2013年10月10日

●「9月14日以前の出席の記録なし」(EJ第3649号)

 検察審査会が1回目の「起訴相当」議決を出し、2回目の審査
を行うには、次の2つのことを行う必要があります。昨日のEJ
で検討しましたが、2つのやるべきことを再現します。
―――――――――――――――――――――――――――――
  1.検察官を検察審査会議に出席させ意見を述べさせる
  2.専門家として弁護士を審査補助員に委嘱し審査する
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢事件の場合、「1」の検察官は斎藤正博東京地検副部長で
すが、議決日の2010年9月14日以前に東京第5検察審査会
に出張して説明したという記録がないのです。
 東京地検と東京地裁は目と鼻の先にあります。したがって、そ
こに行く場合は、旅費を支払うケースでないため、出張扱いとは
せず、報告書もとっていないということを法務省刑事局は文書で
森ゆうこ議員(当時)に回答(10月9日のEJ参照)してきて
います。しかし、これは大ウソです。森議員らの情報開示請求に
よって、「出張管理簿」が提出されたのですが、そこには東京地
裁への出張でもちゃんと記録が残されており、9月14日以前の
斎藤副部長の出張記録はないのです。
 この件について、森ゆうこ議員が、2012年7月10日の参
議院予算委員会で、法務省の稲田刑事局長に糺しています。森氏
の鋭い質問にも稲田刑事局長は平然と矛盾満ちたウソの答弁を繰
り返していますので、その鉄面皮ぶりをぜひ見ていただきたいと
思います。時間は6分13秒です。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ◎2012年7月10日参議院予算委員会
 「森議員の起訴議決無効の質問」 http://bit.ly/17iFCKD
―――――――――――――――――――――――――――――
 これではっきりしたことは、9月14日以前に斎藤副部長が東
京第5検察審査会に出張した記録はないということです。という
ことは、行っていないということになります。
 この件について志岐武彦氏と石川克子氏は、2012年7月5
日に東京地検を訪問し、「出張管理簿」、「旅行命令簿」、「平
成21年度一般会計歳出決算報告書」を見せてもらっています。
かねてから、情報開示請求をしていた資料です。予算委員会のと
き森議員が振りかざしていた資料です。
 出張管理簿には注意書きとして次の記載があったのです。やは
り、近距離であっても出張管理簿に記載しての提出は義務付けら
れているのです。それでも稲田刑事局長(当時)は提出の必要は
ないとウソの答弁を行っています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 本書は交通費を要しない在勤地内、旅費請求によらない在勤地
 内及び100キロメートル未満の出張について、出張日毎に作
 成の上、すみやかに総務課に提出する。
 志岐武彦/山崎行太郎著『最高裁の罠/the Trap for Ozawa』
                      /K&Kプレス
―――――――――――――――――――――――――――――
 志岐武彦氏と石川克子氏は、出張管理簿を精査したものの、斎
藤副部長が9月14日以前に出張したという出張記録は見つける
ことはできなかったのです。志岐武彦氏は、このことに関連して
自著で次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 出張管理簿をめぐっていていくつか気になるところがあった。
 氏名欄のほとんどは真っ黒に塗りつぶされていたが、中にはそ
 うではないものもあり、「斎藤隆博」や「佐久間達哉」という
 名前も見つかった。山口氏(検察庁情報開示担当)に尋ねたと
 ころ、「上級職の名前のみ黒塗りせず、呈示してよいとの指示
 を受けた」とのこと。ということは、8月1日から9月14日
 に行われた2回目の起訴議決審査期間において、斎藤検事が本
 当に検察審査会に行っていたのならば、その期間の出張管理薄
 から「斎藤隆博」と書かれた出張記録が見つかるはずである。
 私たちはその期間の出張管理簿を全てめくった。しかし、「斎
 藤隆博」という名前を見つけることはできなかった。
          ──志岐武彦/山崎行太郎著の前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 続いて検察審査会がやらなければならないことの「2」につい
て検討します。小沢事件の2回目の検察審査会で審査補助員を務
めたのは、吉田繁実弁護士です。
 吉田繁実弁護士は、2010年10月6日付の読売新聞による
と、検察審査員に対して、暴力団を例に上げ、犯罪の実行犯でな
くても謀議に参加すれば共犯になることを認定した1958年の
最高裁大法廷の判決を審査員に示したうえで、小沢氏と秘書の関
係を「暴力団や政治家という違いは考えずに上下関係で判断して
ください」と説いています。まだ、犯罪者ではない国会議員の小
沢氏と秘書との関係を暴力団に例えるなどもってのほかです。
 この吉田繁実弁護士は、9月14日の起訴議決には立ち会う必
要があります。森ゆうこ議員のところに集められた資料のなかに
吉田繁実弁護士の日当の請求書があったのです。森氏はこれにつ
いて、次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 資料のひとつに、審査補助員を務めた弁護士の日当の請求書が
 あった。(一部略)吉田繁実弁護士が捺印したものである。他
 の請求書と察審査会関係の請求書は、本人が審査のために出頭
 した日に、あらかじめ用意されていた請求書に署名または押印
 することになっている。つまり、この請求書の日付に吉田弁護
 士は出頭したことになる。ところが、請求書の日付は9月28
 日なのだ。起訴議決があった9月14日と、議決書が作成され
 た10月4日の問である。         ──森ゆうこ著
     『検察の罠/小沢一郎抹殺計画の真相』/日本文芸社
―――――――――――――――――――――――――――――
             ─── [自民党でいいのか/71]

≪画像および関連情報≫
 ●検察審補助弁・吉田繁実が朝日新聞に登場/森ゆうこ氏
  ―――――――――――――――――――――――――――
  小沢さんの初公判がある日に、わざわざ朝日新聞は検察審査
  会の補助弁護士を登場させている。明らかに恣意的な記事で
  朝日の深い闇を感じてしまうのは私だけか。これに森ゆうこ
  議員が噛みついた。「先週の記者会見でも申し上げました。
  もちろん一議員として、申し上げたいことは様々ございます
  し、特に検察審査会の問題について、私以上に詳しく調べた
  議員はいないんじゃないかと思います。小沢元代表の本日の
  法廷に関して、直接申し上げるべきではない、というふうな
  ご指摘もございますので、それは控えさせていただきたいと
  いうふうに思っております。ただ、一点ですね、昨日、どち
  らの新聞でしたでしょうか。あの、検察審査会の審査補助員
  のコメントというのが詳しく載っておりました。そもそも検
  察審査会は非公開であります。その非公開の原則に基づいて
  我々が要求してもなかなか情報は出てこない、ということで
  ございまして、ええ、まあ審査にかかわった審査補助員が、
  あのように内容を一方的に話していいものか。このことにつ
  いては非常に疑問があります。   http://bit.ly/rb2cIF
  ―――――――――――――――――――――――――――

第5検察審審査補助員/吉田繁実氏.jpg
第5検察審審査補助員/吉田 繁実氏
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月11日

●「奇妙に符合する9月28日の開催」(EJ第3650号)

 小沢事件を審査する2回目の東京第5検察審査会──よく考え
てみると、本当の開催日を隠蔽しておけば、後からどんな不都合
な事実が出てきても、いくらでも誤魔化せるのです。昨日のEJ
の映像で、森議員(当時)の追及に論旨が矛盾する答弁を平然と
繰り返して開き直る刑事局長の態度を見てそう思いました。質問
者をナメ切っているのです。
 しかし、検察審査会──とくに「起訴相当」議決後の2回目の
検察審査会は、政治家や大企業の役員など、社会的に地位のある
人を刑事被告人にする可能性のある審査なのです。審査員の個人
名などの個人情報を隠すのは当然のことですが、年齢などは個人
情報ではなく、公表すべきであり、開催日などは明らかにしても
何も問題はないはずです。なぜ隠蔽しようとするのでしょうか。
 森ゆうこ氏らは、そのために議員立法で検察審査会法の改正案
を提示したものの、雲散霧消してしまったようです。とにかくこ
の問題に対する政治家の関心の低さには唖然とします。とくに自
民党はまったく無関心です。この党は完全に官僚組織と結びつい
ているので、まったく頼りにはなりません。
 2010年9月14日開催の第5検察審査会で行われたとされ
る2回目の「起訴相当」議決ですが、この日以前に、この事件担
当の斎藤隆博東京地検副部長検事が第5検察審査会に行ったとい
う記録はないのです。これは東京地検の情報開示担当官の斎宮氏
も次のように認めています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 検察庁職員全部の膨大な旅行命令書、出張管理簿をめくって斎
 藤検察官の記録を調べたが、その記録がなかったので、不開示
 とした。           ──志岐武彦/山崎行太郎著
     『最高裁の罠/the Trap for Ozawa』/K&Kプレス
―――――――――――――――――――――――――――――
 なお、志岐武彦氏の本によると、東京第5検察審査会が東京地
検特捜部に審査会議出席を要請した書類の提出を求めたものの、
これについては、刑事訴訟法第53条の2の第1項「訴訟に関す
る書類」に該当するとして、却下されています。つまり、斎藤検
察官の第5検察審査会への出席に関する情報は、たとえ情報開示
請求があっても出さないというのが検察の考え方のようです。
 これにより、斎藤検察官が9月14日も含めて第5検察審査会
には行っていないと考えるのが普通ですが、そうであるとすると
9月14日の起訴議決は無効になります。「起訴相当」議決の成
立の要件を欠いているからです。
 第5検察審査会の審査補助員吉田繁実弁護士については、9月
28日に日当請求書が提出されています。これは、吉田弁護士が
この日に第5検察審査会に出席したことを意味しています。実は
この2010年9月28日については、以下のようなもうひとつ
重要な符合があるのです。
 これについて志岐武彦氏の本に次のような興味深いことが掲載
されています。ある民間人が9月の下旬に東京地検舎のロビーで
斎藤隆博特捜副部長と偶然会い、挨拶を交わしたさい、「これか
ら検察審に説明に行く」と述べていたという記事をネット上で見
つけたというのです。
 この記事は、ジャーナリストの山岡俊介氏のブログに書かれて
いたものだそうですが、志岐氏は山岡氏に面会を申し入れ、会っ
ているのです。志岐氏の本から、その関連部分を引用します。
―――――――――――――――――――――――――――――
 まずは山岡氏の記事に出てきた「ある民間人」(仮にA氏とし
 ておく)に話を聞きたい。そのように考えていたところ、20
 12年の初めに、運よくA氏と知り合うことができた。A氏も
 私のブログを読んでいたそうで、私とコンタクトを取りたいと
 思っていたとのことだった。私はA氏と直接会い、斎藤検事と
 会った日のことなどについて話をうかがった。A氏によれば、
 彼は9月28日に東京地検庁舎の1階で斎藤検事に会ったとい
 う。その際、斎藤検事は「これから検審に小沢さんの不起訴理
 由の説明に行く」と話していたとのことだった。また、A氏は
 後日、斎藤検事が周囲に「検察審査会で説明したが、検察審査
 員からは何の質問もなかった」と不審そうに語っていたという
 話も聞いたという。──志岐武彦/山崎行太郎著の前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 これで斎藤検察官が2010年9月28日に東京第5検察審査
会に行ったことは間違いないと思われます。そうすると、吉田繁
実弁護士の9月28日の日当請求書と符合するのです。つまり、
このとき、第5検察審査会は開かれ、そこに斎藤検察官と審査補
助員の吉田弁護士も同席しているのです。しかし、これは議決日
の後であり、2回目の起訴議決は無効ということになります。
 実は最高裁や東京地検は、「斎藤隆博検察官」に焦点を当てら
れていることを気にしはじめたのです。そのときの民主党内の一
部議員間では、「斎藤検察官を証人喚問すべし」という意見まで
出ていたのです。確かに本人から直接事情を聞けば、その間の事
情ははっきりします。
 このことを聞いた最高裁は慌てて手を打っています。斎藤検察
官は東京地検公判部に人事異動され、小沢裁判の指定弁護士の補
佐役に就任しています。こうしておくと、国会から証人喚問を求
められても、公判中の担当検事ということで、喚問を拒否できる
からです。そして、ほとぼりが冷めた頃、斎藤検察官は東京地検
の副部長に戻されているのです。これをみても最高裁が何として
も第2回目の「起訴相当」議決の情報をひた隠しにしていること
が浮かび上がってきます。
 それにしても小沢氏に対する第5検察審査会の強制起訴は疑惑
の闇に包まれています。それに深く関わっているのは最高裁なの
です。日本の国の法律を司っている最高裁が何の罪もない一人の
政治家を潰すためにこんな疑惑に満ちたことをやっている──こ
れでは日本はとても法治国家とはいえないと思います。
             ─── [自民党でいいのか/72]

≪画像および関連情報≫
 ●検察審査会は秘密のヴェール/小沢一郎氏
  ―――――――――――――――――――――――――――
  検察審査会の起訴相当議決を受けて小沢一郎・元民主党幹事
  長は2010年10月7日、衆院会館で記者会見し「離党も
  議員辞職もしない」ことを表明した。小沢氏は明らかに憔悴
  していた。デッチ上げも平気でやる東京地検特捜部の執拗な
  捜査・取調べを交わし終えたと思ったら、素人集団によって
  強制起訴されたのである。「検察捜査で起訴に値する事実は
  なかった。(にもかかわらず)その後審査会の方で起訴とい
  う議決がなされたのは大変残念」。小沢氏は力なく話した。
  普段言い訳やグチめいたことはほとんど口にしない小沢氏だ
  が、この日の会見では、検察審査会がすでに出した議決を批
  判した。「1回目の議決の起訴理由になかったものが突然今
  回加わっている。11人いるのと平均年齢が30・9歳とい
  う他は分からない。検察審査会は秘密のベールに包まれてい
  る。どういう議論がなされ、どういう中でそういう結論がな
  されたのか、私にも国民の皆さんにも分からない」。一般市
  民の中から抽選で選ばれたはずの検察審査会がブラックボッ
  クスになっている、と指摘する向きは多い。
                   http://bit.ly/GMHQvQ
  ―――――――――――――――――――――――――――

2回目の起訴議決を受けた小沢一郎氏.jpg
2回目の起訴議決を受けた小沢 一郎氏
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(3) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月15日

●「小沢謀殺の黒幕は最高裁事務総局」(EJ第3651号)

 小沢事件に関わる東京第5検察審査会の2回目の議決には多く
の謎があります。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1.10月末日までに結論が出るだろうという情報をリークし
   ながら、急遽9月14日に議決している。
 2.この日は民主党の代表選当日であり、しかも、代表選の投
   票の開始される30分前に議決している。
 3.少なくとも9月14日の起訴議決までに、担当の斎藤隆博
   検察官が第5検察審査会に行っていない。
―――――――――――――――――――――――――――――
 なぜ、議決日を9月14日に急遽変更したかというと、民主党
代表選で小沢一郎氏が勝つ可能性が出てきたからです。もし、小
沢氏が14日に勝つと、小沢政権が発足し、起訴議決は出しにく
くなるからです。
 それなら、投票開始前に起訴議決を出して、その情報を流すこ
とによって議員の小沢票を減らし、小沢総理実現を阻むか、万一
それでも小沢氏が勝利したとしても、小沢政権発足前に起訴議決
を突き付けることができる──最高裁事務総局側にこういう判断
があったものと考えられます。
 民主党の代表選と最高裁事務総局がつながっているとは考えに
くいことですが、民主党の反小沢陣営と、法務省や弁護士会との
つながりはきわめて親密なのです。
 仙谷元官房長官と宇都宮健児日本弁護士連合会長(当時)とは
親密の仲であり、宇都宮氏は仙谷氏に政治献金も行っています。
また、当時菅直人陣営の選挙対策本部長を務めていた江田五月議
員は、竹崎博充最高裁長官と小学校から大学まで同窓であること
を山崎行太郎氏が次のように明かしています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 菅直人陣営の選挙対策本部長を務めていた江田五月議員は「鈴
 木宗男議員上告棄却」情報について、菅直人陣営の決起集会で
 こう発言した。「政治とカネの問題は過去の問題ではない。卒
 業するためにどういう選択があるか。答えは一つ、菅直人だ」
 ──「毎日新聞」/2010年9月9日付) これは明らかに
 小沢氏を念頭においた発言である。江田氏は仙谷由人元宮房長
 官らとともに民主党内の反小沢グループの中心人物だった。そ
 の江田氏は現在最高裁長官を務めている竹崎博充氏と小学校か
 ら大学(東大法学部)まで同窓だそうである。偶然だろうか。
 私には偶然とは思えない。鈴木宗男上告棄却情報が、「小沢潰
 し」のためのリーク情報であり、情報工作のための政治的リー
 ク情報であったことは間違いない。つまりこの裁判情報のリー
 ク事件もまた、最高裁によって仕掛けられた可能性があるとい
 うことだ。          ──志岐武彦/山崎行太郎著
     『最高裁の罠/the Trap for Ozawa』/K&Kプレス
―――――――――――――――――――――――――――――
 この竹崎博充最高裁長官は、2008年11月25日から現在
も現職にありますが、自民党の麻生内閣のときに就任しているの
です。しかも竹崎氏は最高裁事務総局育ちのエリート裁判官であ
り、小沢内閣阻止の動きと密接な関係があります。このように最
高裁は政権交代直前の自民党にも、菅内閣当時の民主党とも深い
つながりがあるのです。
 もし、9月14日の代表選の投票前に「小沢一郎2回目の『起
訴相当』議決」の情報が最高裁事務総局から、菅陣営の江田選挙
対策本部長に入ったら、どうなるでしょう。おそらく反小沢陣営
はもちろんのこと、中間派でどちらに入れるか迷っている議員に
対して一斉に情報が流されることは確実です。これが投票に影響
することはいうまでもないでしょう。
 このように考えてくると、小沢一郎謀殺事件がかなり以前から
相当周到に計画されたものであることがわかってきます。EJ第
3587号(2013年7月11日)でも指摘したように、それ
は麻生内閣のときからはじまっているのです。
 平野貞夫氏は、達増拓也岩手県知事の話を紹介するかたちで次
のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 自公政権の末期、政権交代を前に麻生首相が「小沢一郎は社会
 主義者である。こんな人物が支配する民主党に政権を委ねてい
 いのか」という発言をした。時の政権トップからこんな強烈な
 メッセージが発せられたら、官僚としては「これはまずい」、
 「なんとかトップの意を体して阻止しなくてはならない」と思
 い、小沢排除にあらゆる知恵をしぼり荷担しようとする。それ
 にもっともビビッドに反応したのが検察であったというのであ
 る。この達増知事の官僚論は説得力がある。たしかに他の省庁
 の官僚たち、とりわけ元財務省事務次官が菅政権と野田政権を
 裏でコントロールしたといわれ、それはそれで一部真実であろ
 うが、小沢謀殺をしそうし指南までしたとは考えにくい。むし
 ろその可能性がもつとも高いのは達増知事も指摘するように官
 僚機構の中の「元締め」を自負する検察であろう。
               ──平野貞夫著/ビジネス社刊
     『真説/小沢一郎謀殺事件/日本の危機は救えるか』
―――――――――――――――――――――――――――――
 ちなみに麻生首相(当時)は、「国民の生活が第一」の「5つ
の約束」(http://bit.ly/12jZI9A) を見て、「小沢は社会主義
者である」といったのです。
 実は、平野貞夫氏は官僚機構のなかの「元締め」を検察と述べ
ており、私もそう思っていたのですが、小沢謀殺の絵図を書いた
黒幕は検察ではなく、最高裁事務総局ではないかと思われるので
す。不可解なことをやっているのは検察だけではなく、裁判にお
いてもそれが何回も行われているからです。そうなると、検察と
裁判所と検察審査会のすべてを操れる組織といえば、最高裁事務
総局しかないからです。竹崎最高裁長官は麻生政権のときに就任
しているのです。     ─── [自民党でいいのか/73]

≪画像および関連情報≫
 ●小沢無罪判決前に竹崎博充最高裁長官が訪米/るいネット
  ―――――――――――――――――――――――――――
  東京高裁で小沢一郎に無罪判決が出た。最高裁は、責任を検
  察に押し付けて逃げたのだと思われる。しかし「小沢一郎」
  つぶし「政権交代つぶし」を裏で画策した「最高裁」、ない
  しは「最高裁事務総局」の政治的謀略の問題は、終わるわけ
  ではない。「小沢事件」と「小沢裁判」はこれで終わるが、
  「最高裁事務総局」の問題はこれから始まる。民主党の「反
  小沢一郎グループ」の頭目の一人・江田五月と、小学校から
  大学まで同窓だった竹崎博充最高裁長官の「訪米」の意味が
  いろいろと取り沙汰されています。何故、「小沢一郎判決」
  を目前にして、わざわざ訪米しなければならなかったのか。
  表向きは、日米の最高裁長官の交流や「裁判員制度の現状報
  告」が目的だったらしいですが、時期が時期だけに、その訪
  米目的がいろいろ勘ぐられているというわけです。おまけに
  民主党幹部の江田五月とツーカーの仲です。野田・民主党が
  「TPP参加」をテーマに、解散に打って出ようとしていま
  す。米国の選挙支援の確証が取れたのでしょうか。つまり、
  竹崎博充最高裁長官の訪米は、「小沢一郎判決」にどう反映
  されるのか。一説には、小沢一郎控訴審判決は「一審差し戻
  し」で、さらに有罪無罪とは関係なしに「小沢裁判」を長引
  かせ、小沢一郎の政治生命を絶つという政治謀略・・・とい
  う話も、司法関係者の間で飛び交っているらしい。いずれに
  しろ、日本の戦後の裁判制度が、憲法と同様に、米国主導の
  もとに作られたということが、明らかになったのが竹崎博充
  最高裁長官の訪米であったと言っていいだろう。
                   http://bit.ly/GUVhd1
  ―――――――――――――――――――――――――――

竹崎博充最高裁長官と江田五月議員.jpg
竹崎 博充最高裁長官と江田 五月議員
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月16日

●「審査員の平均年齢を最高裁がミス」(EJ第3652号)

 東京第5検察審査会の第2回の「起訴相当」議決には明らかに
矛盾点が多くあり、不正があったといえます。もし、起訴議決の
あったとする9月14日以前に、小沢事件の担当検事である斎藤
隆博検察官が第5検察審査会に不起訴の説明に行っていないとす
れば、2回目の「起訴相当」議決そのものが無効になります。
 しかし、検察審査会は、どのような審査員がどのようにして選
ばれ、いつ審査が何回行われ、いつ、どのように議決されたかが
一切ブラックボックスになっており、公開されないのです。結果
だけが公表されるだけです。
 まるで中世の闇裁判、魔女裁判そのものです。国会議員はなぜ
このような法案を安易に成立させたのでしょうか。そういう意味
で国会議員にも重大な責任があります。
 その結果、小沢一郎氏は、民主党代表選に敗れただけなく、そ
の闇裁判によって強制起訴され、刑事被告人になったのです。メ
ディアは一斉に「小沢氏の影響力低下」と書き立てたのです。並
みの政治家であればとっくの昔に葬り去られています。
 検察審査会の審査のすべてが公開禁止であるなら、検察審査会
を事実上運営している最高裁事務総局はそれを守るべきです。し
かし、彼らは秘密であるはずの審査の模様を新聞にリークし、書
かせています。これは明らかに法律に違反しています。なぜ、そ
んなことをするのでしょうか。
 それは、そうしないと本当に審査が進められているのか国民に
不審に思われるからです。そもそも完全非公開という法律自体に
無理があるのです。ところが、その点を最高裁事務総局に迫ると
「リークなどしていない」と開き直る始末です。
 2010年10月25日に志岐武彦氏は、東京第5検察審査会
に行き、東京第1検察審査会事務局長・長瀬光信氏と次のやり取
りをしています。東京第5検察審査会事務局長に面会を申し入れ
たのに、なぜか東京第1検察審査会事務局長が応対に出てきたの
です。この謎は後で解けます。
―――――――――――――――――――――――――――――
 志岐:読売新聞の記事に基づけば、9月8日から14日に議決
    されるまでの間に平日は5日しかない。この間に11人
    の審査員を何度も集めるのは難しいのではないですか。
    たとえ集めることができたとしても、これだけの短期間
    に素人の審査員が膨大な捜査資料を理解し、議論し、そ
    れをまとめられるとは考えられません。そもそも10月
    までに議決すると言っていたのに、どうして短期間で一
    気に決めることになったのですか。
 長瀬:事務局は、読売新聞に記載されたような内容を公表した
    覚えはありません。
 志岐:「関係者の話で」となっていますが、読売新開が勝手に
    嘘の記事を掲載したということですか。
 長瀬:読売新聞に確かめてください。
 志岐:多くのメディアが同じような報道を流しています。それ
    も嘘だと言うのですか。
 長瀬:・・・・・       ──志岐武彦/山崎行太郎著
     『最高裁の罠/the Trap for Ozawa』/K&Kプレス
―――――――――――――――――――――――――――――
 すべてがこういった調子なのです。実際は、検察審査会自体が
リークしているとは考えられないので、最高裁事務総局がリーク
していると思われます。そういう意味で長瀬氏のいう言葉にウソ
はないのでしょうが、もしまったくリークしていないのであれば
どのようにして読売新聞をはじめとする他の新聞社は、秘密裏に
行われたはずの検察審査会内部の詳細なやり取りがわかったので
しょうか。それにしても、志岐氏の追及はきわめてシビアであり
検察審査会事務局長もたじたじになっています。
 しかし、これは完全な水掛け論です。たとえメディアにどうし
てそれを知ったのかと追及しても、取材に基づくものと答えるで
しょうし、取材元はいえないと突っ張られるだけです。最高裁事
務総局はそれがわかっているので、平気でリークするのです。
 この検察審査会の審査の状況のリークは、検察が取り調べ状況
をリークするよりも問題があります。なぜなら、取り調べ状況を
漏らすことは法律違反ではないのに対し、検察審査会の審査状況
は非公開であり、それをリークすることは法律違反になるからで
す。ただ、検察の場合、リークの内容にウソが入るので、これは
悪質な世論誘導になります。だからこそ取り調べの可視化が求め
られているのです。
 小沢事件を審査した2回目の東京第5検察審査会で疑問が生じ
たのは、審査員の平均年齢の発表です。
―――――――――――――――――――――――――――――
  ≪2010年10月4日発表≫
   ・第2回の審査員平均年齢 ・・・ 30.90 歳
   ・修正1回目 ・・・・・・・・・ 33.91 歳
   ・修正2回目 ・・・・・・・・・ 34.55 歳
―――――――――――――――――――――――――――――
 「30.90 歳」という発表には「若過ぎる」という疑問が出
たのです。そうしたところ、第5検察審査会は37歳の審査員の
年齢を足し忘れて、10人の合計年齢を11で割ってしまったと
いうことで、「33.91 歳」と訂正してきたのです。
 しかし、事務局のいう通りに計算しても「33.91 歳」には
ならないので、指摘したところ、もう一度見直したらミスを発見
したので、再計算したところ「34.55 歳」になったと、また
しても訂正してきたのです。ところが、この「34.55 歳」で
も若過ぎるのです。数学者の芳沢光雄桜美林大学教授の計算によ
ると、そうなる確率は1.28 %に過ぎないのです。1回目の審
査員の平均年齢も「34.55 歳」であり、2回目と同じです。
2回続けて平均年齢が「34.55 歳」になることは統計的にも
あり得ないことです。それにしてもなぜこんな単純な計算を何回
も間違えるのでしょうか。 ─── [自民党でいいのか/74]

≪画像および関連情報≫
 ●平均年齢をめぐるふたつのナゾ/あるブログより
  ―――――――――――――――――――――――――――
  検察審査会で「強制起訴」が決まり、民主党・小沢一郎元代
  表が法廷に出るのも時間の問題となった。それにしても、強
  制起訴にいたる検察審の対応には、いまだ釈然としないもの
  がある。その最たるナゾが、この事件を担当した東京第5検
  察審査会メンバーの平均年齢にまつわる一件だ。強制起訴の
  議決を公表した10月4日、審査会事務局は検察審メンバー
  11人の平均年齢を「30.90 歳」と発表。すると、「審
  査員は選挙人名簿から選ばれるはずなのに、平均年齢が若す
  ぎるのでは?」という指摘が殺到したため、事務局は再計算
  の結果を「33.91 歳」と訂正した。その理由は「37歳
  の審査員の年齢を足し忘れて、10人の合計年齢を11で割
  っていた」というもの。しかし、ここでも事務局はミスを犯
  す。37歳を含めて再計算しても「33.91 歳」にはなら
  ないのである。その理由について事務局は、「最初に公表し
  た『30.90 歳』がそもそも間違っておりました」と答え
  ている。最終的に「34.55 歳」に落ち着いたのは、当初
  の発表から実に10日もたってからだった。検察審査会は、
  11人の審査員の平均年齢を出すのに、10日間もかけてい
  たことになる。問題はそれだけではない。「2度の修正はお
  粗末すぎますが、それだけなら単純な『事務的ミス』で済ん
  だはず。問題は、計算し直された平均年齢がなぜか半年前の
  1回目の議決のときと同じ数値であること。1回目と2回目
  で審査員メンバーが替わっているにもかかわらず、『34.
  55歳』という数字がピタリと一致しています。こちらの計
  算ではそんな若いメンバー構成が2度も続く確率は0.1 %
  以下。これはあまりにも不自然です。(全国紙政治部記者)
                   http://bit.ly/17wUg0Q
  ―――――――――――――――――――――――――――

芳沢光雄桜美林大学教授.jpg
芳沢 光雄桜美林大学教授
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月17日

●「検察審は真に開催されているのか」(EJ第3653号)

 検察審査会の審査員の平均年齢を求める──審査員は11人に
決まっているので、審査員の年齢をすべて足して11で割れば答
が出ます。こんな簡単な計算をとくに優秀な人しか入れないはず
の最高裁の職員が2回も間違えているのです。そんなことがあり
得るでしょうか。
 常識から考えて、こんな簡単な計算を間違えるはずがないので
どういう場合なら間違える可能性があるか考えてみたのです。そ
うすると次のケースしか考えられないのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
    検察審査会に出席した審査員名簿が存在しない
―――――――――――――――――――――――――――――
 審査員の出席名簿が存在しないとは、検察審査会は実際には開
かれていないが、開催されたことにし、議決が行われた場合を意
味します。つまり、審査員のいない架空の検察審査会が開かれ、
そこで架空の議決が行われた場合です。
 まさか、そんなことが!と誰でも思います。それに架空の審査
員による検察審査会を開いたとすると、審査員と補充員を選び、
それらの審査員や補充員に日当旅費を請求させ、所定の手続きを
して地裁が請求金額を審査員や補充員の口座に振り込むという一
連のプロセスを書類として残す必要があります。けっして簡単な
ことではありません。それらの準備が十分にできていないときに
「平均年齢」を聞かれると、間違える可能性は十分あります。
 しかし、あってはならないことですが、よく役所で行われてい
る裏金作りは、これとそう変わらないやり方なのです。志岐武彦
氏や石川克子氏たちは、情報開示請求を武器に検察審査会事務局
や会計検査院から膨大な資料を集めて分析し、審査員や補充員の
日当旅費の流れを把握し、問題点を指摘しています。
 これらの資料を見ると、確かに検察審査会の架空開催、架空議
決があったとしか思えないことがたくさんあるのです。それに検
察審査会の架空開催を疑っているのは、志岐氏たちだけではない
のです。「週刊プレイボーイ」は、2010年11月15日号で
次の特集を組んでいます。
―――――――――――――――――――――――――――――
   『検察審査会』メンバーはホントに存在するのか?
 ──「週刊プレイボーイ」/2010年11月15日号
―――――――――――――――――――――――――――――
 この特集では、「週刊プレイボーイ」の記者が、東京第1検察
審査会総務課長の手嶋健氏(当時)に対して鋭い質問を浴びせ、
ときどき手嶋氏を絶句させています。その一部を志岐氏の本から
引用します。
―――――――――――――――――――――――――――――
 記者:そもそも、手嶋さんは審査員の姿をその目で見たんです
    か?
 手嶋:あの日、廊下ですれ違った人が審査員だったんじゃない
    か、と
 記者:はぁ!?
 手嶋:ただ、選任された審査員にはそれぞれ「検察審査会法に
    則り、公平・誠実に審査を行ないます」と宣誓してもら
    い、宣誓書も提出してもらいます。その際、宣誓書を受
    け取った担当者がいます
 記者:ぜひ、その人に会わせてください!
 手嶋:それはできません
 記者:なぜですかっ!?
 手嶋:担当者には会わせられません
 記者:じゃ、会議がどこで行なわれたのかも・・・教えてもら
    えませんね?
 手嶋:そのとおりです。教えられません
 記者:審査員はホントにいたの?
 手嶋:いた・・・と思います
 記者:思いますって(苦笑)その審査員に足はありましたか?
 手嶋:・・・         ──志岐武彦/山崎行太郎著
     『最高裁の罠/the Trap for Ozawa』/K&Kプレス
―――――――――――――――――――――――――――――
 このやり取りのなかで、記者が手嶋氏に「審査員はホントにい
たの?」と聞いたとき、「いた・・・と思います」と答えている
のは不可解です。「いました」となぜいえないのでしょうか。も
し、審査員が集められていれば補充員もいるので、20人近い人
数になるのです。担当者の1人でもある手嶋氏が「いた・・・と
思います」と答えているのはあまりにも不自然です。
 志岐武彦氏は、東京第5検察審査会に2010年分の「東京第
5検察審査会の審査候補者名簿」の開示を求め、2012年2月
に入手しています。この名簿は、2009年11月に作成された
ものです。
 名簿といってもほとんどは黒塗りされており、内容は全然わか
らないのですが、その名簿に「2012年2月15日」という日
付が印字されていたのです。不審に思った志岐氏は同じ名簿を再
度請求したのです。
 この名簿は、2013年3月に開示されたのですが、その名簿
には「2009年11月9日」の日付があり、明らかに2012
年に開示された名簿とは違うものであったといいます。しかも、
2013年3月開示の名簿には、2012年2月開示の名簿には
なかった「綴じ穴」の跡が写っていたのです。ファイルに綴じて
あったものをコピーしたものです。
 明らかに2013年開示の名簿が正本とみられますが、なぜ2
種類の名簿が存在するのでしょうか。この名簿は、検察審査員を
くじ引きソフトで選ぶための400名の名簿であり、2種類作る
必要はまったくないものだからです。この事実は「週刊ポスト」
2013年4月5日号に志岐氏ご自身が書いています。このよう
に、検察審査会関係の各種書類には多くの疑問があるのです。
             ─── [自民党でいいのか/75]

≪画像および関連情報≫
 ●見えない「市民感覚」の危険性/あるブログより
  ―――――――――――――――――――――――――――
  「見えない市民」東京第五検察審査会はくじで選ばれた11
  名の一般市民からなる審査員の「市民感覚」で小沢一郎を強
  制起訴した。自ら手をあげて審査員になったわけでなくても
  いったん検察審査員に選ばれると被疑者の一生を左右する強
  大な権限を手中にすることになる。市井の市民には不似合い
  な巨大な権力である。しかしそうした権力を付与された一般
  市民である彼/彼女らは匿名である上守秘義務を課せられる
  ため、日本の首相候補の運命を握るほどの権力を持つ存在に
  なった後も国民からは姿が見えないままである。
  「密室の審議」11人の市民審査員は100人の検察官が1
  年がかりで調べた小沢案件の膨大な捜査資料をわずか一週間
  程度でどのように目を通したのか、何度集まったのか、被疑
  事実を把握した上で判断を下したのか、事務局長や補助員弁
  護士は審査員にどのような説明をしたのか、偏った誘導はな
  かったか、法律の素人である審査会長は議長としてどのよう
  に会議を仕切ったのか――知りたいことは少なくない。
  しかし検察審査会の実態は関係者の匿名性の保護という大義
  名分のもとで全てが秘密のベールに包まれている。審査の申
  立人も匿名、審査員も匿名、議事録も非公開である。そうし
  てある日突然、小沢強制起訴の議決書だけが棒切れのごとく
  国民の前に投げ出されたのである。確かに審査員の匿名性の
  方針は堅持される必要があるだろう。しかし、少なくとも審
  査補助員の弁護士と審査会事務局長だけでもテレビカメラを
  入れた開かれた記者会見に出席し、審査員の人選や議事運営
  が適正に行われたのかなどについて説明することはできるは
  ずである。     http://tsuigei.exblog.jp/12064601/
  ―――――――――――――――――――――――――――

志岐武彦氏執筆の記事.jpg
志岐 武彦氏執筆の記事
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月18日

●「他の検察審で見られる杜撰な運営」(EJ第3654号)

 小沢一郎氏を強制起訴に追い込んだ東京第5検察審査会は、2
回とも正規のルールにしたがって開かれておらず、そこで行われ
た議決は「架空議決」である──志岐武彦氏は自著でこのように
述べています。
 にわかには信じられないという人が多いと思います。日本の法
曹の最高位機関である最高裁判所がそんなことをするはずがない
──誰でもそう思います。架空議決などは、熱狂的な小沢信者の
作り上げた妄想であるという人もいます。
 しかし、疑わしいことはたくさんあるのです。ここからEJは
志岐氏の「架空議決」をひとつの仮説とし、それが本当かどうか
の検証を試みていくことにします。
 この話は、「日刊ゲンダイ」/2011年1月27日号に掲載
された「検察審査会は検察の裏金の窓口ではないのか」の記事に
基づいています。公共問題市民調査委員会代表の国本勝氏の次の
告白をまず、読んでいただきたいと思います。
―――――――――――――――――――――――――――――
  私は03年に地元市議を公選法違反で告発しました。不起訴
 になったので、千葉検察審に申し立てました。結果は不起訴相
 当で検察の判断通りだったのですが、なかなか議決が出ず、事
 件が時効になってしまったのです。おかしいと思って事務局に
 問い合わせると、すぐに議決書が送られてきた。
  しかし、告発した被疑事実の日時と議決書に書かれた日時が
 違うなどズサンなところが複数ある。そこで再度、問い合わせ
 ると、今度は質問した1、2時間後に「審査員11人に集まっ
 てもらった」結果として、「議決はおかしくない」との回答が
 ファックスされてきたのです。翌日に違う質問をしたら、また
 同じ対応でした。
  11人の審査員が2日連続で、しかも、1、2時間以内に集
 まれるものだろうか。議決書自体が事務局の「作文」ではない
 かと思いました。「怪しい」と感じた国本代表は、本当に会議
 をしたのかを確認するため、千葉地裁に情報公開請求した。審
 査員の旅費の開示を求めたのである。黒塗りの文書には、会議
 が複数回開かれたことが記載され、1ヶ月平均60万円ほどが
 支出されていた。毎月、同じ程度の金額が旅費名目で支払われ
 ている。これは怪しいと思いました。それに検察審が開かれる
 会議室に人がいるのを見たことがない。
  本当に審査員は集まり、旅費を支払っているのか。検察審は
 「裏金の窓口」じゃないか。違うというなら、もっと情報公開
 すべきです。(国本勝氏)         ──日刊ゲンダイ
         「日々坦々」ブログ/http://bit.ly/1gbEyT8
―――――――――――――――――――――――――――――
 この話は、検察審査会法にまだ強制起訴の制度がない2003
年の検察審査会での出来事です。小沢事件には何も関係はありま
せん。しかし、これを見る限り、検察審査会の運営、議決、情報
公開への対応には大きな疑惑があります。
 この時点で国本勝氏が体験したこととほぼ同じことを志岐氏た
ちも体験しているのです。彼らは日常的にこういう杜撰な検察審
査会の運営をやってきているようです。
 「ブラックボックスだから、どんなに疑惑をもたれても、最終
的には絶対にバレない」──おそらく最高裁事務総局はそのよう
に考えているのではないでしょうか。それなら、都合の悪い政治
家を一人潰すのに検察審査会という闇裁判制度を使い、架空議決
による強制起訴を行う可能性は十分あるといえます。
 自民党の麻生政権が絶対絶命の淵に追い詰められていたのは、
2009年のはじめです。その麻生首相が次の言葉を口にしたと
き、ちょうど2009年という年が、都合のよい年であることを
官僚幹部が気がついたとしても不思議ではないのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢一郎は社会主義者である。こんな人物が支配する民主党
 に政権を委ねていいのか。     ──麻生首相(当時)
―――――――――――――――――――――――――――――
 都合のよい年とは強制起訴ができるようになった改正検察審査
会法が2009年5月から施行されるからです。この制度は表向
きは検察をチェックするシステムとして機能する制度ですが、そ
の運営において、検察が十分コントロールできる制度設計になっ
ており、検察にとって使い勝手のよい制度なのです。なせなら、
検察では起訴できない事案を検察審査会によって強制起訴させる
ことが可能だからです。
 「小沢憎し」と考えていた官僚機構が、麻生首相の意を体して
5月から改正施行される検察審査会法を利用し、小沢潰しを謀る
ことは、さほど不思議なことではないと思います。
 そして、最初にやったのが、2009年3月の小沢事務所の公
設秘書官である大久保隆規氏の逮捕です。ろくに取り調べもせず
いきなり逮捕するという乱暴な捜査であり、避難は覚悟のうえで
すが、彼らにはそんなことはどうでもいいのです。これによって
小沢総理の可能性を潰したからです。
 既にこの時点において、小沢一郎氏を取り調べ、不起訴にして
検察審査会に委ねて強制起訴するという筋書きはできていたもの
と思われます。
 この年、検察審査会にも大きな変化があったのです。検察審査
会は、改正検察審査会法の施行に合わせて、それまで201ヶ所
あった検察審査会のうち、地方の50ヶ所を廃止し、9都市の大
規模地裁内に14ヶ所を新しく増設する再編成を実施することに
なっていたのです。
 この結果、それまで2ヶ所(第1と第2)しかなかった東京地
裁本庁管内の検察審査会が第3、第4、第5、第6を加えて6ヶ
所体制になったのです。小沢事件を審査した第5検察審査会は、
2009年5月に新設されたものだったのです。これも「小沢潰
し」を実行する格好の舞台づくりとなったといえます。
             ─── [自民党でいいのか/76]

≪画像および関連情報≫
 ●審査会は冤罪を防ぐために/元裁判官・秋山賢三氏
  ―――――――――――――――――――――――――――
  私は、司法手続きに市民が参加すること自体は、大変意義の
  あることだと思いますが、それは市民の英知を活用して、無
  実の人を処罰しないため、つまり、冤罪を生まないためにこ
  そ行われるべきだと思います。その意味で、刑事法のプロで
  ある検察官が有罪にできないと判断し不起訴処分にした事件
  を強制的に起訴する権限を、くじ引きで選ばれた、法律知識
  のない市民に簡単に与える現行制度には反対です。日本では
  起訴された被告の99.9%が有罪になるという実態があり
  社会は「起訴=有罪」と受け止める傾向が強いのです。公務
  員は起訴されると休職となり、給料は4割カットされるし、
  民間会社員は起訴されると解雇されるケースも多い。物心両
  面の負担は言うまでもありません。だからこそ、起訴の判断
  は慎重さが求められるのです。まして、検察審査会に持ち込
  まれる告訴・告発事件の場合、容疑者とされる人が容疑事実
  を否認しているケースがほとんどですから、起訴の判断には
  より一層の慎重さが求められます。検察という組織は、有罪
  にできると判断すれば必ず起訴します。その検察官が起訴し
  ない事件について一般市民に起訴できる権限を与えるわけで
  すから、冤罪を生む危険性が大きくなったと思います。理由
  は<1>審査員が一般に法律に詳しくない<2>限られた審
  査時間の中ですべての証拠を精査できるかどうか疑問<3>
  事前にメディア報道を見聞きして、予断と偏見を持って審議
  に臨む可能性が高い<4>被害者感情に短絡的に同調する可
  能性が高い、などです。例えば明石歩道橋事故のような大規
  模事故の場合、業務上過失致死罪の適用が問題になります。
  こうした過失犯では、結果を予見できたか、回避できたかど
  うかが有罪・無罪の判断を分けますが、長年積み重ねられた
  多くの判例を知らなければ、正しい判断はできません。
                   http://bit.ly/17EZ9oN
  ―――――――――――――――――――――――――――

「小沢に総理は譲らない」/麻生元首相.jpg
「小沢に総理は譲らない」/麻生元首相
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(4) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月21日

●「新設の検察審には審査員はいない」(EJ第3655号)

 気になっていることがあります。前回のEJで述べたように、
検察審査会制度の改正で、東京地裁本庁内の検察審査会を従来の
2つから4つ新設して、6つにしたことです。つまり、第3、第
4、第5、第6の検察審査会は新設なのです。
 検察審査会は、前年秋に各検察審査会が市町村選挙管理委員会
の選挙人名簿のなかから、くじ引きソフトで選定した400人の
名簿を作成し、それを100人ずつの4群に分けてそこから必要
とする検察審査員や補充員(以下、審査員と略記)を選ぶ仕組み
です。ということは、東京検察審査会の場合、2009年5月に
新設された第3、第4、第5、第6の各検察審査会には、その時
点では審査員は存在していないことになります。
 それらの新設検察審査会のうち3つの検察審査会が、2009
年5月から2010年10月までの間、政治家マターで使われて
いるのです。新設の検察審査会ですから、審査員はその時点では
いないので、本来は秋に行う400人の名簿作りからはじめて、
そこから1検察審査会につき最大で22人(審査員11人、補充
員11人)を選ぶことになります。
 選定された審査員全員に対して通知を郵送し、返信を待って実
際に審査会議に集めるまでには相当時間がかかるはずです。しか
も、検察が時間をかけて捜査して起訴できなかった事件を審査す
るので、常識的には何回も審査会議を開くことになります。1回
や2回では結論が得られるはずがないのです。
 さて、政治家マターとは次の3つです。西松建設事件の違法献
金の容疑で検察から不起訴処分を受けた自民党・二階派会計責任
者の泉信也参院議員は第3検察審査会、母親からの違法献金の容
疑で不起訴処分を受けた鳩山由紀夫元首相は第4検察審査会、そ
して2004年政治資収支報告書虚偽記載の容疑で不起訴処分を
受けた小沢一郎衆院議員は第5検察審査会にそれぞれ割り振られ
たのです。
 気になっているとは、第1と第2検察審査会は以前からあった
ので職員も多く、きちんと審査を行っているように思えるのに対
し、第4〜第6検察審査会は職員の数も少なく、本当に職務をき
ちんと行っているのかどうかです。本当に検察審査会としての実
態があるのか疑問です。
 2010年10月25日に志岐武彦氏たちが東京第5検察審査
会事務局に質問書を渡すために訪問したとき、出迎えたのは、東
京第1検察審査会事務局長の長瀬光信氏と同検察審査会総務課長
の手嶋健氏の2人であり、肝心の第5検察審査会の事務局長やス
タッフは誰も出てこなかったのです。当然のことながら、事前に
訪問することは伝えていたはずですが、なぜ、第5検察審査会の
スタッフは出てこなかったのでしょうか。逃げたのでしょうか。
本当に実態はあるのでしょうか。
 志岐氏によると、第5検察審査会のスタッフは2人ということ
ですが、そんな人数で検察審査会を本当に運営できるものなので
しょうか。検察審査会はそれぞれが独立して業務を行うことが検
察審査会法に定められているのです。
 ところで小沢事件では、2件が検察審査会に告発されているの
です。2004年政治資金収支報告書虚偽記載と2007年政治
資金収支報告書虚偽記載の2件です。小沢事件の場合、04年分
は第5検察審査会、07年分は第1検察審査会に割り振られてい
るのです。
 第1検察審査会では「不起訴不当」議決が出ています。これは
事実上強制起訴はしないことを意味しています。この議決が出る
と、検察は一応再捜査はするものの、必ず不起訴処分を出すので
それで事件は一件落着になるのです。
 この東京第1検察審査会の場合は、審査員の平均年齢49.3
歳、男女割合は男性4名、女性7名ときちんと出ています。審査
状況は次の通りです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ≪小沢事件審査/東京第1検察審査会≫
          審査会議  参加人数    発議日
   5月20日    初回    15  5月26日
   5月27日    2回    18  5月31日
   6月 3日    3回    17  6月10日
   6月10日    4回    14  6月15日
   6月24日    5回    15  7月 5日
   7月 1日    6回    12  7月 6日
   7月 8日    議決    14  7月12日
   7月15日 議決書確認    14  7月20日
                ──志岐武彦氏提供資料
              「小沢検察審架空議決」より
―――――――――――――――――――――――――――――
 情報開示でこういうデータが出てくれば納得できるのです。議
決までに6回の審査議を開いており、そのうえで議決し、もう1
日とって審査員に議決書の確認をさせています。「発議日」とい
うのは「支払発議」のことで、審査員への日当旅費を振り込む手
続きが完了した日を意味しています。
 これを見ると、それぞれ審査会議が行われた日から一週間以内
にきちんと処理されていることがわかります。こういう資料が出
てくれば、誰も架空議決なんか露ほども疑わないのです。
 しかし、これに比べると、政治事件を扱った第3、第4、第5
検察審査会の審査状況や日当旅費の支払い状況には、不可解なこ
とがあまりにもたくさんあります。いつ、何人の審査員が集まり
何回審査会議が行われ、どのように議決されたかのプロセスがき
わめて明確ではないのです。第1検察審査会のような資料がなぜ
公開されないのでしょうか。
 こういう検察審査会法を作った政治家には大いに問題がありま
す。自分たちに一番関わりがあるのに、なぜ、本気で法改正に動
こうとしないのでしょうか。とくに自民党は法務大臣を中心に知
らん顔です。       ─── [自民党でいいのか/77]

≪画像および関連情報≫
 ●小沢を追い詰める第5検索審査会という罠/阿修羅♪
  ―――――――――――――――――――――――――――
  2010年年2月1日、東京地検特捜部吉田正喜副部長が、
  「小沢はここで不起訴になっても、検察審査会で裁かれる可
  能性が高い。その議決は参議院選挙前に出るでしょう。そん
  なことになって良いのでしょうか」と取り調べ中の石川知裕
  議員に語った。吉田副部長の言葉がなるほどとうなずける。
  検察側は、09年4月の時点で東京第五検察審査会を新設し
  て待ちうけていたということだ。局員が多いと悪いことをす
  ればすぐばれる。これまでの東京第一、東京第二という組織
  では悪行の達成は難しい。そこで、悪ども(検察?)は、組
  織を小割にすることを考えた。審査会事務局には仲間がいて
  どうにでもなる。東京第五審査会を新設し、そこに小沢案件
  をぶち込むことにした。傳田氏、金子氏を配置し、二人に悪
  行の手助けをしてもらうことにした。偽審査員を審査会に送
  り込めば、東京第五検審の傳田局長と金子係長の段取りで、
  議決を導き出せる。偽審査員は、小沢起訴に積極的同意しそ
  うな輩の名簿を東京第一検審に渡してやれば、第一検審事務
  局がそれに基づき準備できる。悪どもは、こうすれば、誰に
  も知られず小沢起訴議決が取れると踏んだ。その通り実行さ
  せ、成功した。この計画に係わった第一検審と第五検審メン
  バーはただの実行犯だ。裏に、小割り審査会を新設させ、偽
  審査員を揃えさせた悪ども(検察?)がいるはずだ。
                   http://bit.ly/rOZc5t
  ―――――――――――――――――――――――――――

6つの東京検察審査会.jpg
6つの東京検察審査会
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月22日

●「検察審は『常設開催』体制である」(EJ第3656号)

 今回のテーマを書き始めたのは、2013年7月1日であり、
それから約3ヵ月半が経過しています。今日で78回目のレポー
トになります。通常のEJではそろそろ終わりのタイミングがき
ています。
 しかし、小沢一郎氏を2度にわたって「起訴相当」議決に追い
込んだ東京第5検察審査会には大きな疑惑があります。明らかに
何らかの不正が行われているものと思われます。この疑惑に迫る
べく、10月2日から書き始めたところ、志岐武彦氏をはじめ、
複数の方たちからさまざまな情報提供をいただき、事件の解明に
大変参考になっています。情報を提供をしていただいた方々には
この場を借りて厚く御礼申し上げます。
 なかでも10月18日に「和モガ」氏からいただいた情報には
大変衝撃を受けています。「和モガ」氏は、2012年8月以来
多くの情報開示資料を収集し、それらを緻密に分析のうえ、犯罪
事実を発見し、2013年7月8日付で、最高裁判所に対して告
発状を提出しています。やはり、小沢事件の「起訴相当」議決は
犯罪の疑いが濃厚なのです。
 「和モガ」氏の告発状の内容を理解するには、もう少し詳しく
検察審査会について知る必要があります。そういうわけで、当初
予定していた方針を少し変更して書いていきます。
 検察審査会というと、検察の不起訴処分に対する市民の告発が
あると、そのつど審査員が選定され、審査が行われるイメージが
ありますが、そうではなく「常時開催」の体制なのです。
 つまり、審査する案件があろうとなかろうと、ルールに基づい
て審査員は選定され、そこに案件が持ち込まれるのです。これに
ついて、もう少していねいに述べます。
 各市町村選挙管理委員会は、毎年10月15日までに選挙員名
簿のなかから、審査員の候補者400人をくじで選定し、その名
簿を検察審査会事務局に提出します。この名簿は次の年の審査員
を選定するための名簿になります。
 検察審査会事務局は、この400人を次の4群に100人ずつ
割り振ることになっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
     第1群 ・・・・・ 任期 2月〜 7月
     第2群 ・・・・・ 任期 5月〜10月
     第3群 ・・・・・ 任期 8月〜 1月
     第4群 ・・・・・ 任期11月〜 4月
―――――――――――――――――――――――――――――
 候補者に選定された人に対しては、11月中に決定通知書が郵
送されます。通知書を受け取った候補者は、辞退理由に該当する
場合は辞退を申し出ることができ、検察審査会が承認した場合は
候補者名簿から削除されます。
 それぞれ4群の任期の2ヶ月前に各群の候補者のなかから、検
察審査会事務局長、裁判官、検察官の立ち会いのもとで、「審査
員選定くじソフト」を使って審査員と補充員を選定しまなす。人
数は次の通りです。
―――――――――――――――――――――――――――――
  第1群/第3群 ・・・・・ 審査員5人/補充員5人
  第2群/第4群 ・・・・・ 審査員6人/補充員6人
―――――――――――――――――――――――――――――
 そして、任期の1ヶ月前には、審査員等決定通知書と招集状が
送付されるのです。このように案件があろうとなかろうと、審査
員は招集されるのです。ちなみに、東京第5検察審査会は、東京
都特別区と島嶼の選挙人名簿から審査員が選定されています。
 このように書くと、検察審査会議には11人が必要なはずで、
選定される人数が少ないのではと思われるかもしれませんが、そ
うではないのです。
 2月を例にとると、第1群の5人と前年の第4群の6人の11
人で審査会議が行われるのです。もし、審査会議で11人が欠け
るときは、出席している補充員がくじで選ばれ、審査に加わるこ
とになっています。
 小沢事件を審査した第2回目の第5検察審査会は、審査途中で
第1群の5人は任期満了になり、第2群の6名の審査員と第3群
の5人の審査員の計11名で審査が行われたのです。詳しくは、
添付ファイルを見てください。この図は、「和モガ」氏の資料の
1つです。
 審査会議を行う場合、どうしても法律の専門的な知見が必要に
なります。そのため、審査補助員という弁護士を委嘱できるよう
になっていますが、1回目のときは任意ですが、2回目のときは
必須なのです。
 小沢事件を審査する第5検察審査会(小沢審査会と略記)では
任意でよいはずの1回目から、審査補助員がついています。東京
弁護士会の米澤敏雄弁護士です。米澤弁護士は第3回目の審査か
ら委嘱され、その後すべての小沢審査会に出席しています。
 ところが調べによると、この東京弁護士会による米澤弁護士の
選定には大きな疑惑があるのです。これについては明日のEJで
詳しく書くことにします。
 2回目の小沢審査会では、検査補助員は必須であり、吉田繁実
弁護士が委嘱されたことは既に述べた通りです。さらに2回目の
審査会で議決をする場合は、事前に担当検察官を検察審査会に出
頭させ、不起訴理由の説明を聞くことが義務づけられています。
 このように、検察審査会が常設のものであるとすると、検察審
査会を開かず、架空議決をすることは相当ハードルが高くなりま
す。これについては改めて検証することにします。
 2009年5月から改正検察審査会法が施行されましたが、同
時に「審査員選定くじソフト」が投入され、2009年の第3群
(任期2009年8月〜2010年1月)から、このソフトによ
る審査員選定が機械化されたのです。疑惑はその「審査員選定く
じソフト」にもたくさんあるのです。
             ─── [自民党でいいのか/78]

≪画像および関連情報≫
 ●「徳山勝連載コラム」より
  ―――――――――――――――――――――――――――
  東京第5検察審査会が小沢一郎氏を起訴相当議決したのは、
  10年9月14日。だが、議決内容の発表が3週間後の10
  月4日であったことと、そのさい発表された審査員の平均年
  齢が34.55歳と異常に若く、しかも審査員の半数が入れ
  替わったにも拘わらず、1回目と2回目の審査員の平均年齢
  が同じということから、この審査員選定に疑惑が生じたこと
  に始まり、議決のあった日付など、次々といろいろな疑惑が
  生じてきた。森議員は本書で、【検察審査会の正当性の根拠
  は、選挙人名簿の中から、くじで公正に審査員を抽出するこ
  とにある。誰も恣意的な操作をしていないからこそ、国民の
  代表といいうる。その意味で、くじによる抽選の公正さが担
  保されていなければ、選ばれた審査員による議決は無効のは
  ずである。それは国民の代表とは言えないからだ】と書いて
  いる。この正論に異議を唱える者はいないだろう。審査員の
  選定は、最高裁事務総局(以下最高裁)が、審査員選定ソフ
  トを使って行なっている。そこで森議員などが、その「くじ
  引きソフト」の検証デモを行なったが、そこでとんでもない
  ことを見つけたのだ。本書には次のように書いてある。特定
  の誰かを外すというよりはむしろ、「選びたい人間だけを選
  べる」とんでもないシロモノなのだ。しかもそのような操作
  を行なったとしても、証拠は何も残らない、と。
                   http://bit.ly/15NMXWk
  ―――――――――――――――――――――――――――

第5検察審開催状況.jpg
第5検察審開催状況
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(5) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月23日

●「誰が米澤審査補助員を選定したか」(EJ第3657号)

 陸山会事件で小沢事務所の3人の秘書を取り調べた検察官は、
つねにこういっていたそうです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 たとえ小沢が不起訴になったとしても、検察審査会で必ず起
 訴してやる。            ──取り調べ検察官
―――――――――――――――――――――――――――――
 本来検察審査会は、検察の不起訴処分が市民感覚からみて疑問
があるときは、それに「待った」をかけ、その不起訴処分が妥当
なものであるかどうかを審査し、検察をチェックするのが制度の
本来の狙いになっています。
 そうであるならば、取り調べ検察官のいっていることは矛盾し
ていますが、実際に検察官がそういっているところを見ると、こ
の制度が検察をチェックするどころか、検察の起訴処分を補完す
るものであることがわかります。
 つまり、検察が証拠不十分で起訴できない場合でも、検察審査
会を利用して強制起訴をすることが可能になったからです。小沢
審査会はまさにそのケースに該当します。しかも、いつどのよう
な審査員によって、どのように審査されて議決が出されたか、す
べてブラックボックスで非公開ですから、どのような工作でもで
きることになります。
 といっても、検察が検察審査会の議決に影響を与えるためには
次の2つのことが必要になります。
―――――――――――――――――――――――――――――
    1.担当検察官が不起訴理由の説明ができる
    2.審査補助員に検察意中の弁護士を選べる
―――――――――――――――――――――――――――――
 「1」に関しては、検察審査会法で定められているので、検察
官は不起訴処分の理由について審査員に対して説明ができますし
被疑者にとって不利な捜査報告書を提出することもできます。小
沢審査会では、田代検事作成の捏造捜査報告書などが提出されて
います。それでいて、被疑者はお呼びではないのです。被疑者の
言い分はまったく聞かず、検察官の説明と検察の捜査資料(被疑
者に有利な証拠は提出しない)だけで、市民感覚とやらで議決が
出されるのです。素人が相手ですから、検察としては起訴に導く
のは、赤ん坊の手をひねるほど簡単です。
 「2」に関しては、既に述べたように、最高裁と検察と弁護士
会は司法試験合格者の「ムラ」ですから、どうにでもなることで
す。弁護士といっても最初から弁護士の人と判事からの転身者、
検察官を退任してから弁護士になる「ヤメ検」がいます。ヤメ検
弁護士がすべて検察の味方とは限りませんが、小沢審査会では、
実際に「ヤメ検」弁護士が審査補助員に選定されています。
 第1回の小沢審査会では、3回目の審査から審査補助員が選任
されています。米沢敏雄弁護士です。1回目に関しては、審査補
助員は必須でないにもかかわらずです。しかし、この米澤弁護士
の選任には疑惑があるのです。
 東京弁護士会に山下幸夫弁護士という人がいます。この山下弁
護士は次のように話しています。八木啓代氏の主宰する「八木啓
代のひとりごと」から引用します。
―――――――――――――――――――――――――――――
  私は日弁連の中で(検察審査会に関する)ワーキンググルー
 プをやっていますので、指定弁護士や審査補助員になる人を研
 修する立場にいました。実際に研修をしています。そして、東
 京弁護士会の中で、指定弁護士や審査補助員になる弁護士とし
 ての登録もしています。で、弁護士会の内部では、(制度改正
 後に)一番最初に(検察審査会に申し立てが)来た場合は、名
 簿の一番上に山下先生を置いています、と言ってたわけです。
  ところが、小沢事件で、まさに東京弁護士会にその順番が来
 たときに、私ではなく、米澤さんという別の弁護士が審査補助
 員になったわけです。「一番最初は山下先生」と言われていた
 にもかかわらず、なぜか知らない間に、米澤さんという人が審
 査補助員になり、その人のもとで(一回目の)起訴相当議決が
 出たことを知って、非常にびっくりしたのです。私はおそらく
 米澤さんが自分で手を挙げたんだろうと思っています。自分で
 手を挙げる人を弁護士会が認めてしまったんだろうと。いろい
 ろ弁護士会の中で調べたり聞いたりしても、なぜ、この人が選
 ばれたのかということがわからない。 http://bit.ly/17JgZtq
―――――――――――――――――――――――――――――
 建前であっても検察の処分をチェックする検察審査会のアドバ
イザーである補助審査員として、元検察官である「ヤメ検」弁護
士を選ぶこと自体おかしいのです。
 米澤敏雄氏は、1961年に検事に任官し、5年後に裁判官に
転身。岐阜地裁や静岡地裁の所長を務め、東芝ココムの規制違反
事件やリクルート裁判も扱ったベテランです。1990年の平和
相互銀行不正融資事件の判決文では、特別背任罪に問われた元監
査役に対し「邪道な行為」と厳しい言葉で断じています。
 その後米澤氏は、裁判官を退官後、大東文化大法科大学院教授
を経て、2010年4月に都内の「麻生総合法律事務所」に勤務
しています。「麻生」という名前を見て、もしやということで調
べたのですが、この事務所は麻生太郎元首相のグループとは関係
はないようです。
 しかし、米澤弁護士が小沢審査会の1回目の審査補助員に選定
されたことは、それなりのウラがあるはずです。なぜなら、東京
弁護士会内の取り決めを破って選定されているからです。この点
について東京弁護士会は選定理由を説明すべきです。八木啓代氏
は東京弁護士会に「質問状」を送付しています。
 小沢審査会では、担当検察官が不起訴理由の説明として、証拠
が不十分で起訴できなかったが、十分疑わしいことを強調し、そ
れを検事上がりの審査補助員の弁護士がフォローすれば、審査員
の議決に大きな影響を与えることができるからです。こんなこと
が許されるでしょうか。 ──── [自民党でいいのか/79]

≪画像および関連情報≫
 ●日弁連会長と仙谷官房長官の関係/2010年9月7日
  ―――――――――――――――――――――――――――
  民主党代表選は、「菅VS小沢」という構図以上に、「仙谷
  VS小沢」の決戦だと言われている。仙谷由人官房長官は反
  小沢グループの首魁であり、「民主党から小沢派を一掃する
  ことを目標にしている」(民主党中堅代議士)のだという。
  その仙谷氏と法曹界のある大物との個人的な関係が、小沢氏
  をいっそうナーバスにさせている。仙谷氏が弁護士出身であ
  ることは知られているが、日本弁護士連合会(日弁連)のトッ
  プ宇都宮健児会長が、仙谷氏に個人献金をしていることが判
  明したのだ。仙谷氏は民主党議員としては政治資金が豊富で
  5つの政治団体を抱え、年間約1億1300万円の収入(0
  7年度)を得ている。こうした政治団体の収入の中に、宇都
  宮氏からの個人献金が含まれているのである。その献金額は
  06年度〜08年度まで毎年2万円ずつ、計6万円と少額。
  しかし献金は、日弁連会長と官房長官が、単に弁護士同士と
  いう以上の個人的な関係を築いていることを示しており、小
  沢氏サイドは神経質にならざるを得ない。「小沢氏は検察審
  査会の動向を非常に気にしていますが、検審に補助員として
  弁護士を派遣するのは日弁連。つまり、仙谷氏がその気にな
  れば、小沢氏に厳しい立場の弁護士を検審に送り込むという
  「介入」も可能だということになりかねない。次に「起訴議
  決」が出れば小沢氏は強制起訴され、政治生命を失いますか
  ら深刻です」(別の民主党議員)。しかも、宇都宮氏が献金
  をしているのは仙谷氏だけではない。08年度には枝野幸男
  幹事長に1万円、07年度・08年度には小宮山洋子財務委
  員長に計4万円の献金も行っている。枝野、小宮山両氏は、
  仙谷氏同様、民主党内では反小沢の急先鋒として知られてい
  る。「敵方」の中心人物たちと日弁連会長が親しいとあって
  は、小沢氏もおちおち枕を高くして眠れないだろう。仙谷氏
  は小沢氏の代表選への出馬に対し、「出られるものなら出て
  みろ」と言い放ってきた。強気の背景には、この強力な法曹
  界とのパイプがあったのか。互いの怨念が積もった両氏の対
  決は、文字通り"血戦"ということになりそうだ。
                   http://bit.ly/w1gd1y
  ―――――――――――――――――――――――――――

米澤敏雄弁護士.jpg
米澤 敏雄弁護士
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月24日

●「30.90歳が意味しているもの」(EJ第3658号)

 真実に迫るためにやらなければならないことがあります。それ
は、第5検察審査会の事務局がどうして審査員の平均年齢を間違
えたかの謎を解くことです。それを解くことによって、そこから
見えてくるものが必ずあるからです。
 第5検察審査会事務局の平均年齢の計算ミスは、次の3回に及
ぶのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
  ≪小沢審査会・2回目≫
  1.30.90 歳 → 33.91 歳 → 34.55 歳
  ≪小沢審査会・1回目≫
  2.34.27 歳 → 34.55 歳
―――――――――――――――――――――――――――――
 2010年10月4日に小沢氏の起訴議決を公表したときの平
均年齢は「30.90 歳」。「年齢が若過ぎる」という声が上が
ると、37歳の人を足し忘れたといい、「33.91 歳」と訂正
し、それでも矛盾を突き付けられると、「34.55 歳」である
と再度訂正。それに加えて、1回目の平均年齢「34.27 歳」
を「34.55 歳」に訂正しています。これで小沢審査会の1回
目と2回目の審査員の平均年齢が、小数点まで含めてまったく同
じになったのです。
 志岐氏は、その年齢訂正の件を直接東京第5検察審査会事務局
長の傳田みのり氏に聞くべく、面会を求めていたのですが、やっ
と電話で話すことができたのです。2010年12月27日のこ
とです。志岐氏の本からそのやり取りを引用します。
―――――――――――――――――――――――――――――
 志岐:傳田局長お願いします。
 傳田:傳田です。どういうご用件ですか。
 志岐:これまでのいきさつから、審査員が選ばれたのか、審査
    会がまともに開かれ、まともな議論がなされたのか疑い
    を持っています。審査員の選定と審査会の開催状況を教
    えてください。
 傳田:どうしてそう思われるのですか。
 志岐:審査員の平均年齢を三度も訂正した。単純な計算なので
    間違えるものではないはずです。どのような間違いをし
    たのですか。
 傳田:申し訳ありません。今となつては(どのような間違いを
    したか)わかりません。間違えたと理解してもらう以外
    にありません。
 志岐:最初37歳を足し忘れたとして、33.91 歳と説明し
    た。「37歳を加えて計算しなおしても、33.91 歳
    にならない」と指摘されたら、また平均年齢を訂正しま
    したね。
 傳田:間違った理由はわかりません。議決時の年齢を就任時で
    計算したという間違いもありました。
 志岐:「はっきり37歳の人を足し忘れた」と説明していたで
    はないですか。議決時と就任時との取り違えでは、平均
    年齢の違いはごくわずかです。説明を聞いても全然理解
    できません。
 傳田:わかってもらえないのは仕方がありません。見解の相違
    です。         ──志岐武彦/山崎行太郎著
     『最高裁の罠/the Trap for Ozawa』/K&Kプレス
―――――――――――――――――――――――――――――
 なぜ、第5検察審査会は何回も平均年齢を間違えたのかについ
てはいろいろな説があります。そのなかで「和モガ」氏の分析は
きわめて明快なので、ご紹介することにします。
 「和モガ」氏は、この年齢計算のミスを解明の突破口にして、
小沢氏に起訴議決を下した東京第5検察審査会の議決には犯罪性
があるとして、これにかかわったとされる9人を最高裁判所に対
して告発状を提出しています。
 解明のかぎは「30.90 歳」にあります。この数字は審査員
の総数11人で割った数ではないのです。なぜなら、11で割っ
て割り切れない場合は、小数点2位まで取ると、次の10パター
ンの循環小数になり、「90」にはならないからです。
―――――――――――――――――――――――――――――
          09     55
          18     64
          27     73
          36     82
          45     91
―――――――――――――――――――――――――――――
 この「30.90 歳」は11ではなく、10で割った数字なの
です。年齢の合計数は「309」ということになります。ちなみ
に、事務局が発表した数字である「33.91」 「34.55」
「34.27」 はいずれも小数点2位までが、上記10パターン
のいずれかに該当するので、明らかに11で割った結果であるこ
とがわかります。
 なぜ、10で割ったのかについて「和モガ」氏は、審査員が議
決書に署名した2010年10月4日の時点で、審査員の1人が
印鑑を忘れて署名していないことが原因であるとしています。そ
の審査員は氏名はわかりませんが、情報開示資料から「1335
66」であることがわかっています。
 役所では印鑑を持っていない場合は、指印で済ますことが多い
ですが、議決書の謄本は検察審査会が対外的に発行する公文書に
なるので、印鑑が必要であったものと思われます。平均年齢の計
算は、署名のある10人の平均年齢なのです。
 「30.90 歳では年齢が若過ぎる」という声が上がると、事
務局は37歳の人を足し忘れていたとして、「33.91 歳」と
訂正してきたのですが、これも間違えているのです。この解明は
明日のEJで行うことにします。
            ──── [自民党でいいのか/80]

≪画像および関連情報≫
 ●最高裁事務総局が小沢検審起訴の首謀者!
  ―――――――――――――――――――――――――――
  ◎「小沢検審起訴の首謀者は最高裁事務総局」
  小沢検審起訴の黒幕は最高裁事務総局といい続けてきた。追
  っていくと黒幕だけの存在ではなさそう。最高裁事務総局が
  小沢起訴の首謀者であり実行犯のようだ。何故そう結論付け
  るのか。それは検察審査会事務局が最高裁の一機関に過ぎな
  いからだ。最高裁は、検察審査会事務局職員に裁判所事務官
  を充てがい、これらの職員の人事を担当している。最高裁事
  務総局人事局は検察審査会事務局職員の昇進・昇給・査定・
  異動等全てを行っている。最高裁は職員を指揮命令できる体
  制を作り上げている。民間流に言えば、最高裁が検察審査会
  事務局職員を雇用しているといっても良い。現状の検察審査
  会事務局を「最高裁事務総局検察審査会議開催係」と組織名
  称を替えてもよいくらいだ。
  ◎「最高裁は審査員クジ引き責任者手嶋課長を異動させた」
  最高裁事務総局は4月人事で審査員クジ引き責任者の手嶋健
  第一検審事務課長を異動させた。2012年4月8日検審事
  務局を訪問してわかったことだ。手嶋健氏は最高裁担当者と
  共謀してクジ引きインチキをした男だ。市民が何度も手嶋氏
  を攻めた。彼は完全に動転していた。ノックアウト寸前だっ
  た。最高裁は彼を匿わざるをえなかった。昨年は傳田みのり
  東京第五検審事務局長を異動させた。これで実行犯がいなく
  なった。最高裁は揉み消しに必死だ。http://bit.ly/HcuFoa
  ―――――――――――――――――――――――――――

最高裁判所.jpg
最高裁判所
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月25日

●「事務局はなぜ計算を間違えたのか」(EJ第3659号)

 小沢審査会の2回目で東京第5検察審査会事務局は、審査員の
平均年齢を2回も訂正しています。それを次に示します。
―――――――――――――――――――――――――――――
   ≪小沢審査会・2回目≫
   30.90 歳 → 33.91 歳 → 34.55 歳
―――――――――――――――――――――――――――――
 改めていうまでもなく平均年齢は、審査員11人の年齢を加算
して、11で割るだけです。計算としてはきわめて簡単ですし、
最高裁の職員ともあろう者が2回も間違えるのは不自然です。
 そこでひとつ考えられることは、検察審査会のスタッフが何か
を隠そうとした場合です。以下、「和モガ」氏の資料に基づいて
できるだけわかりやすく説明します。
 2回目の小沢審査会の議決結果を公表した2010年10月4
日、事務局は、審査員の平均年齢を「30.90 歳」と発表して
います。これには2つの異論が指摘されたのです。1つは、「年
齢が異常に若過ぎる」というのと、2つは「計算が違っている」
という指摘です。1の「年齢が異常に若過ぎる」という指摘は後
で検討するとして、「2」について考えます。
 「30.90 歳」は、11で割った答えでないことは明らかで
す。昨日のEJで説明したように、11で割った場合、小数点以
下の数字が「90」になることはないからです。本当は審査員の
年齢の合計数を10人で割っているからですが、それを明らかに
すると、9月14日に起訴議決しながら、議定書にサインしたの
が10人であることがバレてしまうので、いえなかったのだと思
います。
 事務局としては「これはまずい」と考えて、「37歳の人を1
人足し忘れていた」として「33.91 歳」と修正したのです。
この数字は、小数点以下が「91」ですので、間違いなく11で
割った数字です。しかし、これに対してもすぐ、「計算が違って
いないか」と異論が出たのです。それは、次のように計算すれば
「34.27 歳」になるからです。
―――――――――――――――――――――――――――――
        30.90歳×11=339.9 歳=340歳
 340歳+37歳=377歳 377歳÷11=34.27歳
―――――――――――――――――――――――――――――
 実は事務局はそういう指摘が出ることを予測していて、その言
い訳を考えていたのだと思います。その言い訳とは、志岐武彦氏
と傳田第5検察審査会事務局長(当時)のやりとりで、傳田局長
がそれに近いことを口にしています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 志岐:最初37歳を足し忘れたとして、33.91 歳と説明し
    た。「37歳を加えて計算しなおしても、33.91 歳
    にならない」と指摘されたら、また平均年齢を訂正しま
    したね。
 傳田:間違った理由はわかりません。議決時の年齢を就任時で
    計算したという間違いもありました。
                ──志岐武彦/山崎行太郎著
     『最高裁の罠/the Trap for Ozawa』/K&Kプレス
―――――――――――――――――――――――――――――
 既に述べたように小沢審査会の2回目は、1群の5人と2群の
6人でスタートしたのですが、審査途中の7月末に1群の5人は
任期満了になり、8月以降は2群の6人と3群の5人で審査が進
められたのです。
 上記の傳田氏の表現は「就任時で計算すべきなのに議決日で計
算した」の間違いではないかと思います。つまり、傳田局長は、
本来2群就任時である5月1日時点で計算すべきなのに、議決日
の9月14日で計算したといっているのです。小沢審査会の場合
年齢を計算する基準日は、次の3つがあります。→の右の数字は
その場合の合計年齢です。添付ファイルはこの関係を図解したも
のです。(「和モガ」氏の資料)
―――――――――――――――――――――――――――――
    1.第2群の就任時/5月1日 → 373歳
    2.第3群の就任時/8月1日 → 377歳
    3.   9月14日の議決日 → 380歳
―――――――――――――――――――――――――――――
 実は第2群は、9月14日までの間に4人、第3群については
3人が誕生日を迎えているのです。これを前提に合計年齢の根拠
を示します。
 便宜上「3」から説明します。「3」の「380歳」は年齢計
算基準日を議決日の9月14日として計算した数です。この場合
は、5月1日〜9月14日までに誕生日を迎えた7人(4人+3
人)を加える必要があります。この数字が事務局が、10月13
日に訂正数字として発表した数字です。以下、この「380」と
いう数字を中心に説明します。
―――――――――――――――――――――――――――――
         373歳+7人=380歳
       380歳÷11=34.55 歳
―――――――――――――――――――――――――――――
 「2」の「377歳」は、第3群の就任時である8月1日を計
算の基準日にしているので、8月1日以降9月14日までに誕生
日を迎えた3人を「380」から引く必要があります。そうして
得られた数字が「377歳」です。
―――――――――――――――――――――――――――――
         380歳−3人=377歳
       377歳÷11=34.27 歳
―――――――――――――――――――――――――――――
 「1」の「373歳」は、第2群の就任時の5月1日を基準日
にしているので、5月1日から9月14日までに誕生日を迎えた
7人を「380」から引く必要があります。「373歳」はその
ようにして得られた数字です。── [自民党でいいのか/81]

≪画像および関連情報≫
 ●「検察の罠」から「最高裁の罠」へ/あるブログより
  ―――――――――――――――――――――――――――
  小沢一郎を強制起訴に持ち込んだ「検察審査会」のメンバー
  11人の「平均年齢」の計算ミス事件から始まった「最高裁
  スキャンダル」は、その後、拡大の一歩をたどっている。ま
  さしく「最高裁の罠」と呼ぶべき大掛かりな陰謀謀略が次々
  と暴露され、日本という国家の根幹に関わる「大スキャンダ
  ル」に発展しつつある。しかし、不可解なことに新聞、テレ
  ビを中心とする巨大マスコミはほとんどこの「最高裁スキャ
  ンダル」を報道しようとしない。何故か。巨大マスコミもま
  たこの「最高裁スキャンダル」の共犯であり、陰謀謀略に加
  担しているからではないのか。この前代未聞の最高裁スキャ
  ンダルを執拗に追求しているのは、小沢事件及び小沢裁判に
  まつわる数々の疑惑に関心と興味を持ちはじめ、検察や司法
  の謀略や犯罪を追うことになった一般市民であり一般国民で
  ある。元検察官や弁護士、元裁判官、あるいは司法ジャーナ
  リスト・・・ではない。むしろ、彼ら、司法の専門家たちの
  多くは、逆に「最高裁スキャンダル隠し」に動いているケー
  スが少なくない。要するに、彼等は多くの場合、国家権力そ
  のものとも言うべき最高裁に歯向かうような勇気も度胸もそ
  して思想的動機も持ち合わせてはいないというほかはない。
  「専門家は保守的だ」という言葉があるように、こういう場
  合、彼等のような「専門家」は当てにならない、ということ
  を知るべきである。        http://bit.ly/17eC3Mj
  ―――――――――――――――――――――――――――
 ●添付資料出典/「和モガ」氏作成/ http://bit.ly/179HASj

小沢審査会2回目審査員の平均年齢計算基準日.jpg
小沢審査会2回目審査員の平均年齢計算基準日

posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(4) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月28日

●「34.55回2回は1億回に3回」(EJ第3660号)

 審査員の平均年齢の計算ミスの問題──「和モガ」氏の分析の
紹介を続けます。
―――――――――――――――――――――――――――――
   ≪小沢審査会・2回目≫
   30.90 歳 → 33.91 歳 → 34.55 歳
―――――――――――――――――――――――――――――
 「和モガ」氏は「30.90 歳」は11人で割ったものではな
く、「309」を10人で割ったものであるとしています。10
月4日の時点で、審査員の1人(133566)が印鑑を忘れて
いたので、10人で割ったのではないかと「和モガ」氏は推理し
ているのです。
 ところが「年齢が若過ぎる」という批判を受けて、37歳の審
査員を足し忘れたと事務局は発表しています。2010年10月
12日のことです。
―――――――――――――――――――――――――――――
     30.90 歳×11=339.9 歳=340歳
   340歳+37歳―4歳=373歳→33.91 歳
―――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、「30.90 歳」には11人ではなく、10人を掛け
るべきなのです。そうすると、足し忘れた分の数字は、37歳で
はなく、次のように68歳になります。
―――――――――――――――――――――――――――――
          30.90 歳×10=309歳
   309歳+X歳(足し忘れ分)―4=373歳
      X歳=373歳―309歳+4=68歳
―――――――――――――――――――――――――――――
 これが正しいとすると、非常に若い審査員のなかに68歳とい
う高年配の人が含まれていたことになります。
 この「和モガ」氏の主張に対し、志岐武彦氏は次のように反論
しています。
 「30.9 歳という平均年齢に足し忘れはなかった」という仮
説を立てます。本当に37歳の人を足し忘れたのであれば、事務
局は「34.27歳」と発表したはずです。
―――――――――――――――――――――――――――――
   (30.9歳×11人+37歳)÷11=34.27 歳
―――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、事務局は「33.91 歳」と訂正しているのです。そ
こで次のように計算して「33.99 歳」を出します。
―――――――――――――――――――――――――――――
    (30.9 歳×11人)÷10=33.99 歳
―――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、「33.99 歳×11=373.89 歳」となり、整
数にならない。そこで、小数点以下の「.89 」を切り捨てて合
計年齢を「373」にしたのです。合計年齢が373歳であれば
「33.91 歳」になります。これが志岐氏の推理です。いずれ
にしても事務局は何かを隠しています。
 30.90 歳はもちろん、33.91 歳でも34.55 歳でも
年齢は「若過ぎる」のです。
 「和モガ」氏は、東京都特別区の選挙人の年齢別人口を基にし
て、次の方法でシミュレーションを行っています。モンテカルロ
法によるシミュレーションと思われます。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1.全選挙人に1から連続番号を付ける。20歳の人口は86
   803人、21歳は94022人なので、20歳の人は1
   から86803番まで、21歳の人は86804から18
   0825までの番号を持つことになる。同様にして、以下
   各年齢について110歳以上まで同様に採番する。
 2.選挙人の総数7496173を上限にして、1から749
   6173までの間に乱数を発生させる。出た乱数に対応す
   る選挙人年齢を逆引きする。その数が1から86803ま
   でなら20歳、86804から180825までなら21
   歳というように、110歳まで同様に実施する。
 3.検察審査会では70歳以上については、候補者の希望によ
   り辞退できるので、80歳以上になったときは全員辞退と
   し、70歳から79歳までについては半数が辞退するもの
   とする。このため70歳から79歳までの乱数となった場
   合は乱数が奇数のとき、その番号をもつ選挙人を辞退希望
   者とする。
 4.それを同じ乱数が発生しないように制御して、11回、年
   齢が出るよう繰り返すと審査員11人が選ばれたことにな
   り、その11人の合計年齢を計算することができる。
             ──「和モガ」氏作成の告発状より
―――――――――――――――――――――――――――――
 これら一連の操作を1000万回実行させてグラフ化したもの
が添付ファイルです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ◎1回目審査員平均年齢/34.55 歳(合計年齢380歳)
  ・5072回 ・・・  1万回に約5回の確率
 ◎2回目審査員平均年齢/30.90 歳(合計年齢309歳)
  ・ 647回 ・・・ 10万回に約6回の確率
―――――――――――――――――――――――――――――
 陸山会事件の場合、1回目と2回目とも「34.55 歳」が連
続しているので、2つの確率の掛け合わせとなり、審査員は計算
上、1億回に3、4回の確率で選ばれていたことになります。こ
れにより、小沢審査会の審査員の選定作業において、何らかの人
為的な操作が行われたことが推定されます。
 問題は、「審査員選定くじソフト」がどうなっているかです。
これについては、明日のEJでその概要を明らかにし、どのよう
な操作が行われたかについて検証することにします。
            ──── [自民党でいいのか/82]

≪画像および関連情報≫
 ●有田芳生の『粋醒漫議録』/平均年齢34.55 歳の怪
  ―――――――――――――――――――――――――――
  2010年10月26日(火)法務委員会が終わった。質問
  冒頭にこんな趣旨を語った。「昨年5月からはじまった裁判
  員裁判ではじめての死刑求刑が行われ、司法への国民参加が
  大きな話題となっています。同じときからはじまり強化され
  た検察審査会への関心も小沢一郎議員への起訴議決で高まっ
  ています。今日はこの検察審査会についてお訊ねします。ま
  ず前提としてお願いしたいのは、専門用語を多用した朗読で
  なく、だれにもわかりやすい言葉で説明していただきたいと
  いうことです。作家の井上ひさしさんは『むずかしいことを
  やさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをゆかいに、
  ゆかいなことをまじめに書くこと』をモットーとしていまし
  た。この委員会でも『むずかしいことをやさしく、やさしい
  ことをふかく』説明していただくようお願いいたします。と
  ころが法務省の刑事局長などの答弁は、予想通りの専門用語
  の羅列ばかり。国会の政治文化を変えて行くのは並大抵のこ
  とではない。東京第5検察審査会で「小沢問題」を起訴議決
  した平均年齢は1回目も2回目もメンバーが変わってるのに
  34・55歳と同じだ。しかしこの組織は内閣からも独立し
  ているため、内実はまったくわからない。会議の開催数、時
  間、内容なども会議録はあるのに公開する術がないのだ。
                   http://bit.ly/cN1Ylc
  ―――――――――――――――――――――――――――

審査員選定シミュレーション.jpg
審査員選定シミュレーション
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月29日

●「恣意的に審査員を選べるシステム」(EJ第3661号)

 このところEJは、検察審査員の平均年齢を最高裁事務総局の
職員がなぜ何回も間違えたのかの細かい部分に話が集中し、全体
が見えにくくなっているきらいがあります。
 現在、主としてネット上の論争では、小沢審査会において何ら
かの不正が行われたことは「常識」になりつつあります。その論
争は次の2つの推論に大別されます。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1.小沢審査会では、2回とも審査員(補充員を含む)が恣意
   的に若年層を中心に選定され、そこに不正な方法で投入さ
   れた「なりすまし審査員」が、審査の結論を「起訴相当」
   議決に導いたのではないかとする推論。
 2.東京の検察審査会のなかに事務職員2人の第5検察審査会
   を作り、不正操作のできるクジ引きソフトを使って審査員
   を選定したが、本人には通知せず、架空に審査会議を開き
   「起訴相当」議決を下したとする推論。
―――――――――――――――――――――――――――――
 「1」は、検察審査会を一応ルール通りに開催しているが、審
査員の選定において不正な操作を行い、なりすましの審査員を潜
り込ませており、それを裏付ける事実が開示資料にある。そのな
りすましの審査員が審査会議の議論を誘導し、11人中8人以上
の「起訴相当」議決をもたらしたという考え方です。「和モガ」
氏はこの主張をしています。
 「2」は、2回とも小沢審査会はルール通りに開かれておらず
議決は「架空議決」だったのではないかという考え方に立ってい
ます。いくら恣意的に審査員を選んでも人間にはいろいろな考え
方があるので、確実に起訴議決が得られるとは限らない。確実性
を期すため、「架空議決」を企んだのではないかという考え方で
す。志岐武彦氏はこの考え方を主張しています。
 ここで、「検察審査員候補者管理システム」(以下、「選定く
じソフト」と略称)がどのようなものかについて、述べておく必
要があります。
 検察審査員は、普通の国民が厳正・公平な手続きによって選定
される必要があります。それは、国民であれば誰でも選ばれる可
能性があり、何らかの操作が加えられて、恣意的に選ばれるもの
であってはならないのです。なぜなら、その議決によっては、被
疑者は刑事被告人になる可能性があるからです。
 それだけに、「選定くじソフト」はその点を踏まえて構築され
る必要があります。その構築の基本条件としては、次の3つのこ
とが上げられると思います。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1.検察審査員は極力人の手が加えられず、公平・客観的に
   選定されなければならない。
 2.その選定プロセスは何か問題が起きたときに検証できる
   よう記録されるべきである。
 3.選定作業ではそれが正しく行われていることを担保する
   ため立ち会いが必要である
―――――――――――――――――――――――――――――
 どのようにして、検察審査員の候補者が選定されるか、見てい
くことにします。
 まず、各市町村選挙管理委員会から、毎年10月15日までに
検察審査会事務局に400人の選挙人名簿が送られてきます。事
務局は、その名簿から次の年の第1群から第4群まで各群100
人の審査員候補者ファイルを作成し、それを一度最高裁に送付す
るのです。
 その後集約されて各検察審査会事務局に戻された候補者ファイ
ルを「選定くじソフト」に登録します。そして、各群の審査員候
補者に対して、任期開始3ヵ月前に「質問票」を送付し、その回
答の戻ってくるのを待ちます。
 検察審査員には、裁判所、法務省、警察職員、自衛官、弁護士
公証人、司法書士はなれませんし、70歳以上の者、国または地
方公共団体職員および教員、学生および生徒、その他やむを得な
いの事情のある者は辞退できるので、回答が戻ってきたら、それ
らの人をマニュアルの指示にしたがって外します。
 これらの操作は、「就職禁止」項目にクリックしてチェックを
入れ、「辞退理由承認等」項目に「承認」「不承認」をクリック
するなど手作業なのです。この画面には「生年月日」も表示され
ているので、特定の年齢以上にチェックを入れて、外すことは簡
単にできるのです。
 このようにして、「就職禁止」者、辞退者を外した候補者ファ
イルの中から、審査員と補充員の数を指定して、「選定の実行」
をクリックすると、候補者が自動的に選定されるのです。最高裁
の判事や検察庁の検事が立ち会うのはこの場面だけであり、すべ
ての処理を済ませた最後の段階であって、ほんとど儀式のような
ものです。立会人のチェックは事実上行われないのも同然です。
 「選定くじソフト」には、このように手入力によって候補者を
選定できることだけではなく、大きな問題点があるのです。それ
は「選定の実行」をクリックしたとたん、手入力で入力した候補
者情報がすべて消えてしまうことです。つまり、手入力によって
不正が行われたとしても、その痕跡は一切残らないのです。
 つまり、このソフトは、「選定くじソフト」構築の基本3条件
を3つとも満たしていないだけではなく、検察審査会法施行令の
第9条にも違反しているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 候補者を検察審査員候補者名簿から削除するに当たっては、当
 該候補者を削除したことが明確であり、かつ削除された文字体
 がなお明らかになるような方法により行わなければならない。
                ──志岐武彦/山崎行太郎著
     『最高裁の罠/the Trap for Ozawa』/K&Kプレス
―――――――――――――――――――――――――――――
            ──── [自民党でいいのか/83]

≪画像および関連情報≫
 ●おーい、とらちゃん出番だよ!/日刊ゲンダイ紙より
  ―――――――――――――――――――――――――――
  2012年2月17日、民主党の小沢一郎元代表の公判で証
  拠採用の可否が決まる。焦点は、小沢強制起訴の唯一の根拠
  となった元秘書・石川知裕衆院議員の供述調書が証拠採用さ
  れるかどうかだ。もっとも、裁判関係者は「証拠採用で一喜
  一憂していられない」と話す。元秘書3人の裁判では、検察
  調書の大部分が「信用できない」として却下された。にもか
  かわらず「推認」の積み重ねで有罪にされてしまったのだ。
  判決は「法と証拠に基づく」なんて大ウソ。小沢裁判では何
  が起きてもおかしくない。ここへきて、強制起訴に至った経
  緯にも不信の目が向けられている。強制起訴を議決した「検
  察審査会」の審査員選定に関して、重大疑惑が浮上している
  のである。検察審査員は、各地の選挙管理委員会が選挙人名
  簿から抽出した100人の候補者名簿をもとに、「検察審査
  員候補者名簿管理システム」という選定ソフトを使って10
  ないし12人の審査員・補充員が「無作為に」選ばれること
  になっている。ところが、本紙が選定ソフトの内部資料を入
  手し、検証してみたところ「作為的に」審査員を選ぶことが
  可能なことが分かった。選定ソフトに詳しい関係者が言う。
  「操作マニュアルは、暗号化された選管の名簿しか読み込め
  ないことになっていますが、実際はエクセルファイルで作っ
  た名簿でも読み込めます。つまり、候補者名簿に名前がない
  人を後から潜り込ませることができる。そして、当選させた
  い人以外はすべて不適格の欄にチェックを入れて抽選を行え
  ば、意図する人だけが残る。つまり、恣意的に審査員を選ぶ
  ことは可能なのです」。      http://bit.ly/ACjkp1
  ―――――――――――――――――――――――――――

「選定くじソフトの問題点」.jpg
「選定くじソフトの問題点」
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月30日

●「なぜこのようなソフトを作ったか」(EJ第3662号)

 昨日のEJで述べたように、「選定くじソフト」では、審査員
になれない者や辞退者を外す処理を手作業で行うので、そのさい
に特定年齢以上の者を外したりするなどの不正行為を行うことが
できます。
 この作業をした後で立会人(判事・検事)の立ち会いの下で、
候補者リストを印刷して立会人に交付し、そのうえで「選定の実
行」ボタンをクリックし、審査員と補充員を選定します。これと
同時に手作業で修正などをした記録はすべて消去され、記録は一
切残らないのです。
 そのうえで「選定録等の印刷」ボタンをクリックして、選定さ
れた審査員と補充員の選定録を印刷し、立会人2人に認印をもら
えば選定作業は終了するのです。
 「選定くじソフト」のマニュアルには出ていないのですが、こ
のソフトでは、エクセルで作成した名簿ファイルを登録すること
も可能であり、選びたい審査員のファイルをエクセルで作成し、
それを登録して候補者ファイルから選定することも可能です。
 この「選定くじソフト」の問題点については「日刊ゲンダイ」
/2012年2月16日号が取り上げています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 選定ソフトに詳しい関係者が言う。「操作マニュアル上は、暗
 号化された選管の名簿しか読み込めないことになつていますが
 実際はエクセルファイルで作った名簿でも読み込めます。つま
 り、候補者名簿に名前がない人を後から潜り込ませることがで
 きる。そして、当選させたい人以外はすべて不適格の欄にチェ
 ックを入れて抽選を行えば、意図する人だけが残る。つまり、
 恣意的に審査員を選ぶことは可能なのです」。あらかじめ小沢
 に反感を抱いている人物を選定して送り込むこともできるし、
 政治的に興味がなさそうな若者だけを選ぶことだって自在だ。
 「さらに、抽選結果をプリントアウトした瞬間にデータが破棄
 される仕様になっています。仮にインチキをしても、証拠は残
 りません」(前出の関係者)  ──志岐武彦/山崎行太郎著
     『最高裁の罠/the Trap for Ozawa』/K&Kプレス
―――――――――――――――――――――――――――――
 このように、「選定くじソフト」ではその気になれば、いくら
でも恣意的な選定ができることになります。しかし、証拠は残ら
ないので、小沢審査会の審査員選定は恣意的な選定であるとして
最高裁を追い詰めることは困難です。
 審査員の平均年齢を第5検察審査会事務局が何度も間違えたこ
とや、それがいかに統計上あり得ないことであっても、最高裁は
正統性を主張するはずです。志岐武彦氏が第1検察審査会事務局
長の長瀬光信氏と平均年齢のミスについて話したときのやり取り
にもそれが出てきます。
―――――――――――――――――――――――――――――
 志岐:操作者が勝手に審査員候補者を消すこともできますね。
 長瀬:既に開かれている検察審査会議に、審査員情報(欠格事
    項など)を示し、既審査員達に承認してもらう手続きを
    取っていますので。
 志岐:審査員達に承認してもらっても、人力は操作者に委ねら
    れている。承認されたものと異なる内容を人力されたら
    おしまいではないですか。審査員選定直前の画面が保存
    されないのも問題だと思いますが。
 長瀬:そんなことしていません。
 志岐:審査員候補者でない人を手人力し、審査員候補者100
    人を消してしまえば、手入力した人を審査員にできると
    いうことですよね。
 長瀬:そうですか。しかし、そんなことありえません。
 志岐:そうでもしないと、平均年齢が2回とも34.55 歳な
    るなどあり得ませんよ。なにせ2回とも34.55 歳に
    なる確率は100万回に1回ですからね。
 長瀬:⇒ それってゼロではないですよね。それがあったんで
    すよ。
 志岐:新たな人を手人力するのは不可能なのですか。
 長瀬:不可能ではないでしょうが、そんなことする必要がない
    ではないですか。そんなことやったこともありません。
          ──志岐武彦/山崎行太郎著の前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 「それってゼロではないですよね。それがあったんですよ」と
長瀬氏はいっています。それが100万回に1回であろうと、1
億回に1回であろうと、確率がゼロでない以上、「それがあった
んですよ」という一言で逃げられるのです。
 何しろ相手は最高裁判所であり、尋常な相手ではないのです。
小沢事件では、検察は捏造捜査報告書などが出て、相当評判を落
としましたが、最高裁はまだ信用されています。ですから、「最
高裁が小沢潰しを仕掛けた」といっても、「最高裁がそんなこと
をするはずがない」という一言で片づけられてしまいます。
 しかし、最高裁については、これまで積極的に語られてきてい
ない部分がたくさんあるのです。最高裁についての著作もきわめ
て限られています。EJはこのテーマの最後には、それについて
書く予定でいます。
 このように、検察審査会の審査についてその真相に迫るのは非
常に困難なことです。なぜなら、すべてが非公開であり、その闇
を暴くのは容易なことではないからです。その点、「和モガ」氏
の最高裁への「告発状」にある「なりすまし審査員の配置につい
て」は説得力があると思います。
 「和モガ」氏のいう「なりすまし審査員」の根拠は、情報が開
示された「旅費請求書」と「債主内訳書」を基にして、その矛盾
点に迫り、「なりすまし審査員」の存在を指摘しています。内容
は非常に複雑なので、どこまでご紹介できるかわかりませんが、
明日のEJから、何が行われたかについて述べていきたいと考え
ています。       ──── [自民党でいいのか/84]

≪画像および関連情報≫
 ●第五検察審査会を告発した理由/「和モガ」氏
  ―――――――――――――――――――――――――――
  2012年7月8日付け告発状は7月10日に最高検察庁に
  到着していたが、18日に東京地検の直告班から電話で最高
  検察庁からの告発状の回送書の送り先はそちらでいいかとの
  問い合わせがあった。告発状が、Hanako氏と連名だったため
  である。これで告発状は18日に東京地検の直告班に無事届
  いたのを確認することが出来た。この告発状は「審査員の不
  正選定」と「なりすまし審査員の配置」の2つの犯罪を告発
  している。「審査員の不正選定」については一回目と二回目
  の審査員が確率的には偶然とはとても思えない程、低い平均
  年齢であったのは、選定くじソフトが不正に操作されたから
  であるというものである。この審査員の平均年齢の確率が宝
  くじの1等に当選するくらい低くても、それだけでは「審査
  員の不正選定」を告発することはなかった。告発したのはそ
  のような結果が出るよう選定くじソフトを操作することが可
  能だと分かったからである。東京検察審査会には第一から第
  六まで六つの審査会があるが、選定くじソフトは第一検審に
  しかなく、審査員の選定には判事、検事の二人の立会人が必
  要である。このため検察審査会では第一から第六までの審査
  員の選定を一日で流れ作業のように行っているはずである。
  この中で立会人に気付かれずに第五検審だけを不正選定する
  方法があるのである。       http://bit.ly/14EypTT
  ―――――――――――――――――――――――――――

「起訴相当」を出した第5検察審.jpg
「起訴相当」を出した第5検察審
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月31日

●「許し難いなりすまし審査員の存在」(EJ第3663号)

 検察審査会では、検察審査員(補充員を含む)は検察審査会法
第16条に基づき、最初の審査会で「宣誓書」にサインして宣誓
し、その宣誓書を提出することになっています。
 審査員は、審査会議に出席する都度、日当と交通費を「旅費請
求書」により請求します。旅費請求書は検察審査会事務局が作成
し、審査員は請求書に押印するだけです。振込口座についても事
前に東京地裁に連絡し、預金口座の登録が行われます。
 旅費請求書は東京地裁に送付され、東京地裁で振り込みのため
の事務手続きである「債主内訳書」が作成されます。これは振り
込みのデータをまとめたものです。この債主内訳書によって各審
査員に日当と旅費が審査員の口座に振り込まれるのです。
 東京地裁から開示された旅費請求書の個人情報は、当然のこと
ながらすべてマスキングされています。しかし、欄外右横に数字
が書かれているので、これを手がかりにして審査員の個を特定す
るのです。この番号を「氏名番号」といいます。
 この数字、すなわち氏名番号は、東京地裁において、審査員の
日当・旅費を振り込む預金口座が東京地裁の会計システムに登録
されますが、そのさいにシステムによって自動的に付けられる数
字です。したがって、審査員の個を特定することができます。
 これによると、審査員が最初の審査会議に出席した日の宣誓書
の数と旅費請求書の数(氏名番号の数)は一致するはずです。し
かし、小沢審査会では2回とも、宣誓書の数が氏名番号の数より
も1人少ないのです。これは、審査員のうち1人が宣誓書にサイ
ンしていないことを意味しています。
 小沢審査会の1回目は、2009年第4群と2010年第1群
の11名(補充員11名)で運営されたのですが、その氏名番号
を並べると、次のようになります。
―――――――――――――――――――――――――――――
 2009年第4群(定員6) 2010年第1群(定員5)
       103608         112712
       103616         111571
       103632         111589
       104671         111601
       103659        ★117927
      ★109801
   ──「和モガ」氏による「東京第五検察審査会における
             小沢審査会についての考察」より
―――――――――――――――――――――――――――――
 これらの氏名番号のうち、★印の付いている「109801」
(2009年第4群)と「117927」(2010年第1群)
は、宣誓書を提出していないのです。
 これら2つの氏名番号は、他の数字よりも飛び抜けて上の数字
になっています。番号が近いほど同時期に東京地裁の会計システ
ムに口座を登録したことを示しています。したがって、番号が離
れている「109801」と「117927」は、他の審査員に
比べて、口座の登録時期がかなり異なることを意味します。
 実は、「109801」は2009年12月22日から第5検
察審査会に参加し、以後一度も休まず、3月9日からの小沢審査
会に出席して、2010年4月27日の議決に参加しています。
 「117927」については、2010年4月13日から小沢
審査会に参加し、4月27日の議決に参加しています。これらの
2人は限りなく「なりすまし審査員」の疑いがありますが、もし
そうであるとすると、第1回の小沢審査会にはなりすまし審査員
が2人も参加していたことになるのです。
 ここで、もし可能であれば、添付ファイルを印刷して見ながら
読んでいただくとわかりやすいと思います。添付ファイルは、上
記の11人の審査員の審査会への出席表であり、これにより20
09年11月10日から第1回の小沢審査会の議決日である20
10年4月27日までの出席状況がわかります。括弧数字は出席
をあらわし、「×」は欠席を意味します。
 問題は、出欠表のなかの@とかAという括弧数字は、何をあら
わしているかです。これについては、検察審査会と東京地裁の日
当・旅費の振り込み手続きについて、もう一度振り返ってみる必
要があります。
 検察審査会では、出席した審査員の旅費請求書を作成し、審査
員の認印をもらい、その旅費請求書の名前を審査員の選定録名簿
で確認し、その名簿順(選定時期の古い順から新しい順へ)に並
べ直して東京地裁に送付しています。
 東京地裁では、検察審査会から提出された旅費請求書の並び順
にしたがい、債主内訳書を作成します。債主内訳書の項目は、氏
名、住所、金融機関、預貯金種別、支払方法になっています。
 添付ファイルの日付の11月10日から12月8日までの数字
の並び順は、例えば、「HIJK」というように縦に揃っている
のがわかると思います。本来はそうなるべきなのです。
 しかし、宣誓書を提出していない「109801」がはじめて
登場した12月22日は「FEDC」と逆順です。こういう新メ
ンバーが登場すると、順序が乱れています。それに、2月9日か
ら2010年第1群の5名が加わると、2009年第4群の番号
が「HIJK」から「@ABC」というように若い番号に変わっ
ています。選定の古い順に並べられるからです。
 12月22日から参加した「109801」はCになっていま
すが、これはその日から出席しなくなった「103659」の代
わりに審査員になりすましていることをあらわしています。
 一方、小沢審査会の第6回から参加した「117927」はF
になっていますが、これは2月9日以降出席していない「111
589」になりすまして出席していることをあらわしています。
 そうすると、第1回目の小沢審査会には、「109801」と
「117927」という2人の審査員が欠席者になりすまして参
加していたことになるのです。これは、もちろん不正であり、許
し難い行為です。    ──── [自民党でいいのか/85]

≪画像および関連情報≫
 ●「和モガ」氏提出の「告発状」より
  ―――――――――――――――――――――――――――
  2010年4月14日は陸山会事件の1回目審査の真最中で
  8回行われた審査の6回目の審査日である。事務官である被
  告発人K事務官は陸山会事件の審査中に虚偽の審査員を投入
  したことを隠すため確認後「旅費請求書」をシャッフルした
  と思われる。被告発人C(109801)が最初に現れたと
  きにも同様に被告発人Y事務官が並び順を逆転させているが
  これはCとD(117927)が正当な手続きによって選定
  された審査員ではなかったことを図らずも示していると思わ
  れる。(中略)結局、一回目審査会はCとDの2人の「なり
  すまし審査員」によって、当初の目論見どおり「起訴相当」
  議決に誘導することが出来たといえる。
     ──「和モガ」氏告発状よりhttp://bit.ly/1g8ghww
  ―――――――――――――――――――――――――――

第1回小沢検察会出欠表.jpg
第1回小沢検察会出欠表
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月01日

●「巧妙な『なりすまし審査員』隠し」(EJ第3664号)

 小沢審査会の第1回目の審査では、なりすまし審査員が2人審
査に参加しており、2010年4月27日に2人とも議決を行っ
ています。これは、第5検察審査会のスタッフが協力しないとで
きないことです。そのため、「和モガ」氏は、第5検察審査会事
務局長D、事務官Y、事務官Kを偽計業務妨害罪(刑法第233
条)、虚偽有印公文書作成罪(刑法第156条)および同行使罪
(刑法第158条)、業務上公金横領罪(第253条)で告発し
ているのです。
 既に述べているように、第1回目の小沢審査会は、次の2つの
群で審査会を構成しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
         2009年第4群(6名)
         2010年第1群(5名)
―――――――――――――――――――――――――――――
 2009年第4群の審査員の選定が行われたのは、2009年
9月25日のことです。民主党政権の発足直後のことであり、陸
山会事件はまだ事件になっていないのです。
 11月4日に、小沢一郎氏の3秘書に対し、市民団体「世論を
正す会」が東京地検に告発したのです。そして2010年第1群
の審査員が12月18日に選定されたのです。その4日後の22
日に第4群には、早くも「なりすまし審査員」109801が検
察審査会に姿を現しているのです。
 これを見ると、「小沢潰し」が誰もそれと気がつかないうちに
相当周到な計画の下で進められたことがわかります。日本の官僚
機構は民主党政権など絶対に許さないとして、政権交代直後から
自民党政権に戻すために、民主党の反小沢派と連携を図りながら
小沢潰しの手をひとつずつ打っていったのです。
 2010年1月21日に市民団体「真実を求める会」によって
小沢氏は東京地検に告発されます。第5検察審査会が体制を整え
るのを睨みながら、小沢氏を追い詰める手が打たれていることが
わかると思います。そして、2010年1月15日に小沢3秘書
が逮捕されるに及んで、陸山会事件が顕在化するのです。
 さて、ここから第2回小沢審査会となりすまし審査員との関係
について検証することにします。小沢審査会の2回目は2010
年第2群と2010年第3群の11名(補充員11名)で運営さ
れたのですが、その氏名番号を並べると、次のようになります。
―――――――――――――――――――――――――――――
 2010年第2群(定員6) 2010年第3群(定員5)
       119644         130338
       119661         130346
       119679         130362
       119687         130371
       119695        ★133566
      ★137723
   ──「和モガ」氏による「東京第五検察審査会における
             小沢審査会についての考察」より
―――――――――――――――――――――――――――――
 第2回の小沢審査会でも宣誓書を提出しない審査員(★印)が
2人──137723と133566──います。このうち20
10年第2群の137723については、小沢審査会に一度も出
席しておらず、最初の出席日は、2010年10月18日である
ことがわかっています。
 しかし、2010年第3群の133566は、小沢審査会に8
月24日から一日も欠かさず出席し、9月14日の議決に参加す
るとともに10月4日の署名も行っています。これについては、
添付ファイルを見ていただきたいと思います。
 そもそもなぜ宣誓書を提出しないのでしょうか。それに宣誓書
を提出しないのに、なぜ審査員になれて、審査に参加できるので
しょうか。
 宣誓書を提出しないのは、検察審査会に証拠を残さないためで
す。検察審査会で審査員の署名が必要なのは次の2つです。これ
らの書類は検察審査会に審査関連書類として残されるのですが、
日当や旅費の請求書は、あらかじめ印刷されているものに押印し
東京地裁に送付され、検察審査会には残らないのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
            1.宣誓書
            2.議決書
―――――――――――――――――――――――――――――
 添付ファイルをご覧ください。2010年第3群には宣誓書を
提出していない133566が8月24日から出席していますが
第1回の小沢審査会のときと違って、数字の並びには乱れは見ら
れないのです。審査員の130362は、8月4日に出席以後は
審査会議を欠席しています。
 133566は、ちょうど130362と入れ替わるように8
月24日から出席しています。そしてそのポジションは、130
362のポジションを踏襲しています。130362の番号「N
OPPOPP」は、もし130362が出席していれば、占めた
はずの番号です。
 この場合、130362がもし振込口座番号を変更していれば
当然130362よりも上の番号が付番されることになります。
そうすると、「130362=133566」ということになり
何も問題がないことになります。もし、133566がなりすま
し審査員であったとしても、検察審査会側は、そういう言い訳が
できることになります。
 しかし、登録したばかりの口座番号を変更することなど、まず
あり得ないことです。仮にそのように検察審査会に迫っても「そ
のまさかが起こったんですよ」といわれてしまうと、それ以上の
追及はきわめて困難です。2回目のことですから、第5検察審査
会も手口が巧妙になったと考えざるを得ないのです。
            ──── [自民党でいいのか/86]

≪画像および関連情報≫
 ●検察審査会議決に対する直接的、間接的介入
  ―――――――――――――――――――――――――――
  小沢審査会に「なりすまし審査員」がいたとすれば、審査会
  の議決を誘導して「強制起訴」に持ち込むのが、その目的で
  あったということは疑う余地はありません。既に2回目の小
  沢審査会において、東京地検が「起訴議決」に誘導するため
  捜査報告書を捏造したことが明らかになっていますが、これ
  は審査会に対する間接的な介入ですが、それに加えて、この
  「なりすまし審査員」がいたとすれば、審査会への直接介入
  を図ったということで、より悪質な不正を行ったことになり
  ます。「なりすまし審査員」がいなければ、小沢総理が誕生
  していたかもしれません。ほんの一握りの司法官僚によって
  日本の政治情勢が大きく捻じ曲げられてしまった可能性があ
  るのです。──「和モガ」氏/「東京第5検察審査会におけ
             る小沢審査会についての考察」より
  ―――――――――――――――――――――――――――

第2回小沢審査会出欠表.jpg
第2回小沢審査会出欠表
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月05日

●「往復交通費1460円のなぞ解き」(EJ第3665号)

 第5検察審査会に「なりすまし審査員」が入り込み、議決に参
加していた問題について10月29日のEJ第3661号から4
回にわたって、その要点を述べてきましたが、かなり複雑な話で
あり、資料も多いので、そのすべてをEJでご紹介することは困
難です。
 「和モガ」氏は、この問題について、2012年10月14日
〜12月8日まで、次の連載を書いておられるので、詳細を知り
たい方は、そちらを参照していただきたいと思います。
―――――――――――――――――――――――――――――
   東京第五検察審査会 解体新書(全14回)/阿修羅
                 http://bit.ly/1ghZUxl
―――――――――――――――――――――――――――――
 なお、URLは連載の最終回のページです。なぜ最終回のペー
ジかというと、このサイトを開くと巻末に1回〜13回のURL
が出ているので、便利だからです。「和モガ」氏の主張に対して
多くのコメントが寄せられており、それも参考になります。
 架空議決にせよ、なりすまし審査員にせよ、小沢事件を審査し
た東京第5検察審査会が何らかの不正をして起訴議決をしたこと
は間違いないと思われます。「和モガ」氏の最高裁への告発状が
どのような結果になるのか、石川知裕氏の上告の結果と合わせて
注目されるところです。
 情報開示資料をていねいに調べると、なりすまし審査員ではな
いかと推定される疑惑の審査員ないし補充員は次の3人です。
―――――――――――――――――――――――――――――
    2009年第4群/109801(審査員)
    2009年第1群/117927(審査員)
    2010年第3群/133566(補充員)
―――――――――――――――――――――――――――――
 これら3人のうち、109801と117927は審査員です
が、133566は審査員の人数が11人に満たないときに、く
じで選ばれる補充員です。これらの3人に共通していることは、
3人とも宣誓書を提出していないことです。
 このうちの117927については、誰でもわかる違反事項が
あります。詳しいデータは、東京第五検察審査会/解体新書の第
13回に出ていますが、117927が請求した往復交通費が次
のようになっていることです。     http://bit.ly/1f9d0Kc
―――――――――――――――――――――――――――――
           宣誓書の提出  往復交通費
    117927     なし  1460円
―――――――――――――――――――――――――――――
 「和モガ」氏は、この往復交通費「1460円」に着眼してい
ます。第5検察審査会の管轄は、東京都特別区と島嶼部ですが、
往復1460円は島嶼部から霞が関に来るにしては低過ぎるし、
東京都内からでは高過ぎるのです。「和モガ」氏は次の理由から
117927は他県から来ていると指摘しています。これは完全
なルール違反になります。
―――――――――――――――――――――――――――――
 特別区内であれば730円は掛かるはずがない。片道730円
 となるのは北千住経由の東部鉄道で埼玉県北葛飾郡杉戸町の杉
 戸高野台駅、池袋経由の西部鉄道で埼玉県飯能市の東吾野駅、
 泉岳寺経由の京浜急行線で横浜市金沢区の能見台駅、北千住経
 由のつくばエクスプレスなら千葉県流山市の流山おおたかの森
 駅などの駅となる。この117927番は東京都ではなく他県
 から審査会にやってきているのである。
      ──東京第五検察審査会 解体新書/第11回より
―――――――――――――――――――――――――――――
 上記疑惑の3人に共通する現象があります。それは、3人に対
応するかのように、途中から審査会議に参加しなくなる審査員が
いることです。そのため、なりすましができるのです。
 問題は、疑惑の3人は選定くじで選ばれていなくても、いずれ
も正規の審査員もしくは補充員であり、東京地裁に振込口座を登
録していることです。そんなことができるのでしょうか。
 第5検察審査会のスタッフが協力すればの話ですが、いくつか
方法はあると思います。小沢審査会より後の群に、くじではなく
恣意的に審査員としては入り込むのです。そして、東京地裁に振
込口座を登録します。振込口座は実名が必要であり、正規に登録
する必要があります。この場合、氏名番号は当然のことながら、
正規の小沢審査会のメンバーのそれよりも高い数字になります。
 しかし、属する群の検察審査会には全欠するのです。一度も出
ないので、宣誓書は提出する必要はないのです。そのうえで小沢
審査会に欠席している審査員になりすまして審査会議に参加し、
議決を行うのです。これなら、宣誓書を提出しないで、堂々と旅
費・日当を請求できるのです。他の審査会の出席状況を調べると
かなり欠席者はいるし、全欠者も見受けられます。
 本来出席しなければならない群の審査会議を欠席し、他の審査
会議に欠席者になりすまして出席し、旅費・日当を請求する──
とんでもない話ですが、全資料を突き合わせないかぎり、犯罪事
実は発覚しないのです。東京地裁は、検察審査会から提出された
請求書に基づき、債主内訳書を作成し、指定口座に振り込みを行
うので、露見することはないのです。
 実は、2012年7月に森ゆうこ元参院議員は参院決算委員会
において第5検察審査会のこうした疑惑に対し、最高裁を追及、
あわせて裁判所における会計経理などの状況を徹底的に調査する
よう委員長に要望し、認められています。決算委員会の山本委員
長(当時)は、会計検査院にこの検査を要請し、会計検査院は、
同年9月4日に会計検査院法第30条の3の規定に基づき、当該
検査を実施することを参議院に通知してきています。
 それから1年が経過して、今年の9月に会計検査院から検査報
告書が届いていますが、きわめて腰の引けた検査を行い、「問題
なし」と結論づけています。─── [自民党でいいのか/87]

≪画像および関連情報≫
 ●参議院決算委員会での森元議員の質問
  ―――――――――――――――――――――――――――
  2012年7月30日の参議院決算委員会で、森ゆうこ議員
  が質問するというので聞いてみた。当初の質問は、最高裁の
  公共調達としてのシステム関連調達の質問である。最高裁の
  システム調達はほとんど1社調達で、入札率は100%に近
  いことを最高裁の経理局長に問いただした。経理局長は、予
  定価格を業者から参考価格として出させていると述べた。こ
  れに対して、会計検査院の局長に1社入札は高くなるので好
  ましくないと言わせる。この質問までは、森議員は一体何を
  聞いているのか疑問に思っていた。つまり、最高裁を困らせ
  るための質問か、ぐらいに聞いていた。その次の質問が検察
  審査会用に作られたハンドブックの話であった。総額54万
  円と額は少ないが、この納品書、請求書にも日付が書かれて
  いない。一般社会の取引では、日付がない確証はありえず、
  最高裁経理局長にもそれを認めさせ、今後このようなことは
  しないと言わせた。これに対して森議員は、最高裁は国会か
  らもアンタッチャブルだとたかを括っているのではないかと
  かなり厳しく述べた。さらに、会計検査院の局長に平成22
  年の都道府県の会計処理での裏金の事実を正した。この裏金
  を調査した結果、この裏金操作は納品書の日付など不正に操
  作されており、例え日付が付いた支払い調書があったからと
  いっても、入と出をきちんとデータで裏付け、検証しないと
  分からないと言わせた。      http://bit.ly/NgH3zJ
  ―――――――――――――――――――――――――――

決算委員会で最高裁に質問する森元議員.jpg
決算委員会で最高裁に質問する森元議員
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月06日

●「腰の引けた会計検査院の調査報告」(EJ第3666号)

 森ゆうこ元参院議員が2012年7月の参院決算委員会で要請
した会計検査院への検査の目的は次の通りです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢審査会に支出の調書はあるが、本当に審査員がいて、審査
 会は開かれたのかを会計検査院で調査すべきである。
                  ──森ゆうこ元参院議員
―――――――――――――――――――――――――――――
 思えば、このときは民主党政権であり、森ゆうこ議員は最高裁
追及の急先鋒であったのです。そのため会計検査院は会計検査院
法第30条の3の規定に基づき、当該検査を実施することを参議
院に通知したのですが、2012年末に民主党は選挙に敗れ、自
民党に政権を譲り渡しています。
 これで会計検査院はらくになったと思います。自民党は官僚機
構との棲み分けをしている政党であり、官僚追及の矛先はきわめ
て弱くなります。それに加えて森議員は、2013年7月の参院
選で敗れ、いなくなったのですから、会計検査院は安心して9月
25日に報告書を出してきたのです。報告書のタイトルは次のよ
うになっています。URLをクリックすると、報告書全文を読む
ことができます。
―――――――――――――――――――――――――――――
     会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書
   「裁判所における会計経理等に関する会計検査の結果
   について」       平成25年9月会計検査院
                http://bit.ly/17Fgt1H
―――――――――――――――――――――――――――――
 この報告書は、「和モガ」氏による最高裁への告発状にも影響
を与えると思われるので、その問題点を「和モガ」氏の報告書に
対するレポートも参考にして述べることにします。
 まず、会計検査院は、「審査員はいたのか」に対する疑問に答
えるため、次の調査を行っています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 各検察審査会における本人確認の方法は、上記のように主とし
 て持参した招集状を確認するものであるが、会計実地検査の際
 には当該招集状を確認できなかったことから、会計検査院は次
 の調査方法により審査員等が実在の人物であったのかという点
 について確認した。すなわち、会計検査院は、当事者である検
 察審査会及び裁判所を介在させずに調査するため、11検察審
 査会の会議に「23年5月から7月までに」出頭したとして旅
 費等が支払われている189人に調査票を直接郵送した。この
 結果、146人から回答があり、この146人全員から、検察
 審査会に出頭した実績があり、旅費等の振り込みを受けている
 旨の回答がなされた。また、11検察審査会全てについて、所
 属した検察審査会に出頭した実績がある旨の回答がなされてい
 る。※「」はEJで添付。
   ──会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 検察審査会は、選定した審査員(補充員を含む)が本人かどう
かを確認する手段として、送付された招集状を持参させ、確認し
ています。
 しかし、会計検査院では、それができないので、11検察審査
会の会議に23年5月から7月までに出頭したとして旅費などが
支払われている189人に調査票を直接郵送したところ、146
人から回答があり、全員出席を認めたとあります。
 しかし、この調査では肝心の小沢審査会を外しているのです。
小沢審査会は2009年11月から2010年11月であるのに
わざとそれを外し、2012年5月から7月しか調べていないの
です。そもそもこの検査は小沢審査会に本当に審査員がいたかど
うかを調べるのが目的であるのに、会計検査院はわざと小沢審査
会を外しているのです。自民党政権になり、森議員がいなくなっ
たので、こういうことをしてきたのです。藪を突いて蛇を出した
くないという腰の引けた対応といえます。
 さらに、報告書は次のように続いています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 検察審査会については、特定の事件についての議決に関与した
 審査員の平均年齢を公表したことに関して、その値が2回にわ
 たり訂正されたり、最終的に公表された平均年齢の値が別の議
 決に関与した審査員の平均年齢として公表された値と同一の値
 であったりしたことを端緒として、当該特定の事件についての
 議決に関与した審査員が実在の人物であったのかという点につ
 いて、疑義があるといった内容の質疑が国会で行われるなどし
 た。そこで、この点についても、会計検査院法第26条に基づ
 き、当該議決を行った検察審査会に対して、関係する選定録及
 び会議録の提示を求めて、会計検査院に提出された証拠書類と
 対照するなどしたところ、証拠書類に記載された氏名と選定録
 等に記載された審査員等の氏名とが異なるなどの事態は見受け
 られなかった。      ──前掲の会計検査院報告書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 ここでも会計検査院は腰の引けた対応をしています。それは、
「会計検査院法第26条に基づき」にあります。26条検査とい
うのは、調査官が直接第5検察審査会に行かず、コピーなどの提
出に留めていることです。
 調査に1年もの期間をかけているのにさして遠くない検察審査
会に赴かず、コピーの提出に済ませるというのは、検察審査会が
工作できる余地を残しているといわれても仕方がないでしょう。
 直接調査官が出向いて検査するというのが25条検査です。つ
まり、26条ではなく25条検査をすべきなのです。これでは検
査をしたことにはならないのです。
 実地検査で、「選定録」と「会議録」の原本を調べていたら、
なりすまし審査員が発覚していたはずです。それがわかっている
ので、26条検査にしたのです。─ [自民党でいいのか/88]

≪画像および関連情報≫
 ●会計検査院報告書に対する「和モガ」氏のコメント
  ―――――――――――――――――――――――――――
  「なりすまし審査員」が配置された群の「選定録」には、任
  期の最初から最後まで現れなかった審査員がそれぞれ1名ず
  つ存在する。この来なかった審査員の名前・住所の個所を、
  「なりすまし審査員」の名前・住所に変えれば、「請求書」
  について「選定録」の名前と異なるものはないことになる。
  この変える作業は一度、「選定録」の原本をコピーした上で
  改ざんを行い、さらにコピーをすることで出来上がる。また
  「会議録」についてもこの作業をすることで「なりすまし審
  査員」を本物の審査員に見せることが出来るのである。小沢
  審査会の当時の事務官は今も第五検審の事務官として勤務し
  ているはずで、この改ざんは容易にできたと思われる。会計
  検査院の検査が26条検査ではなく25条検査で職員の派遣
  による実地検査で「選定録」と「会議録」の原本をみていた
  ら、この「なりすまし審査員」が発覚していたはずである。
  要望書は間に合わなかったのか?会計検査院が検察審査会を
  検査することを知り、会計検査院に9月1日に「なりすまし
  審査員」についての検査要望書を提出していたが、報告内容
  をみてもこの要望書の検査がなされた形跡はない。もともと
  会計検査院は検察のように個別の事案について調査するもの
  ではないが、もう、報告書の決済に回っていて受付けたのが
  時期的に遅かったということであろうか。元々および腰の会
  計検査院の調査であったので、こんなストレートな調査要求
  は迷惑で、さっさと報告して時期的に遅かったことにしてし
  まえと慌てて強制終了させたとも考えられる。
                   http://bit.ly/1awH43m
  ―――――――――――――――――――――――――――

会計検査院の入っているビル.jpg
会計検査院の入っているビル
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月07日

●「周到に計画された小沢潰しの全貌」(EJ第3667号)

 ここで話をまとめておきたいと思います。2009年1月、自
民党の麻生政権は追い込まれていたのです。国民の麻生政権に対
する批判は根強く、民主党を中心とする野党からは、強い解散要
求が出されていたからです。
 自民党は、安倍、福田と連続で政権を途中で放り出し、交代し
た麻生政権も厳しい状況だったのです。国民からも「選挙で審判
を受けるべし」という要求を突き付けられていましたが、もし選
挙をすれば民主党に大敗することは確実で、そうなると当時民主
党代表の小沢一郎氏が総理になることになります。これは自民党
政権にとっても官僚機構にとっても、絶対に避けたいことだった
のです。なぜ、小沢氏が総理になると、自民党や官僚機構にとっ
て最悪なのかについては、EJの72回連載の「小沢一郎論」、
100回連載の「日本の政治の状況」に余すところなく、書いた
つもりです。興味があれば参照していただきたいと思います。
―――――――――――――――――――――――――――――
 「小沢一郎論」    ・・・・ http://bit.ly/1hGcq92
 「日本の政治の状況」 ・・・・ http://bit.ly/17GOXRo
―――――――――――――――――――――――――――――
 自民党と官僚機構は、民主党内の反小沢グループと連携して、
周到な小沢潰しを仕掛けたのです。結果としてこれは成功し、小
沢勢力は極限にまで小さくなり、逆に強大な自民党政権が天下を
取ったのです。
 検察としては最初から小沢氏を立件することは困難であること
はわかっており、主戦場を2009年5月から施行される改正検
察審査会法を利用し、検察審査会に決めていたのです。改正法で
あれば、今まで検察審査会の権限では起訴できなかった被疑者を
強制起訴できるようになったからです。それに検察審査会は、審
査員の選定、審査の状況など、すべてが非公開であり、何かを仕
掛けるには好都合だからです。
 しかし、検察審査会は合議制であり、11人中8人が賛成しな
いと「起訴相当」議決を出せないのです。そこで自民党、官僚機
構、そして民主党の反小沢グループは、メディアまで味方につけ
て、次の方策を講じたのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1.検察は、小沢氏の秘書をことごとく逮捕・起訴してその取
   り調べ状況をリークして小沢氏の評判を落とす。
 2.小沢氏を取り調べることになる東京第5検察審査会の審査
   員選定の段階から工作し、若者中心に選定する。
 3.別の群で、小沢審査会のなりすまし審査員になる候補者を
   複数選定し、東京地裁に振込口座を登録させる。
 3.某市民団体が小沢氏を告発し、検察はそれを受理して小沢
   氏を取り調べ、嫌疑不十分で不起訴処分にする。
 4.その不起訴処分を不服とし、某市民団体が小沢氏を検察審
   査会に告発し、検察審査会での審査を決定する。
 5.東京第5検察審査会で小沢事件を審査し、なりすまし審査
   員を潜入させ、起訴相当議決に審査を誘導する。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ここにひとつ問題があります。検察審査会は11人による合議
制であり、果たして「起訴相当」議決に誘導できるかどうかとい
うことです。そこから「架空議決」説が出てくるのですが、これ
は最高裁にとっては相当なリスクがあります。
 最高裁としては、ことが露見したさい、何らかの逃げ道を残し
ておく必要があります。そこで、次の5つの仕掛けを施して、こ
と足れりとしたのです。抹殺できなくても「半殺し」でも小沢氏
にはダメージを与えられると考えたのでしょう。
―――――――――――――――――――――――――――――
    1.政治意識の低い若者中心の審査員を集める
    2.マスコミによる徹底的な小沢氏の評判落し
    3.年配のなりすまし審査員による議論の誘導
    4.検察寄りの審査補助員の選定とアドバイス
    5.捏造捜査報告書作成と第5検察審への提出
―――――――――――――――――――――――――――――
 この5つの仕掛けによって、小沢氏は東京第5検察審査会によ
り、1回目の「起訴相当」議決、2回目の「起訴議決」を受けて
います。計画は成功したのです。
 検察官役の指定弁護士によって小沢氏は強制起訴され、裁判が
行われたのです。裁判は控訴審を含めて約2年間行われ、その結
果は「無罪」でしたが、それに追い打ちをかけたのは、野田首相
による解散総選挙です。この解散総選挙は、自民党と民主党の反
小沢グループが最後に放った究極の小沢潰しだったのです。
 この不意打ち解散によって、小沢グループは復権のチャンスを
失い、7月の参院選でも惨敗して、小沢氏の「生活の党」は9人
の弱小政党になってしまっています。自民党と官僚機構、そして
民主党の反小沢グループの企んだ卑劣な「小沢潰し」はここまで
は成功したといえます。
 しかし、彼らにとってひとつ大きな誤算があったのです。それ
は、この小沢事件が書籍やネットを中心に大きく取り上げられ、
いまだに疑惑の火が消えていないことです。
 政権与党の自民党と官僚機構といえば、国家そのものです。そ
の国家が正しい改革を推し進め、既得権益を根底から打破しよう
としている一人の政治家を法律を捻じ曲げてまで、潰しにかかる。
そして、本来ならそういう不正を許さず、それを多くの国民に知
らせる役目を担っているマスコミが、権力の手先になってそれを
伝えようとしていないのです。
 こんなことがこのままで済まされるはずはないのです。問題は
この企みの絵図を書き、実行を指令し、工作をした司令塔はどこ
なのでしょうか。最初考えたのは財務省でしたが、そうではない
ようです。それなら検察かというとこれも違うと思います。明日
からEJはこの問題を鋭意追及していくことにします。
             ─── [自民党でいいのか/89]

≪画像および関連情報≫
 ●民主党小沢支配はなぜ悪いか?/山口一臣氏/2009.9
  ―――――――――――――――――――――――――――
  いちばん最初に漏れてきたのが小沢一郎民主党代表代行の幹
  事長就任だった。振り返れば2007年の参院選を指揮して
  与野党逆転に持ち込み、先の衆院選で単独過半数を制し、政
  権交代を成し遂げた最大の功労者だ。政権の長期安定を賭け
  た来年の参院選への備えを考えれば、わたしのような素人で
  も理解できるきわめて妥当な人事だと思う。にもかかわらず
  翌日の新聞はどこも判で押したように「党内には権力の二重
  構造を懸念する声が広がっている」という趣旨のことが書か
  れていた。わたしの見た限り、「権力の二重構造」という文
  言を使っていない新聞はひとつもなかった。ところが、いっ
  たい党内の誰が「懸念」を表明しているのか、どこを読んで
  も書いていない。かろうじて「中堅、若手」とか「小沢氏と
  距離をおくグループ」といった表現があるが、それだけだ。
  要は、匿名の不満分子が文句を言っているという話なのだ。
  だとすると、果してそれを報じる価値があるのだろうか、と
  いう疑問がわく。どんな組織にも不満分子はいるし、下っ端
  が酒を飲みながら上司の悪口を言うのはサラリーマン社会の
  ごくありふれた風景だ。新聞がことさら取り上げることでも
  ないだろう。また、組織が何らかの決定をしたとき、その決
  定に対する「懸念」があるのも当然だ。将来に対して何も懸
  念も不安もないほうがおかしい。もし匿名の「中堅、若手」
  ではなく、岡田克也氏や菅直人氏といった幹部クラスが小沢
  氏の幹事長就任に対して「懸念」を表明しているというなら
  話は別だ。ところが、そんな話はどこにもない。要は、サラ
  リーマンの飲み屋の愚痴レベルの話なのだ。
        ──「THE JOURNAL」  http://bit.ly/Y0ARX
  ―――――――――――――――――――――――――――

解散を宣言する野田首相(当時).jpg
解散を宣言する野田首相(当時)
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月08日

●「官僚機構の中枢は果たしてどこか」(EJ第3668号)

 小沢謀殺計画の首謀者はだれか。ここまで、自民党、官僚機構
そして民主党反小沢グループという表現を使ってきています。民
主党の反小沢グループは、菅政権、野田政権を通じて国政を担っ
てきた松下政経塾出身のグループなどがそれに該当します。
 彼らは、国政を担うようになって、野党時代に批判してきた自
民党の官僚機構との棲み分け体制を受け入れるようになり、限り
なく自民党化したのです。政権を失い野党に戻った現在でも、自
公民合意にこだわり、準与党的行動をしています。彼らはいずれ
自民党に吸収されるか、落選して消えると思われます。
 問題は「官僚機構」です。官僚全体を仕切っている司令塔はど
こかです。はじめはカネを握っている財務省ではないかと考えて
EJで97回の連載をして追及してみたのですが、確証が得られ
なかったのです。カネだけで全体を仕切るのは無理なようです。
 続いて、小沢事件について調べてみて、司令塔が検察ではない
かと疑ったのですが、小沢事件の主戦場が検察審査会になってき
て浮かび上がってきたのが最高裁の存在です。検察審査会への
検察の支配は限定的であり、コントロール不能です。
 基本的に検察審査会は独立組織です。検察審査会法第3条には
「独立して職権を行う」と書いてあります。しかし、実質的には
最高裁事務総局という部署の管理下にあります。予算をつけて管
理しているのは最高裁ですし、職員は裁判所のスタッフが出向し
ているからです。しかし、最高裁の組織図には検察審査会は入っ
ていないのです。
 その最高裁に志岐武彦氏が直撃の電話折衝をしたときのやり取
りが志岐氏の本に出ています。少し長いですが、引用します。電
話口に出たのは、広報課主任の森山ひとみ氏という人物です。
―――――――――――――――――――――――――――――
 森山:ご用件は
 志岐:東京第五検察審査会が、審査員他の生年月日の開示は情
    報公開法第五条の個人識別情報に当たるとして断ってき
    たが、個人識別情報に当たらないことは明らかです。最
    高裁で何とかしてほしい。
 森山:なぜ最高裁に言ってくるのですか。最高裁とは関係あり
    ません。
 志岐:最高裁は情報公開について検察審査会に通達を出してい
    るじゃないですか。あなたはそれを知らないのですか。
 森山:知っています。検察審査会は通達に従い、あなたに回答
    書を出しています。最高裁としてはこれ以上のことは何
    もできません。
 志岐:生年月日だけでは個人を特定することはできません。開
    示させるべきです。通達を出しているということは管理
    下にあるということだし、指導すべきです。
 森山:個人情報うんぬんはあなたの考えでしょ。
 志岐:私の勝手な解釈ではありません。第五条では個人を特定
    できる情報以外は公開しなければならないとあります。
    審査員対象者は850万人もいます。生年月日でどうし
    て個人を特定できるのですか。
 森山:私どもでは何もできません。不服請求でもするしかない
    ですよ。
 志岐:どこに不服請求すればよいのですか。
 森山:それは・・お調べになってはいかがですか。
 志岐:広報課のあなたでは話になりません。刑事局につないで
    ください。
 森山:おつなぎすることはできません。私は最高裁としてお答
    えしています。
 志岐:立場上、あなたが回答できるわけありません。回答にも
    なっていません。
 森山:全て答えましたので、電話切りますよ。
                ──志岐武彦/山崎行太郎著
     『最高裁の罠/the Trap for Ozawa』/K&Kプレス
―――――――――――――――――――――――――――――
 声を聞いたわけではありませんが、「木で鼻をくくった」上か
ら目線の対応です。とくに注目すべきは、「なぜ最高裁に言って
くるのですか。最高裁とは関係ありません」という発言です。広
報課では仕方がないのかもしれませんが、実質上検察審査会は最
高裁事務総局の管轄下にあるのにこの発言です。
 こういう発言を聞いていると、「和モガ」氏のいうように、小
沢審査会になりすまし審査員を入れ、議決を誘導した事実が明ら
かになっても、最高裁は検察審査会に責任を取らせて、我関せず
の態度をとると思います。とかげの尻尾切りです。そのために検
察審査会を独立機関にしているのかもしれません。
 志岐氏によると、森山氏は検察審査会に不満があるなら「不服
請求」を勧めながら、志岐氏がどこで手続きを取るのかと聞くと
「それは・・お調べになってはいかがですか」といい、実際に調
べてみると、最高裁と検察審査会には不服請求ができないことが
明らかになったのです。やはり、検察審査会制度は欠陥制度であ
り、改正する必要があります。生活の党が中心になって、検察審
査会法の改正をアピールすべきです。
 官僚機構のなかで、法務省に注目する必要があります。新政権
ができて大臣が任命されるとき、法務大臣はどちらかというと、
花形ポストではないという印象があります。しかし、官僚機構の
方から見ると、法務省はリーダー組織なのです。それは法務省が
「認証官」を一番多く持っているからです。認証官とは、憲法上
あるいは法律上においてその任免にあたって天皇による認証が必
要とされる官吏のことです。
 法務省の認証官は、検事総長、次長検事、検事長の3つです。
これに法務省に関連の深い裁判所の最高裁判所判事、高等裁判所
長官をあわせると、5つになるのです。来週は、この認証官を含
めて、日本を仕切る官僚機構の司令塔に迫っていきます。
             ─── [自民党でいいのか/90]

≪画像および関連情報≫
 ●官僚国家日本の司令塔を解明する/深津真澄氏
  ―――――――――――――――――――――――――――
  日本の政治の特徴は、権力の所在がまことにつかみにくいこ
  とである。「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の
  立法機関である」という憲法第四十一条の規定を鵜呑みにす
  れば、二院制の国会で優越的地位を占める衆議院の代表者の
  議長ポストが権力の所在を示すランプということになるが、
  多数党の都合で議長の首などすぐに飛んでしまう。それは、
  権力のありかが全く別であることを物語るといってよいだろ
  う。では、多数党の代表者が権力者といえるのか。1955
  年以来ほぼ一貫して第一党の座を占めてきた自民党総裁のい
  すこそ、権力の所在を示すランプと理解されてきたが、実は
  自民党総裁はひ弱な権力者である。誰が総裁のいすに座るか
  は派閥の合縦連衡によって決定され、首尾よく権力の座を射
  止めたとしても、常に反対派の牽制と妨害によって揺さぶら
  れる。総裁の権力基盤はもろい。内閣総理大臣として行政権
  を一手に収めているようにみえても、政府機関は22もの省
  庁に分かれ、内閣の統合機能は弱い。権力者としての首相の
  存在の軽さを見せつける恰好のエピソードが、最近、永田町
  で起きた。小渕恵三前首相が突然脳梗塞で倒れたあと、22
  時間もその事実は秘匿されたあげく首相の意思も不透明なま
  ま、官房長官の首相臨時代理就任―内閣総辞職―後継首相の
  選出という、権力者交代の手続きが進行したことである。外
  国の新聞は権力の真空状態が長時間続いたことに呆れたが、
  国会議員の大多数も大方の国民も危機管理のずさんさを批判
  されてもピンと来ないのが実態である。宮沢蔵相が「いや、
  心配ないんですよ。日本という国はこういうときでもちゃん
  と動くようにできている」とコメントしたように、首相とい
  う名目的な権力が損なわれても官僚機構による国家統治のメ
  カニズムがしっかり作動しているのが実態だろう。とすれば
  真の権力は官僚機構のどこかに宿っているのである。
     ──『カオスとロゴス』第17号(2000年6月)掲載
                   http://bit.ly/1aZHYUm
  ―――――――――――――――――――――――――――

認証官の多い法務省.jpg
認証官の多い法務省
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月11日

●「日本の法曹界を牛耳る最高裁判所」(EJ第3669号)

 官僚組織の中枢はどこかを知る尺度として、認証官の数が多い
役所がひとつの目安となります。認証官とは、天皇による認証を
必要とする国家公務員のことです。この認証官を多くかかえてい
る役所が力があるということになります。現在の認証官の一覧を
次に示します。
―――――――――――――――――――――――――――――
   内閣官房:国務大臣/内閣官房副長官
    人事院:人事官
    各府省:副大臣
    内閣府:宮内庁長官/侍従長/公正取引委員会委員長
    法務省:検事総長/次長検事/検事長
    外務省:特命全権大使/特命全権公使
    環境省:原子力規制委員会委員長
  会計検査院:検査官
  最高裁判所:最高裁判所判事
  高等裁判所:高等裁判所長官
―――――――――――――――――――――――――――――
 これによると、法務省は認証官のポストを3つ持っています。
既に述べたように、法務省は事務次官、官房長といった最高幹部
をはじめ、幹部職員のほとんどは検事で占められているのですが
その検事の最高のポストが認証官たる検事総長です。
 さらに、各省庁のトップは事務次官ですが、法務省だけはトッ
プは事務次官ではなく、検事総長なのです。事務次官のポストは
検事総長に上り詰める待ちポストに過ぎないのです。
 それに加えて法務大臣は、検察庁を法務省の傘下に置きながら
直接指示できないようになっています。それは検察が「捜査」と
「公訴の提起」という準司法的位置づけにある権限を持っている
ため、その独立性が保障されているからです。
 したがって法務大臣にできることは、検事総長を指揮すること
──すなわち、指揮権発動だけなのです。そのため、法務大臣は
他の大臣と比べると、軽い存在であり、「死刑執行の署名人」に
堕しています。指揮権発動など、かつての犬養法相がやって以来
できないので、権限はないに等しいからです。
 このように法務大臣は権限が少ないことによって、法務省は役
人天国であり、何でもやれる省庁なのです。法務省にとってよい
法務大臣とは、何もやらない大臣がいちばん歓迎なのです。何し
ろ省内には法律の専門家ばかりですから、国会答弁などのサポー
トは万全です。そういう意味で政治家にとって法務大臣は、いち
ばん安全なポストであるといえます。
 その法務省も頭が上がらないのが最高裁判所です。司法試験に
合格すると、司法研修所に集められ、司法修習生として1年間の
研修が義務づけられています。この司法修習において、裁判官、
検事、弁護士のいずれかの道が決められるのです。
 従来は2年間だったのですが、2006年11月入所生から、
1年に短縮させられたのです。司法修習内容は次の通りです。
―――――――――――――――――――――――――――――
      1.実務修習 ・・・・・  8ヵ月
      2.集合修習 ・・・・・  2ヵ月
      3.選択型実務修習 ・・  2ヶ月
―――――――――――――――――――――――――――――
 実は、この司法修習には知られざる問題があるのです。これに
ついては、テーマから外れるので詳しくは記述しませんが、次の
サイトに詳しく司法修習の実情が出ているので、興味があれば参
照してください。
 これを読むと、最高裁がいかに強い権限を持っているかがわか
ります。司法修習生は最初から弁護士を選ぶ人は少なく、裁判官
と検事の任官志望者が多いのです。なぜなら、弁護士は裁判官や
検事をやってからなった方が有利だからです。それだけに、最高
裁としては、この司法修習で優秀な裁判官や検事を選り取りみど
りで選別できるのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
  司法研修所の現状を告発する/法曹養成制度改革の出発点
     ──青年法律家協会弁護士学者合同部会──
                  http://bit.ly/gLPiQU
―――――――――――――――――――――――――――――
 司法修習では修了試験が2回行われます。しかし、これは裁判
官や検事の任官にはあまり関係はないのです。最高裁としては、
修習生の事前情報から、かなり早い段階で裁判官と検事の内定は
決まっており、修了試験はあくまで副次的なものなのです。
 しかし、既に裁判官、検察官の内定を得ている者の中で、2回
の試験の成績があまりにも悪いと、内定取消の憂き目にあうこと
になります。この試験の結果よりも、司法試験の合格順位の方が
任官には大きく影響を与えます。もし、裁判官になりたいのであ
れば、500番以内で合格しないと、まずなれないといわれてい
ます。裁判官か検事かを決める重要な評価ポイントは次の4つに
なります。
―――――――――――――――――――――――――――――
         1.  実務修習の評価
         2. 事件の起案の成績
         3.司法試験の合格順位
         4.       年齢
―――――――――――――――――――――――――――――
 このように最高裁は、法曹の世界で生きていく人たちの方向づ
けを決める力を持っています。したがって、最高裁に逆らうこと
は誰にもできないのです。
 小沢事件の場合、終始目立っていたのは検察です。しかし検察
による起訴であれ、検察審査会による強制起訴であれ、最後は裁
判になるので、裁判では誰も最高裁には逆らえないのです。この
ように、最高裁は隠然たる権力を有し、日本の法曹界を牛耳って
いるのです。       ─── [自民党でいいのか/91]

≪画像および関連情報≫
 ●司法修習生の給費制を取り巻く現状/千綿俊一郎氏
  ―――――――――――――――――――――――――――
  2011年に司法修習生の給費制が貸与制に移行して以降、
  まもなく2年が経過しようとしています。2011年に採用
  された第65期(2012年修習修了)と、2012年に採
  用された第66期(現在修習中)の修習生が、無給での修習
  を余儀なくされています。しかるに、弁護士会員の大半には
  「司法修習生の給費制問題は既に終わった問題である」と受
  け止めていらっしゃる方も少なくないようです。特に、20
  11年5月に設置された「法曹の養成に関するフォーラム」
  と、その後の2012年8月に設置された「法曹養成制度検
  討会議」において、いずれも「貸与制を原則とする」と取り
  まとめられたために、「日弁連は敗北した」との雰囲気も一
  部に漂っているかのようです。そのような雰囲気の中、弁護
  士会における給費制復活運動は、かつてほどの熱気を維持す
  ることが困難となっています。しかしながら、司法制度を担
  う法曹の養成は国の責務であり、司法修習生の給費制復活は
  法曹養成制度として本来あるべきものと言えます。また1年
  間もの研修期間中に、給与を支払わない会社があれば、それ
  は違法なブラック企業であり、国が司法修習生に対してこれ
  を強いるのは明らかに誤っています。そのため、「貸与制は
  誤っている」という声は上げ続けなければならないと考えて
  います。             http://bit.ly/1aDNk9m
  ―――――――――――――――――――――――――――

司法研修所.jpg
司法研修所
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月12日

●「最高裁というのはどういう組織か」(EJ第3670号)

 「最高裁」という言葉を聞いて、あなたは何をイメージするで
しょうか。
 2枚の巨大なタペストリーがかかった壁面をバックにクラシッ
クな法廷の壇上に法衣を着てずらりと並んだ偉そうな裁判官たち
というところでしょうか。
 一般の印象としては、最高裁はその名の通り最高ランクの裁判
所です。テレビなどによく出てくる写真は、15人の判事全員か
ら成る「大法廷」のシーンです。これに加えて5人ずつの判事が
担当する3つの「小法廷」があります。
 しかし、最高裁にはもうひとつの顔があるのです。それは司法
行政官庁としての最高裁です。つまり、最高裁には次の2つの顔
があるのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
          1.最上告審の裁判体
          2.  司法行政官庁
―――――――――――――――――――――――――――――
 戦前はどうだったのでしょうか。戦前は一般の裁判の上告審と
して、「大審院」というものがあったのです。しかし、大審院以
下の裁判所は、司法省の監督下に置かれ、さらに裁判所に対する
司法行政権も司法省の所管になっていたのです。
 つまり、戦前の司法は、裁判権をもつ大審院と司法行政権を行
使する司法省という二本立てで、しかもその2つとも司法大臣が
権限を行使できる体制だったのです。もちろん、裁判官の人事権
も司法大臣が握っていたのです。
 しかし、日本を占領したGHQは、戦前の有力政治家を追放す
る一方で、日本の官僚機構をそのまま温存したのです。これが現
在にいたる官僚中心政治を築くことになります。戦前は「天皇の
ための官僚」であったものが、天皇という重しが外れたのですか
ら、官僚はやりたい放題ができるようになったといえます。
 当然戦前の司法省出身の官僚はそのまま温存されたので、日本
国憲法施行と同時に施行された裁判所法において設置された最高
裁事務局(後に事務総局となる)の中心的存在になったのです。
日本国憲法では、戦前は司法省の行政権の監督下にあった司法権
は、最高裁を頂点とする行政権からの完全な独立を果たしている
といえます。
 これによって最高裁はどうなったかについて、明治大学教授の
西川伸一氏は自著で次のように述べています。なお、ここからの
記述の多くは、西川伸一教授の著書を参考にさせていただいてい
ることをお断りしておきます。
―――――――――――――――――――――――――――――
 敗戦に伴う新憲法の成立まで、司法権の独立は司法行政に関し
 てはまったく存在しなかった。その反省に基づき、日本国憲法
 は最高裁を頂点とする司法権の行政権からの完全な独立を謳っ
 ている。具体的には、司法権が最高裁と下級裁判所に帰属する
 こと(七六条)、裁判所の内部規律、および司法事務処理に関
 する最高裁の規則制定権(七七条)、裁判官の身分保障(七八
 条)、最高裁の下級裁判官の儲名権(八〇条)などである。ち
 なみに、「司法事務」とは司法行政に関する事務を指す。こう
 して最高裁は、裁判体と司法行政官庁という二つの顔をもつに
 至ったのである。司法権の独立は達成されたが、同時に、最高
 裁は閣議で体を張って利益を主張してくれる大臣の存在を失っ
 た。これは最高裁が外部には殻を固く閉ざし、内部の締めつけ
 を強める一因にもなっていく。 ──西川伸一著「日本司法の
     逆説/最高裁事務総局の『裁判しない裁判官たち』」
                       /五月書房刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 ここで最高裁の組織について整理します。最高裁には、裁判部
門と司法行政部門としての2つの顔があります。裁判体としての
最高裁と司法行政官庁としての最高裁です。なお、司法行政官庁
としての最高裁の実体は、職員760人を擁する事務総局という
組織にあります。
 この場合、2つの顔のあるのは、最高裁だけではなく、下級裁
判所でも2つの顔──裁判部門と司法行政部門があるのです。裁
判所法第12条1項で、次のように定めています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ≪裁判所法第12条1項≫
 最高裁判所が司法行政事務を行うのは、裁判官会議によるも
 のとし、最高裁判所長官が、これを総括する。
―――――――――――――――――――――――――――――
 最高裁の場合は総括者は最高裁長官であるが、下級裁判所では
高裁の場合は長官、地裁は所長になっています。これは、裁判所
は個々に独立体であることを謳っているからです。
 ところで「裁判官会議」とは何でしょうか。
 裁判官会議は、各裁判所に委ねられている司法行政事務を処理
するため、その裁判官で組織する会議体のことです。裁判所には
本来の裁判権のほかに、裁判官その他の職員の任命・監督、庁金
その他の物的施設の設置・管理、人件費・物件費の支弁などの行
政事務の処理の権限が与えられているのですが、この事務を処理
するため、裁判所としての意思決定をするのが裁判官会議です。
 この裁判官会議という合議体は、やがて無意味なものになって
いくのです。最高裁の場合、裁判官会議をサポートするのが事務
総局の役割ですが、実際に裁判官会議は行われることなく、事務
総局が「代行」するようになり、それが当たり前のことになり、
事務総局の権限になっていったのです。しかるに裁判所法は、事
務総局については次の規定があるに過ぎないのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 最高裁判所の庶務を掌らせるため、最高裁判所に事務総局を
 置く。              ──裁判所法第13条
―――――――――――――――――――――――――――――
             ─── [自民党でいいのか/92]

≪画像および関連情報≫
 ●天木直人のブログ/2012年5月11日
  ―――――――――――――――――――――――――――
  小沢裁判はもはや政治の場の戦いに移ったごとくだ。もはや
  我々にできる事は限られる。それでも我々は出来る限りの事
  をしなければならない。どうすればいいか。それは今回の控
  訴という暴挙を木っ端微塵に打ち砕くために検察審査会の無
  効性を訴えて強制起訴決議はなかったという一点突破で攻め
  ることだ。小沢裁判に対する批判の中でこれまでさんざん言
  われてきた事は検察の捏造捜査報告書が検察審査会を誤って
  誘導したということであった。それはもちろん大きな問題で
  ある。しかしもはや検察を批判するだけでは十分ではない。
  もはや検察叩きは当たり前になりつつある。誤りを犯した検
  事の起訴、処罰まで進もうとしている。おそらく検察組織の
  改革までも行なわれるかもしれない。しかし検察が責任を取
  ることで小沢国策犯罪に蓋をしてはいけないのだ。検察批判
  が高まる一方でまったく批判の矛先が向かわないのが最高裁
  である。最高裁事務総局という名の司法官僚や、その頂点で
  ある竹崎最高裁長官の責任は一切問われない。この聖域にこ
  そ国民の目を向けさせなければならない。なぜ最高裁の責任
  が大きいのか。それは最高裁が検察審査会を牛耳ってきたか
  らだ。検察審査会の悪の根源は検察ではなく最高裁なのだ。
  そもそも検察審査会の強制起訴議決がなければ小沢起訴はな
  く、小沢裁判はなかった。裁判員制度の導入とともに検察審
  査会法を改正して検察審査会に大きな権限を持たせた司法改
  革こそ追及すべきなのだ。司法改革の張本人である最高裁の
  責任を問うのだ。         http://bit.ly/IT6xXc
  ―――――――――――――――――――――――――――

西川伸一教授の本.jpg
西川伸一教授の本
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月13日

●「最高裁が事務総局を強化した背景」(EJ第3671号)

 最高裁は、司法行政に関する案件を決定する最高の合議体とし
て「最高裁裁判官会議」を有しています。最高裁の各裁判官は合
議法廷において平等の評決権を持っており、上下関係は一切ない
ということになっています。
 この裁判官会議は、最高裁だけでなく、高裁、地裁にもありま
す。最高裁の場合は毎週次のように定例会議化されています。
―――――――――――――――――――――――――――――
        月曜日: 審査室会議
        火曜日:事務総局会議
        水曜日: 裁判官会議
―――――――――――――――――――――――――――――
 裁判官会議は、最高裁長官を含む15人によって構成され、案
件は過半数で議決されます。審議内容は検察審査会と同じように
すべてが非公開であって、どのような案件が審議され、どのよう
な議論があって議決されたのか、明らかにされないのです。
 ところが、この裁判官会議に出席したことのある裁判官に聞く
と、この会議で議論はほとんどなく、会議時間は短時間で終わる
ことが多いといいます。
 西川伸一教授は、弁護士から最高裁判事になった大野正男元判
事の次の感想を引用しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 (司法行政事務に関する)原案は事務総局が作成するが、事務
 総局としては、忙しい裁判官に必要以上の負担をかけるのを避
 けたいという配慮があるし、・・・結局長官が原案段階で適切
 な相談ないし指示をしていると考えて、なるべく肯定的に考え
 ることになる。・・・最高裁判事は、自分は裁判官であり、裁
 判に没頭すべきであるという意識は根強くあるが、司法行政に
 ついては、第二次的仕事であると考える傾向がある。少なくと
 も私はそうであった。それは裁判事務が忙しくて余力がないば
 かりでなく、司法行政については、全くの素人で知識も経験も
 データもなかったから、意見を述べる必要を感じなかった。
             ──西川伸一著「日本司法の逆説/
  最高裁事務総局の『裁判しない裁判官たち』」/五月書房刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 なぜ、最高裁がかくも秘密主義に走るのかというと、西川教授
が指摘しているように、最高裁は省庁と違って所管大臣がおらず
自己防衛機能が強いからであるというのです。
 終戦直後のことですが、次のような事件があったのです。19
47年第23回衆議院議員総選挙で第1党になった社会党は、片
山内閣を発足させたのです。その内閣で農林大臣として入閣した
平野力三衆院議員は、内閣官房長官の西尾末広氏と対立し、その
挙句平野議員が戦前、戦中に皇道会に関与していたことを理由に
罷免のうえ公職追放されたのです。
 平野議員は、片山首相を相手取り、身分維持の仮処分を求めて
東京地裁に提訴したのです。東京地裁もこれを認めて公職追放の
指定を無効としたのです。
 ところが、GHQ民政局のチャールズ・ケーディスの圧力によ
り、「超法規的措置であり、日本の司法判断には及ばない」とし
て、平野氏は1948年に結局公職追放され、逼塞を余儀なくさ
れることになったのです。
 こういう事態は、最高裁から見ると、司法権の独立の危機に映
るのです。とくに政治からの介入を極端に嫌うのは、終戦直後の
この事件に端を発しているのです。そこで、当初は裁判官会議に
よる司法行政の補佐をする、文字通り単なる事務局に過ぎなかっ
た最高裁事務局の機能を拡充・強化させ、真の意味での司法権の
独立を確保しようとしたのです。
 最高裁事務局ができたのは、1947年8月のことですが、こ
の年に社会党の事件があったので、その翌年の12月に事務局を
廃止して事務総局を発足させています。
 以後着々と組織を強化して、1957年から1958年にかけ
て、最高裁事務総局は、司法行政官僚機構としての体制を整えた
のです。この1957年は、戦後の司法発足から10年目に当た
るのですが、判事の再任の年にも該当します。このときから、最
高裁事務総局は、判事の広域異動の人事システムを確立したので
す。つまり、このとき以来最高裁事務総局は、下級裁判所判事に
対する人事権を確立したのです。
 このようにして、最高裁事務総局は、どんどん強大な権限を持
つようになっていったのです。これについて、あのカレル・ヴァ
ン・ウォルフレン氏は次のように指摘しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 官僚統制の中心は、本来、まったく別の目的のために設置され
 た最高裁事務総局である。戦後の制度では、すべての裁判所は
 自治・自律を原則にしており、これを保証するため各裁判所の
 運営全般は判事の手に委ねられ、この自治性を守るため、それ
 ぞれの裁判所に事務局が設けられた。最高裁事務総局も本来は
 同じ目的で設置された。一方、司法行政の最高主体は、最高裁
 の裁判官会議にある。ところが、後者の権限はしだいに形式上
 だけのものとなり、実権力は事務総局に移ってしまった。現在
 では最高裁事務総局の司法官僚群が、日本の司法全体を監督し
 てている。 ──カレル・ヴァン・ウォルフレン著/篠原勝著
         「日本/権力構造の謎(上)」/早川書房刊
                  西川伸一著の前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 最高裁事務総局は、事務総長に直結する3課と7つの局の編成
になっています。7局については1948年の事務総局発足以来
変化はないのですが、課の編成は変化しています。発足当時は、
秘書課、渉外課、訴廷課、情報課でしたが、その後いろいろ変遷
があって、2006年から現在の秘書課、広報課、情報政策課の
3課編成になっているのです。そして、職員総数約760人の大
編成になっています。   ─── [自民党でいいのか/93]

≪画像および関連情報≫
 ●元裁判官が証言する日本の裁判所と裁判官の暗黒の実態
  ―――――――――――――――――――――――――――
  裁判官というのは、みんな自分は勉強ができると、人よりも
  落ちると言われることに一番弱い体質なんです。比べられて
  落ちると言われることにです。そういうことから、これを逆
  手にとれば、一番裁判官をうまく統制できるということにな
  ります。現在、最高裁は裁判官に憲法違反の統制をしていま
  す。それはどういうことでやるかといいますと、裁判官にな
  って20年目までは月給はみんな平等に上がっていきます。
  20年目までが4号というところです。21年目に4号から
  3号になるかどうかということで、ふるいにかけられるわけ
  です。3号にならないと裁判長にもなれません。それから、
  4号から3号になる給料差ですが、これはだいたい2000
  年、平成12年の基準でいきますと、4号俸の月額が90万
  6000 円、3号俸になる と106万9000円で、16
  万3000円差があります。毎月で16万3000円違って
  これがボーナスや諸手当、給料の1割がつく大都市手当、そ
  れらを合わせると、だいたい年間で500万円の差になる。
  結構大きいんですよ。だけど、その給料差だけじゃなしに、
  相手は3号になったのに、会合の座席でいえば、自分を飛び
  越して上座に行っちゃったのに、自分は行っていないという
  こういう屈辱感みたいなものも大きいんですよね。そういう
  ことで、非常に3号にみんななりたくて仕方がない、21年
  目ぐらいからは。         http://bit.ly/hQ4BHL
  ―――――――――――――――――――――――――――

最高裁判所組織図.jpg
最高裁判所組織図
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月14日

●「官僚機構から人事権を奪う困難性」(EJ第3672号)

 権力の中枢は「人事権」といわれます。最高裁は、戦前司法省
が握っていた裁判官の人事権を戦後の司法改革のなかで事務総局
を創設することによって掌中に収めたのです。
 最高裁は単に裁判官だけでなく、司法試験の合格者を集めて1
年間司法修習を行うなかで、裁判官、検事、弁護士のいずれかの
道を事実上決める権限を有しているので、その人事権は司法全体
に及ぶといっても過言ではないのです。
 ここで少しテーマから外れますが、2013年11月5日に閣
議決定された「国家公務員制度改革法案」について「人事権」に
絞って述べることにします。
 「国家公務員制度改革法案」の閣議決定について、担当の稲田
朋美行革担当相は「感無量」と自画自賛していましたが、稲田大
臣は何もわかっていないと思います。自分が何をやったかが、ま
るでわかっていないのです。
 この法案の最大のポイントは、役人の人事権をどうやって政治
サイドが取り上げるかにかかっています。役人の人事は次の4つ
の部門が握っています。ツイッターやブログで劣悪な内容を発信
して懲戒処分になった官僚がいましたが、彼らは懲戒処分は受け
たものの、降格もなく現職にとどまっています。いずれほとぼり
が冷めたら、昇格させるはずです。これに対して内閣は何もでき
ないのです。ポストが空かなければ、人材を登用したくてもでき
ないのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
       1.         人事院
       2.   総務省・行政管理局
       3.  総務省・人事・恩給局
       4.財務省・主計局給与共済課
―――――――――――――――――――――――――――――
 今まで自民党が中心になって、国家公務員制度改革法案として
まとめた案は2つあります。公務員の人事権に絞って述べること
にします。
―――――――――――――――――――――――――――――
  1.総務省と人事院の機能を統合し財務省の機能は存続
  2.総務省・人事院・財務省のすべての人事機能を統合
―――――――――――――――――――――――――――――
 「1」は、2009年に麻生内閣で、甘利行革担当相が提出し
たものです。甘利氏は自己評価点を90点としていますが、総務
省と人事院の3機能の統合を謳っているので、90点とはいかな
いものの、一応前進させた案といえると思います。
 「2」は、人事機能をすべて一元化している点で評価できます
が、この案は2010年に野党時代の自民党とみんなの党が共同
提出したものです。野党になると、良い案が出せるのですが、与
党になって小沢氏を外し、与党ボケした民主党にやる気がなく成
立していないのです。
 それでは、今回安倍内閣で閣議決定した案はどういう案なので
しょうか。
―――――――――――――――――――――――――――――
 総務省、人事院、財務省の人事権はすべて残して、内閣人事
 局を創設する。           ──今回の自民党案
―――――――――――――――――――――――――――――
 これが「骨抜き法案」といわずして何でしょうか。これに関し
て、4つを壊して1つを作るべきなのに4つをすべて残して1つ
を新設したので、役人からすれば焼け太りそのものです。甘利氏
は「ボクの案は90点を目指したが、今回の案は80点」と名前
のように甘い評価をしていたが、稲田行革担当相はカチンときた
というから、何をかいわんやです。これが安倍政権の実力です。
 元経産官僚の岸博幸氏は今回の国家公務員制度改革法案の評点
を「30点」としていますが、自民党という政党は基本的には官
僚組織と権力の棲み分けをする政党ですから、公務員改革などの
政策には深く切り込めないのです。
 この点について、元経産官僚の古賀茂明氏は、安倍政権の公務
員改革に賭ける熱意について次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 安倍さんの公務員改革のプライオリティはさほど高くないよう
 に思っています。本当に大切だというなら、自分か稲田さんに
 改革派のサポート役を付けて、間違いが起きないようにするは
 ず。そうしていれば官僚に騙される前に官邸に警告が発せられ
 たでしょう。確かに総理がやらなくてはならないことは膨大だ
 けれど、日本版NSCとか秘密保護法とか、急ぐ必要のないこ
 とを優先しているのは危ういと感じています。
       ──「週刊ポスト」/2013年11月22日号
―――――――――――――――――――――――――――――
 話を最高裁事務総局に戻します。現在、事務総局に所属してい
る職員は約760人です。一般的なイメージからいって、最高裁
がそれほどの大所帯のようには見えないものです。
 760人はあくまで事務総局の職員であり、「裁判官以外の職
員」ですが、そのなかには裁判官であった人も入っています。実
は1950年までは裁判官から事務総局に入る人は、身分変更が
必要だったのですが、1950年に「司法行政上の職務に関する
規則」によって、裁判官の身分のまま事務総局入りできるように
なったのです。事務総局の職務は次の6つです。
―――――――――――――――――――――――――――――
  1.最高裁の規則・規程を作成し、裁判官会議で決定
  2.法律・政令の制定に関する法務省との交渉・調整
  3.裁判官並びに裁判官以外の職員に関する人事機能
  4.予算に関する全般的機能/内閣・財務省との交渉
  5.裁判官合同・協議会の実施/制度運用・法令解釈
  6.海外の裁判制度など、法務全般に関する調査研究
―――――――――――――――――――――――――――――
             ─── [自民党でいいのか/94]

≪画像および関連情報≫
 ●最高裁事務総局の正体/裁判官への「内部統制」
  ―――――――――――――――――――――――――――
  実は、陸山会事件以外でも、過去に東京地検特捜部が摘発し
  2000年以降に判決が出た有名な刑事事件を担当した東京
  地裁、東京高裁の裁判長の多くは、エリート裁判官に共通す
  る経歴を持つことがわかった。果たして、これは単なる偶然
  なのだろうか?「東京地裁や東京高裁にはもともとエリート
  裁判官が集められますから、経歴が共通するのは当然かもし
  れませんね」(西川教授)また、起訴、控訴された事件がど
  の裁判長の担当になるのかは自動的に割り振られ、特定の裁
  判長が“指名”されるような作為は働かないともいわれる。
  しかし、人事をはじめ裁判所内部でどのような意思決定が行
  なわれているのか、裁判所は情報公開法の対象にはなってい
  ないので、国民にはその実態がまったくわからない。だが、
  東京地検特捜部が摘発した事件では軒並み有罪判決が出てい
  るのに比べ、大阪地検特捜部、名古屋地検特捜部が摘発した
  事件では意外にも何件かの“無罪判決”が出ているのだ。そ
  して、地検特捜案件で無罪判決を書いた大阪地裁&高裁、名
  古屋地裁の裁判長の経歴を見ると東京とは明らかに異なる点
  があることがわかる。一部の裁判官を除けば、ひたすら実務
  裁判官の道を歩いてきた裁判長ばかり。つまり、エリートと
  はいわれない人たちなのだ。もちろん、ひと口に地検特捜案
  件といっても事件の性格や背景は異なる。判決内容と裁判官
  の経歴を簡単に関連づけることはできないのも確か。
           (最後まで読む)http://bit.ly/1eyDNlK
  ―――――――――――――――――――――――――――

稲田朋美行革担当大臣.jpg
稲田朋美行革担当大臣
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月15日

●「なぜ『官僚司法』と呼ばれるのか」(EJ第3673号)

 最高裁の事務総局には次の3課があります。これらの3課は事
務総局においてどういう役割をしているのでしょうか。
―――――――――――――――――――――――――――――
           1.  秘書課
           2.  広報課
           3.情報政策課
―――――――――――――――――――――――――――――
 この3課のなかで一番のキーマンは「秘書課長」です。多くの
場合、秘書課長は広報課長を兼務しており、記者クラブとの折衝
に当たるのも秘書課長です。西川伸一教授によると、最高裁事務
総局で本当に重要なポストは、長官、事務総長、事務次長、総務
・人事・経理の各局長と秘書課長といわれます。この人脈を押さ
えておくと、最高裁の人間関係は把握できるといいます。
 「司法官僚」の著者、千葉大学法経学部教授の新藤宗幸氏は、
事務総局を行政官庁と対比させて次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 事務総局の組織・機能をあえて行政官庁と対比させるならば、
 事務総長に直結する秘書課など三課と総務・人事・経理の三局
 が、中央省庁の大臣官房と同じく組織の維持管理を担う官房系
 組織といえる。一方の刑事・民事・行政・家庭局は、裁判分野
 に応じて下級審を指導、助言、監督し、そのための規範を作成
 している原局(ライン組織)とみることができよう。
      ──新藤宗幸著「司法官僚/裁判所の権力者たち」
                    岩波新書/1200
―――――――――――――――――――――――――――――
 既に述べたように事務総局では、水曜日の裁判官会議の前々日
(月曜日)と前日(火曜日)に次の2の会議があり、事務総局の
事実上の意思決定の中核となっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
          1. 審査室会議
          2.事務総局会議
―――――――――――――――――――――――――――――
 月曜日の審査室会議は秘書課長が議長になり、事務総長会議は
事務総長が主宰しますが、段取りなどはすべて秘書課が取り仕切
るのです。企業でいえば、秘書課は企画部の位置づけです。この
会議には、局長全員と秘書課長が出席するのです。物事はこの会
議を通して決定され、各局が直接最高裁裁判官会議に案件を提出
することはないのです。
 これを内閣(行政府)と対比してみると、次の関係を読み取る
ことができます。
―――――――――――――――――――――――――――――
     最高裁事務総局          内閣
     ◎事務総局会議 ・・・・ 事務次官会議
     ◎ 裁判官会議 ・・・・     閣議
―――――――――――――――――――――――――――――
 事務総局会議が事務次官会議に該当するとすれば、事務次官会
議を主宰しているのは、内閣官房副長官(事務)であるので、事
務総長は、内閣における内閣官房副長官に該当するといってよい
でしょう。
 「官僚司法」という言葉があります。これは、裁判おいて原告
や弁護士が、裁判官に常識的な社会通念が伝わらない「苛立ち」
の表現であるといわれます。裁判官というのは特殊な人種であり
その行動には「伴食性がある」といわれます。
 「伴食性」とは何でしょうか。
 「伴食」は、文字通り、主客の伴(とも)をして、ご馳走にな
ることをいいます。相伴(しょうばん)とも呼ばれます。偉い人
と食事をすることを「陪食の栄を賜る」などといいます。これか
ら転じて、陪食性とは、偉い人のいいなりになるということを意
味するのです。「キャリア裁判官」は社会常識に欠けており、権
威的で偏った判断をすると近年批判されていますが、これを「伴
食性」というのです。
 これについて、新藤宗幸氏は「司法官僚」のなかで、次のよう
に述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 たしかに、「官僚司法」という批判の根幹にあるのは、裁判官
 の行動にみられる「伴食性」であるといってよいようだ。つま
 り、たえず「主人」の言動を気遣い、それに合わせようとする
 主体性の欠如だ。そうであるとするならば、いったい「主人」
 とはだれだろうか。戦後日本においては司法省とその高級幹部
 ではない。司法機構内部に存在しょう。いまや最高裁事務総局
 はかつての司法省に代わって、裁判官の任用・再任用、転勤や
 昇進などの人事管理、裁判の運用、法解釈などの助言・指導に
 「絶大」な権限と権力をにぎつている。「主人」とは最高裁事
 務総局であり、それを担っている司法行政幹部であるといって
 よい。            ──新藤宗幸著の前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 戦前の司法省──裁判所に対する司法行政権を持つ──には、
「陸上勤務」と「海上勤務」という聞き慣れない言葉がよく使わ
れたそうです。司法省で参事官になったり、課長や局長になった
りするのは「陸上勤務」、それに対して裁判に全生命を打ちこん
でいるのが「海上勤務」と呼ばれるのです。企業の「本社勤務」
と「地方勤務」、警察における「本庁勤務」と「ショカツ」の違
いと同じ意味です。
 この言葉は、現在も最高裁において「事務総局勤務」と「それ
以外」というかたちで残っています。「それ以外」とは、定年ま
で、地方の裁判所をぐるぐる航海して回るだけで、事務総局とい
う「陸」に上がれない裁判官を指しています。最高裁では、事務
総局に入らなければ、けっして長官にはなれないし、出世は絶望
的になるのです。それも優秀さだけでなく、上に対して従順かど
うかが求められるのです。 ─── [自民党でいいのか/95]

≪画像および関連情報≫
 ●最高裁判事はどういう人が選ばれるか
  ―――――――――――――――――――――――――――
  ここで、最高裁判事がどういう分野から選ばれるかを見てみ
  よう。大きくは3分野。裁判官・検察官・弁護士である。そ
  のほかに学者・官僚(外交官・法務官僚など)からも選ばれ
  る。裁判官出身者は、主に7高裁長官のうちから選ばれるこ
  とが多い。最高裁判事に選ばれるような裁判官は、おおむね
  各地の裁判所で裁判をした時間よりも、最高裁で勤務した時
  間の方が長い。彼らは裁判官の中のエリート中のエリートで
  「陸上勤務者」と呼ばれる。検察官出身者は、大体退官時に
  最高検次長だった者が選ばれることが多いようである。弁護
  士出身者は、日弁連推薦者の中から選ばれることが多い。も
  し最高裁長官が日弁連の意向を無視したら、当然最高裁と日
  弁連の関係は悪くなるので、あまり無視することはない。彼
  らは、東京の2つの弁護士会か大阪・名古屋の弁護士会会長
  を勤めた者や、日弁連副会長などを勤めた者が選ばれること
  が多い。ただし、全く弁護士会の役職に就かなかった無名の
  弁護士が、いきなり最高裁判事に選ばれたこともある。学者
  からは、「〜法の権威」である各大学教授などが選ばれる。
  官僚、外交官が選ばれることが多いようだ。さて話はもどっ
  て、おとなしくなった判事達だが、以前みたいな荒々しい意
  見をはく人はいなくなったが、おとなしく自己主張する人達
  は、いる。一審で無罪判決が出たネパール人の再拘置に反対
  した人。死刑確定者の手紙の発信を一様に厳しく制限してい
  るのは、拘置所長の裁量としては「やりすぎ」と言った人。
  そして票の格差を「違憲」と主張する人達。そういう多数意
  見に反対する人達もいるのである。
           (最後まで読む)http://bit.ly/1cMQE3R
  ―――――――――――――――――――――――――――

新藤宗幸氏とその著書.jpg
新藤 宗幸氏とその著書
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月18日

●「裁判しない裁判官の仕事とは何か」(EJ第3674号)

 ここまでの考察で、最高裁の事務総局、その他の部署には「裁
判をしない裁判官」が相当数いることがわかってきています。彼
らは「裁判官の法衣をまとった行政官」なのです。彼らは、外か
らは窺い知ることのできない存在です。
 その人数はどのくらいいるのでしょうか。このことに強い関心
を持っていたのは、2000年当時、参院法務委員会委員を務め
ていた中村敦夫参院議員と福島瑞穂参院議員なのです。両議員は
裁判官の実態を探るため、最高裁に資料の提出を求め、資料が提
出されています。この資料は「中村=福島資料」と呼ばれていま
す。1999年10月1日現在の数値であり、少し古いですが、
この資料を基にして、「裁判をしない裁判官」の数を算出してみ
ることにします。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ≪裁判官の定数と実数≫    1999年10月1日現在
    定員  現在員  裁判実務に携わっている裁判官数
  2949 2871             2726
             ──西川伸一著「日本司法の逆説
 最高裁事務総局の『裁判しない裁判官たち』」/五月書房刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 この2726人は裁判をしている裁判官ですから、裁判官の現
在員数の2871人から2726人を引いた145人が「裁判を
しない裁判官」の数になります。
 「中村=福島資料」には、「裁判実務に携わっていない裁判官
数」の資料もあります。
―――――――――――――――――――――――――――――
      判事  判事補  簡裁判事  合計
      72   39     3 114
          ──西川伸一著の前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 114人と数が合いませんが、145人との差の31人は、最
高裁判所部門に属する調査官なのです。調査官について、新藤宗
幸氏は次のように説明しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 最高裁の判決についてのマスコミ報道では名前がでることはな
 いが、最高裁の裁判部門には、「裁判官の命を受けて裁判に関
 して必要な調査を掌る」(裁判所法第五七条二項)調査官が配
 置されている。調査官の総数には変動がみられるが約30名で
 あり、民事三室、行政一室、刑事三室にわかれている。そして
 首席調査官のもとに民事・行政・刑事担当の上席調査官が配置
 され、調査官を統括している。実際の調査官のしごとは、最高
 裁判事の具体的な指示にもとづき関係法令や判例、法解釈につ
 いての学説などを調査することにくわえて、最高裁判事の指示
 がなくとも、必要とおもえる事項を調査することの二つとされ
 ている。 ──新藤宗幸著「司法官僚/裁判所の権力者たち」
                    岩波新書/1200
―――――――――――――――――――――――――――――
 さて、「司法官僚」と呼ばれる「裁判をしない裁判官」は、次
の4つに分かれます。新藤宗幸教授は、司法官僚を次のように定
義しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1.最高裁事務総局に勤務し、事務総局官房ともいうべき秘書
   課および総務局・人事局・経理局にいるスタッフ
 2.高裁長官、高裁事務局長、地裁・家裁所長。最高裁事務総
   局と密接に連携し、司法行政を担当するメンバー
 3.最高裁裁判部門に所属する調査官。最高裁判事の審理を補
   佐するが、日本ではキャリア裁判官が調査を担当
 4.最高裁事務総局各局の「局付」としてピックアップされた
   特例判事補。将来の司法官僚の若手候補生である
                ──新藤宗幸著の前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 上記の3番目の調査官たちのキャリアパスを見ると、裁判部門
でキャリアを積み上げるだけでなく、事務総局にも所属し、高裁
長官を務めたベテランが多く、裁判官に判決に必要な資料の作成
や学説などの助言を行っています。そのため、調査官が判決の方
向性まで決めることも決してないわけではなく、「調査官裁判」
ともいわれているのです。小沢裁判や3秘書裁判においても調査
官は暗躍したものと思われます。
 組織としては、最高裁、高裁、地裁とそれぞれ独立組織の形態
をとりながら、最高裁事務総局を頂点として、高裁、地裁の事務
局にいたる階統制的な司法行政機構が出来上がっているのです。
高裁長官や地裁所長は、最高裁事務総局が上意下達の指令を行う
重要ポジションであり、彼らは所属裁判官に対して絶対的な指揮
命令権を有しているのです。
 検察審査会もあくまで独立機関としての装いをしながら、実際
は最高裁事務総局の管理下にあり、何事も上意下達なのです。小
沢審査会での架空議決やなりすまし審査員など、通常の常識では
考えられない異常な運営についても、もし司法官僚機構が「小沢
謀殺」を決断したならば、それは十分起こり得ることなのです。
 司法官僚と称する150人足らずの「裁判をしない裁判官」は
約3500人を数える職業裁判官と身分上は一緒なのです。中央
省庁では、良い悪いは別として、国家公務員T種試験によって幹
部候補生(キャリア)を明確にし、そこから幹部を選別するルー
トが一応明確化されていますが、司法官僚の選別はきわめて不透
明そのものです。
 それは、国家公務員T種試験よりもはるかに難しい司法試験に
合格することが条件の世界であり、一年間の司法研修所での司法
修習期間におけるかなり恣意的な選別によって、前記の「局付」
に見られるようなかたちで司法官僚が選抜され、特定の裁判官集
団が司法官僚機構を構成しています。これでは司法の閉鎖性を高
めることになるだけです。 ─── [自民党でいいのか/96]

≪画像および関連情報≫
 ●影の裁判官?──最高裁裁判部門調査官
  ―――――――――――――――――――――――――――
  日本の最高裁の15人の裁判官は、5人ずつ、三つの「小法
  廷」に分かれている。ふつうの訴訟は、この小法廷で審理さ
  れる。週に1〜2回、重要な案件をおおむね3〜5件程度、
  審議する。主任裁判官(裁判長)は案件ごとに違う。まず主
  任が意見を述べ、あとは先任順(最高裁入りした順)に意見
  を述べる。何回か審議を重ね、結論は、最終的には多数決で
  決める。5人の合議が原則だが、誰かが病気で欠席したりす
  れば、3人や4人しかいなくても結論を出せる。米国の最高
  裁では、裁判官の間での議論は、回覧される意見の草案への
  コメントという形で行われる。合議は議論をする場というよ
  りも多数意見が何かを決める場だと、レンキスト前長官(故
  人)は著書に記している。米国でも、最終的にはやはり多数
  決で決める。日米の最高裁には、裁判官が案件を審理し、判
  決を書く上での補佐役がいる。日本は「調査官」といい、三
  十数人いる。家裁調査官とはまったく異なっており、地裁な
  どで10年以上の経験を持つエリート裁判官から選ばれる。
  最高裁に上がってくる案件ごとに担当を決める。担当調査官
  は報告書をまとめ、主任の最高裁裁判官に提出する。民事、
  行政、刑事の三つの調査官室に分かれ、それぞれにベテラン
  の上席調査官、さらに全体を統括する大ベテランの首席調査
  官がいる。まさに官僚組織だ。米国の「ロークラーク」はそ
  れぞれの最高裁裁判官個人に4人ずつ付き、必要な調査をし
  意見書を作る。全米のロースクールをとびきり優秀な成績で
  修了した若い法律家から選ばれる。9人の裁判官とロークラ
  ークたちは、「九つの独立した法律事務所」にもたとえられ
  る。               http://bit.ly/1hNeQVU
  ―――――――――――――――――――――――――――

裁判官.jpg
裁判官
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月19日

●「最高裁と内閣法制局の密接な関係」(EJ第3675号)

 「内閣法制局」という機関があります。その長は「内閣法制局
長官」であり、内閣法で定める主任大臣は内閣総理大臣です。定
員は77人という小さな政府機関です。
 しかし、この小さな機関の政府のなかに占める存在感は圧倒的
であり、この機関の長である内閣法制局長官は、3名の官房副長
官とともに閣議にも陪席するのです。閣議にかけられる法案の概
要を説明する役割を担っているからです。
 内閣法制局は、そもそも政府が国会に提出する新規法案を閣議
決定に先立って現行法の見地から問題がないかを審査する「法の
番人──リーガルアドバイザー」なのです。国民の前には姿を見
せない「黒衣」に徹しているのです。
 実は、この内閣法制局と最高裁には深い関係があるのです。そ
れは、内閣法制局長官が最高裁判事になることが多いからです。
それは司法官僚が内閣法制局に深く関わっていることが原因であ
ると考えられます。
 内閣法制局には、意見事務や審査事務を主たる業務とする「参
事官」というポストがあります。参事官の定員は24人です。こ
れらの参事官は、他省庁のキャリア組の出向者によって占められ
他の職務との兼職者は認められていないのです。
 しかし、この24人の定員とは別に兼職者の枠が3つあるので
す。何と兼職かというと、検事と参事官の併任です。定員枠を超
えるポスト配分は次の通りです。
―――――――――――――――――――――――――――――
      第1部:意見事務を担当/1ポスト
      第2部:法案審査を担当/2ポスト
―――――――――――――――――――――――――――――
 これらの3ポストは、いずれも検事であり、最高裁は関係がな
いように思われますが、これにはウラがあります。全員検事です
が、第1部の1ポストの検事と第2部の1ポストの検事は、実は
判事が検事になって務めているのです。本物の検事のポストは、
第2部の1ポストだけです。つまり、3ポストのうちの2ポスト
は、司法官僚なのです。歴代の参事官のほとんどは、最高裁事務
総局勤務などの経験を有している司法官僚です。
 この参事官は仕事のさい、とにかく大変威張っており、法案審
査では、省庁の担当者に「こんな法律、出せるわけないだろ!」
と怒鳴り上げることもしばしばあるようです。しかし、仕事には
熱心で、某省庁の中堅幹部は、金曜日の夜から土曜日の夜まで、
延々と法案審査に付き合わされたこともあるといいます。
 そのため、省庁の担当者は参事官を怒らせないようマニュアル
作って対応しています。元農水官僚で作家の林雄介氏は、参事官
への対応に苦労した一人です。林雄介氏に関して、次のような話
がネットで披露されています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ある参事官が、東京・有楽町にある高級フランス料理店の名前
 を挙げて、「そこでなければ法案審査ができない」と語ったと
 いう。林氏は「本当に困った。仕方なく、どこかの団体の“善
 意”に頼って費用を負担してもらった」と明かす。いまも現存
 する、このレストランのホームページを見ると、ランチコース
 は1人5200円から8400円。ディナーコースは1万26
 00円から2万2000円。「あおり烏賊のポシェとリ・ド・
 ヴォーのクロメスキ エスカルゴバターソース」など、よく分
 からないが、おいしそうな料理の名前がズラリと並んでいる。
                   http://bit.ly/1bEuDRQ
―――――――――――――――――――――――――――――
 このように、内閣法制局の参事官に最高裁が関わり、内閣法制
局長官が最高裁判事になっている実態について、西川伸一教授は
次のように懸念を表明しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 わが国における司法権と行政権の関係は、三権分立の原則から
 かけ離れた状況にある。「政府のリーガルアドバイザー」機関
 に司法官僚が恒常的に枢要な地位を占め、最高裁にはこの「政
 府のリーガルアドバイザー」機関の長を務めた者が判事として
 すわっている。それこそ「公正らしさ」が疑われる。
              ──西川伸一著「日本司法の逆説
  最高裁事務総局の『裁判しない裁判官たち』」/五月書房刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 この内閣法制局長官の人事に強くこだわっているのは、安倍首
相です。第1次安倍内閣の発足は2006年9月26日ですが、
そのとき安倍首相は、内閣官房副長官(事務)に的場順三元国土
庁事務次官を任命しています。
 官僚トップのポジションである内閣官房副長官(事務)には、
旧内務省の出身者が就いていたのですが、安倍首相は旧大蔵省出
身の的場順三氏を選んだのです。的場氏は、既に70歳を超えて
いましたが、安倍氏の父親の晋太郎元外務大臣の時代から、安倍
家とは親交があり、死ぬ覚悟で引き受けたといいます。
 第1次安倍内閣で安倍首相は、組閣のさい、内閣法制局長官の
変更人事を許しています。そのため、内閣法制局長官は、阪田雅
裕氏から宮崎礼壱氏に代わっていたのです。安倍首相が的場順三
氏を内閣官房副長官(事務)に選んだのは、もちろん集団的自衛
権に関する憲法解釈の実現です。内閣法制局長官のクビを切って
でもやりたいと的場副長官の意見を求めたのです。
 しかし、的場副長官は、宮崎礼壱長官は代わったばかりであり
もし、憲法解釈を変えるなら辞任するという強硬姿勢をとってい
たので、2007年の参院選に勝ってからやるべきと説得したの
ですが、安倍政権はその参院選で敗れ、実現しなかったのです。
 この経験から、安倍首相は第2次安倍内閣では、集団的自衛権
の憲法解釈変更に慎重な法制局長官を最高裁判事に転出させ、容
認派の小松一郎フランス大使を内閣法制局長官に起用するという
大胆人事を行ったのです。政治と内閣法制局にはこのようないき
さつが多くあるのです。  ─── [自民党でいいのか/97]

≪画像および関連情報≫
 ●内閣法制局長官、集団的自衛権行使容認へ布石か
  ―――――――――――――――――――――――――――
  小松一郎内閣法制局長官は11月1日の衆院国家安全保障特
  別委員会で、政府が過去に憲法解釈の変更を行った前例があ
  ると答弁した。内閣法制局は、これまで憲法解釈の変更自体
  に極めて慎重な姿勢を示してきたが、小松氏は時代の変遷で
  憲法解釈が変わってきた事実を指摘した。小松氏の答弁は、
  安倍晋三政権が目指す集団的自衛権の行使容認に向けた憲法
  解釈変更への布石になる可能性がある。小松氏は、シビリア
  ンコントロール(文民統制)をめぐる自衛官の身分に関し、
  「当初『自衛官は文民である』という解釈だったが、昭和何
  年だったか、シビリアンコントロールの観点から『現職の自
  衛官は文民ではない』と政府の解釈が変わった例があるよう
  に記憶している」と述べた。平成16年の政府答弁書による
  と、自衛隊は昭和29年の発足当初、警察予備隊や保安隊の
  後身であることから「警察機能を担う組織であって武力組織
  に当たらない」「旧陸海軍の組織とは性格を異にする」とさ
  れ、自衛官も「文民に当たる」と解釈されてきた。ただ、そ
  の後、自衛隊がある程度定着したことなどから、政府は昭和
  40年に従来の解釈を変更し、自衛隊を国の武力組織と位置
  付け、自衛官についても「文民に当たらない」とした。小松
  氏は、こうした解釈変更の前例を踏まえ「従前の解釈を変更
  することが至当であるとの結論が得られた場合には、変更が
  およそ許されないことはないと考えられる」と答えた。
                 http://on-msn.com/1aNaQ09
  ―――――――――――――――――――――――――――

小松一郎内閣法制局長官.jpg
小松 一郎内閣法制局長官
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月20日

●「官僚機構が小沢氏を忌避する理由」(EJ第3676号)

 政治家と官僚──表面的にみれば、政治家が主人で官僚はその
部下という体裁を保っています。大臣と事務次官、官房長官と官
房副長官(事務)──事務次官は各省庁のトップであり、官房副
長官(事務)は内閣における官僚のトップですが、どのように考
えても、政治家である大臣や官房長官の方が偉そうに見えます。
 しかし、実質的にどちらが権限を持っているかというと、事務
次官や官房副長官(事務)の方なのです。官僚の人事にしても予
算についても官僚機構が実質的に権限を握っており、彼らの協力
なしには大臣といえども何もできないのです。それが現在の日本
の政治の実態なのです。
 自民党は、長い年月の間に強大な官僚機構と権力を棲み分ける
ことによって政権維持を図ってきた政党なのです。政治家は選挙
によって必然的に頻繁に出入りがありますが、官僚は同じ部署に
長くいて、変わらないのです。そうなると、実質的な行政の主導
権は官僚機構が握ることになります。この構図はどう考えても官
僚機構の方が有利です。そこで官僚機構は、「名を捨てて実を取
る」ことで、実質的な権限を握ったのです。
 さらに事務次官などを経験したキャリア官僚の多くが、選挙に
立候補し、政治家になります。そうすると、政治家になっても最
終的には出身省庁との関係を良くしたいので、必然的に官僚機構
寄りの政治家が増えることになります。このように、どのように
あがいても官僚機構の方が政治家よりも優位に立ちます。
 しかし、どの省庁を見ても大臣がおり、事務次官はその省庁の
実質的な行政権を握っているものの、大臣は無視できない存在で
す。きわめて稀なことではあるものの、優れた大臣によってはそ
の省庁全体が大臣の指揮の下に一体化し、実のある行政を成し遂
げることもあるのです。
 しかし、官僚機構としては、政治家には絶対に譲れないものが
あるのです。とくに「人事」と「予算」は、基本的には政治家に
は踏み込ませたくない不可侵の領域です。人事や予算は権力の源
泉であるからです。
 そして、捜査権と公訴権を持つ検察庁には事実上大臣の力が及
ばないようにし、司法は三権分立を盾に完全に独立し、不可侵領
域にするなど、巧妙な仕組みを官僚機構は構築しています。
 その中枢部署が法務省と最高裁判所なのです。法務省の特殊性
については既に詳しくご紹介していますが、日本の原発問題の核
心をえぐる話題の小説『原発ホワイトアウト』で、実に巧みに法
務省の特殊性について述べている部分があるので、それをご紹介
することにします。この本の著者の若杉冽氏は、ペンネームです
が、現在も霞が関に勤務する現役官僚です。
―――――――――――――――――――――――――――――
 霞が関のなかで検察庁は異色の存在である。組織上は法務省の
 外局という形を取っている。しかし、検事総長など幹部につい
 ては法務大臣の人事権も及ばず、内閣が任免することになって
 いる。大臣や副大臣と同様、天皇陛下の認証官であり、皇居正
 殿松の間で、陛下から直接お言葉をかけられる。そして、検事
 総長の給与は法務大臣と同額。各省庁の事務次官より明らかに
 格上の扱いである。そもそも東京大学法学部生であれば現役で
 かなりの確率で合格する国家公務員試験と違い、検察官は超難
 関の司法試験に合格しなければならない。国家公務員T種試験
 に合格したキャリア官僚が世間相場で言うエリートだとすれば
 検察官はエリート中のエリートと言っても過言ではない。
        ──若杉冽著『原発ホワイトアウト』/講談社
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢一郎氏は、1993年に自民党を離党した頃から、こうい
う官僚がはびこる官僚主導の政治を改革し、政治を国民の手に取
り戻す政治家主導の政治にしようとして、次の2つのことの実現
を目指したのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1.政府委員制度を廃止し、国会法改正などを実現する
 2.政治の官僚支配の牙城である内閣法制局を廃止する
―――――――――――――――――――――――――――――
 政府委員といっても、ピンとこない人が多いと思います。この
制度は、戦前の帝国憲法のときからあったのですが、戦後の日本
国憲法でも維持された制度です。国会法第69条では、国務大臣
を補佐するため、内閣が議長の承認を得て政府委員を任命するこ
とを認めていたのです。
 つまり、国会の審議において、国務大臣に代わり政府職員(官
僚)が答弁することが当時は許されていたのです。そのため、各
省庁の局長級約300人がこれに任命されていたのです。
 これでは、実務を熟知している官僚の答弁が多くなり、その内
容は、当然官僚機構の権益を守るものになってしまいます。その
ため小沢氏はこれを廃止しようとしたのです。しかし、当時小沢
氏は野党の自由党代表であり、自らが主導して、実現させること
はできなかったのです。
 当時自民党は与党に復帰したものの、橋本政権が1996年の
参院選で敗北して小渕政権に代わり、野党との連立は不可避の状
況にあったのです。自公連立ができる前の話です。小沢自由党に
チャンスが到来したのです。
 こうして自自連立が実現したのですが、当然小沢氏は前記2つ
の実現を自民党に求めたのです。「2」に関しては逡巡した自民
党だったのですが、「1」に関しては合意が成立し、1999年
から「1」については実施されています。
 これにより政府委員制度は廃止され、大臣、副大臣(認証官)
政務官の現在の体制になったのです。これは小沢氏の力で実現し
たのですが、そのことを知る国民は非常に少ないと思います。し
かし、官僚機構は小沢一郎という政治家に対して、強い警戒心を
持つようになったのです。「もし、小沢が天下を取ったら、大変
なことになる」と考えても不思議はないでしょう。問題は「2」
の実現です。       ─── [自民党でいいのか/98]

≪画像および関連情報≫
 ●政府委員制度とは何か/ウィキペディア
  ―――――――――――――――――――――――――――
  明治時代の帝国議会開設以来、議会における議員から政府に
  対する質問には、国務大臣のほか政府職員が、「政府委員」
  (大日本帝国憲法54条)として答弁に当たった。この政府
  委員制度は、日本国憲法の下における国会でも維持された。
  国会法第69条では、国務大臣を補佐するため、内閣が議長
  の承認を得て政府委員を任命することを認めており、各省庁
  の局長級約300名がこれに任命されていた。国会の委員会
  審議においては、細目詳細にわたる具体的な問題から重要な
  問題まで、多くの答弁が「その件につきましては政府委員か
  ら答弁させます」という大臣の一言で政府委員によって行わ
  れた。この、大臣に代わって政府委員が答弁することこそ、
  大臣が政策を勉強しない理由の一つともされた。このように
  政府委員制度の存在自体が、官僚主導政治と国会における審
  議低調の一因と目されるようになった。そこで、1999年
  に成立した国会審議の活性化及び政治主導の政策決定システ
  ムの確立に関する法律により、2001年から政府委員制度
  が廃止されるとともに、副大臣・大臣政務官制度が新設され
  ることとなった。これは当時の政治行政改革気運の高まりを
  受けた制度改正であり、国会における審議の活性化と、政治
  主導の政策決定システムの確立が期待された。
                   http://bit.ly/I0hNTw
  ―――――――――――――――――――――――――――

自自連立政権成立(小渕首相/小沢党首).jpg
自自連立政権成立(小渕首相/小沢党首)
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月21日

●「素直さを求められるエリート判事」(EJ第3677号)

 だんだん黒幕の正体が見えてきたようです。一般的に小沢氏に
「謀殺」を仕掛けた犯人は「検察」であると考えられていますが
そのバックに検察を指揮した黒幕がいます。検察だけの判断では
小沢謀殺のような大胆極まる政治家潰しは、絶対に決行できない
と思います。
 黒幕はその字のように黒衣をまとって表面には出てこないので
す。表に見えているのは、国民から広く信頼を集め、尊敬されて
いる最高裁です。そのウラに黒幕は潜んでいるのです。
 しかし、黒幕の特定はある意味では案外わかりやすいのです。
官僚の世界は国家試験でその上下が決まります。各省庁のトップ
は事務次官ですが、彼らは国家公務員T種試験に合格したキャリ
ア官僚です。
 国家公務員T種試験というと、いかにも難しいように見えます
が、普通の大学生が一年程度真面目にきちんと勉強すれば、誰で
も合格できるレベルです。しかし、司法試験となると、そう簡単
ではないのです。弁護士事務所に勤めながら、毎日勉強しても合
格するには、3年以上はかかるでしょう。
 そうであるとすると、キャリア官僚よりも司法試験に合格した
判事、検事の方がエライと考えるのは、官僚の世界では当然のこ
とです。司法試験に合格した人でも差があります。はっきりして
いることは、判事の方が検事より上ということです。例外はあり
ますが、司法試験に合格した人の多くは判事を希望します。しか
し、なかなか判事になるのは難しいのです。
 ところで、司法試験に合格すれば、官僚の世界で誰でも偉くな
れるというわけではないのです。合格は必要条件で、それに加え
て求められるのは、「素直さ」であるといわれます。ここでいう
「素直さ」とは、上の人には絶対に逆らわないということです。
上の人間から見て、素直に命令を実行する素直さです。
 警察官の世界を見ると、わかりやすいと思います。警察官の階
級は次のようになっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
  巡査→巡査長→巡査部長→警部補→警部
  警視→警視正→警視長→警視監→警視総監→警察庁長官
―――――――――――――――――――――――――――――
 巡査から警部までは、試験に合格すればどんな人でも昇格でき
ます。「相棒」の杉下右京は警部、亀山薫は「巡査長」です。杉
下右京は秀才ですから、警部までは簡単に昇格したはずです。し
かし、警視以上のポストは恣意的な選考があるのです。つまり、
上に対して素直でなければいけないのです。杉下右京は素直では
ないので警部止まりです。どんなに手柄を立てても警部で終わり
なのです。
 西川伸一教授の本に、どうしても判事になりたい司法研修生の
神坂直樹氏が、教官に電話で相談するシーンが出てきます。この
やり取りを聞くと、官僚の世界がどんなものか見えてくると思う
ので、ご紹介します。
―――――――――――――――――――――――――――――
 教官:はっきりいって、裁判官には十中八九駄目だろう。私が
    決めるんじゃないから、なんともいえないけど。
 神坂:なぜなんですか。
 教官:成績は問題ないよ。民裁では、おそらくトップクラスだ
    よ。難しい理由はひとつは時勢だな。おそらく弁護士事
    務所が決まらない人もいたりして、任官希望者が100
    を優に越えるだろう。だから、たとえば、成績が悪い人
    や、人柄に問題があるんじゃないかという人は難しいっ
    て言ってるんだよ。
 神坂:(びっくりして)それでは、私は人柄が悪いとおっしゃ
    るんですか。
 教官:まあそういうことかな。
 神坂:(教官がまともに自分の人格を非難してくることに面食
    らいながら)私の、どこが人柄が悪いのですか。
 教官:人柄については、まず、西暦だな。西暦はあくまで典型
    的なことだけど。西暦起案は、当事者が怪訝に思うはず
    だ・・・。     ──西川伸一著「日本司法の逆説
  最高裁事務総局の『裁判しない裁判官たち』」/五月書房刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 これを読んでも意味がわからない人が多いと思います。「人柄
についてはまず、西暦だな」──この部分です。神坂氏は、西暦
を使って判決起案を行っているのですが、裁判所に限らず、どの
省庁でも西暦は厳禁なのです。
 判決文を西暦で書く──どうでもいいことです。西暦の部分は
和暦で書くようにと指導すればよいだけの話であり、少なくとも
これによって人柄が悪いという結論にはならないはずです。しか
し、最高裁ではそうなるのです。要するに「素直でない」とみな
されるのです。
 その結果、判事の卵である判事補は、絶対に上に逆らわないよ
うタテ秩序の刷り込みを受けています。これについて、元裁判官
の安部晴彦氏は次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 私の知るかぎり、わが国の裁判官は、一般に、なかでも若い裁
 判官ほど、自分の意見をいわない。また、そのような傾向がこ
 のところ強まっていること、そうさせている状況があることが
 痛いほど感じられる。表面上の意見は普通、ただ、「裁判長の
 おっしゃるとおり」、「裁判長と同意見」なのである。
          ──安部晴彦著「犬になれなかった裁判官
        /司法官僚統制に抗して36年」/NHK出版
                  西川伸一著の前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 こうした司法のエリートが、最高裁事務総局に陣取り、官僚機
構全般を仕切っているのです。上の命令はたとえどんなことでも
素直に聞く集団です。   ─── [自民党でいいのか/99]

≪画像および関連情報≫
 ●元裁判官が語った司法界の現状
  ―――――――――――――――――――――――――――
  先日、元裁判官の安倍晴彦さん宅に伺って4時間近くインタ
  ビューさせていただいた。安倍さんは、最高裁の司法官僚統
  制に抗して裁判官の良心と独立を貫いてきた人である。しか
  し、そのために最高裁に冷遇され、36年の裁判官人生の大
  半を「人のいやがる(地裁)支部・家裁めぐり」で過ごして
  きた。昇給や任地の差別はもちろん、どこの裁判所でも後輩
  の裁判官らが次第に安倍さんに近づかなくなり、話しかけて
  も返事をせず、口をきかないようになっていったという。安
  倍さんの体験談を聞くうちに、自らの良心に忠実であるには
  これほどの屈辱や孤独に耐えなければならないのかと、溜め
  息をつきたくなった。以前にもこの欄で書いたが、日本の裁
  判を歪めているのは最高裁の司法官僚統制である。憲法には
  「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ
  この憲法及び法律にのみ拘束される」と書かれているのだが
  実態はまるでちがう。警察・検察の上層部と結託した最高裁
  がまっとうな裁判官を差別する人事を行うため、ヒラメ(上
  ばかり見る)裁判官が増えて、被告の無実の訴えが無視され
  る。その結果、有罪率は99・9パーセント。これは、裁判
  所が、被告に有罪の烙印を押すベルトコンベア装置に成り下
  がったことを意味している。
          (最後まで読む) http://bit.ly/1dQ3ASR
  ―――――――――――――――――――――――――――

安倍晴彦氏.jpg
安倍 晴彦氏
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月22日

●「なぜ官僚機構は小沢を警戒したか」(EJ第3678号)

 官僚が実質支配している法務省は別として、他の省庁において
は大臣の権限は絶大です。その権限を使えば、大臣はその省庁の
行政について何でも指揮できる立場にあります。しかし、政治家
対官僚組織という構図で見ると、大臣は身ひとつでその省庁に乗
り込むかたちになります。1999年までは、大臣には政治家の
仲間はだれもいなかったのです。
 これを官僚の側から見ると、「大臣1人対多数の官僚組織」で
すから、官僚組織にとって推進したくない政策については、いく
らでもブレーキがかけられるのです。これに対して大臣が実質的
な差配を官僚組織に委ねるならば、事務次官が指揮をとって政策
の推進から、国会での大臣の答弁も準備して大臣が恥をかかない
ようすべてを取り仕切るのです。
 そのため各省庁の政府委員と称する役人が国会で大臣に付き添
い、必要に応じて大臣に代わって答弁していたのです。まさに大
臣はおんぶにだっこです。これなら初任大臣でも失敗なくすべて
をこなすことができるのです。しかし、それと引き換えに、官僚
組織にとって好ましくない政策には協力が得られないのです。
 この大臣と官僚組織との葛藤について、宮崎学氏と長妻昭元厚
労相が次のように話しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 宮崎:官僚をうまく使う、という言い方がよくあるんですが、
    今の構造の中で官僚はうまく使えないんですよね。官僚
    は彼らが許容する範囲内では動くだろうけれども、彼ら
    が嫌なものに関しては徹底的に抵抗する。表現は柔かい
    表現を取りながらも、腹の中では絶対に協力しない人た
    ちなんじゃないのかなという感じがしてるんです。
 長妻:官僚というのはすごく強いもので、官僚主導政治が行わ
    れている。官僚が日本国を牛耳っていると。でも、よく
    考えると、たかが官僚に、そんな大それたことはできな
    いんですよね。では何が問題かというと、官僚と資金力
    のある圧力団体が結託して強固な支配体制をつくってい
    る。いわゆる官僚主導政治、でも官僚だけじゃない。後
    ろに既得権益を握った資金力のある団体がべったりくっ
    付いている。      ──宮崎学・辻恵・青木理著
   『政権崩壊/民主党政権とはなんだったのか』/角川書店
―――――――――――――――――――――――――――――
 長妻昭氏は、厚労大臣としては珍しく頑張った大臣であると思
いますが、官僚組織の猛烈な抵抗に遭い、結局、ほとんど仕事に
ならなかったのです。ここで長妻氏がいっている「官僚の後ろに
は既得権益を握った資金力のある団体がついている」というのは
本当のことです。
 その良い例が、田村厚労大臣の提出した一部の医薬品のネット
販売を禁止する薬事法改正案です。医薬品のネット販売には、厚
労官僚、厚労族議員、それを牛耳る既得権益グループの利害がか
らんでおり、田村大臣はその圧力に屈して、事実上解禁になって
いた医薬品のネット販売を特定28品目に関してネットでの販売
を禁止する薬事法改正案を今国会で通そうとしています。
 これは、安倍首相の進めるアベノミクスの成長戦略や規制改革
の重要な一環であったにもかかわらず、それが土壇場で葬り去ら
れようとしているのも、政府が既得権益グループに屈したことを
意味しています。このように、たとえ自民党政権であっても、官
僚組織プラス既得権益グループの意にそまぬ政策は反対し、潰し
てしまうのです。これに対して、当初は医薬品のネットへの全面
解禁を明言していた安倍首相が何もいわないのも奇妙な話です。
 小沢氏は、そういう官僚支配の政治を国民の手に取り戻すため
に、野党の時代から2つのことの実現を目指して政治活動をして
きたのです。2つの政策を再現します。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1.政府委員制度を廃止し、国会法改正などを実現する
 2.政治の官僚支配の牙城である内閣法制局を廃止する
―――――――――――――――――――――――――――――
 「1」については、小沢氏が野党の自由党時代に自民党との自
自連立で実現していることは既に述べた通りです。それにしても
政府委員の廃止は官僚組織にとって相当の痛手です。国会での発
言の機会がなくなり、官僚組織にとって都合の悪い政策にブレー
キをかけるコントロールがきかなくなってきたのです。
 さらに、大臣が各省庁に入るときは、認証官の副大臣と複数の
政務官という政治家の仲間とセットで乗り込むことになり、官僚
組織としては、大臣1人の場合に比べて、かなりやりにくい状況
になったことは確かです。
 「2」に関しては、小沢氏は、内閣法制局こそが官僚機構の牙
城であると見抜いて打った方策なのです。小沢氏は、内閣法制局
に関して、次の持論を持っています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢の内閣法制局論によれば、法制局が基本的人権の憲法条項
 を審査するのは、国民に裁判を起こされて敗訴すると政府の権
 威、すなわち「お上の権威」が保てなくなることを恐れている
 からで、官僚がつくる法律を官僚同士で合法化、権威付けして
 いるにすぎない。その法律が国民にとって必要かどうかを判断
 しているわけではない。違憲立法審査権は最高裁判所にあり、
 政府がつくる法律がいいか悪いかを判断するのは立法府である
 国会がやることだ。法制局に最高裁や国会を差し置いて法律の
 最終判断をする権限があるはずがない。にもかかわらず、法制
 局の憲法、法律解釈によって国のあり方と政治の進路が決めら
 れるとすれば、それこそ紛う方なく官僚統治の実証である。
     ──渡辺乾介著『小沢一郎/嫌われる伝説』/小学館
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢氏がこれら2つの手を打ってきたことで官僚組織としては
その的確さに愕然としたのです。「小沢ならやりかねない」と官
僚機構は警戒したのです。─── [自民党でいいのか/100]

≪画像および関連情報≫
 ●日々坦々/2013年10月08日号
  ―――――――――――――――――――――――――――
  (内閣法制局長官人事について)小沢一郎「生活の党」代表
  は、先日の記者会見でも、その件については「従来の自論」
  を展開していた。安倍総理が、内閣法制局長官の固定路線人
  事を破り、集団的自衛権行使容認派で駐仏大使の小松一郎氏
  を起用した件を、小沢さんが記者から聞かれ次のように答え
  ている。『僕は、内閣法制局というのは廃止していいと思っ
  ていますので、あまり関心はありません。何度も申し上げま
  すように、法制局は立法府にこそ必要でありまして、これは
  明治以来の旧体制の名残ですね。ところが、政治家も国民も
  内閣の法制局が法の権威、法の番人みたいなことを言う人が
  いまして、とんでもない話しで、今の人事が象徴するように
  内閣のやりたいことを法律的に屁理屈を考えるのが法制局の
  役目ですから。ですから、そういう意味で制度的には必要な
  いということ・・・』。「法の番人」と呼ばれる内閣法制局
  長官だが、歴代長官は主に法務、財務、総務、経済産業(名
  称は現在)の4省出身者が就任してきた。必ずしも法律の専
  門家ではなく、憲法解釈を担当する第1部長から次長、長官
  という階段を昇ってきた。平成15年には小沢一郎自由党党
  首(当時)が「役人が解釈を縛るのは僭越(せんえつ)だ」
  として、国会に内閣法制局廃止法案を提出(のちに廃案)。
  民主党は政権についた21年9月から24年1月まで、原則
  長官を国会答弁させなかった。   http://bit.ly/14i97ef
  ―――――――――――――――――――――――――――

長妻昭氏.jpg
長妻 昭氏
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(3) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月25日

●「官僚同士のマッチポンプシステム」(EJ第3679号)

 竹下内閣がはじめて消費税を導入したときの話です。立案過程
で「内税」にするか「外税」にするかで議論が紛糾したのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
           首相官邸 ・・・・ 内税
      内閣法制局/大蔵省 ・・・・ 外税
―――――――――――――――――――――――――――――
 このとき小沢一郎氏は官房副長官であり、消費税を円滑に運用
するためには「内税」がよいと政治判断したのです。普通ならこ
れで決まりです。官邸が政治決断をしたからです。
 しかし、内閣法制局は頑として「外税」を譲らず、大蔵省は欧
米のほとんどの国では外税であるという資料を出してきて、「外
税」に決まったのです。日本というのはそういう国です。官邸よ
りも官僚の意向の方が強いのです。
 この場合、かたちとしてはこうなるのです。大蔵省が主張する
次の案を内閣法制局が承認する──このかたちで「外税」で決着
が着いたのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 消費税という税の仕組みとして外税が筋であり、欧米各国も
 ほとんどは外税である。          ──大蔵省案
―――――――――――――――――――――――――――――
 これは、官僚が作った法案を内閣法制局がオーソライズして、
官僚同士で合法化するというマッチポンプシステムを内閣総理大
臣でもそれを覆せないということを意味しています。
 内税か外税かのような議論だけではないのです。どのような法
案であってもこのシステムが適用されるのです。当時小沢氏は官
房副長官として、内閣法制局を廃止し、官僚のマッチポンプシス
テムを破壊するとともに、官邸の機能をもっと強化すべきである
と考えて、「日本改造計画」にそのことを書いているのです。
 ところがです。このようにして決まった法律でも、内閣法制局
の都合で後から平気で変更してしまうのです。この内税か外税か
の議論には後日談があります。消費税増税後15年後の2004
年4月1日から、財務省は「総額表示方式」、つまり、消費税を
内税に切り替えています。消費税率を上げるには内税の方が好都
合だと判断したからです。
 それに、当時大蔵省の主張の拠りどころであった欧米諸国のほ
とんどが外税であるという情報はウソだったことです。ほとんど
が内税で一部の国が外税だったのです。このように、彼らは自分
たちの主張を通すためなら、平気でウソをつくのです。
 小沢氏が内閣法制局の存在を疑問に感じたのは、湾岸戦争のさ
いに日本は、直接の武力行使はできなくても物資輸送などの後方
支援活動はできるはずであるとして、自衛隊派遣を決断しようと
したのですが、内閣法制局に反対されてできなかったときです。
そのため、日本はカネだけしか出さないとして、全世界の顰蹙を
買ったのです。
 内閣法制局は、国連の活動であっても、自衛隊派遣は集団的自
衛権行使を禁ずる憲法に違反するとして反対したのです。その根
拠は次の通りです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 集団的自衛権は、ある国が武力攻撃を受けた場合、それと密接
 な国が、自国が攻撃されていなくても協同して排除できる権利
 として国連憲章第五十一条に認められている自衛権であるが、
 個々の国の自衛権とは分けて考えられている。政府は「日本は
 国際法上、集団的自衛権を有するが、憲法九条のもとでは必要
 最小限度の自衛権の行使は許されるが、集団的自衛権の行使は
 その範囲を超えるので、憲法上許されない」と説明してきた。
     ──渡辺乾介著『小沢一郎/嫌われる伝説』/小学館
―――――――――――――――――――――――――――――
 つまり、内閣法制局の論理は、「ある」けれど「ない」なので
す。まるで禅問答です。これに対して小沢氏は、警察官の活動を
例に取って反論しています。
 警察官が拳銃を所持し、それを行使できるのは、自分個人の正
当防衛(自衛権)のためでなく、社会の維持秩序の使命と責任を
与えられ、その権限によって強制力を行使することを許されてい
るからです。
 これと国連平和活動は同じであると小沢氏はいうのです。国連
の平和活動は、個々の国の自衛権の発動によって展開されるもの
ではなく、各国の合意のもとに国際の平和を守る行為であって、
個々の国の自衛権の発動とは異質のものである。したがって、自
衛隊派遣は、憲法が禁ずる集団的自衛権の行使には当たらないと
主張したのです。
 この小沢氏と内閣法制局と外務省の論争は、小沢氏が1993
年に自民党を離党した後も続き、小渕内閣での自自連立では、国
連平和維持活動に無条件に参加する安全保障政策を組み込んだの
です。小沢氏は、次のように、内閣法制局の憲法解釈の限界を次
のようにえぐってみせたのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 官僚は制度や仕組み、慣例など自分たちが積み上げてきたもの
 を否定できない。それでいて現実の行政を担う立場と自ら積み
 上げてきたものとの非現実的な論理の整合性を取り繕うことば
 かりに腐心する。それを変えられるのは政治の力しかない。
                ──渡辺乾介著の前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 自自連立での政策合意でありながら、官僚あげての工作に音を
上げた自民党は、法制局による憲法解釈を守るため、公明党を引
き入れて自由党の「連立比率」を下げ、あくまで官僚機構とコト
を構えない対応をとったので、自由党は連立を離脱したのです。
 このいきさつを知ると、官僚機構が小沢氏を官僚機構を壊す危
険な存在として、たとえ非合法な手段でも、小沢氏を潰しにかか
る理由がよくわかると思います。小沢氏が総理になれば自分たち
が不利益を蒙るからです。─── [自民党でいいのか/101]

≪画像および関連情報≫
 ●小沢一郎による「内閣法制局廃止論」/渡辺幹介氏
  ―――――――――――――――――――――――――――
  小沢は内閣法制局の廃止に動いた。自由党は、02年6月と
  03年5月の二度にわたって「内閣法制局設置法廃止法案」
  ・を国会に提出したのである。衆議院と参議院にはそれぞれ
  に法制局と調査局(調査室)がある。国会議員の要請で資料
  情報を収集、提供し、議員立法の調査、法案作成のスタッフ
  として機能している。小沢は、両院の法制局が内閣の法律に
  違憲性があるかどうか判断するほうが合理的であり、行政と
  立法両面の実態からも内閣法制局が存在する必要はないと主
  張し、廃止法案を提出させた。大元には、内閣法制局が省庁
  の法律の権威付けしているとともに、官僚支配の牙城になっ
  ているという認識があった。廃止法案は内閣法制局をなくす
  だけでなく、衆参の法制局と調査局のほか、国立国会図書室
  の調査・立法考査局を統合して国会立法調査院にすることが
  提示されていた。しかし、廃止法案は廃案にされた。もし、
  「小沢絵理大臣」が実現するとしたら、その政権構想には、
  確実に内閣法制局は存在していない。
     ──渡辺乾介著『小沢一郎/嫌われる伝説』/小学館
  ―――――――――――――――――――――――――――

内閣法制局.jpg
内閣法制局
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月26日

●「福田:小沢会談はなぜ行われたか」(EJ第3680号)

 湾岸戦争のとき、当時の小沢官房副長官が主張する国連平和協
力に基づく自衛隊の海外派遣を憲法違反として認めなかった内閣
法制局の憲法解釈は次の通りです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 国連の平和活動の後方支援であっても武力行使と一体であり
 憲法違反である。       ──内閣法制局の憲法解釈
―――――――――――――――――――――――――――――
 確かに後方支援(兵站線)のない戦争はあり得ないのです。し
たがってこの観点に立つ限り、「武力行使と後方支援は一体であ
る」ということになります。
 しかし、小沢氏は国連の平和活動は各国の合意のもとに国際の
平和を守る行為であって、個々の国の自衛権の発動とは別のもの
であると主張したが、法制局は頑として認めなかったのです。
 ところが、湾岸戦争終結後に、自衛隊はペルシャ湾の機雷除去
のために掃海艇を派遣することになったのです。そのとき、法制
局は「武力行使と一体化しなければ、自衛隊の海外派遣も違憲で
はない」とロジックを示したのです。
 内閣法制局がこのロジックを使ったのは、アフガンとイラクへ
の自衛隊派遣のときです。アフガン、イラクでは現に戦闘してい
る地域であるにもかかわらず、「武力行使と一体化しない後方支
援は憲法が禁止する集団的自衛権行使ではない」として、自衛隊
の派遣を容認しています。アフガンとイラクは戦闘地域ではない
と官僚機構の法制局が勝手に解釈したのです。ここまでくると、
屁理屈といわれても仕方がないでしょう。
 このように、国の安全保障を官僚に判断させている国は日本だ
けであると小沢氏は怒りと自嘲を交差させていっています。その
とき以来小沢氏は内閣法制局の廃止を固く心に誓ったのです。し
かし、その当時、小沢氏の率いる自由党は野党に過ぎず、内閣法
制局の廃止などできるはずがないと官僚機構は多寡をくくってい
たといわれます。
 しかし、野党であっても、小沢氏は何回も内閣法制局の廃止を
仕掛けており、1998年の自自連立では「内閣法制局廃止」は
合意文書に盛り込まれています。そして2009年には民主党は
まさかの政権交代を成し遂げ、法制局の廃止どころか、官僚機構
解体の一歩手前まで行ったのです。
 官僚機構が死に物狂いで、どんな汚い手を使っても、小沢氏を
潰しに動いても何も不思議はないのです。小沢氏の政治生命を奪
うためなら、検察審査会において、官僚機構の司令塔である最高
裁が、志岐武彦氏の主張する架空議決であろうと、和モガ氏の指
摘するなりすまし審査員を入れることであろうと、小沢氏を強制
起訴して有罪にし、彼らの身を守るためなら、何でもやるでしょ
う。官僚機構はそれほど小沢氏を恐れているのです。
 2007年7月の参院選で、小沢代表率いる民主党は自民党を
破り、衆院は絶対多数であるものの、参院は与野党逆転となり、
衆参ねじれ国会が生まれたのです。時の首相である安倍晋三氏は
就任一年にして、参院選敗北の責任をとって政権を投げ出し、福
田康夫氏が後継首相に就任したのです。
 当時の安倍首相は、体調不良による退陣とされていますが、本
当の理由は、テロ特措法によるインド洋での自衛隊補給艦の給油
支援活動の継続を国際公約にしていたにもかかわらず、それが果
たせなくなったことであるといわれています。
 なぜなら、そのとき、民主党の代表である小沢氏は、テロ特措
法は憲法違反であると主張して、自衛隊派遣そのものを認めず、
補給継続に反対していたからです。参院がねじれになっているこ
とから、テロ特措法の継続は絶望的であったのです。
 2007年8月末から9月はじめに、読売新聞本社グループの
渡邊恒雄会長が、小沢一郎民主党代表(当時)に直接電話を入れ
「国のため大連立をするべし」と呼び掛けたのです。これに対し
て小沢氏は次のように答えています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 それは、政権を担っている側が判断することであり、われわ
 れからとやかく言うべきことではない。──小沢民主党代表
―――――――――――――――――――――――――――――
 2007年10月半ばに渡邊会長は再度小沢代表に電話を入れ
次の要請をしているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 福田首相はぜひ大連立をしたい考えだ。小沢さん、首相の代
 理人に会ってくれないか。         ──渡邊会長
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢代表はこれを受けて、首相の代理人の森喜朗元首相と会っ
たのです。その結果、2007年10月30日に小沢─福田会談
が行われています。
 小沢一郎氏に対するベテランのインタビューアーで知られる渡
辺幹介氏は、第1回の小沢─福田会談について、自著で次のよう
に書いています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 最初の会談では、小沢がテロ特措法に対する考え方、原則なき
 自衛隊派遣の間違い、給油活動の問題点を解き明かし、次いで
 それらの問題点を解決するために、国連の平和活動への参加と
 憲法解釈の見直し、日米同盟強化の方策など、持論を述べた。
 福田はメモを取りながら、熱心に聞き役に徹していた。福田は
 小沢の国際平和活動への参加論に対し、「政府部内の調整が必
 要だ」と即答を避け、再会談を望んだ。小沢も了解して、一回
 目の会談を終えた。            ──渡辺乾介著
            『小沢一郎/嫌われる伝説』/小学館
―――――――――――――――――――――――――――――
 このとき、福田首相は万事に行き詰っていたのです。このまま
選挙になれば民主党の勝利はほぼ見えていたし、かといって、参
院がねじれていれば、政権の運営は絶望的に厳しいものになりつ
つあったからです。   ─── [自民党でいいのか/102]

≪画像および関連情報≫
 ●福田VS小沢会談/ブログ「きまぐれな日々」
  ―――――――――――――――――――――――――――
  福田康夫首相と民主党の小沢一郎代表との党首会談で何が話
  し合われたかが話題になっている。新聞報道などでは、新テ
  ロ特措法について話し合われたことになっているが、多くの
  方同様、私もそれを疑っている。既にアメリカの要人が、日
  本の海上自衛隊の給油活動を止めても大した影響はないよう
  なことを発言しているし、福田首相は新テロ特措法の成立な
  どとっくにあきらめているだろう。一方、小沢代表が自衛隊
  のISAF参加論を唱えたのも、おそらくはインド洋での海
  自の給油が対米隷従に過ぎないことを国民に印象づけるねら
  いがあって、実際には民主党は非軍事分野でのISAF参加
  に主張をとどめる意向のようだ。それなら、党首会談で何が
  話し合われたかだが、一部で推測されているように、自民党
  と民主党の大連立や解散・総選挙について話し合われたのだ
  ろうと思う。この大連立は、中曽根康弘元首相や読売新聞の
  渡邉恒雄会長(ナベツネ)がご執心の構想だ。ナベツネらは
  安倍晋三政権の末期には、自民党の政治家らと「安倍外し」
  の密談をしていたと報じられたこともあるから、おそらく、
  コイズミ・安倍らを排除した上での自民党と民主党の大連立
  をもくろんでいるのだろう。今、保守勢力の経済政策は、コ
  イズミ・安倍・竹中らのラジカルな新自由主義路線、福田・
  谷垣らの消費税増税・財政再建路線、国民新党などの公共事
  業による景気浮揚路線、それに小沢一郎らが舵を切ろうとし
  ている社民主義寄りの路線などに分かれると思う。前二者は
  「小さな政府」志向の新自由主義型、後二者は、「大きな政
  府」志向の開発または福祉国家型ということになろうか。
                   http://bit.ly/1juMn2C
  ―――――――――――――――――――――――――――

第1回福田─小沢会談.jpg
第1回福田─小沢会談
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月27日

●「福田首相の大連立提案と小沢代表」(EJ第3681号)

 2007年10月30日、当時の福田首相と小沢民主党代表が
国会内の会議室で会談を行ったのです。この会談で福田首相は聞
き役に徹し、メモを取りながら、真剣に小沢代表の話を聞いたと
いいます。そして「政府部内の調整が必要だ」として、福田首相
は小沢代表に再会談を求め、小沢氏もそれを了承したのです。
 再会談は11月2日に行われています。再会談では、福田首相
は1回目と変わって、小沢氏の見解に対して自分の意見を積極的
に主張したのです。そして、自筆で記述した次の2項目の文章を
小沢氏に示したのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1.国際平和協力に関する自衛隊の海外派遣は、国連安保理も
   しくは国連総会の決議によって設立、あるいは認められた
   国連の活動に参加することに限る。したがって、特定の国
   の軍事作戦については我が国は支援しない。
 2.新テロ特措法案はできれば通してほしいが、両党が連立し
   新しい協力関係を確立することを最優先するので、連立が
   成立するならば、あえてこだわることはしない。
    ──渡辺乾介著/『小沢一郎/嫌われる伝説』/小学館
―――――――――――――――――――――――――――――
 この福田提案は、第1回目の小沢氏の主張──国連中心主義を
ほぼ全面的に取り入れたものということができます。そしてアメ
リカとは明記しないものの、「特定の国の軍事作戦については我
が国は支援しない」として、現政府のアフガン、イラン支援につ
いての転換を明示しているのです。
 そして、その実現のためには「連立」という言葉を使い、自民
党と民主党が協力することが必要で、両党の政策協議を求めてい
ます。しかも、自民・民主両党の連立ができるのであれば、新テ
ロ特措法を取り下げてもよいとまで踏み込んでいます。
 これによって小沢民主党代表は、現職総理大臣が明確な意思の
下に、政策協議の最大の問題である安全保障政策に重大な転換を
決断したものと受け取ったのです。
 小沢代表は、福田首相に断って、福田氏の書いた文章を自ら書
き写したのです。しかし、その場では、答えを保留して党に持ち
帰って、改めて回答することを約束して会談を終えています。
 しかし、11月2日夜に開かれた民主党役員会と常任幹事会は
自民党から提案された大連立を前提とする申し出を次の理由によ
り、否認することを決定したのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
  1.2007年7月の参院選の勝利が直近の民意である
  2.次期衆院選で民主党は間違いなく自民党に勝利する
―――――――――――――――――――――――――――――
 もし、民主党が自由党であったなら、小沢氏はためらいなく、
自民党との大連立を受け入れていたはずです。しかし、小沢氏に
してみれば、代表ではあるが、民主党は後から参加した政党であ
り、党の総意というか、党幹部の考え方をあくまで尊重しなけれ
ばならないという思いがあったと思われます。
 確かに民主党は参院選では勝利したものの、次期衆院選におい
ては地方の後援者組織がしっかりしている自民党に簡単に勝利で
きるとは思っていなかったのです。民主党が自民党を破るには、
あと3年はかかる──自民党流選挙を熟知している小沢氏はその
ように計算していたのです。
 しかし、自民党との大連立を組めば、民主党が掲げた「国民の
生活が第一」の政策のほとんどを今すぐ実現できるとして、自民
党との政策協議をやってみる価値があると思っていたのです。そ
のときの小沢氏の考え方は次の3つです。
―――――――――――――――――――――――――――――
   1.大連立でも民主党の大半の政策は実現できる
   2.民主党は政権党としての力量が不足している
   3.政権党としての経験を積めば2大政党が実現
―――――――――――――――――――――――――――――
 民主党は約2年後に自民党に勝利して政権交代が実現したが、
そのとたんに中心幹部は小沢氏を裏切り、「反小沢」色を強めて
党内抗争を繰り広げたのです。さらに、稚拙極まりない政権運営
を展開してわずか3年あまりで自滅しています。まさに小沢氏の
懸念した上記「2」の懸念が現実のものとなったのです。
 福田元首相からの大連立の提案に対しての小沢氏の思いについ
て、渡辺幹介氏は次のように分析しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 福田は1回日の党首会談で小沢の国際貢献論に耳を傾け、同意
 しないまでも、小沢の主張を受け入れるには政府内部の調整が
 必要だとして再会談を求め、そのうえで2項日を提示した。そ
 の間には官邸内部で内閣法制局、外務省や自民党中枢と綿密な
 すり合わせがなされたことは想像に難くない。2項目はそれま
 での憲法解釈を180度転換するものであり、なおかつ連立が
 できるなら、新テロ特措法が成立しなくても仕方がないとまで
 言っているのだから、そうした方針と2項日の文書は福田の最
 終的決断とイニシアチブで作成されたと見なければならない。
 「エースのカード」を持つ小沢は、連立要請に内心燃えたはず
 だ。(中略)歴代総理大臣がやりたくてもできなかった憲法解
 釈の壁を崩すにはどうすればいいか。大連立は、2大政党の一
 方が衆院を、他方は参院を支配しているのだから、二度とめぐ
 ってこないかもしれぬほど、条件的には申し分ない。福田が解
 釈変更に踏み切るなら、与野党一体で総理大臣の政治決断を支
 持する態勢ができる。     ──渡辺乾介著の前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 2007年に自民党と民主党の大連立が実現していたら、福田
政権はもっと長く続いていたし、小沢問題も起きていなかったか
もしれません。経済ももっと早く好転していたと思われます。そ
れにしてもせっかくの政権交代を台なしにした民主党の幹部の責
任は重大と考えます。  ─── [自民党でいいのか/103]

≪画像および関連情報≫
 ●自民党、民主党の大連立/極東ブログ/2007年11月
  ―――――――――――――――――――――――――――
  結論からいうと大連立なんてありえないと思うが、責任政党
  として民主党は国政の運営に寄与していかないといけないの
  で、昔の社会党みたいな万年野党で安閑とした立場ではいら
  れない。いろいろ政策面で摺り合わせが必要になるし、そう
  いう機会が増えるだろうから、一山でおいくら?みたいなパ
  ッケージ化もあってもいいだろう。それが大連立に見えると
  いうこともあるかもしれない。大連立といえば、ドイツの現
  メルケル政権がひな型になるが、その前に気になったことを
  メモしておきたい。自民党の当面の問題は対米同盟の問題で
  単純に言えば米国から見て自民党に政権運営能力があるのか
  疑問符が付いた。ただし米国としても日本をそこに追い込ん
  だ負い目のようなものと、また次期は民主党政権で日本パッ
  シング(無視)してもいいかもみたいな流れもある。大連立
  という珍妙な話がどこから出てきたのか。朝日新聞は今朝の
  社説「連立打診/まず総選挙が筋だ」で「びっくりするよう
  な提案が、福田首相の口から飛び出した」と驚いてみせるの
  だが、流れ的に見るとこの話題は小泉時代からくすぶってい
  た。例えば、2006年4月12日読売新聞「小沢氏が大連
  立仕掛けるかも」/小泉首相が「警戒感」より。なお、べた
  記事については事実のみなのであえて全文引用する。「小泉
  首相は11日夜、都内のホテルで参院議院運営委員会の溝手
  顕正委員長らと会談し、民主党の小沢代表について、『仕掛
  けるのが上手だ。党内の旧社会党系を追い出し、自民党の本
  流でない人と組むよう、自民党に手を突っ込んで大連立を仕
  掛けてくるかもしれない』と述べ、小沢氏の動向に警戒感を
  示した。昨今の大連立話と、昨年の春のこの話題とそう変わ
  らないので、朝日新聞のように驚くには、独自の能力という
  か政局感が必要だろう。      http://bit.ly/17Gr4Jf
  ―――――――――――――――――――――――――――

大連立を提案した福田元首相.jpg
大連立を提案した福田元首相
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月28日

●「次の選挙で政権は必ず奪還できる」(EJ第3682号)

 自民党が与党である政治体制において、政権交代は戦後2回起
きています。その2回の政権交代の両方に小沢一郎という政治家
が深く関与しているのです。小沢氏以外に誰もやったことはない
し、政権交代に挑んだ政治家はいないのです。
 小沢氏の政治家としての稀有な能力は、小沢氏のことを知る誰
もが認めていますが、世間一般のイメージはきわめてよくないの
です。それはメディアが意図的に小沢氏を貶めているからであり
もし小沢氏がその気になって訴訟を起こせば、十分名誉棄損に該
当するほど「真実でない小沢」を国民に知らしめています。
 それでも小沢氏を貶めることをやめないのは、小沢政権が誕生
すると、自らが不利益になるからです。小沢氏は官僚機構を本気
で壊そうとしていますが、それは本物であり、既に何回も彼らを
追い詰めています。既に2回、小沢総理実現の一歩手前まで行っ
ているのです。
 政権交代を実現するには、与党に有利な選挙制度を改革する必
要があります。小沢氏は細川政権でその選挙制度を改革し、その
選挙制度は、現在も変更されることなく維持されています。選挙
制度というものはいったん成立すると、なかなか変更できないも
のなのです。
 現在、小沢氏の率いる生活の党は、衆議院議員7人、参議院議
員2人のたったの9人です。この状況になっても小沢代表は次の
ようにいっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
       次の選挙では必ず政権を奪還する
          ──小沢一郎生活の党代表
―――――――――――――――――――――――――――――
 9人の政党の代表のいうことではないという人が多いと思いま
すが、この小沢発言を密かに恐れている政治家は多いのです。自
民党や官僚機構の側から見ると、総力を上げたのに「小沢を潰し
切れなかった」という思いを持つ人が多いのです。
 小沢氏は政権交代について、独特の見解を持っています。政権
交代を実現するには次の2つが必要であるというのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
      1.政権交代可能な選挙制度にする
      2.二院のうち一院の過半数を取る
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢氏にとっては、「1」の選挙制度の改革が重要だったので
すが、「1」はそのまま残っています。したがって、野党にも政
権交代のチャンスがまだあるということです。
 小沢氏は、宮崎学氏との対談で、選挙制度について次のように
語っています。「次の選挙でまた変わりますよ」と。
―――――――――――――――――――――――――――――
 宮崎:でも僕は一つ皮肉だなあと思うのは小選挙区制度で政権
    交代ができるようになったのは事実なんですけども、今
    回ぐらい小選挙区制度のもっともマイナスの面ですね。
    20数%の得票率で70%近い議席を取っちゃうという
    これが出てきたのも皮肉なことだなと思うんですよ。
 小沢:だけど次の選挙でまた変わりますよ。そういうふうにつ
    くったんだから。
 宮崎:小選挙区制をですか?
 小沢:そういう選挙制度にしたんですよ。一党で権力を持ち続
    けるのはいけない。政権与党がいい加減な政治をすれば
    いつでも野党にとって代わられる。そういう緊張感の中
    で、政党がお互いに競い合って良い政治を実現する。そ
    れが民主主義だということです。だから、ちょっとの得
    票でもって政権交代できるようにと。その中でだんだん
    大人になっていけばいいと。
                ──宮崎学・辻恵・青木理著
   『政権崩壊/民主党政権とはなんだったのか』/角川書店
―――――――――――――――――――――――――――――
 「2」について小沢氏は、2院制の1院を握ればエースのカー
ドを持ったようなものであり、与党政権が政権に執着する限り、
野党は何でもできるといっています。
 しかし、今のところ与党の自公両党は、数としては圧倒的であ
り、日本維新の会やみんなの党は与党にすり寄る与党の補完勢力
になってしまっており、野党共闘はできそうもない情勢です。ど
のようにして、これを崩すのでしょうか。
 しかし、小沢氏は、今後の政局について次のようにもいってい
るのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 僕はねぇ、野党共闘をやらざるをえなくなる雰囲気になると思
 うよ。国民がね。自民党政治がこのままでいいと誰も思わなく
 なる。格差や原発や国際情勢がね。     ──鈴木哲夫著
    「最後の小沢一郎/誰も書けなかった『剛腕』の素顔」
                      オークラ出版刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 今回の自民党の復権は、本当の復権ではないのです。民主党の
裏切りに乗じて、自民党が政権をとったのです。自民党自体は何
も変わっていないのです。このような政権に民意が集まるとはと
ても思えないのです。
 特定秘密保護法案──これにはジャーナリストを中心とする文
化人が猛反対をしています。自民党はこのまま採決を強行すると
思われますが、それをやればやるほど自民党は確実に民意を失っ
ていきいます。この他にも原発問題、TPPなど難問山積です。
 最大の爆弾は消費税税率引き上げでしょう。来年4月以降の経
済の運営に安倍政権がもし失敗し、株価が急落することがあると
この政権は持たないと考えられます。自民党は消費増税は民主党
政権時代に決まったものだといっています。そう、やらないと約
束した増税を強行し、民主党を壊滅させた一群の政治家にも焦点
を当て糾弾する必要があります。 [自民党でいいのか/104]

≪画像および関連情報≫
 ●政権交代について/大前研一の日本のからくり
  ―――――――――――――――――――――――――――
  1994年、当時の細川護煕政権下で小選挙区制が導入され
  てから、20年が経過しようとしている。「政権交代可能な
  二大政党制の実現」を目指して、小選挙区制は導入された。
  しかし、それが本当に正しかったのかどうか、吟味すべき時
  期にきていると私は思っている。そもそも小選挙区制でなけ
  れば政権交代できないというのは間違いで、細川政権自体、
  中選挙区制で行われた最後の総選挙で得票率2位から5位ま
  での非自民勢力が連立して誕生した。連立によらない本格的
  な政権交代は2009年に起こった。しかし国民の期待を受
  けて誕生した民主党政権はめぼしい成果をあげることなく、
  12年の総選挙で大敗北を喫し、政権を手放した。問題は、
  「小選挙区制では票が偏りすぎる」ということだ。振り返れ
  ば郵政解散を受けた05年の総選挙もそうだったし、政権交
  代が起きた09年の総選挙、自民党が政権を奪還した12年
  の総選挙もそうだった。「小泉ブーム」になれば自民党に票
  が集まり、「政権交代が必要だ」と、メディアでコメンテー
  ターが叫べば、民主党が大勝する。「民主党政権に失格の烙
  印」が押されると、その得失を吟味したり、精査することな
  く、民主党を壊滅させるほどの“揺り戻し”が起きる。熱し
  やすく冷めやすい日本人のメンタリティを考えると、小選挙
  区制が本当に相応しいものなのか、よく考えなければいけな
  い。クルマのブレーキとアクセルを交互に踏むような非常に
  不安定な政治体制をつくる結果になってしまっているのだ。
                   http://bit.ly/15JeQy0
  ―――――――――――――――――――――――――――

作家・宮崎学氏.jpg
作家・宮崎 学氏
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月29日

●「最高裁と民主党上層部を繋ぐ接点」(EJ第3683号)

 「民主党悪徳10人衆」といわれている人たちがいます。その
10人とは、当時の民主党の次の政治家です。
―――――――――――――――――――――――――――――
       藤井 裕久     岡田 克也
       渡部 恒三     前原 誠司
       仙谷 由人     枝野 幸男
       菅  直人     安住  淳
       野田 佳彦     玄葉光一郎
―――――――――――――――――――――――――――――
 これらの10人衆は、3年4ヵ月の民主党政権で、首相、副首
相、官房長官、財務大臣、外務大臣、国土交通大臣、経済産業大
臣、幹事長、政調会長などの要職をたらいまわしで歴任し、民主
党政権を再起不能の状態に貶めたA級戦犯です。
 このうち、既に藤井裕久、仙谷由人、渡部恒三の3氏は政界を
退いたり、2012年の衆院選で落選したりして、姿を消してい
ますが、残りの7人衆は依然として現在も民主党議員です。彼ら
が小沢氏率いる自由党を受け入れたのは、あくまで政権交代を果
たすためであり、小沢氏の力を利用しようとしたのです。
 偽メール事件でガタガタになった民主党を代表に就任して立て
直したのは小沢氏です。小沢代表は民主党議員に選挙のいろはを
教え、選挙で次々と勝利し、2007年の参院選では与野党逆転
を成し遂げて、着実に政権交代へと民主党を導いたのです。
 しかし、実際に政権交代が実現すると、10人衆は次の計画と
して政権交代の最大の功労者である小沢氏を政権から遠ざけよう
と画策します。「幹事長をやっているじゃないか」と反論する人
も多いですが、これは鳩山首相の強い推薦があったのと、幹事長
といっても、内閣の政策に関与させない党務と選挙に権力を限定
した幹事長でしかなかったのです。「もし政権を取ったら、幹事
長も国務大臣として内閣に参加する」ことを申し合わせていたに
もかかわらずです。
 小沢氏はそれでも2010年の参院選に勝利しなければ民主党
の政策は実現できないと考えて、文句をいわずにその限定的幹事
長を甘んじて引き受けたのです。
 当時の民主党で政権与党の要職の経験のある政治家は小沢氏だ
けであり、その小沢氏を内閣から遠ざけたのですから、民主党の
政権運営は稚拙を極め、衆議院の4年の任期を全うできないまま
解散に追い込まれ、あっさりと自民党に政権奪還を許してしまっ
たのです。国民と約束したマニュフェストに真剣に取り組まずに
簡単に投げ出し、やらないと明言していた消費増税をこともあろ
うに宿敵自民党・公明党と組んで実現させるという犯罪にも等し
い国民への裏切りをやったのは、この10人衆です。
 これら10人衆は、自民党の麻生政権が仕掛けた「小沢謀殺」
の片棒を担いでいることは間違いがないのです。なぜなら、第5
検察審査会は、小沢氏への起訴議決を当初の予定を変更して、わ
ざわざ民主党の代表選の当日に変更しており、最高裁と民主党は
間違いなくつながっていることは確かです。
 これには、ある事件がきっかけになったものと考えられます。
ある事件とは何でしょうか。平野貞夫氏は、自著で次のように書
いています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 (2010年の)参議院選挙に惨敗した菅・仙谷政権は、この
 時期に始まった東京第五検察審査会の第2回目となった小沢氏
 の審査に、政権延命のためにも強い関心をもったことは想像に
 難くない。検察審査会による強制起訴の議決日が代表選と同日
 で、発表が20日後であった不自然さ、また議決内容の違法性
 など、審査会の活動全体について、菅・仙谷政権のかかわりが
 あったという情報がある。その疑惑が究明されなければ、わが
 国は法治国家とはいえない。そして、小沢起訴を議決した第五
 検察審査会についてはさまざまな疑惑が指摘されている。審査
 員の選び方、補佐弁護士の選任に正当性があるのか、審査会が
 適法に開かれたかどうか、適法に議決が行われたかどうか。こ
 れらの一連の出来事のなか、第五検察審査会で何が起こってい
 たのか。最も重大な疑惑は、法曹界の大物・元最高裁判事で、
 元法務省官房長の香川保一民事法情報センター理事長の「刑事
 事件」となるべき金銭スキャンダルである。これを、なぜ、誰
 がモミ消したのか。そして、最高裁と法務省に絶大な「貸し」
 をつくつたのは誰か。その「貸し」をどう悪用したのか。この
 究明は国会でもまったくなされていない。
               ──平野貞夫著/ビジネス社刊
     『新説/小沢一郎謀殺事件/日本の危機は救えるか』
―――――――――――――――――――――――――――――
 この事件はほとんどの人が知らないはずです。2010年4月
のことです。民主党による事業仕分けの事前調査で、とんでもな
いスキャンダルが発覚したのです。調査が入ったのは法務省が所
管する社団法人「民事法務情報センター」で、その理事長の金銭
スキャンダルが発覚したのです。
 この社団法人の理事長が香川保―氏です。香川氏は、最高裁判
事や法務省官房長などを歴任した法曹界の重鎮だったのです。問
題はこの香川理事長が何をやったかです。香川理事長はセンター
から無利子・無担保・無制限で1500万円の融資を受けていた
ことや、理事長の報酬を月額50万円から100万円に引き上げ
ていたことなどです。
 それだけではないのです。このセンターの敷地内に香川理事長
をトップとする弁護士事務所を設置していたのです。このことが
公になると、このセンターを所管する法務省が責任を問われるの
はもちろんのこと、元最高裁判事の犯罪として理事長が刑事責任
を問われる事態になります。
 菅政権は卑劣にもこの事件の幕引きを図り、最高裁と法務省に
大きな「貸し」を作り、最高裁と連携して小沢氏を強制起訴に追
い込んだのです。    ─── [自民党でいいのか/105]

≪画像および関連情報≫
 ●時の政権と司法が取引して国家的モラル崩壊を拡大
  ―――――――――――――――――――――――――――
  小沢氏の検察審査会による「強制起訴」は、民主党政権の有
  力閣僚が関与していたとの情報がある。この問題は、統治権
  力の腐敗として究明されなければならない。情報の要点を説
  明しておく。
  (1)平成22年4月13日、民主党による「事業仕分け」
  で、法務省所管の「事前調査」が行われた。その時社団法人
  「民事法情報センター」の香川保一理事長の金銭スキャンダ
  ルが判明した。
  (2)香川氏は最高裁判所判事、法務省官房長や民事局長な
  どを歴任し、最高裁と法務省のパイプ役として戦後活躍した
  大物法曹人であった。
  (3)同月16日、衆議院法務委員会で事業仕分けの事前調
  査を行った民主党委員が、この問題を採りあげ、千葉景子法
  務大臣に質疑を行った。それが読売新聞に小さな記事として
  報道された。
  (4)この問題は、香川元最高裁判事が刑事責任を問われる
  可能性があること。また、法務省の監督責任を問われること
  になるので千葉法相は対応に悩み、政権幹部に相談すること
  になる。
  (5)連休明けの5月8日のことである。社団法人「民事法
  情報センター」は突然解散し、多数の有料会員や利用者を困
  惑させた。この問題は、単なる社団法人の不詳事件として処
  理されるべきことではない。元最高裁判事・元法務省官房長
  や民事局長などを歴任した香川保一理事長という法曹界の重
  鎮の刑事責任や社会責任をもみ消し、不問にした千葉法相の
  責任は重大である。千葉法相ひとりの判断で決めたことでは
  なく、民主党政権の弁護士資格を持つ有力閣僚の動きがあっ
  たとの情報があり、真相の究明が必要である。
            「日々坦々」/http://bit.ly/wr9I4R
  ―――――――――――――――――――――――――――

最高裁スキャンダル事件について話す平野貞夫氏.jpg
最高裁スキャンダル事件について話す平野 貞夫氏
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月02日

●「最高裁に貸しをつくった政権幹部」(EJ第3684号)

 このテーマは今回で106回目です。EJのテーマとしては未
踏の数字です。7月1日から書いているので、既に5ヶ月書き続
けていることになります。今回のテーマを振り返ってみます。
―――――――――――――――――――――――――――――
    本当に自民党でよいのか/小沢一郎最後の挑戦
    ──このままでは済まされない問題を探る──
―――――――――――――――――――――――――――――
 まさにこれまで105回かけて「このままでは済まされない問
題」を探ってきたのですが、まだまだ書くべきことがあり、この
まま12月27日まで書き続けます。
 「小沢謀殺の仕掛け人は誰か」から、この連載はスタートして
います。平野貞夫氏の設定した次のテーマです。
―――――――――――――――――――――――――――――
   仕掛け人候補その1        「政治家」
   仕掛け人候補その2         「官僚」←
   仕掛け人候補その3         「財界」
   仕掛け人候補その4     「巨大メディア」
   仕掛け人候補その5  「ジャパンハンドラー」
               ──平野貞夫著/ビジネス社刊
     『真説/小沢一郎謀殺事件/日本の危機は救えるか』
―――――――――――――――――――――――――――――
 既に「政治家」の検証が終わり、「官僚」の検討に入っており
現在もその検討は続いています。それほど官僚機構の闇は深いと
いうことです。
 この官僚について平野貞夫氏は、その本質を次のように見抜い
ています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 私の結論を先にいっておくが、官僚という存在は、何ごとであ
 れ、みずから率先するようなビヘイビアはとらない。したがっ
 て、仕掛け人とするには無理がある。そのうえで、注目しなけ
 ればならないのは、官僚は限りなく仕掛け人をサポートする大
 きな役割を果たすことがあり得るということである。
                ──平野貞夫著の前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 首魁は自民党なのです。今回の一連の「小沢謀殺」は政権を小
沢氏率いる民主党に奪われる寸前の麻生政権からはじまっていま
す。政権を失って困るのは自民党だけでなく、長い間にわたって
自民党政権と棲み分けをしてきた官僚機構も同じなのです。
 許せないのは、政権を失って茫然自失の自民党を結果として助
けたのは、謀略を仕掛けて小沢氏とそのグループを追放し、その
謀殺を図った民主党の「悪徳10人衆」です。
 小沢氏を検察審査会を使って「強制起訴」し、その剛腕を十分
に削いでおき、やっとの思いで得た無罪判決の直後に解散を強行
して、小沢勢力を壊滅に近い状況に追い込んだのはこの10人衆
の仕業です。多くの民主党議員が、あの2012年暮れの衆院選
で落選し、屍累々となるなかでこの10人はすべて生き残ってい
ます。これにも深い理由があると思います。
 11月29日のEJでご紹介した香川保一民事法情報センター
理事長の金銭スキャンダルについて事実を述べておきます。
 2010年4月13日のことです。民主党は「事業仕分け」の
事前調査として、法務省所管の団体の調査を行ったのですが、そ
のとき、民事法情報センター理事長、香川保一氏の金銭スキャン
ダルが発覚したのです。
 4月16日の衆議院法務委員会で、事前調査に当たった民主党
議員がこの問題を取り上げ、千葉景子法務大臣に対して質疑が行
われたのです。この問題は、香川理事長が刑事責任を問われる事
態になることや、香川氏が元最高裁判事であることから、最高裁
にとっても頭の痛い不祥事だったのです。このことについて、読
売新聞は事実を小さく報道しています。
 当然のことながら、千葉法相は対応に悩んで、「政権の幹部」
に相談したのです。この時点は鳩山内閣──この手の相談は民主
党政権幹部といえば、弁護士で公務員改革担当相の仙谷由人氏、
内閣府特命担当大臣(行政刷新)の枝野幸男氏であったと考えら
れます。そのときの政権幹部ではないが、最高裁とのパイプのあ
る最高裁の竹崎長官と同級生の江田五月氏がいます。
 4月27日、小沢氏に対して第5検察審査会は「起訴相当」議
決を出しています。そういう状況を踏まえながら、政権幹部はこ
の問題について結論を出して幕引きを図ったのです。
 連休の明けた5月8日のことです。社団法人「民事法情報セン
ター」は突然解散したのです。これによって多数の有料会員や利
用者を困惑させたのです。つまり、香川理事長の金銭スキャンダ
ルを不問にしてもみ消してしまったことになります。しかし、メ
ディアは事実を知りながら、ほとんど報道していないのです。し
たがって、ほとんどの人は事実を知らないまま、事件は闇から闇
へと葬られたのです。
 しかし、これによって法務省と最高裁は、この政権──とくに
この処置を決定した政権幹部に大変な「借り」を受けたことにな
ります。6月2日に小沢幹事長は辞任を表明し、同月4日に鳩山
内閣は総辞職し、6月8日に菅直人内閣が誕生しています。
 菅内閣では、仙谷氏は官房長官、枝野氏は幹事長の要職につき
「反小沢」を鮮明にします。しかもこの内閣は、法務検察、最高
裁に重要な「貸し」をつくっているのです。こうなると、この内
閣が求めれば、小沢氏を第5検察審査会を使って民主党代表選の
日に合わせて起訴議決を出し、刑事被告人にすることぐらい簡単
なことだったのです。
 この事件幕引きの構図は、元大阪高検公安部長が検察の裏金を
告発する寸前に逮捕された事件によく似ています。この事件では
時の小泉首相が検察・司法官僚と取りの引きして、検察の裏金事
件を封印したのです。いずれにしても最高裁が菅政権に協力した
理由は明白なのです。  ─── [自民党でいいのか/106]

≪画像および関連情報≫
 ●三井環さんからの手紙/けものみち/「魚の目」より
  ―――――――――――――――――――――――――――
  検察の組織的裏金づくりの犯罪の分岐点は平成13年10月
  末にあったと私は思います。原田検事総長の判断の誤りが後
  に大きな災いをもたらすのです。当時は大阪地検加納駿亮検
  事正が裏金づくりの犯罪(虚偽公文書作成、同行使、私文書
  偽造、同行使、詐欺)で刑事告発され週刊文春、週刊朝日が
  大々的に私の取材により報道していました。法務省は加納を
  福岡高検検事長に上申しましたが、当時の森山法務大臣は刑
  事告発されていることを理由に難色を示したのです。小泉内
  閣としては人事を承認し刑事告発が「黒」であれば、その責
  任を内閣が負わなければならないからです。法務省はなかな
  か内示ができなかったため報道が過熱し大手新聞も一気に報
  道しかねない状況下にあったのです。そこで原田検事総長が
  考え出したのが「けもの道」と言う選択だったのです。検察
  の組織的な裏金づくりの犯罪は内部では「公知の事実」でし
  たので原田検事総長は自ら国民に謝罪し、ある程度の処分者
  を出して、使った金を国に返還するだろう、それ以外の選択
  肢はないだろうと私は考えていました。そうすれば検察の信
  用は一時的には失墜するかもしれませんが、さすがは他の省
  庁とは違うと評価されたであろうと思います。私はそれを期
  待していました。ところが「けもの道」と言う最悪の選択を
  してしまったのです。        http://bit.ly/49L0m
  ―――――――――――――――――――――――――――

香川保一事件に関与したとみられる元民主党幹部.jpg
香川保一事件に関与したとみられる元民主党幹部
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月03日

●「幹部人事に異常にこだわる検察庁」(EJ第3685号)

 小沢一郎氏に対する検察審査会の強制起訴は、時の菅・仙谷政
権が、民事法情報センター理事長・香川保一氏の金銭スキャンダ
ルのもみ消しを通じて法務検察、最高裁に恩を売り、それを武器
のように使って行ったものということができます。
 現在、東京都の猪瀬知事が徳州会から、選挙前に5000万円
を無利子・無担保・返済期限なしで借り、世間の批判を浴びてい
ますが、香川氏の場合は、自らが理事長を務める民事法情報セン
ターから、1500万円を無利子・無担保・返済期限なしで借り
ていたのです。しかも、香川氏は元最高裁判事であり、法曹界を
牛耳る大物であったので、コトは重大です。
 この問題は、2010年4月16日の国会・法務委員会で千葉
法相に、民主党の竹田光明議員が次のように質問しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 千葉:当該貸し付けが無利子・無担保であることは事実でござ
    います。また、弁済期についての定めがないことも確認
    をさせていただきました。
 竹田:1500万円もの大金が無利子・無担保で貸し出されて
    いる。これは、私どもの感覚からすると、信じられない
    あってはいけない話だと思います。理事長は、民事法情
    報センターのお金も自分のお金も日ごろから一緒になっ
    ているんじゃないか、そういうふうな印象を強く持ちま
    した。また、これは新聞の報道なんですが、1500万
    円の貸し付けについて理事会に事後報告をしたとありま
    すが、法人がこれだけの大金を貸し出すに当たって理事
    会の決議は必要ではないということは問題だと思います
    が、大臣、いかがでしょうか。
 千葉:確かにこれは定款の定めで行うものでございますので、
    法的には法令違反というようなことにはならないかと思
    いますけれども、やはり、公益法人が理事長に多額の貸
    し付けを行うこと自体、特定の理事に対して便宜を図っ
    ているのではないか、こういうようなことを当然受けと
    められる、こういうことでもございますので、公益法人
    のあり方としては私は極めて遺憾であり、不相当だとい
    うふうに認識をいたしております。
                   http://bit.ly/19bc6IF
―――――――――――――――――――――――――――――
 民主党の議員が民主党の大臣にする質問であり、ぬるい質疑で
すが、法務省は5月8日にこの法人を突如解散したのです。つま
り、菅・仙谷内閣は、香川理事長の犯罪を不問にして、法務検察
と最高裁に大きな「貸し」を作ったのです。
 これについて菅・仙谷内閣は、かつての小泉内閣のやった手法
に学習し、最高裁を使って「小沢謀殺」を仕掛けることを思いつ
いたのです。ここで「小泉内閣のやった手法」について、述べる
必要があると思います。
 官僚機構──とくに法務省が、幹部の人事に対して、いかに自
らのイニシアチブをとってやろうとするかについて知っていただ
く必要があるので、少しややこしい話ですが、そのいきさつをて
いねいに述べることにします。
 最高検察庁は、その頂点に立つ検事総長と次長検事、それに福
岡、広島、名古屋、東京、高松、仙台、札幌、大阪の8つの高等
検察庁は、天皇による認証が必要な認証官なのです。通常は、法
務省が内閣に上申し、内閣の承認を受けたうえで、天皇の認証を
経て辞令が発令されるのです。
 2001年4月のことです。この時点は森内閣でしたが、加納
駿亮高知地検検事正を高松高検検事長に昇格させる人事が、当時
の高村正彦法相によって先送りされたのです。その理由は、加納
氏がその直前に裏金づくりの容疑で、最高検察庁に刑事告発され
たからです。
 告発者は四国タイムス社の川上道大社長名義でしたが、実質的
な告発者は高知地検で加納氏の部下だった三井環氏です。当初法
務省は刑事告発の件を大臣に報告しないまま、内閣に上申しよう
としたのですが、告発者の川上氏が高村法相の秘書官に刑事告訴
資料を提出して先送りになったのです。このように、法務官僚は
大事なことを所管大臣に報告しないで、何食わぬ顔で内閣に上申
することが多いのです。ことに人事はそうなのです。
 そして、2001年4月26日に小泉内閣が発足し、法相には
森山真弓氏が就任したのです。法務省は、加納検事正の人事を認
めるよう具申したのですが、前任者の高村法相からこの件を引き
継いでいた森山法相は認めず、入庁年次がひとつ下の宗像紀夫氏
を高松高検検事長に任命したのです。加納検事正の方は大阪地検
検事正に異動することになったのです。
 一般の企業であれば、幹部が刑事告発されれば、その人事をあ
きらめるのが常識ですが、法務検察の常識は違うのです。何が何
でも幹部官僚の加納氏を昇格させようとします。
 これに対して告発者の三井環氏は「週刊文春」や「週刊朝日」
に匿名で加納氏の悪業を公表して訴えたのですが、法務省はこれ
らマスコミの報道を一切無視して、加納氏の福岡高検検事長の人
事案を決定し、小泉内閣に上申したのです。
 しかし、内閣は「再考」を求めてきたのです。加納氏は刑事告
発されており、もし起訴されることになると、天皇の権威まで傷
つけることになるからです。高検検事長は認証官だからです。
 ここで検察のトップの原田明夫検事総長らは、既に政界を引退
していた後藤田正晴氏の事務所を訪れ、加納の人事を何とかして
欲しいと泣きついたのです。後藤田氏は元警察官僚であり、法務
大臣も経験していたからです。
 後藤田氏は官邸に連絡し、この人事を了承するよう説得したと
いうのです。官邸は後藤田氏では断れないと判断し、条件付きで
その人事案を了承することにしたのです。その条件とは一体何で
しょうか。明日のEJで明らかにしていきます。
            ─── [自民党でいいのか/107]

≪画像および関連情報≫
 ●【論壇】法務・検察組織の不正を暴く/「日々坦々」
  ―――――――――――――――――――――――――――
  法務・検察組織に根ざす構造的腐敗というのは、組織的に公
  費から捻出した裏金で、特定のポストに就いた者の私的な遊
  興・享楽的費用を賄っていることを指す。その主たる使い主
  は、検察組織では検事総長、次長検事、検事長、検事正であ
  り、法務本省でいえば、トップの法務事務次官をはじめ官房
  課長、刑事局長以上である。例えば、北島検事総長がカラオ
  ケ狂で、連日のように深夜までカラオケ等で過ごし、この遊
  興代金を公費で捻出した裏金で支払っている(東京地検検事
  正当時には特に凄まじく、マスコミに嗅ぎつけられるのでは
  ないかと取り巻きは随分心配した。このことは語り草となっ
  ている)ことや、堀口次長検事の女遊び費用等の飲食・遊興
  費、やはり女好きででたらめな遊興に耽っている石川東京地
  検検事正の飲食・遊興費をそれぞれ公費で捻出した裏金で支
  払っていることは内部では公然たる秘密である。原田事務次
  官については、既に週刊誌に則定と行動を共にした旨報道さ
  れているとおりで、このように法務・検察組織の首脳・幹部
  は、則定にも勝るとも劣らぬことをやっているのが実情であ
  る。全国の検事正以上の全ての者は、もれなく公費から捻出
  した裏金で、私的な飲食・遊興費の支払いをさせており、法
  務・検察の幹部は首脳陣に至るまて腐敗仕切っている。これ
  は紛れもない真実である。     http://bit.ly/w5jkLU
  ―――――――――――――――――――――――――――

三井、加納、原田/問題の検察3人衆.jpg
三井、加納、原田/問題の検察3人衆
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月04日

●「小泉内閣による指揮権発動の真相」(EJ第3686号)

 「幹部人事だけは絶対に政治家を介入させない」といいながら
警察官僚出身とはいえ、有力政治家の後藤田正晴氏の力を借りて
まで、裏金作りの常習犯として告発されている加納駿亮の福岡高
検検事長就任を実現させ、検察人事の独立を守ったとされる原田
明夫検事総長自身はどういう人物なのでしょうか。
 原田明夫氏は法務省事務次官のときに、裏金スキャンダルで辞
任した則定衞元東京高裁検事長と一緒に銀座のクラブなどに頻繁
に出没していた取り巻きの一人であり、法務省の裏金事件に深く
関わっている人物です。
 官僚──とくに法務検察の裏金作りは常態化しており、彼らは
このことについて罪悪感は持っているとは思えないのです。この
裏金作りの詳細について明らかにしたブログが突然パスワードな
しには入れなくなっています。特定秘密保護法の関係でしょう。
 さて、このとき小泉内閣が法務検察に突き付けた条件とは次の
2つのことです。もちろん、はっきりと口にしたのは「1」のみ
で、「2」は暗黙の約束であることはいうまでもないことです。
―――――――――――――――――――――――――――――
      1.加納駿亮を不起訴処分にすること
      2.現小泉内閣に対して協力すること
―――――――――――――――――――――――――――――
 このことを検察側が了解すると、森山真弓法相は、記者会見を
開き、検察の裏金疑惑を一切否定し、大阪高検は2001年11
月13日、加納駿亮の裏金問題は「嫌疑なし」として、不起訴処
分にしたのです。その後、三井環氏は検察審査会へも審議申し立
てをしたのですが、「不起訴不当」の議決でチョン。このときは
強制議決はなかったのです。ところで小泉内閣による「2」の要
求は、まさに検察に対する小泉版の「指揮権発動」そのものだっ
たのです。小泉内閣は、検察をフルに使って、政敵を次々と失脚
に追い込んだのです。政敵とは次の5人です。
―――――――――――――――――――――――――――――
     1.村上 正邦 ・・・  KSD事件
     2.三井  環 ・・・ 検察組織の敵
     3.鈴木 宗男 ・・・ やまりん事件
     4.田中真紀子 ・・・ 小泉改革妨害
     5.村岡 兼造 ・・・ 日歯連闇献金
―――――――――――――――――――――――――――――
 5つの政敵のそれぞれの内容については、平野貞夫氏の本から
引用します。
―――――――――――――――――――――――――――――
  まず、2001年には、参議院のドンと呼ばれ、小泉の政敵
 となっていた村上正邦がターゲットとなった。東京地検特捜部
 はKSD(財団法人ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団)
 事件に絡み、同年3月に、受託収賄容疑で逮捕している。
  続く2002年4月には、検察の裏ガネ問題を告発し、小泉
 内閣を結果的に窮地に追いやる可能性のある大阪高検公安部長
 の三井環が、電磁的公正証書原本不実記録・同供用、詐欺、公
 務員職権濫用の容疑で逮捕されている。
  同年5月には、外交官の佐藤優が鈴木宗男事件に絡む背任容
 疑で逮捕される。そして、同年6月には、小泉の政敵である鈴
 木宗男衆議院議員が、製材業者の「やまりん」からのあっせん
 収賄容疑で逮捕されるのである。
  検察の動きは表に出なかったが、同年8月には外務省を引っ
 かき回して小泉改革のガンとなった田中眞紀子が、公設秘書給
 与流用疑惑で議員辞職に追い込まれている。これは後に東京地
 検特捜部が捜査を行ったが、不起訴処分になった。
  さらに2004年9月には、日歯連ヤミ献金疑惑で、自民党
 の最大派閥であった橋本派の村岡兼造が在宅起訴されることに
 なる。小泉が内閣総理大臣として在任中に、6人もの政敵が検
 察によって屠られているのである。人物といい、タイミングと
 いい、あまりにもでき過ぎている捜査といえないだろうか。
                      ──平野貞夫著
  「小沢一郎/『特高検察』が犯した7つの大罪」/講談社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 もうやりたい放題です。小沢事件と違ってあまり報道されない
ので、本当に有罪だと思っている人は多いと思います。佐藤優氏
を含めた5つの事件はすべて冤罪です。取り調べ検事が「国策捜
査」と明言したように、検事にとってはまさに「小泉内閣の指揮
権発動」そのものであったからです。良い悪いではないのです。
 ちなみに、日歯連の闇献金のときに小泉内閣の下で法務省刑事
局長をしていたのは樋渡利秋という人物であり、一連の小沢事件
に対してゴーサインを出した検事総長です。さらにこのとき、特
捜検事をしていたのはあの大鶴基成氏です。何のことはない。小
沢事件で捜査に当たった特捜検察の中枢は、小泉内閣当時の偏向
捜査をした検察陣なのです。彼らには、罪の意識などかけらもな
いのです。
 2010年2月4日、民主党の小沢幹事長に対して検察が不起
訴処分を出したとき、現安倍内閣の中心人物の2人は次のような
興味深いコメントを出しているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
  ◎小沢氏の不起訴は、鳩山首相による指揮権発動である。
                     ──安倍晋三氏
  ◎小沢氏は「灰色幹事長」である。   ──麻生太郎氏
―――――――――――――――――――――――――――――
 当時の安倍晋三氏が「指揮権発動」という言葉を使っているの
は誠に象徴的です。安倍氏は内閣官房副長官として小泉氏を近く
で支えた人物であり、小泉政権と法務検察との関係を知らないは
ずはないのです。そのため、「鳩山首相による指揮権発動」とい
う言葉を使ったものと思われます。政権の意のままに動く検察も
検察ですが、ウラ取引を利用してそれを政敵潰しに使う政権も許
すことはできません。  ─── [自民党でいいのか/108]

≪画像および関連情報≫
 ●天木直人のブログ/2010年9月9日
  ―――――――――――――――――――――――――――
  嫌な感じがする。鈴木宗男のこのタイミングでの有罪確定の
  事だ。鈴木宗男事件が国策捜査なのか、冤罪なのか、それを
  判断する材料は私にはない。しかしこのタイミングで鈴木宗
  男が収監される事には明らかな作為を感じる。有罪確定なら
  もっと早くそれができたはずだ。ここまで引き伸ばしたのな
  ら民主党代表選挙の後に引き伸ばす事は出来たはずだ。小沢
  一郎を徹底して支持してきた鈴木宗男をこのタイミングで収
  監する。どうやら小沢総理誕生を阻止する勢力が本気で小沢
  潰しに出たようだ。小沢一郎は負けるかもしれない。しかし
  菅直人がそれで勝ったと思ったら大きな間違いだ。もし小沢
  一郎が負けたら、猛烈な菅民主党政権に対する反発が国民か
  ら起きてくる。菅民主党政権は行き詰まる。菅は負けてしま
  えば終わりだが、勝っても負ける宿命にある。小沢は負けて
  こころざしを遂げるのかもしれない。小沢は勝ってよし、負
  けてもよし、である。       http://bit.ly/1gvVVeh
  ―――――――――――――――――――――――――――

原田明夫元検事総長.jpg
原田 明夫元検事総長
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月05日

●「指定弁護士が控訴を決定した理由」(EJ第3687号)

 「民事法情報センター」理事長のスキャンダルをもみ消して法
務検察へ「貸し」を作った菅・仙谷政権は、小沢排除を目的とし
て、最高裁に圧力をかけ、東京第5検察審査会によって小沢氏に
対する起訴議決を出させた疑惑がもたれています。そうでなけれ
ば、民主党の代表選の当日に議決日を合わせるなど、できるはず
がないのです。
 ところで、小沢一郎氏に対する指定弁護士による強制起訴裁判
の経過は次のようになっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
   2012年 4月26日: 小沢一郎一審無罪判決
                   大善文男裁判長
         5月11日:   指定弁護士が控訴
        11月12日:小沢一郎控訴審無罪判決
                   小川正時裁判長
―――――――――――――――――――――――――――――
 平野貞夫氏が主宰する「日本一新の会」のブログに、小沢氏を
強制起訴した指定弁護士と、菅・仙谷政権の弁護士資格を持つ主
要閣僚の関係を示唆する記事が出ています。2012年3月22
日付の記事です。
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢氏の「有罪」の危惧が残る中で、看過できない情報が3月
 16日(金)、私に届いた。政府や国会議員等の情報管理に詳
 しい専門家からである。「菅政権の主要閣僚であった複数の政
 治家が、小沢裁判の指定弁護士側と論告の内容について意見を
 交換していた。詳細は明らかにできないが、方法としてメール
 やファックスが用いられたらしい。論告求刑案が『添付ファイ
 ル』により議員関係者と指定弁護士周辺者でやりとりされた可
 能性があるとのことだ。最高裁関係者とも意見交換をやってい
 る可能性が高いようだ」とのこと。にわかにはとても信じられ
 ない情報なので、国内外のインテリジェンス活動に詳しい国会
 議員秘書に意見を聴いたところ、「この情報が正しい可能性は
 ある。定常的に日本の政府と国会議員らのメールを監視してい
 る海外のインテリジェンス・コミュニティなどは、自分の国の
 国益にかなう情報はそれなりのキーパースンには伝えることが
 ある。まして我が国の要人の電子メールは、複数の外国の諜報
 機関には筒抜けが実態だ」との話が返ってきた。もしこれらの
 情報が正しいと仮定すれば、この国の内部で恐ろしい事態が進
 行していると言わざるを得ない。   http://bit.ly/GGOkEZ
―――――――――――――――――――――――――――――
 検察審査会の審査補助員や指定弁護士は、最高裁が日本弁護士
連合会(日弁連)に依頼して決定されるのです。当時の仙谷官房
長官と日弁連の宇都宮健児氏は昵懇の仲であり、宇都宮氏は個人
として仙谷氏と枝野氏に政治献金をしているのです。こういう状
況では、恣意的な審査補助員や指定弁護士の選定が行われている
可能性は高いといえます。
 それどころか、収入の少ない指定弁護士に何らかのかたちで資
金援助をしていた可能性すらあるのです。政権交代の最大の功労
者である小沢一郎氏を弁護士資格のある主要閣僚が、こともあろ
うに不正の手段で裁判にかけ、一審の無罪判決が出たにもかかわ
らず、指定弁護士を指揮して控訴させるとは言語道断といわざる
を得ないのです。
 小沢氏を控訴するに当たって、指定弁護士は記者会見で次のよ
うに述べています。これに対する小沢側弁護人弘中淳一郎弁護士
のコメントもご紹介しておきます。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ◎控訴を決めるには、政治的圧力を受けていない。政治的影響
  力を考慮しなかった。          ──指定弁護士
 ◎被告の立場や政治的影響を無視して、控訴したとしたら問題
  だ。社会的な影響を十分考慮するのは当たり前だ。
                   ──弘中淳一郎弁護士
―――――――――――――――――――――――――――――
 実は3人の指定弁護士の間でも意見は割れていたのです。1人
の弁護士は「控訴をして有力政治家を刑事被告人のままにしてお
くのはよいことではない」といっているのを私自身テレビで聞い
ているのです。弁護士としての良心に咎めたのでしょう。ところ
がやっぱり控訴です。明らかに圧力があったと思われます。
 無罪判決によって、利権複合体が一番恐れているのは、小沢氏
の劇的復活です。4月に無罪放免にして小沢氏に時間を与えると
確実に復活してくるので、もうしばらく小沢氏を動けないように
しようとして、指定弁護士に控訴させたと思われるのです。これ
について平野貞夫氏は次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ある専門家の情報によると、「財界筋が動いた」とのことだ。
 田中秀征氏ら有識者の見方も共通している。情報を整理すると
 次のようになる。「フランスの大統領選挙のサルコジ氏敗北な
 どで、緊縮財政派への批判が国際的に強くなった。関連して、
 国内では消費税増税への環境が悪化した。こんな時期に小沢さ
 んが完全復活すると消費税増税は絶望的になり、原発の再稼働
 にもブレーキがかかる。そこで、一年ぐらいは座敷牢とまでは
 いかなくても、足かせぐらいなものが必要」というのがことの
 始まりのようだった。    ──平野貞夫著/ビジネス社刊
     『真説/小沢一郎謀殺事件/日本の危機は救えるか』
―――――――――――――――――――――――――――――
 本当に「悪いやつら」です。もともと小沢氏は何も悪いことは
していないのに、汚い手段を使って、策略で小沢氏を刑事被告人
に貶め、その政治力を発揮させないようブレーキをかけているの
です。政治の世界はそういうものという諦観もありますが、情け
ない限りです。もっとも控訴されたことでよかったことがひとつ
あります。それは、高裁の裁判官の良心が少し見えたことです。
            ─── [自民党でいいのか/109]

≪画像および関連情報≫
 ●「今日は司法の暗黒記念日」/田中龍作ジャーナル
  ―――――――――――――――――――――――――――
  検察と検察審査会制度がもたらした混乱に終止符が打たれる
  ことはなかった。政治資金規正法違反の罪に問われ一審で無
  罪判決を受けた小沢一郎・元民主党代表を、検察官役の指定
  弁護士はきょう、控訴した。3人の指定弁護士は東京地裁内
  の司法記者クラブで記者会見した。控訴を決めた理由につい
  て主任格の大室俊三弁護士は「一審判決に事実誤認があり、
  (二審で)修正可能だと判断したため」とした。「二審では
  主文(判決を)変えることができる」とも述べ、自信をのぞ
  かせた。大室弁護士は「(秘書と小沢氏との)共謀が認めら
  れないというのは証拠に照らしておかしい」と、一審の事実
  誤認について見解を示した。「東京地検特捜部が虚偽報告書
  を検察審査会に送付し強制起訴させた陸山会事件は起訴の有
  効性が疑われているのである。それをさらに控訴することは
  政治裁判となりはしないだろうか?」筆者は大室弁護士に質
  問した。「政治裁判ではない」。大室氏は言い切った。小沢
  氏は検察リークと記者クラブメディアの世論操作によって、
  “真っ黒け”にされた感がある。フリージャーナリストの江
  川紹子氏は、「(控訴の決断にあたって)報道も勘案したか
  ?」と質した。「多くの人たちが、これだけ関心を持ってる
  んだと実感した」。大室弁護士は慎重に言葉を選びながらも
  答えた。             http://bit.ly/IPsBRn
  ―――――――――――――――――――――――――――

指定弁護士の記者会見.jpg
指定弁護士の記者会見
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月06日

●「小沢控訴審判決がもたらしたもの」(EJ第3688号)

 東京第5検察審査会による2回の「起訴相当」議決によって強
制起訴された小沢裁判、2012年4月26日に無罪判決が出さ
れましたが、裁判官役の指定弁護士はこの判決を不服として控訴
を行っています。
 この控訴は必ずしも指定弁護士の意志というよりも、小沢氏に
復活の時間を与えないため、民主党の反小沢10人衆が仕組んだ
ものと思われています。
 しかし、この控訴は、小沢陣営に大きなプラスメリットをもた
らすことになったのです。それは何でしょうか。
 それは、一審と控訴審では、同じ「無罪判決」であってもその
内容は天と地ほど違うからです。
―――――――――――――――――――――――――――――
     一 審 ・・・ 秘書は有罪/小沢氏無罪
     控訴審 ・・・ 秘書も無罪/小沢氏無罪
―――――――――――――――――――――――――――――
 もともとこの小沢裁判は、小沢氏が政権政党である民主党の重
要役職(最悪は首相)で、その政治的影響力を行使するのをセー
ブすることが目的であり、この裁判を仕掛けた一味も小沢氏を有
罪にするのは困難であることが最初からわかっていたのです。
 検察の小沢関係の捜査の「業務班」は、約50社のゼネコンに
ついて小沢氏に裏金を渡したかどうか、徹底的に捜査し、100
人を超えるゼネコン社員全員を絞り上げています。その結果、水
谷建設を除く全社が小沢氏への裏金を否定したのです。何も出な
かったのです。完全に「シロ」です。
 水谷建設の川村社長については、政治家の名前を使って会社の
金を女に使っていたことを検察は把握していたので、特捜部で水
谷建設の裏金を誰も信用していなかったといいます。だからこそ
取るに足らない政治資金収支報告書の虚偽記載に絞らざるを得な
かったのです。
 しかし、裁判にしてしまえば、事実上政治活動はできないので
その期間を少しでも長く引き延ばしたかったのです。だから控訴
したのです。しかし、秘書については一審、高裁とも有罪にし、
小沢氏が無罪になっても、秘書の有罪で小沢氏の政治的影響力に
足かせをつける作戦だったのです。
 しかし、そうした結果、困ったことが3つ起きたのです。どこ
が困ったのでしょうか。法務検察と最高裁です。
 それは、秘書裁判で登石裁判長が、検察ですら信用していない
水谷建設の川村社長を証人として検察に申請させ、ありもしない
小沢氏の秘書への現金引き渡しを証言させるなど、推認を重ねて
有罪判決を出していることです。
 これに対して、石川知裕被告の弁護人は、川村社長の証言の矛
盾を問い詰めて、法廷での証言はすべてウソであったことを認め
させ、それを文書化しているのです。秘書の弁護人は当然のこと
ながらこの文書を重要な証拠として高裁に提出したのですが、大
善文男裁判長は弁護側の新証拠をすべて棄却して、一審判決を支
持して有罪判決を出したのです。
 この判決に悲観して、2人の秘書は上告を断念し有罪を受け入
れたものの、石川知裕氏はそれらの新証拠を添えて最高裁に上告
したのです。最高裁としては、有罪の根拠になっている証拠がう
そであることを無視できず、現在に至るも結論を出していないの
です。これが困ったことの1つです。
 もう1つは、小沢裁判の控訴審で小川正時裁判長が秘書と小沢
の両方が無罪である判決を出したことです。これは小沢側にとっ
て大きな追い風になったのです。皮肉な話ですが、指定弁護士が
控訴したからこそ、秘書と小沢の両方の無罪判決を引き出すこと
ができたことになります。
 裁判官のほとんどは上には逆らわない「素直さ」が求められて
いるということは既に述べましたが、20%ぐらいの裁判官は上
に素直でなく、自分の信念で判決を出す人もいるのです。判決を
出した小川正時裁判長は、あのゴビンダ氏に無罪判決を出した裁
判官であり、20%に入る立派な裁判官であるといえます。
 このように、同じ高裁の裁判長が同じ事件(秘書裁判も小沢裁
判も基本的には同じことを争っている裁判)で有罪と無罪という
正反対の判決を出したのです。まして高裁の裁判長が有力な証拠
をろくに調べもせず、棄却したことは最高裁としては石川氏の上
告を簡単には棄却できなくなっています。
 3つは、小沢氏を強制起訴した東京第5検察審査会について大
きな疑惑が出ており、表のメディアは無視しているものの、ネッ
ト上では大きな話題になっていることです。「和モガ」氏のよう
に最高裁を告発している人もいます。「まさか最高裁がそんなこ
とはしないよ」──多くの国民がそう思っていますが、その絶対
的な国民の信頼が揺らぎつつあるのです。ネットにおける疑惑は
現在でも拡大しつつあり、EJでもここまで110回もの連載を
重ねているのです。この動きはますます大きくなると思います。
 それにしても「小沢謀殺」を図った自民党、法務検察、最高裁
──それに民主党反小沢10人衆がいま悔やんでいることは、小
沢を潰し切れなかったことです。彼らが一番恐れていることは、
3年後といわれる次の選挙までに小沢氏が復活することです。
 現在、生活の党代表である小沢氏の動静はまったく伝わってき
ていません。といっても姿を隠しているのではないのです。毎日
のように記者会見を開き、所信を発表しているのですが、メディ
アが完全に黙殺しているのです。
 最近では、野党名を表記するときでも「共産党、社民党などの
野党」と生活の党を意識して外しています。社民党よりも生活の
党が大きいにもかかわらずです。「小沢謀殺」はまだ続いている
といえます。
 日本維新とかみんなの党が野党共闘を組もうとしていますが、
小沢氏でなければ、野党共闘はまずできないと思います。それに
今はまだ時期ではないのです。野党がさらに細分化したときが好
機なのです。      ─── [自民党でいいのか/110]

≪画像および関連情報≫
 ●陸山会事件の構図自体を否定した控訴審判決/郷原信郎氏
  ―――――――――――――――――――――――――――
  2012年11月12日、東京高等裁判所において、陸山会
  をめぐる政治資金規正法違反事件で、検察審査会の起訴議決
  に基づいて起訴された小沢一郎氏に対する控訴審判決が言い
  渡された。検察官役の指定弁護士の証拠請求がすべて却下さ
  れ、即日結審したことから、控訴棄却で一審の無罪判決が維
  持されるという判決結果自体は、想定されたことであった。
  しかし、その判決理由が、私の予想を超えたものであった。
  政治資金収支報告書への虚偽記入についての小沢氏の故意を
  否定しただけでなく、更に踏み込んだ事実認定を行い、重要
  な事項について、実行行為者である秘書の石川知裕氏及び池
  田光智氏について虚偽記入の故意がなかったと認定した。そ
  して、それ以上に重要なことは、りそな銀行からの4億円の
  銀行借入れと定期預金の担保設定に関する指定弁護士や検察
  の主張の根幹部分を正面から否定する認定をしたことだ。控
  訴審判決は、一審判決が認定した「4億円の簿外処理」につ
  いて、土地代金支払いと融資金の口座への振込みの時間を細
  かく認定し、僅かな時間のずれだけなので、「石川としては
  実質的には本件土地の取得費にりそな4億円を充てたことに
  なると思っていた可能性があり、所論がいうような虚偽の説
  明をしているという認識がないということもあり得ることと
  いえる」と認定した。       http://bit.ly/IMYYU7
  ―――――――――――――――――――――――――――

講演する郷原信郎弁護士.jpg
講演する郷原 信郎弁護士
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月09日

●「2012年の衆院選に疑惑がある」(EJ第3689号)

 特定秘密保護法案の採決をめぐる自民党の乱暴な議会運営──
数を頼んでの強行採決には怒りを覚えた人が多いと思います。わ
れわれは国民から衆参で多数を与えられている。だから、野党が
何をいおうと、数で押し切ってしまえばよい。国政選挙は3年後
であり、それまでには国民は怒りを忘れてくれる──自民党はこ
う考えて数で押し切ったのです。
 自民党は参院選の公約に、日本版NSCの設置は謳っています
が、特定秘密保護法案の文字は一切ないのです。公約と一緒に発
表した総合政策集に「情報保全・公開に関する法整備」とあるだ
けです。つまり、公約に掲げていないのです。
 ところが、自民党は参院選でも勝利し、衆参で多数を持つこと
になったのです。ねじれは解消したのです。しかも、新聞社の世
論調査での安倍内閣支持率は高いままです。こういう状況を見て
特定秘密保護法案を通すには、この機会しかないと判断したもの
と思われます。
 12月5日夜のテレビ朝日の報道ステーションで気になる情報
を聞いたのです。国会の特定秘密保護法案を審議する委員会で、
森雅子担当相が答弁に詰まるシーンが何回もあったのです。その
とき大臣の後ろにいて、メモを渡していた官僚は警察官僚だとい
うのです。警察はこの法律に深くかかわっているのです。
 昔の特別高等警察(特高)を狙っているのでしょうか。日本維
新の会の石原共同代表が党首討論で安倍首相に迫った次の言葉が
気にかかります。
―――――――――――――――――――――――――――――
 この法案を踏まえて、イスラエルの、私は非常に評価していま
 すけど、小さくとも極めて優秀なモサドのような国家組織をつ
 くるべきじゃないかと思います。     ──石原共同代表
―――――――――――――――――――――――――――――
 モサドというのは、イスラエルの諜報特務庁のことです。対外
諜報活動と特務工作をやっているスパイ組織です。彼らは反イス
ラエル勢力を次々と暗殺している組織であることは公然の秘密に
なっています。石原共同代表は安倍首相に日本にもそういう組織
を作れと迫ったのです。
 安倍首相が石原氏と同じように考えているとは思いませんが、
彼の唱えるスローガン──「日本を取り戻す」は、戦前の暗い、
冷たい日本に戻そうとしているようにしか思えないのです。
 ところで、自民党はどうして衆参であれほどの多数を得たので
しょうか。
 民主党政権のあまりにもひどい政権運営に失望した国民が、自
民党に票を戻したというのが多くの人の考え方です。確かにそれ
は間違いなくあります。しかし、それだけでは説明できないこと
がたくさんあるのです。
 現在ネットでは、2012年12月の衆議院選挙には、不正が
あったのではないかという記事や調査レポートなどがたくさん出
ています。
 不正選挙は発展途上国などによくある現象ですが、少なくとも
日本のような先進国には無縁と考えている人は多いと思います。
しかし、一連の小沢謀殺事件に関してここまで見てきたように、
法務検察も裁判所も最高裁も信用はできないのです。何でもあり
の現代なのです。
 2010年9月14日の民主党代表選は、地方票において明ら
かに不正が行われていることを指摘しましたが、まさか国政選挙
には不正はないと多くの人は思っていると思います。
 しかし、ここに誰にもわかる不正があります。2010年12
月16日の衆議院選挙は、東京都に関しては、東京都知事選挙と
同日選挙だったのです。このときの都知事選と衆院選の東京都の
投票者数数を調べると、不可解な事実があるのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ◎東京都知事選挙投票者総数 ・・・ 644万7744票
 ◎衆院選/東京都投票者総数 ・・・ 525万6655票
  6447744―5256655= 119万1089票
―――――――――――――――――――――――――――――
 同日選ですから、投票所まで足を運べば、都知事選と衆議院選
の両方に投票するはずです。片方だけ投票して一方だけ棄権する
というケースは一人もないとはいいませんが、上のデータはよる
と、衆院選の方を棄権した人が約120万人いることを示してい
るのです。本来であれば、両者の数字はほとんど同じでなければ
ならないのです。異常としかいいようがありません。
 もうひとつ気になるのは、猪瀬氏の得票数が約433万票と投
票総数の67%に達していることです。これは過去最多の圧倒的
な得票率ですが、猪瀬知事というのは、そんなに人気があったの
でしょうか。この数字は、それまで最高だった1971年の美濃
部亮吉氏の361万票をはるかに超えているのです。
 選挙の専門家の分析はこうです。自民党、公明党、日本維新の
会が猪瀬氏を支援しているので、同日に実施された衆議院選挙の
東京比例区の得票率をすべてプラスすると、それだけで55%に
になります。
―――――――――――――――――――――――――――――
      自民党    ・・・ 24.87 %
      公明党    ・・・ 10.14 %
      日本維新の会 ・・・ 19.86 %
      ―――――――――――――――――
                 54.87 %
―――――――――――――――――――――――――――――
 民主党の東京比例区の得票率は15.42 %ですが、そのなか
の連合票の一部(12%)が猪瀬氏に流れて、67%の得票率に
なったというわけです。
 いかにも、もっともらしい説明ですが、これは後づけの理屈な
のです。猪瀬氏の当選には、何か大きな仕掛けがありそうです。
明日検討します。    ─── [自民党でいいのか/111]

≪画像および関連情報≫
 ●自民党が圧勝し、民主党が惨敗した理由/北川正恭氏
  ―――――――――――――――――――――――――――
  「マニフェスト」という言葉を日本語にしたとき、「政権公
  約」というふうに訳しました。これは、「マニフェストは、
  『政権選択』をするときに参考にする材料や基本資料だ」と
  いうことを意味しています。政権選択なので、「マニフェス
  トを用いるのは総選挙に限る」ということです。理論的には
  参議院は関係ありません。ところが、今回の総選挙では「マ
  ニフェスト不要論」も言われていました。なぜかと言うと、
  民主党が衆院選で勝ったとしても参議院に足を引っ張られて
  意のままの政権運営ができなかった、というのを見ていたか
  らです。次の参議院選挙があるから、民主党も自民党も控え
  たのですね。それでは総選挙の意味は何なのか──というこ
  とになります。マニフェストが不要だと言われるようになっ
  たのは、衆議院・参議院のあり方、制度を変えないといけな
  いという問題があったからです。わざわざ投票しても何の意
  味もない、ということになれば大問題ですよね。なので、衆
  参のあり方を根本的に見直せ、という「決められる国会」に
  変えないといけない。今回の選挙は、こういうことを問題提
  起しています。だから、「政権選択」というのは大変重要で
  自民党も「政権公約」としているわけです。衆参のねじれの
  問題は、衆議院の再可決の3分の2条項でどんどん決めてい
  くというふうにしないと、同じ権能を持った院があったら、
  決まりません。多数決はポピュリズムなので、衆議院で与党
  に勝たせたら、参議院では野党に勝たせるのです。
                   http://bit.ly/IMXvN2
  ―――――――――――――――――――――――――――

433万票獲得した猪瀬直樹氏.jpg
433万票獲得した猪瀬 直樹氏
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月10日

●「不可解な東京都知事選の投票結果」(EJ第3690号)

 国政選挙の開票状況がときどきテレビに映ることがあります。
複数の選挙管理委員会の人々が、投票箱から投票用紙を出して、
テーブルの上に並べ、票を仕分ける作業風景です。そういう風景
を見た人は多いと思います。
 そういう風景を見た人は、選挙の開票は人の手によって行われ
ているのだなと思ってしまいます。しかし、人による作業はごく
一部であり、大部分はマシンで行われるのです。そうでなければ
あれほどスピーディーに開票結果を公表することは不可能です。
 2012年12月16日の衆院選で、国分寺市の開票において
実に不可解なことが起きたのです。ちょうど16日深夜12時の
ことです。この時点ではまだ当落の決着がついていなかったので
です。そのときトップを争っていたのは次の2候補です。
―――――――――――――――――――――――――――――
    ≪16日12時現在≫
    末松義規(民主党) ・・・・ 17500票
    松本洋平(自民党) ・・・・ 11500票
―――――――――――――――――――――――――――――
 この時点──開票率81.55 %で、民主党の末松氏が当選寸
前まで迫っていたのです。ところが、です。開票100%で実際
に勝利したのは松本洋平氏だったのです。結果は次の通りです。
―――――――――――――――――――――――――――――
    ≪17日最終結果≫
    松本洋平(自民党) ・・・・ 20464票
    末松義規(民主党) ・・・・ 17516票
―――――――――――――――――――――――――――――
 末松氏は12時の時点で、残りの12000票のうち3000
票取れば勝利できたのです。しかし、末松氏はたったの16票し
か票を上積みできず、比例復活もならずに落選しています。
 これに対して、松本氏はなんと8964票を積み増して、逆転
勝利し、当選しています。これ、おかしいと思いませんか。新聞
はこんな異常事態なのに完全に無視しています。
 実は、2012年の衆院選や都知事選においては、国分寺市だ
けではなく、他の選挙区でも似たようなことがたくさん起きてい
るのです。その気になってネットを見ない人は、誰も知らない事
実です。何が原因だったかというと、自民党の松本洋平氏の票が
日本維新の会の山田宏氏のところに入っていたのです。
 これはあくまで想定ですが、もし、末松陣営が最初から苦戦を
想定して一定の数の票を山田宏氏のところに何らかの方法で潜り
込ませたとすると、全体としてバランスが取れ、末松氏は少数差
で勝利できることになります。
 自民党陣営では、この東京第19区は菅元首相の第18区の隣
りの選挙区であり、この選挙区では不正が行われるのではないか
として監視を強めていたというのです。これは選挙の開票には不
正が起こりうるということを知っていたことを物語ります。
 そうしたところ、松本氏の票の伸びがおかしいということで、
自民党陣営は選挙管理委員会を突き上げたのです。その結果、集
計のミスが判明したのです。その顛末について興味がある人は、
次の選挙管理委員会の調査報告書を参照してください。
―――――――――――――――――――――――――――――
 平成24年12月16日「衆議院議員選挙等開票事務」に関
 する調査について         http://bit.ly/1crilwn
―――――――――――――――――――――――――――――
 はっきりしていることは、選挙の開票ではそれぞれの票にバー
コードを付けて、マシンで集計を行うなど、かなりの部分をマシ
ンに依存していることです。また、投票用紙から直接文字を読み
取るシステムを使う場合もあります。
 そういう選挙の一連の開票・集計プロセスで使われるマシンや
ソフトウェアを提供する業者があるのです。自治体が開票業務で
依頼する業者には数社があることがわかっています。
 2012年12月16日の衆院選と都知事選は、そういう提供
業者のひとつ、株式会社ムサシ・エービーシー(以下、ムサシ)
が担当したのです。しかし、このムサシは、ネット上の伝聞では
問題があることで話題になっている有名な業者なのです。
 ムサシについては、2010年9月14日の民主党代表選で民
主党執行部が使っています。これについては、9月27日のEJ
第3640号を参照してください。
―――――――――――――――――――――――――――――
    ◎2013年9月27日/EJ第3640号
       「なぜムサシに集計を依頼したのか」
              http://bit.ly/1aHuKYt
―――――――――――――――――――――――――――――
 選挙に不正があるとは考えたくはありませんが、衆院選と同日
に行われた2012年12月16日の東京都知事選の結果にも疑
惑があるのです。
 添付ファイルのグラフを見てください。縦軸は票数、横軸は東
京都の区と市です。少し見にくいのですが、青い折れ線は、東京
都のそれぞれの区や市の投票総数の「67%」のラインをあらわ
しています。
 その折れ線グラフの上に、猪瀬氏が実際に獲得した票を重ねて
折れ線グラフにしたのです。そうすると、まるで青の線が見えな
くなってしまうぐらいにピッタリ重なってしまうのです。実際に
こんなことがあり得ることでしょうか。
 もし、コンピュータで、各区や各市の投票者の67%を猪瀬氏
に割り当てるようにソフトをプログラミングすれば、こういう結
果が得られます。もし、そうであるとしたら、それは完全に不正
選挙ということになります。
 もし、意図的にやったのだとしたら、一体誰が、何の目的で、
そんなことをしたのでしょうか。まさに選挙の深い闇です。この
問題は放置できるようなことではないと思います。日本の民主主
義の危機です。     ─── [自民党でいいのか/112]

≪画像および関連情報≫
 ●「投票読取機ソフトに不正はないのか」/あるブログより
  ―――――――――――――――――――――――――――
  このところ各種選挙に於ける不手際に加え投開票疑惑が詮索
  されつつある。戦後から今日まで微塵も疑いがなかったが、
  このところ気になってしようがない。杞憂かも知れないが、
  はっきりさせておかねばならないと思う。疑ってかかるぐら
  いで丁度良いのではなかろうか。これを確認しておく。確か
  いつの年度だったか忘れたが、小泉首相下の選挙の際、神奈
  川県のとある市で投票数より開票数の方が多かった事例が報
  告されていた。特段気に留めなかったが、オカシイものはオ
  カシイ。こたびの2010参院選では、国民新党の低票数疑
  惑が話題になっている。投票数0地域の多さ、「無効票の多
  さ」等々との関連が問題にされている。他にも、期日前投票
  がし易くなり次第に増えているが、保管は大丈夫なのだろう
  かという疑いの余地がある。投票用紙二重交付、有権者の二
  重投票、不在者投票の投票箱入れ忘れ、投票用紙の選挙区と
  比例区逆配布事例等々が報告されている。これらの事例がた
  またまの間違いなら許せるが意図的故意な場合にはどうなる
  のか。疑問が次から次へと生まれている以上確かめて安心し
  ておくべきではなかろうか。    http://bit.ly/IXD1BR
  ―――――――――――――――――――――――――――

都知事選における猪瀬直樹氏の得票グラフ.jpg
都知事選における猪瀬 直樹氏の得票グラフ
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月11日

●「不正選挙は米国では珍しくはない」(EJ第3691号)

 2012年12月の東京都知事選において、猪瀬候補は総投票
数の67%に当たる433万票を獲得して当選しています。これ
を東京都23区と市町村それぞれにおいて猪瀬候補の得票率を出
してみたところ、そのほとんどすべてがきちんと67%になって
いたのです。
 各区、市町村別に67%の折れ線グラフを作って、そのうえに
猪瀬候補の得票率を重ねてみると、寸分の狂いもなく、ぴったり
重なったのです。それが昨日のEJの添付ファイルでご紹介した
折れ線グラフです。そんなことってあることなのでしょうか。
 もっとも全体の得票率が67%なので、各地域の得票率もそれ
に近いパーセンテージになることはわかりますが、それにしても
ぴったりと重なるのは奇異な感じがします。
 一方、第2位の宇都宮氏については、得票率15%の折れ線グ
ラフを作って重ねてみると、ぴったりと重なるのです。実際の投
票に関係なく、猪瀬氏67%、宇都宮氏15%という設定が最初
からできているような感じなのです。選挙前に予測されていたよ
うに票が出ているのです。
 さらに不可解なことに、この傾向は猪瀬氏に限らず、2007
年の東京都知事選における石原慎太郎氏の票も得票率を50%に
設定すると、ほぼグラフは重なるのです。このときの全体の得票
率は51%だったのです。これについては、添付ファイルをご覧
ください。理屈としては、とても容認できない結果になっている
と考えます。
 過去の東京都知事選の不正の疑惑については、この調査を実施
した「GHOSTRIPONの屋形」氏のサイトを参照していた
だきたいと思います。
―――――――――――――――――――――――――――――
     不正選挙:過去の都知事選の調査とグラフ化
              http://amba.to/18soNlr
―――――――――――――――――――――――――――――
 投票結果を操作する事例は、電子投票を実施している米国には
たくさんあります。以下のやりとりは、大統領選で不正に関わっ
たコンピュータ・プログラマのクリントン・ユーゲン・カーティ
ス被告が裁判所で証言した内容を書き起こしたものです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 C:私はプログラマーとしてNASAに勤務し、エクソン・モ
   ービルや運輸省にも勤務していました。
 Q:不正な選挙を行うために使用される秘密のプログラムは存
   在しているのですか?
 C:はい。
 Q:どのようにしてそれを知ったのですか?
 C:2000年の10月に私が勤めていたフロリダのロペトに
   ある会社で、現在の下院議員であるトム・フィーニー氏用
   の試作プログラムを書いたからです。彼らは正しくそれを
   やったのです。
 Q:「正しくそれをやった」というのは選挙の不正操作の事で
   すね?
 C:実際の投票はどうであれ、結果は51対49になるように
   なっています。
 Q:それであなたが設計したプログラムは選挙官史や州管理委
   員会が検知できるようなものですか?
 C:いえ、決して見ることはできません。
 Q:では、選挙を不正操作するそのようなプログラムをどのよ
   うにして発見したらいいのですか?
 C:ソースコードを見るか、投票用紙の受取書を入手して数え
   上げ、実際の投票数と比較する以外に他の方法は全くあり
   ません。自動票数計算機の製造業者は、誰にもそのソース
   コードを見せようとはしておりません。どのような選挙で
   あっても、投票用紙なくして、その正当性を検証すること
   はできません。
 Q:そのような不正選挙用ソフトが存在している事や、出口調
   査と開票集計との結果がかい離していることから、あなた
   はオハイオでの大統領選が不正に行われたか否かについて
   何か意見はお持ちですか?
 C:はい、不正は行われたと思います。
 Q:不正がなかった事を確証するようなものは全くない?
 C:全くありません。
   注:2004年のオハイオ選挙区にて、投票直後に行われ
   た出口調査の結果は、票の開票結果が誤りであることを示
   す、ほとんど反論の余地のない証拠となっている。
 「アメリカの出来事」の部分から   http://bit.ly/1ctkN5I
―――――――――――――――――――――――――――――
 日本の選挙には、電子投票ではありませんが、開票作業につい
ては、部分的に読み取り装置などによるコンピュータ処理が取り
入れられています。大勢の人集めが困難になりつつあるため、コ
ンピュータ処理のウエイトは大きくなりつつあります。そのため
これによって、不正が行われる余地は十分出てきています。
 選挙に関して非常に多くの疑惑が生じたのは、2012年12
月の衆院選からです。東京に関しては、都知事選も同日選で行わ
れています。このときの疑惑は非常に多く、ネットでは不正選挙
のうわさでもちきりです。そして、この選挙の開票には、ムサシ
が深く関わっているのです。
 12月9日のEJ第3689号でご紹介したように、都知事選
で120万票の行方がわからなくなっています。それだけではな
く、日本未来の党に入ったはずの1000万票も消えているとも
いわれています。あの選挙は、権力側から見ると、一番潰したい
のは反原発を標榜する党の勢力です。そういう勢力潰しのために
選挙において何らかの操作が行われたと考えても不思議はありま
せん。そしてこれは、小沢一郎勢力の謀殺にもつながっているの
です。         ─── [自民党でいいのか/113]

≪画像および関連情報≫
 ●開票作業とムサシの関係/阿修羅
  ―――――――――――――――――――――――――――
  豊島区選挙管理委員会事務局選挙係長と若い職員。ムサシに
  ついて尋ねると、若い職員が、「我々が『ムサシ』の製品を
  購入します。一回買ったからといって、毎回、選挙のたびに
  使えるというわけではなくて、こちらで契約していきます。
  単純に動かないと困りますので、事前に点検はしてもらって
  ます。選挙は、御存知の通り、1年に一回あるかないか、と
  いう時期もあります。久しぶりに動かす、ということもあっ
  て、点検してもらう。それに加えまして、候補者ですとかが
  毎回違いますよね。なので、立候補者の名前を正確に読み取
  るためのプログラムみたいなのを作ってもらってます」。ム
  サシの社員が開票場に立ち会う件に関して、職員は、「やは
  り、機械なので、不具合が起きたりすることもありますので
  動かなくなるとか。そういったときに、即座に復旧させるた
  めの、サービスマンといいますか、担当の技術者に開票に立
  ち会ってもらって、すぐに直したりですね。立ち会う人間の
  契約。それが基本」。ムサシ社員が集計用パソコンに触れる
  ことはないのかの質問に対して、同職員は、「集計ソフトを
  我々が購入してます。「ムサシ」のソフトを所有してます。
                   http://bit.ly/1hFEQ4s
  ―――――――――――――――――――――――――――

2007年東京都知事選の石原候補の得票率.jpg
2007年東京都知事選の石原候補の得票率
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(3) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月12日

●「比例代表の票に不正の疑いがある」(EJ第3692号)

 2013年7月の参院選の結果にも納得できないことが多々あ
るのです。小沢一郎代表率いる生活の党は、苦戦は予想されたも
のの、新潟選挙区の森ゆうこ氏だけは、自民に次いで2位に滑り
込めると予想していたのです。その読みもあって、森ゆうこ氏は
選挙区単独で立候補したのです。比例代表で少しでも多くの人を
当選させるためです。
 森ゆうこ氏は、生活の党のなかでも、国会で検察審査会の疑惑
を追及するなどその活躍ぶりは目立っていたし、衆院選で大幅に
議員を減らした小沢代表にとって、もっとも頼りになるスタッフ
の一人であったのです。しかし、森ゆうこ氏は16万票以上を獲
得したものの、民主党候補に約4万票ほどの大差をつけられて落
選したのです。
 考えてみると、自民党をはじめとする「米・官・業・政・電」
利権複合体にとって、小沢氏率いる生活の党は、反原発の急先鋒
であることに加えて、とくに森氏は官僚機構の中枢である検察や
最高裁の闇に迫る活躍をしていただけに、彼らから見ると、もっ
とも排除したい存在であったはずです。
 小沢氏としては民主党から離党し、国民の生活が第一、日本未
来の党を経て結成した生活の党であったので、選挙区の不利は覚
悟のうえであり、比例代表に多くの期待をつないでいたのです。
ところが反小沢勢力は、生命線であるその比例代表に何らかの卑
劣な操作を加えてきているのことは明らかです。
 これは森ゆうこ氏の選挙区だけでなく、生活の党が立候補した
すべての選挙区にいえることですが、森氏の新潟選挙区を例に上
げて説明することにします。
―――――――――――――――――――――――――――――
  ≪新潟選挙区≫
   塚田 一郎(自民) ・・・・・ 456542 当選
   風間 直樹(民主) ・・・・・ 204834 当選
   森 ゆうこ(生活) ・・・・・ 165308
   米沢 隆一(維新) ・・・・・ 107591
   西沢  博(共産) ・・・・・  60317
   渡辺 文明(社民) ・・・・・  46101
―――――――――――――――――――――――――――――
 この数字ついては情報がないので言及しませんが、比例代表の
出方には大きな疑惑があります。選挙に行ったとき、選挙区の候
補者に一票を投じた場合、ほとんどは比例代表への投票もその候
補者の属する政党に入れるのが普通です。
 もちろんそうでない場合もあります。例えば、みんなの党の支
持者なのですが、選挙区には候補者がいない。そういう場合は選
挙区と比例代表への投票は違ってきます。しかし、選挙区で候補
者を出している政党は比例代表でも強いのです。
 その結果として、以下の自民党、日本維新、共産党、社民党の
選挙区の票と比例代表の票はほぼ同じですが、森ゆうこ氏の場合
16万票以上獲得しているのに比例代表はわずか45182票で
あり、選挙区に候補者を立てていない公明党やみんなの党よりも
票が少ないのです。この傾向は、生活の党が候補者を立てている
選挙区のほとんどで見られるのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
    自民党 ・・ 409001(456542)
    民主党 ・・ 174264(204834)
   日本維新 ・・ 106823(107591)
    公明党 ・・  94639
    共産党 ・・  77639( 60317)
  みんなの党 ・・  66785
 ★ 生活の党 ・・  45182(165308)
    社民党 ・・  42850( 46101)
―――――――――――――――――――――――――――――
 16万5308人の有権者が選挙区では森ゆうこ氏に投票しな
がら、そのうち12万0126人が比例代表では、森氏が所属す
る生活の党以外の党に投票する──そんなことはあり得ないこと
です。何らかの不正操作が確実に行われています。
 データは持っていないのですが、昨年の衆院選と今年の参院選
では、脱原発を唱える候補者は、その象徴的存在としての山本太
郎氏は当選したものの、他のほとんどの候補者は落選していると
思われます。明らかに民意と反しており、選挙結果は作為的であ
ると思われます。
 日本の場合、選挙の担当は総務省ですが、その実施は各自治体
にまかされているのです。しかし、その基本は記名投票ですが、
開票作業に関しては、票の読み取りシステムなどの発注などは自
治体の判断で行われています。そのため、有権者の多い自治体ほ
ど、開票の実態はかなりの部分でマシンが導入され、事実上のマ
シン処理になっています。それも「手作業+マシン処理」なので
不正に票を作るなどの操作も行われやすい環境になっています。
 このように開票マシンが導入されてる関係上、マシンの保守や
作業のサポートなどで、業者のスタッフも開票作業場に自由に出
入りが許されているのです。
 ネット上で話題を呼んでいる選挙用のシステムの構築やマシン
を提供する業者であるムサシは、自民党に政治献金している企業
であることがわかっており、こういう企業に選挙の開票の一部を
担わせているのは、大いに問題があります。
 情けない話ですが、もはや日本人は「まさか警察が・・・」と
はいわなくなっています。警察の悪事は日常茶飯事です。「まさ
か検察庁が・・・」ともいわないでしょう。調書・証拠改ざん何
でもありですから。EJの読者なら「まさか裁判所が・・・」、
「まさか最高裁が・・・」もないのではないでしょうか。
 それでも選挙だけは公正に行われていると信じている人は多い
です。ネットを見ないか見ても信用せず、新聞しか読まない人は
別として、公正であるべき選挙で許されない不正が行われている
可能性があるのです。  ─── [自民党でいいのか/114]

≪画像および関連情報≫
 ●不正選挙:市民出口調査が明らかにした驚くべき真相
  ―――――――――――――――――――――――――――
  昨年12月16日に行われた衆院選と、今年7月21日に行
  われた参院選での不正選挙について日本の大手メディアはほ
  とんど無視している状態だが、このように大手メディアが黙
  っているということは、裏から大きなプレッシャーがかかっ
  ていることが多く、何かが隠されていることが多いのだ。そ
  んな中、衆院選の不正がネットで騒がれて、参院選でも大規
  模かつ組織的な不正が行われると危惧した有志の方たちが、
  参院選で出口調査をして下さったのだが、その結果、驚くべ
  き真相が暴かれた。出口調査の結果は、実際の結果とは異な
  っていたそうだ。又、選挙管理委員会からは、追い出されそ
  うになったことからも、選挙管理委員会をも巻き込んだ大規
  模な不正が行われたいた可能性もある。(動画あり)政府は
  どんどん選挙制度を怪しい方向に変えているようだが、ガラ
  パゴス化された日本では、メディアはもちろんのこと、国民
  もほとんど騒がず選挙結果をそのまま受け入れてしまってい
  る。選管からは、邪魔者扱いされてまで、これだけ大変な作
  業を実行して、不正選挙であったらしいことを証明してくだ
  さった方々、そして、陳述書を書いてくださったリチャード
  ・コシミズ氏に心より感謝申し上げたい。選管だけでなく、
  司法ぐるみの不正選挙であろうから、裁判の結果はほとんど
  期待していないがこのように問題を提議することが重要なの
  だ。               http://bit.ly/1bQMiYg
  ―――――――――――――――――――――――――――

選挙開票風景.jpg
選挙開票風景
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月13日

●「日本未来の党の結成の虚実に迫る」(EJ第3693号)

 2012年12月の衆院選挙で、選挙区では日本未来の党の候
補者、比例代表でも日本未来の党に投票した人がいたのです。ど
うしてそういう投票行動をしたかというと、日本未来の党が唯一
政党として「卒原発」を訴えていたことと、他党が消費税増税を
容認するなかで、この党だけは「消費税増税反対」を公約に掲げ
る一番大きな党だったからです。その人を仮にAさんと名付ける
ことにします。
 しかし、日本未来の党は予想に反して惨敗し、自民党が政権党
になったのです。Aさんは、多くの日本人は民主党に失望し、自
民党の返り咲きを許したのだと思ったのです。消費税の増税にし
ても、もちろん反対ではあるものの、大部分の国民は社会保障の
充実のためなら仕方がないと考えて、受け入れた人が多いのだな
と思ったといいます。
 しかし、ひとつ腑に落ちないのは、実際に原発の被害を受けて
いる東北地区においても、今後の原発再稼働を容認するような票
の出方をしていることです。自民党を勝たせれば、原発の再稼働
を進めるのは目に見えていたのにです。
 ところがです。Aさんのように考えた人は実は意外に多いので
す。日本未来の党は、根っこの部分でかなり多くの人に支持され
ていたのです。しかし、メディアにおける日本未来の党のイメー
ジはけっしてよくなかったのです。日本未来の党の惨敗の原因に
ついては、多くの政治評論家は次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1.日本未来の党は、小沢・亀井というダーティーなイメージ
   の政治家がクリーンなイメージの嘉田知事を担いで急遽立
   ち上げた年末駆け込み政党である
 2.大部分の候補者が国民の生活が第一であるのに、選挙の直
   前から、幹事長の飯田哲也氏と国民の生活が第一側が比例
   順位などをめぐりもめていたこと
 3.嘉田知事と飯田幹事長がイメージの悪化を恐れ、小沢氏を
   無役にして前面に立たせず、選挙を仕切らせなかったため
   多くの票を集められなかったこと
―――――――――――――――――――――――――――――
 上記3つの指摘はいずれも真実ですが、惨敗の原因は「準備不
足」そのものです。何しろ、結党が野田首相による解散宣言後の
2012年11月28日であり、衆院選はその18日後に行われ
ているからです。これでは、有権者に党名を認知させることすら
不可能に近いです。すべては、野田首相による信じられない抜き
打ち解散にあったのです。
 さすがの小沢氏もこれは予測ができなかったといっています。
野田首相が民主党を壊滅させることを承知のうえで、小沢氏が復
権するのを恐れて「自爆解散」に打って出たからです。もっとも
「自爆」といっても、自分だけは当選できるメドはしっかりつけ
ていたのです。このメドについては改めて説明します。
 選挙結果はまさに「惨敗」です。なぜなら、小選挙区で当選し
たのは亀井静香氏と小沢一郎氏の2人だけだったからです。しか
し、この選挙結果には大きな疑問符がつくのです。本当はこんな
に負けるはずがないからです。
 上記の評論家による日本未来の党の3つの指摘において大きな
間違いがひとつあります。それは「小沢と亀井両氏はイメージが
悪い」という指摘です。まず、亀井静香氏のイメージはけっして
悪くないことです。もしそうだったら、小選挙区で当選できない
でしょう。亀井氏に失礼です。
 小沢氏のイメージを故意に落しているのはメディアとテレビに
よく出る政治評論家たちです。小沢氏には今でも国民の強い支持
があります。ましてやあの理不尽な検察審査会による強制起訴裁
判で「無罪判決」を勝ち取っているのです。
 2013年12月7日付の日本経済新聞に小さく次の記事が出
ています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 国会議員の資金管理団体と政党支部の収入合計で、生活の党の
 小沢一郎代表が3億5908万円を集め、2年ぶりの首位に返
 り咲いたことが6日、共同通信の集計で分かった。2011年
 分で1位だった徳田毅衆院議員は2億5657万円で4位だっ
 た。上位30人のうち、自民党が23人で7割以上を占めた。
       ──2013年12月7日付、日本経済新聞より
―――――――――――――――――――――――――――――
 「巨額の資金を集める政治家=悪徳政治家」というイメージが
あります。それは、新聞やテレビなどのマスメディアのつくり上
げたものです。合法的に多くの政治資金が集まる政治家は過去の
実績があるからであり、期待が大きく、人気があるからです。ま
して、2012年という年は、小沢氏にとって大変苦難の年だっ
たはずです。だからこそ、いつもよりも多くの人が献金したので
しょう。それは期待されていることの何よりの証明です。
 この日経の記事には悪意を感じます。小沢氏のダントツの1位
を強調しながら、2011年度トップの徳田毅議員が12年度は
4位になったことを伝えている点です。現在の徳田議員のイメー
ジはよくないでしょう。それに小沢氏をからませているのです。
そして、自民党議員が上位30人の7割を占めていることを伝え
ながら、2位が安倍晋三氏であることを伝えていないのです。
 日本未来の党は、準備不足などで失敗しましたが、俄かづくり
にしては、東北を中心に支持が広がっており、もっと勝っていて
もおかしくはないのです。
 日本未来の党は複数政党の集合体ですが、その実体は小沢氏が
率いる国民の生活が第一の議員たちが中心の政党です。この党は
短い期間ではあったのですが、それなりの準備をしてきているの
です。本来小選挙区で2人当選だけという惨敗に終わるはずがな
いのです。ネットでは約1000万票の日本未来の党への票が消
えているとの指摘がなされています。来週のEJでこの問題を取
り上げます。      ─── [自民党でいいのか/115]

≪画像および関連情報≫
 ●日本未来の党の選挙後のゴタゴタ/2012年12月26日
  ―――――――――――――――――――――――――――
  「日本未来の党」のゴタゴタに関して、現在判っている事実
  をもとに検証すると、どうも嘉田代表の敗北のようである。
  両院議員総会を招集したのは嘉田代表だし、代表として、嘉
  田・阿部共同代表、飯田代表代行、幹事長鈴木と云う党人事
  案を提示、出席議員の同意を取り付けようとして、拒否され
  た。しかし、森参議院議員らが、党内に何の打診もなく、独
  断専行で党人事を記者クラブにリークし、既成事実化を図っ
  た暴挙に反対の意思表示をし、逆に動議を提出、その場で決
  をとり、小沢一郎の共同代表案を賛成多数で議決した。動議
  は議決されたのである。以上が、ことの顛末なので、党内手
  続きでは、既に「日本未来の党」の共同代表に小沢一郎は就
  任したことになる。まだ、小沢一郎の意思確認は行われてい
  ない。小沢が、「そか〜、皆さんがそのように言うなら、受
  けざるを得ないね〜」と答えれば一件落着の処まで事は進ん
  でいる。嘉田が出したと云う声明文では「幹事会が主催する
  両院議員との懇談会」となっているが、嘉田が事務方に人事
  を固めようと“両院議員総会”の開催を告げているので、嘉
  田の提案は正式に非了承となったのである。嘉田が発信した
  ように伝えられる同声明文は未来の党事務方からの発信では
  なく、嘉田「なりすまし」の手口で、発信履歴の痕跡を意図
  的に消している。嘉田の人事案を強行したい勢力又は人物の
  工作なのだろう。         http://bit.ly/19ADu2Z
  ―――――――――――――――――――――――――――

小沢一郎氏と嘉田由紀子氏 .jpg
小沢 一郎氏と嘉田 由紀子氏
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月16日

●「消滅した1000万票の謎を探る」(EJ第3694号)

 2012年12月の衆院選で、約1000万票の日本未来の党
への票が消滅している──こういう噂がネット上に広がっていま
す。どういう根拠でそういっているのでしょうか。リサーチして
みました。
 2012年の衆院選と2009年の衆院選の小選挙区全体の得
票数は次のようになっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ◎2009年衆院選
  得票数 → 70581658 投票率 → 69.28 %
 ◎2012年衆院選
  得票数 → 59626566 投票率 → 59.32 %
―――――――――――――――――――――――――――――
 この得票数の差を取ると、「10955092票」になるので
す。1000万票の根拠はこれなのです。それは、わかるとして
なぜ、その約1000万票が日本未来の党の票なのでしょうか。
 そのことは後で述べるとして、約1000万票の差が生じたの
は、2009年のときよりも2012年の投票率が、約10%低
かったのが原因です。一般的には「どこが問題なのか」という話
になります。
 59.32 %という投票率は、第1回の山縣内閣のとき以来の
低さであることです。しかし、2012年の選挙は次の2つの理
由により、2009年のときより大きいか、少なくとも2009
年並みの投票率でなければおかしいのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1.消費税増税、脱原発、TPPなど、国民生活に関係の深
   い争点の多い総選挙であったはずである。
 2.全国各地の投票所では、普段の総選挙では見られない有
   権者の長蛇の列ができていたことである。
―――――――――――――――――――――――――――――
 「1」の消費税増税に関しては、自民党、公明党、民主党が明
確に「賛成」を唱え、日本維新の会は「条件付き賛成」という曖
昧なスタンスをとっていたのに対し、他の野党は明確に「反対」
を選挙公約として打ち出していたのです。とくに日本未来の党は
消費税増税反対、卒原発、反TPPを公約として、それを鮮明に
アッピールしていたのです。
 まして、日本未来の党の実体は、民主党の在籍時点から消費税
反対の姿勢を明確にし、それが果されなかったことから離党して
「国民の生活が第一」を結成した小沢グループであり、その主張
は首尾一貫していたのです。
 自民党は、三党合意があったので消費税増税に賛成したものの
原発は推進の立場を取り、TPPについては明確に反対の公約を
掲げていたのです。
 しかし、選挙の結果は消費税増税、脱原発、TPP反対を明確
にしていた日本未来の党が惨敗し、自民党、公明党、日本維新の
会が勝利するということになったのです。この結果に疑問を抱く
有権者は多いはずです。
 「2」に関しては、新聞やテレビでは絶対に伝えていないもの
の、投票所が混雑していたのは事実です。このことを疑問視して
いるサイトはたくさんありますが、そのうちの一つをご紹介しま
しょう。写真映像も付いています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ◎「投票率低調」報道の一方でなぜか「投票所に今までにない
 行列ができている」という声が多数/ http://bit.ly/18DYOaX
―――――――――――――――――――――――――――――
 どうしてこんなことが起きるのでしょうか。推理できる理由は
相当数の得票数が何らかの方法で消滅させられており、それによ
り、投票率は史上最低を記録したというものです。低めに考えて
も、2012年の衆院選の投票率は2009年と同等であるとは
いえると思います。その仮説に立つと、約1000万票がどこか
に消滅させられたことになります。
 問題は、この約1000万票がなぜ日本未来の党の票といえる
のかです。これについては、誰もが納得できる証拠を示すことは
困難です。しかし、仮に日本未来の党の票であったと考えると、
すべて納得がいくのです。いくつか、理由を上げてみます。
―――――――――――――――――――――――――――――
   1.日本未来の党だけが異常なほど得票数が少ない
   2.日本未来の党の主張は直近民意と合致している
   3.小沢氏のいる党に勝利させては困ることがある
   4.もし他党の票なら危険を冒して隠す必要はない
―――――――――――――――――――――――――――――
 選挙前の日本未来の党の支持率は、新聞などでは1%〜3%で
したが、2012年12月16日午前6時現在の「ヤフーみんな
の政治」支持率は次の通りです。
―――――――――――――――――――――――――――――
        日本未来の党 ・・ 41%
        自民党    ・・ 20%
        日本維新の会 ・・  4%
        みんなの党  ・・  4%
        民主党    ・・  2%
        公明党    ・・  2%
        共産党    ・・  2%
―――――――――――――――――――――――――――――
 これだけではないのです。選挙前のロイター・オンラインの調
査「新政権の中心になる党」では、日本未来の党は1位の自民党
44%に次いで2位の31%なのです。選挙前は、多くの機関が
日本未来の党はそこそこのポジションを占めるだろうと予想して
いたのです。そのように考えると、とても当選は小選挙区当選者
2人などという結果になるとは思えないのです。
 そういう観点から、1000万票は日本未来の党の票という説
が出てきたのです。   ─── [自民党でいいのか/116]

≪画像および関連情報≫
 ●ロイター「未来の党」の支持率が急進している
  ―――――――――――――――――――――――――――
  読売新聞社は2012年11月7〜9日、衆院選の第3回継
  続全国世論調査(電話方式)を実施した。衆院比例選の投票
  先について政党名を読み上げて聞いたところ、自民党が29
  %でトップとなり、民主党12%、日本維新の会11%など
  が続いた。公示直前の第2回調査(11月30日〜12月2
  日)と比べると、自民が10ポイント上昇し、ほぼ横ばいの
  民主、維新の会との差を広げている。日本未来の党は、3%
  だった。投票先を「決めていない」との回答は26%(前回
  32%)に減った。新たに投票先を決めた有権者の多くが自
  民に流れたとみられる。支持政党のない無党派層も、42%
  (同49%)に減り、その比例選投票先は自民15%がトッ
  プで維新の会12%などが続いた。(2012年12月10
  日23時29分読売新聞)。
   何度も書いて来たが、新聞、通信社、TVの世論調査は、
  まったく信用していない。固定電話対象の調査というのが、
  今時世の中を正しくサンプリングしているはずがないし、設
  問の選択肢、誘導、そしてデータ改変など横行している。私
  の周囲の声を聞いた実感としては、民主党が政党支持率で2
  位になるような雰囲気はまったくない。支持どころか憎悪の
  対象となっている観がある。しかし、現時点で政権与党であ
  り、金だけはダントツで持っているだけに、マスコミにどれ
  だけばら撒いているのか甚だ怪しい。だから、一つの目安と
  して、民主党が政党支持率の2位になっている世論調査は信
  用しないことにしている。また、ある調査会社から、首都圏
  での面談方式の支持政党調査の内容をかいま聞いたところ、
  無党派層での、今回の投票予定先として「国民の生活」が3
  割を超えていた。そして、それが今「未来」に吸収されたの
  だから、上記のように、無党派層での比例投票先の1位、2
  位が自民と維新になるというのもまったく信用ならない。
                   http://bit.ly/1f8HM5E
  ―――――――――――――――――――――――――――

投票所に並ぶ有権者.jpg
投票所に並ぶ有権者
posted by 平野 浩 at 03:15| Comment(5) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月17日

●「出口調査と合わない12年衆院選」(EJ第3695号)

 2010年の参院選で初当選した自民党参院議員の三原じゅん
子氏が、ちょうど1年前の2012年12月16日の衆院選当日
のブログで次のように書いています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ◎2012年12月16日/19時27分15秒
  出口調査の結果があちこちから流れてきます。自民党、厳し
 いです。マスコミの流した情報はなんだったのでしょう・・・
 というくらい。全然違う。まだ、あと30分。どんな結果が出
 るのでしょうか。     ──三原じゅん子氏のブログより
                   http://bit.ly/19lOvc5
―――――――――――――――――――――――――――――
 これを読んでどのように考えますか。三原じゅん子氏は自民党
議員ですから、党から出口情報は入ってくるはずです。この時点
では、まだ開票ははじまっていないのですが、かなり悲観してい
ますね。三原氏のそのときの本音が出ています。
 そうなのです。開票前は自民党は不安一色だったのです。とこ
ろが、開票が始まると、完全に自民一色になったのです。つまり
出口調査と票の出方はまるで合わないのです。このことは多くの
投票所でも起きていたのです。
 その日、三原氏は、午後4時頃の投票所の様子についても、ブ
ログで次のように書いています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ◎2012年12月16日/16時12分57秒
  投票に行ってきましたが、長蛇の列でビックリ!しかも、若
 い家族連れが目立ちました。投票率・・・悪くは思えませんで
 したがね・・・。     ──三原じゅん子氏のブログより
―――――――――――――――――――――――――――――
 三原氏は投票率についても疑問を表明しています。投票率も操
作されている可能性は高いのです。2012年衆院選については
既に100件を超す訴訟が起きていますが、新聞、テレビは完全
に無視したままです。したがって、多くの国民は、まさか選挙で
裁判まで起きていることを知らないままです。
 2012年12月の衆院選について、集団訴訟を起こした人た
ちがいます。しかし、原告団の大場淳一氏によると、「証拠がな
いとの理由で、今年3月に1審で結審してしまった」そうです。
4月に上告していますが、おそらく棄却されてしまうであろうと
予測しています。
 このグループは、今年7月21日の参院選でも不正は必ず行わ
れるだろうと予測し、投票所での出口調査、開票場での監視など
を行い、そのとき見聞きしたことなどを通じて不正があったもの
と判断し、8月23日に記者会見を開き、異議申し立てを行うこ
とを発表しています。
 記者会見ですから記者は来ていたのに、新聞は無視しています
ので、その記者会見の動画をご紹介します。少し長いですが、不
正の内容についても説明しているので、一見の価値があると思い
ます。原告団の筆頭責任者の原裕幸氏は、「類似した筆跡の投票
用紙も多い」とも語っており、同参院選で人為的な票操作が行わ
れた可能性を強調しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 『「行政による票操作」が疑われる動画をネットに公開〜選挙
 無効裁判に関する記者発表会』    http://bit.ly/1c0Tam2
―――――――――――――――――――――――――――――
 2012年12月の衆院選においては、非常に不自然な票の出
方をしている選挙区がたくさんあるのです。そのなかで千葉4区
は、とくにおかしな票の出方をしています。
 千葉4区といえば、野田前首相の選挙区です。このときの選挙
は民主党に関しては選挙をすれば必ず負けるということがわかっ
ていた厳しい選挙です。実際にこの選挙で民主党は大惨敗したの
ですが、野田氏だけは圧勝しています。さすが首相は選挙は強い
と思うなかれ。野田氏自身も重複立候補をしているのです。首相
の重複立候補は2001年の森喜朗氏以来のことです。
 開票から24:30分までをそれぞれ、T〜Vであらわし、結
果を分析します。
―――――――――――――――――――――――――――――
        開票〜23:30 ・・・・・ T
     23:30〜24:00 ・・・・・ U
     24:00〜24:30 ・・・・・ V
―――――――――――――――――――――――――――――
 このときは、首相の野田佳彦氏、自民元職の藤田幹雄氏、群馬
4区から国替えの未来前職・三宅雪子氏、共産斉藤和子と争う選
挙だったのです。3区分の時間帯ごとの開票状態は次の通りであ
り、これをグラフ化したものが添付ファイルのグラフです。野田
氏のグラフは異常に右肩上がりになっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
     自民党   民主党   未来の党   共産党
  T   36000    60000     25000    18000
      25.9%    43.2%     18.0%    12.9%
  U   34000    61000     3000    3000
      33.7%    60.4%     3.0%    3.0%
  V   2187    42327      185     457
      4.8%    93.7%     0.4%    1.0%
―――――――――――――――――――――――――――――
 普通の票の出方はこうはならないのです。普通得票率というの
は、最初から最後までそれほど増減するものではないのです。無
作為に投票箱の票を1割程度を取り出して数えれば、その選挙区
の傾向は大体分かるのです。出口調査の成立の根拠です。
 それは、圧倒的に選挙に強い自民党の河野太郎氏の神奈川15
区の票の出方と比較してみるとわかると思います。グラフは横ば
いであり、野田氏とは対照的です。本当に野田氏が強いなら、河
野氏と同じになるはずです。── [自民党でいいのか/117]

≪画像および関連情報≫
 ●千葉4区と神奈川15区の分析
  ―――――――――――――――――――――――――――
  「野田氏の地元票の箱が、終盤一気にあいたこと」──野田
  氏はそんな強固な地盤があったのか?残り2割の票の100
  人中93人が野田に投票する程強固な。近年無党派層が増え
  5割の人の動向がなかなかつかみにくい中で、なんぼ地元票
  が高支持率であったとしてそこまで高く評価されるというの
  は現実的にありえないだろう。元総理という箔がついたから
  という意味なら全体的な得票率の上昇はあっても特定地域に
  偏ったダントツの得票率にはなりえない。仮に4割が6割に
  押し上げられるにしても船橋市全体において押し上げられる
  はずだ。そもそも共産票ってのは野田の地元票だからと12
  %から1%に目減りする様な支持票ではない。共産票だけは
  終始一定なら話はまだわかる。「圧倒的に票数が多い候補は
  物理的に計算に時間がかかるから」──圧倒的に票数の多い
  極値をひた走る神奈川15区が野田同様の上昇グラフを示し
  ているなら多少納得するが、そうなっていない。
                   http://bit.ly/1hQWzGs
  ―――――――――――――――――――――――――――

千葉4区と神奈川15区の開票状況.jpg
千葉4区と神奈川15区の開票状況
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月18日

●「民主党の失った2千万票のゆくえ」(EJ第3696号)

 国政選挙に不正があるなどとは考えたくありませんが、ネット
には、2012年12月の衆院選は不正選挙であるとして追及す
るサイトがたくさんあります。そのなかでも神奈川の18ヵ所の
開票状況を分析している次のブログサイトが興味深いです。EJ
はこのブログのデータを参照させていただいています。
―――――――――――――――――――――――――――――
        「おちゃのこSAISAI」
           http://bit.ly/1hSi3CK
―――――――――――――――――――――――――――――
 開票では、投票箱は机の上に一斉に開けられ、数百人の開票担
当者によって票のとりまとめが行われるので、票は地域に関係な
くばらばらになります。そこからいくつかの開票工程を経て決定
された票が各候補者の得票として表示されるのです。
 したがって、全体票の10%程度の票の各候補者の得票率をみ
ると、ほぼそれでその選挙区の最終的な得票状況を予想できるの
です。折れ線グラフにすれば、ほぼ横ばいになります。したがっ
て、開票が進むにつれて、グラフが右肩上がりに上昇したり、逆
に下がったりすることはあまりない現象なのです。
 「おちゃのこSAISAI」のブログでは、18ヵ所のうち7
つの選挙区で不可解な得票率の上昇が確認できたとしています。
問題のある選挙区は、具体的には、1区、2区、3区、5区、6
区、7区、14区の7つです。このなかから、神奈川3区を取り
上げることにします。
 「神奈川3区」は6人の候補者の争いになり、自民党の小此木
八郎氏が当選しています。自民党の圧勝です。
―――――――――――――――――――――――――――――
  【神奈川第3区】   所属党派  得票数  得票率
   小此木八郎    自由民主党   85451   37.0%当
   高橋真由美   日本維新の会   39781   17.2%
   勝又恒一郎      民主党   34783   15.0%
   毛呂 武史    みんなの党   32189   13.9%
   岡本 英子   日本未来の党   22163   9.6%
   本橋 佳世    日本共産党   16773   7.3%
―――――――――――――――――――――――――――――
 この選挙で落選した日本未来の党の岡本英子氏は2009年に
民主党から出馬し、12万5856票を獲得しています。小沢グ
ループに属し、消費増税に反対して民主党を離党して国民の生活
が第一に参加し、日本未来の党からの出馬という不利はあるとは
いえ、その落差はあまりにも激しいものがあります。日本未来の
党の大量の票が消滅しているという噂があることでもあり、票に
何らかの操作が加えられている可能性があります。
 投票時間別の得票率の伸びを自民党と比較すると、自民党があ
まりにも突出していることがわかります。添付ファイルでは、小
此木八郎氏のグラフは極端な右肩上がりになっています。自民党
と日本未来の党の開票時間別得票率は次の通りです。自民党は上
向き、日本未来の党は下向きです。何かがおかしいのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
      【神奈川第3区】
      開票時刻  自民党  日本未来の党
        23:30   24.4%      11.8%
        24:00   33.3%      11.0%
        24:30   35.0%      11.3%
        25:00   37.0%      9.6%
―――――――――――――――――――――――――――――
 2012年12月の衆院選と2013年の参院選で、多くの人
は、国民が民主党を見限って自民党を復権させたと思っていると
思います。しかし、いくつかの数字を分析してみると、そうとも
いえないのです。
 自民党が比例と小選挙区で獲得した票は、次の通りです。前回
の選挙に比べて、比例で219万票、小選挙区で166万票減少
しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
    比  例:1662万票(前回1881万票)
    小選挙区:2564万票(前回2730万票)
―――――――――――――――――――――――――――――
 この数字を見るとわかるように、国民は自民党に復権を許して
いないのです。しかし、民主党に対しては国民は明確に意思を表
明しています。それは「怒り」です。
―――――――――――――――――――――――――――――
    比  例: 962万票(前回2984万票)
    小選挙区:1359万票(前回3347万票)
―――――――――――――――――――――――――――――
 それは差を取ってみると分かります。比例では2022万票、
小選挙区1988万票──比例と小選挙区でそれぞれ2000万
票減らしています。これは国民の怒りです。
 問題は、民主党が失った2000万票はどこに流れたかです。
もし、投票率が10%下がったことをそのまま受け入れるとする
と、そのうち1000万票は国民の「怒りの棄権」ということが
できます。
 それでは、残りの1000万票がどこに流れたのか。もし、小
沢氏が野党に呼びかけたオリーブの樹構想に全野党が乗っていれ
ば、真の第三極になって、票は野党に流れ、野党による政権交代
も不可能ではなかったのです。
 実は自民党をはじめとする既得権益擁護軍団は、オリーブの樹
構想を警戒したのです。これを潰したのは、日本維新の会とみん
なの党です。これら2つの党は原発政策を曖昧にして自民党化し
民主党も消費増税で自公民の三党連合を固めて、小沢氏のオリー
ブの樹を潰したのです。そして、何よりも日本未来の党にダメー
ジを与えたのは、野田首相による電撃解散です。何もかも小沢潰
しなのです。       ── [自民党でいいのか/118]

≪画像および関連情報≫
 ●比例区での自民支持は限定的/吉池威記者
  ―――――――――――――――――――――――――――
  自民党の比例区の得票数は今回1660万票。前回2009
  年の18880万票から220万票減少した。2005年の
  郵政選挙の2588万票と比べても1000万票近く減らし
  ている。296議席を獲得して大勝した05年衆院選の比例
  は77議席で、比例は今回20議席も少ない57議席にとど
  まった。自民党関係者は公明党との選挙協力が進み、自民党
  支持者が比例で公明党に投票していると指摘する。ただ、公
  明党の得票数は711万票で前回805万票から94万票減
  少。公明党の選対関係者は同党に票が流れているとの見方に
  は否定的な見解だ。総務省によると最終投票率は59.32
  %と(小選挙区)と、2009年の総選挙の69%を大きく
  下回っている。投票率の減り方以上に自民党の得票数が減少
  したのは、単純に支持が広がらなかったためではないか、と
  の声が党内からも聞かれる。得票数から前日の総選挙を振り
  返ってみると、自民党の圧勝というよりも、民主党の瓦解と
  いう方が実態に近い。民主党の獲得票数は960万票で、前
  回2009年の2984万票から今回は約2000万票減と
  大きく減らした。日本維新の会など第3極に流れたほか、投
  票率の低下が影響したとみられている。国政進出の日本維新
  の会は、得票数は1220万票で民主党を大きく上回った。
  民主党は主に関西地方で支持を失った。維新のおひざ元であ
  る近畿選挙区では民主党の3倍近くを獲得し、九州、四国、
  中国でも維新は民主を上回った。これにより比例は民主党の
  30議席を上回る40議席を獲得、計54議席とキャスティ
  ングボートを握る存在に躍進した。 http://bit.ly/1eciHKS
  ―――――――――――――――――――――――――――

神奈川3区の開票時間別各党別得票率.jpg
神奈川3区の開票時間別各党別得票率
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月19日

●「ネットでは不正選挙の情報が満載」(EJ第3697号)

 ネットには「不正選挙」に関する記事が溢れていますが、それ
が新聞やテレビで語られることはありません。もちろんそのこと
を口にする議員は皆無ですし、そういう不正選挙で落選したと思
われる候補者もけっして口にすることはありません。
 不正選挙の記事をまとめているサイトがあるので、ご紹介して
おきます。ぜひご一読ください。なぜ、日本未来の党の票が問題
になっているかよくわかると思います。2012年12月の衆院
選は「脱原発」を主張する政治家を減らす選挙だったのです。日
本未来の党はそのために狙い撃ちに遭ったのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
  「不正選挙の状況証拠が続々、もう止まらない!」考
                http://bit.ly/1k0i1bj
―――――――――――――――――――――――――――――
 このサイトに冒頭で私の発した疑問と同じことを主張している
コメントが出ていたのでご紹介します。
―――――――――――――――――――――――――――――
 不正選挙の話題がマスコミで出たことはない。少なくとも私は
 聞いたことも見たこともない。せいぜい、ネットで岩上安身が
 文化放送に出演時に、その疑惑があると喋っていたのを聞いた
 くらいである。総じて政治家は腑抜け切っている!もちろん、
 野党の政治家からも不正選挙の話は一切聞いたことがない。不
 正選挙でいちばん影響を受けたとされる、元未来の党、生活の
 党の森裕子でさえ否定している。野党まで黙らせてしまう禁断
 の実があるのだろうか?仮にあるにしても、野党ならもぎ取っ
 て食べるべきでしよ!国民の疑惑を晴らすのが仕事じゃない!
 これを放置するなんて論外。ただでさえ、崩れかかっている日
 本の民主国家は暗黒国家に一直線だ!ネット上の宴たけなわ状
 態も小休止、フェードアウトぎみである。少なくとも小沢・生
 活の党は日本の闇を暴露するくらいの勇気が欲しい。現在の日
 本で国家権力の怖さを熟知し、戦えるのは小沢しか居ないのも
 事実である。今、まさにその準備中だと思いたい。
   ──「不正選挙の状況証拠が続々、もう止まらない!」考
―――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、です。何とNHKの政見放送で堂々とこの不正選挙の
ことを訴えた女性候補者がいるのです。2013年参院選東京都
選挙区/犬丸勝子氏です。
―――――――――――――――――――――――――――――
 いきなりですが、私が今回東京から参院選に立候補した理由は
 12月16日、昨年の衆院選後、不正選挙の存在を知ったから
 です。東京で不正を訴えようと思ってやって来ました。この選
 挙で、自民圧勝に終われば、すぐに憲法改正が頭をもたげるで
 しょう。さらに、不正選挙があります。福岡選管の場合、投票
 箱を投票所から開票所へ運んだ記録がほとんどありません。マ
 イカーで運んだとも言ってます。信じられません。投票箱がい
 くつかなくなっていても、当落に関係ないからといって問題に
 もなりません。このような不正選挙をなくし、正しい選挙にす
 ることこそ私たちの日本の未来があると考えていいでしょう。
                   http://bit.ly/19J9wtC
―――――――――――――――――――――――――――――
 犬丸勝子氏は、介護会社の社長だそうですが、12683票で
落選してします。しかし、政見放送で「不正選挙」を口にする人
が出てくるほど、コトは深刻になっているのです。知らぬ、存ぜ
ぬ、口にせずでは済まなくなっていると思います。
 確かに選挙に出馬して落選した人が「選挙に不正があった」と
はいいにくいでしょう。自分の努力不足を棚に上げて、何と卑怯
なことをいっているんだと思われてしまうからです。当選した人
でも、そんなことはいわないでしょう。そんなことをいっても何
のプラスにもならないからです。
 ここに日本未来の党から衆院選に出馬して、落選した2人の前
議員のコメントを紹介します。2人とも小沢グループの中心的存
在として活躍した人です。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ◎山岡賢治氏
  すべて私の力不足。私自身は信念を貫き通してきたので、ま
  ったく悔いのない戦いだ。結果は有権者のご意思とは思って
  いない。こういう政治が持つんだろうかという危惧すら抱い
  ている。
 ◎東 祥三氏
  本日午後8時に投票箱が閉じられ、有権者の意思が示されま
  した。皆さんとともに目指した私の政治的目的は頓挫致しま
  した。厳粛にこれが民意だと受け止めています。江戸時代の
  肥前平戸の藩主で剣の達人でもあった松浦静山が、「勝ちに
  不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」と言っていま
  す。私自身に油断と隙があったと思います。
   ──「不正選挙の状況証拠が続々、もう止まらない!」考
―――――――――――――――――――――――――――――
 山岡氏は「結果は有権者のご意思とは思っていない」という言
葉のなかに悔しさをにじませています。山岡氏は、今年7月の参
院選にも生活の党の比例区から出馬しましたが、生活の党は1議
席も取れず、落選しています。東氏は、「負けに不思議の負けな
し」という有名な言葉を使い、「私自身に油断と隙があった」と
反省しています。悔しさはよくわかります。
 日本未来の党の候補者は、口にはしないものの、いずれも割り
切れない悔しさを抱いているはずです。「まさか、選挙に不正が
あるなんて!」と思っているものの、どうしても釈然としないの
でしょう。確かに、今回取り上げたサイトの記事を読むと、選挙
に対するイメージが変わってしまいます。
 日本の選挙は不正をする余地があるのでしょうか。それを知る
には選挙の開票について知る必要があります。これについて多く
の人が知らないでいます。 ── [自民党でいいのか/119]

≪画像および関連情報≫
 ●不正選挙について思うことあれこれ
  ―――――――――――――――――――――――――――
  ◎比例票の行方が解せない選挙区があります。たとえば、広
  島6区です。亀井静香議員の選挙区でした。後援会も支持者
  も強固な選挙区です。しかし、小選挙区では9万1千票を得
  票したにもかかわらず、比例は約2万3千票。小選挙区票の
  75%に当たる6万8千票が違う政党に投票されたことにな
  ります。亀井氏を支持し続けてる人が大挙して違う政党に入
  れたとは俄かに解しにくいです。
  ◎今回の選挙は、全てが極端です。最高か最低しかありませ
  ん、戦後最低の投票率とか、過去最高の無効票とか。そんな
  中で、自民党が圧勝しました。人類に影響を及ぼす地球規模
  での史上最悪の原発事故があったのに、です。異議を唱えた
  者は、日本人は、まったく恥を知らない者のごとくです。わ
  ずか20人だけ、申し訳程度に当選しました。また、東京都
  にとって新味に欠ける猪瀬直樹氏が史上最高の433万票で
  当選です。違和感だけが残りました。
  ◎米国シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)のアジ
  ア日本部長であるマイケルグリーンが選挙前に「総選挙は左
  派勢力に最後のとどめを刺すことになりそうだ」と述べてい
  たそうです。選挙結果は、日本人の心性がよく理解できてい
  ないこのアメリカ人の言ったことによく符合しています。す
  なわち、「福島」という故郷を思う気持ちを頼りにして命が
  けで原発事故収束に向け作業している原発の職員、消防署の
  人、警察の人、自衛隊の人と一体となって、みんなが涙しま
  した。しかし、故郷を思う気持ちが無視されたような選挙結
  果になっています。故郷を足蹴にされた怒りを離れて民主党
  批判はありえません。また、そこを離れないなら、自民党へ
  の回帰はありえないんです。
   ──「不正選挙の状況証拠が続々、もう止まらない!」考
  ―――――――――――――――――――――――――――

山岡賢治氏と東祥三氏.jpg
山岡 賢治氏と東 祥三氏 
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月20日

●「TBSの小沢順位訂正報道の奇怪」(EJ第3698号)

 JNN世論調査を伝えるサイトがあります。JNNというのは
TBSテレビをキー局とするニュースネットワークのことです。
そのサイトに12月7、8日に掲載された「総理大臣にふさわし
いと思う政治家は?」の調査結果があります。
―――――――――――――――――――――――――――――
   ◎JNN世論調査
    「総理大臣にふさわしいと思う政治家は?」
              http://bit.ly/1gEpBZE
―――――――――――――――――――――――――――――
 これによると、1位は安倍晋三の13%、2位は小泉進次郎の
7%、3位は石破茂の3%になっています。しかし、12月9日
〜11日夕方までは「2位:小沢一郎10%」と出ていたのです
が、なぜか12日から「小沢一郎1%」と変わっており、註書き
に次のように断り書きがあるのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 「総理大臣にふさわしいと思う政治家は?」の調査結果のうち
 小沢一郎氏につきまして正しくは「1%」であるところ、12
 月9日夕方〜11日夕方の2日間にわたり、誤って「10%」
 と掲載しておりました。お詫びして訂正致します。
―――――――――――――――――――――――――――――
 これは明らかにおかしいです。TBSといえば、小沢秘書への
ホテルでの5000万円受け渡しの現場のデタラメ動画を放映し
それがはっきりウソとわかってからも、謝罪ひとつしないテレビ
局です。そんなテレビ局が「小沢一郎:10%」を「1%」と間
違えるわけがありません。
 いやしくもTBSともあろう有名テレビ局が、一度掲載した数
字──しかも政治家の名誉にかかわる数字を訂正するなど、あっ
てはなにらないことです。
 これに関して、早速日本一新の会の平野貞夫氏はTBSに対し
次のように質問状を発しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 【特報】TBSが「特定秘密保護法」の成立直後の12月7・
 8日に行ったJNN世論調査で「総理大臣にふさわしいと思う
 政治家は?」との質問への回答が、私の手元にある資料では、
 安倍晋三13%、小沢一郎10%、小泉進次郎7%、石破茂3
 %(以下略)となっている。しかしその後、小沢氏が1%に修
 正されている。どんな理由があったのか、事実関係の調査をT
 BSSに要請した。  ──日本一新の会メルマガ・平野貞夫
―――――――――――――――――――――――――――――
 真相はこうでしょう。権力側(ここではあえてそう書いておき
ます)は、「小沢一郎:10%」に衝撃を受けたのです。そして
TBSに圧力をかけたのでしょう。それは相当の圧力であると思
います。カネを握っている財務省筋か、それとも官邸か、米国か
──いずれも小沢一郎氏の復活を何よりも恐れている組織である
ことは明らかです。そうでなければ恥を忍んで、あのような訂正
書きを出すはずがないのです。
 このことを取り上げているいサイトは多いですが、「ハイヒー
ル女の痛快日記」というサイトでは、この顛末について次のよう
に書いています。本当に「痛快」そのものです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 TBSの言い訳は簡単に想像がつく。担当者が桁を間違えて記
 載したなど、単なるケアレスミスと言うのだろう。事実ソーで
 あれば、実際は重大なミスになる。まともなマスコミなら、訂
 正とその資料を新たに提示するはずだ。まったく知らんぷりし
 て、小沢の数字だけ変えているのは、圧力が掛かって変えたと
 いうことだ。視聴者は気がつかないから楽勝楽勝?なんて思っ
 ているのだろうが、一度発表した数字を訂正なしに変えるなん
 て、マスコミとして体をなしてない。日本の腐乱マスコミは、
 陸山会事件で小沢潰しに加担し、散々有ること無いことをでっ
 ち上げ、無罪判決が出ても政治的責任があると認めようとしな
 かった。更に、選挙前にはネガティブキャンペーンどころか、
 選挙妨害とも言える小沢隠しで小沢の報道を一切しなかったの
 だ。今回、マスコミの生命線とも言える秘密保護法を政府が強
 引に成立しても黙って従順に付いていく姿は政府の番犬状態で
 ある。マァ、ただの政府広報機関だと思えば腹も立たないが?
                   http://bit.ly/1jfOY5N
―――――――――――――――――――――――――――――
 安倍政権は順調そのものに見えますが、その足元は既に揺らい
でいます。こんなときに、小沢一郎氏が、消費税増税反対、脱原
発、反TPPを掲げて復活したら、3年後の衆参ダブル選でまた
しても、政権交代が起きかねないからです。今やメディア上から
小沢一郎は完全に消えていますが、ネットでは以前よりも過熱し
つつあるのです。
 今や安倍政権を支えているのは株価だけです。もし、株価が急
落すると、安倍政権の支持率も急落します。現在の50%は高過
ぎると思います。そのせいか、最近日本経済新聞が一生懸命安倍
政権を持ち上げています。
 12月17日付の日経は、日銀短観を受けて「中小もプラス転
換──内需起点広がる活況」と書き、前回の消費税増税時期であ
る97年のときより健全と持ち上げています。しかし、日銀短観
は先行き(3ヵ月後)を見るべきものなのです。その先行きはき
わめて暗いのですが、そこは強調していないのです。
 大企業製造の景況感は現在は16ですが、先行きは14、非製
造業は20→17、中堅企業製造業は6→3、非製造業は11→
10、中小企業製造業は1→―1、非製造業は4→1と、先行き
は真っ暗なのです。つまり、景況感は下り坂なのです。
 朝日新聞は「実感なき好況感」と書いていますが、その通りな
のです。しかし、経済が売りの日経が政権寄りの記事を書くと、
多くの人が間違った認識を持ってしまいます。日経の提灯記事は
辟易します。       ── [自民党でいいのか/120]

≪画像および関連情報≫
 ●日経平均反落、先行き慎重な日銀短観が重し/ロイター
  ―――――――――――――――――――――――――――
  (東京/16日ロイター)──前場の東京株式市場で日経平
  均は反落。寄り付きの買い先行後すぐに下げ転換した。前週
  末の米国株がまちまちとなったほか、外為市場では前週末に
  比べて円安進行が一服。午前8時50分発表の12月日銀短
  観では企業の強気な姿勢が示されず、株式市場の重しになっ
  たという。今週は日米の金融政策決定会合が予定されている
  ため様子見が強く、東証1部の売買代金は8808億円と低
  水準だった。日銀が発表した12月全国企業短期経済観測調
  査(短観)では、大企業製造業・業況判断指数(DI)はプ
  ラス16と前回の9月短観から4ポイント改善したが、20
  14年3月予測はプラス14と鈍化する見通しが示された。
  2013年度大企業・全産業の設備投資計画も前年度比プラ
  ス4.6%となり、前回調査から0.5%下方修正された。
  市場では、「先行きが弱いので、やや期待がしぼんでしまっ
  たところがあるかもしれない」(国内証券)との声が出てい
  た。楽天経済研究所シニア・マーケットアナリスト、土信田
  雅之氏は「米量的緩和の縮小が警戒されるなかで、日銀短観
  の先行きに慎重な見方が示され、利益確定売りのきっかけと
  なった」と指摘する。米連邦準備理事会(FRB)による資
  産買い入れ規模縮小は来年3月との見方が大勢だが、このと
  ころの好調な米経済指標を受けて17─18日の米連邦公開
  市場委員会(FOMC)で縮小開始が決定されるとの見方も
  一部で出ている。FOMC後のマーケットの動向が読みづら
  いとして、投資家は手控えムードを強めている。
                   http://bit.ly/1czo9Rb
  ―――――――――――――――――――――――――――

TBS.jpg
TBS
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月24日

●「開票作業で不正する余地があるか」(EJ第3699号)

 国政選挙に不正があるなど信じたくはありませんが、投票や開
票作業プロセスで、そもそも不正をする余地があるかどうか調べ
てみる必要があります。
 投票から考えましょう。投票するには、有権者宛に届いたはが
きを持って投票所に行き、選挙種別に投票用紙が手渡され、投票
を行います。「選挙種」というのは、小選挙区、比例、最高裁裁
判官国民審査などの選挙の種類のことです。2012年12月の
衆院選では、東京都に関してはそれに加えて東京都知事選があっ
たので、大変だったのです。
 選挙種ごとに投票用紙を渡す係員がおり、監視員もいるので、
投票プロセスで不正を行うことは不可能に近いです。なお、投票
用紙は通常は二つ折りにして投票箱に入れる人が圧倒的に多いと
思われます。
 こういう通常の投票のほかに、次の2つの投票のやり方が用意
されています。
―――――――――――――――――――――――――――――
           1.不在者投票
           2.期日前投票
―――――――――――――――――――――――――――――
 「不在者投票」というのは、病院に入院されている人や選挙人
名簿に載っている住所を離れている人などが行う投票行動です。
しかし、投票は非常に慎重に行われています。
 投票用紙は、内封筒に入れ、その内封筒を更に外封筒に封入。
投票者の自筆による署名を行う必要があります。不在者投票され
た封筒はその人の属する投票所に送られ、選挙日に投票立会人の
意見を聞いて選挙権があることを確認し、封筒から投票用紙を出
して投票管理人が投票箱に投票するのです。そこに不正を行う余
地はまずないと思われます。
 問題は「期日前投票」です。投票日には投票に行けない人の投
票方法です。公示日の翌日から期日前投票はできますが、選挙公
報や選挙はがきが届く前に投票が簡単に済まされてしまうなどの
問題があります。期日前投票は、投票日と同じスタイルで投票が
行われるのですが、当然のことながら係員の数は少なく、管理は
手薄になります。しかも、期日前投票をする人の数は年々増加し
ているのです。
 もうひとつ重要なことがあります。公示日の翌日から期日前投
票はできますが、その日から投票日までの期間、投票箱の管理は
どうなっているかです。もちろん選挙管理委員会によって厳重に
保管管理されているというでしょうが、その実態は不明です。期
日前投票の投票箱を選挙管理委員の自宅で保管しているという情
報さえもあるのです。
 いずれにしても、期日前投票の場合は、正規の投票所の投票箱
よりも管理は甘くなるのは避けられないでしょう。悪意を持って
期日前投票の投票箱をそっくり入れ替えることだって不可能では
ないのです。それでは、実際に開票所では、開票はどのように行
われるのでしょうか。
 国政選挙を担当する省庁は総務省ですが、実際の開票作業は自
治体にまかされているのです。開票作業員を募集するのも、票の
読み取りマシンを購入するのも、集計するソフトウェアの構築を
委託するのも自治体の判断です。しかし、多少の違いはあっても
大体の流れは同一であると思われます。
 ここでは、西東京市のある開票所の立会人を務めた人のブログ
に基づいて開票作業をまとめると、次の8段階になります。開票
は400人〜500人で行われます。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1.投票箱を選挙種(選挙区/比例など)別に分けて、投票箱
   から票が整理台の上にぶちまけられる
 2.投票内容に関係なく投票用紙の折り目を戻し、上下、裏表
   などを揃え、票を100枚ずつ束ねる
 3.揃えられた100枚ずつの票の束を票の自動読み取り装置
   にかけて、候補者ごとに分類していく
 4.読み取り装置では読み取れない票が出るので、その票を目
   視で確認のうえ、候補者の束に入れる
 5.読み取ることができた候補者ごとの票を100枚ずつ束に
   し、5つ合わせて500枚の山にする
 6.その500枚の票の束の表と裏にあらかじめマシンで作成
   した候補者のバーコードを貼りつける
 7.選挙管理委員会の担当者が500枚ずつの束のバーコード
   をリーダーで読み取り、積載台に置く
 8.この積載台上に置かれた500枚の票は確定した票であり
   この票の数が速報値として公表される
―――――――――――――――――――――――――――――
 投票所に集められる開票作業員のほかに票の読み取り装置の保
守や集計ソフトウェアのチェックなどの名目で、システム関係者
(例えば、ムサシの社員)が相当数開票所に入っており、それぞ
れの作業を行っているのです。
 実際に400人を超える作業員のいる開票所では、何が起きて
いるのか、たとえ立会人でもすべてをチェックするのは不可能で
す。現実にこまかいところに立ち入ろうとした立会人に対して、
作業員が制止することも多々あるのです。それについて、ある自
治体のに職員は、次のようにいっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 あ、あのー、やっていただいてもかまわないんですけど、なん
 と言うんでしょう。やっていただきたいところですけど、ざっ
 と見る方が多いですね。(もしこまかく見ていると)次の日の
 昼とかになってしまいますよね。その方がひとり、ずっと見て
 いると。開票を速く、速報など出さないといけない義務が我々
 にはありますので。         http://bit.ly/192FHEp
―――――――――――――――――――――――――――――
             ── [自民党でいいのか/121]

≪画像および関連情報≫
 ●開票作業の参観と不正選挙
  ―――――――――――――――――――――――――――
  開票作業を見ていて思ったことがある。不正をやるとすると
  投票箱のすり替えが一番簡単なのではと考えられる。確かに
  ムサシの自動票読み取り機で不正を行うこともできるかもし
  れない。しかし、開票作業には非常に多くの人がいる。しか
  もムサシが怪しいという情報はかなり広まっている。となる
  と、大勢の人の前でムサシを使った不正を行うとは考えにく
  い。また、開票所には非常に多くの人が集まることからそも
  そも開票作業での不正自体が難しい。不正をやるがわとして
  も開票立会人や選管すべてを買収するのも難しいであろう。
  となると開票所に投票箱が運ばれてくる段階ではすでに不正
  が行われていたという可能性が高い。特に今回は期日前投票
  が史上最多であったにも拘らず、低投票率であったという不
  自然なことが起きている。手を加えやすい期日前投票に手を
  加えたのではないだろうか?期日前投票でなくても投票所か
  ら運ばれてくる投票箱は廃棄してしまい、自民・公明・維新
  ・みんなの候補者の名前が同じ筆跡で書かれた投票箱を別か
  ら持ってきたという可能性もある。開票作業を知らない人も
  実際に開票作業を見て、さらに同じ筆跡の票が多数出てきた
  という証言を聞けば不正選挙であったという確信がさらに高
  まるであろう。          http://bit.ly/1e1QlhS
  ―――――――――――――――――――――――――――

選挙の開票作業風景.jpg
選挙の開票作業風景
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月25日

●「なぜ高裁は即日結審にこだわるか」(EJ第3700号)

 12月21日、池袋の書店で偶然次の書籍を見つけ、購入しま
した。発行が2013年12月30日になっているので、発刊さ
れたばかりの新刊書です。
―――――――――――――――――――――――――――――
                 リチャード・コシミズ著
 「リチャード・コシミズの未来の歴史教科書」/成甲書房刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 著者のリチャード・コシミズ氏の名前は、ネットで不正選挙の
記事を探すとき、何度も目にしている名前です。「ウィキペディ
ア」で調べると、本名は輿水正、日本のネットジャーナリスト、
独自の陰謀論を提唱している──とあります。
 陰謀論ないし陰謀説とは、ある出来事について、広く世間が認
識している事実や背景とは別に、隠されている事実や策略がある
ことを指摘し、論ずることをいいます。EJも多分にそういう傾
向があるといえます。しかし、EJはあくまで事実に基づいて書
いているつもりです。
 確かに不正選挙疑惑などについて書くのは、まさに陰謀論その
ものです。上掲のコシミズ氏の本には付章として、「不正選挙追
及が日本の未来をつくる」という章が設けられているので、その
ため本を購入して読んだのです。
 この本では多くの動画のURLが公開されています。その動画
を見ると確かに2012年の衆院選と2013年の参院選には多
くの疑惑があると判断せざるを得ないのです。今日のEJでは、
その一部をご紹介します。
 既にコシミズ氏は、2013年7月21日の参院選で大規模な
不正が行われたとして、東京高裁に行政訴訟を起こしています。
「東京高等裁判所平成25年行ケ102号」行政訴訟裁判です。
現在、日本全国で、この102号裁判を皮切りに多数の不正選挙
追及裁判が起こされていますが、新聞、テレビなどの大メディア
は例によって完黙したままです。
 この102号裁判の陳述書をご紹介します。非常に長いので、
冒頭部分のみを引用します。
―――――――――――――――――――――――――――――
 2012年12月16日の衆議院選挙及び2013年7月21
 日の参議院選挙において、全国規模かつ大規模な「選挙不正」
 が特定の集団により実行されたことは間違いないと考察する。
 前者において、様々な不正選挙を思わせる事象が発生したが、
 後者においては、多くの不正選挙追及者が自ら開票立会人、開
 票参観者、独自出口調査員として投票開票現場に立会い、情報
 を収集した。その結果、後者の選挙結果を再精査し、不正の実
 態を明らかにしたうえで、選挙のやり直しを求めるべきと確信
 した。              リチャード・コシミズ著
  「リチャード・コシミズの未来の歴史教科書」/成甲書房刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 コシミズ氏は「独立党」という名の後援会を有しており、多く
の協力スタッフがいるようです。コシミズ氏はそういうスタッフ
を使って、2013年の参院選では多くの開票所で徹底した出口
調査を行い、開票の立ち会いや参観をし、開票状況を監視したの
です。そしてその状況をカメラに収めています。
 このコシミズ氏のグループとは別に、同じ参院選において明ら
かに不正があったとして集団訴訟に踏み切ったグループのことは
12月17日のEJ第3695号でご紹介しています。同一筆跡
としか思えない票がたくさんあることを動画で確認できます。そ
の記者会見もぜひ参照していただきたいと思います。このように
多くの訴訟が起きているのです。    http://bit.ly/1dip7CS
 コシミズ氏が起こした102号裁判は、2013年10月17
日に公判が行われていますが、裁判は大混乱に陥ったのです。な
ぜ大混乱になったかというと、東京高裁が、原告の訴状、証拠の
提出と被告の答弁書の提出をもって、公判を開くや否や、結審し
ようとしたからです。即日結審、後日判決(棄却)言い渡しをや
ろうとしたのです。
 コシミズ氏ら原告は、そういうことも予測して、公判当日に新
証拠(動画)を提出しようとしたのです。しかし、裁判所は「遅
すぎる」として、つっぱねようとし、もみ合いになったのです。
裁判所としては、もし新証拠を受け入れると、次の公判日を決め
る必要があり、即日結審ができなくなるからです。
 しかし裁判所としては、どうしても公判そのものを開きたくな
いのです。なぜなら、その裁判があることを新聞は伝えなくても
原告らはネットで大宣伝することは確実で、その結果、多くの国
民の知るところになるからです。
 困惑した裁判官3人は、いったん退廷し、協議のうえ、法廷の
場で新証拠の検証を行うという決定をし、法廷の場で動画が上映
されたのです。前代未聞のことです。なぜ、そんなことをするの
かというと、動画終わるや否や裁判長は「証拠不採用」を宣言し
即日結審にしてしまおうと考えたからです。
 この公判の裁判長は斎藤隆判事といい、彼はその通りのことを
102号裁判で強行したのです。なぜ、そこまでして高裁ともあ
ろうものが、やるのでしょうか。それは、選挙そのものに不正が
あることを裁判所は承知しており、「上」からのお達しにより、
即日結審を厳命されていたからしか考えられないのです。
 その一部始終は動画に収められており、裁判所が何をやったか
をすべて知ることができます。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ◎2013年10月17日/「東京高等裁判所平成25年行ケ
  102号」即日結審の一部始終   http://bit.ly/19DUpFx
―――――――――――――――――――――――――――――
 動画は全部で20分程度ですから、ぜひご覧ください。15時
32分20秒頃から、法廷で開票所の動画が上映されます。これ
が日本の裁判の実態です。新聞、テレビは完黙です。日本は民主
主義国とはいえませんね。 ── [自民党でいいのか/122]

≪画像および関連情報≫
 ●なぜ、高裁は即日結審にこだわったのか
  ―――――――――――――――――――――――――――
  裁判は、国民の福祉と安全を担保する最後の手段である。裁
  判が第三者の利益を図るため恣意的に遂行されるならば、も
  はや、国家に正義は行われず、第三者は思いのまま悪行を実
  行できる。当然、この法廷にも外国勢カに隷属した司法関係
  者が配置されている。よって、この裁判は、米国勢カのため
  に握りつぶされる予定である。票の再集計も選挙のやり直し
  も米国勢力の不利益であるゆえ、裁判所は門前払いする。国
  家を外国人に売り渡す手伝いをするために、最高学府をで、
  最難関の試験を通過してきたということである。(中略)こ
  のとんでもないインチキ裁判を目の当たりにした満員50名
  の傍聴者、原告9名、そして入りきれずに外の廊下で固唾を
  のんでいた数十名に心底からの怒りを植え付けた。多くが立
  ち上がり、斎藤犯罪者の暴挙をあらん限りの大声と怒号で糾
  弾した。この怒りは、もうどうにも止まらない。裁判所を後
  にした彼らは家族や友人知人に今日の体験を熱く語る。ネッ
  トで徹底的な情報拡散を行う。これから、大爆発が起きる。
  本来ならば、高等裁判所の法廷で怒号が飛び交う、傍聴人が
  大挙して立ち上がり裁判長を糾弾する、「売国奴」のシュプ
  レヒコールが起きる・・・といった事態は過去になかったこ
  とで、大きな大きなニュースになつて当たり前である。だが
  メディアはこの事件に沈黙する。なぜか?不正選挙が事実で
  ある以上、衆目が集まることは絶対避けたい。裏社会は、メ
  ディアに手を回して、「一切触れるな」とお触れを出したは
  ずだ。だが、「なぜ、この事件を大メディアは報道しないの
  か?」という疑問がネット住民の間で語られることになる。
                  リチャード・コシミズ著
  「リチャード・コシミズの未来の歴史教科書」/成甲書房刊
  ―――――――――――――――――――――――――――

リチャード・コシミズ氏の本.jpg
リチャード・コシミズ氏の本
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月26日

●「メディアが無視する不正選挙訴訟」(EJ第3701号)

 高裁裁判において、裁判長が原告に一言も発言させず、訴状お
よび事前提出の証拠、答弁書だけで「即日結審」を宣言する──
こんなことはあってはならないことですが、現実にそれは、ほと
んどの国民の知らないところで起こっているのです。
 なぜ、裁判所はそのような批判を浴びる裁判をするのでしょう
か。それは、裁判の内容が世間一般に幅広く知られることを防ぐ
ためです。国政選挙の不正をめぐる訴訟についてはなるべく隠蔽
したいのでしょう。もちろんメディアに対しては、「上」からの
お達しによって報道規制が行われています。記者クラブメディア
はそういう理不尽なことを受け入れているのです。
 その一つの例が「102号裁判」ですが、これは一部メディア
に出てしまっています。これにはワケがあります。ご承知のよう
に、この裁判の一部始終は盗撮され、その動画はネット上に流出
しているのです。昨日のEJでご紹介した動画です。もちろん法
廷での撮影は禁じられていますが、これには罰則がないのです。
 コシミズ氏によると、読売新聞の某記者がコシミズ氏に電話し
てきて、ネット上に記事を書いたのがキッカケです。不正選挙裁
判の記事がネットとはいえ「表のメディア」に出てしまったので
すから大変です。「上」としては驚愕の事態です。こうなると、
当然朝日、産経などが記事にしています。そのなかで、朝日新聞
デジタルの記事をご紹介しましょう。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ◎朝日新聞デジタル/10月22日(火)配信
 東京高裁で開かれた選挙無効訴訟の口頭弁論を撮影した動画が
 インターネット上に流出していることがわかった。高裁も把握
 しており、この動画を流しているサイトの運営会社に削除を要
 請する方針だ。高裁によると動画は、今年7月の参院選に「不
 正があった」として、東京都在住の原告らが東京選挙区の無効
 を求めた訴訟の第1回口頭弁論の様子だという。傍聴席からの
 撮影とみられ、裁判官や当事者がやりとりする様子や、法廷を
 後にする裁判官に抗議する声などが13分以上にわたって記録
 されている。民事訴訟規則では、法延内での無断撮影は禁止さ
 れている。            リチャード・コシミズ著
  「リチャード・コシミズの未来の歴史教科書」/成甲書房刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 これらの記事はいずれも選挙の不正を訴える裁判の動画が流出
したことを報道しているだけで、不正の中身については触れてい
ないのです。肝心のことを伝えていない方針なのです。
 この記事のなかで「裁判所はこの動画を流しているサイトの運
営会社に削除を要請する方針」とありますが、それは無理です。
なぜなら、この動画は南米あたりのサイトにアップロードされて
おり、日本の司法は何もすることはできないのです。その証拠に
現在でも動画は見ることができます。
 動画を見るとわかるように、法廷内は騒然としており、大声を
上げている人がたくさんいます。しかし、なぜか警備員も警察も
登場しないのです。普通なら、法廷で騒乱を起こせば、警察が出
動して事情ぐらい聞かれるでしょう。逮捕だって十分あり得るこ
とです。でも、誰も出てこない。どうしてでしょうか。
 もし、法廷で騒いだ人が逮捕されたり、事情を聞かれたりする
と、それはニュースになり、報道され、多くの国民が知ることに
なります。もし裁判になると、不正選挙裁判の内容が明るみに出
るし、強引に即日結審を図ろうとした裁判長の行為も問題になっ
てしまいます。「東京高裁で傍聴人と警衛が大乱闘」などという
記事は絶対にまずいのです。
 その後、コシミズ氏をはじめとする102号裁判の原告団は、
斎藤隆裁判長の忌避を申し立てていますが、これもたちまち却下
されています。もう防戦に必死です。その裁判官忌避を審判する
のは、加藤新太郎裁判長ですが、この裁判長も斎藤隆裁判長と一
緒に名前は覚えておくとよいと思います。
 これに対して原告団は、忌避却下を不服とする特別抗告を出し
ています。提出先は最高裁ですが、まだ裁定は下りていないそう
です。もちろん最高裁はこれまで見てきたように何ら頼りになら
ない存在です。検察もダメ、検察審査会もダメ、裁判所も高裁も
最高裁もダメです。日本の先行きが案じられます。
 選挙に不正があったとすると、現在の政権は民意に基づいてい
ない政権ということになります。リチャード・コシミズ氏はこれ
について次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 メリットの薄い、否、デメリットしか想起できないTPPにも
 国民の大半は反対であった。家計に直接響く消費税増税など誰
 も賛成していない。さんざん国民に辛苦をもたらした原発など
 存続を希望していない。だが、選挙ではこれらの国民の意思を
 全く反映しない自民、公明党が大勝している。そして、TPP
 反対論者、消費税反対論者、原発反対論者ばかりが選別された
 かのように落選している。
          ──リチャード・コシミズ著の前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 われわれが民主党の政権交代のときに描いていたのは、鳩山、
菅、野田氏らが中心の政権ではなく、小沢一郎氏を中心とする政
権の誕生だったはずです。現実に政権交代を成し遂げた原動力は
小沢元代表だったのです。しかし、EJで「上」と表現している
ある勢力は、そうさせないために法を無視までして、総力を上げ
て小沢潰しを仕掛けてきたのです。
 しかし、それでも潰し切れず、小沢氏が完全無罪になって復活
の兆候を見せると、今度は選挙まで不正な操作をして、さらに潰
しをかけようとしてきたのです。もはや日本は民主主義国家では
ありません。現在の自公政権が民意を得ていないことは、自民党
が惨敗した2009年の衆院選のときより、得票数が減っている
ことと、国政選挙以外のほとんどの地方選で負け続けていること
で明らかです。      ── [自民党でいいのか/123]

≪画像および関連情報≫
 ●2013年参院選もまた不正選挙?/あるブログより
  ―――――――――――――――――――――――――――
  今回の参院選の結果は、選挙前にジェラルド・カーティスが
  予測していた通りとなった。彼の予測どおり、自民党は圧勝
  ねじれは解消されたが、改憲に必要な3分の2以上の議席を
  獲得するまでには及ばなかった。そして、維新の会は大敗し
  小沢氏は終焉を迎えたと産経によって報道された。やはり、
  日本の選挙では、検察が罪を捏造するときと同じで、最初に
  シナリオが描かれ、マスコミに選挙前はそのシナリオを報道
  させる。そして、適当に不正選挙など行ってシナリオどおり
  の結果になるように導くのだろう。前にも書いたが、あれほ
  ど国民から不人気だった安倍が再び首相に選ばれたのも、A
  級戦犯の祖父の命を救ってくれた米国に大きな借りがあり、
  米国に対して最も忠誠心が高いところが買われたのだろう。
  去年の衆院選で不正選挙についての疑惑が大きくブログやツ
  イッターなどを通じて伝えられたため、今回は、みんなが不
  正選挙について警戒心を高めながら投票したことと思う。そ
  んな中でやはり、不正が行われた証拠の動画などが出回って
  いる。ブラック企業「わたみ」の創業者、渡辺美樹氏の名前
  が書かれた投票用紙の筆跡が全部似通っていたのだ。もしこ
  れが本当の投票用紙だったとしたら、どうみても、同一人物
  がなるべく筆跡を変えてほとんどを書いたとしか思えないよ
  うな代物だ。           http://bit.ly/1fWAZgw
  ―――――――――――――――――――――――――――

2013年参院選/激戦の東京選挙区.jpg
2013年参院選/激戦の東京選挙区
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月27日

●「不正選挙を仕掛けたのは一体誰か」(EJ第3702号)

 7月1日から6ヶ月間、124回にわたって書き続けてきた今
回のテーマは、年末でもあり、今日で一応終了します。しかし、
まだまだ書くべきことが残っています。
―――――――――――――――――――――――――――――
   仕掛け人候補その1        「政治家」
   仕掛け人候補その2         「官僚」
   仕掛け人候補その3         「財界」
   仕掛け人候補その4     「巨大メディア」
   仕掛け人候補その5  「ジャパンハンドラー」
               ──平野貞夫著/ビジネス社刊
     『真説/小沢一郎謀殺事件/日本の危機は救えるか』
―――――――――――――――――――――――――――――
 上記の順に書いてきましたが、結局「官僚」のところで終って
しまいました。残るは、「財界」「巨大メディア」「ジャパンハ
ンドラー」──肝心の、一番重要なところにはメスが入れられて
いないのです。いずれ機会を見て取り上げます。
 考えたくないことですが、どうやら不正選挙は間違いなく行わ
れているようです。それでは、誰がそんなことを行っているので
しょうか。自民党でしょうか。
 それは違います。自民党が関与していないとはいいませんが、
自民党単独でこのようなことができるはずがないのです。これに
は、仕掛け人候補その3〜5が深くかかわっています。はっきり
いうと、自民党と公明党が政権を担っていないと、不利益を被る
勢力が仕掛けているのです。
 これについては、植草一秀氏の次の書籍の第3章を参照される
ことをお勧めします。きわめて的確に現在の日本という国のかた
ちが述べられています。
―――――――――――――――――――――――――――――
                 植草一秀著/飛鳥新社刊
 「日本の独立/主権者国民と『米・官・業・政・電』利権複
 合体の死闘」/V この国のかたち
―――――――――――――――――――――――――――――
 ことは明治維新まで遡るのです。そのためにEJでは、かつて
明治維新をテーマに取り上げて書いています。84回連載したも
のの、まだ完結していません。     http://bit.ly/1e9HFGj
 戦後に転機が訪れたのですが、米国によって官僚機構はそのま
ま温存され、現在では強固な岩盤となって、厳然と存在していま
す。そのバックには米国がいるのです。植草氏は、同書で次のよ
うに述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 米国と官僚と大資本。この三者が日本の支配者であり続けた。
 米・官・業のトライアングルは、その代理人である利権政治屋
 (=政)と一般民衆を操縦する主体であるマスメディア(電波
 =電)を動員して、巨大な利権複合体を形成して日本支配を続
 けてきた。これが米・官・業・政・電=悪徳ペンタゴンによる
 日本政治支配の基本構造である ──植草一秀著の前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 米国と官僚と大資本──ここに、今回私が書き残した「財界」
「巨大メディア」「ジャパンハンドラー」のすべてが出てくるの
です。戦後の日本の政権は、「対米従属」か「自主独立」かに二
分されますが、自主独立を主張する政権は徹底的な米国からの攻
撃を受けて潰されてきた歴史があります。
 しかし、2009年に奇跡が起こり、小沢一郎氏が率いる対米
従属でない民主党政権が誕生したのです。おそらく米国にとって
最大の危機が訪れたということができます。それがどうなったか
いうまでもないでしょう。彼らは、不正選挙であろうと手段を選
ばない方法で現在の安倍政権を誕生させたのです。
 戦後の政権で米国が最も待望したのが岸政権です。この政権に
対して米国は秘密裏に選挙資金提供を行ったことが、米外交文書
によって明らかになっています。そして時を経て、現在は岸の血
筋を継ぐ安倍政権です。政権発足後1年になりますが、米国は陰
ながら、アベノミクスを支えています。景気が回復すると、国民
は政権を批判しなくなるからです。このことについては次のEJ
のテーマで明らかにしていきます。
 しかし、本当に自民党でいいのでしょうか。1年経過して、安
倍政権の本性が見えてきています。安倍政権は、前の菅、野田政
権が劣悪過ぎたためにトクをしている面がありますが、安倍政権
には大きな問題がいくつもあるのです。
 第1次安倍政権の2006年12月の国会答弁で、「全電源喪
失など起こらない」といったのは安倍首相その人です。しかし、
福島事故が起きてからも一向に反省せず、経営者・株主・貸し手
責任を一切問わずに東京電力を温存させ、1兆円の公的資金を返
却しなくてもよいとし、原子力賠償支援機構からの交付金を9兆
円に増額しているのです。その一方で、福島原発の廃炉費用を電
気料金に上乗せすること許し、さらに東京電力の負担を軽減する
ために、除染まで放棄しようと画策しています。
 国内の処理も満足にできないのに、トルコなど海外に原発を売
り込み、夫人の反発まで買っています。しかし、安倍政権は高い
支持率にもかかわらず、多くの地方選で負け続けています。その
ため安倍首相は現在選挙をとても恐れています。
 植草氏は、諸悪の根源である企業献金を廃止すれば、利権共同
体は崩壊するとして、次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 これまでの自民党政治が国民に苛酷である一方、企業を優遇し
 続けてきた最大の原因は、自民党の政策が巨大な資金を提供す
 る企業の方向に向いていたからである。市場原理主義の経済政
 策、国民の生活に冷酷な政策は、巨大な企業献金に原動力があ
 ったのだ。          ──植草一秀著の前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
         ── [自民党でいいのか/最終回/124]

≪画像および関連情報≫
 ●「対米従属という宿痾」/飛鳥新社
  ―――――――――――――――――――――――――――
   植草一秀氏は自ら、「人物破壊工作によって社会的生命を
  抹殺された」と述べている。しかし、彼の日本論は極めて鋭
  い。一見に値する。『鳩山由紀夫/孫崎享/植草一秀/対米
  従属という宿痾』おわりにの部分で、植草一秀氏の書いた部
  分を紹介する(孫崎亨氏のツイート)。
   人物破壊工作によって社会的生命を抹殺された私が、鳩山
  由紀夫元首相、孫崎享元防衛大学教授と共著を出させていた
  だくことに戸惑いがなかったかと言えばウソになる。私が名
  前を連ねることが両氏に無用なご迷惑をお掛けしてしまうこ
  とに思いを馳せた。ただし、私自身は天に誓って無実潔白で
  ある。しかしながら、社会的にはいささか名誉を傷つけられ
  た。2009年8月の総選挙で鳩山民主党は歴史的な勝利を
  収め、日本の歴史上初めて、民衆の民衆による民衆のための
  政権が樹立された。無血の平成維新の名にふさわしい新しい
  政権が誕生した。この政権が基盤を強化し、2010年の参
  院選で勝利を重ねれば、日本に新しい時代が到来していたは
  ずである。しかし、主権者政権の前途は甘いものではなかっ
  た。日本の政治を支配し続けてきた既得権益である米官業の
  トライアングル、そして、その手先を含む米官業政電のペン
  タゴンは、事態の転覆に向けて猛烈な巻き返し工作に打って
  出た。このことを私は『日本の独立―主権者国民と「米・官
  ・業・政・電」利権複合体の死闘』に記述した。現に、既得
  権益は民主党の小沢‐鳩山ラインが主導する主権者政権を転
  覆するために、文字通り、目的のためには手段を選ばぬ猛攻
  撃を繰り返したのである。     http://bit.ly/1dBFAlX
  ―――――――――――――――――――――――――――

「日本の独立」植草一秀氏の本.jpg
「日本の独立」植草一秀氏の本
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月01日

●「新年ご挨拶/2014.1.1」

 EJ読者の皆様、明けましておめでとうございます。EJをい
つもご愛読いただき心より御礼申し上げます。本年もよろしくお
願いいたします。
 2013年のEJは、1月4日の第3459号から12月27
日の第3702号までの244本をウィークディの毎日、一日も
欠かさず、お届けしました。その間、同じ内容のコンテンツをブ
ログに投稿しております。
 2013年は次の3つのテーマについて書きましたが、「日本
の領土」については、2012年10月1日からの続きですので
実質的にはテーマは2つです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1.日本の領土(続き) ・・・・・・・・・・・ 44回
 2.新中国論 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 76回
 3.自民党でよいのか ・・・・・・・・・・・ 124回
 ―――――――――――――――――――――――――――
                        244本
―――――――――――――――――――――――――――――
 EJは毎日どのくらいの人に読まれているのでしょうか。EJ
と同じコンテンツを掲載しているブログの毎日の来訪者数の月平
均数値の推移をとってみると次の通りです。
―――――――――――――――――――――――――――――
  ≪日本の領土(続き)≫
              UU     PV
     1月 ・・ 1782人  5535人
     2月 ・・ 1633人  5272人
  ≪新中国論≫ 
     3月 ・・ 1444人  4538人
     4月 ・・ 1786人  5135人
     5月 ・・ 1917人  5504人
     6月 ・・ 2146人  6060人
  ≪自民党でいいのか≫
     7月 ・・ 2338人  7071人
     8月 ・・ 2180人  6357人
     9月 ・・ 2038人  6061人
    10月 ・・ 1988人  6077人
    11月 ・・ 1802人  5800人
    12月 ・・ 1928人  6039人
―――――――――――――――――――――――――――――
 今回は「PV」(ページビュー)の数値を示しておきます。毎
日のPVの月平均数値です。「PV」の数字は、実際にブログを
訪れた人(1日単位)の総数を表しています。ある人がブログに
訪れて、最新の記事だけでなく、他のページの記事をクリックし
て読んだとすると、「2」とカウントされます。ブログには過去
のたくさんの記事があります。
 これに対して「UU」(ユニークユーザー)とは、最新の記事
を読むためにブログを訪れた正味の数であり、毎日のUUの月平
均数値です。同じ人がもう一度ブログに訪れても「1」としかカ
ウントしないのです。つまり、重複はカウント(1日単位)しな
い数字です。
 2013年の数字をみると、1日平均UUで2000を超えた
月が、2012年度は1回しかなかったのに、4回もクリアして
います。UUで見ると、ほぼ毎日6000人が定着しつつありま
す。2013年度に対しては、1日平均数値が6000人を超え
る月は6回あり、EJのブログは「1日6000人以上が訪れる
ブログ」に成長しつつあります。これもEJの読者の皆様のお陰
であると思っています。
 2013年のEJのメインのテーマは、7月1日から124回
にわたって書き続けた「小沢一郎謀殺事件」です。こういう記事
を書くと、小沢信者であるとか小沢擁護者だとかいわれ、ブログ
には、批判の書き込みは多くなりますが、124回の連載中励ま
しはありましたが、批判的なコメントはほんとんどなかったと思
います。EJとしては、事実に基づき、できる限り客観的に書い
ているつもりです。
 政権交代を決める選挙前からの検察主導の露骨な妨害に始まり
次の年の秘書全員逮捕、メディアのリーク、検察審査会による小
沢氏への2回にわたる「起訴相当」議決による強制起訴。少して
いねいに調べただけなのに作為性が濃厚です。そして裁判、控訴
審ともに無罪で、完全無罪になっても、マスコミは小沢氏にとっ
て不利な情報は大きく、有利な情報は小さくしか報道しません。
 その挙句に選挙不正の疑惑。これには私は愕然としたのです。
もし、これが本当だとすると、日本の民主主義の危機です。その
結果、小沢代表率いる生活の党はたった9人の小政党になってし
まいましたが、それでもマスコミのパッシングは依然としてやま
ないのです。
 『週刊現代』年越し合併特大号では、次の大特集を組んでいま
す。いわゆる支援者に送った小沢夫人の手紙の蒸し返しです。こ
のような記事を特集する『週刊現代』の品性を疑います。
―――――――――――――――――――――――――――――
 「消えた小沢一郎夫人からの『伝言』/あなたには孫の顔さ
 え見せたくない」            ──松田賢弥著
          ──『週刊現代』年越し合併特大号より
―――――――――――――――――――――――――――――
 松田賢弥氏は同趣旨の単行本を出しており、小沢氏の足を引っ
張る記事をいくつも書いているライターです。私はこう考えてい
ます。こういう企画を持ち込まれた講談社がそれを取り上げると
いうことは、まだ小沢一郎の復活をその筋の人たちが何よりも恐
れている証拠です。私は3年後に小沢氏は必ず復活すると考えて
います。タイミングを見てこの問題はもう一度取り上げて、今回
書き切れなかった部分を書くつもりでおります。そうでないと、
日本国はもたないと考えています。
 2014年のEJは1月6日からお送りします。今年も営業日
の毎日お届けしますので、よろしくお願いします。

≪画像および関連情報≫
 ●小沢一郎はついに終わった──松田賢弥氏
  ―――――――――――――――――――――――――――
   小沢一郎が、ついに政治生命の終焉に差し掛かろうとして
  いる。特定秘密保護法案、原発再稼働と、小沢が安倍自民の
  批判を繰り返しても、メディアはその発言をまともに取り合
  わなくなった。「小沢はまだ、何かやるつもりだ」混沌とす
  る永田町にはそんな見方もある。ただ、仮にそうだとしても
  それは線香花火が燃え尽きる最後に一瞬、輝く程度のものに
  過ぎない。小沢一郎は終わった。そして、時代は移り変わっ
  ていくのである。(中略)
   小沢一郎という男は終わった。(中略)衆参合わせてたっ
  た9人という零細政党の党首に落ちぶれ、それでも再起の機
  を窺っている小沢は今、地元に足繁く通っている。15年9
  月に任期満了を迎える岩手県知事選・県議選に向けた地盤固
  めだが、小沢自らが、これほど早くから陣頭指揮に乗り出す
  のは異例だ。(中略)
   14年5月で72歳になる小沢の政界引退はもはや目の前
  に迫っている。その時、彼には迎えてくれる妻も、息子も、
  そして孫もいない──。今更のように里帰りに励み、たった
  ひとりの王国を再建しようとする小沢の老後は、あまりにも
  淋しく、孤独だと言うしかない。
     ──『週刊現代』年越し合併特大号/松田賢弥氏より
  ―――――――――――――――――――――――――――

謹賀新年/2014年元旦.jpg
謹賀新年/2014年元旦
posted by 平野 浩 at 04:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。