F)が政府に次の声明を出していることを伝えています。
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◎ガソリン税金「上乗せ廃止を」/JAFが政府に声明
日本自動車連盟(JAF)は、ガソリン価格の高騰を受けて、
ガソリン税の「当分の間税率」の廃止などを政府に求める声明を
出した。8月31日付。複数の税金が上乗せされることで小売価
格がガソリン自体の価格の約1・6倍に上っているという。
JAFが廃止や解消を訴えているのは、(1)2010年度の
税制改正で「当分の間」として上乗せされたままになっているガ
ソリン税の旧暫定税率分の25・1円(2)ガソリン税に消費税
が課税されている「Tax on Tax」の仕組み。
レギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均価格が185
・6円となり、15年ぶりに過去最高値を更新。JAFによると
この価格はガソリン自体の114・9円に本来のガソリン税28
・7円のほか、旧暫定税率分の25・1円と消費税16・9円が
加わっているという。JAFは「自動車ユーザーが到底理解・納
得できない仕組みを一刻も早く解消すべきだ」としている。
(三井新) ──2023年9月2日付、朝日新聞より
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JAFが指摘している「Tax on Tax」とは、「二重課税」を意
味しています。実際に1リッター当たり「186円」でガソリン
を売っているガソリンスタンドを例にとって、本体価格やガソリ
ン税を示すと、次のようになります。
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金額(円) 内訳(円)
本体価格 112・49
ガソリン税 53・80
(本則) 28・7
(暫定) 25・1
石油石炭税+
温暖化対策税 2・80
小計 56・60
消費税 16・91
総合計 186・00
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本体価格には、2つの税金がプラスされています。ガソリン税
と「石油石炭税+温暖化対策税」の合計の56・6円です。この
うちガソリン税には本則と暫定があり、本則税率部分は25・1
円、暫定税率部分は28・7円です。
しかし、これで終わりではないのです。これに消費税がかかり
ます。ガソリン本体価格112・49円プラス53・8円の合計
額に対して、10%の消費税16・91円がかかります。その全
ての合計額が186円になるのです。したがって、ガソリン価格
の半分以上は税金であるということになります。
つまり、ガソリン税と「石油石炭税+温暖化対策税」の合計額
にも消費税かかっており、二重課税ということになります。そも
そも暫定税率はどのような趣旨で設けられたのでしょうか。サイ
トには、次の説明があります。
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暫定税率というのは文字通り暫定的に決められた税率で、普通
はガソリン税(揮発油税・地方道路税)などの「道路特定財源」
のための目的税の「本来の税率に暫定的に上乗せされた」税率の
ことをいいます。
きっかけは1973年に起こった第1次オイルショック(石油
危機)でした。第4次中東戦争のあおりで石油価格が急騰し、狂
乱物価など激しいインフレーションを生んだオイルショックです
が、日本は国家をあげて「省エネ化」をめざしました。深夜放送
が自粛され、ネオンサインが消えるなど、その努力は相当なもの
だったのです。そして、省エネのため石油資源を節約し、石油の
消費を抑制することを狙いとして、ガソリン税などの税率を上乗
せする暫定税率が課せられることになったのです。
──ベスト・カー・ウェブより
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「Tax on Tax」──税金に対してさらに税金をかける二重課税
は、けっしてあってはならないことです。しかし、ガソリン税に
はこれが明確に存在しています。これに目をつけたのは、政権奪
取前の旧民主党のグループです。彼らは、ガソリン値下げ隊を結
成し、2009年8月の政権交代の後、このガソリン税の暫定税
率に目をつけ、いろいろな経緯があったものの政権交代後の20
10年4月、「租税特別措置法第89条」として、導入したのが
「トリガー条項」です。
トリガー条項の内容とは、「レギュラーガソリン1リットル当
たりの価格が、3ヵ月連続して160円を超えた場合、その翌月
からガソリン税の上乗せ部分(特別税率)25・1円の課税を停
止して、その分だけ価格を下げる」というものです。逆に元に戻
すには、「3カ月連続して1リットル当たり130円を下回った
翌月から」回った翌月から」となる──これが「トリガー条項」
です。トリガーとは「引き金を引く」という意味です。今回のよ
うに、ガソリン価格が連続して上昇しているときピッタリの法律
であるといえます。
しかし、翌年の2011年3月に東日本大震災が発生し、その
復興財源確保の名目で適用が凍結されたのです。正式には、「東
日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法
律第44条」に規定され、そこには「租税特別措置法第89条の
規定は、東日本大震災の復旧及び復興の状況等を勘案し、別に法
律で定める日までの間、その適用を停止する」──このように規
定されたのです。しかし、岸田内閣はトリガー条項は減税になる
ので、完全に無視・黙殺の構えです。
──[物価と中央銀行の役割/017]
≪画像および関連情報≫
●【ガソリン代「トリガー条項」見送り】なぜ減税ではなく
補助金を選ぶのか?岸田政権の姑息な本音
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ガソリン価格が15年ぶりに過去最高額を更新したが、緊
急対策を打ち出した政府には「本気でやっているのか」と訝
る声が後を絶たない。8月30日公表のレギュラーガソリン
価格(全国平均)は15週連続値上げとなる185・6円に
(1リットルあたり、以下同)。同日、岸田文雄首相は価格
高騰への緊急対策を発表したが、価格高騰を抑える減税措置
にあたる「トリガー条項発動」に踏み切る様子はない。
岸田政権の緊急対策では9月末までの予定だった激変緩和
措置(燃料油価格激変緩和補助金)を年末まで延長する一方
9月7日から補助を拡充すると発表。しかし、あくまで対策
は「補助金のみ」で、税を軽減する「トリガー条項発動」に
ついては頬被りを決め込んでいるように見える。
野党からは、国民民主党の玉木雄一郎代表が「ガソリンは
税金の塊。取って配るよりもそもそも取ることを一旦停止す
るほうがわかりやすい」と訴え、日本維新の会からもガソリ
ン減税を唱える声があがっているが、政府は一貫して「補助
金のみ」の姿勢だ。8月30日の対策発表の会見でも岸田氏
は「(発動直前に)買い控え等の流通の混乱」が生じかねな
い、という理由で減税案を退けている。
https://www.moneypost.jp/1059547
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トリガーを引かない岸田首相