ます。@とAについては、既に述べていますので、今日は、Bに
ついて述べることにします。
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@ソフトバンクの孫会長はなぜARMを買収したのか
AARMはなぜソフトバンクの買収を受け入れたのか
→ BARMをなぜエヌビディアに売却しようとしたのか
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2020年9月13日のことです。同日の日本経済新聞に次の
記事が掲載されたのです。
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ソフトバンクグループ(SBG)が傘下の英半導体設計アーム
を米半導体大手エヌビディアに売却する方向で最終調整に入った
ことが13日、明らかになった。2社はSBGがエヌビディア株
を取得するなど、売却に株式交換を組み合わせる方向で調整して
いる。売却額は4兆円規模となる見通しだ。
──2020年9月13日付、日本経済新聞
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EJは、技術の専門マガジンではないので、エヌビディアにつ
いて説明する必要があります。エヌビディア(NVIDIA)と
は、コンピュータの画像処理を行うための半導体、GPU(グラ
フィックス・プロセッシング・ユニット)の世界有数の米国のメ
ーカーです。ゲーム分野やAIの機械学習などに用いられること
が多く、1993年に創業し、1999年に米NASDAQ市場
に上場しています。AIのためには、なくてはならない企業の一
つです。
なんと孫会長は、彼の類稀なる先見の明によって獲得したAR
Mを売却するというのです。売却額は最大400億ドル、日本円
にして4・2兆円になります。ARMは3・3兆円で買収してい
るので、損はしませんが、孫会長が投資目的のために、ARMを
買ったとは思えないのです。
最大の理由は、SBGの手元資金確保のためと考えられます。
おそらく背に腹は代えられないという思いではないでしょうか。
SBGは投資会社としての側面を強めてきており、「ソフトバン
ク・ビジョン・ファンド」を設立して、多くのAI関連企業に投
資をして事業拡大を進めてきたところだったのです。なかでもA
RMは、近い将来価値が出るとして、SBGが大事に育ててきた
企業です。
しかし、コロナ禍で、投資先企業の株価下落などによって業績
が急速に悪化し、資金不足に陥ったのです。その防衛策として、
Tモバイルの米国法人や、アリババ、ソフトバンクなど、同社が
持つ株式の一部を売却するなどして、現金の確保を積極化してき
たのです。そこに、エヌビディアが有力な買い手として、登場し
たというわけです。
米国へのARMの上場か、それとも売却か──どちらも大きな
カベがありますが、上場より多く利益が出せる可能性の高い買い
取り手が現れたことによって、SBGの孫会長の心が大きく動い
たものと思われます。
しかし、ARMのエヌビディアへの売却は実現しなかったので
す。本契約をめぐり、米連邦取引委員会(FTC)は2021年
12月に半導体市場の競争を阻害するとして、買収差し止めを求
めてエヌビディアを提訴したからです。英国やEU各国の政府な
ども反対姿勢を見せたといいます。
米連邦取引委員会は、SBGの孫会長を警戒しているのです。
孫会長は、独占禁止法によって、この買収を差し止めるのは無理
があるとして次のように批判しています。
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通常、同じ業界の2社が合併する場合は独占禁止法の問題で止
められるが、エヌビディアとARMは、エンジンとタイヤぐらい
違う物を作っている。そんな2社の合併を独占禁止法で阻止する
のは、同法が始まって以来初めてのケースである。なぜそれほど
までに止めなければならなかったのか。非常に驚いた。
IT企業や各国政府が、そこまで止めなければならないという
くらいに、ARMは欠かすことのできない最重要企業の一つであ
るということである。 ──SBG孫正義会長
https://bit.ly/3JIhZqA
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FTCや英国やEU各国の政府は、孫会長の本音を見抜いて、
売却を差し止めたのではないかと思われます。その本音とは「A
RMをエヌビディアに合併させ、そのうえで、エヌビディアの筆
頭株主になる」というものです。つまり、ARMのエヌビディア
の子会社化で、半導体業界最強の会社を作り、SBGがそこの筆
頭株主になるというものです。
それでは、孫会長はどうしようとしているのでしょうか。
それは「プランA」に戻ることです。プランAとは、ARMを
米NASDAQへ上場させることです。ARMの技術はこれまで
IоT機器やスマートフォンのSoCなど、省電力性が求められ
る機器に採用されてきていますが、処理能力の向上で、クラウド
サーバやEV、メタバースなど、さまざまな分野での活用が見込
めるようになっているからです。そういうわけで、孫会長は、半
導体業界史上最大の上場を目指すとしています。
この売却不成立によって、買収時にエヌビディアが先払いした
12・5億ドル(約1448億円)は、大型買収の手付金のよう
な性質があるため、エヌビディアに返却されず、SBGの利益に
なるといいます。SBGにとって大儲けのように思えますが、エ
ヌビディアは、ARMから20年間のライセンス利用権を取得し
ているので、損はしていないのです。エヌビディアほどの規模で
あれば、20年のライセンス料としての12・5億ドルは、「か
なり格安」といえるからです。
──[メタバースと日本経済/049]
≪画像および関連情報≫
●ARM再上場を準備するソフトバンクG、孫氏復活は
「もうしばらく時間を」--赤字は継続
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ソフトバンクグループは2月7日、2023年3月期第3
四半期決算を発表。売上高は前年同期比6・4%増の4兆8
758億円、税引前損益は2900億円、純損益は9125
億円と、今期も赤字決算となった。
中国アリババの株式を一部手放すなど、アリババ関連の取
引で3兆6996億円の利益を得た一方、AI関連を中心と
した投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」で
の投資損失が5兆68億円と大きく響いたことが赤字の主な
要因となっている。
その背景には世界情勢不安などによる株式市場の不安定さ
があり、同社もこの四半期、ソフトバンク・ビジョン・ファ
ンドで新たに投資した企業は2社のみとのこと。攻めから守
りへと戦略を大きく転換したことから、今回の決算からは代
表取締役会長兼社長執行役員の孫正義氏が登壇せず、代わり
に取締役・専務執行役員・CFO兼CISOの後藤芳光氏が
単独で説明する形が取られている。
その後藤氏も、株式市場の不安定な時期がまだまだ継続し
ており「とても楽観視できる状況にない」と話す。それに加
えて為替の大幅な変動や金利の上昇などもあって市場全体の
不安定要素が増していることから、後藤氏はソフトバンクグ
ループの財務健全性に重点を置いた説明を実施している。
https://bit.ly/42CSYFZ
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ARMをNVIDIAに売却へ


