ビ」での森永卓郎氏の発言をご紹介しています。この発言をもう
一度再現します。
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2020年度でいうと、政府が1600兆円の負債をかかえて
います。その一方で、1100兆円の資産を持っており、その7
割は金融資産なんです。つまり、日本の純債務は500兆円しか
ない。GDPとほぼ同額の債務であるなら、先進国ではほぼ並み
の水準です。しかも、日本の場合、日銀が大量に国債を持ってい
て、それが500兆円ぐらいになる。日銀が国債を保有した瞬間
に借金は消えるんです。ということは、日本は、完全に無借金に
なっているのです。にもかかわらず、財務省は増税を続けようと
している。 ──森永卓郎氏の朝生の発言より
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会計学では、負債の総額を「グロス」、負債から資産を引いた
額を「ネット」といいます。森永卓郎氏によると、日本のネット
債務(純債務)は約500兆円であり、GDPとほぼ同額の債務
なので並みの水準であり、財政破綻の心配などないといっていま
す。これに対して、財務省系の人々は、資産を一切無視して、借
金の大きさだけを問題視しています。
この森永氏の主張に対して、高橋洋一氏は、自著で次のように
述べています。
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伝統的な財政の考え方では、政府のグロス債務、または債務残
高の対GDP比に着目する。バランスシートの右側だけを見て、
借金がどれだけあるか、その借金がGDPに占める割合はどれぐ
らいか、ということだ。
しかし、借金だけ見るのは一面的すぎて、本当の財政状況はつ
かめない。それを、まずバランスシートの右側と左側の両方を見
よう。しかも日銀のバランスシートも合体させてみよう、という
のが、「統合政府バランスシート」だ。これは私が勝手にいって
いることではない。 ──高橋洋一著/あさ出版
『新・国債の真実/99%の日本人がわかっていない』
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その「統合政府バランスシート」として、高橋洋一氏は、次の
図を掲げています。
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◎資 産 ◎負債
資 産 1000 国 債 1500
国 債 500
徴税権 400 銀行券など 500
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高橋洋一氏は、負債の「銀行券など」について、「利子負担な
し、償還(返済)負担なしだから、実質的に債務とはいえない。
したがって税収を除いても『統合政府バランスシート』の資産と
負債は、ほぼイーブンになる」といっています。
これに対して、言論プラットフォーム「アゴラ」の代表である
池田信夫氏は、次のように述べて、政府と日銀の本物の連結財務
諸表を示しています。これについては、添付ファイルをご覧くだ
さい。
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本物の財務省の連結財務諸表では、資産が1121兆円なのに
対して、負債は1661兆円。政府(一般会計+特別会計)は、
540兆円の債務超過なのだ。
高橋氏のバランスシートがバランスしていないのは、統合政府
の負債に日銀当座預金を入れていないからだ。540兆円の国債
は日銀当座預金でファイナンスされているので、統合政府では負
債側にも同額が計上される。国債をすべて日銀が買い取ったとし
ても、図のように統合政府の負債は消えない。日銀の市中銀行に
対する負債に置き換わっただけだ。
政府が債務超過になるのは大した問題ではない。ほとんどの国
の財政は赤字だが、資金繰りには困らない。国債が消化できなく
なくなったら増税すればいい。それが高橋氏の図に描かれている
「徴税権」である。つまり、将来の税収が借金の担保になってい
るのだ。
徴税権は簿外資産で、正確にいうとプライマリーバランスの累
積黒字である。現実には将来、540兆円も黒字が出ることは考
えられないが、国債を全額償還する必要はない。消費税をヨーロ
ッパ並みに上げるだけで、毎年20兆円以上、黒字が増えること
が、財源の担保になっている。 https://bit.ly/3RC6CnF
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日銀当座預金とは何でしょうか。
日銀当座預金とは、金融機関が日本銀行に開設している原則と
して無利息の当座預金のことです。主として、金融機関同士や、
日銀、国との決済手段のほか、金融機関が企業や個人に支払う現
金通貨の支払い準備、準備預金制度の対象となっている金融機関
の準備預金のために利用されます。
添付ファイルの「統合政府バランスシート」では、540兆円
の国債は、日銀当座預金でファイナンスされているので、統合政
府バランスシートでは、負債側に同額が計上されています。国債
を日銀が購入したからといって、政府債務がその分なくなること
はないというのです。
これについては、高橋洋一氏と明治大学教授の田中秀明氏が、
日本の政府債務問題について同様の論争を繰り広げています。し
かし、当初は巨額の政府債務をめぐる是非の話だったものの、日
銀の当座預金に債務性はあるのかという、かなりテクニカルな問
題に入り込んでしまっています。
果たしてどちらが正しいのでしょうか。明日のEJでもこの問
題について考えることにします。
──[メタバースと日本経済/016]
≪画像および関連情報≫
●日銀の債務超過懸念の真相、世界の有識者は「心配無用」
高橋洋一氏
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日銀が金融引き締めに転じた際、赤字や債務超過が懸念さ
れるという説が話題になっているが、その是非はどうか。
景気が良くなれば国債金利が上がる(国債価格は下落。割
引債なら、金利1%なら価格99円だが、金利2%なら98
円)ので、国債を保有していた日銀は損失になるという論説
だ。実はこの種の議論は、20年以上前から行われている。
かつてローレンス・サマーズ元米財務長官が来日したとき
日銀関係者から同様の質問が出たことがあるが、サマーズ氏
は一言、「So what?(それがどうした)」 とあきれて返答
したのだ。
説明は二通りある。一つは中央銀行だけでみる。中央銀行
の負債は、ほぼ銀行券と当座預金で、銀行券はもちろん無利
息・無償還だ。形式的に負債であるが、負担がないのだから
経済的な意味で負債性はない。
当座預金は銀行券と完全に代替する。このため、これも本
来は無利息・無償還だ。民間企業が民間金融機関に預ける当
座預金をみればわかる。しかし、日銀の場合、民間金融機関
への「お小遣い」として、200兆円までは0・1%の利息
をつけている。この付利は白川方明(まさあき)総裁時代に
設けられたものであって、それ以前はなかった。本来の無利
息であれば、債務超過という概念に意味はないが、仮に一定
の債務超過になっても大したことはない。むしろ当座預金へ
の付利を止めるべきだ。 https://bit.ly/3HUKpOs
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統合政府/連結貸借対照表