2022年09月05日

●「公安司法を習主席の側近で固める」(第5807号)

 2022年9月3日付、日本経済新聞に中国の人事に関する次
の記事が出ています。
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◎習氏側近、最高検幹部に/司法・警察完全掌握へ布石
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 【北京=羽田野主】中国の国会に相当する、全国人民代表大会
(全人代)常務委員会は2日、中国湖北省トップの党委員会書記
だった応勇氏を最高人民検察院(最高検)副検察長に任命する人
事を決めた。応氏は習近平総書記(国家主席)の側近として知ら
れる。今回の人事は習氏が目指す司法・警察部門の完全掌握に向
けた布石とみられる。──2022年9月3日付、日本経済新聞
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 習近平主席の2期10年は、今から考えると、自身の政敵を排
除するための10年間だったといえます。今回の人事の対象者で
ある応勇氏は、2000年代に習近平氏が浙江省のトップだった
とき、高等人民法院長を務め、習氏の信頼を得て、習近平氏の側
近として知られている人物です。
 しかし、今年の4月に一転名誉職に転任し、そのまま引退する
ものとみられていたのです。しかし、今回の人事で、来年3月に
は検察長(検事総長)に昇格することは確実とみられます。そも
そも公安・司法部門は、これまで周永康氏らの習近平氏の敵対勢
力が長く支配してきており、習氏の権力掌握が最も遅れていた分
野とされ、今回の人事は習氏が抜擢したものと思われます。
 公安系の人事といえば、6月14日には、中国共産党常務委員
会は、王小洪氏を公安部長に起用しています。王小洪氏も習主席
の福建省時代からの側近で、2021年には、公安省内党組織の
トップを務めていましたが、今回の人事で「閣僚ポスト」に格上
げされたことになります。出世です。
 ちなみに、中国公安というのは、CIAとFBIを兼ねたよう
な組織であり、外国人や反政府活動家、自由派弁護士などを監視
するとともに、共産党幹部の動向も見張っているのです。
 いわゆる習近平派が、公安の主導権を握りつつあることについ
て、中国ウオッチャーの一人である宮崎正弘氏は、次のように解
説しています。
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 過去10年、公安部は反習近平の牙城と見られ、なかなか手を
出せなかった。歴代最高幹部の秘密を握っていたからだ。不穏な
空気が支配していたため、時間をかけての追撃となり、人事で締
め付け嘗て公安系を牛耳った周永康人脈を完全に排除した。習近
平は10年の時間をかけて、執拗な権力闘争をへて公安系の主導
権を握ったのである。
 王小洪は習近平が福州市党委書記だった1990年代に同市公
安局副局長。習の政権発足後に北京市公安局長、2016年から
公安次官を務めていた。権力中枢を見張っていたのである。北京
でクーデターを未然に防ぐには、警備担当と公安の掌握が独裁者
にとって第一の重点課題だ。信頼できる部下以外に任せるわけに
はいかないのである。習近平が公安系にメスを入れた理由は軍事
委員会を掌握できたという自信が背景にあり、目の上の癌だった
周永康系の残党=孫力軍次官や停政華・前司法相らを規律違反な
どを口実として摘発した。          ──宮崎正弘著
 『ウクライナ危機後に中国とロシアは破局を迎える』/宝島社
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 このように、習近平主席の3期目就任は、盤石のものとなりつ
つあり、10月6日の共産党大会において、3期目(5年)に就
任するものと思われます。
 しかし、その一方で、中国経済は、過剰ともいえるコロナ対策
もあって、深刻になりつつあります。2022年4月の時点の経
済の情勢は次のようになっています。
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        自動車販売 ・・・ ▼40・0%
       住宅販売価格 ・・・ ▼32・2%
      不動産販売価格 ・・・ ▼29・5%
     住宅新規着工面積 ・・・ ▼26・3%
        飲食店収入 ・・・ ▼23・0%
       パソコン販売 ・・・ ▼17・0%
          小売り ・・・ ▼11・0%
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 これに加えて、中国の景況感を示す指数として「PMI」があ
ります。PMIとは、次の言葉を省略したものです。
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         PMI=購買担当者景気指数
         Purchasing Manager's Index
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 「PMI」とは、企業の購買担当者らの景況感を集計した景気
指標のひとつです。国別や、製造業、サービス業ごとの集計も行
われています。PMIの指標の見方としては、50を判断の分か
れ目とし、この水準を上回る状態が続くと景気拡大、50を下回
る状態が続くと景気減速を示します。
 中国国家統計局は、4月のPMI(製造部門)は47・4と発
表しています。3月よりも2・1ポイント低下し、2カ月連続で
50を大きく割り込んでいます。3月も悪かったが、4月がさら
に悪くなった理由のひとつに、上海のロックダウンがあります。
 一方、中国の著名メディアと研究機関が一体化した「財新」に
よると、4月のPMI(製造部門)は46で、国家統計局よりも
低く、こちらの方が正しいと考えられます。この同じ財新が5月
5日に発表した数字によると、4月の中国のサービス部門のPM
Iは36・2、前月4月の42から大幅にダウンしています。こ
れは、財新の2005年11月の統計開始以来、2番目に悪い数
字になっています。中国経済はここまでダウンしているのです。
             ──[新中国・ロシア論/034]

≪画像および関連情報≫
 ●中国よこれで「共産主義国」か!不動産経済崩壊で大失業
  時代到来とは/現代ビジネス
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   7月中旬から8月中旬にかけて、中国国内の各業界や企業
  あるいは政府当局が一連の経済関連数字を公表したが、それ
  らを一目で見れば、中国経済全体は今、地滑り的な沈没が起
  きている最中であることが分かる。
   例えば7月11日、中国汽車(自動車)工業協会が発表した
  ところによれば、今年上半期、中国の全国自動車販売台数は
  1205・7万台、前年同期比では6・6%減となった。
   「6・6%減」は数字上では大きなマイナスではないが、
  裾の広い自動車産業が経済全体に占めるウエートの大きさか
  らすれば、自動車市場の衰退は中国経済にとっての大打撃で
  あることに変わりはない。
   7月21日、国内各経済紙が報道したところによると、今
  年上半期、中国3大航空会社の中国国際航空・東方航空・南
  方航空は合わせて470億元(約9150億円)の赤字を計上
  したという。ゼロコロナ政策による人的流動の制限もあって
  中国の航空業界は今、未曾有の大不況に見舞われているので
  ある。8月10日、中国を代表するIT大手のアリババグル
  ープは今年第2四半期の営業成績を発表した。グループ全体
  の純利益は前年同期比で53%減となったことがこれで判明
  された。同じ日に、国内各経済紙が一斉に、アリババに関す
  るもう1つの重大ニュースを伝えた。今年上半期、グループ
  全体は何と1万3616人の従業員を解雇したという。
                  https://bit.ly/3enqtYl
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最高検副検察長/応勇氏.jpg
最高検副検察長/応勇氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 新中国論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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