2022年12月21日

●「ザッカーバークメタバースを語る」(第5879号)

 米国に「SXSW」という一大イベントがあります。「サウス
・バイ・サウス・ウエスト」と呼びます。これは、スタートアッ
プの登竜門といえる一大イベントです。SXSWは、次の4つの
部門に分かれています。
─────────────────────────────
        @  SXSWミュージック
        A    SXSWフィルム
        BSXSWインタラクティブ
        C    SXSWコメディ
─────────────────────────────
 Bの「SXSWインタラクティブ」は、IT関連企業、スター
トアップの新規事業アイデア、プロトタイプ紹介がメインとなっ
ています。2022年3月11日、このイベントで、メタのマー
ク・ザッカーバークCEOが司会者との対談形式でメタバースに
ついて発言しています。以下、その要点について、ご紹介するこ
とにします。
 まず、メタバースの本質について、ザッカーバークCEOは次
のように述べています。
─────────────────────────────
司会者:まずは基本的なことから。メタバースの本質とは、何で
    しょうか。
ザッカーバーク:メタバースの最大の特徴は、世界中のどこにい
 ても、自分がそこにいて、他の人と一緒に存在しているように
 感じられることです。それは素晴らしい感覚で非常に人間的な
 ものです。現在のインターネットとはその部分が異なります。
  多くの人が長い間、このようなソーシャル体験を実現したい
 と願い、今それが実現できるところまで技術が進歩してきまし
 た。私たちの目標は、メタバースで素晴らしい体験を実現する
 ための基本的な技術を提供することです。VRやARのヘッド
 セットや通信、他者と一緒にいる感覚を生み出すシステムなど
 あらゆるものをうまく活用し、対話を必要とする仕事やさまざ
 まなサービスの助けになるものをつくろうと考えています。
            ──久保田瞬/石村尚也著/日経BP
     『メタバース未来戦略/現実と仮想世界が融け合う』
─────────────────────────────
 テキストメッセージのやり取りの対話より、ZOOMなどのよ
うに、顔出しのバストショット同士の対話の方がよりリアリティ
を感ずるように、お互いがアバターとしてメタバース内のある対
話のできる場所に出かけて行き、そこで対話する方が一段とリア
リティを感ずることは確かです。メタは、そういう仮想空間、メ
タバースの実現を目指しています。
 メタバースに入るにはヘッドマウントディスプレイ(HMD)
が必要になります。メタはそのHMDの性能を高める努力をする
とともに、ゲームに加えて、ビジネスにおいても使える場を用意
することをザッカーバークCEOは約束しています。
─────────────────────────────
司会者:人々がつながる体験をどうやって良いものにしていきま
    すか。
ザッカーバーク:本当に素晴らしい体験が、すでに作られていま
 す。その多くはゲームから始まりましたが、現在ではVRヘッ
 ドセットで過ごす時間は、ソーシャル体験へと移りつつありま
 す。私たちは「ホライゾン」というプラットフォームを構築し
 ています。参加する人々が、ジョークを言い合うコメディ−ク
 ラブや、アート作品を販売する美術館など、さまざまな体験が
 できる場をつくっています。
  ビジネス向けの「ホライゾンワークルーム」もあります。ビ
 デオ会議のような写実的な表現ではないものの、大勢でテーブ
 ルを囲んでいるときに、隣の人とアイコンタクトを取ったり、
 ジェスチャーで伝えたりできる。その臨場感はまさに魔法のよ
 うです。さらなる投資で技術が進歩すれば、リアルはさらに増
 し、体験はますます改良されていくと想像できます。
      ──久保田瞬/石村尚也著/日経BPの前掲書より
─────────────────────────────
 続いて、アバターに関する質問です。アバターはどのメタバー
スでも使えのかという質問です。また、このメタバースによって
経済圏をどのように作るのかについても、司会者はザッカーバー
クCEOに質問しています。
─────────────────────────────
司会者:アバターについては、1つだけでなく、複数の姿を使い
    分けるような人も出てくるのではないでしょうか。
ザッカーバーク:その通りです。さまざまな形で自分を表現した
 いと思う人が増えてくるでしょう。将来、フォーマルなビジネ
 スミーティングなどで、VRやARのヘッドセットを装着し、
 ホログラムのソファとテーブルの前で写実的な自分に示し、対
 話するようになるでしょう。しかし、時にはもう少し遊び心を
 出したいこともあるかもしれません。
  1日に何時間もビデオ会議に費やすような人は、会議で着る
 服を気にしますね。それと同じように、アバターの服装も、自
 分自身をどう表現するかに気を配ります。そこに経済が生まれ
 人々はそこで大量の消費をして、物理的な世界で服を着るよう
 に自分自身を表現するようになるでしょう。
  そのときに私が重要だと考えているのは相互運用性です。セ
 ーターやジャケットなど、自分を表現したいものを、別のメタ
 バースにも持ち込めることが大切です。1つのアプリあるいは
 1つのゲームだけでしか使えないという制約があれば、人々は
 ものを買わなくなり、クリエーターエコノミーが小さくなって
 しまいます。
      ──久保田瞬/石村尚也著/日経BPの前掲書より
─────────────────────────────
           ──[ウェブ3/メタバース/055]

≪画像および関連情報≫
 ●メタバースは新たな経済圏〜何故メタバースが話題なのか
  ───────────────────────────
   現状は、肉体がある世界である、リアルが重視されていま
  す。それは、「五感で感じ取れる」「できることが多岐にわ
  たる」など色々ありますが、結局は生活をしているからでは
  ないでしょうか。
   今後はバーチャルでできることが増えていき、バーチャル
  でもリアルと同等の生活ができるようになります。五感はも
  ちろん、仕事や交流、エンタメなども、バーチャルで行えま
  す。極端な例ですが、ゲーム廃人などは自身の現実はゲーム
  内と捉えていることがあります。これと同様にメタバースが
  自身の現実と捉える人が増えていくと考えられています。
   既にスマホの普及で多くの時間やお金をバーチャル上で消
  費しているので兆しは見えているのかもしれません。メタバ
  ースが話題になったのは、バーチャルを現実世界に変える力
  を持っているからです。
   メタバースでは、仕事や交流、エンタメなどリアルと同等
  か、それ以上のことが実現できます。肉体でしか行えない行
  動があるように、アバターでしか行えない行動もあります。
  しかし、多くの活動は肉体/アバターどちらでもできるよう
  になります。将来的にはどちらが生活のメインなどの垣根が
  なく  なるのかもしれません。 https://bit.ly/3uXGkBJ
  ───────────────────────────.
ザッカーバーク/SXSWでの講演.jpg
ザッカーバーク/SXSWでの講演
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ウェブ/メタバース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。