2022年11月09日

●「GAFAの対抗勢力は出現しない」(第5850号)

 2022年10月6日付の日本経済新聞に、GAFAに関する
次の記事が掲載されています。
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◎クラウドにも不況の足音/アマゾン採用凍結
【シリコンバレー=佐藤浩実】高成長を続けてきたクラウドコン
ピューティング基盤の市場に変調の兆しが出てきた。7〜9月期
は市場の成長率が3割を下回り、最大手の米アマゾン・ドット・
コムは採用凍結に動く。金融引き締めによる景気後退やインフレ
の長期化を警戒する顧客の倹約姿勢が「不況に強い」とされるク
ラウドにも影響を及ぼし始めた。
         ──2022年10月6日付の日本経済新聞
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 現在、米国は急速なインフレに見舞われ、不況が懸念されてい
ます。といっても、アマゾンの場合、7〜9月期のAWSの売上
高が、前年同期比27%増の205億ドル(約3兆円)を維持し
ています。
 しかし、4〜6月期と比べて伸び率は6ポイント落ちており、
今後成長率は20%台半ばまで下がるとみられています。想定よ
りも減速が急ピッチであることから、採用凍結に踏み切ったもの
と考えられます。
 しかし、不況になると、企業は自社設備への投資を控えてクラ
ウドに切り替える企業が多くなることが予想され、成長率は20
%台を維持できるものの、その分競争が激化し、値引きも広がる
ので、利益率が下がることが考えられます。
 さて、なぜ、日本にはGAFAが誕生しないのかの話を続ける
ことにします。実は米国でもヨーロッパでも、フェイスブックが
IPOする前後は、第2のGAFAに憧れて、SNSベンチャー
やクラウドアーカイブや動画配信企業などが多く誕生しています
が、そのほとんどは撤退しています。もちろん、ユニークなもの
は、GAFAに買収され、GAFAの一部になっています。なぜ
生き残れないのかについては、次の3つの理由があります。
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     @データーセンターの費用が莫大である
     Aユーザーを増加させるのが困難である
     B事業の収益化戦略が極めて困難である
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 第1は「データーセンターの費用が莫大である」ことです。
 多くの若手起業家は、ウェブサービスに、そんな巨大なデータ
ーセンターが必要であるとは考えていないのです。クラウドサー
ビスを利用する方法がないわけではないが、割高なコストがかか
り、自社デ―ターセンターを持つ同業他社にコスト面で太刀打ち
できないことは明らかです。
 なぜ、データセンターが必要かについて深田萌氏は、自著で次
のように述べています。
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 クラウドサービスを本気で始めれば、サーバーの数が足りない
どころの話ではない。皆さんが投稿するデータ、写真から動画ま
で保管するわけなので、ストレージがたくさん必要だ。
 そのストレージにアクセスするサーバー、そのサーバーを繋ぐ
ゲートウェイ、そこから外に出て行く回線、回線費用があって、
その電力を賄わなければならない。さらに電力を使っているから
データセンターの中はとても熱くなる。熱くなると、ハードウェ
アは不具合を起こすので、今度はガンガン冷却しなければいけな
い。冷却の電気代を節約しようとすれば、寒い地方にデータセン
ターを作らなければならない。東北や北海道にデータセンターを
作るのはそのためである。      ──深田萌絵著/宝島社
     『メタバースがGAFA帝国の世界支配を破壊する』
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 現在、GAFAMは、米アリゾナ州で相次いで巨大データセン
ターを建設しています。フェイスブック(メタ)は、アリゾナ州
の州都フェニックスに近いメサ市に8億ドルをかけてデーターセ
ンターを構築すると発表しているし、グーグルも同市に10億ド
ルを投じてデーターセンターを建設中です。なお、メサ市には、
アップルも130平方フィートのデーターセンターや運用管理セ
ンターを建設しています。さらにマイクロソフトもアリゾナ州に
マイクロソフト・アジュールの新リージョンを開設するという具
合で、砂漠の都市アリゾナ州では目下GAFAMのデーターセン
ターの建設ラッシュです。
 なぜ、砂漠に作るのかというと、太陽光発電を使うので、脱炭
素図れるからです。しかし、データーセンターは、1日に400
万ガロン(約1510万リットル)の水を使うので、深刻な干ば
つに見舞われているメサ市では、データーセンターは迷惑施設扱
いにされているといわれます。
 第2は「ユーザーを増加させるのが困難である」ことです。
 これらデーターセンター建設費用や維持費は、ベンチャーキャ
ピタルから資金を集めるしかありませんが、ベンチャーキャビタ
ルは、技術力よりもユーザー数を重視します。しかし、ユーザー
数を増やすには、先行のGAFAが既に集めているので、大きく
ユーザー数を伸ばすのは困難です。
 2021年5月にメサ市議会はフェイスブックによるデータ−
センター建設計画について審議し、このデーターセンターが1日
につき、175万ガロン(約660万リットル)の水を冷却用に
使うとして、建設に反対する意見が出されたといわれます。
 第3は「事業の収益化戦略が極めて困難である」ことです。
 もともとGAFAのビジネスモデルの収益化には時間がかかる
のです。しかも、GAFAが既に存在している状況での後発のビ
ジネスでの収益化はさらに困難です。GAFAは既に先行の利を
得ており、GAFAと同じようなビジネスでは成功させることは
きわめて困難であるといえます。
           ──[ウェブ3/メタバース/026]

≪画像および関連情報≫
 ●進化するDCに最適な運用が求められる
  ───────────────────────────
   従来、DC(データーセンター)には社会システムを支え
  る「安定性」、運用コスト面での「経済性」、そして省エネ
  実現による「環境性」が求められてきた。「これに対し新型
  コロナウイルスが社会活動に甚大な影響を及ぼす中で、DC
  にも新しい役割が求められるようになってきました」とJD
  CCの藤巻秀明氏は指摘する。それは、企業などに浸透する
  テレワークの基盤となり、そこでの新たな情報の共有や伝達
  手段を提供し、次世代ワークスタイルの実現を支援していく
  ということだ。
   こうした要件を受けて、単独DCによる高信頼性の追求か
  ら複数DCの利用によって可用性を担保するという運用形態
  が増加する一方、ネットワークハブDCの重要性も高まって
  いる。例えば、5Gの基盤を念頭にGAFAに代表されるハ
  イパースケーラーが、キャリアの統括局にエッジDCを展開
  するという動きも顕著だ。さらに、ハイブリッドクラウドの
  本格的普及に対応してDC間の閉域網接続による運用も拡大
  している。また、ハイパースケーラーが自社のクラウド基盤
  をラック単位で顧客のプライベートクラウドのDC内に展開
  するといった動きも見られるという。
   こうしたDCの形態の変化に伴い、当然、新たな運用スタ
  イルが必要になる。「JDCCではDC運用の標準マニュア
  ル化を進めており、プロアクティブなキャパシティ管理の考
  え方やインシデント発生時の標準手順の作成法、高効率運用
  技術、パンデミック対策など基本部分に加え、新たなDCの
  形態に即した運用の在り方を解説する『データセンター運用
  ガイドブック』を2020年12月に上梓。ぜひご活用いた
  だければと思います」と藤巻氏は語る。
                https://nkbp.jp/3E6n6iW
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フェイスブックメサデーターセンター完成図.jpg
フェイスブックメサデーターセンター完成図


posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ウェブ/メタバース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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