2023年03月13日

●「スマホのCPUはどうなっているか」(第5924号)

 ARMの話の続きです。半導体の話なので、少し技術的な話に
なりますが、やさしく説明します。
 「あなたの使っているPCのCPUは何ですか」と普通の人に
聞くと、少し以前では、ほとんどの人が「インテル」と答えたも
のです。「インテル・イン・サイド/インテル入ってる」という
CMが大流行していたこともあり、インテルという企業名を知っ
ている人が多かったからです。
 ところが最近同じ質問をすると、「ライゼン」と答える人が増
えてきています。「ライゼン」は、AMD(アドバンスド・マイ
クロ・デバイセズ)製のCPUです。AMDは、かつてはウイン
ドウズ対応のCPUでは、インテルに次ぐ万年2位を占めている
企業のイメージがあります。「ライゼン」は、将棋の藤井翔太五
冠が購入したというニュースが流れ、一挙にその知名度が高まっ
たといわれます。
 それでは、「スマホのCPUは?」と聞くと、ほとんどの人が
答えられないと思います。スマホもコンピュータですから、CP
Uが入っています。アンドロイドのCPUは次のりです。
─────────────────────────────
        @「コーテックス/Cotex- A7」
        A「コーテックス/Cotex-A35」
        B「コーテックス/Cotex-A72」
─────────────────────────────
 「コーテックス」──聞き慣れない名前だと思いますが、これ
らは、すべてARM系のCPUです。しかし、アイフォーンにつ
いては、アップル社のCPUが搭載されています。アイフォーン
のCPUは世代によって次のようになっています。
─────────────────────────────
       A4/iPad/iPhone 4
       A5/iPhone 4S
       A6/iPhone 5/iPhone 5c
       A8/iPhone 6/iPhone Plus
       A9/iPhone 6S、iPhone 6S Plus
─────────────────────────────
 実は、アイフォーンのCPUも設計はARMなのです。アップ
ル社がARMに設計を委託し、その設計にアップル社が独自の機
能を追加したものです。ARMは設計しかやらない半導体の設計
専門の企業です。こういう設計専門の半導体製造企業を「ファブ
レス」といい、半導体の設計から製造まで手掛けるインテルのよ
うな企業を「ファウンドリ」といいます。台湾のTSMCは製造
に特化した世界最大のシェアを持つファウンドリです。
 スマホのCPUはスペースが小さいので、CPUは、PCとは
異なる設計になっています。クアルコムという米国の携帯電話を
はじめとする移動体通信の通信技術および半導体の設計開発を行
う企業があります。この企業も工場を持たないファブレスですが
世界で最も売上高が高いトップ企業です。
 この米クアルコムが製造する「スナップドラゴン」と呼ばれる
CPUがあります。このCPUには、いくつかのコーテックスと
メモリ、GPUなどが組み合わせられており、さまざまなメーカ
ーのスマホで使われています。このように、システムの動作に必
要なものすべてを一つの半導体に組み合わせたものを「SoC」
(ソック)といいます。ARMは、このSoCの設計に関しても
優れた技術を有しています。
 工場を持たない設計専門のファブレス企業でも、その多くが、
ARMに基本設計を委託しています。この場合、仮にアップルが
ARMに半導体の基本設計を委託し、それに自社独自の仕様の設
計を加えたチップに関しては「アップルのプロセッサ」と呼んで
かまわないそうです。
 それなら、なぜ、ファブレス各社は、ARMに設計を委託する
のでしょうか。それは、ARMが他社にはない優れた技術のノウ
ハウを有しているからです。そのARMの有しているアーキテク
チャとは次の3つです。
─────────────────────────────
     ◎ARMアーキテクチャの特徴
      @低消費電力を目標に設計されている
      ARISCなのにCISC寄りの設計
      B手作業により最適化が可能なCPU
─────────────────────────────
 つまり、ARMの最大の売りは@の「低消費電力の設計」なの
です。現在、ARMの低電力設計は、PCの世界にも広がってき
ています。これについてアーム株式会社の内海弦社長は、講演で
次のように語っています。
─────────────────────────────
 今後どうなるかをもう少しお話していきたいと思います。最近
のニュースでちょっと目立ったもの・・・実はパソコンも、(ス
ライドを指して)これはレノボさんとかが出してきたもので、ウ
インドウズがARMに載りました。
 当然パソコンの中でも電量消費が一番問題で、パソコンで使わ
れて一番嫌だなと思うのはAC−DCのケーブル、結構大きいア
ダプターを持ち歩かざるを得ないんですね。それはなぜかと言う
と、パソコン自体に電気を食うプロセッサが多かったんです。
 じゃあARMを使ったらどうかなということで、メジャーなパ
ソコンメーカーさんがARMプロセッサを徐々に採用するように
なってきました。近々ですと「サーフェス・プロX」というマイ
クロソフトのPCにもARMが使われています。試しに使ってい
ただくと、電池の保ちが明らかに違う。例えば普通のPCは1日
で充電切れになりますけれども、ARMが使われているPCは、
実働数日くらいはそのまま使えるようになります。
                  https://bit.ly/3J8W23C
─────────────────────────────
           ──[メタバースと日本経済/040]

≪画像および関連情報≫
 ●デジタル世界で最も成功を収めているアーキテクチャ
  ───────────────────────────
   ARMアーキテクチャは世界最大規模のコンピューティン
  グ・エコシステムで、極めて重要な役割を果たしています。
  ARMのパートナーは、このアーキテクチャによって、コス
  トを抑えながら、効率のよいセキュアな方法で製品を製作で
  きています。このように、絶えず進歩する多様なエコシステ
  ムの成功に、世界水準のアーキテクチャ設計を提供してきた
  ARMの実績が表れています。
   パートナーはARMのアーキテクチャの仕様のライセンス
  を受け、その仕様に基づいたシリコンチップを製造します。
  ARMベースのチップを搭載した2500億のデバイスを通
  じて、ARMのアーキテクチャは、さまざまな市場とパート
  ナーのイノベーションを推進しています。
   大部分のスマートフォンで採用され、モバイル市場で主流
  となっているARMのアーキテクチャは、その他の多くの分
  野でも活用されています。何百万もの非常にシンプルなIо
  Tデバイスから、高度な機械学習のアプリケーションまで、
  その用途は多岐にわたります。ARMアーキテクチャにより
  さまざまさらに、完全なツールスイートと、世界規模の確か
  なエコシステムのサポートを利用可能です。なレベルでデバ
  イスを開発できます。ARMアーキテクチャは、特定の命令
  が実行された際のハードウェアの動作を指示する一連の規則
  を規定します。つまり、ハードウェアとソフトウェアのやり
  取りを定義する契約書のような役割を果たし
                  https://bit.ly/3mCQS8y
  ───────────────────────────
CPUとSoC.jpg
CPUとSoC
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | メタバースと日本経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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