現します。
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「税金+借金」→「政府支出」 ・・ 家計と同一のモデル
「政府支出」→「税金+借金」 ・・ 通貨発行体のモデル
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ステファニー・ケルトン教授は、この2つのモデルについて相
当悩んだようです。ケルトン教授は、自著のなかで、自分が「政
府支出」→「税金+借金」のモデルを理解するまでのことを次の
ように明かしています。
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「税金+借金」→「政府支出」が支配的な見解になっているた
めに、たいていの人はおそらくそれに近いイメージを持っている
のだろう。国家の財政の仕組みについてじっくりと考えたことの
ない人でも、政府が必要な資金をまかなうには国民のお金が必要
なのだと思っている。(中略)課税と政府支出の実態について、
このような考え方に初めて触れたときには、私もぎょっとした。
モズラーによると、政府はまず支出をし、それから課税や借り
入れをするという。これは、サッチャーの発言のまったく逆で、
「政府支出→(税金+借金)」という図式になる。モズラーの説
明では、政府は誰か費用をまかなってくれる人を探すことなどせ
ず、さっさと支出することによって自国通貨を生み出す。モズラ
ーはほとんどの経済学者が見落としていたことに気づいた。その
考えは当初独創的なものに思われたが、実は大部分はそうではな
かった。私たちが知らなかっただけだ。モズラーの主張はアダム
・スミスの『国富論』、ジョン・メイナード・ケインズの『貨幣
論』など、経済学の古典にすでに書かれていたものだ(そして経
済学者ものちにそれに気づいた)。人類学者、社会学者、哲学者
なども、はるか昔に通貨の本質や税の役割について同じような結
論に達していたが、経済学者は大きく後れを取っていた。
──ステファニー・ケルトン著/早川書房刊
『財政赤字の神話/MMTと国民のための経済の誕生』
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文中の「サッチャーの発言」というのは、2月25日のEJで
ご紹介した発言で、「国家には国民が自ら稼ぐ以外に収入源はな
い。国家が支出を増やそうと思えば、国民の貯蓄から借りるか課
税を増やすかしかない」というものです。これは「税金+借金」
→「政府支出」のモデルそのものです。
ケルトン教授の発言で重要なことは、「政府支出→(税金+借
金)」のモデルは、経済学の古典にすでに書かれていたものであ
るという部分です。主流派の経済学者も後になってそれに気がつ
いたが、今さらそれをいうと、自分の理論構築に支障をきたすの
で、MMTをトンデモ理論扱いにしているフシがあります。だか
ら、発言がどうしても感情的になるのです。
もちろん税は、納税のためにだけあるのではありません。いろ
いろなことに活用できます。これに関して、中島剛志氏と記者の
やり取りは次のように展開されています。
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中野:民間経済が成り立つためには、取引や貯蓄など、納税以外
の目的で流通する貨幣が存在していなければなりません。つま
り、貨幣をすべて税として徴収せずに、民間に残しておかなけ
ればならないんです。
ということは、「財政支出>税収」の財政赤字でなければ通
貨が流通しないということになります。もっとも、銀行が信用
創造をやりまくっていたら、財政は黒字になるかもしれません
が、それはバブルという異常な状況でしょう。ですから、MM
Tは、「正常なケースは、政府が財政赤字を運営していること
すなわち税によって徴収する以上の通貨を供給していることで
ある」と結論づけるのです。
――「財政赤字が正常な状態」というのは驚きですが、たしかに
そういう理屈になりますね。
中野:しかも、日本は20年もデフレに苦しんでいるわけですか
ら貨幣供給量を増やさなければならないわけですよね?にもか
かわらず、日本は一生懸命、財政支出を抑制することで貨幣供
給量を抑制するとともに、この20年間で3度も消費増税をす
ることで貨幣供給量を減らす努力をしてきたことになります。
――それでは、デフレから脱却できないのも当たり前ということ
になりますね。
中野:ええ。「財政赤字をこれ以上、増やすべきではない。政府
の借金の財源を確保するために、消費税の増税が不可欠だ」と
いう通説が、あたかも良識であるかのようにまかり通っていま
すが、これは、信用貨幣論を理解している人間からすれば「デ
フレを悪化させて、国民をもっと苦しめたい」と言っているに
等しいのです。
――そうだとすれば、実に恐ろしいことですね・・・。
https://bit.ly/3wlWiaF
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ほぼ30年間、まったく経済が成長していない日本──これは
明らかに国の経済政策が完全に間違っています。税は市場から資
金を引き上げ、貨幣量を減らす効果を持ちます。増税は、金融引
き締め政策であり、不況が拡大し、デフレがさらに一層深化する
だけです。「新しい資本主義」を掲げる岸田政権は、果たしてこ
の状況を変えることができるのでしょうか。
安倍政権は、「リーマンショック級の出来事があれば消費税率
を引き上げない」といっていましたが、リーマンショックをはる
かに超えるコロナショックが起こっているのに、一度引き上げた
税率を頑なに下げようとしません。矢野財務次官は論文において
「消費税の引き下げは問題だらけで甚だ疑問」であると書いてい
ます。彼らは一度上げた税率を一時的でも絶対に引き下げないと
いっているのです。 ──[新しい資本主義/第054]
≪画像および関連情報≫
●支援金の財源は「税金」ではない?経済学の新理論
MMTを解説
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米国では世界最多となる150万人以上の新型コロナウイ
ルスの感染者数が確認されている。今回のコロナ禍で、もっ
とも大きな影響を受けている国の1つといえるだろう。
米連邦政府は、新型コロナウイルスへの対策や、企業や家
計への支援をするために、第2四半期に過去最大の3兆ドル
(約320兆円)の借り入れをする方針を明らかにしたが、
これで債務残高は25兆ドル(約2560兆円)の大台を突
破することが確実視されている。
このように新型コロナウイルスへの対応に伴い政府の債務
残高が膨れていく環境下、先ほど紹介した記事のなかで、米
国の中央銀行に当たる米連邦準備制度理事会(FRB)の元
議長であったベン・バーナンキは、以下のような考えを披露
している。
司会者:FRBが支出に用いたのは税金だったのですか?
バーナンキ:いえ、税金ではありません。私たちはただ、コ
ンピューターを使って操作しただけです。
大学生たちが疑問に思ったポイントは、ここだった。景気
が悪くなれば、政府が財政出動をするのは教科書通りだが、
財源を確保するためには税収が必要だと思っていたのに「コ
ンピューターを操作しただけ」とバーナンキが答えた意味が
わからなかったという。 https://bit.ly/3wqwJ8v
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MMTを講義するケルトン教授