2015年05月07日

●「STAP細胞事件は何だったのか」(EJ第4028号)

 世の中には納得のできないことがたくさんあります。最近の出
来事でいうと、「STAP細胞事件」があります。あの世紀の大
発見は一体何だったのでしょうか。
 STAP細胞について最初に会見が行われたのは2014年1
月28日のことです。神戸市にある理研の発生・再生科学総合研
究センター(CDB)においてです。事前に「幹細胞基礎分野で
大きな発展」という案内が報道各社に配られ、それ以上どういう
内容なのかは明らかにされず、会見で「STAP細胞の発見」が
発表されたのです。当日、CDBの会場には、新聞・テレビ16
社から約50人の記者やカメラマンが集まったのです。
 そして、STAP細胞発見の第1報は、2014年1月30日
の朝刊各紙で伝えられ、世界中に驚きが拡散して行ったのです。
まさに世紀の大発見であり、ノーベル賞級の業績である、と。し
かもその発見者は、30歳の無名の若い研究者で、米ハーバード
大学がえりの小保方晴子氏という女性であることがわかったので
す。そして、そのときから、いわゆる「小保方フィーバー」なる
ものが、日本中で巻き起こったのです。
 しかし、発表から2週間も経過しないうちに、総合学術雑誌で
ある『ネイチャー』に掲載された論文の内容に疑惑が浮上し、理
研では調査委員会を立ち上げて、その真相解明のための調査が行
われる事態になったのです。
 『ネイチャー』は、1869年に英国の天文学者、ノーマン・
ロッキャーによって創刊された総合学術雑誌で、ここに論文が掲
載されれば、それは科学として正しいというお墨付きが与えられ
たといっても過言ではないのです。それだけに、大騒ぎになって
しまったわけです。
 その後、何回かにわたって理研の調査報告が行われ、論文のメ
インの執筆者である小保方氏の不正の事実を認定します。論文発
表からたった2ヵ月での不正認定です。小保方氏以外にも大勢い
る共著者は論文を十分精査したうえで、共著者に加わったのでは
なかったのでしょうか。
 4月になって、理研から不正の認定を受けた小保方氏による反
論会見、その2週間後の小保方氏のメインの指導教官である笹井
芳樹氏の補足会見などがあって、遂に『ネイチャー』が7月3日
号で論文を撤回するに及んで、世界から注目されたこの世紀の発
見は、発表から5ヵ月で白紙に戻ることになったのです。
 悲劇はそれだけでは終わらなかったのです。その約1ヶ月後の
8月5日のことですが、このSTAP細胞事件の中心人物の一人
である笹井芳樹氏がCDB内で自殺をしてしまったのです。
 STAP細胞事件を最初から最後まで熱心に取材した毎日新聞
科学環境部記者の須田桃子氏は、笹井氏の自殺を自著で次のよう
に書いています。
─────────────────────────────
 毎日新聞は5日付夕刊の一面で、笹井氏の自殺を報じた。兵庫
県警によると、笹井氏はCDBと通路でつながった先端医療セン
ターの研究棟の4階と5階の間にある踊り場で亡くなっていた。
 午前11時3分、搬送先の中央市民病院で死亡が確認された。
理研によると、午前9時前に発見された際にはすでに、駆け付け
た先端医療センターの医師が「死亡している」と話したという。
52歳だった。半袖シャツにスラックス姿で、踊り場に革靴とカ
バンが置かれていた。捜査関係者によると、カバンの中に理研幹
部や小保方氏にあてた3通の遺書が残されていた。
            ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著
       『捏造の科学者/STAP細胞事件』/文藝春秋
─────────────────────────────
 なぜ、笹井芳樹氏は自殺をしたのでしょうか。それに死に場所
が自宅ではなく、なぜ先端医療センターのなかでなければならな
かったのでしょうか。おそらく笹井氏の自殺で、最大のショック
を受けたのは、小保方氏だったと思います。
 その後小保方氏も参加して、「STAP細胞は果たして存在す
るのか」についても検証実験が行われましたが、最終期限である
11月までにSTAP細胞は再現されず、その結果、このSTA
P細胞事件は幕引きになったのです。
 おそらく誰もがこの結果を予想しなかったと思います。誰も納
得がいかないはずです。一般的なイメージとしては、巨額の予算
を使う理化学研究所という組織が小保方晴子氏という一女性研究
者に責任をかぶせて、幕引きをはかったというものです。
 STAP細胞は本当に存在しないのでしょうか。驚くべきこと
に、この事件に登場する人物のすべてが不幸になっていることで
す。この事件には深い闇がその背景にあると思います。
 その闇を探るには情報が極端に限られています。単行本として
は私の知る限り、現在のところ3冊しかありません。そのためこ
の事件をEJのテーマとして書くことは困難性が伴いますが、あ
えて挑戦することにします。テーマは次の通りです。
─────────────────────────────
  STAP細胞事件をわれわれはどのようにとらえるべきか
     ── 事件の背後に潜む闇を解明する ──  
─────────────────────────────
 そもそもSTAP細胞とは何なのでしょうか。iPS細胞とは
どう違うのでしょうか。それにES細胞との違いについても知る
必要があります。
 なぜ、先に発見され、先行したはずのES細胞が、後から発見
されたiPS細胞に後れを取ったのでしょうか。どちらもマウス
でもヒトでも成功している発見であり、両方ともノーベル賞を受
賞しています。これに対してSTAP細胞は、どのような位置づ
けになるのか、調べてみる必要があります。
 このような化学工学の世界は、工学のなかでは、サイエンスと
いう意味での科学から最も遠い世界であるという人もいます。こ
のあたりのことについて、明日から考察を試みたいと思います。
             ── [STAP細胞事件/001]

≪画像および関連情報≫
 ●「STAP細胞疑惑」と旧石器発掘ねつ造事件
  ───────────────────────────
  理化学研究所の小保方晴子氏らが、2014年1月に科学雑
  誌「ネイチャー」に発表した、あらたな万能細胞・STAP
  細胞の生成に関する疑惑が世間を騒がしている。この事件の
  構図を見ていて、著者は、2000年11月に日本で発覚し
  た旧石器発掘ねつ造事件と、事件の構図が酷似していること
  に気がついた。旧石器発掘ねつ造事件は、日本にも数十万年
  前の旧石器時代の遺跡が存在するという、長い間実証されて
  こなかった、当時の考古学界の権威の説を「実証」するもの
  として、一考古学徒によって、次と次と各地の遺跡から旧石
  器が発見されたが、この石器は「発見者」が意図的に地層中
  に挿入した旧石器とは似てもつかない縄文時代の石器であっ
  たことがあきらかとなった事件である。この事件は発見者が
  プロの考古学者ではなく、熱心な一愛好家であり、当初から
  この愛好家でなければ遺跡から旧石器を取り出せないので、
  彼のことを「神の手」と読んで、マスメディアも含めて大い
  に持ち上げた。こんな馬鹿なことがまかり通った背景には、
  この遺跡ねつ造者の行為が、長らく実証できなかった学会の
  権威の説を「実証」するように見えたので、その権威者およ
  びその直系の著名な考古学者らがこの「発見」にお墨付きを
  与えたことがあった。そして一部の考古学者から発掘された
  石器が旧石器ではなく、もっと後代の技術が進捗した時代で
  ある縄文の石器に酷似しているという批判があったが、この
  批判は「どうして彼以外のものが石器を発掘できないのか」
  というまっとうな批判とともに、学会において無視され続け
  たのであった。          http://bit.ly/1JkUEEL
  ───────────────────────────

小保方晴子氏.jpg
小保方 晴子氏
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2015年05月08日

●「常温核融合騒ぎと似ている諸現象」(EJ第4029)

 STAP細胞事件のような「事件」は、実は他にいくつも似た
ような事例があるのです。STAP細胞事件に非常に似ていると
思われるものに、同じ科学ものである「常温核融合事件」があり
ます。STAP細胞事件に入る前にこの事件をざっと振り返るこ
とにします。
 「常温核融合」とは何でしょうか。ウィキペディアの解説は次
のようになっています。
─────────────────────────────
 常温核融合とは、室温で、水素原子の核融合反応が起きるとさ
れる現象。もしくは、1989年にこれを観測したとする発表に
まつわる社会現象。常温での水素原子の核融合反応は、きわめて
低い頻度ながら、トンネル効果や宇宙線に含まれるミューオンに
よって実際に起き、観測もできる科学的に証明された物理現象で
ある。      ──ウィキペディア http://bit.ly/1IcFpAk
─────────────────────────────
 「常温核融合」がいかに凄い技術であるかを知るには、核融合
とは何かを理解する必要があります。基礎から考えましょう。わ
れわれの身のまわりの物質は全て「原子」でできています。その
原子の中心には「原子核」があります。
 この原子核同士をぶつけると、その勢いでひとつに融合するこ
とがあります。これを「核融合」といいます。核融合が起きると
そこに膨大なエネルギーが発生します。このエネルギーを利用し
たものが、水素爆弾です。
 それでは、原子爆弾と水素爆弾は、どうに違うのでしょうか。
─────────────────────────────
     原子爆弾 ・・・ 「核分裂」型熱核兵器
     水素爆弾 ・・・ 「核融合」型熱核兵器
─────────────────────────────
 原子力の利用には、「核分裂反応」を使うものと、「核融合反
応」を使うものの2つがあります。原子爆弾は核分裂反応を使い
水素爆弾は核融合反応を利用しているのです。ところで、原子力
発電はすべて核分裂反応を利用して発電しています。
 ところが、核分裂反応を使うと、燃料の燃えカスとして高レベ
ルの放射性廃棄物が発生するのです。これが原子力発電の最大の
欠点であることは周知の事実になっています。
 しかし、核融合反応では、燃料・材料の放射化共に高レベルに
は至らないように運転することが可能なのです。仮に、制御不能
に陥っても、その性質上暴走・爆発などを起こさないという特色
があるのです。つまり、クリーン・エネルギーなのです。
 それなら、なぜ、核融合反応を利用した原子力発電所がないの
でしょうか。
 それは核融合反応を維持するのが非常に難しいからです。核融
合反応は超高温・高圧状態を保ってやらないと、反応が即座に止
まってしまうからです。世界中の科学者が取り組んでいますが、
現在もなお、商業利用できるレベルの炉が作れないのです。
 このように、核融合は超高温・超高圧という条件下でのみ発生
する現象ですが、常温核融合は室温程度の温度で発生する核融合
反応のことであり、極めて画期的なことであるといえます。これ
が実現すると、安全なクリーン・エネルギーがいくらでも利用で
きることになります。
 この常温核融合は、英国のマーティン・フライシュマン教授と
米国のスタンレー・ポンズ教授が、その現象を発見したとマスコ
ミに発表しています。1989年3月のことです。
 このフライシュマン教授とスタンレー・ポンズ教授が実験した
約1ヶ月後に、ほぼ同じやり方で実験に成功したのが、米国のス
ティーブン・ジョーンズ教授です。彼は、それを論文にまとめて
『ネイチャー』に投稿したところ、掲載が認められたのです。
 論文の掲載が認められたのは、ジョーンズ教授がミューオン触
媒核融合の権威であり、実績がものをいったのです。いずれにせ
よ、『ネイチャー』に掲載されると、常温核融合は科学として認
められたことになるので、大騒ぎになったのです。どんなやり方
でやったのかについて簡単にまとめます。
─────────────────────────────
 重水を満たした試験管(ガラス容器)に、パラジウムとプラチ
ナの電極を入れ暫らく放置、電流を流したところ、電解熱以上の
発熱(電極の金属が一部溶解したとも伝えられた)が得られ、核
融合の際に生じたと思われるトリチウム、中性子、ガンマ線を検
出したとしている。           ──ウィキペディア
─────────────────────────────
 しかし、『ネイチャー』に論文が掲載された直後に疑惑が噴出
したのです。続いて起きたのは、フライシュマン、ポンズ両教授
との争いです。当時米国の特許制度は、「先発明主義」を採用し
ていたのです。この制度は、特許を申請していなくても日時を特
定できる論文があれば、早く発明した者が特許を取得できるとい
うものです。これによって「カネ絡み」の争いに発展します。
 そこに同業者からの激しいバッシングが入ります。世界中の研
究機関がどこも追試に成功していないという報告です。論文通り
に実験をやっても、過剰熱どころか、核融合の証拠であるはずの
中性子などの放射線すら測定できないという報告が相次ぎ、論文
内容に多くの疑問が寄せられたのです。
 これに対してジョーンズ教授は公開実験を実施すると宣言し、
実験を行ったのです。2002年、ニュートリノ研究でノーベル
賞を受賞した「素粒子検出」で世界最高の設備を誇る日本のカミ
オカンデで行われたのですが、再実験に失敗しています。
 この結果を受けて『ネイチャー』は、今後常温核融合に関する
論文は掲載しないことを宣言しています。STAP細胞でも小保
方晴子氏自身によるCDBでの再現実験が行われていますが、再
現に失敗し、結局、「STAP細胞はない」ということで幕が引
かれてしまったのです。しかし、常温核融合もSTAP細胞もな
いとは断言できないのです。── [STAP細胞事件/002]

≪画像および関連情報≫
 ●常温融ってなあに?
  ──────────────────────────
  世間を騒がせたおぼちゃんのSTAP細胞細胞。捏造という
  ところでだいたい決着したような感じですが、彼女の捏造に
  言及するさい、「常温核融合なみのスキャンダル」というフ
  レーズがよく使われていました。へー、なんて思ってテレビ
  を観ていたわけですが、よく考えてみると、そもそも「常温
  核融合」がわからない。というか「核融合」もわからない。
  というわけで、文系の管理人がちょっと調べてみました。助
  成金を申請したら・・・。今を去ること四半世紀、1989
  年3月23日のことです。ユタ大学が出した一枚のプレスリ
  リースが、世界を揺るがせました。ソルトレイクシティ発ユ
  タ大学化学研究室において、二名の研究者が、室温での持続
  的な核融合反応を起こすことに成功した。この成功によって
  クリーンで、実質的に無尽蔵の核融合が、世界のエネルギー
  源となる可能性がある。この驚くべき技術を発見したのは、
  サウサンプトン大学のマーティン・フライシュマン教授と、
  ユタ大学のスタンレー・ポンズ教授。2人は一躍、時の人と
  なります。世界中の注目を集めるなか、ユタ大学にてフライ
  シュマンは記者会見を開催。この会見にはユタ大学の学長な
  ども同席していました。こうして、常温核融合発見のニュー
  スは、またたくまに世界を駆け巡りました。
                   http://bit.ly/1ABBuW2
  ───────────────────────────

常温核融合の実験.jpg
常温核融合の実験
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2015年05月11日

●「論文発表をなぜそんなに急いだか」(EJ第4030号)

 「常温核融合」のその後の経過をもう少しご紹介することにし
ます。STAP細胞事件とも関係するからです。常温核融合事件
の主役は次の3人です。
─────────────────────────────
    1.フライシュマン教授/     ユタ大学
    2.    ポンズ教授/     ユタ大学
    3.  ジョーンズ教授/ブリガムヤング大学
─────────────────────────────
 フライシュマン教授は、英国の電気化学の大家として知られ、
ポンズ教授はその弟子だったのです。2人ともユタ大学に属して
いたのです。
 あるとき彼らは偶然に不思議な現象を発見したのです。それは
重水を満たしたガラスの試験管にパラジウムとプラチナの電極を
入れて電流を流したところ、電解熱以上の発熱が起きたのです。
その過剰熱からは中性子とガンマ線が検出されたので、電極の金
属と重水の分子が核融合したエネルギーである可能性が浮上した
のです。しかし、常温での核融合など考えられない現象です。
 2人はその現象を大学の上層部に報告したところ、さらにその
研究を進めるために、エネルギー省に研究費の申請をしようとい
うことになったのです。そこまでは大学や研究者としては当然の
対応をしたわけです。
 しかし、その申請の審査員の一人が、別の観点から常温核融合
を研究していたジョーンズ教授だったのです。ジョーンズ教授は
同じユタ州のブリガムヤング大学の教授であり、しかもミューオ
ン触媒核融合の研究者として知られていたのです。
 「これはまずい。アイデアを盗まれる」──大学側はそう考え
たのです。そこで「先発明」の権利を獲得するため、不十分な実
験結果であることを百も承知で、フライシュマン、ポンズ両教授
に急遽論文をまとめさせ、記者会見による発表に踏み切ったので
す。その結果、この研究予算は認められたのです。
 一方、ジョーンズ教授は、自分の今までの研究結果におそらく
フライシュマン、ポンズ両教授のアイデアを加えて論文をまとめ
『ネイチャー』にそれを掲載したのです。
 問題になったのは、フライシュマン/ポンズ両教授が記者会見
で論文を発表した日時と『ネイチャー』がジョーンズ教授の論文
を正式に受理した日時がほとんど一緒だったことです。これが激
しい特許紛争のはじまりだったのです。
 もとよりフライシュマン/ポンズ両教授の論文も、ジョーンズ
教授が『ネイチャー』に発表した論文も、短い時間で執筆されて
いたこともあって多くのミスなどが指摘され、何よりもほとんど
の追試が成功していないことがダメージになったのです。それに
加えてジョーンズ教授による公開の再現実験も成功しなかったの
で、『ネイチャー』が今後常温核融合関係の論文は掲載しないと
いう発表をしたことは、前回のEJで述べた通りです。
 問題なのは、この出来事によって常温核融合の技術がニセ科学
とされてしまったことです。こうなってしまうと、世間から相手
にされなくなるのは当然として、学会においてもトンデモ科学と
して予算もつかず、研究が打ち切られてしまうのです。
 ここまでの経過は、そのままSTAP細胞事件に当てはまるの
です。万能細胞研究には、山中伸弥教授による「iPS細胞」が
先行し、既にノーベル賞を受賞しています。iPS細胞が世界的
に広がってしまう前にCDBが何とか一矢報いたいと考えても不
思議はないのです。
 そのため、笹井芳樹CDB副センター長は、小保方晴子氏に論
文作成を急がせ、十分な検証を尽くさないまま、派手な発表に踏
み切ったのではないかと考えられるのです。この経過は常温核融
合事件とよく似ています。
 気の毒なのは、フライシュマン、ポンズ両教授です。できもし
ない常温核融合で、莫大な研究費を騙しとった詐欺師として大学
を追われてしまったのです。一番悪いのは大学側ですが、国家予
算を使っているので、誰かを悪者にしないと収まらないのです。
 もう一方の当事者であるジョーンズ教授も、この騒ぎで核融合
研究の最前線から外れています。しかし、このジョーンズ教授の
名前は、2001年9月11日の米同時多発テロ事件で目にする
ことになるのですが、これについては関連情報をご覧ください。
 フライシュマン、ポンズ両教授は、一時期トヨタに誘われて、
子会社の「テクノバ」──技術系シンクタンクで、常温核融合の
研究を続けていたとされています。
 興味深いのはフライシュマン氏です。真偽の確認はとれていま
せんが、米国海軍の研究所に転籍し、常温核融合技術による熱機
関を開発したといわれています。その熱機関は、平均20ワット
の熱出力を17時間連続して出力できるというもので、その再現
性は60%という極めて高いものです。
 常温核融合は、世間的には「ニセ科学」とされてしまっていま
すが、ひとかどの科学者が長年をかけて研究開発したものであり
トンデモ科学などではあり得ないのです。これは、STAP細胞
についてもいえることです。
 フライシュマン氏は、アメリカ国防高等研究計画局/DARP
Aに移っているともいわれています。なぜなら、現在、常温核融
合のメッカはDARPAであるといわれているからです。ここで
あれば、豊富な予算がつくので、十分な研究ができます。現在、
スマホなどで使われている人工知能(AI)などもDARPAで
開発され、実用化されたものです。
 しかし、軍事目的として研究開発されたもののほとんどは、仮
にそれが実用レベルに達しても、それが世に出て、民間で使われ
ることはないといわれます。
 再現実験には相当時間がかかるものです。STAP細胞の再現
もたとえ開発者であっても、数ヶ月レベルの実験で再現できると
は限らないのです。STAP細胞も本当に不正と断定できるのか
は疑問です。       ── [STAP細胞事件/003]

≪画像および関連情報≫
 ●WTC崩壊には小型水爆が使われている!?
  ───────────────────────────
  米国では、水面下では、レーザーによる核融合研究がかなり
  進んでいるようだ。水爆を起爆するのに十分なテラワット級
  の出力が得られているらしいし、レーザー点火の小型化も、
  ローレンス・リバモア研究所などで進められ、既に出来上が
  っている可能性が高い。また、今、サーマイト倒壊説を唱え
  て注目を浴びているBYUのジョーンズ博士の専門は常温核
  融合である。これも、もし完成していれば、純粋水爆の起爆
  に使える。しかも極めてコンパクトな起爆装置で事足りる。
  だが、80年代末から90年代初めにユタ大学やカリフォル
  ニア大学で研究され脚光を浴びはしたが、「いい加減であり
  信用できない」、イロモノの技術だと学会から烙印を押され
  科学界から葬り去られた形になった。だが「イロモノ」「オ
  カルトっぽい怪しい技術」といったレッテル貼りを、メディ
  アや学界の権威がすることによって、常温核融合から衆目を
  引き離したかったのかもしれない。この技術が実現できてい
  るのであれば、それを自分たちだけで独占し、特定の用途に
  応用したほうが、利益になる人たちがいる。常温核融合は水
  爆の起爆にすぐにも応用できる最重要軍事技術である。水爆
  にしろ原爆にしろ、使えば敵だけでなく隣の友好国家も壊滅
  させてしまう。核汚染で長い間地域に入れない。これでは、
  実戦には使えない。常温核融合で純粋水爆を起爆できれば、
  高熱でターゲットを的確に破壊し、かつ発生した中性子が減
  衰する数十時間後には現場に入ることも出来る。
                   http://bit.ly/1KfTTwP
  ───────────────────────────

フライシュマン/ポンズ両教授.jpg
フライシュマン/ポンズ両教授
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2015年05月12日

●「ES細胞について知る必要がある」(EJ第4031号)

 現在、STAP細胞についての大方の認識は、次のようなもの
になっていると思います。
─────────────────────────────
 STAP細胞の正体はES細胞である。何者かが故意に、も
 しくは過失によってES細胞を混入して作成したものであり
 STAP細胞なる万能細胞は存在しない。これは理研の調査
 委員会の結論である。
─────────────────────────────
 疑問に思うのは、理研の調査委員会がES細胞の混入者を特定
していないことです。この研究のメインの研究者である小保方晴
子氏が当然一番疑われますが、あえて混入者の特定を避けている
のは、確証がないからなのか、犯人捜しをすると、理研自体に影
響が及ぶので、あえて避けているものと思います。
 ところで、この事件を理解するには、まず、「ES細胞」につ
いて知らなければなりません。もともと「万能細胞」と呼ばれる
もののおおもとはES細胞であるからです。最初に、ES細胞の
正式な名称を覚える必要があります。
─────────────────────────────
       「胚性幹細胞」 ─→ ES細胞
─────────────────────────────
 卵子と精子が受精すると受精卵ができます。この受精卵は次の
ように分裂していきます。
─────────────────────────────
 受精卵→2細胞期→4細胞期→8細胞期→16細胞期→32細
 胞期→桑実胚(そうじつはい)期→胚盤胞(はいばんほう)期
─────────────────────────────
 最初の分化は、この「桑実胚期」と「胚盤胞期」の間に起こり
次の2つ細胞に分かれるのです。
─────────────────────────────
  1.栄養外胚葉/Trophoectoderm/TE
    ──将来、胎盤などの胚体外組織を作る細胞
  2.内部細胞塊/Inner cell mass/ICМ
    ── 将来、胎児などの胚体組織を作る細胞
─────────────────────────────
 このうち「2」の「内部細胞塊」を体外で培養できるようにし
たものが、ES細胞なのです。胎児を構成するすべての細胞は、
この内部細胞塊、すなわちES細胞から生まれることから、ES
細胞は「万能細胞」と呼ばれるのです。
 1981年に英国のケンブリッチ大学のマーチン・エバンス教
授らがマウスでのES細胞の作成に成功しています。続いて19
98年には、米国のウィスコンシン大学のジェームズ・トムソン
教授らによって、ヒトのES細胞が作成されています。
 2007年のノーベル医学・生理学賞には、マリオ・カペッキ
マーチン・エバンス、オリバー・スミシーズの3氏が受賞してい
ます。それは「ノックアウトマウス」を作った功績によるもので
す。ノックアウトマウスとは何でしょうか。
 ノックアウトマウスとは、遺伝子の働きを調べたり、新薬の効
果を調べたりするさいに利用されるもので、さまざまな医学的な
貢献に寄与するものです。
 例えば、機能のわからない遺伝子が見つかった場合、遺伝子操
作によって、その遺伝子を働かなくしたマウスを作ります。これ
がノックアウトマウスです。ノックアウトというのは、その特定
の遺伝子を働かないようにすることをいうのです。そのうえで、
そのノックアウトマウスと正常なマウスを比較すれば、その機能
の異常が見つかることになります。
 また、高血圧を下げる新薬の実験では、生まれつき高血圧にな
るようなノックアウトマウスを作り、新薬の高血圧への効果の有
無の判定を行うのです。
 このノックアウトマウスを作成するには、ES細胞が不可欠な
のです。2007年のノーベル医学・生理学賞にマーチン・エバ
ンス教授が入っているのはそのためです。
 それでは、ヒトのES細胞の作成に成功したジェームズ・トム
ソン教授は、なぜノーベル賞をもらえないのでしょうか。それは
マウスの場合はよいのですが、ヒトのES細胞を作るには、倫理
的問題があるからです。
 これについて、龍谷大学講師の清水万由子氏は、次のように述
べています。
─────────────────────────────
 ES細胞はヒトの胚を壊して取り出したものからつくるという
点が問題となる。胚はそのまま胎内にあればヒトとなる存在であ
るため、研究のためにヒト胚を壊したり操作を加えるのは許され
ないという反対意見がある。この問題は、胚は生命と言えるのか
という問題から発生しているように思われる。それは、生命であ
るとしたらいかなる条件でも胚を壊すことは許されないのか、生
命でないとしたらどこからが生命なのかという問いに続くことに
なろう。               http://bit.ly/1F7dd1s
─────────────────────────────
 これに対して京都大学の山中伸弥教授は、マウスのしっぽの皮
膚の細胞に4つの遺伝子を入れると、ほとんどの種類の細胞に分
化しうる「多能性」を持つ細胞群が現れたとする内容の論文を発
表したのです。2006年8月のことです。それは、まるでES
細胞そのものであったのです。
 人間の体には、およそ200種類、合計60兆個の細胞がある
といわれますが、それらのおおもとは1個の受精卵なのです。そ
れが何回も細胞分裂を繰り返すなかで、皮膚、肝臓、腸、神経と
いったさまざまな種類の細胞に分化していきます。
 これは幹から枝が、枝から葉ができてくるのと同じですが、山
中教授の発表は、まさに「葉から幹へ」戻れることを証明した結
果になったのです。そのため、世界中に驚きが拡大していったの
です。          ── [STAP細胞事件/004]

≪画像および関連情報≫
 ●「ES細胞、iPS細胞、幹細胞の利用」/日本医師会
  ───────────────────────────
  人の胚(受精卵)の内部細胞塊から、体中の細胞に分化でき
  る多能性を持つ幹細胞=ES細胞(胚性幹細胞)の樹立に成
  功したとの論文発表があったのは、1998年11月のこと
  だった。同時期に同等の多能性を持つ幹細胞(EG細胞)が
  死亡胎児の始原生殖細胞から樹立できたとの論文も発表され
  た。再生医療研究はこのときから始まったといえるが、それ
  はまた重い倫理的課題の始まりでもあった。胚を壊してつく
  るES細胞や、人工妊娠中絶による死亡胎児由来のEG細胞
  の研究は、人の生命の始まりを犠牲にする行為として、キリ
  スト教保守派を中心とした社会勢力から激しい反対を引き起
  こした。日本では欧米ほどの世論の反発はなかったものの、
  政府が倫理指針を設けて研究を管理する慎重な姿勢がとられ
  た。その際、EG細胞の研究は、問題が多いとして承認が見
  送られた。その後2002年に、骨髄の間葉系細胞に多能性
  を持つ幹細胞が含まれることが発見され、いち早く臨床応用
  されるに至った。患者自身の体から採取できるので、医学的
  倫理的ハードルが低かったためである。日本でも閉塞性動脈
  硬化症に対する骨髄幹細胞移植が、先進医療に認められてい
  る。ただ骨髄由来幹細胞はES細胞に比べ増殖能と分化能が
  弱く、治療に用いるには限界があった。
                   http://bit.ly/1FQUqWN
  ───────────────────────────

山中伸弥京都大学教授.jpg
山中 伸弥京都大学教授
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2015年05月13日

●「世界中の研究者が目指す万能細胞」(EJ第4032号)

 2015年5月8日付の朝日新聞は、近畿大発生生物学の岡村
大治講師らの研究グループのES細胞に関する論文が、7日付で
『ネイチャー』誌電子版に掲載されたことを伝えています。
 簡単に論文の内容を説明するとこうなります。ヒトのES細胞
を独自の方法で培養したうえでマウスの子宮に着床した胚を取り
出し、そこに移植したのです。その胚を試験管で1日半培養した
ところ、ヒトES細胞はマウスの細胞と混じり、神経や筋肉など
に成長する細胞に分化することが確認できたというものです。
 これまで、ヒトES細胞をブタなどの動物の胚に入れて人間の
臓器を作ることができれば、高度な再生医療が可能になると期待
されていたのですが、人間とは異なる種の細胞を混ぜた状態で成
長させることはできなかったのです。
 そういう意味で、今回の岡村大治グループの成果は、人間とは
異なる種の細胞を混ぜた状態でも神経や筋肉に成長させる可能性
を示したことは大いに意義があることです。しかし、その取り出
した胚を動物の体内に戻して成長させる技術は確立されていない
のです。これについて岡村氏は次のようにコメントしています。
─────────────────────────────
 人間の細胞が着床後にどのようにして分化していくのかを詳
 しく調べられるので、人間の発生学の研究には大きな前進に
 なる。       ──近畿大発生生物学の岡村大治講師
                  http://bit.ly/1FSFBDd
─────────────────────────────
 このES細胞に対して、山中伸弥教授の開発したiPS細胞は
受精卵には触れていないことが大きな特色です。iPS細胞につ
いても、正式な名称を覚える必要があります。
─────────────────────────────
   iPS細胞 ─→ induced pluripotent stem cell
   人工多能性幹細胞
─────────────────────────────
 「induced」 は直訳すると「誘導された」、「pluripoten」は
「多能性」、「stem cell」 幹細胞という意味です。すなわち、
特定の4種類の遺伝子を人工的に体細胞に導入して作った多能性
を持つ細胞という意味になります。
 ちなみに、なぜ「i」だけ小文字にしたのかというと、ちょう
どそのとき大流行しつつあったアップルの「iPod」のように
広く普及して欲しいという願いを込めた命名だったと山中伸弥氏
自身が打ち明けています。
 1999年12月のことですが、山中伸弥氏は奈良先端科学技
術大学院大学に助教授として採用され、自分の研究室を持ったの
です。思えば、これがiPS細胞の発見に結びつくことになるの
です。自分の研究室を持つということは、上に立つ教授がおらず
自分の裁量で研究を進めることができるのです。
 奈良先端科学技術大学院大学は、学生は他の大学を卒業して大
学院生として入学してくるのです。それらの大学院生は、入学直
後に自分が希望する研究室を選び、所属する仕組みになっている
のです。そのため、各研究室長は自らの研究を紹介し、研究室に
勧誘するプレゼンを行う必要があります。
 当時山中助教授は、まったく無名の研究者に過ぎず、プレゼン
でよほどがんばらないと、学生が一人もいない研究室になってし
まう恐れがあったのです。人手が足りないと研究が進まず、研究
室の存亡にかかわると山中氏は危機感を持ったといいます。この
ときの山中氏の心境を朝日新聞大阪本社科学医療グループは、次
のように書いています。
─────────────────────────────
 「はったりでもよい。夢のある研究を。夢のある大きなテーマ
を掲げれば、だまされてくる学生がいるかもしれんなあ」。
 自らの研究を紹介し、研究室への勧誘をするプレゼンテーショ
ンで、山中さんがぶち上げたのが、体細胞の時計の針を巻き戻し
て、多能性のある細胞をつくる研究テーマだった。
 そのためには、すでに知られていた万能細胞のES細胞を徹底
的に調べるのが近道だ。しかし、ES細胞からさまざまな種類の
細胞に変化させる研究は、すでに世界中で進んでいた。「じゃあ
逆を行く」。すでに分化した体細胞を、ES細胞のような多能性
を持つ細胞に巻き戻そう。山中さんはそう考えた。
          ──朝日新聞大阪本社科学医療グループ編
       『iPS細胞とはなにか/万能細胞研究の現在』
                  講談社/ブルーバックス
─────────────────────────────
 山中氏の必死のプレゼンの結果、3人の学生が山中研究室を選
んで入ってくれたのです。そのなかには、iPS細胞発見に重要
な働きをする高橋和利氏も含まれていたのです。iPS細胞の研
究はここからスタートしたのです。
 山中伸弥氏が、奈良先端科学技術大学院大学で研究室をスター
トさせた2000年の時点では、同じ先端科学の研究者の道を目
指し、ES細胞の研究で輝かしい業績を上げながら、2014年
8月に不可解な自殺を遂げた笹井芳樹氏は、京都大学再生医科学
研究所教授との兼務で理化学研究所発生・再生科学総合研究セン
ター(CDB)のグループディレクターに就任しているのです。
 この2人の研究者は、同じ関西の出身で、日本が世界に誇る前
途を嘱望される優れた研究者だったのです。
─────────────────────────────
     ◎笹井芳樹氏/1962年3月5日生まれ
       1986年3月/京都大学医学部卒業
     ◎山中伸弥氏/1962年9月4日生まれ
       1987年3月/神戸大学医学部卒業
─────────────────────────────
 STAP細胞事件は、このまったく同年齢の研究者の存在と無
関係ではないのです。2000年には笹井芳樹氏は既にES細胞
研究で有名だったのです。 ── [STAP細胞事件/005]

≪画像および関連情報≫
 ●「成功の鍵」/イベント・フォーラム
  ───────────────────────────
   iPS細胞という技術は、2006年にマウスで、そして
  07年に人間でできた比較的新しい技術です。ネズミや人間
  の皮膚細胞、または血液細胞を採ってきて、四つの遺伝子を
  導入すると、1か月くらいして、iPS細胞という元の皮膚
  や血液とは能力も性質も全く違う幹細胞に変わります。ほぼ
  無限に増やせ、体のいろいろな細胞を作ることができます。
  なぜ日本の私たちが成功できたかというと、二つの鍵があっ
  たと思います。一つは、私が37歳の時でしたが、1999
  年に奈良にある先端科学技術大学院大学で主任研究者として
  採用されました。すなわち、30代で独立して自由に研究を
  するチャンスを与えられたこと。もう一つは、日本医療研究
  開発機構(AMED)と同じような文部科学省のファンディ
  ングエージェンシー(資金供与機関)であるJST(科学技
  術振興機構)から年間5000万円、年によっては1億円と
  いう非常に大きな研究費を5年間受けられたことです。大型
  の研究費をいただいて、考え方が変わったことを覚えていま
  す。京都大学iPS細胞研究所は今、二つの方向で医療への
  応用を目指しています。一つはiPS細胞を変化させて作っ
  た細胞や組織を患者に移植して治療する「再生医療」です。
                   http://bit.ly/1Jv6dZW
  ───────────────────────────

「iPS細胞とはなにか」.jpg
「iPS細胞とはなにか」
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2015年05月14日

●「皮膚細胞から万能細胞を作成する」(EJ第4033号)

 2000年の春、奈良先端科学技術大学院大学の助教授に就任
し、はじめて自らの研究室を持った山中伸弥氏は、研究室員を募
集するためのプレゼンテーションで次のよう訴えたのです。
─────────────────────────────
 私の研究室では、すでに分化した体細胞をES細胞のような
 多能性を持つ万能細胞に巻き戻す研究をする。体細胞の時計
 の針を巻き戻してみようじゃないか。
─────────────────────────────
 このとき、山中伸弥助教授がブチ上げた「体細胞の時計の針の
巻き戻し」は、普通では絶対に起こり得ないことなのです。山中
氏はそれが「できる」と宣言したのですから、多くの学生は敬遠
したと思うのです。それがなぜ起こり得ないことなのかについて
考えてみることにします。
 ヒトは約60兆個の細胞から成っています。しかし、その細胞
の元をたどると、1個の細胞である受精卵になります。その受精
卵が分裂を繰り返して、ヒトを構成するあらゆる組織や臓器が作
られるのです。
 このように、生物が発生する過程で、細胞がある目的にあった
形態や機能を持つように変化することを「細胞の分化」といいま
す。そしてその分化した細胞を「体細胞」というのです。
 一度体細胞になった細胞が他の細胞になることはあり得ないこ
とです。つまり、一度心臓になった細胞が腎臓に代わることはな
いのです。しかし、分化した細胞がさらに同じ細胞に分化するこ
とはあります。怪我をして細胞が死んだりしたときに、その修復
のために、同じ細胞に分化することが必要だからです。
 しかし、分化した細胞は数十回分化を繰り返すと、それで「打
ち止め」になってしまうのです。打ち止めになると、その細胞は
死んでしまい、その後の新陳代謝や傷の修復はできないことにな
ります。
 そのため、本来幹細胞は1つなのですが、分化する前の状態で
存在し、他の種類の細胞を生み出すことのできる幹細胞がほんの
少数ですが、体内に存在するのです。
 でも、体内にある幹細胞は、限られた細胞にしか分化すること
はできないのです。ヒトが持つ幹細胞には、赤血球や白血球、血
小板などを作る造血幹細胞、神経細胞を作る神経幹細胞、肝臓の
細胞を作る肝臓幹細胞などにしか分化しないのです。このような
幹細胞のことを「成体幹細胞」と呼んでいます。つまり、ヒトの
体内にはどんな細胞にでもなれる万能幹細胞はないのです。
 「プラナリア」という生物がいます。淡水、海水および湿気の
高い陸上に生息します。この生物の再生能力は凄いのです。
─────────────────────────────
 プラナリアの再生能力は著しく、ナミウズムシの場合、前後に
3つに切れば、頭部からは腹部以降が、尾部側からは頭部が、中
央の断片からは前の切り口から頭部、後ろの切り口から尾部が再
生される。このような各部から残りの部分が正しい方向で再生さ
れるのを、極性があるといい、具体的には何らかの物質の濃度勾
配ではないかとされている。再生が秩序正しく行われるための体
内の濃度勾配を司る遺伝子としてNou-darake遺伝子 が同定され
ている。     ──ウィキペディア http://bit.ly/1chJPbx
─────────────────────────────
 このプラナリアの細胞が「多能性幹細胞」なのです。こういう
細胞をヒトが持っていれば、事故で手や足を切断するようなこと
になっても、元通り再生できることになります。まさに夢の医療
です。しかし、ヒトは多能性幹細胞を持っていないのです。
 ところがその夢の医療の道を開いたのが英国のマーチン・エバ
ンス教授によるES細胞の発見なのです。既に述べたように、受
精卵が何回も分裂して胎児になるのですが、胎児になるまでの細
胞の塊のことを「胚」といいます。
 エバンス教授は、その胚の内部の細胞を取り出して培養し、E
S細胞を作ったのです。ES細胞は多能性幹細胞であり、多能性
を持つのです。マウスのES細胞は、マウスのあらゆる細胞にな
ることができますし、ヒトのES細胞はヒトのあらゆる細胞にな
る能力を持つ万能細胞なのです。
 ES細胞からさまざまな種類の細胞に変化させる研究は、世界
中の科学者が取り組んでおり、この分野の先駆者は世界中に大勢
いるのです。山中氏が自分の研究室に3人の学生を集めた時点で
日本では笹井芳樹氏が、既にES細胞の分野で数々の業績を上げ
ていたのです。
 しかし、ES細胞は、それをヒトに応用するには受精卵を壊さ
なければならず、そこに倫理上大きなかべがあることは既に述べ
た通りです。そこで山中氏は、最初からES細胞という選択肢を
捨てて多能性細胞の研究に臨んだのです。具体的にいうと、皮膚
細胞に何らかの処置を施して万能細胞を作る試みです。皮膚は受
精卵から分裂を繰り返したすえの体細胞です。この体細胞から時
計の針を巻き戻すように逆行しようというわけです。そんなこと
ができるのでしょうか。
 それは絶対にできないとはいえないのです。受精卵から分化し
た細胞は、すべて受精卵と同一のDNAを持っています。つまり
皮膚も、どんな細胞にでも変化できるDNAを持っているわけで
す。しかし、分化して生体のある機能を受け持つようになった細
胞は、他の細胞にはなれないのです。なれるDNAは持っている
のですが、封印されているわけです。
 それは当然のことです。たとえば、心筋に分化した細胞が突然
皮膚細胞になってしまったら、どうなるでしょうか。そんなこと
が起きれば、生体の全システムは崩壊し、個体の生存は不可能に
なります。したがって、そういうことが起こらないようにDNA
には鍵がかけられ、厳重に管理されているのです。
 しかがって、そのDNAの鍵を外すことに成功すれば、理屈上
は万能細胞を作ることは不可能ではないのです。
             ── [STAP細胞事件/006]

≪画像および関連情報≫
 ●万能細胞による新しいバイオ産業の始まり
  ───────────────────────────
  幹細胞ビジネスを進めていくなか、日々、多くの方々と意見
  交換し、将来のバイオ産業像について語る機会も多い。ただ
  残念ながら、ポジティブな将来像を持った方は少なく、ネガ
  ティブな見方、危機感を抱いている方が圧倒的に多い。21
  世紀の次世代産業として、IT、バイオ、ナノの3分野が強
  調されて久しい。最近では、グリーン・イノベーションとラ
  イフ・イノベーションが推進されているように、バイオやラ
  イフサイエンスは次世代産業の有力候補である。それにもか
  かわらず、多くの方がネガティブな印象を持っているのはな
  ぜであろうか。本稿において普段感じている問題点を整理す
  ることで、日本のバイオ産業の将来に少しでも役立てて欲し
  いと願っている。まず、そもそも直感的に、今後日本でアム
  ジェンやジェネンテックと肩を並べる世界的なバイオテック
  企業が日本から発進するというイメージを持てる方が果たし
  てどれぐらいいるだろうか。また、バイオテック企業の経営
  者は、自分の会社がそのように成長すると思えるだろうか。
  恐らく、大方の答えはノーであろう。両社とも、当時発明さ
  れたばかりの遺伝子組み換え技術を活用し、いわゆるバイオ
  医薬品の開発に成功、世界的な企業に成長した。しかし、日
  本の製薬企業の多くはごく最近に至るまでバイオ医薬品には
  無頓着であり、彼我の差は大きく開いてしまっている。この
  ように、新産業を興すためには画期的な製品や新しいビジネ
  スモデルが求められ、それをつくり出せるかが大きく勝敗を
  分けている。           http://bit.ly/1H5dBen
  ───────────────────────────

マーチン・エバンズ教授.jpg
マーチン・エバンズ教授
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2015年05月15日

●「開発のヒントになった2つの実験」(EJ第4034号)

 「皮膚細胞から万能細胞を作る」──奈良先端科学技術大学院
大学助教授時代の山中伸弥氏は、これが不可能なことではないと
いうヒントを掴んでいたのです。ヒントは2つあったのです。
─────────────────────────────
     1.ジョン・ガードン博士のクローン実験
     2.多田高准教授のES細胞を使った実験
─────────────────────────────
 「1」のジョン・ガードン博士の実験について考えます。
 「分化した細胞は受精卵と同一のDNAを持っている」──昨
日のEJでご紹介した細胞生物学の基本的な考え方ですが、19
50年代のはじめには、細胞生物学者たちは分化後の細胞が分化
前のDNAを維持するのは難しいのではないかと疑いをもってい
たのです。しかし、ガードン博士は、実験によってそれが正しい
ことを証明してみせたのです。
 どんな実験かというと、アフリカツメガエルのオタマジャクシ
の腸の細胞から核を取り出し、そこにあらかじめ核を抜いておい
た卵子を入れたところ、その卵子の一部がカエルに成長すること
を明らかにしたのです。
 これは、核を提供したカエルと同じDNAを持つ脊椎動物で初
めての「クローンカエル」の誕生だったのです。この実験は19
50年代から60年代にかけて行われているのです。
 もしガードン博士のこの実験がなければ、1997年の英国ロ
スリン研究所のイアン・ウィルムット教授らが発表したクローン
羊の「ドリー」もなかったはずです。
 イアン・ウィルムット教授らは、羊の乳腺の細胞から核を取り
出し、あらかじめ核を抜いておいた卵子に移植したのです。そし
てこれを代理母になる羊の子宮に入れることで、乳腺の細胞を取
り出した羊と遺伝的に同じクローン羊を誕生させたのです。そう
いう功績で、ガードン博士は、山中伸弥教授と一緒に2012年
のノーベル生理学・医学賞を受賞しているのです。
 続いて「2」の京都大学の多田高准教授の実験です。
 多田高准教授は、ES細胞を再生医療に使えないかと考えてい
たのです。しかし、ES細胞から治療に必要な組織を作っても、
患者にとっては受精卵を提供した他人の細胞なので、移植すると
拒絶反応が起きる恐れがあったのです。
 多田准教授は、マウスのリンパ球などの体細胞とES細胞に電
気ショックを与えて融合させたところ、体細胞が万能性を獲得し
たといいます。多田准教授はそのことを論文にまとめ、2001
年に発表したのです。これが多田准教授の実験の成果です。山中
氏はこの論文を読んで「これだ!」と思ったというのです。
 これまで成功したクローン──ガードン博士のアフリカツメガ
エルのクローンも、ロスリン研究所のドリー羊のクローンも、い
ずれも体細胞の核に卵子を入れて誕生させています。したがって
体細胞を万能細胞に初期化するパワーは卵子にあると多くの学者
は考えていたのです。
 しかし、多田氏の場合は卵子を使っていないのです。というこ
とは、体細胞を初期化するパワーはES細胞にあって、その因子
が体細胞の核に移ったのではないかと山中氏は考えたのです。
 それならば、ES細胞のなかにあるそれらの因子を発見するこ
とができれば、体細胞を初期化できるのではないかと考えたので
す。そういう意味において山中氏は「多田さんからは重要なヒン
トをいただいた」とよく口にするそうです。
 その多田高准教授は、山中伸弥教授を「情熱の人」と評し、次
のように述べています。
─────────────────────────────
 そのとき、最もできるはずのないという手法で登ろうとしたの
が、山中さんでした。できるはずがないと言われても、説得して
やり続ける情熱が科学には重要です。山中さんの情熱が、だれよ
りも勝った。そして運をつかむ才覚があった。
          ──朝日新聞大阪本社科学医療グループ編
       『iPS細胞とはなにか/万能細胞研究の現在』
                  講談社/ブルーバックス
─────────────────────────────
 やるべきことは、ES細胞のなかにある体細胞を初期化する因
子を突き止めることです。しかし、これは容易ならざる作業なの
です。なにしろ、ヒトの遺伝子は2万2000個ほどあるといわ
れているからです。
 ところが、山中教授は運の強い人です。ちょうど時を同じくし
て、理化学研究所ゲノム科学総合研究センターがマウスの遺伝子
のデータベースを公開したのです。山中チームはこのデータベー
スを利用して、遺伝子の絞り込みに着手したのです。もし、この
データーベースが公開されなかったら、遺伝子の絞り込みはさら
に時間がかかったはずです。
 山中チームは、ES細胞で特徴的に動く遺伝子を約100個に
絞り込んだのです。そしてさらに動物実験を重ねて、可能性のあ
る遺伝子を24個まで絞り込んでいます。ここまでに要した期間
約4年、もしデータベースがなければ、ゆうに10年以上かかっ
ていたはずです。
 問題は24の遺伝子のなかに体細胞を初期化する遺伝子がある
かどうかです。それを確かめるには24個の遺伝子を全部入れて
みることです。この実験をやってみると、間違いなくES細胞の
ような塊があらわれたのです。これは、まさに奇跡としかいえな
いような出来事だったと山中氏は述懐しています。
 2004年10月、山中氏は京都大学再生医科学研究所教授に
就任します。高橋和利氏は講師として山中教授をサポートするよ
うになったのです。
 この時点で問題は、24個の遺伝子が全部必要なのか、それと
も、もっと少なくていいのかということであったのです。これは
高橋氏のアイデアで解決し、問題の遺伝子は遂に4個に絞り込む
ことができたのです。   ── [STAP細胞事件/007]

≪画像および関連情報≫
 ●アメリカで教わった「V」と「W」/山中伸弥教授
  ───────────────────────────
   研究者に転向するためにアメリカに渡りました。そこで研
  究者としてのトレーニングを受けたのです。受け入れてくれ
  たのは、サンフランシスコのグラッドストーン・インスティ
  テュートでした。そこで、トーマス・イネラリティ先生の指
  導のもと、ポスドクとしてトレーニングされました。そこで
  のもう一つの大切な出会いは、当時の研究所所長ロバート・
  マーレー先生との出会いです。そこでわたしは生涯モットー
  とすべき考えを学んだんです。
   あるとき、ボブ(ロバートの愛称)がわたしたち若い研究
  者を集めて、「大切なのはVWだ」と述べました。当時も今
  も彼はフォルクスワーゲン(VWと略す)に乗っていて、わ
  たしは今もそうですが当時もトヨタに乗っていたので「ああ
  車からダメだなぁ」と思ったんですが、もちろんこれは車の
  VWのことではありません。これは「ビジョン(Vision)」
  と「ハードワーク(Hard Work)」のことです。
   ハードワークについては、わたしは誰にも負けないくらい
  一生懸命に働いていたという自負がありました。でも、ボブ
  から「Shinya, what’s your vision?」と尋ねられたとき、
  「いい論文を書くため」とか「いい職につきたいから」と答
  えたところ「伸弥、それはビジョンじゃない。ゴールだ。本
  当のビジョンは何だ?どうして医者をやめてアメリカに来た
  んだ?」と言われて初めて、あ、自分が研究者になったのは
  論文を書くためではなかったんだと思い出しました。
                   http://bit.ly/1cCZeUu
  ───────────────────────────

ジョン・ガードン博士.jpg
ジョン・ガードン博士
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2015年05月18日

●「なぜ4つの遺伝子に特定できたか」(EJ第4035号)

 山中伸弥研究チームは、細胞の初期化を起こすとみられる遺伝
子を24個に絞り込んだのです。この24個の遺伝子と皮膚細胞
を培養すると、ES細胞のような細胞の塊が出現したのです。
 したがって、この24個のなかに細胞の初期化を起こすものが
入っていることは間違いないのです。問題は、それが1個なのか
8個なのか、20個なのかは分からないことです。こういう問題
を解くには、順列・組み合わせの数学を使います。24個のなか
の「r個」の組み合わせは次の式で解くことができます。
─────────────────────────────
  nCr ・・ n個のなかのr個の組み合わせを求める
─────────────────────────────
 例えばこんな問題があるとします。「10人の人がいて、この
なかから8人のグループを作りたい。何通りの作り方があるか」
です。どのように解けばよいでしょうか。
 このようなときは、nに10、rに8を入れ、「10C8」 を解
けばよいのです。そうすると、答えは45通りになります。
 山中研究チームの場合、nに24を入れ、1〜24までのrに
対する組み合わせを求めると1677万7215になるのです。
この組み合わせをすべてテストすると、毎日実験しても実に35
年もかかってしまう計算になります。
 この難問をいともあっさりと解決したのが高橋和利氏です。こ
れについて、東京大学名誉教授の黒木登志夫氏は、iPSについ
て書いた近著で次のように述べています。
─────────────────────────────
 実験を担当していた大学院生の高橋和則は、スマートな方法を
考え出した。24個から1つずつ除いたセットを作り、それをマ
ウスの細胞に感染させたのである。もし、本当に必要な遺伝子が
入っていなければ、初期化は起こらないはずである。
                     ──黒木登志夫著
 『iPS細胞/不可能を可能にした細胞』/中公新書2314
─────────────────────────────
 添付ファイルのグラフをご覧ください。これは、24個の遺伝
子から1遺伝子を除いたグループを作り、皮膚細胞との培養実験
を行った結果、ナンバー14、15、20の遺伝子を除いた組み
合わせからは初期化細胞ができなかったのです。なお、22を除
いた組み合わせでは、一応はできたものの、不完全なものしかで
きなかったといいます。
 そこで、この22を含めた遺伝子は次の4つであり、この4つ
をセットに培養することで、ES細胞のような初期化細胞ができ
ることを発見したのです。現在ではこれら4つの遺伝子は「山中
ファクター」と呼ばれています。
─────────────────────────────
       1.Oct4 (ナンバー14)
       2.Sox2 (ナンバー15)
       3.KIf4 (ナンバー20)
       4.c-Myc(ナンバー22)
─────────────────────────────
 山中ファクターは、それぞれの遺伝子の頭文字をとって、「O
SKM」とも呼ばれていますが、それぞれの遺伝子について簡単
に説明しておきます。
 もともとOct4とSox2は、ES細胞の多様性を維持する
ための遺伝子として知られていたのです。しかし、残りの2つの
遺伝子はがんに関係のある遺伝子であり、c-Myc はがん遺伝
子そのものです。
 本来がんは細胞の増殖や分化と深いかかわりがあり、その遺伝
子が入っても不思議はないのですが、多くの学者はこの2つの遺
伝子については予測できなかったといいます。
 山中教授によると、c-Myc については他のグループから報
告があり、KIf4については高橋和利氏も最初は候補遺伝子に
含めていなかったのですが、大学院生の徳澤佳美氏がその重要性
を指摘したといわれています。
 これら4つの遺伝子について、黒木登志夫教授は、次のように
述べています。
─────────────────────────────
 これらの遺伝子に共通しているのは、いずれも転写因子を作る
遺伝子であることだ。転写因子とは、遺伝子の上流に結合し、そ
の遺伝子を活性化し、DNAからRNAに「転写」させるような
タンパクをいう。転写因子がないと、遺伝子は発現してこない。
つまり、山中ファクターの4遺伝子は、その後に起きるであろう
連続的なプロセスの引き金役なのだ。そのプロセスはこれからの
宿題である。         ──黒木登志夫著の前掲書より
─────────────────────────────
 ES細胞を軸として、世界中の学者があらゆる角度から万能細
胞に挑戦してきましたが、そのなかで山中伸弥研究チームが一番
実現性から遠いところにいたはずなのです。
 しかし、iPS細胞が発表されて、似たような研究を進めてき
た学者が、一番ショックを受けたのは、それがたった4つの遺伝
子から作られるということだったといいます。「何でそんなに簡
単なのか」というわけです。
 それだけに山中教授は、4つの遺伝子のことは秘中の秘にして
それが漏れないよう慎重にも慎重を期したといいます。研究室で
も、公開ラボを中止し、実際に研究を担当した山中教授と2人の
大学院生、高橋和利氏と徳澤佳美氏の3人以外は誰も知らない事
実だったのです。このシンプルさでは、誰かが卒業論文として発
表しても何ら不思議はなかったからです。
 2006年3月にカナダで行われた幹細胞のシンポジウムで山
中教授は講演を行っていますが、その講演の質疑応答でも山中教
授は、4つの遺伝子のうち、Oct4しか明らかにしていないの
です。ちょっとしたことで、先を越されてしまうのが、この世界
の厳しいところです。   ── [STAP細胞事件/008]

≪画像および関連情報≫
 ●山中伸弥教授/新経済連盟イノベーション大賞受賞!
  ───────────────────────────
  楽天の三木谷浩史氏が代表理事を務める新経済連盟は、日本
  におけるイノベーションの創出を促進することを目的に、独
  創的・先進的なイノベーションにより経済・社会に貢献した
  人物を表彰する「新経済連盟イノベーション大賞」を創設。
  その第1回受賞者に京都大学iPS細胞研究所所長で、20
  12年にノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授を
  選出した。2014年7月8日には都内において授賞セレモ
  ニーが行われ、山中教授が受賞を記念してスピーチを行って
  いる。発表内容によると、山中教授がイノベーション大賞を
  受賞した理由としては、iPS細胞という科学技術のイノベ
  ーションそのものだけでなく、それを実用化させるためのエ
  コシステム構築の推進や、実用化に向けた様々な活動のマネ
  ジメントに対する評価も挙げられている。日本の研究環境を
  変えるために尽力している山中教授のスピーチは、「アイデ
  アだけでは世の中を変えられない」「イノベーションは社会
  の理解と様々な支援があって初めて、世の中に革新をもたら
  す」ということを示唆している。これは学術分野だけでなく
  企業社会においても同じことが言えるのではないだろうか。
                  http://huff.to/1KQNw3o
  ───────────────────────────
 ●グラフ出典/──黒木登志夫著の前掲書より

24候補遺伝子から4つに絞り込む.jpg
24候補遺伝子から4つに絞り込む
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2015年05月19日

●「山中論文と黄禹錫の論文捏造疑惑」(EJ第4036号)

 iPS細胞が間違いなく作れると確信したとき、山中伸弥教授
が悩んだのは、いつどこで発表すべきかという判断です。科学の
発見は論文として発表されたときに初めて認められるのです。そ
のためには、講演もしなければならないし、しかるべき権威ある
科学雑誌に論文を掲載する必要があるのです。
 結局山中教授が選んだのは、米コロラド州のキーストン・シン
ポジウムであったのです。2006年3月28日のことです。そ
のとき、一番前の席に生命科学分野で最も権威のある「セル」誌
の編集者が座っていましたが、「ネイチャー」誌の編集者は会場
にはいなかったといいます。
 「セル(Cell)」誌は、米国のセル出版が発行している学術雑
誌で、1974年に創刊されています。医学・生化学・分子生物
学など、ライフサイエンス分野における世界最高峰の学術雑誌と
いわれています。
 山中教授は、商業性よりもサイエンスを大事にするセル誌に論
文を発表することに決めていたのです。山中氏はこのキーストン
のシンポジウムでも、4つの遺伝子のうちOct4しか明らかに
せず、あと3つは何だろうということが学者の間で大きな話題に
なったのです。
 論文を科学雑誌に掲載する場合、その分野の専門家に査読者に
なってもらいます。これを「ピア・レビュー」と呼んでいます。
iPS細胞の論文の審査日程は次のようになっています。
─────────────────────────────
   論文受付         2006年4月24日
   審査意見による修正         6月18日
   採択                7月20日
   オンライン発表           8月10日
                     ──黒木登志夫著
 『iPS細胞/不可能を可能にした細胞』/中公新書2314
─────────────────────────────
 投稿からわずか3ヶ月の速さです。これほど革命的な論文でこ
の速さは例外的です。山中教授は慎重に時期を選び、講演にセル
誌の編集者を招くという巧みな戦略でiPS細胞においてプライ
オリティを獲得したのには理由があったのです。
 それは、iPS細胞の論文の発表前後に起きた韓国・ソウル大
学の生物学者で獣医でもある黄禹錫(ファン・ウソク)教授によ
る幹細胞に関する論文捏造事件です。これよって、幹細胞研究に
関して懐疑的な雰囲気ができており、慎重に時期を選ばないと相
手にされない恐れがあったのです。この事件についてふれる必要
があると思います。
 黄禹錫教授らは2004年2月、世界に先駆けてヒトクローン
胚からES細胞を作る実験に成功したと科学雑誌「サイエンス」
誌電子版に発表。卵子242個を使い、1株のES細胞を作った
ことを公表したのです。
 具体的にいうと、核を取り除いたヒトの卵子に、ヒトの皮膚細
胞の核を移植することにより、その胚からヒトES細胞を樹立し
たというのです。
 続いて、2005年5月には再び「サイエンス」誌電子版に患
者のクローン胚からのES細胞作りにも成功したと発表。こちら
は卵子185個を使い、11株のES細胞を作り、その効率の良
さを強調したのです。
 この発表に狂喜した韓国政府は、黄教授に「最高科学者」の称
号を授与し、韓国初の生理学または医学賞でのノーベル賞受賞を
夢見たのです。韓国は、2000年に金大中元大統領がノーベル
平和賞を獲得しただけだったので、受賞への期待は大きく盛り上
がったのです。
 しかし、2005年末からデータの捏造や、実験用の卵子売買
などの数々の疑惑が噴出したのです。そこで、ソウル大学では、
同年12月12日に調査委員会を設立し、実態解明に乗り出すと
発表したのです。そして2006年1月10日、調査に基づく次
の発表を行ったのです。
─────────────────────────────
 黄禹錫教授らがヒトクローン胚からつくったとしたES細胞は
存在せず、データは捏造されていた。
          ──朝日新聞大阪本社科学医療グループ編
       『iPS細胞とはなにか/万能細胞研究の現在』
                  講談社/ブルーバックス
─────────────────────────────
 黄教授は、2006年3月にソウル大学を懲戒免職され、最高
科学者の称号も取り消されたのです。これに追い打ちをかけるよ
うに、研究費を流用したり、不法に実験用の卵子の提供を受けた
りしたとして、業務上横領や生命倫理法違反の罪に問われ、ソウ
ル中央地裁に起訴されたのです。そして、ソウル地裁は2009
年10月に黄氏に対し、懲役2年執行猶予3年の刑をいい渡して
います。これが黄禹錫論文捏造事件のいきさつです。
 これについて、2005年12月24日付、産経新聞は次の報
道を行っています。「やった、やった!」あるいは、「ウリナラ
(わが国)最高!」的な世論の愛国主義が複合的に重なった結果
であると分析しています。
─────────────────────────────
 ◎タイトル:「韓国、過剰な「愛国」暗転」のコラム
  ≪事件の背景≫
   1.韓国でよく見られる成果や業績を急ぐあまりの拙速
   2.国際的な配慮や慎重さを欠いた「やっちゃえ」主義
   3.政権の業績にしたい韓国政府の過剰期待と過剰支援
                  http://bit.ly/1bEzRdj
─────────────────────────────
 山中教授は、この事件の直後であるだけに、論文の提出のタイ
ミングを慎重に探って、それで発表に踏み切ったのです。
             ── [STAP細胞事件/009]

≪画像および関連情報≫
 ●黄禹錫博士の近況/復活を伝える報道
  ───────────────────────────
  2014年に入り、韓国の論文捏造事件の主役・黄禹錫(フ
  ァンウソク)元ソウル大学教授の報道が相次いでいる。ネイ
  チャー2014年1月14日号の記事のタイトルは「クロー
  ニング・カムバック」、サイエンス1月17日号の記事は、
  「ザ・セカンド・アクト(第二幕)」。いずれも、青い手術
  着姿の近影を載せ、一度は表舞台を去った博士の復活を伝え
  ている。ネイチャーに掲載された年表は「上昇、転落、そし
  て上昇の黄禹錫」の題がついている。ソウル大学教授だった
  博士は、2004年にヒトクローン胚から胚性幹(ES)細
  胞をつくったとサイエンスに発表。05年5月、さらに11
  の細胞株をつくったと主張する第二論文を発表した。第一論
  文が出たあと、大統領から最高勲章である「創造章」が与え
  られ、博士の特別記念切手も発行された。第二論文のあとに
  は「第一号最高科学者」に選定された。ソウル大学内では黄
  禹錫研究所の建設が始まり、「世界ES細胞ハブ」も大学病
  院内にできた。しかし、卵子の入手方法が倫理的でないとい
  う疑念が欧米の研究者の間に広まっていった。通常のES細
  胞は体外受精で使われなかった受精卵から作る。ヒトクロー
  ン胚は第三者の細胞核を未受精卵の核に入れ替えて作るので
  未受精卵を入手する必要がある。その未受精卵をどうやって
  手に入れるのか。自分に直接のメリットがないのに卵子を取
  り出して提供する女性がたくさんいるとは考えにくい。謝礼
  欲しさに提供するのは、倫理にもとるというのが欧米の常識
  だった。遂に06年11月に共同研究者のジェラルド・シャ
  ッテン米ピッツバーグ大教授が博士との決別を宣言する。
                   http://bit.ly/1JO7ZFy
  ───────────────────────────

元ソウル大学黄禹錫教授.jpg
元ソウル大学黄禹錫教授
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2015年05月20日

●「ヒトiPS細胞作成をめぐる競争」(EJ第4037号)

 STAP細胞事件の本質を明らかにするため、もう少しiPS
細胞や山中伸弥教授のことについて述べる必要があります。
 山中教授が2006年8月に「セル」誌にマウスでのiPS細
胞の論文を発表するや、その時点から、次の目標であるヒトiP
S細胞作成の競争が世界中で始まったのです。何しろ山中レシピ
はシンプルであり、論文発表を機に、世界中のこの分野の学者は
一斉にヒトiPS細胞の作成に取り組んだのです。
 そもそもマウスとヒトの細胞はどう違うのでしょうか。素人に
はわかりにくいことですが、東京大学名誉教授の黒木登志夫氏は
これについて次のように説明しています。これによって大体のイ
メージはわかると思います。
─────────────────────────────
 ヒトの細胞は、マウスの細胞とは、ずいぶん違っている。私も
ヒトの細胞を試験管内でがん化させるべく実験を重ねたがついに
成功しなかった。iPS細胞でも、マウス細胞を単にヒトに置き
換えればよいということではなかった。
 まず、マウスとヒトではES細胞の形も培養方法も異なる。マ
ウスのES細胞は、お椀をひっくり返したように盛り上がってい
るが、ヒトのES細胞は、せんべいのように薄べったい。その上
マウスとヒトのiPS細胞では、細胞培養のための培地成分が違
う。(一部略)その上、ヒト細胞には遺伝子が導入できにくかっ
た。マウスでは80パーセント以上の細胞にレトロウイルスに組
み込んだ遺伝子を導入できたのに、ヒト細胞では20パーセント
くらいしか入らない。           ──黒木登志夫著
 『iPS細胞/不可能を可能にした細胞』/中公新書2314
─────────────────────────────
 ヒトiPS細胞が作成されると、病気の治療やそのメカニズム
の解明に応用でき、医療の革命を起こすことが可能になります。
したがって、この分野の競合は熾烈を極めたのです。もちろん、
山中教授は2005年からヒトiPS細胞作成の準備を進めてき
ており、そこに抜かりはなかったのです。ただ、問題はヒト細胞
を作るとなると、日本では倫理委員会への申請手続きなどが煩雑
で時間がかかるので、商業的に確立された細胞を米国から輸入し
てこの問題をクリアしたのです。
 このようにして2007年秋ごろには、山中研究室では、ヒト
iPS細胞についても実験データが整い、論文を発表できる準備
ができていたのです。
 ところが、山中教授は出張先の米国で、どこかの研究チームが
ヒトiPS細胞に成功し、論文準備を進めているという情報を得
たのです。そこで、山中教授は急遽帰国の飛行機のなかで一気に
論文を完成させて「セル」誌に投稿。「セル」誌はこの論文をわ
ずか3週間の超スピード審査で、インターネット上で発表したの
です。2007年11月20日(火)のことです。
 実は、ヒトiPS細胞の作成に成功し、論文発表を進めていた
のは、世界初のヒトES細胞の作成者であるウイスコンシン大学
のジェームス・トムソン教授のチームだったのです。強敵です。
 トムソン論文は、2007年11月22日(木)の「サイエン
ス」誌のオンライン版で発表する予定だったのですが、20日に
「セル」誌で山中論文が発表されるという情報を掴むや毎週木曜
日の本来の発刊日を2日前倒しし、山中論文と同じ20日(火)
に発表したのです。雑誌社が発行日を変更するのは極めて異例の
ことであり、いかにこの分野での競合が熾烈なものであるかを物
語っています。
 しかし、トムソン教授は、山中教授に次のメールを送り、自身
の敗北を認めています。
─────────────────────────────
 競争に負けたのは残念だ。しかし、負けた相手がシンヤで良
 かった。         ──ジェームス・トムソン教授
              ──黒木登志夫著の前掲書より
─────────────────────────────
 ちなみに、トムソン教授が使った4つの遺伝子は、山中ファク
ターと同一ではないのです。2つは同一でしたが、残りの2つは
山中教授とは異なるアプローチで、ヒトiPS細胞の作成に成功
しているのです。
─────────────────────────────
       1. Oct4
       2. Sox2
       3.Nanog →トムソンチームが発見
       4.Lin28 →トムソンチームが発見
─────────────────────────────
 これによりこの時点で、山中伸弥教授のノーベル賞受賞はほぼ
確定したといってよいのです。
 山中伸弥教授のこの一連の快挙に当時の福田康夫首相は、発表
から1週間後の2007年11月28日に科学政策の司令塔であ
る総合科技術会議を招集し、再生医療を進めるための研究環境づ
くりについて次のように指示しています。
─────────────────────────────
 再生医療の実用化に向け、臨床試験の進め方など、この研究を
円滑に進めるための環境づくりを早急に進めていただきたい。
                     ──福田康夫首相
─────────────────────────────
 この福田首相の指示を受けて、2008年度予算案の復活折衝
で、文部科学省のiPS細胞研究に約22億円が投入されること
になったのです。2007年度が約2億7000万円だったこと
を考えると、約8倍の増額になったのです。
 文科省は、2008年2月にiPS細胞研究の拠点として、京
都大学、東京大学、慶応義塾大学、理化学研究所を選定していま
す。そして3月にはこれらの施設を核に、20を超す大学や公的
研究機関が連携するネットワークが立ち上がったのです。
             ── [STAP細胞事件/010]

≪画像および関連情報≫
 ●iPS細胞の発見は人類にとって「福音」となるのか?
  ───────────────────────────
  2012年10月、山中教授にノーベル医学生理学賞授与の
  発表があった。同時受賞をしたのは、英国人のジョン・ガー
  ドン氏。1962年にオタマジャクシを使って最初のクロー
  ン(遺伝子が同じ生命体)を作りだした研究者で、今年79
  歳だ。山中氏は50歳。ノーベル賞受賞者としては最年少に
  近いのではないだろうか。山中教授の受賞を聞いて、筆者は
  ジェームズ・トムソン教授(ウィスコンシン大学)が同時受
  賞しなかったのを意外に思った。トムソン教授は98年に、
  ヒトES細胞の開発に成功し、幹細胞の研究で先人的役割を
  果たしてきた。両教授はそれぞれ、2007年11月に専門
  誌上に、人間の受精卵を使わずに皮膚細胞からiPS細胞が
  できると発表して世界を驚かせた。米国の新聞は、山中氏の
  受賞を自国の受賞のように喜び称賛している。理由の一つに
  は同氏が、93年からカリフォルニア大学サンフランシスコ
  校グラッドストーン研究所の研究員であったことが挙げられ
  る。山中氏は大阪市立大学で博士号を取得後、米国で研究を
  展開するためにいくつもの大学や研究所に研究員としての願
  書を提出したが、受け入れてくれたのはグラッドストーン研
  究所だけであった。グラッドストーンでの山中氏の研究課題
  は、遺伝子移植でクローン再生したマウスを使ってコレステ
  ロールの研究・実験することだった。この実験は十分な成果
  を出せなかったが、その時の経験を幹細胞の研究に投入して
  いった。             http://bit.ly/1A6RZ1C
  ───────────────────────────

黒木登志夫教授の本.jpg
黒木 登志夫教授の本
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2015年05月21日

●「対照的運命/笹井芳樹と山中伸弥」(EJ第4038号)

 考えてみると不思議な話です。山中伸弥氏は1962年に大阪
で生まれ、現在は52歳です。英国のジョン・ガードン博士が学
位論文を発表したのが同じ1962年なのです。5月15日付の
EJ第4034号でご紹介したアフリカツメガエルのクローンを
作った細胞生物学者で、現在78歳です。
 まさか、1962年に大阪で生まれた男の子と、カエルの実験
で学位を取得した英国人が、50年後にノーベル賞を分かち合う
ことになるとは、本人たちはもちろんのこと、一体誰が想像した
でしょうか。誠に不思議な縁といえます。
 似たような話があるのです。ハンス・シュペーマンというドイ
ツの発生学者(1869〜1941)の話です。動物発生のごく
初期の段階の細胞の塊を「胚」といいますが、シュペーマンはそ
こに二次胚を誘導し、体のそれぞれの部分に分化させる司令塔の
役割をする謎の物質があると指摘し、その功績によって1935
年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。
 しかし、シュペーマンはその謎の物質を生み出しているものが
何であるか自分の生涯において突き止めることはできなかったの
です。そのためその謎の物質を生み出すものは、それを指摘した
シュペーマンの名前をとって、「シュペーマン・オーガナイザー
(形成体)」と呼ばれているのです。
 その謎の物質の正体を突き止めたのは日本人の研究者で、その
名は笹井芳樹氏──STAP細胞事件の主役の一人です。笹井氏
は1994年に米カルフォルニア大学ロサンゼルス校に医学部客
員研究員としての留学中に「自分が謎の物質を特定する」と宣言
し、その言葉通りそのメカニズムを解明するとともに、シュペー
マン・オーガナイザーが生み出している物資は「コーディン」と
いう名のタンパク質であることを発見しています。まさに天才を
絵に描いたような男であり、これによって停滞が続いた発生学は
笹井の発見で息を吹き返したというのです。その笹井芳樹氏も、
山中伸弥氏と同じ1962年生まれなのです。
 シュペーマン・オーガナイザーは、初期胚の背側部分に存在す
る小さな組織で、これから分泌されるコーディンなどの司令因子
の濃度勾配によって、分化する組織が決まるというのです。濃度
が高いところでは脳など背側の組織が、濃度が低いところでは造
血組織など腹側の組織が形成されるというのです。
 1913年6月に理化学研究所は、このコーディンに関係する
次の研究成果を公表しています。
─────────────────────────────
 ◎動物の体を相似形にするメカニズムを発見/「大きなカエ
  ルも小さなカエルも同じ形になる」という長年の謎を解明
                  http://bit.ly/1HldQCf
─────────────────────────────
 山中伸弥氏と笹井芳樹氏の関係を整理しておきます。山中伸弥
教授というと、京都大学のイメージが強いですが、出身は神戸大
学医学部の出身(1987年3月)であり、笹井芳樹氏が京都大
学医学部の出身(1986年3月)なのです。同年齢であり、同
じ関西の出身ということで、生い立ちはよく似ています。
 実は、笹井氏が謎の物質コーディンを発見するため、カルフォ
ルニア大学に客員研究員として渡米していた時期に、山中氏も同
じカルフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のグラッ
ドストーン研究所に博士後研究員として留学していたのです。
 しかし、その時点では笹井氏が既に天才といわれていたのに対
し、山中氏の場合は研究員としてはスタート時点に立ったばかり
であり、2人の間には大きな差が開いていたのです。
 山中氏は整形外科医を目指したものの、その技量には問題があ
り、普通なら10分で終わる手術が1時間も2時間もかかるとい
う有様だったのです。周囲からはちゃんと名前を呼んでもらえず
居ると邪魔という意味で「ジャマナカ」といわれたのです。
 「自分は臨床医に向いていないのじゃないか」と考えた山中氏
は、基礎研究で身を立てる決心をし、大阪市立大学大学院医学研
究科薬理学専攻博士課程において基礎研究をはじめたのです。博
士号を取得し、どこかの研究室で「ポスドク」として一定期間研
究をすることができるからです。ポスドクとは「博士後研究員」
という意味です。
 山中氏は研究者として身を立てるには、米国で勉強する必要が
あると考えたのです。そこで、科学雑誌に載っている研究員募集
に片っ端から応募したものの、ほとんど無視されたと山中氏は述
懐しています。
 結局最初に返事をくれたカルフォルニア大学サンフランシスコ
校のグラッドストーン研究所に電話で面接を受け、採用され、サ
ンフランシスコに渡ったのです。1993年4月のことです。
 しかし、サンフランシスコでの生活は3年で終り、帰国するこ
とになったのですが、戻る場所がないのです。このときのことを
山中伸弥教授は、日本経済新聞「日曜に考える」のインタビュー
で、次のように述べています。
─────────────────────────────
 僕もかつて米国で研究した後で帰るところが見つからずに困り
日本学術振興会の特別研究員として救われた。戻れないという恐
怖心はよくわかる。──2015年5月17日付、日本経済新聞
─────────────────────────────
 その一方で笹井芳樹氏は、山中氏が日本学術振興会の特別研究
員になった1996年には、京都大学医学部助教授として「生体
情報科学講座」を担当し、2年後の1998年5月には、京都大
学再生医療科学研究所の教授に就任しているのです。まさに京都
大学の再生医療の星的存在になっていたのです。
 山中氏は1996年10月には、大阪市立大学医学部助手とし
て薬理学教室を担当しますが、米国と違って研究室の設備は貧弱
なうえに予算もなく、研究らしい研究ができないでいたのです。
しかし、2OO3年になって奈良先端科学大学院大学に採用され
研究の道が開けたのです。 ── [STAP細胞事件/011]

≪画像および関連情報≫
 ●インタビュー「この人に聞く」/笹井芳樹氏/2013
  ───────────────────────────
  聞き手:ES細胞に注目し、研究に使うようになったきっか
  けはどんなものでしたか。
  笹井:私が京都大学に入学したのは1980年。その1年後
  には、マウスES細胞がすでにつくられていましたので、学
  生時代からその存在はもちろん知っていました。一方、私が
  実験対象として扱っていたのは、アフリカツメガエルです。
  このモデル動物は、初期の神経分化制御機構を解析するのに
  とても優れています。1993年から96年にかけて、カリ
  フォルニア大学(UCLA)医学部に留学していたときに、
  研究プロジェクトの中でアフリカツメガエルから「コーディ
  ン」という神経誘導因子を単離することができました。コー
  ディンは、初期胚のシュペーマン形成体という部分から分泌
  され、外胚葉に働きかけて神経細胞の前段階となる神経前駆
  細胞を分化誘導します。この研究は予定通りに進みました。
  その後、京都大学に戻ってきてから、取り組んだのは主に2
  つのことです。1つは、引き続きアフリカツメガエルを使っ
  て、今度はコーディンから誘導された神経前駆細胞からどの
  ように複雑な脳ができていくのか、そのパターン形成を調べ
  ていったのです。もう1つは、発見したコーディンによって
  神経ができていくしくみを、哺乳類を用いて観察することで
  した。この研究で使ったのが、マウスのES細胞です。ES
  細胞は、初期胚の「増えていく」という特徴をよく反映して
  います。             http://bit.ly/1Gh9Cg5
  ───────────────────────────

笹井芳樹氏(2013年当時).jpg
笹井 芳樹氏(2013年当時)
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2015年05月22日

●「笹井芳樹/ノーベル賞級の研究者」(EJ第4039号)

 36歳の若さで京都大学再生医科学研究所教授に就任した笹井
芳樹氏は、その輝かしい研究成果によって、文科省や科学技術振
興機構などの国がからむ大型プロジェクトに参加するようになり
その名声をさらに高めていったのです。
 それに笹井氏は、日本の大学における研究環境に疑問を持って
いて、若い研究者が実力を発揮できる研究環境を何とか確立した
いと考えていたのです。
 日本の大学では、若手研究者は雑用が多かったり、研究成果を
嫉妬されたり、自分の研究室を持つことが困難だったりといろい
ろ問題があります。そういうわけで、理化学研究所からのCDB
(理研発生・再生科学総合研究センター)設立には早くから関心
を示し、その設立メンバーに加わっていたのです。CDBができ
ると若手研究者に大学とは比べ物にならない快適な研究環境を与
えられると考えたからです。
 2000年にCDBができると、笹井氏は、京都大学の再生医
科学研究所教授と兼務で、CDB細胞分化・器官発生研究グルー
プ・グループディレクターを務めるようになったのです。このと
きから笹井氏は、京都大学とは少しずつ距離を置くようになり、
2003年にCDBの専任になったのです。
 京都大学もそういう笹井氏の動きを察知していて、ひそかに笹
井氏の後任の教授を探していたのです。その結果、目を付けたの
が山中伸弥氏だったのです。そのとき、山中氏は奈良先端科学大
学院大学にいたのです。
 そして2004年10月、京都大学は42歳になった山中伸弥
氏を笹井氏の後任の再生医科学研究所教授として迎えたのです。
iPS細胞が発見される2年前のことです。それがノーベル賞受
賞に結びついたのですから、京都大学は先見の明があったという
べきでしょう。
 しかし、京都大学の研究環境は最悪で、笹井氏がイヤになって
飛び出すだけのことはあったのです。これについて、黒木登志夫
教授は次のように書いています。
─────────────────────────────
 京都大学で与えられた研究環境は、奈良先端大と比べると余り
にひどかった。ぼろぼろの建物の古い部屋、机はなく、エアコン
は故障していた。奈良から一緒に来てくれた学生や技術員とiP
S細胞に向かって新たな研究のスタートが切られた。それから6
年経った2010年、山中の研究グループはiPS細胞のために
作られた「iPS細胞研究所」(CiRA)に移ることになる。
そして、今、京大CiRAは、スタッフ300人を超える研究所
になり、建物もさらに二棟増築されようとしている。
                     ──黒木登志夫著
 『iPS細胞/不可能を可能にした細胞』/中公新書2314
─────────────────────────────
 CDBの笹井芳樹氏は、ES細胞による研究を加速させている
のです。2005年には眼科医の高橋政代氏と組んで、ES細胞
による網膜の分化誘導に成功し、2006年にはES細胞から視
床下部前駆細胞を分化誘導させることにも成功し、2008年に
その論文を「セル」誌に発表しています。
 さらに、2011年にはマウスのES細胞から網膜全体を作る
ことに成功したことを「ネイチャー」誌に発表しています。ES
細胞から網膜を立体的に作ったのは世界初の試みであり、「この
分野を一変させた」として、高く評価されています。これら一連
の研究により、笹井氏は次の各賞を受賞しています。
─────────────────────────────
    文部科学大臣賞 ・・・・ 2009年 4月
    大阪科学賞   ・・・・ 2010年10月
    井上学術賞   ・・・・ 2012年 2月
    塚原仲晃記念賞 ・・・・ 2012年 9月
    山崎貞一賞   ・・・・2012年第12回
    武田医学賞   ・・・・・  2012年度
─────────────────────────────
 このように笹井芳樹氏のES細胞を中心とする研究は、大きな
成果を上げていたのです。それは、竹市雅俊CDBセンター長を
して、「笹井さんなしでは今のセンターはなかった」といわしめ
るほどであったのです。また、CDBのあるポートアイランドの
関連企業からも、「神戸全体の発展や産学連携を見据えるまれな
存在だった」と高い評価を受けていたのです。この時点では、笹
井氏がCDBセンター長に就くのは時間の問題だったのです。
 そして、2012年12月、安倍総裁率いる自民党が、民主党
から政権を奪い返すことになる総選挙直前のある日、笹井芳樹氏
は、小保方晴子氏のCDBユニットリーダー採用面接に立ち会う
ことになるのです。2人が会うのはこれが最初であるといわれて
います。そして、竹市センター長から小保方氏の論文の指導を依
頼されるのです。
 しかし、2012年12月といえば、山中伸弥教授のノーベル
賞受賞の興奮が冷めやらぬさなかです。笹井氏としては、同年齢
の山中氏に先を越されたという思いはあったと思います。そのた
め、その時点では海のものとも、山のものともつかぬ小保方氏の
論文に笹井氏が過度の期待を抱いたとしても、それは不思議なこ
とではなかったといえます。
 2012年末までは、山中伸弥教授にノーベル賞で先を越され
たとはいえ、発生・再生科学分野での研究者としての実績では笹
井芳樹氏の方が山中氏を上回っていたし、国からの予算も十分獲
得できていたのです。
 しかし、iPS細胞がノーベル賞を受賞すると、国からの予算
もiPS細胞に大きくシフトし、笹井氏の研究する分野には予算
が思うように獲得できなくなっていったのです。ちょうどその時
期が2013年度であり、笹井氏としては何とか再生医療の分野
において、iPS細胞を超える何かを求めるようになっていった
のです。         ── [STAP細胞事件/012]

≪画像および関連情報≫
 ●「理研が落ちた『わな』」/再生医療の覇権争い
  ───────────────────────────
  寺田寅彦、湯川秀樹、朝永振一郎・・・。日本を代表する科
  学者が在籍した理研は日本唯一の自然科学の総合研究所だ。
  全国に8主要拠点を持ち職員約3400人。2013年度の
  当初予算844億円は人口20万人程度の都市の財政規模に
  匹敵、その90%以上が税金で賄われている。予算の3分の
  2を占めるのが、理研の裁量で比較的自由に使える「運営費
  交付金」。STAP細胞の研究拠点である神戸市の理研発生
  ・再生科学総合研究センター(CDB)には年間30億円が
  配分される。研究不正の疑いがもたれている小保方晴子・研
  究ユニットリーダーは5年契約で、給与とは別に総額1億円
  の研究予算が与えられている。英科学誌「ネイチャー」に掲
  載されたSTAP細胞論文の共著者、笹井芳樹CDB副セン
  ター長は、疑惑が大きく報じられる前の毎日新聞のインタビ
  ューで「日本の独自性を示すには、才能を見抜く目利きと、
  若手が勝負できる自由度の高い研究環境が必要」と語り、こ
  の10年で半減されたものの運営費交付金がSTAP細胞研
  究に「役立った」としている。理研関係者によると、小保方
  さんに「自由度の高い」研究室を持たせ、大がかりな成果発
  表を主導したのは笹井さんだった。
                   http://bit.ly/1cMmVsZ
  ───────────────────────────

笹井芳樹氏.jpg
笹井 芳樹氏
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2015年05月25日

●「AO入試第1期生/小保方晴子氏」(EJ第4040号)

 いよいよ小保方晴子氏について述べるところにきました。5月
22日のEJで、小保方晴子氏が2012年12月にCDBの採
用面接を受けたことについて書きましたが、そもそも小保方氏は
どのような経緯で、CDBの採用面接を受けることになったので
しょうか。このことについては、報道ではあまり明らかになって
いないのです。
 小保方晴子氏を日本中、いや世界中の人が知ることになるのは
2014年1月28日に神戸市のポートアイランドにあるCDB
での記者会見の席上です。それまで、小保方氏はどこで、何をし
て、どういう経緯でCDBに採用され、1月28日の発表に至っ
たかについてはあまりわかっていないのです。
 CDBがメディアに対して28日の記者会見の案内をファック
スで送ったのは、1月24日のことです。しかし、発表者はもと
より、何を発表するかについても書かれていないのです。
 しかし、毎日新聞社の科学環境部記者・須田桃子氏は、笹井氏
をはじめ複数のCDB関係者から、発表内容や発表者について事
前に情報を入手しています。須田桃子氏は、早稲田大学大学院理
工学部研究科出身で、生殖補助医療や生命科学、ノーベル賞など
を担当する毎日新聞の科学記者で、理研などを中心に幅広い人脈
を持っているのです。須田記者は、記者会見前に小保方晴子氏に
ついて掴んだ情報について自著で次のように書いています。
─────────────────────────────
 関係者のオフレコ情報によると、論文の掲載誌は英科学誌ネイ
チャー。発表者はまだ30歳前後の小保方晴子・研究ユニット・
リーダーで、CDBでごく小規模な研究室(研究ユニット)を主
宰している。(一部略)
 小保方氏がどんな人かを尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「他の人にない非常にユニークなセンスを持っている。笹井さん
の秘蔵っ子。将来性がある人なので、彼女自身について取材して
みても面白いかもしれない」
 メールでの報告は深夜になったが、永山デスクからすぐに返信
があり、末尾にはこんな感想があった。「笹井さんの秘蔵っ子っ
て、どれほどすごい人なんだろう。とんでもなく頭がいい人であ
ることは間違いないですね」         ──須田桃子著
      『捏造の科学者/STAP細胞事件』/文藝春秋刊
─────────────────────────────
 小保方晴子氏が、早稲田大学理学部応用化学科に入学したのは
2002年4月のことです。普通の入学試験を受けて入学したの
ではなく、「創成入試」(現在は特別選抜入試と改称)による入
学です。創成入試は「AO入試」と呼ばれています。
 AO入試とは、「Admissions Office」 のことで、「学力以外
の視点で大学に相応しい人物を募集する入試」という特別枠での
入試であり、私立大学の70%が設けています。早稲田大学では
当時「創成入試」と称し、ホームページでは創成入試について次
のように説明しています。
─────────────────────────────
 志願者の学力的側面を評価の中心に据えつつも高等学校時代で
の様々な活動経験や、当学部への志望動機をあわせて評価対象と
することで、学力・知識のみに偏重せず、問題発見・解決能力の
基礎となる思考力や表現力、それらを実行に移す上での行動力ま
で含めて評価の対象とする総合選抜型の入学試験です。
                   http://bit.ly/1Lr0NR7
─────────────────────────────
 理屈はいろいろつけていますが、芸能人の特別枠入学もAO入
試(一芸入試ともいう)であり、要するに特別枠での入学のこと
です。早稲田大学と慶応義塾大学のAO入試は有名ですが、選考
基準が大きく異なるのです。早稲田大学の方は出願条件が厳しい
のに対し、慶応義塾大学は面接に重点を置いています。専門家は
次のように述べています。
─────────────────────────────
 慶應大学では、「これまでやってきたこと」と「今やっている
こと」と「これからやりたいこと」の一貫した説明を受験生に求
めます。志望理由書も早稲田大学が800字なのに対し、慶應大
学は2千字と多い。慶應大学は、入学後のビジョンが書類、面接
で厳密に問われます。         http://bit.ly/1HlpU3Q
─────────────────────────────
 早稲田大学はAO入試に対し、出願要件に高い「活動実績」を
求めています。小保方氏はそのときは有名人ではありませんし、
大学入学以前に何か特別の研究をしていたのかというと、少なく
ともそれはないようです。それでは、なぜ、小保方氏はAO入試
に合格したのでしょうか。
 もちろん本人の創造性というか何か光るものがあったことは確
かでしょうが、小保方氏を取り巻く相当強いコネクションもAO
入試合格に一役買っていると思います。
 というのは、小保方氏の父親は一流商事会社の役員ですが、母
親の小保方稔子氏は、帝京平成大学健康メディカル学部臨床心理
学科長をしており、姉の小保方晶子氏も大学の准教授という学者
一家なのです。            http://bit.ly/1F4WMNP
 小保方晴子氏は、2006年3月に早稲田大学を卒業すると、
そのまま大学院に進学し、常田聡教授の指導の下で、東京湾の微
生物の研究を始めたのです。しかし、2007年に突然再生医療
の研究に転身し、東京女子医科大学先端生命医科学研究所研修生
として、大和雅之東京女子医科大学教授の指導の下で、医工融合
研究教育拠点である先端生命医科学センター(TWIns)にお
いて、再生医療の研究を開始するのです。
 ここに大和雅之教授が登場するのですが、この名前はメディア
ではほとんど伝えられていないのです。しかし、大和雅之氏は、
STAP論文の共著者の一人であり、小保方氏の研究の転身に深
く関係するのです。これについては明日のEJで述べます。
             ── [STAP細胞事件/013]

≪画像および関連情報≫
 ●AO/推薦入試による入試制度の多様化は望ましいか
  ───────────────────────────
  AO推薦入試の是非を巡る問題は、結局のところ、大学を教
  育機関とみなすか評価機関とみなすかという問題になる。大
  学側は、自分たちを教育機関とみなしているから、様々な人
  材に教育の機会を与えるために、入試制度を多様化しようと
  するのに対して、企業側は大学内部の教育や成績を信用せず
  入学試験による選抜が持つ評価機能を学歴に期待している。
  学力試験なしで志願者の入学を許可することは、教育機関と
  しては問題ではないが、評価機関としては問題がある。一般
  入試の厳しい競争を勝ち抜いた学生と学力試験も受けずに面
  接だけで入学した学生が同じ大学・学部のブランドだと、採
  用する企業側が困ってしまう。そこで最近では、面接時に人
  事担当者が、AO推薦入試で入学したかどうかを遠回しに尋
  ねたり、出身高校をも調べたりといったことが行われている
  そうだ。この問題を別のたとえで説明しよう。内閣府に設置
  された食品安全委員会は、安全性と有効性が科学的に認めら
  れる健康食品に「特定保健用食品(トクホ)」の表示を認め
  ている。消費者の中には、このブランドを参考にして購入を
  決めている人も多い。もしも食品安全委員会が、特定保健用
  食品を多様化するためという大義名分の下、企業が自己推薦
  する商品に検証することなくトクホの表示を許可したら、ト
  クホはブランドとして機能しなくなる。ブランドが評価機能
  を持つためには、内部に多様性を持ってはいけないのであり
  消費者の選択の自由に資する多様性はブランド間の多様性と
  して確保されなければならない。  http://bit.ly/1FBIQP5
  ───────────────────────────

小保方晴子氏.jpg
小保方 晴子氏
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2015年05月26日

●「STAP細胞事件のウラ側の人脈」(EJ第4041号)

 小保方晴子氏が、早稲田大学大学院で、突然専門分野を転向し
た理由について解明する必要があります。直接的には、東京女子
医科大学の大和雅之教授の働き掛けがあったと考えられますが、
なぜ大和教授は小保方氏に目をつけたのでしょうか。
 これを明らかにするには、岡野光夫氏なる人物について触れる
必要があります。岡野光夫氏は、現在、東京女子医科大学学長付
特任教授で66歳です。1979年に早稲田大学大学院で高分子
化学の博士号を取得し、1999年に東京女子医科大学医用工学
研究施設長になり、2001年に日本再生医療学会の理事長に就
任しています。
 1998年当時岡野教授には、組織工学の研究費として、年間
1億5000万円の予算が、文科省が所管する日本学術振興会の
未来開拓学術研究推進事業として、5年間にわたって付くことに
なっていたのです。
 なぜ、岡野光夫教授にこれほど巨額な予算がつくのかというと
筏義人京都大学教授のおかげなのです。筏氏の専門分野は、岡野
氏と同じ高分子であり、その付き合いは長く、筏氏は岡野氏のこ
れまでの業績を高く評価していたのです。
 2人は、高分子の研究は既に盛りを過ぎており、その将来像を
組織工学、そしてさらにそれを再生医療へと発展させるという点
で意見は一致していたのです。そういうわけで筏、岡野両氏は、
これからは生体内のバイオマテリアル(生体材料)の研究が重要
になると考えていたのです。
 筏京都大学教授は、日本学術振興会の未来開拓学術研究推進事
業の委員長(2001年3月まで)をしており、予算を差配でき
る立場にあり、高分子研究の新たなフィールドとしての組織工学
に期待を込めて、岡野氏の研究に予算を付けたのです。
 ここで、「組織工学」について知っておく必要があります。組
織工学は次のようにいわれています。
─────────────────────────────
     組織工学とは、Tissue Engineeringである
─────────────────────────────
 1993年のことです。米国のある医師と工学者が新しい提案
をしたのです。それが「ティッシュ・エンジニアリング」です。
「ティッシュ」は、人の身体の細胞組織のことを意味し、「エン
ジニアリング」は、工学または工業技術のことです。この2つを
組み合わせるので、「組織工学」というのです。その狙っている
ことは、生きた細胞を用いて、生体機能を備えた組織や臓器を人
工的に作り出すことです。つまり、組織工学とは再生医療と同意
義なのです。
 それでは、米国のある「医師」と「工学者」とは具体的にだれ
を指すのでしょうか。
─────────────────────────────
     医 師 ・・・・ ジョセフ・バカンティ
     工学者 ・・・・  ロバート・ランガー
─────────────────────────────
 工学者の方から説明します。ロバート・ランガー氏は、米国の
生体工学者で、現在マサチューセッツ工科大学(MIT)で化学
工学科および生物工学科の教授職を務めています。専攻はドラッ
グ・デリバリーとティッシュ・エンジニアリングです。
 医師はジョセフ・バカンティ氏──この名前を聞くと、ハーバ
ードー大学で小保方晴子氏を指導したバカンティ教授のことかと
誰でも思いますが、そちらはチャールズ・バカンティ氏のことで
ジョセフはチャールズの兄に当たるのです。といっても無関係で
はないのです。実は、バカンティは4人兄弟で、全員が、最先端
の外科医で、移植・再生医療の研究者なのです。STAP細胞事
件に深く関わるので、この4人兄弟をご紹介しておきます。
─────────────────────────────
         ジョセフ・バカンティ
        チャールズ・バカンティ
        マーティン・バカンティ
        フランシス・バカンティ
─────────────────────────────
 ジョセフとチャールズのティッシュ・エンジニアリングの関係
について、ネイバーのまとめブログは次のように書いています。
─────────────────────────────
 それまで最先端だった移植医療はドナー不足、拒絶反応などで
行き詰まりを見せていた。ジョセフはいち早くティッシュ・エン
ジニアリングに目を向け、ティッシュ・エンジニアリング・ソサ
イティを創設し、会長になった。美容整形、難病治療などに役立
つ再生医療は、ベンチャー投資家からも注目を集めるビジネスに
なった。1986年、ジョセフの再生医療チームはロバート・ラ
ンガーも参加した。チャールズも呼ばれて参加したのが、彼と再
生医療の付き合いの始まりになった。  http://bit.ly/1LrgI1a
─────────────────────────────
 実は、STAP細胞の国際特許出願者7名のなかに、チャール
ズとマーティンの名前が入っていますが、これについては改めて
述べます。ちなみに、STAP細胞と関係の深いチャールズ・バ
カンティ教授の現在の役職は、ハーバード・メディカル・スクー
ル及びブリガム&ウィメンズ病院教授です。
 ここで岡野光夫氏に話を戻します。筏義人教授がいかに再生医
療に賭けていたかは、1992年に日本バイオマテリアル学会の
会長に就任したことでもわかります。岡野氏は、期待に応えてそ
の同じ年に日本バイオマテリアル学会賞を受賞しています。
 しかし、岡野氏には悩みがあったのです。それは「生化学」の
研究のできる人材がいないことです。そこでそのことを懇意にし
ていた東京大学の林利彦教授に相談をしたところ、林教授の弟子
筋に当たる学者を紹介してもらったのです。それが大和雅之氏な
のです。大和氏は当時日本大学で、コラーゲンの研究をやってい
たのです。        ── [STAP細胞事件/014]

≪画像および関連情報≫
 ●「オーク・ジャーナル」/C・バカンティとは何者か
  ───────────────────────────
   バカンティ氏は生物の成体に小さなサイズの細胞が眠った
  状態の多能性細胞が存在するのではないかとの仮説を提唱て
  おり、小保方氏がこの仮説を検証する過程で細胞が刺激によ
  り多能性細胞に変化するという新たな仮説を立て、STAP
  細胞を開発したことになっています。要はSTAP細胞はア
  イディアはバカンティ教授、実際モノにしたのは小保方氏と
  いう立ち位置となっています。これだけ見ると、優秀な麻酔
  医の先生が再生医療の研究までされてご立派なこと、という
  話で着地します。
   一方、チャールズ・バカンティ教授に対し否定的な見方を
  される方もおられます。代表例は、「新潮45」4月号の記
  事。「C・バカンティ医師→ボストンの麻酔科医。ハーバー
  ド大には在籍しているが、関連病院の勤務医であり、医学博
  士ではない。小保方氏はおそらくバカンティ教授に個人的に
  雇われていたものとみられる。1997年に、さも「人間の
  耳をマウスの背中に再生させたかのような」「バカンティマ
  ウス」を全世界に発表。世を騒がせたが、結局、耳の形の金
  型で作成した軟骨細胞を皮下に移植しただけのものと分かり
  悪趣味と判批判されるや、あくまで軟骨細胞の移植技術を披
  露しただけと開き直った。     http://bit.ly/1LxqKyd
  ───────────────────────────

チャールズ・バカンティとジョセフ・バカンティ.jpg
チャールズ・バカンティとジョセフ・バカンティ
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2015年05月27日

●「工学が主導する医学との連携強化」(EJ第4042号)

 『新潮45』という新潮社発刊の雑誌があります。1982年
に『新潮+45』の名前で創刊され、45歳以上の中高年層向け
の健康雑誌だったのですが、そのリニューアルに伴い、「+」の
記号が外され、現在の誌名『新潮45』になったのです。
 『新潮45』はその後何回かのリニューアルを経て、2008
年に次のような編集方針で現在の『新潮45』になったのです。
新潮社のホームページには次のようにあります。
─────────────────────────────
 自らに課したテーマは、ネット全盛で、長く活字メディアが苦
境に陥っている中、どうすれば、雑誌はこの時代と充分に闘え、
生き残っていけるのか、ということでした。答は簡単には見出せ
ませんが、その方策のひとつは、ジャーナリズムの原点への回帰
でした。タブーをおそれず、常に事実といわれるものを疑い、己
が真っ当と信ずるところを発言していく。重要な役割りの一つに
「報道」があることを今一度肝に銘じ、周りや時流に迎合せず、
自身の立ち位置を堅守して、生きた情報と論評を発信していく姿
勢を第一にしたのです。そこから再出発し、結実したビジョンが
「ネットより深く、新聞・テレビより鋭く、新書より速い“最先
端メディア”」――。それが生まれ変わった『新潮45』の形で
す。                 http://bit.ly/1dr9Whf
─────────────────────────────
 なぜ、『新潮45』の話を取り上げたのかというと、STAP
細胞事件の疑惑をこの雑誌が初めて取り上げ、次のタイトルで連
載をはじめたからです。2014年4月号から、同9月号までの
全6回です。この連載は、その後加筆・改稿が行われ、2014
年11月には単行本化されています。
─────────────────────────────
               小畑峰太郎+本誌取材班
  「STAP細胞に群がる悪いやつら」/『新潮45』
─────────────────────────────
 フリーライターの小畑峰太郎氏は、2014年1月28日の理
研によるSTAP細胞発見の記者会見の翌日に『新潮45』の編
集部に次の申し入れを行っているのです。
─────────────────────────────
 あれは科学的偉業の発見としてはまったく不可解な発表のされ
方で、小保方という研究者にはどこか胡散臭さが付きまとう。佐
村河内守の贋作騒ぎと似た臭いがする。調べるから、書かせてほ
しい。                  ──小畑峰太郎著
      『STAP細胞に群がった悪いヤツら』/新潮社刊
─────────────────────────────
 小畑峰太郎氏の本を読むと、メディアの報道ではほとんど伝え
られていないSTAP細胞事件のウラ側の事情が見えてきます。
これからの真相究明のために参照させていただくつもりです。
 筏義人と岡野光夫両教授に共通していたのは次の考え方です。
工学には面白い技術がたくさんあり、技術的知見も豊富にある。
したがって、再生医療に関しては、工学と医学が連携し、工学の
技術的知見を最大限に生かすために、工学の研究者がこの分野を
強力に牽引すべきであるというものです。
 そのかたちは整いつつあったのです。1998年に筏義人氏が
京都大学再生医科学研究所教授に就任した翌年に、岡野光夫氏は
東京女子医科大学医用工学研究施設・施設長に就任し、連携がと
れる体制ができたからです。とくに京都大学再生医科学研究所に
は、36歳の若さで教授に昇進した笹井芳樹氏が意欲的にES細
胞の研究を進め、数々の成果を上げはじめたからです。
 2001年になると、岡野氏は「セルシード」という会社を立
ち上げ、自ら役員に就任するのです。再生医療を将来産業化させ
るための布石とみられます。これに関する岡野氏の狙いについて
小畑峰太郎氏は次のように書いています。
─────────────────────────────
 岡野には更なる独自の野望があった。仮に技術が確立しても、
産業化されなければ意味がない。「産業化」こそ、この新分野に
おける自らの最大の課題であるという強迫観念にも似た思いが、
岡野を魅了していたのだ。岡野は「産業」自体を自らの手で作っ
てしまう思い切った行動に出る。
 2001年、セルシードという会社を自ら設立し、取締役に就
任したのである。同社の目的は「細胞シート」を開発し、それを
普及させることだった。細胞シートとは、患者から採取した細胞
を培養、増殖させてシート状にしたものだ。それを患部に貼って
治療に用いると、拒否反応などが少ないため劇的に治癒が進むと
いう、いわゆる再生医療の一種だが、この時点では実用化を目指
して研究が進められている段階に過ぎなかった。それでも、岡野
は産業化を急いだ。この性急な姿勢にはおおいに疑問を感じざる
を得ない。        ────小畑峰太郎著の前掲書より
─────────────────────────────
 細胞シート工学──これは、ティッシュ・エンジニアリングそ
のものです。細胞シートは身体のどの部位の細胞(細胞ソース)
からも作成できるのです。あらかじめ患者からこの細胞シートを
作って保存しておけば、再生医療に飛躍的な効果をもたらすもの
といえます。皮膚の細胞から作るiPS細胞などはその典型です
が、岡野氏が「セルシード」を立ち上げた時点ではまだ研究が緒
についたばかりだったのです。
 「医療を経済に組み込む」という岡野氏のアプローチに共鳴し
たのは大和雅之氏です。産業のひとつとしての医療を考えて、そ
こに産業としての規制をあてはめる──医療に比べて産業は規制
が相対的に緩やかなので、研究を大きく前進させることができる
からです。そのため、大和氏は政府が進めようとしている特区な
どの制度を研究し、活用し、学問と学問のはざまで、新しい世界
を作り出すことはできないか──岡野氏が進める「セルシード」
に協力して行くことを大和氏は誓ったものと考えられます。
             ── [STAP細胞事件/015]

≪画像および関連情報≫
 ●「セルシード」とは何か
  ───────────────────────────
   セルシードは、2001年に設立された東京女子医科大学
  発の再生医療企業です。日本発・世界初の再生医療プラット
  フォーム技術である「細胞シート工学」を基盤技術とし、細
  胞シート工学を用いて組織や臓器を再生することによって、
  様々な難治性疾患・損傷を治療する「細胞シート再生医療」
  の事業化・世界普及を目指しております。細胞シート工学は
  東京女子医科大学の岡野光夫教授らが世界に先駆けて開発し
  た「温度応答性細胞培養器材」で、細胞からシート状の組織
  (「細胞シート」)を培養し無侵襲に回収するという革新的
  な技術です。この技術によって作製される細胞シートは、接
  着タンパク質を失わずに保持しているため移植時に縫合なし
  で患部に生着し、また幹細胞を多く含んでいることから効率
  良くかつ継続的に患部組織の再生を促すなど、再生医療医薬
  品として多くの特長を有しています。当社は、この細胞シー
  ト工学を基盤とした2種類の事業を推進しております。
   1つは「細胞シート再生医療事業」であり、細胞シート工
  学に基づいて作製された様々な種類の再生組織・臓器(細胞
  シート)を安全かつ高品質な医薬品(「細胞シート再生医療
  医薬品」)として世界中の医療現場及び患者さまにお届けす
  ることを主な目的としております。現在当社が当事業におい
  て研究開発を進めている主な細胞シート再生医療医薬品パイ
  プラインは、角膜再生上皮シート、食道再生上皮シート、歯
  周組織再生シートなど合計5つです。
                   http://bit.ly/1Q4dIcp
  ───────────────────────────

小畑峰太郎氏の本.jpg
小畑 峰太郎氏の本 
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2015年05月28日

●「安倍首相と岡野/大和教授の関係」(EJ第4043号)

 STAP細胞事件は「科学」という聖域で起きた事件です。一
般的に、科学は芸術などと同様に巨額の金が動く利権に結びつく
分野とはみなされていないのです。
 もちろん研究費は研究対象によっては巨額になりますが、そう
かといって、新幹線や道路や橋などを作る公共事業に比べれば、
金額的に比較にならないと思われ勝ちです。
 しかし、本当にそうでしょうか。国土交通省の公共事業関係費
と文部科学省の予算を比較すると次のようになります。
─────────────────────────────
  2013年度公共事業関係費 ・・ 4兆4891億円
  2014年度文部科学省予算 ・・ 5兆3262億円
       うち科学技術予算 ・・   9713億円
─────────────────────────────
 公共事業の道路整備には1兆323億円かかりますが、治水に
は5942億円、新幹線には706億円程度であり、これらと比
べると、科学技術予算の9713億円はいかに巨額であるかがわ
かると思います。しかし、これでも国際比較で日本は米国、EU
中国の後塵を拝しているのです。
 科学技術予算は、安倍首相がアベノミクスの成長戦略として、
再生医療分野に力を入れているので、急速な上昇カーブを描いて
伸びています。財政健全化のあおりを受けて公共事業費が抑えら
れるなかにあって、「聖域」として科学技術の研究および振興に
関する予算は上昇しつつあるのです。
 しかし、科学技術予算といってもいろいろあります。なかでも
安倍首相は、iPS細胞に代表される再生医療の研究費に関して
は、2013年4月19日の「成長戦略」スピーチにおいて次の
ように述べています。
─────────────────────────────
 従来の医療は、「疾病治療」が中心でした。病気になった後に
治療する、というやり方です。そのおかげで、日本は、世界に冠
たる「平均寿命」の長い国となりました。
 しかし、「健康寿命」は、平均寿命より6歳から8歳低いとも
言われています。本来の寿命が来るまでに、病気で苦しんだり寝
たきりになる期間があります。私が目指すのは、同じ長寿でも、
病気の予防などに力を入れることで、「健康」な体の維持を重視
する社会です。「健康」は、誰もが求める、世界共通のテーマで
す。「健康長寿社会」が構築できれば、必ずや日本から世界にも
広がると信じています。
 その鍵の一つが、再生医療・創薬です。山中教授のノーベル賞
受賞に象徴されるように、iPS細胞の利用などこの分野の「研
究」で日本が世界一であることは間違いありません。この研究の
強みを、さらに高めるために、私はiPS細胞研究に対し、10
年間1100億円程度の研究支援を行うこととしました。
              動画→  http://bit.ly/1chqBCD
─────────────────────────────
 この部分の首相の発言は、動画の15分43秒からのものを抜
き出しています。
 安倍首相はここで「iPS細胞研究に対し、10年間1100
億円程度の研究支援を実施する」と明言。もちろん首相は、「i
PS細胞研究に」とはいっているものの、iPS細胞だけでなく
ES細胞なども含む再生医療・創薬研究全般に資金を投ずるとい
う意味なのですが、iPS細胞がノーベル賞を受賞していること
によって、予算獲得に有利になったことは確かです。しかし、こ
の2013年4月の時点では、理化学研究所も有利なポジション
を維持していたのです。それは、内閣府にイノベーション担当の
倉持隆雄政策統括官(当時)がいたからです。
 倉持政策統括官は文科省出身の官僚です。大学で生物化学を専
攻し、旧科学技術庁を経て文科省では所管する理化学研究所の理
事を務め、本省の研究振興局局長を歴任して、政策統括官に就い
ていたのです。このように、理研理事経験がある政策統括官が総
理直轄の内閣府にいれば、理研としては予算獲得でも有利なポジ
ションに立てるのです。
 もうひとつ安倍首相は、先の演説(動画)の18分15秒のと
ころで、次のように述べています。
─────────────────────────────
 先日、東京女子医大の研究施設を訪問しました。早稲田大学の
理工学部との連携により、細胞の培養を大量に行う医療機械の開
発が進んでいます。              ──安倍首相
─────────────────────────────
 安倍首相が訪問したのは、東京女子医科大学・早稲田大学連携
先端生命医科学研究教育施設(TWIns)です。この研究施設
の当時の施設長は岡野光夫氏なのです。これをみてもわかるよう
に、岡野氏は安倍首相と懇意の仲なのです。
 しかし、岡野氏は、2001年から同施設の所長と教授を務め
ていますが、同じ2001年に細胞シート再生医療事業などを実
施するベンチャー企業である株式会社セルシードを立ち上げてい
るため、利益相反であるとの批判も出ていたのです。
 岡野光夫氏は、2014年3月31日に東京女子医科大学を定
年退職し、同年4月1日から後任の同施設の所長と教授に就任し
たのが大和雅之氏なのです。しかし、所長代理付きの就任になっ
たのです。
 どうしてかというと、大和雅之氏は、2014年2月5日に脳
出血で倒れ、入院・長期療養を余議なくされたからです。8月に
は一時現場復帰したものの、その後も所長代理が事実上の所長を
務めているのです。
 病気が病気であり、こういう場合は別の人事が発令されるのが
当然ですが、どうしても大和雅之氏でないと困る事情があるもの
と考えられます。小保方氏を支えるバックグラウンドには、こう
いう複雑きわまる人間関係があるのです。
           ――── [STAP細胞事件/016]

≪画像および関連情報≫
 ●政府/再生医療の産業化へ議論スタート
  ───────────────────────────
  政府は2013年7月10日、iPS細胞(人工多能性幹細
  胞)などを使う再生医療の産業化に向けた検討会議を始動さ
  せた。再生医療産業の育成は安倍晋三政権の経済政策「アベ
  ノミクス」の第3の矢になる成長戦略の柱の一つで、会議で
  は関連製品の安全を確保するルールを作成する。iPS細胞
  を発明した山中伸弥京都大教授がノーベル医学・生理学賞を
  受賞して注目された再生医療を日本発の医療産業として飛躍
  させ、日本経済復活につなげられるかに、大きな期待がかか
  る。会議は「再生医療等基準検討委員会」の名称で、経済産
  業、厚生労働、文部科学の3省の担当者や有識者で構成。座
  長には、岡野光夫・東京女子医科大教授が就任した。この日
  の会議では企業が再生医療に使う細胞を加工する際、製造施
  設に求められる衛生状態の基準などが必要との意見が出た。
  発展途上の再生医療の産業化には、安全性や品質の向上が欠
  かせないためで、会議では今秋をめどに再生医療製品の加工
  施設に関する安全・品質基準のたたき台をまとめる方針。日
  本メーカーによる製品の海外展開を進めるため、国際基準化
  もにらんで検討を進める。     http://bit.ly/1ld2xz9
  ───────────────────────────

TWInsを訪問する安倍首相.jpg
TWInsを訪問する安倍首相
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2015年05月29日

●「STAP細胞に関わる5人の関係」(EJ第4044号)

 人間関係が複雑になってきたので整理します。1998年当時
岡野光夫氏は、東京女子医科大学医用工学研究施設教授を務めて
いたのですが、同じ生体工学を研究する京都大学の筏教授との親
交により、岡野教授の施設に日本学術振興会の未来開拓学術研究
推進事業として、多額の研究予算が付くことになったのです。
 しかし、生化学の研究ができる人材がないので、岡野氏は東京
大学の林利彦教授に相談し、紹介してもらったのが、林教授の弟
子である大和雅之氏なのです。
 そういうわけで、大和氏は、東京女子医科大学医用工学研究施
設の助手として岡野氏の下で研究をはじめたのです。そして岡野
氏は、2001年に株式会社セルシードを設立します。
 大和氏は、2001年に講師、2003年に助教授に昇進しま
す。そして、岡野氏が2008年に東京女子医科大学・早稲田大
学連携先端生命医科学研究教育施設(TWIns)を設立し、初
代理事長に就任すると、大和氏は岡野氏の後を継いで、東京女子
医科大学医用工学研究施設の教授に就任したのです。
 TWInsは、東京女子医大と早稲田大学の共同事業です。な
ぜ、早稲田大学と組んだかというと、岡野氏自身が早稲田大学の
出身であることと、大学の知名度が高かったからです。それに早
稲田大学には医学部はなく、コラボレーションを組む相手として
は最適と考えたからです。
 一方、小保方晴子氏は、2007年に早稲田大学大学院理工学
研究科修士課程在学中に研究テーマを変更しています。おそらく
大和雅之氏と知り合い、説得されたものと考えられます。それで
は大和氏がなぜ小保方氏を知ったかですが、それは大和氏の指導
役である林利彦教授の退職後に奉職したのが帝京平成大学であっ
たことに関係があると思います。なぜなら、この大学には、小保
方氏の母親の小保方稔子氏が学科長をしており、無関係ではない
からです。
 大和氏と知り合ってから、小保方氏の運命は大きく変わり始め
るのです。まず、2008年には「日本学術振興会特別研究員D
C1」という奨学金を獲得したことです。この特別研究員は、博
士課程取得後の研究職への就職率が抜群に良いといわれるもので
「DC1」というのは、博士課程に在学中の34歳未満の学生が
該当します。小保方氏の場合はこれに該当するのです。
 特別研究員DC1に採用されると、研究奨励金として月額20
万円を3年間支給され、その他に年間150万円以内の科研費も
支給されます。日本学術振興会特別研究員のサイトには次の記述
があります。
─────────────────────────────
 「特別研究員」制度は優れた若手研究者に、その研究生活の初
期において、自由な発想のもとに主体的に研究課題等を選びなが
ら研究に専念する機会を与えることにより、我が国の学術研究の
将来を担う創造性に富んだ研究者の養成・確保に資することを目
的として、大学院博士課程在学者及び大学院博士課程修了者等で
優れた研究能力を有し、大学その他の研究機関で研究に専念する
ことを希望する者を「特別研究員」に採用し、研究奨励金を支給
する制度です。            http://bit.ly/1LKGCgs
─────────────────────────────
 特別研究員になるのは多くの博士課程在籍の若手研究者が応募
しているので、かなりの難関であり、小保方氏にはそれだけの能
力があることが認められたことになります。もちろん、大和雅之
教授が推薦人であり、バックに岡野光夫教授の力もあるので、通
常の申請者よりも有利とはいえますが、小保方氏には通常の申請
者とは違う何かがあったと思われます。たとえ強いコネがあって
もそれだけで、取得できる奨学金ではないのです。
 小保方氏にとってこの特別研究員DC1の取得は、その後の彼
女の運命を大きく変えたのです。小畑峰太郎氏は次のように書い
ています。
─────────────────────────────
 大和の小保方に対する期待は大きく、2008年には小保方は
難関とされる日本学術振興会特別研究員DC1という奨学金(奨
励費)を獲得し、同年9月から文科省による大学院生を対象とし
たグローバルCOEプログラムを利用して短期語学留学の形で渡
米。ハーバード大学関連病院のヴァカンティ医師の下で働くこと
となる。ヴァカンティは、刺激による細胞の初期化説のアイデア
を指導し、小保方も研究を開始する。    ──小畑峰太郎著
      『STAP細胞に群がった悪いヤツら』/新潮社刊
─────────────────────────────
 大和雅之氏は、東京大学出身の理学博士ですが、本郷の理学部
ではなく、駒場の基礎科学の出身なのです。ここで大和氏は組織
工学の将来性に目覚めるのです。そのきっかけになったのが「サ
イエンス」誌に掲載されたチャールズ・バカンティの組織工学の
論文を読んだことです。ちょうどその頃、指導教授の林利彦教授
に岡野光夫教授を紹介されたのです。ここまでの記述で、岡野光
夫、大和雅之、小保方晴子、チャールズ・バカンティの5氏がす
べてつながったはずです。
 チャールズ・バカンティについて述べておきます。既に述べた
ように、バカンティはジョセフ、チャールズ、マーティン、フラ
ンシスの4兄弟で、すべて生体組織工学の分野の学者なのです。
 なかでもチャールズ・バカンティは、1995年10月に「バ
カンティマウス」で一躍有名人になります。なんと、マウスの背
中に人間の耳の形を作ったのです。これがBBCテレビで報道さ
れ、その視覚的に強烈なインパクトにより、バカンティと生体組
織工学は広く世に知られるようになったのです。
 特別研究員DC1を取得した小保方晴子氏は、チャールズ・バ
カンティ氏の下で研究に従事することになります。そのとき、バ
カンティの部下である小島宏司医師とも知り合い、一緒に研究を
行うようになったのです。STAP細胞の原型はここで生み出さ
れることになるのです。――── [STAP細胞事件/017]

≪画像および関連情報≫
 ●小保方氏の指導教授「バカンティ氏」は何者か
  ───────────────────────────
  ハーバード大のウェブサイトに掲載されているバカンティ教
  授の略歴を見ると、所属はブリガム・アンド・ウィメンズ病
  院の麻酔科長となっている。これだけでは再生医療と縁がな
  さそうだが、どういうことなのか。米ボストングローブ紙電
  子版が2014年2月2日、バカンティ氏の研究者としての
  歩みを詳しく報じていた。小保方氏らが「STAP細胞」の
  研究成果を発表して時の人となった直後の記事だ。麻酔科医
  であることから「競争が激しく、変化のスピードが速い幹細
  胞研究の分野で実質的には部外者」と紹介。だがむしろ専門
  外だからこそ、枠にとらわれずリスクを負える、また多くの
  研究者が過ちを恐れて研究成果を話したがらないのと比べて
  自ら進んでオープンにするタイプだと好意的に評している。
  バカンティ氏の名が知られたのは「耳マウス」の発表だ。マ
  ウスの背中に「人間の耳」がくっついている姿は一見ギョッ
  とする。これは、軟骨細胞をポリマーの「型」に入れて人工
  耳をつくり、マウスの皮下に移植したもの。組織工学の研究
  成果として、バカンティ氏が開発した技術のデモンストレー
  ションをしたのだという。幹細胞の研究者は実験しようと思
  わない領域にも飛び込んでいく一例として、ボストングロー
  ブが挙げた。           http://bit.ly/1J7TWMM
  ───────────────────────────

4人の人間関係.jpg
4人の人間関係
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2015年06月01日

●「STAP細胞はいつ実現できたか」(EJ第4045号)

 小保方晴子氏がグローバルCOEプログラムを利用して渡米し
たのは、2008年9月のことです。短期語学留学というかたち
だったのですが、大和雅之氏の手配によって、小保方氏は、ハー
バード大学関連病院のチャールズ・バカンティ医師の下で働くこ
とになるのです。大和氏とバカンティ医師は、かなり親密な関係
にあったからです。この留学は、バカンティ医師の希望によって
延長され、1年6ヶ月に及んだのです。
 このとき、小保方氏は、バカンティ医師より、次のヒントをも
らったのです。
─────────────────────────────
 分化した細胞でも、ストレスで初期化され、万能細胞になる
 可能性がある。     ──チャールズ・バカンティ医師
─────────────────────────────
 小保方氏は、このバカンティ仮説に基づいて同僚の小島宏司医
師と一緒に検証を行い、STAP細胞の原型を作り出すことに成
功したといわれています。
 刺激によって細胞の初期化が起きるのではないかということは
昔からよくいわれていたのです。ニンジンや大根などの植物では
細胞をバラバラにし、特殊な培養液を使って培養すると、初期化
に似た現象が起こり、根や茎、葉など植物の全体の構造を作るカ
ルスと呼ばれる細胞に変化することが知られています。
 動物では、イモリは傷つくなど外部からの刺激(ストレス)を
きっかけに細胞が万能細胞化して再生現象が起きるのです。した
がって、ヒトでもそれができるのではないかということがよくい
われていたのです。バカンティ医師は、成体内には小型の細胞が
極少数存在し、それが休眠状態の万能細胞ではないかという仮説
を唱えていたのです。
 小保方氏らは、さまざまな方法で、細胞に刺激を加える実験を
繰り返し、本当に幹細胞が出現するかどうかを探ったのです。こ
の実験について、ウィキペディアには次の記述があります。
─────────────────────────────
 小保方は(バカンティ医師の)研究室で、組織細胞をガラスの
細管に通して小型細胞を選別する実験を行った。この実験で小型
の幹細胞は取り出せるが、元の組織には幹細胞が観察されないこ
と、繰り返し細管に通すと少しずつ小型の幹細胞が出現すること
などを知った。
 小保方は「小さい細胞を取り出す操作をすると幹細胞が現れる
のに、操作しないと見られない。幹細胞を『取り出している』の
ではなく、操作によってそれが『できている』という考えに至っ
た」と話している。          http://bit.ly/1QeHlrz
─────────────────────────────
 2010年、小保方氏はバカンティ氏の研究室で、今までにな
い方法で、新しい万能細胞を発見できる確信を掴んで帰国したの
です。そして、大和雅之氏による働きかけにより、当時理研のC
DBのチームリーダーとして研究室を有していた若山照彦氏に実
験の協力を求め、同年4月から小保方氏は、若山研究室で実験を
することになります。もちろんこのとき小保方氏は、無給の研究
者として実験を行ったのです。
 ここで若山照彦氏という研究者について知っておく必要があり
ます。若山照彦氏といえば、世界ではじめてクローンマウスを実
現した人物として有名です。
 ドイツの発生学者のデヴォア・ソルター氏は、1984年に理
論的考察により、マウスのクローニングは不可能であるという論
文を書いたのです。しかし、若山氏は、ドリーの羊の誕生から考
えてもマウスでできないはずはないと考えて実験を行い、クロー
ンマウスの実現に成功したのです。これについて、既出の黒木登
志夫氏は、次のように書いています。
─────────────────────────────
 若山は、勤務時間外を利用してクローン・マウスに成功した。
核移植には、精巣のセルトリ細胞、神経細胞、卵丘細胞の3種の
細胞の核を用いたが、成功したのは卵丘細胞だけであった。卵丘
細胞とは、卵子の周りを囲み、卵子を保護し、糖代謝のできない
卵子に代わってエネルギーを補給している細胞である。卵丘細胞
から核を取って、核を抜いた卵子に注入したところ、2〜3%で
仔マウスが生まれ育った。クローン・マウスは、2年6ヶ月生存
した。ドリーの時のように、早死にしたり、テロメアが短縮する
ことはなかった。             ──黒木登志夫著
 『iPS細胞/不可能を可能にした細胞』/中公新書2314
─────────────────────────────
 若山氏について特筆すべきことは、マイクロマニピュレータの
名手であるということです。マイクロマニピュレータというのは
微生物や動植物細胞などに直接接触して処理(核の取り出しや移
植など)を行う装置のことで、若山氏はそれを操る魔法の手の持
ち主という評価があるのです。
 それでは、小保方氏が後にSTAP細胞と呼ばれることになる
新しい万能細胞の実現に成功したのはいつかというと、2011
年11月頃ではないかと思われます。そして、2012年4月に
小保方、若山、バカンティの連名で、ネイチャー誌に論文を投稿
したのですが、この論文は却下されています。
 そして、2012年12月に、竹市CDBセンター長は、小保
方氏をはじめて笹井芳樹氏に会わせるのです。この面接によって
小保方氏はCDBに正式に採用され、2013年に研究ユニット
リーダーに就任するのです。笹井氏によると、ユニットリーダー
は、最も小さい単位の研究リーダーであるということです。この
ときから、笹井芳樹氏は小保方氏のSTAP細胞論文の指導者に
なるのです。
 笹井氏ほどの人であれば、もしSTAP細胞が本当にインチキ
であるとしたら、当然そんなことは見抜いていたでしょうし、論
文の共著者などにはならなかったと思います。
           ――── [STAP細胞事件/018]

≪画像および関連情報≫
 ●クローン技術でマンモスも蘇る?!/若山照彦氏
  ───────────────────────────
  ──先生は、世界的に注目を集める実験をいくつも成功され
  特に「体細胞クローン」の研究では、最先端をいく研究者だ
  と伺っています。クローンというと、96年にイギリスで生
  れた羊の「ドリー」が有名ですが、クローンをつくる技術に
  ついては意外に知られていませんね。
  若山:そうかもしれません。動物のクローンとは、同じ遺伝
  子を持った個体を人工的につくることですが、その方法は2
  種類あります。一つは「受精卵」からつくり出す方法。分裂
  を始めた受精卵の細胞の核を取り出し、あらかじめ核を取り
  除いた別の卵子にその核を移植します。それを仮親の子宮に
  戻して、子どもを生せるのです。
  ──一つの受精卵から同じ遺伝子を持ったクローンをつくれ
  ますから、一卵性の子どもがたくさんできるということです
  ね。畜産の分野では、昔から使われている手法だと聞いてい
  ます。
  若山:その通りです。もう一つは、皮膚や筋肉など成体の体
  細胞を使う方法で、これを「体細胞クローン」と呼びます。
  核を取り除いた卵子に、それらの細胞から取り出した核を移
  植するものです。この方法で誕生したのが「ドリー」です。
                   http://bit.ly/1cn4BGm
  ───────────────────────────

若山照彦氏.jpg
若山 照彦氏
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2015年06月02日

●「STAP論文は本当に捏造なのか」(EJ第4046号)

 現在、おそらく世間一般の小保方晴子氏のイメージは、日本の
ベートーヴェンとして話題になった「佐村河内守風」になってい
ると思います。「上げて落す」マスコミの異様な「小保方バッシ
ング」は、かつての小沢バッシングに通ずるものがあります。そ
こに、何が何でも「潰してやる」という強い意思を感じます。
 しかし、小保方氏は本当にそういう研究者なのでしょうか。
 小保方氏が佐村河内守風のエセ研究者であるならば、そんな小
保方氏に「特別研究員DC1」を与えた日本学術振興会の高名な
先生方も騙されたということになります。それにSTAP細胞論
文がもし捏造であるならば、この論文が世に出るまでに小保方氏
を取り巻いていた錚々たるノーベル賞級の学者や研究者たちは、
そんなことも見抜けないレベルの学者ということになると思うの
です。STAP細胞事件に関する本を何冊も読んでみた結果、私
は小保方氏が捏造をするような人には思えないのです。
 そこで、STAP細胞事件の推移をていねいに伝えている毎日
新聞の須田桃子記者の著作から、バッシングが始まる前の小保方
氏の研究者としての資質の評価や論文(STAP細胞論文だけで
なく、卒論や博士論文を含む)内容の評価などにつき、いくつか
ピックアップしてみることにします。
 早稲田大学大学院で小保方氏を指導した常田聡早稲田大学先進
理工学部教授は次のように述べています。
─────────────────────────────
 卒論のテーマは、バクテリアを分離して培養する手法の開発。
当時の小保方氏は「考え方も行動も非常にユニークで、積極性の
ある学生」で、学会などでは著名な研究者とも臆せず交流する姿
が印象的だったという。
 小保方氏の博士論文で主査を務めたと言い、「非常に優れた博
士論文だった。彼女がまとめたのは研究の一部。もっと他にもい
ろいろな研究成果を残していたので、半ば冗談で、もう一つ博士
論文が書けるんじゃないか、そうしたら医学博士も同時にとれる
のでは、という話をしたことも覚えている」と振り返った。
            ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著
       『捏造の科学者/STAP細胞事件』/文藝春秋
─────────────────────────────
 常田教授は研究者としての小保方氏を高く評価しています。も
ちろんお祝いの言葉ですから、多少は褒め言葉は入っていると思
いますが、それを割り引いても高い評価であると思います。「彼
女の研究実績からすれば、もう1本博士論文が書ける」という表
現は、研究者としての実績を認めたコメントといえます。
 iPS細胞を使って移植用の血液や臓器の作製に挑む中内啓光
・東京大学教授は、発表前の小保方氏の論文を読んで、次の感想
を述べています。これは専門家の論文評価です。
─────────────────────────────
 「大発見ですよね。早速追試しようと思っているが、追試でき
るとしたら画期的だ。実用面と生物学的な面と、両方の意義があ
る。実用面では今回はマウスの成果だが、ヒトで同じことができ
れば面白い。再生医療で応用できる可能性もある。iPS細胞以
上に初期化され、全能性に近い性質を持つようになったわけだか
ら。生物学的には、ストレスを与えるだけで、こんなに簡単に全
能性に近い性質を得られるとすると、メカニズムはもちろん知り
たいし、なぜこの程度のストレスで?という疑問もわく。塩酸を
手にかけるのと同じことですからね」。「驚きの成果ですか」。
「そうですね。iPS細胞と同じくらい、いや、それ以上のショ
ックだ」。 ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著の前掲書より
─────────────────────────────
 確かに小保方氏以外の第3者がSTAP細胞の再現に成功して
いないというのは大きなネックです。しかし、この手の実験の再
現成功率は低いのです。発見者自身も何度も失敗を繰り返して、
少しずつ成功率を高めているのです。
 しかし、唯一STAP細胞の再現に成功した人がいるのです。
それは共同研究者の若山照彦氏です。STAP細胞に疑惑が出た
直後に須田記者は、甲府の山梨大学に若山教授を訪ねて、インタ
ビューしています。そのとき、STAP細胞の再現についても聞
いています。
─────────────────────────────
 ネイチャーの記事にあった通り、CDBを去る前の2013年
春、小保方氏から直接、作製方法を習ったときはSTAP細胞が
できたが、山梨大学では成功していないという。「酸性処理が難
しい。全滅するか、ほとんど死なないかのどちらかになってしま
う」。国内外で追試の成功例がなく、STAP細胞の存在そのも
のを疑う声もあることに触れると、若山氏の表情は意外にも少し
明るくなった。「今のような状況は予想していたし、それが研究
の世界の楽しいところというか、後になれば楽しい記憶になると
思う。(中略)iPS細胞は例外だが、すべての新しい発見は、
その後1年くらい誰も再現できなくて騒がれるのが当たり前。理
研も簡単だと言い過ぎたが、今できないと騒いでいるのは、技術
力というものを甘くみている連中だと思う。小保方さんが5年か
けてたどりついた成果に2〜3週間で追いつけるわけがない」。
      ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著の前掲書より
─────────────────────────────
 この時点で若山氏は、その先行きのことを何も心配していない
ようです。そういうことはよくあることであり、時間が解決する
といっているのです。しかし、今回はそうなっていないのです。
それに、論文撤回を最初にいい出したのはこの若山氏なのです。
 もっとも「小保方氏本人も再現実験に成功していないじゃない
か」という人も多いです。しかし、再現実験は非常にデリケート
な作業なのです。まして、指導者として尊敬していた笹井芳樹氏
が自殺し、小保方バッシングが強まるなか、わずか数ヶ月で再現
に成功しないからといって、それが論文内容の全面否定にはなら
ないと思うのです。  ――── [STAP細胞事件/019]

≪画像および関連情報≫
 ●「若山照彦問題を忘れるな」/山崎行太郎氏ブログより
  ───────────────────────────
  筆者にはどうしても、笹井芳樹氏が自身の生命を断ち、小保
  方晴子氏が自身の研究生命を失いかねないような、余りにも
  明白な捏造行為を意図的に行ったのだとはとても考えられな
  いのだ。即ち、STAP細胞とES細胞をスリ替えて意図的
  な捏造を行ったのは、断じて小保方晴子氏本人ではなく、故
  笹井芳樹氏にも恐らく責任など無い。2人共にそんな馬鹿げ
  た捏造を行う理由など何処にも無かったからである。つまり
  この悪意のスリ替えと意図的な捏造を行った張本人は別に居
  て、2人はその悪意の罠に嵌められたものとも考えられるの
  だ。実はSTAP細胞研究者中に唯一人だけ、極めて積極的
  にSTAP実験検証情報をNHK等マスコミに提供し、故笹
  井芳樹・小保方晴子両氏を徹底して追い詰めることに協力し
  てきた人物が居る。山梨大学の若山照彦教授である。彼こそ
  が、自身の功を焦ってSTAP細胞とES細胞を自分の研究
  室内で秘かにスリ替え、STAP幹細胞の作成とキメラマウ
  スの発生に成功した、と馬鹿なウソをついたか、或いは、何
  らかの意図か嫉妬心で小保方氏らを罠に嵌め、STAP研究
  の一切を台無しにしてしまったその張本人なのではないか?
  (彼の研究室でなら、それが可能な条件全部が揃ってた事を
  誰もが完全に見落としてないか?)。これは若山氏に対する
  単なる誹謗中傷ではなく、氏の小保方氏に対するマスコミを
  使った攻撃が余りにも執拗に、一方的に繰り返されている事
  への、妥当な反論として為されるべき議論である。
                   http://bit.ly/1FfF0Xi
  ───────────────────────────

常田聡早稲田大学先進理工学部教授.jpg
常田 聡早稲田大学先進理工学部教授
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2015年06月03日

●「小保方晴子は優秀な研究者である」(EJ第4047号)

 iPS細胞については、ノーベル賞を受賞したこともあって、
多くの書籍が出版されており、iPS細胞がどのようにして生ま
れたかについて知ることは容易です。
 しかし、STAP細胞については、何しろ発表後1ヶ月も経た
ないうちに疑惑が出てきたので、STAP細胞についてその発見
経緯を詳細を伝える書籍は出版されるはずもなく、むしろSTA
P細胞に対する疑惑や、その実験にかかわった人物の批判本ばか
りが出版されている始末です。
 それにしても、なぜ発表から1ヶ月も経たないうちに論文の内
容の疑惑が出てきたのでしょうか。それは、発表と同時に論文の
ミスを徹底的にチェックした人物、いや組織があったとしか考え
られないのです。それはSTAP細胞論文だけでなく、小保方氏
の博士論文にまで及び、その結果、画像のミスや他の文献からの
コピペにいたるまで、細かく指摘されているのです。
 学術論文にはこうしたミスはつきもので、それがあったとして
も何ら不思議ではないのですが、STAP細胞論文の場合、まる
であら探しをするようにそれをやった人物ないし組織があるので
す。あたかも、STAP細胞が世の中に認知されると困る組織が
あり、最初から「潰し」にかかっているとしか思えないのです。
これについては、改めて取り上げます。
 「STAP細胞はどのようにして生まれたのか」──これに応
えてくれるのが、須田桃子氏の著作の次の章です。
─────────────────────────────
   須田桃子著『捏造の科学者/STAP細胞事件』
    第4章 STAP研究の原点 P98〜118
                    文藝春秋刊
─────────────────────────────
 ここには、STAP細胞が生まれるまでの経緯がわかりやすく
かつ要領よくまとめられています。これを読むと、小保方氏がど
のようにしてSTAP細胞にたどりついたかがわかります。知ら
れざる話がたくさん載っているのです。
 須田桃子氏の本のこの部分の記述で分かったことがあります。
それは、小保方氏の留学の延長を強く希望したのは指導教授であ
るのチャールズ・バカンティ氏であり、留学延長に伴う全費用を
ハーバード大学側が負担したという事実です。
 そのきっかけは、小保方氏が教授から指示された仕事のプレゼ
ンを見事に果たしたことです。その仕事とは、骨髄を使う再生医
学などの最新の論文をまとめ、研究室内のミーティングで発表す
るというものでしたが、小保方氏は「1週間で200本以上」の
論文を読み込み、見事なプレゼンを行ったのです。
 バカンティ氏は小保方氏の仕事ぶりに惚れ込み、彼が2001
年に弟のマーティンと一緒に発表した「胞子様細胞」の論文の研
究に小保方氏を使うようになったのです。須田氏の本には、これ
について次の記述があります。
─────────────────────────────
 「ぜひ彼女の滞在を延長してほしい。彼女は素晴らしい研究者
になりつつあるので、共同研究を続けたい」。論文発表直後に記
者会見した常田聡教授によると、バカンティ氏から電話で打診さ
れたのは、小保方氏が渡米して数ヶ月経った頃だった。当初半年
の予定だった留学は2009年8月末まで延長された。それも後
半の5ヶ月分の費用はすべてハーバード大学側が提供するという
「破格の待遇」(常田氏)だった。小島氏によると、バカンティ
氏は自らブリガム病院の事務に電話で交渉し、小保方氏の雇用や
ビザを手配。博士号もない学生を雇用するのは無理だと説明する
事務のスタッフに、バカンティ氏はただ「分かっている。だが私
は彼女が必要なんだ」と言って電話を切ったという。
            ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著
       『捏造の科学者/STAP細胞事件』/文藝春秋
─────────────────────────────
 これからの小保方氏の仕事ぶりはすさまじいものがあったので
す。彼女は休日も含めほとんどの時間を研究室で実験に取り組み
空いた時間には、再生医学の授業や一流研究者のセミナーに参加
するなどの充実した日々を過ごしていたといいます。
 細胞にいかにして刺激を与えるか──小保方氏は、極細のガラ
ス管にマウスのさまざまな組織の破片を通して小さな細胞を分離
する実験に取り組んでいたのです。そこで小保方氏は、ある興味
ある現象を発見したのです。須田氏はこれについて次のように書
いています。
─────────────────────────────
 面白いことに、(ガラス管を通す)操作を行うとその細胞は出
てくるのに、操作しないとみられませんでした。操作をすればす
るほど細胞は増えてきたので、アイソレーション(分離)ではな
く、(新たに)できてきているのではないかと考えました。しか
も、脳や皮膚、筋肉、軟骨、骨髄など、マウスのあらゆる体細胞
を試しても、似たような細胞が採取できたのだという。
      ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著の前掲書より
─────────────────────────────
 極細のガラス管にマウスの組織の破片を通すと、小さな細胞に
分離するのですが、それらの細胞を培養すると、培養中に塊がで
きるものがあることに小保方氏は気が付いたのです。その塊を調
べると、万能細胞に特有の遺伝子の一つであるOct4が活発に
働いている塊があることがわかったのです。
 Oct4は、幹細胞で作られるので、これが出るいうことは、
幹細胞ができたことを意味するのです。それができたことがわか
るように、緑色に見えるよう緑色の蛍光たんぱく質を組み込んで
おくのです。このようにして、小保方氏はSTAP細胞に一歩一
歩近づいて行ったのです。バカンティ氏のいう胞子様細胞はバカ
ンティ氏のいうように、体内にあるのではなく、刺激によって作
られるものであることを小保方氏は発見したのです。これがST
AP細胞の原型です。 ――── [STAP細胞事件/020]

≪画像および関連情報≫
 ●バカンティによる「胞子様細胞」の論文
  ───────────────────────────
  論文では、既知の胞子様細胞には、ヒトを含む成体の特定の
  種類の幹細胞があり、これらは非常に小さく、非常に多能で
  その他の生物の細胞が分裂、成長、死亡するのに対して休眠
  した「胞子様」状態のままで留まっていると主張。更に休眠
  状態にも関わらず、この細胞は成長、分裂、そして他の細胞
  種に分化する能力を維持していると考えていた。2001年
  の論文は説明や証明が不十分で、研究は懐疑的に見られてお
  り、2011年に発表された多能性を検証した論文について
  も撤回すべき程の画像の修正や科学的な疑義が生じている。
  胞子様細胞は2001年にバカンティらによって初めて記述
  された。これらの大きさは極めて小さく(5マイクロメート
  ル未満)、休眠しているように見え、実質的に全ての体組織
  の柔組織全体にわたって分散している。休眠しているため、
  極めて低酸素の環境や極端な温度といったその他の厳しい環
  境でも生き残ると期待されている。(バカンティは、胞子様
  細胞が−86度Cで凍結させた後に解凍したり、85度Cで
  30分以上加熱しても生き抜くとしている。これらの独特な
  細胞が傷害や病気によって活性化されるまで休眠しており、
  病気あるいは損傷で失われた組織を再生する能力を有するこ
  とを、バカンティは信じていると論文に書いた。
           ウィキペディア http://bit.ly/1Fgw3gd
  ───────────────────────────

須田桃子氏の本.jpg
須田 桃子氏の本
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2015年06月04日

●「若山研究室に協力を依頼した理由」(EJ第4048号)

 ここで、STAP細胞はどのようにして作るかについて述べる
必要があります。STAP細胞のどこが捏造なのかを知るために
必要だからです。須田桃子氏の本を参照にして、なるべくわかり
やすく述べることにします。
 使うのは、生後一週間の赤ちゃんマウスです。このマウスに、
Oct4が働くと緑色の蛍光を発するように遺伝子操作をするの
です。Oct4は山中ファクターの一つでもあります。
 そのマウスの脾臓のリンパ球を取り出します。ここで「リンパ
球」が白血球の一種であることを覚えておいてください。それが
後で重要な意味を持ってくるからです。
 このリンパ球を30分ほど弱酸性の溶液に浸して刺激を与える
のです。小保方氏は、最初は極細のガラス管に何度も細胞を通し
たり、細胞膜に穴を開けるという物理的刺激を細胞に与えていた
のですが、試行錯誤のすえに弱酸性の溶液に浸すという比較的簡
単な方法を発見したのです。その方が成功の確率が高いのです。
 そして培養を続けると、多くの細胞は酸の刺激で死んでしまう
のですが、2日後から生き残った細胞のなかに緑色に光る細胞が
現れ始めるのです。その細胞は元のリンパ球の半分程度に小さく
なり、お互いにくっつきながら、7日ぐらい経過すると、数10
個から数1000個の塊をつくるようになります。
 弱酸性の刺激に耐えて生き残る細胞は約25%、そのうち、緑
色に光るのは約30%、つまり、最初の細胞全体の7〜9%の細
胞でOct4が働くようになるというのです。
 ここからの作業は、緑色に光る細胞が果して万能性を獲得する
かの確認です。試験管のなかで環境を整えて培養すると、神経や
筋肉、腸管上皮などさまざまな組織の細胞に分化するのが確認で
きたといいます。
 これを生きたマウスに移植すると、さまざまな組織の細胞の混
ざった良性の腫瘍ができることを確認しています。この腫瘍のこ
とを「テラトーマ」といいます。注目すべきことは、テラトーマ
を作る実験では50例中、がん化するものは1例もなく、がん化
が心配されるiPS細胞との違いを強調しています。
 さらに決定的な証拠にするため、細胞をマウスの受精卵に注入
し、それを仮親マウスの子宮に戻すと、STAP細胞由来の細胞
が全身に散らばったマウスが生まれるのです。これを「キメラマ
ウス」と呼びます。これができたということは、STAP細胞に
多能性があることの決定的な証明になります。
 このキメラマウスを作る実験で注目されたことは、胎児に栄養
を送る胎盤や卵黄膜といった組織にも、STAP細胞由来の細胞
が混じっていることが確認できたことです。ES細胞やiPS細
胞は胎盤には変化しないからです。
 以上の一連の実験プロセスは、添付ファイルを参照してくださ
い。須田桃子氏の本に掲載されている図です。
 STAP細胞事件のかぎを握るのは、若山照彦山梨大学生命環
境学部教授であるといえます。STAP細胞論文の主要なデータ
は小保方氏がCDB内の若山研究室にいた間に出揃っており、キ
メラマウスができたのも若山研究室であったからです。つまり、
STAP細胞が実現し、その存在が確認でき、証明されたのが若
山研究室であるといっても過言ではないからです。
 不可解なのはその中心人物である若山教授がSTAP細胞論文
の撤回を最初に呼び掛けたのです。2014年3月のことです。
中心人物が論文に疑惑を持ったのですから、小保方氏は、非常に
不利な立場に追い込まれたのです。
 それでは、小保方氏はどのようにして若山教授と会い、一緒に
STAP細胞の実験をするようになったのでしょうか。
 小保方氏が若山教授に会ったのは、大和雅之東京女子医大教授
と小保方氏の指導者である常田聡早稲田大学教授、それとバカン
ティ研究室の同僚である小島宏司医師の4人で、神戸市のCDB
で若山教授に会ったのです。2010年7月のことです。
 「STAP細胞由来のキメラマウスを作ってほしい」──これ
が小保方氏の願いだったのです。自分では、実験でOct4の働
きが出たり、出なかったりの繰り返しで、確信が持てなかったの
です。そこで、この分野では世界一の若山教授に実験してもらえ
れば、もしできなくてもあきらめがつくと考えたのです。
 若山教授は快諾してくれたのです。実験について、いろいろ打
ち合わせたときの小保方の印象を次のように述べています。
─────────────────────────────
  博士課程3年にしては、知識があり、相当勉強している
                   ──若山照彦教授
            ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著
       『捏造の科学者/STAP細胞事件』/文藝春秋
─────────────────────────────
 それからというもの、小保方氏は、東京の東京女子医大の大和
研究室でSTAP細胞を作ると、新幹線に乗ってそれを神戸市の
CDB内の若山研究室に運び、若山氏がその細胞でキメラマウス
づくりに挑戦するという日々が続いたのです。しかし、なかなか
キメラマウスは成功しなかったのです。
 結局、東京と神戸間を往復する実験は無理があるとして、小保
方氏が若山研究室に客員研究員として参加することになったので
す。ところが2011年春に博士号を取得した小保方氏は、4月
からはバカンティ氏の要請により、ハードード大学にポスドクと
して籍を置きながら、ボストンと神戸を往復しながら実験を続け
たのです。このさいの渡航費や神戸で滞在するホテル代などの費
用は、全額ハーバード大学のブリガム病院から支出されていたと
いいます。バカンティ氏の執念をそこに感じます。
 若山教授もキメラマウスを作るのにいろいろ努力したのです。
受精卵に細胞を入れるさいも若山氏しかできない高等テクニック
を使ったり、いろいろ工夫を重ねたのです。2011年11月に
は今までとは違う方法で挑戦してみたところ、それは見事に成功
したのです。     ――── [STAP細胞事件/021]

≪画像および関連情報≫
 ●後味の悪い幕引き/STAP細胞事件
  ───────────────────────────
  @「理研はなんと、小保方氏がES細胞を盗んだと言い始め
  た!」。2015年2月10日、理研は小保方氏がES細胞
  を盗んだ疑いがあると発表しました。そして、小保方氏の弁
  護士は反論していません。非常に後味の悪い記者会見です。
  小保方氏の上司・笹井氏の自殺(?)の後の、理研の対応は
  小保方氏一人にすべての罪をなすりつけて、自分たちは責任
  を逃れようという卑怯なものです、到底、許されません!理
  研がこのような発表をすると、STAP細胞というのはウソ
  で、小保方氏がつくったとされるSTAP細胞試料に彼女が
  密かにES細胞を混入させて、それをSTAP細胞とごまか
  したとわれら国民は理解します。一方、理研も国民がそのよ
  うに受け取ることを期待しているように感じられます。それ
  に対して、小保方氏が反論しないと、理研の言い分を小保方
  氏が認めたことになります。ちょっと信じられません。この
  ような流れは・・・。理研はどこまで国民をなめているので
  しょうか。
  AES細胞研究の世界的権威であった笹井氏が、小保方氏の
  つくったSTAP細胞がES細胞だったと間違えるはずがな
  い!」。上記、理研のシナリオに従えば、小保方氏のつくっ
  STAP細胞は実は盗んだES細胞であり、それをES細胞
  研究の世界的権威である笹井氏がウソを見抜けず、小保方氏
  にだまされたということになります。
                   http://bit.ly/1PYfAIP
  ───────────────────────────
 ●図の出典/毎日新聞科学環境部/須田桃子著前掲書より

STAP細胞の作製と実験.jpg
STAP細胞の作製と実験
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2015年06月05日

●「STAP細胞は3つに分けられる」(EJ第4049号)

 CDB時代の若山照彦グループリーダーは、STAP細胞には
相当強い関心を持っていて、小保方氏に協力し、いろいろな実験
をやっています。あるとき、若山氏は、STAP細胞を受精卵に
入れるやり方を変更し、なるべく細胞に負担をかけないように入
れて、仮親マウスの子宮に移植してみたのです。
 それから20日後に仮親マウスの子宮を帝王切開してみると、
全身が緑の蛍光を発する複数の胎児ができていたのです。緑に光
るのは、それが注入したSTAP細胞由来のものであることを示
しており、STAP細胞が万能性を持つものであることを示す証
明になります。
 横で涙を浮かべて喜ぶ小保方氏に「おめでとう」と祝福しなが
らも、それまでの自分のやった工程を振りかえり、何か間違えた
のではないかとていねいにチェックしたのです。そのうえで、同
じ実験をもう一度繰り返したのです。彼は2回連続で成功しない
限り成功だとは思わないのです。ところが、次の実験も成功だっ
たのです。これで少なくとも工程にミスはなく、成功は間違いな
いものになったのです。
 続いて、若山研究室はSTAP細胞の幹細胞化に取り組んでい
ます。それはSTAP細胞には万能性はあるのですが、ES細胞
やiPS細胞のように自己増殖能がないのです。これは小保方氏
が若山研究室に来たときからてから取り組んでいたのですが、ど
うしてもできなかったのです。
 若山氏によると、キメラ実験をやるときに残った細胞でやって
みたところ、簡単にできたというのです。具体的にいうと、ES
細胞の培養に適した培地を使ってSTAP細胞を培養したところ
STAP細胞幹細胞ができたのです。さらにこの細胞を使ったキ
メラマウスも生まれ、これでSTAP細胞はES細胞やiPS細
胞と同等の万能性を持つことが確かめられたのです。
 さらにES細胞やiPS細胞ではできないこともSTAP細胞
ではできることを若山研究室では確かめています。それは、ST
AP細胞が胎児だけでなく、胎盤にも分化するという発見です。
これは大変なことなのです。若山研究室の関係者は、そのときの
ことを次のように述べています。
─────────────────────────────
 小保方さんが持ってきた試料を見ると、確かに胎盤が光ってい
るので皆「おおっ」と驚きました。でも、胎児の血液が流れ込ん
で光っている可能性もあるので、ちゃんと胎盤の切片を作って分
析すべきだ、と数人が指摘しました。そうしたら彼女が後から、
「Oct4─GFPがポジティブ(陽性)でした」と報告してき
たのです。       ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著
       『捏造の科学者/STAP細胞事件』/文藝春秋
─────────────────────────────
 現在では「STAP細胞はなく、その正体はES細胞である」
ということになっていますが、もし上記の若山研究室の関係者の
話が本当であるとすると、ES細胞やiPS細胞では胎盤には分
化しないので、STAP細胞はES細胞ではなく、やはりSTA
P細胞は存在したということになるのです。
 この若山研究室の実験でもわかるように、STAP細胞には次
の3種類があります。
─────────────────────────────
  1. STAP細胞
     ・万能細胞であるが、自己増殖能はない
  2.STAP幹細胞
     ・万能細胞であり、かつ自己増殖性あり
  3.  FI幹細胞
     ・2に加え胎児と胎盤の両方に分化する
─────────────────────────────
 若山研究室は、ES細胞やiPS細胞以外の3つの万能細胞の
存在を確かめています。
 「1」は、動物の分化した細胞に弱酸性溶液に浸すなどの外的
刺激(ストレス)を与えて、再び分化する能力を獲得させたとさ
れる細胞がSTAP細胞です。この細胞をもたらす現象のことを
STAP現象といいます。
 「2」はSTAP細胞に増殖能を持たせたもので、これでES
細胞やiPS細胞と肩を並べたことになります。これをSTAP
幹細胞といいます。
 問題なのは「3」の「FI幹細胞」です。もし、STAP細胞
が胎児だけでなく、胎盤にもなれるとすれば、いわゆるES細胞
やiPS細胞などの多能性細胞を超える「全能性細胞」であるか
もしれないからです。
 もし、それが人間でも作成でき、それが全能性を持つとすると
それを子宮に移植することにより、人間そのものができてしまう
ことになるからです。これは、当然倫理上の問題が出てくること
になります。
 このFI細胞のことはあまり表面には出てきていないのですが
須田桃子氏の本には次の記述があるのです。
─────────────────────────────
 2O12年5月ごろ、若山氏は、STAP細胞とは別種の幹細
胞を樹立することにも成功した。胎児と胎盤の両方に分化する能
力を残したまま自己増殖能を併せ持つ「FI幹細胞」だ。若山氏
によれば、研究室内で小保方氏らと議論している中で、「胎盤に
も分化する幹細胞を作ったらより研究の価値が高まるのではない
か」という意見が出たことが樹立のきっかけとなったという。
      ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著の前掲書より
─────────────────────────────
 小保方氏は若山研究室でここまでの実験を行い、成功している
のです。論文に必要なデータは、若山研究室でほぼすべて揃った
ことになるのです。小保方氏にとって、そのグループリーダーの
若山照彦氏がSTAP細胞の否定に最初に立ち上がるとは思って
もみなかったと思います。―── [STAP細胞事件/022]

≪画像および関連情報≫
 ●STAP問題を考える/STAP/FI/TS???
  ───────────────────────────
  2014年6月3日、登録されたFI幹細胞のデータを理化
  学研究所の遠藤高帆氏が解析した結果、論文で用いられたマ
  ウスの系統(FI)ではない系統(B6、CD1)の混入が
  認められ、それらは多能性幹細胞であるES細胞と栄養膜幹
  細胞であるTS細胞が混ざり合ったものである可能性が高い
  との報道がなされた。FI幹細胞はSTAP細胞を特殊培養
  液下で培養して得られたものであり、そのデータを取る実験
  には複数の者が関わっている。従って、仮に実験試料の混入
  があったとしても、どの段階で混入が起こったかというのは
  明確でない。また、ES細胞とTS細胞が均質に混ざり合っ
  た一つの塊をつくるのは、経験上困難ということを、共著者
  の丹羽氏が4月7日の会見にて証言している。加えて、FI
  幹細胞を用いてキメラマウスの作製が行われているが、FI
  系統マウス由来の細胞を用いた場合のマウス毛の色と、B6
  系統由来のES細胞と、CD1系統由来のTS細胞が混ざり
  合ったものから出来るマウスの毛の色は異なることから、万
  が一、FI幹細胞の全てがそのような混ざりものだとしたな
  らば、生まれてきたキメラマウスの毛の色を見た段階で若山
  氏が気づくはずである。      http://bit.ly/1GToO3e
  ───────────────────────────
 ●図の出典/STAP問題を考える http://bit.ly/1GToO3e

STAP細胞関連実験の流れ.jpg
STAP細胞関連実験の流れ
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2015年06月08日

●「STAP論文はどう構築されたか」(EJ第4050号)

 2012年4月下旬のことですが、若山研究室は倫理委員会に
「ヒトSTAP細胞作製の実験計画」を提出したのです。若山照
彦氏は、同年3月末をもって山梨大学生命環境学部教授に転出し
たのですが、若山研究室は残っており、研究室自体が転出したの
は、その1年後のことです。
 そのとき、小保方氏も一緒に委員会に出席し、それまでのマウ
スでの成果について発表したのです。CDBの幹部がSTAP細
胞のことを知ったのは、このときがはじめてです。
 この委員会に出席していた竹市雅俊CDBセンター長と、西川
伸一副センター長はそのときの印象を次のように述べています。
─────────────────────────────
 ◎竹市雅俊CDBセンター長
  すごく衝撃的な発見だと思ったことは事実だが、キメラマウ
  スを作ったという決定的な証拠があり、一瞬で信用した。疑
  わなかった。
 ◎西川伸一CDB副センター長
  疑ったことは一度もない。データを見れば明らかだ。
            ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著
       『捏造の科学者/STAP細胞事件』/文藝春秋
─────────────────────────────
 2012年10月、CDBはPI(研究室主宰者)の公募をは
じめたのです。そのとき、公募人事に関する非公式の幹部会議で
小保方氏の名前が上がり、西川副センター長を介して小保方氏に
応募の打診があったといいます。理研として異例のことです。
 同年12月21日、人事委員会によって小保方氏の面接が行わ
れ、小保方氏はこれまでの研究成果をふまえて今後の実験計画を
発表しています。このとき、笹井芳樹氏は竹市センター長の命を
受けて小保方氏の面接に立ち会っています。笹井氏はこのとき小
保方氏とはじめて会ったのです。
 面接の結果、竹市センター長は野依良治理事長に対し、小保方
晴子氏を研究ユニットリーダーとして推薦し承認されるのです。
このとき、応募者47人中、小保方氏を含む5人が採用されてい
ます。2012年12月21日のことです。
 正式にCDBに採用された小保方氏は、彼女の実験棟が完成す
るまで、笹井研究室に所属し、小保方氏の論文作成の助言役とし
て、笹井氏と丹羽仁史プロジェクトリーダーがサポートすること
になったのです。そして2013年3月、笹井氏は、CDB副セ
ンター長に就任するのです。
 小保方氏にとって、2012年は3回も論文のリジェクトを受
けており、論文作成に自信を失いつつあったのです。そこに強力
な2人の助っ人がついたのです。この時点で、STAP細胞プロ
ジェクトは、山中教授のiPS細胞に対抗するCDBの重要なプ
ロジェクトになり、国際特許出願を2013年4月に控えていた
ので、論文作成の時間はきわめて限られていたのです。
 小保方氏の論文をはじめて読んだ笹井氏は、そのあまりの稚拙
さに言葉を失ったといいます。「まるで火星人の論文だ」と笹井
氏は関係者に伝えたそうです。つまり、小保方氏は自分の実験結
果を論文としてまとめる力が弱かったのです。日本語ならともか
く、英語でまとめるのですから、なおさらのことです。
 このことは私も体験しています。私はあるIT企業の新人教育
を担当していますが、いまどきの大学生の日本語文章力にはやは
り稚拙さを感じます。彼らは誰からも文章力の指導を受けていな
いからです。企業に入社としても多くの場合、その上司自体の文
章力にも難があり、とても指導できるレベルではないのです。
 自分の母国語でコンセプトをきちんとまとめられないものを英
語でまとめることは困難です。しかし、笹井氏といえば、科学論
文づくりの達人としてその名を知られており、STAP論文を全
面的に書き直すつもりで取り組んだのです。
 このときの笹井氏のことを須田桃子氏は、自著で次のように書
いています。
─────────────────────────────
 ネイチャーに再投稿する主論文(アーティクル)のたたき台は
わずか一週間後の12月28日に完成。さらにレターと呼ばれる
2本目の論文の執筆も着々と進められた。ある関係者は、「論文
執筆過程で、笹井氏の思い入れは増幅していった」と指摘する。
 2013年2月1日、笹井氏は関係者へのメールで、小保方氏
が弱酸性溶液に浸して刺激を与えたリンパ球の変化を顕微鏡下で
録画する「ライブイメージング」を実施したことを報告。万能性
に特有の遺伝子が活性化し、細胞が緑に光り始め、やがて塊を作
っていく様を動画で目の当たりにした笹井氏はメールに「驚くほ
ど高頻度に(変化する細胞が)出現し、感動的でした」と記した
という。「彼がメールで『感動的』なんて言ったのは初めてだ」
(関係者)。──毎日新聞科学環境部/須田桃子著の前掲書より
─────────────────────────────
 論文の分担は次のように決められ、それぞれ毎日遅くまで論文
作りに没頭したのです。
─────────────────────────────
   1.主論文/アーティクル
     ・小保方晴子、チャールズ・バカンティ
     ・共著者/小島宏司、大和雅之、丹羽仁史
   2.2本目の論文/レター
     ・小保方晴子、若山照彦、笹井芳樹
     ・共著者/丹羽仁史
─────────────────────────────
 論文は、2013年3月10日にネイチャー誌に再投稿された
のです。「STAP細胞(刺激惹起性多能性獲得細胞)」という
言葉は、このときはじめて使われています。そして同年4月24
日に国際特許を出願しています。
 論文が晴れてネイチャー誌に掲載されたのは、2014年1月
30日のことです。   ―── [STAP細胞事件/023]

≪画像および関連情報≫
 ●STAP論文に山中教授/「なぜあのような論文が・・」
  ───────────────────────────
  山中教授がSTAP細胞問題に言及したのは理研の検証実験
  の終了後、初めて。STAP細胞問題について「原因は当事
  者でないと分からない。なぜ、あのような論文が発表されて
  しまったのか不思議で、本当に理解できない」と語った。山
  中教授は平成18年にiPS細胞の作製を発表した際、自身
  の実験結果を「疑ってかかった」と話す。実験担当者に何度
  も確認し、別の研究者に再現してもらったという。「それで
  ようやく、再現性は間違いないだろうと発表した」と述べ、
  常識を覆すような研究は特に慎重な確認が求められるとの認
  識を示した。またSTAP細胞問題などを受け、所長を務め
  る京大iPS細胞研究所で研究不正を防ぐ新たな取り組みを
  始めたことを明らかにした。実験ノートを提出しない場合は
  研究不正と見なすほか論文が科学誌に受理された段階で、図
  表の生データを知財部で管理・点検するようにしたという。
  山中教授は「(指導する)個人に任せるのではなく、組織と
  して(不正を)未然に防ぐ体制を敷いていくしかない。理想
  論では無理だ」と話した。(黒田悠希)
                   http://bit.ly/1FYOsSa
  ───────────────────────────

2人のSTAP論文作成の助っ人.jpg
2人のSTAP論文作成の助っ人
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2015年06月09日

●「掲載承認まで9ヶ月を要した論文」(EJ第4051号)

 STAP論文は、2013年3月10日にネイチャー誌に送付
されましたが、ネイチャー誌から「採択する」という返事がきた
のは、2013年12月のことです。それまで、厳しいコメント
や追加データの要求があり、それをクリアするための膨大な実験
を積み重ね、何回もの論文の改定をしているのです。
 そのもう2つ分の論文が書けるほどの実験を小保方氏は、笹井
氏や丹羽氏と相談しながらこなしているのです。それらの実験は
小保方氏の実験室だけでなく、笹井研究室も使って行われていま
す。それにはCDBならではの研究環境が大いに役立ったと笹井
氏は述懐しています。
 実験で一番大変だったのは、次の2つのポイントをクリアする
ことです。この2つは、丹羽仁史プロジェクトリーダーから、小
保方氏に出された指示だったのです。
─────────────────────────────
 1.既に体内に存在していた幹細胞ではなく、新しく初期化
   された幹細胞であることを証明する。
 2.STAP現象が実験の手違いや他の現象の見間違えでな
   いというだめ押し的証明を行うこと。
            ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著
       『捏造の科学者/STAP細胞事件』/文藝春秋
─────────────────────────────
 この実験について、笹井芳樹氏は、須田桃子氏に対して次のよ
うなメールを送っています。あくまでもメインは小保方氏のアイ
デアなのですが、この時点でSTAP論文は、小保方氏の論文と
いうよりも、笹井研究室の論文になっていたといえます。
─────────────────────────────
 これ(上記1と2)を、若山研以外の研究環境も最大限生かし
ながら、後半は私のラボでも実験しながら、2013年3月に全
く新たに生まれ変わった論文に仕上げた訳です。これは、1年前
の論文の書き換えではなく、全く一から書き直しました。しかも
前回と違い、今回は二報分(二本分)のネイチャーの論文として
です。これでも不採択から一年弱ですから、これまた小保方さん
の研究集中力の凄まじさが判ると思います。もちろん、これは、
CDBならではの研究環境が助けになったとは思います。
      ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著の前掲書より
─────────────────────────────
 この記述を見ると、STAP論文ができるまでにはネイチャー
誌からの追加データの要求やそれに基づく論文の改訂作業が何回
もあったのです。
 追加データを提供するには、そのための実験を行わなければな
らず、それらの実験は小保方氏の実験室だけではなく、笹井研究
室でも行われています。STAP細胞の研究は、小保方、笹井、
丹羽の3氏による共同研究のようになっていたのです。
 もし、理化学研究所の結論である「STAP細胞の正体はES
細胞である」が正しいとすると、小保方氏はES細胞の権威であ
る笹井氏や幹細胞の権威である丹羽氏の目を盗んで、ES細胞を
盗み出し、2人の専門家の目を欺いたことになります。
 しかも、ES細胞はどの研究者でも自由に使えるようになって
いたのではなく、責任者によって厳重に管理されていたのです。
そんなものをCDBの研究ユニットリーダーになったとはいえ、
新参者の小保方氏が簡単に盗み出せるはずがないのです。
 百歩譲って、ES細胞のコンタミ(混入)があったとしても、
ES細胞に詳しい笹井氏が気が付かないはずがないのです。なに
しろ、彼は実験に基づいてネイチャー誌に提供する追加データを
検証していたのですから、コンタミに気が付かないはずがないし
笹井氏自身も「コンタミはない」と明言しているのです。それに
丹羽氏も「STAP細胞=ES細胞」説を否定しています。
 ところで、小保方氏が早稲田大学から博士号を取得したのは、
2011年の春のことです。それ以来、ハーバード大学にポスド
クとして籍を置きながら、CDBの若山研究室の客員研究員とし
て、神戸とボストンを往復しながら、ひたすら後にSTAP細胞
と呼ばれる細胞の研究に取り組み、2012年には3本の論文を
有名科学雑誌に投稿しているのです。したがって、博士論文を含
め、論文の内容は一貫して同じ研究なのです。
 小保方氏が2012年に投稿した科学誌は次の通りです。なお
共著者は、チャールズ・バカンティ医師と弟のマーティン・バカ
ンティ医師、若山照彦教授、大和雅之教授、バカンティ研究室の
小島宏司医師などです。
─────────────────────────────
    2012年4月 ・・・ ネイチャー誌/却下
    2012年6月 ・・・    セル誌/却下
    2012年7月 ・・・ サイエンス誌/却下
─────────────────────────────
 科学誌が論文を掲載するかしないかの判断は、雑誌社が指定す
る査読者のコメントによって影響を受けます。論文の投稿者は査
読者を自分では選べませんが、査読して欲しくない人を編集部に
伝えることはできるのです。面白い決まりであると思います。小
保方氏が外してほしい査読者として上げたのは、次の2人です。
─────────────────────────────
    ◎小保方晴子氏が指定した外してほしい査読者
     1.        山中伸弥京都大学教授
     2.ルドルフ・イェーニッシュ米MIT教授
      ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著の前掲書より
─────────────────────────────
 これを見ると、小保方氏が山中伸弥教授のiPS細胞にいかに
対抗心を持っていたかがわかります。査読者のコメントは、論文
作りの稚拙さを指摘しているもののほか、最初からその種の細胞
の存在に懐疑的な立場に立ってのコメントが多く、論文に対する
否定的な意見が多かったのです。これでは却下されるのは当然の
ことです。       ―── [STAP細胞事件/024]

≪画像および関連情報≫
 ●STAP論文の査読コメントについて
  ───────────────────────────
  なぜ研究不正が起きたのか、その範囲はどこまでに及ぶのか
  が焦点になっていますが、別の段階の問題として、なぜその
  ような論文がネイチャー誌に掲載されたのか、ということも
  あります。このことについて、ある2通のメールがリークさ
  れました。2012年にサイエンス誌が、STAP論文をリ
  ジェクト(掲載拒否)したときの査読コメント、そして20
  13年にネイチャー誌がリバイズ(修正)を要求したときの
  査読コメントです。そもそもネイチャー誌やサイエンス誌に
  限らず、学術雑誌に論文が掲載されるときには、近い分野を
  専門にする第三者の研究者が論文を精読し、論旨に不備がな
  いかなどをチェックすることがほとんどです。これを「ピア
  ・レビュー(査読)」と呼び、査読する研究者はレビュアー
  またはレフリーと呼ばれています。雑誌の編集部は査読を参
  考にして論文を掲載するか、リジェクトするか、あるいは論
  文著者に修正を依頼するかを判断します。このような過程が
  あることで、掲載される論文の品質を一定以上に保つことが
  できると言われています。あらかじめ断っておきますが、修
  正の要求やリジェクトは一般的に行われていることで、修正
  要求やリジェクトされたものはすべて捏造である、というわ
  けではありません(漫画家や小説家が編集部からいろいろ要
  求されるようなものに近い)。問題なのは、指摘された部分
  のほとんどが修正されず(しかも研究不正を指摘したものも
  あるにも関わらず)、最終的にネイチャー誌に掲載されてし
  まったことです。         http://bit.ly/1Gsn2Ym
  ───────────────────────────

ネイチャー誌掲載のSTAP論文の一部.jpg
ネイチャー誌掲載のSTAP論文の一部
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2015年06月10日

●「iPSを意識した最初の記者会見」(EJ第4052号)

 小保方晴子、笹井芳樹、丹羽仁史の3氏の手になるSTAP論
文が再構築され、ネイチャー誌に投稿、実際に同誌に掲載される
までの流れを示しておきます。
─────────────────────────────
 ◎2013年3月10日
  ・STAP論文をネイチャー誌に対し投稿
 ◎2013年3月13日
  ・米国特許庁へSTAP細胞の仮出願
 ◎2013年4月24日
  ・米国特許庁へ国際出願
 ◎2013年4月〜11月
  ・ネイチャー誌からの追加データ要請などによる論文改訂
 ◎2013年12月
  ・ネイチャー誌より「論文アクセプト」の連絡
 ◎2014年1月28日
  ・小保方、笹井、若山3氏によるSTAP細胞の記者会見
 ◎2014年1月30日
  ・STAP論文ネイチャー誌に掲載される
─────────────────────────────
 論文などを掲載する科学誌は、投稿された論文をその内容に詳
しい専門家を査読者として選定し、その査読コメントを参考に、
論文の掲載に関して次の3つのいずれかの決定を行います。
─────────────────────────────
          1.掲載を決定する
          2.掲載を拒否する
          3.修正を要求する
─────────────────────────────
 STAP論文は「3」の決定がなされ、追加データの要求やそ
れに伴う論文の改訂を何回も積み重ねて掲載決定にいたっていま
す。それだけに理研としては論文内容に自信を持っており、その
証拠に直ちに米国特許庁へ国際出願を行っているのです。国際出
願をするには、単にその手続きをするだけでなく、発明項目への
いくつかの追加項目の記載が必要になるのです。須田桃子氏の本
には、次の記述があります。
─────────────────────────────
 特許業務法人津国の小合宗一弁理士によると、国際出願の際に
は、STAP幹細胞を作製する方法や、STAP細胞が胎盤にも
分化する性質などが、発明項目の中に追加された。また、細胞に
与える刺激の具体的な内容は、機械的刺激や超音波刺激、化学的
暴露、酸素欠乏、放射線、極端な温度、粉砕、浸透圧低下・・・
など多岐にわたった。  ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著
       『捏造の科学者/STAP細胞事件』/文藝春秋
─────────────────────────────
 この記述で注目されるのは、細胞に刺激を与える方法は弱酸性
の溶液につけるだけでなく、他のさまざまな方法が加えられてい
ることです。STAP細胞再現の可能性を高めるための要請であ
ると思われます。
 1月28日の理研CDBの記者会見は、華やかなものであり、
その発表内容は、世界中を驚愕させたといっても過言ではないと
思います。まして発表者の中心人物が小保方晴子氏という妙齢の
女性研究者であったことや、脇を固める2人の研究者がES細胞
の権威である笹井芳樹氏、クローンマウスの作成者として名高い
若山照彦氏というベストメンバーであったからです。
 しかし、その発表内容は、多分にノーベル賞を受賞した山中伸
弥教授のiPS細胞を強く意識するものになったといってよいと
思います。そこで強調されたことは次の3つです。
─────────────────────────────
   1.iPS細胞よりも簡単に作成可能であること
   2.リンパ球に刺激を加えて作るので簡単である
   3.iPS細胞のようにがん化の恐れがないこと
─────────────────────────────
 これらはいずれもiPS細胞との違いが意識されたものである
ことは確かです。しかし、この会見で「簡単に」が強調されるこ
とで、CDBはさらに追い込まれることになります。疑惑解明の
ための再現実験をせざるを得なくなり、それがなかなか成功しな
かったからです。
 2014年1月30日付の毎日新聞のトップ記事は、次の見出
しになっており、iPS細胞を意識したものになったのです。
─────────────────────────────
 ◎万能細胞 初の作製
   簡単 がん化せず/マウスで「STAP細胞」命名
         ──2014年1月30日付の毎日新聞より
─────────────────────────────
 さらに記者会見では、添付ファイルの資料が配付され、笹井氏
より説明があったのです。ここでは、はっきりとiPS細胞とS
TAP細胞が比較さされています。
 左端の鎖でがんじがらめに縛られた人間は、分化した体細胞を
表しています。STAP細胞の場合はその鎖が細胞外刺激によっ
て簡単に解かれ、後は走って(簡単に)赤ちゃんに戻るさまが描
かれています。
 これに対しiPS細胞では、人間は鎖がついたまま牛によって
引きずられ、強制的なリプログラミングによって、赤ちゃんに戻
されるイラストが描かれています。
 iPS細胞の部分の「2w─3w」は、作製にかかる時間のこ
とで、2週間から3週間かかり、作製効率は0・1%であること
を示しています。それがSTAP細胞の場合は「2d─3d」で
2〜3日で作製され、作製効率も生き残った細胞の30%と非常
に高いということを訴える図になっています。どうみても露骨に
STAP細胞の優位性を強調しているペーパーです。
            ―── [STAP細胞事件/025]

≪画像および関連情報≫
 ●小保方晴子が愛するSTAP細胞/エッセイ42
  ───────────────────────────
  私は、国内外の大学や研究所で基礎生物学関連の研究をやっ
  てきました。小保方晴子さんの研究分野と正確には重なりま
  せんが、同じような細胞を扱ってきました。このエッセイ評
  論で、小保方さんの研究を吟味します。研究者は聖人ではあ
  りません。普通の人間です。研究所内部のいろいろな人間模
  様が、研究に大きな影響を与えます。オボちゃんのファンの
  心理も解析します。部外者がSTAP細胞の真偽に迫りたけ
  れば、小保方ユニットで仕事をしていた研究者を、割り出す
  ことです。そうやって、小保方さんは一人で独善的に研究を
  進めていた、という理研(理化学研究所)幹部の弁明を崩す
  ことができます。さらに、かん口令が敷かれていると思われ
  る、研究者の口を開かせることができるならば、メディアで
  指摘された問題のほとんどが、解明されてしまいます。小保
  方さんは、STAP細胞の理論的背景を、イモリの尾の再生
  に求めています。私は、変化する環境に適応するための生物
  の進化能力を、理論的背景としたい。この理論的背景を適用
  すると、STAP細胞にはとても大きな可能性のあることが
  分かります。同時に、研究を進める場合、克服するのが困難
  な問題が潜んでいることを、予想できます。小保方さんは、
  このワナにはまった可能性があります。
                   http://bit.ly/1QDKZLT
  ───────────────────────────

iPS細胞とSTAP細胞の違い.jpg
iPS細胞とSTAP細胞の違い
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2015年06月11日

●「科学論文のミスを指摘するチーム」(EJ第4053号)

 STAP細胞を発表した記者会見が2014年1月28日、S
TAP論文がネイチャー誌に掲載されたのが1月30日のことで
す。それからわずか2週間後に、ネット上にはSTAP論文への
さまざまな批判が噴出したのです。
 STAP論文の発表者が妙齢の女性研究者だったことから、マ
スコミがそのままにしておくはずがないのです。報道番組からワ
イドショー、新聞各紙から週刊誌まで、開催中のソチオリンピッ
クの報道もそこそこに、約10日間ほどの異常な「小保方フィー
バー」が盛り上がったのです。
 STAP論文についての最初の批判は、胎盤写真に流用の疑い
があるというものです。何からの流用なのかというと、小保方氏
が早稲田大学に提出した博士論文の写真からの使い回しであると
いうのです。
 素朴な疑問ですが、その批判者はこの短い期間で小保方氏の博
士論文を手に入れ、STAP論文と比較して同じ画像と判断した
ことになります。それなら、その批判者は小保方氏の博士論文の
画像をどのようにして入手したのでしょうか。あまりにも手際が
良すぎるし、まるで論文のあら探しを専門にしている人たちのよ
うに思えます。
 なぜなら、彼らはSTAP論文が公表されるのを待っていたか
のように論文を批判し、それを潰すのが目的で、そういう調査を
やっているからです。彼らは自分の趣味でやっているのでしょう
か。それとも誰かに命令されてやっているのでしょうか。
 批判者はこういっているのです。博士論文に掲載した画像と同
じものをネイチャー誌にも掲載するのは「違う実験内容なのだか
ら捏造そのもの」であると。確かに小保方氏の博士論文のタイト
ルは「三胚葉由来組織に共通した万能性体細胞の探索」となって
いますが、小保方氏は博士論文提出以前から、一貫して後にST
AP細胞と呼ばれる細胞の探索を続けてきており、基本的には同
じ実験なのです。後に笹井芳樹氏は、2014年4月16日の記
者会見において、この問題について既出の小畑峰太郎氏と次のや
り取りをしています。
─────────────────────────────
著者:今回、不正と指摘された、全身と胎盤が光るマウスの写真
   は、STAP細胞の万能性を決定付ける重要な写真である
   にもかかわらず、その重要な写真は、小保方氏の博士論文
   と同じ写真だった。博士論文と同じ写真が使われているこ
   とが発覚したときに、「些細な間違い」と石井調査委員長
   に報告したのはなぜか?
笹井:私は、「些細な間違い」という表現はしていない。写真の
   問題については、2月18日、まず電話で小保方さんから
   聞いた。博士論文に載せたものを、「ネイチャー」論文に
   投稿することが不正であるか、もしくは写真のデータ自体
   が間違っているかの2点の問題がある。確認したところ、
   博士論文は早稲田大学の内部的なもので、雑誌の投稿に使
   うことは問題ないとなり、不正流用ではないことが確認で
   きたので、2月20日に石井(俊輔)委員長に報告した。
   若山研究室時代の写真もあった。   ──小畑峰太郎著
      『STAP細胞に群がった悪いヤツら』/新潮社刊
─────────────────────────────
 実は、研究者の論文でのデータや画像の使い回しは日常茶飯事
なのです。上記の笹井氏の回答のなかにある理研の石井委員長が
過去に発表した論文にも不正の事実が確認されたのです。
 石井俊輔・理研上席研究員が2008年に責任著者として発表
した論文において、画像データの順番を入れ替える誤りがあり、
2004年に発表された別の論文でも、画像の切り張りや使い回
しがあったとネットで暴露されたのです。
 さらに石井委員長以外の調査委員3人についても過去の論文に
不正があるということがネットで指摘されています。これらの不
正は調査の結果、取るに足らないものであり、シロは実証された
ものの、石井委員長は疑念を抱かせた責任を取って、調査委員長
を辞任しています。
 論文は本来自由なものです。何を書いてもいいのです。しかし
科学の世界で認められるには、ネイチャー誌やサイエンス誌やセ
ル誌などの欧米の名門雑誌に掲載されることが条件になっていま
す。一体どこの誰が、どのような組織が、そのようなルールを決
めたのでしょうか。
 それらの名門科学誌は、論文を審査するための査読者のグルー
プを持っています。聞くところによると、それは100人ぐらい
の委員から成るといわれています。このグループは世間からは隠
され、完全なブラックボックスになっているといわれています。
なぜ隠されているのかというと、信頼性を担保するためです。そ
してそれは、きっとノーベル賞を決める組織にもつながっている
ものと思われます。
 仮にそういう組織を支配下に収めている組織があったとすると
そこには世界中の「夢の未来技術」になるかもしれない科学論文
が集まってきます。そのなかには彼らにとって都合の悪い発明や
発見もあるはずです。そういうときは、その論文は容赦なく潰し
てしまうのです。このテーマの冒頭で取り上げた「常温核融合」
の技術もSTAP論文と同じようにして潰されています。
 STAP論文の場合、2014年1月30日に採択されるまで
小保方氏を中心とする関係者は、何回もネイチャー誌をはじめと
する有名科学誌に論文を投稿し、却下されています。
 したがってSTAP論文の全データはそれらの科学誌の査読グ
ループの手元にあります。しかもSTAP論文の場合、彼らは追
加データを要求し、種々の実験をさせ、その結果を論文に反映さ
せています。したがって、論文内容やデータや画像のミスなどを
チェックをすることなど簡単なことです。このようにして、彼ら
に都合の悪い論文はいつでも抹殺することができるのです。
            ―── [STAP細胞事件/026]

≪画像および関連情報≫
 ●「査読」とは何か/ウィキペディア
  ───────────────────────────
   査読の厳しさは、雑誌によって大きく異なる。サイエンス
  やネイチャーのような一流雑誌は、発表に対して非常に厳し
  い基準を設けており、科学的に高い質を持っていても、該当
  分野で「画期的な進歩」を感じさせないような仕事では掲載
  拒否されてしまう。一方、アストロフィジカルジャーナルな
  どでは、査読は明白な間違いや、不十分なところを除外する
  ためにだけ使用される。このような審査基準の違いは投稿の
  発表される割合に反映されており、ネイチャーが受け取った
  論文の5〜10%程度しか掲載しないのに対して、アストロ
  フィジカルジャーナルは実に70%を発表する。この発表割
  合の違いは、雑誌の厚さにもまた反映されている。また、審
  査は、学問分野によっても多少厳しさが異なる。例えば物理
  学者などには、論文の価値は市場原理に委ねられるべきだと
  考える人も多く、実際に後述するプレプリントサーバーなど
  そのようなシステムが確立している。そのような文化の中で
  も査読は出版されるのに十分な高い基準をもたらしている。
  完全な間違いは見つけられ、著者は訂正や提案を受け入れて
  いる。同じ学会が発行する雑誌同士であっても、審査の厳し
  さが異なる場合がある。例えば同じ日本物理学会の日本語会
  誌(日本物理学会誌)では査読が保証されないが、英文誌の
  JPSJでは査読が保証される。  http://bit.ly/1S0m1sq
  ───────────────────────────

調査委員長を辞任した石井委員長.jpg
調査委員長を辞任した石井委員長
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2015年06月12日

●「一番身近な人による大きな裏切り」(EJ第4054号)

 STAP細胞の実験の途中の画像を撮ることはけっして簡単な
ことではないのです。研究者は実験そのものには熟達しているも
のの写真家ではないので、撮影には何回も失敗します。しかし、
それらの失敗画像も破棄しないで、PCのフォルダに保存してお
くことになります。貴重なデータだからです。
 しかも、同じ実験を何回も繰り返すので、そのつど同じような
画像がフォルダに増えていくことになります。そのなかには綺麗
に撮れたものと、そうでないものもたくさん出てきます。その場
合、研究者としては論文などに載せる画像はどうしても綺麗に撮
れた画像を選んでしまうものです。
 多数の似たような画像が多いので、論文などに添付するさいに
画像を取り違えることはよくあることです。STAP細胞関連の
書籍などを見ると、小保方氏はあまり管理が得意な人ではないと
思われるので、画像を間違って論文に添付してしまうことは十分
考えられることです。しかし、そうした画像の取り違えが、論文
の内容に大きく影響するものではないといえます。現に小保方氏
は指摘後正しい画像をネイチャー誌に送付しているのです。
 それにしても、なぜこのように最初から疑ってかかるのでしょ
うか。STAP細胞の場合、もしそれが本当に実現できれば、人
類に大きな利益をもたらす発見であるだけに、もう少し寛容的に
対応すべきではなかったかと考えます。
 これに関して、STAP細胞の推進者の一人であり、大和雅之
氏を通じて小保方氏の研究を支えた岡野光夫氏は、次のように述
べています。このコメントは、3月上旬に毎日新聞の須田桃子記
者が、日本再生医療学会で岡野氏を取材したときのものです。
─────────────────────────────
 論文のお作法″が多少悪かったとしても、皆でよってたかっ
て非難するのはどうかと思う。STAP細胞を小保方さんが作っ
たというところとか、研究の意義とか本質的なところに目がいっ
ていない。STAP細胞がヒトでできたら、どれだけの患者を救
えるか。今、小俣方さんは実験も満足にできない状況。画像問題
ばかりつついてそういう状況にした人たちこそ、あとで非難され
るかもしれないですよ。           ──岡野光夫氏
            ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著
       『捏造の科学者/STAP細胞事件』/文藝春秋
─────────────────────────────
 STAP論文に対する疑惑が、画像の切り張りや、小保方氏の
博士論文のコピペ問題などにとどまっているうちは、理研として
は大して心配していなかったのです。こういうことは論文発表の
さいによくあることだからです。
 2013年3月までCDB副センター長を務めており、現在は
JT生命研究館の顧問の西川伸一氏は、そのときのCDBの状況
について、次のようにコメントをしています。須田記者がメール
で問い合わせたときのメールでの返信です。
─────────────────────────────
 ちょうど論文を読んでいたところです。画像の方はよく分かり
ませんが、共著者の丹羽仁史CDBプロジェクトリーダー、若山
照彦山梨大学教授がついているので心配ないでしょう。
                      ──西川伸一氏
      ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著の前掲書より
─────────────────────────────
 後で述べるように、丹羽仁史CDBプロジェクトリーダーは小
保方氏をそれなりにサポートしているのですが、STAP細胞の
実験に最初の段階から密接にかかわり、小保方氏の後盾であり、
西川伸一元CDB副センター長が「彼がついていれば」といわし
めた若山照彦山梨大学教授が突然叛旗を翻したのです。
 2014年3月10日、若山照彦教授は「STAP論文撤回」
を呼び掛けたのです。そのニュースはNHKのトップニュースで
伝えられたのです。須田記者の所属する毎日新聞をはじめ、各社
はこのニュースに騒然となったのです。突然のことであり、何も
情報が入っていなかったからです。
 ところで、なぜNHKのスクープなのでしょうか。
 それは若山氏がNHKに最初に「論文撤回」の呼びかけをした
ことを話したからです。若山氏は、論文取り下げの提案をチャー
ルズ・バカンティ米ハーバード大学教授らをのぞく国内の日本人
共著者全員にメールで送っているのです。おそらく、NHKから
そのニュースが伝わることで、日本中がそのことを早く知り、大
きな効果があると考えたものと思われます。
 以後NHKは、STAP細胞事件のニュースの核心部分を握り
続けるのです。STAP細胞実験の核心部分の詳細は、ほぼ共同
研究者といえる若山照彦氏がついているので、どこよりも詳細な
情報を伝えられるからです。NHKは以後「ニュース7」を中心
にSTAP細胞事件をきわめて熱心に流し続けるとともに、次の
特別番組も放送しているのです。
─────────────────────────────
 ◎2014年3月16日/30分
  「サイエンスZERO/
  緊急スペシャル!STAP細胞徹底解説」
 ◎2014年4月10日/26分
  「STAP細胞はあるのか/検証/小保方会見」
 ◎2014年7月27日/50分
  「NHKスペシャル/調査報告/STAP細胞不正の深層」
─────────────────────────────
 効果は絶大だったのです。NHKは上記の番組を次々と放送し
理研CDBおよび笹井芳樹氏と小保方氏を徹底的に追い詰めたの
です。とくにNHKの記者は上記「NHKスペシャル」の取材で
小保方氏を執拗に追い回し、転倒させ、全治2週間のケガまで負
わせています。ここまでくると「現代の魔女狩り」そのもの。本
来なら、放送中止となるべきなのにNHKは平然とそれを放送し
たのです。       ―── [STAP細胞事件/027]

≪画像および関連情報≫
 ●トイレまで追いかけたNHK記者/2014年8月1日
  ───────────────────────────
  ニュースとなった出来事で関係者に話を聞き、物事の真相に
  迫ろうとするのは取材の定石だ。しかし、STAP細胞問題
  に切り込んだ番組で、理化学研究所の小保方晴子研究ユニッ
  トリーダー(30)に“突撃取材”を試みたNHKの取材は
  結果として小保方氏が負傷し、映像もお蔵入りとなる後味の
  悪い結果となった。小保方氏の代理人は、取材を避けるため
  に小保方氏が逃げ込んだ女子トイレまで取材班が追いかける
  などの行為があったとして「『まるで犯罪者扱いだ』と(小
  保方氏が)強い精神的ショックを受けている」と猛抗議。N
  HK側は即座に謝罪に追い込まれた。ただ、番組自体は放送
  された。この番組に対しても、代理人は「見るに堪えない偏
  向番組」と手厳しく、刑事告訴も辞さない姿勢だ。小保方氏
  の代理人を務める三木秀夫弁護士によると、小保方氏がNH
  Kから突然の取材を受けたのは7月23日の夜だった。神戸
  ・ポートアイランドにある理研発生・再生科学総合研究セン
  ターで進められている検証実験の準備を終え、小保方氏が退
  勤したのが午後8時ごろ。この日午後5時半ごろ、理研周辺
  にマスコミ関係者が手配したとみられる複数台のバイクが止
  まっていることが確認されたため、タクシーで理研を出た小
  保方氏は、いったん神戸市中心部にほど近いホテルに立ち寄
  った。取材を避けようと小保方氏はこのホテルの女子トイレ
  に午後9時ごろまで身を隠したという。ところが、トイレか
  ら出た小保方氏に、ロビーで声をかけてきたのが「NHK」
  を名乗る記者とカメラマンら5人だった。小保方氏は再び女
  子トイレに逃げ込んだが、取材班の中にいた女性がトイレの
  出入り口まで追いかけ、小保方氏の様子を電話で誰かに報告
  していたという。         http://bit.ly/1JDqPCR
  ───────────────────────────

記者に追いかけられる小保方氏.jpg
記者に追いかけられる小保方氏 
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2015年06月15日

●「いち早く逃げ出した若山照彦教授」(EJ第4055号)

 論文撤回を呼び掛けた若山照彦山梨大学教授は、事前に誰にも
相談せず、いきなり論文の主著者の小保方氏と共著者全員にメー
ルを送り付け、論文撤回を呼び掛けたのです。
 既にそのときにはSTAP論文に関してさまざまが疑惑が出て
いたのですが、そういうことは科学論文の世界ではよくあること
であり、STAP細胞の存在そのものが、否定されたわけではな
かったのです。しかし、STAP細胞研究の最も中心的な共同研
究者の1人である若山教授による論文撤回の呼びかけとなると、
事態はきわめて深刻であり、関係者に衝撃が走ったのです。
 しかも、若山教授はメールを発信した2014年3月10日の
NHKの「ニュース7」において、インタビュ−に応じているの
です。自分でNHKにその情報をリークしたからです。
 論文を取り下げるということは、その研究を根こそぎゼロにす
るという重大事態です。普通こういう重要な呼びかけは、事前に
主著者である小保方氏に話すのはもちろんのこと、理研CDBの
幹部とも相談するのがスジというものです。しかし、若山教授は
それを一切行わず、いきなり公開に踏み切ったのです。まるで、
クーデターのようです。
 マスメディアに論文撤回の呼びかけを事前にリークしていると
いう行為は、この事態を隠蔽させないようにするための強い決意
をそこに感じます。NHKの「ニュース7」で、若山教授は次の
ように話しています。
─────────────────────────────
 全体的にわからないことが多くなっている。論文の正当性を調
べるため、一度論文を取り下げ、正しいデータと写真を用意し、
もう一度論文は正しいんだと堂々と証明すべきである。そのため
には、外部の機関で調べてもらうことが大事である。
 実験ノートもデータもオープンにして、明確な結果を出してい
こうと思う。もし間違えだったら、なぜ、こんなことが起こった
のかを明らかにしないといけない。     ──若山照彦教授
      2014年3月10日/NHK「ニュース7」より
─────────────────────────────
 若山教授は、なぜ論文撤回を関係者に誰にも相談せずに決めた
のでしょうか。おそらく若山氏は、この時点でSTAP細胞は存
在しないことを確信していたものと思われます。若山教授がその
ように結論づけた要因としては次の3つがあります。
─────────────────────────────
 1.論文掲載の画像に多くの疑惑がある
  ・STAP論文には多くの画像に取り違いや改ざんがある
 2.実験用マウスについての疑惑がある
  ・実験に使ったマウスがすり替えられた疑惑が生じている
 3.STAP細胞の存在には疑惑がある
  ・STAP細胞の正体はES細胞である疑惑が濃厚である
─────────────────────────────
 論文作成時に画像や図表や写真などの取り違いがあることは、
どうやらに日常茶飯事のようです。しかし、とくに科学論文では
こうしたことはあってはならないのです。小保方氏の場合、博士
論文に使った画像などの流用が指摘されています。
 この場合、メディアでは、「違う実験の画像を使い回ししてい
る」と報道されていますが、基本的には違う実験ではなく、同じ
実験なのです。前にも述べているように、小保方氏は博士論文を
作成する以前から、一貫して後にSTAP細胞と呼ばれることに
なる細胞の研究をしていたからです。
 さらに「博士論文の画像をそのまま流用」とメディアは報道し
ていますが、実験画像などはPCの画像フォルダかUSBメモリ
に格納しており、その整理がよくないため、博士論文に使った画
像であることを忘れて、そのまま貼り付けてしまったのです。小
保方氏はそのことが指摘されたあと、正しい画像をネイチャー誌
に送っているのです。画像の取り違いのミスを厳しく指摘した若
山教授自身も以前は次のようにいっていたのです。
─────────────────────────────
 STAP細胞を使って作成した複数のマウスの胎仔(たいじ)
の写真を何百枚も撮影したため、小保方さんがおなじマウスの写
真を使ってしまった。       ──若山照彦山梨大学教授
   船瀬俊介著『STAP細胞の正体/「再生医療は幻想だ」
             復活!千島・森下学説』/花伝社刊
─────────────────────────────
 2012年末から笹井芳樹氏が論文作成の指導者になって、小
保方氏は「超」の字がいくつも付く多忙になったと思われます。
国際特許申請のこともあり、論文は3月には出さなければならず
笹井氏と小保方氏は、約2ヵ月間は毎日夜遅くまでCDBに残っ
て、論文作りに取り組んだといわれています。画像の取り違えな
どのミスはそういうなかで発生したものと思われます。
 しかし、よくわからないのは、STAP論文をネイチャー誌に
提出後、「修正を要求する」扱いになり、その後「アクセプト」
まで、約9ヶ月間もあったのですから、なぜ、画像のミスに関係
者が気が付かなかったのかは理解に苦しみます。その間に再提出
し、差し替えるチャンスはいくらでもあった思えるからです。
 しかし、疑惑が画像レベルの「1」にとどまっているうちはよ
かったのです。科学者といえども間違いはありますし、それに気
が付いたら修正すればよいだけのことです。STAP細胞の存在
が再現実験で証明できれば、すべての疑惑は吹き飛ぶのです。
 しかし、若山教授の抱いた「2」と「3」の疑惑は、STAP
細胞が存在するか否かの問題にかかわる大問題です。しかし、こ
れについて論評するには、相当技術的な説明が必要になりますが
明日のEJから出来る限りわかりやすく検証していきます。
 それからもうひとつ、突然論文撤回を呼びかけた若山教授には
大きな疑惑があります。論文の正式発表以前の言動と以後のそれ
には大きな落差があるからです。これについても明日から丁寧に
事実を追及します。   ―── [STAP細胞事件/028]

≪画像および関連情報≫
 ●若山照彦教授「確信なくなった」/2014.3.11
  ───────────────────────────
  新型万能細胞「STAP細胞」/刺激惹起性多能性獲得細胞
  を巡って、論文の共著者の1人である若山照彦・山梨大学教
  授が、「研究データに重大な問題が見つかり、STAP細胞
  が存在するのか確信がなくなった」(NHK)と述べ、他の
  著者らに論文取り下げを検討するよう求める一方、同じく共
  著者の1人であるチャールズ・バカンティ・米ハーバード大
  教授は、「私自身が持っている情報に基づけば、論文を撤回
  する理由は見当たらない」(米ウォール・ストリート・ジャ
  ーナル紙)と述べている。報道によると、STAP細胞の実
  験を担当した小保方晴子・研究ユニットリーダーが所属する
  理化学研究所は、論文の共著者らが取り下げも含めて対応を
  検討していることを10日夜に明らかにした。論文の著者は
  計14人。小保方氏が論文の代表執筆者として筆頭著者とな
  っており、小保方氏、若山教授、バカンティ教授の3人が責
  任著者となっている。STAP細胞の万能性を調べる重要な
  実験を担当したという若山教授は、NHKとのインタビュー
  の中で、「自分が担当した実験については正しいと信じてい
  るが、前提となるデータの信頼性に確信が持てなくなった。
  一体、何が起こったのか科学的に検証することが論文の著者
  としての責任だと考えている。何より私自身、真実が知りた
  い」などと話した。        http://bit.ly/1cR2B9C
  ───────────────────────────

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論文撤回を呼び掛ける若山山梨大教授
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2015年06月16日

●「マウスが異なると若山教授が公表」(EJ第4056号)

 STAP論文に対する疑惑は、まず論文中の画像のすり替えの
指摘に始まっています。仮にそれが些細な単純ミスであったとし
ても論文のイメージを大きく損なうことになります。
 しかし、EJでは、画像の疑惑よりも「STAP細胞は果して
存在するのか」に重点を絞ることにします。STAP細胞は存在
しないとする理研の最終判断を素直には受け入れることができな
いからです。この事件が原因で、世界的な日本の研究者が一人亡
くなっているのです。
 若山照彦山梨大学教授は、論文撤回を決意した理由として、ネ
イチャー誌の論文掲載の画像が小保方氏の博士論文と一致したこ
とであると毎日新聞の須田記者へのメールで明かしています。
─────────────────────────────
 須田さん
 昨日の博士論文とネイチャー誌の写真が一致したことが、あま
りにも悲しく、どうしていいのかわからず、著者たちに撤回を呼
びかけました。信じてもらっていたし、僕も信じようとコメント
していて、大変申し訳ありません。僕はまだ信じたい気持がある
ので、すべてを明らかにして、誰もが信じる論文として新しく発
表するのを希望しているのです。よろしくお願いします。
                         若山照彦
            ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著
       『捏造の科学者/STAP細胞事件』/文藝春秋
─────────────────────────────
 しかし、単なる画像の取り違えだけであれば、関係者に論文撤
回を呼びかけるのは是としても、NHKにリークし、公表するこ
とはなかったと思います。若山教授はすでにこのとき、STAP
論文のもっと重大な疑惑を掴んでいたと考えられます。それは、
次の疑惑です。昨日のEJから再現します。
─────────────────────────────
 2.実験用マウスについての疑惑がある
  ・実験に使ったマウスがすり替えられた疑惑が生じている
─────────────────────────────
 論文撤回の呼びかけで若山教授は、「外部機関での解析」の必
要性を強調していましたが、その時点で若山研究室は外部機関に
簡易的な遺伝子の解析を依頼をしていたのです。これは若山教授
がSTAP細胞の存在に深く疑問を持っていた証拠です。
 その解析結果は、3月25日夜のNHKがスクープして報道を
したのです。またしてもNHKです。こうして若山教授は、ST
AP論文に大きなダメージを与えたのです。このときもSTAP
論文の関係者や理研CDBには何の相談もなく、一方的に公開さ
れてしまったのです。         http://bit.ly/1QuJd51
 その解析結果とは簡単にいうとこうです。小保方氏は若山研究
室からマウスを受け取り、それからSTAP細胞を作製していた
のです。しかし、解析の結果、STAP細胞から樹立したSTA
P幹細胞8株中2株について、STAP細胞作製に使ったマウス
とは異なる系統の遺伝子型が検出されたというのです。つまり、
若山研究室のマウスではないということになります。
 この報道にメディアは騒然です。さまざまなメディアによって
このことは繰り返し報道され、STAP細胞の発見は完全な捏造
であるという印象が強くなったのです。現在これに関する報道は
ネット上からほとんど削除されているので、2014年6月13
日付、JCASTテレビウオッチの記事をご紹介します。
─────────────────────────────
 理化学研究所の小保方晴子リーダーが成功したと主張するST
AP細胞は、すでに20年前から研究されている万能細胞の一種
ES細胞の可能性が濃厚になってきた。
 論文共著者の若山照彦・山梨大学教授が16日に会見を行い、
小保方氏が作成したとされるSTAP細胞は、若山研究室が提供
したのとは違うマウスから作られていたことを明らかにした。第
三者機関に解析を依頼して判明したという。若山教授はSTAP
細胞があるという証拠はなかった。予想していた中で最悪の結果
と思っています。世界3大不正と思われてもしょうがないと語っ
た。その経緯はこうだ。
 若山研究室から提供を受けたマウスを使ってできたとされる小
保方氏のSTAP細胞を使って若山教授が培養しSTAP幹細胞
を作成し、さらにそれをもとに万能性のあるキメラマウスを作っ
た。今回、保管していたSTAP幹細胞を第三者機関に解析を依
頼した結果、若山教授の研究室のマウス由来とはまったく異なる
遺伝子情報が出てきた。        http://bit.ly/1FQUi67
─────────────────────────────
 これだけでは何のことかわからないと思うので、須田桃子氏の
本に出ている図(添付ファイル)を使って説明します。実験に使
うマウスには多くの系統がありますが、それは細胞の遺伝子型を
調べればどの系統か特定できます。
 若山研究室では「129」というタイプの遺伝子型のマウスを
実験に使っていたのですが、研究室が外部機関が解析した2株の
STAP幹細胞は、1株からは「B6」、もう1株からは「12
9」と「B6」の二つの系統のマウスを勾配させて生まれたマウ
スの遺伝子が検出されたというのです。つまり、若山研究室で飼
育されている遺伝子型とは異なり、若山研究室のマウスではない
ということが判明したのです。
 このニュースは繰り返し報道されており、7月27日のNHK
スペシャル「調査報告『STAP細胞不正の深層』」でも報道さ
れたので、多くの人の印象に残っているはずです。この報道で、
やっぱりSTAP細胞はインチキだったんだなと考えた人も多い
と思います。
 しかし、若山研究室によるこの解析結果は間違いであり、2株
は若山研究室のマウスであったことがすぐ明らかになったのです
が、そのことを知っている人はきわめて少ないのです。名誉回復
をメディアがしないからです。─ [STAP細胞事件/029]

≪画像および関連情報≫
 ●マウスをめぐる疑惑に反論コメント/小保方晴子氏
  ───────────────────────────
  STAP細胞の論文不正をめぐる問題で、理化学研究所の小
  保方晴子研究ユニットリーダーが作ったとされる「STAP
  細胞」のもとになったマウスの由来に疑義が生じている。こ
  の点について、論文の共著者の一人である若山照彦・山梨大
  学教授は「僕の研究室のマウス由来ではない」と発表したが
  小保方晴子リーダーは6月18日、それに反論するコメント
  を発表した。小保方リーダーは、弁護団を通じて公表したコ
  メントのなかで、「マウスに関しても細胞に関しても、所属
  させていただいていた研究室以外からの入手はありません」
  と説明。そのうえで、「今後の理化学研究所の調査にできる
  限り協力し事実関係を明らかにできるよう努めて参りたい」
  と述べている。また、小保方リーダーの弁護団もコメントを
  発表。「小保方氏が若山研でお世話になっていた時期(20
  13年3月まで)は、小保方氏は、マウスや細胞を独立して
  入手できる立場にありませんでした。したがって、すべて若
  山研ルートで入手したものです」などと、小保方リーダーの
  言葉を補足する説明をおこなった。 http://bit.ly/1MxMn1e
  ───────────────────────────
 ●図の出典/毎日新聞科学環境部/須田桃子著の前掲書より

若山研究室の解析結果.jpg
若山研究室の解析結果
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2015年06月17日

●「全ての責任を小保方氏にかぶせる」(EJ第4057号)

 若山照彦山梨大学教授が、第三者機関にSTAP細胞から作製
したSTAP幹細胞の解析を依頼して得た結論は、そのまま「S
TAP細胞は存在しない」という疑惑を決定的なものにするのに
十分なものです。
 若山教授が小保方氏に渡した生後6ヶ月以内のマウスは、いう
までもなく若山研究室のマウス(129)です。小保方氏はその
マウスからSTAP細胞を作製し、それを若山教授に渡していま
す。若山教授はそのSTAP細胞からキメラマウスやSTAP幹
細胞を作製したのです。したがって、そのSTAP幹細胞の遺伝
子は元のマウスの遺伝子と一致するはずです。
 しかし、若山教授がそのSTAP幹細胞を第三者機関で解析し
てもらったところ、遺伝子が一致しなかったのです。つまり、若
山教授が自ら作製したSTAP幹細胞は、若山教授が小保方氏に
渡したマウス由来のものではなく、若山研究室には存在しない種
類のマウスだったのです。
 この意味することは大きいのです。そうだとすると、小保方氏
は若山氏から渡されたマウスではない別なマウスからSTAP細
胞を作製したことになるのです。これによって「STAP細胞=
ES細胞」説が現実味を帯びてくるというか、裏づけられること
になります。
 自身が小保方氏からSTAP細胞であるとして渡された細胞か
らキメラマウスの作製に成功した若山教授は、STAP論文に疑
惑の出てきた時点で、記者の「もし、STAP細胞が捏造だった
ら、若山教授が作製したキメラマウスの全身はなぜ緑色に光った
のか」という質問に次のように答えています。
─────────────────────────────
 そこは想像するしかないのですが、もし僕が渡されたのがES
細胞だったら、キメラマウスはできるわけです。胎盤にも分化す
るのがSTAP細胞の非常に重要なデータだったわけですが、胎
児のキメリズムがものすごく高ければ、胎児から(ES細胞由来
の)血液がたくさん胎盤に行くので、それが光った可能性はあり
ます。         ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著
       『捏造の科学者/STAP細胞事件』/文藝春秋
─────────────────────────────
 要するにかなり早い時点で若山教授は、「STAP細胞はES
細胞ではないか」と疑っていたことになります。若山教授は、小
保方氏との実験期間が一番長かったため、このままだと何もかも
自分のせいにされるという恐怖感を持っていたといわれます。そ
のため、論文撤回を呼びかけた2014年3月10日の約1週間
後の3月18日に第三者機関へ細胞の解析を依頼したのです。
 しかし、その解析結果は簡易解析と断りながらも、3月25日
夜のNHKニュースでいきなり報道されたのです。その内容は若
山研究室に残されていたSTAP幹細胞は若山研究室のマウスと
遺伝子が一致しないというものです。それを受けて26日の新聞
各紙は、その事実を大々的に報道したのです。
 その結果、多くの人は「STAP細胞はやっぱり捏造だったの
か」と考えるようになったのです。それほど25日のNHKニュ
ースと26日の各紙の報道は、「STAP細胞は存在する」と考
えていた人に否定的なイメージを与えたのです。
 これに対して笹井芳樹CDB副センター長は、いきなり公共放
送(NHK)での扱いに強い不快感を抱いたのです。須田桃子氏
の本に笹井氏の次のコメントがあります。
─────────────────────────────
 断定的に若山の理解=正しい(正義)、小保方=間違い(悪)
という構図を言うのは、あまりにもナンセンスではないでしょう
か?逆も十分あり得ますし、次に必ずやるはずの「キメラ作製」
のときに毛色が違うことが明らかになるマウス系統をわざわざ意
図的に小保方さんが取り違える意味が全くわかりません。その2
人の間の意思疎通の悪さ、ミスコミュニケーションを含め、ラボ
のディスカッションテーブルで話すべきことで、公共放送でこの
扱いは全くおかしな話だと思いました。かなり作為的な決めつけ
や断定が、若山さんなのか、その周囲なのか、メディアなのかわ
かりませんが、本来の検証の枠を越えた場外乱闘で、ヒールを仕
立てているような不気味さを否めません。   ──笹井芳樹氏
      ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著の前掲書より
─────────────────────────────
 このコメントからは「このような問題はNHKにリークする前
にラボでディスカッションすべきことじゃないか」との笹井氏の
怒りを感じることができます。確かに若山教授はSTAP細胞否
定説を主導しているといっても過言ではないのです。
 ここで3月〜5月のSTAP細胞に対する動きを時系列に並べ
てみます。
─────────────────────────────
 3月10日:若山教授がSTAP論文の取り下げを呼びかけ
   18日:若山教授、第三者機関へ細胞の解析を依頼する
   25日:NHKの夜のニュースで、解析結果の概要報道
   26日:新聞各紙が解析結果についての後追い一斉報道
 4月01日:理研の調査委員会はSTAP論文の不正を認定
   09日:小保方晴子・研究ユニットリーダーの記者会見
   16日:笹井芳樹・CDB副センター長による記者会見
 5月08日:理研論文不正を確定。このための再調査はせず
─────────────────────────────
 これを見ると、まるでドラマの進行のようにSTAP論文の捏
造の証拠が固められ、論文の不正が確定しています。そして、そ
れを主導しているのは若山教授とNHKのスクープ報道であるこ
とがわかります。細胞の解析結果でマウスのすり替えがあったこ
とがSTAP細胞を存在を信ずる人の期待を打ち砕いています。
 しかし、この若山教授のマウスすり替えの解析結果は間違えで
あったことがはっきりしているのですが、あなたはそのことをご
存知でしたか。       ─ [STAP細胞事件/030]

≪画像および関連情報≫
 ●「解析結果こそ捏造だった」/若山教授事実を認める
  ───────────────────────────
  若山照彦・山梨大学教授が「第三者機関」に、小保方さんが
  STAP細胞作製に使ったマウスの細胞の遺伝子解析を依頼
  した結果、若山教授が小保方さんに渡したマウスとは違うマ
  ウスの遺伝子が検出された、と言う報道がなされ、小保方さ
  んが、STAP細胞を「捏造」したかの様な印象が作り上げ
  られた事は、皆さん御記憶の通りです。私は、この話はおか
  しいと思って居ました。mRNAを使ってDNAのSNPを
  解析、比較した、と言う方法が変だからです。そして、昨日
  インターネット上で、若山教授が細胞の遺伝子解析を依頼し
  た「第三者機関」が、若山教授に近い放医研であった事を知
  り、「これでは第三者機関とは言えないのではないか」とツ
  イッターで疑問を投げかけたばかりです。そうしたら、今朝
  の朝日新聞を読んで驚きました。若山教授が、自らその「遺
  伝子解析」は間違いだったかも知れない、と認めた(!)と
  言う記事が載っていたからです。こんないい加減な話がある
  でしょうか?小保方さんが「捏造」を行なったかの様な印象
  報道を決定的に後押しした若山教授発表の「遺伝子解析」は
  間違いだったかも知れないと、今になって、若山照彦は認め
  たのです。STAP細胞の論文が撤回され、小保方さんが再
  現実験に加わった今になって「あの遺伝子解析は間違いだっ
  たかも知れない」と、若山教授自身が認めたのです。そして
  マスコミも、こんな「訂正」をベタ記事でしか取り上げない
  のです。             http://bit.ly/1GDnNfj
  ───────────────────────────

若山教授と小保方研究ユニットリーダー.jpg
若山教授と小保方研究ユニットリーダー 
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2015年06月18日

●「第三者機関の解析結果リークする」(EJ第4058号)

 2014年6月4日のことです。当日付の毎日新聞夕刊に次の
記事が掲載されたのです。この記事は『捏造の科学者/STAP
細胞事件』(文藝春秋刊)の著者、須田桃子氏の署名入りの記事
です。同主旨の記事は同年3月26日の新聞各紙でも簡易解析の
結果として伝えられていますが、さらに踏み込んだ記事になって
います。少し長いですが、引用します。
─────────────────────────────
 <STAP論文>幹細胞に不自然な遺伝子/第三者機関が解析
 「STAP細胞」の論文不正問題で、STAP細胞から作った
「STAP幹細胞」を第三者機関で遺伝子解析した結果、すべて
の株で、実験に使ったはずのマウスと異なる不自然な特徴が確認
されたことが3日、関係者への取材で分かった。結果は、多くの
著者が所属する理化学研究所に伝えられたという。STAP幹細
胞は不正認定されていない論文で詳細な分析結果が掲載されてお
り、論文全体の調査の必要性が一層高まりそうだ。
 STAP細胞には自ら増殖する能力がない。ES細胞(胚性幹
細胞)やiPS細胞(人工多能性幹細胞)のように増え続ける性
質を持たせるためSTAP細胞を変化させたものが「STAP幹
細胞」だ。著者の一人、若山照彦・山梨大教授が、保存していた
STAP幹細胞の解析を第三者機関に依頼していた。
 複数の関係者によると、STAP細胞の作製に使ったはずのマ
ウスとは違う遺伝子タイプが検出されるなど、論文に記載された
STAP幹細胞を含むすべての試料にさまざまな食い違いが指摘
される結果が出た。
 これらのSTAP幹細胞は、当時理研にいた若山氏の研究室の
客員研究員だった小保方晴子・理研研究ユニットリーダーがマウ
スから作ったSTAP細胞を、若山氏が受け取って樹立した。元
のマウスは若山氏が提供した。山梨大の簡易解析でも、若山氏が
準備したマウスと異なる系統の遺伝子タイプが検出された。これ
らの系統はES細胞の作製によく使われるため、ES細胞が混入
した可能性が指摘されていた。若山氏は取材に「今は話せないが
詳しい解析結果は近く、記者会見をして公表する」と話した。
     ──【須田桃子】/2014年6月4日毎日新聞夕刊
                   http://bit.ly/1BfdopV
─────────────────────────────
 この記事は須田桃子記者が山梨大学に若山教授を訪ねて、取材
したものです。この記事が出るや、翌5日に若山教授は埼玉県和
光市の理研本部から呼び出され、野依良治理事長が本部長を務め
る改革推進本部の席で、詳細な解析結果の報告を求められていま
す。当日の会合には全理事をはじめ約30人が出席したといわれ
ます。神戸のCDBもテレビ会議で参加しています。
 この時点で若山教授は、理研に何の相談もせずNHKを通じて
簡易解析の結果を報道させたり、第三者機関の解析結果も今は話
せないがと断りながらも、須田記者にはほとんど話しています。
何となくこの問題で意図的に既成事実を作ろうとしているように
感じます。推測ですが、理研としては若山氏のこの振る舞いに対
して相当アタマにきており、そのため緊急に呼び出したものと思
われます。
 若山教授はこの会合で、「第三機関の解析結果をすぐにでも発
表したいと」と主張したのですが、多くの出席者から強く反対さ
れたといいます。意見は対立しましたが、結局、CDBに保管さ
れているSTAP幹細胞についても同様の解析を行い、その結果
に基づいて山梨大学主催での若山教授による記者会見を認めると
いうことで決着したのです。
 その結果行われた山梨大学主催の若山教授による記者会見は、
2014年6月16日に行われたのです。この記者会見の動画は
次の通りです。
─────────────────────────────
 2014年6月16日/若山照彦教授記者会見/山梨大学
                 http://bit.ly/1QuJd51
─────────────────────────────
 記者会見の動画は約30分間収録されています。若山教授の説
明は素人にはかなり難解です。細かな分析は、明日のEJで説明
しますが、要するに次のことを主張しているのです。
─────────────────────────────
 1.若山教授は生後1週間の赤ちゃんマウスを小保方氏に渡し
   小保方氏はそのマウスからSTAP細胞を作製している。
 2.若山教授は小保方氏からSTAP細胞であるとして渡され
   た細胞からキメラマウスやSTAP幹細胞を作っている。
 3.そのSTAP幹細胞を第三者機関で解析したところ、若山
   研究室にいないマウスから作製された疑いが濃厚である。
─────────────────────────────
 これは何をいっているのかというと、小保方氏は若山教授から
渡された生後一週間以内のマウスからSTAP細胞を作製したの
ではなく、第三者機関での解析の結果では、他のマウスから作製
されたことを示しているというのです。
 つまり、若山教授が小保方氏から渡されたSTAP細胞は、E
S細胞だったのではないかと若山教授は疑っているのです。ES
細胞であれば、キメラマウスも幹細胞も作製できるからです。
 具体的にいうとこうです。小保方氏は、若山教授から渡された
生後一週間の赤ちゃんマウスを使わず、若山研究室が冷凍庫に保
管しているES細胞を盗み出し、それをSTAP細胞として若山
教授に渡したのではないかというわけです。
 しかし、そんなことをして何になるのでしょうか。理研CDB
には、笹井芳樹氏をはじめとして、ES細胞のプロがたくさんい
るのです。そんなことをしてもすぐバレるし、全く無意味なこと
です。しかし、若山教授は、論文に疑惑が出始めた頃から、ST
AP細胞はES細胞ではないかと疑い、自ら主導して、それをメ
ディアを使って告発しています。若山教授の記者会見については
明日のEJで分析します。  ─ [STAP細胞事件/031]

≪画像および関連情報≫
 ●「ある神話の背景を追及するブログ」
  ───────────────────────────
  余談だが、松山英樹が米ゴルフのなんとかメモリアルという
  トーナメントで、米ツアー初優勝した。このメモリアルは4
  大タイトルに次ぐビッグタイトルだそうあり、J・ニクラウ
  スが松山を絶賛しているそうである。しかし、その快挙の割
  には、日本のマスコミは松山を讃えるような報道をしていな
  い。もし、石川遼がこれをやったら、マスコミは松山の何倍
  も大きく報道しただろう。だが、インチキ英語教材などの広
  告塔となって、大金を稼いでいる石川には到底出来ることで
  はないだろう。信義も正義も公正も無い日本の「天然ファシ
  ズム」の一現象である。理研の実験室で、スタップ細胞の作
  製に成果を上げた研究学者は、言うまでもなく小保方晴子博
  士と当時の理研研究員であった若山照彦・現山梨大教授の二
  人である。小保方氏は第一段階のスタップ細胞を作製し、若
  山氏は小保方氏の作ったその未分化のスタップ細胞を提供さ
  れ、マウスの成体に移植して、試行錯誤の末に増殖能力ある
  スタップ幹細胞の作製に成功したというものだった。失敗を
  山ほど築いた後、ある日、マウスに移植されたスタップ細胞
  が増殖した事を示す、緑色に発光したのを見て、小保方氏は
  喜びの涙を見せたと若山氏は語った。しかし、若山氏は何か
  の間違いで、成功したように見えているに過ぎないのではな
  いのか、彼女をヌカ喜びさせてはいけないと、直ちには喜ば
  なかった。それでも、続けて同じような手順で実験を繰り返
  してみたら、同様に緑色に光ったので、スタップ幹細胞樹立
  の成功を確信したと喜びの口調で梶原しげるに話している。
                   http://bit.ly/1LcMbaK
  ───────────────────────────

記者会見をする若山照彦教授.jpg
記者会見をする若山 照彦教授
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2015年06月19日

●「第三者機関についての疑惑が浮上」(EJ第4059号)

 若山山梨大学教授は2014年6月16日の会見で、小保方氏
からSTAP細胞として戻された細胞──この細胞を使って若山
教授はSTAP幹細胞とキメラマウスの作製に成功している──
その細胞は、若山教授がSTAP細胞を作るために小保方氏に渡
した生後1週間の赤ちゃんマウスとは系統が異なり、若山研究室
では飼育していないマウスであると強調しています。
 これは、若山教授が、若山研究室が保管していたSTAP幹細
胞を第三者機関に解析を依頼し、その結果、判明したもので、C
DBでも同じ解析を行い、同じ結果が得られたと聞いていると、
若山教授は述べています。
 このことは、大々的にマスメディアで報道され、「小保方=ク
ロ説」は一段と真実味を深めたのです。この段階で小保方氏を信
じていた多くの人が一斉に彼女から離れたと思います。それは、
4月9日の小保方氏の反論記者会見、同18日の笹井氏の会見で
STAP細胞の存在を信じようという気持になった人たちまで、
「小保方=クロ説」に傾いたと思われます。
 若山教授の主張を裏打ちしていたのは、その結論が第三者機関
から出されたものであるからです。16日の会見で若山教授は動
画の17分06秒のところで、次の趣旨の発言を行っています。
─────────────────────────────
 第三者機関は完全に中立の立場で解析を行いました。経費につ
いてもその第三者機関は、私および理研から一円も受け取ってい
ません。                   ──若山教授
─────────────────────────────
 動画の22分から女性記者が、「第三者機関はどこか具体的に
教えてほしい」と質問したのですが、若山教授はこれに対して次
のように拒否しています。
─────────────────────────────
 第三者機関でこの解析を担当した技術者は直前まで私と一緒に
会見しようとしてくれたのですが、もしそれをやると、その第三
者機関が僕の味方じゃないかと疑われるので中止したのです。し
たがって私の方から第三者機関の名前を明かすことは差し控えさ
せていただきたいと思います。         ──若山教授
─────────────────────────────
 NHKは、7月27日放送の「NHKスペシャル/調査報告/
STAP細胞/不正の深層」で、第三者機関は「放医研」である
ことを明かしています。放医研とは「放射線医学総合研究所」の
ことです。
 しかし、強引取材で小保方氏を突き飛ばし、怪我までさせてい
るNHKが、放医研に問い合わせていないはずはないのです。そ
のうえでその結果わかった事実を隠し、平然とNスペを放送して
います。それは、問い合わせれば、放医研が真の意味の第三者機
関になり得ないことがわかるからです。
 そこで、実際に放医研に実際に問い合わせたやりとりを再現し
てみます。放医研広報部への問い合わせの結果です。
─────────────────────────────
──若山博士のSTAP幹細胞を解析したのは放医研ですか。
放医研:そのような契約は存在しておりません。所内調査の結果
    若山教授の研究者ネットワークのなかでやり取りされた
    ものだとわかりました。
──研究者のお名前を教えてください。
放医研:できません。研究の発展のために所外の研究者が共同で
    研究したり、遺伝子情報を解析したりすることはよくあ
    ります。
──若山博士がSTAP細胞の存在が信用できないという理由で
  幹細胞の解析を依頼したのですから、「研究の発展のため」
  という理由で解析依頼してないと思いますが。
放医研:それは若山博士に直接聞いてください。
──情報公開請求しても研究者の名前は教えていただけない?
放医研:そうです。          http://bit.ly/1CtVvzR
─────────────────────────────
 つまり、若山教授は、放医研の自分の知り合いの研究者に解析
を依頼したのです。だから、経費も支払っていないのです。若山
教授ご自身も「一緒に会見すれば、僕の味方だと思われてしまう
から」といっているではありませんか。
 これで第三者機関といえるでしょうか。第三者機関とは利害関
係のない第三者が介入してはじめて第三者機関といえるのてす。
放医研に解析を依頼するなら、正式に契約を結んで料金を支払っ
てやるべきであって、知り合いに頼んでおいて第三者機関とは世
間を欺く行為です。
 NHKは間違いなく取材して、この事実を掴んだうえで、「放
医研」という名称を公開し、第三者機関の権威づけに使っていま
す。公共放送機関としてはやってはならない行為です。やらせ報
道といわれても仕方がないでしょう。このSTAP細胞事件につ
いてのNHKの報道は、明らかに若山教授側に立っており、小保
方氏への批判の急先鋒的存在になっています。
 それでも細胞の解析結果が正しいのであれば、事実は事実とし
て受け止める必要があります。若山教授もいうように「CDBで
も同様の結果が得られている」のであれば、小保方氏側に重大な
説明責任が生じます。
 しかし、結論からいえば、解析結果にはミスがあり、若山研究
室のマウスが使われた可能性が高くなったのです。詳細は来週の
EJで述べますが、細胞の解析にはミスがあり、若山教授の主張
の根拠は既に崩れています。若山教授もCDBもミスを認めてお
り、メディアもそのことを一応報道していますが、扱いはベタ記
事なみであり、ほとんどの人は知らないと思います。
 これについて若山教授は、ホームページを修正しただけで、記
者会見はしていません。あれほど派手に疑惑を煽っておいて、間
違っていたときは、ホームページを訂正するだけでは済まないの
ではないでしょうか。    ─ [STAP細胞事件/032]

≪画像および関連情報≫
 ●第三者機関の解析にはミスがあった/産経新聞
  ───────────────────────────
  理化学研究所は2014年7月22日、小保方晴子・研究ユ
  ニットリーダー(30)が作製したSTAP(スタップ)細
  胞から培養された幹細胞の解析結果を訂正した。共著者の若
  山照彦山梨大教授が提供したマウスから作製されたものでは
  ないとした6月の発表は誤りで、若山研究室のマウス由来だ
  った可能性も否定できないとしている。若山氏が目印となる
  遺伝子を18番染色体に挿入したマウスを作製し、これを受
  け取った小保方氏がSTAP細胞を作り、若山氏が培養して
  幹細胞を作った。この幹細胞について理研は当初、遺伝子は
  15番染色体に挿入されており、若山氏が提供したマウス由
  来ではないと発表。だが詳しい調査の結果、この細胞には別
  の遺伝子も挿入されており、染色体の挿入場所は分からなく
  なったという。同じ遺伝子の特徴を持つマウスは大阪大が作
  製し、若山研究室で飼育されていた。また若山氏は同日、英
  科学誌ネイチャーに掲載されたSTAP論文の撤回理由書が
  共著者の合意がないまま書き換えられた問題について、締め
  切り間際に他の共著者と自分の文章の差し替えが交錯したこ
  とが原因とするコメントを発表した。
           ──2014年7月22日付、産経新聞
  ───────────────────────────

放射線医学総合研究所.jpg
放射線医学総合研究所
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2015年06月22日

●「誤りだった第三者機関の解析結果」(EJ第4060号)

 話が複雑になってきたので、少し整理します。若山照彦山梨大
学教授といえば、小保方晴子氏と後にSTAP細胞と呼ばれるよ
うになる万能細胞の実現のための実験を一緒に行い、その実現に
協力したパートナーの一人です。2014年1月28日のSTA
P細胞の発表のときも、小保方晴子氏、笹井芳樹氏と3人で発表
会に参加しています。つまり、小保方氏にとって若山教授は、一
番身近な存在であったはずです。
 ところが、その若山教授はSTAP論文の写真や画像に疑いが
出てくるや、一転してSTAP細胞の存在に強く疑いを抱き、論
文撤回を呼びかけると同時に、第三者機関に細胞の解析を依頼し
ています。小保方氏からSTAP細胞として渡された細胞がES
細胞ではないかと疑ったからです。
 そして、その解析結果に基づいて、2014年6月16日に記
者会見を開き、STAP細胞は存在しないことを訴えています。
さらに若山教授は、NHKに詳細な情報の提供や自ら出演するな
ど協力して、7月27日にNHKスペシャル『調査報告/STA
P細胞/不正の深層』は放送されています。
 その結果、小保方氏を取り巻く疑惑は一段と深まり、小保方氏
のその印象は本当に真っ黒になったといえます。さらに若山教授
は、その解析結果を使ってネイチャー誌にSTAP論文の撤回理
由のレポートを投稿し、掲載されています。これによって、ST
AP論文の不正が間違いないものであることを世界に知らせよう
としています。なぜそんなことをしたのかというと、自分はST
AP論文のメインの著者の一人であるが、重要な事実を知らされ
ておらず、むしろ被害者であることを訴えようとしたのです。
 ところがです。これに対して若山教授にとって想定外のことが
2つ起こったのです。それは次の2つです。
─────────────────────────────
    1.第三者機関の正体がバレてしまったこと
    2.第三者機関の細胞解析が誤りだったこと
─────────────────────────────
 「1」は、細胞の解析を依頼したという第三者機関なるものが
第三者機関に値しないことが判明したことです。NHKでは、N
スペで第三者機関は放射線医学総合研究所であると明かしたので
すが、正式な契約ではなく、正確にいえば放医研に務める若山氏
の知人の研究者に細胞の解析を依頼したのです。これでは、利害
関係のない第三者とはいえないのです。
 しかし、このことはネット上では知れ渡っている事実であるに
も関わらず、関係者もNHKも知らん顔を決め込んでいます。と
くにNHKは強引取材で小保方氏に怪我まで負わせているのに平
然と放送したのです。こういう場合、普通は放送を中止するか、
番組中に小保方氏に謝罪すべきですが、どちらもしないで、結果
として本人を貶める番組を報道しています。これはメディアとし
て許されることではないはずです。まして公共放送なのです。
 このように第三者機関が利害関係者であったとしても解析結果
が正しいなら真実が明らかになったのだから、いいじゃないかと
いう意見は成り立つでしょう。
 しかし、解析結果は誤りだったのです。これが「2」です。こ
れについては、若山教授はもちろん、理研も認めています。新聞
各紙は一応その事実を報道はしましたが、ベタ記事扱いで、ほと
んどの人は気が付いていないはずです。
 かつて小沢氏を貶めるときの報道と同じで、疑惑を発表すると
きは大々的に報道し、後で間違いだとわかると、それを小さく伝
える──日本のメディアの最も汚いやり方です。理研は次のよう
に解析の誤りをコメントしています。
─────────────────────────────
 STAP細胞問題で理化学研究所は7月22日、発生・再生科
学総合研究センター(神戸市)の 小保方晴子 研究ユニットリー
ダーの研究室に保管されていた細胞について、遺伝子解析結果と
して6月に発表した内容の一部に誤りがあったと訂正した。
 これまで「 若山照彦 山梨大教授の研究室のマウスから作られ
ておらず由来は不明だ」としていたが、細胞の遺伝子の特徴が若
山研で飼育していた特定のマウスと一致する可能性のあることが
判明した。理研は詳細な調査を続けるが、若山研のマウス由来だ
ったとしても、直ちにSTAP細胞の存在につながることを意味
しないという。
 理研は「この細胞が、若山氏から小保方氏に渡されたマウスと
は異なるとする結論に間違いはない」と説明した。小保方氏はこ
れまで若山氏に渡されたマウスでSTAP細胞を作ったと主張し
ている。若山氏も、若山研に残された細胞を解析し6月に理研と
同様の結果を発表していたが22日訂正した。理研は6月、小保
方氏に渡したマウスは目印となる人工的な遺伝子が18番染色体
にあったのに、小保方研究室のSTAP幹細胞では15番染色体
に挿入されていたと発表した。その後、解析の間違いと分かった
という。       ──2014年7月23日付、共同通信
─────────────────────────────
 理解できないのは若山教授です。「マウスはすり替えられてい
る」とあれほど大々的に記者会見をしておいて、それがミスとわ
かると、関係者へのメールとホームページの訂正で済ましている
のです。これが学者の正義でしょうか。今やネット上は若山教授
の疑惑で溢れています。会見を開いて謝罪すべきです。
 もうひとつ納得のいかないのはNHKの対応です。例のNスペ
は、解析ミスが判明した後の7月27日に放送されています。し
かもその間違っていた内容を修正せずにそのまま流していること
です。これでは、天下の公共放送のNHKが疑惑の一方に加担し
て小保方氏を糾弾することになってしまいます。ましてその取材
に対して小保方氏本人に怪我まで負わせているのです。
 小保方氏側の三木弁護士によると、若山教授とNHKを名誉棄
損で告発することを検討しているそうです。それは当然のことで
あると思います。      ─ [STAP細胞事件/033]

≪画像および関連情報≫
 ●NHKのパパラッチ取材と偏向報道
  ───────────────────────────
  2014年7月23日夜、理化学研究所の発生・再生科学総
  合研究センター(CDB)でSTAP現象の再現実験に参加
  している小保方晴子研究ユニットリーダーが帰る途中、NH
  Kの記者やカメラマンに追い回され、軽いけがを負う事件が
  発生した。小保方氏の代理人、三木秀夫弁護士はNHKに強
  く抗議。24日午後、NHKの記者ら3人が三木弁護士を訪
  れ「取材方法に行きすぎがあった」と認め謝罪したという。
  この事件は主要各紙も取り上げたもののその扱いは小さかっ
  た。NHK自身は全く報じていなかった。NHKはこれまで
  も自身の不祥事をNHKニュースで取り上げてきたことはあ
  ったが、今回のことは不祥事と認識していないのだろうか。
  三木弁護士は日本報道検証機構の取材に応じ、事件の全容を
  メールで回答した。小保方氏本人と付き人、当日取材したN
  HK記者に聞いた内容をまとめたものだ。そこから浮かび上
  がったのは、パパラッチのような度を超えた執拗な追跡行為
  であり、恐怖感を与える取材方法であった。三木弁護士によ
  ると、NHKの取材は27日放送のNHKスペシャル「調査
  報告STAP細胞/不正の深層」に関して、小保方氏本人に
  コメントを求めることが目的だったようだ。NHKは事前に
  三木弁護士にインタビューと質問状を送っていたが、番組構
  成からして明らかに偏向した内容で、質問内容も敵意を感じ
  たため、再現実験に集中したいとの理由で回答を拒否してい
  たという。            http://bit.ly/1J95cui
  ───────────────────────────

NHKスペシャル「不正の深層」より.jpg
NHKスペシャル「不正の深層」より
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2015年06月23日

●「STAP細胞不存在は本当なのか」(EJ第4061号)

 若山教授が「STAP細胞は存在しない」と考えた3つ目の要
因は次の通りです。6月15日のEJから再現します。
─────────────────────────────
 3.STAP細胞の存在には疑惑がある
  ・STAP細胞の正体はES細胞である疑惑が濃厚である
─────────────────────────────
 2014年末をもって世間の雰囲気は、STAP細胞は存在し
ないことになっています。なぜなら、理研による調査の最終結論
が「STAP細胞の正体はES細胞である」となっていることと
小保方氏自身によるSTAP細胞の再現実験が期日内に成功しな
かったことをもってそうなっています。
 理研の調査結果についても、小保方氏の再現実験の失敗につい
ても改めて検証しますが、STAP細胞の正体がES細胞である
ことについてはEJとしては疑問を持っています。
 STAP細胞がES細胞ではないかと早くから疑っていたのは
若山照彦山梨大学教授です。あるとき、小保方氏からSTAP細
胞であるとして渡された細胞からキメラマウスやSTAP幹細胞
ができたとき、若山氏はそんなことがあり得るだろうか、自分が
何か間違いを冒したのではないかと疑心暗鬼になったといわれま
す。若山氏はそういう性格の持ち主のようです。
 そして若山氏がたどりついた結論は、小保方氏からSTAP細
胞であるとして渡された細胞は、若山氏がその細胞を作るために
渡した生後一週間の赤ちゃんマウスではなく、当時若山研究室に
存在したES細胞だったというものです。これを確かめるには、
小保方氏から渡されたSTAP細胞から作られたSTAP幹細胞
から遺伝子情報を解析するしかないと考えたのです。
 そこでSTAP幹細胞を第三者機関で解析した結果、マウスの
すり替えが判明したのです。若山氏は一致するはずの遺伝子が一
致しなかったことをもって、そのような系統のマウスは若山研究
室にかつて存在したことはないことを会見で強調したのです。
 しかし、解析には誤りがあり、STAP幹細胞の元のマウスは
若山研究室に存在したことが判明したのです。しかし、研究室の
外から持ち込まれたマウスではないからといって、それをもって
STAP細胞が存在することにはならないと理研は説明している
のです。これについては昨日のEJで、理研の訂正会見を報道し
た共同通信の記事の一部を再現します。
─────────────────────────────
 これまで「若山照彦山梨大教授の研究室のマウスから作られて
おらず、由来は不明だ」としていたが、細胞の遺伝子の特徴が若
山研で飼育していた特定のマウスと一致する可能性のあることが
判明した。理研は詳細な調査を続けるが、若山研のマウス由来だ
ったとしても、直ちにSTAP細胞の存在につながることを意味
しないという。    ──2014年7月23日付、共同通信
─────────────────────────────
 なぜ、このようなコメントになるのかについては、改めて説明
するとして、根本的な疑問について考えます。それは、若山教授
が一度STAP細胞の作製に成功しているという事実です。これ
については、若山教授自身も認めているのです。毎日新聞の須田
記者の本には若山氏について次の記述があります。
─────────────────────────────
 ネイチャーの記事にあった通り、CDBを去る前の2013年
春、小保方氏から直接、作製方法を習ったときはSTAP細胞が
できたが、山梨大学では成功していないという。「酸性処理が難
しい。全滅するか、ほとんど死なないかのどちらかになってしま
う」。         ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著
       『捏造の科学者/STAP細胞事件』/文藝春秋
─────────────────────────────
 この記述によると、若山教授は小保方氏の指導は受けたものの
STAP細胞の作製に成功しているのです。これは事実です。本
人も認めています。ここからは推測ですが、若山教授といえば、
こういう実験については小保方氏よりもはるかに熟達している学
者です。また、若山氏の性格から考えても、実験に使う弱酸性の
液や培養に使う培地などは、小保方氏の指導を受けて自分で作製
しているはずです。
 そこで自分で生後一週間の赤ちゃんマウスの脾臓からリンパ球
を取り出し、弱酸性の液に浸して、それを培養する──ここまで
は自分主導でやって、STAP細胞づくりに成功しているはずで
す。おそらく若山氏のことですから、そのSTAP細胞を使って
キメラマウスの作製やSTAP細胞幹細胞まで作製しています。
です。そこまでやらないと納得しない学者だからです。
 ところが若山氏は、「山梨大では成功していない」というので
す。しかし、そういうことはよくあることであり、山梨大で成功
できなかったからといって、「STAP細胞は存在しない」とい
う証拠にはならないはずです。
 その自分が成功した実験において、仮にES細胞が混入してい
たとして、若山教授がそれに気が付かないはずがないのです。な
ぜなら、若山教授はいつもES細胞を使って実験をしているから
です。若山教授は、米国の幹細胞生物学者のポール・ノフラー博
士とのインタビューで、ES細胞の混入の疑いについて、次のよ
うに発言しているのです。
─────────────────────────────
 私STAPからSTAP─SC(STAP幹細胞)を複数回樹
立しました。(ESの)混入がその度に起こるなんてことは考え
づらいです。さらに私はSTAP─SCを129B6GPFマウ
スから樹立しました。その当時、我々は、その系統のES細胞を
持っていませんでした。        http://bit.ly/1huUfTu
─────────────────────────────
 このインタビューは、2014年2月27日に行われたもので
すが、その約10日後に若山教授は、STAP論文の撤回を呼び
かけているのです。     ─ [STAP細胞事件/034]

≪画像および関連情報≫
 ●「STAP細胞への逆風」/福岡伸一氏
  ───────────────────────────
  優れた可能性をもった多分化能幹細胞をごく簡単な方法で作
  り得た──全世界が瞠目したSTAP細胞の発見をめぐる状
  況がにわかに揺らぎ始めた。そもそも日本のメディアが連日
  報道したのは、発見者の小保方晴子博士が若い理系女子だっ
  たからだが、なんといっても最も権威ある科学専門誌ネイチ
  ャーに2つの関連論文が同時に掲載されたこと──つまり、
  厳しい審査を経ているはずだということ、そして共同著者に
  理化学研究所の──日本を代表する再生医療研究のメッカ、
  錚々たるメンバー、およびハーバード大学医学部の──いわ
  ずと知れた世界最高峰の研究機関、有名教授陣が名前を連ね
  ていたという事実も、発見の信頼性に多大な後光効果をもた
  らしていたことは確かだった。これまで再生医療の切り札と
  して研究が先行していたES細胞やiPS細胞(いわゆる万
  能細胞)の作製よりもずっと簡便(弱酸性溶液につける)な
  のにもかかわらず、より受精卵に近い状態に初期化できてい
  る(STAP細胞は、胎盤にもなりうるというデータが示さ
  れていた。胎盤となる細胞は受精卵が分裂してまもなく作ら
  れる。ES細胞やiPS細胞はもっとあとのステージの状態
  なので逆戻りして胎盤になることはできない)。ES細胞の
  ように初期胚を破壊する必要もなく、iPS細胞のように外
  来遺伝子を導入する操作も必要ない。ただストレスを与える
  だけで、細胞が本来的に持っていた潜在的な多分化能を惹起
  させうるという、これまでの常識を覆す、意外すぎる実験結
  果だった。私の周囲の幹細胞研究者にも聞いてみたが、皆一
  様に大きなショックを受けていた。それは正直なところ嫉妬
  に近い感情だったかもしれない。  http://bit.ly/1LmbpTX
  ───────────────────────────

ポール・ノフラー博士.jpg
ポール・ノフラー博士
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2015年06月24日

●「100%自分の手でSTAP発現」(EJ第4062号)

 昨日のEJで、ポール・ノフラー博士と若山山梨大教授の対談
をご紹介しましたが、これは極めて重要な内容を含んでいます。
ノフラー博士は、普通なら聞きにくい重要なポイントを若山教授
に相当突っ込んで聞いているからです。
 この対談は、ノフラー博士のブログに英語で掲載されたもので
あり、若山教授としては、日本では関係者しか読まないだろうと
思っていたかもしれません。しかし、研究者を目指す博士課程の
某学生が、この対談を翻訳してくれたのです。
 ノフラー博士は、STAP細胞の再現の可能性について若山教
授に聞いています。「KF」はノフラー博士、WTは若山教授を
あらわします。期日は2014年2月27日です。
─────────────────────────────
KF:現時点でSTAP細胞に対するあなたの自信はどの程度の
   ものですか。より心配になっていますか。
WT:私が理研を去る前、私は脾臓からSTAP幹細胞を作るこ
   とに成功しました。でも一度だけです。その時は小保方博
   士がよく指導してくれました。今は数人の知人(日本では
   ない)が部分的な成功(Octの発現のみ)をメールで、
   知らせてくれています。だから、私は一年以内に誰かが、
   STAP細胞の作製を発表するだろうと信じています。
                   http://bit.ly/1GdAh9R
─────────────────────────────
 ここで問題なのは、STAP細胞の再現の成功とは、どこまで
をいうのかということです。上記で若山教授が「Octの発現の
み」といっているのは、生後一週間の赤ちゃんマウスの脾臓のリ
ンパ球を培養し、緑色に光らせることを意味します。ここまでは
若山教授の外国の知人の研究者は成功したといっています。
 しかし、若山教授は(昨日のEJでご紹介したように)自分は
小保方氏の指導を受けて、STAP細胞からSTAP幹細胞を樹
立したといっているのです。これはSTAP細胞が多能性を持つ
ことの証明になるのです。
 続いて、ノフラー博士は、STAP幹細胞の再現についてもっ
と突っ込んで聞いています。
─────────────────────────────
KF:あなたはSTAP幹細胞をあなたの研究室では作れないと
   仰っていました。実験方法の観点から、なぜそのようなこ
   とが起こると思いますか?現在と過去との違いは何でしょ
   う?また、あなたは理研にいた時にSTAP細胞の作製に
   成功したとも言いました。より細かく教えていただけます
   か?あなたは、STAP誘導の作業を100%自分の手で
   行ったのですか?繰り返しになりますが、iPS細胞やE
   S細胞が何らかの理由で混入した可能性はありますか?
WT:私はたった一度だけ小保方博士から指導を受け、そして理
   研を去りました。我々が過去に研究室を移動した時、自分
   自身の技術でさえ再現することがどれだけ困難だったか分
   かりますか?ハワイからロックフェラーに移った時、私は
   マウスのクローン作製を再現するのに、半年を費やしまし
   た。これは私の技術です。自分の技術でさえ多くの時間を
   要したんです。しかし、STAP細胞の作製法は私の技術
   ではなく、別の研究室で自分ではない人が見つけた技術で
   す。だから、これを再現するのはさらに難しいことだとい
   うのは当然です。私は、それぞれのステップを小保方博士
   に監督してもらった上で、100%自分の手で再現しまし
   た。ほぼ同様に、私の博士課程の学生もSTAP─SCの
   樹立に成功しています。これらの実験の初期段階では、我
   々はES細胞やiPS細胞を同時に培養していません。後
   になって、対照群として時にES細胞を同時に培養してい
   ました。            http://bit.ly/1GdAh9R
─────────────────────────────
 若山教授はここで重要なことをいっています。彼はハワイ大学
に研究室を持っていたのですが、それをロックフェラーに移した
とき、自分が発現したクローンマウスを再現するのに、約半年か
かったといっているのです。
 そうであれば、小保方氏があれほどのバッシングを受けた後の
数ヶ月で再現実験に成功できなかったからといって、「STAP
細胞はない」となぜ断定できるでしょうか。
 もうひとつ、自分はSTAP幹細胞を100%自分の手で再現
していると明言し、「自分の博士課程の学生も、STAP─SC
(STAP幹細胞)の樹立に成功している」と話しているという
点です。STAP細胞は再現できているではないですか。
 最後に、ノフラー博士は若山教授に次のように聞いています。
─────────────────────────────
KF:最後に、私が聞かなかったことで最後に付け加えておきた
   いことや質問はありますか?もしあるならどうぞ。
WT:私は逃げない。何故なら私の実験結果においては、すべて
   のことは真実だから。しかし、新しい技術を再現するのは
   時間が掛かるんです。例えば最初のクローン動物、ドリー
   は論文が出るまで一年半もの間再現されませんでした。ヒ
   トのクローンES細胞の論文は、未だに再現されていませ
   ん。だから、少なくとも1年は待って下さい。私はその期
   間の間に、誰かもしくは私自身が再現に成功すると信じて
   います。            http://bit.ly/1GdAh9R
─────────────────────────────
 2014年2月27日に「1年間の時間をください」といって
いた若山教授が、翌月の10日に論文の取り下げを訴え、さらに
「STAP細胞は世界中で小保方氏以外再現できていない」と発
言しているのです。どうしてこのような前言を翻すような言辞を
弄するのでしょうか。理研もこの対談のことは知っているはずで
すが、なぜ若山教授にそのことを正さないのでしょうか。
              ─ [STAP細胞事件/035]

≪画像および関連情報≫
 ●「まだ消えぬ若山への疑念」
  ───────────────────────────
  6月16日にはあれだけ大々的に、3時間近くも会見を行っ
  たのに、それを取り消すとは、何ともお粗末な事ではないの
  か?この訂正は小保方が不正を行ったのではない、という可
  能性をもたらすのかといえばそうではないのだ。7月27日
  の「NHKスペシャル」には、早い時期から個人的にSTA
  P細胞論文を解析して、その正当性に疑義を唱えていた同じ
  理研の遠藤高帆研究員が登場して、小保方のSTAP細胞に
  はアクロシンGFPという遺伝子が組み込まれていると証言
  している。それは精子に発現するGFPであり、STAPの
  実験には関係ない要素だという。これを聞いた若山はアクロ
  シンGFPに心当たりがあるとする。理研にいたとき、若山
  研の学生(留学生)がES細胞を作製しており、それにはアク
  ロシンGFPを組み込んだと聞いていたと若山は言う。番組
  は、そのES細胞が小保方が使っていた理研の研究室の冷凍
  庫から見つかったとの映像を流している。NHKの記者は、
  電話でその留学生に問い合わせているのだが、「何でそれが
  小保方氏の研究室に在るのか?考えられない。」という証言
  をさせている。ここでNHKは、小保方が若山研にあるES
  細胞を盗み取って、それを若山にSTAP細胞だと言って渡
  したのだという事を暗に言っている。だが、若山は6月16
  日の会見のときには、学生さんからES細胞を小保方にあげ
  たという事を聞いていると言っていたのだ。また若山はこの
  時、自分が理研を去る直前、2013年の3月に、小保方の
  指導を受けて、STAP細胞の作製に成功したともいってい
  た。この経緯についても納得させる説明はない。
                   http://bit.ly/1QJW2Zc
  ───────────────────────────

ノフラー博士のブログ.jpg
ノフラー博士のブログ
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2015年06月25日

●「STAP細胞存在派の主張を探る」(EJ第4063号)

 テレビ、新聞、雑誌、書籍、そしてインターネットでも「ST
AP細胞はない」という情報が満載です。その根拠は「STAP
細胞はES細胞である」というものです。しかし、その根拠は極
めて技術的で素人には難解です。
 これに対して、「STAP細胞は存在する」という情報は、小
保方晴子氏の会見での「STAP細胞はあります!」というあの
言葉だけです。否定する情報は山ほどあり、肯定する情報がほと
んどない。これでは多勢に無勢で、世間一般では「STAP細胞
は存在しない」というムードになる──現在の状況はそんなとこ
ろといってよいでしょう。しかし、現在でも何となく腑に落ちな
いというか、すっきりしない状況が残っています。
 2014年1月28日のSTAP細胞の発表時点で、その存在
を信じ、推進しようとしていた人は次の4人です。
─────────────────────────────
    1.小保方晴子CDB研究ユニットリーダー
    2.若山照彦山梨大学教授
    3.笹井芳樹CDB副センター長
    4.丹羽仁史プロジェクトリーダー
─────────────────────────────
 2014年3月10日の時点で、「2」の若山教授が論文撤回
を呼びかけ、STAP細胞否定派に鞍替えしています。つまり、
逃げ出したのです。若山教授は、小保方氏にとって最も頼りにし
ていた存在であるだけに、小保方氏のショックは、計り知れない
ものがあると思います。
 若山氏が否定派に回ると、小保方氏にとって頼れるのは「3」
の笹井氏と「4」の丹羽氏だけになります。なかでも笹井氏は論
文作成の最大の協力者であり、この分野の国内では最大の権威で
あったので、小保方氏にとって心強い味方だったといえます。
 その笹井氏は、小保方氏が会見を開いたあとの4月16日に自
らも会見を開き、論文には画像などのミスはあったが、STAP
細胞が存在することを強調しています。しかし、その笹井氏は8
月5日にCDB内で自殺をしてしまうのです。
 そうすると、小保方氏にとって残る味方は丹羽氏だけになって
しまいます。しかし、小保方氏にとって丹羽氏は、論文作成のメ
ンターの一人であり、3人のなかでは最も遠い存在ということに
なります。しかし、丹羽氏はSTAP細胞細胞の存在を最後まで
訴え、小保方氏自身による再現実験を実現させたのです。ちなみ
に丹羽氏は、幹細胞生物学の権威です。
 丹羽氏は、現時点ではどのように考えてするかは知りませんが
STAP細胞の存在を信じていた学者の一人です。その丹羽氏に
毎日新聞の須田記者がメールで、「STAP細胞の存在を今も信
じる根拠は何か」と質問し、次の返信を得ています。
─────────────────────────────
 小保方氏が弱酸の刺激を与えた細胞を顕微鏡下にセットし、そ
の後は小保方氏以外の研究者が観察するという状況で、高い割合
の細胞で万能性遺伝子(Oct4)が働き、「これまでに見たこ
ともない動きをしながら」塊を作っていくことを確認した。
 若山氏は、小保方氏から渡されたのがSTAP細胞だったかは
確信が持てなくなっているようだが、その細胞の塊を自分の手で
切って受精卵に注入し、それが高い確率でキメラマウスの胎児と
胎盤に寄与した事実には、今も確証を持っている。若山氏が作製
したキメラマウスの胎盤組織の切片は、丹羽氏自身が顕微鏡下で
観察したが、「TS細胞」と呼ばれる胎盤に分化する既存の細胞
とは「全く異なるパターン」で、かつ「きちんと」STAP細胞
由来の細胞があることが確認できた。
            ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著
       『捏造の科学者/STAP細胞事件』/文藝春秋
─────────────────────────────
 丹羽氏にしても笹井氏にしても、小保方氏の実験を間近かで見
ているのです。そういう複数の専門家の前で、ES細胞にすり替
えることは不可能であるし、そんなことをしても何にもならない
ことは小保方氏自身が一番わかっていると思います。
 須田記者の本には、笹井氏と丹羽氏が研究者としての小保方氏
をどのように見ていたかについての記述があります。
─────────────────────────────
◎笹井芳樹氏
 小保方さんは、たしかに実験面での天才性と、それに不釣り合
いな非実験面の未熟さ・不注意が混在したと思いますが、特にC
DBに来る以前には、そのギャップを埋めるトレーニングを受け
る機会を逸していたのは残念なことです。かといって、研究を良
心的に進めていたことことを否定するのは、アンフェアであると
思います。
◎丹羽仁史氏
 私は小保方さんのデータ管理能力はもはや疑問を持ちますが、
研究能力の高さはこの目で確認しています。その彼女がデータは
取り違えても、若山さんに独立の実験ごとに再現性よく「変な」
細胞を渡すとは思えません。
      ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著の前掲書より
─────────────────────────────
 笹井氏も丹羽氏も、若山教授の突然の論文撤回の呼びかけには
相当不快感を持っていたようです。それは、須田記者による若山
教授の論文取り下げについての感想を求めたメールの返信によく
あらわれています。
─────────────────────────────
 若山さんの発言も、変な形で吹き込まれた誤解に基づき発信し
てしまったものだと確認され、その誤解を正す情報が、彼にも伝
わっていないのだろうと思います。      ──笹井芳樹氏
      ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著の前掲書より
─────────────────────────────
              ─ [STAP細胞事件/036]

≪画像および関連情報≫
 ●理研の野望は水の泡/笹井芳樹氏と小保方晴子氏
  ───────────────────────────
  最後まで小保方氏をかばう笹井氏はES細胞の権威として知
  られ、30代で京都大学医学部教授になった優秀な科学者で
  ある。「一時は、ノーベル賞候補とさえ言われていました。
  しかし、ES細胞は生成に卵子が必要なのです。人間に応用
  する場合、女性の子宮から卵子を取り出さなくてはならず、
  倫理的な問題で人への応用研究は実質的にできない状態で、
  その最中に現れたのが、ノーベル賞受賞者の山中伸弥氏でし
  た。山中氏が発見したiPS細胞が、今や万能細胞研究の主
  流となり、ES細胞は非主流となってしまったのです」(科
  学部記者)。そのため、笹井氏も同席したSTAP細胞の研
  究結果発表の際に、小保方氏がiPS細胞の「300倍の効
  率」と主張したのは笹井氏の山中氏への対抗意識が背景にあ
  ったと言われる。「昨年1月、文科省が山中氏に年間110
  億円の研究費を10年間供給することを約束しました。ST
  AP細胞にもこの規模の予算が投下されることが予想されて
  いました。文科省などが支払う科学研究費の30%は『間接
  経費』で自由裁量が利く経費となります。笹井氏らは数億円
  規模の研究費を自由に使える立場となるはずだったのですが
  ・・・」(文科省関係者)。どんなに小保方氏が「200回
  以上、作成している」、第三者が「作成に成功している」と
  主張しても、特許使用料どころか、莫大な研究費も得られる
  見込みはない。もはや、小保方氏と笹井氏の「O─S結合」
  も切れかかっているのだ。     http://bit.ly/1I8EJeQ
  ───────────────────────────

丹羽仁史氏.jpg
丹羽 仁史氏
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2015年06月26日

●「若山研究室では何を解析したのか」(EJ第4064号)

 そもそもSTAP細胞などは、はじめから存在せず、その正体
はES細胞だったとするSTAP細胞不存在説は実は論文発表直
後から出ているのです。もちろん正式にではなく、匿名のブログ
上で、一貫してその不存在を訴えている研究者と思われる人物が
複数います。
 さて、STAP細胞の発現に最も近い位置にいたはずの若山照
彦山梨大学教授が、なぜ「STAP細胞はES細胞である」と判
断するに至ったのかについて、もう少し詳しく知る必要があると
思います。しかし、このSTAP細胞不存在説について詳細に述
べると、極めて専門的な話になってしまうので、相当簡略化して
述べることにします。
 若山研究室では、小保方氏が客員研究員として共同研究してい
た2012年1月〜2013年3月までに樹立したSTAP幹細
胞を山梨大に運び、冷凍保存していたのです。全部で25株あり
それぞれ次のように名前が付けられていたのです。
─────────────────────────────
       1.  FLS ・・・  8株
       2.AC129 ・・・  2株
       3.FLS─T ・・・  2株
       4.  GLS ・・・ 13株
─────────────────────────────
 予備知識ですが、既に述べているように、STAP細胞は生後
一週間の赤ちゃんマウスの脾臓から採取したリンパ球から作られ
ています。それらのマウスには、「GFP」という細胞を光らせ
る遺伝子が人工的に挿入されています。
 その遺伝子をどこに挿入するかは、マウスの作製者によって染
色体上の挿入位置は異なるのですが、若山研究室では、18番染
色体にGFPを挿入していたのです。
 マウスのすべての染色体は、ヒトと同じように2つがセットに
なっています。その両方にGFP遺伝子が挿入される場合と、片
方だけに挿入される場合があります。これを次のように呼称して
います。
─────────────────────────────
   両方に同じ遺伝子が挿入される場合 ・・  ホモ
   片方に遺伝子が1本挿入される場合 ・・ ヘテロ
─────────────────────────────
 つまり、若山研究室では、GFP遺伝子は18番染色体の両方
に挿入される「ホモ」であったのです。こういう細工を施したマ
ウスを使ってSTAP幹細胞を作製し、それを解析すると、GF
P遺伝子は18番染色体のホモ──すなわち、2本挿入されてい
なければならないのです。この確認によって、そのSTAP幹細
胞はSTAP細胞由来のものであることが証明されるのです。
 若山教授は、研究室が管理していたSTAP幹細胞25株中の
14株(FLS+AC129+FLS─T+GLS中の2株)を
第三者機関(放医研の知人研究者)に解析依頼をしたところ次の
結果が返ってきたのです。
─────────────────────────────
       マウスの系統  GFP挿入場所  性別
    FLS     ○        ×  オス
  AC129     ×        ○  オス
  FLS─T     ○        ○  オス
    GLS     ○        ○  メス
            ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著
       『捏造の科学者/STAP細胞事件』/文藝春秋
─────────────────────────────
 一番重要なのはFLSの8株ですが、マウスの系統は論文と同
じであったものの、GFP遺伝子の挿入位置が18番ではなく、
15番の染色体のヘテロ、すなわち片方にのみ挿入されていたの
です。これは、若山研究室が小保方氏に提供したマウス由来の細
胞ではないことを意味します。
 しかし、遺伝子の挿入位置については、解析の誤りであったこ
とがわかり、訂正されたものの、元のマウスと矛盾していること
の謎は残ったままです。
 AC129の遺伝子の挿入位置ついては、18番染色体のホモ
であったのですが、マウスの系統が異なっています。唯一、FL
S─Tについては、マウスの系統も遺伝子の挿入位置も正しいの
です。このFLS─Tは、FLSの樹立の一年後に同じ系統のマ
ウスを使って、若山教授が小保方氏に教わりながら樹立したもの
ですが、これは論文には記載されていません。
 GLSについては、マウスの系統や遺伝子の挿入位置に矛盾は
なかったものの、性別はメスだったのです。これについても解析
結果が違っていて、GLSの13株すべてがオスであることがわ
かったのです。
 このように、解析結果には多くの間違いが発生します。絶対と
いうことはあり得ないのです。したがって、いくつか解析に矛盾
があっても、笹井芳樹氏がいうように、それは研究者によるラボ
でのディスカッションによって解決すべきテーマであり、少なく
とも公共放送にリークしたり、記者会見を開いて疑惑を煽る性格
のものではないはずです。
 もうひとつ若山教授は会見で、AC129、FLS─T、GL
Sのいずれも同様のES細胞が研究室に存在したことを強調して
います。このあたりに、あたかも小保方氏がそれらのES細胞と
すり替える余地があったことを匂わしており、その最初から疑っ
てかかる姿勢には疑問を感じます。
 そのなかで注目すべきは、FLS─Tの2株がマウスの系統も
遺伝子の挿入位置も矛盾がないことです。しかもその1株は若山
教授自身が自ら小保方氏の監督の下に作製に成功したものであり
若山教授自身もノフラー博士に100%自分の手で作製したこと
を告げています。これは、STAP細胞があることの証明ではな
いでしょうか。       ─ [STAP細胞事件/037]

≪画像および関連情報≫
 ●「ネット廃人嘘日誌」ブログ記事より
  ───────────────────────────
  小保方さんのSTAP細胞論文の疑惑の第一発見者は、ブロ
  ガーの kaho 氏のようだ。最近、小保方さんが新聞・雑誌な
  どでめちゃくちゃに叩かれている。もちろん、論文にいろい
  ろ問題があったことは確かだが、当初は、各報道機関はノー
  ベル賞級の論文とか、絶賛していたのが不思議だ。論文の問
  題点の最初の指摘は、有名研究者でも大手報道機関ではなく
  匿名のブロガ― kaho 氏の指摘からだ。生物学に非常に精通
  したブロガーによるブログ 「kahoの日記」 である。そのブ
  ログでは、論文の実験資料を分析し、STAP細胞の存在を
  最初から疑問視していた。この指摘が、インターネット上で
  広がり、関係研修者や、大手報道機関の目にもとまり、今回
  の論文疑惑報道へとなったようだ。その kaho 氏は、最近の
  疑惑論文の犯人探し、小保方さん叩きに等について、ブログ
  に下記のように書いている。「STAPの話題は#5で最後
  にと述べましたが,少しだけ追加する必要ができましたので
  補足を。聞く所によると犯人探しのようなことが起きている
  ようでとても残念です。今回私が投稿した内容は,神戸でN
  GS解析を担当した研究者を批判するものでは全くありませ
  ん.アップロードされたデータや解析内容から伺えることは
  彼らは言われたデータをただとって,言われたように解析し
  たのだろうということです。外部に対してはプロジェクトの
  一員としてある程度の責任はあると思いますが,内部的には
  被害者という側面もあると思っています.恐らくサンプルの
  細胞名すら聞かされていなかったのではないでしょうか。
                   http://bit.ly/1Ji5sak
  ───────────────────────────

GFP(蛍光タンパク質).jpg
GFP(蛍光タンパク質)
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2015年06月29日

●「なぜ不存在の証拠ばかり探すのか」(EJ第4065号)

 STAP細胞をめぐる議論には次の2つがあり、これら2つを
巧みに使い分け、STAP細胞が存在しないという結論に導こう
としている操作があるように思います。
─────────────────────────────
     1.STAP細胞は存在するのかしないのか
     2.STAP細胞論文には多くの疑惑がある
─────────────────────────────
 上記「2」に関しては、多くの画像の取り違えや改ざんなどが
あることは事実ですが、論文自体の論旨や主張などが間違ってい
るという指摘はないように思います。画像が博士論文からの流用
であるとか、電気泳動のデータ画像の切り貼りであるとかが指摘
されていますが、直ちにそれをもって「1」の「STAP細胞は
存在しない」とはいい切れないと思います。そういう論文画像の
改ざんは学者の世界では日常茶飯事だからです。
 理研は「2」については、厳しく断罪していますが、「1」に
ついては断定していないし、国際特許の申請はいまだに取り下げ
られていないようです。もし、STAP細胞が他の研究者によっ
て開発に成功した場合、この国際特許の申請がものをいうからで
す。だから、理研の方から特許申請を取り下げるつもりはないと
笹井氏の会見のさい、理研幹部が発言しています。
 しかし、メディア──とくにNHKは小保方晴子氏が「2」を
行ったことによって、「1」のSTAP細胞の不存在を大々的に
喧伝し、論文を取り下げたにもかかわらず、その後に「NHKス
ペシャル」で偏向的な報道を行い、これまで再生医療の分野で優
れた業績を上げてきた笹井芳樹博士を自殺に追い込み、小保方氏
の名誉を必要以上に毀損させ、学者として再起不能の状況に追い
やっています。こんなことは許されるのでしょうか。
 それにしてもどうしてメディアは最初からSTAP細胞はない
と決めてかかるのでしょうか。それはあまりにもヒステリックで
すらあります。
 若山教授をはじめとするSTAP細胞否定派は、不透明な解析
結果をもって、マウスが異なるということを強弁しています。具
体的にいうと、現在残存しているSTAP幹細胞(万能性が確認
されている細胞)は、若山教授が小保方氏に渡した生後1週間の
赤ちゃんマウスから作製されたものではないことをさかんに強調
しているのです。
 それなら、小保方氏は、どのようにしてSTAP幹細胞を作製
したのでしょうか。
 STAP細胞不存在派は口にこそ出しませんが、マウスがすり
替えられている事実を強調することによって、小保方氏が次のよ
うなことをしたと多くの人に推測させようとしています。
 小保方氏は提供された赤ちゃんマウスを使わず、若山研究室が
保存していたES細胞をひそかに盗み出し、それを培養シャーレ
に混入させ、STAP細胞と偽って若山氏に戻したということに
なります。
 小保方氏がそんなことがたできる状況にあったとは思えないし
そんなことをして、何のメリットがあるのでしょうか。バレるに
決まっているからです。何しろ渡した相手はES細胞のことを知
り尽くしている若山教授だからです。
 しかし、そんな荒唐無稽なことを信じて、理研の元上席研究員
が、ES細胞の窃盗容疑で小保方氏を告発しているのです。なお
この告発の結果については不明です。
─────────────────────────────
 理化学研究所のOBが「ES細胞を盗まれた」として小保方晴
子元研究員を告発した。告発した石川智久氏は、昨年(2014
年3月)まで理研に在籍していた。告発状では「小保方元研究員
は名声や安定した収入を得るために、STAP論文共著者の若山
照彦教授=現・山梨大教授=の研究室からES細胞を盗み、ST
AP論文をねつ造改ざんした」。「不正をもとに理研での安定し
た地位や収入を騙し取った」としている。
 石川氏は「真面目にコツコツと研究している研究者の怒りを含
め、代表して刑事告発するに至った。私の告発の究極のゴールは
立件まで持っていくことです」と語っている。
    ──1015年1月27日/JCASTテレビウォッチ
                   http://bit.ly/1fLpiy7
─────────────────────────────
 若山教授が解析を依頼したSTAP幹細胞は14株です。その
うち「FLS」と名付けられた8株についてはGFPが挿入場所
が異なるとして、若山研究室にないマウスと断定し、若山教授は
記者会見で発表しましたが、これは解析ミスということになって
います。それならOKなのかというとそうではないとわかりにく
い結果になっています。「AC129」に関してもマウスの系統
は異なるとしています。これもわかりにくいです。
 ところが、「FLS─T」の2株と「GLS」の2株について
は矛盾はないのです。しかも「FLS─T」の幹細胞の作製には
若山教授が自らが行っているのです。自分がやっているのですか
ら、これほど確かなことはないはずですが、若山教授は会見でこ
のことは話していないのです。ということは、若山教授の渡した
生後1週間の赤ちゃんマウスからSTAP幹細胞が作製された可
能性は否定できないことになります。
 しかし、彼らは「渡されたSTAP細胞と称するものが、ES
細胞だったかもしれない」と疑うのです。それでは、若山教授が
小保方氏の監督の下で、100%最後まで自分の手で作製した幹
細胞もES細胞だったというのでしようか。
 彼らは、なぜ「STAP細胞はない」ということにこだわり、
その証拠ばかり探すのでしょうか。なぜ「STAP細胞はある」
という視点に立って検討しないのでしょうか。なぜ、メディアは
血眼になって、それがないとする動かぬ証拠(?)を探し、無責
任な報道を繰り返すのでしょうか。もし、STAP細胞があれば
人類は救われるのです。   ─ [STAP細胞事件/038]

≪画像および関連情報≫
 ●STAP細胞は本当に存在しないのか
  ───────────────────────────
  昨日(12月18日)理研からSTAP細胞は存在しないと
  いうコメントが報道された。19日の今日報告会が開かれる
  そうだが、小保方氏は体調悪く欠席するという。理研の報告
  では、小保方氏も再現できなかったことになっている。再現
  できなかったことが、そのまま存在しないという結論になっ
  ている不自然さに違和感を持った。彼女は、幻を見ていたの
  か。バカンティー教授は彼女の実験結果の再現を見ていると
  いっていたがそれは嘘だったのか。彼女は今回の理研の結論
  に果たして満足しているのだろうか。今回の結果を彼女が認
  めているとしたら、この結末は、必ず再現してください、と
  言って他界した笹井氏があまりにも哀れである。もしその存
  在を今でも信じているのならば、小保方氏は今回の理研の発
  表に関わらず、アンダーグラウンドでも構わないので、生涯
  をかけてSTAP細胞の実現に努力すべきである。理研から
  存在しないと結論づけられた研究に対してその対立仮説を努
  力しても無意味、という意見があると思うが、本件は熱力学
  の永久機関と異なる状況だと感じている。それは彼女が存在
  すると結論付けたことに対して明確な否定論理が公開されて
  いないからである。また、植物の細胞でSTAP現象が現れ
  なぜ動物の細胞でそれが観察されないのか、科学的に完璧な
  証明が今でも為されていないという。ただ、実験を行い、そ
  れが確認できないから、100%できない、という結論は、
  科学的方法論から間違いである。  http://bit.ly/1LBAIl5
  ───────────────────────────

小保方氏訴えられる.jpg
小保方氏訴えられる
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2015年06月30日

●「到底納得できない理研の調査報告」(EJ第4066号)

 2014年11月に理研は、調査報告を行い、「STAP細胞
論文は、ES細胞の混入が示され、論文の主たる主張は否定され
ている」として、事実上この問題の幕を引いています。
 調査委員会長を務める桂勲・国立遺伝学研究所長は、約150
人の報道陣を前に、結論として次のように述べています。
─────────────────────────────
 結論を申しますと、STAP幹細胞は残存試料を調べた限りで
は、すべて既存のES細胞に由来していた。それから、STAP
細胞からつくったキメラマウス、テラトーマ(腫瘍(しゅよう)
組織)もその可能性が非常に高い。故意か過失か、だれが行った
かは決定できない。          ──朝日新聞デジタル
                   http://bit.ly/1GDgyzE
─────────────────────────────
 現在でもネット上では、STAP細胞をめぐるさまざまな議論
が行われていますが、その内容は極めてテクニカルであり、素人
には理解しにくいレベルの技術論争が展開されています。
 EJがこのテーマを取り上げたのは、連休明けの5月7日のこ
とであり、そろそろ2ヶ月になろうとしています。以来ブログに
は、一日平均7000回のページビュー(PV)があります。記
事を発信しない土曜、日曜のPVでも平均6000回を超えるア
クセスてがあり、STAP細胞事件の関心の高さに驚いておりま
す。ご愛読を改めて感謝する次第です。
 EJでは、技術論争を展開するサイトは参考にさせていただき
ますが、そうした細かな技術論争に加わるつもりはなく、あくま
で常識的な観点からこの事件の問題点を整理し、論評を加えるつ
もりでおります。EJでは、これまでこういうスタンスで、数多
くのテーマに分析を加えてきているからです。
 さて、理研の最終報告では、要するに「STAP細胞といわれ
るものはES細胞が混入した疑いが濃厚であり、故意か過失か不
明であるが、STAP細胞は最初から存在しなかった」というこ
とになると思います。
 この結論は技術的にはともかく、常識的に考えてもとても納得
できるものではありません。やっと理研CDBの若山研究室(当
時)の客員研究員になったばかりの小保方氏が、そんな捏造をし
て何のメリットがあるのでしょうか。バレるに決まっていること
をあえてやるとは到底思えないのです。
 小保方氏を窃盗容疑で告発した理研の元上級研究員の石川智久
氏がいうように、名声や安定した収入を得るためにそんな捏造を
したのでしょうか。EJでは、小保方氏のこれまでやってきたこ
とを調べてご紹介しましたが、そういう経緯から考えても、小保
方氏が、そんなメリットのないことをするはずがない──これが
ごく常識的な考え方ではないでしょうか。
 仮にSTAP細胞がES細胞であったとした場合、小保方氏の
置かれた環境が、果してそういう細工をすることが可能であった
のでしょうか。
 小保方氏は、自身の会見のとき、ES細胞の混入の可能性につ
いて記者から質問され、次のように答えています。
─────────────────────────────
 STAP細胞の培養を行っていたとき、研究室内では、ES細
胞の培養を一切行っていない状況で、STAP細胞の研究は行わ
れていました。   ──小保方晴子元CDBユニットリーダー
─────────────────────────────
 これに対して若山山梨大学教授は、幹細胞生物学者のポール・
ノフラー博士の質問に次のように答えています。6月23日付の
EJから再現します。「KF」はノフラー博士、WTは若山教授
をあらわします。
─────────────────────────────
KF:STAP細胞がES細胞やiPS細胞の混入の結果である
   可能性はありますか。
WT:私STAPからSTAP─SC(STAP幹細胞)を複数
   回樹立しました。(ESの)混入がその度に起こるなんて
   ことは考えづらいです。さらに私はSTAP─SCを12
   9B6GPFマウスから樹立しました。その当時、我々は
   その系統のES細胞を持っていませんでした。これら実験
   の初期段階では、我々はES細胞やiPS細胞を同時に培
   養していません。        http://bit.ly/1huUfTu
─────────────────────────────
 これを見る限り、ES細胞に関して、小保方氏と若山教授の発
言は一致しています。つまり、ES細胞のコンタミは起こり得な
い状況にあったと2人とも認めているのです。
 しかし、若山教授はその後小保方氏がいつでもES細胞を使え
る環境にあったと発言を変えていますが、これについては改めて
述べることにします。
 CDB内の若山研究室(当時)のなかで小保方氏は、研究室の
メンバーとは離れたデスクで研究を行っていたことをNHKスペ
シャルは明かしています。それは、次のような事情によるもので
あったのです。
─────────────────────────────
 一つには、若山研の主な実験は顕微鏡下で受精卵などを扱うマ
イクロマニピュレータ−という特殊な装置を使うということだ。
マニピュレーターが一人一台用意されたメーンの実験室には若山
氏の席もあり、メンバーから口頭で生データの報告を受けながら
実験を進める。一方、マニピュレーターを使わない小保方氏は、
その部屋とは別の、細胞培養装置などが置かれた実験スペースで
STAP細胞の作製をしていた。できた細胞や組織の解析のため
若山研以外の研究室や、共有の実験装置が置かれた部屋に行って
いることも多かった。  ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著
       『捏造の科学者/STAP細胞事件』/文藝春秋
─────────────────────────────
              ─ [STAP細胞事件/039]

≪画像および関連情報≫
 ●理研OBが小保方氏を刑事告発
  ───────────────────────────
  理化学研究所OB石川智久氏が1月26日、「小保方晴子氏
  が若山研究室のES細胞を盗んだ」として、STAP細胞論
  文の筆頭著者であった小保方氏を兵庫県警に刑事告発した。
  告発が受理されれば捜査が始まるが、県警は受理するかどう
  かを検討中だ(27日21時現在)。石川氏は告発前に発売さ
  れたフライデー2月6日号でインタビューに応じている。石
  川氏は、昨年3月まで理研に勤務しており、過去、野依良治
  ・理研理事長と共同研究をしていたこともある。フライデー
  の記事によれば、石川氏は昨年末、理研の調査委員会が「S
  TAP細胞はES細胞が混入したもの」と発表した一方、E
  S細胞が混入した経緯が不明なままであることを不審に思い
  関係者を通じて独自に調査したという。石川氏が証拠として
  挙げるのは、小保方氏が以前所属していた若山照彦氏の研究
  室(現在は山梨大学に転出)からES細胞サンプル入りの箱が
  なくなっていたが、それが小保方氏の研究室で見つかったこ
  と。「若山研究室が理研から山梨大に引っ越す時に、小保方
  氏が盗んだとしか考えられない」という関係者の声も紹介し
  た。当時、STAP細胞のプロジェクトは、小保方氏や元上
  司の故・笹井芳樹氏など、限られた人しか知らなかった。石
  川氏は、この状況の中でES細胞を盗む動機があった人は、
  小保方氏しか考えられないと言うのだ。
                   http://bit.ly/1LuA5Ja
  ───────────────────────────

若山研究室での小保方氏の実験デスクのイメージ.jpg
若山研究室での小保方氏の実験デスクのイメージ
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2015年07月01日

●「理研調査委はSTAP細胞を否定」(EJ第4067号)

 これからの説明のために必要になるので、6月5日付のEJ第
4049号で説明したSTAP細胞関連の3つの細胞を再現して
おくことにします。
─────────────────────────────
  1. STAP細胞
     ・万能細胞であるが、自己増殖能はない
  2.STAP幹細胞
     ・万能細胞であり、かつ自己増殖性あり
  3.  FI幹細胞
     ・2に加え胎児と胎盤の両方に分化する
                   http://bit.ly/1KddaRV
─────────────────────────────
 私の印象では、理研は笹井芳樹CDB副センター長が自殺(2
014年8月5日)するまでは、かなり小保方氏を庇っており、
何とかSTAP細胞の正当性を立証しようと努力していたように
感じます。
 しかし、笹井氏が亡くなると、理研の調査委員会の結論として
は一転して「STAP細胞=ES細胞」ということで、幕引きを
図ったように思うのです。つまり、笹井氏の死後、理研は方針を
変更したと考えられます。
 現在、小保方氏以外のSTAP細胞事件の関係者は口を揃えて
次のようにいっています。
─────────────────────────────
 STAP細胞は、小保方晴子氏以外、誰ひとり世界中で再現
 に成功した人はいない。
─────────────────────────────
 これをもっと正確にいうと、ネイチャー誌に掲載された論文の
レシピで、再現に成功した人はいないという意味になります。し
かし、小保方氏の監督の下で、生後1週間の赤ちゃんマウスの脾
臓からSTAP細胞を作製し、STAP幹細胞まで成功した人は
少なくとも1人いるのです。それは、若山照彦山梨大学教授その
人です。若山教授はノフラー博士の質問に「100%自分の手で
作製した」と強調しています。もし「STAP細胞=ES細胞」
であり、STAP細胞など存在しないのであれば、若山氏が成功
するはずがないのです。
 このSTAP幹細胞は2株とも残されており、若山氏も理研も
解析して、正当なものであることを確認しています。「FLS─
T」の2株がそうです。もし、そうであったとすると、「STA
P細胞は存在する」ということになるはずです。
 若山教授自身も外国の知人の研究者がSTAP細胞の作製に成
功したというメールをもらったとノフラー博士に話していますし
笹井氏も自身の記者会見で、理研内部で少なくとも2人が作製に
成功していると発言しています。1人もいないどころか世界に何
人もいるではありませんか。
 ところが、奇怪なことに、その若山氏自身が「世界でSTAP
細胞を再現できた人は一人もいない」と発言しているのですから
理解に苦しみます。若山教授は2014年6月16日の記者会見
で、記者からSTAP細胞の再現実験についてどう思うかと質問
され、次のように答えています。
─────────────────────────────
 世界中でSTAP細胞を作れるといっている人は小保方氏しか
いないのですから、本人にやってもらうのが一番良いのではない
でしょうか。      ──若山教授/6月16日の記者会見
─────────────────────────────
 実は、理研の調査報告書にも若山教授がSTAP細胞の作製に
成功したことの記述があるのです。
─────────────────────────────
 STAP幹細胞、FI幹細胞、キメラ、またはテラトーマの作
製にまで到達できたSTAP細胞は、すべて小保方氏が作ったも
のである。CDB若山研のメンバーで挑戦した者は多いが、小保
方氏以外で成功した者はいなかった。例外として、一度だけ、小
保方氏が付き添って指導したときに、若山氏がSTAP細胞作製
を行い、さらにSTAP幹細胞作製まで到達したことがあった。
(表:STAP関連細胞株一覧の「FLS─T1、T2。この細
胞株のデータは論文には使われていない」)。
      ──「研究論文に関する調査報告書」/調査委員会
─────────────────────────────
 ここで留意すべきは、この調査委員会とは、理研が設置した調
査委員会のことであり、その正式名称は「研究論文に関する調査
委員会」になっていることです。STAP細胞が存在するかどう
かの調査委員会ではないのです。したがって「FLS─T1/T
2」に関しては、論文のデータはないので、調査委員会としては
関知しないというわけです。
 現在、若山研究室に残されていたSTAP幹細胞は次の通りで
すが、2〜4については、同種のES細胞が存在することが明ら
かになっています。
─────────────────────────────
  1.  FLS ・・・  8株
  2.AC129 ・・・  2株/同様のES細胞が存在
  3.FLS─T ・・・  2株/同様のES細胞が存在
  4.  GLS ・・・ 13株/同様のES細胞が存在
─────────────────────────────
 このうち、「FLS─T」は論文のデータではないとして外さ
れ、残りについて調査委員会が遺伝子配列データの解析をしたと
ころ、若山研究室が別の実験で作製したES細胞のどれかと一致
したというのです。これをもって、STAP細胞とされていたも
のは、ES細胞の混入に由来すると断定しているのです。
 STAP細胞でないと説明がつかない現象はすべて一蹴され、
調査されていないのです。これではあまりにも乱暴な結論といわ
ざるを得ないのです。    ─ [STAP細胞事件/040]

≪画像および関連情報≫
 ●「理研の調査委員会報告書」/アクチュアリーの練習帳
  ───────────────────────────
  昨年12月26日に発表された、例のSTAP細胞に関する
  論文についての理研の「研究論文に関する調査委員会」の報
  告書と、それに関する説明用のスライドを読みました。この
  報告書の目的はSTAP細胞に関する(ネイチャー誌に載っ
  た)三つの論文について、研究不正があるかどうか、もしあ
  るならその責任を負うべき者は誰かを明らかにすることで、
  調査の対象となるのはSTAP細胞を作った(ことになって
  いる)小保方さんと小保方さんの作ったSTAP細胞からS
  TAP幹細胞を作った(ことになっている)若山さんと、研
  究チームのリーダーであった丹羽さんの三人です。で、結論
  としては、論文の中の図についていくつかデータの捏造がみ
  つかり、小保方さんの責任だと認定しており、若山さんと丹
  羽さんについては、研究不正は見つからなかったということ
  です。しかしこの報告書の中味は、むしろ小保方さんが作っ
  たSTAP細胞から若山さんが作ったSTAP幹細胞といわ
  れるものが、遺伝子を調べてみると全て(STAP細胞とは
  別の実験で)若山さんの研究チームが作ったES細胞と同じ
  ものだということが分かったということのようです。本来小
  保方さんの作ったSTAP細胞が残っていればそれを調べる
  のが一番良いんでしょうが、STAP細胞というのはほとん
  ど増殖しないので、あまり長くはもちません。で、今はもう
  残っていません。しかしそのSTAP細胞をSTAP幹細胞
  にすれば増殖するようになり、ずっと残すことができるとい
  うことのようです。        http://bit.ly/1QWBPzp
  ───────────────────────────

STAP論文の調査結果を報告する槇委員長.jpg
STAP論文の調査結果を報告する槇委員長
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2015年07月02日

●「STAP現象がないと説明が困難」(EJ第4068号)

 2014年4月16日のことです。笹井芳樹理研CDB副セン
ター長(故人・当時)の記者会見が開催されたのです。小保方氏
の会見から一週間後のことです。その会見は、3時間をゆうに超
える長時間会見になったのです。
 報道各社は科学に強い記者を揃え、鋭い質問を笹井氏にぶつけ
ています。それは、まるで「STAP細胞などない」という前提
に立って、その証拠を掴もうと根ほり葉ほり笹井氏を追及する異
様な展開になったのです。とくに科学雑誌の複数の女性記者の質
問はかなりヒステリックなものに終始した感があります。
 それにしても「STAP細胞はある」という観点からの質問は
ほとんどなかったように思います。それは、報道各社は事前に知
り合いの科学者からアンケートを取り、それに基づいて質問項目
を決めていたからです。このようなもし事実ならノーベル賞級の
大発見には、ほとんどの科学者は反対するものだからです。それ
はある種の嫉妬が混じっていると思います。
 記者の質問のなかには、「先生にはこのSTAP細胞で、山中
伸弥教授を抜いてやろうという野心があったのではないですか」
というぶしつけなものもあったのですが、笹井氏は終始落ち着い
て、どのような無礼な記者の質問にも激することなく、ていねい
に時間をかけて答えており、そこに笹井氏の誠実な人柄を少なく
とも私は感じました。
 全体を通じて笹井氏の主張は「STAP細胞はある」という自
信に満ちた内容であったのです。そうでなければ、あれだけ堂々
たる論陣を張ることはできなかったと思います。
 この会見の動画があります。時間は3時間で切れてしまい、最
後まで収録されていませんが、内容を把握するのに十分です。記
者会見の動画のURLと、会見のさい記者に配付されたA43枚
の説明資料のURLを次に示します。動画をご覧になるときは、
説明資料を印刷して聞くと分かり易いと思います。
─────────────────────────────
             2014年4月16日
     ◎笹井芳樹CDB副センター長記者会見
             http://bit.ly/1CCeoQa
     ◎科学研究面に関する説明資料/1〜3
             http://bit.ly/1TX4x2d
─────────────────────────────
 笹井氏は、記者から「STAP細胞があるという根拠を示して
ください」という質問に対して、次の3つを上げ、「これらはS
TAP現象を前提にしないと容易には説明できないことである」
と述べています。
─────────────────────────────
   1.ライブイメージングを自分自身が目視している
   2.STAP細胞は特徴ある性質の細胞であること
   3.胚盤胞の細胞注入実験(キメラ)の結果である
─────────────────────────────
 「1」は、笹井氏自身が酸で処理した後の培養で、細胞が変化
していく様子を自分をはじめ複数の笹井研究室の部員が見て確認
しているといっているのです。
 「ライブイメージング」というのは、顕微鏡ムービーのことで
再処理後の細胞の入った培養皿をセットし、自動撮影するので、
途中で細胞を追加するなどの人為的な操作は一切不可能であると
いっています。
 理研の調査委員会は、細胞の遺伝子解析結果だけを証拠に残存
するすべてのSTAP幹細胞はES細胞であると結論づけていま
すが、小保方氏がマウスをすり替えたり、培養液などにES細胞
を混入させることができたとは思えないのです。
 当時小保方氏は、笹井研修室にいて笹井氏の指導を受けて実験
していたのです。CDBの笹井研究室といえば、日本のES細胞
のメッカであり、ESの専門家がたくさんいるのです。そんな環
境の下で、ES細胞の混入ができたとは考えられないのです。
 「2」は、STAP細胞はES細胞と形状も性質もが異なるの
で、見る人が見れば、その違いが分かるはず、といっているので
す。これは重大な指摘であると思います。
 STAP細胞はES細胞より小型で、核も小さく、細胞質がほ
とんどないのです。また、遺伝子の働き方もSTAP細胞と異な
るので、増殖能が低く、長期培養ができないのです。そのため、
それに増殖能を持たせるため、STAP幹細胞にして保管してい
るのです。STAP細胞とES細胞の違いは添付ファイルをご覧
ください。これは、笹井氏の説明資料にも載っています。
 実は、槇委員長による理研の調査委員会には、STAP細胞が
ES細胞と形状が違うことを示すデータを提出ているのですが、
それらは一切無視されています。都合の悪いデータは見ない方針
のようです。最初から結論ありきです。
 「3」については詳しい説明が必要です。改めて詳しく述べま
すが、簡単に述べると次のようになります。STAP細胞由来の
細胞をマウスの受精卵に注入するさい、細胞の塊を注入しないと
キメラマウスができないのです。これはES細胞と大きく異なる
点です。
 さらに、STAP細胞由来のキメラマウスの場合、胎児だけで
なく、胎盤にも分化するのです。これは、ES細胞にはできない
ことです。したがってこれは「STAP細胞=ES細胞」を覆す
決定的な証拠なのですが、槇委員会はこれについても無視してい
ます。あくまで遺伝子解析オンリーです。
 これについては、STAP細胞は「ES細胞に胎盤に分化する
TS細胞が混ぜ合わされている」という説がありますが、これは
実際にやってみると、2つの細胞はうまくくっつかず、ひとつの
細胞塊にならないと笹井氏は述べています。
 この実験は丹羽仁史氏が実際にやっており、ひとつの細胞塊に
ならないことを確認しているのです。槇委員会はこれらのことも
一切無視しています。    ─ [STAP細胞事件/041]

≪画像および関連情報≫
 ●STAP細胞/笹井氏の記者会見を受けて/上昌広氏
  ───────────────────────────
  4月16日、理研発生・再生科学総合研究センターの笹井芳
  樹・副センター長が、STAP細胞の研究不正問題で記者会
  見を行った。テレビ局が生中継したため、私も視聴すること
  が出来た。笹井氏の説明は分かりやすかった。今回の論文発
  表の経緯を解説し、STAP細胞「検証する価値のある合理
  性の高い仮説」と結論した。ただ、様々な問題点を指摘され
  たことを受けて、「論文は撤回するのが適切」と意見を述べ
  た。妥当な意見だろう。ただ、筆者は、この記者会見を聞い
  て違和感を抱いた。それは「最後の段階で論文仕上げに協力
  しただけ」で、「実際に指導したのは若山照彦教授である」
  との主張を繰り返したからだ。この発言に納得する人は少な
  いだろう。笹井氏は、理研の再生科学総合研究センターのナ
  ンバー2だ。一般企業に例えれば、理研本部はホールディン
  グ・カンパニー、再生科学総合研究センターは事業会社に相
  当する。笹井氏は、一つの事業会社の副社長で、今春に社長
  昇格が予想されていた実力者である。センターの経営に大き
  くかかわってきたと考えるのが普通だ。通常、経営者は、経
  営判断に関して責任を負う。現に、記者会見では、小保方晴
  子氏のユニット・リーダーへの抜擢人事には関係したと明言
  している。今回の不祥事について、任命責任を負うのが当た
  り前だ。ところが、彼の発言からは、そのような気配は感じ
  られなかった。まるで、自分のことを理研のリーダーと思っ
  ていないように見えた。     http://huff.to/1GHuKaY
  ───────────────────────────

STAP細胞とES細胞の比較.jpg
STAP細胞とES細胞の比較
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2015年07月03日

●「STAP細胞は本当にES細胞か」(EJ第4069号)

 故笹井芳樹CDB副センター長は、STAP細胞について次の
ように述べています。
─────────────────────────────
 あるものをないということはできない。したがってSTAP現
象は有力な仮説であるといえる。それを前提にしないと、説明で
きないことがある。     ──笹井芳樹CDB副センター長
─────────────────────────────
 笹井氏は、記者会見で次のことを強調しています。仮説を立て
るときは「反証仮説」というものを必ず用意し、検証を行うとい
うことです。STAP現象の場合の反証仮説は、「ES細胞の混
入」と「自家蛍光現象の見間違い」の2つ。とくにES細胞の混
入については、慎重にそれがないことを十分見極めているといっ
ています。
 毎日新聞の須田桃子記者の本には、「ES細胞の混入」につい
ての笹井氏の発言を次のように紹介しています。
─────────────────────────────
 ES細胞の混入は、(反証仮説として)研究者として真っ先に
考えることの一つ。ES細胞では証明できないということを何度
も確認している。キメラマウス実験で、受精卵の発生の初期段階
の細胞塊を採ってきて入れたのではないか、という説もあるが、
『世界の若山』が見間違えるはずがない。これまでのところ、反
証仮説として説得力の高いものは見出していない。
 ES細胞とは遺伝子の解析結果のパターンも異なる。混ざり物
なら簡単に分かる。私たちがSTAP細胞と呼んでいるものが、
今までに知られていない細胞であるのは確かだ。
            ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著
       『捏造の科学者/STAP細胞事件』/文藝春秋
─────────────────────────────
 しかし、槇委員長による理研の検証委員会は、笹井氏の「それ
を前提にしないと、説明できないことがある」ということなどを
完全に無視し、残存試料の遺伝子解析だけから「STAP細胞は
ES細胞である」と断定したのです。それは、あらかじめ決めら
れていたストーリーに沿って、そのストーリーを補強する証拠だ
けを採用し、結論づけているようにみえます。
 なぜなら、委員会は、誰がES細胞を混入したのかについて特
定していませんが、限りなくその犯人は小保方氏であることを暗
示しています。報告書には次のように書かれています。
─────────────────────────────
 客観的状況に照らし混入の機会があったと見られる全ての関係
者を洗い出し、聞き取り調査を行ったが、小保方氏を含め、いず
れの関係者も故意又は過失による混入を全面的に否定しており、
残存試料・実験記録・関係者間のメール送信記録・その他の客観
的資料の分析検討によっても、混入行為者の特定につながる証拠
は得られず、ES細胞混入の目撃者も存在せず、混入の行為者を
同定するに足りる証拠がないことから、委員会は、誰が混入した
かは特定できないと判断した。──研究論文に関する調査報告書
                   http://bit.ly/1T02A3v
─────────────────────────────
 そうであるとすると、若山教授が研究室を山梨大学に移す直前
に小保方氏の指導によって、生後1週間の赤ちゃんマウスから、
STAP細胞を作製し、それからSTAP幹細胞の作製、キメラ
マウスの作製に成功したことの説明がつかなくなります。
 調査委員会は、このとき作製された「FLS─T1/T2」に
ついても遺伝子解析を行い、それがES細胞由来のものであると
断定しているのです。
 そのとき若山教授は、最初から最後まで自分の手で、この実験
をやっているのです。小保方氏がES細胞を混入させる機会はな
かったはずです。それとも、小保方氏がマジシャンのような手を
使ってES細胞を混入させたとでもいうのでしょうか。
 添付ファイルを見てください。当時CDBのC棟4階にあった
若山研究室の見取り図です。STAP細胞研究当時はES細胞は
インキュベーターに入れられ、鍵もかけられていないので、時間
帯によっては、研究室員でなくても、誰でもそれを取り出せる状
況にあったのです。したがって、調査報告書には、誰がES細胞
を混入させたのかは特定できないとしています。
 仮に小保方氏が若山教授にES細胞をSTAP細胞と称して渡
していたとします。ところが、昨日のEJで述べているように、
STAP細胞はES細胞と形状が異なるのです。STAP細胞は
ES細胞よりも明らかに小さく、笹井氏のいうようにES細胞に
扱い慣れている「世界の若山」がそれを見間違いするはずはない
ではありませんか。
 もうひとつ重要なことがあります。ES細胞はある程度発生の
進んだ胚盤胞から作製しますが、そのさい1〜2週間を要するの
です。しかし、STAP細胞からSTAP幹細胞を作るには3〜
5日で十分です。作製に要する日数も違うのですから、若山教授
がこれを見落とすことはあり得ないのです。
 これについて、若山教授は『日経サイエンス』のインタビュー
で次のように述べています。
─────────────────────────────
 STAP細胞は増殖の速さからみて、1日目で増殖を始めてい
る。樹立成績も胚盤胞からES細胞を作るのは50%程度だが、
STAP細胞からSTAP幹細胞は、80〜100%と非常に高
い。実験当時もこのことは頭にあったが、STAP細胞というの
は本当にすごい細胞だと思っていた。  ──若山山梨大学教授
       ──『日経サイエンス』/2014年6月号より
─────────────────────────────
 この『日経サイエンス』のインタビューがいつ行われたのかは
わかりませんが、若山教授は同じ年の3月10日に論文の撤回を
呼びかけているのです。若山教授については、疑惑が深まるばか
りです。          ─ [STAP細胞事件/042]

≪画像および関連情報≫
 ●STAP細胞とは何だったのか/粥川順二氏
  ───────────────────────────
   STAP細胞問題とはいったい何だったのか?「事件」と
  もいえるこの問題にはあまりにも多くの側面があり、一言で
  表現するのは不可能である。しかしながら、現時点で1つ、
  はっきりしていることは、小保方晴子氏だけでなく理化学研
  究所(以下、理研)幹部を含む当事者たちは、科学という営
  みの前提であるはずの「信頼」を内部から崩壊させたという
  ことであろう。この問題のおかげで2014年は、最初から
  最後までSTAP細胞に振り回された年だった。その余波は
  2015年のいまも続いている。
   昨年1月末、このSTAP細胞という新しい「万能細胞」
  の作成成功が報じられたとき、筆者がまず気になったのは胎
  盤にも分化できることなど、iPS細胞とは性質が異なると
  いわれているこの細胞を研究したり、臨床応用したりするこ
  とには何からの生命倫理的な問題──より適切にはELSI
  (倫理・法律・社会的問題。「エルシー」と発音)──はな
  いのか、ということであった。それを考えるために原著論文
  を手に入れ、解説記事なども参照しつつ、辞書を引きながら
  少しずつ読み始めていたところ、ネット上で研究不正の疑惑
  が流れ始め、それらと原著論文を照らし合わせるのがやっと
  という状態になってしまい、ELSIどころではなくなって
  しまった。           http://huff.to/1IpsASK
  ───────────────────────────

STAP細胞研究当時の若山研究室.jpg
STAP細胞研究当時の若山研究室
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2015年07月06日

●「胎児と胎盤にもなるSTAP細胞」(EJ第4070号)

 STAP論文というのは、そのなかで存在を主張するSTAP
細胞がES細胞ではあり得ないということをひたすら訴えている
論文であるといえます。それは単に「形状が異なる」というだけ
ではなく、たくさんあるのです。
 STAP細胞の生成過程を復習します。STAP細胞は、生後
1週間の赤ちゃんマウスから作られます。そのマウスは、万能性
に関係する「Oct4」という遺伝子が働くと、緑色の蛍光を発
するように遺伝子操作が行われています。
 そのマウスの脾臓からリンパ球を取り出し、それを弱酸性の溶
液に30分程度浸して刺激を与え、その後で培養液に入れて培養
を開始します。酸の刺激に耐えて生き残る細胞は全体の約4分の
1ですが、培養の2日目ぐらいから生き残った細胞のなかに緑の
蛍光を発する細胞が現れます。それは生き残った細胞の30%程
度であり、全体の7〜9%が蛍光を発することになります。
 その細胞は、元のリンパ球の2分の1程度と小さく、お互いに
くっつきながら、7日目には数10個から数千個の塊をつくるの
です。これがSTAP細胞です。その細胞は明らかにES細胞と
は違う形状をしており、それらの細胞は「これまでに見たことの
ない動きをしながら塊をつくっていく」のです。
 この細胞の変化は、弱酸の刺激を与えた細胞を顕微鏡下にセッ
トし、その後の変化は小保方氏だけでなく、丹羽仁史プロジェク
トリーダーをはじめCDBの複数の研究者が観察し、確認してお
り、試験管ムービーも撮られ、残されているのです。
 この作製プロセスのなかで、もし小保方氏がES細胞を混入さ
せたとすると、どのように混入させたというのでしょうか。
 考えられることは、弱酸の刺激を与えた細胞を培養するときの
シャーレにES細胞を混入させることです。それは絶対にできな
いとはいえませんが、その後の細胞の変化を顕微鏡ムービーで、
笹井氏や丹羽氏や複数の研究員が見ているのです。明らかにES
細胞とは形状の異なる小型の細胞が「これまでに見たことのない
動きをしながら塊をつくっていく」(丹羽氏の表現)のを目視し
ています。いずれもES細胞の専門家であり、ES細胞の特性は
知り尽くしている人たちばかりです。見間違えるはずがないでは
ありませんか。
 さてSTAP論文では、この緑色に蛍光を発するSTAP細胞
を作るまでが小保方氏の役割であり、それが万能性(多能性)を
持つかどうかを証明するキメラマウスを作るのは若山照彦山形大
学教授の役割なのです。
 そのキメラマウスが簡単にはできなかったのは既に述べた通り
です。そこで若山教授は、STAP細胞からキメラマウスの作る
方法をいろいろ変化させ、工夫しています。これについて、毎日
新聞の須田桃子記者は次のように書いています。
─────────────────────────────
 2011年11月、若山氏は、それまでとは違う作製方法を試
みることにした。通常、キメラマウスを作る実験は、バラバラに
した細胞を細い針で一個ずつ受精卵に入れていく。だが、バラバ
ラにするのは細胞にとって負担が大きい。
 そこで、細胞の塊をカッターで4等分し、細胞20個ほどの小
さな塊をそのまま受精卵に入れることにしたのだ。細胞の負担は
少ない反面、受精卵に刺す針は太くなるため、下手をすれば受精
卵が破裂してしまう。顕微鏡下で受精卵を扱う作業に習熟し、高
度なテクニックを持つ若山氏だからこそ採用できた方法だった。
            ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著
       『捏造の科学者/STAP細胞事件』/文藝春秋
─────────────────────────────
 このようにして若山教授は、STAP細胞由来のキメラマウス
の作製に成功しています。添付ファイルは、STAP細胞由来の
キメラマウスの写真ですが、胎児だけでなく、胎児と母体をつな
ぐ胎盤も緑色に光って見えます。これは、STAP細胞が胎児だ
けでなく、胎盤も形成していることをあらわしています。これは
ES細胞やiPS細胞にはできないことなのです。
 したがってこれは、STAP細胞がES細胞でないことの有力
な証拠になるはずですが、理研調査委員会の報告書はそれに対し
て明確な論評をしていないのです。
 このSTAP細胞事件に対してかなり早い段階から疑問を持っ
て発信しておられる内科医(神経内科)の西岡昌紀氏は、この胎
盤のように見える細胞の塊に対する理研調査委員会の結論につい
て、次のように厳しく批判しています。
─────────────────────────────
 今回の理研の発表は、その「胎盤」に見えた細胞の塊は実は胎
盤ではなかったのだろうと述べている。小保方さんがSTAP細
胞と呼んだ細胞は、当初発表されたように胎盤を形成してはおら
ず、胎盤でない細胞塊を若山教授を含む著者たちが胎盤と見誤っ
たものだというのが、理研の「結論」である。
 しかし、理研のこの「結論」には根拠がない。たしかに、若山
教授らが胎盤でない細胞塊を胎盤と見誤った可能性はあり得るが
若山教授が実際にそうした見誤りをしたことの証明は、理研の発
表のなかにはない。この分野の世界的権威である若山教授がその
ような見間違いをしたとする理研側の主張には何も根拠がないの
である。したがって、若山教授らが見た細胞塊が、真実、胎盤で
あった可能性は依然、否定されていない。
        ──西岡昌紀著「『小保方殺し』九つの疑問」
             『月刊WiLL』2015年3月号
─────────────────────────────
 理研としては、昨年末の報告書をもってSTAP細胞事件はも
はや終わった事件にしていますが、このように現時点でも多くの
疑問がネット上にあふれているのです。この「胎盤」のことをひ
とつとっても、「STAP細胞はES細胞である」という結論は
間違っているといわざるをえないのです。その反証はまだまだた
くさんあるのです。    ── [STAP細胞事件/043]

≪画像および関連情報≫
 ●ES細胞混入説に執筆陣が反論/GoHoo
  ───────────────────────────
  一般に、マスメディアは「疑惑」が浮上したとき、「疑惑」
  を強める報道に傾斜していく。不正や不祥事を追及すること
  がメディアに期待された役割であることは否定しない。だが
  今回はメディアがSTAP論文発表当初に大喝采を送っただ
  けに、メディア自身がこの予期せぬ「疑惑」に、小保方氏へ
  の被害者意識≠もってもしくは世間への贖罪意識≠
  もって追及を強めているとすれば、非常に危うい。当初、i
  PS細胞より優れていると強調したのは、メディアがiPS
  細胞の研究動向を全く調べもしないで理研側の発表を鵜呑み
  にしたからにほかならなかった。そして、「かっぽう着の異
  彩リケジョ 実験室の壁ピンク/スッポン飼育」などと論文
  の筆頭執筆者である小保方晴子氏に異様なまでスポットライ
  トを浴びせたのも、誰がそうさせたのではなく、メディア自
  身が進んでそうしたことだった。「疑惑」の報道も十分な調
  査や裏付けをもってなされるべきことであり、安易に風評的
  疑惑を広めることに加担すべきではないだろう。STAP論
  文「捏造」説に拍車をかけている風評の一つが、万能細胞の
  一種であるES細胞(胚性幹細胞)が混入したとする「ES
  細胞混入説」だ。多くのメディアがことあるごとに、しかし
  さりげなくこの説を紹介し「疑惑」の印象を強化している。
                   http://bit.ly/1HxgmqA
  ───────────────────────────
 ●写真の出典/毎日新聞科学環境部/須田桃子著の前掲書より

STAP細胞は胎児と胎盤に分化する.jpg
STAP細胞は胎児と胎盤に分化する
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2015年07月07日

●「なぜ、ES混入ばかりを疑うのか」(EJ第4071号)

 STAP細胞は増殖能を持っておらず、長期保存はできないの
です。したがって、論文の筆者たちは、増殖能を持たせたSTA
Pステムセル、すなわちSTAP幹細胞(STAP─SC)を作
り、保存していたのです。
 理研の調査委員会が遺伝子解析をしたのは、これらのSTAP
幹細胞であり、その結果、それらの残存STAP幹細胞のすべて
がES細胞由来であると断定されたのです。
 そうであるとすると、STAP細胞には幹細胞化する以前に何
らかの方法でES細胞が混入されたことになります。幹細胞化の
実験を実施したのは若山照彦教授ですが、小保方氏がSTAP細
胞であるとして若山教授に渡していた細胞のなかにはES細胞が
混入されていたか、あるいはES細胞そのものであったかのどち
らかになります。
 もし渡されたものがES細胞そのものであった場合、STAP
細胞とES細胞は明らかに形状が異なるので、「世界の若山」の
目をごまかすことは困難であると笹井氏はいっています。そこで
ここではSTAP細胞にES細胞が混入されたと仮定します。混
入の場合は目視ではわからないかもしれません。
 しかし、そのSTAP細胞を幹細胞化する時点で、わかること
になるのです。まして若山教授であれば簡単に見分けることがで
きるはずです。
 ところで、STAP細胞をSTAP幹細胞にするにはどのよう
にするのでしょうか。
 幹細胞を作製する場合、STAP細胞とES細胞では培養液が
違うのです。
─────────────────────────────
       ES細胞 ・・・・  2i+LIF
     STAP細胞 ・・・・ACTH+LIF
─────────────────────────────
 STAP細胞論文では、STAP細胞を「2i+LIF」に入
れて培養すると、すべて死亡してしまうとしています。STAP
細胞の幹細胞化は若山教授と小保方氏が何回も試行錯誤を重ねて
やっと成功したのです。おそらく最初はES細胞の培養液「2i
+LIF」で試したはずです。しかし、「2i+LIF」では、
STAP細胞は生存できないのです。
 そこでACTHというホルモンを加えた特殊の培養液を作って
培養したところSTAP幹細胞を樹立できたというのです。この
経緯はSTAP論文に記載されています。
 ところが奇怪なことに若山教授は、2014年6月16日の記
者見のときに次のような趣旨の発言をしているのです。
─────────────────────────────
 「ACTH+LIF」でSTAP幹細胞の樹立をおこなったが
「2i+LIF」でSTAP細胞が死滅する実験は、小保方氏が
やっており、自分はやっていない。       ──若山教授
─────────────────────────────
 これはおかしいです。そもそもSTAP細胞からSTAP幹細
胞にする実験の担当は若山教授であり、小保方氏との何回もの試
行錯誤のすえに「ACTH+LIF」でやる方法を案出したので
あって、若山教授がES細胞の培養液である「2i+LIF」を
使っていないとは思えないのです。若山教授はこの時点では「こ
れ以上STAP論文に関わっていると自分が全責任を負うことに
なる」と考えて、自分に責任が及ばないように逃げています。
 なぜ、若山教授はSTAP細胞を「2i+LIF」で培養する
実験を自分はやっていないといったのかというと、もし、STA
P細胞にES細胞が混入していた場合、「2i+LIF」で培養
すると、STAP細胞の中のES細胞は増殖します。この時点で
STAP細胞にはES細胞が混入していることが明白にわかるは
ずです。ですから、若山教授は、その実験を自分はやったとはい
えなかったのです。
 さらにSTAP細胞が胎児だけでなく、胎盤にも分化するとい
うことについては、次の2つの反論があります。胎児と胎盤の両
方に分化するのは「FI細胞」といわれます。
─────────────────────────────
  1.胎児の血液が胎盤に流れ込んで光っているに過ぎない
  2.STAP細胞は、TS細胞とES細胞の混合物である
─────────────────────────────
 「1」に関しては、小保方氏が胎盤の切片を作って分析し、血
液の流入でないことを確かめています。つまり、胎盤の組織でも
万能細胞に特有の遺伝子である「Oct4」が働き、緑の蛍光を
発していたということになります。
 「2」に関しては、毎日新聞の須田記者と丹羽仁史氏との間で
次のやり取りがあり、丹羽氏ははっきりと否定しています。
─────────────────────────────
須田:ES細胞の混入説は考えにくいと説明がありました。ST
   AP細胞は細胞塊で解析しているので、ES細胞だけでは
   なく、ES細胞と(胎盤に分化する)TS細胞の両方が混
   入している可能性はどのようにお考えでしょうか。
丹羽:若山先生からインジェクション(受精卵への注入)の状況
   をうかがったが、小保方さんからもらった細胞は極めて均
   一な細胞集団と聞いています。その一方で、私自身、ES
   細胞とTS細胞を混ぜたことがあるが、この2つはわずか
   数日で見事に分離します。おそらく発現しているカドヘリ
   ン(細胞を接着させる分子)が違うんだと思う。そういう
   観点からすると、お互い均一に密着してかつ均質に混ざり
   合った細胞塊を両者で作ることは、少なくとも私の経験か
   らは極めて困難だというのが私的な見解です。
            ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著
       『捏造の科学者/STAP細胞事件』/文藝春秋
─────────────────────────────
             ── [STAP細胞事件/044]

≪画像および関連情報≫
 ●存在の証拠、根底から揺らぐ/2種の細胞混合か
  ───────────────────────────
  STAP(スタップ)細胞の論文で、理化学研究所の小保方
  晴子氏(30)らが培養しSTAP細胞として公開した遺伝
  子データが、胚性幹細胞(ES細胞)など2種類の細胞を合
  わせて得られたデータだった可能性の高いことが3日分かっ
  た。理研の遠藤高帆(たかほ)・上級研究員が独自に解析し
  たもので、STAP細胞の存在の証拠が根底から大きく揺ら
  いだ。問題となったのはSTAP細胞を培養してできる幹細
  胞。小保方氏らは「FI」という種類のマウスから作り、胎
  盤にもなる能力があると論文に記載した。だが論文に付随し
  てインターネットで公開された遺伝子の働き具合を示すデー
  タを遠藤氏が解析したところ、ES細胞と、胎盤になる能力
  のある幹細胞「TS細胞」が混ざった特徴があった。もとに
  なったマウスも「B6」「CD1」という別の種類だった。
  これにより、STAP細胞の最大の特徴である胎盤に分化で
  きる能力がTS細胞に由来していた可能性が浮上。遠藤氏は
  5月22日、理研に解析結果を報告し「偶然や間違いで起き
  るとは考えにくく、意図的に混ぜ合わせた可能性がある」な
  どと話したという。理研は「この結果だけではSTAP細胞
  の存否を結論付けることはできない」として、理研内の再現
  実験チームの検証結果が出てから慎重に判断する方針だ。論
  文共著者の丹羽仁史・プロジェクトリーダーは4月の会見に
  おいて、「ES細胞とTS細胞は均質に混ざらない」と否定
  している。     http://bit.ly/1KzPUiv(静止画音声)
                   http://bit.ly/1GVPKM2
  ───────────────────────────

ES/TSの混入を否定する丹羽仁史氏.jpg
ES/TSの混入を否定する丹羽 仁史氏
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2015年07月08日

●「検証実験は本当に失敗だったのか」(EJ第4072号)

 ある画期的な発明なり、発見が行われたとします。その発明や
発見が、それまでのその分野の常識を覆すものであり、本当なら
ノーベル賞に十分値するほど画期的なものであったとき、世間は
きっとそれを称賛するでしょう。
 しかし、その発明や発見の対象分野の人たち──具体的にいう
と、その分野の学者や研究者や利害関係者は、一応儀礼的な称賛
こそ口にするものの、内心ではあまり愉快なものではないと思う
のです。そこには強い妬みの感情もあると思います。そういう場
合、きっとそれは間違いに違いない。どこかにミスがあるのでは
ないかと必死になってミスを探す人も出てくると思います。ST
AP細胞事件はまさにそれであるといえます。
 それは、小保方晴子前CDB研究ユニットリーダーが2014
年1月28日のSTAP細胞の発表会のさいに口にした論文の最
初の投稿時に返されたネイチャー誌の査読者の次の言葉に象徴さ
れていると思います。
─────────────────────────────
 あなたの論文は、過去何百年にもわたる細胞生物学の歴史を
 愚弄している。   ──ネイチャー誌サイドのある査読者
─────────────────────────────
 これを裏付けているのは、STAP論文が発表されるや、細胞
生物学分野の学者や研究者はもとより、公共放送のNHKをはじ
めとする各種メディアが総動員され、STAP細胞への一斉批判
攻撃が行われたことで明らかです。
 皆で寄ってたかって論文の間違いや矛盾を指摘し、追い込まれ
た理化学研究所は、笹井氏を盾にして論文を支えようとしたもの
の、笹井氏が自殺をするや方針を変更し、結局すべての罪を小保
方氏一人にかぶせて強引に幕引きをしたのです。
 小保方氏の会見のときは、事前に弁護士サイドからの周到な根
回しがあったのです。本人の精神状態が安定しておらず、病院か
ら会見場に来て、再び病院に戻るということが周知されていたの
で、報道陣の質問は抑制が効いており、本人をストレートに批判
するものは少なく、比較的穏やかなものであったと思います。
 しかし、笹井芳樹CDB副センター長の会見のときは、その分
質問は情け容赦のないものだったと思います。報道各社社は科学
記者を動員し、細胞生物学者から事前にアンケートを取り、それ
を基にして執拗な質問を笹井氏に3時間以上にわたって浴びせた
のです。私は笹井氏と記者の質疑応答をすべて聞き、ノートしま
したが、90%以上が「STAP細胞は存在しない」という前提
に立っての質問であり、その存在を肯定するものは皆無であった
と思います。
 笹井会見が行われたのは、STAP細胞の発表からわずか2ヶ
月足らずの時期であり、もう少し「STAP細胞は存在するかも
しれない」という前提に立ってのとらえ方があってもよいと思い
ますが、残念ながら、現在そのような声はネットでしか聞こえて
こないのが現状です
 遺伝子解析の結果がすべてではないと考えます。この問題に限
らず、これまで遺伝子解析のミスで犯人にされ、後からそれがわ
かって無罪になった人も多くなっています。現に最初にSTAP
幹細胞を解析してSTAP論文内容の疑惑を指摘した若山教授の
解析結果は誤りだったではありませんか。それに疑惑を指摘する
ときは記者会見をして、誤りがあったときはメールとホームペー
ジの修正で済ますという態度は卑怯です。若山教授はSTAP論
文の共著者の一人なのですから。
 ところで、理研の調査委員会の報告でさっぱり聞こえてこない
のは、小保方氏の再現実験の詳細です。本当に再現実験には失敗
したのでしょうか。理研はこれに関して詳細を語ろうとはしてい
ませんし、メディアもなぜかこれには消極的です。
 理研の報告では「緑の細胞はいくつか出現したか、再現には成
功しなかった」という結論だけですから、多くの人々は「やっぱ
り本人がやっても再現はできなかったのか」と思うしかないわけ
です。これでは誰でも捏造だったのだと信じてしまいます。
 これに関して、既出の内科医・西岡昌紀氏は、「小保方殺し」
第8の疑問として、次のように述べています。
─────────────────────────────
 今回の理研の発表によれば、たしかにキメラの作製には成功し
なかったが、小保方さんがスクリーンの前で指さして見せたあの
緑色に発光した細胞(Oct4─GFP陽性細胞)自体は、45
回試みたうち40回、作製に成功しているというのである。
 その先のキメラ形成に成功しなければ、当初、小保方さんらが
ネイチャー誌で発表した実験結果の完全な再現にはならないこと
はいうまでもない。だが、ネイチャー誌の論文で小保方さんが担
当したのは、基本的にはマウスから得た細胞を酸処理したところ
Oct4─GFPが活性化し、緑色に光る細胞が見られたという
実験の前半部分である。その後のキメラ形成は、若山教授らが分
担した実験である。
 つまり、小保方さんは自分が担当した部分については、45回
中40回、再現することに成功しているのである。それにもかか
わらず、彼女がネイチャー誌で発表した実験結果が何一つ再現で
きなかったようなイメージが形成されているのは、あまりにも公
平を欠いていないだろうか?
        ──西岡昌紀著「『小保方殺し』九つの疑問」
             『月刊WiLL』2015年3月号
─────────────────────────────
 論文でもキメラ実験の担当者は若山照彦氏なのです。したがっ
て、理研が本気で検証する気であれば、小保方氏が検証実験で作
製したSTAP細胞を使って「世界の若山」がキメラマウス作り
を行うべきですが、理研の調査委員会はそれを小保方氏にやらせ
ています。なぜかというと、それからキメラマウスができてしま
うと、理研自体がさらに窮地に追い込まれるからです。幕引きの
シナリオが狂うからです。 ── [STAP細胞事件/045]

≪画像および関連情報≫
 ●小保方検証の失敗を伝える産経ニュース
  ───────────────────────────
  STAP細胞の作製に「200回以上成功した」と主張して
  いた小保方晴子氏。検証実験では計48回にわたり作製を試
  みたが、全て失敗した。その理由は何だったのか。STAP
  細胞の作製は、マウスの体の細胞を弱酸性の溶液に浸し、万
  能性遺伝子の働きを示す緑色に光ることを確認するのが最初
  のハードルだ。小保方氏の実験では、光る細胞は得られたも
  のの、その割合は論文よりも1桁低く、万能性遺伝子の働き
  とは確認できなかった。細胞は死滅するときに自然と光るこ
  とがある。作製に失敗した理研の検証チームは8月の中間報
  告で、小保方氏がこうした無関係の発光現象を、万能性遺伝
  子の光だと誤認した可能性を示唆していた。第2のハードル
  は、作製した細胞を別のマウスの受精卵に注入し、この細胞
  が全身に散らばった「キメラマウス」と呼ばれる胎児を作る
  ことだ。小保方氏はこうした実験を複数回行い、万能性を確
  認したと説明してきた。だが小保方氏が作製した細胞を16
  15個の受精卵に注入しても、万能性を示すキメラマウスは
  一匹も作れなかった。検証実験は厳密な監視下で行われてお
  り、データの信頼性は高い。実験結果はSTAP細胞の存在
  が根本的に疑わしいことを示している。
                   http://bit.ly/1NEEHer
  ───────────────────────────

小保方検証失敗を伝える理研幹部.jpg
小保方検証失敗を伝える理研幹部
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2015年07月09日

●「200回成功は本当のことなのか」(EJ第4073号)

 小保方晴子氏は記者会見で、記者の「STAP細胞は今でもあ
ると思うか」という質問に対し、次のように答えています。
─────────────────────────────
 STAP細胞はあります。私はSTAP細胞の作製に200回
以上成功しています。           ──小保方晴子氏
─────────────────────────────
 この小保方氏の発言を聞いて、多くの科学記者は逆に「STA
P細胞はない」と確信したといいます。なぜかというと、そんな
ことはあり得ないと考えたからです。自分たちの常識の世界を超
えることには人間はこういう反応を示すものです。これについて
ある有名ブログは次のように論評しています。
─────────────────────────────
 馬脚をあらわしたというか、語るに落ちたというか、墓穴を掘
ったというか、命取りになることを小保方晴子は、昨日(4月9
日)の会見で喋ってしまった。それは、「STAP細胞の作製に
200回以上成功した」という発言だ。今、本人は、この言葉の
始末をどうするか、どう辻褄を合わせるか、狼狽して思案してい
る最中だろう。横にいた弁護士は、しまったと臍を噛んだに違い
ない。                http://bit.ly/1ghgwIk
─────────────────────────────
 ここまでEJを読んでいただいている読者はわかると思います
が、小保方氏は博士論文の時点からSTAP細胞の発表まで一貫
して、後にSTAP細胞と呼ばれる細胞の実験を繰り返してきて
いるのです。したがって、200回以上成功しているといっても
何も不思議もないと考えます。
 この小保方会見をテレビで見ていたCDBの研究者の一人は、
次のように疑問を呈していたといいます。
─────────────────────────────
 STAP細胞の作製に200回以上成功したといっていたが、
どの段階を成功といっているのか。200回の作製には最低でも
数年はかかる。           ──CDBのある研究者
─────────────────────────────
 STAP細胞を作製するのに要する時間は、赤ちゃんマウスの
脾臓からリンパ球を取り出してから約1週間で作製することがで
きるのです。確かにそれにしても200回成功するには何年もか
かります。この疑問には、笹井氏が次のように答えています。こ
れは、笹井氏から須田桃子記者への返信メールの一部です。
─────────────────────────────
 200回という数字が一人歩きしているが、実験の仕方によっ
ては例えば3条件で8種類ほどの体細胞サンプルで3回実験を繰
り返すこともある。それだけで72回のSTAP細胞の作製(た
だし、万能性に関連する遺伝子Oct4の発現を見るまで)にな
るので、極端とは言えないかと思う。(万能性の確実な証拠とな
る)キメラマウス作製実験までをやったという意味ではなかった
のでは・・・。     ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著
       『捏造の科学者/STAP細胞事件』/文藝春秋
─────────────────────────────
 笹井氏の記者会見では、ある女性の科学記者が、STAP細胞
の作製はキメラマウスの作製までを含むという前提で、笹井氏に
ヒステリックに食い下がっていましたが、なぜそのように疑惑の
目でばかり見るのでしょうか。科学記者なのですから、もっと冷
静に質問すべきではないかと思います。
 ところで、小保方氏は検証実験では光を発するSTAP細胞を
40回作製していますが、それらからはいずれもキメラマウスは
作製できなかったと理研は発表しています。40回やって成功0
というわけです。
 しかし、キメラマウスを作るには時間がかかるのです。とても
40回もやれるはずがないのです。STAP細胞を仮親マウスの
受精卵に入れ、子マウスを出産させるのですから、最低でも20
日〜30日かかるのです。小保方氏が実証実験を始めた時期を9
月としても、多くてもせいぜい3回ぐらいしか実験することはで
きなかったはずです。
 まして、キメラマウスを成功させる確実なウデを持っている当
事者の若山教授をわざわざ外し、異常なバッシングを受けている
小保方氏にやらせたとすると、3回程度の実験ではその成功率は
限りなくゼロになります。仮にキメラの実験を理研がやったとし
ても、STAP細胞の存在を疑っており、成功しては困る理研の
スタッフのやった実験結果にはとても納得できるものではないと
いえます。とにかく理研としては小保方氏による実証実験失敗と
いう事実だけを作りたかったに違いないからです。
 さて、前回ご紹介したように、理研は小保方氏による検証実験
で、40回作製したとするSTAP細胞は、細胞が死ぬときに発
する自家蛍光であると断定していますが、これにも大きな疑問が
あります。
 笹井氏は、自家蛍光を反証仮説に掲げ、「FACS」という装
置でそれを検証し、自家蛍光ではないとしていますが、理研はそ
れを無視しています。既出の内科医・西岡昌紀氏もFACSによ
る検証を無視するを理研を「小保方殺し」第4の疑問として上げ
次のように述べています。
─────────────────────────────
 笹井氏は、このFACSを使って、小保方さんが作製した緑色
に光る細胞が「死んでいく細胞ではないと確認した」と述べてい
た。笹井氏のこの指摘は間違っていたのだろうか?FACSは死
んでいく細胞と万能細胞を見分けるうえで、そんなに無力だった
のだろうか?「捏造」を唱える専門家のなかにも、FACSの信
頼性そのものを疑う人は、私がいままで議論した人々のなかには
いなかった。  ──西岡昌紀著「『小保方殺し』九つの疑問」
             『月刊WiLL』2015年3月号
─────────────────────────────
             ── [STAP細胞事件/046]

≪画像および関連情報≫
 ●小保方氏「STAP作製200回以上成功」正当性強調
  ───────────────────────────
  新型万能細胞「STAP(スタップ)細胞」の論文に不正が
  あったとされた問題で、理化学研究所の小保方晴子研究ユニ
  ットリーダーが9日午後、大阪市内で記者会見を開いた。小
  保方氏は「論文の提示法について、不勉強で自己流にやって
  しまったのは申し訳ございませんとしか言いようがない」と
  謝罪した。その一方で「STAP細胞は200回以上作製に
  成功している。論文は現象論を示しており、最適条件を示し
  たわけではない」と、これまでの研究成果の正当性を強調し
  た。小保方氏は会見で、理研の調査委員会が「実験ノートが
  3年間で2冊しかない」としたことに対しても反論。「実際
  はそんなことはない。もっと存在する。調査委から求められ
  てその場で提出したのが2冊だったということ」と話した。
  論文作成時に論文の画像データを実験の元データからではな
  く、部内で説明するためのパワーポイントから引用したこと
  について小保方氏は「何度も何度もパワーポイント内で更新
  していたので、そこに載っていたデータを安心しきって使っ
  てしまった。元データを使っていればよかった」と述べた。
  ただ、今回の問題が科学界で疑念を持たれることにつながっ
  たのではないかと問われたの対しては「結果自体が変わるも
  のではない。結果自体が正しく提示されているので問題はな
  いと考えていた」と語った。 http://s.nikkei.com/1G0Soyr
  ───────────────────────────

記者会見で質問に答える小保方晴子氏.jpg
記者会見で質問に答える小保方 晴子氏
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2015年07月10日

●「肝心なことをはぐらかす桂委員長」(EJ第4074号)

 「STAP細胞は胎児にも胎盤にも分化する」──STAP論
文にはそう記述されているし、それを示す写真も付いています。
もしそれが真実であるとすると、「STAP細胞はES細胞では
あり得ない」ことになります。なぜなら、ES細胞は胎盤には分
化しないからです。
 これについて既出の精神内科医・西岡昌紀氏は、次のように述
べています。
─────────────────────────────
 ES細胞は受精した受精卵が細胞分裂を行い、増えた細胞のな
かから得られる細胞である。それは、受精卵の細胞分裂で生じた
初期胚の一部である。それ(ES細胞)を他の個体の受精卵に混
入すると、その受精卵の細胞と混在する形で、胎児の体を形成す
る過程に加わることが起こりえる。
 しかしES細胞は、胎児と母体を繋ぐ胎盤の形成には加わらな
い。ES細胞は、他の受精卵から生じた胎児の体の一部になって
いくことはあっても、胎盤の一部にはならないのである。これは
発生生物学の常識である。この「常識」に異論を唱える専門家は
事実上、いない。──西岡昌紀著「『小保方殺し』九つの疑問」
             『月刊WiLL』2015年3月号
─────────────────────────────
 しかし、STAP細胞の存在を認めたくない人たちは、何とか
これを否定しようとするのです。2014年2月23日(日)、
インターネット動画共有サイト「ニコニコ動画」で、次のタイト
ルで討論会が行われたのです。
─────────────────────────────
    「STAP論文徹底解説」/ニコニコ動画主催
     聞き手/毎日新聞科学環境部/須田桃子記者
     出演者/  西川伸一CDB前副センター長
            中武悠樹慶應義塾大学助教授
            2014年2月23日(日)
─────────────────────────────
 このとき、西川氏と中武氏は「もし自分がSTAP論文の査読
者だったら」という前提で討論が行われています。実は西川氏は
小保方氏が2012年にネイチャー誌に最初に出した論文を読ん
でおり、それに比べると、STAP論文はES細胞の専門家の笹
井芳樹氏、幹細胞の権威の丹羽仁史氏が加わったことで論文の真
実性が増し、内容が一段と面白くなったと話しているのです。そ
のひとつが、STAP細胞が胎児と胎盤に分化することが書き加
えられていることです。
 ところが、中武悠樹慶應義塾大学助教授はこのことに強くこだ
わったのです。これについては、須田記者の本にも掲載されてい
るので、引用します。
─────────────────────────────
 中武氏は、胎盤への分化に否定的だった。「そこのところの解
釈は非常に難しくて、論文上でも表現に非常に気を付けている跡
はみられる」と切り出し、STAP細胞が胎盤にも分化すること
を明確に裏付けるデータは示されていないと指摘した。さらに、
「ES細胞も“良いES細胞”は胎盤の一部の細胞に分化できる
ので、胎盤に分化できる新しい細胞という表現には、専門の研究
者はクェスチョンマークをつける」とも話した。
            ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著
       『捏造の科学者/STAP細胞事件』/文藝春秋
─────────────────────────────
 つまり、中武助教授は、非常にレアケースであるが、ES細胞
でも胎盤にも分化することがあることを指摘しているのです。こ
こで「良いES細胞」とは、キメリズムの高いES細胞という意
味だそうです。発生生物学に100%はないからです。
 しかしこのことは、理研がその気になればすぐにでも決着させ
ることができるのです。なぜなら、若山教授自身が作ったキメラ
マウスはホルマリン漬けされてCDBに残っており、これを解析
すれば明白になるからです。
 ところが桂調査委員長は、それをせず、論文に出ている写真だ
けを専門家に見せて意見を聞き、調査報告書には「専門家の意見
によれば、胎盤ではなく卵黄嚢の可能性が高い」と記述されてい
るだけです。白黒をつけたくはないのです。
 この点は記者から次のように突っ込まれましたが、桂委員長の
対応は次のようにいい加減であり、曖昧そのものです。
─────────────────────────────
Q:胎盤がなぜあるのか?──という疑問についてはどう考える
  のか?
A:これに関しては、我々は疑っている。あの光る胎盤は、血液
  とか胎盤以外ものだった可能性があるということは、専門家
  に見てもらったところ、そのような回答を得ている。これは
  切片を切ったらそうでなかったというのがあるが、それがど
  うだったかは最終的に検証できなかった。しかし、胎盤であ
  るとの証明があるとは思っていない。胎盤でないというとこ
  ろまで突き詰めて証明することは難しかったが・・・、胎盤
  であったとの証明があったとは思っていない。
Q:つまり、GFPで光っている胎盤が確認できていないのか?
A:我々の調査委では確認できなかった。
Q:はぁ・・・、胎盤の形状を保持しているものは確認していな
  いのか?
A:光っているものが、図によっては胎盤なのか別の組織なのか
  専門家は、疑わしいと言っている人がいる。疑わしいという
  言い方だが・・・。──桂調査委員長と記者の一問一答より
─────────────────────────────
 とにかくこの調査委員会は、あらかじめ理研によって決められ
たシオリオに沿って進められ、STAP細胞事件の幕引きを図る
ことにあったといわざるを得ないのです。笹井氏は亡くなってお
り、それが可能だったのです。─ [STAP細胞事件/047]

≪画像および関連情報≫
 ●桂調査委員長と記者のやり取りについて
  ───────────────────────────
   意味不明の回答だと感じます。この点が一般には最も注目
  されていて、残存資料を分析すればわかる話だということで
  確認結果について、どういう説明がなされるのか大きな関心
  を持って皆が待っていたわけです。ところが、桂委員長の答
  えは、疑問だらけです。
   @残存している現物を実地に確認したのかどうか自体が曖
  昧。「調査委では確認できなかった」というのはどういうこ
  とか?なぜ確認できなかったのか?専門家ではないからか?
  何か物理的制約があったのか?シーケンサー?にかければす
  ぐわかるというのが、もっぱらの指摘だったはずではなかっ
  たか?
   A専門家に見てもらったところ、「図によっては、疑わし
  いと言っている人がいる」というが、「図によっては」とい
  うことは現物を見せていないということか?「〜人がいる」
  というのはどういう意味か?数人に見せて、その一部が言っ
  ているだけなのか?
   B「切片を切ったらそうでなかったというのがあるが、」
  とはどういう意味か?丹羽氏は、切片によって、間違いなく
  胎盤だと確認したと4月の会見時に言っているが、それとは
  どういう関係になるのか? 切片は専門家にみせたのか?
   C「胎盤であるとの証明があるとは思っていない」という
  が、何を以て証明があったと判断されるのか?証明のための
  基準、方法が示されなければ、ある、ないといっても仕方が
  ない。この点の調査委の調査は明らかに杜撰です。丹羽氏の
  指摘は調査対象外と桂委員長は述べましたが、ご冗談でしょ
  う。               http://bit.ly/1RjSUDL
  ───────────────────────────

記者から質問を受ける桂調査委員長.jpg
記者から質問を受ける桂調査委員長
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2015年07月13日

●「Nスペ不正の深層の2つの問題点」(EJ第4075号)

 STAP細胞事件をここまで調べてきていえることは、「ST
AP細胞潰し」に最も貢献しているのはNHKであるということ
です。今回のSTAP細胞事件関連の報道で終始他のメディアの
先頭を走り、「小保方犯人説」を主導してきたのはNHKである
からです。そのNHKの主たる情報源は、若山照彦山梨大学教授
ということになります。
 その白眉とでもいえるものは、2014年7月27日に放送さ
れたNHKスペシャル『調査報告/STAP細胞/不正の深層』
です。これは、「小保方犯人説」を強く印象づける内容になって
いますが、この番組作りに事実を捻じ曲げた作為があることが、
ネット上で大きな話題になっています。EJでは、これらのネッ
ト上の情報に基づいてこの番組を検証することにします。笹井氏
の自殺の原因もこの番組にあると思われるからです。
 番組は動画で残されていますので、必要に応じて再現していた
だきたいと思います。
─────────────────────────────
 NHKスペシャル『調査報告/STAP細胞/不正の深層』
              放送日:2014年7月27日
                  http://bit.ly/1gppun3
─────────────────────────────
 しかし、番組の内容に入る前に、この番組には次の2つの大き
な問題点があることをお知らせする必要があります。
─────────────────────────────
 1.若山教授が依頼した第三者機関による試料の遺伝子解析
   結果が違っていたにもかかわらず修正していない
 2.NHKはこの番組制作にあたり、小保方氏を取材のため
   追いかけ回し、怪我までさせたのに放送したこと
─────────────────────────────
 「1」に関しては、公共放送のNHKとしては信じられない不
祥事であると思います。若山教授は6月16日に第三者機関なら
ぬ放医研の知り合いの研究者に依頼した試料の遺伝子解析結果を
記者会見し、STAP細胞が若山研にはいないはずのマウスから
作製されており、それが論文撤回の根拠であるとし、小保方氏の
捏造を強く印象づけています。
 しかし、この遺伝子解析結果に誤りがあったのです。若山教授
はそのことを7月22日にメールやホームページ上で修正してい
ます。このとき番組は既に完成していたと考えられますが、NH
Kはそれに何の修正もせず、27日に放送しています。
 ネット上では、若山教授がSTAP細胞が若山研にないマウス
から作られていることを発表するときは記者会見を開き、誤りが
あったことは、メールやホームページの修正で済ます姿勢に非難
が集中したのです。既出の神経内科医の西岡昌紀氏はこれについ
て次のように述べています。
─────────────────────────────
 若山照彦・山梨大学教授が、「第三者機関」に、小保方さんが
STAP細胞作製に使ったマウスの細胞の遺伝子解析を依頼した
結果、若山教授が小保方さんに渡したマウスとは違ふマウスの遺
伝子が検出された、と言ふ報道がなされ、小保方さんがSTAP
細胞を「捏造」したかの様な印象が作り上げられた事は、皆さん
御記憶の通りです。私は、この話はおかしいと思って居ました。
mRNAを使ってDNAのSNPを解析、比較した、と言ふ方法
が変だからです。
 そして、昨日(7月4日)、インターネット上で、若山教授が
細胞の遺伝子解析を依頼した「第三者機関」が、若山教授に近い
放医研であった事を知り、「これでは第三者機関とは言へないの
ではないか」とツイッターで疑問を投げかけたばかりです。そう
したら、今朝の朝日新聞を読んで驚きました。若山教授が、自ら
その「遺伝子解析」は間違いだったかも知れないと認めた(!)
と言ふ記事が載って居たからです。こんないい加減な話が有るで
しょうか?(中略)
 余りにもいい加減です。そして、余りにも無責任です。小保方
さんが有りもしないSTAP細胞を「捏造」したかの様な印象を
造成する上で、最も強調され、マスコミによって報道されたのは
この「遺伝子解析」でした。ところが、ネイチャー誌の論文撤回
が決まった途端、その「不正」の最大の根拠であった筈の「遺伝
子解析」を「間違いだったかも知れない」と、それを発表した若
山教授自身が認めたのですから。    http://bit.ly/1SaeRQM
─────────────────────────────
 若山教授は、遺伝解析にミスがあったことは7月はじめにはわ
かったはずです。若山教授はおそらくそのことを真っ先にNHK
に連絡を入れていると思います。何しろ若山氏自身が番組に出演
しているのですから。しかし、NHKは何の修正もしないまま番
組を放送しています。考えられないことです。
 「2」については、6月12日のEJ第4054号で述べてい
ますが、NHKの取材班が小保方氏を追いかけ回し、転倒させ、
怪我を負わせています。記者に追いかけられ、ホテルのトイレに
逃げ込んだ小保方氏を女性記者がトイレの中に入って取材をしよ
うとしたのです。こんなことは許されることではないはずです。
 怪我をさせたことについては、NHKは謝罪はしたものの、番
組では何の謝罪メッセージを載せないまま放送しています。本来
であれば、こういう事故を起こした場合、番組は放送しないのが
公共放送として当然のマナーであるはずです。しかし、それを平
然と放送し、小保方氏はもちろんのこと、笹井氏の名誉を著しく
傷つけているのです。         http://bit.ly/1MMIkPA
 それでもこのNHKスペシャルが事実を正しく伝えているので
あれば報道機関としては許されるのですが、明らかに意図的に小
保方氏がSTAP細胞事件の真犯人──ES細胞を盗み出し、そ
れをSTAP細胞と称して発表した研究者であるかのような細工
を施しているのです。明日のEJから、この番組の内容にメスを
入れることにします。   ── [STAP細胞事件/048]

≪画像および関連情報≫
 ●NHKスペシャル/笹井氏の自殺に影響があったか
  ───────────────────────────
   論文の疑義が明らかになってから、笹井氏はスキャンダル
  めいた報道も含めて糾弾されてきた。とりわけ7月27日に
  放送された「NHKスペシャル調査報告/STAP細胞不正
  の深層」は、特に笹井氏とSTAP細胞の研究との関わりつ
  いて厳しく取り上げたものだった。
   番組は、多くの専門家らに話を聞きながら「研究不正の深
  層に何があったのか」に迫った。放送開始から24分経過し
  た頃、「エリート科学者/問われる責任」と題されたパート
  が始まった。小保方晴子ユニットリーダーは12年4月から
  英ネイチャー、米セル、米サイエンスと名だたる科学雑誌に
  STAP細胞論文を投稿したが、「全体的にプレゼンテーシ
  ョンのレベルが低い」「ES細胞が混ざっているのではない
  か」などと専門家に指摘され、掲載されなかった。ところが
  12年12月に笹井氏が論文作成に加わってから事態が一変
  した。小保方氏に画像やグラフの作成を次々と指示し、4月
  に投稿した論文から40近くも増やした。13年3月にネイ
  チャーに投稿した論文には、編集部から「審査した専門家も
  編集部も大きな可能性を感じています。いくつかの問題に答
  えられれば掲載を検討します」との連絡があったという。番
  組では小保方氏と笹井氏がやり取りしたメールの内容まで紹
  介していた。笹井氏からは「小保方さん、本日なのですが、
  東京は雪で、寒々しております」「小保方さんとこうして論
  文準備が出来るのを、とても嬉しく楽しく思っており、感謝
  しています」といったメールが送られていたようだ。
                   http://bit.ly/1ARWGcw
  ───────────────────────────

Nスペ『調査報告/STAP細胞/不正の深層』.jpg
Nスペ『調査報告/STAP細胞/不正の深層』
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2015年07月14日

●「STAP反対者だけ登場する番組」(EJ第4076号)

 2014年7月27日に放送されたNHKスペシャル『調査報
告/STAP細胞/不正の深層』は、次の4つの部分から構成さ
れています。
─────────────────────────────
     第1部:疑惑の論文はこうして生まれた
     第2部: STAP細胞は存在するのか
     第3部: エリート科学者問われる責任
     第4部:    研究不正をどう防ぐか
─────────────────────────────
 2014年7月初旬というと、STAP論文に対する疑惑が拡
大し、ネイチャー誌もSTAP論文の取り下げを決定したことで
多くの人が論文に対する何らかの疑惑を拭い切れなくなっていた
時期に当たります。
 それでも小保方氏や笹井氏がそんなメリットのない捏造をする
はずがないと考えていた人は少なからずいたはずです。しかし、
そういう人たちの思いを完全に打ち砕いたのが、このNHKスペ
シャルだったといえます。
 このNHKスペシャルは、次の3つの点で、公共放送としては
かなりバイアスのかかった番組になっています。
─────────────────────────────
 1.STAP細胞の存在に疑問を持つ人たちだけしか番組に
   登場しておらず、不公平である
 2.STAP細胞の正体はES細胞であり、存在しないとい
   う前提で話を誘導しようとする
 3.小保方・笹井両氏を論文捏造の首謀者のように扱い、2
   人の名誉を不当に毀損している
─────────────────────────────
 第1部「疑惑の論文はこうして生まれた」では、論文ができた
経緯について紹介しています。しかし、そのなかでさりげなく、
小保方氏が当時CDBのC棟4Fにあった若山研究室の奥まった
一画で、一人で研究していたことを伝えています。実験は小保方
氏一人で行っており、ES細胞を混入させようと思えばできる状
態であったことを視聴者に示唆しています。
 それからもうひとつ、小保方氏の実験ノートを大写しにし、そ
の記述がメモ程度であったことを視聴者に印象づけています。こ
の実験ノートは小保方氏が理研に提出したものであり、NHKは
それをどのようにして手に入れたのでしょうか。
 問題は第2部「STAP細胞は存在するのか」です。冒頭に記
者は米国のハーバード大学を訪問し、万能細胞の権威ジョージ・
デイリー教授にインタビューしています。
 そこでデイリー教授に、論文通りではSTAP細胞は再現でき
ていないこと、そして、細胞が緑色に光る現象は何回か目撃した
が、それは細胞が死ぬさいに発光する自家蛍光ではないかと考え
ているといわせています。
 しかし、ハーバード大学にまで行きながら、STAP論文の共
著者の一人であり、小保方氏の師であるバカンティ教授には会っ
ておらず、会う予定もなかったようです。ただ、デイリー教授は
バカンティ教授に再現実験に協力してもらうことで合意したとい
うナレーションとともに、バカンティ氏の写真が大写しになった
だけです。
 とにかくこの番組では、小保方氏の味方は誰も登場しないので
す。もし、NHKとしてバカンティ氏にも会う意思があり、たま
たまアポイントが取れなかったのであれば、そのことをアナウン
スするはずです。褒める人には会いたくないのでしょう。
 ここで山梨大学の若山研究室のシーンになります。若山教授と
研究員2人が研究室で実験しています。若山教授が小保方氏に渡
したマウスの遺伝子と、それから作製されたSTAP幹細胞の遺
伝子は一致するはずであるとして、それを確かめる遺伝子解析を
しているのです。その解析と同じ結果が出て、それが後で間違い
だった放医研の調査は外していますが、マウスは異なるのは事実
であるのだからという理屈でそのまま取り上げています。
 その解析結果が異なることが図を使って解説され、その意外な
結果に考え込む若山教授が写し出されます。もちろんNHKがそ
のように演出したのです。若山教授は次のようにつぶやきます。
─────────────────────────────
 僕のどこに間違いがあったのか。そういう疑いをすべて捨てて
自分にミスがないっていうのを自分が納得できないと、僕は先に
進めない。            ──若山照彦山梨大学教授
─────────────────────────────
 続いて、同じ理研の上席研究員の遠藤高帆氏がリュックサック
を背負って登場します。この人物はSTAP論文が出た直後から
この論文について強い疑惑を抱き、公開されているSTAP細胞
を自分一人で3ヶ月もかけて研究し、ある発見をしたのです。
 遠藤氏がいうのは、若山教授が小保方氏から渡された細胞──
すなわち、STAP細胞には「アクロシンGFT」という特殊な
遺伝子が組み込まれていることを指摘したのです。これに関する
記者と遠藤高帆氏との一問一答です。
─────────────────────────────
 遠藤:STAP細胞には、精子で発現するアクロシンという特
    殊な遺伝子が組み込まれているのです。
 記者:それはSTAP細胞の研究には関係があるのですか。
 遠藤:全く必要ないと思います。STAP細胞は調べれば調べ
    るほど存在自体がわからなくなってくるというようなも
    のだと思います。       ──NHKスペシャル
        『調査報告/STAP細胞/不正の深層』より
─────────────────────────────
 この「アクロシンGFT」という遺伝子は、後から重要な意味
を持ってきます。なぜ、そのような遺伝子がSTAP細胞に組み
込まれたのでしょうか。謎は一層深まるばかりです。
             ── [STAP細胞事件/049]

≪画像および関連情報≫
 ●Nスペ『STAP細胞/不正の深層』の度し難い悪意
  ───────────────────────────
   理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹
  ・副センター長の自殺の報道に接した瞬間に、私はマスコミ
  に対する憤りがふつふつと湧いてきました。論文に対する疑
  惑が生まれて以降のSTAP細胞に関するマスコミ報道に異
  常なものを感じてきたからです。死後に、笹井氏が亡くなる
  10日程前から研究の会話に支障が出るようになったことが
  報じられましたが、ちょうどこの頃に、NHKがNHKスペ
  シャル『調査報告/STAP細胞/不正の深層』を流してい
  たことを私は後になって知りました。ネット上に、同番組が
  アップされているのを見つけ、私自身も見てみました。番組
  名に『STAP細胞/不正の深層』とあるように、STAP
  細胞をトンデモ学説扱いにして、番組が作られていました。
  いかにもNHKらしい番組で、一見中立的な立場のように装
  いながら、実のところは極めて悪意のある番組であったと、
  私は断言します。
   なぜ私がNHKの悪意について断言できるのかといえば、
  笹井氏は4月16日の記者会見で、誠実な科学者らしさを発
  揮して、例えば、以下に挙げることを述べられていたからで
  す。「STAP現象についてはもしも存在しないと思ってい
  たら、共著者には加わらなかった。しかし、それは論文の材
  料がきちんと組み上がっていたときに確信を持つのであって
  今はその組み上げ細工にヒビが入ってしまった。有望ではあ
  るが、仮説に戻して検証し直す必要があると思ってます。こ
  れを、信じる信じないということで論じるべきでないという
  科学者としての立場です」。   http://amba.to/1HodRSR
  ───────────────────────────

遺伝子解析結果を検証する若山研.jpg
遺伝子解析結果を検証する若山研
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2015年07月15日

●「捏造を証明するための番組の捏造」(EJ第4077号)

 NHKスペシャル『調査報告/STAP細胞/不正の深層』の
制作者は、番組の構想として、小保方氏が若山研の保有するES
細胞を盗み出し、自身の研究室の冷凍庫に密かに保管していたと
視聴者が思える状況を作ろうとしていたと考えられるのです。
 そのための細工と思われるものが、番組の第2部「STAP細
胞は存在するのか」のなかに見られます。なお、この番組づくり
において、若山教授はもとより研究室の2人の研究員、早い段階
からSTAP細胞は怪しいと疑い、自身の仮名ブログでSTAP
論文を批判していた遠藤高帆理研研究員は、単なる出演者でなく
番組制作協力者ではなかったかと思われます。
 若山教授と研究員2人は、保存試料のSTAP幹細胞の解析を
行ったところ、それが小保方氏に渡したマウスの遺伝子と一致し
ない事実に愕然とし考え込みます。演技がお上手です。
 そこに遠藤氏がSTAP細胞には、アクロシンGFPという特
殊な遺伝子が組み込まれている事実を若山教授に告げるのです。
ここで、次のナレーションが入ります。
─────────────────────────────
 若山教授には、アクロシンGFPの組み込まれたマウスに心当
たりがあったという。若山研ではアクロシンGFPが組み込まれ
たマウスから、ある細胞を作り、保管していた。それは別の万能
細胞、ES細胞だった。小保方氏から受け取った細胞にこのES
細胞が混入していたのではないか。ES細胞が入っていればES
細胞は簡単に作れてしまう。     ──番組のナレーション
─────────────────────────────
 続いて、「取材を進めると、ES細胞を巡ってある事実が浮か
び上がってきた」という意味深なナレーションとともに、試験管
がたくさん入った容器の写真(添付ファイル参照)表示されるの
です。「これは問題発覚後、小保方研の冷凍庫から発見された容
器であり、中身はES細胞。若山研究所にいた留学生が作ったも
のだ」という解説が入ります。
 視聴者は、はじめにアクロシンGFPが組み込まれたマウスか
ら作られたES細胞の話があって、ES細胞の容器が見せられる
ので、それがアクロシンGFPを持つES細胞だと思ってしまい
ます。続いて、次のナレーションが入るのです。
─────────────────────────────
 これまで小保方氏側は、実験用のES細胞を保存しているとし
たうえで、それは若山研から譲渡されたと説明してきた。ところ
が、この組織が小保方氏側にあるのは不可解であるという指摘が
出ている。別の研究で解析中のもので、去年若山研究室が山梨大
に移ったさい、持っていくことになっていたからだ。
                  ──番組のナレーション
─────────────────────────────
 次のシーンで受話器を耳に当てている男性が映し出されます。
これはNHKの取材スタッフです。電話している先は「ES細胞
を作製した元留学生」と画面に表示されています。その元留学生
は次のように話しています。おお、質問するスタッフの音声は一
切ありません。
─────────────────────────────
 びっくりしました。保存しているのは全部ES細胞ですので、
なぜSTAP細胞の関係があるところで見つかったのか、本当に
びっくりしました。(一瞬間を置いて)
 (小保方氏に)それを直接私が渡したことはないです。
                  ──元留学生の電話の声
─────────────────────────────
 このやり取りを聞くと、視聴者は小保方氏がアクロシンGFP
を持つES細胞を若山研の元留学生のところから盗み出したので
はないかと思ってしまいます。番組の制作スタッフは、視聴者に
そのように思わせるように細工、いや捏造しているのです。その
証拠に、これを信じた元理研のスタッフは、小保方氏をES細胞
の窃盗容疑で警察に訴えているからです。
 事実は全く異なるのです。小保方氏の冷凍庫に入っていたES
細胞は確かに元留学生が作ったものには違いないのですが、それ
はアクロシンGFPを持つES細胞ではなく、「GOF─ES」
という名前のES細胞なのです。
 このGOF─ESは、小保方氏の方から若山研のメンバーに対
し、STAP細胞の研究でコントロールとして使いたいという依
頼があって、培養皿ごとGOF─ESは小保方氏に手渡されてい
るのです。このことは桂調査委員会報告書の7ページに記載され
ています。したがって、「若山研から譲渡されたもの」であるこ
とは事実であり、それが小保方氏の冷凍庫から出てきても何も不
思議はないのです。さらにナレーションがいう「別の研究で解析
中のもので、去年若山研究室が山梨大に移ったさい、持っていく
ことになっていた」というのも事実と異なるのです。
 この事実を若山教授と親しいNHKが知らないはずはないと思
うのです。しかも番組で明らかに事実と異なることが報道されて
おり、それが小保方氏の名誉を傷つける内容であるにもかかわら
ず、若山教授が何もそのことに言及しないのは不思議な話です。
 それにしてもこの留学生の発言は不可解です。彼が自分の作製
したGOF─ESが小保方研に譲渡された事実を知らないはずは
なく、なぜ事実と異なることを電話で話したのかは不明です。こ
れについて「研究者・教育者の意見」のブログでは取材者に次の
ように呼びかけています。
─────────────────────────────
 「眼鏡のお兄さん」、もしあなたに良心があるなら、元留学生
にどのように質問したのかを開示すべきた。直接的か間接的かは
誰にもわからないが、NHKスペシャルが「不正の深層」の中心
人物とした人が、直後に自殺しているのは紛れもない事実なのだ
から。                http://bit.ly/1fwkMUf
─────────────────────────────
             ── [STAP細胞事件/050]

≪画像および関連情報≫
 ●笹井氏の自殺はNHKと文春のせい/リテラ
  ───────────────────────────
   衝撃的な第一報が飛び込んできた。STAP細胞捏造疑惑
  で一躍時の人となった小保方晴子ユニットリーダーの上司で
  あり、論文共同執筆者でもあった笹井芳樹理化学研究所発生
  ・再生科学総合研究センター副センター長が首つり自殺を遂
  げたのだ。
   ネットでは早速、メディアスクラムが笹井氏を追いつめた
  というお得意のマスゴミ批判が展開されている。中でも取り
  ざたされているのが、7月27日のNHKスペシャル「調査
  報告STAP細胞/不正の深層」が決定打になったのではな
  いか、という見方だ。
   この番組は、NHKが専門家による独自の検討チームを組
  んで、捏造の真相に迫ったものだが、この中で、笹井氏が事
  実上、論文づくりをリードしていたことをあげたうえで、今
  最大の焦点となっているマウスのすりかえ問題を、笹井氏が
  知っていたのではないか、と指摘したのだ。このマウスのす
  りかえ問題を簡単に説明すると、以下のようなものだ。ST
  AP細胞は、若山照彦・山梨大学教授が小保方氏から手渡さ
  れたSTAP細胞から幹細胞とキメラマウスを作成したこと
  で、万能性の獲得が証明されたことになっていた。だが、相
  次ぐ不正発覚に疑問を感じた当の若山教授が第三者に遺伝子
  情報の解析を依頼。すると小保方氏から手渡されていたのは
  ES細胞をもった別のマウスだった事が判明したのである。
                   http://bit.ly/1eP8RzZ
  ────────────────────────

小保方研の冷凍庫から発見されたES細胞.jpg
小保方研の冷凍庫から発見されたES細胞
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2015年07月16日

●「Nスペの制作に若山研は協力か?」(EJ第4078号)

 昨日の続きです。NHKスペシャル『調査報告/STAP細胞
/不正の深層』は元NHKアナウンサー山根基世氏のナレーショ
ンを中心に物語風に仕上げられています。こういう構成の番組の
場合、一部の出演者には、台本に沿った簡単な演技が求められる
ことがあります。
 番組の第2部「STAP細胞は存在するのか」では、山梨大の
若山研究室での若山照彦教授と研究員3人がSTAP幹細胞の解
析をする場面と、その結果に当惑し、若山教授が考え込むシーン
や遠藤理研上席研究員がアクロシンGFPを説明するシーンなど
は若干の演技が必要になります。そうであるとすると、少なくと
も若山教授は台本の構成の一部を知っていたことになります。
 STAP細胞の遺伝子の解析に関連して遠藤氏からSTAP細
胞にアクロシンGFPという特殊な遺伝子が入っていたことが伝
えられ、その直後に小保方氏の研究室の冷凍庫から見つかったと
いうES細胞の容器のシーンになることも若山教授は事前に知っ
ていたと思われます。もちろんそのES細胞が自分が小保方氏に
譲渡したGOF─ESであることもです。
 しかし、番組のシナリオの流れに沿うと、視聴者は冷凍庫から
見つかったES細胞は、アクロシンGFPが組み込まれたES細
胞であると思ってしまうし、それが若山研にいた元留学生に「私
は小保方氏にそれを直接渡していないです」という言葉で否定さ
れると、視聴者は「やっぱり盗んだのか」と考えます。
 視聴者にそう思わせるように巧妙にストーリーを構成している
のです。それでいてそれぞれの事実にはウソはないのです。ST
AP細胞にアクロシンGFPが組み込まれていること、小保方氏
の冷凍庫からES細胞の容器が見つかったこと、小保方氏がES
細胞を若山研から譲渡されていたことなどすべてにウソはないの
です。しかし、それらの事実を悪意で恣意的に編集すると、小保
方氏があたかもES細胞を盗んだかのような印象を与えることは
できるのです。
 ここで巧妙なことは、「ES細胞は若山研から実験用に譲渡さ
れていた」という事実を小保方氏の会見から切り取って、ナレー
ションで伝えていることです。NHKのことですから、この事実
を若山教授やそのスタッフに確認しているはずであり、ES細胞
が本当に譲渡されていたことを知っていたと思われます。
 そうであるとしたら、小保方氏の冷凍庫からES細胞の容器が
見つかっても何も不思議はないはずです。しかし、編集者はそれ
をミステリアスにするために元留学生との電話のやり取りのシー
ンを用意したのです。
 この元留学生は、李(Li Chong)氏であることがわかっていま
す。李氏は2007年から若山研に「ジュニア・リサーチ・アシ
スタント」として在籍し、2010年に「リサーチ・サイエンテ
ィスト」になっています。小保方氏がCDBの若山研に客員研究
員として参加した2011年4月も在籍しており、小保方氏とは
面識があったと考えられます。
 小保方氏の冷凍庫から発見された72本のES細胞の容器には
「ntES BOX Li」 というラベルが貼ってあったといいます。これ
には「Li」と書いてあり、李氏作製のものに間違いはなく、小保
方氏に譲渡されたES細胞なのです。既に述べたように、理研の
桂調査委員会報告書にも次の記載があり、間違いはないのです。
─────────────────────────────
 ES細胞GOF─ESは、CDBの別のグループから供与され
た、Oct4プロモーター下にGFPを発現するGOFマウスか
ら、若山氏が指示した別の研究に使用する目的で、2011年5
月26日から10月31日の間にCDB若山研メンバーによって
作製された。この期間に、小保方氏から、当該メンバーに対し、
STAP細胞の研究で、コントロールとして使用したいとの依頼
があり、培養皿ごとES細胞GOF─ESが小保方氏に手渡され
た。        ──桂理研調査委員会報告書7ページより
─────────────────────────────
 そうであるとすると、李氏はなぜびっくりしたのでしょうか。
この番組が放送されたのは、2014年7月27日ですから、若
山研の山梨大への移転はとっくに終わっています。もし、移転し
て研究に必要な試料(ES細胞)がなかったとすれば、当然CD
Bに問い合わせをしているはずです。
 推測ですが、当然これには何らかの演出があり、若山研がそれ
に協力している可能性が考えられます。取材者の「眼鏡のお兄さ
ん」と李氏との電話シーンを撮るには、若山教授の承認がないと
できないはずです。それにしても若山教授はなぜそこまでNHK
に協力し、小保方氏を潰そうとするのでしょうか。
 若山教授には謎の部分が多いのです。若山教授は笹井氏以上に
STAP細胞に近かった人です。それなのに、最初に逃げ出した
のはこの人です。2010年の民主党の事業仕訳のさい、理研職
員が妻をアシスタントにして、月給約50万円を理研が支払って
いることが明らかになり、仕分け人側からは「お手盛りではない
か」と厳しい追及がありましたが、これは若山教授のことである
と思われます。あるブログには次の関連記事が出ています。
─────────────────────────────
 雑誌『フライデー』によると、小保方氏が盗んだとされるES
細胞の箱には持ち主の名前「Li」と書かれていたと言う。「DO
RAのブログ」によると、それは若山研究室に在籍した中国人の
Chong Liさんだろうと言うことだ。 この名前と若山氏の名前で
検索すると面白い事が分かった。若山氏、その夫人で研究者の若
山清香氏、そして李氏。この3人は仲良く2011年開催のAR
BS「ポスタープレゼンテーション」のミーティングに参加して
いるのだった。冷蔵庫の鍵の管理をしていたと言う清香夫人と共
に、だ。色々と想像出来るが、実験室の箱の中、密室のトリック
なら、門外漢はお手上げである。    http://bit.ly/1Gf0rYB
─────────────────────────────
             ── [STAP細胞事件/051]

≪画像および関連情報≫
 ●「新ベンチャー革命」ブログ/2015年2月12日
  ───────────────────────────
  タイトル:後味の悪いSTAP細胞事件の幕引き:すべて小
  保方氏に罪を着せる卑怯な理研よ、よほど大きな圧力が、掛
  かったのか。
   1.理研はなんと、小保方氏がES細胞を盗んだと言い始
  めた!2015年2月10日、理研は小保方氏がES細胞を
  盗んだ疑いがあると発表しました。そして、小保方氏の弁護
  士は反論していません。非常に後味の悪い記者会見です。小
  保方氏の上司・笹井氏の自殺(?)の後の、理研の対応は、
  小保方氏一人にすべての罪をなすりつけて、自分たちは責任
  を逃れようという卑怯なものです、到底、許されません!理
  研がこのような発表をすると、STAP細胞というのはウソ
  で、小保方氏がつくったとされるSTAP細胞試料に彼女が
  密かにES細胞を混入させて、それをSTAP細胞とごまか
  したとわれら国民は理解します。一方、理研も国民がそのよ
  うに受け取ることを期待しているように感じられます。それ
  に対して、小保方氏が反論しないと、理研の言い分を小保方
  氏が認めたことになります、ちょっと信じられません、この
  ような流れは・・・。理研はどこまで国民をなめているので
  しょうか。
   2.ES細胞研究の世界的権威であった笹井氏が小保方氏
  のつくったSTAP細胞がES細胞だったと間違えるはずが
  ない!上記、理研のシナリオに従えば、小保方氏のつくった
  STAP細胞は実は盗んだES細胞であり、それをES細胞
  研究の世界的権威である笹井氏がウソを見抜けず、小保方氏
  にだまされたということになります。
                   http://bit.ly/1PYfAIP
  ───────────────────────────

元留学生に電話するNHK記者.jpg
元留学生に電話するNHK記者
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2015年07月17日

●「STAP有志の調査委員会の存在」(EJ第4079号)

 『週刊ポスト』2015年2月13日号に、小保方氏をES細
胞の窃盗容疑で兵庫県警に告発した理研OBの石川智久氏のコメ
ントが紹介されています。
─────────────────────────────
 小保方さんはSTAP論文が疑われた直後から、実験室にあっ
た細胞サンプルをこっそり処分し始めました。怪しいと感じた理
研の研究者有志がサンプルを保全して独自に調査したところ、小
保方さんの共同研究者だった若山照彦さん(現・山梨大教授)の
研究室から紛失していたES細胞が見つかった。そこで、私は彼
女がES細胞を窃盗したと推定し、刑事告発に踏み切りました。
日本の科学の国際的信頼を回復するためにも絶対にうやむやにし
てはいけない。
 小保方さんの研究室から見つかったES細胞は、若山研にいた
中国人留学生が作成、凍結しておいたもの。若山研が理研から山
梨大学に引っ越したときに紛失が発覚し、留学生は研究を継続で
きなくなったそうです。           ──石川智久氏
         『週刊ポスト』2015年2月13日号より
─────────────────────────────
 この石川氏のコメントが事実と違うことは、EJをここまで読
んできていただいている読者にはわかると思います。小保方氏は
留学生の李氏の作製したES細胞「GOF─ES」を若山研から
正式に譲り受けており、そのことは昨年12月に行われた桂調査
委員会報告書の7ページに明記されているからです。(16日の
EJ第4078号参照)
 したがって、「留学生は研究を継続できなくなったそうです」
というのは完全なウソということになります。李氏は自分のES
細胞を探しているフシはないし、研究の継続に困ってもいないの
です。理研CDBから山梨大学に持っていくべき試料などはすべ
て山梨大学に運ばれているからです。
 どうやら石川氏は、NHKスペシャル「不正の深層」の内容を
固く信じており、桂報告書も「STAP細胞はES細胞である」
という結論だけ読んで、全文を読まずに小保方氏を告発したこと
になります。人の名誉を傷つけかねない警察への告発をこのよう
に乱暴に行うとは、理研のOBらしからぬ軽率な行為であると思
います。告発状は受理されたらしいですが、結果がどうなったか
は現時点では不明です。ちなみに理研としては被害届を出してい
ないのです。もし裁判なって一番困るのはおそらく理研になると
思います。
 しかし、これで一つわかったことがあります。小保方氏がST
AP細胞の発表を行い、疑惑が生じた直後から、理研内部に「S
TAP細胞有志の調査委員会」なるものが結成され、STAP細
胞について調べたり、小保方氏の行動をそれとなく監視していた
ことです。おそらく理研内部では、途中から彗星のごとく現れ、
笹井CDB副センター長の信任も厚く、その内容が本当ならノー
ベル賞もありうる凄い研究発表をした小保方氏を妬む人がたくさ
んいたことになります。
 当然のことながら、そういう人たちは率先してNHKなどのメ
ディアに進んで協力し、小保方氏の足を引っ張る情報をいろいろ
提供したはずです。理研内部には「敵」がたくさんいたのです。
そうでなければ、笹井氏と小保方氏とのメールのやりとりなどが
外へ漏れるはずがないからです。
 聞くところによると、理研内部の有志の会は、小保方氏が休ん
でいるとき、細胞などを勝手に外に持ち出さないように、小保方
研の鍵を取り替えるなどしたそうです。これについて「研究者・
教育者」のブログでは、次のように批判しています。
─────────────────────────────
 「有志の調査委員会」が行った「小保方氏が細胞サンプルを自
由に処分できないように実験室の鍵を付け替えた」という行為は
「建造物侵入」と「威力業務妨害」に当たるだろう。「建造物侵
入」というのは不思議に思うかもしれないが、19歳の「つまよ
うじ混入少年」の容疑が「建造物侵入」であることを考えれば理
解できるだろう。スーパーのように誰でも入れる場所であっても
購入とは別の目的で入ればこの罪に問われる可能性がある。
 また、小保方氏が管理している部屋の鍵を付け替えれば、「威
力」によって小保方氏の正常な「業務」を妨害しているので「威
力業務妨害」だ。このような行為ができるのはCDBのセンター
長である竹市氏や理研理事長の野依氏だけだ。彼らにしても正当
な理由無しに小保方氏の管理下にある研究室を勝手に捜索したり
鍵を付け替えることは違法行為となる。警察であっても捜査令状
が必要であり、そして捜査令状の対象外の場所を勝手に捜査した
り封鎖したりすることはできないのだ。 http://bit.ly/1fwkMUf
─────────────────────────────
 このように第三者が小保方研に侵入できたということは、その
冷凍庫のなかにある細胞の容器に、誰かがある特定の細胞を入れ
ることもできることを意味します。
 というのは、ここでもう一つの疑惑が浮上しているからです。
小保方氏の冷凍庫の容器のなかから、若山研が小保方氏に譲渡し
た李氏作製のES細胞「GOF─ES」のほかに、別種のES細
胞「FES1/FES2}が出てきたからです。
 そのES細胞は、10年前の2005年にCDBの若山研に所
属していた大田浩研究員が作製したものであり、そのES細胞に
は、あのアクロシンGFPが組み込まれていたのです。
 大田氏によると、確かにそういうES細胞は作製したが、研究
には使わず、そのまま保存し、他の大学に転出するときにすべて
持ち出しているはずだと述べています。
 桂調査委員長は、この細胞株を若山教授と小保方氏に見せたが
2人とも「ぜんぜん知らない」と否定したというのです。つまり
若山氏も小保方氏も知らない細胞株が小保方氏の冷凍庫から見つ
かっているのです。この細胞株については、来週のEJで詳細に
究明します。       ── [STAP細胞事件/052]

≪画像および関連情報≫
 ●STAP細胞報道のNHKスペシャル批判/下田親氏
  ───────────────────────────
  この番組(NHKスペシャル『調査報告/STAP細胞/不
  正の深層』)では「小保方、若山、笹井さんたちのチームが
  研究不正をしてネイチャー論文をでっち上げた」という結論
  が先にあったようです。それを導くために、様々な間接証拠
  を積み上げ、あたかも客観的な事実によって不正を証明した
  と言わんばかりの番組構成でした。ナレーションが「これも
  不正、あれも不正」と解説するのですが、具体的に視聴者が
  判るように映像や言葉でもって証明するものではありません
  でした。例えば、ネイチャー誌に発表された2報の論文の図
  表の内、理研の調査委員会が不正と認定した2つの図表に加
  え、番組では他の多くにも不正な操作があったと断定して、
  映像ではその図を赤い色で塗りつぶしていきました。これだ
  け見ると、論文は不正なデータばかりででっち上げたのかと
  思ってしまいます。これは映像による、とても酷いイメージ
  操作です。調査委員会が不正と断定した2つの図については
  僕の講演では詳しく、どこに問題があり、それが全体の結論
  にどのように影響したかを解説し、綿密に分析しました。し
  かし、このNスペではそういった説明は一切なく、赤く塗り
  つぶされた図表のイメージのみが示されたので、視聴者は論
  文がもう捏造データで溢れていると考えてしまう仕組みにな
  っていました。そもそも、上から赤く塗りつぶすわけですか
  らどんな図だったのかさえわかりません。
                   http://bit.ly/1L0YTta
  ───────────────────────────

小保方研究室.jpg
小保方研究室
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2015年07月21日

●「若山会見とNHK報道の巧妙演出」(EJ第4080号)

 7月17日のEJ第4079号の最後の部分をもう一度振り返
ります。小保方氏は、CDB時代の若山研の客員研究員をしてい
たとき、元留学生の李氏が作製したES細胞「GOF─ES」を
正式に譲り受けています。この点においてNHKスペシャルの報
道は完全に間違っています。わざとですが・・・。
 したがって、このGOF─ESが小保方研の冷凍庫から出てき
ても何も不思議はないわけです。しかし、それとは別のES細胞
も見つかっているのです。それは、遠藤高帆CDB上席研究員の
指摘したアクロシンGFPが組み込まれたES細胞「FES1/
FES2」だったのです。
 これについて桂委員長は、そのES細胞の入った容器を小保方
氏と若山山梨大教授の両方に見せたところ、2人とも「全然知ら
ない」と否定したといいます。つまり、本人がウソをついていな
い限り、小保方氏本人が知らないES細胞が、小保研の冷凍庫に
入っていたことになります。
 このアクロシンGFPの組み込まれたES細胞について『日経
サイエンス』は、まるで鬼の首でも取ったかのように「STAP
細胞は最初から存在しなかった」と断定したうえで、次のように
書いているのです。
─────────────────────────────
 実験に使われた「STAP細胞」の大半は,10年前の200
5年、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)
の若山照彦チームリーダー(現山梨大学教授)のもとで研究して
いた大田浩研究員が作ったES細胞だった。
 当時、若山研では,身体全体に加えて精子までが緑に光る,特
別なマウスを飼っていた。大阪大学の岡部勝・元教授が遺伝子導
入技術で作ったマウスだ。大田氏は、この岡部マウスと市販の白
マウスを掛け合わせて受精卵を取り、その受精卵からES細胞を
作った。だが研究には使わず,そのまま保存していた。
       ──『日経サイエンス』/2015年3月号より
─────────────────────────────
 しかし、大田浩氏の作製したES細胞が現在もCDB当時の若
山研にあるのはおかしいのです。なぜなら、大田氏自身が若山研
を転出するさいにすべて持ち出しているからです。科学者という
ものは自分の樹立した試料には強いこだわりがあり、それをうっ
かり忘れることはあり得ないことです。『日経サイエンス』にも
それを裏付ける記述があります。
─────────────────────────────
 大田氏は、2010年3月に若山研から転出するにあたり、自
分の樹立した細胞株をすべて運び出したはずだという。(中略)
若山研でSTAP研究が始まったのは2011年4月から。いっ
たいなぜ、大田氏のES細胞がSTAP細胞の研究に入り込んだ
のか。    ──『日経サイエンス』/2015年3月号より
─────────────────────────────
 これに関して若山教授は、確かにアクロシンGFPが組み込ま
れたES細胞は記憶にあるが、大田氏がすべて運び出したと思っ
ていたと述べています。転出した大田氏も送り出した若山教授も
そのES細胞が大田氏によって2010年3月にCDBから外に
持ち出されていることを認めているのです。
 現に若山研がCDBから山形大学に移転するさい、理研と交わ
した持ち出す試料や物資などの一覧を記述した資料にも大田氏作
製のES細胞「FES1/FES2」の記載はないのです。それ
がなぜ小保方研の冷凍庫にあるのでしょうか。まるでミステリー
のような話です。
 そもそも小保方氏がCDBの若山研に客員研究員として入った
のは2011年4月のことです。大田氏の転出の1年後のことで
あり、大田氏と小保方氏の接点は全然ないのです。
 したがって、小保方研の冷凍庫から出てきたES細胞「FES
1/FES2」の容器を桂調査委員長から見せられて、小保方氏
が「知らない」と答えたのは当然のことです。しかし、若山教授
まで「知らない」というのには疑問があります。これについては
もう少し事実を積み重ねて明らかにします。
 NHK番組制作者は、この大田氏作製のES細胞のことを知ら
ないはずはないのです。若山氏とも十分打ち合わせているはずで
すし、実際にNHKスペシャルでは遠藤氏にアクロシンGFPに
ついて言及させています。そのアクロシンGFPが組み込まれた
ES細胞が大田氏の製作したものだということもです。
 しかも、小保方研の冷凍庫から、ES細胞の入った容器が見つ
かったというニュースが流れたのが、2014年6月16日の夕
方なのです。ちょうどその日に若山教授は、第三者機関(?)の
細胞の解析結果について記者会見を開いているのです。これも十
分計算されたNHKの「小保方犯人説」への演出なのです。16
日のNHKオンラインは、次のように報道しています。
─────────────────────────────
◎冷凍庫内に「ES」記載容器
 理化学研究所の小保方晴子研究ユニットリーダーらが使ってい
た研究所内の冷凍庫から「ES」と書かれたラベルを貼った容器
が見つかり、中の細胞を分析したところ共同研究者の若山教授の
研究室で保存されていた、STAP細胞を培養したものだとする
細胞と遺伝子の特徴が一致したとする分析結果がまとまっていた
ことがわかりました。
◎「STAP細胞の証拠ない」
 STAP細胞論文の共著者の若山照彦山梨大教授が16日、自
身が保管していたSTAP幹細胞は、小保方晴子氏に作製を依頼
して渡したマウスとは別系統の細胞だったとの解析結果を発表し
ました。   ──2014年6月16日付/NHKオンライン
─────────────────────────────
 これを見るとわかるように、若山教授とNHKがまるで打ち合
わせているように行動していることがわかると思います。
             ── [STAP細胞事件/053]

≪画像および関連情報≫
 ●真実を探すブログ/STAP細胞の証拠ない/若山教授
  ───────────────────────────
  理化学研究所の小保方晴子氏が作製した「STAP細胞」を
  基に作ったとされる細胞の遺伝子を第三者機関が解析したと
  ころ、別の万能細胞である胚性幹細胞(ES細胞)の特徴が
  確認されたことが判明しました。第三者機関に解析を依頼し
  たのは論文共著者の若山照彦山梨大教授で、16日に記者会
  見を開き、「STAP細胞の存在を示す証拠が無かった」と
  発表しています。更にはSTAP細胞の培養に使ったマウス
  が、当初の報告とは別の個体であることも分かりました。し
  かも、16日夕方の報道によると、小保方氏の研究室にある
  冷蔵庫から「ES」と記載されている容器が発見されたとの
  ことです。これから中身の詳細な検査をする方針となってい
  ますが、これがES細胞である可能性が高いと見られていま
  す。STAP細胞の再現実験が始まる前に、再びこんな騒ぎ
  になるとは私も思いませんでした。当初はSTAP細胞を信
  じていましたが、今回の解析結果などを見てみると、流石に
  小保方氏の擁護は厳しいです。とりあえず、小保方氏はES
  細胞との関係について、ちゃんと話すべきだと思います。
                   http://bit.ly/1CKVqMq
  ───────────────────────────

NHKと歩調を合わす若山会見.jpg
NHKと歩調を合わす若山会見
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2015年07月22日

●「なぜ、NHKはそこまでやるのか」(EJ第4081号)

 STAP細胞事件でNHKが最大の情報源にしていたのは、若
山照彦山梨大学教授です。NHKは、STAP細胞が本物であっ
ても、捏造であっても報道のイニシアチブが取れるよう若山教授
を確保していたと思われます。それは若山教授にとっても願って
もないことであったと思います。なぜなら、自身のメッセージの
「拡声器」としてNHKを使えるからです。
 同じようなポジションを確保していたのは、毎日新聞科学環境
部記者/須田桃子氏による『捏造の科学者/STAP細胞事件』
(文藝春秋)です。結局「捏造の科学者とは誰なのか」──本書
はそれを名指しこそしていないものの、明らかに小保方晴子氏と
笹井芳樹氏の2人を指して、そういっています。
 しかし、その一方において須田氏の著書は、STAP細胞に関
する科学的論点や渦中の当事者のメールや証言、科学者たちの反
応、マスコミのあり方などで、この事件に関する多くの検討材料
を提供してくれており、この本がなければ、EJもこのテーマを
ここまで掘り下げることはできなかったと思います。
 ところが須田氏の本でも、若山教授を重要な情報源としている
せいか、小保方氏や笹井氏を捏造の科学者とする一方で、若山教
授を、論文の共著者でありながら論文不正究明に立ち上がった正
義の科学者というとらえ方をしているように思います。
 さらに、須田氏の本では、若山教授が依頼した第三者機関が真
の第三者機関ではなく、その解析結果が間違いであったことを正
確に伝えず、さらりと流してしまっています。そのためSTAP
細胞不存在を唱える科学者にとっては、この本もそのための格好
の「拡声器」になってしまっているのです。
 NHKの番組制作担当者は、2014年7月27日放送のNH
Kスペシャルの制作にあたり、さまざまなことを若山教授から聞
き取っているはずです。したがって、小保方研の冷凍庫から発見
されたES細胞には2種類あり、1つはCDB時代の若山研に在
籍した元留学生の李氏が樹立したGOF─ES、もう1つは既に
他大学に転出した研究者の大田氏が樹立したFES1/2である
ことも当然知っていたはずです。さらにGOF─ESは若山研が
小保方氏の要請にしたがって譲渡したこともです。
 ところが番組制作担当者は、「若山研の山形大学への転出のど
さくさに紛れて小保方氏がES細胞を盗み出した」というストー
リーに強くこだわったフシがあります。
 そのため、小保方氏が元留学生の李氏作製のES細胞をこっそ
り盗み、それを自分の冷凍庫に隠していたと視聴者が思うように
演出したのです。もちろん小保方氏自身が既にES細胞を保有し
ていたことは番組では伏せています。しかし、若山教授は、6月
16日の記者会見で、小保方氏へのES細胞の譲渡についても話
しているので、NHKがそれを知らないはずはないのです。
 しかもNHKはそれが後になってうそであることが判明とした
ときの言い訳も考えて巧妙に番組を構成しています。ES細胞の
容器の発見の前に遠藤上席研究員にアクロシンGFPの話をさせ
ており、実際にそのアクロシンGFPが組み込まれたES細胞が
小保方研の冷凍庫から発見されているので、それを元留学生が作
製したES細胞と間違えたといっても通るからです。
 この場合、アクロシンGFPが組み込まれた大田氏のES細胞
を小保方氏が盗んだという話にすると、大田氏は「すべて転出の
さい持って行った」と話しており、若山教授もそれを認めている
ので、小保方氏がそれを盗んだとするストーリーが現実味に欠け
ることになります。そのため、元留学生の作製したES細胞を小
保方氏が盗んだという話にすり替えたのです。
 それにしても公共放送のNHKが、番組の制作にあたって、こ
のような細工をしてもいいのでしょうか。小保方氏はこのことが
原因で、ES細胞の窃盗容疑で警察に告発されているのです。こ
れは小保方氏への重大な名誉棄損であり、告発される可能性も十
分あると思います。
 ここで、小保方氏が若山研からES細胞を盗み出せる状況だっ
たかどうかについて時系列に整理しておくことにします。小保方
氏がCDBの研究ユニットリーダーに正式に就任したのは、20
13年3月1日のことです。しかし、2013年1月から着任ま
では、笹井氏の指導の下で論文の制作に追われていたはずです。
その作業がどこで行われていたかは不明ですが、おそらく笹井研
で行われていたと考えるのが自然です。
 小保方氏は、若山研の客員研究員のときに細胞を保管する自身
の冷凍庫を持っていたはずですが、その冷凍庫は笹井研に持って
行っているはずです。論文の作製に必要であるからです。
 一方、若山研では引っ越しの作業が行われており、3月末日に
研究室は山形大学に転出しています。小保方氏は3月1日に正式
にCDBの研究ユニットリーダーになりますが、小保方研究室は
まだできていないので、完成する10月まで小保方氏は笹井研に
居候していたのです。
 笹井氏と小保方氏は、論文提出後、3月〜10月までは論文の
査読者の要請に対応するための実験やその取りまとめなどがあり
笹井研でその作業に追われていたと思われます。
 その間にも小保方氏はSTAP細胞は何回も作製しているはず
です。もし桂調査委員会の結論のように、小保方氏が毎回ES細
胞を混入させていたとすれば、ES細胞の権威である笹井氏の目
を誤魔化すことはとうてい不可能であったと思われるのです。調
査委員会は、細胞の解析結果から小保方氏がES細胞を混入させ
たと推定していますが、当時の小保方氏の作業の状況から見て、
それは可能とは思えないのです。
 調査委員会の結論は、STAP細胞といわれるほとんどのもの
は、アクロシンGFPの組み込まれたES細胞であると断定して
います。つまり、大田氏の作製したES細胞です。それでは小保
方氏は、そのFES1/2をどのようにして入手することができ
たのでしょうか。小保方氏にとっては、全く接点のないES細胞
だからです。       ── [STAP細胞事件/054]

≪画像および関連情報≫
 ●「なぜ小保方氏はES細胞を盗んだのか」/池田信夫氏
  ───────────────────────────
   NHKスペシャル「STAP細胞/不正の深層」を録画で
  見た。「おさらいだ」と批判を浴びるのはしょうがないが、
  気になったのは、肝心のES細胞の話をきちっと詰めてない
  点だ。STAP細胞と称するサンプルのDNAが若山研究室
  のES細胞と同一で、彼女の研究室の冷凍庫にも同じES細
  胞があった。ここまでは既報だが、そのES細胞をどこから
  入手したのかが問題だ。この番組では、元留学生が電話で、
  「私は渡していない。驚いた」と話していた。
   これだけでは決め手にならないが、彼女の冷凍庫にあった
  ES細胞が若山研究室のもので、誰もそれを渡していないと
  すれば、彼女が盗んだと考えるしかない。例の突撃インタビ
  ューはこれを質問したのだろう。しかし傷害事件になったた
  め大幅にカットしたものと思われ、表現があいまいになって
  いる。だからなぜ、若山研究室のES細胞が彼女の冷凍庫に
  あったのかが焦点だ。若山研究室とは行き来があったようだ
  から、人のいないとき盗むのはむずかしくなかっただろう。
  それは若山研究室が山梨大学に移動する前だと思われるので
  引っ越しのときの記録を見ればわかるはずだ。元留学生の証
  言が電話になっているところを見ると、放送直前にわかって
  取材する時間がなかったのかもしれない。しかし、
  @彼女が「STAP細胞ができた」といって若山氏に渡した
   のは、彼の研究室に保管されていたES細胞だった。
  A同じ若山研究室のES細胞が小保方研究室の冷凍庫から出
   てきた。
  B誰も彼女にES細胞を渡していないという事実が確認され
   たとすると、偶然の取り違えは考えられない。彼女も会見
   で「ES細胞の混入はないように研究環境を管理した」と
   言っているので、事故の可能性もない。
                   http://bit.ly/1MbADUz
  ───────────────────────────
 ●写真出典/毎日新聞科学環境部/須田桃子著/『捏造の科学
  者/STAP細胞事件』/文藝春秋

「ES」と書かれES細胞のチューブ.jpg
「ES」と書かれES細胞のチューブ
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2015年07月23日

●「若山研に送付された大田ES細胞」(EJ第4082号)

 桂勲委員長による理研の調査委員会は、STAP細胞関連残存
試料──次の3種類のSTAP幹細胞とFI細胞の遺伝子解析を
行った結果、それらはいずれもES細胞であったと断定し、ST
AP細胞は最初から存在しなかったと結論づけています。
─────────────────────────────
  STAP幹細胞/FLS →  大田マウスESと確定
  STAP幹細胞/AC129→ 若山マウスESと確定
  STAP幹細胞/GLS → GOFマウスESと確定
    FI幹細胞/CTS →  大田マウスESと確定
─────────────────────────────
 なぜ、STAP細胞ではなくSTAP幹細胞なのかというと、
STAP細胞それ自体には増殖力がなく、そのままのかたちでは
死滅してしまい、残存できないからです。そのため、特殊な培養
を行い、幹細胞化して残しているのです。FI細胞というのは、
胎児だけでなく胎盤にも分化する幹細胞です。ここでいうFI幹
細胞はSTAP細胞由来のものとして残されていたのです。
 実はもうひとつ「FLS─T」という幹細胞が2株あるのです
が、これについても調査委員会は遺伝子解析をしているものの、
この幹細胞については公表していないのです。実は、これがST
AP細胞事件の真相に迫る重要なカギになると私は考えているの
で、後から取り上げます。
 桂調査委員会は、STAP細胞由来とされるこれらの幹細胞は
遺伝子解析の結果、すべてES細胞であり、「STAP細胞は最
初から存在しなかった」と結論づけたのです。その調査委員会の
結論をNHKをはじめとする各メディアと日経サイエンスなどの
科学雑誌は、何の疑義も挟まず、そのままトレースして報道して
います。「完全無欠であり、疑いの余地なし」として、いわゆる
STAP細胞事件の幕引きをしたのです。数多くの疑問を置き去
りにしたままでの幕引きです。
 STAP細胞「AC129」の2株は若山研のマウスから作ら
れたES細胞、STAP細胞「GLS」の13株は、小保方氏が
若山研から譲渡されたGOF─ES──若山研の元留学生李氏作
製のES細胞です。これらのES細胞については、本当にやった
かどうか、やれたかどうかは別として、小保方氏がそれらのES
細胞を混入させることはできたはずです。
 しかし、STAP幹細胞「FLS」の8株とFI幹細胞「CT
S」については、大田マウス由来のES細胞であるというのです
が、既に述べているように、大田氏の作製したアクロシンGFP
が組み込まれたES細胞は、大田氏が若山研を転出するさいに全
部持ち出しており、若山研には存在しないはずのES細胞です。
それがどうして小保方氏の冷凍庫から見つかり、STAP細胞に
化けていたのでしょうか。
 ここに重大な疑問が生じます。調査委員会は、STAP幹細胞
「FLS」の遺伝子を解析し、大田氏が作製した「FES1/F
ES2」の解析結果と一致したといっていますが、「FES1/
FES2」をどのようにして入手したのでしょうか。それは若山
研にはないはずのES細胞だからです。
 既に述べたように、若山教授が理研CDBから山梨大学に研究
室を移転させるさいに交わした「試料提携契約書(MTA)」に
も作成者大田氏の細胞、2005年作製の細胞の記載はなかった
のです。それなのに、調査委員会が遺伝子解析をするときには、
若山研にはそのES細胞は存在していたことになります。
 「小保方博士の不正報道を追及する有志の会」というのがあり
ます。小保方氏への人権を無視した科学的根拠に基づかない不当
な報道に抗議する有志の会だそうです。
 この会は、上記の疑問を若山研究室に問い合わせたところ、次
のような重要な情報を得ているのです。これは、NHKをはじめ
日経サイエンスなどの科学雑誌も一切報道していない事実です。
彼らは、小保方氏にとって少しでもプラスになる報道は一切しな
い方針のようです。
─────────────────────────────
 「FES1と2」の移動経路について、若山研究室に二度問い
合わせたところ、「京大、大田博士から取り寄せた」という回答
があり、大田博士からも「2014年6月に若山研究室に冷凍状
態で送った」との回答を得た。     http://bit.ly/1ff6XJ7
─────────────────────────────
 はじめて聞く情報です。なんと若山教授は、2014年6月に
第三者機関で遺伝子解析をしてもらうため、大田氏からアクロシ
ンGFPが組み込まれたES細胞を冷凍状態で送ってもらってい
たのです。桂調査委員会が遺伝子解析をしたのは、このES細胞
なのです。それならば、そのES細胞がなぜ小保方研の冷凍庫に
入っていたのでしょうか。
 これは完全に謎です。小保方研の冷凍庫からES細胞が発見さ
れたのも、若山教授が記者会見をしたのも、2014年6月16
日なのです。しかし、少なくともその16日以前には山梨大学の
若山研究室には、大田氏のES細胞は存在していたのです。
 したがって、既にその時点では、体調を崩し、自分の研究室に
は出入りしていなかった小保方氏以外の誰かが、悪意を持ってそ
のES細胞の一部をチューブに入れ、小保方研の冷凍庫に入れる
ことはできたはずです。STAP細胞の研究に嫉妬し、小保方氏
の足を引っ張るグループも理研内部には多数いたからです。
 「小保方博士の不正報道を追及する有志の会」は、日経サイエ
ンスの報道姿勢を批判し、次のように述べています。
─────────────────────────────
 日経サイエンスは、STAP幹細胞の「元」だったとする「F
ES1と2」の「移動経路」を調べず、いつも必ず若山研究室側
の視点でSTAP幹細胞の解析をドラマ仕立てで報じている。
                   http://bit.ly/1ff6XJ7
─────────────────────────────
             ── [STAP細胞事件/055]

≪画像および関連情報≫
 ●残存ES細胞に関する若山教授との一問一答
  ───────────────────────────
  ──解析結果に見合うES細胞というのは、若山研にあった
    のでしょうか?
  若山:FLSと一致するES細胞は、僕の研究室にはありま
     せん。
  ──AC129とGLSに関してはどうですか?
  若山:AC129は系統が違ってしまっているんですが、1
     29B6F1というバックグラウンドになってしまい
     ますが、これに関しては、僕の方でFLSが成功した
     後、そのFLSのコントロールとして受精卵ESを作
     製して、小保方さんに渡しています。
  ──GLSに関しては?
  若山:GLSは、Oct4GFP、全身が初期化されると光
     るマウスなんですが、これも僕の研究室でES細胞を
     その時期に使っていたという記録があります。
  ──そこは御記憶ということですね
  若山:僕が覚えているというよりかは、僕の研究室の学生の
     人がその実験をしていて、ES細胞をつくっていたと
     いうことがわかっています。
  ──それを、その方がES細胞を小保方さんに渡したかどう
     かというのは、わかっていないのでしょうか?
  若山:本人は渡したということを言っています。学生さんで
     すが。           http://bit.ly/1CJfE9K
  ───────────────────────────

「日経サイエンス」/2015年3月号.jpg
「日経サイエンス」/2015年3月号
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2015年07月24日

●「最初から結論ありきの調査委員会」(EJ第4083号)

 ここまで調べてきてわかるように、STAP細胞事件は論文を
批判する声ばかりで、STAP細胞の存在を支えようとする動き
がまるでないように感じます。あたかもSTAP細胞が存在する
と困るかのように、皆で寄ってたかって潰している感じです。こ
れはきわめて異常なことであり、常軌を逸しています。まさに現
代の「魔女狩り」であるといえます。
 そのSTAP論文への批判が頂点に達していた2014年8月
のことですが、タレントで健康社会学者でもある河合薫氏はこの
異常な「小保方バッシング」について、女性の立場から次のよう
に述べています。少し長いですが引用します。
─────────────────────────────
 なんとも言葉にしがたい、憤りを感じている。完全に超えては
いけない「一線」を越えている。露骨すぎる。マスコミも世間も
怖い。本当に怖い。結局、行きつくところはここなのか?そんな
思いでいっぱいである。先週、発売された週刊誌の内容は、とに
もかくにもひどかった。
 小保方さんに関する、バッシング報道である。いったいこの報
道にどんな意味があるのか?持ち上げられた人が落ちていく様は
そんなに面白いですか?安全地帯から石を投げるようなことをし
て満足ですか?ときにマスコミは、人間の中に潜む闇の感情を引
き出す「悪の装置」と化す。と同時に、世間の人たちの「闇」を
匿名化し、消費させる都合のいい装置でもある。
 要するに、下劣なのはマスコミだけじゃない。フェイスブック
やツイッターなどでも、悪趣味なジョークが飛び交っていた。本
人たちは、ブラックジョークのつもりなのだろうけど、完全にア
ウトだ。と書きながらも、おそらく私の中にも「闇」は存在して
いるのだと思う。だから余計に怖いのである。(中略)
 ノーベル賞級の大発見だ!割烹着だの、どこそこの指輪だの、
と大騒ぎしたマスコミ。論文発表から相次いだ論文に関するさま
ざまな指摘。挙句の果てに行きついた下劣なバッシングの数々。
 その背後には、「なんで、あの人だけ評価されるわけ?」「な
んで、自分が選ばれないで、彼女になったわけ?」「所詮、女っ
ていうだけで、選ばれたんだろう?」
 そんな嫉妬が、どこかにあったんじゃないだろうか。不思議な
もんで、人間というのは、嫉妬する自分を恥ずかしいと思うらし
い。だから、必死にその嫉妬心を隠すために、一瞬でも「あら」
を見つけると、正義を振りかざす。──「行き過ぎた『小保方さ
んバッシング』と女性活用の『闇』」 http://nkbp.jp/1Ls1NHE
─────────────────────────────
 桂勲委員長による調査委員会は、残存試料の複数のSTAP幹
細胞やFI幹細胞と若山研にあるES細胞の遺伝子解析をしたと
ころ、そのほとんどが一致したとして、「STAP細胞は最初か
ら存在せず、その正体はES細胞である」と断定しています。
 このようにいわれると、遺伝子解析などに詳しくない素人には
「やっぱり小保方氏がES細胞を混入させたのか」と考えてしま
います。調査委員会は、報告書の図表編にCDB時代の若山研究
室の見取り図(7月3日付、EJ第4069号参照)をわざわざ
載せ、次のように記述しています。
─────────────────────────────
 STAP細胞の作製には酸処理から約7日間、細胞をインキュ
ベーター内に放置するが、このインキュベーターが置かれた培養
室は他の部屋(研究室、実験室、胚操作室)から隔離された状態
にあり、クリーンベンチや蛍光顕微鏡を使用する人がときどき入
る以外は、あまり人がいない状態にあった。
 また、若山氏の聞き取り調査から、当時のCDB若山研では、
多くの人が夜中にこの部屋に入ることが可能だった。つまりイン
キュベーターやフリーザーへの接近が可能だった人は数多くいた
ことになる。したがって、作製中のSTAP細胞が入ったディッ
シュを判別できれば多くの人に混入の機会があったことになる。
            ──研究論文に関する調査報告書より
─────────────────────────────
 報告書によると、インキュベーターは鍵がかかっているわけで
はなく、誰でも開けることができたとしながら、「作製中のST
AP細胞が入ったディッシュを判別できれば」という条件をつけ
事実上ディッシュを判別のできるのは当の小保方氏しかいなかっ
たということを暗示しているのです。
 しかし、シャーレで培養中のSTAP細胞にES細胞を混ぜる
と、それを一目見ればコンタミはわかる──このように笹井氏は
いっているのです。調査委員会は、こういうSTAP細胞が存在
する証拠になるものには、調査の対象外としてすべてスルーして
いるのです。最初から結論ありきの調査です。
 それにしてもこの結論はあまりにも乱暴過ぎると思います。遺
伝子解析の結果が一致したからといって「STAP細胞は存在し
ない」とは必ずしもいえないからです。
 STAP細胞を作るのは2段階があるのです。第1段階は、若
山教授が研究室で飼っているマウスを交配させて生後一週間の赤
ちゃんマウスを作り、それを小保方氏に渡すまでです。第2段階
は、小保方氏がその赤ちゃんマウスの脾臓のリンパ球を取り出し
弱酸性の液体に浸けて刺激を与えたうえで、培養してSTAP細
胞を作製する段階です。
 少し分かりにくいかもしれませんが、実はES細胞の混入の可
能性は、小保方氏が担当する第2段階だけではなく、赤ちゃんマ
ウスを作る第1段階にもあるのです。しかし、調査委員会は第1
段階の可能性を一切考慮していないのです。一貫して小保方氏だ
けを疑い、なぜか若山教授をぜんぜん疑っていないのです。
 NHKスペシャル「STAP細胞不正の深層」でも、須田桃子
記者の『捏造の科学者/STAP細胞事件』(文藝春秋)でも、
若山教授側からしか物事を見ていないのです。しかし、このこと
はさらに論点を整理し、証拠を積み上げたうえで明らかにしてい
くつもりです。      ── [STAP細胞事件/056]

≪画像および関連情報≫
 ●NHKは本当に責任がとれるのか/2014年7月30日
  ───────────────────────────
   本ブログではこれまで、何度も小保方STAP細胞事件を
  取り上げてきました。これを自分ながらに再度フォローした
  上で、先日のNHKスペシャルの小保方追及番組を振り返る
  とこの番組は一体何なのかとあきれ返ってしまいます。元N
  HKの池田信夫氏のブログによれば、NHKのこの番組が日
  本国民に伝えようとしているのは、小保方氏が盗人だという
  ことのようです、それが言いたくて、われらの受信料でこの
  番組をつくったようです。また、このNスぺは、出色の出来
  だったとべた褒めするブログもあります。NHKは全国の受
  信料契約者に小保方氏を盗人だと思わせる放送をしているこ
  とになりますが、このままだと、警察が動かざるを得ないで
  しょう。もし、違っていたら、NHKはどうするのでしょう
  か。謝罪して済ませるのでしょうか。
   仮に、小保方氏に盗みをやった疑いが掛かったとしても、
  警察への盗難届も出ていない段階で、全国放送で小保方氏の
  人格破壊を行うことが許されるのでしょうか。これには既視
  感があります、そう、2009年に政権交代を果たした小沢
  氏に対するマスコミの大バッシングを彷彿とさせます。そし
  て今、マレーシア航空機墜落事件をウクライナ親露勢力の仕
  業と断定するマスコミの報道振りにもあきれ返ってしまいま
  す、バッカじゃないのと・・・。  http://bit.ly/1KjAmQd
  ───────────────────────────

「小保方バッシング」について語る河合薫氏.jpg
「小保方バッシング」について語る河合 薫氏
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2015年07月27日

●「STAP事件はミステリーである」(EJ第4084号)

 雑誌『文藝春秋』の2015年5月号に、次の異色の対談が掲
載されています。
─────────────────────────────
 ◎「小保方事件の謎に迫る/STAP細胞/なぜ不正に手を
  染めたのか」
  対談:宮部みゆき(作家)
     須田 桃子(毎日新聞環境部記者)
           ──『文藝春秋』/2015年5月号
─────────────────────────────
 まさに異色の対談というべきでしょう。なぜ、STAP細胞事
件について、宮部みゆき氏のようなミステリー作家が出てくるの
か意外ですが、宮部氏はこの事件は「ミステリーである」といっ
ているのです。この点は私と同じですが、何がミステリーなのか
という捉え方は宮部氏とは違います。
 宮部みゆき氏は、対談の冒頭でこの事件はミステリーとしては
低レベルであるとして次のように述べています。
─────────────────────────────
 それにしても謎の多い事件でしたね。まず、昨年の1月の論文
発表から1ヶ月も経たないうちに不正疑惑が指摘されたというこ
とは、すぐバレるレベルの捏造だったということですよね。何十
年も誰も気付かないようなハイレベルな捏造であればミステリー
的にも納得がいくのですが、こんなに早くバレてしまうなんて、
これが小説なら編集者に「プロットを練り直してください」と言
われてしまいますよ。           ──宮部みゆき氏
            ──『文藝春秋』/2015年5月号
─────────────────────────────
 このように宮部氏は最初から「小保方氏の捏造」と決めていま
すが、昨年暮れの桂勲委員長による理研の調査委員会の結論が出
ているので当然ではあるものの、ミステリー作家であれば、その
ウラ事情にも切り込んでほしかったと思います。
 宮部/須田対談の中間部分には、ES細胞の混入に関する話も
出てきます。ここでも宮部氏は、小保方研の冷凍庫から「ES」
と書かれたチューブが見つかっている事実だけをもって、小保方
氏がES細胞を混入させたと単純に考えているようです。
─────────────────────────────
宮部:私、小保方さんが行った記者会見を、テレビで、食い入る
   ように見たんです。ですからはっきり覚えているのですが
   STAP細胞は混入したES細胞ではないのかという質問
   に対して小保方さんは、「研究室ではES細胞のコンタミ
   (混入)は起こり得ない状況を確保していた」と、いいお
   声ではっきりおっしゃっていました。でも、須田さんが取
   材して、実は小保方さんの研究室にはES細胞があったこ
   とがわかった。「ES」と書いた入れ物が残っていたと、
   その写真までこの本に載っていますね。これだけ一流の科
   学者たちが集まっているのにこんな杜撰なことが起こった
   ことが、本当に不思議です。
須田:私たちジャーナリズムも、論文発表当初は懐疑的な視点で
   取材をしていなかったかもしれません。私iPS細胞の時
   にも取材したのですが、この時もやはり、誰もが起こり得
   ないと思っていたことが起こってしまったわけです。この
   経験があったから、今回も、多くの研究者やメディアがあ
   まり疑うことをせずに受け入れてしまったという面はあっ
   たと思います。  ──『文藝春秋』/2015年5月号
─────────────────────────────
 ES細胞が入った「ES」と書かれたチューブは、7月23日
のEJ第4082号で述べたように、若山研が2014年6月に
京大の大田博士に依頼して取り寄せたアクロシンGFPが組み込
まれたES細胞の一部であると考えられます。それまでには若山
研にも小保方研にも存在しないはずの細胞です。
 それが小保方研の冷凍庫から見つかったとすれば、これは小保
方氏以外の誰かが冷凍庫に置いたとしか考えられないのです。小
保方氏は2014年6月時点では入院しており、研究室には行っ
ていないのです。それでは、誰が、どのような目的で、「ES」
と書かれたチューブを小保方研の冷凍庫に置いたのか。そうであ
るとすると、これこそ本物のミステリーになると思います。
 もっとも宮部みゆき氏は、この対談ではなく、須田桃子氏の著
書『捏造の科学者/STAP細胞事件』(文藝春秋)の書評にお
いて次のように書いています。
─────────────────────────────
 自分はミステリー作家だが、推理小説での犯人探しの基本は、
「その結果で利益を得る者は誰か」ということだ。その観点を念
頭に推理小説を読むように本書を読了し、悲しみと共に愕然とす
るのは、STAP細胞事件には、この「利益を受ける誰か」が存
在しなかったということだ。
 誰にもいいことがなかった。誰もが傷ついた。犯罪がペイしな
いように、捏造もまたペイしない。それは希望のみを優先し、地
道に一歩ずつ現実を切り開く科学的なものの考え方に背く行為で
あり、結果として、大切だったはずの希望をも打ち砕いてしまう
のだ。       ──宮部みゆき氏 http://bit.ly/1OnDOqW
─────────────────────────────
 宮部氏のいう通りなのです。STAP細胞事件の関係者全員に
何も良いことはなかったのです。誰もが不幸になり、笹井氏にい
たってはこのことが原因で自殺しているのです。死者が一人出て
いるのです。
 しかし、この事件をもっと深く考えてみると、宮部みゆき氏の
いうように受益者はゼロではないのです。いや、受益者というよ
りも、STAP細胞が消えてなくなることによって利益を受ける
人、いや企業、いや業界はあるのです。STAP細胞事件のウラ
には深い闇が存在しているのです。
             ── [STAP細胞事件/057]

≪画像および関連情報≫
 ●STAP論文の調査委員会報告に疑義を唱えるブログ
  ───────────────────────────
   2015年5月10日に発売された文藝春秋5月号に、毎
  日新聞/須田記者と作家の宮部みゆき氏の対談が載っていま
  す。「小保方事件の謎に迫る──STAP細胞/なぜ不正に
  手を染めたのか」とのタイトルで、「科学史に残るスキャン
  ダルを読み解く」がサブタイトルです。もっともこれは、編
  集部が付けたタイトルと思われ、中身を読むと、小保方氏が
  積極的に捏造を働いたというところまではニュアンス的には
  言っていないようです。ただ、不正を認定された部分には、
  故意があった、思う通りのデータが出ないので、この程度の
  操作は許されるだろうと思ったのではないか、といった指摘
  はしています。
   文藝春秋がこういう対談記事を載せたのは、須田記者の著
  書『捏造の科学者』が文藝春秋刊で、その文藝春秋と縁の深
  い大宅壮一ノンフィクション賞を受賞したことによる販促的
  意味合いが多分にあるのだろうと思います。対談の中身は、
  断片的なやり取りに留まっており、特段、目新しい指摘等が
  あるわけではありません。この対談記事ではっきりしたこと
  は、須田氏の著書が11月時点での出版だったわけですが、
  その後に出てきた諸材料があっても、特に考えが変わってい
  るわけではなく、追加取材が必要だと感じているわけでもな
  さそうだということです。「若山氏の遺伝子解析発表が契機
  となって、ES細胞であることが明らかになった」と語って
  いますから、あの発表の間違いがあっても若山氏に対する信
  頼は続いているようです。     http://bit.ly/1MpfMhI
  ───────────────────────────

宮部.みゆき氏と須田桃子氏jpg.jpg
宮部みゆき氏と須田桃子氏
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2015年07月28日

●「『捏造の科学者』をめぐる疑問点」(EJ第4085号)

 須田桃子著『捏造の科学者/STAP細胞事件』(文藝春秋)
が発刊されたのは2014年12月30日です。著者が「あとが
き」を書いているのは、11月14日のことであり、11月初旬
には脱稿し、年内に印刷を終えていたものと思われます。
 本書は、第46回大宅壯一ノンフィクション賞受賞作品です。
STAP細胞が発表された2014年1月28日からほぼ時系列
的にこの事件をていねいに追っており、科学的な知見に基づいて
論点が整理されていることから、この事件を振り返るのに貴重な
文献になっています。
 本書刊行の企画がいつ立てられ、いつ頃から執筆に着手したか
は不明ですが、おそらく論文について数々の疑惑が噴き出し、そ
れが容易なるざる事態になってきた5〜6月頃だったのではない
かと思います。本書にはいくつかの疑問点があります。
─────────────────────────────
1.事件を時系列に追っているのに、肝心の論文の調査委員会の
  最終報告書が出る前になぜ刊行したのか。
2.著者は毎日新聞科学環境部の記者で、内容は取材を通じて得
  た情報であるのになぜ文藝春秋社なのか。
3.本書の内容は、一貫して「小保方捏造説」を裏付ける内容に
  なっているが、公平さに欠けていないか。
─────────────────────────────
 「1」は本の刊行日の問題です。
 なぜ刊行日を問題にするのかというと、本書が印刷され、製本
化されている12月に理化学研究所による2つの調査報告が行わ
れているからです。
 2つの調査報告とは、小保方氏が参加した「STAP現象の検
証結果の報告」(2014年12月19日)と「研究論文に関す
る調査委員会の報告」(2014年12月25日)の2つです。
 これら2つの報告は、理化学研究所によるSTAP細胞事件に
関する最終報告であり、本書が主張する「STAP細胞は存在し
ない」という推論に影響を与える重大な報告であるはずです。そ
れも何ヶ月も待つ必要はないのです。約1ヶ月後に報告が出るの
に、なぜそれを待たずに刊行を急いだのでしょうか。
 「2」は本の出版社の問題です。
 本書の著者は毎日新聞の科学環境部の記者です。新聞社ですか
ら、当然毎日新聞出版という出版会社を持っています。しかも、
本の内容は著者の日常業務である取材を通して得た情報をベース
にしており、通常であれば自社グループの出版会社を使うもので
すが、なぜ、文藝春秋社からの出版になったのでしょうか。大宅
壯一ノンフィクション賞との関係があるのでしょうか。
 「3」はコンセプトの問題です。
 この本のコンセプトは科学の不正の追及です。それもこの本の
執筆時点の段階ではまだ白黒のついていない2人の科学者の不正
を暗示して『捏造の科学者』のタイトルを付けています。これは
かなり大胆なタイトルであるといえます。
 もし、12月の理研による2つの調査報告の結果、「STAP
細胞は存在する」という結論が出たら、かなりリスキーなことに
なるはずです。それとも取材によって「そういう結論は出ない」
という感触を掴んでいたのでしょうか。
 『捏造の科学者』に関するこれらの指摘は「小保方博士の不正
報道を追及する有志の会」(以下、有志の会)のブログで主張し
ているものですが、理研の調査報告を待たなかった理由について
有志の会は次のように述べています。
─────────────────────────────
 『捏造の科学者』は、同賞の第46回(2015年)書籍部門
を受賞している。もしかして・・・と思ってネットで調べると、
第46回の賞の対象は「前年1月1日から12月31日までに発
表されたもの」とある。2014年度中に発行された書籍でなけ
れば、第46回のノミネート対象にならないということだ。調査
委の結論を待たず刊行を急いだ理由は、このためだったのではな
いか。                http://bit.ly/1g8qiN7
─────────────────────────────
 『捏造の科学者』の発行日が2014年12月30日になって
いるのは上記のような理由だったということであれば納得がいき
ます。年末は書籍が売れる時期ですが、そのためには12月のは
じめから本を書店に出す必要があります。
 しかし、本書が書店に出たのは1月7日からなのです。ちょう
ど理研の調査委員会の最終報告の結論が「STAP細胞は存在し
ない」であったので、それが格好の宣伝となって、大幅に売り上
げを伸ばし、大ヒットになったのです。
 私は『捏造の科学者』が12月の理研の2つの報告を待たずに
発行したのは、次の3つの理由があると思っています。
─────────────────────────────
 1.理研としての結論が出る前に出版することによって、結
   論前が免罪符になる。
 2.毎日新聞としては、別の出版社から刊行することで、リ
   スクから逃れられる。
 3.理研の結論が本の主張と同じであれば、タイミングが絶
   妙なので本は売れる。
─────────────────────────────
 『捏造の科学者』の著者が一番心配したのは、おそらく小保方
氏が参加して行われた再現実験が成功することです。しかし、そ
れはまずあり得ないという確信を須田記者は取材から得ていたも
のと思います。この著者の確信は現実になり、本は好調に売れて
大宅壯一ノンフィクション賞に輝いたのです。
 本書の著者の須田桃子氏は、本のあとがき(2014年11月
14日)で、「ごく最近、これまでの認識が覆されるような驚く
べき情報を幾つか耳にした」と述べています。これは一体何のこ
となのでしょうか。明日のEJで引き続き追及します。
             ── [STAP細胞事件/058]

≪画像および関連情報≫
 ●須田桃子記者にインタビュー/動画あり
  ───────────────────────────
  ──まず本のタイトル「捏造の科学者」。この直接的な表現
  が、最後まで釈然としなかったSTAP細胞事件の核心を表
  現していますね。
  須田桃子記者:理化学研究所の調査委員会は昨年12月、公
  式見解として「STAP細胞はES細胞(胚性幹細胞)が混
  入したものだ。ただ、意図的な捏造があったかどうかは分か
  らない」と言っています。でも私は、1年以上にわたるさま
  ざまな実験と解析の中で、すべて偶然にES細胞が混入した
  とは思えないんです。しかも1種類のES細胞ではなく、そ
  の都度、違う系統や違う種類のES細胞が混入している。そ
  れが偶然に起こることはあり得ないので、やはり誰かが意図
  的に混ぜたのだと確信しています。
  ──誰が混入したかについて理研調査委は結論を出していま
  せん。「誰がなぜ、どのように」という核心に迫らず、結論
  を出さずに終了したんですね。
  元村有希子編集委員:研究不正の調査って、警察の捜査では
  ないので限界があります。相手を問いただしても、「いや私
  は絶対にやっていません」と言われたら、別の証拠がない限
  り、信じるしかない。決めつけられないんです。いま刑事告
  発はされていますけど。
  須田:今回の事件に直接関係しない元理研研究者による刑事
  告発ですね。本来は理研が告発してもおかしくないという声
  もあります。           http://bit.ly/1gRjgws
  ───────────────────────────

須田桃子記者にインタビュー.jpg
須田桃子記者にインタビュー
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2015年07月29日

●「小保方検証実験で成果は出ている」(EJ第4086号)

 現在、世の中の多くの人は、STAP細胞事件は、小保方氏の
捏造ということで「一件落着」と考えていると思います。おそら
くそれは、小保方氏自身による検証実験の失敗という事実を重く
受け止めているからだと思います。「当の本人がやって再現でき
ないのでは仕方がない」と素直に考える人が多いからです。
 しかし、結論からいうならば、小保方氏が検証実験に失敗した
とは必ずしもいえないのです。確かに幹細胞化もキメラマウスも
できなかったけれども、STAP現象自体はきちんと確認できて
いるからです。
 理研は、笹井氏が自殺する前と後でSTAP細胞に対する方針
を変えています。最初は論文に対する批判があっても、論文を撤
回することで対応し、あくまで「STAP細胞は存在する」とし
て、その証拠固めを笹井氏を中心にやろうとしていたのです。
 しかし、笹井氏が自殺すると、理研の生き残りのために、小保
方氏1人に全責任を負わせ、この問題の早期の幕引きを図ろうと
方針を転換させたのです。したがって、もし検証実権が成功する
と、理研としては困る立場にあったといえます。
 小保方氏の参加したSTAP現象の検証実験は、理研という密
室のなかで、厳重な監視の下で、この種の検証実験としてはきわ
めて短期間で、数々の制約条件のなかで行われたものであり、そ
の結果をそのままのかたちで受け取ることはできないのです。
 ここでSTAP細胞の作製とはどこまでをいい、何をもって成
功したといえるかを明確にする必要があります。便宜上次の3段
階に分けて考えます。
─────────────────────────────
 第1段階:生後1週間の赤ちゃんマウスの脾臓からリンパ球
      を取り出し、弱酸性の溶液に30分浸して刺激を
      与え培養する。約1週間で緑色の細胞ができる。
 第2段階:その緑色の細胞を「ACH+LIF」などの特殊
      な培養液に浸して培養すると、増殖能を持たない
      STAP細胞が増殖能を持つ幹細胞に変化する。
 第3段階:STAP細胞をマウスの受精卵に注入し、それを
      仮親マウスの子宮に戻すと、全身にSTAP細胞
      由来の細胞が散らばるキメラマウスが誕生する。
─────────────────────────────
 なお、この場合、STAP細胞からキメラを作る場合と、幹細
胞化してから、作る場合があります。STAP細胞を作製するプ
ロセスは第1段階であり、検証実験では、小保方氏が担当したの
です。これは途中経過をライブ・セル・イメージング(顕微鏡ム
ービー)で観察できます。
 第3段階のキメラマウス作りは、第1段階でできたSTAP細
胞が万能細胞であるかどうかを検証するために行うものであり、
毎回行うものではないのです。これは成功率がけっして高くなく
キメラづくりの名手といわれる若山教授でも、何回も失敗したう
えで、やっと作製に成功したことは既に述べた通りです。
 なお、理研では、若山山梨大学教授に対して、この検証実験へ
の協力を何度も求めたのですが、その都度多忙を理由にして断ら
れたといいます。彼は明らかに逃げています。そこで、第2段階
と第3段階は、理研の研究員がやっているのです。
 検証実験では、第1段階は小保方氏と丹羽氏が別々に行ってい
ますが、丹羽氏の検証結果について、報告書(12月19日)に
は次の記述があります。
─────────────────────────────
 一方で、酸処理を行った細胞を培養したとき、処理群で特異的
に細胞塊が出現する現象は、細胞が由来する臓器と酸処理の方法
に依存して、再現性よく確認された。最も効率よく、高い再現性
で確認されたのは、肝臓由来の細胞をATP処理した時で、独立
に行った49回の実験のうち37回でSTAP細胞様細胞塊の出
現が確認された。 ──理研の「STAP現象の検証結果」より
                   http://bit.ly/1DDyWs4
─────────────────────────────
 これは、「ATP処理」をしたものについては、明らかにST
AP細胞とみられる細胞塊ができたと報告しているのです。つま
り、第1段階の検証では一定の成果を出しており、第2段階、第
3段階の検証結果では、失敗したということ意味しています。
 これに関して『文藝春秋』2015年5月号での宮部みゆき氏
と須田桃子氏の対談では次のやり取りがあります。
─────────────────────────────
須田:たとえば、STAP細胞は体細胞を弱酸性の溶液に30分
   ほど漬けておくとできるということだったのですが、溶液
   には塩酸を希釈して使ったというのが最初の説明でしたし
   論文にも3月に発表されたプロトコル(詳細な実験手順)
   にも塩酸と書いてあった。ところが11月頃になって、実
   は塩酸ではなく、ATP(アデノシン三リン酸)という別
   の物質で作った溶液に浸していたのだという話が出てきた
   のです。小保方さんは調査委員会の聴取に対して、論文の
   データはすべてATPを使って作ったATPのほうがよく
   できる、という話をしたそうです。
宮部:ATPを使うのであれば、そう書けばいいわけですよね。
須田:ええ。もっとも12月に発表された検証実験の結果では酸
   でもATPでもSTAP細胞はできなかったのですが。さ
   らに不思議なのが、ATPを使ったということを、論文の
   共著者である若山さんも丹羽さんも知っていたらしいとい
   うことです。   ──『文藝春秋』/2015年5月号
─────────────────────────────
 須田桃子氏がいいたいのは、理研がATPを使う方法があるこ
とを隠していたのではないかと疑っているのです。しかし、須田
氏は、ATPでも検証実験では成功できなかったといっています
が、できているのです。理研の「STAP現象の検証結果」を読
んでいないのでしょうか。 ── [STAP細胞事件/059]

≪画像および関連情報≫
 ●理研の思考停止で遠ざかるSTAP細胞の真相解明
  ───────────────────────────
  STAP細胞が幻と判明した今、今後の課題はなぜ不正論文
  が世に出てしまったのかという真相解明に尽きる。だが、今
  回の会見でも、理研の“体質”に疑問を抱かせるような場面
  が散見されるなど、解明には程遠いと言わざるを得ない。例
  えばその一つが論文とは異なるSTAP細胞の作製方法だ。
  論文では細胞の刺激に「塩酸」を使っているが、検証実験で
  は「ATP」という物質も試している。相澤慎一・検証実験
  チームリーダーは「塩酸よりATPの方が作製効率が良いと
  小保方さんが言っていた」と説明するが、なぜこれまで公表
  しなかったのか。特に理研は、論文に疑義が持たれた3月、
  詳細なSTAP細胞の作製手法(プロトコル)を公表してい
  る(7月に撤回)。この段階で、プロトコルの責任者だった
  丹羽リーダーもATPの情報を知っていたというが、「論文
  との齟齬があると考え、プロトコルに記述しなかった」と述
  べた。一連の理研の対応について、内部でどのような判断が
  されてきたか明らかにされるべきだ。また、安易に小保方氏
  の依願退職を認めた判断も疑問だ。「退職金は出ない。調査
  委員会からも支障はないと返事を受けた」(坪井裕理事)と
  するが、理研職員でなくなる小保方氏が、今後も続く外部調
  査に協力するかは疑わしい。情報を後出しにするなど、社会
  常識と懸け離れた判断をする。こうした姿勢が改まらない限
  り、理研の自浄作用には期待できないだろう。
       ──『週刊ダイヤモンド』/2015年1月5日
                   http://bit.ly/1RZzi82
  ───────────────────────────

宮部/須田対談掲載の『文藝春秋』.jpg
宮部/須田対談掲載の『文藝春秋』
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2015年07月30日

●「故笹井氏の指摘を無視する調査委」(EJ第4087号)

 理研の桂調査委員会は、残存しているSTAP細胞由来の幹細
胞の遺伝子解析をしたところ、それらはすべて若山研が保有して
いるES細胞のいずれかの解析結果ときわめて似ており、「ST
AP細胞といわれているものの正体はES細胞である」という結
論を発表しています。つまり、STAP細胞は最初から存在しな
かったといっているのです。
 この調査委員会の報告──STAP幹細胞の遺伝子解析の結果
はES細胞のそれとよく似ている──おそらくこれは間違いでは
ないと思われます。一流のその道の権威が実施した遺伝子解析の
結果であるからです。しかし、それをもって「STAP細胞は最
初から存在しない」と結論づけるのは、あまりにも論理が飛躍し
ています。なぜならそれは小保方氏がSTAP細胞であるといっ
て実験関係者に見せたり、渡したりしていたものが、全部ES細
胞であったことを意味するからです。これについて毎日新聞の須
田桃子氏は大宅壯一ノンフィクション賞受賞関連のインタビュー
で次のように述べています。
─────────────────────────────
 理化学研究所の調査委員会は昨年12月、公式見解として「S
TAP細胞はES細胞(胚性幹細胞)が混入したものだ。ただ、
意図的な捏造があったかどうかは分からない」と言っています。
 でも私は、1年以上にわたるさまざまな実験と解析の中で、す
べて偶然にES細胞が混入したとは思えないんです。しかも1種
類のES細胞ではなく、その都度、違う系統や違う種類のES細
胞が混入している。それが偶然に起こることはあり得ないので、
やはり誰かが意図的に混ぜたのだと確信しています。
           ──須田桃子氏 http://bit.ly/1gRjgws
─────────────────────────────
 須田氏のいう「意図的にES細胞を混ぜた誰か」といっている
のは、明らかに小保方晴子氏のことを指しています。実際に小保
方氏以外にそれが可能な人はいないからです。
 理研の関係者でSTAP現象を目視した人はたくさんいます。
ライブ・セル・イメージング(10以上の視野を同時に観察でき
る顕微鏡ムービー)で細胞塊ができていく様子を笹井芳樹氏をは
じめ複数の研究員が見ています。彼らはES細胞を見せられてい
たのでしょうか。ES細胞では説明がつかない現象なのです。
 それに小保方氏が実験のためにSTAP細胞であるとして細胞
自体を渡した人は3人しかいないのです。若山氏と笹井氏と丹羽
氏の3人です。とくに若山氏に対してはおそらく100回以上渡
しているはずです。それからキメラマウスを作製したり、幹細胞
化する実験を担当していたのが若山氏だからです。
 いうまでもなく笹井氏と若山氏は、ES細胞の扱いに関しては
相当の実績のあるプロの研究者であり、丹羽氏は幹細胞の権威な
のです。そのようなプロに対して、彼らが日頃見慣れているES
細胞をSTAP細胞であると騙せるものでしょうか。日本の再生
医療のプロはその程度のレベルなのでしょうか。関係者は誰もこ
のことを口にはしませんが、そんなことは不可能であるといって
も過言ではないと思います。
 故笹井芳樹氏は、「STAP細胞へのES細胞の混入はあり得
ない」として、次の3つを上げています。彼は、もしES細胞が
混入されていれば目視で判断できるといっているのです。
─────────────────────────────
1.STAP細胞はES細胞より小型で、核も小さく、細胞質が
  ほとんどない特殊な細胞で見分けが可能である。
2.遺伝子発現パターンの詳細解析においても、STAP細胞は
  ES細胞や他の幹細胞とは一致することはない。
3.ES細胞は増殖能力が高く、個々の細胞からでも培養できる
  が、STAP細胞は分散すると死んで増えない。
─────────────────────────────
 記者に笹井氏のいうこれらの「STAP細胞がないと説明がつ
かない」現象をどう思うかと質問されたとき、桂勲調査委員長は
「それは今回の調査の対象ではない」といって、スルーしていま
す。それでいて、「STAP細胞は最初から存在しない」と断言
しているのです。
 STAP細胞とES細胞は形状が異なり、はっきりと見分けが
つくと笹井氏はいっています。仮に形状が違うのを見落したとし
ても、STAP細胞とES細胞では、培養期間も培養溶液もキメ
ラの作製方法も異なるので、実験の途中で気がつくはずであると
もいっているのです。
 また、笹井氏は、STAP現象は、一個人の人為的操作で行う
ことは不可能であるとして、自分が最も有力な仮説と考える理由
について、次の2つのことを指摘しています。少し専門的ですが
ご紹介します。自身の記者会見時の解説です。
─────────────────────────────
1.Oct4GFPを発現しない脾臓の血球系細胞から、Oct
  4GFPを発現する「他の細胞では知られていない」形質を
  持った小型細胞の塊が生ずること。
2.胚盤胞への注入された細胞の貢献は、ES細胞やTS細胞で
  は説明できない特別な多能性の表現型を示し、また内部細胞
  塊や桑実胚の細胞とも考えにくい。 http://bit.ly/1TX4x2d
─────────────────────────────
 笹井氏は小保方氏とは2013年1月からSTAP論文の手伝
いをしただけです。それでもSTAP細胞の存在を認め、共著者
に加わっています。これに対して若山山梨大学教授は、2011
年4月から2012年末まで、小保方氏の実験のパートナーとし
て何回も小保方氏の作製したSTAP細胞を受け取ってキメラ化
や幹細胞化の実験をしてきています。もしそれがES細胞だった
ら気がつかない方が不思議です。
 ところが若山教授はSTAP論文撤回を最初に呼びかけ、小保
方氏の実証実験にも非協力姿勢を貫き、明らかにこの問題から逃
げています。       ── [STAP細胞事件/060]

≪画像および関連情報≫
 ●STAP細胞と考えないと説明できないデータがある
  ───────────────────────────
  ──小保方さんの横に座って論文の修正をしたということだ
  が、二人きりでやったのか?
  笹井:マルチ画面の大きなモニターの前に座って、文章と画
  像を同時に作るのでサイドバイサイドの位置関係になるとい
  うことです。もちろんディスカッションをするときにがやが
  やしている場所でやることはないです。非常に緊張感高く、
  1ページずつやっていった。
  ──不適切な関係はあったという報道もあったが。
  笹井:そのような関係はありません。
  ──理研と山中先生の間に対抗意識は?
  笹井:山中先生の仕事はリスペクトしてますが、iPS研究
  をやる上においてES細胞の研究も同時に進めるべきだとい
  う考えでSTAP細胞についてもそのように言ってました。
  対抗意識というのはありませんが、理研は、より基礎研究を
  行っていて、山中先生は応用のための研究をしている。むし
  ろ一緒にいろいろアプライしていく関係だと思います。
  ──小保方さんに論文の撤回を呼びかけたり、バカンティ氏
  に対する考えは?
  笹井:撤回を勧めたかという点ですが、私と丹羽さんは彼女
  にそのような考えを伝えました。撤回の可能性も含めてバカ
  ンティさんらと話す中で、彼らの意見も聞いて今の考えをお
  持ちなんだと思います。呼びかけについてはバカンティさん
  の親心なのかとは思いますが、小保方さんがどういう道を進
  むかはご自身で考えることだと思います。応援をしたい気持
  ちではあります。        http://huff.to/1CXz3E4
  ───────────────────────────

笹井芳樹CDB副センター長記者会見.jpg
笹井芳樹CDB副センター長記者会見
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2015年07月31日

●「笹井芳樹氏自殺には3原因がある」(EJ第4088号)

 STAP細胞事件を取り上げるうえでどうしても避けて通れな
いのは、笹井芳樹CDB副センター長の自殺です。笹井氏はなぜ
自殺をしなければならなかったのでしょうか。
 2014年8月5日、理研CDBの副センター長笹井芳樹氏は
午前8時40分頃、CDBに隣接する先端医療センター内で、首
をつった状態で亡くなっているのが発見されたのです。CDBと
先端医療センターとは4階と5階が通路で繋がっており、その4
階と5階の踊り場で首をつっていたのです。なぜ、この時期に自
殺とは!?STAP論文は、7月末までに、画像の取り違えや改
竄などで散々叩かれ、遂に論文取り下げが決定されたのです。ネ
イチャー誌も7月2日に論文取り下げを決定しています。
 ここでひとつ違和感があるのは、理研がやっていたのは、ST
AP細胞が存在するかどうかではなく、あくまで論文の不備の指
摘であり、STAP細胞が存在するかどうかは埒外であったこと
です。それも異常なバッシングに見えます。大勢で寄ってたかっ
て論文のあら探しをしているように見えるのです。
 多くの国民は、論文に若干のミスがあったとしても、STAP
細胞が実際に存在すれば、その多大な功績によって論文の多少の
不備などは許されるのではないかと考えていたと思います。
 しかし、6月16日の若山山梨大学教授の記者会見によって、
論文内容そのものが虚偽であるという疑惑が出てきたのです。し
かも若山教授は論文の主要著者の一人であり、その人物が疑惑を
口にしたことは、疑惑を一層濃いものにしたといえます。
 それでは、笹井氏はなぜ自殺したのでしょうか。その原因と考
えられるのは次の3つです。
─────────────────────────────
 1.自分が手がけたSTAP細胞論文が不正と認定され、論
   文の撤回を余儀なくされたことである。
 2.6月12日に発表された理研の「研究不正再発防止のた
   めの改革委員会」の提言の内容である。
 3.7月27日放送のNHKスペシャルによって、学者とし
   ての能力に疑問符が付いたことである。
─────────────────────────────
 考えられる第1は、「STAP論文」の撤回です。笹井氏は当
事者(当事者は小保方晴子氏)ではありませんが、「論文作成の
天才」といわれた笹井氏が論文撤回に追い込まれたことは、学者
にとって屈辱そのものであったといえます。かつて笹井氏の論文
ではそのようなことはなかったからです。
 考えられる第2は、理研の「研究不正再発防止のための改革委
員会」が2014年6月12日に提出した改革案の提言書の厳し
い内容です。そこにはCDBの解体まで言及されていたのです。
笹井氏としてはCDBは自分が立ち上げたという自負があり、そ
れを解体されることは耐えられなかったと思われます。
 改革案の提言書は、「CDBについて」「理研本体について」
「STAP論文について」の3つがありますが、「CDBについ
て」は次の通りです。
─────────────────────────────
・小保方氏、笹井氏、竹市民に相応の厳しい処分を下し、現セン
 ター長や副センター長の交代を含め、組織の人事を一新する。
 責任が重大な前副センター長の西伸一、相澤慎一両特別顧問は
 新組織の上層部から排除する。
・「人事異動などの通常の方法では欠陥の除去は困難」なため、
 任期制の職員の雇用を確保したうえで、早急にCDBを解体す
 る。新たなセンターを立ち上げる場合は、トップ層を交代し、
 研究分野及び体制を再構築する。
            ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著
       『捏造の科学者/STAP細胞事件』/文藝春秋
─────────────────────────────
 考えられる第3は、NHKスペシャル「不正の深層」の内容で
す。このNHKスペシャルの内容は、小保方氏と笹井氏を一方的
に批判しています。それに対して若山氏は、いち早く論文撤回に
立ち上がった勇気ある正義の科学者という扱いです。
 既に『週刊文春』などに笹井氏と小保方氏の不適切な関係を匂
わせる記事も複数出ており、このNHKスペシャルでも笹井氏が
小保方氏に宛てたメールのやり取りがわざわざナレーターによっ
て情感たっぷりの演出で公開されるなど、笹井氏としては耐えら
れないものであったことは確かです。
 笹井氏が亡くなったのは、このNHKスペシャルが放送された
10日後のことです。全国放送であれほど露骨に報道されたこと
によって、自分の学者としての前途が失われたと考えても不思議
はないと思います。須田桃子記者と笹井氏との3月時点でのメー
ルのやり取りに次のようなものがあります。
─────────────────────────────
須田:私のような若輩者が差し出がましいことを申し上げるのは
   大変恐縮ですが、客観状況やこれまでの取材内容に鑑みま
   すと、このままではSTAP細胞問題は、笹井先生の今後
   の研究者人生に大きな悪影響を及ぼしてしまうのではない
   かと危惧しています。
笹井:今回の件が、私の研究者人生に大きな打撃を与えたのは、
   おっしゃる通り、間違いないでしょう。ご心配いただき、
   申し訳ございません。この先挽回できないかもしれないほ
   どのものかもしれません。(中略)週刊誌等の理解しがた
   いゴシップネタですから、私自身は無視しても、いろいろ
   な意味で私自身の研究展開にマイナスに働くこともあるで
   しょう。(中略)今は調査に協力し、また出来る範囲で通
   常の自分の研究をラボメンバーを励ましながら、胸を張っ
   て進めるしか、私のできることはありません。
      ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著の前掲書より
─────────────────────────────
             ── [STAP細胞事件/061]

≪画像および関連情報≫
 ●笹井氏自殺で広がる波紋/zakzak/夕刊フジ
  ───────────────────────────
   理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)
  の笹井芳樹副センター長(52)の自殺をめぐり、直前に放
  送されたNHKスペシャル「STAP細胞不正の深層」の影
  響が取り沙汰されている。同番組は笹井氏が実験の不備を把
  握していた可能性をにおわすなど責任を追及。小保方晴子研
  究ユニットリーダー(30)にけがを負わせた強引な取材手
  法も問題となり、結果的に笹井氏を追い詰めたのではないか
  との見方があるのだ。エリート科学者の自殺は、思わぬとこ
  ろに波紋を広げている。
   NHKスペシャル「STAP細胞不正の深層」(7月27
  日放送)は論文問題を深く掘り下げ高評価を得たが、放送直
  前の23日に、小保方氏を追いかけ回し、全治2週間とされ
  るけがを負わせる“事件”を起こした。「科学文化部のエー
  スのデスクが陣頭指揮を取り、かなり力を入れていた番組で
  す。それなりにいいネタは入っていたが、パンチに欠けると
  いう話になり、小保方氏か笹井氏の独占インタビューを柱に
  したいとなった。それで、あの“小保方事件”が起きたんで
  す。笹井氏にも何度も手紙を書いたり、メールを送ったりし
  ていたが、メールが一通返ってきただけだった」(NHK関
  係者)小保方氏への直撃シーンは放送されなかったが、番組
  では、小保方氏の実験ノート2冊や2000ページに及ぶ内
  部資料を入手し、100人以上の関係者に取材をしたとして
  問題に斬り込んだ。笹井氏について、「論文執筆の天才」で
  交渉力に優れ、CDB全体の予算獲得を握っていたと紹介。
  3度掲載を断られた小保方氏の論文が英科学誌ネイチャー誌
  に掲載されたのは、笹井氏の協力が大きく、その背景には米
  国特許の本申請の締め切りが迫っていたことがあるとした。
                   http://bit.ly/V0dSfk
  ───────────────────────────

記者会見での笹井芳樹氏.jpg
記者会見での笹井 芳樹氏
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2015年08月03日

●「笹井氏の自殺には多くの謎がある」(EJ第4089号)

 ネット上では、笹井芳樹氏の死は他殺ではないかという記事が
多くあります。いずれも憶測に過ぎないものですが、その可能性
についても考えてみます。
 『自殺の9割は他殺である』(カンゼン刊)という本がありま
す。まさか!と思いますが、著者は2万体の「死体」を検視した
元監察医・上野正彦氏ですから、事実であると思われます。
 上野氏によると、首つり自殺の場合、絞首刑のように足が届か
ない高い所にロープを張ってぶら下がる場合は別として、便所の
ドアにロープをかけるとか、ホテルの浴槽の金具や水道管などに
ロープを渡すとか、階段の手すりにロープを張るとか、こういう
足が地に着くかたちの場合は、他殺の可能性が高いのです。笹井
氏の場合は、亡くなっていた状況に諸説があるので明確ではあり
ませんが、階段の手すりにロープをかけていたという点で、本来
であれば司法解剖をすべき事案であったと思われます。ところが
司法解剖は行われていないのです。
 笹井氏の自殺と状況が似ているのは、第1次安倍政権のときの
松岡利勝農水相の首つり自殺です。これなどは完全に他殺を疑っ
てもよい事案であると思います。これについては、立花隆氏が次
のように書いています。
─────────────────────────────
 ◎立花隆:「謎の自殺」を遂げた松岡農水相/安倍政権の抱
  える「闇の正体」
 毎日新聞の世論調査と日本経済新聞の世論調査で、「安倍内閣
の支持率が急落」(──日経新聞では41%に、毎日新聞では実
に32%にと劇的な急落)という記事を読んでいるところに「松
岡農水相が首吊り自殺」という衝撃的なニュースが入ってきた。
 松岡農水相を巡る黒いウワサ/ニュースの速報的特別番組では
例の光熱水道費問題(ウソ報告とボトル1本5000円のナント
カ還元水の問題)などをとりあげていたが、もちろん松岡農水相
はそんなことで自殺するようなタマではない。そんなことで自殺
するくらい気弱な男なら、とっくの昔に農水大臣を辞職するなり
なんなりして、最近急激に風圧を増していた世論の批判をやりす
ごしていただろう。          http://bit.ly/1I0T9Mg
─────────────────────────────
 しかし、笹井氏の場合、ワープロ書きとはいえ、封筒に入った
6通の遺書が残されていたのです。そのうち研究室の自分のテー
ブルの上に2通、秘書のデスクの上に1通、自殺の現場に置いて
あったカバンの中に3通入っていたようです。
 つまり、笹井氏はそれだけの準備をして自殺をしているので、
衝動的な自殺ではなく、覚悟の自殺と思われます。自殺をした8
月5日の朝、笹井氏はいつものようにCDBに出社して、遺書を
置き、そのうえで自殺をしています。
 しかし、笹井氏の自殺については、おかしなこともたくさんあ
るのです。以下、それらを4つにまとめて説明します。
─────────────────────────────
 1.笹井氏の亡くなったときの状況には諸説があって、どれが
   本当か明確ではないことである。
 2.6通あるといわれる遺書のうち、小保方氏宛の遺書だけが
   内容が公開されてしまっている。
 3.NHKスペシャルで、笹井氏と小保方氏とのメールのやり
   取りが公開されてしまっている。
 4.笹井氏の死は、STAP細胞の存在を否定し、潰すきわめ
   て効果的な効果を発揮すること。
─────────────────────────────
 「1」は笹井氏が亡くなったときの状況です。メディアは「セ
ンター(CDB)に隣接する施設との間にある階段の踊り場で、
首をつった状態で発見」となっていますが、研究室内に倒れてい
たという説もあるのです。
 メディアの報道では、午前10時20分に「死亡した状況で発
見」となっていますが、10時27分に産経が「生きている?延
命処置」という報道も流れ、助かるのかなと思ったものです。
 こういう場合は、現場で亡くなっていても病院に搬送し、病院
で死亡の確認を取ることになります。このケースは司法解剖され
ることはないのです。しかし、CDBの隣の施設である先端医療
センターには医師がおり、それらの医師が死亡を確認すれば、わ
ざわざ病院に搬送する必要はないはずです。
 「2」は6通ある遺書──メディアの表現では「遺書のような
もの」になっている──のうち、小保方氏宛の内容だけが、14
時15分に明らかにされたのです。「あなたのせいではない。S
TAP細胞は必ず再現してください」がその内容です。
 しかし、この時点では遺書はまだ小保方氏には届いていないと
三木弁護士はいっています。ということは、遺書を管理している
兵庫県警が小保方氏の遺書だけマスコミに流したことになるので
す。遺書は「親書」であり、警察といえども正当な理由なく開封
してはならないものなのです。ましてやマスコミに公表するなど
はもってのほかです。
 同じことが「3」のNHKスペシャル「不正の深層」において
NHKは笹井氏と小保方氏とのプライベートなメールのやり取り
を公表していますが、これもやってはならないことです。
 おそらくこのメールは、CDB内部で笹井氏と小保方氏に反感
を持つ人物がNHKに提供したものと思われます。取材で得たも
のとはいえ、NHKの電波に乗せて公表すれば、笹井・小保方両
氏のプライバシーの侵害になるのではないでしょうか。
 笹井氏は、このようなかたちで死にのぞんでもSTAP細胞の
存在を信じています。「STAP細胞は必ず再現してください」
がそれを意味しています。しかし、STAP細胞が存在すると困
る側から見ると、笹井氏の死はSTAP細胞を完全に潰すのにき
わめて都合のよい状況になったといえます。これが「4」であり
その後の理研の対応を見ると、「死人に口なし」を利用してST
AP細胞を葬っています。 ── [STAP細胞事件/062]

≪画像および関連情報≫
 ●笹井芳樹氏の遺書公表は「行き過ぎ」と弁護士が解説
  ───────────────────────────
   2014年8月7日放送の「デイ・キャッチ」/TBSラ
  ジオで、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(C
  DB)の副センター長・笹井芳樹氏の遺書をめぐって、遺書
  の内容が報道されていることについて弁護士が解説した。
   番組では笹井氏の自殺に関して研究員への聞き取り調査が
  始まったことを取り上げた。その中で、小保方晴子氏の代理
  人を務める三木秀夫弁護士が笹井氏が小保方氏に宛てた遺書
  がまだ小保方氏の手に渡ってないと公表したことも伝えた。
  笹井氏の遺書は小保方氏宛てだけではなく、竹市雅俊センタ
  ー長や理研の川合真紀理事宛の3通があり、笹井氏のデスク
  の上に理研の課長2人にあてた遺書も見つかっており「疲れ
  た」「残念だ」といった趣旨の内容だったという。
   このニュースに対しメインパーソナリティの荒川強啓氏は
  小保方氏の手に渡っていないが、遺書の内容が6日から報じ
  られていることを指摘。番組では、元東京地検検事で弁護士
  の若狭勝氏に電話を繋ぎ、今回の遺書の件の解説を求めた。
   荒川氏は、なぜ小保方氏に遺書が届いていないのか?とい
  う質問をすると若狭氏は、警察は笹井氏が自殺かどうかをき
  ちんと調べるために遺書を預かっている節はあると説明。そ
  のうえで、自殺であることが明白であれば、速やかに小保方
  氏に渡すべきと若狭氏が答えると、木曜日のデイキャッチャ
  ーを担当する山田五郎氏は「警察が事件性がないと発表して
  いるようですが、それはつまり自殺と断定したということで
  はないんですか?」と訊ねると、若狭氏は「そうですね」と
  し、遺書は速やかに小保方氏側に渡さなければいけないと指
  摘した。             http://bit.ly/1IqelIW
  ───────────────────────────

元観察医/上野正彦氏.jpg
元観察医/上野 正彦氏
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2015年08月04日

●「なぜ自殺の場所が階段の踊り場か」(EJ第4090号)

 笹井芳樹氏は、STAP論文に対する理研の調査委員会が立ち
上がった3月の時点で、副センター長を辞任したいと竹市CDB
センター長に申し出ていたのです。しかし、それは許されなかっ
たのです。なぜなら、この時点では理研が、この問題を何とか乗
り切れると考えていたからです。
 さらに笹井氏は、6月頃から笹井研究室の閉鎖を前提に、研究
室のメンバーに再就職先を探すよう呼び掛け、自らも再就職先を
メンバーに斡旋したりしていたのです。また、メンバーが他の研
究室に移れるよう現在取り組んでいる研究を論文にまとめさせた
り、学会発表の準備もさせたりしていたのです。
 その時点では、笹井氏は自分の研究者としての前途について絶
望的な思いを抱いていたようです。その過労とストレスで体調も
悪化し、4月初旬には入院をしていた時期もあったようです。
 笹井氏の自殺は、家族をはじめ多くの理研関係者に宛てた複数
の遺書から見ても、けっして衝動的なものではなく、十分に考え
抜かれたすえの決断であったと思います。それは、自殺の場所か
ら推察できるのです。
 自分の前途を悲観しての自殺であれば、普通は自宅で自殺する
と思います。ところが笹井氏は自宅で遺書を作成し、それをかば
んに入れて、当日CDBに出社しています。自宅を自殺の場所と
してあえて選ばなかったのは、自殺の動機が個人的なものだけで
はないという何らかのメッセージを理研の経営幹部に伝えたかっ
たものと思われます。
 しかし、そうかといって、CDBの自分の研究室で自殺すれば
自身の勤務先である理化学研究所への何らかの恨みとしてとらえ
られる可能性が大です。「それはしたくない」──笹井氏は考え
たのでしょう。そこで選んだ場所は、CDBと先端医療センター
をつなぐ階段の踊り場なのです。
 笹井氏の死に場所について、臨床心理士の矢幡洋氏は、次のよ
うに分析しています。
─────────────────────────────
 笹井氏は、理研との一体感が強かったのかもしれません。アイ
デンティティーの中で、「理研の幹部」と言う事が占める割合が
大きかったかもしれません。(中略)
 笹井氏が選んだ死に場所は微妙です。理研の中の1室ではなく
「通路でつながった研究棟の踊り場」です。もしかすると「理研
の中で首をつったら理研への恨みととられたりとして、迷惑をか
けるかもしれない。理研の幹部であっても理研の中を死に場所に
選べる権利はない」と言う迷いのもとで、「通路でつながった研
究棟の踊り場」と言う微妙な場所を選んだのかもしれません。
            ──矢幡洋氏 http://bit.ly/1It4s1s
─────────────────────────────
 問題は笹井氏が小保方氏に宛てた遺書の内容です。これについ
ては、須田桃子記者の本から引用します。
─────────────────────────────
 小保方氏宛ての遺書は一枚。「限界を超えた。精神的に疲れま
した」と断り、「小保方さんをおいてすべてを投げ出すことを許
してください」と謝罪の言葉で始まっていた。
 更に、小保方氏と共にSTAP細胞研究に費やした期間にも言
及し、「こんな形になって本当に残念。小保方さんのせいではな
い」と小保方氏を擁護する記述もあった。末尾には「絶対にST
AP細胞を再現してください」と検証実験への期待を込め、「実
験を成功させ、新しい人生を歩んでください」と激励する言葉で
締めくくられていたという。
            ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著
       『捏造の科学者/STAP細胞事件』/文藝春秋
─────────────────────────────
 小保方氏への遺書の最後にある「絶対にSTAP細胞を再現し
てください」については、いろいろなとらえ方ができると思いま
す。この時点──NHKスペシャル「不正の深層」が報道されて
から10日目──では、「STAP細胞は存在する」と考える人
はかなり少なくなっていた時期です。しかし、少なくとも笹井氏
と丹羽仁史氏は、科学者としてSTAP細胞の存在を確信してい
た小保方氏の有力な味方だったのです。
 文章通りに素直にとれば、笹井氏がこの時点でもSTAP細胞
の存在を確信していたと考えるのが自然です。もし、少しでもそ
れの存在を疑っていたら、遺書ですから、こういう文面にはなら
なかったと思います。
 毎日新聞の須田記者は、生前笹井氏とメールでSTAP細胞問
題についてさまざまなやり取りをしています。今になって考える
と、これは笹井氏がSTAP細胞をどのように考えていたかを知
るうえで貴重な資料になります。
 4月時点で笹井氏は、STAP幹細胞として残されている過去
の試料の解析をすべきであるとする周囲の声や須田氏の意見に対
して、反対の立場をとっており、論文の詳細を遡及的に断片的な
解析をしてもSTAP細胞の立証にはならないと主張して、次の
ように述べています。
─────────────────────────────
 私が判らないのは、どうしてもっと「一定期間の間に小保方さ
ん本人に再現してもらうこと、さらにプロトコール化や講習を実
施」をしてもらうことの声が、マスコミから大きくならないのか
ということです。
 結局、一番再現に近い、また再現に責任がある人、が、ラボか
ら遠ざかった状態でいることが、この問題を複雑にしていると思
うのです。欧米では当然そういった論調になると思うのですが、
日本では、ブログベースの無責任な「枯れすすき論」のような推
理小説だけが盛んで、非常に違和感を持っています。
      ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著の前掲書より
─────────────────────────────
             ── [STAP細胞事件/063]

≪画像および関連情報≫
 ●「元気でないが生きている」/ライブトア・ニュース
  ───────────────────────────
   本誌の取材で謎に包まれた笹井氏の自殺前の行動がわかっ
  てきた。死の数日前に行方不明になり、家族が捜し回ってい
  たというのだ。大阪府内に住む笹井氏の母親の知人女性が明
  かす。「芳樹君が亡くなる3日前、お母様と電話でお話しし
  ました。その時、『芳樹がどこにいるか居場所がわからなく
  なっていて家族で捜し回っていた』と困惑されていました。
  大丈夫ですかと尋ねると、お母様は『(医師の)兄さんが、
  “無事か”と出したメールに、芳樹から“元気ではないけど
  生きています”という返事が、とりあえず来たので、安心し
  た』と。私があまりクヨクヨしたらあかんよと言うと、『S
  TAP細胞の問題に早くケリをつけて、やり直してほしい』
  とおっしゃっていた。その矢先に、報道で自殺を知り、本当
  に驚きました」
   この知人によれば、笹井氏は母親に、STAP細胞騒動に
  ついての本音をこう吐露していたという。「あの子は、週刊
  誌などに書かれた小保方晴子さんとの仲などについて、『あ
  んなことは絶対ないから信じてほしい』と言っていた。理研
  について、『クビにするならしてくれればいいのに。アメリ
  カで研究したいのに、なかなか切ってくれない』と愚痴をこ
  ぼしていた。お父さんも何でも人の責任をみんな負う人だっ
  たから。芳樹はああ見えて要領が悪いから、お父さんに似な
  ければいいけど・・」。5年前、息子に「ノーベル賞を期待
  する」と誇らしげに語っていた母が感じた不安は、不幸にも
  的中してしまった。        http://bit.ly/1ox25ly
  ───────────────────────────

臨床心理士/矢幡洋氏.jpg
臨床心理士/矢幡 洋氏
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2015年08月05日

●「論理飛躍と矛盾のある調査報告書」(EJ第4091号)

 5月7日から書き始めた今回のテーマ「STAP細胞事件」は
本日で64回を数えます。既に約3ヵ月が経過しています。今回
からは交響曲に例えると、最終楽章に入ります。どうしてこんな
結果になったのか、何かが間違っていないかをていねいに探って
いくことにします。
 昨年12月25日に発表された理研の桂勲委員長による論文調
査委員会の結論は、次のようになっています。
─────────────────────────────
 本調査により、STAP細胞が多能性を持つというこの論文の
主な結論が否定された問題である。その証拠となるべきSTAP
幹細胞、FI幹細胞、キメラ、テラトーマはすべてES細胞の混
入に由来する、あるいはそれで説明できることが科学的な証拠で
明らかになった。
 STAP細胞論文は、ほぼすべて否定されたと考えて良い。こ
れだけ多くのES細胞の混入があると、過失というより誰かが故
意に混入した疑いを拭えないが、残念ながら、本調査では十分な
証拠をもって不正行為があったという結論を出すまでには至らな
かった。これは、本調査委員会の能力と権限の限界でもあると考
える。         ──研究論文に関する調査報告書より
─────────────────────────────
 この結論は何をいっているのかというと、STAP論文に記述
されている内容は虚偽であり、STAP細胞といわれているもの
の正体は、すべてES細胞であったというのです。
 誰かがES細胞を故意に混入させた結果であると考えられます
が、その誰かを調査委員会は特定不能としています。しかし、少
なくとも、「STAP細胞は最初から存在しなかった」というこ
とはいえるというのが最終結論です。
 調査委員会がいう科学的証拠とは、若山研究室に残存していた
STAP細胞由来のSTAP幹細胞の試料すべてについて遺伝子
解析を施したところ、そのすべてが同研究室に存在していた複数
のES細胞のいずれかの遺伝解析の結果と非常によく似ていると
いう事実のことです。したがって、STAP細胞はES細胞と断
定できるとしています。
 はっきりいって、この結論には論理の飛躍があり、あまりにも
乱暴な結論であるといえます。生前の笹井氏は、4月頃に残存試
料の遺伝子解析をやるべしという声が多く出たとき、そんなこと
をしてもSTAP現象の立証には役立たないとして、次のように
述べていたのです。
─────────────────────────────
 論文の詳細を遡及的に断片的な解析をしても、STAP現象の
立証にはならない。一旦、撤回して、予断なき検証を行うことが
一番建設的であるという思いです。そうした再現実験が成功し、
第三者も再現できる環境が整ったところで、いろいろな科学的議
論を深め、転換なのか、それとも生体内に元々あった細胞の選別
に過ぎないのかなども研究コミュニティとして真面目に議論を闘
わせるのが健全だと思います。そうでないと、皆が、まるで「推
理小説」のような議論で終始してしまうのです。
            ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著
       『捏造の科学者/STAP細胞事件』/文藝春秋
─────────────────────────────
 実は桂調査委員会はSTAP現象の立証などまるでやるつもり
はないのです。最初からSTAP現象などは存在しないという仮
説に立って、彼らが得意とする遺伝子解析の技術を使って、その
仮説が成立する証拠探しをやったのです。
 犯罪捜査での犯人探しと一緒で、捜査本部が犯人と推定した人
物の証拠探しをするのと同じ発想です。それは、日本の科学の総
本山ともいうべき理化学研究所がいかに官僚的な機構であるかを
物語っています。警察組織と同様の減点主義なのです。他殺の疑
いのある事件を自殺として処理するのと同じであり、事なかれ主
義の典型です。「STAP細胞はないことにして、さっさと幕を
引いてしまえ!」という命令が上から出たのでしょう。論文の調
査委員会はそれを実行しただけのことです。こういう官僚機構か
らは新しいものは何も生まれることはないのです。
 これに対して、笹井氏の立場はまったく異なります。STAP
細胞が実在すれば、日本の再生医療は驚異的な発展が期待され、
多くの人類を救うことができます。したがって、論文のあらを探
すよりも、論文が強く示唆しているSTAP細胞が本当に存在す
るかどうかを小保方氏による実証実験を公開で行うことによって
明らかにすべきではないかと主張しています。前向きであり、き
わめて建設的な考え方です。
 「STAP細胞は本当に存在するのか」──これを検証するに
は、若山教授が1回だけSTAP細胞作製に成功している事実を
思い出すべきです。このときは、小保方氏の指導は受けたものの
若山教授は最初から最後まで自分で実験を行い、少なくとも幹細
胞化は成功しているのです。これは、桂調査委員長も記者会見で
認めています。
 わからないのは、若山教授が一から自分でSTAP細胞作製の
すべての工程に成功している体験を持ちながら、その後再現でき
ていないという理由だけで、STAP細胞の存在に疑問を持ち、
真っ先にSTAP論文撤回の旗を振ったことです。
 そういう若山氏と比較して対照的なのは、笹井芳樹氏と丹羽仁
史氏です。両氏は自らSTAP細胞こそ作製していないものの、
小保方氏が弱酸性の刺激を与えた細胞を顕微鏡下にセットし、そ
の後は小保方氏以外の研究者が観察するという状況において、高
い割合の細胞で、万能性遺伝子(Oct4)が働き、これまで見
たことのない動きをしながら塊を作っているさまを自分の目で確
認しただけで、STAP細胞の存在を認めているのです。あまり
にも差があり過ぎます。本来なら「STAP細胞はある」と主張
するのは、最も長い間にわたって小保方氏と一緒に実験した若山
氏ではないでしょうか。  ── [STAP細胞事件/064]

≪画像および関連情報≫
 ●『ある神話の背景』を追及するブログ
  ───────────────────────────
   なぜ、理化学的な重大発見の可能性がある段階で、既成の
  「分子生物学会」などの日本の学術会は、論文発表間もない
  時期に末梢的な論文の瑕疵を突いてSTAP細胞を否定しよ
  うとしたのか?
   どんな疑問点があるにしても、実際に論文通りにSTAP
  細胞が再現できなければ、それは数年で消えていく運命にあ
  るはずだ。あるいはその段階で、捏造の明らかな証拠が出る
  かもしれない。いずれにしても、2〜3年でSTAP細胞の
  真贋は明らかになったに違いないのだ。もし再現が達成され
  て、STAPの実在が真実ならば小保方氏らはノーベル賞候
  補になっただろう。逆に、錯覚或いは捏造の産物であり、小
  保方氏にさえ再現が出来ないのなら、彼女は学者生命を失う
  ことなる。そしたら、彼女は割烹着を着て仲居などをやって
  人生を送る事になっただろう。
   何で、論文発表から1月程度でSTAP否定の言説が噴出
  したのだろうか?それについて、私は素人の直感でも、何か
  おかしいと感じたからこの問題に関心を抱いたのである。山
  崎行太郎氏のブログで、氏も同様な感覚を持っていると知っ
  た。決して、可愛い子ちゃんが苛められているのを不憫に思
  って、肩を持っているのではない事は言うまでもない。小保
  方晴子氏に何かが有るのを見出しているだけである。
                   http://bit.ly/1VQGeE8
  ───────────────────────────

理研/桂調査委員会記者会見.jpg
理研/桂調査委員会記者会見
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2015年08月06日

●「若山氏には重大な説明責任がある」(EJ第4092号)

 若山研究室に残されているSTAP幹細胞は、全部で25株で
す。小保方氏が若山教授と共同研究をしていた2012年1月〜
2013年3月までに樹立したSTAP幹細胞のすべてです。既
に取り上げていますが、再現します。
─────────────────────────────
       1.  FLS ・・・  8株
       2.AC129 ・・・  2株
       3.FLS─T ・・・  2株 ←
       4.  GLS ・・・ 13株
─────────────────────────────
 このうち「3」の「FLS─T1/2」は、若山教授が小保方
氏の指導を受けて作製したものです。自らマウスを交配して生後
1週間の赤ちゃんマウスをつくり、その脾臓からリンパ球を取り
出し、弱酸性の液に浸して刺激を与えた後、培養して複数のST
AP細胞の作製に成功したのです。
 若山教授は、それらの複数のSTAP細胞の幹細胞化を試み、
2株のSTAP幹細胞の作製に成功しています。それが「FLS
─T1/2」の2株です。探究心の強い若山教授のことですから
そのさいキメラマウスも作っているはずですが、そのあたりは若
山教授は明言していません。しかし、キメラは作っているはずで
それは成功していると思います。
 桂調査委員長の記者会見のさい、この「FLS─T1/2」を
取り上げて質問した記者がいます。そのときの桂委員長と記者の
やり取りを再現します。
─────────────────────────────
記者:以前、若山氏がただ一度だけ小保方氏の指導で一からST
   AP細胞を作り、STAP幹細胞を作ったとのことですが
   これはマウスから作ったわけではなく、何らかの処理され
   た細胞から作ったという理解でよいか。
桂氏:マウスから作った。最初から最後まで。山梨大に出る前に
   若山さんでもできるかやってみようと思って、若山研の人
   たちが試したができなかったので、自分でやってみたいと
   いうことで教えてもらったらできた。これは若山研に保存
   されていたので、それをいただいて調べた。
記者:なぜ一回再現できたか。不思議ですが・・・。
桂氏:不思議です。STAP細胞ができたというのは、小保方氏
   以外で操作してできたというのは、我々の確認している限
   りでは、この若山氏の1回だけです。
          ──桂研究論文調査委員会の記者会見より
─────────────────────────────
 質問した記者としては、記者会見の前に桂委員長が調査委員会
の結論として、「STAP細胞はES細胞が混入したもの」とい
う報告が行われたので、まさかマウスからではなく、「何らかの
処理が行われた細胞」(そこにES細胞が混入)が小保方氏から
渡されて、それから作製されたものと思ったのです。
 ところが、若山教授は赤ちゃんマウスづくりの最初から、最後
まで(おそらくキメラ作製まで)、一人で操作して成功していま
す。それでは小保方氏はES細胞をどこで混入させるのでしょう
か。だから記者は「不思議ですが・・」といったのです。そうし
たら、桂委員長も「不思議です」と返しています。答えになって
いません。まさに語るに落ちるとはこのことです。桂委員長も説
明できないのです。この事実は、「STAP細胞は最初から存在
せず、その正体はES細胞である」と完全に矛盾します。
 これこそ「STAP細胞はある」という証明ではないでしょう
か。ES細胞の分野ではプロである若山教授自身が自分でやって
成功しているからです。それとも、何かの間違いでSTAP細胞
ができたというのでしょうか。そうでなければ、小保方氏が何ら
かの魔術でも使ったというのでしょうか。
 その若山教授が誰よりも先駆けて「STAP細胞はない」と主
張したのです。理解に苦しみます。若山教授はこの点について納
得のできる説明をすべきです。このことに関連して人が1人亡く
なっているからです。説明責任があるはずです。そしてもっと不
可解なのは、NHKをはじめとする各種メディアや、日経サイエ
ンスなどの有力科学雑誌のすべてが、この矛盾点を何も問題にし
ないでスルーしていることです。
 さらにもっと不思議なことがあるのです。桂調査委員会は、若
山教授が自ら作製した「FLS─T1/2」の遺伝子解析をして
いますが、それが大田浩研究員が作製したES細胞と遺伝子がよ
く似ていたことです。
 この大田研究員の作製したES細胞の一部がチューブに入れら
れ、「ES」というラベルが貼られた状態で小保方研の冷凍庫か
ら発見されています。この大田ES細胞は少なくとも2014年
6月以前にはCDB内にはなかったものです。なぜなら、大田氏
は2009年にCDBの若山研を転出するさい、それらをすべて
持ち出しているからです。
 それならば、なぜその大田ES細胞の一部がチューブに入れら
れ、小保方研究室の冷凍庫にあったのでしょうか。誰かが悪意で
入れたとしか考えられないのです。小保方氏がCDBに出入りす
る前の話であり、物理的に小保方氏自身が、小保方研の冷凍庫に
入れることはできないからです。
 それではなぜ、2014年6月以降に大田ES細胞は都合よく
出現したのでしょうか。それは、山梨大学の若山研が遺伝子解析
をするため、大田氏に依頼して、若山研に冷凍状態で送付しても
らったからです。したがって、2014年6月(日は不明)以後
はそのES細胞は山梨大学の若山研にあったことになります。な
お、この事実はメディアでは報道されていないのです。
 「FLS─T1/2」もES細胞──それも若山研に存在しな
いはずのES細胞由来のものということになります。若山教授は
これに対して、どういう説明をするのでしょうか。
             ── [STAP細胞事件/065]

≪画像および関連情報≫
 ●週刊定年マガジン/STAP細胞事件/第3回
  ───────────────────────────
  ◎みんなが「嘘」をついている!?
   理化学研究所が委託したSTAP細胞に関する調査委員会
  (桂勲委員長)の「調査報告書」を読み返すと誰かが「嘘」
  をついているとしか思えないが、それは、ES細胞の“混入
  犯”一人でもないような気がする。『オリエント急行殺人事
  件』ではないけれど、関係する全員が程度の差はあれ、何ら
  かの理由で、「嘘」をついていたとも思えてくる。いや、理
  研という組織に立ち戻ってみると「うすうすは捏造だったと
  気がついていた」のだが、それは胸にしまっておいて「(俸
  給をいただいている)理研のために黙っていようよ」という
  組織的な「嘘」だったような気もするのだ。
  ◎クリスマス明けの会見
   「調査報告書」が発表されたのは、2014年のクリスマ
  スの日だった。サンタのプレゼントにしては皮肉だが、その
  翌日、理研調査委の記者会見が行われた。記者たちとの問答
  には、「調査報告書」を自ら執筆した桂委員長が応対した。
  「STAP細胞:理研調査委員会の会見一問一答」毎日新聞
  デジタル2014/12/26より抜粋)
  ――(STAP細胞研究論文を)指導する立場とは、誰のこ
  とを言うのか。
  桂 2011年4月から約2年間なので、若山さん、笹井さ
  ん。亡くなられた方の名前を出すのは心苦しいが(研究の)
  将来を思うと、論文をまとめる人も注意を払う必要があった
  と。上層部の人は心に傷を負っていると思う。
                   http://bit.ly/1SQNhbq
  ───────────────────────────

説明責任がある若山教授.jpg
説明責任がある若山教授
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2015年08月07日

●「なぜ、捏造の証拠ばかり探すのか」(EJ第4093号)

 若山教授自身が小保方氏の指導を受けて作製した「FLS─T
1/2」の遺伝子解析の結果は、かつてCDB時代の若山研究室
に在籍した大田浩研究員が作製したES細胞由来のものである可
能性が高いことが判明したのです。これについてもう少し詳しく
述べる必要があります。
 『日経サイエンス』/2015年3月号「幻想の細胞/判明し
た正体」に次の記述があります。
─────────────────────────────
 若山氏は、2013年3月までCDBに研究室を持ち、全身で
光る蛍光たんぱく質と精子で光る蛍光たんぱく質の遺伝子をセッ
トで持つ黒マウスを飼育していた。大阪大学の岡部勝・元教授が
遺伝子導入技術で作ったマウスだ。
 STAP細胞は、このマウスに由来する可能性がある。遠藤氏
はその日のうちにCDBと若山氏に解析の結果を連絡した。理研
はそれまで一貫して「論文は撤回するので新たな調査はしない」
と明言し、残された細胞やマウスの調査にも消極的だったが、5
日後の6月30日、一転して論文の予備調査に入ると発表した。
         ──『日経サイエンス』/2015年3月号
─────────────────────────────
 ここでいう「精子で光る蛍光たんぱく質の遺伝子」とは、理研
の遠藤高帆上席研究員がいう「アクロシンGFP」のことです。
NHKスペシャル「不正の深層」についてご紹介した7月15日
付のEJ第4077号で書いています。
 理研と若山研は、STAP細胞「FLS」の8株と「FLS─
T1/2」の2株も含めて、ゲノム解析を行ったのです。さらに
東大グループも「FLS」の解析を行っています。意外なのは東
大グル―プに解析を委託したのはNHKであったことです。
 つまり、「FLS」の解析は、若山研と遠藤高帆氏をはじめと
する理研のグループ、それに東大グループの3つで行われたこと
になります。何のことはない。STAP細胞の存在を疑問視する
3グループが、STAP細胞が存在しないことの証拠を探すため
に行ったことになります。それにしてもなぜNHKが入っている
のか不思議です。3つのグループの解析結果について、『日経サ
イエンス』は次のように書いています。
─────────────────────────────
 曲折はあったが、3グループとも12月末までに、同じ結論に
たどり着いた。FLSは、かつて若山研に所属していた大田浩研
究員が2005年に、岡部氏の黒マウスと市販の白マウスを交配
して受精卵を取り、そこから作った胚性幹細胞(ES細胞)だっ
た。ES細胞は発生の研究室ではよく作られ、その手法は確立し
ている。
 9月に発足した調査委員会(桂勲委員長)は、CDBの解析に
基づいて詳細な調査を行い、今回の論文で「STAP細胞から作
った」とされていたものは、FLSのほかマウス、マウスに注射
して作ったテラトーマ(奇形腫)、別種の多能性細胞であるFI
幹細胞のすべてが、10年前に大田研究員が作製し、その後何の
研究にも使われていなかったES細胞からできていたことを明ら
かにした。STAP細胞は、最初から存在しなかったのだ。
         ──『日経サイエンス』/2015年3月号
─────────────────────────────
 STAP細胞はもしあるとすれば、今後の研究のしかたによっ
ては、人類を救うかもしれない貴重な発見です。STAP論文は
若い科学者がその手掛かりの一端を示したに過ぎないものです。
そこに多少のミスがあったとしても、そのこと自体は大きな問題
ではないと考えます。問題はそれが存在するかしないかです。
 ところがその論文が発表されるや、1ヶ月も経たないうちに重
箱の隅をつつくような論文のあら探しをする科学者が多く現れ、
それに公共放送であるNHKをはじめとする全マスコミが加わっ
て、不正を追及する大キャンペーンを繰り広げる──何かおかし
いと思いませんか。
 なぜ、その仮説が正しいと信じて、それが存在する方向で科学
者は動こうとしないのでしょうか。はじめから疑ってかかってい
ます。その結果、再生医療の分野で大きな実績のある有能な科学
者を自殺に追いやり、将来のある若き科学者を国全体が寄ってた
かって、葬り去ろうとしています。
 ところで、ここに根本的な疑問があります。若山教授が自ら作
製に成功したSTAP幹細胞「FLS─T1/2」に絞って考え
ることにします。この遺伝子の解析結果が、大田浩研究員の作製
したES細胞であったことが、どうして「STAP細胞は最初か
ら存在しなかった」という結論になるのでしょうか。
 「FLS─T1/2」は、若山教授自らがマウスを選んで交配
し、赤ちゃんマウスをつくっているのです。常識的に考えれば、
若山教授がマウスを間違えるはずはないはずです。しかし、若山
教授も人間です。間違える可能性はゼロではないはずです。
 仮にマウスを間違えていないとすると、STAP細胞は存在す
ることになります。小保方氏の言葉の指導は受けたものの、実験
の全プロセスを若山教授自身がやっているのですから、小保方氏
がES細胞を混入させる機会はゼロということになります。
 しかし、理研も桂調査委員会も「FLS─T1/2」の解析は
行ったものの、この細胞については議論したくないようです。そ
れでいて、若山教授本人も桂委員長も「FLS─T1/2」とい
う幹細胞のことは認めているのです。
 『日経サイエンス』によると、「全身で光る蛍光たんぱく質と
精子で光る蛍光たんぱく質の遺伝子をセットで持つ黒マウスを飼
育していた」とあります。仮に若山教授が「FLS─T1/2」
を作製するとき、その黒マウスと白マウスを交配させてSTAP
細胞を作ったとすると、その幹細胞の遺伝子は「アクロシンGF
P」を持つES細胞と一致するのではないでしょうか。これにつ
いては、来週さらに詳しく追及することにします。
             ── [STAP細胞事件/066]

≪画像および関連情報≫
 ●重箱の隅をつつくような事をしていると社会は停滞する
  ───────────────────────────
   安倍内閣は、研究者に高給を認めるなど、理化学研究所を
  優遇する法案の今国会成立を断念する方向で調整に入ったそ
  うだ。法案は、理研を世界最高水準の研究機関にしようと、
  「特定国立研究開発法人」に指定する趣旨。この法案を巡っ
  て【何か指令が下った】のだろうか?
   ハーバード大学バカンティ教授は、STAP細胞の論文は
  取り下げるべきではないと主張している。香港中央大学では
  STAP細胞生成を再現できたと発表している。
   理研側は写真の切り貼りを問題視しているが、商業写真で
  はよくある「トリミング」作業である。論文では許されない
  のかも知れないが、ネイチャーの限られた紙面で分かりやす
  いように加工した、という小保方さんの主張はあくまで善意
  の事であり、咎め立てするような性質ではない。
   もう一点の写真は問題が発覚する前に間違いの申告は行わ
  れていた。ホテルを定宿にしていたのは、ハーバード大学の
  研究員であった時期でハーバード側が費用負担を行っていた
  そうだ。日米間で研究者の待遇差があるのも実情のようだ。
  推測だが、小保方さんでないと出来ない「属人的」な作業内
  容があったのではないかと思われる。
   バカンティ教授は「細い管を通す」事がSTAP細胞を作
  る上での秘決だとしている。この細かい作業を効率よく行え
  る人物が小保方さんだったのではなかろうか?と、私は考え
  ている。青色LEDを開発した中村修二氏は、試験に使うガ
  ラス管の加工を毎日繰り返す事により、高度な職人芸を身に
  つけた事を自著で述べている。私がいらいらするのは、この
  程度の瑣末なミスを針小棒大に天地がヒックリ返らんかのよ
  うに報道し、それらを鵜呑みにする連中である。
                  http://amba.to/1IAkW7Q
  ───────────────────────────

実験をする小保方晴子氏.jpg
実験をする小保方 晴子氏
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2015年08月10日

●「マウス手交ミスは考えられないか」(EJ第4094号)

 若山照彦山梨大学教授自身が自らマウスを交配させ、その子マ
ウス(生後1週間)から、小保方氏のプロトコルにしたがって作
製に成功したSTAP幹細胞(「FLS─T1/2」)の遺伝子
解析の結果が、アクロシンGFPを持つES細胞(FES1)の
遺伝子と一致したということは何を意味するのでしょうか。
 「FLS─T1/2」の作製は、すべてのプロセスを若山教授
自身が操作しているので、小保方氏がES細胞を混入させること
は不可能です。それでもSTAP幹細胞が作製できているという
ことは、「STAP細胞はある」ということになります。
 それでもその解析結果が、ES細胞の遺伝子と一致したという
ことは、若山教授のマウスの手交ミスしか考えられないことにな
ります。かつてCDB時代の若山研では、アクロシンGFPが組
み込まれたマウスを飼育していたのです。このマウスは、大阪大
学の岡部勝元教授が遺伝子導入技術で作製した黒マウスで、岡部
研から提供されたものです。
 若山教授が岡部研提供の黒マウスと市販の白マウスを交配して
赤ちゃんマウスをつくり、それからSTAP幹細胞を作製したと
すると、その遺伝子は同様の方法で作製したES細胞(FES1
/大田浩研究員作製)と遺伝子はほとんど一致するはずです。そ
れは当たり前のことです。
 調査委員会は、「FLS─T1/2」については遺伝子解析を
しているにもかかわらず、本音では議論したくないのです。した
がって、「FLS─T1/2」は論文に関係がないとしてスルー
しています。都合が悪くなると、論文とは違う、関係ないとして
逃げるのです。調査委員会の記者会見でも、ある記者がこの点を
鋭く衝いた迫真のやり取りがあるので、その部分を再現します。
─────────────────────────────
記者:たとえば、FES1(大田浩研究員作製のES細胞)から
   キメラマウスを作って、そこからSTAP細胞を作れば、
   ここまで一致するということはないのか。
桂 :ええと、ES細胞からキメラマウスを作り、そこからST
   AP細胞を作れば、かなり似たものができると思う。
記者:ということは、ここまで極めて遺伝子的特徴が一致するこ
   とは、ありえなくはないということか。
桂 :(困惑して笑いつつ)米川先生(※1)どうですか。マウ
   スの専門家としてのご意見は?
米川:遺伝学の立場からすれば、そういった可能性はあまりない
   と思う。完全にないとはいえない。これは科学の世界では
   何点何%という限られた事実でしか判定できないので、一
   般の方がいわれるように、たとえば、99・9%、0コン
   マ01%あるから、違うんじゃないかといわれても、そう
   いったことは、普通科学の常識としてありません。
記者:まったく違う場合に極めて同じになることは確率的にはあ
   り得ないが、今のようなやり方でやれば、極めて似てしま
   うことはありうるということでいいか。
桂 :ES細胞とESを作ったといわれるマウスとがかなり違っ
   た点がいっぱいあることはわかっている。
記者:ということは、そういった方法で作れば、似ているかもし
   れないが、そうした可能性はほぼありえないということで
   いいのか。
桂 :(戸惑いつつ)伊藤先生(※2)、いかがですか。
伊藤:それはSTAP細胞が存在しても話として成り立つのでは
   ないかということか。もし仮にそうだったとしても、そん
   な面倒くさいことをしなくても、そのままやれば個体を発
   生させることはできるわけだが、それはできないことでは
   ないが、論文記載の方法とは全く違うということはいえる
   と思う。
            ──研究論文調査委員会記者会見より
    ※1/米川博通氏/東京都医学総合研究所シニア研究員
    ※2/伊藤武彦/国立大学法人東北大学教授
─────────────────────────────
 記者は、ES細胞からキメラマウスを作り、そのキメラマウス
と他のマウスを交配させて子マウスをつくり、その子マウスから
STAP細胞を作った場合、元のES細胞の遺伝子とほぼ一致す
るのではないかと質問したのです。
 桂委員長は思わず「かなり似たものができる」と答えてしまい
「しまった」と思ったのではないでしょうか。桂委員長は若山氏
と小保方氏を聴取しているので、ある程度の事情はわかっており
岡部研由来のマウスのことも知っているはずです。
 しかし、これに明確に答えると、調査委員会の結論が覆される
ので、米川、伊藤両氏に意見を求め、論点をぼかして逃げたので
す。伊藤氏も論文のやり方とは違うとはいうものの、それがあり
うることを認めています。
 当時CDB時代の若山研究室には、岡部研の黒マウスや、ST
AP細胞から作製したキメラマウスなどが多く飼育されていたの
です。もちろんマウスの管理はきちんとやっていたのでしょうが
マウスを交配するとき、人間のやることですから、間違ってしま
う可能性は十分あると思います。
 しかし、STAP細胞に疑惑が生じたとき、疑惑の矛先はすべ
て小保方氏に向けられ、若山教授サイドのマウスの手交ミスを疑
う人は誰もいなかったのです。メディアも若山教授を情報源にし
ていたせいか、一貫して若山教授サイドの情報は正しいとして、
すべて小保方氏サイドを疑っています。小保方氏サイドに立って
いたのは、笹井芳樹氏と丹羽仁史氏の2人だけです。それはあま
りにも異常な現象であり、そのプレッシャーからか、日本にとっ
て貴重な再生医療の権威である笹井芳樹氏を自殺に追いやってし
まったのです。本当に痛ましい話です。
 果して小保方氏に桂調査委員会の結論が強く示唆するES細胞
の混入が本当に可能だったのでしょうか。明日のEJで引き続き
検証していくつもりです。 ── [STAP細胞事件/067]

≪画像および関連情報≫
 ●STAP細胞は何だったのか/粥川準二氏
  ───────────────────────────
   STAP細胞問題とはいったい何だったのか?
  「事件」ともいえるこの問題にはあまりにも多くの側面があ
  り、一言で表現するのは不可能である。しかしながら、現時
  点で一つはっきりしていることは、小保方晴子氏だけでなく
  理化学研究所(以下、理研)幹部を含む当事者たちは、科学
  という営みの前提であるはずの「信頼」を内部から崩壊させ
  たということであろう。
   この問題のおかげで2014年は、最初から最後までST
  AP細胞に振り回された年だった。その余波は2015年の
  いまも続いている。昨年1月末、このSTAP細胞という新
  しい「万能細胞」の作成成功が報じられたとき、筆者がまず
  気になったのは、胎盤にも分化できることなど、iPS細胞
  とは性質が異なるといわれているこの細胞を研究したり、臨
  床応用したりすることには、何からの生命倫理的な問題──
  より適切にはELSI(倫理・法律・社会的問題。「エルシ
  ー」と発音)──はないのか、ということであった。それを
  考えるために原著論文を手に入れ、解説記事なども参照しつ
  つ、辞書を引きながら少しずつ読み始めていたところ、ネッ
  ト上で研究不正の疑惑が流れ始め、それらと原著論文を照ら
  し合わせるのがやっとという状態になってしまい、ELSI
  どころではなくなってしまった。 http://huff.to/1IpsASK
  ───────────────────────────

研究論文調査委員会の結論.jpg
研究論文調査委員会の結論
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2015年08月11日

●「ES細胞の混入は事実上できない」(EJ第4095号)

 「STAP細胞の正体はES細胞である」──これは桂調査委
員会の結論ですが、これは次の2つの可能性があることを意味し
ています。
─────────────────────────────
 1.ES細胞をSTAP細胞であるとし、それから幹細胞や
   キメラマウスを作製する。
 2.STAP細胞にES細胞を混入させ、それから幹細胞や
   キメラマウスを作製する。
─────────────────────────────
 仮に小保方氏が犯人であるとして、上記のことが実際に可能か
について考えることにします。
 最初に「1」について考えます。
 小保方氏は、若山教授から生後1週間の赤ちゃんマウスを受け
取り、一連の処理──刺激と培養により、緑色の細胞の塊を作る
──を施しますが、STAP細胞であるとして若山教授に渡すの
は、緑色の細胞の塊ではなく、ES細胞である場合です。
 これは「ありえない」ことです。若山教授といえば、常日頃か
らES細胞の扱いに慣れている人であり、小保方氏から「STA
P細胞である」として渡された細胞がES細胞そのものであれば
目視でそれを見抜けないはずがないからです。
 故笹井博士も強調していたように、STAP細胞はES細胞と
は細胞のサイズや形状が異なるからです。「日経サイエンス」が
行ったインタビューで当の若山教授は、「STAP幹細胞はES
細胞と似ているが、STAP細胞はES細胞とは違う」と、次の
ように話しています。
─────────────────────────────
――STAP細胞はどんな細胞だったか
若山:細胞が塊を作っていて,全体のサイズも細胞のサイズも桑
   実胚に似ていた。増殖して塊になったのではなく,バラバ
   ラだったものが集まってできたもの。そのままでは弱く,
   桑実胚と違ってすぐに死んでしまう。
──詳しく教えてほしい。
若山:STAP細胞からSTAP幹細胞への樹立は、3〜5日で
   できる。一方、(桑実胚よりも発生が進んだ)胚盤胞から
   ES細胞を作るのでさえ1〜2週間必要だ。
──STAP細胞からSTAP幹細胞に変わるのはそんなに速い
  のか。
若山:STAP細胞は増殖の速さからみて,1日目で増殖を始め
   ている。樹立成績も,胚盤胞からES細胞を作るのは50
   %程度だが、STAP細胞からSTAP幹細胞は、80〜
   100%と非常に高い。実験当時もこのことは頭にあった
   が、STAP細胞というのは本当にすごい細胞だと思って
   いた。
──STAP幹細胞はどういう細胞か
若山:外見も,増えるところもES細胞によく似ている。キメラ
   マウス作りもSTAP細胞は独自の工夫が必要だが、ST
   AP幹細胞ならES細胞と同じ通常の手順でできる。胎児
   にしかならず、胎盤にはならない点もES細胞と同じだ。
       ──「日経サイエンス」 http://bit.ly/1NgXb4J
─────────────────────────────
 ここで「桑実胚」というのは、ごく初期の胚の名前です。胚と
いう名をもらう最初の段階です。既にご紹介しているように、受
精卵からの分裂は次のようになります。
─────────────────────────────
 受精卵→2細胞期→4細胞期→8細胞期→16細胞期→32
 細胞期→桑実胚期→胚盤胞期     http://bit.ly/1EuEEMU
─────────────────────────────
 最初の分化は、この「桑実胚期」と「胚盤胞期」の間で起こり
2つの分化が起きるのですが、その一つ「内部細胞塊」を体外で
培養できるようにしたものがES細胞なのです。
 若山教授は、STAP細胞とES細胞ではサイズが違うことに
加えて、幹細胞を作る日数も異なるといっているのです。そんな
若山教授がSTAP細胞としてES細胞を渡されて、騙されると
はとうてい思えないのです。
 続いて「2」について考えます。
 この場合は、赤ちゃんマウスの脾臓からリンパ球を取り出し、
弱酸性の液に浸して刺激を与え、それを培養するのですが、その
さい、培養液にES細胞を混入させることが考えられます。この
可能性についても「日経サイエンス」の記者は、若山氏に確かめ
ています。
─────────────────────────────
──もし、STAP細胞にES細胞が混入していたとしたら、説
  明がつくのでは
若山:ES細胞が浮遊培養によってSTAP細胞のような塊を形
   成するのであれば説明はつくかもしれないが、確認しない
   限りわからない。       ──「日経サイエンス」
─────────────────────────────
 この若山教授の応答に関して、「理研STAP細胞論文調査委
員会報告、改革委提言等への根本的疑問」のブログでは、次のよ
うに論評しています。
─────────────────────────────
 ES細胞が浮遊培養によってSTAP細胞のような塊を形成す
るのであれば説明はつくかもしれない」というが、遠藤高帆氏は
「ES細胞は通常シャーレに接着し浮遊細胞塊とはなりませんの
でやはり見た目で区別がつきます」と指摘しており、浮遊培養が
できず、細胞塊にならない以上、ES細胞ではあり得ないはず。
「確認しない限りわからない」との発言は、専門家ならすぐわか
るはずの点を曖昧にしている感がある。 http://bit.ly/1NgXb4J
─────────────────────────────
             ── [STAP細胞事件/068]

≪画像および関連情報≫
 ●ES細胞混入仮説は科学的真実なのか
  ───────────────────────────
   それにしても、STAP細胞をめぐる科学的論議が深まら
  ないのは不思議な限りです。「遺伝子の特徴の99.〜〜〜
  %の一致により、ES細胞だ」と「権威ある不正調査委員会
  の調査」により断定されたら、それで多くは思考停止状態に
  見えます。(中略)
   どうもよくわからないのは、「ES細胞混入仮説」は「S
  TAP細胞仮説」とは別途の仮説であり、主張であるとの認
  識が共有されないために、議論が混迷してしまっているよう
  に感じます。笹井氏が述べたように「ES細胞混入」という
  のは、「STAP細胞仮説」への反証仮説なのですから、仮
  説を補強するために、矛盾する材料を説明しなければなりま
  せん。ところが、「ES細胞混入仮説」を批判すると「じゃ
  あ、STAP細胞があると証明してみよ」とか、「理研や調
  査委に言うのが筋だろう」とか、あげくは、「権威ある委員
  会が出した公式の結論を(根拠なく?)批判するのは名誉毀
  損だ」とか、あるいは「小保方氏が異議申立てをしなかった
  のだから、ES細胞であることは小保方氏も認めたというこ
  とだから、他人がとやかく言う必要はないんだ」とか、なん
  でそういう話になってしまうのかよくわかりません。「ES
  細胞混入仮説に疑問を呈する議論は外野はするな!」といっ
  ているように聞こえます。     http://bit.ly/1eZKJua
  ───────────────────────────

桑実胚と胚胞.jpg
桑実胚と胚胞
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2015年08月12日

●「遺伝子解析だけで結論できるのか」(EJ第4096号)

 2014年12月25日に発表された桂勲氏を委員長とする理
研の「研究論文に関する調査委員会」による報告書と、26日に
開催された調査委員会メンバーによる記者会見をめぐっては、表
のメディアは報告書の内容をそのまま受け入れ、一切の批判をし
ていないものの、ネット上ではさまざまの疑問が噴出し、批判記
事が多く出ています。
 EJではそれらの記事のほとんどを読んで、今回のテーマの記
事を書いていますが、次の記事は報告書と記者会見でのやり取り
について鋭い分析を加え、問題点を浮き彫りにしています。とく
に今回のテーマの結論部分に使えるので、この後も参照させてい
ただくつもりです。
─────────────────────────────
 桂STAP調査委報告書への疑問──ES細胞混入があり得
 ない材料と、マウスの手交・交配ミスの可能性無視
       ──2014年12月31日/投稿者/南青山
                  http://bit.ly/1go5Ya6
─────────────────────────────
 昨日のEJ第4095号で述べたように、どのように考えても
小保方氏がSTAP細胞をこっそりES細胞とすり替えたり、S
TAP細胞にES細胞を混入させることは不可能なのです。仮に
それをやったとしてもすぐばれてしまうはずです。このことは、
故笹井芳樹氏も、丹羽仁史氏も、そして誰よりも若山照彦教授ご
自身が一番よくわかっているはずです。これについて、上記の南
青山氏は、「疑問4」として次のように述べています。
─────────────────────────────
 「疑問4」ES細胞が混入すれば、大きさ、増殖速度の差異な
どで、直ちに峻別できるのではないのか?
 調査委員会は、「インキュベーターでシャーレで培養中に何者
かがES細胞を混入した」との見立てに立ち、わざわざ、研究室
の見取り図まで示して、アクセスできる者、時間、管理状況につ
いて説明しています。小保方氏とは断定はできないものの、ほと
んど小保方氏であると、いわんばかりのニュアンスを出していま
す。しかし、ES細胞が混入したならば、大きさや形状が異なる
ことから、すぐに見てわかることは、研究者の常識ではないので
しょうか?それに、ES細胞だったら増殖能が強いですから、数
日の培養期間中にどんどん増えてしまうことでしょう。
        ──2014年12月31日/投稿者/南青山
─────────────────────────────
 もし、小保方氏がES細胞を混入したのではないとすれば、南
青山氏のいうように、若山教授側のマウスの手交ミス、交配ミス
が考えられますが、桂調査委員長はそれについては調査の対象外
としてスルーしています。
 どうしてかというと、その議論をするとSTAP細胞が存在す
ることを認めざるを得なくなるからです。どういうわけかはわか
りませんが、この調査の目的は、「STAP細胞の正体はES細
胞であり、最初から存在しない」という結論に導いて、STAP
細胞事件の幕引きをすることにあるとしか思えないのです。それ
が理研の目的だったのではないでしょうか。
 この桂調査委員会の結論をいかにも本当らしく見せているのは
次の3つの事実です。
─────────────────────────────
 1.遺伝子解析の話なので、素人にとっては難解であり、多
   少の矛盾があっても本当らしく思えること。
 2.小保方氏が混入したとされているES細胞が小保方研の
   冷凍室で発見されたと演出されていること。
 3.小保方氏自身の手になる再現実験においてSTAP細胞
   の存在を証明することはできなかったこと。
─────────────────────────────
 ひとつずつ検証していきます。
 「1」に関しては、素人は、エライ先生が集まって遺伝子を解
析したのであるから、間違っていないと思ってしまいますが、実
はこれは必ずしも正しくないのです。その証拠に最近DNA鑑定
の結果、殺人罪で死刑判決を受けた人が間違いとわかって無罪に
なったことがいくつか起こっているではありませんか。
 遺伝子解析に詳しいと思われる方のブログで、次の記事を見つ
けたので、ご紹介します。テーマは「小保方さんのSTAP細胞
の真相」です。
─────────────────────────────
 2002年、アメリカワシントン州の女性が2人の子供の生活
保護を受けるためにDNA鑑定を行いました。結果は2回とも自
分の子として認められず、生活保護が受けられないばかりでなく
社会福祉局から他人の子を身代りに申請したとして告訴されてし
まった。彼女は3人目を身ごもっていたので、出産の時、弁護士
・医者たちあいのもとで、3人目の子のDNA鑑定を受けたが、
それでも他人という結果がでてしまった。
 これはおかしいというので、彼女の身体中の細胞をDNA鑑定
をした結果、子宮の細胞から3人の子供と一致したDNAが見つ
かった。彼女は2種類の異なったDNAを持っていたのです。こ
のような2種類のDNAを持っている人間を「キメラ」というが
キメラが世界にどれくらいいるかは分かっていません。少なくと
も科学者はこの事件が起こるまではキメラがいることは分かって
いなかった。        ──「武藤のニュース日記」より
                   http://bit.ly/1TdJPNx
─────────────────────────────
 遺伝子解析というのは絶対ではないのです。STAP幹細胞の
遺伝子解析の場合、「よく似ている」という表現が使われており
100%正しいとは断定できないのです。小保方氏の場合、仮に
正しいとしても、その事実から「STAP細胞の正体はES細胞
である」という断定は、あまりにも論理が飛躍しています。結論
ありきです。       ── [STAP細胞事件/069]

≪画像および関連情報≫
 ●「小保方さんのSTAP細胞の真」/武藤のニュース日記
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   では、小保方さんの事件はどうか?
  理研の調査委員会は、STAP細胞は存在せず「ほぼ」誰か
  がES細胞を混入させた不正・・・と結論づけました。それ
  に対し、小保方さんも周りのスタッフも否定しています。
  ES細胞というのは、これから子供になる受精卵のことで、
  既に万能細胞だということは科学者なら分かっていることで
  す。小保方さんが故意にES細胞をSTAP細胞だとでっち
  上げる動機はありません。
   理由の一つは、同じことを再現できませんから、すぐばれ
  ます。二つ目は、STAP細胞の研究の最終目的は「人間」
  の難病を治療することにあるはずです。もしSTAP細胞が
  ES細胞のでっち上げであった場合、治療に必要な「人間」
  のES細胞をどこからか盗んでこなければなりません。マウ
  スのES細胞なら盗めるかもしれませんが、「人間」のこれ
  から子供になる受精卵(ES細胞)を盗んで殺して、治療に
  使うことは できますか?人殺しになってしまいますよ。
   小保方さんも、自殺した上司の笹井さんも、最高級の経歴
  ですし、理研の待遇は大学教授以上といわれています。(理
  研は役人が天下りし放題の独立行政法人)。つまり、小保方
  さんも笹井さんも、ES細胞をSTAP細胞だとでっち上げ
  る動機が全くないのです。     http://bit.ly/1TdJPNx
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DNA鑑定.jpg
DNA鑑定
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | STAP細胞事件 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月13日

●「真犯人は理研の内部に確実にいる」(EJ第4097号)

 STAP細胞に関する桂調査委員会の結論──「STAP細胞
の正体はES細胞であり、最初から存在しない」を本当らしく見
せている3つの事実を再現します。
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 1.遺伝子解析の話なので、素人にとっては難解であり、多
   少の矛盾があっても本当らしく思えること。
 2.小保方氏が混入したとされているES細胞が小保方研の
   冷凍室で発見されたと演出されていること。←
 3.小保方氏自身の手になる再現実験においてSTAP細胞
   の存在を証明することはできなかったこと。
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 「2」について考えます。STAP細胞が存在しては困る一派
は、小保方氏をES細胞の捏造の犯人にするための罠を二重にも
三重にも仕掛けているように見えます。
 小保方氏は、STAP細胞の実験用に若山研からES細胞──
GOF─ESを譲渡してもらっています。若山研の元留学生李氏
の作製したES細胞です。これについては、若山教授も李氏自身
も認めている事実です。
 ところがNHKスペシャル「STAP細胞/不正の深層」では
いかにも小保方氏がこのES細胞を若山研の引越しのどさくさ紛
れに盗んだともとれるような報道をしてしますが、事実は大きく
異なります。
 それにNHKスペシャルでは、小保方研の冷凍庫から発見され
たES細胞は、遠藤高帆上席研究員の指摘する「全身と精子で光
る」アクロシンGFPが組み込まれている特殊なES細胞(FS
1/2)であることを匂わせる編集が行われていることは既に述
べた通りです。かつてCDB時代の若山研に2009年まで在籍
していた大田浩氏作製のES細胞です。
 大田氏はこのES細胞を2009年の転出時に全て持ち出して
おり、小保方氏が若山研の客員研究員になった2011年4月に
は、若山研には存在しなかったのです。ところが、その大田ES
細胞が「ES」と書かれた3本のチューブに入れられ、小保方研
の冷凍庫のなかから発見されているのです。2014年6月のこ
とです。(添付ファイル参照)
 つまり、小保方研の冷凍庫には李ES細胞と大田ES細胞の両
方が発見されたことになります。犯罪捜査でいえば、まさに動か
ぬ証拠というわけです。ちなみに3本のチューブに、手書きで書
かれている「ES」の文字は大田氏の筆跡ではないことはわかっ
ています。
 2014年2月18日にSTAP論文の不正を調査するための
調査委員会を理研が設置した時点以降、小保方氏は自分の研究室
の出入りを禁じられています。そのため、小保方氏は研究室のな
かのものを持ち出したり、廃棄したりできなくなったのです。そ
うすると、この時点で次の2つの疑問が生じます。
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 1.大田ES細胞のチューブを小保方氏はどのようにして入
   手し、冷凍庫に入れることができたか。
 2.研究論文に関する調査委員会は、大田ES細胞の遺伝子
   解析をどのようにして実施できたのか。
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 大田ES細胞は、2009年の大田氏の転出以降、CDBには
存在していないのです。存在していない大田ES細胞を小保方氏
が入手できるはずがないし、入手する必要もないのです。
 ちなみに、桂委員長は、「ES」のラベルの付いている3本の
チューブを小保方氏と若山教授に見せて確認を求めたところ、2
人とも見たことはないと答えています。2人のいっていることが
本当だとすると、封印してあるはずの小保方研に出入りできる何
者かが冷凍庫に入れたことになります。
 もうひとつの疑問は、調査委員会は大田ES細胞の遺伝子解析
をしていますが、そのES細胞をどのようにして、入手したので
しょうか。存在していないものは解析できないからです。
 これについては、既に述べているように、若山研が大田氏に依
頼して、山梨大学の若山研に冷凍詰めにして送ってもらっている
のです。2014年6月のことです。そうすると、大田ES細胞
は2014年6月上旬には若山研にあったことになります。
 このことはメディアではなぜか報道されていませんが、知らな
いはずがないと思います。ネットにも出ているからです。それと
も明らかにすると、この大田ES細胞に関する限り、小保方氏は
関係ないことになり、STAP細胞事件の構図はガラリと変わっ
てしまうからでしょうか。
 STAP細胞事件について書いている「DORAのブログ」と
いうのがあります。そのブログでは、理研内部の笹井/小保方氏
への強い反発について次のように書いています。
─────────────────────────────
 彼(あるいは彼ら)は、どうして小保方さんに対してこれほど
の敵意を抱くのだろうか。その第1は、STAP細胞研究が華々
しく成功すれば、最近の「選択と集中」「成果主義」によって、
笹井氏と小保方さんに予算と報酬が集中し、自分たちが片隅に追
いやられてしまうからである。また、さほど有能にも見えない若
い女が笹井氏の寵愛を一身に受けているのも気に入らなかっただ
ろう。で、STAP論文にほころびが出たのをきっかけに、彼ら
は一気に攻勢に出たわけだ。マスコミによる激しい内部リーク攻
勢にあって、笹井氏は耐えきれずに自殺した。笹井氏はCDB内
部で首を吊った。そして小保方さんに「あなたのせいではない」
と書き残した。死にゆく人は、自分の生命と引きかえにするので
あるから、真実を言い残すだろう。その意味するところは「小保
方さんは悪くない。真犯人はCDB内部にいる・・・」である。
                   http://bit.ly/1PhYwtl
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             ── [STAP細胞事件/070]

≪画像および関連情報≫
 ●STAP細胞の真実。笹井氏は他殺。狙われる小保方。
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   マスゴミによる異常な小保方叩きや、話題を「STAP細
  胞細胞の存在」から「論文盗作」へと切り替えようと必死に
  なっている様を見ていると、「これは絶対裏がある」と思っ
  た方は私だけじゃないはず。そう、STAP細胞は本当にあ
  るんです。これを必死にもみ消そうとしている団体、あるは
  組織があるのです。STAP細胞騒動の真相へと迫りたいと
  思います。
   STAP細胞が完成した場合を考えてみてください。ST
  AP細胞とは何か?STAP細胞とは何にでも生まれ変わる
  ことが出来る万能細胞です。文字通り、「何にでも」です。
  STAP細胞があれば、人間の内蔵を再生することが可能に
  なるのです。綺麗な内蔵を作り出すことが出来れば、医療治
  療に大きな革命を起こすことが出来ます。例えば、胃ガンや
  肺ガンなどになった時に、通常であればガンに侵されている
  部分の切除をする治療が行われますが、STAP細胞があれ
  ば切り取った内蔵をまるごと再生することが出来るのです。
  この根本となる細胞についての世界特許を持った人、もしく
  は団体があれば、数百兆円規模の巨額の利権を手に入れるこ
  とが出来ます。このSTAP細胞は、ものすごく大きな経済
  的利益をもたらす細胞なのです。理化学研究所は、STAP
  完成は小保方さんの技術によるものが大きいので、その方法
  を知らなければ利権にありつけることが出来ません。お金を
  手にすることが出来ないのです。理研や、その他多くの企業
  や団体、組織は、小保方さんが持つSTAP細胞のレシピを
  手にすることで必死なのです。   http://bit.ly/1IVt9iL
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小保方研で発見されたES細胞.jpg
小保方研で発見されたES細胞
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(1) | TrackBack(0) | STAP細胞事件 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする