隻も尖閣諸島の領海周辺の海域に常時居座っていて、ときどき日
本の領海内をゆうゆうと航行する状態が続いています。当然海上
保安庁の巡視船は中国の公船と並走し、「ここは日本の領海なの
で、領海の外に出なさい」と警告を発しますが、それ以上のこと
はできないことになっています。そのため、中国の公船は、なか
なか領海から出ようとしないのです。
中国側も並走する海上保安庁巡視船に対して、「この海域は中
国の領海であるから、海上保安庁の船は出なさい」とアナウンス
を返しています。中国もここは中国の領海であると主張し、退去
を求めてきているのです。
日本からみれば、完全な領海侵犯ですが、中国も同じことを主
張しているので、この状態が長期的に続くと、国際社会は、日本
と中国の間には領土問題が存在すると認識するでしょう。実はそ
れが中国の狙いなのです。
日本は、「尖閣諸島は歴史的にも、国際法上も日本固有の領土
であり、領土問題は存在しない」という立場です。同じ島でも九
州や四国に領土問題が存在しないように、尖閣諸島も同様に領土
問題は存在しないといっているわけです。
中国はそれを崩しにかかっているのです。国際社会に領土問題
が存在することを認めさせ、なし崩し的に島を占拠し、戦争をし
ないで取れるなら、このさい取ってしまおうと考えているようで
す。実に乱暴な話ですが、中国は間違いなくそれを狙っているの
です。実際に、フィリピンが同じ目に遭っているからです。
「ウエッジ・インフィニティ/日本をもっと、考える」サイト
の次の記事を読んでください。
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2012年4月、スカボロー岩礁をめぐる対立が表面化した際
中国はフィリピンのバナナ、パパイヤ、マンゴー、ココナッツ
パイナップルの検疫を意図的に遅らせただけでなく、フィリピ
ンへの観光も差し止めた。中国の思惑通り、フィリピン実業界
は比政府に中国との対立を止めるよう懇願した。その後、中比
間の緊張は緩和されたが、現在スカボロー岩礁へのフィリピン
船の出入りは中国船がブロックしている。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/2160
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尖閣諸島についても、中国は同じことをやろうとしています。
こういう事態に対して、日本はどのように対処したらよいでしょ
うか。この問題は簡単に終わりそうもなく、日本もそれなりのハ
ラをくくる必要があります。
そこで、今日からのEJは、新テーマとして領土問題を取り上
げることにします。
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日本の領土問題について改めて考える
── 尖閣・竹島・北方領土 ──
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尖閣諸島や竹島、それに北方領土はわが国固有の領土──耳に
タコができるぐらいそう聞かされています。しかし、それでは何
を根拠にそういえるのかと問われたら、答えられるでしようか。
これこれこうだから、尖閣諸島や竹島、北方領土は日本固有の領
土であるときちんと説明できるでしょうか。
きちんと説明できる人は少ないと思います。これまで日本政府
は国際社会に対しても、日本国民に対しても、そのことについて
きちんと説明をしてきていないからです。
ただ、固有の領土といいながら、尖閣諸島には人は住んでいな
いし、日本人は上陸すらできないのです。それに現在、竹島は韓
国に、北方領土はロシアに実効支配を許しています。それなのに
なぜ固有の領土なのでしょうか。取り返せないのでしょうか。
このあたりのことを歴史的にも、少していねいに調べてみたい
と思い、これを今回のEJのテーマとしたのです。なぜなら、尖
閣諸島や竹島は、地図で調べると、中国や韓国が、これはわれわ
れの領土だと主張しても不思議はないほど、微妙な位置関係にあ
るからです。したがって、これが紛れもなく日本の領土であると
いう証拠というか、歴史的事実が必要です。
尖閣諸島周辺での日本の海上保安庁の巡視船と中国の公船の諍
い──こんなことを続けていると、何かのトラブルで、戦闘行為
に発展する危険性があります。「尖閣沖海戦」は絵空事ではなく
十分あり得るのです。
その場合、日本はどこまで戦えるのでしょうか。海上保安庁は
どの程度の実力を持っているのでしょうか。実戦経験のない海上
自衛隊は海戦でどのくらい戦えるのでしょうか。それに既に空母
まで保有している中国海軍の戦力は本当のところどの程度のもの
でしょうか。そして仮に尖閣沖海戦に突入したら、日本は、同盟
国である米国の支援は受けられるのでしょうか。
このことについて、元防衛大学教授・孫崎亨氏は近著で将棋に
喩えて次のように述べています。
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将棋の盤面を考えていただければよいと思います。米国は王将
です。この王将を守り、相手の王将をとるためにすべての戦略
が立てられます。米国にとって日本は「歩」かも知れません。
「桂馬」かも知れません。「銀」かも知れません。ときには、
「飛車」だといってチヤホヤしてくれるかもしれません。それ
は状況によって変わるのです。しかしたとえどんなコマであっ
ても、国際政治というゲームのなかで、米国という王将を守り
相手の王将をとるために利用されることに変わりありません。
状況しだいでは見捨てられることもあります。王手飛車取りを
かけられて、飛車を逃がす棋士はいないでしょう。一瞬のため
らいもなく、飛車を見殺しにする。あたりまえの話なのです。
──孫崎亨著、『戦後史の正体』/創元社刊
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── [日本の領土/01]
≪画像および関連情報≫
●尖閣:中国、日本の「領土問題は存在せず」に反発
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【北京・工藤哲】沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)につ
いて「領土問題は存在しない」とする日本政府の公式見解に
対し、中国が反発を強めている。中国側は9月28日、日本
に対し領土問題を認めるよう公然と要求。日本から譲歩を引
き出した後、問題を棚上げにすることで事態を沈静化する狙
いとみられる。中国外務省の副報道局長は28日の定例会見
で、「我々は日本に争いを認め、対話を通じて問題を解決す
ることを強烈に促す」と述べた。問題解決の条件として初め
て「日本側が争いの存在を認めること」を掲げた。同日開か
れた中国国際問題研究所などが主催する会合でも「日本がま
ず主権問題で争いがあることを認め、いわゆる国有化を撤回
し、公務員を再び島に上陸させないという三つの条件が達成
されて初めて1972年(国交正常化)、1978年(元最
高実力者・ケ小平氏の『棚上げ』発言)の原点に戻ることが
できる」(中国社会科学院の李薇・日本研究所長)などの意
見が出た。副報道局長の発言は、こうした主張を公的に認め
たものだ。 ──2012年9月29日付/毎日JP
http://mainichi.jp/select/news/20120930k0000m030031000c.html
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日本の領海に侵入した中国公船>