えているのは約3分の2。残り3分の1は新規国債で賄っている
状態」といっていますが、2021年度予算で、事実を数字で確
認してみます。
2021年度予算の一般会計歳出総額は、106・6兆円です
が、その内訳は次のようになっています。
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社会保障 ・・・ 33・6%(35・8兆円)
国債費 ・・・ 22・3%(23・8兆円)
地方交付税交付金等 ・・・ 15・0%(15・9兆円)
公共事業 ・・・ 5・7% (6・1兆円)
文教科学振興 ・・・ 5・1% (5・4兆円)
防衛 ・・・ 5・0% (5・3兆円)
その他 ・・・ 13・4%(14・3兆円)
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要するに、2021年度においては、これだけのお金が必要に
なるということですが、これに対する歳入の内訳は、次のように
なっています。
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所得税 ・・・ 17・5%(18・7兆円)
法人税 ・・・ 8・4% (8・4兆円)
消費税 ・・・ 19・0%(20・3兆円)
その他税収 ・・・ 8・9% (9・5兆円)
その他収入 ・・・ 5・2% (5・6兆円)
公債金 ・・・ 40・9%(43・6兆円)
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2021年度予算の国の一般会計歳入106・6兆円は、税収
等と公債金(借金)で構成されますが、税収等では歳出全体の約
3分の2しか賄えておらず、そこりの3分の1は公債金(借金)
に依存しています。質問者の指摘の通りです。
これでみると、消費税の税収は、所得税・法人税よりもダント
ツに大きく、歳入全体の19%を占めています。財務省が消費税
率の引き上げにやっきになる気持ちはわかります。
日本経済はバブル崩壊後の1990年度を境に低迷し、税収は
減少傾向にあります。つまり、出て行くお金が大きく、入ってく
るお金が少ないのですから、歳出と税収の差は開くばかりです。
これを「ワニの口」のように開くばかりと例えるのです。
以上のことを前提として、議論は今日から核心に入ります。中
野剛志氏によると、主流派経済学者は重要な事実誤認をしている
といっています。
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中野:実はなぜこんなことになるのか、「国債金利が高騰する」
「財政破綻する」と言い続けてきた経済学者もまともに説明で
きていません。いや、説明できるはずがないんです。というの
は、彼らが根本的な「事実誤認」をしているからです。
――事実誤認ですか?
中野:ええ。あなたは先ほど「民間の金融資産(預金)が豊富に
あるから、銀行は国債を引き受けることができる」とおっしゃ
いましたね?つまり、銀行が国債を買う原資は民間が銀行に預
けている金融資産だというわけです。そして、政府は、国債を
発行することで民間の金融資産を吸い上げて、それを元手に財
政支出を行っているのだから、国債を発行すればするほど民間
の金融資産は減ると考えているわけですよね?
――そうですね。
中野:しかし、そこが、決定的な間違いなんです。事実は逆で、
「国債を発行して、財政支出を拡大すると、民間金融資産(預
金)が増える」んです。
――ちょっと理解できません・・・。「国債を発行して、財政支
出を拡大すると、民間金融資産(預金)が増える」なんてこと
があるわけないじゃないですか?
中野:しかし、それが事実です。理解できないのは、あなたが、
「貨幣とは何か?」を正しく理解していないからです。もっと
も、主流派経済学も貨幣について正しく理解していません。さ
きほど、「世界中の経済学者や政策担当者が受け入れている主
流派経済学が大きな間違いを犯していることを、MMTが暴い
てしまった」と言いましたが、このポイントがまさにそれなん
です。 https://bit.ly/34E0K9C
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毎年毎年長期にわたって、国債の残高が積み上がっていること
は動かすことのできない事実です。「借金が積み上がっている」
わけです。質問者は、このような状態でも国債が発行できている
のは、民間の金融資産(預金など)が豊富であるから、銀行など
の金融機関が国債を引き受けてくれているというのです。
しかし、毎年のことですから、そのようにして政府が民間の金
融資産を吸い上げていくと、金融資産は減少し、やがて国債を引
き受けられなくなる──国債を発行すればするほど、民間の金融
資産は減ると考えているわけです。
これに対して、中野剛志氏は、そこが決定的な間違いであると
指摘し、次のようにいっているのです。
─────────────────────────────
国債を発行して、財政支出を拡大すると民間金融資産(預金)
が増える。それが理解できないのは、「貨幣とは何か?」という
ことを正しく理解していないからである。 ──中野剛志氏
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国が借金をしているといっても、国が返す円というお金自体を
発行しているのですから、国がお金を返せなくなるという事態は
発生しえないわけです。
この中野氏のMMTロジックについては、来週のEJで掘り下
げることにしたいと考えています。
──[新しい資本主義/第031]
≪画像および関連情報≫
●財務次官のバラマキ政策批判が話題、国の借金「ワニの口」
はなぜ開き続けるのか
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ワニの口とは、一般会計の歳出と税収の推移を示す折れ線
グラフが「ワニの口」のようにどんどん開いていく状態をた
とえた表現です。矢野次官が平成10年頃に命名したもので
す。なぜ、歳出と税収で乖離が生まれてきたのかと言えば、
歳出を増加せざるを得ない事情がその都度生じてきたからで
す。ワニの口が開き始めたのは、1990年ですが、この時
はバブルが崩壊して株価や不動産価格が暴落しました。政府
は、その後、経済対策として公共投資、減税、地域振興券の
配布、規制緩和などを行いました。その結果、歳出は増え、
税収が減ったので、ワニの口が開きました。1999年にな
ると、ITバブルにより株価が上昇し、税収が増え、歳出も
減少に転じました。2001年から小泉政権となり、道路公
団民営化や郵政民営化など行政改革に取り組み、歳出削減も
なされたため、ワニの口は閉じかけました。
ところが、2008年にリーマンショックが起こり、政府
は2009年4月、「経済危機対策」を発表し、国民1人に
つき、1万2000円(18歳以下と65歳以上は2万円)
の「定額給付金」が支給されました。そのためワニの口は再
び広がりました。2014年になると、アベノミクスによる
る効果と、消費税を8%に引上げたことによる税収の増加に
よって、ワニの口は閉じてきました。さらに、2019年に
消費税を10%に引上げ、さらに税収を増やそうとしました
が、新型コロナウイルスの感染拡大によって、2020年、
大幅に歳出の増加をせざるを得ない状況となりました。この
ように、ワニの口が広がったのには理由があるわけです。
https://bit.ly/3oTpeT9
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「貨幣が理解できていない」/中野剛志氏