2023年03月29日

●「ARM・PC/使い勝手が変化する」(第5935号)

 SoC(System on Chip)といえば、スマホ用CPUのことで
したが、今や「PC用のSoC」というものが続々と登場してい
ます。そこで、米クァルコム(Qualcomm)のSoC「スナップド
ラゴン/Snapdragon」を使ったノートPCをもう1台ご紹介する
ことにします。クァルコムは、カリフォルニア州に本社を置く米
国のモバイル通信技術関連の大手企業です。
 現在のノートPCに求められる機能としては、次の4つが上げ
られます。
─────────────────────────────
      @パワフルな性能
      A長時間のバッテリー駆動
      B5G回線による常時ネットへの接続
      Cテレワークでの使いやすさ
─────────────────────────────
 このノートPCの条件にすべて合格するノートPCが、ヒュー
レッド・パッカード(HP)製の次のノートPCです。
─────────────────────────────
      ARM系CPUでもウインドウズが動く
   ヒューレッドパッカード/エリート・フォリオ
                 HP Elite Folio
─────────────────────────────
 「エリート・フォリオ」はどのようなPCであるのか、その主
要機能を以下に示すことにします。
─────────────────────────────
   CPU:クァルコム/スナップドラゴン/8cx Gen2(3GHz)
 コア数など:8コア/8スレッド
   メモリ:LPDDR4X/8GB(16GB)
 ストレージ:NVMeSSD(256GB/512GB)
    OS:ARM版ウインドウズ10プロ
    無線:WiFi6、ブルーツゥース
    重量:1・3Kg
    価格:18万4580〜19万7780円
─────────────────────────────
 CPUの欄に「スナップドラゴン」とあります。CPUとあり
ますが、正確にはPCの各種機能が集約化されたSoCです。こ
れはスマホでは定番のARM系のCPUですが、“8cx Gen 2”
はPC用に設計された高性能モデルです。8コア8スレッド(C
PUが8個付いたモデル)で、動作クロックは最大3GHzであ
りながら、きわめて低い消費電力でそれを実現しています。
 添付ファイルに、このエリート・フォリオで、マイクロソフト
オフィスがどのように動くか、インテルのコアi5−7200搭
載ノートPCと比較したベンチマークテストの結果のグラフを付
けています。青がヒューレッド・パッカード、赤がインテルを表
しています。アウトルック以外は、ヒューレッド・パッカードが
上回っているように見えます。
 しかし、インテルのコアi5は、インテルのCPUとしては低
いレベルであると思うので、むしろARM系のCPUでも、イン
テルのコアi5レべルまで来たというぐらいに捉えるべきである
と思います。
 この日本HPエリート・フォリオを試用した芹澤正芳氏は、そ
の使用体験について、次のように述べています。
─────────────────────────────
 スマホ感覚の実現でもう1つ欠かせないのが長大なバッテリ駆
動時間だ。公称で約21・1時間を実現しており、これならば、
カフェや移動中の社内などでPCを使っても日中の充電は不要と
言える。駆動時間を気にすることなく仕事ができるし、充電器を
持ち運ぶ必要もない。寝るときに充電すれば十分というのはまさ
にスマホと同じだ。(中略)
 また、テレワークでの利用を想定してパワーポイントでスライ
ド作成15分、ワードで文章作成15分、Zoomでウェブ会議
15分、ウェブブラウザ(Edge)でサイト巡回を15分の合計1時
間の利用でバッテリの消費は7%だった。単純計算ではあるが、
この使い方なら約14時間30分はバッテリが持つことになる。
実に心強い。
 ARM版ウインドウズ10ということで動作アプリの問題が一
番気になるところだろうが、32ビット(x86)版アプリが動
き、ARMネイティブアプリも増えつつあるので現状仕事で困る
ことはあまりない。
 何よりファンレスで十分なパフォーマンスがあり、バッテリの
残量を気にせず1日使えるのは何より心強い。カフェで仕事する
際にコンセントが使えるか調べる必要もないし、会議や打ち合わ
せでもバッテリが保つか心配することもなくなるので、ACアダ
プタを持ち歩く必要もない。
 まだまだ数は少ないが、圧倒的な低消費電力を持つARM系C
PU搭載ノートPCは、新たなビジネススタイルを生み出す可能
性を十分持っていると、今回HPエリート・フォリオを試用する
ことで実感できた。        https://bit.ly/3nn0UuW
─────────────────────────────
 HPのエリート・フォリオについて、大事なことを一つ忘れる
ところでした。このノートPCには、CPUを冷やすファンが付
いていないことです。そのため、バッテリーの持ちがよくなって
います。それがARMのCPUの最大の特色です。
 ARMのプロセッサがスマホから発展して、ノートPCまで進
出し、ノートPCの使い勝手が変わろうとしています。13・5
型のディスプレイは、タッチ仕様に加えて、専用ペンの利用も可
能になっています。ペンでちょっとしたことをメモしたり、スマ
ホ感覚でタッチパットも使えます。
 実は、ARMプロセッサの進撃は、インテルとAMDが支配す
るサーバー分野にも進出を行おうとしています。明日のEJで取
り上げます。     ──[メタバースと日本経済/051]

≪画像および関連情報≫
 ●中国半導体業界 脱海外発の動き──RISC−V
  ───────────────────────────
   2020年9月、「ソフトバンクがアームをエヌビディア
  に売却」と大きく報道された。アームもエヌビディアも、一
  般の人々が直接触れることの少ない半導体に関係するIT企
  業だが、ソフトバンクは243億ポンド(約3・3兆円)で
  買収し、400億ドル(約4・2兆円)で売却する、という
  額が桁外れで話題となった。
   日本で時価総額4兆円の企業はセブン&アイ、みずほグル
  ープ、三井物産あたりになる。そのアーム社はコンピュータ
  の基本設計といわれるアーキテクチャー(設計構造)を開発す
  る会社。アーキテクチャーはいわば構造で、組立て方、接続
  方法、指令方法などの規格体系。ICの設計は、決まった受
  け皿の上に設計者が必要な機能を載せていくイメージ。
   同社は、主に半導体企業にライセンス供与して収入を得る
  英国起源の会社である。といってもやはり、なんだそれは、
  と普通思うだろう。例えば、スマートフォンの中核で司令塔
  に当たるプロセッサーは、アイフォーンもアンドロイドもほ
  とんどがアームのアーキテクチャーを採用している。主な理
  由は、アームの特徴である低電力消費にある。スマートフォ
  ン最大の弱点で、いつまでたっても抜本的に解決されない課
  題は電池。現在主流のリチウムイオン電池を搭載した例えば
  アイフォーンも、ほぼ毎日充電しないといけない。そのため
  とにかく消費電力が低いことが求められる。
                  https://bit.ly/3FUrGBe
  ───────────────────────────
エリート・フォリオのベンチマーク.jpg
エリート・フォリオのベンチマーク
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | メタバースと日本経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。