つあるAI(人工機能)を使って、超高度の監視体制を築き上げ
ています。これに関して次のような話があります。
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上海を訪れた日本人ビジネスマンが、財布を無くし、交番に駆
け込んだ。そのわずか1時間後、警察からビジネスマンに「財布
が見つかった」と連絡があった。警官の説明はこうだ。
「あなたはけさ、8時45分23秒に滞在先のホテルを出まし
たね。8時47分32秒にタクシーを拾い、9時12分29秒に
降りましたね。通りを歩いた人混みの中で財布をすられました。
それは9時15分45秒の出来事です。犯人はすぐにわかりまし
た。こうして財布は戻りました」。警察官はこう言って胸を張っ
た。「わが国は世界で最も安全な国なのです」。
https://bit.ly/3srBN9w
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このようなハイテクによる監視社会の構築には、何かと批判が
多いものですが、程度の差こそあれ、どこの国でもやっているこ
とです。とくに米国は、こういうことでもダントツの先進国であ
るといえるのです。
2013年のことです。米国政府によるネット監視が批判のマ
トになったのです。米国家安全保障局(NSA)が、世界中で、
メールなどから個人情報を閲覧していたことが暴露されたからで
す。米政府も「テロ行為を未然に防ぐ目的で行っていた」とこれ
について認めています。具体的な証拠を突きつけられたので、認
めざるを得ない状況に追い込まれたのです。
英ガーディアン紙が、「NSAがベライゾンやAT&Tなどの
米通信大手企業から通話記録を令状で入手していた」と報じたこ
とが始まりで、NSAは「PRISM(プリズム)」と呼ばれる
監視・閲覧機能を使って、世界中のメールを閲覧していることが
明らかになったのです。
この情報をリークしたのは、元CIA(米中央情報局)職員の
エドワード・スノーデン氏であり、何しろ顔出しで登場し、暴露
したので、大騒ぎになったのです。スノーデン氏は、米国を脱出
し、一時香港に在住していましたが、現在は亡命を求めて、ロシ
アにいるといわれています。この「PRISM」にGAFAが協
力していることはいうまでもないことです。
GAFAについて詳しく知る必要があります。GAFAは何に
よって企業を支えているか、基本的なことを整理してみます。い
ずれも2021年のデータです。
第1は「G」──グーグルです。なお、グーグルのグループ企
業は「アルファベット」(2015年設立)といいます。グーグ
ルのプラットフォームは、検索エンジンの「グーグル」、スマホ
用OS「アンドロイド」、アプリストア「グーグル・プレイ」、
グーグルサービスとしては、Gメール、グーグル・マップなど多
数があります。その割合は次の通りです。
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検索広告 ・・ 57.8%
ユーチューブ広告 ・・ 11.2%
ネット広告 ・・ 12.3%
グーグルサービス ・・ 10.9%
グーグルクラウド ・・ 7.5%
その他 ・・ 0.3%
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第2は「A」──アップルです。
アップルのプラットフォームは、アイフォーン、マック、アイ
パッドなどのハードウェアです。アップルは2015年から音楽
ストリーミングサービス「アップル・ミュージック」をはじめて
おり、世界で6000万人以上が利用しています。
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アイフォーン ・・ 52.5%
マック ・・ 9.6%
アイパッド ・・ 8.7%
その他周辺アクセサリー ・・ 10.5%
サービス ・・ 18.7%
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第3は「F」──フェイスブック(現メタ)です。
メタのプラットフォームはSNSの「フェースブック」と「イ
ンスタグラム」であり、それに関連する広告収入が同社を支えて
います。広告オンリーが企業の支えです。
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広告 ・・ 97.5%
その他 ・・ 0.6%
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第4は「A」──アマゾンです。
アマゾンのプラットフォームは、何といっても、ECサービス
の「アマゾン」です。アマゾンは、世界に向けて強力な営業力を
持っており、世界中のメーカー、販売業者がアマゾンで自社商品
を扱ってもらいたいと考えています。アマゾンは、どのような人
がどのような商品を購入しているかのデータを保有しているので
小売業にとってアマゾンは不可欠なプラットフォームです。
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EC小売 ・・ 47.3%
販売業者向けサービス ・・ 22.0%
サブスクリプションサービス ・・ 6.8%
広告 ・・ 6.8%
AWS ・・ 6.6%
店舗販売 ・・ 13.2%
その他 ・・ 0.5%
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──[ウェブ3/メタバース/018]
≪画像および関連情報≫
●GAFA徹底解説「4社の実態と今後の動向」
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米国のGoogle、Apple、Facebook、Amazon の4大ネット企
業をGAFA(ガーファ)と呼ぶことに対し、中国の代表的
な民間巨大企業で3大ネット企業のバイドゥ、アリババ、テ
ンセントの3社を「BAT(バット)」と呼ぶ。中部大学特
任教授の細川昌彦さんは、「中国は米国のGAFAをコピー
した『BAT』で成功したが、国家主導が行き過ぎて、欧米
の対中警戒感を強めてしまった。このままでは中国の『デジ
タル覇権』は失敗する」という。
GAFAは、「神にも擬せられる力をもつ」といわれる。
共通するのは、市場の変化をとらえた戦略を大胆に編み出し
ていくマネジメント能力の高さである。GAFAはインター
ネットという市場を貪欲に開拓した。検索エンジン、音楽配
信、SNS、eコマースなどの領域で、新しい稼ぎ方をいち
早く見いだしていった。
一方、日本の主要企業は、品質の高い製品を提供する管理
能力には優れていたが、従前のビジネスモデルにとらわれて
しまった。この差は、時価総額のちがいに現れている。米国
の経済成長を支えてきたIT先端企業の成長期待が低下しつ
つある。その1つが、2018年3月に起こったフェイスブ
ックのデータ不正流出問題だ。グーグルに関しても、データ
セキュリティ面への不安が高まっている。ユーザーの個人情
報をどう管理・保護していくかは、多くのIT企業に共通す
る課題だ。アマゾンに関しても、データ管理・保護に関する
規制強化の影響は免れない。 https://bit.ly/3TyMgfi
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エドワード・スノーデン氏