1993年3月のことです。携帯電話といっても、「携帯・自動
車電話」の時代ですが、NTTドコモが、PDCデジタル方式の
携帯・自動車電話サービスを開始し、世界初のデジタル携帯電話
を利用したデータ通信サービスを開始しています。そのときの通
信速度は次の通りです。「bps」 というのは、ビット・パー・セ
コンドのことで「1秒間に2400ビットの情報を送れる速度」
という意味です。
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通信速度=2400 bps
bps=bit per second
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今になって考えると、その頃の日本は、携帯電話の世界におい
て、世界を一歩リードしており、ノートPCにおいても、198
9年に東芝が、「ダイナブック/J-3100SS」を開発し、世界の先
陣を切っています。1990年代になると、IBMとアップルが
ノートPCに参入、東芝、アップル、IBMが次々に新機能を加
え、1995年頃には、現在のノートパソコンの標準的な機能の
原型が完成しているのです。
1993年以後、世の中は、携帯電話の時代に入っていくわけ
ですが、ARMはその3年前の1990年に創業しています。そ
の本格的な携帯電話時代が到来する前の1993年にアップルは
手の平にのるPDAの「ニュートン」を開発しており、既にそこ
にはARMのプロセッサが搭載されていたのです。
ここでARMの設立のいきさつについて、少し詳しく知る必要
があります。そもそも小型デバイス向けのプロセッサの設計は、
1983年に、英国のエイコーン・コンピュータが開始したもの
です。当時エイコーン社は、「MOS6502」を搭載したコン
ピュータを製造・販売していました。MOS6502とは、米国
のモステクノロジーが、1975年に開発した8ビットCPUの
ことです。小さなハードウェア規模で、シンプルな命令セットを
持つより高速なプロセッサを開発することによって、6502を
置き換えることが目的であったといえます。
エイコーン社は、「ARM2」「ARM3」とCPUを強化し
ていきますが、ARMアーキテクチャのCPUが人気が出てきた
ので、エイコーン社からCPUコアの設計技術者12人がスピン
アウトするかたちで、1990年にできたのがARM社です。
はじめのうちは、エイコーン社と、当時の主要な製造事業者の
ひとつであったVSLIテクノロジー社、アップルコンピュータ
のジョイントベンチャーの形をとっていたのです。つまり、アッ
プルは、「ニュートン」のこともあって、最初からARMと近い
関係にあったのです。
もう一つ知っていただきたいことがあります。CPUには「C
ISC」と「RISC」の2つがあります。
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@CISC/複雑命令セットコンピュータ
Complex Instruction Set Computer
ARISC/縮小命令セットコンピュータ
Reduce Instruction Set Computer
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@の「CISC/複雑命令セットコンピュータ」とは、どのよ
うなCPUでしょうか。
特徴としては、CPUに高機能な命令を持たせることによって
1つの命令で複雑な処理を実現できるプロセッサです。マイクロ
プログラムを内部に記憶させることで、高機能な命令が実現でき
ますが、その代わり、命令の実行速度は遅くなります。
インテルのCPUは「CISC」です。大雑把な分類ですが、
PCであるとかサーバーは、CISCと考えてよいと思います。
Aの「RISC/縮小命令セットコンピュータ」とは、どのよ
うなCPUでしょうか。
特徴としてはCPU内部に単純な命令しか持たないかわりに、
それらをハードウェアのみで実装して、一つ一つの命令を高速に
処理できます。ワイヤードロジック(物理的に結線された論理回
路)によって全ての命令をハードウェア的に実装してます。した
がって、CISCに比べて命令の実行速度は早くなります。、
RISCは、スマホや家電製品や機器など、組み込み系といっ
て「独立した機械の中に組み込まれたコンピュータを制御するた
めのシステム」には、RISCが使われます。
ここまで説明すると、わかると思いますが、ARMという名称
は、次の意味を持っているのです。
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ARM/Advanced RISC Machines Limited
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ARMの創業後しばらくの間は、PCやサーバーはCISCプ
ロセッサ、スマホや家電製品などの組み込みシステムは、RIS
Cプロセッサというように、住み分けができていたのですが、最
近ではPCやサーバーにもARMのプロセッサが使われるように
なっています。これについて、アーム株式会社の内海社長は次の
ように述べています。
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EVのバッテリーマネジメントをするマイコンがほとんどAR
Mなんですが、電力を食ってしまうと意味がないわけですね。そ
ういったところにARMは引き続きより多く使われるようになっ
てきて、今や、バッテリーのセルごとに使われるようになってい
る。あと、カメラの一番大事なところのイメージセンサーの部分
にもARMが入る。デジカメもスマホもそうです。これも電力効
率がいいからその処理の電力効率をよくできる、というところで
メリットがあります。 https://bit.ly/3mQ5BwM
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──[メタバースと日本経済/042]
≪画像および関連情報≫
●現在の視点から見るRISC対CISC論争・再び
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今回なぜRISCとCISCの話をするのか、その理由を
お話しましょう。
1980年〜1990年代のRISC対CISC論争を覚
えている人はもう結構な年齢になっていると思います。現在
ではRISCかCISCかという区別をする人はあまりいま
せん。RISCもCISCもCPUを実装する方針の一つだ
というのが、大方の認識になっているからです。かつて、R
ISCは高性能CPUのための技術として登場しました。し
かし、その対決の対象であるCISCも、RISCとの高速
化技術やコンパイラ技術の切磋琢磨を経て、それなりの性能
を出すことが できるようになっています。
果たして,現在のCPUは、RISCとCISCの研究で
培われた技術に基づいたいいとこどりの産物なのです。今ご
ろ、RISCとかCISCとかいっていると時代遅れといわ
れるかもしれません.その上,CISCと聞くと古臭い感じ
がするかもしれません。しかし、世の中で最も普及している
X86はCISCという分類に属します。
ところが,昨今あえてCISCのよさを強調するCPUが
登場しました。そうです、ルネサスエレクトロニクスのRX
マイコンです。RXマイコンは、CISC、ということを強
調して、命令コード効率の良さをアピールしているのでしょ
う。さらに,大学の研究室で生まれたRISCという理論の
理屈臭さを感じさせず、むしろ、親密度を増加させるための
マーケティングなのかもしれません。
https://bit.ly/3JA6hQa
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RISC−V


