに
されたものです。特殊な雑誌ではありますし、私は「透視」とい
うものを基本的には信じないのですが、このマクモニーグル氏の
透視の威力は凄いのです。
 『奇跡の扉/TVのチカラ』というテレビ朝日の番組があった
のです。2002年10月〜2006年9月までレギュラー放送
されていたのです。その番組にたびたび登場したのが、FBI超
能力捜査官マクモニーグル氏ですが、番組にウソがないとすれば
彼の透視は本当によく的中するのです。彼にとっては、370便
の透視など簡単にできるはずです。
 とにかく多くの情報が、MH370便の行き先はディエゴガル
シア島であることを指しているのです。決定的なのが「4」です
が、これについては来週のEJで詳しく取り上げます。
           ──[航空機事故の謎を探る/057]

≪画像および関連情報≫
 ●「FBI超能力捜査官」による驚愕の透視結果
  ───────────────────────────
   2014年3月、乗客乗員239名を乗せたマレーシア航
  空MH370便が、飛行中に突如として姿を消すという前代
  未聞の航空機事件が発生した。各国による捜査も虚しく、未
  だMH370便についてはその機体の場所はおろか、正確な
  飛行ルートすら判明していない。このまま迷宮入りしてしま
  う、そんな事態があってはならない。もはや、サイキックま
  でも含めた、今を生きる全人類の叡智を結集して事に当たる
  べきなのではないのか!?
   ということで今回は、過去にヨーロッパで起きた航空機墜
  落事件と、その原因を的中させた霊媒師の事例、さらには、
  なんと『月刊ムー11月号』(学習研究社)が取材した、現
  代を代表する超能力者ジョー・マクモニーグル氏によるMH
  370便失踪事件の透視の一部をまとめてお伝えしよう。
   3月に突如として通信が途絶えて以来、MH370便を巡
  っては様々な憶測が飛び交ってきた。そもそもMH370便
  の機体であるボーイング777型機は、多重にわたる通信手
  段を備えているので、それらが一斉に遮断することなど考え
  難い。緊急事態を告げることなく全ての通信が途絶えるケー
  スは、一瞬のうちに空中爆発を起こすなど極めて限られた場
  合のみとなる。そのため、一部のメディアやインターネット
  上では、何らかの陰謀により撃墜されたのではないかとする
  説までもが飛び出したのだ。    http://bit.ly/1YmnXNk
  ───────────────────────────

KL03チップ/フリースケール・セミコンダクタ.jpg
KL03チップ/フリースケール・セミコンダクタ
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月21日

●「MH370とディエゴガルシア島」(EJ第4183号)

 マレーシア航空370便が米軍基地ディエゴガルシア島に誘導
されたのは、ほぼ間違いないようです。それに関する4つの情報
のうち、3つについては既に述べています。そこで、今日は第4
の情報について述べることにします。以下に再現します。
─────────────────────────────
 4.ディエゴガルシア島から、MH370便の乗客からのも
   のと思われるメールが着信している。
─────────────────────────────
 ディエゴガルシア島からのメールとは何でしょうか。ネット上
にはこの種の情報がたくさん出ています。試みに「ディエゴガル
シア島からのメール」というキーワードで検索すると、たくさん
出てくると思います。ということは、それが根も葉もない話では
ないことがわかります。
 しかし、それらの情報をていねいに読んでみると、情報源は少
なく、ほとんどひとつに絞り込まれることがわかります。つまり
少数の情報が拡散されているのです。そこで、ネットではなく、
この情報が出ている書籍を探してみたのです。少なくともネット
よりも書籍の方が多くの編集者や校閲者のチェックが加わるので
内容に信頼がおけるからです。見つかったのは、次の意外なタイ
トルの本だったのです。
─────────────────────────────
                      舩瀬俊介著
  『死のマイクロチップ/明日はあなたに埋められる?』
             ──株式会社イースト・プレス
─────────────────────────────
 舩瀬俊介氏といえば、EJの前回のテーマである「STAP細
胞事件」でも登場しましたが、ユニークな考えを持つジャーナリ
ストです。12月18日のEJ第4182号で、この一連のマレ
ーシア航空機の事故は、米フリースケール・セミコンダクタ開発
の「KL03マイクロチップ」の特許に関係することを指摘しま
したが、その情報はこの舩瀬氏の本から得られたものです。根拠
は、ジム・ストーンという人のサイトからの情報と思われます。
上記の舩瀬氏の本から、MH370便の行方に関する部分を引用
します。
─────────────────────────────
 ハイジャックされた370便は、目的地、北京とは逆のインド
洋に向かわされた。そこには米軍の秘密基地が存在する絶海の孤
島、ディエゴ・ガルシアがある。そこに強制着陸させられたこと
も間違いない。超低空で同基地に向かう370便が多くの人々に
目撃されており、もはや隠しようがない。
 決定的証拠は乗り合わせた乗客が携帯電話で送り続けたメール
だ。乗客の名はフィリップ・ウッド氏。IBMのエンジニアだ。
「ハイジャックされたとき、なんとか自分の携帯電話をお尻に隠
した」「目隠しされて、よくわからない軍人によって人質にされ
ている」そして、ハイジャック機は着陸した。
 「私はほかの乗客から隔離されている。私はいま独房にいる」
「何か麻薬のような注射を打たれているせいか、はっきり考える
ことができない」。このメールには、真っ黒な画面が添付されて
いた。そして、発信記録から緯度と経度も判明した。それは、な
んとディエゴ・ガルシア基地の位置そのものだった。舩瀬俊介著
    『死のマイクロチップ/明日はあなたに埋められる?』
               ──株式会社イースト・プレス
─────────────────────────────
 MH370便には、3人の米国人が乗っていたのですが、どう
やらIBMのエンジニアだったようです。この記事の真偽は不明
ですが、本全体を読んでみると、そういうことがあっても不思議
ではないという気持ちにさせられます。
 そうすると、上記のフィリップ・ウッド氏を含むMH370便
の乗客乗員はどうなったのかということです。これについて、舩
瀬氏は次のように述べています。
─────────────────────────────
 気になるのは乗客239人と乗員の運命だ。決死のメール送信
を行ったウッド氏をふくめ、残念ながら全員殺害されたはずだ。
残虐非道というほかない。    ──舩瀬俊介著の前掲書より
─────────────────────────────
 つまり、こういうことです。MH370便は、マレーシアの管
制から離れた直後に電波的にハイジャックされ、強制的にディエ
ゴカルシア島に誘導されたのです。ボーイング社は航空機のハイ
ジャック事件に備えて、自社航空機を遠隔操作する技術の特許を
取得していますが、事の性格上、このことは公開されていないの
です。この遠隔操作技術を使うと、操縦士は航空機の一切の操縦
はできなくなり、目的地に誘導されるままになります。まさに完
璧なハイジャック対策ということになります。その技術が今回悪
用されたことになります。
 ところが犯人たちにとって都合の悪い事態が生じたのです。と
いうのは、MH370便の行き先が早くからディエゴガルシア島
ではないかと推測され、この島が話題になったからです。一番多
かった憶測は、MH370便は最初からディエゴガルシア島の米
軍基地に突っ込む計画だったのではないかというものです。
 しかし、このままでは、ディエゴガルシア島が話題になり、基
地に駐機しているMH370便が発見される恐れもでてきたので
何らかの処分が必要になったのです。そこで出てきたのが、ノー
スウッズ作戦です。決死のメールを発信した人の名前がウッズ氏
ですから、少し話ができ過ぎの感がありますが・・・。
 そこで、MH370便は遺体を乗せてディエゴガルシア島から
無人で離陸し、MH17便としてウクライナに向い、戦場の上空
で撃墜されたか、MH370便に搭載されていた爆薬によって、
爆破されたのではないかというのが、舩瀬氏のいうマレーシア航
空機事件の驚愕の真相というわけです。あなたは果して信じられ
るでしょうか。    ──[航空機事故の謎を探る/058]

≪画像および関連情報≫
 ●MH370便の失踪とディエゴガルシア島/竹下雅敏氏
  ───────────────────────────
   マレーシア航空370便の失踪事件で、一番最初にディエ
  ゴ・ガルシア島に言及していたのがこの4つ目の記事です。
  ほぼ同じタイミングで、ロシアの船団がインド洋に向ってい
  ます(3つ目の記事)ので、ロシアは飛行機がディエゴ・ガ
  ルシア島に強制着陸させられた事を知っていたに違いありま
  せん。航空機は消息を絶った後、限界高度を越える高さまで
  上昇していますが、恐らく,乗務員と乗客を気絶させるため
  だったと思います。彼らは外部からのリモートコントロール
  によってディエゴ・ガルシア島に運ばれた後、島の約100
  キロ北にある地下秘密基地に収容されたのではないかと考え
  ています。この事件の本質は、3月27日に紹介したジム・
  ストーン氏の説明で、ほぼ正しいと感じます。
   “続きを読む”以降の最初の写真ではディエゴ・ガルシア
  島の北側に不自然に直線で囲まれた部分があります。自然の
  形状ではなく、明らかに画像処理されたものだと感じます。
  この地下に秘密基地があり、ディエゴ・ガルシア島からトン
  ネルでつながっていると思います。この近辺には不自然な島
  がいくつもあります。先ほどの秘密基地と思われる場所の西
  側にはダンガー島があり、ここを拡大してもフィルターがか
  けられ、はっきりと見えないようにされています。ダンガー
  島の北側にイーグル島、シーカウ島があり、南にはエグモン
  ト諸島がありますが、これらの島ははっきりと写っているの
  です。したがってこのダンガー島は米軍の秘密施設があると
  考えられます。          http://bit.ly/1RwJt30
  ───────────────────────────

舩瀬俊介著『死のマイクロチップ』.jpg
舩瀬俊介著『死のマイクロチップ』
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月22日

●「人体にマイクロチップを埋め込む」(EJ第4184号)

 もし、戦闘が続くウクライナ上空で撃墜された飛行機が行方不
明になっているMH370便であるとすると、MH17便はどこ
に行ったのでしょうか。
 マレーシア航空の記録では、「MH17便は欠航」扱いになっ
ており、どうやら飛行していないことは既に述べた通りです。そ
れなら、そのMH17便の機体はどこにあるのでしょうか。
 今回のマレーシア航空事件が、米国によるノースウッズ作戦で
あったとすると、マレーシア政府は完全にその犯罪の片棒を担が
されていることになります。マレーシア政府が協力しないと、こ
の作戦は実行不能だからです。
 それでは、MH17便はどこに行ったのでしょうか。ウクライ
ナ上空で撃墜されたのは、あくまでMH17便ということになっ
ているので、マレーシア航空としては、そのままにしておくわけ
にはいかないはずです。
 読者からの情報提供があり、マレーシアのクアラルンプール空
港には持ち主不明の3機のジャンボジェット機が置き去りにされ
ているというニュースが入ってきています。もしかしたら、この
3機のなかにMH17便があるのではないか、と。
 しかし、この3機はボーイング747─200であることが判
明しており、ボーイング777─ERであるMH17便とは別の
飛行機です。それでは、MH17便はどこにあるのでしょうか。
 おそらく、MH17便はマレーシア航空が利用できるどこかの
空港にあり、別の便名で運航されていると思われます。しかし、
すべて塗装が塗り替えられているはずです。飛行機は機体の塗装
を塗り替えることは簡単にできますし、どこの航空会社もやって
いることであり、誰も不審には思わないでしょう。
 気になるのは、米国(というより米国を支配している勢力)が
このような国際謀略を起こした理由が、「KL03マイクロチッ
プ」の特許権であることです。このチップは何のために使われる
ものでしょうか。
 ヒントになる映画があります。2005年3月に日本で公開さ
れた『クライシス・オブ・アメリカ』という米国映画です。米国
という国は、映画でいろいろな情報を発信します。あるときは米
国の持つ最新の攻撃システムを映画で紹介し、米国に敵意を抱く
国や組織を牽制したり、これから起こり得る人類の恐るべき未来
を暗示して見せたりします。
 この映画も人類の将来への暗示という内容を含んでいます。映
画のあらすじは、次のようなものです。
─────────────────────────────
 湾岸戦争下、ベン・マルコ(デンゼル・ワシントン)率いる小
隊が、敵の奇襲攻撃に遭ってしまう。その危機を救ったのは他の
隊員とは馴染めずにいた、いわば落ちこぼれの隊員レイモンド・
ショー軍曹(リーヴ・シュレイバー)。
 そして終戦後、ショーはその行為がきっかけで隊員時代には誰
も予想していなかった時代を象徴する英雄になり、大物上院議員
である母エレノアの強力な後ろ盾のもと、政界へと進出。若くし
て副大統領候補にまで選出される。
 一方、マルコはある悩みを抱えながら、終戦後も軍務を続けて
いた。その悩みとは、部隊の危機を救った英雄のショーが、仲間
の隊員を殺している夢を観ることだった。事実とはまるで反対の
夢を繰り返し見るマルコ。しかし、それがただの夢とはどうして
も信じ切れず、ついに独自の調査を開始する。
 そうして、マルコはやがて自分たちの記憶が、“何かあったと
き”のための個人情報、として体内に埋め込まれたチップによっ
て書き換えられていたことを知り、やがて背後にある大きな陰謀
に気づく。 ──ザ・シネマ・ブログ  http://bit.ly/1RzsOMd
─────────────────────────────
 これは、人間の体にマイクロチップを埋め込み、外部からそれ
をコントロールし、本人の意思に関係なく、殺人などをやらせる
という怖い話です。映画の話であり、そんなことは現実の世界で
は起こり得ないと考える人は多いと思います。それに本人の意思
に反して、マイクロチップを体に挿入させることなど不可能であ
ると考える人もいるでしょう。
 しかし、残念ながら、その考え方は甘いといわざるを得ないの
です。なぜなら、このことはペットにおいては既に行われている
ことだからです。舩瀬俊介氏は次のように述べています。
─────────────────────────────
 いま現在、世界でチップ埋め込みが強制されているのは、ペッ
トである。昨今の獣医は、チップを犬や猫に埋め込む手術を勧め
る。理由は「迷子になったとき、すぐ探せるから」というが、本
当は利益のためである。そればかりではない。彼らは、人間への
チップ埋め込みに先導役を果たしている。
 フランスでは、すでにペットへのチップ埋め込みは、義務化さ
れているという。これは将来の人体への埋め込みをにらんだ、一
種の動物実験なのである。            舩瀬俊介著
    『死のマイクロチップ/明日はあなたに埋められる?』
               ──株式会社イースト・プレス
─────────────────────────────
 それにこのマイクロチップは現在超小型化が進んでおり、別名
「パウダーチップ」と呼ばれる微細なチップも存在します。それ
どころか肉眼では見えない「ナノチップ」すら存在するのです。
ナノチップであれば、注射器の針を楽々と通るので、ワクチン接
種などのさいに体内に入れることは可能です。
 現在「IoT(インターネット・オブ・シングス)」が流行し
ています。あらゆるモノにICチップを内蔵させ、インターネッ
ト経由で相互に情報をやり取りするシステムのことです。
 このIoTの次に来るのは、人間の体内にICチップを埋め込
む「ヒト・インターネット/IoP」の時代が来るのではないか
と考えられます。恐ろしい話ですが、すでに世界中でこの動きは
始まっています。   ──[航空機事故の謎を探る/059]

≪画像および関連情報≫
 ●皮膚にマイクロチップを埋め込み社員証にする
  ───────────────────────────
   エピセンターのCDO(最高破壊理論責任者)であり、ス
  ウェーデンのバイオハッキング団体バイオニフィケン会員で
  もあるハンス・ハーブラッド氏の見解では、好む好まないに
  かかわらず、近い将来、マイクロチップの埋め込みは避ける
  ことができなくなるという。
   同氏によれば、大企業や政府がこうしたチップの埋め込み
  を推進し出す前に、その意味合いをよく把握しておくことが
  重要であり、その役割をバイオハッカーに期待しているそう
  だ。エピセンターでは、このチップは文字通りアクセスを可
  能とする。例えば、チップ入りの手をかざすことでドアが開
  く。また、オフィスのプリンターの前でIDカードをもたも
  たと探さなくても手の中にあるチップを読み込ませるだけで
  プリンターの起動を行える。
   手軽で便利な一方、ドアやプリンターは利用者を認識し、
  使用履歴を残す。こうした記録は従来なら非常に煩雑だった
  作業である。無論、RFIDを皮膚に埋め込むことに抵抗を
  感じる人もいるだろう。だがフィットネス・トラッカーやス
  マートフォンなど、自分の日常生活を24時間記録する機器
  はそれほど珍しいものではない。  http://bit.ly/1LmRgsE
  ───────────────────────────

映画「クライシス・オブ・アメリカ」.jpg
映画「クライシス・オブ・アメリカ」
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月24日

●「オバマケアとICチップ埋め込み」(EJ第4185号)

 オバマケア(医療保険制度改革)は、バラク・オバマ氏が20
08年の米大統領選で公約に掲げて勝利し、2009年に大統領
に就任するや法案の審議を進め、民主党が優位になった上下両院
で法案を通過させ、2010年3月に大統領が署名して成立した
医療保険制度です。
 日本の健康保険制度の米国版であり、民主党がクリントン大統
領の頃から成立を目指していた制度であり、本来米国民に歓迎さ
れてよい制度であるといえます。しかしこの制度はなぜか評判が
きわめてよくないのです。とくに共和党はこの法案に強く反対し
ていたのですが、オバマ政権で遂に成立の運びになったのです。
 この制度は、発足当時からしきりにいわれていることがあるの
です。それはこのオバマケアは「体に何らかのICチップ埋め込
まれる」こととセットであるというのです。そんなことはあり得
るでしょうか。
 舩瀬俊介氏の本に、これに関する次の記述があるので、ご紹介
します。
─────────────────────────────
 2010年、オバマ大統領は“オバマケア≠ニ称する、医療保
険制度改革法案を成立させた。建前は、「米国のすべての国民に
安価な医療を提供するため」。国民皆保険を導入することによっ
て、医療難民を救済するという。「医療難民を救済」といえば、
いかにも弱者の味方≠ナある民主党らしく聞こえもいい。「健
康保険の加入率を、83%から96%まで引き上げる。個人の保
険加入を義務づけ、非加入者には罰則を科す・・・」
 しかし、それは表向きであり、民衆から支持を得るためのエサ
でしかなかった。こうして、2014年6月26日、ついに米国
で人類史上まれにみる恐怖の法が発動された。「法律が施行され
て36ヶ月=3年)以内に、マイクロチップが導入される」(同
法)それはまさに医療保険法をかたった“独裁支配法”だった。
チップを埋め込むことで、国民総背番号制を確立し、個人情報を
管理する。つまり、人類家畜化へのプロセスなのだ。
         ──舩瀬俊介著/株式会社イースト・プレス
    『死のマイクロチップ/明日はあなたに埋められる?』
─────────────────────────────
 「そんなバカなことが・・」と誰でも思います。実際にそんな
ことはあり得ないはずです。しかし、このような情報でもその真
偽を確かめる必要があると思います。
 ネットでその情報のルーツを探ると、共和党の元議員であるロ
ン・ポール氏が「日本と世界の宇宙の動向」というサイトで、そ
のことを暴露したといわれています。ロン・ポール氏といえば、
共和党のなかでもオバマケアに突出して反対した議員であり、調
べてみる必要があると思ったのです。
 しかし、確かに「日本と世界の宇宙の動向」というサイトはあ
るのですが、ICチップの埋め込みに言及した記事は発見するこ
とはできなかったのです。
 さらに舩瀬俊介氏は、このオバマケアの陰謀に気づいた市民の
一人として、リンゼイ・ウイリアムという人物の発言を紹介して
います。
─────────────────────────────
 チップ埋め込みの陰謀に気づいた米国市民のひとり、リンゼイ
・ウィリアム氏は、オバマケアの分厚い議案書の中に、とんでも
ない条項がひそんでいることに気づいた。彼はインターネットを
通じて、その衝撃を伝えている。
 「オバマケアは本当の医療保険じゃない!法案を見てごらん。
1014ページ目に恐ろしいことが書いてある」
 まず、3000ページを超えるという法案のボリュームに驚か
される。補足条項を加えると、2万ページ!法案に賛成した議員
ですら、全部を読み通した者は皆無だろう。しかし、ウィリアム
氏はその分厚いファイルを読み込んだことで、息をのむことにな
った。「1017年までに、全米国人にマイクロチップを埋め込
む。その理由は、税金逃れを防ぎ、全国民に公正な負担を課すた
めである」。          ──舩瀬俊介著の前掲書より
─────────────────────────────
 このリンゼイ・ウィリアムスという人は実在するし、ネット上
には写真も掲載されています。リンゼイ氏は、ネット上でさまざ
まな主張を展開するブログ・ライターであると思われます。
 上記の舩瀬氏の記事のソースは次のものと思われます。これは
リンゼイ・ウイリアムス氏自身の警告です。
─────────────────────────────
 エリートらの計画では、米国の金融崩壊は、無理のない医療保
険法が完全実施された後に起こされます。米議会が成立させた新
たな医療保険法(オバマケア)は、本当の医療保険ではないので
す。この法律の中身は議員ですら読んだことがないのです。何も
知らずに法案を通過させました。中身をよく熟知しているエリー
トによると、この医療保険法は、米国民の医療のためではなく、
政府が米国民を独裁的に支配するための法律なのだそうです。最
初に、米議会は愛国法を成立させました。次に医療保険法を成立
させました。この医療保険法が完全実施されたときに、米国には
NWO体制が敷かれることになり、米国民を独裁支配することに
なります。そして米国の金融崩壊は、この医療保険法が完全実施
された後に起こります。    ──リンゼイ・ウイリアムス氏
                  http://amba.to/1S6Z1Ka
─────────────────────────────
 リンゼイ氏は「法案の1014ページ」とページ数を指摘して
います。ICチップの埋め込みのことがこのページにあるという
のでしょうか。ちなみに、リンゼイ氏はオバマケアが法案の段階
でこの指摘をやっているのです。
 本当に「法案の1014ページ」には、ICチップの埋め込み
のことが記述されているのでしょうか。このことは、明日のEJ
で追及します。    ──[航空機事故の謎を探る/060]

≪画像および関連情報≫
 ●オバマ大統領の正体/サニナのブログ
  ───────────────────────────
   リンゼイウィリアム氏によれば、オバマケアは本当は医療
  改革法案なんかじゃない。米国民を独裁的に支配するための
  法案なんだと言ってます。
   オバマケアというのは、オバマさんの提唱する医療改革法
  案のことですよね。去年の10月頃アメリカの民主党と共和
  党がこの法案を通すとか通さないとかで議会紛糾した経緯が
  あります。
   で、最近、そのオバマケアの法案の1014ページ目に、
  2017年までに全てのアメリカ国民にマイクロチップを埋
  め込むと書かれてあると判明して騒がれてるようです。バー
  ジニア州などいくつかの州が法案停止に動き始めたとか。
                   http://bit.ly/1QHqiDn
   レポートによれば、マイクロチップはすぐに個人を特定す
  るために入れられます。RFIDマイクロチップは政府にあ
  まりに多くの権限を与えます。マイクロチップによりあらゆ
  る動きを追跡可能になります。若干の州(ヴァージニア州な
  どの)では、これを阻止するために動き始めました。
   レポートによれば、脳に挿入されるマイクロチップも開発
  されており、実際に複数の人間で、すでにテストされている
  ようです。            http://bit.ly/1ZmxHJJ
  ───────────────────────────

リンゼイ・ウイリアムス氏.jpg
リンゼイ・ウイリアムス氏
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月25日

●「ICチップ人体埋め込みは本当か」(EJ第4186号)

 そもそも「オバマケア」のどこが問題なのでしょうか。
 オバマケアは、「アフォーダブル・ケア・アクト(ACA)」
という米国の医療制度を改革する法律のニックネームです。米国
は国民皆保険ではないので、国民は病気に備えるため、民間保険
会社の医療保険に入っています。しかし、医療保険に加入するに
は基本的に健康であることが条件になります。
 これに対しオバマケアでは、持病を抱えている人の加入を拒む
ことはないし、医療費が巨額になったからといって加入している
保険プランから追い出されることもない。保険金の支払いに上限
を設けることもないのです。
 しかも、医療費の自己負担分が年間で一人当たり6350ドル
(約62万円)、家族当たり1万2700ドル(約125万円)
を超えてはならないとされています。大きな病気や事故でこの上
限を超えた費用がかかる場合、その分はすべて医療保険が負担す
ることになります。
 その代り、国民がきちんと保険料を支払わないと、この制度は
成り立たないのです。したがって、保険料を支払わない人に対し
ては、厳しい罰則が設けられています。支払わない人には年収の
1%の罰金が科せられ、それでも支払わないと、翌年は2%、翌
々年は2・5%と罰金は高くなります。
 これに対して共和党の多くの議員は、この制度に反対しており
この医療保険制度は憲法違反であるとして、最高裁判所に訴えた
のですが、2012年に合憲の判断が下されているのです。
 そのせいか、オバマケアは合憲判決が出た後もすこぶる評判が
悪く、条文には「あらゆる人にICチップを埋め込む」があるな
どと騒がれています。共和党議員の嫌がらせか、一部の陰謀論者
のたわごとであるとする向きもありますが、その真偽を探ってみ
ることにします。
 まず、2012年5月、オバマ大統領が、ホワイトハウスの記
者会見で次のように明言しているという証言があります。
─────────────────────────────
 国民すべてがチップ埋め込み(Implantable Device)を受ける
べきだ。納税に漏れがないようにするためである。
         ──舩瀬俊介著/株式会社イースト・プレス
    『死のマイクロチップ/明日はあなたに埋められる?』
─────────────────────────────
 オバマ大統領の2012年5月の記者会見をネット上で探して
みると、次の動画を発見しました。この動画(2分58秒)の1
分22秒のところで、オバマ大統領は確かにチップに言及してい
ます。これについては、添付ファイルをご覧ください。
─────────────────────────────
     タイトル「Everyone has to chip in 2013」
     オバマ大統領の記者会見 /2012年5月
               http://bit.ly/1mgmImO
─────────────────────────────
 次に、リンゼイ・ウィリアム氏のいう「オバマケアは本当の医
療保険じゃない!法案を見てごらん。1014ページ目に恐ろし
いことが書いてある」といっていることについて、その真偽を検
証してみます。
 H.R.4872法案の1014ページを見ると、次のように書
かれています。確かに、「クラス2のデバイスのインプラント可
能」と記述されています。これが何を意味するのかの詳細はわか
りませんが、クラス2のデバイス(チップ)の埋め込みは可能と
読むことはできます。クラス2のデバイスは「生命維持のための
クラス2の埋め込み型機器」(『ニューズウィーク』誌の表現)
を意味しているようです。
 H.R.4872法案は2309ページありますが、URLを付
けておきますので、実際にご自身で、1014ページまでスクロ
ールして確かめてみていただきたいと思います。(⇒は著者)
─────────────────────────────
 ◎H.R.4872法案の1014ページ
 National Medical Device Registry
 The Seceretary shall establish a national medical device
 rgistly to facilitate analysis of postmarket safty and
 outcomes data on each device that─
 (A)is or has been used in or on a patient;and
 (B)is─
     (i) a class V device; or
 ⇒   (A) a class U device that is implantable,
     Life-supporting,or life-sustaining.
     ──H.R.4872法案 http://1.usa.gov/1mzZAjC
─────────────────────────────
 これに関して『ニューズウィーク』誌/2010年4月号(日
本語版)で、ティモシー・ノア氏は、それは単なる流言飛語に過
ぎないとして、次のように反論しています。
─────────────────────────────
 「医療改革法=陰謀」説を主張する人々は、もっともらしさを
演出するために「法案の○○ページ」だとか「△△にある条文」
と問題の箇所をピンポイントで指す。
 だが「生命維持のためのクラス2の埋め込み型機器」なんて文
言は、このたび可決された改革法案と修正法案のどこを探しても
出てこない。実はこの表現が登場するのは下院の改革法案のもっ
と以前のバージョンなのだ。
 いずれにしろ、脳味噌にマイクロチップを埋め込むことを求め
たものではない。手術で体内に埋め込んだ医療機器の医学的効果
をきちんと調べ、万一の場合にはリコール情報をユーザーに届け
るため、そうした機器に関するデータを集めるように厚生省に求
めた規定なのだ。           http://bit.ly/1U4vaAy
─────────────────────────────
           ──[航空機事故の謎を探る/061]

≪画像および関連情報≫
 ●オバマケアとマイクロチップの陰謀/心に青雲ブログ
  ───────────────────────────
   2010年に成立した医療保険改革法は全国民にRFID
  チップを埋め込むことを要求している。マイクロチップには
  追跡可能な国民一人ひとりの個人情報が含まれるだけでなく
  一人ひとりの銀行口座にもリンクする。法律が施行されてか
  ら36か月以内に、マイクロチップ導入が開始される。20
  13年3月23日までには国民一人ひとりの皮膚の下にRF
  IDチップが埋め込まれることになる。
   これに対して野党民主党が、チップ埋め込みに反対してい
  るとする報道は聞かれない。民主党も共和党も同じ穴のむじ
  ななんだから、いずれは手をとりあって、保険制度はともか
  くマイクロチップの埋め込みは実施していくだろう。
   要は国民に対して、政府職員の給与、生活を「人質」にと
  って、マイクロチップによる支配管理を強行してくるのだろ
  う。アメリカ人は愚かにもキリスト教を信仰している奴が多
  いから、なんの、教会を通じて信者らを洗脳し、それが神の
  ご意志だから受け入れるようにと言われればそれっきり、楽
  勝で全国民に埋め込まれる。
   それだけでもう説明の必要がないほど、おぞましい事態で
  ある。そのうちにさらに超小型化し、盗聴もできるようにな
  るのかもしれない。プライバシーはかけらもなくなる。だが
  私はさらに恐ろしいことが待ち受けていると思う。
                   http://bit.ly/1NCkmb2
  ───────────────────────────

オバマ大統領オバマケアについて語る.jpg
オバマ大統領オバマケアについて語る
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月28日

●「極小チップが必要なIoPの時代」(EJ第4187号)

 2014年に起きたマレーシア航空の2つの航空機事故は、米
フリースケール・セミコンダクタ製作の「KL03チップ」の特
許権を奪うための米国(を支配しているある勢力)による「ノー
スウッズ作戦」の疑いが濃厚である──これがEJが3ヵ月にわ
たって追及してきたひとつの結論です。あなたは、この結論を信
じられるでしょうか。
 このKL03チップの特許権がこれほど大型の国際犯罪を犯し
てまで、必要なものだったのでしょうか。それとも特許権の80
%を握っていたのが中国系の技術者だったことから、その技術が
中国に流れるのを阻止したかったのでしょうか。既に述べたよう
に、フリースケール社の親会社はカーライル・グループであり、
このグループは、ジェイコブ・ロスチャイルドが所有しているの
です。KL03チップは、次のような仕様です。
─────────────────────────────
 KL03は、前モデルのKL02から15%小型化した1.6
ミリ×2.0ミリサイズに、プロセッサやRAM、フラッシュメ
モリなどを搭載。ゴルフボール表面の窪み1つに収まるほど小さ
なMCUです。
 また同社はコンパクトさとともに省電力性も特徴として挙げて
おり、KL03をウェアラブル端末など、あらゆるものがインタ
ーネットに繋がるIoT、いわゆる「モノのインターネット」の
時代に最適な製品としています。   http://engt.co/1QNejEE
─────────────────────────────
 KL03チップについては、添付ファイルを見てください。ゴ
ルフボールと比較すると、チップがいかに小さいかがよくわかる
と思います。このサイズであれば、わざわざ人体に埋め込むまで
もなく、衣服などに忍ばせることによって、「IoP/ヒト・イ
ンターネット」を実現できます。つまり、ウェアラブルチップと
して活用することができます。
 「IoP/Internet of Person」は私が作った造語ですが、そ
ういうものがあっても不思議はないと思います。現在、米国での
人体へのICチップ埋め込みだけでなく、多くの国において、国
民に番号を付け、管理しようという企みが進行しています。日本
でも国民に利益がほとんどないマイナンバー制度がいつの間にか
決まり、来年から実施されようとしています。
 まず、国民にカードを持たせ、それがないと生活が不自由にな
るようにするのです。そして、カードは落としたり、忘れたりす
るので、次のステップはウェアラブルになり、最後はチップの埋
め込みへと進んでいくのです。
 「THINKER」 という若者のグループがあります。このグループ
は、『マスコミとお金は人の幸せをこうして食べている』(徳間
書店)という本のなかで、次のようなことを述べています。舩瀬
俊介氏の本から引用します。
─────────────────────────────
 アメリカでは、医療目的や身分証明目的で、マイクロチップを
体に埋め込む政策が進んでいる。マイクロチップは爪の先ほどの
大きさ、最近では毛ほどの大きさのチップに個人情報を記憶し、
外部機器から無線で読み取りできる機能を搭載したハイテク機器
である。(中略)
 米国への不法入国で逮捕された人々の中には、強制的にチップ
を埋め込まれた人も多い。2010年には、国民皆保険を隠れみ
のにして、全国民にチップ埋め込みを義務化するオバマケア法が
成立している。(中略)
 驚くべきことに、テレビのデジタル化の理由のひとつは、従来
のテレビで使用されていたアナログ波帯を大幅に空けることによ
って、その周波数帯を国民ひとりひとりの“無線管理”に用いる
ためだったという、ある大手情報管理企業の内部告発者の話もあ
る。       ──舩瀬俊介著/株式会社イースト・プレス
    『死のマイクロチップ/明日はあなたに埋められる?』
─────────────────────────────
 これらの現象から思い出されるのは聖書の「ヨハネの黙示録」
です。黙示録は、使徒ヨハネが神からの啓示を受けて記した書簡
であるとされています。1章と2〜3章では、当時の7つの教会
を中心として、教会の姿がどう展開されるかが記されています。
4章から22章までの大部分を用いて、人類歴史の終末が近づい
てくる様子が、多様でかつ奇妙な現象の描写によって始終繰り広
げられています。その13章に次の記述があります。
─────────────────────────────
 また、小さい者にも、大きい者にも、富んでいる者にも、貧し
い者にも、自由人にも、奴隷にも、すべての人々にその右の手か
その額かに刻印を受けさせた。また、その刻印、すなわち、あの
獣の名、またはその名の数字を持っている者以外は、だれも買う
ことも、売ることもできないようにした。ここに知恵がある。思
慮ある者はその獣の数字を数えなさい。その数字は人間をさして
いるからである。その数字は666である。
              ──「黙示録13:16−18」
─────────────────────────────
 人体へのマイクロチップの埋め込みは、まさにこの予言に酷似
しています。予言が当たっているというよりは、何らかの巨大組
織が、予言に合わせてことを進めているようにも感じます。
 現在ISなどによって世界中で起きているテロに対して各国は
あらゆるところに監視カメラを配備し、一大監視社会を作り上げ
ようとしています。それだけではありません。ドローンをはじめ
顔認証、歩容認証、そして盗聴と、ありとあらゆるハイテク機器
を駆使して、監視を強めつつあります。国ごとというより、地球
ごと監視社会になりつつあります。
 マレーシア航空の事件もそういう動きのなかで発生したといえ
ます。年末でもありますし、今回のテーマは本日で終了すること
にします。ご愛読を感謝します。新年は、1月4日からEJをお
届けします。 ──[航空機事故の謎を探る/062/最終回]

≪画像および関連情報≫
 ●世界の終りの話/ヨハネの黙示録
  ───────────────────────────
   新約聖書の一番最後に置かれている「ヨハネの黙示録」は
  ユダヤ教・キリスト教の黙示文学の中でも、後の時代に対し
  て最も大きな影響力を持った書物である。その影響力は現在
  にも及んでいる。1986年にロシアのチェルノブイリ原発
  事故が起こったときにも、本書は話題になった。“チェルノ
  ブイリ”はロシア語で“苦(にが)よもぎ”という意味だが
  本書の中にも“苦よもぎ”が登場し、そのために多くの人が
  死んだと記されているためだった。もちろん、黙示録の著者
  がチェルノブイリ原発事故を予言したと考えるのは不可能だ
  が、そのような読まれ方をすることにも、本書の影響力を見
  て取ることができる。
   多くの黙示文学がその時代の状況に対する抵抗文学として
  書かれているが、本書もまた同様の性格を持っている。本書
  が書かれたのは小アジアのどこかで、ローマ帝国のドミティ
  アヌス治世(紀元81〜96年)の紀元95年頃だとされて
  いる。この時代は悪名高いネロ皇帝の時代(54〜68年)
  と同じく、キリスト教徒にとって過酷な時代だった。このよ
  うな時代に際して、近づいている世界の終末と完成を預言す
  ることで、大きな危険にさらされているキリスト教徒たちを
  激励するのが本書の目的だった。  http://bit.ly/1SfTm4x
  ───────────────────────────

KL03チップ.jpg
KL03チップ
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする