現代のIT革命について書きはじめてちょうど16回目です。
Web2.0のRSSについて述べてきたのですが、ここから少
しずつセカンドライフの世界に近づいていきます。
ここで「ユーチューブ」について、しばらく述べる必要があり
ます。それはユーチューブの基本的な考え方がセカンドライフの
それに近いからです。ユーチューブはよく知られているように、
2006年10月9日、グーグルに買収されていますが、それは
創業から1年7ヶ月しか経っていない時点だったのです。
グーグルのエリック・シュミットCEOは電話会見で、次のよ
うに述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
ユーチューブの買収は、ソーシャル・ネットワーキング・サー
ビス――SNS系のビデオサイトで、ユーチューブが圧倒的な
勝者であるからである。それに、ユーチューブはほんの数年前
のグーグルによく似ているからである。
―――――――――――――――――――――――――――――
ユーチューブの創業者の一人であるスティーブ・チェンの話か
らはじめたいと思います。チェンは台湾からの移民の子どもだっ
たのです。チェンは15歳のときに家族と一緒に米国に移住して
きたのです。
1996年にチェンはイリノイ大学のコンピュータ・サイエン
ス学科に入学しています。イリノイ大学は、ネットスケープのあ
のマーク・アンドリーセンが在籍していた大学なのです。チェン
はとくにプログラムと高等数学に優れた才能を発揮したのです。
チェンはイリノイ大学で、マックス・レブチンと知り合いにな
ります。彼はウクライナのキエフ出身で、1991年に米国に移
住してきた青年だったのです。
今にして思えば、このレブチンとの出会いは運命的なものだっ
たといえます。もし、チェンがレブチンに会っていなければ、ユ
ーチューブという企業は生まれなかったからです。
やがてレブチンはイリノイ大学を卒業し、カルフォルニアに移
り、ペイパルというユニークな会社を設立します。そして大成功
を収めるのです。
ペイパルは、メールアドレスとクレジットカードを登録すると
メールを使って小額の決済を迅速かつ低コストで実行できる仕組
みを開発したのです。この仕組みは、オークションサイトなどで
小額の現金を決済できるので、評判になったのです。
チェンはレブチンから誘いを受けて、大学を中退し、ペイパル
に入社します。そこで彼は超人的なプログラミング能力を発揮し
多大の成果を上げるのです。そして、チェンは、そのペイパルで
ユーチューブを創ることになるチャド・ハーリー、ジョー・カリ
ムに出会ったのです。
ハーリーはペンシルバニア州の出身で、インディアナ大学を卒
業して、ペイパルでプログラミングに携わっていたのです。ジョ
ー・カリムはドイツ人で米国には1992年に移住し、チェンと
同じイリノイ大学に在籍していたところをレブチンに見出され、
ペイパルに入社していたのです。
それは夕食時の何気ない会話だったのです。ハーリー、チェン
カリムは雑談していたのです。彼らはそれぞれブログを立ち上げ
ていて、写真を載せて批評し合っていたのですが、動画の交換が
できたらいいのにねという話をしていたのです。
しかし、そこは優秀なプログラマ同士です。3人で話し合って
動画交換サイトのユーチューブを作り上げたのです。2005年
2月のことです。
このサイトの特色は、ブラウザさえあれば簡単にビデオが視聴
できるだけでなく、動画の投稿もできたのです。さらに動画につ
いてコメントすることも可能だったのです。
サイト作成のここまでの資金はチェンがカードで支払ったので
すが、起業するにはさらにまとまった資金が必要になります。そ
こでチェンはペイパルのCEOレブチンに相談したのです。そう
したところ、レブチンは、現セコイヤ・キャピタルのパートナー
であるレロフ・ポーターを紹介してくれたのです。
このセコイヤ・キャピタルというのは、シリコンバレーで最も
成功したベンチャー・キャピタルのひとつです。それまでにグー
グル、ヤフー、ペイパル、エレクトロニック・アーツなどに資金
を投資し、それらの企業を成功させてきています。
レロフ・ポーターは、ハーリー、チェン、カリムから構想を聞
くと、ユーチューブの将来性を即座に検討して350万ドル、さ
らに2005年11月には850万ドルの追加融資まで決断して
くれたのです。
ポーターはその時点でなぜ海のものとも山のものともわからな
いユーチューブに投資したのでしょうか。これについて、『ユー
チューブはなぜ成功したのか』の著者、室田秦弘氏はその理由に
ついて次のようにいっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
ユーチューブだけでなく、グーグルなどの瞬時に勝者の地位を
確立したスーパー・サイトは、作者たちが「個人として」おも
しろがって立ち上げたものがあきれるほど多いのです。
――室田秦弘著、『ユーチューブはなぜ成功したのか』
東洋経済新報社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
室田氏はこういうのです。最初から金儲けのために計画された
ものは結果としてうまくいかない、と。ユーチューブはつくった
本人が自分たちのために夢中になってはじめた会社であり、金儲
けのためではない。だからそこに光るものがあるというのです。
しかし、他の動画サイトはユーチューブをみて、これをビジネ
スチャンスとして参入している――そこには本質的な違いがあり
ユーチューブに勝てるはずがないのです。ポーターはそれを的確
に見抜いたのです。そして、ユーチューブに一気に大量の資金を
投資したのです。 ――[セカンドライフ/16]
≪画像および関連情報≫
・レロフ・ポーターはユーチューブに何を見たか
―――――――――――――――――――――――――――
ポーターにいわせれば「競合サイトの持つ特性の90%は似
たり寄ったり」なのです。要するにほとんど同じで、強烈に
訴える何かが欠落しているということです。しかし、「問題
は最後の10%。これが勝者を決める」のだといいます。
――室田秦弘著、『ユーチューブはなぜ成功したのか』
東洋経済新報社刊
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2007年08月27日
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