しかし、自民党政権──とくに宏池会政権は絶対に「減税」をし
ないことをモットーとしています。業者に補助金を渡して価格を
少し下げてもらう措置を取っています。しかし、日本には「トリ
ガー条項」という名の法律があるのです。ただし、民主党政権の
時代の法律ではありますが・・。
なぜ、減税ではなく、補助金なのかについて、元財務官僚の嘉
悦大学教授・高橋洋一氏は、次のように述べています。
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減税型でも補助金型と同様の経済効果が出るのに、なぜか政府
は減税をやらない。補助金型が多いのは先進国で日本だけの特色
だ。例えば、ガソリン価格の安定のために、ガソリン税減税は行
わないが、補助金を出すのはその典型だ。減税は直接消費者に恩
恵が行くので明快だが、補助金は業者に行くので消費者から見れ
ばその効果が分かりにくい。しかし、官僚から見れば減税では自
分に頭を下げないが、補助金は恩を着せられると考えるだろう。
──高橋洋一嘉悦大学教授
2023年9月5日発行/夕刊「フジ」
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「なぜ、トリガー条項」を引かないのか」に対する鈴木財務相
の発言は不可解なものです。「ガソリンの買い控えがあるから」
というものです。本当にこの人は財政のことがわかっているので
しょうか。
ガソリンは毎日必要なので、買いだめは起きにくいのですが、
そういう矛盾に満ちたことを平気でいう鈴木財務相や松野官房長
官には首をひねってしまいます。岸田首相にいたっては、まるで
無関心の構えです。
政府の本音は、減税になると、なかなか元に戻せないし、この
法律が民主党政権時代の産物であることが、反対の理由の2つで
しょうか。おかげで、石油元売りは大儲けです。
9月4日のことです。次の衆議院選挙での自民・公明両党の選
挙協力について、岸田総理大臣と山口代表が会談し、公明党が、
いったんは解消するとしていた東京での協力を復活させることで
正式に合意しています。
「選挙近し」を感じさせる情報ですが、そんなに前向きの話で
はなく、岸田政権が次の衆院選に関して、大きな不安感を抱いて
いるからです。それは、9月3日に投開票の行われた次の2つの
選挙の結果が暗示しています。
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@岩手県知事選
A市 川市長選
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この2つの選挙において、いずれも自民党推薦の候補が敗北し
ています。とくに岩手県知事選の結果は、10万票の大差がつい
て、自民党の完敗です。
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当 達増拓也 ・・・ 33万6502票
立憲民主党など野党3党支援
千葉絢子 ・・・ 23万2115票
自民党/公明党が支援
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岩手県といえば小沢王国であり、今回5選を果たした達増知事
は、小沢王国の中核的存在といえます。したがって、もし達増氏
が敗れれば、きっとメディアは「小沢王国潰したり」と大キャン
ペーンを展開したはずです。この選挙には公明党も支援していま
す。自民党が千葉絢子候補(地元放送フリーアナウンサー)を立
てたのは、一昨年の衆院選では、小沢一郎氏が小選挙区(岩手3
区)で敗れて比例復活となり、昨年の参院選では、広瀬めぐみ参
院議員が勝利したことで、広瀬参院議員が千葉候補をつきっきり
で応援すれば勝てると考えていたからです。
しかし、広瀬参院議員は、「エッフェル塔騒動」で人気失速の
状態で、投開票一週間前には千葉候補は敗色濃厚になり、自民党
としてはなかばあきらめた選挙だったのです。しかし、今回の岩
手知事選では、達増知事は、選挙相手のエッフェル塔事件で勝っ
たわけではなく、これまでの知事としての実績と、岩手県では、
小沢王国が復活してきてことが勝利の原因です。
8月27日(日)のことです。田原総一郎氏の番組(BS朝日
/激論クロスファイア)に小沢一郎衆院議員が出演したのです。
小沢氏のテレビ出演は本当に久しぶりであり、保守系メディアは
絶対に小沢氏をテレビに出そうとしません。メディアが小沢氏を
報道するときは、彼が失敗したときだけです。「壊し屋小沢」と
か「小沢王国崩壊」などの表現で紹介するのです。
しかし、小沢一郎氏は何か悪いことをしましたか。検察審査会
で強制起訴され、裁判にかけられましたが、無罪を勝ち取ってい
くます。この裁判で検察側は、証拠を改ざんしてまで小沢氏を有
罪にしようとしましたが、できなかったのです。
小沢一郎氏がやったことは、2度にわたって、自民党政権を下
野させたことだけです。ちなみに自民党が下野したことは、この
2回しかないのです。したがって、小沢一郎氏は自民党にとって
不倶戴天の敵ということになります。だからメディアは、小沢氏
についての報道しようとしないのです。
その小沢一郎氏が立憲民主党のなかで動いてします。3度目の
政権交代のためです。EJでは、小沢一郎という政治家について
何度も取り上げています。興味があれば、バックナンバーをぜひ
ご覧ください。
実は、自民党にとって、最も怖いのは、小沢一郎氏であると思
います。最近、小沢氏は橋下徹氏とも面談しており、少しずつそ
の行動が目立ってきています。この動きについては、EJで改め
て取り上げようと考えています。
──[物価と中央銀行の役割/018]
≪画像および関連情報≫
●「壊し屋」81歳の小沢一郎氏、次期衆院選が「最後の
チャンス」…野党共闘へ動く
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衆院当選18回を重ねた立憲民主党のベテランの小沢一郎
氏(81)が動きを活発化させている。次期衆院選での野党
候補の一本化に向けた取り組みを主導し、党内には自らが会
長を務める政策グループも設立した。ただ「政界の壊し屋」
との異名を持つ小沢氏を警戒する声も出ている。
「野党が候補者を統一しさえすれば、自公の候補に負けな
いのが現実であり、国民の願いだ」
小沢氏は24日、国会内で開かれた「野党候補の一本化で
政権交代を実現する有志の会」の会合でこう述べ、野党の共
闘態勢を整える必要性を強調した。6月にスタートした同会
は、小沢氏も呼びかけ人に名を連ねている。結成の発端は、
5月に立民の泉代表が、共産党との選挙協力を否定する発言
を繰り返したことにあった。小沢氏は「政権交代する気があ
るのか」と激怒し、同会の発足に向けた調整役を担った。立
民内では「共産との選挙協力に後ろ向きな泉氏に圧力をかけ
る狙いがあったのだろう」との見方が出た。
同会には、立民の衆院議員95人のうち約60人が賛同し
た。メンバーには、泉氏に近い議員も含まれている。こうし
た動きなどを踏まえ、泉氏は、共産を含む野党間での候補者
調整容認へと方針転換を余儀なくされた。
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20230724-OYT1T50302/
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小沢一郎衆院議員テレビ出演