2023年02月08日

●「失われた30年/自公政権に責任あり」(第5902号)

 今年に入ってからのEJは、日本においてプラスの面を探して
取り上げています。なぜかというと、元旦夜の「朝生」で、今年
の日本が良くなると答えた人が14%で、悪くなると答えた人が
85%もいたからです。きわめて悲観的な意見です。
 そのため、日本にも世界トップのものがあるとして、対外純資
産31年連続の世界第一位をご紹介したのです。2021年度の
日本の対外純資産は411兆1841億円であり、2位のドイツ
に約100兆円の差をつけています。しかし、この事実を知って
いる日本人は非常に少ないと思います。なぜなら、国もメディア
もこのことを積極的にPRしないからです。
 それから日本人なら子供まで知っている「借金大国日本」の本
当の実態の分析です。日本の国債残高は、2022年度末には約
1029兆円。これは財政を生み出す元となる国の財政規模(G
DP)の2倍を超えています。これがきわめて深刻な事態である
ことは確かです。
 しかし、これにも対外純資産世界一に加えて、国の保有する金
融資産などを考慮する純債務で見たり、日銀がその約半分の国債
を保有している現状についても検討すると、必ずしも危機とはい
えないのです。むしろ問題なのは、失われた30年といわれる経
済の低成長による労働賃金が伸びていないことの方が問題です。
その30年のほとんどの期間において政権を担ってきた自公政権
の経済政策の失敗こそ責任が問われるべきです。
 「防衛増税」に対する国民の怒りがくすぶっています。国民の
多くは、防衛費増額には賛成であるものの、増税はないだろうと
思っています。消費税の税率を5%から10%に倍増させたばか
りであり、現在起きているインフレによる諸物価高騰に政府とし
て何の対策も講じていない岸田政権に対する怒りからでしょう。
 しかし、防衛増税は既に決まっています。決まっていないのは
実施時期だけです。野党は、通常国会で追及するといっています
が、どのように追及しても、政府は絶対に防衛増税を変更しない
でしょう。岸田政権はこの問題に関しては、「聞く耳をもたない
政権」であるからです。
 野党は「増税するなら解散して信を問え!」といっていますが
岸田政権は広島サミット後を解散の時期を慎重に探っているもの
と思われます。仮に選挙をしても、自民党が勝利すると思ってい
るからです。
 しかし、岸田政権について、自民党元事務局長の久米晃氏は、
雑誌『選択』の取材に次のように答えています。自民党は決して
安泰ではないということです。
─────────────────────────────
──自民党はこの10年間、国政選挙で勝ち続けています。
久米:勝ったように見えているだけだ。第2次安倍晋三政権が誕
 生した2012年の総選挙以降、自民党が「国政選挙8連勝」
 などといっているが、間違っている。投票率はずっと下がり続
 けて、有権者の半分程度しか選挙に参加しない。前回の参議院
 議員選挙で自民党の比例票は1800万程度しかとれておらず
 野党を合わせた数字より低いのが実情。それでも野党側に勢い
 がないから、勝っているように見えるだけだ。投票というのは
 有権者による未来への先行投資。選挙に行かないのは、政治に
 対する期待感がないからだ。自民党は決して安泰ではない。
  ──『選択』/2023年2月号「巻頭インタビュー」より
─────────────────────────────
 問題なのは、防衛増税に反対しているのは野党だけではなく、
自民党内部の旧安倍派を中心とする勢力であることです。「国債
60年償還ルール」の変更を主張しているのもこの勢力です。
 この「国債60年償還ルール」の変更ないし、廃止に関して、
ネットではさまざまな批判が出ています。それはこのルールを変
更したり、廃止すると、日本国債の信認が下がるというレポート
です。私は、これらのレポートのほとんどを読みましたが、レポ
ートの著者を調べると、そのほとんどが財務省出身の学者です。
増税の時期になると、いつもこれらの財務省の御用学者たちが蠢
動を始めるのです。
 岸田政権が2023年と2024年にかけて計画している増税
スケジュールは次の通りです。
─────────────────────────────
◎2023年
    4月:国民健康保険料の上限を2万円引き上げ
      :自賠責保険料の引き上げ
   10月:インボイス制度導入(消費税引き上げ議論開始)
◎2024年
    4月:たばこ税増税
      :法人税増税
      :所得税増税
      :復興特別所得税の期間延長
    年内:後期高齢者医療保険の保険料上限を年73万円に
       引き上げ
      :高齢者の介護保険の自己負担を1割から2割へ
      :国民年金加入年齢を60歳から65歳に引き上げ
       決定
                  https://bit.ly/3HVQf28
─────────────────────────────
 もの凄い増税ラッシュです。上記以外に、「異次元の少子化対
策」の財源として、消費税税率13%も、きっと行われるとみて
います。これでは、日本経済はさらに失速し、失われた40年、
50年になってしまいます。
 岸田首相は政権奪取の記者会見で、ある記者から、「財務省の
ポチといわれていますが」といわれ、苦笑いをしていましたが、
首相周辺のスタッフのほとんどが、財務省の出身者で固められて
おり、首相のその提案の上に身を委ねているからです。
           ──[メタバースと日本経済/018]

≪画像および関連情報≫
 ●「失われた30年」でなく「失った30年」、デジタル革命
  を逸した日本の危機
  ───────────────────────────
   「失った30年」。経済同友会が2022年10月11日
  に発表した提言に次のような一節がある。「バブル崩壊後の
  『失われた30年』は、自責の念を込めて、敢えて『失った
  30年』と表現したい。特に、イノベーションによる社会変
  革は民間が主導すべきであり、企業経営者には日本再興を本
  気で成し遂げる気概に欠けていた」。
   その反省はよしとしよう。ただ、責任は経営者だけにある
  のではない。同友会の提言でも「失った30年は政治・行政
  ・企業による不作為」と記している。そして何よりも問題な
  のは、直近の10年間の不作為だ。少し前までよく使われた
  フレーズは「失われた20年」であった。本来ならこの10
  年は失われた20年を取り戻すべく、DX(デジタル変革)
  などの改革に全力で取り組まなければいけなかった。
   10年前から今日に至るまで、この問題意識は広く共有さ
  れていたはずだ。2012年12月に成立した第2次安倍晋
  三政権の経済政策、いわゆるアベノミクスでは、金融緩和や
  財政出動と共に成長戦略が「3本の矢」とされた。中でも重
  要なのが成長戦略で、規制緩和などにより民間の投資を引き
  出し、イノベーションによる社会変革や経済の持続的成長を
  促そうというものだった。    https://bit.ly/3XkEJC1
  ───────────────────────────
防衛費増額/増税の記者会見.jpg
防衛費増額/増税の記者会見
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | メタバースと日本経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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