月のことです。その後、メタにとっては厳しい事態が続いている
ようです。何といってもメタは、メタバースに最も多くの投資を
している企業です。そういう意味において、メタバースの成否の
カギを握っている企業であり、何が起きているのか、調べてみる
ことにします。
2022年2月4日、メタの株価が暴落します。マイナス26
%を超える大暴落で、額にして27兆円の暴落です。これは、た
だの暴落ではなく、専門家は「SNSの終わりの始まり」とみる
べきであるとしています。
今年の4月から5月にかけて実施した調査(添付ファイル)に
よると、フェイスブックは71から32に大幅なダウン、ツイッ
ターも33から23、ワッツアップも33から11へダウンして
います。これに対して、ユーチューブは100から95と下がっ
たものの盤石、インスタグラムは52から62、ティックトック
は、52から67へとアップしています。文字系のSNSはダウ
ンし、映像・画像系のSNSは伸びています。
米国の調査によると、10代の若者にもっとも人気のあるSN
Sはユーチューブで、95%が利用しており、2位は短尺動画の
ティックトックで67%が利用しているといいます。画像系/動
画系の強さを感じます。
グラフのなかに「スナップチャット」というのがあって、41
から59に伸びていますが、これは、メッセージや写真や動画が
閲覧してから一定時間経つと消えることに特色があります。
これについて、作家でアルファーブロガーの鈴木傾城氏は、次
のように述べています。
─────────────────────────────
ツイッターの創業者であるジャック・ドーシーも、去年の12
月にCEOを降りてツイッター社から逃げている。ジャック・ド
ーシーは以前からSNSのビジネスから縁を切りたがっていた。
なぜか。SNSは憎悪を煽り立て、対立と衝突を増幅する暴力装
置であることが世間に分かったので、責任を負いたくなかったと
いうことだ。
多文化共生の世界観を徹底的に押し進めた世界がSNSだ。で
は、このSNSの中で世界中の人々を結びつけて何が起こったの
か。立場が異なる人間たちの暴言、批判、憎悪が飛び交う世界が
生まれたのだ。日本でも「テラスハウス」に出演していたプロレ
スラー木村花さんがSNSの炎上で自殺したという事件もあった
が、人が自殺するまで効率的に呪詛を投げつけることができるの
がSNSである。SNSの行く末は荒廃だったのだ。
https://bit.ly/3HpCM2y
─────────────────────────────
考えてみると、フェイスブックの創業者のマーク・ザッカーバ
ークCEOは、ユーザーデータの扱いについて批判されることは
多々あるものの、この変化の多い業界において、これまで時代を
先取りしてきていることは確かです。そもそもGAFAM5社の
なかで、創業者がCEOであるのは、メタだけなのです。
まず、文字中心のSNSであるフェイスブックを立ち上げ、同
系統のワッツアップを買収し、49億人という驚異的なユーザー
を獲得しています。しかし、画像共有サイトであるインスタグラ
ムが誕生すると、将来強敵になると予測して、直ちに10億ドル
で同社を買収し、傘下に入れていますが、今やフェイスブックよ
りもインスタグラムの方が人気になっています。現在(2020
年9月現在)、メタの傘下のユーザー数は、次の通りです。
─────────────────────────────
フェイスブック ・・ 29億人
ワッツアップ ・・ 20億人
インスタグラム ・・ 10億人
──2020年9月現在
─────────────────────────────
しかし、その画像共有サイトもいずれ限界に達すると考えて、
ザッカーバークCEOは、VRからメタバースの世界へと脱皮を
図りつつあります。その証拠に2014年3月、ザッカーバーク
CEOはオキュラスVR社(以下、オキュラス)を電撃的に20
億ドルで買収したのです。オキュラスはVRヘッドマウントディ
スプレイ「オキュラスシフト」を提供している企業です。これは
メタバースへの先取り投資と考えられます。
オキュラスは、パーマー・ラッキー氏という若者が24歳で創
業した企業です。HMDを製作するため、クラウドファンディン
グで応募し、240億ドル(約2億5000万円)の調達を行い
注目を集めたスタートアップです。このパーマー・ラッキー氏は
メタバースについて語るうえで欠かせない人物の一人であり、明
日のEJから詳しく紹介することにします。
さて、ザッカーバークCEOは、2022年11月9日、社員
1万1000人を解雇すると発表しています。削減人数は会社全
体の約13%に当たりますが、その理由は、コロナ禍で行った増
資で期待通りの結果が出せなかったことが原因としています。
10月発表の第3四半期(7〜9月)の決算では、売上高は、
前年同期比4%減の277億1400万ドル、純利益は52%減
の43億9500万ドルになっています。前四半期に続く減益と
なり、さらにその幅が拡大しています。マクロ経済の影響で主力
の広告事業が減速したほか、クエストシリーズのヘッドセットや
メタバースを担う「リアリティ・ラボ」の売上高がほぼ半減して
しまっています。
ザッカーバークCEOは、今回のレイオフについて、次のよう
に述べています。「これは悲しいことで、どうしようもないこと
だ。去っていく人たちには、この場所に全てを注いでくれたこと
に、あらためて感謝したいと思う。皆さんの努力のおかげで、今
の私たちがあるから」と。
──[ウェブ3/メタバース/049]
≪画像および関連情報≫
●メタの1万1000人もの大量解雇の元凶は、失敗続きの
プロジェクトと過剰な採用にある
───────────────────────────
本業をおろそかにして、これらのプロジェクトに気をとら
れたことがメタに害を及ぼしているのであり、今回のレイオ
フが相当な規模になった理由だとこの元従業員は指摘する。
イノベーションの各種の試みが失敗したり、挫折したりする
たびに自然なかたちで縮小していれば、従業員数も時間をか
けて徐々に減少したはずだ。
「ちょうど、数百人か、それ以上の人員を要するブロック
チェーンの巨大プロジェクトを立ち上げたところでした」と
元従業員は語る。「そのプロジェクトが頓挫したとき、その
人たちはどうなったでしょうか。そのまま、何となく社内に
残って、ほかの実験や研究に就いたのです」
この元従業員はこうした人員がメタという巨大な機械のよ
うな会社で不明瞭な立場に流れていった原因として、社内コ
ミュニケーションの問題が考えられるのではないかと言う。
「わたしたちは行く末もわからないようなあらゆることに取
り組んでいたようでした。しかし、『どこにもたどり着けま
せんでしたね、では、こういうアクションをとることにしま
しょう』といったアップデートはまったく得られませんでし
た」メタはフェイスブック時代から、各種の新規プロジェク
トのために急速に従業員数を増やしてきた。世界有数の企業
として保有する大量の資金、そして消費者の生活のあらゆる
側面を支配するための大規模計画をもって、かつてフェイス
ブックという社名で知られたメタは十分すぎるほどの人材を
意気揚々と採用したのだ。 https://bit.ly/3VPx3aH
───────────────────────────
フェイスブックの株価暴落