2021年11月24日

●「なぜいまブロックチェーンなのか」(第5619号)

 LINEトークン・エコノミーについて、多くの情報が集まっ
てきています。そのなかで、2018年11月21日、LINE
株式会社のエンジニア向け技術カンファレンス「LINEデベロ
ッパーデイ/2018」における同社ブロックチェーン・ラボの
那須利将氏による講演はとても参考になったので、難しい部分は
省いてご紹介します。
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 ◎なぜ、ブロックチェーンなのか?
 LINEトークン・エコノミーのねらいとアーキテクチャー
                  https://bit.ly/3HGtSeH
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 LINEには、「LINEポイント」というものがあります。
LINEポイントは、LINEサービスを利用することによって
獲得できるポイントであり、通常のポイントと同様に、「1ポイ
ント=1円」として使えます。
 LINEポイントの便利なことは、アマゾンギフト券、ナナコ
ポイント、ポンタポイントなどへの交換ができることであり、逆
に他社サービスから、LINEポイントへの交換も可能です。そ
れだけではなく、LINEペイ残高に交換すれば、銀行から現金
で出金も可能です。
 那須利将氏は、2017年9月から2018年8月までの1年
間のポイント発行数を次に示しています。
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      32,834,324,740ポイント
       2017年9月〜2018年8月まで
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 実に320億ポイントです。大変な人気ですですが、これに対
して那須利将氏は、これでも顧客還元として十分ではないとし、
いろいろ模索した結果、ブロックチェーン技術にに行き着いたこ
とについて、次のように述べています。
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 みなさんの財布には多くのポイントカードがあったり、各種オ
ンラインサイトでも、多くのポイントを持っているのではないの
でしょうか。それは、サービス提供者が対価を還元したいという
証拠ではありますが、そのまま、捨てられてしまっているものが
あったり、単純にユーザーのサイトを圧迫しているものがあった
り、有効期限によりポイントが失効してしまったりと、サービス
提供者にとってもユーザーにとっても、望ましい結果になってい
るとは言い難い状況だと思います。
 こういった流れがあり、LINEはユーザーへの公平な還元、
つまり透明性と安全性が確保されたサービスの提供という2つを
改善すれば、より良いサービスを提供できるのではないだろうか
と考えるようになりました。
 そこで注目したのが仮想通貨・ポイント・コンテンツ・自己証
明など、透明性と安全性があり、トークンを発行してエコノミー
を実現できるブロックチェーン技術でした。 ──那須利将氏
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 例えば、ある月、あるユーザーが、サービスから受け取ったポ
イントが6ポイントだったとしましょう。ところがその次の月は
先月とはとくに変化がないのに1ポイントしかもらえなかったと
しましょう。なぜそうなったのか、ユーザーは当然疑問に思うは
ずです。ユーザーはサービスに対して、なぜ、5ポイント減った
のか、発行しているルールを教えてくれ」と考えるはずです。
 那須利将氏は、こういうことはあってはならないとし、還元ル
ールをすべてオープンにして、そこに透明性を持たせるべきだと
考えたのです。これを実現するには、ブロックチェーン技術しか
ないとして、次のように述べています。
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 ブロックチェーンの技術は、サービスからユーザーへの還元ル
ールから還元履歴まで、すべてがオープンで、誰でも閲覧できる
ようになっており、還元された対価の減少を多くの人が共有する
ことで、盗難されても、どのユーザーにポイントが移動したかす
ぐに確認できるようになっています。
 また、履歴管理をしているからこそ、改ざんしても過去のデー
タとの整合性が容易に崩れるようなデータ構造になっており、安
全な管理を実現しています。ですから、サービスからユーザーへ
の還元手段として、新たにブロックチェーンの技術を使い、トー
クンというかたちでシンプルに実現し、必要があればオンライン
で価値を交換できるようにすることで、複雑な手続きを介さず、
発生する手数料は本当に必要最小限で、ユーザーに対価の還元が
できるモデルを新しく開発できると考えるようになりました。
                     ──那須利将氏
─────────────────────────────
 那須利将氏の話によると、LINEが一番悩んだのが、ブロッ
クチェーンを独自に構築するか、すでに公開されているプラット
フォームを利用するかの判断です。しかし、ブロックチェーンを
独自にするとなると、時間も費用もかかるし、技術的にも大変で
あることは目に見えています。
 したがって、普通は既存のブロックチェーンのプラットフォー
ムを利用として構築するのですが、この場合、ユーザーが取引所
に口座を登録する必要があったり、ユーザー自身がウォレットを
作る必要があって、そこで自分の「秘密鍵」を作って管理しなけ
ればならないなど、開発側にとってもユーザーにとっても、面倒
で、リスクのあることが多いのです。
 そこで、LINEとしては、ユーザーにとっても開発者にとっ
ても、アクセスしやすいLINE独自のブロックチェーンプラッ
トフォームとして、「リンクチェーン/LINK Chain」を作ること
にしたのです。LINE独自のプラットフォームであれば、ユー
ザーに安心して使っていただけると確信したからです。
            ──[デジタル社会論V/073]

≪画像および関連情報≫
 ●沸騰するNFT市場。LINE発・仮想通貨の真のすごさと
  は?執行役員を直撃
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   ビットコインが500万円前後を推移し、盛り上がりを見
  せる仮想通貨(暗号資産)市場。直近のブームはなんと言っ
  ても「NFT」だが、2018年からこの領域に取り組んで
  きたのがLINEだ。LINEはなぜ、これほどまでに仮想
  通貨に力を入れてきたのか?LINEの仮想通貨関連・ブロ
  ックチェーン事業を統括する子会社・LVC社の執行役員、
  米山裕介氏とブロックチェーン事業企画マネージャー、田中
  遼氏に聞いた。NFT:ノン・ファンジブル・トークン(非
  代替性トークン)。ブロックチェーン技術を使ったデジタル
  資産の一種。画像や音声など特定のデータを、唯一無二のも
  のとして証明できる。
   楽天は8月30日、2022年春に「Rakuten NFT」 の提
  供を開始すると発表した。すかさずGМOも8月31日、N
  FTマーケティングプレイス「アダム/GМO」β版をサー
  ビス開始。同サービスでは、漫画家の東村アキコさんの作品
  の販売も予定されている。仮想通貨取引所大手「コインチェ
  ック」「bitFlyer」もそれぞれNFT市場への参入を図る。
   大手ネット企業も次々とNFT事業へ参入する中、LIN
   Eは6月、満を辞してNFTを売買できるサービス「NF
  Tマーケットβ」をスタート。8月末から9月末にかけては
  クイズに答えると先着20万人にLINEの公式キャラクタ
  ー「BROWN & FRIENDS」 のNFTトレーディングカードが
  もらえるキャンペーンも実施。このNFTトレカは今冬以降
  ヤフオク!での売買ができるとも発表されている。
                  https://bit.ly/3cxiC62
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LINEブロックチェーン・ラボ/那須利将氏.jpg
LINEブロックチェーン・ラボ/那須利将氏


posted by 平野 浩 at 06:11| Comment(0) | デジタル社会論V | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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