の1本のみで終わっています。選挙も迫っているので「増税」と
いう捉え方をされることを気にしているようです。
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◎インボイス/申請は途上/免税111万事業者が転換へ
佐川急便:取引先数千社に確認
大成建設:下請け対象の講習会
──2023年10月1日付/日本経済新聞
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自民党の安倍晋三政権における消費税増税──5%〜10%へ
倍増。この大増税を仕掛けたのは自民党でなく、野田佳彦首相が
率いる民主党であり、インボイスはそのさいの副産物といえる存
在です。確かに、この制度にとって増税になるケースも出てくる
ので、政権与党としては静観の構えです。
民主党がこの消費税増税によって政権を失い、立憲民主党と国
民民主党に分かれていますが、どちらの党も勢いがなく、このま
までは、立憲民主党は野党第一党の地位を失うでしょう。その原
因を作ったのは、旧民主党野田政権です。
なぜなら、民主党は「消費税増税はやらない」と公約し、20
09年の総選挙で自民党を下野させて政権を奪取すると、ことも
あろうに、その公約を破棄し、下野している自民党/公明党と組
んで、当時5%であった消費税の税率を倍増させるスケジュール
を組んだのです。国民にとって、公党によるこれほどのひどい裏
切りはないといえます。
それはさておき、消費税の制度を設計するさいに、収入の少な
い人に対する対策をめぐって、民主党と自民党で意見が分かれ、
次の2つのどちらかをとるかとになったのです。
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@給付付き税額控除 ・・・ 民主党
A 軽減税率 ・・・ 自民党
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しかし、どちらにするか、選挙が実施され、民主党から政権を
奪還した自民党が採用したのは、Aの軽減税率だったのです。し
かし、軽減税率にすると、約1兆円以上の税収が失われてしまう
ので、それを穴埋めするために、小規模業者泣かせのインボイス
の導入を自民党は主張したのです。
民主党の政権の存続と、消費税の5%アップを導入を引き換え
にしたともいえる野田元首相は、9月30日の朝日新聞のインタ
ビューに応じて次のようにコメントしています。
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――軽減税率が選ばれていなければ、インボイスは始まらなかっ
たのですか。
野田:始まっていないですね。11年前に首相として深く制度設
計をして、もうちょっと頑張って、給付付き税額控除に決めき
っておけばよかった、という後悔の念、ある種の痛恨の極みが
あります。インボイスは税率の認識に違いがないようにするた
めと言いますが、軽減税率が入って4年後という時間差で始ま
まります。円滑にいくか心配しています。
――政府はかつて、インボイスによって2千億円以上の「増収」
を計算しました。恩恵は見えてきますか。
野田:消費税で入る分が増えても、なかなか自分たちの暮らしの
中の社会保障と直結しません。受益と負担の相関関係がわかり
にくく、実感がわきにくいのは事実です。(聞き手/編集委員
・伊藤裕香子) ──2023年9月30日付、朝日新聞
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選挙前の公約で国民に約束し、政権を奪取してそれを平然と破
る──絶対にあってはならないことです。公約違反として撤回を
迫る小沢一郎グループが民主党が離党しても、野田政権は増税路
線を突き進み、現在に至っています。
朝日新聞デジタルは、そのあたりの野田元首相の考え方を別の
インタービューで聞いています。
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――野田さんは、なぜ首相自ら主導するかたちで消費税を増税し
たのですか。
野田:人口減や高齢化が進む日本の社会保障制度を支えるのが、
消費税です。その基本的な考え方は、いまも間違っていないと
信じています。3党が合意して法律が通った以上は、税率を8
%、10%としっかり2回引き上げて、安定した社会保障制度
と財政の健全化が進んでいくと期待したのですが、コロナ禍も
あって財政規律は大きく緩んでしまいました。
――政府はかつて、インボイスによって2千億円以上の「増収」
を計算しました。恩恵はどこかに見えてきますか。
野田:消費税で入ってくる分が増えても、なかなか自分たちの暮
らしの中の社会保障と直結しません。たとえば年金の財源で国
が負担する割合を高めてもいますが、受益と負担の相関関係が
わかりにくく、実感がわきにくいのは事実です。
――野田さんの後の安倍晋三首相は、税率が10%になる直前の
2919年夏に「今後10年くらいの間は、消費税を上げる必
要はない」と発言しています。
野田:安倍さんという、影響力の大きい方の言葉であるがゆえに
政策議論を10年封印してしまう、ものすごく大きな方向性で
した。この言葉を受け止めすぎているのが、いまの岸田文雄首
相ではないでしょうか。環境的には物価が上がり、円安も進ん
で、いま負担を求める議論はものすごくやりにくい。けれど、
少なくとも丁寧な政治の議論は始めるべきでしょう。
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野田元首相は、公約違反で国民を裏切り、民主党を機能不全に
させたことは、いまなお反省はないようです。今回のインボイス
も総選挙にとって、大きなマイナスであるといえます。
──[物価と中央銀行の役割/032]
≪画像および関連情報≫
●野田元首相が今語る「12年党首討論→解散」の本音
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井手:まず、安倍晋三元首相の追悼演説でも触れられていた
2012年11月14日の「丁々発止」の党首討論からの
衆議院解散。そのときのことからお伺いします。
当時、消費増税を柱とする社会保障・税一体改革関連法が
自民・公明との3党合意で成立し、近いうちに解散して国
民に信を問わざるをえない状況でした。特例公債法を人質
に取られ、一票の格差問題もあった。民主党からは続々と
離党者が出て、野田降ろしも起きる。党も内閣も支持率は
低く、選挙をすれば当然負けるだろうという雰囲気で、や
はり結果は惨敗。ご自身ではあの敗北をどう評価されてい
ますか。
野田:党首討論で解散を明示し、その結果が大敗で、私は敗
軍の将となリました。ですが、一人の政治家としてはその
ことに悔いはないんです。あのときはねじれ国会で、予算
は成立しても、財源となる特例公債が発行できずにいた。
結局、特例公債法が成立したのは11月16日、解散と取
引したような形です。そのような状況だったので、あれは
一致点を見いだすための討論だったんです。単に丁々発止
のやり取りをすればいいというものではなく、ケンカ別れ
するわけにもいかなかった。
https://toyokeizai.net/articles/-/640154
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民主党政権時代の「消費税引き上げ協議」