2022年09月06日

●「イデオロギー強くこだわる習近平」(第5808号)

 中国経済が深刻化しています。中国という国がここまで発展し
軍事大国化しつつあるのは、中国経済の急速な発展・拡大があっ
てのことです。しかし、習近平という国家指導者は、かつての毛
沢東がそうであったように、経済運営よりもイデオロギーにこだ
わるタイプの政治家のようです。
 真に中国の経済をさらに発展させようと考えるならば、アリバ
バ、テンセント、摘滴出行などの民間企業の発展をもっと支援す
べきであるのに、その巨大化を恐れて、規制を必要以上に強化し
最終的には国有化しようと考えているようです。
 また、中国では、経済運営は中央財経委員会のトップである首
相の仕事ですが、習近平主席はその委員会のトップの地位を李克
強首相から取り上げたにもかかわらず、経済再生に力を入れると
いうよりも、思想というか、イデオロギーを浸透させることにこ
だわっています。つまり、李活強首相には、勝手なことをさせな
いようにしているように見えます。
 2021年11月8日、習近平主席は、中国共産党第19期中
央委員会第6回全体会議(6中全会)において、「歴史会議」な
るものを採択しています。自身の3期目就任を確実にするための
重要な布石のひとつです。ここで、いわゆる西側資本主義社会へ
の挑戦を勇ましく宣言しています。
 そしてその決議文には、毛沢東、ケ小平と自身を並べて、次の
ように自画自賛しています。その思い上がりを、誰も進言できな
いでいます。
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 中央政治局は、中国の特色ある社会主義の偉大な旗印を高く掲
げ、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、ケ小平理論に加えて
『三個代表論』(江沢民)、『科学的発展観』(胡錦涛)、そし
て、習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想を指針として
堅持した。科学技術の自立自強に向けた取り組みを積極的に進め
改革開放を不断に深化させた。貧困脱却の艱難攻略という戦いに
予定通り勝利した。(中略)
 『中華民族の偉大な復興』と『中国の夢』の実現であり、勝利
の栄光を勝ち取った中国共産党と中国人民は必ずや新時代の新た
な道のりで勝負することが可能と確信している。──宮崎正弘著
          『中国経済はもう死んでいる』/徳間書店
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 香港とマカオから自治を取り上げ、一国二制度の約束を踏みに
じったことについては、「愛国者による香港政治」、「愛国者に
よるマカオ統治」と言葉を置き換えています。都合の悪いことは
すべて「愛国」でごまかしています。危険な思想です。
 さらに今後の計画については、「四つの意識」「四つの自信」
「二つの擁護」「五位一体」「四つの全面」という漢詩的語彙を
きらびやかに並べています。習近平氏はこういう数字を頭に付け
た標語が好きなようです。
 ひとつずつ説明するのはやめますが、「四つの意識」「四つの
自信」「二つの擁護」について説明します。
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 ◎「四つの意識」
  政治、大局、核心、一致
 ◎「四つの自信」
  道、制度、理論、文化
 ◎「二つの擁護」
  @習近平国家主席の党中央と全党の核心としての地位を守る
  A党中央の権威と集中の徹底も擁護する
           ──宮崎正弘著/徳間書店の前掲書より
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 このあたりで、習近平なる中国の指導者が、とのような人物で
あるかについて知る必要があります。これについては、福島香織
氏の本を参考にしてご紹介します。
 江沢民、胡錦濤、習近平という中国の3人の国家主席を比較し
てみることにします。
 江沢民氏は、ケ小平元主席の指名によって、総書記、国家主席
に抜擢されてその地位に就いています。江沢民氏の回顧録による
と、「自分がその地位をちゃんと勤め上げられるほど優秀ではな
い」ということを認識していたといいます。しかし、江沢民氏は
それを優秀な部下を出身地の上海から呼び寄せることによって、
補うことができるリーダーだったといいます。そのため、上海出
身の優秀な役人たちによる上海閥が誕生します。
 江沢民氏の後の胡錦濤氏は、精華大学を実力で卒業したテクノ
クラートであり、まじめで謙虚で、ケ小平元主席に気に入られて
いた人材です。しかし、共産党政権のトップに立つには共産党政
権樹立に貢献したいわゆる「革命烈士」という「血統」が必要で
あり、そうでないとトップに立つのは困難だったといえます。
 しかし、胡錦濤氏は、茶葉行商人の息子で、革命の血統とは何
の関係もなかったのですが、チベット自治区書記時代の実績が評
価され、ケ小平元主席の評価も高かったので、トップに就くこと
ができたのです。
 これに対して、習近平氏は、精華大学化学工程部という名門大
学を卒業し、官僚キャリアを積んだ後、精華大学法学院で、法学
博士課程を修了しています。しかし、習近平氏が入学したときは
毛沢東の文化大革命中の最中であり、大学試験は中止されでおり
「工農兵学員」という名の模範的な労働者・農民・兵士に対する
無試験の推薦入学しか方法がなかったのです。
 習近平氏の場合、父親の習仲勲が失脚中ではあったものの、建
国元老の一人であり、いわゆるコネクションがあったのです。そ
のため、大学入学が無試験で許されています。
 しかも、官僚になってからも、父親のコネは大いにものをいい
いろいろな特別扱いを受けて、出世を重ねています。「習仲勲同
士の息子」のブランドは大いに役立ったといいます。
             ──[新中国・ロシア論/035]

≪画像および関連情報≫
 ●赤子情懐/習近平氏と父親の物語
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   「父がこつこつと中国人民のために尽くす姿は生涯を人民
  に奉仕する事業に全力を注ぎ込む上で、励ましとなった」。
  習近平国家主席は、父親の習仲勲氏について、長寿を祝う手
  紙の中でつづっています。
   習近平氏は「父から受け継ぎたい、吸収したい尊い品性が
  たくさんある」と述べています。その一つが「赤子情懐(祖
  国に忠実な人の心中にある祖国を愛する気持ち)」です。
           「私は農民の子だ」
   習仲勲氏は、「民衆の中から選出された民衆の指導者」で
  す。よく「自分は農民の子だ」と言い、常に自らを労働者の
  一員としていました。
   習仲勲氏は、20歳に満たないうちに中国北西部にある陝
  甘辺根拠地の創設に身を投じました。陝甘辺根拠地の創設を
  巡る闘争の中で党と民衆の間に築き上げられた固い絆を振り
  返り、「民衆の支持なくして、われわれの全てはない」と述
  べています。
   習仲勲氏が当時、陜甘辺根拠地で執務していた場所は毎日
  人で埋め尽くされていました。最も気心の知れた友人と見な
  されていたからです。習近平氏は「父方の祖父は農民で、父
  は農民から革命の道を歩んだ。私自身も7年間、農民として
  働いていた」と話しました。農家出身という素朴な感情は、
  ずっと心に刻み込まれています。https://bit.ly/3cJqULU
  ───────────────────────────
江沢民元主席/胡錦濤元主席.jpg
江沢民元主席/胡錦濤元主席
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 新中国論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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