2022年10月27日

●「PRISMとGAFAその関係は」(第5842号)

 中国は超監視社会といわれています。それは、高度に発達しつ
つあるAI(人工機能)を使って、超高度の監視体制を築き上げ
ています。これに関して次のような話があります。
─────────────────────────────
 上海を訪れた日本人ビジネスマンが、財布を無くし、交番に駆
け込んだ。そのわずか1時間後、警察からビジネスマンに「財布
が見つかった」と連絡があった。警官の説明はこうだ。
 「あなたはけさ、8時45分23秒に滞在先のホテルを出まし
たね。8時47分32秒にタクシーを拾い、9時12分29秒に
降りましたね。通りを歩いた人混みの中で財布をすられました。
それは9時15分45秒の出来事です。犯人はすぐにわかりまし
た。こうして財布は戻りました」。警察官はこう言って胸を張っ
た。「わが国は世界で最も安全な国なのです」。
                  https://bit.ly/3srBN9w
─────────────────────────────
 このようなハイテクによる監視社会の構築には、何かと批判が
多いものですが、程度の差こそあれ、どこの国でもやっているこ
とです。とくに米国は、こういうことでもダントツの先進国であ
るといえるのです。
 2013年のことです。米国政府によるネット監視が批判のマ
トになったのです。米国家安全保障局(NSA)が、世界中で、
メールなどから個人情報を閲覧していたことが暴露されたからで
す。米政府も「テロ行為を未然に防ぐ目的で行っていた」とこれ
について認めています。具体的な証拠を突きつけられたので、認
めざるを得ない状況に追い込まれたのです。
 英ガーディアン紙が、「NSAがベライゾンやAT&Tなどの
米通信大手企業から通話記録を令状で入手していた」と報じたこ
とが始まりで、NSAは「PRISM(プリズム)」と呼ばれる
監視・閲覧機能を使って、世界中のメールを閲覧していることが
明らかになったのです。
 この情報をリークしたのは、元CIA(米中央情報局)職員の
エドワード・スノーデン氏であり、何しろ顔出しで登場し、暴露
したので、大騒ぎになったのです。スノーデン氏は、米国を脱出
し、一時香港に在住していましたが、現在は亡命を求めて、ロシ
アにいるといわれています。この「PRISM」にGAFAが協
力していることはいうまでもないことです。
 GAFAについて詳しく知る必要があります。GAFAは何に
よって企業を支えているか、基本的なことを整理してみます。い
ずれも2021年のデータです。
 第1は「G」──グーグルです。なお、グーグルのグループ企
業は「アルファベット」(2015年設立)といいます。グーグ
ルのプラットフォームは、検索エンジンの「グーグル」、スマホ
用OS「アンドロイド」、アプリストア「グーグル・プレイ」、
グーグルサービスとしては、Gメール、グーグル・マップなど多
数があります。その割合は次の通りです。
─────────────────────────────
          検索広告 ・・ 57.8%
      ユーチューブ広告 ・・ 11.2%
         ネット広告 ・・ 12.3%
      グーグルサービス ・・ 10.9%
      グーグルクラウド ・・  7.5%
           その他 ・・  0.3%
─────────────────────────────
 第2は「A」──アップルです。
 アップルのプラットフォームは、アイフォーン、マック、アイ
パッドなどのハードウェアです。アップルは2015年から音楽
ストリーミングサービス「アップル・ミュージック」をはじめて
おり、世界で6000万人以上が利用しています。
─────────────────────────────
        アイフォーン ・・ 52.5%
           マック ・・  9.6%
         アイパッド ・・  8.7%
   その他周辺アクセサリー ・・ 10.5%
          サービス ・・ 18.7%
─────────────────────────────
 第3は「F」──フェイスブック(現メタ)です。
 メタのプラットフォームはSNSの「フェースブック」と「イ
ンスタグラム」であり、それに関連する広告収入が同社を支えて
います。広告オンリーが企業の支えです。
─────────────────────────────
            広告 ・・ 97.5%
           その他 ・・  0.6%
─────────────────────────────
 第4は「A」──アマゾンです。
 アマゾンのプラットフォームは、何といっても、ECサービス
の「アマゾン」です。アマゾンは、世界に向けて強力な営業力を
持っており、世界中のメーカー、販売業者がアマゾンで自社商品
を扱ってもらいたいと考えています。アマゾンは、どのような人
がどのような商品を購入しているかのデータを保有しているので
小売業にとってアマゾンは不可欠なプラットフォームです。
─────────────────────────────
          EC小売 ・・ 47.3%
    販売業者向けサービス ・・ 22.0%
 サブスクリプションサービス ・・  6.8%
            広告 ・・  6.8%
           AWS ・・  6.6%
          店舗販売 ・・ 13.2%
           その他 ・・  0.5%
─────────────────────────────
           ──[ウェブ3/メタバース/018]

≪画像および関連情報≫
 ●GAFA徹底解説「4社の実態と今後の動向」
  ───────────────────────────
   米国のGoogle、Apple、Facebook、Amazon の4大ネット企
  業をGAFA(ガーファ)と呼ぶことに対し、中国の代表的
  な民間巨大企業で3大ネット企業のバイドゥ、アリババ、テ
  ンセントの3社を「BAT(バット)」と呼ぶ。中部大学特
  任教授の細川昌彦さんは、「中国は米国のGAFAをコピー
  した『BAT』で成功したが、国家主導が行き過ぎて、欧米
  の対中警戒感を強めてしまった。このままでは中国の『デジ
  タル覇権』は失敗する」という。
   GAFAは、「神にも擬せられる力をもつ」といわれる。
  共通するのは、市場の変化をとらえた戦略を大胆に編み出し
  ていくマネジメント能力の高さである。GAFAはインター
  ネットという市場を貪欲に開拓した。検索エンジン、音楽配
  信、SNS、eコマースなどの領域で、新しい稼ぎ方をいち
  早く見いだしていった。
   一方、日本の主要企業は、品質の高い製品を提供する管理
  能力には優れていたが、従前のビジネスモデルにとらわれて
  しまった。この差は、時価総額のちがいに現れている。米国
  の経済成長を支えてきたIT先端企業の成長期待が低下しつ
  つある。その1つが、2018年3月に起こったフェイスブ
  ックのデータ不正流出問題だ。グーグルに関しても、データ
  セキュリティ面への不安が高まっている。ユーザーの個人情
  報をどう管理・保護していくかは、多くのIT企業に共通す
  る課題だ。アマゾンに関しても、データ管理・保護に関する
  規制強化の影響は免れない。   https://bit.ly/3TyMgfi
  ───────────────────────────
エドワード・スノーデン氏.jpg
エドワード・スノーデン氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ウェブ/メタバース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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