2022年12月22日

●「メタバースとNFTチケットの関係」(第5880号)

 「SXSWインタラクティブ」における、メタのマーク・ザッ
カーバークCEOのコメントの続きです。
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司会者:メタバースはフェイスブックやインスタグラムのように
    毎日使いたいと思うサービスになっていきますか。
ザッカーバーク:「私たちのアプローチは他の企業とは何が違う
 のか」という質問に改めてお答えしますと、違いの1つはフェ
 イスブック、インスタグラム、メッセンジャーアプリのワッツ
 アップと、モバイルでソーシャル体験を構築してきた歴史があ
 ることです。これらのサービス上で、人々がクリエーターエコ
 ノミーを構築し、成長してきました。
  例えば、アパレルのクリエーターたちがフォロワーを増やし
 インスタグラムやフェイスブックでイベントを開催し、売り上
 げを立てています。
  長期的には、メタバースで自分のアバターが着ている服が、
 さまざまな場所と場所を結ぶ、NFTチケットとして流通する
 可能性があると思います。シームレスに活用できるようにする
 には、技術的問題を解決する必要があります。我々は、そうし
 た仕組みをインスタグラムに取り入れていきます。10億とい
 う桁のユーザーがいるプラットフォームでNFTを取り入れる
 ことで、かなり強力なことができるはずです。
            ──久保田瞬/石村尚也著/日経BP
     『メタバース未来戦略/現実と仮想世界が融け合う』
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 上記のザッカーバークCEOの言葉のなかに「NFTチケット
として流通する」という言葉が出てきます。このNFTとは何で
しょうか。
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    ◎NFT/「ノン・ファンジブル・トークン」
                Non-Fungible token
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 NFTは、メタバースに深く関係するので、いずれ詳しく説明
しますが、現在の時点では、それが何であるか、簡単に説明する
ことにとどめます。
 「トークン」というのは、仮想通貨のことである考えてよいと
思います。「ファンジブル」は「代替可能」という意味です。財
布に5万円の現金を持っている人が、1万円の支払いをする場合
5枚の1万円札のどれでも使うことができます。代替可能である
からです。これが、ファンジブルです。
 しかし、ノン・ファンジブルには、「ノン」という否定語が付
いているので、代替できないという意味になります。わかりやす
い例を上げると、デジタルで購入したコンサートチケットがあり
ます。デジタルで購入すると、購入者の名前や座席番号が記録さ
れ、会場では、スマホなどでチェックを受けるので、購入者以外
には代替できません。紙のチケットであれば、購入者以外の人で
も利用できます。
 デジタルのデータは、基本的にはコピー可能であるので、それ
をノン・ファンジブルにするには、ブロックチェーンが不可欠に
なります。つまり、ノン・ファンジブルトークンとは、ブロック
チェーン上で発行される「偽造不可な鑑定書・所有証明書付きの
デジタルデータ」のことです。
 続いて、メタバース時代の働き方についてのザッカーバークC
EOの見解です。
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司会者:メタバースが広がっていく中、人々の働き方はどう変化
    していきますか。
ザッカーバーク:会社や職場によって求める形は異なると思いま
 すが、私たちは世界中のどこに住んでいても、働ける環境をつ
 くろうと考えています。これが未来の働き方です。優秀な人材
 を定着させるために必要ですし、それを実現する複数のツール
 を開発しようとしています。
  現在は遠くの人と話すにはビデオ会議を使っています。メタ
 バース時代にはVRでテーブルを囲むこともできますし、近い
 将来はARが広がるでしょう。とはいえ、向き不向きはありま
 す。取り組んでいる事業がハードウエア開発で、あなたのチー
 ムが新しいプロトタイプを作っているのなら、メンバーがすぐ
 隣にいるほうが効率的でしょう。とはいえ、世界はリモートの
 分散型の組織となっていく方向へ向かっていると思います。
      ──久保田瞬/石村尚也著/日経BPの前掲書より
─────────────────────────────
 メタバースの実現には技術的な問題を含む多くの課題が残って
います。小型のハードウェアの開発、低遅延でシームレスな体験
や、セキュリティの確保など、解決すべき課題は多くあります。
メタ自身が投資家への文書で「メタバース製品が完全な形となる
には、10〜15年はかかる可能性もある」と説明しています。
 しかし、米金融大手シティグループは、メタバース市場は30
年までに8〜12兆ドルに膨れ上がると予測しています。
 マーク・ザッカーバークCEO自身は、メタバースには強気の
予測を立てており、次のように述べています。
─────────────────────────────
 私は常に未来はどうなるのか、次に来るものは何か、というこ
とに焦点を合わせています。フェイスブックの立ち上げから18
年間続けてきた私の経験では、未来は意外に早くやって来ます。
5〜7年先と思っていたことが、「これをやろう」と旗を立てた
ら、1年半後あるいは2〜3年後には、「これはうまくいく」と
分かるようになります。数年間は完全な結実には至らないかもし
れませんが、兆候は受け取ることができるはず。いや、うまくい
くのです。 ──久保田瞬/石村尚也著/日経BPの前掲書より
─────────────────────────────
           ──[ウェブ3/メタバース/056]

≪画像および関連情報≫
 ●メタバース(仮想空間)の新規事業における成功ポイント!
  活用事例も紹介
  ───────────────────────────
   2021年10月にフェイスブックが社名を「メタ」に改
  名、メタバース(仮想空間)へ注力すると表明したことが話
  題となりました。メタバースとは、VR(仮想現実)やAR
  (拡張現実)を利用して、インターネット上に構築された仮
  想空間のこと。
   メタバースといえばこれまでゲームが主流でしたが、今後
  ビジネスに活用できるプラットフォームとして注目されてい
  ます。ブルームバーグではメタバースの市場規模は2020
  年の5000億ドル(約56兆円)から、2024年には、
  7833億ドル(約88兆円)まで伸びると予測。エンター
  テイメント業界だけではなく、観光や医療など幅広い分野で
  活用が進むと言われています。日本でも、日産などメタバー
  スをビジネスに活用する事例が増えてきました。グリーをは
  じめ、今後新規事業として、メタバースへの投資を表明する
  IT企業もあります。とはいえ「ゲームの仮想現実と何が違
  うのか」「新規事業として何ができるのか」といった疑問を
  持つ方も多いのではないでしょうか。そこで本コラムでは、
  メタバースなどの仮想空間でのビジネスについて、基本的な
  考え方やビジネスに活用するポイントなどを解説します。
   メタバースは「高次の」「超える」という意味の「Meta」
  と、「宇宙」という意味の「Universe」を合わせた造語。一
  般的にインターネットにおける3次元の仮想空間を意味しま
  す。実は今後の成長分野として、経済産業省も注目するメタ
  バース。経済産業省が2021年年7月にまとめた資料によ
  れば、メタバースを「多人数が参加可能で、参加者がその中
  で自由に行動できるインターネット上に構築される仮想の三
  次元空間」と解説しています。  https://bit.ly/3WoDly0
  ───────────────────────────
メタCEO/マーク・ザッカーバーク氏.jpg
メタCEO/マーク・ザッカーバーク氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ウェブ/メタバース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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