(ECB)が主催する国際金融会議「ECBフォーラム」がポル
トガルで開催されたのですが、ラガルドECB総裁は基調講演で
次のように述べています。
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見通しに重大な変化がなければ7月も利上げを継続する。ユー
ロ圏のインフレ率は高すぎで、今後も高止まりするだろう。中央
銀行が近い将来、政策金利がピークに達したと完全に自信を持っ
て言えるようになる可能性は低い。
──クリスティーヌ・ラガルドECB総裁
──2028年6月28日付、日本経済新聞
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しかし、欧米のこのような状態に対して、日本経済はまさに景
気回復の好循環のセトギワに立っているといえます。2023年
6月27日放送の「BSフジプライムニュース」では、まさしく
この問題について議論が行われています。今日のEJは、この番
組から一部の発言をひろってみることにします。詳しくは、ビデ
オをご覧ください。
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◎2023年年6月27日(火)/プライムニュース
『いつまで続く?株価高 下期の経済見通しは?/与野党の経
済通が激論』 https://tver.jp/episodes/epxdl5qscf
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まず、司会者から現在日本株が上昇している背景について、尋
ねられたPWCコンサルティング合同会社チーフエコノミストで
元日銀審議委員の片岡剛士氏は、次のように発言しています。
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司会:なぜ、現在日本株は注目されているのですか。
片岡:日本以外の海外を見ると、欧米はインフレで利上げが行わ
れていますし、中国もコロナ後の経済状況がうまくいってなく
て、期待できない状況です。そのなかにおいて、比較的安定し
ている日本へ目線が向けられていると思います。日本経済の状
況は、ポジティブな材料でいうと、金融緩和を継続しており、
経済にネガティブな影響が少ない。それに、コロナ外交、イン
バウンド需要もあり、相対的に日本が選ばれているのです。
司会:株価が上がっていると、日本経済は成長しているといえる
のでしょうか。
片岡:日本以外の国のほとんどの国は、株価は右肩上がりなので
す。日本のように、1990年代以降、バブルが崩壊して30
年かかってデフレが続いていますが、諸外国は安定したインフ
レの下で、株価は緩やかに上がっています。現在の日本はいわ
ば、異常な状態から普通の状態に戻りつつあるといえます。
──2023年年6月27日/プライムニュース
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続いて、司会者は、玉木雄一郎国民民主党代表に対して、同じ
質問をしています。
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司会:玉木さんはどのようにお考えですか。
玉木:4万円を超えますよ。私はいつも日本経済を「3つの4」
を達成できるようにすべきであると思っていますが、今 それ
が達成されようとしています。
1つの「4」は、名目賃金上昇率が4%程度になろうとして
いることです。今年の連合の春闘の要求は、定期昇給を含む賃
上げ額は、平均で前年同期に比べて、4795円増の月1万1
114円、賃上げ率は1・59ポイント増の3・70%であり
ほぼ4%に近いといえます。これは30年ぶりの高水準です。
2つの「4」は、10人の日本のエコノミストによる今年度
の名目GDPは4%を予想していることです。
3つの「4」は、日経平均株価は、このまま行くと、4万円
を超えると予想されます。
これらの「3つの4」が達成されると、日本の税収は70兆
〜80兆になります。日本の金融財政担当者は、これを達成で
きる政策を実施すべきです。
──2023年年6月27日/プライムニュース
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これに対してもう一人の出席者である宮沢洋一自民党税制調査
会長に対して、司会者は次の質問をします。
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司会:日本経済は明らかに回復基調にある。そういうときに増税
というのはやめた方がよいというのが、玉木さんのお話しでし
た。これに対して宮沢さんはどうお考えですか。
宮沢:増税といっても、消費税を上げるという話と防衛増税は違
うと思います。法人税を3%を下げたけれど、よいことは何も
なかったのですよ。だから1%ぐらい返してもらってよい。中
小企業は対象外です。所得税は現在は増税にならない。しかし
私も対象者ですが、たばこを吸う人は増税になってしまうので
すよ。したがって、それが景気の足を引っ張るとか、経済の足
話引っ張るとか、私にはとても想像がつかない。
──2023年年6月27日/プライムニュース
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日経平均株価は、6月27日現在、3万2538円で、このと
ころ4日連続で下げていますが、玉木国民民主党代表は、4万円
になるといっています。きっかけは、コストプッシュインフレで
す。これによって、物価が上昇したことがきっかけで、経済の好
循環がはじまったのです。日本はこの状況を大事にしなければな
らないと考えます。インフレで物価が上がれば、企業はそれを製
品やサービスに価格転嫁して、労働者の賃金を上げる──この何
でもないことが、日本ではこの30年間できなかったのです。岸
田政権には慎重に対応してほしいものです。
──[世界インフレと日本経済/037]
≪画像および関連情報≫
●日経平均「4万円超え」期待させる“中長期”の景気循環
日本株上昇の背景に日本景気の拡大
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東京株式市場で日本株が堅調な推移を続けている。日経平
均株価は、バブル崩壊後の高値の更新を続け、1990年以
来、33年ぶりに3万3000円台を回復した。
日本株上昇の背景として、海外投資家による買いの動きや
日本株の割安感、東京証券取引所による上場企業に対する企
業価値改善への対応の要請などが指摘されている。しかし、
こうした動きだけでは、上昇相場の継続は見込みにくく、日
本経済の相対的な底堅さが評価されているとみられる。
米国や欧州では、金融引き締めが続く中、銀行不安などの
金融問題に対する懸念も払拭し切れていない。金融引き締め
の効果はラグを伴い今後も続くと予想されており、景気の先
行きに対する不安が強い。
これに対して日本では、日本銀行がインフレ率の上昇につ
いて目標である2%を持続的・安定的に達成する状況には、
至っていないと判断しており、金融緩和を続けている。加え
て、米国や欧州などに比べ、日本は経済再開・正常化に向け
た動きが遅れ、足元で景気の持ち直しの動きが明確となって
きている。23年1〜3月期のGDP統計(2次速報)では
実質成長率が上方修正され、前期比年率プラス2・7%と2
%台後半の成長が示された。経済再開・正常化に向けた動き
を受け、個人消費が増加しているほか、新型コロナウイルス
の感染拡大防止対策として打ち出されていた入国制限などの
水際対策の緩和でインバウンド需要も急増している。
https://diamond.jp/articles/-/325047
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2023年6月27日/BSフジプライムニュース