2021年12月02日

●「ディーファイにはリスクがひそむ」(第5625号)

 ディーファイ「DeFi/ディーファイ」、分散金融の主要なサー
ビスの一つは、DEX、すなわち、分散型取引所です。これにつ
いては既に説明が終わっています。主要なサービスのもうひとつ
は「レンディングプラットフォーム」です。
 これをはじめたのは、暗号資産融資サービスのコンパウンドで
主にイーサリアムを利用した暗号資産のレンディングサービスを
提供しており、貸し手と借り手をスマートコントラクトの技術を
使って結びつけるのが特徴です。
 コンパウンドでもユニスワップと同様に「プール」の仕組みを
導入しています。ユーザーがウォレットを経由して、自分が保有
している暗号資産を預け入れたり、暗号資産を借り入れたりでき
ます。借りる場合は、借り入れ額の150%を担保にする必要が
あります。
 借り入れ利率は、暗号資産によって異なり、需給バランスに応
じて変動します。年利はいろいろで、年利6%〜20%になる場
合もあり、通常の金融商品に比べて収益性が高いといえます。
 プールの仕組みが使われるということは、このレンディングシ
ステムは、貸し手と借り手を直接マッチングさせるのではなく、
ユーザーはプールに暗号資産を貯め込むだけでよいのです。この
資金はコンパウンドが預かるのではなく、ブロックチェーン上に
ロックされ、後はプログラムによって管理されます。
 暗号資産をプールに預け入れると、「c Token」 が交付されま
す。これは「債権トークン」とも呼ばれています。cToken には
一定の利率が付与され、暗号資産を引き出すときには、利子が上
乗せされて戻ってくるようになっています。cToken を取引所に
おいて売却することも可能です。
 もし、自分がプールした暗号資産が借り入れに使われた場合は
cToken に加えて、借り入れ利率もつくことになります。202
1年5月現在、コンパウンドのプールにロックされている資金は
約81・5億ドルです。
 ディーファイのこの記事は、野口悠紀雄教授のレポートを参考
に書いていますが、野口教授は、ディーファイに関する日本のプ
ロジェクトはほとんどなく、あわてて手を出すにはリスクがある
と警告し、次のように述べています。
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 金融安定理事会(FSB)は、2019年に分散化金融技術に
関する報告書を公表し、「金融システムの分散化は競争の拡大と
多様性をもらたす可能性がある」と指摘する一方で、「法的責任
の曖昧さや消費者保護に関する不確実性」に言及した。
 日本でも、一部でディーファイが注目されているが、それは高
い収益性を狙うことができるからだ。ウェブにあるディーファイ
関連の記事は、「ディーファイでどう稼ぐか」といったものが多
い。ディーファイが新しい世界を作る可能性はあるもの、現時点
でディーファイが提供するサービスは、ディーファイのの世界に
とどまっており、現実の経済活動とリンクしていない。だから現
在、ディーファイへの投資で高い収益率を挙げられるのは資金が
流入し続けているからだ。その意味ではバブルと言うことができ
る。私が残念に思うのは、日本発のディーファイプロジェクトが
ほとんどないことだ。ディーファイは、将来の金融として大きな
可能性を持っている。        https://bit.ly/3liiGLU
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 ネット上でディーファイに関するレポートを探してみたところ
2021年6月21日付、日本経済新聞電子版において、金融工
学エディターの小河愛実氏は、次のレポートを発表しています。
ディーファイは、完全無人のサービスであるので、当然リスクは
高いといえます。似たような仕組みのユニスワップでは、現在、
3つのバージョンのサービスが並列で動いているといわれます。
問題が発生してもシステムを修正できないからです。
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 ◎仮想通貨「無人」取引が増加 本人確認不要の分散型金融
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 分散型金融(DeFi/ディーファイ) と呼ばれる暗号資産(仮
想通貨)市場の新しい仕組みが広がっている。仮想通貨の売買や
貸し借りなどを「無人」で提供する。200種類以上の金融サー
ビスがあり、土台となる資産のプールは5月中旬には約9兆円を
超えた。ただ、本人確認なく利用できる匿名性の高さや利用者保
護の仕組みが不十分など、リスクも多い。
 「仮想通貨の乱高下などどこ吹く風という人気ぶりだ」。国内
仮想通貨交換業の関係者はあきれ顔だ。5月はビットコインなど
の価格が急落し利用者が減るなかでもディーファイのサービスの
利用者は増え、1カ月前に比べ3割増の270万人となった。
 仮想通貨を売買する場合、通常は仮想通貨交換業者が管理する
取引所を使う。ディーファイでは取引所など第三者を介さない。
代表的なブロックチェーン、イーサリアムで使われている「スマ
ートコントラクト」というプログラムで運用される「無人」のサ
ービスだ。(一部略)
 プログラムの中身や各種サービスの運用条件などは開示されて
おり、利用にあたって国籍や氏名など個人情報は求められない。
誰でもサービスを使えるほか、新たにサービスを開発することも
自由だ。金融機能が十分ではない国や地域でもネットさえあれば
利用できるので、爆発的に利用が増えている。
 ただ、高い利便性の裏返しで課題は多い。DeFiは仕組み上、サ
ービスを止めたり、補修する権限を持つ人が世界中に無数に散ら
ばっている。ユニスワップは3つのバージョンのサービスが並列
で動いているが、これは一度立ち上げたサービスを止めることが
難しいためだ。安全面の問題などが出てきても、すぐにシステム
を修正できない恐れがある。https://s.nikkei.com/3D6BcwO
      ──2021年6月21日付、本経済新聞電子版
─────────────────────────────
            ──[デジタル社会論V/079]

≪画像および関連情報≫
 ●分散型金融コンパウンド、非暗号資産企業・金融機関向け
  サービス提供の開始
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   分散型金融(DeFi)プロトコルのコンパウンドを運営する
  コンパウンド・ラボが新会社コンパウンド・トレジャリーを
  設立したことを6月27日に発表した。コンパウンド・トレ
  ジャリーのビジョンは暗号資産(仮想通貨)に関わっていな
  い金融機関の10億人ユーザーに分散型金融の根源的メリッ
  トを提供するための架け橋となることのようだ。
   コンパウンド・トレジャリーは機関投資家や金融機関向け
  にディーファイのコンパウンド・プロトコルのサービスを提
  供するための企業だ。具体的にコンパウンド・トレジャリー
  はカストディ企業ファイヤーブロックスとサークルと協力し
  て、ネオバンクやフィンテックスタートアップ、およびその
  他の米ドルの大口保有者が、秘密鍵管理、暗号資産から法定
  通貨への変換を行うサービスを提供する。
   またコンパウンド・トレジャリーは金利変動を含むプロト
  コル関連の複雑性を排除して、コンパウンド・プロトコルの
  米ドル市場で利用可能な金利にアクセスできるようなプロダ
  クトと資金の流れを構築した。ユーザーは、コンパウンド・
  トレジャリーの口座に米ドルを送金することで、年4%の固
  定金利が保証されるとのことだ。この口座は24時間対応で
  いつでも口座への入金・出金が可能で、最低金額、最大限度
  額固定期間も存在しないとのこと。またユーザーは毎月監査
  可能な詳細な預金残高報告書を入手することができるようで
  ある。             https://bit.ly/3FQwl4w
  ───────────────────────────
ディーファイに預けられている資産総額.jpg
ディーファイに預けられている資産総額
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | デジタル社会論V | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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