聞は欧州のインフレの模様を次のように報道しています。4月の
欧州の消費者物価指数の上昇率は、前年同月比で7・0%である
といいます。
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◎欧州、広がる「強欲インフレ」
欧州でインフレが収まらない。ウクライナ危機に伴う資源高は
落ち着く半面、食品やサービスの価格上昇が顕著だ。企業がコス
ト増を口実に価格をつり上げる「強欲インフレ」がじわりと広が
る。高水準の賃上げも加わり、欧州中央銀行(ECB)はインフ
レ沈静化のため利上げを継続せざるをえない情勢だ。外国為替市
場でユーロの独歩高が鮮明になりそうだ。(中略)
ユーロ圏のインフレは深刻だ。4月の消費者物価指数の上昇率
は前年同月比で7・0%と6カ月ぶりに拡大。2022年10月
につけた過去最高の10・6%からは鈍化したものの依然高止ま
りしており、米国(4・4%)や日本(3・5%)を大幅に上回
る。 ──2023年5月29日付、日本経済新聞
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日本のインフレ率は、欧米と比べると、かなり低くなっていま
す。日本のケースは、後から述べますが、日本企業は、欧米と比
べると「強欲ではない」ということです。上記の日経のタイトル
「強欲インフレ」とは何のことでしょうか。
トルコ出身のエコノミストで、グローバルストラテジストのエ
ミン・ユルマズ氏という人がいます。このユルマズ氏の新刊書に
次の記述があります。ユルマズ氏は、世界インフレに関する本を
2冊上梓しています。
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インフレ下の日本企業が他国と違うなと感じるのは、価格転嫁
しないようギリギリまで頑張るところだろう。こうした振る舞い
を見ていると、私は、日本こそが真の「社会主義国家」であると
思ってしまう。
これに対して米国企業はどうなのか?米国企業が価格転嫁しな
いように耐えるということは断じてしない。米国企業は日本企業
とは真逆のアクションを取った。インフレに反応して、速攻で価
格転嫁してきたのである。
いまの状況を米国メディアは、「今回の高インフレはウェイジ
(賃金)インフレ」だとの論調を張っている。私はそうではない
と思っている。なぜなら、米国の年収をCPIで割った図を作成
したら、むしろ実質賃金は下がっているからだ。
では、実際に米国では何が起きているのか?
インフレが起きている真っ最中の2022年、米国企業は小売
業も含めて、史上最高の利益更新を達成した。これはインフレに
反応して、どんどん価格転嫁してきたからであ.いや、もっとあ
くどかった。インフレを口実にして、インフレ率”以上”の価格
転嫁を行ってきた。これが真相だ。 ──エミン・ユルマズ著
『大インフレ時代!日本株が強い/資産運用を覚えないと
財産は消える』/ビジネス社刊
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現在の世界インフレは、主として供給要因によるものであるこ
とははっきりしています。そのきっかけは、新型コロナウイルス
の感染拡大であり、それを原因とする人々の行動変容が大きく影
響していることをここまで述べてきています。
これに加えて企業も大きな行動変容をしつつあるのです。モノ
を製造する企業は、世界中の同業者としのぎを削る激しい競争を
展開しています。「価格が安くて良いものを提供する」ことが企
業の目的です。
モノの生産には、賃金が安く、真面目で、よく働いてくれる、
コストパフォーマンスの高い労働力が不可欠です。そのため、企
業は、そういう質の高い労働力を求めて、アジア、東欧、中南米
などの新興国に生産拠点を広げてきています。こういう現象を経
済のグローバル化といいます。
これによってモノの製造原価は大きく下がり、しかも、高品質
のモノ、すなわち、製品を提供できるようになっています。こう
いう世界的分業システムの仕組みをサプライチェーンといい、こ
れまで世界経済を支えてきています。
サプライチェーンを直訳すると「供給の鎖」になります。アイ
フォーンをはじめとする様々な製品は、いくつもの工程や部品・
原料の連鎖の上に成り立っており、現在ではこのサプライチェー
ンが国境を超えて、非常に複雑なかたちで、多くの国がかかわっ
ています。
そういう状況において、今回パンデミックが起きたのです。こ
れによってサプライチェーンはズタズタになり、大幅な供給の目
詰まりを起こします。これによって、たとえば自動車企業では、
自動車のサプライチェーンが目詰まりを起こし、半導体が入荷で
きず、自動車の供給ができなくなっています。
こういう事態を受けて、国際的なコンサルティング会社、A・
T・カーニー社が米国企業の経営者に対して行った調査によると
実に92%の企業が「リショアリング」を行っていると回答して
います。リショアリングというのは、生産拠点を米国内または近
隣国に移転することをいいます。リショアリングを計画している
米国企業は次の通りです。
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すでにリショアリングを実施しつつある ・・・・ 47%
3年以内にリショアリングの計画がある ・・・・ 29%
決定していないが、おそらく行うだろう ・・・・ 16%
92%
──渡辺努著/講談社現代新書/2679
『世界インフレの謎』
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──[世界インフレと日本経済/015]
≪画像および関連情報≫
●これから起こる「サプライチェーンの大分断」って何?
米アップルが対応急ぐ納得の理由/加谷珪一氏
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コロナ危機による物流網の混乱に、米中対立とウクライナ
侵攻が加わり、いよいよ世界のサプライチェーン分断が本格
化しつつある。一部企業は、米国向けと中国向けにサプライ
チェーンを別々に構築する動きを見せており、多くの企業が
同じ決断を迫られる可能性が高い。
グローバル経済の進展によって、企業は全世界にサプライ
チェーンを拡大するのが当たり前という時代が長く続いてき
た。1円でも安いモノを求めて各社は巨大なサプライチェー
ンを構築し、これが業績拡大の原動力となってきた。90年
代以降、世界経済の成長スピードが大幅に加速したが、そこ
にはビジネスのIT化と、それに伴うサプライチェーンの巨
大化が大きく関係している。
全世界の貿易(数量ベース)とGDP(国内総生産)を比
較すると、基本的に両者は、比例して伸びていることが分か
る。リーマンショックやコロナ危機で一時的に貿易が滞って
も、すぐに回復しており、今回のコロナ危機についても、貿
易量はすでにコロナ前を超えた。感染が落ち着けば、全世界
のGDPも順調に回復するだろう。たしかに貿易の「量」は
回復したが、一方で貿易の「質」は、以前とは大きく様変わ
りしている。 https://www.sbbit.jp/article/cont1/85640
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サプライチェーン


