わらず3万円台を安定的にキープしています。昨日のEJで、政
府の「埋蔵金」(「外国為替資金特別会計(外為特会)」)の話
を取り上げましたが、現在ネットでは、日銀の埋蔵金の話が話題
になっています。
日銀の埋蔵金とは何でしょうか。
それは日銀が保有するETF(上場投資信託)の含み益です。
ETFとは、特定の指数、例えば、日経平均株価や東証株価指数
(TOPIX)などの動きに連動する運用成果を目指し、東京証
券取引所などの金融商品取引所に上場している投資信託です。
2023年3月時点で日銀が保有するETFの簿価と時価を比
較すると、含み益は次のように約16兆円あります。
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◎ETF/2023年3月時点
簿価 ・・・・ 約37兆円
時価 ・・・・ 約53兆円
含み益 ・・・・ 約16兆円
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ところが、その後も株高が続き、5月末の含み益は約20兆円
さらに株価は上がっているので、その時価は60兆円に迫ってい
るといわれます。これについて、金融ジャーナリストの森岡英樹
氏は次のようにコメントしています。
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世界の中央銀行の中でETF買いをしているのは日銀だけ。い
ずれ、売却を進め、出口に向かう必要がありますが、今が絶好の
チャンスです。巨額の利益を上げられるし、今なら海外投資家が
日本株を買い支えているので、売却によるショックも比較的小さ
いはずです。少子化対策の財源であれば、世論の支持も見込まれ
「何もしない」と評判の良くない植田総裁の”株”を上げること
にもなります。──2023年6月12日発行「日刊ゲンダイ」
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岸田政権が実施しようとしている「異次元の少子化対策」の財
源は年間3・5兆円必要ですが、ETFの20兆円の含み益を充
てれば6年分(3・5×5=21兆円)確保できるのです。
ところで、日本株はなぜ上がっているのでしょうか。
いろいろな見方がありますが、雑誌『選択』/6月号は、かな
り厳しい見方をしています。「現在の日本株は、15年前のイン
ド株と同じ匂いがする」として、次のように書いています。
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(日本株が)買われる理由は「ガバナンス、株主還元の向上」
「中国外しのサプライチェーン再構築」、「バフェット氏訪日」
「東証によるPBR(株価純資産倍率)1倍割れ是正勧告」など
である。(中略)また、日本株の上昇率が他国より高い理由は、
円安を一気に織り込んだから、ともいえる。
──『選択』/2023年6月号
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現在、日本株が上がっている理由の一つに、2022年4月の
東京証券取引所(東証)の大改革があることは確かです。その狙
いの一つが「ガバナンス、株主還元の向上」です。これについて
は、改めて述べることにします。
それでは、「東証によるPBR(株価純資産倍率)1倍割れ是
正勧告」とはどういう意味でしょうか。
これを理解するには、「PBR(株価純資産倍率)」について
知る必要があります。PBRは、現在の株価(時価総額)を企業
の資産価値(純資産)で割った指標のことです。この指標が1倍
を切ると、資産の方が上回るので、経営者失格の烙印を押されて
しまいます。
東証のデータによると、大手企業で構成するTOPIX500
の銘柄において、その4割以上の企業が、1倍を下回っていると
いわれます。こうしたことを東証は重視し、今年に入ってから、
PBR1倍割れの企業に対して、是正策の開示や実行を促してい
るのです。この点が海外投資家に評価されたのは間違いないこと
であると考えます。
ところで、この3月31日、トヨタ自動車を14年近く率いて
きた豊田章男社長(現会長)が退任しています。当日の終値は、
1880円、在任中の株価は2・6倍になったものの、PBRは
0・9倍で1倍を切っているのです。数値としては、経営者失格
ということになります。これについて、ある株式評論家は、次の
ように話しています。
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退任時の1倍割れは、章男氏の父・幸一郎さんが社長の時代で
も後を継いだ(章一郎氏の弟の)達郎さん、奥田(碩)さん、張
(富士夫)さん、渡辺(捷昭)さんの全ての方においてもありえ
なかった。特に奥田さんの時は2倍を超えており、渡辺さんは株
価が下落していたリーマン・ショック後の退任でも、1倍を超え
ていた。 ──『選択』/2023年5月号
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それでは、「現在の日本株は15年前のインド株と同じ匂いが
する」というのはどういう意味でしょうか。
2007年のことですが、フランスの大手金融機関・BNPパ
リバグループが「投資ファンドの解約を凍結する」と宣言し、パ
リバショックが起きたのです。サブプライムローン問題が顕在化
します。そのとき、ジョージ・ソロス氏をはじめ世界中の資金が
サブプライムローンと関係のないインドに向かったのです。
マネーが殺到したインドのムンバイ証券取引所では、株価が暴
騰して取引を中止する異常事態が起きたのですが、その後の金融
危機で、インドの株価は3分の1以下まで大暴落します。現在の
日本の株高はそれに似ていると専門家はいうのです。景気後退の
直前にはよくこういうことが起きるといわれています。
──[世界インフレと日本経済/026]
≪画像および関連情報≫
●「日経平均3万超え」でも日本株に全力投球しない理由
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5月に入り、日本株の強さが光ります。日経平均株価は、
2021年9月に3万795円78銭のバブル後高値をつけ
て以降、上がったり下がったりを繰り返すボックスの動きに
終始していましたが、5月19日に3万924円57銭まで
上昇し、ボックスを上抜けてきました。
TOPIX(東証株価指数)はこれよりも早い段階で20
21年9月の高値を超えてきており、これで日経平均株価、
TOPIXともバブル後の高値を更新したことになります。
日経平均株価のチャートを見ると、2年ほど上がったり、下
がったりを繰り返していましたので、ボックス上抜けにより
さらなる上昇も期待したいところです。
横ばいが続いていた日本株が一気に軽々と3万円超え、そ
してバブル後高値更新となったことに筆者も驚いていますが
この株価上昇の原動力は、誰の買いによるものなのでしょう
か?東京証券取引所が発表している投資部門別売買状況によ
れば、4月以降外国人投資家は日本株を継続して買い越して
います。4月第1週以降の6週間での買い越し額はおよそ2
兆9000億円に達しています。
一方、個人投資家はこの間に日本株を1兆2000億円近
く売り越しています。日本株が大きく上昇するときは、ほぼ
「外国人投資家の大量買い、個人投資家の大量売り」のパタ
ーンになります。思えば2013年前半のアベノミクス相場
初期は、怒涛(どとう)の外国人投資家の買いによって株価
の大きな上昇がもたらされました。
https://media.rakuten-sec.net/articles/-/41502
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植田日銀総裁


