2011年09月21日

●「小沢氏の元3秘書は無罪になるか」(EJ第3145号)

 陸山会事件──小沢一郎事務所の当時の3秘書、大久保隆則、
石川知裕、池田光智3氏に関わる裁判の判決が9月26日に出る
ことになっています。
 世間一般の予想では、検察の粗暴な取り調べによって検察側提
出の調書のほとんどが却下されたので、3人とも無罪の可能性が
高いといわれています。確かに状況的にはそう考えられますが、
事態はそれほど楽観的ではないと思うのです。
 もし、3人とも無罪になってしまうと、検察はまさに完敗であ
り、容易には立ち直れなくなるでしょう。選挙の前に小沢事務所
に何も瑕疵がないのに秘書を2回に渡って逮捕・起訴し、小沢一
郎氏の政治生命を危機に陥れたことになってしまうからです。こ
れは究極の選挙妨害であり、検察による政治介入そのものであっ
て、検察の正義は泥にまみれ、特捜部解体につながる致命傷を負
うことになります。
 そのため、裁判長は検察をそこまで落とさない妙なバランスを
取って、何人かに微罪ながら有罪の判決を出すのではないかと思
われるのです。あってはならないことですが、その可能性は十分
あると思います。
 たとえ微罪でも有罪判決が出ると、記者クラブメディアは例に
よって小沢有罪説を喧伝し、民主党の反小沢の首魁は秘書有罪判
決を理由に小沢一郎氏を除籍処分にする動きがあるとも伝えられ
ています。もともとこの事件は、小沢一郎という政治家を政治の
表舞台に立たせないようにする官僚機構の陰謀であり、その方向
に動いても不思議はないでしょう。
 そこで、本日(21日)から判決の出る26日にかけて、陸山
会事件を別の角度からもう一度取り上げ、検証することにしたい
と思います。
 この陸山会事件について、記者クラブメディアの報道のしかた
について批判的な意見を述べていた一人である江川紹子氏が、月
刊紙「世界」に次のレポートを書いています。
―――――――――――――――――――――――――――――
       「陸山会事件」とは何だったのか
        ─問われる検察改革のゆくえ─
            ──「世界」10月号
―――――――――――――――――――――――――――――
 この江川氏のレポートの内容に入る前に、「陸山会事件」につ
いてコメントする人に共通する不思議な事実があるのです。江川
氏は、3人の秘書が法律違反に問われている諸点として3つあげ
ているのですが、そのうち2つを以下に示します。
―――――――――――――――――――――――――――――
 @土地取得のための支出(3億5261万6788円)を20
  04(平成16)年分の政治資金収支報告書に記載せず、2
  005(平成17)年分の政治資金収支報告書に記載した。
 A2004年分の政治資金収支報告書に小沢氏が土地代金を立
  て替えた4億円を借り入れ金として記載せず、2007(平
  成19)年分の政治資金収支報告書に小沢氏への4億円返済
  を記載しなかった。      ──「世界」10月号より
―――――――――――――――――――――――――――――
 このうちAの「2004年分の政治資金収支報告書に小沢氏が
土地代金を立て替えた4億円を借り入れ金として記載せず」とあ
る点についてです。これについてEJでは、何回も述べているよ
うに、2004年分の政治資金収支報告書には、小沢一郎からの
借入金4億円の記載はあるのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
≪EJ第3103≫ 2011年7月22日
http://electronic-journal.seesaa.net/article/216025831.html
―――――――――――――――――――――――――――――
 この指摘は、元東京地検特捜部検事で名城大教授の郷原信郎氏
が、当時のテレ朝の番組「サンデー・プロジェクト」の番組中に
行われたのです。これは衝撃的な指摘であり、当事者である石川
知裕氏やその弁護士の耳に入っていないはずはないのです。しか
し、なぜか公判では彼らはそれを主張していないのです。
 ちなみに、この指摘をした郷原信郎氏やそれを問題視した鳥越
俊太郎氏、元「週刊朝日」の山口一臣前編集長はいずれもテレビ
から遠ざけられています。記者クラブメディアは、誰かの指示を
受けて、彼らを少しずつテレビから遠ざけていったものと思われ
ます。恐ろしいことだと思います。民主主義の危機です。
 それにしても不思議なのは石川氏と彼の弁護士です。私は陸山
会裁判の傍聴記をすべて目を通していますが、その点について石
川氏も彼の弁護士も主張していないのです。江川氏は公判に足を
運んでいるはずですが、石川側から「記載のあること」を確認し
ていないので、上記のような書き方をしています。
 「小沢氏からの借入金の記載がない」ことが法律違反とされて
いるのです。ところがその記載があったのですから、それを主張
しないのはおかしなものです。なぜ、しないのでしょうか。
 考えられることは、石川氏と彼の弁護士がその事実を知らない
ことです。何しろ肝心の政治資金収支報告書を検察が押収し、石
川氏側はそれを見て確認できないのです。しかし、政治資金収支
報告書は官報に記載されますし、誰でもそれをネットで確認でき
るのです。なぜ、石川氏と彼の弁護士はそれを調べようとしない
のでしょうか。それとも、官報に記載されている事実を知らない
のでしょうか。
 いずれにしても、もしそうなら石川氏の弁護士はかなり怠慢で
あるといえます。公判傍聴記を読んでもピリッとしないし、何を
しているのかと思ってしまいます。たかが「期ずれ」であり、逮
捕されたり、起訴されるような大事件ではなく、多くは指導で済
む問題なのです。そんなことはないと思いますが、石川氏の弁護
士は検察の味方なのでしょうか。これについては、「関連情報」
を読んでください。    ─── [日本の政治の現況/71]


≪画像および関連情報≫
 ●徳山勝氏の「陸山会事件判決を前にしての検証」/その3
  ―――――――――――――――――――――――――――
  (石川知裕氏の)弁護側も、検察が訴因として「期ズレ」に
  対する反証が十分だったと、これも公判傍聴記を読む限り思
  えない。検察のペースに嵌り、水谷建設からの献金否定に力
  を注いだ感は拭えない。石川氏の弁護士は元検事だと聞くが
  元検事の弁護士としての限界、つまり検察に致命傷を与えな
  い線で妥協するとの危惧を抱かせた。裁判長は検察に、前田
  元検事の取調べ調書を提出させたが、判決にどう反映するの
  だろうか。いったいこの裁判で裁かれたのは何なのだろう。
  故小室直樹氏は「三権分立では、行政権力から主権者である
  国民を守るのが司法権(=裁判)の役割」だと言う。今回の
  裁判は、当にそれが試されていると言っていいだろう。検察
  による政治介入から始まった事件である。裁判所が国民主権
  ・民主主義を守る砦であるかどうかが問われている裁判だと
  筆者は思う。      ──オリーブニュース/徳山勝氏
  ―――――――――――――――――――――――――――

江川紹子氏.jpg
江川 紹子氏
posted by 平野 浩 at 03:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月22日

●「西松献金事件と陸山会事件の関係」(EJ第3146号)

 フリージャーナリスト江川紹子氏は、陸山会裁判について「世
界」10月号で次のように書いています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 (陸山会裁判の)判決当日は、おそらく様々な報道や論評が飛
 び交うだろう。わけても、小沢氏にまつわる「政治とカネ」の
 問題、さらには小沢氏の今後の政治的影響力について、あれこ
 れ取りざたされるに違いない。しかし忘れてはならないのは、
 この刑事裁判は、小沢氏がクリーンか否かを決めるためのもの
 ではない、ということだ。無罪判決が出ればクリーン、有罪で
 あればダーティなどというものではない。だから、有罪判決が
 出たからといって、反小沢陣営が「ほらみろ、やっぱり小沢は
 ダーティだ」と騒ぎ立てるものではないし、逆に無罪判決が出
 ても、支援者が「小沢氏のクリーンさが証明された」と逆襲に
 打って出るほどのことでもない。この裁判で求められているの
 は、土地の購入を巡ってのお金の出し入れについての記録が、
 政治資金規正法に則って適切だったかどうかという、かなり事
 務的な判断になるからだ。      ──「世界」10月号
     江川紹子氏論文『「陸山会事件」とは何だったのか』
―――――――――――――――――――――――――――――
 要するに、陸山会裁判で検察側がしつこく取り上げた水谷建設
からの不法献金事件とは何の関わりもない、世田谷の土地の登記
の時期をめぐる「期ずれ」をどう判断するかというきわめて事務
手続的判断を求めるものであり、本来現職の国会議員を含む容疑
者を3人も逮捕・起訴して取り調べる事件ではないのです。なぜ
かというと、訴因が「期ずれ」になっているからです。
 そのことを新聞、テレビの記者クラブメディアは正確に伝えて
いない──いや、こと陸山会事件についての新聞、テレビの報道
は極端にいうと、ウソの事実を平気で流しています。メディアみ
んなでやれば怖くないというわけです。狙いは「小沢排除」に絞
られているのです。これでは、小沢氏は「天下の悪党」になって
しまいます。もし、小沢氏が無罪になったら、新聞、メディアは
どうこいう責任をとるのでしょうか。
 陸山会事件は、次の2つの事件に分けて考えるべきです。
―――――――――――――――――――――――――――――
    1.西松建設違法献金事件
    2.世田谷の土地の登記時期のずれ/陸山会事件
―――――――――――――――――――――――――――――
 「西松建設違法献金事件」とは何でしょうか。
 これは西松建設の複数のOBを代表とする政治団体から陸山会
が受け取った献金が政治資金規正法違反であるとするものです。
その西松建設の政治団体が実体のない西松建設のダミーであると
いうのが検察の主張です。この容疑により、検察は小沢氏の秘書
の大久保隆則氏を逮捕したのです。事前の任意の事情聴取も一切
なく、いきなり逮捕です。
 大久保隆則氏が逮捕されたのは、2009年3月3日のことで
小沢氏を代表とする民主党が解散総選挙を求めて、自民党の麻生
政権を揺さぶっていた最中なのです。いつ選挙があってもおかし
くないし、総選挙で民主党が勝つことはほぼ予想されていたので
す。もし、民主党が選挙に勝つと、代表の小沢一郎氏が総理にな
ることになります。
 このタイミングで小沢氏の秘書は逮捕されたのです。これはど
うみても民主党潰しであり、選挙妨害です。そのときは麻生政権
による国策捜査ではないかという声が上がったのです。後で判明
したことですが、当時の自民党にもはやそれだけの力はなく、官
僚機構が「小沢だけは総理にしてはならない」としていきなり大
久保秘書を逮捕し、記者クラブメディアを使って小沢潰しを仕掛
けたのです。官僚機構としてはもはや選挙で民主党が勝つのは確
実であったので、せめて小沢氏が総理になることだけを阻むこと
に重点を絞ったのです。これによって官僚機構がいかに小沢氏が
総理になることを警戒していたかがわかると思います。
 しかし、西松建設の政治団体から献金を受けていたのは小沢氏
だけではないのです。ウィキペディアによると、自民党では二階
俊博、尾身幸次、加藤紘一、藤井幸男、森喜朗、藤野公孝、山口
俊一、加納時男、川崎二郎、山本公一、林幹雄、古賀誠、渡辺具
能、民主党は小沢一郎、山岡賢次、改革クラブでは渡辺秀央、国
民新党では自見庄三郎、自民系首長では村井仁などが同じ団体か
ら、同様な会計処理で献金を受け取っていたのです。それなのに
小沢氏の秘書だけが逮捕されたのです。
 それに加えて当時の官僚のトップである漆間内閣副長官が次の
ように述べたことから、小沢氏を狙い撃ちしたものという印象が
一層強くなったのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
  西松献金事件が自民党議員に捜査が波及することはない
                  ──漆間内閣副長官
―――――――――――――――――――――――――――――
 西松建設違法献金事件の裁判は、検察側にとって不利に展開し
2010年になって、検察側証人からも西松建設のOBの団体は
実体のあるものであって、ダミーではないことが明らかになって
きたのです。このままいくと、大久保隆則氏の無罪は確実という
情勢になってきたのです。
 そうすると、東京地検特捜部は、2010年1月15日に小沢
氏の元秘書である石川知裕、池田光智の両氏に加えて、大久保隆
則氏を再び逮捕したのです。大久保氏の裁判がこのまま進むと、
2月には無罪判決が出てしまうので、元秘書3人を逮捕し、起訴
したのです。そのさい、大久保氏に対する訴因を変更し、陸山会
事件として裁判をすることにしています。またしても参議院選挙
の直前の逮捕・起訴です。しかし、陸山会事件の中身とは、不動
産の登記時期を巡る「期ずれ」というとるに足らないものであっ
たのです。        ─── [日本の政治の現況/72]


≪画像および関連情報≫
 ●山崎行太郎氏の政治ブログより
  ―――――――――――――――――――――――――――
  ≪内閣官房副長官・漆間巌の正体と役割を読み解く≫
  「自民党には捜査は及びません」と東京地検特捜部の捜査の
  進展状況を某「政府高官」氏が、自信を持って断言したため
  に、「小沢民主党党首秘書逮捕事件」の風向きが逆転してし
  まったのではないかと思わせるほどの激震が永田町周辺を駆
  け巡っているわけだが、その「失言」をしてしまった「政府
  高官」氏とは、言うまでもなく内閣官房副長官・漆間巌であ
  るらしいが、漆間巌という人物の正体は、意外に知られてい
  ないのではなかろうか。内閣官房副長官とは、かつては田中
  内閣の後藤田正晴や、小泉内閣の石原信雄、古川貞二郎各氏
  等が勤めた、官邸と官僚を結びつける官僚事務方のトップと
  いう重要な役職だが、麻生内閣の内閣官房副長官・漆間巌氏
  の存在は、東京地検特捜部が、派手なラクダのコートを靡か
  せるという、きわめて田舎芝居がかったイデタチで開始した
  今回の「大捜査線」に対する「失言」でクローズアップされ
  るまで、ほとんど注目されることはなかったと言っていい。
  http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/20090307/1236357683
  ―――――――――――――――――――――――――――

漆間官房副長官(当時).jpg
漆間官房副長官(当時)
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2011年09月26日

●「4億円の記載は証拠採用されたのか」(EJ第3147号)

 2011年2月7日、午前10時、東京地裁104号法廷で、
陸山会公判が開始されたのです。そのときの模様を作家の森功氏
は次のように書いています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 10時少し前、元秘書3人が並んで104号法廷に入廷した。
 大久保と石川がチャコールグレーの地味なスーツ、池田は紺地
 にストライプの背広をまとっている。正面に向かって右から大
 久保、石川、池田の順で、登石郁朗裁判長の前に並んで立つ。
 「開廷します」
 裁判長による宣言のあと、検察官による起訴状の朗読、さらに
 小沢側の罪状認否がおこなわれた。焦点の石川がワープロ打ち
 したA4用紙を手にとり、視線を落として口を開いた。「小沢
 議員から借用した4億円の記載が(政治資金収支報告書)ない
 とされているが、私としては記載したつもりだ」。そう全面無
 罪を主張する。そこから水谷建設からの献金に触れた。ひとき
 わ言葉に力を込める。「5千万円を受け取ったそのような事実
 は断じてない」。大久保、池田も同じように全面否認し、無罪
 を主張する。そこから検察側の冒頭陳述に入った。
   ──森功著『泥のカネ/裏金王・水谷功と権力者の饗宴』
                        文藝春秋刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 森功氏といえば、「小沢=悪者」を前提として書いているノン
フィクション作家です。しかし、彼は初公判を傍聴しているので
第1回公判はこのようにしてはじまったのだと思います。ここで
注目すべきは、石川知裕氏が次のように述べている部分です。
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢議員から借用した4億円の記載がないとされているが、私
 としては記載したつもりだ。
―――――――――――――――――――――――――――――
 これによると、石川氏は小沢氏からの借用金4億円を政治資金
収支報告書に記載したといっていますが、「記載したつもりだ」
と、何とも自信がない表現。うろ覚えのようです。官報に掲載さ
れていることを石川氏も彼の弁護士も知らないようです。信じら
れない話です。官報の写しを提出すれば証拠として採用されるの
にやっていないからです。
 最も卑怯なのは検察です。政治資金収支報告書を押収しておい
て、報告書に4億円はちゃんと記載されているのに、記載されて
いないとして断罪しているからです。石川氏としては、報告書へ
記載したと思っていても、「記載していないじゃないか」と検察
にいわれると、書類が押収され検察の手元にあるだけに、「そう
だったかな?」と思ってしまうものです。まさか検察がウソをつ
いているとは思わないからです。
 卑劣なのは検察だけではなく、検察のいうままに今でも「不記
載」と書いている新聞、テレビなどの記者クラブメディアです。
こちらは郷原信郎氏がテレビで、4億円の記載があると証拠を提
示していることや官報に記載がある事実を知っていながら、検察
のいうことをそのまま書いています。これがウソであることを承
知して書いているのです。
 しかし、石川氏にとっては、4億円の記載があるかどうかは自
らが無罪を勝ち取るための必要条件です。それなのに政治資金収
支報告書が官報に載ることを知らないのは不可解です。まして弁
護士も知らないとは!?この弁護士はいったいどっちの味方なの
でしょうか。
 一方、検察にとっては、政治資金収支報告書に記載しているか
いないかなどはどうでもよく、小沢氏の4億円に水谷建設からの
献金が含まれていることを立証することが重要なのです。収支報
告書への不記載は、逮捕するための別件であり、陸山会事件の本
丸は、あくまで水谷建設からの不正献金であったのです。
 検察のいい分というかストーリーはこうです。検察は小沢氏の
4億円のうち、少なくとも1億円は水谷建設からの裏献金が含ま
れているとしています。水谷建設からは5000万円の献金が2
回、計1億円が小沢氏に秘書を通じて渡ったと主張するのです。
 しかし、江川紹子氏はこの主張は、はじめから破綻していると
して、次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 しかしこの検察側の主張は、初公判の時からすでに破綻してい
 た。検察側冒頭陳述によれば、石川氏が水谷建設から一回目の
 現金五〇〇〇万円を受け取ったと検察側が主張しているのは、
 〇四年一〇月一五日。当時の水谷建設社長の川村尚証人も、同
 日午後に全日空ホテルのフロント前で金を石川氏に渡したと証
 言した。ところが石川氏は、同月一三日には小沢氏から預かっ
 た現金の分散入金を始めているのだ。これは銀行の記録ではっ
 きりしている。となると、仮に水谷建設からの五〇〇〇万円が
 あったとしても、小沢氏の四億円に入り込むはずがない。二回
 目の授受、すなわち川村元社長が大久保氏に五〇〇〇万円を渡
 したとするのは、翌年四月一九日だ。小沢氏の四億円が石川氏
 に渡ってから半年以上先のことになる。一億円の水谷マネーが
 小沢四億円とは無関係であるのは、一目瞭然だ。
                   ──「世界」10月号
     江川紹子氏論文『「陸山会事件」とは何だったのか』
―――――――――――――――――――――――――――――
 そもそも陸山会裁判は、水谷建設献金事件とは何の関係もない
のですが、検察側はこの問題を取り上げ、証人を次々と立てる。
それを記者クラブメディアが大きく報道する。しかし、弁護側の
主張はわずかしか書かない。小沢一郎氏を貶めるのが狙いであり
効果満点です。かくて日本国民の80%は、小沢氏は「悪い政治
家」だと思っています。この国は何もかも傷んでいます。今日の
判決は、きっと一部に有罪が出るでしょう。そして、また小沢排
除がはじまると思います。 ─── [日本の政治の現況/73]


≪画像および関連情報≫
 ●小沢秘書3人は無罪か有罪か/ゲンダイネット
  ―――――――――――――――――――――――――――
  先月22日の陸山会事件の最終弁論。前回までの公判で検察
  官の席にドッカリと座っていたひとりの検事の姿が消えてい
  た。東京地検特捜部の斎藤隆博副部長(48)――。公判担
  当の主任検事として、7月の論告求刑公判では衆院議員の石
  川知裕被告に禁錮2年、後任の事務担当秘書だった池田光智
  被告に禁錮1年、元公設第1秘書の大久保隆規被告に禁錮3
  年6月を求刑した。公判の“最後の見せ場”を飾った主任検
  事が突然、表舞台から消えたのだ。「長野県岡谷市生まれで
  中大法学部卒。本来は株の不正操作事件のエキスパートで、
  05年末に出向先の証券取引等監視委員会から特捜部に戻る
  と、ライブドア事件を一から掘り起こして名を上げました。
  将来を嘱望されているエース検事です」(検察事情通)
  以下は、下記サイトで読めます。
       http://gendai.net/articles/view/syakai/132734
  ―――――――――――――――――――――――――――

「世界」2011年10月号.jpg
「世界」2011年10月号
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2011年09月27日

●「小沢氏3秘書へ疑惑の有罪判決」(EJ第3148号)

 2011年9月26日、陸山会裁判の判決が言い渡されたので
す。判決は3人の小沢氏の元秘書はすべて有罪という驚くべきと
いうか、唖然とする判決だったのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 大久保隆規被告 ・・・・・      禁錮3年6月求刑
               禁錮3年/執行猶予5年判決
 石川 知裕被告 ・・・・・        禁錮2年求刑
               禁錮2年/執行猶予3年判決
 池田 光智被告 ・・・・・        禁錮1年求刑
               禁錮1年/執行猶予3年判決
―――――――――――――――――――――――――――――
 これを見るとわかるように、検察側の論告求刑をそのまますべ
て認めた判決です。これについて、26日のアサヒコムは次のよ
うに報道しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 土地取引をめぐる事件で登石裁判長は、小沢元代表から借り入
 れた土地購入代金の4億円を、石川被告が複数の口座に分散入
 金し、その後集約して組んだ定期預金を担保に銀行から融資を
 受けたことを「隠蔽(いんぺい)工作」と指摘。「4億円を隠
 すため、故意に虚偽記載したのは明らかだ」とした。水谷建設
 からの裏献金については「石川被告と大久保被告に5000万
 円ずつ渡した」とした同社元社長の証言は信用できると判断。
 動機を「4億円の原資を追及され、水谷建設からの資金が明る
 みに出ることを恐れたため」と、検察側の主張通りに認めた。
                     ──アサヒ・コム
―――――――――――――――――――――――――――――
 これを読むと、水谷建設の裏献金をすべて認めているというこ
とがわかります。裁判に出てきた証人のいうことは信頼できると
しており、それだけで有罪の判決を下したのです。唖然として言
葉がないという感じです。まさに「司法の危機」です。
 当初多くの検察調書を証拠として採用せず、裁判所は検察の違
法な取り調べを認識し、少しは反省しているのかと思ったら、検
察側の言い分を証拠もないのにすべて認めて有罪にしたのです。
やはり、検察と裁判所は同じ穴のムジナであるということがよく
わかったというべき判決だったのです。
 これは小沢氏の元秘書3人の裁判というよりも、日本を支配し
ているのは官僚なのか、政治家なのかを決める戦いなのです。官
僚機構にとってもはや自民党は敵ではなく、政権交代した民主党
も完全に骨抜きにしています。怖いのは小沢一郎の率いるグルー
プだけです。もし、小沢氏が来年の4月に無罪になれば、9月の
代表選に出馬し、民主党の主流として、いや最悪の場合は総理と
して復活してくる──これは彼らにとって悪夢なのです。
 もちろん、3秘書はすべて控訴するはずです。26日夜、石川
知裕議員は会見を開き、「証拠もないのに水谷建設からの献金を
認めて判決するとは許せない」として、27日にも控訴すると言
明しています。他の2人も当然控訴すると思われます。
 官僚機構にとって、二審や最高裁で無罪が出てもいいのです。
官僚にとっては3秘書を有罪にすれば、小沢氏はその道義的責任
を問われるので、その影響力を削ぐことができ、検察審査会の裁
判も有利に進められると判断しているのです。このように検察と
裁判所が繋がっているのなら、検察審査会も間違いなく繋がって
います。彼らにとっても危機なのです。したがって、あらゆる手
段を駆使して、小沢氏の人格破壊を行っているのです。
 それに彼らにとって強い味方である記者クラブメディアが例に
よってあることないこと書き立てるに決まっているので、小沢氏
のイメージは地に落ちる──そのように考えているはずです。そ
うすれば代表選に出ても勝てないだろうと見ているのです。
 こういう事態は予測されたのです。もし、今回裁判所が3人に
無罪判決を出すと、検察の権威は泥にまみれ、再起不能になるで
しょう。したがって、何が何でも有罪にする必要があったわけで
す。また、水谷建設からの裏献金をムリ筋でも裁判所が認めると
小沢氏に対する検察審査会裁判でも、この問題を取り上げやすく
なります。検察官役の弁護士も、小沢氏に対して有罪判決を出し
たいのでしょう。ましてこの裁判の担当裁判官は、今まで無罪判
決をほとんど出しことのない人物といわれています。
 裁判では、石川氏が4億円を複数の口座に分散したり、4億円
を定期預金にして同額借り入れるという行為を資金を隠蔽するた
めの工作と裁判長は決めつけていますが、これはきわめておかし
な話です。そんなことは企業でよくやることだからです。現金は
それがたとえ担保になって使えなくても、帳簿上存在する方がい
ろいろな意味において企業にはメリットがあるのです。そのため
に利息がかかったとしてもです。
 もっともこのあたりのことについて、石川氏がうまく説明でき
ていないことも確かです。そうであるとしても、そのことが違法
であるはずもありません。このような怪しいことをしているのだ
から、有罪というのでは無茶苦茶です。この点については改めて
詳しく述べることにします。
 この3秘書の有罪判決については、現時点ではあまりにも情報
が少ないのです。おそらく明日から来週にかけて多くの情報が出
てくるものと思います。そこで、今週はこの問題はひとまずおい
て、別な観点から政治の問題を論じ、十分な情報収集をしたうえ
で、改めて今回の判決の問題点を検証する予定です。
 野田内閣は完全に財務省に牛耳られており、バックにいる財務
省事務次官の勝栄二郎氏が動かしています。そのため、「勝栄二
郎内閣」と呼ばれています。ここにきて週刊誌などではそう書く
ようになってきています。ここまで日本経済をだめにした責任は
財務省と日銀にあります。それに懲りもせず、この経済状況にお
いて、増税をやろうとしているのです。野田内閣では日本は沈む
一方です。        ─── [日本の政治の現況/74]


≪画像および関連情報≫
 ●26日のBSプライムニュースを見て追加コメント
  ―――――――――――――――――――――――――――
  26日のBSプライムニュースでは、またしても、解説委員
  (フジテレビ経済部長/安倍宏行氏)がおかしな発言をして
  いる。小沢氏から借り入れた4億円を収支報告書に記載しな
  いで隠したといっている。しかし、これは事実と異なる。官
  報にきちんと記載されていることは、EJで何回も述べてい
  る通りである。それに、あの宗像弁護士を呼んできてコメン
  トを求めている。これはフェアではない。少なくとも弁護側
  の弁護士も呼ぶべきではないか。しかし、その宗像氏ですら
  水谷建設の裏献金については証拠を示しておらず、状況証拠
  のみであるといっている。実に疑惑に満ちた判決であったと
  いうことである。
  ―――――――――――――――――――――――――――

石川被告「断固として戦い続ける」.jpg
石川被告「断固として戦い続ける」
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2011年09月28日

●「このままでは日本はカルタゴになる」(EJ第3149号)

 首相になってからの野田氏を見ていて考えたことがあります。
国会での演説と国連総会での演説──いずれも代表選のさいに魅
せたあの語り口が姿を消し、つまらなくなったことです。役人の
作った原稿を棒読みしているからです。自ら失敗しないように安
全運転を心掛けているように見えます。これを安定というか、小
心というかは人によって違うでしょうが、私には彼はごく普通の
平均的日本人であり、実直なサラリーマンのように見えます。
 日本は大国です。まして日本は未曽有の危機に瀕しているので
す。そういう国の首相には豊富な経験があるか、何か人とは違う
才能を持った人物でないと、務まらないと思うのです。ごく普通
の人では少し荷が重いのではないでしょうか。
 9月24日付の朝日新聞の「記者有論」で、東北復興取材セン
ターの蔵前勝久氏は小沢一郎氏は首相になるべきであると述べて
います。朝日新聞の記者としては珍しいことです。身近で取材し
ていた記者だからわかるのでしょうが、小沢氏は普通の政治家に
はない独特のパワーを感ずるのでしょう。
―――――――――――――――――――――――――――――
 8月まで民主党の小沢一郎元代表を担当し、東日本大震災の被
 災地・仙台に転勤してきて、私は率直に思う。小沢氏はやはり
 首相になるべきではないか。被災地・岩手県出身として東北復
 興の先頭に立つべきではないか──。9月24日付の朝日新聞
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢氏はきちんとした国家観を持っています。かつて彼は「日
本は普通の国になるべきである」と主張しています。小沢氏のい
う普通の国とは何でしょうか。
 まず、小沢氏は「日本は真の国際国家になる必要がある」と主
張して、次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 国家とは本来、利己的な存在である。経済がどんなにボーダー
 レスになろうと、この本質は変らない。(中略)国民の豊かで
 安定した生活の前提となるのは国家の安全である。国家の安全
 を確保するためには、国際環境の平和と安定がどうしても欠か
 せない。今日、経済的にも軍事的にも政治的にも、どの国も単
 独では自国の安全を保障し得ない以上、各国が協調してそれを
 実現するしかない。            ──小沢一郎著
                『日本改造計画』/講談社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 続いて小沢氏は、真の国際国家になるには「普通の国」になれ
ばよいというのです。そして、普通の国には次の2つの要件があ
るというのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 @国際社会において当然とされていることを当然のこととして
  自らの責任で行うことである。当たり前のことを当たり前と
  考え、当たり前に行うこと
 A豊かで安定した国民生活を築こうとして努力している国々に
  対し、また地球環境保護のような人類共通の課題について自
  ら最大限の努力をすること  ──小沢一郎著の前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 この2つの要件のうち、日本はAの要件に関しては、十分では
ないものの、これまで行ってきていると小沢氏はいっています。
問題は@なのです。@は、安全保障の問題ですが、これについて
小沢氏は次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 湾岸戦争時の国際貢献やPKO協力法案をめぐる論議を振り返
 るまでもなく、こと安全保障となると、にわかに憲法や法制度
 を口実にしたひとりよがりの理屈がまかり通り、何とか国際協
 調の責任と役割を回避しようとする。どの国よりも世界の平和
 と安定に貢献しなければならない立場の日本が、安全保障を国
 際貢献の対象分野から除外することなど許されるわけがない。
 そのことを冷静に考え、安全保障の面でも自らの責任において
 自らにふさわしい貢献ができるよう、体制を整えなければなら
 ない。これは、軍国主義化、軍事大国化などとはまったく別次
 元のことである。       ──小沢一郎著の前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢氏がこのようにいうのは理由があるのです。あの湾岸戦争
のさい、小沢氏は自民党の幹事長としてこの問題の対応に当った
のですが、その国際貢献をめぐって国が思うように動かなかった
反省を踏まえての考え方です。
 その当時、日本は国内の経済発展と財の配分しか考えておらず
安全保障の面では米国におんぶにだっこの状態だったのです。こ
れでは日本は「片肺国家」であり、国際社会で通用する普通の国
になる必要がある──小沢氏はこう主張するのです。
 ここで小沢氏は、北イタリアに栄えたヴェネツィア共和国のベ
ニスと古代フェニキアの都市、重商国家カルタゴを日本をになぞ
らえて警告を発しています。
 ベニスは商売が上手だったわけではないのですが、全市民が政
治にも安全保障にも積極的に参加し、地中海を完全に制覇してい
たのです。自由な交易には地中海の平和が不可欠であり、それを
ベニスは自前の強力な海軍で守り、千年の繁栄を築いたのです。
 これに対してカルタゴは、豊かさという点ではローマよりはる
かに上回っていたのですが、安全保障の方は財力にまかせて集め
た傭兵で軍隊を作り、国を守っていたのです。つまり、自国の市
民は安全保障に参加していないのです。そのため、農民を中心と
したローマ軍団に滅ぼされてしまったのです。それでもカルタゴ
は600年も続いたのです。
 小沢氏は、このままでは日本はまだ66年しか経っていないが
カルタゴのようになると警告しているのです。現代の日本の政治
家で、これほどしっかりとした国家観を持っている人物はいない
と私は思うのです。    ─── [日本の政治の現況/75]


≪画像および関連情報≫
 ●「カルタゴの話」/二階堂ドット・コム
  ―――――――――――――――――――――――――――
  カルタゴは紀元前250年頃、地中海に覇を唱えていた大国
  でした。第2次ポエニ戦争に負けて、戦勝国から武装を解除
  させられ、戦争を放棄することになったカルタゴは、戦後の
  復興を貿易一筋で見事に成し遂げ、戦後賠償も全てきれいに
  払い終えました。しかし、その経済を脅威だと捉えたローマ
  帝国によって、結局は滅ぼされてしまいました。(中略)こ
  の悲惨なカルタゴ滅亡の理由は2つあると言われています。
  1つは、カルタゴ市民が軍事についてほとんど無関心だった
  ことが挙げられます。もともと自国の防衛はおおむね傭兵に
  頼っていた上に、国内世論も「平和主義的」な論調が強く、
  有事に備えて軍事力を蓄えておくといったことはままなりま
  せんでした。2つめは、国内の思想が分裂状態であったこと
  が挙げられます。そもそも挙国一致して事に当たらなければ
  有事を乗り切ることはなかなか難しいものですが、カルタゴ
  にはそれがなく、戦時中にハンニバルが外地を転戦している
  間も市民は素知らぬ顔をしていました。そして、ハンニバル
  を売り渡したのはローマに洗脳されたカルタゴの売国奴達で
  した。     http://www.nikaidou.com/archives/11050
  ―――――――――――――――――――――――――――

カルタゴの遺跡.jpg
カルタゴの遺跡
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2011年09月29日

●「羽毛田長官発言報道の異常さ」(EJ第3150号)

 日本の現在の政治状況は、異常な状況の渦中にあります。この
ことが顕著になったのは、民主党が政権交代をしてからです。も
う少し正確にいうと、自民党時代には目立っていなかったことが
民主党政権──とくに鳩山政権時において次々と起きていること
です。なぜ、鳩山政権時かというと、小沢一郎氏が与党の幹事長
として民主党を動かしていたからです。
 それは対官僚機構との問題です。小沢氏は彼が自民党を離党し
たときから、明治維新以来続いている官僚主導政治を国民の手に
取り戻し、政治家が主導する政治を行うことを目標にして、長い
年月をかけて政権交代を成し遂げたのです。
 なぜ、自民党時代には目立たなかったのかというと、政治家が
官僚機構と融合し、棲み分けができていたからです。しかし、そ
の実態は自民党が官僚機構にうまく使われていただけなのです。
政治改革を目指す小沢一郎氏が自民党を見限ったのは、政と官の
癒着があまりにもがっちり噛み合っていて、自民党の中からでは
改革できないことがわかったからです。
 官僚機構から見ると、その当時民主党を動かしている小沢幹事
長の存在は危険であり、何とか民主党の中枢と小沢氏を引き離す
必要があると考えたのです。そこで、官僚機構は彼らの配下の記
者クラブメディアを総動員して、民主党政権がスタートする以前
から、執拗に小沢潰しをやってきており、それはここまでかなり
成功してきているといえます。
 まず、鳩山政権を潰し、小沢氏を幹事長から外しています。そ
して、菅政権を擁立し、その自民党化を強引に進めたのです。そ
の中心になっているのは財務省であると考えられます。彼らは、
自分たちこそが国家の中枢であり、それを邪魔するものは何者と
いえども排除するという強い姿勢なのです。しかし、菅政権はあ
まりにも政権運営が稚拙であり、内閣の支持率は低下の一途をた
どったので、官僚機構は別の手を考えたのです。
 そこで官僚機構は野田氏を担ぎ、首相に据えることに成功した
のです。菅氏にしても野田氏にしても財務相から首相に上がって
いるのがポイントです。そして、菅と野田の2つの政権で、鳩山
政権のとき小沢氏が手がけた諸改革を次々と元に戻しているので
す。もはや、民主党の反小沢勢力は完全に自民党化されており、
もはや政権交代時の民主党ではなくなっています。
 しかし、国民の多くはそう見ていないのです。彼らは記者クラ
ブメディアの報道により、事実を真逆にとらえている傾向があり
ます。彼らは小沢氏は政治とカネに汚い悪の政治家としてとらえ
ており、小沢がからむと、すべて小沢が悪いと考えるのです。
 その象徴的出来事が2009年12月12日に起きています。
この日、羽毛田信吾宮内庁長官は中国の習近平国家副主席と天皇
の会談に関して問題発言をしたのです。それは、外国首脳と天皇
の会見は1ヵ月前に申請するというルールを破るのものであった
として羽毛田長官はおよそ次のようなことをいったのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 習近平国家副主席と天皇陛下との会見は、1ヵ月ルールに違反
 しており、最初は天皇の体調不良を理由に断ったが、官邸の強
 い要望により、陛下に心苦しい思いでお願いした。二度とこう
 いうことがあってはならない。天皇の政治的利用じゃないかと
 いわれれば、そうかなという気もする。現憲法下の天皇のお務
 めのあり方や役割といった基本的なことがらにかかわることで
 ある。     ──羽毛田信吾宮内庁長官/ウィキペディア
―――――――――――――――――――――――――――――
 この羽毛田長官の発言は、とんでもないものなのです。なぜな
ら、天皇の憲法上の地位を定めた日本国憲法第1章第3条には次
のように明記されているからです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必
 要とし、内閣がその責任を負う。──日本国憲法第1章第3条
―――――――――――――――――――――――――――――
 つまり、天皇のすべての国事行為は内閣の責任の下に行うとい
うことであり、内閣が必要と判断した場合は、慣例を破っても問
題はないからです。法律ではないからです。
 国の大きな外交は、1ヵ月以内の直近になって起きることが多
いのです。習近平国家副主席は2012年秋に国家主席になるこ
とが確定しており、中国が天皇との会見を要請している以上、国
益のためにも天皇との会見は行うベきであるという官邸の判断は
間違っていないのです。
 しかし、小沢幹事長が羽毛田長官の発言を強く批判し、宮内庁
は内閣の一組織であり、内閣の方針に従うのが嫌ならば、退任し
てからいうべきであると発言したところ、記者クラブメディアは
「小沢幹事長は天皇を政治利用している」として一斉に批判した
のです。これが異常なことでなくて何でしょうか。
 この羽毛田長官の発言については、ネットでは小沢幹事長が正
しいという論調が圧倒的です。北村隆司氏のブログでは、次のよ
うに羽毛田長官の発言を批判し、羽毛田長官の適格性と宮内庁の
あり方を徹底的に追及すべきと問題視しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 羽毛田長官には、これまでにも彼の記者会見には「自分が作っ
 た基準で天皇家の言動をある意味牛耳りたい」という気持ちが
 見え隠れしているように思うのは私だけでしょうか?
         http://agora-web.jp/archives/849089.html
―――――――――――――――――――――――――――――
 これは議論の余地はなく、明らかに羽毛田長官は間違っていま
すが、メディアは小沢氏がからんでいると矛盾していることでも
平気で批判し、国民をミスリードしようとしています。記者クラ
ブメディアが官僚機構の配下にあるというのは、これによって明
らかであるといえます。なお、羽毛田長官は何の反省もなく、現
在も地位にとどまっています。── [日本の政治の現況/76]


≪画像および関連情報≫
 ●ブログ「もりのくま」の意見/羽毛田長官発言
  ―――――――――――――――――――――――――――
  宮内庁によれば、「1カ月ルール」が設定された95年以降
  守られなかったケースは22件もありました。これらについ
  ても羽毛田長官が知らないはずはありません。もし、知らな
  かったとしたら、それこそ長官失格です。1昨年12月の特
  例会見が、まるで有史以来の出来事のように騒ぎ立てた羽毛
  田長官の発言はあまりに悪質でした。「文句があるなら辞表
  を出してから言うべきだ」と言った小沢幹事長の見解はもっ
  ともで、羽毛田長官自身が天皇の了解を得たのだから、決ま
  った後でゴタゴタ言うなという話です。
http://maiko.cocolog-nifty.com/kuma/2011/01/post-c93b.html
  ―――――――――――――――――――――――――――

羽毛田宮内庁長官.jpg
羽毛田宮内庁長官
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2011年09月30日

●「いまだに天皇機関説に立つ官僚」(EJ第3151号)

 羽毛田宮内庁長官の発言についてさらに考察を続けます。この
問題については、メディアは一方的に「小沢一郎の天皇の政治利
用」と批判を強めていますが、事実はかなり異なるのです。
 たまたま小沢幹事長が大勢の民主党議員を連れて中国に行き、
戻ってきたばかりだったので、メディアは小沢氏が中国側の要請
を受け入れて宮内庁に圧力をかけたというストーリーになってい
るのですが、EJの調査ではまったく事実と異なるのです。小沢
氏は次のように発言しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 私が中国要人を天皇に会見させよと言ったことはない。自分は
 この件には関係していない。    ──小沢幹事長(当時)
―――――――――――――――――――――――――――――
 この件に関し、あの評論家・副島隆彦氏は次のやりとりがあっ
たことを明かしています。これは内閣の仕事であり、幹事長の小
沢氏の仕事ではないのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 事実はどうやら、まず、羽毛田長官のほうが平野博文官房長官
 に対して、天皇会見の要請を拒絶した。そのあと、再び、今度
 はアメリカ国務省が日本外務省に「習近平を天皇に会わせろ」
 と要求してきた。それを外務省は鳩山首相に直接連絡したとこ
 ろ、平野官房長官が再度羽毛田に「なんとかならないか」とお
 願いした。それでも羽毛田が首を縦に振らなかった。そうした
 ら、なんと今度はヘンリー・キッシンジャーを通して、子分の
 中曽根康弘・元首相に直接電話が行き、「習近平を天皇に会わ
 せろ」となった。そこで中曽根は平野官房長官に電話して「習
 近平を天皇に会わせろ」と圧力をかけた。困った平野官房長官
 が再々度、羽毛田に会見を要請したら羽毛田が怒りだして、そ
 れで12日の宮内庁長官としての暴走会見をしました。
           ──副島隆彦/佐藤優著/日本文芸社刊
  『小沢革命政権で日本を救え/国家の主人は官僚ではない』
―――――――――――――――――――――――――――――
 副島隆彦氏の情報というと、その真偽を疑う人もいますが、私
の知る限り、副島氏の情報は正確です。ちなみにこの件に関し、
中曽根氏自身のコメントは産経新聞の記事として載っています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 中曽根康弘元首相は、12月24日、都内の事務所で記者団と
 懇談し、天皇陛下と中国の習近平国家副主席との会見を実現さ
 せた政府の対応について「慎重に処理してきたと思う。あの程
 度の時間的ズレは(30日ルールの)原則の枠内のことなので
 認めていい」と述べた。自らが首相官邸サイドに会見の実現を
 要請した点に関しては「ノーコメント」とした。
          ──産経新聞/2009年12月25日付
―――――――――――――――――――――――――――――
 問題はどうして羽毛田長官はここまで抵抗したのでしょうか。
 それは羽毛田長官をはじめとする官僚が、現在でも自分たちが
明治維新以来の「天皇の官僚」という考え方に立っているからで
す。この考え方は、終戦で天皇は象徴天皇になり、天皇の地位は
憲法第3条に示されている通り、天皇は「内閣の助言と承認に基
づいて国事行為を行う」と定められているのですが、意識の方が
それについていっていないのです。これは「天皇機関説」そのも
のであるといえます。
 したがって、今でも官僚は天皇を擁して日本国を支配している
と思っているのです。そのため、宮内庁は「1ヵ月ルール」なる
ものを作って天皇を管理し、その慣例を金科玉条のものとしてい
るのです。これこそ天皇の政治利用そのものです。
 しかもこの「1ヵ月ルール」を守らなかったケースは1995
年以降22回もあり、この事実を羽毛田長官自身が知らないはず
がないのです。それに宮内庁の長官ともあろう人が官房長官との
内輪の話を記者会見を開いて勝手に公表するのは言語道断なこと
であり、思い上がりも甚だしいといえます。
 これに対して小沢幹事長(当時)が「内閣の一部局にすぎない
宮内庁が内閣の指図にあれこれ反対するのは許されないこと」と
批判すると、マスコミは「小沢がそういうことをいうのはけしか
らん」と書き立てて、大騒ぎになっています。
 これほど黒白が明白なことでも、小沢氏がいうと、何でも批判
する人が多いのは明らかに異常です。これは改革派官僚といわれ
る人でも同じなのです。その意見を何回も取り上げている元経産
省官僚の原英史氏も、こと小沢一郎のことになると、羽毛田擁護
に回ってしまうのですから、唖然とします。やはり、官僚の側か
らはそう見えてしまうようです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 30日ルールを破って、会見実現を働きかけた鳩山総理や平野
 官房長官の対応に、羽毛田信吾宮内庁長官が異例の批判会見。
 これに対し、小沢幹事長が「日本国憲法、民主主義というもの
 を理解していない人間の発言としか思えない」と強烈に批判し
 て、騒ぎとなった。(中略)しかし、一連の発言は、民主党政
 権の「脱官僚」の危うさを世に知らしめるものだったといって
 よい。特に、小沢氏の「国民の選んだ内閣だから、天皇に何を
 させても自由」と言わんがばかりの発言は、憲法と民主主義に
 対する理解の浅さを露呈するものだった。言うまでもなく、憲
 法上、天皇は「日本国および日本国民統合の象徴」だ。天皇を
 政権の外交の道具として利用することは、「象徴」としての地
 位を脅かしかねないので、あってはならない。「政権として、
 日中関係が重要と考えるので、中国の要人と会っていただくこ
 とを『優位性が高い』と位置付ける」という小沢氏の発想は、
 まさに「天皇の政治理由」そのものであって、認められないの
 だ。     ──原英史著『官僚のレトリック』/新潮社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
            ――── [日本の政治の現況/77]


≪画像および関連情報≫
 ●羽毛田長官の事件について/佐藤優氏
  ―――――――――――――――――――――――――――
  この間題は、今起きている「小沢政治資金問題」における検
  察の態度と一緒です。このように「官僚が権力を握るのか」
  あるいは「選挙によって選ばれた政治家が権力を握るのか」
  という権力闘争が、日本の国家のあらゆる場面で出てきてい
  る感じがします。ここのところが見える人と見えない人、こ
  の基本線が見える人と見えない人で、今、世の中が違って見
  えてくると思うのです。村上春樹さんの『IQ84』(新潮
  社刊)を読むと問題の本質をとらえることができます。ある
  特殊な人たち、ある特定の経験を遂げた人たちには、月が2
  つ見えるというのです。『IQ84』というのは、「198
  4」、と「クエッション(Q)」の84を含意しています。
  別の世界ではなくて、同じ世界がある人にはこう見えて、別
  の人にはこう見える、と。仏教で言うところの「地獄の血の
  池」と、「天上の蓮の池」が同じというのと一緒です。だか
  ら、2009年12月の羽毛田長官の不当な会見に対しても
  どこに自分の視座を置くかによって、全然異なる事件に見え
  るはずです。   ──副島隆彦/佐藤優著/日本文芸社刊
  『小沢革命政権で日本を救え/国家の主人は官僚ではない』
  ―――――――――――――――――――――――――――

副島隆彦氏.jpg
副島 隆彦氏
posted by 平野 浩 at 03:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月03日

●「執拗極りない小沢氏への人格破壊」(EJ第3152号)

 陸山会事件とその裁判とは一体何だったのでしょうか。いろい
ろな見方があるでしょうが、私は官僚機構(以下、霞ヶ関)対小
沢一郎率いる民主党の戦い──霞ヶ関主導か政治家主導かを決め
る戦いであるとみています。検察はストーリーを作って人を罪に
陥れるのが得意ですが、その手法に倣ってこちらもストーリーを
作って解説することにします。
 陸山会事件が起きたのは2009年春のことです。東京地検特
捜部が小沢氏の公設第一秘書の大久保隆規氏を政治資金規正法違
反で逮捕したことからはじまったのです。既にその時点で、夏の
衆院選での政権交代はほぼ間違いない情勢だったのです。
 しかし、この大久保秘書の逮捕によって、民主党が大打撃を受
けたことはいうまでもないことです。結局、これにより小沢氏は
代表を辞任せざるを得なくなったのです。これがなければ、小沢
政権が誕生していたのです。
 小沢政権は霞ヶ関にとって最悪の政権なのです。小沢氏が自民
党を離党した1993年以降16年間の政治活動を調べると、彼
は政治改革に一貫して強い意欲で取り組んでおり、それを着実に
前進させてきていることがわかります。民由合併によって、参院
選を勝利し、2009年の衆院選で自民党に勝って政権交代を実
現すると小沢政権が誕生することになります。そうすれば、霞ヶ
関主導の政治から真の政治家主導の政治への転換を図る大仕事に
小沢氏が着手することは目に見えていたのです。
 私は別に小沢ファンではありませんが、この大仕事ができるの
は小沢一郎氏しかいないと思っています。長い間にわたってブレ
ない政治信条を掲げて、しかも着実にその実現に向かって進めて
いく力は、他の政治家に見られない強いリーダーシップを感じま
す。霞ヶ関もそのことはよくわかっていたはずです。実際に鳩山
政権でも菅政権でも公務員制度改革を前進させるどころか、大幅
に後退させてしまっているではないですか。
 そこで霞ヶ関は、大久保秘書を逮捕することによって、小沢政
権の誕生を何とかぎりぎりで回避したのです。それでも政権交代
は起こってしまったのですが、それでも小沢氏を総理にしなかっ
たことは霞ヶ関にとっては大成功であったといえます。
 しかし、大久保秘書の裁判は、もともとムリ筋の裁判であった
ので、検察にとってきわめて不利に展開したのです。西松の政治
団体はダミーの団体ではなく、実体があったという証言が検察側
証人から出るなど、大久保氏は無罪必至の情勢となったのです。
 それに西松建設からは、小沢氏以外にも自民党の多数の議員が
まったく同じルートで献金を受けており、小沢事務所だけを問題
にするには、あまりにも不公平なのです。
 大久保氏の判決は2月には出さなければならず、もし無罪判決
が出ると、総選挙前に次期首相になる可能性のある国会議員の秘
書を事情聴取もせず逮捕したことに大きな非難が巻き起こること
は必至であり、またしても小沢氏が復権してしまう可能性があっ
たのです。鳩山政権が沖縄問題で迷走しており、先行き不安定で
あったので、総理が小沢氏に代わる可能性があったからです。
 そこで、霞ヶ関は大久保裁判の不利を挽回することを目的とし
てさらに強引な手法を取ったのです。2011年1月15日に突
然大久保隆規氏を含めて、石川知裕、池田光智の元秘書の3人を
政治資金収支報告書虚偽記載容疑で逮捕したのです。これが「陸
山会事件」です。
 このとき、大久保氏については次の日の逮捕になっています。
所在が掴めなかったからです。実はこういうことは、通常あり得
ないことなのです。というのは、逮捕するには事前に所在を確認
して行うからです。したがって、この3元秘書の逮捕がぎりぎり
で決定されたことを物語っています。おそらく検察内部でも逮捕
について賛否両論があったものと思われます。
 3人を逮捕するや、特捜部は裁判所と話し合い、大久保氏の裁
判──西松建設からの違法献金容疑と政治資金収支報告書虚偽記
載容疑を一緒にして行う訴因変更を決めてしまったのです。狙い
は西松建設からの違法献容疑の裁判を世間の目から隠し、2つの
裁判を合わせて判決することです。この訴因変更に関わった裁判
長があの登石郁朗氏なのです。大久保氏の弁護団はこの訴因変更
を不服として特別抗告したのですが、最高裁はこれを認めなかっ
たのです。裁判所がすべてグルになっているようです。
 こうして陸山会事件がスタートしたのですが、検察は小沢氏を
起訴できなかったのです。記者クラブメディアが検察のリーク情
報を書き立てたので、たとえ不起訴になっても小沢氏のイメージ
ダウンは必至であり、鳩山首相の退陣と一緒に幹事長を辞任せざ
るを得ないことになったのです。霞が関の連戦連勝です。
 不起訴にせざるを得なくなった小沢氏に対して次に仕掛けたの
が、検察審査会の起訴相当です。検察審査会は検察の起訴や不起
訴を問題にするものですが、実際はウラで、つながっているので
す。現に検察関係者が、小沢氏の不起訴が決まった直後に次のよ
うにいっているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢一郎は検察で不起訴になっても、検察審査会で審議され
 起訴相当になる。      ──元東京地検特捜部弁護士
―――――――――――――――――――――――――――――
 実際にその通りになり、通常では考えられないことですが、2
回の起訴相当が出て強制起訴が決まっています。この検察審の決
定はきわめて不明朗であり、疑惑が山ほどあるのですが、その究
明は進んでいません。
 そうでなくても小沢氏は記者クラブメディアによって「世紀の
悪党」にされているので、大部分の人は「小沢が悪いとは知って
いたが、そんなに悪いやつなのか」と思ってしまいます。社会の
木鐸といわれるマスコミが小沢一郎という一人の政治家に対して
「人格破壊」的キャンペーンをしているのですから、もはや世も
末です。        ――── [日本の政治の現況/78]


≪画像および関連情報≫
 ●田中良紹の「国会探検」より/The Journal
  ―――――――――――――――――――――――――――
  東京地検はなぜ贈収賄事件として贈賄側を逮捕し、次いで収
  賄側の立件に至らなかったのか。一連の事件には初めから不
  可解な点が纏わりついている。まず政権交代がかかった衆議
  院選挙直前の3月に「西松建設事件」で大久保秘書が政治資
  金規正法の虚偽記載容疑で突然逮捕された。形式犯とも言え
  る容疑での強制捜査は前例がない。しかも時期的に総理にな
  る可能性の高い政治家に対する捜査である。検事総長以下最
  高幹部が意思統一し捜査に臨むのが決まりである。ところが
  「検察首脳会議」は開かれず、「若手検事の暴走」という形
  で強制捜査が行われた。
http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2011/09/post_276.html
  ―――――――――――――――――――――――――――

法廷に入る大久保隆規氏.jpg
法廷に入る大久保 隆規氏
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2011年10月04日

●「不利なことは強調、有利なことは無視」(EJ第3153号)

 西松建設事件や陸山会事件については、ネットまで含めると、
非常に多くの人が記事を書いています。それらの記事のなかには
最初から「小沢=悪人」という前提で記事を書いている人がいま
す。いい換えると、小沢氏に対して何らかの悪意を抱いて記事を
書いており、小沢氏にとって都合の悪い情報を強調し、逆に有利
な情報は知っていてもを書かないのです。
 その一つの例を取り上げてみましょう。『WiLL』11月超
特大号に掲載されているフリージャーナリストの長谷川学氏の論
文の一部です。ちなみにこの雑誌は小沢一郎のことを絶対によく
書かないことで知られています。なお、長谷川氏の論文は陸山会
判決以前に書かれています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 西松建設事件についてはすでに〇九年七月、東京地裁が西松建
 設の国沢幹雄元社長に対し、禁固一年四ヵ月、執行猶予三年の
 有罪判決を出していた。判決によると、西松建設は公共工事の
 談合で受注を確実にするために、一九七七年頃から実体のない
 ダミー団体(未来産業研究会、新政治問題研究会)を通じて、
 陸山会などに違法献金を行った。一方、大久保被告に関して検
 察側は、ダミー団体から献金を受ける際に、大久保被告が西松
 建設の幹部と折衝するなど「ダミーと知りながら違法な献金を
 受けた」と指摘。この点について、証人として出延した西松建
 設元総務部長(献金の窓口役)が、「西松本社に大久保被告が
 前年の実績を示す表を持ってきて、小沢氏側のどの団体に献金
 するか割り振りを決め、元社長に承諾をもらった」と、検察側
 主張を裏付ける証言を行った。       ──長谷川学氏
    『「小沢一郎、無罪」でも無実ではない』/ワック出版
―――――――――――――――――――――――――――――
 西松建設事件の裁判における重要ポイントは、西松建設の2つ
の政治団体──未来産業研究会、新政治問題研究会がダミー団体
であるか否かにあります。もし実体のある政治団体であれば、献
金は何も違法ではないのです。多くの自民党などの議員も同じ団
体から献金を受けているのです。
 これについて、上記記述に出てくる西松建設元総務部長(献金
の窓口役)の岡崎彰文氏は2010年1月13日に検察側(弁護
側ではない!)の証人として出廷し、同政治団体は実体のある政
治団体であることを明確に証言したのです。2010年1月13
日付の読売新聞の記事を読んでください。
―――――――――――――――――――――――――――――
  準大手ゼネコン「西松建設」から小沢一郎・民主党幹事長の
  資金管理団体「陸山会」などへの違法献金事件で、政治資金
  規正法違反(虚偽記入など)に問われた小沢氏の公設第1秘
  書で同会の元会計責任者・大久保隆規被告(48)の第2回
  公判は、13日午後も、岡崎彰文・元同社取締役総務部長の
  証人尋問が行われた。岡崎元部長は、同社OBを代表とした
  二つの政治団体について、「西松建設のダミーだとは思って
  いなかった」と証言した。公判では、大久保被告が両団体を
  同社のダミーと認識していたかどうかが争点で、審理に影響
  が出そうだ。岡崎元部長は、裁判官の尋問に対し、「二つの
  団体については、対外的に『西松建設の友好団体』と言って
  いた。事務所も会社とは別で、家賃や職員への給料も団体側
  が支払っていた」と説明。前任者に引き継ぎを受けた際にも
  「ちゃんとした団体で、問題はないと言われていた」と答え
  た。昨年12月の初公判で、検察側は、同社が信用できる社
  員を政治団体の会員に選び、会員から集めた会費を献金の原
  資にしていたと指摘したが、岡崎元部長は「入会は自分の意
  志だと思う。私自身は、社員に入会を強要したことはない」
  と述べた。     ――2010.1.13付、読売新聞
―――――――――――――――――――――――――――――
 長谷川学氏は、西松事件についてこの裁判の第1回公判のさい
の岡崎彰文氏の供述のみを取り上げ、第2回公判の同氏の証言を
あえて無視しています。これでは大久保被告は限りなく疑わしい
存在になってしまいます。もし、『WiLL』11月超特大号の
長谷川氏の論文を読んだ人は、このように書かれると、大久保は
クロだなとだれでも思ったでしょう。
 驚くべきことに、登石裁判長も大久保氏にとって有利な証拠で
ある第2回公判における岡崎彰文氏の証言を無視して、第1回公
判の同氏の証言に基づいて判決をいい渡しています。いったいど
うなっているのでしょうか。はじめから大久保氏を有罪にするつ
もりだったといわれても仕方がないでしょう。
 まして日本の大新聞やテレビ──記者クラブメディアで小沢氏
のことを好意的に書くところは一社もないのです。したがって、
小沢氏の心証は限りなくクロに近いものになります。それに加え
て新聞社は世論調査を頻繁に行い、小沢を支持しない人を無限に
作り出そうとしています。あえて意図的にそういう工作をやって
いるようにさえ思えるのです。
 陸山会判決の出た翌日の27日のテレ朝の「ワイドスクランブ
ル」で大澤孝征弁護士は判決について、「裁判員裁判時代の現代
的感覚に基づいた判決」と裁判長を評価し、コメンテーターの須
田慎一郎氏は「この判決はある意味において国民の期待に応える
もの」という妙なコメントをしたのを違和感を持って覚えていま
す。大澤弁護士はもともと小沢氏に対して好意的なコメントをす
る人ではないし、須田氏にしても最近テレビの出演者は下手に小
沢氏の擁護をすると、コメンテーターから外されるので、発言が
慎重になっている傾向があるのです。まさに、「ものいえば唇寒
し」の状況になのです。
 どうしてここまで小沢氏は貶められなければならないのでしょ
うか。これはウォルフレン氏のいう通り、小沢氏への人格破壊そ
のものです。この状態はけっして正常ではなく、異常のそのもの
といえます。      ――── [日本の政治の現況/79]


≪画像および関連情報≫
 ●なぜ自民党は調べないのか/西松建設献金
  ―――――――――――――――――――――――――――
  小沢と同様に西松建設から献金を受け取った議員のうち、二
  階を除く自民党議員(森、尾身など)に対し検察側が捜査の
  動きを見せていないことについて、『SAPIO』は角福戦
  争以降歴史的に旧田中派と敵対して来た清和政策研究会の意
  向が検察の捜査に反映されていると指摘した(同誌は、小泉
  政権以降の自民党が検察に対して強い影響力を持つようにな
  ったことを指摘している)。また、陸山会が提出した政治資
  金収支報告書について、「公表義務の無い5万円以下の個人
  献金から西松の政治団体からの献金まで詳細に記載されてお
  り、透明性が高い」と指摘した上で、二階俊博による政治資
  金収支報告書では献金のほとんどが公表義務の無い5万円以
  下の個人献金であるかのように処理されている点を挙げて、
  検察による捜査の公平性について疑問を呈している。一方、
  「政治家側がダミー団体と認識していた明確な証拠がないだ
  け」とする報道もある。       ──ウィキペディア
  ―――――――――――――――――――――――――――

「WiLL」.jpg
「WiLL」
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2011年10月05日

●「西松建設からの献金は違法なのか」(EJ第3154号)

 元小沢事務所の大久保隆規公設第1秘書は、小沢氏の地元であ
る岩手県の公共工事の仕切り役として活躍し、ゼネコンに対して
多額の政治献金を要請していたといわれています。公設第1秘書
ですから、政治資金集めに奔走するのは当然ですが、小沢氏は野
党であり、記者クラブメディアが煽るように、裏献金などありえ
ないはずです。
 今回の判決で登石裁判長は、公共工事の業者選定で小沢事務所
が「天の声」を出していたという背景的事実を認定していますが
何の証拠もないのです。世間がそういっているからそうなのだろ
うという推認に過ぎないのです。しかもそういう情報を流してい
たのが、これも小沢氏を政治の世界から遠ざけたい記者クラブメ
ディアがあることないこと書き立てた結果なのです。
 大新聞やテレビが事実に反する事柄も含めて大々的に書き立て
特定の政治家の評判を落とし、そのうえで世論調査を行えば、そ
の政治家の評判がガタ落ちになるに決まっています。登石裁判長
はそういう風潮や環境を背景的事実として自分の主観として認定
しているのです。
 もし、本当に小沢事務所が岩手県で「天の声」を出し、不正に
公共工事を仕切った証拠があるなら、どうしても小沢氏を逮捕し
たい検察は、なぜその容疑で堂々と立件し、起訴しないのでしょ
うか。なぜ、政治資金収支報告書の虚偽記載などという形式犯で
立件せざるを得なかったのでしょうか。
 普通の政治家であれば、まるで国を上げての「人格破壊」を何
年も受ければ、ひとたまりもないでしょう。しかし、現在の事態
になっても小沢氏は党内では最大勢力を維持し、世論調査の結果
とはウラハラに世間には、大勢の熱烈なる支援者がいるのです。
また、はじめは支援者ではなかったものの、あまりにも報道の姿
勢が偏っていることから、小沢一郎に興味を持った人もたくさん
います。かくいう私もその一人です。
 大久保隆規という人物がどういう人間かについては、あまりに
も情報は少ないのですが、真面目に小沢氏に尽くしてきた人物と
いわれています。
 ネットで大久保隆規氏に関する次の記事を発見したのでご紹介
します。「小沢一郎論」のときに一度ご紹介していますが、再現
します。出典は不明です。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ゼネコン東北支店の幹部はある晩、小沢一郎民主党幹事長の公
 設第1秘書・大久保隆規容疑者(48)と酒席を囲んだ。ゼネ
 コン幹部は公共工事の受注希望を大久保秘書に伝え、大久保秘
 書はパーティー券購入や選挙への動員を幹部に頼む仲だった。
 幹部は、封筒に入れた50万円を出し「背広でも作ってくれ」
 といって渡そうとした。だが、大久保秘書は「のどから手が出
 るほど欲しいが、これを受け取ったことがオヤジ(小沢氏)に
 ばれたら、自分は秘書でいられなくなる」。幹部はその時、小
 沢氏の秘書の「鉄の規律」を実感したという。
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢一郎といえばメディア上では「政治とカネ」の元凶的存在
ですが、その一方において、政治に関わる資金についてはすべて
公開している唯一の政治家なのです。小沢氏の政治資金の公開に
ついては、誰も否定していない事実なのです。それほど、小沢氏
は政治とカネに厳しい政治家なのです。
 上記の大久保隆規氏に関する逸話にそれがよく出ていると思う
のです。大久保氏としては、オヤジ(小沢氏のこと)と一緒に政
治の仕事を続けたいので、不正なカネは、絶対に受け取れないと
いっているのです。これは彼の本心だと思います。
 西松建設関連の2つの団体からの献金は、それらがダミー団体
でないと確認したからこそ大久保秘書は政治資金収支報告書に記
載したのであり、違法ではないのです。しかし、裁判所はそのあ
たりの証拠関係を不透明にしたまま大久保氏を断罪しています。
途中で訴因が変更されているので、大久保氏の罪刑が非常に分か
りにくくなっています。大久保氏の量刑が3年になっているのは
西松建設関連の団体からの献金を違法として断罪しているからな
のです。訴因変更されなければ無罪の可能性が高かっただけに、
強引に訴因変更し、裁判所は明らかに検察を助けています。
 このように小沢氏は、政治資金の出入りには厳しい政治家なの
です。そのような小沢氏が水谷建設などから不正なカネを受け取
るでしょうか。現に水谷建設の元会長が否定しているにもかかわ
らず、裁判所はそれを無視しているのです。
 記者クラブメディアの報道では、陸山会を巡る金額はまちまち
なのです。20億円、4億円、1億円、5000万円といろいろ
出ていますが、問題になっているのは4億円のみです。報道が事
件を小沢氏に不利なように増幅して伝えているのです。こんなこ
とはあってはならないことですが、小沢氏に関しては平気でそう
いうことが行われているのです。
 小沢事務所の3秘書有罪を受けて、自民党をはじめとする野党
は、例によって「説明責任」や「証人喚問」を求めています。目
の前には東日本大震災からの復旧・復興や福島原発問題の終息に
関わる第3次補正予算の審議など早急にやらなければならない問
題が山積しているのにまたしても「説明責任」です。
 説明しても野党が納得するはずがないのです。政倫審に出て説
明しても説明が足りないとして、証人喚問を求めてくるに決まっ
ています。そうであるとすれば、説明責任とは「辞めろ」という
ことと同じです。小沢氏の問題はそう遠くない来年の4月に決着
がつく問題です。なぜ、説明責任を求めるのでしょうか。
 3人の元秘書の有罪判決はそれがどのように不当な判決であっ
ても、小沢氏自身の裁判に重大な影響を与えることは間違いない
と思います。ここまでは霞ヶ関が圧勝です。小沢氏としては、今
回は間違いなく窮地に追い込まれたといえるでしょう。
            ――── [日本の政治の現況/80]


≪画像および関連情報≫
 ●求刑通りの判決の出た大久保被告の背景について
  ―――――――――――――――――――――――――――
  元秘書3人の中で、最も重い禁錮3年6月を求刑された大久
  保隆規被告は、併せて審理が行われている西松建設の違法献
  金事件についても無罪を主張している。陸山会事件の端緒に
  なったといえる事件だけに、判断が注目される。西松事件で
  は、陸山会と小沢一郎氏が代表を務める「民主党岩手県第4
  区総支部」が平成15〜18年に西松建設から3500万円
  の企業献金を受けながら、政治資金収支報告書に同社OBが
  設立したダミーの政治団体からの献金と虚偽記載したとされ
  る。政治資金規正法違反容疑での大久保被告の逮捕に伴い、
  東京地検特捜部は小沢氏の東京・赤坂の事務所を家宅捜索。
  この際に見つかった資料などから、陸山会の土地購入をめぐ
  る虚偽記載疑惑が浮上した。公判で最大の争点となっている
  のは、ダミー団体に対する認識だ。検察側は、大久保被告が
  自ら交渉して献金を受けており「団体は名義上の存在にすぎ
  ず、西松側からの献金と認識していた」と指摘。これに対し
  て大久保被告は「西松からの献金だとは思っていなかった」
  と主張している。  ──9月23日付、産経新聞ニュース
  ―――――――――――――――――――――――――――

岩手県公共工事の仕切役・大久保隆規氏.jpg
岩手県公共工事の仕切役・大久保 隆規氏
posted by 平野 浩 at 04:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月06日

●「裁判所は検察の味方なのか」(EJ第3155号)

 もうひとつの陸山会裁判──陸山会の世田谷の土地購入を巡る
4億円の政治資金収支報告書の虚偽記載に関わる裁判です。これ
については何度もEJで取り上げていますが、今回は新しい事実
に基づいて述べることにします。そうすることによって、今回の
判決がいかに不当なものであったかが明らかになると考えるから
です。まさに司法の危機というべき大問題です。
 問題は何が虚偽記載であるかです。それは次の2つであると考
えられます。対象になるのは、2004年度分の政治資金収支報
告書です。
―――――――――――――――――――――――――――――
 @陸山会は世田谷の土地購入のための資金約4億円を小沢一郎
  氏から借り入れたのに収支報告書にはその記載がない。
 A陸山会は世田谷の土地を04年10月末日に購入しているの
  に収支報告書には05年分として虚偽記載をしている。
―――――――――――――――――――――――――――――
 最初に土地購入の件について検討することにします。なぜ、登
記の時期を2004年10月から2005年1月にずらしたのか
という理由として、石川氏は次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 2005年には民主党の代表選が行われ、小沢氏が出馬するか
 もしれないので、この土地購入の件で小沢氏が不利にならない
 ようにという自分の判断で、司法書士のアドバイスによって購
 入時には仮登記をするにとどめ、翌年1月に本登記したもので
 違法とは思ってもいなかった。       ──石川知裕氏
―――――――――――――――――――――――――――――
 これが政治資金収支報告書の虚偽記載といえるかどうかは微妙
なところです。百歩譲ってそこに作為があったことを認めるとし
ても、この程度のことで国会議員に対して事情聴取を何回も繰り
返して行い、さらに逮捕・起訴するほどの重罪でしょうか。
 もちろん検察もそのことはよくわかっています。そこで、この
の収支報告書の虚偽記載が単なるミスとは違い、いかに悪質なも
のであるかを何らかの方法で強調する必要があったのです。
 そこで検察は、石川氏が小沢氏からの4億円の資金を隠そうと
したのはその資金のなかに水谷建設からの違法献金が含まれてい
たからであるというストーリーを作ったのです。しかし、それを
裏付ける証拠はなかったのです。当初検察は、2009年に水谷
建設の元社長らを取り調べたさい調書をとっており、その調書が
証拠に使えると考えていたのです。
 その調書を取るに当っても検察側はかなり卑劣なことをしてい
ることがわかっています。それぞれ何らかの弱みを握ってそれを
武器に矛盾に満ちた調書を作成しているのです。もし証言をすれ
ばそれは見逃してやるという一種の司法取引のような手法でそれ
らの調書は作成されていたといわれています。
 しかし、その後前田元検事の証拠改竄事件が起こった関係で、
それらの調書が今回の裁判では不採用になってしまったのです。
そのため、検察側は窮余の一策として、そのときの水谷建設の元
社長らを証人として法廷に呼んで、裏金授受のシーンを生々しく
喋らせる作戦に出たのです。
 一方、石川氏らの弁護団は、多くの証拠が却下された時点でこ
の裁判は勝ったと考えて油断したのでしょう。もともとこの裁判
は「政治資金収支報告書の虚偽記載」であって、水谷建設からの
違法献金事件ではないのです。ですから、水谷建設の元社長らを
証人として出してくるとは思っていなかったと思われます。とく
に石川知裕氏の弁護士には問題があるといわれています。
 陸山会裁判の傍聴記を読むと、水谷建設の元社長らの証言は矛
盾に満ちているのです。まともな裁判長であれば、とても証拠と
しては取り上げられないレベルです。まして被告側はこれに対し
て全否認なのです。
 陸山会裁判において、石川議員の弁護人と石川元社長との法廷
での一部のやり取りをご紹介しましょう
―――――――――――――――――――――――――――――
 弁護人/石川氏とはどこで何回会ったことがあるのですか
 石 川/パーティーの席で挨拶したこともありますし、議員会
     館の事務所でもあいさつしたことがあります。
 弁護人/小沢氏のパーティーでは代理を出していたのではない
     ですか
 石 川/2回は私が行きました
 弁護人/議員会館で会ったのは何回?
 石 川/はっきりとは覚えていません
 弁護人/議員会館以外の小沢氏の事務所に行ったことはありま
     すか
 石 川/小沢氏の事務所で行ったことがあるのは議員会館のみ
     です
 ※ここで思わず吹き出しながら笑いをこらえる大久保氏の顔が
 目に入る。石川氏も「そりゃないでしょ〜」といった感じで、
 軽く笑みを浮かべている。その理由は・・
 弁護人/それはおかしいですね。石川は秘書時代に議員会館の
     事務所には常駐していませんよ。何度も会えることは
     ないはずですが
 石 川/それは私は存じ上げません
        ──「ザ・ジャーナル(THE JOURNAL)」より
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2011/05/10_6.html
―――――――――――――――――――――――――――――
 このように石川元社長らの証言は疑惑に満ちています。裁判長
は検察側証人については記憶が曖昧なのは月日が経っているから
仕方がないと認める一方で、弁護側については曖昧さを許さず、
明らかに弁護側に傾斜した判決になっているのです。これを見る
と、やはり、検察と裁判所はつながっているのだなと思わざるを
得ないのです。     ――── [日本の政治の現況/81]


≪画像および関連情報≫
 ●水谷建設・川村尚・元社長について
  ―――――――――――――――――――――――――――
  小沢一郎民主党元代表(68)の資金管理団体「陸山会」の
  土地購入をめぐる事件で、政治資金規正法違反(虚偽記載)
  罪に問われた衆院議員、石川知裕被告(37)ら元秘書3人
  の第10回公判が27日、東京地裁(登石郁朗裁判長)で開
  かれ、中堅ゼネコン「水谷建設」の川村尚・元社長(53)
  が証人として出廷。石川被告らに手渡したとされる小沢事務
  所への裏金計1億円について「衆院議員会館の小沢先生の
  部屋で大久保隆規被告(49)から要求された。その後、お
  支払いした」などと証言、裏金の提供を明言した。小沢元代
  表側への裏金提供を当事者が公の場で言及したのは初めて。
  検察側の質問に、川村元社長は小沢事務所に営業活動を行っ
  た理由を「小沢先生の地元のダム。力が強い小沢事務所に反
  対されると工事に参入できないと聞いていたため」と証言し
  た。        ──2011.4.27付、産経新聞
  ―――――――――――――――――――――――――――

石川知裕議員.jpg
石川 知裕議員
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2011年10月07日

●「収支報告書のどこが虚偽記載なのか」(EJ第3156号)

 10月3日発売の「週刊ポスト」は、陸山会判決を批判して次
のタイトルで特集記事を載せています。
―――――――――――――――――――――――――――――
  小沢「抹殺裁判」
  わが国はいつからこんなに恐ろしい国になったんだ!?
―――――――――――――――――――――――――――――
 誰が考えてもこの判決は異常そのものです。ネットでは判決を
批判する記事が溢れていますが、表の新聞はわざわざこの件で世
論調査を行い、鬼の首でも取ったように小沢氏に証人喚問や議員
辞職を求めています。テレビでは、出演した評論家や一部の弁護
士は、今回の判決を「世紀の名判決」と称賛するとんでもない輩
までいます。この国は完全におかしくなっています。
 今回の判決がいかに不当なものであるか──EJではさらに追
求していきます。本日から次のテーマについて検証します。
―――――――――――――――――――――――――――――
 陸山会は世田谷の土地購入のための資金約4億円を小沢一郎
 氏から借り入れたのに収支報告書にはその記載がない
―――――――――――――――――――――――――――――
 何回も強調しているように、2004年の政治資金収支報告書
に4億円の記載はあるのです。このことは裁判所も認めているの
です。それでは、なぜ記載がないというのでしょうか。
 実は4億円は2つあり、本来は8億円なのであると裁判所は考
えているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
  @小沢一郎氏個人から借り入れた4億円 → 記載あり
  A定期担保で銀行から借り入れた4億円 → 記載なし
―――――――――――――――――――――――――――――
 もう少し正確にいうと、陸山会は、小沢氏からの借入金である
4億円を定期預金にし、それを担保に小沢一郎名義で銀行から4
億円借りています。しかし、陸山会などの政治団体は法人格がな
いので、代表の小沢一郎名義でないと銀行から借りられないので
す。これは自民党などでも同様です。
 しかし、帳簿に記載されている4億円はどちらの4億円かわか
らないのです。私は、陸山会が小沢氏から直接借りた4億円を記
載したと思ったのですが、裁判所の考え方は違うのです。裁判所
は、定期担保で借りた4億円であると推定しているのです。
 つまり、裁判所としては、陸山会が小沢氏からの資金を隠蔽し
ようとしたというストーリーを組み立てて、そのためにその4億
円をわざわざ定期預金にして、同額を銀行から借り入れたと考え
たからです。したがって、記載のある4億円は銀行から借り入れ
た方であると推定しているのです。
 しかし、これは妙な理屈です。本人から借りようと、銀行から
借りようとどちらも「小沢一郎」の名前が出るのですから、4億
円を隠したことにはならないからです。本当に4億円を隠す気な
ら、帳簿に一切記載しないはずです。
 裁判所の判断はこうです。収支報告書には本人から借りた4億
円と銀行から借りた4億円の8億円の記載が必要であるのに、定
期担保の4億円しか記載されていない。したがって、小沢氏から
直接借りた4億円は未記載である──こういう理屈です。
 しかし、収支報告書に記載が必要なのは、小沢氏から直接借り
た4億円であり、定期担保の4億円の方は記載する必要がないの
です。政治資金規正法第4条によると、銀行からの借り入れなど
はついては、政治資金収支報告書が求める「収入」からは除外さ
れているのです。政治資金規正法第4条は次のように定められて
います。
―――――――――――――――――――――――――――――
 第四条 この法律において「収入」とは、金銭、物品その他の
 財産上の利益の収受で、第八条の三各号に掲げる方法による運
 用のために供与し、又は交付した金銭等(金銭その他政令で定
 める財産上の利益をいう。以下同じ)の当該運用に係る当該金
 銭等に相当する金銭等の収受以外のものをいう。
―――――――――――――――――――――――――――――
 政治資金は政治資金規正法の定める運用手段によって運用する
ことが認められています。上記の「第八条の三各号」とは、その
政治資金の運用手段について規定しており、その中に「銀行その
他の金融機関への預金又は貯金」が入っているのです。銀行の各
種預金──定期預金などを使って運用することが認められている
のです。そのなかには、その定期預金を担保にして銀行から融資
を受けることも含まれます。
 政治資金規正法第4条では、そういう運用による金銭の動きに
ついては、同法でいう「収入」には該当しないといっているので
す。法律用語で書かれたきわめて難解の条文ですが、そのように
解釈できます。
 整理するとこういうことになります。2004年の陸山会の政
治資金収支報告書にある次の記載は、文字通り小沢氏から直接借
り入れた4億円であることは明らかです。
―――――――――――――――――――――――――――――
   2004年10月29日 小沢一郎 借入金4億円
―――――――――――――――――――――――――――――
 陸山会の収支報告書による03年末と04年末の小沢氏からの
借入金残高は次のようになっているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
   2003年末 ・・・ 1億1854万9268円
   2004年末 ・・・ 4億9147万8416円
―――――――――――――――――――――――――――――
 差し引きすると、小沢氏からの借入金残高は3億7292万9
148円増加しています。これは明らかに銀行からの借り入れで
あり、陸山会が別に隠していないことがわかります。それが何で
虚偽記載なのでしょうか。――── [日本の政治の現況/82]


≪画像および関連情報≫
 ●「私を抹殺することが目的」/小沢法廷陳述要旨
  ―――――――――――――――――――――――――――
  検察の不当、違法な捜査で取られた調書を根拠に誤った判断
  がなされた。この裁判は打ち切るべきだ。百歩譲って裁判を
  続けるとしても、罪に問われるようなことば全くない。国民
  から何の負託も受けていない捜査機関が、国家権力を乱用し
  ている。汚点として後世に残る。議会制民主主義を阻害する
  恐れがある。収支報告書の間違いは修正することで処理され
  済まされてきているのに、私の団体のみ1年有余にわたり、
  実質的な犯罪の証拠はないのに強制捜査を受けた。もちろん
  収賄などの実質的な犯罪は全くない。なぜ私のケースだけ突
  然、強制捜査査されねばならないのか。これでは公正で厳正
  な権力の執行とは言えない。実質的な犯罪がないと判明した
  時点で捜査を終結すべきだったのに、延々と捜査を続けたの
  は、明らかに常軌を逸している。小沢一郎を標的にしたもの
  で、私を抹殺することが目的と推認できる。明白な国家権力
  の乱用で、到底許されない暴力行為であり、表舞台からの抹
  殺で残酷なものだ。選挙は国民が主権を行使する唯一の機会
  で、とりわけ2年前の総選挙は戦後初の本格的な政権交代が
  予想された。そのような時の敵静的な権力の行使は許されな
  い。国家権力の介入を恐れる政治はもはや民主主義ではなく
  戦前の過ちを練り返すほかない。裁判長、裁判官の見識ある
  判断をお願いする。
          2011年10月6日/日刊ゲンダイより
  ―――――――――――――――――――――――――――

小沢一郎氏検察を痛烈に批判.jpg
小沢 一郎氏検察を痛烈に批判
posted by 平野 浩 at 02:54| Comment(4) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月11日

●「定期担保融資のどこが不正操作か」(EJ第3157号)

 忘れてはならないのは、陸山会の裁判の争点が政治資金収支報
告書の虚偽記載であるということです。裁判の訴因がそうなって
いるのです。しかし、公判の内容はまるで水谷建設からの贈収賄
事件そのもの。新聞は公判の模様をそのまま伝えるので、国民は
贈収賄事件の裁判だと錯覚してしまいます。それなら、検察は、
なぜ、堂々と贈収賄事件で立件しないのでしょうか。贈収賄が本
当であれば重罪です。それなのに、なぜ、執行猶予など付けたの
でしょうか。
 別件で現職国会議員を含む3人の元秘書を逮捕・起訴し、公判
の内容も水谷建設からの贈収賄の疑惑が不必要に強調され、その
うえで虚偽記載で全員有罪にし、アリバイ作りのために執行猶予
を付ける。検察だけではなく、裁判所まで腐っています。頼みの
綱の裁判所がこれではダメです。日本の司法の危機です。今週か
らはこの問題を徹底究明していきます。
 陸山会事件で検察はひとつのストーリーを作っています。その
ストーリーとはこうです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢氏は岩手県の胆沢ダムの工事に関連し、水谷建設から不正
 な金を収受した。そして、それらの金を含む4億円を陸山会に
 貸し付け、世田谷の土地を購入している。そのさい、小沢氏は
 秘書たちにその金を隠すことを命じ、秘書たちはその工作をし
 ている。彼らは小沢氏から借りた4億円を政治資金収支報告書
 に記載せず、その金を担保にして銀行から融資を受けるという
 不自然きわまることをしている。収支報告書の虚偽記載はその
 隠蔽工作の結果である。
―――――――――――――――――――――――――――――
 これが本当なら、小沢氏は石川知裕氏がいうまでもなく、「悪
党」そのものです。しかし、その真偽を調べてみると、このスト
ーリーはデタラメであることがわかります。一般的にいって、小
沢氏を批判する人は、それがどのような高名な作家であっても、
ジャーナリストであっても、政治家であっても、コメンテーター
であっても、いずれの人も小沢氏のことをろくに調べもせず、自
分の小沢観に立って、新聞やテレビなどの風評をそのまま信じて
しまっています。最初から決めつけているのです。
 しかし、少しでも興味を持ってこの事件を調べた人に限って、
小沢氏の正当性を認める人が多いのです。別に小沢ファンでも、
親小沢でも、小沢擁護派でもないのです。少し調べれば、誰でも
検察の主張はおかしいことがわかるからです。その中にあって、
記者クラブメディアは事実を正しく掴んでいて、政略的に小沢批
判記事を書いているフシがあります。それだけに罪は万死に値し
ますし、そう遠くない将来にその報いは受けると思います。
 今やこの問題についてまともに書いているのは、新聞では「日
刊ゲンダイ紙」、週刊誌では「週刊ポスト」と「週刊朝日」ぐら
いなものです。一方、ネットでは表のメディアとは対照的に事実
を正確に掴んでいる人が多く、その結果、小沢氏を擁護する人が
圧倒的です。小沢氏が「ニコニコ動画」などのネットテレビにし
か出ないのは、編集によって意図が歪められることを恐れてのこ
とです。民主主義国家においてメディアが信じられないというの
は、「メディアの死」そのものです。
 とくに陸山会の公判で一番問題になったのは、当時の石川秘書
が、小沢氏から借りた4億円を定期預金にし、それを担保にして
同額を銀行から借り入れたことです。検察側はこれをもって「小
沢氏からの資金を隠すための不自然な資金の操作」と決めつけて
いるのですが、裁判所でもそれを信じているようです。
 企業が定期預金を利用して銀行から融資を受ける──これはそ
れほど不自然な行為ではないのです。確かに利息を取られますが
それを上回るメリットがあるからです。小沢事務所のやったのと
似た例で説明しましょう。
 ある企業が工場用の土地を購入することにして、その土地代金
と同額の定期預金を担保にして銀行から融資を受け、土地を購入
したのです。経理担当役員の判断です。資金がないわけではない
のです。なぜ、定期預金を解約して買わなかったのでしょうか。
 それは企業の信用を維持するための処置です。定期預金を担保
にしても、当然のことですが、帳簿上には定期預金は残っていま
す。使えないだけです。それに加えて、定期預金を担保にして購
入した土地は企業の増加資産になるのです。これは企業にとって
大きなメリットになるといえます。
 これは、企業でも政治団体でも同じことです。しかし、検察官
や社会を知らない裁判官にはわからないようです。そしてもうひ
とりわかっていない人がいたのです。それはその処理をした当の
本人である石川知裕議員です。なぜ、石川議員かというと、彼は
どうして定期預金を担保に融資を受けたのか、そのメリットは何
かについて、裁判官に十分説明ができていないからです。これに
ついての詳細は明日のEJで述べます。
 定期預金を取り崩さず、それを担保にして融資を受けるという
ことは、銀行にとってもメリットがあるのです。陸山会が銀行に
配慮したことは十分考えられるのです。しかし、その銀行──り
そな銀行衆議院支店の当時の支店長は検察寄りの発言をしている
のです。それは「土地購入のための定期預金担保の融資は異例中
の異例」とまで発言しています。本当なのでしょうか。理解に苦
しみますが、これが有罪のひとつの根拠を形成していることは間
違いないと思います。
 私は公判の情報を集めてみて、陸山会裁判が有罪になったのは
石川知裕氏自身と彼の弁護人であるヤメ検の木下貴司氏の対応に
も一因があったと思います。
 木下貴司氏は、どちらかというと説明があまりうまくない石川
氏にあまり喋らさず、自分で話してしまう傾向があるのです。し
かし、その説明もダラダラしてまわりくどいのです。これでは裁
判には勝てないでしょう。――── [日本の政治の現況/83]


≪画像および関連情報≫
 ●木下貴司弁護士/陸山会判決を批判
  ―――――――――――――――――――――――――――
  小沢一郎元民主党代表の資金管理団体「陸山会」をめぐる政
  治資金規正法違反事件で虚偽記載罪に問われ、有罪判決を受
  けた元秘書の衆院議員・石川知裕議員が2011年9月26
  日夕方、都内の衆議院第一議員会館で記者会見を開いた。会
  見では、石川議員の主任弁護人・木下貴司弁護士が、「裁判
  所が、検察が主張しておらずそれに沿う証拠も提出していな
  いのに、事実を独断的に認定している。現在の刑事訴訟法の
  あり方を超えた判決であり、非常に遺憾である」との声明を
  発表。石川議員は判決内容について拘置所の中で検事さんか
  ら言われた『事実と裁判の結果は違う』という言葉が忘れら
  れない。水谷建設から(受領したとされる)5000万円の
  認定を含めて、判決はまったく受け入れることはできない」
  と憤りを示した。http://news.nicovideo.jp/watch/nw119836
  ―――――――――――――――――――――――――――

石川弁護団/木下貴司氏.jpg
石川弁護団/木下 貴司氏(右)
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月12日

●「石川知裕氏の稚拙な裁判での証言」(EJ第3158号)

 陸山会の公判で、定期預金担保の銀行融資については次のよう
なやりとりが行われています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 裁判官:そもそも、なぜ、わざわざ定期預金を担保にして融資
     を受けたのですか。
 石 川:資金を溶かさないようにしました。
 裁判官:りそな銀行の陸山会口座に、4億円を確保しておきた
     かったということですか。
 石 川:現金で支払いすると、すぐにお金がなくなってしまう
     ので、預金担保を思いつきました。
 裁判官:毎年、450万円もの金利負担は、大きな負担ではな
     いですか。
 石 川:少なくないとおもいますが、資金を溶かさないために
     は大きな支出ではないと思いました。
 裁判長:(割って入り)あなたが溶かさないと言っている意味
     は、運転資金を確保するということですね。でも、債
     務を返済しない限り定期預金は使えないのだから、銀
     行に預けた4億円は運転資金になりませんね。それな
     ら、小沢氏から借りた4億円を直接使って土地を購入
     しても同じことじゃないですか。
 石 川:小沢氏からの4億円を明確にする必要がありました。
     小沢氏から借りた4億円と政治団体の金がゴッチャに
     ならないようにするためでした。
    ──『WiLL』11月超特大号掲載/長谷川学氏論文
―――――――――――――――――――――――――――――
 定期預金を担保にして融資を受ける目的について裁判官に聞か
れた石川氏は、「資金を溶かさないため」と答えています。決し
て上手な表現ではないと思います。それをとらえて裁判長は「溶
かさないとは運転資金を確保するためか」と念を押しています。
 これに対して石川氏は、運転資金であるはずはないのですから
反論すべきなのにそのように答えていないのです。これを見てわ
かることは、石川氏自身が陸山会の定期預金担保の融資の本当の
意味がわかっていないということです。
 陸山会は定期預金担保の融資は今までにもよくやっており、慣
例になっていたのです。石川氏はそれにしたがって処理をしたに
過ぎないのではないでしょうか。そのため、改めてその目的はと
聞かれ、返事に窮してしまったのです。
 石川氏の支離滅裂な証言はまだ続くのです。もう少しやり取り
を見ていきます。
―――――――――――――――――――――――――――――
 裁判長:(ゴッチャにならないようにするなら)小沢氏と借用
     書のやり取りがあればいいでしょう。
 石 川:(またしても沈黙したあと)うやむやにしたくなかっ
     たので。
 裁判長:うやむやという意味が分からない。小沢氏に借用書を
     書いてもらえば済む話でしょう。
 石 川:(沈黙のあと、うめくように)うまく説明できないの
     ですが・・・。すべてを合理的に説明できませんが、
     過去にも小沢氏から借りた金で預金担保を組んだこと
     があるので・・・。
 裁判長:過去にあったからというだけではなく、どういうメリ
     ットがあるのか説明して下さい。
 石 川:小沢先生に返さないといけないので・・・。その都度
     金を下ろせば無駄遣いになりませんから。
    ──『WiLL』11月超特大号掲載/長谷川学氏論文
―――――――――――――――――――――――――――――
 普通は公判の前に弁護士と十分打ち合わせをするものですが、
どうやらそれをしていないように思われます。出たとこ勝負とい
う感じです。準備する時間は十分あったはずですし、それをやっ
ていないというのは理解できないことです。
 これに加えて世田谷の土地の登記を2ヵ月先に延ばしたという
件についても石川氏と弁護士は裁判長の質問に納得のいく答えを
返していないのです。
 陸山会などの政治資金管理団体が不動産を持つことに批判があ
るようですが、2007年7月以前は認められており、陸山会の
ケースは合法なのです。それまでには自民党を中心に多くの資金
管理団体が不動産を取得しています。
 ここで整理しておきたいのは、政治団体といっても民主党や自
民党などの政党は法人格があるので、不動産を持つことができ、
現在も認められているということです。しかし、政治資金管理団
体は政党とは違い、法人格がないので、政治資金管理団体名では
不動産を持てないのです。そのため、不動産の登記は陸山会の代
表者名──小沢一郎名義ですることになります。
 それでは、政治資金管理団体が不動産を持つ場合、どのような
手続きが必要かというと、不動産を代表者名で登記すると同時に
その不動産の利用権が政治資金管理団体に属する契約を結ぶ必要
があります。陸山会による世田谷の土地取得についても同様の手
続きが必要です。これについて、石川氏は裁判長の質問に対して
次のように答えているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 石 川:もともと取得を翌年にしたかったが、不動産会社が翌
     年ではだめだと。司法書士に相談したところ、本登記
     の日を支出日にしてもいいということだったので、そ
     れで04年10月29日に陸山会が所有権を持ち仮登
     記したけれど、報告書には本登記日に合わせて05年
     1月に取得と記載しました。
    ──『WiLL』11月超特大号掲載/長谷川学氏論文
―――――――――――――――――――――――――――――
            ――── [日本の政治の現況/84]


≪画像および関連情報≫
 ●資金管理団体による不動産の取得等の制限
  ―――――――――――――――――――――――――――
  法律第百七号(平一九・七・六)
  ◎政治資金規正法の一部を改正する法律
  政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)の一部を
  次のように改正する。
  第十九条の二の次に次の一条を加える。
  (資金管理団体による不動産の取得等の制限)
  第十九条の二の二 資金管理団体は、土地若しくは建物の所
  有権又は建物の所有を目的とする地上権若しくは土地の賃借
  権を取得し、又は保有してはならない。
  ―――――――――――――――――――――――――――

登石裁判長.jpg
登石裁判長
posted by 平野 浩 at 02:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月13日

●「4億円の出所は明らかになっている」(EJ第3159号)

 陸山会公判における石川知裕氏の証言は、かなり問題があった
と考えます。彼は政治家であるのに自分の意思を他人に伝えるの
があまり上手ではなく、法廷での証言で緊張したのか自分の意思
が裁判官にうまく伝え切れていないと思います。
 それに石川氏の弁護士である木下貴司氏にも大きな問題がある
と思います。彼は、被告人が有利になるような証言を引き出すの
が役割のはずですが、ダラダラと持論をぶつばかりで、要領をえ
ない。それに石川被告が話そうとすると、それを制止して自分で
話したり、しかも話が長いので、木下貴司弁護士が話し出すと、
「ああ、またはじまったよ」と傍聴者がうんざりする場面が何度
もあったといわれます。
 石川氏がどのように考えていたかはわかりませんが、陸山会が
世田谷の土地を事実上陸山会のものにするプロセスは次のような
方法しかないのです。
 2004年10月29日に土地の代金を払った時点では、土地
の権利者は個人の小澤一郎であることは明らかです。小沢氏は購
入代金の4億円を陸山会に貸し付けており、その金で代金を支払
い、個人小澤一郎で仮登記しています。この時点では陸山会が収
支報告書に記載する事実は存在しない。したがって、未記入でも
虚偽記載でもないのです。
 それでは、なぜ本登記に2ヵ月もかかったかですが、世田谷の
土地が個人小澤一郎所有の状態から、その土地の利用権が陸山会
に所属するという契約書を、個人小澤一郎と交わすのに時間がか
かったと考えるのが自然です。陸山会はこの手続きを2005年
1月に行い、その時点で世田谷の土地を陸山会代表の小沢一郎と
して本登記しているのです。
 事実がどうであったにせよ、公判でこのように主張すれば、政
治資金収支報告書の記載漏れも、期ずれも存在しないことになる
のです。木下貴司弁護士はなぜそうしなかったのでしょうか。そ
れとも木下弁護士は検察の味方なのでしょうか。
 問題は4億円の出所です。10月6日の小沢裁判の後の記者会
見において、記者から「4億円の出所は何か」と聞かれ、小沢元
代表は「そんなことは検察に聞きなさい」と答えています。
 小沢氏は、2010年に検察の事情聴取を受けたさい、検察側
に4億円の出所を資料を添えて具体的に伝えているのです。しか
し、検察側はそれに反証できなかったからこそ、小沢氏を不起訴
にせざるを得なかったのです。
 「4億円の根拠はこうである」と小沢氏が検察に示した場合、
それが間違っていると考えるのであれば、検察側は小沢氏の証言
を否定する証拠(反証)を示さなければならないのですが、検察
にはそれができなかったということです。
 しかし、検察は、記者クラブメディアにその情報をあえて流さ
ないので、メディアは小沢氏は4億円の出所を隠していると報道
するのです。検察は自らに都合の悪い情報は流さないのです。そ
の一部に水谷建設の金が入っていると思わせるためには、黙って
いる方が都合がよいと考えたからでしょう。
 それでは、小沢氏は検察にどのように4億円の出所を伝えたの
でしょうか。私のネット取材によれば次の通りです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ≪小沢氏が陸山会に貸し付けた4億円の原資≫
 1.1985年に自宅土地を売買したさい、税引き後に残った
   約2億円
 2.父親から引き継いだ遺産の信託3億円を元本に80〜90
   年代にかけて5年満期「ビッグ」で運用した元利金の3億
   6千万円
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢氏は、上記の資金のなかで、2004年10月には事務所
の金庫には4億数千万円が残っており、そこから4億円を陸山会
の要請にしたがって貸し付けたと証言しているのです。
 しかし、検察はこの4億円の中に水谷建設からの1億円の裏献
金が入っているとしてその立証に全力を傾けたのです。2010
年に小沢事務所の元秘書3人を逮捕して、水谷建設の川村元社長
をはじめ関係者に事情聴取して調書を作成しています。
 この時期は、あの検察の証拠改竄事件が発覚する前のことであ
り、川村氏らの調書の取り方はかなり荒っぽいものであったはず
です。あらかじめ取り調べをする相手の何らかの弱点を握ってお
き、それを使って司法取引のように検察のストーリーに沿った証
言をさせ、調書を取ったのです。検察の常套手段です。
 検察のストーリーはEJ第3157号に書きましたが、大久保
元公設秘書を中心に書くとこうなります。大久保隆規元秘書は、
岩手県に建設中の大型の特定多目的ダムである胆沢ダムの工事で
JV(共同企業体)の幹事会社として受注したければ、現金1億
円を謝礼として支払うように水谷建設に要求したのです。
 水谷建設はこの要求を受け入れることにし、2004年10月
15日、東京港区の全日空ホテルにとりあえず、5000万円を
届けることにしたのです。そのときホテルで会ったのは、小沢事
務所の事務担当秘書の石川知裕氏です。このときのことについて
水谷建設の元首脳は次のように話しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 あの日は多分、小沢さんところで急な資金が必要になったのと
 違うやろうか。前日まで海外出張しとった川村が日本に帰国し
 急きょ会うことになったらしいんや。それで桑名まで戻って金
 を取りに帰る余裕がなかった。そのため、慌てて経理担当重役
 の中村に出金させ、別の役員に現金を持たせて新幹線で東京ま
 で届けさせたんやで。そのあたりも、地検は全部つかんどるは
 ずなんやけど・・・」             ──森効著
   『泥のカネ/裏金王・水谷功と権力者の饗宴』/文藝春秋
―――――――――――――――――――――――――――――
            ――── [日本の政治の現況/85]


≪画像および関連情報≫
 ●胆沢ダムについて
  ―――――――――――――――――――――――――――
  胆沢ダム(いさわダム)は岩手県奥州市、一級河川・北上川
  水系胆沢川に現在建設が進められているダムである。国土交
  通省東北地方整備局が施工の主体となっている特定多目的ダ
  ムである。1953年(昭和28年)に完成した石淵ダムの
  約2・0km下流に建設が進められているロックフィルダム
  で、堤高132・0mは東北地方に建設された多目的ダムの
  中では最も高く、堤体積は全国第2位・堤体長は国内最長の
  723mの全国屈指の巨大ダム。2013年(平成25年)
  の完成を目指して現在ダム本体の盛土工事を行っているが、
  完成すると「日本で最初に着手されたロックフィルダム」石
  淵ダムは完全に水没する。      ──ウィキペディア
  ―――――――――――――――――――――――――――

胆沢ダム.jpg
胆沢ダム
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2011年10月14日

●「人生を左右する誤報を恥じない新聞」(EJ第3160号)

 人間の記憶は曖昧なものです。多くの日本人は、とくに年配者
ほど大新聞の書く記事はおおむね信用しています。ある事件の記
事が大きな見出しで報道されればそのまま素直に受け入れてしま
うものです。しかし、その記事が完全な間違いであったとしたら
どうでしょうか。
 こういう場合、新聞は一応訂正記事を書きます。しかし、そう
いう訂正記事は非常に小さいのが一般的です。新聞社のミスです
から、あまり目立つようには書きたくないのです。
 しかし、この場合、記事が小さいので、大きな記事の報道を見
て、そういう訂正記事を見落としてしまう人もたくさんいます。
そうすると、それらの人たちは、大きな見出しの記事の内容を正
しいと信じてしまいます。
 陸山会事件にはこういうことがあまりにも多いのです。そのひ
とつの例が石川知裕氏に起きているのです。石川氏は2010年
1月15日に逮捕されましたが、その5日後の1月25日(月)
の日本経済新聞夕刊に次の記事が掲載されたのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 関係者によると、水谷建設の元幹部は特捜部の事情聴取に対し
 2004年10月15日に東京都港区の全日空ホテル(現AN
 Aインターコンチネンタルホテル東京)で、石川議員に現金5
 千万円を渡したと供述している。特捜部が供述した石川議員の
 手帳には、04年10月15日の欄に「全日空」と書かれてい
 た。横には人の名字が記載。(一部略)特捜部は、この日に水
 谷建設の関係者がこのホテルに宿泊していたことを確認。「授
 受」の3日後の同月18日には陸山会の銀行口座に同額の5千
 万円が振り込まれていたことが判明している。
     ──2010年1月25日付、日本経済新聞夕刊より
―――――――――――――――――――――――――――――
 この新聞記事を読めば、ほとんどの人が「やはり、石川は水谷
から金を受け取っているな」と思うはずです。金を渡した日と石
川氏の手帳の15日の欄にある「全日空」の文字。さらに18日
に陸山会の口座に振り込まれた5000万円、同月の29日に支
払ったとされる土地代金の4億円──完璧です。真っ黒です。
 しかし、これはとんでもない誤報であったのです。その次の日
の朝刊に掲載された次の訂正記事をご覧ください。
―――――――――――――――――――――――――――――
 25日付、夕刊「手帳にホテル名メモ」の記事で、石川知裕衆
 院議員の手帳でホテル名の記述がある欄は「2004年10月
 15日」ではなく、水谷建設の元幹部が小沢一郎氏側への2回
 目の現金提供の時期と供述しているとされる「05年4月」の
 誤りでした。記事、見出しの一部を削除します。
       ──2010年1月26日、日本経済新聞、朝刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、これはひどい話です。石川議員に対する国民の心証は
真っ黒になってしまいます。ちなみに「水谷建設の元幹部が小沢
一郎氏側への2回目の現金提供」とあるのも何の証拠もない検察
のリークであり、夕刊の記事中の18日の5000万円の入金は
ちゃんと根拠のあるものだったのです。
 しかも、新聞やテレビはそれらの訂正すべき情報を無視して報
道せず、大久保、石川両氏が全否定しているのに、証拠もないの
に水谷建設側からの2回にわたる5000万円ずつの献金──す
なわち、計1億円の献金を執拗に報道し続けたのです。
 そして、陸山会事件の公判において検察は、訴因に関係のない
水谷建設の元社長の川村尚氏ら関係者を証人として次々と出廷さ
せ、水谷マネーがいかにも小沢事務所に渡ったかのような印象を
裁判長に与えたフシがあるのです。そして、登石裁判長はこの水
谷からの裏献金があったと推認して、小沢氏の元秘書3人に対し
て有罪判決を下しているのです。
 なぜ、これほど証拠のない水谷建設の裏献金に執拗にこだわる
のでしょうか。これに関して、「週刊朝日」10/21号は次の
ように書いているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 そもそも「天の声」や「水谷マネー」があったからこそ、虚偽
 記載が「悪質」だとされてきた。だからこそ東京地裁は、石川
 議員らの判決で「法と証拠」を逸脱してまで、その悪質性を認
 定しようとしたのだ。いったい、この裁判にどれだけの意味が
 あるというのか。       ──「週刊朝日」10/21
―――――――――――――――――――――――――――――
 陸山会判決では、胆沢ダムの工事の受注に関して、大久保隆規
元秘書が業者に対し、「天の声」などを発する中心的存在であっ
たとしていますが、大久保氏をよく知る東北の大手ゼネコン幹部
のA氏は次のようにいっているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 判決では小沢事務所の大久保元秘書が「天の声を発した」なん
 て決めてかかっていましたが、大笑いです。業者にパーティー
 券の大量購入や選挙協力などムチャなことを言ってきたのは、
 00年まで小沢事務所で秘書を務めた高橋義信氏です。東北談
 合のドンといわれた鹿島の幹部と太いパイプを築き、われわれ
 も仕事欲しさにムチャな注文に渋々従った。大久保秘書は鹿島
 とのパイプを高橋氏になかなか譲ってもらえず、鹿島のドンか
 らはほとんど相手にしてもらえなかった。大久保氏は迫力もな
 いし、紳士。パーティー券の購入枚数を減らして欲しいと頼ん
 でも、文句さえ言いませんでした。
       ──2011年10月5日付、日刊ゲンダイより
―――――――――――――――――――――――――――――
 どうやら、大久保隆規氏のイメージは大きく違うようです。1
億円の裏献金など「100%あり得ない」とゼネコンのA氏はそ
ういってクビをひねっているのでいす。
            ――── [日本の政治の現況/86]


≪画像および関連情報≫
 ●金の受け渡し場所についてのA氏の証言
  ―――――――――――――――――――――――――――
  ホテルの喫茶店でカネを渡すのは、建築業界の常識としては
  考えられない。渡すなら、料亭の個室など人目につかない場
  所にします。それにただの下請けにすぎない水谷が5000
  万円を2回持って行っていますが、どうしても信じられませ
  ん。100億円の工事を元請けのゼネコンが取っても経費が
  約3割で、残りを複数の下請けに叩いた金額で割り振る。元
  請けならともかく、下請けが1億円もの巨額の裏金を捻出で
  きるはずがない。「ようやく利益が出せる」というのが、下
  請けの実情なんです。
       ──2011年10月5日付、日刊ゲンダイより
  ―――――――――――――――――――――――――――

「週刊朝日」10/21.jpg
「週刊朝日」10/21
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2011年10月17日

●「水谷建設の裏献金などあり得ない」(EJ第3161号)

 水谷建設の小沢事務所への1億円の裏献金疑惑──これがいか
に真実でないかを示す主張があります。その主張が掲載されてい
るのは「THE JOURNAL /ニュース・スパイラル」。「週刊朝日」
元編集長の山口一臣氏が書いています。山口氏の主張を要約して
お伝えすることにします。
―――――――――――――――――――――――――――――
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2011/10/post_804.html
―――――――――――――――――――――――――――――
 もし、小沢事務所が胆沢ダムの工事において「天の声」を発す
るほど力があり、大久保元秘書が「JVの幹事会社になりたいな
ら1億円もって来い」といったのが本当なら、1億円献金したの
ですから、首尾よくJVの幹事会社になれたのでしょうか。
 結論をいうと、水谷建設は幹事会社の下の一般下請けにとどま
り、JVの幹事会社になれなかったのです。これは陸山会公判の
判決において登石裁判長の「岩手県の公共工事では小沢事務所の
意向が決定的な影響力を持っていた」という認定が誤りであり、
同時に水谷建設からの1億円の裏献金が実際はなかったことを示
唆しているといえます。
 1億円の裏献金など常識的にもあり得ないのです。胆沢ダムの
総事業費は約2440億円、水谷建設はこのうち、鹿島JVが約
203億5000万円で受注した堤体成立工場(第1期)と、大
成建設JVが約159億円で受注した原石山材料採取工事(第1
期)の下請けとして約34億円分の工事を受注したに過ぎないか
らです。
 仮に利益率5%で計算すると、水谷建設の利益はせいぜい1億
7000万円程度、1億円の裏献金ができるはずがないのです。
裁判所はこういうことをきちんと調べもせず、何の証拠もないの
に1億円の裏献金を小沢事務所が受け取っていると認定したので
す。もうなり振りかまわず、ひたすら有罪にしたという感じで、
まさに暗黒の魔女裁判そのものです。
 さらに山口氏は、東北の公共工事の談合について徹底的に取材
したという政治評論家の森田実氏の言葉を紹介し、小澤事務所に
そんな力はなかったと述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 裁判所は岩手県や秋田県では公共工事の談合において小沢事務
 所が決定的な影響力を持っていたと判断しましたが、そんなこ
 とはありません。結論的にいうと、小沢事務所に出る幕はなか
 ったというものです。ごく普通に考えて、公共工事の受注にな
 ぜ、発注者でもない小沢事務所の許可が必要なのか?裁判官は
 どう考えたのか。有力政治家ならば、経済合理性を超えて何で
 もできると思っているのだろうか?今回の判決をくだした裁判
 官らの頭の中を見てみたいものである。    ──森田実氏
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2011/10/post_802.html
―――――――――――――――――――――――――――――
 そもそも水谷建設の裏金疑惑は公訴事実ではないのです。公訴
事実である政治資金収支報告書の虚偽記載がとても国会議員を含
む3人の元秘書を逮捕・起訴して争うほどの悪質性がないだけに
何とかしてその悪質性を強調しようと、公訴事実にない裏金疑惑
を証拠がないのに事実認定し、それを背景に断罪したのです。最
初から有罪ありきの判決ですから、魔女裁判なのです。
 ここまでくるともう無茶苦茶です。さすがに記者クラブメディ
アも今回ばかりは少し報道を抑え気味のように感じます。今まで
の調子なら連日大報道をするはずです。ある民放の記者は、「今
回は報道を少し抑えないとヤバイ」といっています。あまりにも
裁判長の検察寄りがひどいからです。それにしても不思議なのは
世論がなぜ騒がないのでしょうか。「小沢=悪人」のイメージ定
着が功を奏したのか、ほとんど関心がないようです。
 こんな裁判を許しておくと、検察が適当な容疑で起訴しておく
と、誰でも簡単に有罪になってしまうのです。そのままだと、日
本は民主主義国ではなく、「検主主義国」になってしまうという
人もいます。すべての日本人に関わりのあることなのです。これ
ほどのことにも無関心であるとは、日本人はそこまで劣化してし
まったということでしょうか。
 ところで、この判決を出した登石郁朗裁判長とは、一体どうい
う人物なのでしょうか。
 登石郁朗氏は、東京都の出身で、1985年に判事補となり、
札幌地裁判事や司法研修所教官などを経て、2006年から東京
地裁判事を務めています。しかし、彼は判検交流で1993年か
ら3年間、刑事局の検事として勤務した経験があるのです。
 ポイントはここです。彼は検事をやっているのです。人事交流
といっても、裁判官は民事局に出向するのが一般的であり、刑事
局で検事をやるのは異例中の異例です。検察批判がピークに達し
ているこの時期において、よりによって検察ときわめて近い裁判
官がこの公判を担当したことに作為的なものを感じます。
 登石裁判長は、検察が不利に陥っていた大久保隆規氏の裁判を
石川氏や池田氏の虚偽記載とを合体させる不当な訴因変更を行い
裁判を検察が有利になるよう工作しています。これには弁護側は
最高裁に特別抗告して抗議しましたが、棄却されています。棄却
したのは古田佑紀裁判長──かつて最高検次長検事だった元検察
の大幹部、これまた検察です。
 さらに証拠改竄事件によって検察不信が頂点に達すると、検察
提出の調書を次々と不採用にして、検察に厳しい姿勢を見せつけ
るパフォーマンスで国民を騙し、弁護側を油断させ、最終的には
証拠に基づかない裁判長の推認だけで3人の元被告にほぼ検察の
求刑通りの有罪判決を出して検察を救っています。
 ある司法関係者によると、最初から検察と裁判所が持ちつ持た
れつつ、ナアナアの関係で進められた裁判である──このように
裁判所の姿勢を批判しています。こんなことが許されていいので
しょうか。       ――── [日本の政治の現況/87]


≪画像および関連情報≫
 ●登石郁朗裁判官の評判あれこれ
  ―――――――――――――――――――――――――――
  06年に法大で学生運動を行った参加者らが一斉に逮捕され
  た事件の裁判では、抗議する被告人らを次々と退廷させ、弁
  護人から「史上最低の裁判長だ」とも言われた。一方、08
  年にお台場で、フィリピン人女性が殺害された事件の裁判で
  は、過去にも女性を殺害したことのある被告に対し、無期懲
  役(求刑は死刑)を言い渡した。「矯正の可能性がないとは
  言い切れない」という理由だが、遺体をバラバラにして洗濯
  機で洗い、トイレに流した殺人鬼だっただけに、法廷がどよ
  めいた。何かと不可解な判決の多い裁判長である。
       ──2011年9月28日付、日刊ゲンダイより
  ―――――――――――――――――――――――――――

山口一臣氏.jpg
山口 一臣氏
posted by 平野 浩 at 04:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月18日

●「すべてが闇の中で決まる検察審」(EJ第3162号)

 小沢一郎氏に対して東京地検が「不起訴」の判断を下したのは
2010年2月4日のことです。東京地検特捜部は1年前に小沢
事務所の大久保公設第一秘書(当時)を逮捕した時点から、小沢
氏を起訴しようとして狙っていたフシがあります。
 しかし、どうしても小沢氏を起訴するに足る証拠を揃えること
ができず、不起訴にせざるを得なかったのです。これは特捜部に
とって相当重い決断であったはずです。
 仕掛けはもうひとつあったのです。それが検察審査会での強制
起訴です。ところで、検察審査会とはどういう機関なのでしょう
か。知識を整理しておきましょう。
―――――――――――――――――――――――――――――
 検察審査会とは、検察官が独占する起訴の権限(公訴権)の行
 使に民意を反映させ、また不当な不起訴処分を抑制するために
 地方裁判所またはその支部の所在地に設置される、無作為に選
 出された国民(公職選挙法上における有権者)11人によって
 構成される機関である。        ──ウィキペディア
―――――――――――――――――――――――――――――
 検察審査会は、検察の公訴権の行使に民意を反映させるための
ものです。検察による不当な不起訴ないし起訴猶予処分に関して
無作為に選出された11人の審査員によってその処分の是非につ
いて審議を行い、「起訴相当」や「不起訴相当」などの裁定を下
す機関です。そして、2回続けて「起訴相当」が出ると、検察側
が不起訴であっても、強制的に起訴できるのです。
 裁判所の判決においては、既に裁判員制度による裁判員によっ
て民意が反映される仕組みになっており、これらの制度が正しく
運用される限りにおいては悪い制度ではないと思います。
 しかし、検察審査会は1948年(昭和23年)に設置され、
既に50年以上が経過して制度疲労を起こしており、次のような
大きな問題点がそこに横たわっているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1.審査員を選ぶプロセスがブラックボックスであり、審議
   会での審議記録も一切が公表されない
 2.審査会の審議に関与できる者は、検察官と審議補助員と
   して委嘱された弁護士だけであること
 3.検察審査会は検察をチェックする機関であるが、裁判所
   や検察に非常に近い機関になっている
―――――――――――――――――――――――――――――
 この制度は、検察の公訴権をチェックするのが目的であるにも
かかわらず、検察側にとっていくらでも恣意的に運用できる制度
であるといえます。以下、検察の立場に立って、小沢氏の強制起
訴のケースについて考えることにします。
 かなり以前から岩手県の胆沢ダムの利権をめぐり、東京地検特
捜部は小沢事務所の調査をやっていたのです。しかし、確たる証
拠がないのです。こういう場合、検察としては相手が有力な政治
家であるので、事情聴取をかけたり、まして逮捕することなど常
識的にはできないことなのです。
 ところが、その小沢一郎氏が民主党代表になり、2009年の
衆院選で政権交代を成し遂げる可能性が出てきたので、それを阻
止したいあるグループの何らかの意向によって、ほとんど証拠も
ないのに公設第一秘書をいきなり逮捕し、起訴したのです。これ
によって小沢氏は選挙が迫っていることでもあり、代表を辞任せ
ざるを得なかったのです。
 このさい、特捜部は記者クラブメディアを使って反小沢キャン
ペーンを大々的に展開して小沢氏を徹底的に貶めたのです。これ
によって、社会的に「小沢一郎=悪人」のイメージ醸成をするこ
とに成功しています。これは彼らにとって次の展開を見据えた戦
略であったのです。
 小沢氏が代表を降りたことによって、民主党は支持率を回復さ
せ、政権交代は実現したのです。しかし、小沢首相を阻止したい
グループは一定の成果を上げたことになります。それに彼らは、
まだ小沢排除をあきらめていなかったのです。それが元秘書3人
を逮捕した陸山会事件です。特捜部はこの事件に関して小沢氏に
対して事情聴取を繰り返し行ったのですが、小沢氏については起
訴できなかったのです。しかし、これによって、「小沢一郎=悪
人」のイメージはさらに鮮明になったといえます。
 しかし、ここで検察にとって思わぬ事態が起こります。厚生省
の村木厚子氏の裁判における前田元検事の証拠改竄の発覚です。
これによって検察の権威は地に落ちるのです。それでも小沢氏に
はもうひとつの罠が仕掛けられていたのです。それが検察審査会
です。検察としては、小沢氏の評判は地に落ちており、検察審査
会が必ず取り上げることを想定して不起訴にしたのです。検察審
査会では審査員の選定から審議の内容、決定のプロセスにいたる
まで、すべてがブラックボックスであるので、不正が行われやす
いし、結果のコントロールもできるのです。小沢氏のケースでも
実際におかしなことがたくさん起こっています。
 もし、検察側が小沢氏を起訴する証拠が揃わず、起訴が困難で
あったとします。この場合、検察は小沢氏をいったん不起訴にし
その後で検察審査会で審査させて2回の「起訴相当」を議決させ
裁判に持ち込む──この方が小沢氏を有罪にする可能性は高いと
考えたのです。すべてがブラックボックスの中で行われるのです
から、どうにでもできるからです。
 審査員を選定するプロセスもブラックボックスですから、審査
員の中に検察側の意を組んだ者を入り込ませ、議決を誘導するこ
とも可能です。そもそもこのような制度を作った責任は政治家に
もあり、制度内容を大幅に改正する必要があります。
 まるで暗黒裁判そのもの、小沢氏はこのような不可解な制度に
よって強制起訴されたのです。そういう状態に追い込んだグルー
プには強い悪意があるので、小沢氏の政治生命は大きな危機にさ
らされているのです。  ――── [日本の政治の現況/88]


≪画像および関連情報≫
 ●「検察の正義」のない裁判なら小沢氏は無罪/田原総一朗氏
  ―――――――――――――――――――――――――――
  自らの政治資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐり、政
  治資金規正法違反(虚偽記入)罪で強制起訴された小沢一郎
  被告の初公判が10月6日、東京地裁で行われた。小沢氏の
  意見陳述の怒りがよくわかる。これは普通の裁判ではない。
  小沢氏はこれまでに東京地検特捜部の捜査を受け、2度にわ
  たり「不起訴(嫌疑不十分)」になった。その間、検察審査
  会の審査が行われ、2010年4月に「起訴相当」と議決。
  さらに検察審査会は同年9月に強制的に起訴すべきだとする
  「起訴議決」を決め、翌10月に公表した。これにより、裁
  判所が指定する弁護士が検察官役となり、小沢氏は「強制起
  訴」され、今回の初公判が行われたのである。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20111012/287029/?top_f2&rt=nocnt
  ―――――――――――――――――――――――――――

傍聴券を求める長蛇の列.jpg
傍聴券を求める長蛇の列
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月19日

●「制度疲労を起こしている検察審」(EJ第3163号)

 一連の小沢一郎氏をめぐる裁判騒ぎについて、謀略の疑いすら
あると書くと、そんなことが民主主義国の日本であるはずがない
という反論が必ず出てきます。しかし、そういう人は、記者クラ
ブメディアによる恣意的な報道に完全に騙されてしまっていると
いうことがいえます。
 ネットメディアでは、記者クラブメディアとは100%異なる
報道を行っており、ほとんどが小沢問題の報道に関して疑惑の目
を向けています。とくに小沢氏を強制起訴した検察審の議決に関
しては批判的記事が溢れています。
 小沢一郎氏に対する検察審査会の議決には非常に多くの疑惑が
あります。これについての詳細は、「一市民が斬る」というブロ
グが精力的に取り上げているので、そのブログを参照していただ
きたいと思います。読むとわかりますが、記者クラブメディアは
完全に検察審側についてしまっているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
       ≪一市民が斬る≫
       http://civilopinions.main.jp/
―――――――――――――――――――――――――――――
 強制起訴のかぎを握っていたのは、第2回目の検察審の審査補
助員を務めた吉田繁実弁護士です。その吉田氏が審査補助員に決
まったのは2010年9月7日なのです。そうすると、14日の
議決までに一週間しかなかったことになります。
 問題はなぜこんなに遅れたかです。一説によると、誰も申し出
がなかったので、自分が申し出たといっているそうです。どうや
ら吉田弁護士は検察審にきわめて近い弁護士──検察審機能強化
派弁護士だったのです。強制起訴議決を書くために採用されたの
ではないかともいわれています。なお、吉田繁実氏についての経
歴などについては、次のブログを参照してください。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ≪文藝評論家・山崎行太郎の政治プログ≫
 http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/20101004/1286203324
―――――――――――――――――――――――――――――
 9月7日に任命され、14日に議決を実施──しかも、14日
は民主党の代表選の当日です。問題の小沢一郎氏は代表選の候補
者として立候補しているのです。
 これについてのネット取材によると、「ひょう吉の疑問/新聞
・テレビ報道は何かおかしい」によって、次の事実が判明したの
で、参考までにご紹介します。
 第5検察審は、2010年9月上旬に検察官の意見聴取を行っ
ています。意見聴取では、東京地検特捜部の斎藤隆博副部長が、
1時間以上にわたって説明をしているのです。斎藤副部長は次の
ように審査員に訴えています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 元秘書らの供述だけでは、小沢氏と元秘書らとの共謀の成立を
 認めるのは難しい。有罪を取るには、慎重に証拠を検討するこ
 とが必要です。    ──東京地検特捜部の斎藤隆博副部長
―――――――――――――――――――――――――――――
 ここで、審査員に法律的な助言をする審査補助員を務めた吉田
繁実弁護士は、暴力団内部の共謀の成否が争点となった判例や、
犯罪の実行行為者でなくても謀議に参加すれば共犯として有罪に
なるなどと認定した1958年の最高裁大法廷判決を審査員に示
したうえで、次のように審査員に訴えています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 暴力団や政治家という違いは考えずに、上下関係で判断して下
 さい。                ──吉田繁実弁護士
http://blog.goo.ne.jp/akiko_019/e/46227cf32b08b9816c3d8b16a9e07011
―――――――――――――――――――――――――――――
 これを見てもわかるように、訴追されている本人が出席できな
い審議であるのだから、本来公平であるべき審査補助員が明らか
に審査員を誘導しています。
 この検察審の議決について、平野貞夫氏は自著で、次のように
述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 今回の事件は、捜査資料・証拠資料が段ボール19箱といわれ
 る。検察審査員がそれらをすべて熟読し、咀嚼し、議決に公正
 に反映させるというのはプロではないのだからできるはずがな
 い。そこで補助弁護士が、自分の考えで選び、整理した捜査資
 料・証拠資料だけを検察審査員に読んでもらうことになる。そ
 うすれば、その弁護士の価値判断や先入観に基づいた資料の整
 理が当然行われるし、整理の仕方によってはバイアスがかかる
 ことがあり得る。それによって小沢が不利になったかもしれな
 い。簡単に言えば、その弁護士の意見や解釈を、検察審査員を
 通じて代わりに言わせることもできるわけである。
  ──平野貞夫著『日本一新/私たちの国が危ない』鹿砦社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 これに加えて、平野氏は重要な情報を付け加えています。それ
は、代表選の前日の2010年9月13日に、官邸には「小沢氏
強制起訴」の情報がもたらされており、それが菅首相派の議員に
よって、複数の特定の議員に流され、代表選の投票に影響を与え
たというのです。したがって、14日の議決は偶然ではなく、明
らかにその日を狙って議決したものと考えられます。
 この代表選については、公職選挙法に基づく選挙でないため、
多くの不正行為が行われたことがわかっています。とくに党員・
サポーター票の「菅13万票対小沢9万票」の票差には疑惑がた
くさんあり、そこに何らかの不正操作が行われたという情報があ
るのです。とても公正な選挙ではなかったのです。
 このようなことが平気で行われている日本は民主主義国家では
ないと思います。検察の出方を政治家が気にして政策を行うよう
になったら終りです。  ――── [日本の政治の現況/89]


≪画像および関連情報≫
 ●森ゆうこ議員/検察審について語る
  ―――――――――――――――――――――――――――
  小沢さんの初公判がある日に、わざわざ朝日新聞は検察審査
  会の補助弁護士を登場させている。明らかに恣意的な記事で
  朝日の深い闇を感じてしまうのは私だけか。これに森ゆうこ
  議員が噛みついた。秘密のベールに包まれている検察審査会
  に対して、徹底的に情報を出させ追及してきた議員だけに、
  この日文科副大臣としての記者会見で、小沢裁判については
  コメントを控えるとしたものの、これだけは言わせてくれと
  いうことで、次のように語った。「先週の記者会見でも申し
  上げました。もちろん一議員として、申し上げたいことは、
  様々ございますし、特に検察審査会の問題について、私以上
  に詳しく調べた議員はいないんじゃないかと思います。小沢
  元代表の本日の法廷に関して、直接申し上げるべきではない
  というふうなご指摘もございますので、それは控えさせてい
  ただきたいというふうに思っております。ただ一点ですね。
  昨日、どちらの新聞でしたでしょうか。あの、検察審査会の
  審査補助員のコメントというのが詳しく載っておりました。
  そもそも検察審査会は非公開であります。その非公開の原則
  に基づいて、我々が要求してもなかなか情報は出てこない、
  ということでございまして、ええ、まあ審査にかかわった審
  査補助員が、あのように内容を一方的に話していいものか。
  このことについては非常に疑問があります」。
      http://etc8.blog83.fc2.com/blog-entry-1229.html
  ―――――――――――――――――――――――――――

テレビに出演中の森ゆうこ議員.jpg
テレビに出演中の森 ゆうこ議員
posted by 平野 浩 at 03:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月20日

●「なぜ、小沢一郎を有罪にしたいのか」(EJ第3164号)

 陸山会事件の本質とは一体何でしょうか。裁判で争われたのは
何であったのでしょうか。小沢一郎氏にはどういう罪があるので
しょうか。
 裁判の訴因となっているものは、次のことに過ぎないのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
    政治資金収支報告書の記載漏れと記載時期のずれ
―――――――――――――――――――――――――――――
 具体的にいうと、検察側の主張では、「記載漏れ」は、陸山会
が定期預金を担保に銀行から借り入れた4億円は記載されている
が、小沢氏本人から借りた4億円は記載されていないというもの
です。これが「記載漏れ」の内容です。
 それでは「記載時期のずれ」とは何でしょうか。これは、陸山
会が世田谷の土地を2004年10月29日に購入しているのに
その登記が2005月1月に行われている──これが記載時期の
ずれであるというのです。
 それでは、小沢氏はどういう罪があるのでしょうか。
 はっきりしていることは、「記載漏れ」については罪に問えな
いということです。政治団体の帳簿の記載ミスは、事務担当者の
責任──身分犯──であって団体の代表者である小沢氏には及ば
ないからです。それでは小沢氏のどこが悪いのでしょうか。
 もしあるとすれば「記載時期のずれ」の方でしょう。検察側は
土地の登記の日をずらしたのは、小沢氏の指示によるものと見て
いるからです。しかし、証拠は何ひとつないのです。
 石川氏によると、2005年には民主党の代表選があるかもし
れず、2004年の収支報告書に記載すると、2005年に収支
報告書が公開されるので、小沢氏が不利にならないように自分な
りの判断で時期をずらしたというのです。もしそうであるならば
理屈からいっても小沢氏に相談していないはずで、小沢氏には何
の罪もないことになります。
 いずれにしてもたかが帳簿の記載漏れか、登記の期ずれなどの
事務の問題に過ぎないのです。こんなことは他の政治団体でも日
常茶飯事で起きており、いずれも訂正で済んでいるのです。それ
なのに、陸山会については、国会議員を含む元秘書3人を逮捕・
起訴して、挙句のはてに有罪判決を下しているのです。法の下に
平等はないのでしょうか。
 そんなことは、検察も裁判所もわかっていると思うのです。控
訴審では判決が覆される可能性は少なくないのです。しかし、検
察や裁判所は、元秘書3人の裁判では何が何でも有罪の判決を出
す必要があったのです。そうでないと、小沢裁判で小沢氏を有罪
にすることは、ほとんど絶望的になるからです。
 どうして小沢氏をそこまでして有罪にしたいのでしょうか。そ
れは小沢内閣の誕生を阻止するためです。小沢氏を首相にしない
ためです。これは記者クラブメディアも同じなのです。自分たち
の存続にかかわっており、利害が及ぶからです。
 小沢内閣ができれば、徹底的に官僚機構を壊しにかかることは
火を見るより明らかです。記者クラブなどは真っ先に廃止に追い
込まれるでしょう。それは、政治を官僚から国民の手に取り戻す
ために、どうしてもしなければならない改革なのです。それがで
きるのはもはや小沢一郎しかいないのです。官僚機構もそう見て
います。小沢一郎ならやりかねない、と。
 そこで検察は、収支報告書の記載漏れや登記時期の期ずれ記載
を「虚偽記載」とまとめて表現し、いかにもそれが悪質であるか
のような印象を持たせようとしたのです。つまり、なぜそういう
虚偽記載をしなければならなかったかという動機を西松建設や水
谷建設からの裏献金に求めたのです。何の証拠もないのにそのよ
うにでっちあげたのです。何ということか。これはもはや裁判の
名に値しない代物です。
 つまり、陸山会裁判をいかにも贈収賄事件のように偽装したの
です。そうでないと、これまでの小沢事務所に対する捜査や取調
べと整合性を保てないからです。法の下に平等ではないという批
判を浴びるからです。記者クラブメディアもそれに協力して小沢
潰しに参加しています。これは独裁国家おける暗黒裁判そのもの
といえます。中世の魔女裁判と同じです。
 本当に小沢氏が事務所ぐるみで共謀して裏献金を手にし、政治
資金収支報告書に虚偽記載したのであれば、検察はなぜ堂々と小
沢氏を贈収賄罪で逮捕・起訴しないのでしょうか。なぜ、政治資
金収支報告書の虚偽記載による政治資金規正法違反なのでしょう
か。小沢問題を唯一正しく報道している「週刊ポスト」は、それ
について次のように書いています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 今回の事件が小沢事務所ぐるみの贈収賄であるなら、ただちに
 小沢氏本人を含めて容疑者として逮捕すべきだ。それこそが政
 治浄化につながる。が、新聞・テレビもこれが本当に贈収賄だ
 と思っていない。「ゼネコン裏金認定(朝日)」などと報じな
 がら、なぜか政治資金規正法違反より重大な公共事業をめぐる
 贈収賄事件を独自に検証しようとしないのがその証拠だ。(一
 部略)つまり、マスコミ、政界、そしていまやそれらを完全に
 掌握してコントロールする霞ヶ関の巨大権力の目的は、政治浄
 化でもなければ犯罪の立件でもない。「小沢の政界退場」さえ
 実現できれば、あとはどうでもいいのである。
            ──「週刊ポスト」/10月14日号
―――――――――――――――――――――――――――――
 ここで誰の目にもはっきりしてきたことがあります。それは、
小沢氏がマスコミ、既存政党、官僚機構にいかに恐れられている
かということです。彼なら本気で改革をやりかねない、と。
 彼らにとって他の政治家など恐れるに足らない存在であり、容
易に制御できると考えています。確かに、鳩山、菅、野田政権を
見れば明らかです。しかし、何たる傲慢か。これほど国民を馬鹿
にした話はないと思います。 ── [日本の政治の現況/90]


≪画像および関連情報≫
 ●「小沢一郎は国家反逆罪か」/「週刊ポスト」
  ―――――――――――――――――――――――――――
  この国が恐ろしいのは、すべての権力が同じ方向を向いて走
  り、正義よりも自分たちの足元ばかり気にしている点だ。こ
  れは、一政治家に対する好悪、一事件の審議を超えた問題で
  ある。恐らくこのような裁判がまかり通り、もし誰も「おか
  しい」と口を開かなくなれば、小沢氏自身も「有罪推定」と
  みて間違いない。その罪状は何だろう。「国家反逆罪」だと
  いわれればわかりやすいが、そんな気の利いた言葉は、荒涼
  とした今の権力からは出てこない。その法廷で裁かれるのは
  この国の「正義」なのかもしれない。
            ──「週刊ポスト」/10月14日号
  ―――――――――――――――――――――――――――

「週刊ポスト」/10月14日号.jpg
「週刊ポスト」/10月14日号
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2011年10月21日

●「検察調書の不採用は裁判所の演出」(EJ第3165号)

 石川知裕氏が逮捕され、検察の取り調べを受けたさい、石川氏
は政治資金収支報告書などの処理については、一括して小沢氏に
報告し、了承を受けていたと供述しており、それが検察の供述調
書になっています。
 そのとき検察側は、収支報告書への虚偽記載・不記載について
石川氏が小沢氏に報告し、了承を受けていたというストーリーを
調書にして、これにサインするよう何日にもわたって石川氏を追
い詰めたといいます。なぜなら、これを取れば小沢氏を有罪にで
きる可能性が出てくるからです。
 そのとき、検察官は石川氏に対し、次のように説得したといわ
れています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢さんが起訴されることを心配しているのはわかるが、こ
 れぐらいのことで、小沢さんは起訴にはならないから・・。
―――――――――――――――――――――――――――――
 そのとき、石川氏の頭の中に佐藤優氏のアドバイスが浮かんだ
と思われます。実は石川氏は逮捕される前に佐藤優氏から次のよ
うにアドバイスを受けていたのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 すべての調書にサインを拒むと、ボクのようになかなか保釈
 が許可されないよ。いくつかの調書にはサインして保釈を勝
 ち取るべきだと思う。           ──佐藤優氏
―――――――――――――――――――――――――――――
 そのため、石川氏は小沢氏に報告し、了承を受けていたとする
調書にサインしたと思われます。もしかすると、佐藤氏のいうセ
リフは、取り調べ検察官も口にした可能性もあります。
 陸山会公判で登石裁判長は、その供述調書は心理的圧迫と利益
誘導があり、任意性がないとして検察側が求める証拠採用を却下
しています。今にして思えば、裁判所と検察はウラで共同作戦を
組み、裁判所が検察に厳しい態度で臨むフリをしたものと思われ
ます。この検察調書の不採用は、裁判所の正義の演出であり、世
間へのパフォーマンスであったのです。
 その証拠に登石裁判長は、小沢氏と石川氏の力関係から見て報
告がなかったとは思えないし、十分あったと推認できるとして有
罪判決を出しています。これは、これからの裁判では証拠などな
くても裁判官が推認することで有罪にできるということを示した
ものと思われます。恐ろしい話です。
 これについて、香川県弁護士会所属の生田暉雄氏は「私が裁判
長なら証拠不十分で無罪を出す」として、次のように述べていま
す。生田暉雄氏は、1970年から22年間にわたり裁判官を務
め、大阪高検判事まで登りつめたベテランです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 今回の裁判では供述調書に頼らず、客観的な証拠を評価しよう
 とした。この点はいい。問題はこの客観証拠をどう評価し、事
 実認定したかということである。判決文を読むと、裁判官の価
 値観や推測、憶測で証拠の評価を行っている。これは「事実」
 の認定とは違います。推測するなら、推測に至る資料や緻密な
 根拠、具体的な手順を示さなければならない。何でもかんでも
 許されるということではないのです。こうした手法がまかり通
 るのであれば、個々の裁判官の思惑で勝手に有罪、無罪を判断
 できることになり、恐ろしいことになります。──生田暉雄氏
           2011年9月30日付、日刊ゲンダイ
―――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、小沢氏の裁判では、検察官役の指定弁護士は陸山会公
判では却下された問題の石川氏の供述調書を拠りどころにして、
小沢氏を起訴しているのです。これが証拠として採用されるかど
うかは2012年2月になるそうです。まさにこの調書が裁判の
かぎを握っているといえます。
 もうひとつ、日本の裁判では欧米と違って有罪が多くなる原因
があるのです。それは日本の裁判所が無罪判決を出そうとするに
は、その理由を書く必要があるということです。それには相当の
手間がかかるし、労力が必要になります。
 有罪判決なら、検察が書いたストーリーに少し手を入れるだけ
で済むので、労力は少なくなります。しかし、無罪判決を出そう
とすると時間もかかるし、相当の手間もかかることになる──裁
判所が無罪判決を出したがらないのはそのせいであることを指摘
する識者もいるのです。
 水谷建設からの献金ですが、川村元社長は「渡した」といい、
その席に同席したという人物もそれを見たという。しかし、受け
取った側の石川氏は「もらっていない」と否定します。弁護側の
証人として出廷した水谷功元会長ですら「わからない」と証言し
ています。したがって、これを事実と認定するには無理があるの
です。しかし、裁判所はこれを事実と認定したのです。
 こんなやり方では、口裏を合わせた証人が出廷すれば、たちま
ち有罪になってしまいます。記者クラブメディアはなぜこの不正
義を報道しないのでしょうか。
 検察側証人として出廷した川村元社長やそれを見たという人物
は、2009年時点で検察から事情聴取を受け、調書を取られて
いるのです。しかし、この取り調べでは検察側は相当の威迫を加
えたと思われます。そのため、陸山会公判で検察側証人として出
廷し、調書の通り述べて欲しいといわれたとき、おそらく断れな
かったものと思われます。何らかの弱みを検察に握られているも
のと推認できるのです。それでいて検察は金を出した水谷会長の
証言はアタマから無視しています。
 検察側としては、陸山会公判で有罪の判決を取り、小沢裁判で
小沢氏を有罪にする──こうすれば、小沢政権の可能性は限りな
くゼロになると考えているものと思います。司法の場に政治を持
ち込むなど許されることではないのです。日本はここまで劣化し
てしまったのでしょうか。  ── [日本の政治の現況/91]


≪画像および関連情報≫
 ●ある司法のプロの意見/量刑の理由について
  ―――――――――――――――――――――――――――
  裁判長は、3人の量刑の理由として『自らの責任をかたくな
  に否認しており、反省の姿勢を全く示していない』と述べま
  したが、これもヒドイ詣です。窃盗や殺人の現行犯と違って
  不法行為があったかどうかを争っているのですよ。検察側の
  言い分と真っ向から対立しているのだから、否認するのは当
  たり前じゃないですか。それで『反省の姿勢がない』と罰せ
  られてしまうのなら、誰も裁判で無罪を主張できなくなって
  しまいます。  ──2011年9月29日/日刊ゲンダイ
  ―――――――――――――――――――――――――――

生田暉雄弁護士.jpg
生田 暉雄弁護士(右)
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月24日

●「21億7千万円の虚偽記載の根拠」(EJ第3166号)

 2011年10月20日の産経新聞のコラム「正論」で、元最
高検検事・土本武司氏が「小沢氏検察糾弾に3つの不当性」と題
して、小沢批判を行っています。
 「国民の負託を受けていない検察が議会制民主主義を踏みにじ
り、国民主権を冒涜した」とまで小沢氏にいわれたのだから、検
察側の人間として一言いいたいというのはわからないでもないで
すが、文中の次の部分には異論があります。
―――――――――――――――――――――――――――――
 陸山会は2004年10月に東京都世田谷区の土地を購入した
 際、小沢被告から借り入れた資金4億円を同年分の政治資金報
 告書に記載せず、総額約21億7000万円に上る虚偽記載を
 行っている。               ──土本武司氏
      2011年10月20日付、産経新聞「正論」より
―――――――――――――――――――――――――――――
 「総額21億7000万円の虚偽記載」という表現は、読売新
聞や読売新聞系のテレビがしきりと伝えている数字です。9月2
6日付、読売新聞は次のように伝えています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 判決は、史上最高の立件額となった約21億7000万円の虚
 偽記入をすべて認めた。元秘書3人全員が有罪とされ、資金管
 理団体の虚偽記入が認定されたことで、同会の代表者である小
 沢元代表の政治責任が問われるのは必至だ。
           ──2011年9月26日付、読売新聞
―――――――――――――――――――――――――――――
 この21億7000万円という数字は、どこから出てきたので
しょうか。さらに10月1日の日本テレビ「ザ・ウェーク」にお
いて、司会者の辛坊治郎氏はやはり「約21億7000万円の虚
偽記入」と発言し、さらに10月11日付のブログには次のよう
に書いています。少し長いが引用します。
―――――――――――――――――――――――――――――
 先日、小沢一郎民主党元代表の元秘書3人に、執行猶予付きの
 禁錮刑が言い渡されましたが、その直前に、結構有名な評論家
 がこんなことを書いていたんです。「少しでも法律を知ってい
 る者なら、この3人に有罪が言い渡される可能性がほとんどゼ
 ロであることはわかるはずだ」。あのね、「少しくらい法律を
 知っている者」として言わしてもらいますがね、この3人が有
 罪である確率は100%です。少なくとも直接、政治資金の収
 支報告書の作成に関わっていた石川知裕被告と池田光智被告が
 無罪になることは絶対なかったと言えます。だって、問われて
 いるのは政治資金収支報告書にウソを書いた罪なんですから。
 この罪は、実際に提出された報告書が間違っていて、「どう考
 えても過失でこんな間違いはしないだろう」と思われる状況さ
 えあれば、それだけで自動的に成立する犯罪なんです。何せ、
 今回罪に問われた収支報告書の間違いは、1円2円の話じゃあ
 りません。総額で、この種の事件としては最高の約21億7千
 万円の「ウソ記載」なんです。常識で、これだけデカい金額を
 間違って報告書に書くと思いますか?    ──辛坊治郎氏
     http://asahisyougun.iza.ne.jp/blog/entry/2472462/
―――――――――――――――――――――――――――――
 読売新聞にしても、土本武司氏にしても、辛坊治郎氏にしても
「21億7000万円の虚偽記載」の根拠を何も示さず、そんな
ことは周知のことであるといわんばかりに書き立てています。し
かし、本当に当のご本人は分かっているのでしょうか。
 いや、わかっていると思います。しかし、その根拠を書くのが
憚られるからこそ、あえて明らかにしないのです。そこで、裁判
官の推測と推認に溢れた判決文を参照して、その根拠を考えると
次の数字の合計としか考えつかないのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1.西松建設 → 陸山会へ 1.0億円 ・・ 証拠なし
 2.水谷建設 → 陸山会へ 0.7億円 ・・ 証拠なし
 3.小沢氏  → 陸山会へ 4.0億円 ・・ 記載あり
 4.小沢氏  → 銀 行へ 4.0億円定期預金
 5.銀 行  → 陸山会へ 4.0億円 ・・ 記載不要
 6.陸山会  →   4億円の土地購入 ・・  期ずれ
 7.陸山会  → 小沢氏  4.0億円 ・・  未確認
 ――――――――――――――――――――
              21.7億円
―――――――――――――――――――――――――――――
 EJで一貫して主張しているのは、小沢氏から4億円借り入れ
その4億円で定期預金を組み、同額を銀行から借り入れているが
小沢氏から借り入れた4億円は、陸山会の2004年度政治資金
収支報告書に記載があり、銀行からの借り入れについては政治資
金規正法第4条の「収入」に該当しないので、記載しなくてもよ
い。購入した土地の登記は購入日から約2ヵ月遅くなっているが
2005年度の収支報告書に記載がある──したがって、虚偽記
載はないというものです。
 読売新聞、土本武司氏、辛坊治郎氏は、証拠がない献金金額を
含め、二重にも三重にも加算して「21億7000万円の虚偽記
載」といっているのです。それをいうなら、なぜ、きちんと根拠
を示さないのでしょうか。とくに辛坊治郎氏なるキャスターの傲
慢な物言いには唖然とせざるをえません。
 いやしくも公党の元代表まで務めた現職の政治家を新聞などで
批判する場合、元最高検・検事ともあろう人物なら、根拠をきち
んと示すべきです。まして読売新聞は大メディアであり、そんな
ことは常識のはずですが、記者はそうでもないようです。
 事情を知らない一般人が読売新聞や産経新聞を読んだり、日テ
レをみると、小沢氏は21億円を超える金額を虚偽記載していた
んだ。悪い奴だと思ってしまうのは当然です。これが人物破壊で
なくて何でしょうか。    ── [日本の政治の現況/92]


≪画像および関連情報≫
 ●小沢会見で場外乱闘/ルール無視の大新聞記者に怒号の嵐!
  ―――――――――――――――――――――――――――
  火ダネとなったのは、陸山会事件について聞いた読売新聞の
  記者だった。小沢の答えをロクに聞こうともせず、司会者の
  制止も無視して延々と質問と持論を展開し続けたのである。
  記者はまず、こう切り出した。「小沢さんは、脱税とか汚職
  を伴わなければ、実質的な犯罪とは言えないいう発言を再三
  されていると思うが・・」。これに対して、小沢は「そうは
  言っていない」否定するのだが、記者遮り、「いや、そう受
  け取れることを言っている」「そういうふうに一貫して述べ
  ていると思う」とまくし立てる。小沢は苦笑しながら、こう
  答えた。「私は犯罪じゃないという言い方はしていません。
  実質的犯罪が伴わない場合、今まではすべて、収支報告書の
  修正で済まされてきたと申し上げた」。それでも記者は「そ
  んなことはない!」と食ってかかり、「いや、例えば・・」
  「私は・・・」と勝手にトークバトルを開始。おまけに、こ
  の騒動は会見終了後、第2ラウンドに突入した。ジャーナリ
  ストの岩上安身氏や会見の主催者でもある上杉隆氏がこの記
  者に詰め寄り、会見の「ルール」について説明。それを50
  人近い報道陣が取り囲み、十数分間にわたって、押すな押す
  なの大騒ぎが続いたのである。だが、懲りない記者は「いや
  小沢さんが前提を否定するから」とか、「一般の会見では」
  「通常の会見では・・・」と繰り返したため、周囲からは、
  「まずは人の話を聞け」「この国で通常の会見″なんて行
  われているのか」と突っ込まれる場面もあった。ちなみにこ
  の記者は、当初、名刺を出すことも拒否していた。自由報道
  協会代表の上杉隆氏が言う。「司会者の制止を聞かず、会見
  の進行を妨げたのは明らかなルール違反です。この会見は主
  催側が会場や警備のお金を払い、すべての記者にオープンに
  開いたもの。その代わりにルールを定め、了解の上で参加し
  てもらっている。読売の記者も同じです。
        ──2011年10月21日付、日刊ゲンダイ
  ―――――――――――――――――――――――――――

自由報道協会主催/小沢会見.jpg
自由報道協会主催/小沢会見
posted by 平野 浩 at 04:05| Comment(3) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月25日

●「いかにして悪いイメージを作るか」(EJ第3167号)

 小沢一郎氏は、政権交代を実現させてからというもの、極力テ
レビに出演しないようにしています。幹事長のときの記者会見で
はフリーの記者を含め、すべての記者に会見を開放しているので
す。記者会見に関しては小沢氏はいつもこのスタイルで行ってお
り、記者クラブメディアの特権を認めないのです。
 したがって、もし、小沢政権になったら、記者クラブは完全に
廃止されることになると思います。それだけではなく、これまで
懸案になっているクロスオーナーシップを禁止し、新聞社が放送
業に資本参加できなくし、電波オークションも実施されるように
なると思います。記者クラブメディアが小沢氏を目の敵にして潰
そうとする原因はここにあります。
 2010年になって3人の元秘書が逮捕されると、小沢氏は、
それまで以上にテレビ出演をすべて断り、要請されるともっぱら
ニコニコ動画などのネットメディアにのみ出演するようになって
います。テレビでは話がそのまま伝わらず、テレビ局の都合のよ
いように編集されてしまうのに対し、ユーストリームなどのネッ
トメディアは編集されることがないので、話していることがその
ままダイレクトに伝わるからです。大新聞・テレビなどのマスコ
ミに強い不信感を抱いており、その溝は深くなりつつあります。
 テレビ番組は大別すると、「生放送」と「録画放送」の2つに
なります。生放送は、今まさに行われていることをそのまま同時
に送り出すのに対し、録画放送は事前に収録・編集されているも
のをビデオテープやビデオサーバーに記録しておき、特定の時間
に送り出すのです。
 このように考えると、例えば、テレビの「報道ステーション」
などのニュース番組はうっかり生放送であると錯覚してしまうも
のです。確かに、キャスターやコメンテーターは放映時間中はス
タジオにいて、生放送なのですが、そこで使われるニュース映像
は録画され、編集されているのです。しかも、報道ステなどでは
キャスターやコメンテーターがニュースの解説をするので、同じ
ニュースであっても、テレビ局独自の色付けをしたり、バイアス
をかけたりすることができるのです。小沢氏はこれを非常に警戒
しているのです。
 例えば、陸山会公判で、3人の元秘書が有罪判決を受けた日に
リポーターが街に出て、「小沢一郎氏に対する証人喚問をすべき
だと思いますか」と聞けば、多くの人が「証人喚問すべきだ」と
答えるに決まっています。これを受けてコメンテーターが「国会
でも説明責任を果たすべきだ」とコメントすると、そのように考
えている人が大勢いるのだということが強く印象付けられること
になるのです。
 10月6日、小沢氏の強制起訴による裁判の第1回が行われま
したが、そのあとに行われた記者会見で何が行われたかをご紹介
します。小沢氏は会見冒頭に次のようにいっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 立った方がいいのかな。立った方がいい。よしよし。今日ぐ
 らいサービスしよう。          ──小沢一郎氏
―――――――――――――――――――――――――――――
 最初はこのようにいい雰囲気で会見ははじまったのです。しか
し、途中で共同新聞の記者から「司法の場とは別に国会で説明責
任を果たす考えはあるか?」という質問が出て次のようなやりと
りがあったのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢氏が「君はどう考えているの?あなたの見解は?」と聞き
 返すと、記者は口ごもりながら「国会での説明も一方では重要
 なことかと思う」と答えた。すると小沢氏は、「じゃあ、君は
 三権分立をどう考えているの?」「司法は司法で独立してるわ
 けでしょう」「もうちょっとよく勉強してから質問してくださ
 い」と一気にたたみかけたのである。強制起訴された以上、司
 法に委ねるべきという小沢氏の考えは、これまでの会見でも繰
 り返されてきたものだ。──「週刊ポスト」10/28号より
―――――――――――――――――――――――――――――
 このとき、小沢氏は少し不機嫌な表情をして記者にたたみかけ
たのです。記者クラブメディアはこの小沢氏の表情をビデオでと
らえて、その映像を録画したのです。わざと小沢氏が怒りそうな
質問をして、その怒りの表情をとらえて編集したのです。そして
その日のニュース番組で流し、以後何回も何回もその映像は繰り
返し、流されることになります。その目的は「小沢は傲慢だ。反
省していない」という印象を持たせるために、わざとそういう映
像を流すのです。
 その記者会見を伝える各紙の報道は次のようになっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ●こわもてはいつも通りだったが、あらかじめ質問数を制限し
  ていた。批判的な報道をしてきた新聞やテレビの記者を遠ざ
  けて支持者が多いインターネット向けの記者らを優遇する段
  取りも用意されていた。(朝日社説)
 ●記者によって質問を受け付けなかったし、元代表が記者の問
  いに強い口調で質問し返しする光景もみられた。(読売)
 ●都合が悪くなると、おびえたハリセンボンのようにふくれ上
  がり、身を守ろうとする。主張が支離滅裂なのも相変わらず
  である。(産経)    「週刊ポスト」10/28号より
―――――――――――――――――――――――――――――
 ひどいものです。上杉隆氏は、「質問を制限するなど事実と異
なる。記者クラブメディアが幼稚なだけにしか見えない。記者た
ちは勉強不足の「甘い質問」でドヤ顔をしているだけである」と
述べています。動画は今でも見られるはずであり、ぜひ見て欲し
いといっています。小沢氏を批判する人ほど小沢氏のことをよく
調べておらず、不勉強であり、風評による印象をそのまま信じて
います。とくに産経新聞よ、何が支離滅裂なものか。そういって
いる記者こそ支離滅裂です。 ── [日本の政治の現況/93]


≪画像および関連情報≫
 ●フリージャーニナリスト/上杉隆氏の意見
  ―――――――――――――――――――――――――――
  GHQ総司令官のマッカーサーは終戦直後、「日本人は12
  歳」と発言した。あれから70年近くが経ったいま、日本人
  は成長するどころか、さらに幼稚化して「赤ちゃん」に戻っ
  てしまったようだ。私は、記者クラブの「赤ちゃんプレイ」
  に付き合うつもりはない。小沢一郎氏は記者会見でこう語っ
  ていた。「日本は戦前、行政官僚、軍人官僚、検察警察官僚
  が結託し、財界、マスコミを巻き込んで国家権力を濃用し、
  政党政治を破壊しました。その結果は無謀な戦争への突入と
  悲惨な敗戦という悲劇でありました。教訓を忘れて今のよう
  な権力の乱用を許すならば日本は必ず同様の過ちを繰り返す
  に違いありません」。小沢氏もまた、日本人の幼稚化に気づ
  いている。     ──「週刊ポスト」10/28号より
  ―――――――――――――――――――――――――――

上杉隆氏.jpg
上杉 隆氏
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月26日

●「検察審議決そのものが無効である」(EJ第3168号)

 6月13日から書き始めた今回のテーマ「この国は何によって
支配されているのか/日本の政治の現況」は、本日を含めてあと
8回で終了します。
 この8回は、小沢一郎氏が強制起訴による裁判で来年4月に無
罪が勝ち取れるかどうかについて検証したいと思います。なぜな
ら、これが日本の政治の方向に影響を与えるからです。
 小沢裁判の第1回目が行われた10月16日に弁護側が出した
冒頭陳述の最初の部分をまず読む必要があります。
―――――――――――――――――――――――――――――
 検察官役の指定弁護士は、訴因を「陸山会が16年(2006
 年)10月12日ごろ元代表から4億円を借り入れたが収支報
 告書に計上せず、虚偽記載した」とするが、この訴因について
 検審は22年(2010年)4月27日に起訴を相当とする議
 決をしておらず、その後、検察も不起訴としていない。その結
 果、検審は処分当否の審査をしておらず、同10月4日公表の
 起訴をすべきだとの議決は無効。前記訴因の公訴提起は有効な
 議決を欠く。        ──「弁護側の冒頭陳述要旨」
             2011年10月7日付、産経新聞
―――――――――――――――――――――――――――――
 これは、2010年10月15日に小沢弁護団が東京第5検察
審査会の起訴議決を無効であるとして、行政訴訟を起こしたもの
の、最高裁によってそれは行政訴訟ではなく,後の刑事訴訟の中
で司法判断を求めるべきものであるとして退けられているので、
冒頭に書かれたものと思われます。しかし、実際に検察官役の指
定弁護士は選任され、裁判が始ってしまっています。しかし、こ
の問題は必ず後で問題になります。
 検察審査会は、検察の下した不起訴処分に対して不満がある場
合に検察審査会に告発が行われ、審議して「不起訴相当」や「起
訴相当」を出すものです。しかし、その審議は検察が不起訴とし
た訴因について行われるのは当然のことです。
 しかし、第5検察審査会の2回目の議決には、新しい事実が訴
因に加わっており、その議決そのものが無効であるとしているの
です。その新しい事実とは何でしょうか。
 第5検察審査会の2回目の議決で犯罪事実とされているのは、
次の2つです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1.陸山会の土地購入をめぐるいわゆる「期ずれ」について
   の虚偽記載の事実
 2.陸山会が小沢氏から借り入れた4億円の資金についての
   の虚偽記載の事実
―――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、これらのうち2については、検察の不起訴処分の犯罪
事実にも第1回の第5検察審査会の「起訴相当」の犯罪事実にも
入っていないのです。つまり、第5検察審査会の第2回の議決に
おいて2を犯罪事実に新たに加えているのです。つまり、犯罪事
実になっていないものまで含めて「起訴相当」の議決に加えてい
ることになります。これは明らかに違法であり、無効です。
 もし、こんなことを許すと、検察審査会自体が新たな犯罪事実
を加えて「起訴相当」議決を出せるようになってしまいます。し
たがって、小沢弁護団としては、第5検察審査会の第2回の議決
そのものが無効であるので、強制起訴もなかったことになると主
張したのです。このあたりのことを記者クラブメディアはきちん
と伝えず、4億円のことばかりを異常なほど繰り返し報道してい
るので、多くの人が誤解してしまうのです。
 にもかかわらず、よくわからないのは、この問題が何ら解決さ
れないまま小沢裁判が始っていることです。しかし、これが後で
問題になることは確実で、判決にも大きな影響を与えることにな
ると思います。なぜなら、違法による強制起訴であり、裁判その
ものが無効になりかねないからです。参考までに、小沢弁護団が
2010年11月30日に発表した「今後の対処方針について」
という書面の一部を関連情報に載せておきます。
 この行政訴訟提訴に関しては、「日本がアブナイ!」というブ
ログで、相当詳細に検討されているので、このブログを参照して
いただきたいと思います。
―――――――――――――――――――――――――――――
      ≪日本がアブナイ!≫
      http://mewrun7.exblog.jp/13423856/
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢氏は初公判において「検察の不当、違法な捜査で取られた
調書を根拠に誤った判断がなされており、この裁判は打ち切るべ
きだ。百歩譲って裁判を続けるとしても、罪に問われるようなこ
とは全くない」と述べていますが、これはこの強制起訴による裁
判そのものが無効であるとの思いをにじませての言葉であると考
えます。
 法的なことはよくわかりませんが、小沢弁護団は強制起訴によ
る裁判を戦いながら、その裁判が無効であるという刑事訴訟を起
こすことを考えているのでしょうか。それとも強制起訴裁判でも
勝てると考えてその刑事訴訟を見送るのでしょうか。それは小沢
弁護団による宣言──「関連情報」──の中の次の文章に何か暗
示されていると思います。
―――――――――――――――――――――――――――――
 当弁護団が起訴議決の違法・無効を刑事訴訟手続で主張した場
 合に,刑事裁判所が行政処分だからという理由で判断を拒否す
 ることはできなくなったからです。     ──小沢弁護団
―――――――――――――――――――――――――――――
 何となく最高裁は第5検察審査会の議決の無効を訴える行政訴
訟から逃げたような印象があります。いずれにしても、小沢弁護
団自身は絶対に「無罪」を勝ち取れると考えているようです。
              ── [日本の政治の現況/94]


≪画像および関連情報≫
 ●小沢弁護団による小沢裁判の進め方の宣言
  ―――――――――――――――――――――――――――
   先般当弁護団から申し立てた特別抗告・許可抗告に対する
  最高裁の決定において,第五検審の起訴議決の違法・無効に
  ついては,行政訴訟ではなく,後の刑事訴訟の中で司法判断
  を求めるべきものであるとされました。このような訴訟方法
  における交通整理は,小澤氏が違法・無効な起訴議決に基づ
  く刑事訴訟手続を甘受せねばならない不利益を一切考慮しな
  いものであり,行政訴訟において司法が果たすべき役割や行
  政訴訟の裁判を受ける権利を放棄したに等しく,甚だ遺憾で
  あります。
   最高裁が今回の決定で,起訴議決の違法・無効については
  刑事訴訟手続の中で判断を求めうるとしたことは,極めて重
  要な意味を持ちます。なぜなら,当弁護団が起訴議決の違法
  ・無効を刑事訴訟手続で主張した場合に,刑事裁判所が行政
  処分だからという理由で判断を拒否することはできなくなっ
  たからです。むしろ,刑事訴訟手続の冒頭でまず起訴議決が
  違法かどうかの論点について決着を付けないと犯罪事実に関
  する通常の審理に進めないことを意味すると言えましょう。
  だとすれば,当弁護団としては,行政訴訟でのこれまでの主
  張を,今後は刑事訴訟手続の中で主張すれば必要かつ十分で
  あるということになります。以上の理由により,当弁護団が
  先に東京地裁に提起している行政訴訟の本案の訴えについて
  は,本日これを取り下げることとし,所定の手続をとりまし
  た。今後,当弁護団としましては,刑事訴訟手続に全精力を
  集中し,そもそも検察審査会が権限を逸脱して行った起訴議
  決に基づく指定弁護士による起訴手続自体が無効であること
  を訴えて,早期に裁判の終結を求めるのはもとより,公判に
  おいて小澤氏が無実であることが明らかになるよう弁護活動
  を展開して参る所存であります。
     http://www.asyura2.com/10/senkyo100/msg/841.html
  ―――――――――――――――――――――――――――

弘中弁護士の会見.jpg
弘中弁護士の会見
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月27日

●「小沢弁護団は切り札を持っている」(EJ第3169号)

 小沢裁判は、検察審査会が2度にわたって「起訴相当」を出し
強制起訴されており、政治家で起訴されたのは小沢一郎氏がはじ
めてという特異ケースです。しかし、その裁判は、単に小沢一郎
氏が有罪か無罪かを巡る裁判ではなくて、「小沢一郎対司法」の
全面対決の様相を呈してきているのです。
 その発端は、10月6日の初公判における小沢氏の爆弾宣言で
す。これは司法に対して小沢氏が宣戦布告したのと同じであると
いえます。これは弁護団の筋書きにはなかったことで、小沢氏本
人の強い希望で行われたものです。
 法廷戦術からいえば、法廷の場での検察批判は、被告人にとっ
ては、絶対にプラスにならないものです。しかし、それをあえて
行ったということは、小沢氏はこの裁判の結果が有罪になること
を見抜いていると考えます。本来起訴されるはずのない些細なこ
とで、政治家が起訴された経過から見て、最悪の結果は有罪にな
ると判断したのだと思います。
 しかし、小沢弁護団には切り札があるのです。この裁判そのも
のを無効であるとする刑事訴訟を起こせる権利です。前回のEJ
で述べたように、小沢弁護団は今回の検察審査会の強制起訴は違
法であり、無効であるとして東京地裁に行政訴訟を起こしている
のです。しかし、東京地裁はたったの3日でこれを却下したので
す。完全な門前払いです。その理由は次の通りです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 検察審は準司法機関であり、行政訴訟にはそぐわない。議決は
 行政処分には当たらず、行政訴訟の対象とならない。刑事手続
 きで争うべきである。     ──東京地裁/川神裕裁判長
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢弁護団は、それは織り込み済みで、「議決には重大な瑕疵
があったのに、起訴前に救済されないのは遺憾」として、最高裁
に即時抗告したのですが、最高裁もこれを却下したのです。した
がって、小沢弁護団に刑事訴訟を起こされると、刑事裁判所は行
政処分であるとしてそれを退けることは、もはやできないことに
なります。
 これについて、「世界の真実の姿を求めて!」のブログでは、
東京地検検事の落合洋司弁護士の意見を紹介し、次のように述べ
ています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 検察審査会は刑事手続きの一環としてとらえられており、今回
 のような事態(行政訴訟)を想定していない。(新たな“犯罪
 事実”が加わるなど)審査会に問題があるとはいえ、手続きの
 不備、違法性などは公判で争う余地が十分ある。裁判所はそれ
 らを含めて判断するはずだ。検察審の密室性、運用のあり方と
 今回の行政訴訟は次元が別ということらしい。もっとも、小沢
 側だって、司法当局の出方は分かっていたはず。それなのにあ
 えて反撃に出たのはなぜか。ここまでは、小沢弁護団も織り込
 み済みでしょう。今回の起訴議決は、政治家に適用された初の
 ケース。それだけに慎重な判断が求められたのですが、2回目
 の議決で告発容疑にない新たな“犯罪事実”が盛り込まれると
 いう異例の展開となった。そこで、審査のおかしさを世間にア
 ピールするために、あえて却下を覚悟の上で行政訴訟を起こし
 たのでしょう。最終的には裁判でとことん争う覚悟ができてい
 ると思いますよ。(憲法学者)
   http://oujyujyu.blog114.fc2.com/blog-entry-1277.html
―――――――――――――――――――――――――――――
 第2回目の検察審査会の議決の違法性は明白なものでであり、
国としてはきわめて部が悪くなります。もし、国がこの刑事訴訟
に負けると、小沢裁判で小沢氏が有罪になっても、その後でその
裁判そのものが無効になれば、裁判はなかったことになるので、
小沢氏の無罪は確定することになります。
 もしそういうことになれば、それはわが国の司法にとって最大
の汚点になり、それは「司法の死」を意味します。それだけでは
ないのです。今までブラックボックスの中で行われてきた検察審
査会の内部処理についても、法廷の場で明らかにせざるを得なく
なってきます。とくに小沢氏に対する2回の「起訴相当」の経過
には多くの疑惑があるのですが、それが白日の下に晒されること
になってしまいます。国としてはそれを避けたいでしょう。
 しかし、小沢弁護団はその切り札を使わなくても裁判には勝て
ると考えているようです。普通であれば、この裁判で小沢氏が有
罪になるとはとても考えられないのです。ここにそれを象徴する
きわめて興味深い対談があります。
 10月6日の小沢氏の第1回公判の次の日、その公判を巡って
元検事の郷原信郎氏はニコニコ生放送に出演し、小沢氏初公判は
『どこかが狂っている』とこの裁判に疑問を呈したのです。
 これに対して元自民党代議士で弁護士の早川忠孝氏は郷原氏の
発言とニコニコ生放送に対し、「ニコニコ生放送は小沢氏の単独
インタビューなどを好んで報道するようで、私のような批判的に
小沢氏の一連の行動を見ている人間にはお呼びがかからないが、
郷原氏の所論はどうにも決めつけが多過ぎる」と自身のブログで
批判したのです。
 そこでニコニコ生放送は10月19日に両氏を招いて対談方式
で徹底討論してもらうことにしたのです。その対談の全文が次の
サイトに収録されています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 対談/「小沢裁判はどこが狂っているか」/郷原VS早川
 http://getnews.jp/archives/147009
―――――――――――――――――――――――――――――
 ぜひ一読して欲しいのです。郷原氏の所論は明解であり、語気
は鋭く、早川氏はタジタジでとても勝負にはなりません。しかし
早川氏のように考えている人は実に多いです。記者メディア情報
を丸呑みしているのです。   ──[日本の政治の現況/95]


≪画像および関連情報≫
 ●郷原信郎氏/早川忠孝氏の徹底総論から・・・
  ―――――――――――――――――――――――――――
  ≪郷原≫大きな目で大きな観点でとらえると、この世田谷の
  不動産というのは4億円弱、約3億6000万ぐらいの代金
  です。ですから、4億円の借り入れを小沢氏からして、その
  4億円を原資にして不動産を購入したと。基本的にはその構
  図なんですね。そして陸山会の収支報告書には、4億円の小
  沢氏からの借入金は記載されている。そして、世田谷の土地
  を購入したということも記載され、その代金の支払いも記載
  されている。基本的な構図は十分記載されているわけです。
  これが、なぜその政治資金規正法上、重要な事実が収支報告
  書に記載されていないという風にとらえられるのかと、まず
  根本的に疑問があるんですね。その点なんです。
  ≪早川≫まず立証責任の話に1回戻っておきますけれども、
  基本的には検察官が構成事実の立証に必要な証拠を提出する
  わけです。ですから、そういう意味での立証責任はまずは検
  察側にあって、弁護側がいくら法律的な主張をしても、それ
  をひっくり返す立場ではないと思うんです。
  ≪郷原≫ちょっと待って下さい。立証責任がある側が、逆に
  立証責任のない側にその立証を阻却するというか、その立証
  に反する事実を立証できてしまったら、一層その立証責任を
  負っている側は苦しいじゃないですか。そんなことは別に立
  証責任を負っている、負っていないということは関係ないで
  すよ。
  ≪早川≫そこで郷原さんと僕が違うのは、何といっても、い
  わゆる小沢秘書裁判について裁判所は法的な判断をもう既に
  下しているわけですよね、いずれにしても。
  ≪郷原≫ちょっと待って下さい。法的な判断を裁判所が下し
  たか下していないかということではないんですよ。今事実に
  基づいて、虚偽記入をどう考えるかということを聞いている
  んです。ですから、今私が言ったように、基本的に大きな構
  図として4億円の借入金で4億円弱の不動産を買った。それ
  が収支報告書に記載されている。その大きな構図が記載され
  ているのに、なぜ4億円の虚偽記入だと。収入について4億
  円が記載されていないという構成になるのか、ここがまず最
  大の問題です。ここをどういう風にお考えなんですか。
  ―――――――――――――――――――――――――――

早川氏と郷原氏/対談.jpg
早川氏と郷原氏/対談
posted by 平野 浩 at 04:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月28日

●「小沢批判を強める司法関係者」(EJ第3170号)

 小沢裁判は、「小沢一郎VS司法」の全面対決の様相を呈しつ
つあります。日本という国は官僚国家です。選挙で選ばれる政治
家にも官僚出身者、それも中央官庁の官僚経験者が多いのです。
 2009年6月の調査では、官僚出身者は自民党59人、民主
党21人であり、圧倒的に自民党が多いのです。しかし、若手の
官僚出身者は民主党の方が多くなってきています。もちろん官僚
出身の政治家であるからといって、官僚寄りの政治家ばかりでは
ありませんが、明らかに出身省庁の代弁者という人もいます。出
身省庁としては財務省が一番多いのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ≪民主党がマスコミを抱え込んで隠している官僚出身議員≫
        http://oshiete.goo.ne.jp/qa/5063018.html
―――――――――――――――――――――――――――――
 政治家以外でも学者やマスコミ関係者、テレビの解説者、コメ
ンテーターなどにも中央官庁の官僚経験者が多く、こちらはその
ほとんどの人が出身省庁の代弁者であるといえます。なぜかとい
うと、もし出身官庁にとって不都合な発言を何回もすると、官庁
がそれとなく圧力をかけて、そういう人をテレビなどから排除し
てしまうからです。とくに財務省などは国税庁を握っているので
いくらでもマスコミに圧力をかけることができます。
 したがって、今回の増税論議では、政治家はもとより学者、テ
レビコメンテーターなどの財務省ネットワークがフル動員され、
「増税やむなし」の世論が醸成されてしまっています。したがっ
て、テレビに出て増税不可欠を唱える発言者のいうことは、少し
割引きして聞く必要があります。
 今回問題視したいのは、テレビなどによく出てくる司法関係者
です。そのほとんどは検事の経験者ですが、最近数が多くなって
いると思います。村木裁判での証拠改竄事件で検察の信用は地に
落ち、取り調べの全面可視化やむなしという流れができましたが
そういう問題が起きたとき、それとなく火消しを行うのが彼らの
役割なのです。
 小沢一郎氏の問題に関してはとくに際だっています。小沢問題
について発言している人は多いですが、そのほとんどは反小沢で
あるといえます。小沢氏の主張に近い発言者のほとんどは、テレ
ビから遠ざけられてしまっているのです。
 司法関係者でテレビによく出る人を上げると、次の4人が上げ
られます。
―――――――――――――――――――――――――――――
       堀田 力氏/  最高検察庁検事
       土本武司氏/  最高検察庁検事
       河上和雄氏/元東京地検特捜部長
       若狭 勝氏/元東京地検特捜部長
―――――――――――――――――――――――――――――
 本来であれば、これに元東京地検特捜部検事の郷原信郎氏を加
えるべきです。しかし、郷原氏は目下テレビから外されているよ
うであり、テレビ出演は、もっぱらニコニコ生放送などのネット
メディアに限られています。
 郷原氏の場合、かつてはサンデープロジェクトをはじめとする
政治番組によく出演されていたのですが、小沢氏を擁護する発言
が多いということで外されているものと思われます。
 郷原氏の名誉のために述べておきますが、郷原氏は小沢支持者
でも、擁護派でもなく、正しいことを述べているだけです。むし
ろ、小沢氏が不起訴になったときの「検察の公正・公平な捜査の
結果と受け止める」という小沢氏の発言に不快感を持っている人
です。しかし、正しいことは正しいというべきであるという考え
方です。そうすると、テレビは自らの利害に反する発言をする人
をたとえそれが正しくても外していることになります。
 さて、小沢氏の初公判での主張について平野貞夫氏は「日本の
議会民主主義と基本的人権を踏みにじった国家権力に対する、有
為な政治指導者の痛烈な警告」と述べていますが、この小沢氏の
主張に対して、堀田、土本、河上の3氏は連携して、この主張の
批判をはじめています。
 朝日新聞と自分の出演している番組で反論した河上元氏、8日
のフジテレビで発言した堀田力氏、産経新聞のコラム「正論」で
反論した土本武司氏というように3連発です。このように大物の
3人が相次いで反論するのは、それだけ小沢発言に危機感を感じ
ての行動と考えられるのです。
 河上和雄氏の発言は、「証拠もないのに」という小沢氏の発言
を批判し、「検察が証拠を厳格に集め、それに基づいて裁判に持
ち込むというやり方ばかりでは問題があるので、推認にもとづく
証拠で裁判に持ち込み、裁判官が判断するというやり方が司法の
新しい流れである」という無茶苦茶なことを述べています。
 さらに平野貞夫氏は、9日の日本テレビ「バンキシャ」での河
上和雄氏の発言をとらえて次のように述べています。私も河上氏
の発言はいつも上から目線でアタマにきています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 それにしても河上氏の頭の中はどうかしている。9日(日)の
 日本テレビ「バンキシャ」で、小沢氏の初公判での主張を批判
 し、「政治家が司法を批判すべきでない。小沢氏は憲法を知ら
 ない」など、ウォルフレン氏が指摘する「人物破壊」発言を繰
 り返していた。そもそも、巨大メディアが、特捜部長を務めた
 人物をメイン・コメンテーターに使うことすら重大な問題だ。
 事実上検察の代弁的広報活動をやっているのだ。小沢氏の、国
 会での説明責任の話など法曹人としての常識を疑う。
        ──平野貞夫氏のブログ「永田町漂浪記」より
 http://www.the-journal.jp/contents/hirano/2011/10/77.html#more
        http://www.youtube.com/watch?v=ml95C4C_YLw
 ――――――――――――――――――――――――――――
               ──[日本の政治の現況/96]


≪画像および関連情報≫
 ●民主政治の危機を考えない「無感性派」国会議員
  ―――――――――――――――――――――――――――
  小沢氏の主張を、巨大メディアが意図的に、悪意をもって小
  沢排除に利用していることが残念である。さらに悲劇的なこ
  とは、一部の良識ある国会議員しか小沢氏の主張を理解でき
  ていないことである。多くの国会議員は、現在の日本を議会
  民主政治の危機と考えない無感性派である。加えて問題なの
  は、小沢問題を政治的に利用して、自らの権勢を拡大しよう
  としている国会議員が多数いることだ。(一部略)こうなる
  と司法府と立法府が結託して、新しい「日本型ファシズム」
  をつくり、国民生活を脅かしているといえる。
                ──平野貞夫氏のブログより
  ―――――――――――――――――――――――――――

河上和雄日本テレビ客員解説者.jpg
河上和雄日本テレビ客員解説者
posted by 平野 浩 at 04:10| Comment(3) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月31日

●「日本の超法規的で非公式な権力システム」(EJ第3171号)

 昔からいわれていることですが、日本は真の意味の独立国家で
はなく、対米従属国家であるといわれます。もっとひどい表現で
いうと、日本はハワイに続く米国の51番目の州であるというも
のです。
 この2国関係は米国から見ると大変都合が良いでしょうが、日
本にとっては国益を損ねることが少なくないはずです。しかし、
この体制の方が恩恵を受ける政治エリートが日本には少なからず
存在するのです。彼らは純粋な意味で日本の独立を本気で求めて
おらず、現状維持でよいと考えているのです。
 その政治エリートとは何でしょうか。それは中央官庁の高級官
僚や一部の学者とビジネス界やメディア界の幹部、それに彼らと
歩調を合わせる政治家たちです。日本の場合、実際に国を動かし
ているのは、国民によって選挙で選ばれた政治家ではなく、そう
いう政治エリートたちであるといえます。
 カレル・ヴァン・ウォルフレン氏は、彼らのことを「日本の超
法規的で非公式な権力システム」と呼んでいますが、米国はそれ
を認めており、支援し、連携しているのです。
 しかし、ごく稀ですが、そのシステムを壊し、日本を真の独立
国家にしようとする政治家があらわれることがあります。その場
合、日本の政治エリートたちは一致してそれを阻止しようとし、
米国は彼らを支援してその政治勢力を破綻させようとします。そ
の典型的なケースがロッキード事件であり、その結果、田中角栄
元首相は逮捕され、政治生命を断たれています。
 そのとき、特捜部検事として大活躍したのが河上和雄氏や堀田
力氏たちなのです。当時は巨悪を摘発し、逮捕し、裁判にかけ、
有罪にして排除する特捜検事はもてはやされ、世間では喝采を浴
びたものです。そのため、現在でも、メディアでコメンテーター
や解説者、評論家として重用され、活躍しているのです。彼らも
政治エリートの重要な一員なのです。
 このように、日本の政治エリートは米国を頼りにしています。
それは絶対的な後ろ盾であるからです。したがって、米国の要望
なら、それが日本にとってどんなにマイナスなことでも米国の言
いなりになろうとする動きを見せるのです。
 その典型的な例として、現在参加すべきか否かの論争が起きて
いる「TPP問題」があります。思い出してもらいたいことがあ
ります。今からちょうど一年前の10月に何が起きていたかにつ
いてです。
 2010年10月1日、菅直人首相の所信表明演説が行われて
いたのです。その演説のなかで、菅首相は突然「TPP交渉への
参加検討」を表明したのです。それまでTPPの問題は、全く話
題にすらなっていなかったのにです。
 しかも、のんびり参加を検討している時間はなかったのです。
11月中旬のAPEC横浜の会合までには交渉参加の是非につい
て政府の判断を示すというのです。何のことはない。現在野田政
権で行われていることと同じことが起きていたのです。
 しかも、不思議なことにマスコミの論調は「交渉参加賛成」の
意見で足並みを揃えていたのです。そのとき、外相であった前原
誠司氏は、TPPについて、次のように発言していたことを覚え
ておられると思います。
―――――――――――――――――――――――――――――
 日本の国内総生産における第一次産業の割合は、1・5%であ
 る。1・5%を守るために98・5%のかなりの部分が犠牲に
 なっているのではないか。国を開くということを本気で考えな
 いと、日本の競争力がどんどん低下していくと思う。
         ──2010年10月19日/前原外相発言
―――――――――――――――――――――――――――――
 さらに、経団連の米倉会長をはじめ、大新聞の社説やテレビで
は、次のようにTPP参加賛成の論陣を張っています。
―――――――――――――――――――――――――――――
   TPPに参加しなければ、日本は世界から孤立する
―――――――――――――――――――――――――――――
 現在の状況と酷似していませんか。政治エリートは足並み揃え
て賛成なのです。米国のいうことには絶対に逆らわないのです。
しかし、菅首相は物凄い反対攻勢に怯えたのか、APECでの参
加表明は見送り、2011年6月までに参加の是非を検討すると
いうことにして先送りしています。
 しかし、不思議なことにそのあと最終期限であったはずの6月
に向けて、TPP参加についての論議は何ら進められていないの
です。ただ、反対派の懐柔をしただけです。ところが3月11日
に日本には大地震や福島原発事故が発生し、TPP参加の話はさ
らに先送りされることになったのです。
 もし、これが鳩山政権だったら、こうはならないはずです。幹
事長が小沢氏であったからです。したがって、米国や日本の政治
エリートは、まず鳩山政権を失脚させる必要があったのです。小
沢事務所の3元秘書の逮捕・起訴や、普天間問題での米の強硬姿
勢は鳩山政権を退陣に追い込むのに十分だったのです。
 しかし、菅政権は米国も想定外の劣悪な政権で、東日本大震災
や福島原発事故の対応の不手際もあって、結局のところ野田政権
が誕生することになります。そして、その野田政権に最初に突き
付けられたのが、11月のAPECで先送りになっている日本の
TPP参加表明なのです。
 したがって、今度は日本は絶対に逃げることはできないと思い
ます。野田首相はAPECでTPPに参加表明をすることになる
でしょう。米国は日本の弱い政権を利用し、TPP参加に追い込
もうとし、政治エリートはそれに歩調を合わせているのです。
 そのために小沢氏を検察審の強制起訴に追い込んだのです。3
人の元秘書を有罪にしたのも、小沢氏の復権を阻み、4月の判決
で有罪にしようとしているのです。政治エリートにとって小沢氏
は邪魔な存在なのです。    ──[日本の政治の現況/97]


≪画像および関連情報≫
 ●TPP交渉/「離脱」残した参加案に米けん制!
  ―――――――――――――――――――――――――――
  【リマ共同】ペルーで開かれていた米国など9カ国による環
  太平洋連携協定(TPP)の第9回拡大交渉会合が28日、
  閉幕した。米国のワイゼル首席交渉官は記者団に日本国内で
  TPP交渉への参加後に協議から撤退することも可能だとす
  る意見があることに対し「真剣に結論を出すつもりのない国
  は交渉に参加しないでほしい」と述べ、けん制した。日本の
  姿勢が交渉を一層遅延させかねないとも考える米国のいら立
  ちを示した形。チリのコントレラス首席交渉官らは「満足で
  きないなら(交渉から)出ればいい」と述べた。日本の早期
  参加を促すことで、交渉を主導する米国をけん制する考えと
  みられる。    ──2011年10月29日/共同通信
  ―――――――――――――――――――――――――――

TPP参加を迫るオバマ大統領.jpg
TPP参加を迫るオバマ大統領
posted by 平野 浩 at 03:22| Comment(4) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月01日

●「米国の通商戦略に乗る野田政権」(EJ第3172号)

 日本における政治エリートと米国の連携が存在することについ
てTPP問題とからめて前回述べましたが、TPPについてもう
少し詳しく述べておくことにします。そうすることによって、小
沢一郎氏が、なぜこれほど執拗な「人物破壊」を受けなければな
らないか、その意味が分かってくると思うからです。
 現在、野田政権が考えている、日本がTPPに参加すべき意義
には次の2つがあります。
―――――――――――――――――――――――――――――
        1.外交戦略についての意義
        2.経済効果についての意義
―――――――――――――――――――――――――――――
 TPPの「外交戦略についての意義」とは何でしょうか。
 現在、TPP交渉に参加している国は9ヶ国です。日本を入れ
ると10ヶ国になります。
―――――――――――――――――――――――――――――
   1.シンガポール     6.ペルー
   2.マレーシア      7.ニュージーランド
   3.ベトナム       8.オーストラリア
   4.ブルネイ       9.アメリカ
   5.チリ        10.日本 ?
―――――――――――――――――――――――――――――
 よくTPPは「アジアの成長を取り込む」といいます。しかし
アジアといえば、何といっても中国であり、続いて韓国、それか
らインドでしょう。しかし、TPPにはこれらの3国は入ってい
ないのです。
 もし、TPP交渉参加9ヶ国に日本が参加したとして、各国の
シェアを計算すると次のようになります。
―――――――――――――――――――――――――――――
       アメリカ ・・・・ 67.2%
       日本   ・・・・ 24.1%
       オーストラリア ・  4.4%
       その他  ・・・・  4.3%
―――――――――――――――――――――――――――――
 これによると、米国と日本で91.3%になるのです。他の国
はあまりにも小さいシェアであり、これによってアジアの成長を
取り込むなどナンセンスです。「環太平洋」といいながら、太平
洋に面するカナダもメキシコも中国も韓国も台湾もインドネシア
もフィリピンもタイもロシアも参加していないのです。京都大学
大学院の助教の中野剛志氏はこういっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
        TPPとは日米FTAである
―――――――――――――――――――――――――――――
 FTAというのは、主として2国間で結ぶ自由貿易協定であり
個々の品目について交渉ができますが、TPPは複数国間による
急進的なFTAであるといえます。
 「急進的」という意味は、TPPの場合、個々の品目について
例外を設けず、原則として関税をすべてなくしてしまうという点
のことをいうのです。
 それなら日本も韓国のように米国とFTAを結べばよいではな
いかという意見が出てきますが、米国は日本とのFTAに応じよ
うとしないのです。米国としては、日本については複数国間で自
由貿易協定を結ぶ方が有利であると考えているからです。
 ちょうど北朝鮮問題を協議する6ヶ国協議に似ています。北朝
鮮は米国との2国間協議を希望しているのですが、米国はそれに
は応じないのです。例えはよくないですが、北朝鮮のポジション
に日本がいると考えればよいのです。
 現在の日米関係は普天間問題が暗礁に乗り上げて、戦後最悪の
状態といわれています。それに尖閣諸島、北方領土などをめぐり
中国、ロシアそれに北朝鮮の軍事的脅威があります。日本にとっ
て、同盟国である米国を一番頼りにしなければならないときなの
です。それに米国はリーマンショック以来、金融・経済を中心に
経済が低迷しています。こんなときに米国が日本に求めるTPP
参加を断れないという日本政府の立場もわからないではありませ
ん。外交戦略上も参加すべきという意見もあります。
 しかし、日本のTPPの参加には慎重であるべきです。重要な
のことは、国内市場を守る有効な手段としてはもはや関税ではな
く、通貨に移っているのです。世界がグローバル化しているから
なのです。既に日本や米国の関税は、既にかなり低く下げられて
いるのです。
 米国はいったい何を目的としてTPPの参加を日本に求めてい
るのでしょうか。
 それは、自国の経常収支赤字の削減なのです。これを達成する
ために米国がやるべきことは、輸出を飛躍的に増加させることで
すが、一番期待しているのは日本への輸出なのです。しかし、輸
入は増やしたくない。そういう交渉のうまさは米国は一流であり
とても日本の比ではないのです。
 例えば、韓国政府が成功だと胸を張る米韓FTAの中に次の条
件があるのです。中野剛志京都大学大学院助教は次のように指摘
しています。中野剛志氏は『TPP亡国論』/集英社新書の著者
でTPP反対の論陣を張っています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 韓国が輸出できそうな工業製品についての米国の関税は、既に
 充分低い。例えば、自動車はわずか2・5%、テレビは5%程
 度しかないのだ。しかも、この米国の2・5%の自動車関税の
 撤廃は、もし米国製自動車の販売や流通に深刻な影響を及ぼす
 と米国の企業が判断した場合は、無効になるという条件が付い
 ている。    http://diamond.jp/articles/-/14540?page=2
―――――――――――――――――――――――――――――
               ──[日本の政治の現況/98]


≪画像および関連情報≫
 ●「TPP亡国論」について/中野剛志氏
  ―――――――――――――――――――――――――――
  私は、これまで個人的な諸事情もあって、政府の個別の政策
  に対する批判はできるだけ控えてまいりました。しかし、今
  回のTPP(環太平洋経済連携協定)の危険さ、TPPを巡
  る議論の出鱈目さ、そして財界や主要マス・メディアが軒並
  み賛成するという異様さは、さすがに常軌を逸しています。
  物には限度というものがあり、堪忍袋には緒というものがあ
  ります。私は、もはや黙っているわけにはいかなくなりまし
  た。そこで我が身を省みず、論考を発表したり、慣れない講
  演をしたり、恥を忍んでインターネットの動画に出演したり
  してきました。しかし、劣勢はいかんともしがたいことから
  ついに一冊の新書を書き下ろしました。それが「TPP亡国
  論」 (集英社新書)です。TPP問題という穴をのぞくこと
  で、世界の構造変化や日本が直面する問題の根本が見えてき
  ます。本書は、TPP問題だけでなく、それ以外の政治経済
  的な問題に対処するにあたっても役に立つものと思います。
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2011/02/tpp_12.html
  ―――――――――――――――――――――――――――

中野剛志京都大学大学院准教授.jpg
中野 剛志京都大学大学院准教授
posted by 平野 浩 at 03:29| Comment(1) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月02日

●「自国の内閣を米国に売る高級官僚」(EJ第3173号)

 米国と気脈を通じた日本の政治エリートの存在を示す証拠があ
ります。2011年5月のことですが、ウィキリークスは、外務
省の斎木昭隆大洋州局長が2009年9月にアメリカ合衆国国務
次官補カート・キャンベル氏と会見を行ったさいの発言を、在日
米大使館発の公電として公開したのです。
 2009年9月といえば、16日に民主党初の政権として鳩山
内閣が発足したばかりです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 公電は、当時の民主党政権(鳩山由紀夫内閣)が「対等な日米
 関係」を唱えていたことについて、齋木が「すでに対等なのに
 鳩山総理や岡田外務大臣が何を考えているのかわからない」と
 述べたとしている。また、「与党経験のない民主党は官僚をコ
 ントロール下に置き、アメリカに挑戦する新しい大胆な外交政
 策を打ち出すイメージの必要性を感じたのだ」としたうえで、
 「そのような考え方は馬鹿げたものであることを学ぶことにな
 るだろう」とも発言したとしている。  ──ウィキペディア
―――――――――――――――――――――――――――――
 斎木昭隆氏は外務省の高級官僚で、いわゆる政治エリートその
ものですが、鳩山政権が政治主導で官僚を下に置いてコントロー
ルするなど、けしからんことであると、増長慢もいいところです
が、こともあろうに米国の高官にそれを伝えているのです。
 さらに薮中三十二外務事務次官は「鳩山首相は普天間問題につ
いて見解を明確にしないので混乱を生じている」とルース駐日大
使に話したり、オバマ大統領の来日に関しても「演説で言及され
ていた“核なき世界”への期待を抑えなければならない。広島訪
問があるか否かは注目の的となっており時期尚早で控えるべき」
と同大使に差し出がましい意見を外務省の意見として伝えていた
ことがウィキリークスによって明らかになっています。
 その結果、在日米大使館は、2009年12月16日付の公電
で次のように伝えているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 日米関係に携わっていた外務省幹部が普天間基地問題で「驚く
 ほど率直に」民主党政権に対する「不満」をもらしていた。
―――――――――――――――――――――――――――――
 これら外務省幹部の発言は明らかに、日本の国益を損ねる発言
です。薮中氏は2010年に退職しましたが、外務省顧問に就任
しており、斎木氏にいたっては、何のお咎めもなしに、現在でも
インド駐在特命全権大使の要職を続けているのです。少なくとも
時の内閣が本人を呼び出し、一応の事情を聞くなどは一切やって
いないのです。これは菅内閣、野田内閣が完全に一官僚になめら
れていることを意味しているのです。
 高級官僚にとっては、この国を動かしているのは、われわれ高
級官僚であって政治家ではないとの思いがあるのでしょう。そう
いうものであることを入省のときから教え込まれているのです。
 ところが民主党政権になると、政治主導と称して自分たちを下
に置いてコントロールしようとする。そんな政権はわれわれの手
で壊してやる──そういう思いで米側に内閣のマイナス情報を伝
えたのです。他の国でこんなことをやったら、ただでは済まない
でしょう。スパイに等しい卑劣な行為です。
 しかし、そういう彼らにとっても、小沢一郎氏についてだけは
不気味な存在なのです。したがって、もし、小沢政権ができるよ
うなことがあれば、官僚機構は現状のままでは済まされなくると
考えているフシがあります。それだけにその小沢氏に対する危機
感は尋常のものではないのです。
 小沢氏が検察による取り調べで不起訴になり、その後の検察審
査会での2度の「起訴相当」による強制起訴は、どのように考え
ても、意図的に行われており、いわゆる政治エリートたちの仕掛
けた罠にはまったとしか思えないのです。きっとそれには、米国
も一枚噛んでいると思われます。
 カレル・ヴァン・ウォルフレン氏は、この点について次のよう
に述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 私は長年、日米関係を研究していますが、それは歴史的に見て
 も世界に他にはない二国間関係だから、興味がそそられるので
 す。しかし一方で、悲しいことにあまりに片務的です。日米関
 係はかつては日本の産業発展に役立ちましたが、いまや役に立
 たないどころか、危険な関係になっています。小沢氏の起訴に
 至る今回のケースで、米国がなんらかの役割を果たしたかどう
 かはわかりません。ただ、そうだとしても私は驚きません。ワ
 シントンは小沢氏を信用していないからです。小沢氏は決して
 反米ではないのに、バカげたことです。──「カレル・ヴァン
 ・ウォルフレン氏は小沢裁判をどうみているのか」
       2011年10月25日付、 日刊ゲンダイより
―――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、小沢氏は今や完全に政治エリートたちの罠に落ちたと
いえます。その政治生命は風前の灯であるといえます。60%以
上の確率で裁判所は有罪の判決を下すでしょう。執行猶予がつこ
うとつくまいとそれは関係ないと思います。有罪の判決なら、小
沢政権の夢は完全に消えます。
 政治エリートたちの狙いは、小沢政権を作らせないことにあり
ます。それを達成するにはあと有罪ひとつでいいのです。裁判所
がそれを出さないとは思えないのです。そのために、元秘書3人
に有罪判決を出したのです。
 しかし、無罪の可能性は40%あります。もし、無罪なら小沢
氏の復権はあり得ます。野田政権は安全運転していますが、安全
運転ではこの難局を乗り切れないのです。おそらく野田内閣も短
命に終わると思います。TPP参加表明、復興増税、消費税増税
で内閣が持つはずがありません。4日は最終回ですが、小沢氏の
無罪の可能性を探ります。   ──[日本の政治の現況/99]


≪画像および関連情報≫
 ●ウィキリークスが公開した斎木昭隆氏の発言
  ―――――――――――――――――――――――――――
  「ウィキーリークスに公開された2009年9月21日の公
  電をもうひとつ簡単に試訳してみた。」ということで極東ブ
  ログで「その2」が挙がった。内容は日本の外務省・斎木昭
  隆アジア大洋州局長と米キャンベル国務次官補が9月18日
  東京事務所で会った時の話を在日アメリカ大使館から本部へ
  報告したものだ。ここで私がこの公電をどういう視点で見る
  かが文脈を捉えるポイントになると思う。このところ書いて
  いる公電関連のエントリーではいちいち断り書きなどはして
  いないが、この公電に関しては気になった。アメリカの大使
  館員のフィルターを通した伝聞事項であることを念頭に置く
  としても、日本外交の相手国であり、同盟国でもあるアメリ
  カ政府が日本をどう見ているのかは興味深い。また、日本の
  外交官が閣僚とアメリカ政府との間でどのような役割をして
  いるのか、その辺が公電から読み取れると良いと思った。ま
  た、新政権と官僚組織について触れている部分も興味深く、
  その部分をピックアップしながら感想をつけておきたいと思
  う。           ──godmotherの料理レシピ日記
http://godmothers.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/post-e396.html
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自国の内閣を米国に売る官僚.jpg
自国の内閣を米国に売る官僚
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月04日

●「小沢一郎氏は無罪を勝ち取れるか」(EJ第3174号)

 小沢一郎元代表は、果たして無罪を勝ち取れるでしょうか。
 第5検察審査会の2回目の議決において犯罪事実とされている
のは2つありますが、その2つを再現します。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1.陸山会の土地購入をめぐるいわゆる「期ずれ」について
   の虚偽記載の事実
 2.陸山会が小沢氏から借り入れた4億円の資金についての
   の虚偽記載の事実
―――――――――――――――――――――――――――――
 そもそも検察は上記「1」の犯罪事実について、秘書と小沢氏
の共謀はないとして不起訴にしたのです。この不起訴処分につい
て告発を受けた第5検察審査会は、やはり「1」の犯罪事実につ
いて審査し、小沢氏との共謀があったとして、「起訴相当」を議
決しているのです。この議決は正当なものです。
 しかし、2回目の議決を出した第5検察審査会は、「1」の犯
罪事実に「2」の犯罪事実を追加し、そのうえで小沢氏との共謀
があったとして再び「起訴相当」を議決し、小沢氏は強制起訴さ
れたのです。
 検察審査会はあくまで検察が不起訴処分を出した犯罪事実に対
して審査して議決する機関です。であるとすれば、第5検察審査
会の2回目の議決は手続違反であり、議決は無効ということにな
ります。これは議論の余地がないほど明白な事実です。
 強制起訴は、検察審査会の2回にわたる「起訴相当」の議決が
必要条件になります。しかし、2回目の議決は無効であり、強制
起訴そのものが無効ということになります。したがって、裁判は
本来は成立しないのです。
 しかし、実際には裁判ははじまっています。この裁判のうさん
くささはここにあります。仮に100歩譲ったとしても、検察の
不起訴処分、第5検察審査会の第1回の議決の犯罪事実──期ず
れだけを訴因にして裁判を行うべきです。しかるに、裁判所はあ
くまで2つの犯罪事実に基づいて裁判を行っています。
 しかし、常識的に考えるなら、裁判所も検察官役の指定弁護士
も検察審査会の第2回の議決の問題点はわかっています。このま
ま強引に裁判を進めても相手は名だたる弘中弁護士を中心とする
強力な弁護団です。2の犯罪事実を中心に判決を出すのをためら
うはずです。そうすると焦点は1の犯罪事実について有罪を立証
しようとするはずです。
 重要なことは、小沢裁判では「期ずれ」が犯罪かどうかを実証
する必要はないのです。それは元3秘書の裁判で有罪判決が出て
いるからです。もちろんこの有罪判決は大きな疑問がありますが
小沢裁判では小沢氏と秘書が共謀してそれをやったかどうかが争
われるのです。
 土地の登記が購入した時期とずれている──これが期ずれです
が、そんなことはよくあることです。したがって、これだけでは
罪に問えないのです。そのため、検察審査会は2回目の犯罪事実
にひとつ加えたのです。すなわち、土地の購入資金が疑惑に満ち
たものであるとする背景事実が必要であり、それを「2」を犯罪
事実として加えたのです。しかし、そうであるからといって、小
沢氏を罪に問えるかというと、そう簡単ではないのです。
 これに関して元特捜部検事でテレビで活躍中の若狭勝弁護士は
次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 登記日を先延ばしにすることには、大久保被告人が深く関与し
 ていた。こうした大久保被告人の不自然な行動という「状況」
 が、収支報告書の嘘の記載に関して石川被告人らと共犯とされ
 た。その意味で、大久保被告人が有罪になったことはうなずけ
 る。もっとも、それが直ちに小沢元代表の有罪に直結するかと
 いうと、そうともかぎらない。確かに同じ土地取引に絡む収支
 報告書の嘘の記載が問題にされているという共通性はあるもの
 の、秘書としての大久保被告人と政治団体代表としての政治家
 小沢元代表とはステイタス、スタンスが自ずと異なるからであ
 る。     ──若狭勝弁護士/10月6日付日刊ゲンダイ
―――――――――――――――――――――――――――――
 若狭氏にしてはきわめて慎重ないい方ですが、小沢事務所で実
際に差配を振るっていたのは、大久保隆規秘書であったというの
です。そのため、登記の時期についても大久保氏が関与していた
として石川氏と共犯とみなされ、有罪になっています。しかし、
それなら、なおさら、多忙な小沢氏があれこれ指図することはな
かったといいうことはいえると思います。
 小沢事務所は大きな事務所であり、小沢氏の性格やその多忙さ
から考えて、事務所内の事務的な差配をあれこれこと細かく秘書
に指示して行わせるとはとても考えられないのです。
 これは小沢氏と秘書間の平素からの人間関係や仕事の進め方を
どう見るかが裁判の焦点になります。さらに、石川被告が検事に
「小沢氏に報告して了承を得た」と供述したとされる供述調書が
証拠採用されるかどうかが裁判のかぎを握ることになります。
 しかし、ここで効いてくるのが石川氏が検事の取調べを録音し
たディスクレコーダーです。小沢裁判ではこれは検察官役の指定
弁護士側から証拠として提出されたものです。その狙いは、よく
聴くと、和やかに取り調べが行われているということを強調する
ことにあるようですが、若狭勝弁護士は、検事が次のように述べ
ている部分は脅しととれなくもないと疑問を呈しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 検察組織があなたを再逮捕しようと本気になったときに、まっ
 たくできない話かっていうとそうでもない。(以下関連情報)
―――――――――――――――――――――――――――――
 本来裁判にならないものを無理に裁判にしている印象です。小
沢氏が無罪になるかどうかは日本の政治の行く末にも影響を与え
ると思われます。  ──[日本の政治の現況/100/最終回]


≪画像および関連情報≫
 ●証拠採用される基準は何か/若狭勝弁護士
  ―――――――――――――――――――――――――――
  隠し録音に気付いていたら、検事は果たしてこの言葉を発す
  るだろうか。少なくとも表現を工夫するはずである。遠方か
  らみれば和やかな雰囲気がある取調べ(富士山)でも、登っ
  てみると、岩がゴロゴロしていて供述者(登山者)の心理を
  相当抑圧する結果になっている。ここに石川被告人に係る供
  述調書が証拠採用されない可能性が高い理由がある。再逮捕
  をにおわせて作成された今回の供述調書を証拠採用するかど
  うかは、今後導入の可能性がある「調べの全面録画録音(可
  視化)制度」下での供述調書の扱い方にも影響を与える。も
  っとも、今回の供述調が証拠採用されないからといって、小
  沢被告人が直ちに無罪になるわけではない。大久保被告人に
  先日言い渡された判決のように、状況(情況)証拠のみによ
  って、有罪判決を導くことはあり得るからである。収支報告
  書の嘘記入に共犯として関与したこと示す状況証拠が質量と
  もに高まれば、小沢被告人が有罪になる可能性が少なからず
  存在する。 ──2011年10月21日付、日刊ゲンダイ
  ―――――――――――――――――――――――――――

若狭勝弁護士.jpg
若狭 勝弁護士
posted by 平野 浩 at 03:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本の政治の現況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする