2023年10月27日

●「1987年と酷似/日米の株高/金利高」(第6035号)

 ロシアによるウクライナ侵攻がずるずると長期化する一方で、
イスラム組織ハマスがイスラエルを突如急襲し、大勢の死者が出
ています。イスラエルは直ちに反撃するとともに、ハマスの潜む
ガザ地区に対し、10月24日現在、大規模な地上作戦を仕掛け
ようとしています。
 そのバックにはイランが控えており、最悪の場合、ヒズボラが
これに参戦する可能性があります。ヒズボラは、1982年に結
成されたレバノンのシーア派イスラム主義の政治組織であり、ハ
マスを上回る武装組織です。もし、ヒズボラが加わると、戦争は
簡単には終わらない中東有事になります。
 バイデン米大統領をはじめ、西側欧米諸国は、イスラエル支持
を表明しながらもイスラエルに対して、大規模地上作戦の延期を
求めていますが、止めることは非常に困難な情勢です。おそらく
今日のEJが届くころには、大規模地上作戦は始まっている可能
性は十分あります。
 少し気になることがあります。「ブラックマンデー」というの
をご存知でしょうか。1987年10月19日にそれは起きてい
ます。世界中の株式市場で株価の大暴落が起きた日です。以下、
ブラックマンデーで起きたことを記述します。
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 1987(昭和62)年10月19日、ニューヨーク市場で株
価が急落。翌日の東京市場も売りが殺到し、世界中の株式市場が
暴落に見舞われました。
 この日、NYダウ平均株価は22・6%安と史上最大の急落に
見舞われました。翌20日の東京市場では日経平均株価が前日比
3836円48銭安の21910円08銭と急落しました。下落
幅だけでなく、14・90%の下落率も過去最大となり、欧州に
も連鎖しました。
 しかし、翌21日には日経平均が、2037円32銭高と急反
発。このことが安心感を生んで、世界株安は急速に収束していき
ます。NYダウが急落した原因は、コンピューターによる「プロ
グラム売り」とされました。株価の急落を受けて、コンピュータ
ーがプログラムに従って投げ売りを指示。さらに株価が下がって
売り物が増えていく悪循環となったのです。
                  ──トウシル/楽天証券
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 なぜ、ブラックマンデーなのかというと、現在の株価や金利の
の状況と、中東の情勢などが今回と酷似していることです。詳し
くみていくことにします。
 「恐怖指数」という何やら恐ろしげの指数があります。投資家
の心理状態を表す指数です。「VIX指数」ともいいます。
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◎「恐怖指数」/Volatility Index
 株式指数が暴落したときなど、投資家の不安が大きくなったと
きに、VIX指数が上昇する。株式市場の温度感を知るのに便利
な指標とされている。
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 一体1987年に何が起きていたのでしょうか。
 ポール・ボルカー氏という人物がいます。1979年8月に米
FRB議長に就任しています。当時の米国は、第2次石油危機の
影響で、深刻なインフレに直面していたのです。そのため、ボル
カー議長はインフレと戦うために利上げを連続して行っていたの
です。現在のパウエル議長と同じです。
 金利が上がると、景気が悪くなり、株価が下がるのが一般的な
現象です。しかし、株価は一向に下がらず、ダウ平均は高止まり
し、株高を維持していたのです。それが、10月19日の月曜日
に一気にはじけてしまうのです。米ダウ平均は1日で23%下落
し、世界同時株安に発展します。日経平均株価も15%近く値下
がりしています。
 この「金利高にして株高」のパターンが、ブラックマンデーの
ときと同じであり、投資家を心配させているのです。米FRBが
17回もの利上げを実施しているのに、足下の長期金利は高止ま
りしたままです。
 パウエル議長のやったことを簡単に振り返ってみます。パウエ
ル議長は、インフレを軟着陸させるため、2022年3月にゼロ
金利政策を解除し、計11回、幅5・25%もの利上げを実施し
てきていますが、足元の長期金利は、約16年ぶりの高さにあり
ダウ平均は3万ドル台と好調をキープしています。日経平均も3
万円台を維持しています。
 10月20日の「恐怖指数」を計算してみると、次のようにな
ります。「20」を上回ると、投資家に強い警戒感を示すとされ
ています。
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    ◎10月20日の恐怖指数
     日経平均の恐怖指数 ・・・ 23・20
         米ダウ平均 ・・・ 21・71
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 実は、もうひとつ類似点があるのです。1987年のときは石
油危機、今回は、ハマスによるイスラエル攻撃を受けての中東情
勢がからんでいます。もしイスラエル軍が、苛烈な地上戦に振り
切ったり、イラン軍がホルムズ海峡で通貨船を攻撃するなどの動
きがあると、割高になっている米国株が暴落し、世界同時株安に
なることは十分ありえることです。
 1987年のときは、イラン軍がタンカーを攻撃し、米軍がイ
ランの海上油田に報復攻撃し、市場に緊張感が高まっていたので
す。イランならやりかねないといえます。
 EJがとくに米国の金利の動きを詳しくウオッチングしている
のは、「株高・金利高」+「中東有事」が引き起こす世界同時株
安の危険性があるからです。
           ──[物価と中央銀行の役割/045]

≪画像および関連情報≫
 ●ブラックマンデーの1987年、現在と不吉な類似
  ──オーサーズ
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   金融業界では1987年との比較は決して歓迎されない。
  同年10月に起きたブラックマンデーの暴落は、いまだに最
  も悲惨な一日として市場の歴史に刻まれている。このため、
  現在の状況がブラックマンデーの数カ月前に酷似していると
  の指摘は少しぞっとする。筆者に最近届いた3通の電子メー
  ルが、この不吉な年に言及していた。
   1通は、ソシエテ・ジェネラルの超弱気派ストラテジスト
  として長年知られているアルバート・エドワーズ氏からのメ
  ールだった。だが、債券利回りが上昇する中でも株高が進ん
  だ今年の展開は87年を想起させると指摘したのは同氏だけ
  ではない。インタラクティブ・ブローカーズのスティーブ・
  ソスニック氏は「自分が金融業界に入った87年は、年の大
  半で債券が弱気相場に落ち込む一方で、株価は大きく値上が
  りしていた。もちろんそれが急激に反転するまでの話だが」
  と振り返った。
   株式相場が20%下落した87年10月19日に債券利回
  りの反転がどれほど急激で、今年とどれほど似ているかを説
  明するために、以下のチャートを紹介したい。両年の年初か
  らの米10年債利回りの動きを重ね合わせたものだ。
                    ──ブルームバーク
  ───────────────────────────
2023年と1987年の長期金利の動き.jpg
2023年と1987年の長期金利の動き


posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 物価と中央銀行の役割 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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