2022年12月23日

●「ZOOMで伝わらない右脳的な情報」(第5881号)

 2022年は今日を含めてあと9日間です。EJの配信は28
日まで行い、新年は1月4日から配信します。年内はあと3回の
配信になりますが、今回のテーマはまだ完結していません。そこ
で、テーマは変更しますが、新しいタイトルでメタバース関連の
話を続けることにします。
 ZOOMなどによるオンライン会議や研修が普及拡大していま
す。期せずしてコロナ禍がもたらしたIT通信技術の成果の享受
といえます。コロナ禍によって、厳しい外出制限がかかり、出社
や外出が難しくなった結果、ZOOMなどによるオンライン会議
をやらざるを得なくなったのです。
 ところが、ZOOM会議をやってみると、オンライン会議でよ
いものと、やっぱり、リアルでないと問題があるものとがはっき
りしてきたといえます。これについて、11月29日のEJでご
紹介したスターアップ企業サードバースの代表者である国光宏尚
氏は、次のように述べています。
─────────────────────────────
 メタバースで決定的に重要なのが、「センス・オブ・プレゼン
ス」=実在感。いま、そこに「いる」感じです。
 センス・オブ・プレゼンスがメタバースになぜ重要かをZOO
Mを例に説明します。オンライン会議を通じて私たちが気がつい
たのは、何がZOOMで十分で、何がリアルのほうがいいかとい
うことだと思います。ちょっとした打ち合わせだとZOOMなど
オンラインでいい。
 でも、少し前に流行った「ZOOM飲み」をいまやっている人
はほとんどいませんよね?
 やはり食事をしたりお酒を飲んだりするのにZOOM越しって
楽しくないよね、と気がついたからです。ここを解決することが
バーチャルファーストでは重要になってきます。ZOOMだと、
「そこにいる感じがしない」。この実在感を作るために重要なこ
とは次の2つです。
 @レゾリューション(解像度)
 Aレスポンス
      ──国光宏尚著『メタバースとWeb3』/MDN
─────────────────────────────
 国光宏尚氏が指摘した2つのポイントにうち、レゾリューショ
ン(解像度)については、現在、どんどん技術が向上しており、
向上すればするほどそこにいるリアル感が出てきます。しかし、
実際に会うのとは大きな差があります。さらに問題なのは「レス
ポンス」の方です。
 お互いに気の合う仲間同士が何人か集まって、話し合いながら
一杯やる──これがコロナ禍でできなくなったので、例えば、Z
OOMを通して何人かがそれぞれ酒や肴は自分で用意して、オン
ライン飲み会をやってみたところ、あんまり面白くないし、盛り
上がらない。その原因は会話のレスポンスにあるのです。
 国光氏によると、現在のインターネットではレスポンスはまだ
遅く、ノンバーバルな(言語を使わない)仕草やうなづきが、リ
アルタイムで伝わってこないし、そのため、話がかぶるし、表情
が読み取れないと指摘しています。
 人と人のコミュニケーションというのは、面と面を突き合わせ
て行う対話の場合、お互いの仕草、目の表情、顔の表情、何気な
い体の動きといったノンバーバルなやり取りがあり、それに言葉
が加えられて、コミュニケーションが成り立っています。それ全
部を含めて、人と人の対話なのです。飲み会であっても、そうい
うものが、全て得られるからこそ、楽しいし、盛り上がるのだと
思います。言葉だけがコミュニケーションではないのです。
 ところが、オンラインの場合、バストショットであることと、
解像度がよくないので、顔の表情が読み取れず、それにレスポン
スの遅さが加わって、実際に会う場合に比べて、はるかに少ない
情報しか伝わってこないので、ノンバーバルコミュニケーション
は、不満足なのです。
 私もコロナ禍で、ここ2年ほど、ZOOMによるオンラインで
毎回かなり長時間、講義を行ってきていますが、そのつど確かに
受講者の情報の少なさは感じています。そのためZOOMを通し
て接している人の印象は低く、おそらく実際に会っても誰だかわ
からないと思います。しかし、こちらが伝えたいことは、感想文
を見る限り、しっかりと伝わっています。
 これについて、国光宏尚氏は、現在のオンライン会議では「左
脳的コミュニケーションは伝わるが、右脳的コミュニケーション
は伝わりにくい」というきわめて独特な表現で、このことについ
て、次のように述べています。国光宏尚氏の著書から、その部分
を引用します。
─────────────────────────────
 ZOOMだと、それがリアルタイムで伝わらない。つまり、左
脳的な言葉でのコミュニケーションはできても、右脳的な感覚的
なコミュニケーションは、ZOOMではムリなのです。
 これはすごく重要な点で、たとえば、人が誰かを好きになると
きは、おそらくノンバーバルな部分で、「この人とは気が合う」
などを判断しています。バーチャル空間で人と出会い、友達や恋
人になるという人間関係を作ろうとすると、ZOOMだけでは厳
しい。だからVR、ARが、ここの部分を完全に解決していく。
これが実在感です。
 バーチャルでも「人間関係を築ける」=ノンバーバルなコミュ
ニケーションを可能にすることが、一つの大きなゴールです。そ
こにNFTなどがくっついてきて、バーチャル空間上に新しい経
済圏を作っていく。
 ここが交わってきたところで、初めてバーチャルでもリアルと
変わらない人間関係、生活が完成していくのです。
            ──国光宏尚著/MDNの前掲書より
─────────────────────────────
           ──[ウェブ3/メタバース/057]

≪画像および関連情報≫
 ●「オンラインだと上手く発言できない」テレワークやWEB
  会議での困りごとの解決策は「アレ」がポイントだった
  ───────────────────────────
   組織改革支援を行う企業「スコラ・コンサルト」が提案す
  る、「WEB会議での困りごと」を解決するためのコツをご
  紹介します。テレワークの導入や働き方改革でどんどん取り
  入れられている「WEB会議」。しかしコミュニケーション
  にはまだまだ課題感が残るそう。まずは「WEB会議での困
  りごとチェックリスト」を冒頭でご紹介します。それを踏ま
  え、困りごとが起こる原因や、WEB会議特有の性質などを
  理解していきましょう。また「会話の質」を高めるためのい
  くつかのポイントを抑えることで、より円滑なコミュニケー
  ションが実現し、仕事の生産性も高まるそうです。
   昨今の新型コロナウイルス感染症の影響や、近年のテレワ
  ーク推進や働き方改革の動きに伴い、「WEB会議」を導入
  している企業が増えています。しかし、組織改革支援を行う
  企業「スコラ・コンサルト」の調べによれば「WEB会議」
  においては、「相手の真意が読み取りづらい」「仕事の依頼
  が正しく伝わらず、手戻りが多くなった」「ちょっとした意
  思疎通に時間がかかる」などの課題が挙げられています。仕
  事の生産性を高めるために、円滑なコミュニケーションは不
  可欠ですよね。しかしオンラインのやりとりでは、対面で一
  緒に仕事をするのに比べて、まだまだ100%円滑にコミュ
  ニケーションが取れる、とは言えない現状です。
                  https://bit.ly/3VcyQp9
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株式会社サードバース代表/国光宏尚氏.jpg
株式会社サードバース代表/国光宏尚氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ウェブ/メタバース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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