今朝は「電磁波」の話です。電磁波は、携帯電話だけでなく、
PCをはじめあらゆる電気製品から出ています。もし、影響があ
るとしたら、大変なことになります。しかし、いらざる心配をす
る前に「電磁波とは何か」について基礎を知っておくことは意義
があると思います。
電磁波を英語で表現すると次のようになります。
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電磁波=Electromagnetic wave ⇒ EMW
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電磁波は、電気と磁気の波です。電気の流れるところ、電波の
飛び交うところには、必ず電磁波が発生します。これをもう少し
正確にいうと、電気が流れると、電場と磁場がつくられ、これら
2つの周期的変化が波動となって伝わるのが電磁波なのです。
一般的に電波といわれているものも、光といわれているものも
すべて電磁波であり、その違いは波長が異なるだけです。ここで
覚えておくべき原則は「周波数は波長に反比例する」というもの
です。周波数は、波長が1秒間に振動する回数のことであり、ヘ
ルツという単位であらわします。
「周波数は波長に反比例する」のですから、波長が短い電磁波
ほど周波数は高くなります。そして、もっとも高い周波数のこと
を「X線」「ガンマ線」と呼ぶのです。電磁波を波長の長い方、
つまり周波数の低い方から並べると、次のようになります。
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1.電波 4.紫外線
2.赤外線 5.X線
3.可視光線 6.ガンマ線
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電磁波の中で唯一人間の目で見えるのが可視光線、つまり光で
す。それ以外の電磁波は見ることはできないのです。電磁波の強
さは、磁場の強さと電場の強さの2つに分けてあらわします。
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●磁場単位 ・・・ ミリガウス ・・・・・ mG
●電場単位 ・・・ ボルト/メートル ・・ V/m
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電磁波が人体に影響を与えると考えられているのは、磁場の強
さです。しかし、どこまでが大丈夫でどこからが危険かについて
は、国によってまちまちであり、明確な基準というものがまだな
いのです。
主要な電気機器の電磁波の発生量を示しておきます。
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1.電子レンジ ・・・・・・ 200mG
2.携帯電話 ・・・・・・・ 200mG
3.掃除機 ・・・・・・・・ 200mG
4.PC ・・・・・・・・・ 100mG
5.電気コタツ ・・・・・・ 100mG
6.ヘヤドライヤー ・・・・ 70mG
7.炊飯器 ・・・・・・・・ 40mG
8.洗濯機 ・・・・・・・・ 30mG
9.冷蔵庫 ・・・・・・・・ 20mG
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この数値を見せられると、少しコワイという気持になりますが
世界各国において、これ以上は危険という基準は次のように大き
く異なるのです。
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スウェーデン ・・・・・・・・ 2.5mG
オーストラリア ・・・・・・・ 1000mG
イタリア ・・・・・・・・・・ 1000mG
ロシア ・・・・・・・・・・・ 1800mG
アメリカ ・・・・・・・・・・ 10000mG
イギリス ・・・・・・・・・・ 20000mG
ドイツ ・・・・・・・・・・・ 50000mG
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この数字の意味は、ここに示されている電磁波を常時浴びると
いう意味であり、ときどき浴びる程度では何も心配はいらないの
です。例えば、高圧送電線の近くに家があり、常時高い電磁波を
浴びている場合などがそれに該当します。ところで日本はどうな
のでしょうか。日本の数字は発見できませんでした。
それにしても各国の数字はまちまちです。スウェ−デンでは、
2〜3ミリガウス(mG)を超える電磁波を浴びる場所に幼稚園
保育園、学校を作ってはならないという国としての規制があるの
に対し、ドイツでは、50000ミリガウス以下なら大丈夫とし
ており、そこに大きな差があります。
これは要するに危険とされる水準がまだ明確になっていないこ
とを意味しています。しかし、携帯電話の場合、極超短波といわ
れるマイクロ波(マイクロウェーブ)を眼や脳に近い耳に当てて
使うという点が少し心配です。
電子レンジの原理は、マイクロ波が食品を貫通し、内部に含ま
れる水の分子を振動させて発熱させるというところにあります。
携帯電話は電子レンジと同じマイクロ波を微弱とはいえ耳に当て
て使うので、それが脳の細胞水を振動させて加熱現象を起こすの
ではないかという意見もあります。また、ホット・スポットと呼
ばれる熱集中点が脳の中にできて、そこが局所的に加熱されて細
胞を変性させる恐れがあるという説もあります。
しかし、電子レンジが500から600ワットと高出力である
のに対し、携帯電話の出力は最大でも800ミリワットであり、
実に600倍以上の開きがあるのですから無害と考える方が妥当
なのです。それにしても、若い人のように長時間携帯電話で話を
したりするのはやめた方がよいと思います。
PCのディスプレイからの電磁波の漏洩は、前後左右上下の全
方位から行われることに留意してPCを置く職場のレイアウトを
考えることも必要であると思います。
2001年05月08日
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