2023年03月24日

●「ARM買収などをめぐる3つの謎」(第5932号)

 ARMに対して、ソフトバンクグループの孫会長の対応には、
3つの謎があります。
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   @ソフトバンクの孫会長はなぜARMを買収したのか
   AARMはなぜソフトバンクの買収を受け入れたのか
   BARMをなぜエヌビディアに売却しようとしたのか
─────────────────────────────
 まず、@について考察します。
 ソフトバンクグループ(SBG)がARMの買収を発表したの
は2016年9月のことです。そのとき、多くの人が考えたこと
は次の疑問です。
─────────────────────────────
 携帯通信事業のソフトバンクが、なぜ半導体の設計会社を買収
するのか。一体SBGは何を考えているのか。
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 しかも、買収金額が高額過ぎるのです。SBGのこれまでの買
収金額と比べても倍近いからです。
─────────────────────────────
  @ボーダフォン日本法人買収 ・・ 1兆7820億円
  A米スプリントの買収 ・・・・・ 1兆8000億円
  BARMの買収 ・・・・・・・・ 3兆3000億円
─────────────────────────────
 これについて、SBGの孫会長は、買収の目的を囲碁に例えて
次のように述べています。
─────────────────────────────
 囲碁は碁石のすぐ隣に打つのは素人のやり方。遠く離れたとこ
ろに打ち、それが50手目、100手目になると力を発揮する。
3年、5年、10年が経過すれば、ソフトバンクグループにAR
Mがいる意味が分かる。ソフトバンクグループの中核中の中核に
なる企業がARMである。      https://bit.ly/2lYeRje
─────────────────────────────
 考えられることがひとつあります。携帯通信事業には、いわゆ
る「土管化」のリスクがあります。携帯通信会社は、その事業に
専念すると、スマホにもアプリにも影響を与えることができず、
ただ通信データを流すだけの土管屋になってしまうリスクがある
ことです。何の付加価値も得られず、通話料や通信料の値下げで
しか、競争に勝つ手段がなく、利益率を押し下げてしまいます。
 孫会長が目をつけたのは、あそらくIоT市場であると思われ
ます。IоTは「モノインターネット」といわれますが、それら
のモノにARMの半導体が入り、インターネットに繋がります。
今後そのモノが激増することから、IоT市場は今後17%の高
い成長が見込まれています。
 もうひとつSBGがARMを買収する大きなメリットがありま
す。半導体の設計をする企業を買収すると、メーカーが今後どの
ようなテクノロジーを必要としているかについて、情報が得られ
ることです。そうすると、そこで得られた機密性の高い情報に基
づいて、SBGは先手を打った事業開発や投資を行うことができ
ることになります。つまり、ARMを買収することによって、携
帯通信のバリューチェーンにおいて川下にいたSBGは、川上に
立つことができるわけです。
 続いて、Aについて考えます。
 既に述べているように、ARMという企業は、資本効率が非常
に高い企業です。粗利益は約95%、営業利益は42%、きわめ
て高い指標を示しています。しかも、ARMの収入源は、ライセ
ンス料とロイアリティが中心です。しかも、このようにして得ら
れるIP(知的財産権)は25年以上有効というのですから、安
定そのものです。
 SBGがARMを買収する前年の2015年でいうと、ARM
が設計した集積回路は148億個、さらにARMチップを搭載し
たスマホが14億個も売れて売れています。モバイル端末での市
場シェアは実に82%、これによってARMには莫大なロイヤリ
ティが入ってきます。
 しかし、業績が好調であればあるほど、株主は「小さくしか儲
けていないんじゃないか」という批判が出てくるものです。それ
が内海弦社長がいう「ARMは2000億円企業です」によくあ
らわれています。
 しかし、ARMとしては、サーバー製品のようにインテルに独
占を許している分野がたくさんあり、その競合に勝利するには、
多くの資金が必要であることがよくわかっています。その点、S
BGの孫正義会長は、早くからARMを高く評価しており、英国
の首相や財務大臣にも会っており、英国政府からも信頼されてい
ます。ARMの経営陣としては、ARMの将来の発展を考えるの
であれば、ソフトバンクの買収に応ずるのは、マイナスではない
と考えても不思議はないとて、SBGの買収に応諾したのではな
いかと考えられます。
 この点について、現在、スペイン在住のITコンサルタント・
佐藤隆之氏は、次のように述べています。
─────────────────────────────
 このように競争が激化する半導体設計の中で、ARMの技術力
は突出しており、競合のインテルやAMDですらARMの力を借
りる、つまりライセンス契約を締結するほどです。ほとんどの半
導体市場で高いシェアを有するARMですが、唯一、サーバー製
品だけはインテルの独占を許しています。現在の株価に42・9
%のプレミアムの付いたソフトバンクによる買収により、ARM
は巨額の資金を調達できるので、強みを持つモバイルや組み込み
機器へはもちろん、サーバー製品への投資も拡大させると見られ
ています。  ──スペイン在住・コンサルタント/佐藤隆之氏
─────────────────────────────
 Bについては、来週のEJで述べることにします。
           ──[メタバースと日本経済/048]

≪画像および関連情報≫
 ●ソフトバンク孫社長はARM買収で「シンギュラリティ」
  を先取りしようとしている
  ───────────────────────────
   ソフトバンクグループによるARM買収という発表を受け
  た業界の反応は、総じてネガティブなものだった。「なぜソ
  フトバンクが半導体会社を買うのか」「既存の事業とのシナ
  ジーが期待できない」といったところだ。
   さらに世間を驚愕させたのが、約3兆3000億円という
  あまりにも巨額な買収金額である。過去に、ソフトバンクが
  行ってきたボーダフォン日本法人買収の1兆7820億円、
  米スプリント買収の約1兆8000億円と比べても2倍に近
  い金額なのだから、にわかには、理解できないのも無理はな
  い。実際、翌7月19日の株式市場はソフトバンク株が急落
  した。
   なぜ、孫正義社長は、このような大胆な買収に踏み切った
  のだろうか。もちろん単なる勢いでこんなことをやれるはず
  がない。すべての始まりは、いまから約40年前の孫社長が
  まだ19歳だったときのこと。カリフォルニア大学バークレ
  ー校の学生だった孫社長の目にとまったのは、読みかけのサ
  イエンス雑誌に掲載されていた1枚の摩訶不思議な写真。そ
  れがマイクロプロセッサーの拡大写真であることを、そのと
  き初めて知ったのである。「大きなコンピュータが、指先に
  乗っかるサイズになった。ついに人類は、自らの知性を超え
  るものを自らの手で作り出してしまったという思いに手足が
  ジーンとしびれ、涙が止まらなかった。そのときの感動と興
  奮を、これまでの40年間にわたって潜在意識に中にずっと
  封印していた」まさにその封印を解いたのが、ARMとの出
  会いだったわけだ。       https://bit.ly/3LAJt47
  ───────────────────────────
ARM買収について語る孫正義会長.jpg
ARM買収について語る孫正義会長
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | メタバースと日本経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
EJ第3701号 2013年12月26日●メディアが無視する不正選挙訴訟を久しぶりに PC-Win10で拝見し 最近の記事はと この記事から閲覧を開始しました。もっと多く最新記事を連続・視聴しようと、スマホ端末側で多聞きし始めたのですが、PCとは 読込エンジンの相違もあり、T2S:(Talk to Speakが改名し今は) Text to Voice/Read Aloud [Android]や、@Voice Aloud Reader for Android - Free! HyperCam の読込エンジンは PCの「棒読みちゃん」 との相違があり、EJ様の記事は、四百字詰 原稿用紙を基準形式Formとして創作され 文言の途中で改行があると、読込エンジン側での日本語変換ミスも多くなり 聞きにくい。T2SでEJ記事を聞くと、AD広告(例:金運***)から始まる。無料記事だから視聴は容認しかない。「田中宇の国際ニュース解説」(私は6か月3千円の有料会員は無い)が、最もT2Sなどスマホ端末での視聴と相性が良い。#1.日本語がずらずらと平文で記載されている。#2.AD広告が無い。3#.田中宇氏のWeb作成形式が優秀で、先頭の記事題目の文字から日本語に変換される設定(にご自分で調整されているよう)だ。#3.EJ様も、どうも 記事題名の次の2行目のAD広告から読み始める標準?設定のようだ。(T2Sでは単に,2行目から読む設定が(Blog管理者も容認する)基本設定のようで、アプリで多くのBlog記事を視聴するとこのパターンが多く感じる。田中宇氏の次に視聴が多い「高校生のブログ柏発信」は、オーナ田代氏が、多分それの機能が標準と知ったか否か不明だが、2行目にも、アプリが読み飛ばす、記事題目を、(二重に)追加され、視聴しやい。私もいずれは、自前のBlogSiteを立ち上げたいが、その場合は自分の経験の範囲で反映させたい。また、田中宇・田代氏も、Blog閲覧で収益を得ていないように感じる。EJ様には、これを真似してと言うのでは無く、収益化収入の課金システムも漏れで、EJ様のプラットホームに対し、T2Sや@Voiceアプリ経由でADを読者に広告しているので、その実績をEJ様にも還元を請求すべきと、お伝えします。T2Sも@Voiceもアプり側の独自広告の宣伝はアプリ課金を支払えと煩くも我慢しています。
プラットホームに対し、スマホ端末側で音読などアプリ経由でのEJ様の広告は協力で、画面閲覧とりも広告宣伝効果が高いので、この算定も可能なはずで、手抜きせずに、Blog主のEJ様にも還元給付と、請求すべきと提案します。ARM記事の助言を受け、MicroSoftの初代SurfaceのRT(ARM)とPro(Win8.1で更新終了)RTは、添付のOffice2013入力専用として、捨てずに活用すると決断でき、EJ様に感謝します。石川
Posted by MadMinimum at 2023年03月25日 12:48
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