2008年02月15日

●根拠がない海水面上昇6メートル(EJ第2265号)

 『不都合な真実』においてゴア氏が主張していることのなかで
最も大きな疑問は、次の記述です。
―――――――――――――――――――――――――――――
 もし、グリーンランドまたはグリーンランドの半分と南極の半
 分が、融けたり割れたりして海中に滑り落ちると、世界中の海
 水面は、5.5 〜6メートル上昇することになる。
               ――アル・ゴア著/枝廣淳子訳
       『不都合な真実』より ランダムハウス講談社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 これに基づき、映画では、フロリダ半島の3分の1は水没し、
サンフランシスコ湾は拡大し、北京周辺が水没して2000万人
以上が避難を余儀なくされる。そして、カルカッタとバングラデ
シュでは、6OOO万人が家を失う――このように衝撃的な映像
が紹介されているのです。
 世界中が一番恐怖を感じたのは、おそらくこの映像ではないか
と考えられるのです。わかりやすいし、自分の国はどうなるのか
という連想も働くからです。それに、目下水没危機にあるといわ
れる南太平洋の島国ツバルのケースもあります。しかも、ゴア氏
そういうことが今後60年で起きるとしているのです。
 しかし、これは大きな間違いなのです。まず、前提条件がおか
しい。「もし、グリーンランドまたはグリーンランドの半分と南
極の半分が、融けたり割れたりして海中に滑り落ちる」という前
提ですが、結論からいうなら、そういうことはとても考えられな
いことであるからです。
 それでは、ゴア氏はどこから「6メートル」という数字をもっ
てきたのでしょうか。ゴア氏の本ではその根拠は明確でないので
すが、昔から次のようなことがいわれているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
  南極の氷が全部、融けたら海水面は60メートル上がる
―――――――――――――――――――――――――――――
 この「60メートル」という数字は、南極の氷の量を計算して
それがすべて水になったとして算出したもので、南極の氷がいか
に多いかという説明に使われるのです。
 ゴア氏の前提は「グリーンランドまたはグリーンランドの半分
と南極の半分」というような少しぼかした表現を使っています。
それにしても「グリーンランドまたはグリーンランドの半分」と
はどういう意味なのでしょうか。
 グリーランドの氷がすべて融けたというケースとグリーンラン
ドの氷の半分が融けたというケースの両方を想定していると思わ
れるのですが、はっきりしません。しかし、いずれのケースにせ
よ、南極の氷の半分の融解と合わせても、6メートルも海水面が
上昇するとはとうてい考えられないことなのです。
 既出の地球温暖化の研究機関IPCCの第4次評価報告書――
2007年2月2日――によると、1961年から2003年ま
での約40年間の観測データから考えて、グリーンランドと南極
の氷の融解によって上昇した海面はわずか「8ミリ」であるとい
うのです。
 さらにIPCCは、60年間で海面は「6センチ」上昇すると
いっているのです。60年間で6センチ――この程度の海水面の
上昇であれば何ら問題はないのです。
 それにしても、このIPCCの6センチに対して、ゴア氏は6
メートルといっている――これはどう解釈すればよいのでしょう
か。ゴア氏は桁をひとつ間違えたのでしょうか。
 これは意図的な誇張であると思います。確かに映画の公開は、
2006年5月のことであり、IPCCの第4次報告発表の前の
ことです。しかし、あえてIPCCの報告前に映画を上映したと
思われても仕方がないタイミングといえます。それにゴア氏の本
にはあまりIPCCの数値が登場しないのです。
 しかし、日本の知識人やマスコミなどのオピニオンリーダーは
IPCCの報告などは完全に無視し、ゴア氏の主張をあまりにも
無批判に受け入れています。
 日本語版の『不都合な真実』には、坂本龍一氏が帯文を書いて
絶賛しているほか、ジャーナリストの筑紫哲也氏は次のように述
べています。日本にはこういう盲目的な追従者が多いのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 このままでは、人類史上、最悪の被害がやってくるという『不
 都合な真実』から、あなたは目をそらすのか――一人ひとりに
 問うている。               ――筑紫哲也氏
―――――――――――――――――――――――――――――
 もうひとつ日本の場合、環境問題――海面上昇についてはおか
しなことがあるのです。それは海面上昇の原因を「地球温暖化で
極地の氷が融けるため」としていることです。現在でも多くの日
本人は、「地球が温暖化すると、北極や南極の氷が融けて、海水
面が上昇する」と思い込んでいるフシがあります。
 これは完全な誤りです。IPCCの報告書には、1990年の
第1次報告書から次の記述があるのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 北極の氷が融けても海水面とは無関係である。南極の氷は温暖
 化によって増えることはあっても減ることはない。
               ――IPCC第1次報告書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 地球温暖化が地球にどのような影響を与えているかを啓蒙する
ために、南極の氷棚の崩落や北極の氷が融けて、足場を失った北
極熊が海を泳いでいる映像を見せられます。とくに日本人は、そ
ういう映像を毎日のように見せられているのです。どうやら、テ
レビ局がそう思い込んでいるからです。
 テレビの啓蒙の力は大きいのです。日本人の多くは極地の氷が
融けて、海水面が上昇すると思い込んでしまっています。大陸で
ある南極はともかく、氷塊が海に浮かんでいる北極については、
あり得ないことです。    ――[地球温暖化懐疑論/07]


≪画像および関連情報≫
 ・アル・ゴア氏ノーベル平和賞受賞
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  2007年10月12日、ノルウェーのノーベル賞委員会が
  今年度のノーベル平和賞を、地球温暖化問題についてドキュ
  メンタリー映画「不都合な真実」などで世界的な啓発活動を
  行った前米副大統領のアル・ゴア氏(59)に授与すると発表
  した。同時に、国際連合の「気候変動に関する政府間パネル
  (IPCC、事務局・ジュネーブ)」にも授与される。授賞
  理由は「人為的に起こる地球温暖化の認知を高めた」という
  もの。同委員会は、地球温暖化が国家間の紛争や内戦の要因
  にもなりうる可能性を示唆し、「気候変動が制御不能となる
  前に、今すぐ行動が必要だ」とメッセージを送った。また、
  ゴア氏については、「長い間、世界をリードする環境保護論
  者。おそらく、世界で最も気候変動の理解を広めることに貢
  献した人物である」と評した。
            ――http://eiga.com/buzz/show/9037
  ―――――――――――――――――――――――――――

アル・ゴア元米副大統領.jpg

posted by 平野 浩 at 04:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 地球温暖化懐疑論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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