2023年03月22日

●「ジョブズがアップルでやったこと」(第5930号)

 スティーブ・ジョブズ氏が、アップル社のCEOになったのは
2000年のことです。スティーブ・ジョブズ氏は、ヘッドハン
ティングし、自ら創業したアップル社のCEOに就任させたジョ
ン・スカリー氏らによって、アップル社を追い出されています。
まるでドラマそのものです。
 アップル社を去ったジョブズ氏は、新しいコンピュータ「NE
XT」とOSを開発し、1996年に業績不振に陥っていたアッ
プル社にNEXTを売却する形で、1997年にアップル社の暫
定CEOに就任します。
 そしてやったことは、不倶戴天のライバルといわれていたマイ
クロソフト社のビル・ゲイツCEOと提携し、同社からの支援を
得ることに成功するかたわら、アップル社の社内のリストラを進
めるなど、会社の業績を向上させたことです。
 そして、2000年、スティーブ・ジョブズ氏は正式にアップ
ル社の社長兼CEOに就任します。しかし、基本給与として1ド
ルしか受け取っていなかったことで、「世界で最も給与の安い最
高経営責任者」といわれます。なぜ、1ドルを受け取ったかとい
うと、居住地のカリフォルニア州法により、社会保障番号を受け
るための給与証明が必要だったからです。
 それからのスティープ・ジョブズCEOの活躍は誰でも知る通
りです。MacOSをNEXTの技術を基盤とするMacOSX
へと切り替えるという基本的なことをしたうえで、ARMと組ん
で、音楽再生機アイポッド、携帯電話アイフォーン、そしてアイ
パッドと、アップルの業務範囲を従来のPCから、デジタル家電
とメディア配信事業へと拡大させています。これには、スカリー
氏が手掛けて失敗に終わっているPDA「ニュートン」の技術も
生きていると思います。
 なかでもジョブズCEOの重要な決断は、それまでアップル社
が採用していたパワーPCのプロセッサをインテル社へと切り替
えたことです。2006年のことです。これは当時としては驚天
動地の決断といえます。パワーPCは、アップル社、IBM、モ
トローラ社の提携で構築されたRISCタイプのとても良いマイ
クロプロセッサだったからです。アップル社のマッキントッシュ
やIBMのRS/6000で採用されており、スーパーコンピュ
ータでも広く採用されています。
 それにしても、ジョブズCEOは、なぜ、インテルのプロセッ
サを採用したのでしょうか。
 マイクロプロセッサ(CPU)を変更することは、変更する側
のアップル社の負担が尋常ではありません。まして、RISCか
らCISCへの変更であり、それまでアップルの開発したソフト
ウェアを動かすには、多くの困難があるからです。
 それでも、ジョブスCEOが決断したのは、当時のインテル/
ウインドウズ陣営の勢いというか、繁栄ぶりであり、売れるPC
を作るには、マーケティング的には、インテルプロセッサの採用
しかなかったからと思われます。
 参考までに、実際にインテルのプロセッサが搭載されたアップ
ル商品を以下に掲載しておきます。
─────────────────────────────
           @iMac
           AMac mini
           BMacBook
           CMacBook Air
           DMacBook Pro
           EMac Pro
           FXserve
─────────────────────────────
 スティーブ・ジョブズ氏について、もうひとつ述べておきたい
ことがあります。ジョブズ氏は、2003年に膵臓がんと診断さ
れていることです。アップル社の社長兼CEOに就任して、3年
後のことです。膵臓がんと宣告されれば、手術できないケースが
多く、手術に成功したとしても、5年生存率は20〜40%とい
われています。
 ジョブズ氏は自らの死期を悟っていたものと思われます。そし
て、2011年10月5日、CEOに就任して11年後、がんと
診断されて7年後に、スティーブ・ジョブズ氏は亡くなっている
のです。おそらく自分がやらなければいけないことをすべてやっ
て、本当に世界を変えて、亡くなっています。現在のアイフォー
ンやアイパッドの普及を考えると、本当に惜しい人材を亡くした
ものです。
 なお、インテルMacの評価について、日経クロステック誌の
テクニカルライター出雲井亨氏は、次のように評価し、その変更
が正しかっと述べています。
─────────────────────────────
 大きな理由は、その性能だ。インテルマックが採用するインテ
ル・コア・デュオは、パワーPCよりも明確に速い。アップルは
数種類のベンチマークの結果として、インテルCPU搭載のiM
acが従来機種と比べて2〜3倍、ノート型のMacBookに
至っては4〜5倍速い、とアピールする。実際に試した結果は後
述するが、確かにインテルマックは従来機種と比べてはっきり体
感できるほどキビキビと動作する。
 パワーPCの性能向上が限界に達しつつあったことも移行の理
由といえる。2003年6月の開発者向け会議で、ジョブズ氏は
「1年以内に3GHzのモデルが登場する」と約束したが、2年
たっても実現しなかった。また最新CPUのパワーPC・G5は
発熱の問題でノートに搭載できず、マックのノートはハイエンド
モデルでも一世代前のパワーPC・G4を搭載していた。このよ
うな状況の中で、アップルがインテルCPUへの移行を選択した
のは自然なこととも思える。     https://bit.ly/3n7u7cX
─────────────────────────────
           ──[メタバースと日本経済/046]

≪画像および関連情報≫
 ●スティーブ・ジョブズとは何者だったのだろうか?
  ───────────────────────────
   後年のスティーブ・ジョブズは病気を別にすれば幸運にも
  恵まれ、かつ市場やメディアに対する対応の仕方を学習した
  からだろう・・・少なくとも対外的には大人の対応が目立つ
  人物になった。しかしスティーブ・ジョブズはスティーブ・
  ジョブズであり、ことアップルに関して自分のビジョンに反
  する意見や相手には相変わらず辛辣で容赦がなかった。果た
  して、スティーブ・ジョブズとは何者だったのだろうか?
   スティーブ・ジョブズはなぜシリコン・バレーに乱立した
  幾多のベンチャー企業の創業者たちと比較してもこれほどま
  でにカリスマ性を失わずにいられたのだろうか?以下は、そ
  んな私自身が常々疑問に思ってきたことに対するひとつの回
  答でもあり、いたづらに神とか天才といった言葉で祭り上げ
  るのではなく、スティーブ・ジョブズという男の本当の凄さ
  をあらためて認識したいとする試みのひとつだ。
   ところで「トラブルメーカー」・・・。この言葉ほど、ス
  ティーブ・ジョブズという人物を一言で表すのにふさわしい
  言葉はないかも知れない。ともかく他人の意見には耳をかさ
  ない・・・という以前に自分の言動に対して他人からどう思
  われるかなどまったく気にしない人物だった。交渉に出向い
  た会社で会議冒頭に「もっとマシな話はないのか」とテーブ
  ルをひっくり返さんばかりの癇癪を起こしたりもした。
                  https://bit.ly/3JPrXrn
  ───────────────────────────
スティーブ・ジョブズ元アップル社長兼CEO.jpg
スティーブ・ジョブズ元アップル社長兼CEO
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | メタバースと日本経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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