いてきた東京市場では、これに急ブレーキがかかり、日経平均株
価は751円高と今年一番の今年最大の上昇になったのです。ち
なみに、10月10日の日経平均株価は3万1713円62銭で
す。3万円台を安定して維持しています。
─────────────────────────────
9月20日 〜 ⇒10日
●●●○●○●●●●●○●○○
─────────────────────────────
日経平均株価に影響を与えているのは、米FRBがインフレを
抑えるために行っている追加利上げです。利上げは、金融引き締
めることになるので、利上げが繰り返し行われると、米景気が後
退し、それに影響されて、日経平均株価が動くのです。
原因は米10年物国債利回りの急落です。6日には「4・88
%」まで上昇(価格は低下)して5%を窺う勢いだったものが、
10日のアジア時間の取引では「4・6%台」まで低下したので
す。低下の原因としては、次の2つがあります。
─────────────────────────────
@FRB高官による利上げへの抑制発言
A労働市場の逼迫感が若干緩和している
─────────────────────────────
FRB高官が相次いで足下の長期金利上昇を警戒した発言──
10日のEJ参照──をしたことにより、金利がそれ以上上昇す
るのを防いだといえます。FRBジェファーソン副議長はこれに
ついて講演で次のように述べています。
─────────────────────────────
追加的な引き締めがどの程度必要かを慎重に見極める状況にあ
ると考える。 ──FRBジェファーソン副議長
─────────────────────────────
次回の米FOMCは、10月31日〜11月1日ですが、FR
B高官らの発言によって、利上げの予想が3割台から、1割台に
落下しています。
長期金利低下の原因のAは、労働市場をどう見るかによって異
なります。「堅調」ととらえるか、「緩和」と見るかで、意見は
分かれています。9月の米雇用統計で特徴的なのは、ここまでの
数次にわたるFRBによる利上げにもかかわらず、9月の米雇用
統計は、非農業部門の雇用者数の伸びが33・6万人と市場予想
を大幅に上回っているのです。
何が起きているのでしょうか。この米国の非農業部門雇用統計
に基づく直近の興味あるレポートがあります。働き方を見直した
労働者による影響を論じています。
─────────────────────────────
最新の統計によると、2023年1月の非農業部門雇用者数は
51万7000人増(季節調整済み)で、予想の平均の18万7
000人を3倍近く上回った。失業率は3・4%に低下し、過去
50年で最低の水準となっている。また、2022年12月時点
で、失業者1人につき2人近い求人がある。FRBが利上げペー
スを減速して、インフレの抑制に努めているにもかかわらず、労
働市場はなぜこれほど逼迫しているのだろうか。
エコノミストは労働人口の減少を指摘している。実際、労働市
場参加率は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの直前か
ら0・9ポイント低下している。労働年齢にある米国人のほぼ1
%が、パンデミック前は働いていたが、現在は働いていないとい
うことだ。これは新型コロナに関連する早期退職だけでなく、パ
ンデミック以前から続く長期的な傾向を反映している。
https://dhbr.diamond.jp/articles/-/9409
─────────────────────────────
興味深い指摘であると思います。労働力の供給には、次の2つ
の要素があります。
─────────────────────────────
@ 労働者の数
A労働者1人当たりの労働時間数
─────────────────────────────
多くの場合、労働者の数の増減が注目されます。米国の非農業
部門の雇用統計によると、労働者の数──労働に参加する人は増
えています。しかし、よく考えてみると、労働者の数が増加した
だけでは、真の労働供給量は決められないのです。そこに労働者
1人当たりの労働時間数が問題になっています。
実際には、労働供給は需給の差に合わせて調整されるため、一
般に、労働市場が逼迫したり緩和したりするのは、雇用者や求職
者の数が、増えたり減ったりするからであるといえます。
パンデミックからの回復に関してこのレポートでは、次の点を
指摘しています。
─────────────────────────────
パンデミックからの回復は例外的だ。米国の総労働時間は20
19年から2022年にかけて、一人当たり年間33時間の減少
に相当するほど落ち込んだ。筆者たちの推定では、このうち15
時間は労働者の数の減少によるもので、残りは労働時間の減少に
よるものだ。
つまり、米国の雇用者の労働時間は平均すると減少している。
では、誰の労働時間が減っているのだろうか。より顕著なのは学
号を持つ25〜55歳の男性、高収入の男性の労働時間が最も減
っている。たとえば、男性労働者の収入上位10%(年収14万
ドル以上)は、2019年の週44・7時間から2022年には
週43・2時間へと1時間半も減っている。対照的に、男性労働
者の収入下位10%(年収2万2000ドル未満)は2019年
の週22・6時間から2022年は23・4時間に増えている。
https://dhbr.diamond.jp/articles/-/9409
─────────────────────────────
──[物価と中央銀行の役割/038]
≪画像および関連情報≫
●米雇用統計(23年9月)−非農業部門雇用者数は市場予
想を大幅に上回る増加
───────────────────────────
10月6日、米国労働統計局(BLS)は9月の雇用統計
を発表した。非農業部門雇用者数は、前月対比で+33・6
6万人の増加(前月改定値:+22・7万人)と+18・7
万人から上方修正された前月、市場予想の+10・0万人を
大幅に上回った。
失業率は、3・8%(前月:3・8%、市場予想:3・7
%)と前月に一致、低下を見込んだ市場予想を上回った。労
働参加率は62・8%(前月:62・8%、市場予想:62
・8%)と前月、市場予想に一致した。
9月の非農業部門雇用者数は市場予想の倍の増加を示した
ほか、過去2ヵ月分が合計で、+11・9万人の大幅な上方
修正となった結果、23年7〜9月期の月間平均増加ペース
は、+26・6万人増と、23年4〜6月期の同+20・1
万人増、23年初からの同+26・0万人増を上回っており
足元で雇用増加ペースが再び加速していることを示した。
一方、労働参加率は20年2月以来となった8月の水準を
維持しており、人口動態から構造的に低下基調となる傾向を
考慮すれば、水準を維持しただけで労働供給の回復継続を確
認したと言えよう。 https://onl.bz/ri2fLn3
───────────────────────────
11月FOMCでの利上げ確率は低下