2007年10月05日

●顧客をホテル設計に参加させる(EJ第2179号)

 セカンドライフを単なる広報メディアと考えず、バーチャルな
シミュレーションを行う空間としてとらえ、結果としてとても効
果的なプロモーションになっているケースをご紹介します。
 スターウッド・ホテル&リゾートグループ(以下、スターウッ
ド・ホテルグループ)というのをご存知でしょうか。
 スターウッド・ホテルグループは、世界規模で展開する大型ホ
テルチェーンであり、次の9つのブランドで構成されています。
―――――――――――――――――――――――――――――
    1.シェラトン
    2.フォーポイント・バイ・シェラトン
    3.セントレジス
    4.ラグジュアリーコレクション
    5.ル・メリディアン
    6.W
    7.ウェスティン
    8.アロフト
    9.エレメント
―――――――――――――――――――――――――――――
 この中の6番目の「W」というのはダブリュー・ホテルといっ
て、全米に展開するデザインホテルのことです。8番目の「アロ
フト」はダブリュー・ホテルを受け継ぐ未来型ブランドであり、
2008年のはじめにその第1号ホテルが北米で開業する予定に
なっています。
 2006年8月7日のことです。スターウッドホテルグループ
は次の発表を行ったのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 アロフトは、2008年にオープンする予定のホテルを実際の
 設計図どおりにセカンドライフに建設する。
―――――――――――――――――――――――――――――
 その時点で、スターウッドホテルグループは、2006年7月
にリンデン・ラボ社から島(SIM)の購入を済ませており、多
くのクリエイターを動員し、急ピッチで、セカンドライフ内に実
際の設計図通りにバーチャル版のアロフトを制作したのです。そ
して、ホテルは2006年9月末日に完成します。
 このように発表され、その完成がプレスで伝えられると、一体
どんなホテルなのか見に行きたくなるものです。既にセカンドラ
イフの住民になっている人は早速見にいくはずです。
 しかし、PCのスペックによってはセカンドライフを体験でき
ない人もたくさんいるわけです。そのあたりのことを考えて、ス
ターウッドホテルグループは巧妙なプランを立てたのです。
 それは、「バーチャル・アロフト」というブログを立ち上げて
3Dではないものの、ウェブの世界でも見ることができるように
したのです。そして、そのブログでプロジェクトの一部始終を公
開し、ユーザーのコメントを受け付けたのです。
 プロジェクトの一部始終というのは、島(SIM)を購入して
からどのようにしてホテルを建設したかの一部始終が大型の画像
で紹介されているのです。
 注目すべきは、それがウェブサイトではなく、ブログであるこ
とです。ブログはウェブサイトと違って、それを見た人が自由に
コメントを書き込めるところあるWeb2.0のメディアです。
スターウッドホテルグループは、ユーザーにホテル設計に参加し
てもらうことを考えたのです。
 すなわち、ホテルを利用するユーザーの立場から見て、何を付
け加えるか何がいらないかなどをコメントしてもらったのです。
まさにブログをUGMとしてフルに活用したのです。
 そして、それらのユーザーの意見にしたがって、セカンドライ
フ内のホテルを少しずつリフォームしているのです。いうまでも
ないことながら、これは現実の世界では絶対に出来ないことであ
り、素晴らしいアイデアであるといえます。
 以上のようなことを前提として、次のURLをクリックして、
セカンドライフの島(SIM)がどのようにしてホテルになって
いったか、ユー・チューブの動画も含めてご覧ください。
―――――――――――――――――――――――――――――
        http://www.virtualaloft.com/
―――――――――――――――――――――――――――――
 スターウッドホテルグループのアイデアが優れている点は、セ
カンドライフとウェブサイトの両方のユーザーに対して、集客を
行ったことです。しかも、ウェブサイト側がブログであって、そ
れに寄せられるユーザーの意見を取り入れていることがユニーク
なのです。Web2.0のブログとセカンドライフは、コミュニ
ケーションという点においてつながっているのです。
 自分の意見が反映されてホテルがリフォームされ、実際にホテ
ルが現実世界に完成したら、一度行って泊まってみようという気
になるものです。したがって、結果としてこのアロフトのイベン
トは効果的なプロモーションとなったのです。
 このアロフトのイベントについて、サイバーアドベンチャー株
式会社代表取締役/大槻透世二氏は、その著書において次のよう
に述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 アロフトでは、バーチャル版ホテルのオープン後もセカンドラ
 イフ内に各種イベントを開催し、ユーザーの興味を引き付け続
 けている。セカンドライフへの参入による話題性が主たる目的
 で、その後は尻すぼみになる企業SIMも少なくない中、アロ
 フトは違う。(一部略)やはり、「パブリシティ効果」だけに
 満足せず、継続的に企画を仕掛けていく覚悟が、この世界への
 本格参入には欠かせない姿勢と言えるだろう。
      ――大槻透世二著/ソフトバンク・クリエイティブ
    『Second Life/セカンドライフ メタバースビジネス』
―――――――――――――――――――――――――――――
              ―――[セカンドライフ/43]


≪画像および関連情報≫
 ・アロフトに関連するブログより
  ―――――――――――――――――――――――――――
  アロフトは、ダブリュー・ホテルのニューファミリーとして
  登場。従来の宿泊するというホテルのイメージから、個々の
  お客様の遊びの中にホテルも巻き込んで利用してもらいたい
  という思うがあるのだろう。ホテルも十分楽しめる空間とし
  て、今後、色々な提案が出てくるのが楽しみ。セカンドライ
  フ内にホテル建設とはチョットやり過ぎでは。ホスピタリー
  は体感するもの。バーチャルでは何にも伝わらないが、それ
  はソレで、造ったコトによる他での広告効果はやはり投資額
  が安いわりには、効果があるのか電通子会社のサイバー・コ
  ミュニケーションズさんに裏事情を聞きたい気分。
  ―――――――――――――――――――――――――――
http://secondlife-celebrity.air-nifty.com/blog/2007/06/virtual_aloft_r.html

アロフト・バーチャルホテル.jpg
posted by 平野 浩 at 04:24| Comment(0) | TrackBack(0) | セカンドライフ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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