2022年04月06日

●「ウクライナは緩衝地帯であるべき」(第5705号)

 ズビグネフ・ブレジンスキーによるソ連邦崩壊後の米国の外交
指針を振り返ります。米国は、西側からはNATO、南側からは
中東諸国との同盟、東側からは日米同盟の3方向からユーラシア
大陸を取り囲み、ユーラシア大陸にはいなくても、覇権国家とし
て、そこを事実上支配する──壮大な外交戦略です。
 この外交戦略を壊したのは、ブッシュ(子)大統領です。20
01年9月11日のテロが起きると、ブッシュ政権は、確たる証
拠もないのに「イラクは大量破壊兵器を保有している」という情
報に基づいて、いきなり戦争を仕掛けたのです。中東諸国の民主
化を企てるという途方もない目標を掲げての戦争です。これは、
現在起きているロシアによるウクライナ侵攻に酷似しています。
 イラクの侵攻については、父親のブッシュ政権も行っています
が、こちらは、十分な配慮をもって行っているのです。戦争の原
因は、イラクのフセイン大統領が、隣国クウェートに軍を侵攻さ
せたことにあります。
 ブッシュ(父)大統領は、武力による侵略は黙認できないと考
えて、辛抱強く国際包囲網を築き、国連安全保障理事会決議とい
うお墨付きを得て、武力行使に踏み切っています。しかも、短期
間の戦闘でイラク軍をクウェートから追い出し、そこで軍事作戦
を止めています。米国の大統領としてきわめて思慮深い適切な対
応であったといえます。
 しかし、ブッシュ(子)大統領は、本気でイラクのフセイン大
統領を潰しにかかったのです。しかも、国連安全保障理事会の許
可があるかどうか明確でないまま、イラクへの攻撃が行われたこ
とです。ブッシュ(父)大統領の慎重さに比べると、大きな違い
があります。
 この戦争は、ブレジンスキーの戦略である「南側の中東諸国と
の同盟」を不安定にするだけの愚挙であったことは確かです。し
かも、肝心の大量破壊兵器は発見できなかったのですから、お粗
末の極みといえます。だからこそ、今回のロシアによるウクライ
ナ侵攻を猛烈に批判する米国に対し、ロシアは「イラク戦争で米
国も同じことをやっているじゃないか」と批判を返しています。
 この米ブッシュ政権の愚挙に関して、真っ先に賛成したのは、
当時の日本の小泉政権です。
 これに関して、中野剛志氏は、日本の対応について、次のよう
に厳しく批判しています。
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 私は、2003年にイラク戦争が起こったときに、「これはま
ずい」と思いました。これで、アメリカの覇権国家としての寿命
が縮まる、と。
 アメリカがフセインを叩き潰すのは簡単かもしれないけれど、
フセインがいることでなんとか均衡状態を保っていた中東は混乱
を極めて、泥沼状態になるに違いない。そうなれば、アメリカは
もっとはやく疲弊していくことになる。当時、私はイギリスのエ
ディンバラ大学に留学して、経済ナショナリズムの研究を深めて
いたこともあって、そう直観しました。
 ところが、その頃、日本では、大多数の識者が「日米同盟が大
事だから、イラク戦争賛成」などと言ってましたが、「バカな・
・・」と思いました。アメリカの覇権が衰えればアメリカの一極
体制で最も恩恵を受けていた日本が最もまずいことになります。
本当はあのとき、日本は「日米同盟が大事だから、イラク戦争反
対」と主張すべきだったんです。   https://bit.ly/37gaVC9
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 ブレジンスキーはかねてからこういっていたのです。「NAT
Oの東方拡大によってウクライナまでを米国の勢力圏に収める。
ロシアは西洋化し、無害化すればよい」と。エリツィン政権なら
それは十分可能であると考えたのでしょう。
 しかし、ロシアでは、その後、プーチンが政権を握り、かつて
の軍事大国ソ連の復活をひそかに狙っていたのです。そのさい、
ロシアの立場に立つと、ポーランドやバルト3国まではNATO
加盟を何とか容認したものの、ウクライナのNATO加盟だけは
絶対に許せない限界だったのです。
 なぜなら、ロシアにとって、もしウクライナが敵国に回ると、
黒海に出る道をすべて奪われてしまうし、もし、ウクライナにミ
サイルを置かれると、ロシアは米国によって本当に無害化されて
しまうと考えたからです。そこで、2014年にウクライナにお
いて、親ロシア政権が倒れ、親ヨーロッパ派による政変が起きた
とき、ロシアは慎重に作戦を練り、ウクライナに侵攻してクリミ
アを奪取したのです。今考えると、今回の事態は、プーチン大統
領の考え方に立てば、十分予測できたことであったといえます。
 今回のロシアによるウクライナ侵攻について、米国の戦略の失
敗であると、中野剛志氏は次のように述べています。
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 この結末を予測していたアメリカの要人もいました。たとえば
冷戦初期のアメリカの外交政策立案者で、ソ連の封じ込めなどの
戦略を立てたジョージ・ケナンです。彼は、1998年当時、N
ATOの東方拡大はロシアの反発を招くとして強く反対していま
した。しかし、アメリカは「攻撃的」な戦略をとってしまった。
そして、ウクライナ侵攻を目の当たりにしたブレジンスキーは、
「欧米諸国はウクライナをNATOに引き込むつもりはないとロ
シアに保証するべきである」と言わざるを得なくなったんです。
 ヘンリー・キッシンジャーが「西側諸国はウラジミール・プー
チンのことを悪魔のごとく扱うが、そんなものは政策ではない。
政策欠如の言い訳に過ぎない」と断じましたが、結局のところ、
東ヨーロッパの現実を冷徹に見据えれば、ウクライナを西側陣営
に組み入れようとするのではなく、ロシアとの間の中立地帯とし
て、緩衝地帯におく「防衛的」な戦略が、賢明だったということ
です。               https://bit.ly/3LCZjIi
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              ──[新しい資本主義/062]

≪画像および関連情報≫
 ●ロシアはなぜウクライナに侵攻したのか?背景は?
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   ロシアはなぜウクライナの軍事侵攻に踏み切ったのか?そ
  の背景を、ロシアの外交・安全保障の専門家などに詳しく聞
  くと、2つのキーワードが浮かびあがってきました。
   @  「同じルーツを持つ国」
   A「NATOの”東方拡大”」
  そもそもから、わかりやすく解説します。
   それを知るカギは、30年前のソビエト崩壊という歴史的
  な出来事にさかのぼる必要があります。
   もともと30年前まで、ロシアもウクライナもソビエトと
  いう国を構成する15の共和国の1つでした。ソビエト崩壊
  後、15の構成国は、それぞれ独立して新たな国家としての
  歩みを始めました。
   これらの国では新しい国旗や国歌が制定されました。ソビ
  エト崩壊から30年たっても、ロシアは同じ国だったという
  意識があり、とりわけウクライナへの意識は、特別なものが
  あると言われています。
   ロシアの外交・安全保障政策に詳しい笹川平和財団の畔蒜
  泰助主任研究員は、ロシアとウクライナの関係を考えるうえ
  ではさらに歴史をさかのぼる必要があると指摘しています。
  8世紀末から13世紀にかけて、今のウクライナやロシアな
  どにまたがる地域に「キエフ公国=キエフ・ルーシ」と呼ば
  れる国家がありました。    https://bit.ly/3qWCO91
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ジョージ・ケナン.jpg
ジョージ・ケナン
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(1) | 新しい資本主義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
【虐殺動画はすべてフェイクで虐殺犯人はアゾフである証明】
hougakumasahiko.muragon.com/entry/332.html
blog.livedoor.jp/gensenkeijiban-bousou/archives/56497641.html
【第331回字幕あり】キエフから撤退したロシア軍は地雷を…?/張陽チャンネル
youtube.com/watch?v=Rq9FO2ehJjE
豊岳正彦
皮肉を言ってるね。まああの動画全部フェイクなのは見た瞬間からわかったけど。だって停戦する用意があるロシアが地雷を埋めるわけがないし、民家にロシア兵から奪った服を着てアゾフが押し入ったり強姦したりロシア兵を殺してガソリンで焼いたりする時間はいくらでもあったがロシア軍にそんなことをする暇はなかったし。ロシア人もウクライナ人も同じ人種だから服を着るだけで簡単に化けることができるがウクライナには化ける必要があってもロシアには化ける必要が無いし。地雷もクラスターも生物兵器も毒ガスも放射能も気化爆弾もロシアは使う必要がないから持っていくはずがないし。余計なものを持って行くと燃料が無駄だし。ロシア兵に化けたアゾフが変な配信してロシア国内世論をかき乱す理由はあってもロシアにはウクライナ国民の世論をかく乱する必要はないし。ぜれんすきーはキエフで敵を撃退するほど強い軍隊を持ってるのになぜ泣いて武器をくれと言ったりプーチンを殺せみたいなことをあおるのか、本当に優勢なのか劣勢なのかまるで負け戦のみじめなこじきの物乞いだ。ポーランドからウクライナの偽旗作戦用にロシアの旧式戦車が大量にキエフに届いたが、これを見てもキエフが安全だとわかる。安全なキエフに初めてぜれんすきーが地上で歩いたが、ポーランドに避難してたことがばれた瞬間だね。ということはキエフにぜれんすきーは一瞬もいなかったということだ。大ウソつきだ、この裸芸人は。ポーランドはバイデンの命令でロシア製の戦車をトラックで運んだがその道筋に地雷がなかったからこそぜれんすきーはそのトラックでポーランドからキエフに入ることができた。あの女性が大統領に感謝すると言ってたが、そんな女性などこの世にいないぜ普通。ヘタな役者ぞろいだよ。全部フェイクだね。ロシアの発表だけが正しい。キエフはもう安全だから日本が自衛隊の飛行機で科捜研を送り込んでキエフの遺体の検視や地雷や強姦や暴行殺人の現場検証をして犯人を特定すればすぐにウソがばれてしまう。日本の警察はまあ優秀なほうだから、ウクライナで嘘はつかないさ。だから民間人を殺した犯人はキエフに中立国の警察が外国から入ってもらったら非常に困るわけだ。これが地雷を埋めた理由である。ロシアは困らない自分はやってないから。だから民間人虐殺の犯人はウクライナだよ、それがぜれんすきーが停戦できない理由なのさ。QED証明終わり。
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Posted by 豊岳正彦 at 2022年04月06日 10:54
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