点を移してみます。このところ、日経平均株価が伸び悩んでいる
からです。7月24日の日経平均株価の終値は32760円94
銭ですが、ただし、前日比+約396円と急上昇しています。7
月3日から24日までの過去15日間の騰落を見ると、次のよう
になっています。○印は前日よりアップ、●印は前日よりダウン
をあらわしています。
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3日 24日
●●●●●●○●○●○○●●○
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なぜ、24日に日経平均が反発し、先週末比396円高になっ
たのかというと、それは、日銀が27日〜28日に開く金融政策
決定会合を前に、市場では、政策修正への警戒が急速に後退し、
円売り、株買いの「植田トレード」が再燃したからです。
日経平均株価は、いつもこのレベルに来ると、足踏みを始める
のが常です。それは「日本企業の経営が本当に変わるのか」とい
う経営に対する基本的な変化です。アベノミクスの場合も同様で
あったといわれています。シティグループ証券の阪上亮太ストラ
テジストは、次のように分析しています。
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シティグループ証券の阪上亮太ストラテジストは株高はここで
いったん止まるとみる。「株高が進んで日本株の相対的な割安さ
は薄れ、短期的な資金が主導する買いの勢いが弱まってきた」
阪上氏がみるのは2013年の「アベノミクス相場」との違い
だ。当時は大規模な金融緩和と財政出動で日本国内の変化に期待
が高まった。銀行や不動産、中小型株に個別に物色が広がった。
今回はむしろ米地銀破綻、中国経済の減速など世界的に不安が高
まる中で、割安だった日本が相対的に浮上した。米投資家ウォー
レン・バフェット氏の商社株投資も相まって、まず先に先物や株
価指数に資金が入った。不動産や中小型株の動きは鈍い。脱デフ
レやPBR(株価純資産倍率)向上に期待するなら上がるべきだ
が、そうなっていない。「日本独自の変化で買うにはまだ『証拠
不十分』だ」(阪上氏)
──2023年7月24日付/日本経済新聞より
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つまり、海外の投資家は、どちらかというと、消極的な理由で
第1波として、日本株の買いに入ったものの、既にそれは一巡し
ており、第2波を呼び込めるかどうかが期待されています。それ
では、どうしたら、第2波を呼び込むことができるでしょうか。
BoFA証券の日本株ストラテジストの圷正嗣氏によると、カギ
を握るのは長期投資家の動きであるといいます。彼らは、日本の
真の変化を待っているとして、次のように述べています。
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その場合のキーワードは「高くなる」だ。「マクロでは賃金上
昇が構造的に続く流れになるか、ミクロでは企業の経営改革が本
当に資本効率を高めるか」(同氏)だ。
その場合のキーワードは「高くなる」だ。「マクロでは賃金上
昇が構造的に続く流れになるか、ミクロでは企業の経営改革が本
当に資本効率を高めるか」(同氏)だ。
今年の春季労使交渉で賃上げ率は3%超と約30年ぶりの高さ
となった。来春も続くかが次のハードル。賃金を上げ続けなけれ
ばならない前提になれば、企業の価格戦略もおのずと変わってく
る。値上げを受け入れてもらうには強みのある分野を優先して磨
くべきだ。そのために経営資源も集中させる。インフレを前提に
した歯車が動き出せば、収益率の向上という循環が起こりうる。
──2023年7月24日付/日本経済新聞より
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第1波における投資には、日本株にはなじみの少ない「ツーリ
スト投資家」が多かったようです。「ツーリスト投資家」とは、
日本株への投資経験がないかほとんどない状態で「試しに日本に
資金を投じるような投資家」を指しています。この場合、ツーリ
ストが短期間の旅行で本国に帰るのと同様に、ツーリスト投資家
も日本株投資が短期間となる場合が多いのです。
しかし、日本企業の賃金や利益率が高くなるということであれ
ば日本は期待が持てる市場ということになり、第2波を呼び込め
る可能性が出てくるといえます。
もうひとつ「RI/リビジョン・インデックス」が話題になっ
ています。「RI」とは、当初の業績予想(アナリスト予想)を
もとに上方修正された銘柄数の比率から下方修正された銘柄数の
比率を差し引いて算出される指数(インデックス)のことです。
業績の変化の方向性を捉えることで、景況感の判断などに用いら
れます。2023年7月26日付の日本経済新聞では、このR1
について、次の報道をしています。
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◎市場高まる上振れ期待/今期業績予想/円安・消費堅調追い風
2023年4〜6月期決算の本格化を前に、主要企業の業績見
通しで株式市場の目線が切り上がっている。23年度の市場予想
の方向感を示す「リビジョン・インデックス(RI)」が22年
5月以降で最高となった。為替の円安や半導体不足の解消で自動
車関連などを中心に強気見通しが相次ぐほか、堅調な国内消費も
追い風だ。決算では期待を裏付ける実績が出るかに注目が集まっ
ている。 ──2023年7月26日付の日本経済新聞
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RIは、TOPIX500構成銘柄の23年度1株利益(EP
S)のアナリスト予想が、修正された件数を集計し、上方修正の
比率から下方修正の比率を引いた値を月次で算出しています。Q
UICK・ファクトのデータを基にしたRIは、7月21日時点
で26・6%、22年6月以降の数字で最高水準で推移していま
す。 ──[物価と中央銀行の役割/013]
≪画像および関連情報≫
●リビジョンインデックス(RI)とは
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リビジョンインデックス(Revision Index)とは、 企業
業績に対するアナリストの見通しがどのように変化している
のかをとらえる指数。景況感をあらわす指標として利用され
ている。
業績見通しの「上方修正された企業(銘柄)」から「下方
修正された企業(銘柄)」を差し引き、総企業数(銘柄数)
に対する比率をもって計算される。
景況感を示す指標と書いたとおり、プラスが大きければ企
業業績の上方修正が多い=企業の業績改善の動きが強いとみ
られる。逆にマイナスが大きければ業績悪化の動きが強まっ
ていると見ることができる。
リビジョンインデックスは、調査機関や証券会社が算出す
る。日本国内で代表的なものとしては「NRIリビジョンイ
ンデックス」が挙げられる。
同指数は「NOMURA総合400指数」採用銘柄(除く
金融)を対象に今期の業績予想(本決算ベース、経常利益)
が3カ月前に比べて、「上方修正された 銘柄の比率」 から
「下方修正された銘柄の比率」を差し引いた数値(野村證券
証券用語集より引用)となっている。
https://www.finance-dictionay.com/2015/10/post_1148.html
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23年度EPSのリビジョン・インデックス/R1