ニュースが伝えられたのです。
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内閣府が17日発表した2014年7〜9月期国内総生産(G
DP、季節調整値)の速報値は、物価変動の影響を除いた実質
で前期比0.4 %減、年率換算で1.6 %減だった。成長率が
マイナスになるのは2四半期連続。4月の消費税増税の影響や
夏場の天候不順で個人消費の回復が弱かったほか、企業の設備
投資なども伸び悩んだ。景気が低迷している状況があらためて
鮮明になった。 ──2014年11月17日付/東京新聞
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7〜9月期のGDP速報値が「マイナス1.6 %」と伝えられ
た17日にも、2015年10月からの消費税再増税をすべきか
どうかを判断する有識者点検会合が開かれたのです。出席者は次
の10人であり、こんな状況でも再増税は予定通りに行うべきと
いう意見は8人、再増税反対の意見は2人だったのです。
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≪消費再増税に賛成≫
深尾光洋慶大教授
西岡純子RBS証券チーフエコノミスト
富山和彦経営共創基盤最高経営責任者
SMBC日興証券の末澤豪謙・金融財政アナリスト
野村資本市場研究所の江夏あかね主任研究員
みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト
平野信行・全国銀行協会会長
稲野和利・日本証券業協会会長
≪消費再増税は反対≫
若田部昌澄早大教授
三菱UFJリサーチ&コンサルティング片岡剛士主任研究員
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この点検会合は人選が問題なのです。有識者の人選は、増税実
現が悲願の財務省が仕切っているからです。点検に参加してもら
う有識者は、テレビなどでの発言や著書によって消費税増税につ
いてどう思っているかがわかっている人が選ばれています。
したがって、人選に当たった財務省は、有識者を「賛成7対反
対3」の割合で点検会合に呼んでいます。官僚が民意を聞くと称
して、いつもやっている汚いやり方です。
このようなことは考えたくはないのですが、財務省には「消費
増税説明隊」というチームがあり、点検会合に出席する有識者全
員のところに説明に行っている可能性が十分あります。これは露
骨な世論誘導であり、やってはならないことです。この会合での
賛成意見と反対意見を次にまとめておきます。
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≪賛成意見≫
消費税再増税の延期が必要なほど足元の景気が落ち込んでいる
わけではなく、むしろ先送りで日本財政への信認が損なわれる
ことが懸念される。今年4月の消費増税の影響は「想定よりも
やや大きかった」ことは確かであるが、天候不順など「一時的
な要因も多い」ので、「消費再増税の判断を左右するレベルで
はない」との認識で、再増税賛成派の意見は一致している。
≪反対意見≫
若田部氏は、消費税再増税はデフレ脱却を最重要課題と位置づ
けているアベノミクスに矛盾しており、財政再建は経済成長に
よってのみ可能である。むしろ消費税は8%から5%に戻すべ
きである。ただし名目3%、実質2%の成長が2年程度安定し
て達成できれば増税を考えてもよい。片岡氏は消費税再増税の
延期と3兆円規模の経済対策が必要であると主張している。
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第4回の人選は、増税賛成の深尾教授と反対の若田部教授を両
極にすえ、証券会社系研究員4人、銀行関係者2人、それにWB
Sのコメンテーターも務める富山和彦氏の10人です。証券会社
と銀行には財務省の意向が強く伝わっていて、増税には反対でき
ないのです。それにテレビのコメンテーターも財務省の目が光っ
ているので、増税反対者、脱原発論者は外されることは確実で、
どうしても発言が控え目になってしまうものです。
反対派の片岡剛士氏は、8%に上げるときの点検会合で、増税
すれば、成長率の足を引っ張ると強硬に反対を主張した人です。
それを無視して8%引き上げを実施した結果がこれです。反省の
かけらもないのです。「はじめに再増税ありき」で今回も点検会
合を儀式のように粛々とやっていた財務省にとって、安倍首相の
増税延期は寝耳に水の青天の霹靂であったと思います。
今回の消費税増税をめぐり、許し難い財務省の謀略が飛び交っ
ています。彼らは民主党が政権を握っていたときから、今回の増
税を仕掛けてきており、「税と社会保障の一体改革」の法律を成
立させたのです。しかし、自民党は身を切る改革をやると約束し
ながら、その約束を果たしておらず、消費増税分は全額社会保障
に使うといっていますが、それも疑わしい限りです。日本の財政
は本当に危機に瀕しているのでしょうか。消費税増税は本当に必
要なのでしょうか。
EJの読者からは、アベノミクスをテーマに取り上げて欲しい
という意見をいただいています。しかし、経済のテーマは別のタ
イトルのなかでも取り上げているので、ビットコインの後は別の
テーマを考えていたのですが、安倍政権による突然の消費増税先
送りの決定と解散・総選挙になったので、今日から次のタイトル
で短期連載で取り上げることにします。
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アベノミクスで本当に日本経済は復活するのか
──消費税増税で財政再建は進むのか──
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──── [検証!アベノミクス/01]
≪画像および関連情報≫
●GDPマイナスで最大の要因は在庫調整の進展/甘利再生相
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[東京 17日 ロイター]──甘利明経済再生担当相は、
17日、7〜9月期国内総生産(GDP)速報値が予想に反
してマイナス成長となったことについて「最大の要因は在庫
調整が進展したことだ」と指摘した。そのうえで、消費税率
10%への引き上げに関し、安倍晋三首相が帰国後に速やか
にその可否を判断するとの見通しを示した。同日午前、速報
値の発表を踏まえ都内で記者会見した。甘利担当相はその中
で、在庫調整の進展が、マイナス成長に陥った背景にあると
するのと同時に、今年4月の消費税率8%への引き上げで、
「住宅投資と設備投資がマイナスになった」ことも理由に挙
げた。そのうえで甘利担当相は「デフレマインドが払拭しき
れないなかでの消費税引き上げは、想定よりインパクトが大
きい」との認識を示し、安倍晋三首相が近く判断する10%
への増税可否について、「消費増税で景気が失速し、デフレ
に戻ってはいけない。あす以降、(消費増税や景気対策、解
散などの)何らかの判断が出ると思う」と語った。消費税率
10%への引き上げそのものは必要との認識も示した。社会
保障の財源の半分を借金で賄っている現状では、将来にわた
って制度そのものを維持できないためだ。甘利担当相は「安
定、充実した社会保障には安定財源が必要」と強調した。
http://bit.ly/1vkfO31
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第4回消費再増税有識者点検会合