2022年12月01日

●「ゲームからメタバース世界に入る」(第5865号)

 昨日のEJにおけるアップルのクックCEOの次の発言を再現
します。気になる言葉だからです。
─────────────────────────────
 われわれは個人情報を取り引きするようなことはしない。われ
われにとってプライバシーは人権。市民の自由である。
                    ──ティム・クック
─────────────────────────────
 1月28日は何の日かご存知ですか。
 「データプライバシーデー」です。データプライバシーデーと
というのは、プライバシーの尊重とデータの保護への信頼を確保
することをテーマとし、毎年1月28日に行われるデータの守秘
と保護に関する意識の向上および議論の喚起のための国際的な取
り組みのことです。
 2021年1月28日には、コンピュータ、プライバシー、デ
ータ保護に関する国際会議「CPDP」が開催され、アップルの
ティム・クックCEOがスピーチをしています。
─────────────────────────────
 私の考えでは、プライバシーは今世紀最大の問題の一つです。
気候変動は最大の問題であり、プライバシーも同じぐらい重要な
問題なのです。(中略)この2つの問題は、その重大性に応じて
対処しなければなりません。深く考え、どうすれば改善できるか
どうすれば次の世代に今よりもずっとよい未来を残せるかを考え
る必要があるのです。
 ご存じのとおり、私は暗号化──バックドアのないエンドツー
エンドの暗号化の熱烈な支持者です。私はエンドツーエンドの暗
号化をなくそう、弱めようとする動きをつねに警戒しています。
                 ──クーリエ・ジャポン編
        『変貌する未来/世界企業14社の次期戦略』
                  講談社現代新書2625
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 クックCEOのいうエンドツーエンドの暗号化というのは、各
デバイスから派生したキーと、そのデバイスの持ち主しか知り得
ないデバイスパスコードを使って、情報を暗号化して、サービス
の管理者や第三者などがデータをコピーできないようにする技術
のことです。
 GAFAMのなかで、フェイスブック、すなわち、メタが一番
Web3に熱心なことはわかりますが、もうひとつ、Web3に
熱心な企業があります。それはマイクロソフトです。
 2021年10月にオンラインで開催された企業向けのプライ
ベートイベントの基調講演において、サティア・ナデラCEOは
次のように述べています。
─────────────────────────────
 メタバースは物理的な世界とデジタルの世界を横断した共有体
験を実現できる。例えば、企業が自社のDX(デジタルトランス
フォーメーション)を推進する中で、メタバースは人々がデジタ
ル環境で出会い、アバターを使って会議をより快適に行い、クリ
エイティブなコラボレーションをグローバルで促進できるように
支援することができる。(中略)
 メタバースというのは、仮想空間における社会というだけでな
く、そこに参加する私たちそれぞれの社会への関わり方について
も、これまでにないさまざまな選択肢を与えてくれるのではない
か。そうした社会との新しい関わり方について、これからみんな
で考えて創り上げていきたい。今、マイクロソフトからお見せし
ているメタバースは、新しい社会への可能性のまだほんの一部だ
と考えている。ぜひ、多くの皆さんのご協力をお願いしたい。
   ──サティア・ナデラCEO https://bit.ly/3VDuPuq
─────────────────────────────
 日本でマイクロソフトというと、ワード、エクセル、パワーポ
イントのビジネスユースのソフトウェア企業という印象が強いで
すが、実際には、任天堂、ソニーと並ぶゲーム業界における3大
プラットフォームのひとつなのです。同社が2005年に発売し
た「Xbox360」 という家庭用ゲーム機は、世界で8600万台
を売り上げています。
 そのハードウェアは、「Xbox Series X/S」 で最高レベルに達
し、これを「XBox Game Pass」というコンピュータゲームのサ
ブスクリプションサービスで利用することができます。
 2022年1月18日のことです。マイクロソフトは、ゲーム
大手のアクティビジョン・ブリザードを687億ドルで買収する
と発表したのです。ブルームバークは、このニュースを次のよう
に伝えています。
─────────────────────────────
 米マイクロソフトはゲームソフト会社アクティビジョン・ブリ
ザードを1株当たり96ドルで買収すると発表した。買収は全て
現金で行い、アクティビジョンの純現金を含む企業価値を687
億ドル(約7兆8700億円)と評価する。
                  https://bit.ly/3Vxcr6A
─────────────────────────────
 なお、マイクロソフトによるアクティビジョン・ブリザードの
買収手続きは、まだ終わっていませんが、もし、買収に成功する
と、マイクロソフトは、テンセント、ソニーに次ぐ世界第3位の
ゲーム会社となります。しかも、アクティビジョン・ブリザード
の現在の業績を含めたとしても、マイクロソフト内のゲーム部門
は、年間売上高の約13%に過ぎないのです。
 なぜ、マイクロソフトがゲームに力を入れるかというと、メタ
バースの成否のカギは、世界中のゲーマーを上手に取り込めるか
にかかっているからです。まず、ゲームで切り拓いて、経済圏を
形成し、そのうえでビジネス分野に参入することになりますが、
この場合、もともとビジネス分野に強いマイクロソフトにとって
非常に有利な状況になります。
           ──[ウェブ3/メタバース/041]

≪画像および関連情報≫
 ●マイクロソフトのActivision Blizzard買収に暗雲?
  ───────────────────────────
   マイクロソフトが今年1月より進めているアクティビジョ
  ン・ブリザードの買収ですが、内部関係者が買収の破談を懸
  念する状況になっていると海外メディア・ニューヨーク・ポ
  ストが報じています。この買収は現在米国、英国、欧州連合
  の独占禁止法当局が調査中。しかし、買収発表時のアクティ
  ビジョンの株価が82ドル以上であったのに対し記事執筆時
  点では71・10ドルにまで下落しており、買収が成立する
  かどうかに対し投資家が懐疑的になっているようです。一部
  関係者やアナリストは、メタやグーグルといった企業に比べ
  比較的規制当局との関係が良好だったマイクロソフトが、こ
  れほどの厳しい調査を受けることを予想していなかった可能
  性が高いとコメントしています。
   当局で問題とされているのは、マイクロソフトが規制当局
  やライバルであるソニーに対し提示している約束です。マイ
  クロソフトは以前より買収後も『コール オブ デューティ』
  をプレイステーションなど他のプラットフォーム向けに提供
  することを公言していますが、法的拘束力を持つ契約はまだ
  行われていない状態です。しかし、現地時間11月8日より
  開始される可能性のある本格的な調査を前に、『コール・オ
  ブ・デューティ』をプレイステーション向けに提供し続ける
  ことを正式に契約するといった行動的救済など、EU規制当
  局に対する法的救済措置の提供を拒否したとロイター通信が
  報じています。         https://bit.ly/3ENitsV
  ───────────────────────────
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Xボックス・シリーズX
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ウェブ/メタバース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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